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技術 グリース組成物および転がり軸受

出願人 株式会社ジェイテクト
発明者 津田武志畠山雅充
出願日 2016年5月6日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2016-093287
公開日 2017年11月9日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2017-200981
状態 特許登録済
技術分野 潤滑剤 ころがり軸受
主要キーワード 針軸受 空間容積比 圧電式加速度センサ 重力沈降法 混合アミン ロール掛け 軸受振動 チャンネリング
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年11月9日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (5)

課題

耐熱性および長期潤滑特性の低下を抑制しながら、従来に比べて低トルクを実現できるグリース組成物および当該グリース組成物が封入された転がり軸受を提供する。

解決手段

基油と、ジウレア化合物を含む増ちょう剤と、有機系繊維を含む添加剤とを含有し、有機系繊維は、セルロース繊維を含む、グリース組成物(G)を提供する。セルロース繊維は、0.1mm〜2mmの長さを有する短繊維および/または2mm〜5mmの長さを有する長繊維を含んでいてもよい。

概要

背景

近年、軸受グリースの特性として、省エネルギー化高効率化ニーズ応えるため、軸受回転トルクの低減が求められている。一方、軸受回転トルクの低減とともに、耐熱性の向上および長寿命化の要求が強いため、耐熱性、長期潤滑特性に優れるウレア系グリースが主に使用されている。
ウレア系グリース組成物として、特許文献1は、例えば、基油および増ちょう剤を含むグリース組成物であって、基油が鉱油であって、増ちょう剤が、TDIとオレイルアミンおよびオクタデシルアミン混合アミンとの反応生成物からなるジウレア化合物であるグリース組成物を開示している。

また、特許文献2は、例えば、基油、増ちょう剤およびワックスを含むグリース組成物であって、基油がPAOであって、増ちょう剤が脂肪族ジウレアであって、ワックスが、ポリエチレンワックスおよびモンタンワックスの混合物であるグリース組成物を開示している。
また、特許文献3は、例えば、基油および増ちょう剤を含むグリース組成物であって、基油が、アルキル化ジフェニルエーテルポリオールエステルおよびコンプレックス型ポリオールエステルの混合物であり、増ちょう剤が、N−置換テレフタラミン酸ナトリウムおよび脂環式ジウレアの混合物であるグリース組成物を開示している。

概要

耐熱性および長期潤滑特性の低下を抑制しながら、従来に比べて低トルクを実現できるグリース組成物および当該グリース組成物が封入された転がり軸受を提供する。基油と、ジウレア化合物を含む増ちょう剤と、有機系繊維を含む添加剤とを含有し、有機系繊維は、セルロース繊維を含む、グリース組成物(G)を提供する。セルロース繊維は、0.1mm〜2mmの長さを有する短繊維および/または2mm〜5mmの長さを有する長繊維を含んでいてもよい。

目的

本発明の目的は、耐熱性および長期潤滑特性の低下を抑制しながら、従来に比べて低トルクを実現できるグリース組成物および当該グリース組成物が封入された転がり軸受を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

基油と、ジウレア化合物を含む増ちょう剤と、有機系繊維を含む添加剤とを含有し、前記有機系繊維は、セルロース繊維を含む、グリース組成物

請求項2

前記セルロース繊維は、0.1mm〜2mmの長さを有する短繊維および/または2mm〜5mmの長さを有する長繊維を含む、請求項1に記載のグリース組成物。

請求項3

前記セルロース繊維として、0.1mm〜2mmの長さを有する短繊維を1〜5質量%含有している、請求項1に記載のグリース組成物。

請求項4

前記セルロース繊維として、2mm〜5mmの長さを有する長繊維を3〜10質量%含有している、請求項1に記載のグリース組成物。

請求項5

前記増ちょう剤は、C12以下の炭素鎖長を有する脂肪族ジウレアを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のグリース組成物。

請求項6

前記基油は、合成炭化水素油を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のグリース組成物。

請求項7

請求項1〜6のいずれか一項に記載のグリース組成物が封入された、転がり軸受

技術分野

0001

本発明は、グリース組成物および当該グリース組成物が封入された転がり軸受に関する。

背景技術

0002

近年、軸受グリースの特性として、省エネルギー化高効率化ニーズ応えるため、軸受回転トルクの低減が求められている。一方、軸受回転トルクの低減とともに、耐熱性の向上および長寿命化の要求が強いため、耐熱性、長期潤滑特性に優れるウレア系グリースが主に使用されている。
ウレア系グリース組成物として、特許文献1は、例えば、基油および増ちょう剤を含むグリース組成物であって、基油が鉱油であって、増ちょう剤が、TDIとオレイルアミンおよびオクタデシルアミン混合アミンとの反応生成物からなるジウレア化合物であるグリース組成物を開示している。

0003

また、特許文献2は、例えば、基油、増ちょう剤およびワックスを含むグリース組成物であって、基油がPAOであって、増ちょう剤が脂肪族ジウレアであって、ワックスが、ポリエチレンワックスおよびモンタンワックスの混合物であるグリース組成物を開示している。
また、特許文献3は、例えば、基油および増ちょう剤を含むグリース組成物であって、基油が、アルキル化ジフェニルエーテルポリオールエステルおよびコンプレックス型ポリオールエステルの混合物であり、増ちょう剤が、N−置換テレフタラミン酸ナトリウムおよび脂環式ジウレアの混合物であるグリース組成物を開示している。

先行技術

0004

特開平03−243696号公報
国際公開第2004/081156号
特開2011−46898号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ところで、軸受回転トルクに影響を与える特性として、主に(1)封入されているグリースの攪拌抵抗、(2)転がり粘性抵抗、(3)玉/樹脂保持器すべり摩擦抵抗、および(4)玉/軌道間すべり摩擦抵抗がある。グリースが半固体であることから、これらのうち、(1)攪拌抵抗の影響が大きいと考えられる。
攪拌抵抗を低減するために、玉の進行を妨げないようグリースのチャンネリング性の向上が必要である。この点、増ちょう剤(ジウレア)の炭素鎖長を短くすることでチャンネリング性の向上が見込まれるが、炭素鎖長が短すぎると逆に耐熱性が低下し、低トルクと長寿命との両立が困難となる。

0006

そこで、本発明の目的は、耐熱性および長期潤滑特性の低下を抑制しながら、従来に比べて低トルクを実現できるグリース組成物および当該グリース組成物が封入された転がり軸受を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

上記の課題を解決するための本発明のグリース組成物は、基油と、ジウレア化合物を含む増ちょう剤と、有機系繊維を含む添加剤とを含有し、前記有機系繊維は、セルロース繊維を含む(請求項1)。
本発明のグリース組成物では、前記セルロース繊維は、0.1mm〜2mmの長さを有する短繊維および/または2mm〜5mmの長さを有する長繊維を含んでいてもよい(請求項2)。

0008

本発明のグリース組成物は、前記セルロース繊維として、0.1mm〜2mmの長さを有する短繊維を1〜5質量%含有していてもよい(請求項3)。
本発明のグリース組成物は、前記セルロース繊維として、2mm〜5mmの長さを有する長繊維を3〜10質量%含有していてもよい(請求項4)。
本発明のグリース組成物では、前記増ちょう剤は、C12以下の炭素鎖長を有する脂肪族ジウレアを含んでいてもよい(請求項5)。

0009

本発明のグリース組成物では、前記基油は、合成炭化水素油を含んでいてもよい(請求項6)。
本発明の転がり軸受(1)には、本発明のグリース組成物(G)が封入されている(請求項7)。

発明の効果

0010

本発明のグリース組成物によれば、セルロース繊維を含有することで、グリースのチャンネリング性を向上させ、軸受の回転トルクを低減することができる。また、セルロース繊維は比較的融点が高く、十分な耐熱性を有しているので、添加によってグリース組成物の潤滑寿命が低下することを抑制することもできる。

図面の簡単な説明

0011

図1は、本発明の一実施形態に係る転がり軸受を示す断面図である。
図2は、粘性低下エネルギーと回転トルクとの関係を示す図である。
図3は、実施例および比較例の回転トルクの測定結果を示す図である。
図4は、実施例および比較例における、シールへのグリースの付着量を示す図である。

0012

以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る転がり軸受1を示す断面図である。
転がり軸受1は、互いの間に環状の領域2を区画する一対の軌道部材としての内輪3および外輪4と、領域2に配置され内輪3および外輪4の軌道13,13に対して転動する複数の転動体としてのボール5と、領域2に配置され、各ボール5を保持する保持器6と、領域2に充填されたグリースGと、外輪4に固定されて内輪3と摺接する一対の環状のシール部材7,8とを備えている。

0013

各シール部材7,8は、環状の芯金9,9と、この芯金9,9に焼き付けられた環状のゴム体10,10とを有している。各シール部材7,8は、その外周部が外輪4の両端面に形成した溝部11,11に嵌められて固定されており、内周部が内輪3の両端面に形成した溝部12,12に嵌められて固定されている。
グリースGは、両輪3,4間に一対のシール部材7,8で区画された領域2内に略一杯となるように封入されている。

0014

次に、グリースGを構成するグリース組成物について詳細に説明する。
本発明のグリース組成物は、基油、増ちょう剤および有機系繊維を含む添加剤を含有している。基油および増ちょう剤の配合量は、グリース組成物全量に対してそれぞれ、75質量%〜90質量%、10質量%〜25質量%であってよい。
基油としては、例えば、合成油、鉱油を使用できるが、好ましくは、合成油を使用する。合成油であれば、不純物混入していないか、混入していても少ないため、グリース組成物の潤滑性能を向上させることができる。また、分子量や分子構造に応じて、基油の動粘度流動点を広い範囲で選択することができる。

0015

合成油としては、例えば、合成炭化水素油、エステル油シリコーン油フッ素油フェニルエーテル油、ポリグリコール油、アルキルベンゼン油アルキルナフタレン油、ビフェニル油、ジフェニルアルカン油、ジ(アルキルフェニル)アルカン油、ポリグリコール油、ポリフェニルエーテル油パーフルオロポリエーテルフッ素化ポリオレフィン等のフッ素化合物等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、合成炭化水素油が使用される。

0016

合成炭化水素油として、さらに具体的には、エチレンプロピレンブテンおよびこれらの誘導体等を原料として製造されたα−オレフィンを、単独または2種以上混合して重合したものが挙げられる。α−オレフィンとしては、好ましくは、炭素数6〜20のものが使用され、さらに好ましくは、1−デセンや1−ドデセンオリゴマーであるポリ−α−オレフィン(PAO)が使用される。

0017

基油の動粘度(JIS K 2283に準拠)は、特に制限されないが、例えば、20mm2/s〜50mm2/s(40℃)である。
また、基油の溶解性パラメータSP値)は、特に制限されないが、例えば、8(cal/cm3)1/2〜9(cal/cm3)1/2である。
増ちょう剤としては、好ましくは、ウレア系化合物が使用される。ウレア系増ちょう剤としては、例えば、ジウレア化合物、トリウレア化合物テトラウレア化合物、ポリウレア化合物(ジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物を除く)等のウレア化合物、ウレアウレタン化合物ジウレタン等のウレタン化合物またはこれらの混合物等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、ジウレア化合物が使用され、さらに好ましくは、脂肪族アミンと、ジイソシアネート化合物とを反応させて得られる脂肪族ジウレア化合物が使用される。ただし、増ちょう剤は、脂肪族ジウレアに限らず、芳香族ジウレア、脂環式ジウレアおよびこれらの組み合わせからなっていてもよい。

0018

脂肪族アミンとしては、例えば、炭素鎖長がC12以下であるものが挙げられる。例えば、ヘキシルアミン(C6)、ヘプチルアミン(C7)、オクチルアミン(C8)、ノニルアミン(C9)、デシルアミン(C10)、ウンデシルアミン(C11)、ドデシルアミン(別名:ラウリルアミンC12)等が挙げられる。脂肪族アミンとして好ましくは、炭素鎖長がC8以上であるものが挙げられる。ジウレア化合物を構成する脂肪族アミンの炭素鎖長がC8以上であれば、増ちょう剤の耐熱性を比較的高く保つことができる。

0019

ジイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ジイソシアネート脂環式ジイソシアネート芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、飽和および/または不飽和の直鎖状、または分岐鎖炭化水素基を有するジイソシアネートが挙げられ、具体的には、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(HDI)等が挙げられる。また、脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。また、芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネートトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルジイソシアネートジフェニルメタンジイソシアネートMDI)等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、芳香族ジイソシアネートが使用され、さらに好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が使用される。すなわち、増ちょう剤として好ましくは、脂肪族アミン(炭素鎖長がC8〜C12)と芳香族ジイソシアネート(とりわけ、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI))との組み合わせからなる脂肪族ジウレアが使用される。

0020

そして、アミンとジイソシアネート化合物は、種々の方法と条件下で反応させることができる。増ちょう剤の均一分散性が高いジウレア化合物が得られることから、基油中で反応させることが好ましい。また、反応は、アミンを溶解した基油中に、ジイソシアネート化合物を溶解した基油を添加して行ってもよいし、ジイソシアネート化合物を溶解した基油中に、アミンを溶解した基油を添加して行ってもよい。これらの反応における温度および時間は、特に制限されず、通常のこの種の反応と同様でよい。反応温度は、アミンおよびジイソシアネートの溶解性揮発性の点から、60℃〜170℃が好ましい。反応時間は、アミンとジイソシアネートの反応を完結させるという点と製造時間短縮による効率化の点から0.5〜2.0時間が好ましい。

0021

増ちょう剤の平均粒子径は、例えば、10μm以下、好ましくは、5μm〜8μmであってよい。増ちょう剤の平均粒子径は、例えば、レーザ回折法、動的光散乱法画像イメージング法、重力沈降法等の公知の測定方法によって測定してもよい。
また、増ちょう剤の溶解性パラメータ(SP値)は、特に制限されないが、例えば、9.5(cal/cm3)1/2〜10.5(cal/cm3)1/2である。基油の溶解性パラメータと増ちょう剤の溶解性パラメータとの差は、好ましくは、1.3(cal/cm3)1/2〜1.7(cal/cm3)1/2である。

0022

有機系繊維は、セルロース繊維を含む。セルロース繊維は、例えば、木材の樹皮を原料として精製された木材パルプ繊維のことであり、短繊維および長繊維のいずれであってもよく、これらの両方がグリース組成物に含有されていてもよい。
短繊維は、広葉樹(L材)を原料として得られるものであり、例えば、ブナ科カバノキ科カエデ科、ヤナギ科フトモモ科ユーカリ由来のものが挙げられる。短繊維は、例えば、0.1mm〜2mmの長さを有している。また、短繊維の幅(繊維径)は、例えば、10μm〜30μmであってもよい。

0023

一方、長繊維は、針葉樹(N材)を原料として得られるものであり、例えば、モミ科、マツ科等由来のものが挙げられる。長繊維は、例えば、2mm〜5mmの長さを有している。また、長繊維の幅(繊維径)は、例えば、40μm〜60μmであってもよい。
また、セルロース繊維の配合量は、例えば、短繊維の場合には1〜5質量%であることが好ましく、長繊維の場合には3〜10質量%であることが好ましい。上記の範囲でセルロース繊維を配合することによって、軸受の回転トルクを良好に低減することができる。例えば、10mN・m以下に低減することができる。

0024

また、セルロース繊維の溶解性パラメータ(SP値)は、特に制限されないが、例えば、15(cal/cm3)1/2〜16(cal/cm3)1/2である。基油の溶解性パラメータとセルロース繊維の溶解性パラメータとの差は、好ましくは、6.5(cal/cm3)1/2〜7.5(cal/cm3)1/2である。
また、本発明のグリース組成物は、その他の添加剤として、例えば、極圧剤油性剤防錆剤酸化防止剤耐摩耗剤染料色相安定剤、増粘剤、構造安定剤、金属不活性剤粘度指数向上剤等を含有していてもよい。

0025

そして、本発明のグリース組成物を製造するには、例えば、まず基油、増ちょう剤およびセルロース繊維を混合して攪拌する。次に、当該混合物をロールミル等に通すことによってロール処理ロール掛け)する。以上の工程を経て、上記のグリース組成物を得ることができる。
この実施形態によれば、転がり軸受1に封入されたグリースGがセルロース繊維を含有することで、グリースGのチャンネリング性を向上させ、転がり軸受1の回転トルクを低減することができる。より具体的には、増ちょう剤よりも大きな有機系繊維(セルロース繊維)を含有しているので、シール部材7,8など、ボール5や保持器6の運動阻害しない場所に増ちょう剤を強固に留めることができる。その結果、グリースGのチャンネリング性を向上させることができる。

0026

また、有機系繊維であるため、熱とせん断が加わったときに、有機系繊維の隙間から適度に基油を軌道13,13に供給することができる。そのため、潤滑性を良好に維持することもできる。
また、有機系繊維は増ちょう剤粒子に比べて十分大きいため、ボール5と軌道13,13との間に流入することが少ない。そのため、ボール5が有機系繊維に乗り上がって上下動し、その振動によって軸受の音響値が増加することを抑制することができる。たとえボール5が有機系繊維に乗り上がっても、有機系繊維は軟らかいので、音響値が著しく増加することもない。以上の結果、上記グリースGを用いれば、転がり軸受1の静音性を確保することもできる。

0027

また、セルロース繊維は比較的融点が高く、十分な耐熱性を有しているので、添加によってグリースGの潤滑寿命が低下することを抑制することもできる。
なお、本発明は、上記の実施形態に制限されることなく、他の実施形態で実施することもできる。
例えば、上記の実施形態では、(複列玉軸受によって構成された転がり軸受1にグリース(G)が封入された例を説明したが、本発明のグリース組成物からなるグリースが封入される軸受は、転動体として玉以外のものが使用された針軸受ころ軸受等、他の転がり軸受であってもよい。

0028

また、本発明の転がり軸受は、自動車用途以外の用途にも好適である。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。

0029

次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって制限されるものではない。
1.ベースグリース選定
まず、実施例および比較例を行うにあたり、比較的低い回転トルクを発現できるグリースを選定した。具体的には、下記表1に示す配合割合で、基油および増ちょう剤を配合してロール処理することによって、試験用グリース組成物U1〜U4を調製した。

0030

0031

次に、得られた試験用グリース組成物のチキソトロピー性評価手法として、ヒステリシスループを基にした評価を行った。ヒステリシスループ測定は、せん断速度を0から9000s−1まで直線的に増加させると、シアシニングを伴う増速流動曲線が得られる。この高せん断速度でグリースの網目構造破壊されていくため、せん断応力は低下していく。さらに、せん断速度を0まで直線的に減少させると、減速流動曲線が得られる。これら増速流動曲線と減速流動曲線とによって囲まれた面積が、増ちょう剤を破壊するのに使われたエネルギーに相当するため、この「粘性低下エネルギー」を用いてグリースのチキソトロピー性を評価した。測定条件を下記表2に示す。

0032

0033

上記のチキソトロピー性の評価によって得られた各グリースU1〜U4の粘性低下エネルギーは、下記表3の通りとなった。

0034

0035

また、各グリースU1〜U4の軸受回転トルクを、下記表4の条件に従って測定した。

0036

0037

以上の測定によって得られた各グリースU1〜U4の粘性低下エネルギーと軸受回転トルクとの関係を図2に示す。
図2から、粘性低下エネルギーが大きいほど、すなわちチキソトロピー性が優れるグリースほど、回転トルクが低い傾向であることを確認できた。そこで、回転トルクが最も低いグリースU1を、下記実施例および比較例に使用するベースグリースとして選定した。
2.実施例1〜9および比較例1
<グリースの配合>
各実施例および各比較例について表5および表6に示す配合割合で、基油、増ちょう剤および添加剤(セルロース繊維)を配合してロール処理することによって、試験用グリース組成物を調製した。得られた試験用グリース組成物に対して、次に示す評価を行った。評価結果を表5、表6、図3および図4に示す。

0038

0039

0040

<評価>
(I)軸受回転トルク(mN・m)
上記表4の条件に従って、各実施例および各比較例の軸受回転トルクを測定した。
(II)シール部材へのグリース付着量(mg)
上記軸受回転トルクの測定後、測定に供した転がり軸受を分解し、そのシール部材に付着しているグリース組成物の重さを測定した。
(III)軸受音響振動加速度:VG)
軸受音響値は、軸受振動加速度によって評価した。具体的には、グリースを軸受(62022RU)に空間容積比で35%になるように封入した。そして、内輪を1800min−1で回転させたときの外輪のラジアル方向への振動加速度を、圧電式加速度センサーで測定した(測定時間1min)。
(IV)軸受寿命試験
下記表7の条件に従って、軸受寿命試験を行った。

0041

0042

(V)考察
表5、表6および図3から明らかなように、実施例1〜9では、回転トルクが5〜12mN・mの範囲にあり、回転トルクが14mN・mである比較例1に比べて低減されていた。とりわけ、短繊維(繊維A)が1〜5質量%の割合で配合された実施例1〜3、および長繊維(繊維B)が3〜10質量%の割合で配合された実施例7〜9において、より低い回転トルクを実現できた。

0043

また、表5、表6および図4から明らかなように、実施例1〜9では比較例1に比べて、グリースが、転がり軸受のボールや保持器の運動を阻害し難いシール部材の内壁に多く付着していた。つまり、実施例1〜9では、グリースのチャンネリング性が向上した結果、シール部材の内壁に相対的に多く付着していた。
また、表5および表6から、セルロース繊維の添加によって実施例1〜9の軸受音響の特性が比較例1に比べて若干低下したが、実用上問題となるレベルではないことが確認できた。

実施例

0044

さらに、軸受寿命試験については、代表例として実施例3のみ行ったが、表5に示すように、著しい潤滑寿命の低下は見受けられなかった。

0045

1…転がり軸受、G…グリース

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