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課題

優れた耐摩耗性、高い酸化安定性及び高度の機械的性質を兼ね備えた人工関節置換に用いられるUHMWPE材料を提供する。

解決手段

補綴デバイスは第1の補綴コンポーネントと接触するように構成された第1の表面と、第2の補綴コンポーネントと連接するように構成された関節面とを有する挿入物を含みうる。挿入物は超高分子量ポリエチレン及びビタミンEを含む。ビタミンEの濃度は0.02〜0.12wt%の範囲であってよく、ビタミンEは最初に超高分子量ポリエチレンと混合され、次いで超高分子量ポリエチレンの融点より高い温度で超高分子量ポリエチレンとともに成型されうる。超高分子量ポリエチレン及びビタミンEは5〜20Mradの間の照射線量でγ線照射されうる。挿入物を空気中でγ線照射する前に挿入物を機械加工し、それによって適切な高線量のγ線照射で挿入物を滅菌しうる。

概要

背景

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)は関節全置換術において最も普通に用いられる関節面材料であり、1960年代初期にJohn Charnleyによって導入された(The UHMWPE Handbook、S. Kurtz編、Elsevier、2004)。それ以来、多様な用途が関節全形成術において開発されてきたが、これはこの材料の高い靱性及び良好な機械的性質によるものである。「従来の」UHMWPEは優れた臨床成績を有するが、インプラントシステムの最大寿命はUHMWPE製関節面から放出される摩耗粒子によって制限されている(Willert H.G.、Bertram H.、Buchhorn G.H.、Clin Orthop 258、95頁、1990)。これらの摩耗粒子は、人体内において溶骨性反応を誘起し、局所骨再吸収をもたらし、ついには人工関節無菌性の弛みをもたらすことがある。

従来のγ線滅菌UHMWPE(2.5〜4.0Mrad; S.Kurtz、The UHMWPE Handbook、Elsevier、2004)に関連する第2の問題は、保存老化中に起こる酸化的分解である。分解はγ線のエネルギーポリエチレン鎖炭素-炭素または炭素-水素結合のいくつかを切断するために充分であるときに起こり、フリーラジカルの生成をもたらす。フリーラジカルの量は、たとえば電子スピン共鳴測定(ESR)によって測定することができる。

標準的なγ線滅菌(3Mrad)UHMWPEインプラントのフリーラジカル含量は1.46E+18g-1である(下記の実施例のセクションのフリーラジカル含量のチャートを参照されたい)。これらのラジカルは部分的に再結合するが、それらのいくらかは長寿命で、インプラントの周囲のパッケージの中に存在するか、またはその中に拡散する酸素と反応する可能性がある(Costa L.、Jacobson K.、Bracco P.、Brach del Prever E.M.、Biomaterials 23、1613頁、2002)。酸化的分解反応の結果、材料は脆化し、それとともに材料の機械的性質が低下し、インプラントの破折をもたらすことがある(Kurtz S.M.、Hozack W.、Marcolongo M.、Turner J.、Rimnac C.、Edidin A.、J Arthroplasty 18、68〜78頁、2003)。

1970年代に、材料の耐摩耗性の改善を意図して高度に架橋したUHMWPEが導入された(Oonishi H.、Kadoya Y.、Masuda S.、Journal of Biomedical Materials Research、58、167頁、2001; Grobbelaar C.J.、du Plessis T.A.、Marais F.、The Journal of Bone and Joint Surgery、60-B、370頁、1978)。UHMWPE材料は100Mradまでの高線量でγ線照射されていた。一方、UHMWPEをγ線滅菌するための照射線量は一般に2.5〜4.0Mradの範囲である。UHMWPEに対する高線量のγ線照射は、材料における架橋プロセスを促進し、それによって耐摩耗性を増大させるために用いられていた。しかし、ポリエチレン鎖上のフリーラジカル量は一般には減少しないか、または局所的にのみ減少する。したがって、これらの高度に架橋した材料は、保存老化中またはインビボ使用においてγ線滅菌したUHMWPEと同じ酸化的分解を受けやすい。

安定化されていないUHMWPEの放射線架橋はフリーラジカル数の増加をもたらし、それによって材料の望ましくない重大な酸化をもたらす。さらに、高度に架橋したUHMWPEの機械的性質は照射線量の増大によって低下する(Lewis G.、Biomaterials、22、371頁、2001)。照射線量と、照射後の熱処理を全く受けていない、安定化されていない材料の性質とのこれらの相互作用は、Table 1(表1)に定性的にまとめられている。

Table 1(表1)において、基準は照射なし(0Mrad)である。表1における「+」は基準に対して改良された性能を示す。Table 1(表1)における「-」は基準に対して劣った性能を示す。架橋間分子量であるMcは、照射線量の増大とともに低下する。耐摩耗性はMcKellop(McKellop H.ら、J. Orth. Res.、17、157頁、1999)によって記載された標準的股関節シミュレーター試験で測定した。機械的性質は引張り試験で測定した。耐酸化性ASTMF2003による人工老化後に測定した。

照射線量と上述の性質との関係は実験によっても示され、その結果は以下の実施例に示されている。フリーラジカル含量と酸化指数の両方は照射線量の増大とともに増大し、その関係は以前に既に見出されている(Collier J. P.ら、Clinical Orthopaedics and Related Research、414、289〜304頁、2003)。耐摩耗性は架橋間分子量Mcに関連し(Muratoglu O.K.ら、Biomaterials、20、1463〜1470頁、1999)、照射線量の増大によって実質的に向上する。さらに、フリーラジカル数を低減またはなくすための熱処理は数十年にわたって当技術分野で良く知られてきた。

これらのプロセスは3つのグループに再分割することができる。第1のグループは溶融温度未満での照射とこれに続くアニーリングである。第2のグループは溶融温度未満での照射及びこれに続く再溶融である。第3のグループは溶融状態での照射である。

溶融温度未満での照射及びこれに続く溶融温度未満でのアニーリング(米国特許第5414049号明細書、欧州特許第0722973号明細書)。このルートの主な欠点は、UHMWPE鎖がまだ残存フリーマクロラジカルを含んでいて、これが酸化的分解をもたらすことである(Wannomae K.K.、Bhattacharyya S.、Freiberg A.、Estok D.、Harris W.H.、Muratoglu O.J.、Arthroplasty、21、1005頁、2006)。

溶融温度未満での照射及びこれに続く溶融温度を超える温度での再溶融(米国特許第6228900号明細書)。このプロセススキームの主な欠点は、アニーリングプロセスと比べて、再溶融ステップによって機械的性質が低下することである(Ries M.D.、Pruitt L.、Clinical Orthopaedics and Related Research、440、149頁、2005)。

溶融状態での照射(米国特許第5879400号明細書、Dijkstra D.J.、PhD Thesis、University of Groningen、1988)。このプロセスの欠点は、結晶性が実質的に低減し、それにより機械的性能が低下することである。

他に、化学的抗酸化剤医用グレードのUHMWPEに導入して、良好な酸化安定性と充分な機械的性質を兼ね備えた耐摩耗性材料を得るという実験もある。一般的な抗酸化剤のほとんどは生体親和性が低いか生体親和性がなく、したがって人体内または栄養製品内に既に存在する化学物質が探求された。1982年に、Dolezel及びAdamirovaは医用インプラントポリオレフィン生体内における生物学的分解に対する安定性を増大する方法を記述している(チェコ共和国特許第221404号)。彼らはα-、β-、γ-もしくはδ-トコフェロール(ビタミンE)またはその混合物ポリエチレン樹脂に添加し、続いて得られた混合物を加工した。しかし、彼らは材料を架橋してその耐摩耗性を改良する試みは行っていない。

最近、いくつかのグループが、材料の耐摩耗性を改善するため、種々の加工法確立し、かなりの量(0.1%〜1.8%w/w)のビタミンEの添加と放射線架橋ステップとを組み合わせた。これらの研究者の一部は、UHMWPE粉末硬化の前にかなりの量のビタミンEを添加し(特開平11-239611号公報、米国特許第6277390号明細書、米国特許第6448315号公報、国際公開第01/80778号、及び国際公開第2005/074619号)、続いて放射線架橋した。他の研究者は照射ステップの後、機械加工した製品液体ビタミンEを拡散させた。これは時には高温で行われた(カナダ特許第256129号明細書、国際公開第2005/110276号、国際公開第2005/110276号、及び国際公開第2005/074619号)。照射前にかなりの量のビタミンEを添加することは材料の架橋効率に悪影響を及ぼし、耐摩耗性の改善を制限する(Oral E.ら、Biomaterials、26、6657頁、2005)。

照射後にUHMWPE製品にビタミンEを拡散させることはまたいくつかの欠点を含んでいる。即ち、UHMWPE製品の拡散律速ドーピングによって、ビタミンEレベルの深さは制御できず、不均一で、その空間的ディメンジョンにおいて制限を受けたままである。実際のドーピングプロセスの後のアニーリングステップ(これも高温で実施される)によって、濃度勾配の問題は部分的に解決されるが、最終製品中のビタミンEの最終的な量は不明のままである。

さらに、上に引用した方法のいくつかは非常に面倒であり、費用がかかる。米国特許第6277390号には、有機溶媒を使用するプロセスが記載されているが、これは完全に除去されなければ人体に害を与える危険を冒すものである。米国特許第6448315号及びカナダ特許第256129号明細書には超臨界CO2の使用が記載されているが、これはUHMWPEにビタミンEをドープする高価で困難な方法である。また、国際公開第2004/064618号及び国際公開第2005/110276号に記載されたUHMWPE製品の拡散律速ドーピングは非常に時間を要する(48時間までのビタミンE浸漬及び24時間のアニーリングが記載されている)。

高度に架橋されたUHMWPEの酸化安定性を向上させるために採用された上記の方法(照射後の熱処理及びかなりの量のビタミンEの添加)の両方とも、フリーラジカルの除去を目的としている。

上記表1で実施されたのと同様に、UHMWPE製部品の選択された性質に対するこれらの2つのステップの効果を表2に示す。

最近、焼結前に微量(<0.05%)のビタミンEを添加して放射線架橋UHMWPEを酸化的分解から保護することが記載された(Kurtz S.、Mazzucco D. C.、Siskey R. L.、Dumbleton J.、Manley M.、Wang A.、Trans. ORS、2007、0020頁)。しかし、この研究では機械的試験のみが実施され、材料の耐摩耗性については注意が払われていない。Kurtzによると、線量7.5Mradで高い酸化安定性を保つには最大量(0.0375または0.05%)のビタミンEを適用しなければならない。しかし、照射線量及びビタミンE含量のこの組合せでは、高い耐摩耗性の材料は得られない。このことは、以下の実施例における「ビタミンE 0.05%、8Mrad」試料のMc値を見ることによって容易に結論付けることができる。この特定の試料のMc(5820g/mol)は、γ線滅菌したPE(以下の実施例の股関節シミュレーターデータを参照されたい)と比較して摩耗速度のわずかの減少のみを示す「ビタミンE 0.1%、7Mrad」(6000g/mol)と同程度である。

概要

優れた耐摩耗性、高い酸化安定性及び高度の機械的性質を兼ね備えた人工関節置換に用いられるUHMWPE材料を提供する。補綴デバイスは第1の補綴コンポーネントと接触するように構成された第1の表面と、第2の補綴コンポーネントと連接するように構成された関節面とを有する挿入物を含みうる。挿入物は超高分子量ポリエチレン及びビタミンEを含む。ビタミンEの濃度は0.02〜0.12wt%の範囲であってよく、ビタミンEは最初に超高分子量ポリエチレンと混合され、次いで超高分子量ポリエチレンの融点より高い温度で超高分子量ポリエチレンとともに成型されうる。超高分子量ポリエチレン及びビタミンEは5〜20Mradの間の照射線量でγ線照射されうる。挿入物を空気中でγ線照射する前に挿入物を機械加工し、それによって適切な高線量のγ線照射で挿入物を滅菌しうる。

目的

このプロセススキームの主な欠点は、アニーリングプロセスと比べて、再溶融ステップによって機械的性質が低下することである

効果

実績

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請求項1

超高分子量ポリエチレン、及び混合物中のビタミンE濃度が0.02〜0.12wt%であるように最初に前記超高分子量ポリエチレンと混合され、次いで前記超高分子量ポリエチレンの融点より高い温度で前記超高分子量ポリエチレンとともに成型されて成型組成物を形成するビタミンEを含み、前記成型組成物は空気中で5〜20Mradの間の照射線量でγ線照射される組成物

請求項2

ビタミンEの濃度が0.03〜0.1wt%の範囲である、請求項1に記載の組成物。

請求項3

ビタミンEがトコフェロールである、請求項1または2に記載の組成物。

請求項4

ビタミンEがα-トコフェロールである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。

請求項5

前記γ線照射が7〜15Mradの範囲内の線量である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。

請求項6

前記γ線照射が9〜11Mradの範囲内の線量である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。

請求項7

前記γ線照射線量がビタミンEの濃度に比例して変化する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。

請求項8

2.5〜4Mradの範囲内の線量でさらにγ線滅菌される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。

請求項9

3Mradの線量でさらにγ線滅菌される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。

請求項10

前記成型組成物がさらに熱処理を受けない、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。

請求項11

不活性ガス中でγ線滅菌される、請求項9に記載の組成物。

請求項12

前記超高分子量ポリエチレンが粉末であって、該粉末は低い分子量を有する一部の粉末を含む多様な分子量分布を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。

請求項13

a.濃度が0.02〜0.12wt%の範囲のビタミンEを超高分子量ポリエチレンと混合するステップと;b.前記超高分子量ポリエチレンとビタミンEの混合物を前記超高分子量ポリエチレンの溶融温度より高い温度で成型するステップと;c.前記成型された超高分子量ポリエチレンとビタミンEの混合物を空気中で5〜20Mradの間の線量でγ線照射するステップとを含む、組成物を混合する方法。

請求項14

ビタミンEの濃度が0.03〜0.1wt%の範囲である、請求項12に記載の方法。

請求項15

ビタミンEがトコフェロールである、請求項12または13に記載の方法。

請求項16

ビタミンEがα-トコフェロールである、請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。

請求項17

前記照射ステップが前記成型された超高分子量ポリエチレンとビタミンEの混合物を7〜15Mradの間の線量でγ線照射するステップを含む、請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。

請求項18

前記照射ステップが前記成型された超高分子量ポリエチレンとビタミンEの混合物を9〜11Mradの間の線量でγ線照射するステップを含む、請求項12〜16のいずれか一項に記載の方法。

請求項19

ビタミンEの濃度をγ線照射線量と比例して変化させるステップをさらに含む、請求項12〜17のいずれか一項に記載の方法。

請求項20

前記γ線照射され、成型された超高分子量ポリエチレンとビタミンEの混合物を2.5〜4Mradの間の線量でγ線滅菌するステップをさらに含む、請求項12〜18のいずれか一項に記載の方法。

請求項21

前記γ線照射され、成型された超高分子量ポリエチレンとビタミンEの混合物を3Mradの線量でγ線滅菌するステップをさらに含む、請求項12〜19のいずれか一項に記載の方法。

請求項22

前記成型組成物がさらに熱処理を受けない、請求項12〜20のいずれか一項に記載の方法。

請求項23

前記組成物を前記超高分子量ポリエチレンの溶融温度より低い温度でアニールするステップをさらに含む、請求項12〜20のいずれか一項に記載の方法。

請求項24

第1の補綴コンポーネントと接触するように構成された第1の表面と、第2の補綴コンポーネントと連接するように構成された関節面とを有する挿入物を含み、該挿入物は超高分子量ポリエチレン及びビタミンEを含み、ビタミンEの濃度は0.02〜0.12wt%の範囲であり、ビタミンEは最初に前記超高分子量ポリエチレンと混合され、次いで前記超高分子量ポリエチレンの融点より高い温度で前記超高分子量ポリエチレンとともに成型され、前記超高分子量ポリエチレン及びビタミンEは空気中で5〜20Mradの間の照射線量でγ線照射される、補綴デバイス

技術分野

0001

[関連出願の相互参照
本出願は、2007年9月4日に出願した米国特許仮出願第60/982,978号明細書の利益を主張するものである。該出願の開示は、参照によりその全体が組み込まれる。

0002

本発明は一般に、関節面として用いられる超高分子量ポリエチレンを加工するための方法に関する。より詳しくは、本発明は人工関節における関節面として用いられる超高分子量ポリエチレンを加工するための方法に関する。

背景技術

0003

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)は関節全置換術において最も普通に用いられる関節面材料であり、1960年代初期にJohn Charnleyによって導入された(The UHMWPE Handbook、S. Kurtz編、Elsevier、2004)。それ以来、多様な用途が関節全形成術において開発されてきたが、これはこの材料の高い靱性及び良好な機械的性質によるものである。「従来の」UHMWPEは優れた臨床成績を有するが、インプラントシステムの最大寿命はUHMWPE製関節面から放出される摩耗粒子によって制限されている(Willert H.G.、Bertram H.、Buchhorn G.H.、Clin Orthop 258、95頁、1990)。これらの摩耗粒子は、人体内において溶骨性反応を誘起し、局所骨再吸収をもたらし、ついには人工関節の無菌性の弛みをもたらすことがある。

0004

従来のγ線滅菌UHMWPE(2.5〜4.0Mrad; S.Kurtz、The UHMWPE Handbook、Elsevier、2004)に関連する第2の問題は、保存老化中に起こる酸化的分解である。分解はγ線のエネルギーポリエチレン鎖炭素-炭素または炭素-水素結合のいくつかを切断するために充分であるときに起こり、フリーラジカルの生成をもたらす。フリーラジカルの量は、たとえば電子スピン共鳴測定(ESR)によって測定することができる。

0005

標準的なγ線滅菌(3Mrad)UHMWPEインプラントのフリーラジカル含量は1.46E+18g-1である(下記の実施例のセクションのフリーラジカル含量のチャートを参照されたい)。これらのラジカルは部分的に再結合するが、それらのいくらかは長寿命で、インプラントの周囲のパッケージの中に存在するか、またはその中に拡散する酸素と反応する可能性がある(Costa L.、Jacobson K.、Bracco P.、Brach del Prever E.M.、Biomaterials 23、1613頁、2002)。酸化的分解反応の結果、材料は脆化し、それとともに材料の機械的性質が低下し、インプラントの破折をもたらすことがある(Kurtz S.M.、Hozack W.、Marcolongo M.、Turner J.、Rimnac C.、Edidin A.、J Arthroplasty 18、68〜78頁、2003)。

0006

1970年代に、材料の耐摩耗性の改善を意図して高度に架橋したUHMWPEが導入された(Oonishi H.、Kadoya Y.、Masuda S.、Journal of Biomedical Materials Research、58、167頁、2001; Grobbelaar C.J.、du Plessis T.A.、Marais F.、The Journal of Bone and Joint Surgery、60-B、370頁、1978)。UHMWPE材料は100Mradまでの高線量でγ線照射されていた。一方、UHMWPEをγ線滅菌するための照射線量は一般に2.5〜4.0Mradの範囲である。UHMWPEに対する高線量のγ線照射は、材料における架橋プロセスを促進し、それによって耐摩耗性を増大させるために用いられていた。しかし、ポリエチレン鎖上のフリーラジカル量は一般には減少しないか、または局所的にのみ減少する。したがって、これらの高度に架橋した材料は、保存老化中またはインビボ使用においてγ線滅菌したUHMWPEと同じ酸化的分解を受けやすい。

0007

安定化されていないUHMWPEの放射線架橋はフリーラジカル数の増加をもたらし、それによって材料の望ましくない重大な酸化をもたらす。さらに、高度に架橋したUHMWPEの機械的性質は照射線量の増大によって低下する(Lewis G.、Biomaterials、22、371頁、2001)。照射線量と、照射後の熱処理を全く受けていない、安定化されていない材料の性質とのこれらの相互作用は、Table 1(表1)に定性的にまとめられている。

0008

Table 1(表1)において、基準は照射なし(0Mrad)である。表1における「+」は基準に対して改良された性能を示す。Table 1(表1)における「-」は基準に対して劣った性能を示す。架橋間分子量であるMcは、照射線量の増大とともに低下する。耐摩耗性はMcKellop(McKellop H.ら、J. Orth. Res.、17、157頁、1999)によって記載された標準的股関節シミュレーター試験で測定した。機械的性質は引張り試験で測定した。耐酸化性ASTMF2003による人工老化後に測定した。

0009

0010

照射線量と上述の性質との関係は実験によっても示され、その結果は以下の実施例に示されている。フリーラジカル含量と酸化指数の両方は照射線量の増大とともに増大し、その関係は以前に既に見出されている(Collier J. P.ら、Clinical Orthopaedics and Related Research、414、289〜304頁、2003)。耐摩耗性は架橋間分子量Mcに関連し(Muratoglu O.K.ら、Biomaterials、20、1463〜1470頁、1999)、照射線量の増大によって実質的に向上する。さらに、フリーラジカル数を低減またはなくすための熱処理は数十年にわたって当技術分野で良く知られてきた。

0011

これらのプロセスは3つのグループに再分割することができる。第1のグループは溶融温度未満での照射とこれに続くアニーリングである。第2のグループは溶融温度未満での照射及びこれに続く再溶融である。第3のグループは溶融状態での照射である。

0012

溶融温度未満での照射及びこれに続く溶融温度未満でのアニーリング(米国特許第5414049号明細書、欧州特許第0722973号明細書)。このルートの主な欠点は、UHMWPE鎖がまだ残存フリーマクロラジカルを含んでいて、これが酸化的分解をもたらすことである(Wannomae K.K.、Bhattacharyya S.、Freiberg A.、Estok D.、Harris W.H.、Muratoglu O.J.、Arthroplasty、21、1005頁、2006)。

0013

溶融温度未満での照射及びこれに続く溶融温度を超える温度での再溶融(米国特許第6228900号明細書)。このプロセススキームの主な欠点は、アニーリングプロセスと比べて、再溶融ステップによって機械的性質が低下することである(Ries M.D.、Pruitt L.、Clinical Orthopaedics and Related Research、440、149頁、2005)。

0014

溶融状態での照射(米国特許第5879400号明細書、Dijkstra D.J.、PhD Thesis、University of Groningen、1988)。このプロセスの欠点は、結晶性が実質的に低減し、それにより機械的性能が低下することである。

0015

他に、化学的抗酸化剤医用グレードのUHMWPEに導入して、良好な酸化安定性と充分な機械的性質を兼ね備えた耐摩耗性材料を得るという実験もある。一般的な抗酸化剤のほとんどは生体親和性が低いか生体親和性がなく、したがって人体内または栄養製品内に既に存在する化学物質が探求された。1982年に、Dolezel及びAdamirovaは医用インプラントポリオレフィン生体内における生物学的分解に対する安定性を増大する方法を記述している(チェコ共和国特許第221404号)。彼らはα-、β-、γ-もしくはδ-トコフェロール(ビタミンE)またはその混合物ポリエチレン樹脂に添加し、続いて得られた混合物を加工した。しかし、彼らは材料を架橋してその耐摩耗性を改良する試みは行っていない。

0016

最近、いくつかのグループが、材料の耐摩耗性を改善するため、種々の加工法確立し、かなりの量(0.1%〜1.8%w/w)のビタミンEの添加と放射線架橋ステップとを組み合わせた。これらの研究者の一部は、UHMWPE粉末硬化の前にかなりの量のビタミンEを添加し(特開平11-239611号公報、米国特許第6277390号明細書、米国特許第6448315号公報、国際公開第01/80778号、及び国際公開第2005/074619号)、続いて放射線架橋した。他の研究者は照射ステップの後、機械加工した製品液体ビタミンEを拡散させた。これは時には高温で行われた(カナダ特許第256129号明細書、国際公開第2005/110276号、国際公開第2005/110276号、及び国際公開第2005/074619号)。照射前にかなりの量のビタミンEを添加することは材料の架橋効率に悪影響を及ぼし、耐摩耗性の改善を制限する(Oral E.ら、Biomaterials、26、6657頁、2005)。

0017

照射後にUHMWPE製品にビタミンEを拡散させることはまたいくつかの欠点を含んでいる。即ち、UHMWPE製品の拡散律速ドーピングによって、ビタミンEレベルの深さは制御できず、不均一で、その空間的ディメンジョンにおいて制限を受けたままである。実際のドーピングプロセスの後のアニーリングステップ(これも高温で実施される)によって、濃度勾配の問題は部分的に解決されるが、最終製品中のビタミンEの最終的な量は不明のままである。

0018

さらに、上に引用した方法のいくつかは非常に面倒であり、費用がかかる。米国特許第6277390号には、有機溶媒を使用するプロセスが記載されているが、これは完全に除去されなければ人体に害を与える危険を冒すものである。米国特許第6448315号及びカナダ特許第256129号明細書には超臨界CO2の使用が記載されているが、これはUHMWPEにビタミンEをドープする高価で困難な方法である。また、国際公開第2004/064618号及び国際公開第2005/110276号に記載されたUHMWPE製品の拡散律速ドーピングは非常に時間を要する(48時間までのビタミンE浸漬及び24時間のアニーリングが記載されている)。

0019

高度に架橋されたUHMWPEの酸化安定性を向上させるために採用された上記の方法(照射後の熱処理及びかなりの量のビタミンEの添加)の両方とも、フリーラジカルの除去を目的としている。

0020

上記表1で実施されたのと同様に、UHMWPE製部品の選択された性質に対するこれらの2つのステップの効果を表2に示す。

0021

0022

最近、焼結前に微量(<0.05%)のビタミンEを添加して放射線架橋UHMWPEを酸化的分解から保護することが記載された(Kurtz S.、Mazzucco D. C.、Siskey R. L.、Dumbleton J.、Manley M.、Wang A.、Trans. ORS、2007、0020頁)。しかし、この研究では機械的試験のみが実施され、材料の耐摩耗性については注意が払われていない。Kurtzによると、線量7.5Mradで高い酸化安定性を保つには最大量(0.0375または0.05%)のビタミンEを適用しなければならない。しかし、照射線量及びビタミンE含量のこの組合せでは、高い耐摩耗性の材料は得られない。このことは、以下の実施例における「ビタミンE 0.05%、8Mrad」試料のMc値を見ることによって容易に結論付けることができる。この特定の試料のMc(5820g/mol)は、γ線滅菌したPE(以下の実施例の股関節シミュレーターデータを参照されたい)と比較して摩耗速度のわずかの減少のみを示す「ビタミンE 0.1%、7Mrad」(6000g/mol)と同程度である。

0023

米国特許第5414049号明細書
欧州特許第0722973号明細書
米国特許第6228900号明細書
米国特許第5879400号明細書
チェコ共和国特許第221404号
特開平11-239611号公報
米国特許第6277390号明細書
米国特許第6448315号公報
国際公開第01/80778号
国際公開第2005/074619号
カナダ特許第256129号明細書
国際公開第2004/064618号
国際公開第2005/110276号

先行技術

0024

The UHMWPE Handbook、S. Kurtz編、Elsevier、2004
Willert H.G.、Bertram H.、Buchhorn G.H.、Clin Orthop 258、95頁、1990
Costa L.、Jacobson K.、Bracco P.、Brach del Prever E.M.、Biomaterials 23、1613頁、2002
Kurtz S.M.、Hozack W.、Marcolongo M.、Turner J.、Rimnac C.、Edidin A.、J Arthroplasty 18、68〜78頁、2003
Oonishi H.、Kadoya Y.、Masuda S.、Journal of Biomedical Materials Research、58、167頁、2001
Grobbelaar C.J.、du Plessis T.A.、Marais F.、The Journal of Bone and Joint Surgery、60-B、370頁、1978
Lewis G.、Biomaterials、22、371頁、2001
McKellop H.ら、J. Orth. Res.、17、157頁、1999
Collier J. P.ら、Clinical Orthopaedics and Related Research、414、289〜304頁、2003
Muratoglu O.K.ら、Biomaterials、20、1463〜1470頁、1999
Wannomae K.K.、Bhattacharyya S.、Freiberg A.、Estok D.、Harris W.H.、Muratoglu O.J.、Arthroplasty、21、1005頁、2006
Ries M.D.、Pruitt L.、Clinical Orthopaedics and Related Research、440、149頁、2005
Dijkstra D.J.、PhD Thesis、University of Groningen、1988
Oral E.ら、Biomaterials、26、6657頁、2005
Kurtz S.、Mazzucco D. C.、Siskey R. L.、Dumbleton J.、Manley M.、Wang A.、Trans. ORS 2007、0020頁

発明が解決しようとする課題

0025

これらの努力全てに関わらず、高い耐摩耗性、機械的性質及び低い酸化指数の間の望ましい組合せはまだ達成されていない。したがって、優れた耐摩耗性、高い酸化安定性及び高度の機械的性質を兼ね備えた人工関節置換に用いられるUHMWPE材料へのニーズが残っている。これら3つの材料特性は、容易で費用効率の良い加工法を維持しながら満足できるレベルにまで組み合わされていない。

課題を解決するための手段

0026

上記の課題に鑑みて本発明が開発された。本発明は超高分子量ポリエチレン及びビタミンEを含む組成物である。ビタミンEの濃度は0.02〜0.12wt%の範囲である。ビタミンEは最初に超高分子量ポリエチレンと混合され、次いで超高分子量ポリエチレンの融点より高い温度で超高分子量ポリエチレンとともに成型されて成型組成物を形成する。成型組成物は5〜20Mradの間の照射線量でγ線照射される。

0027

本発明の1つの態様においては、ビタミンEの濃度は0.05〜0.1wt%の範囲である。

0028

本発明の別の態様においては、ビタミンEはトコフェロールである。

0029

さらに別の態様においては、ビタミンEはα-トコフェロールである。

0030

別の態様によれば、γ線照射が7〜13Mradの範囲内、またはとりわけ9〜11Mradの範囲内の線量である組成物が提供される。

0031

本発明の別の態様においては、γ線照射線量はビタミンEの濃度に比例して変化する。

0032

さらに別の態様においては、成型組成物は空気中または不活性ガス中でγ線照射される。

0033

別の態様によれば、2.5〜4Mradの範囲内の線量、またはとりわけ3Mradの線量でさらにγ線滅菌される組成物が提供される。

0034

本発明の別の態様においては、成型組成物はさらに熱処理を受けない。

0035

別の態様によれば、粉末である超高分子量ポリエチレンが提供され、該粉末は低い分子量を有する一部の粉末を含む多様な分子量分布を有する。

0036

本発明の態様による方法には、濃度が0.02〜0.12wt%の範囲のビタミンEを超高分子量ポリエチレンと混合するステップが含まれる。別のステップによれば、超高分子量ポリエチレンとビタミンEの混合物が、超高分子量ポリエチレンの溶融温度より高い温度で成型される。さらにあるステップによれば、成型された超高分子量ポリエチレンとビタミンEの混合物が5〜20Mradの間の線量でγ線照射される。

0037

本発明の別の態様においては、ビタミンEの濃度は0.05〜0.1wt%の範囲である。

0038

さらに別の態様においては、ビタミンEはトコフェロールである。

0039

別の態様によれば、α-トコフェロールであるビタミンEが提供される。

0040

本発明の別の態様においては、照射ステップには成型された超高分子量ポリエチレンとビタミンEの混合物を7〜13Mradの間、またはとりわけ9〜11Mradの間の線量でγ線照射するステップが含まれる。

0041

本発明の別の態様によれば、ビタミンEの濃度をγ線照射線量と比例して変化させるステップが提供される。

0042

本発明の別の態様においては、γ線照射ステップは空気中または不活性ガス中で実施される。

0043

本発明のさらに別の態様においては、γ線照射され、成型された超高分子量ポリエチレンとビタミンEの混合物を2.5〜4Mradの間、とりわけ3Mradの線量でγ線滅菌するステップが提供される。

0044

別の態様によれば、成型組成物はさらに熱処理を受けないステップが提供される。

0045

本発明の別の態様によれば、補綴デバイスが提供される。補綴デバイスは挿入物及びビタミンEを含む。挿入物は、第1の補綴コンポーネントと接触するように構成された第1の表面と、第2の補綴コンポーネントと連接するように構成された関節面とを有する。挿入物は超高分子量ポリエチレンを含む。ビタミンEの濃度は0.02〜0.12wt%の範囲である。ビタミンEは最初に超高分子量ポリエチレンと混合され、次いで超高分子量ポリエチレンの融点より高い温度で超高分子量ポリエチレンとともに成型される。超高分子量ポリエチレン及びビタミンEは5〜20Mradの間の照射線量でγ線照射される。

0046

本発明のさらなる特徴、態様、及び利点は、本発明の種々の実施形態の構造及び操作とともに、添付する図面を参照して以下に詳細に記述される。

0047

添付する図面は本明細書に組み込まれてその一部をなし、本発明の実施形態を図示し、明細書の記述とともに本発明の原理を説明する役割を果たす。

図面の簡単な説明

0048

従来技術材料と本発明材料の実施形態とを比較する表である。
γ線照射した試料と本発明の実施形態による材料との機械的性質を比較する表である。
γ線照射した試料と本発明の実施形態による材料との架橋性の表である。
摩耗とシミュレーターサイクルを関連付ける材料の実施形態の股関節シミュレーターデータのグラフである。

0049

本発明の材料によれば、人工関節面のための、耐摩耗性、高い酸化安定性及び改善された機械的性質の組合せが提供される。最初に、微量のビタミンEをUHMWPE粉末に加える。図1に示すように、Table 2(表2)が本発明の実施形態の材料特性によって拡張される。図1に示すように、この実施形態ではフリーラジカル含量が低下し、耐摩耗性が増大するが、一方耐酸化性は保たれ、γ線照射のみ、アニール、再溶融、及び高ビタミンE含量に比べて機械的性質の損失が低減されている。

0050

本発明の実施形態によれば、焼結前にUHMWPE粉末にビタミンEを導入することによる容易で簡単な生産プロセスを含むUHMWPE材料が提供される。生産プロセスはまた、空気中で照射することによって容易になり、それによって複雑な保護環境の必要性が最小限になる。

0051

本発明の実施形態によれば、微量のビタミンEを照射架橋線量に合わせて調節することによって耐摩耗性が増大したUHMWPEが提供される。

0052

微量のビタミンEの添加はまた、加速老化試験によって実証されるように、材料を酸化的分解から充分に保護する。さらに、微量のビタミンEによってより良い機械的性質が可能になり、照射後の熱処理が不要になる。その上、フリーラジカル含量はγ線滅菌(3Mrad)された安定化されていないUHMWPE材料を超える。UHMWPE材料の製造法は、UHMWPEのプレフォームの標準的な製造法と同様である。プレフォームから最終製品を得るステップは、任意の既知の標準的方法によって行われ、最も典型的にはプレフォームの不要な部分を除去または機械加工して最終形態の製品を得ることによって達成される。このプレフォームは、ISO 5834-2基準に記載されているような応力緩和アニーリングプロセスにかけることができる。

0053

本発明によるUHMWPE材料の形成は、0.02〜0.12wt%の微量のビタミンEをUHMWPE粉末と混合するステップから始まる。以下に記載する実施例においては、UHMWPE粉末は好ましくはTicona GUR(登録商標)1020医用グレードUHMWPEであろう。そのような粉末は良く知られており、商業的に入手することができる。もちろん、任意の他のUHMWPE粉末も用いることができる(たとえば高純度のUHMWPE粉末であるTicona GUR(登録商標)1050、DSMUH210、Basell 1900)。ビタミンEとUHMWPE粉末の混合プロセスの間、完全に均一な混合物が得られることが好ましい。ビタミンEとUHMWPE粉末が混合されれば、これらはUHMWPE粉末の融点より高い温度で成型されてプレフォームとなる。UHMWPEプレフォームをγ線または電子線照射で照射することにより、架橋密度の増大がもたらされる。材料の架橋密度と同等な測定は、架橋間分子量の測定である。明らかに、個々のUHMWPEポリマー間の架橋密度が増大すると、架橋間分子量が低下する。好ましくは、γ線または電子線照射の線量は5〜20Mradの間であり、この値は必要なUHMWPE材料の最終特性に応じて選択することができる。照射線量を変化させることによって架橋間分子量の相違がもたらされることになり、所望の最終製品に基づいて選択することが意図される。

0054

UHMWPE材料は1.5E+18g-1〜5E+18g-1の間のフリーラジカル含量(ESR)を含みうる。このフリーラジカル含量はγ線滅菌UHMWPEよりも少なくとも10%高いであろう(図3に示すように)。UHMWPE材料は、人工老化後に<0.1のバルク酸化指数(表面の少なくとも2mm下)を含みうる。機械的性質としては、降伏応力>23MPa、引張り強度>40MPa、破断伸び>270%が達成されうる(図2に示すように)。本発明による材料は、30kJ/m2を超えるシャルピー衝撃強度をもたらしうる(図2に示すように)。架橋間分子量(Mc)<4500g/molが達成されうる(図3に示すように)。UHMWPEは28mmの股関節カップを用いる股関節シミュレーターで決定される<3mg/百万サイクルの摩耗速度を含みうる(図4に示すように)。従来の材料の状況においては、股関節シミュレーターでの摩耗速度は、安定剤を含まない従来のγ線滅菌UHMWPEの摩耗速度のせいぜい25%であろう。

0055

実施形態によってはビタミンEの量及び照射量は変動しうる。プレフォーム中のビタミンEの濃度は好ましくは0.02〜0.12wt%、より好ましくは0.05%を超え、0.10%未満である。照射線量は好ましくは5〜20Mrad、より好ましくは7〜13Mrad、さらにより好ましくは9〜11Mradである。好ましくは、低濃度のビタミンEは照射線量に対して比例して添加されることになる。即ち、低線量のγ線照射においては濃度範囲内の低濃度のビタミンE(0.02wt%など)が照射され、高線量のγ線照射においては高濃度のビタミンE(0.12wt%など)が照射されることになる。

0056

従来技術と比較した利点には、関節全形成術において用いることができるUHMWPE材料の加工の容易さ、耐酸化性、耐摩耗性及び機械的性質のユニークな組合せが含まれうる。このことは、安定化された材料に対してビタミンEの量及び照射線量を調節することによって行われる。従来のγ線滅菌(3Mrad)したUHMWPEと比べて、本発明に記載した材料は、より高い耐酸化性(以下の酸化チャートを参照されたい)ならびに大幅に高い耐摩耗性(以下の股関節シミュレーターグラフを参照されたい)を示す。添加剤を含まず、同じ照射線量(7または14Mrad)を有する材料と比べて、ビタミンEを含む本発明の材料は、人工老化後にバルク酸化を有しない(<0.05対0.5、以下の酸化チャートを参照されたい)。添加剤を含まず、同じ照射線量(7または14Mrad)を有する材料と比べて、ビタミンEを含む本発明の材料は、優れた機械的性質を有する(以下の機械的性質表を参照されたい)。照射架橋し、次いで再溶融した材料と比べて、本発明に記載した材料は、以下の機械的性質表に見られるように、優れた機械的性質(降伏応力、強度、破折伸び、及びシャルピー衝撃強度)を示す。

0057

組成物は超高分子量ポリエチレン及びビタミンEを含みうる。ビタミンEの濃度は0.02〜0.12wt%の範囲であってよく、ビタミンEは最初に超高分子量ポリエチレンと混合され、次いで超高分子量ポリエチレンの融点より高い温度で超高分子量ポリエチレンとともに成型されて成型組成物を形成しうる。成型組成物は5〜20Mradの間の照射線量でγ線照射されうる。

0058

ビタミンEの濃度はより具体的には0.05〜0.1wt%の範囲でありうる。

0059

ビタミンEはトコフェロールでありうる。

0060

より具体的には、ビタミンEはα-トコフェロールでありうる。

0061

γ線照射線量のより広い範囲内では、γ線照射はより具体的には7〜13Mradの範囲内の線量でありうる。

0062

γ線照射線量のより広い範囲内では、γ線照射はより具体的には9〜11Mradの範囲内の線量でありうる。

0063

γ線照射はビタミンEの濃度に比例して変化しうる。

0064

さらに、成型組成物は空気中でγ線照射されうる。

0065

組成物は2.5〜4Mradの範囲内の線量でさらにγ線滅菌されうる。

0066

より具体的には、組成物は3Mradの線量でさらにγ線滅菌されうる。

0067

組成物はさらに熱処理を受けなくてよい。

0068

組成物を混合する方法には、濃度が0.02〜0.12wt%の範囲のビタミンEを超高分子量ポリエチレンと混合するステップが含まれる。別のステップによれば、超高分子量ポリエチレンとビタミンEとの混合物が、超高分子量ポリエチレンの溶融温度より高い温度で成型される。別のステップによれば、成型された超高分子量ポリエチレンとビタミンEとの混合物が5〜20Mradの間の線量でγ線照射される。

0069

より具体的には、混合ステップに含まれうるビタミンEの濃度は0.05〜0.1wt%の範囲である。

0070

混合ステップにおいてはトコフェロールであるビタミンEが混合されうる

0071

混合ステップにおいてはα-トコフェロールであるビタミンEを混合されうる。

0072

より具体的には、照射ステップには成型された超高分子量ポリエチレンとビタミンEの混合物を7〜13Mradの間の線量でγ線照射するステップが含まれうる。

0073

より具体的には、照射ステップには成型された超高分子量ポリエチレンとビタミンEの混合物を9〜11Mradの間の線量でγ線照射するステップが含まれうる。

0074

さらに、本方法には、ビタミンEの濃度をγ線照射線量と比例して変化させるステップがさらに含まれうる。

0075

γ線照射ステップは空気中で実施されうる。

0076

また本方法は、γ線照射され、成型された超高分子量ポリエチレンとビタミンEの混合物を2.5〜4Mradの間の線量でγ線滅菌するステップをさらに含みうる。

0077

本方法は、γ線照射され、成型された超高分子量ポリエチレンとビタミンEの混合物を3Mradの線量でγ線滅菌するステップをさらに含みうる。

0078

成型組成物の方法は、さらに熱処理を受けなくてもよく、または超高分子量ポリエチレンの溶融温度より低い温度で組成物をアニールするステップを含みうる。

0079

補綴デバイスは、第1の補綴コンポーネントと接触するように構成された第1の表面と、第2の補綴コンポーネントと連接するように構成された関節面とを有する挿入物を含みうる。挿入物は超高分子量ポリエチレン及びビタミンEを含む。ビタミンEの濃度は0.02〜0.12wt%の範囲であってよく、ビタミンEは最初に超高分子量ポリエチレンと混合され、次いで超高分子量ポリエチレンの融点より高い温度で超高分子量ポリエチレンとともに成型されうる。超高分子量ポリエチレン及びビタミンEは5〜20Mradの間の照射線量でγ線照射されうる。挿入物をγ線照射する前に挿入物を機械加工し、それによって適切な高線量のγ線照射で挿入物を滅菌しうる。

0080

材料及び方法
γ線滅菌したUHMWPEを圧縮成型してシート状とし(GUR(登録商標)1020、Quadrant社製、ドイツ)、機械加工し、不活性ガス雰囲気中で包装して3Mradの線量でγ線滅菌した。UHMWPE樹脂粉末を0.03、0.05または0.1wt%のα-トコフェロールと混合することによってビタミンEをブレンドした試料を作成し、圧縮成型してブロック状とし、空気中で7〜20Mradでγ線照射し、機械加工して所望の形状とした。試料のいくつかは追加的に3Mradの線量でγ線滅菌した。照射後の熱処理は行わなかった。

0081

フリーラジカル含量は、ブロックの中央から切断した円柱(長さ15mm、直径4mm)について、照射直後に電子スピン共鳴(ESR、Bruker社製)によって測定した。フリーラジカル数は、試料重量によって正規化し、DPPHで較正して、ESRシグナル二重積分によって計算した。

0082

酸化指数(OI)は、ASTMF2102-06に従い、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって定量した。酸化プロファイルは厚み150μmの薄片を用いて表面から深さ2.5mmまで記録した。OI測定の前に、全ての試料を酸素圧力5bar、70℃で2週間、酸素ボンベ中で人工老化させた(ASTM F2003-02)。

0083

架橋間分子量(Mc)として表される架橋密度は、1材料あたり3試料(10×10×10mm)について、ASTMD 2765-95 Method Cによる膨潤実験によって得た。

0084

機械的試験:ダブルノッチシャルピー衝撃試験をDIN EN ISO 11542-2(材料あたり最少4試料)に従って行い、引張り試験をASTMD638(材料あたり最少5試料)に従って試験速度50mm/minで行った。

0085

28mmのセラミックボールに対する股関節シミュレーター試験を、AMTI股関節シミュレーターを用いて回数1.2Hzのヒト歩行サイクル再現し、新生子ウシ血清(タンパク質濃度30g/l)を潤滑剤として行った。重力摩耗を、寛骨臼カップを0.5百万サイクル毎に量し、得られた結果を浸漬コントロールカップ補正することによって測定した。

0086

上記に鑑みて、本発明のいくつかの利点が達成され、実現されることがわかるであろう。

0087

実施例は本発明の原理及びその実際的応用を最も良く説明し、それによって当業者が種々の実施形態において及び意図される特定の用途に適する種々の改変をもって本発明を最も良く利用できるように選択され、記述された。

実施例

0088

本明細書において記述され例示された構成及び方法において、本発明の範囲から逸脱することなく種々の改変が可能であるので、上述の記載に含まれまたは添付の図面に示される全ての事柄は限定するのではなく例示として解釈されるべきであることが意図されている。したがって、本発明の幅及び範囲は上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されず、ここに添付する以下の特許請求の範囲及びその等価物に従ってのみ定義されるべきである。

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