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技術 画像形成装置

出願人 コニカミノルタ株式会社
発明者 木俣明則青木幹之切久保誠一玉田武司木村拓
出願日 2016年4月28日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2016-091293
公開日 2017年11月2日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2017-198920
状態 特許登録済
技術分野 電子写真における定着 電子写真における制御・管理・保安
主要キーワード 非接触型温度センサー 摂氏数百度 PCユニット 点滅期間 稼働モード プリント期間 印加対象 算定値
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (12)

課題

ハロゲンヒーターハロゲンサイクルを維持させたまま、外部の電源系統に過大なノイズを与えることなく、伝熱部材に与える熱量を安定化させることが可能な画像形成装置を提供する。

解決手段

第1ハロゲンヒーター(331)よりも第2ハロゲンヒーター(332)は定格電力が低い。PWM制御部(30C)は伝熱部材(31)の実温度を監視し、実温度と目標温度との間の差に応じてパルス電圧印加対象を選択し、その差の経時変化に合わせてパルス電圧のデューティ比を経時的に変更する。スイッチング変換部(30S)はその印加対象にそのデューティ比でパルス電圧を印加する。PWM制御部は第1ハロゲンヒーターを選択している場合、その発熱量がハロゲンサイクルを維持可能であるという条件を満たすデューティ比の下限を変更後のデューティ比が下回れば、パルス電圧の印加対象を第1ハロゲンヒーターから第2ハロゲンヒーターへ切り換える。

概要

背景

レーザープリンターファクシミリコピー機等、電子写真方式画像形成装置定着部を備えている。定着部は、加熱と加圧とでトナーシート溶着させることにより、トナー像をシートに定着させる。定着部は、シートに接触して熱を伝える部材と、この伝熱部材を加熱する部材とを含む。伝熱部材としては主に、ローラーベルト等の回転体が利用され、加熱部材としては主にハロゲンヒーターが利用される。

ハロゲンヒーターに対する制御としては、たとえば特許文献1に開示されたものが知られている。この制御は昇温制御温調制御とに大別される。「昇温制御」とは、ウォームアップ時またはリカバリー時においてヒーターに伝熱部材を連続的に昇温させる制御をいう。ハロゲンヒーターに対する昇温制御は、そのヒーターへの印加電圧を連続させてそのヒーターを連続点灯させる。これにより伝熱部材へ供給される熱量が最大値に維持されるので、伝熱部材の温度が目標値まで速やかに上昇する。「温調制御」とは、印刷時または待機時において伝熱部材の温度が目標値に維持されるようにヒーターの発熱量を調節する制御をいう。ハロゲンヒーターに対する温調制御は、そのヒーターへの印加電圧を一定周波数パルス列に変換することによりそのヒーターを高周波数で点滅させると共に、パルス幅変調(PWM)によりパルス電圧デューティ比微細に変化させる。これにより、ヒーターから伝熱部材へ供給される熱量が高精度に調節されるので、伝熱部材の温度が目標値付近に維持される。昇温制御と温調制御との切り換えにより、1本のハロゲンヒーターで伝熱部材の昇温と保温との両方が実現する。

近年の画像形成装置における、高速化、高機能化信頼性の向上、および省電力の進展に伴い、定着部には、シートに与える熱量の範囲を更に拡大し、かつ伝熱部材の温度を更に高精度に制御することが求められている。この要求に応える工夫の1つとしては、ハロゲンヒーターの複数化が挙げられる。
たとえば特許文献2には、この複数化による突入電流の抑制が開示されている。ハロゲンヒーターの定格電力が高いほど昇温は速い。しかし、定格電力の上昇は、ヒーターの通電開始時に生じる突入電流を増大させる。過大な突入電流には、外部の電源電圧を一時的に急落させる危険性がある。特許文献2に開示された画像形成装置は、抵抗値の異なる2本のヒーターを定着部に実装し、通電開始時にはそのうちの1本にのみ、電流を流す。これにより突入電流が抑えられる。その後、加熱ローラーの温度が所定値まで上昇した時点で両方のヒーターに並列に電流を流し、昇温を加速させる。

特許文献3には、異なるヒーターで定着ベルトの横方向における中央部と端部とを別々に加熱する技術が開示されている。ベルトの加熱範囲はシートのサイズに応じて最適化される。これによりヒーターの消費電力が削減される。
特許文献4に開示された画像形成装置は、定格電力の異なる2本のハロゲンヒーターを定着部に実装し、シートの搬送速度に応じてヒーター間での点灯時間の比率を変えることにより、シートに対する加熱量を最適化する。ハロゲンヒーターの複数化により加熱量の範囲が拡大し、かつ加熱量が精細に設定されるので、加熱効率が向上する。

概要

ハロゲンヒーターにハロゲンサイクルを維持させたまま、外部の電源系統に過大なノイズを与えることなく、伝熱部材に与える熱量を安定化させることが可能な画像形成装置を提供する。第1ハロゲンヒーター(331)よりも第2ハロゲンヒーター(332)は定格電力が低い。PWM制御部(30C)は伝熱部材(31)の実温度を監視し、実温度と目標温度との間の差に応じてパルス電圧の印加対象を選択し、その差の経時変化に合わせてパルス電圧のデューティ比を経時的に変更する。スイッチング変換部(30S)はその印加対象にそのデューティ比でパルス電圧を印加する。PWM制御部は第1ハロゲンヒーターを選択している場合、その発熱量がハロゲンサイクルを維持可能であるという条件を満たすデューティ比の下限を変更後のデューティ比が下回れば、パルス電圧の印加対象を第1ハロゲンヒーターから第2ハロゲンヒーターへ切り換える。

目的

本発明の目的は上記の課題を解決することであり、特に、ハロゲンヒーターにハロゲンサイクルを維持させたまま、外部の電源系統に過大なノイズを与えることなく、伝熱部材に与える熱量を更に少ない値に安定化させることのできる画像形成装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

シートトナー像を形成する作像部と、前記シートに前記トナー像を熱定着させる定着部と、を備えた画像形成装置であって、前記定着部は、前記シートに接触して熱を伝える伝熱部材と、前記伝熱部材を加熱する第1ハロゲンヒーターと、前記第1ハロゲンヒーターよりも定格電力が低く、前記伝熱部材を加熱する第2ハロゲンヒーターと、前記伝熱部材の実温度を監視し、当該実温度と目標温度との間の差に応じて、前記第1ハロゲンヒーターと前記第2ハロゲンヒーターとの一方または両方をパルス電圧印加対象として選択し、当該差の経時変化に合わせてパルス電圧のデューティ比を経時的に変更するパルス幅変調(PWM)制御部と、前記PWM制御部が選択したパルス電圧の印加対象にパルス電圧を、前記PWM制御部が変更したデューティ比で印加するスイッチング変換部と、を有し、前記PWM制御部は、前記第1ハロゲンヒーターをパルス電圧の印加対象として選択している場合において、前記第1ハロゲンヒーターの発熱量がハロゲンサイクルを維持可能であるという条件を満たすパルス電圧のデューティ比の下限を、変更後のデューティ比が下回るか否かを確認し、変更後のデューティ比が前記下限を下回れば、パルス電圧の印加対象を前記第1ハロゲンヒーターから前記第2ハロゲンヒーターへ切り換えることを特徴とする画像形成装置。

請求項2

前記PWM制御部は、変更後のデューティ比が前記下限を下回るか否かの確認を、前記作像部と前記定着部との待機期間中に行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

請求項3

前記PWM制御部は、前記第1ハロゲンヒーターをパルス電圧の印加対象として選択している場合において、前記スイッチング変換部が電流不連続モードで動作可能であるという条件を満たすパルス電圧のデューティ比の第1上限を、変更後のデューティ比が超えるか否かを確認し、変更後のデューティ比が前記第1上限を超えれば、前記第2ハロゲンヒーターをパルス電圧の印加対象に追加することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。

請求項4

前記PWM制御部は、変更後のデューティ比が前記第1上限を超えるか否かの確認を、前記作像部と前記定着部とのウォームアップ期間リカバリー期間、またはプリント期間の少なくともいずれかの期間中に行うことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。

請求項5

前記PWM制御部は、前記第2ハロゲンヒーターをパルス電圧の印加対象として選択している場合において、前記スイッチング変換部が電流不連続モードで動作可能であるという条件を満たすパルス電圧のデューティ比の第2上限を、変更後のデューティ比が超えるか否かを確認し、変更後のデューティ比が前記第2上限を超えれば、パルス電圧の印加対象を前記第2ハロゲンヒーターから前記第1ハロゲンヒーターへ切り換えることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の画像形成装置。

請求項6

前記PWM制御部は、変更後のデューティ比が前記第2上限を超えるか否かの確認を、前記作像部と前記定着部とのウォームアップ期間、リカバリー期間、またはプリント期間の少なくともいずれかの期間中に行うことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。

請求項7

前記スイッチング変換部は、前記PWM制御部が変更したデューティ比でパルス信号を生成する駆動回路と、前記パルス信号に応じてオンオフするスイッチング素子を含み、前記PWM制御部が変更したデューティ比でパルス電圧を出力する降圧チョッパと、前記降圧チョッパからのパルス電圧の出力先を、前記PWM制御部が選択したパルス電圧の印加対象へ切り換えるスイッチ部と、を有し、前記PWM制御部は、前記降圧チョッパのスイッチング素子をオフさせている間に、前記スイッチ部に前記降圧チョッパからのパルス電圧の出力先を切り換えさせることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の画像形成装置。

請求項8

前記スイッチ部は、前記PWM制御部からの信号に応じて前記降圧チョッパと前記第1ハロゲンヒーターとの間の接点開閉し、かつ前記降圧チョッパと前記第2ハロゲンヒーターとの間の接点を開閉する電磁リレーを含む請求項7に記載の画像形成装置。

技術分野

0001

本発明は電子写真方式画像形成装置に関し、特に、その定着部温度制御に関する。

背景技術

0002

レーザープリンターファクシミリコピー機等、電子写真方式の画像形成装置は定着部を備えている。定着部は、加熱と加圧とでトナーシート溶着させることにより、トナー像をシートに定着させる。定着部は、シートに接触して熱を伝える部材と、この伝熱部材を加熱する部材とを含む。伝熱部材としては主に、ローラーベルト等の回転体が利用され、加熱部材としては主にハロゲンヒーターが利用される。

0003

ハロゲンヒーターに対する制御としては、たとえば特許文献1に開示されたものが知られている。この制御は昇温制御温調制御とに大別される。「昇温制御」とは、ウォームアップ時またはリカバリー時においてヒーターに伝熱部材を連続的に昇温させる制御をいう。ハロゲンヒーターに対する昇温制御は、そのヒーターへの印加電圧を連続させてそのヒーターを連続点灯させる。これにより伝熱部材へ供給される熱量が最大値に維持されるので、伝熱部材の温度が目標値まで速やかに上昇する。「温調制御」とは、印刷時または待機時において伝熱部材の温度が目標値に維持されるようにヒーターの発熱量を調節する制御をいう。ハロゲンヒーターに対する温調制御は、そのヒーターへの印加電圧を一定周波数パルス列に変換することによりそのヒーターを高周波数で点滅させると共に、パルス幅変調(PWM)によりパルス電圧デューティ比微細に変化させる。これにより、ヒーターから伝熱部材へ供給される熱量が高精度に調節されるので、伝熱部材の温度が目標値付近に維持される。昇温制御と温調制御との切り換えにより、1本のハロゲンヒーターで伝熱部材の昇温と保温との両方が実現する。

0004

近年の画像形成装置における、高速化、高機能化信頼性の向上、および省電力の進展に伴い、定着部には、シートに与える熱量の範囲を更に拡大し、かつ伝熱部材の温度を更に高精度に制御することが求められている。この要求に応える工夫の1つとしては、ハロゲンヒーターの複数化が挙げられる。
たとえば特許文献2には、この複数化による突入電流の抑制が開示されている。ハロゲンヒーターの定格電力が高いほど昇温は速い。しかし、定格電力の上昇は、ヒーターの通電開始時に生じる突入電流を増大させる。過大な突入電流には、外部の電源電圧を一時的に急落させる危険性がある。特許文献2に開示された画像形成装置は、抵抗値の異なる2本のヒーターを定着部に実装し、通電開始時にはそのうちの1本にのみ、電流を流す。これにより突入電流が抑えられる。その後、加熱ローラーの温度が所定値まで上昇した時点で両方のヒーターに並列に電流を流し、昇温を加速させる。

0005

特許文献3には、異なるヒーターで定着ベルトの横方向における中央部と端部とを別々に加熱する技術が開示されている。ベルトの加熱範囲はシートのサイズに応じて最適化される。これによりヒーターの消費電力が削減される。
特許文献4に開示された画像形成装置は、定格電力の異なる2本のハロゲンヒーターを定着部に実装し、シートの搬送速度に応じてヒーター間での点灯時間の比率を変えることにより、シートに対する加熱量を最適化する。ハロゲンヒーターの複数化により加熱量の範囲が拡大し、かつ加熱量が精細に設定されるので、加熱効率が向上する。

先行技術

0006

特開2009−069371号公報
特開平5−324101号公報
特開2014−178370号公報
特開2012−181348号公報
特開2002−063981号公報

発明が解決しようとする課題

0007

ウォームアップ時間およびリカバリー時間の短縮には、ハロゲンヒーターの定格電力を高く設定して伝熱部材の昇温を高速化することが好ましい。一方、待機期間における消費電力の削減にはヒーターの発熱量を更に微細に変化させることが望ましい。これらを1本のヒーターで実現するには、温調制御におけるヒーターの発熱量の下限、すなわちパルス電圧のデューティ比の下限を更に低くしなければならない。しかし、デューティ比のこの低下に伴う発熱量の低下はヒーターの管壁温度を、ハロゲンサイクル持続可能な温度の下限、約250℃(以下、単に「管壁温度の下限」と呼ぶ。)以上に維持することを妨げるので、ヒーターの更なる長寿命化が困難である。

0008

待機期間において、ハロゲンヒーターの管壁温度を下限以上に維持したまま、そのヒーターが伝熱部材に与える熱量を低下させる工夫としては、たとえば特許文献1に開示された制御が知られている。この制御は、待機期間中、管壁温度を下限以上に維持することが可能なデューティ比でハロゲンヒーターを点滅させる期間と、そのヒーターへの通電を停止して連続的に消灯させる期間とを交互に設定する。点滅期間では管壁温度が下限以上に維持されるので、ハロゲンサイクルが持続する。一方、点滅期間の間に消灯期間が挟まれているので、両期間の時間長の比だけ伝熱部材への熱量が抑えられる。

0009

しかし、この制御では、点滅期間と消灯期間とが交互に到来することにより、ヒーターの電流量周期的に増減する。この増減は、商用電源等、外部の電源系統ノイズとして伝わり、その電源系統に接続された照明の含む蛍光灯フリッカを生じさせる危険性がある。さらに、消灯の度に伝熱部材の温度が大きく降下するので温度リップルが増大し、温調制御の高精度化、およびそれによる消費電力の更なる削減が困難である。

0010

本発明の目的は上記の課題を解決することであり、特に、ハロゲンヒーターにハロゲンサイクルを維持させたまま、外部の電源系統に過大なノイズを与えることなく、伝熱部材に与える熱量を更に少ない値に安定化させることのできる画像形成装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

本発明の1つの観点における画像形成装置は、シートにトナー像を形成する作像部と、そのシートにそのトナー像を熱定着させる定着部とを備える。定着部は、シートに接触して熱を伝える伝熱部材と、その伝熱部材を加熱する第1ハロゲンヒーターと、第1ハロゲンヒーターよりも定格電力が低く、伝熱部材を加熱する第2ハロゲンヒーターと、伝熱部材の実温度を監視し、その実温度と目標温度との間の差に応じて、第1ハロゲンヒーターと第2ハロゲンヒーターとの一方または両方をパルス電圧の印加対象として選択し、その差の経時変化に合わせてパルス電圧のデューティ比を経時的に変更するパルス幅変調(PWM)制御部と、PWM制御部が選択したパルス電圧の印加対象にパルス電圧を、PWM制御部が変更したデューティ比で印加するスイッチング変換部とを有する。PWM制御部は、第1ハロゲンヒーターをパルス電圧の印加対象として選択している場合において、第1ハロゲンヒーターの発熱量がハロゲンサイクルを維持可能であるという条件を満たすパルス電圧のデューティ比の下限を、変更後のデューティ比が下回るか否かを確認し、変更後のデューティ比が下限を下回れば、パルス電圧の印加対象を第1ハロゲンヒーターから第2ハロゲンヒーターへ切り換える。

0012

PWM制御部は、変更後のデューティ比が下限を下回るか否かの確認を、作像部と定着部との待機期間中に行ってもよい。
PWM制御部は、第1ハロゲンヒーターをパルス電圧の印加対象として選択している場合において、スイッチング変換部が電流不連続モードで動作可能であるという条件を満たすパルス電圧のデューティ比の第1上限を、変更後のデューティ比が超えるか否かを確認し、変更後のデューティ比が第1上限を超えれば、第2ハロゲンヒーターをパルス電圧の印加対象に追加してもよい。PWM制御部は、変更後のデューティ比が第1上限を超えるか否かの確認を、作像部と定着部とのウォームアップ期間、リカバリー期間、またはプリント期間の少なくともいずれかの期間中に行ってもよい。

0013

PWM制御部は、第2ハロゲンヒーターをパルス電圧の印加対象として選択している場合において、スイッチング変換部が電流不連続モードで動作可能であるという条件を満たすパルス電圧のデューティ比の第2上限を、変更後のデューティ比が超えるか否かを確認し、変更後のデューティ比が第2上限を超えれば、パルス電圧の印加対象を第2ハロゲンヒーターから第1ハロゲンヒーターへ切り換えてもよい。PWM制御部は、変更後のデューティ比が第2上限を超えるか否かの確認を、作像部と定着部とのウォームアップ期間、リカバリー期間、またはプリント期間の少なくともいずれかの期間中に行ってもよい。

0014

スイッチング変換部は、PWM制御部が変更したデューティ比でパルス信号を生成する駆動回路と、そのパルス信号に応じてオンオフするスイッチング素子を含み、PWM制御部が変更したデューティ比でパルス電圧を出力する降圧チョッパと、その降圧チョッパからのパルス電圧の出力先を、PWM制御部が選択したパルス電圧の印加対象へ切り換えるスイッチ部とを有してもよい。PWM制御部は、降圧チョッパのスイッチング素子をオフさせている間に、スイッチ部に降圧チョッパからのパルス電圧の出力先を切り換えさせてもよい。スイッチ部は、PWM制御部からの信号に応じて降圧チョッパと第1ハロゲンヒーターとの間の接点開閉し、かつ降圧チョッパと第2ハロゲンヒーターとの間の接点を開閉する電磁リレーを含んでもよい。

発明の効果

0015

本発明による画像形成装置ではPWM制御部が、第1ハロゲンヒーターをパルス電圧の印加対象として選択している場合において、第1ハロゲンヒーターの発熱量がハロゲンサイクルを維持可能であるという条件を満たすパルス電圧のデューティ比の下限を、変更後のデューティ比が下回るか否かを確認し、変更後のデューティ比が下回れば、パルス電圧の印加対象を第1ハロゲンヒーターから第2ハロゲンヒーターへ切り換える。こうして、この画像形成装置は、ハロゲンヒーターにハロゲンサイクルを維持させたまま、外部の電源系統に過大なノイズを与えることなく、伝熱部材に与える熱量を更に少ない値に安定化させることができる。

図面の簡単な説明

0016

(a)は、本発明の実施形態による画像形成装置の外観を示す斜視図である。(b)は、(a)の示す直線b−bに沿った画像形成装置の模式的な断面図である。
(a)は、図1の(b)が示す定着部の含むローラー対とそれらの駆動機構との模式的な斜視図である。(b)は、(a)が示す直線b−bに沿ったローラー対の断面図である。
(a)は、図2が示すハロゲンヒーターの側面図である。(b)は、(a)が示すガラス管の内部空間においてハロゲンガス分子タングステン原子との間に生じるハロゲンサイクルを表すそのガラス管の模式的断面図である。(c)は、そのガラス管の内壁温度とハロゲンヒーターの寿命との間の関係を示すグラフである。
図1の示す画像形成装置の電子制御系統の構成を示すブロック図である。
図4の示すスイッチング変換部の回路図である。
図5の示すスイッチング変換部の各部分における電流/電圧波形を示すグラフである。(a)は整流部の入力電圧VIの波形を示し、(b)は整流部の出力電圧VRの波形を示し、(c)は、スイッチング素子のゲートに対してIGBT駆動回路が印加するパルス信号VPの波形を示す。(d)は、降圧チョッパがハロゲンヒーターの少なくとも一方に接続されている場合における回生ダイオード両端間電圧VDの波形を示し、(e)は、同じ場合における降圧チョッパの出力電流IOの波形を示す。(f)は、スイッチング素子がオンする前後での、パルス信号VP、エミッタ電流IE、およびコレクタエミッタ間電圧VCEの波形を示すグラフである。
(a)は、図2の示すハロゲンヒーターの使用可能な出力電力範囲を示すグラフである。(b)は、図5の示すスイッチング変換部によるハロゲンヒーターに対する制御パターンを示す表である。
(a)は、図1の示す画像形成装置の起動時刻t0以降における、図2の示す加熱ローラーの温度の経時変化を示すグラフである。(b)は、その加熱ローラーの初期温度T0と、その温度に応じて図5の示すPWM制御部が選択する制御パターンとの間の対応表である。
図1の(b)が示す定着部による、図2の示す加熱ローラーの温度制御のフローチャートである。
図9が示すステップS103による温調制御のうち、待機モードにおける制御のフローチャートである。
図2の示すハロゲンヒーターに対するPWM制御のフローチャートである。

実施例

0017

以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[画像形成装置の外観]
図1の(a)は、本発明の実施形態による画像形成装置100の外観を示す斜視図である。この画像形成装置100は電子写真方式のカラープリンター、すなわちカラーレーザープリンターである。プリンター100の筐体の上面には排紙トレイ41が設けられ、その奥に開いた排紙口42から排紙されたシートを収容する。排紙トレイ41の前方には操作パネル51が取り付けられている。操作パネル51には、各種の機械的な押しボタンに加え、タッチパネル内蔵のディスプレイが配置されている。ディスプレイは、操作画面、各種情報入力画面等のグラフィックスユーザーインターフェースGUI画面を表示する。タッチパネルは、アイコン仮想ボタンメニュー、ツールバー等、GUI画面の含むガジェットを通してユーザー入力操作受け付ける。プリンター100の底部には給紙カセット11が引き出し可能に取り付けられ、その中にシートの束が収容される。「シート」とは、紙製もしくは樹脂製の薄膜状もしくは薄板状の材料、物品、または印刷物をいう。給紙カセット11に収容可能なシートの種類すなわち紙種は、普通紙、上質紙カラー用紙、または塗工紙であり、サイズは、A3、A4、A5、またはB4である。さらに、シートの姿勢縦置きと横置きとのいずれにも設定可能である。

0018

[画像形成装置の内部構造
図1の(b)は、図1の(a)の示す直線b−bに沿ったプリンター100の模式的な断面図である。この図が示すようにプリンター100は、給送部10、作像部20、定着部30、および排紙部40を含む。
給送部10は、給紙ローラー12を利用して、給紙カセット11からシートSH1を1枚ずつ作像部20へ給送する。

0019

作像部20はタンデム型であり、給送部10から送られたシートSH2にカラーまたはモノクロのトナー像を形成する。具体的には、4つの感光体(PC)ユニット20Y、20M、20C、20Kのそれぞれがまず感光体(PC)ドラム21Y、21M、21C、21Kの表面を帯電させ、その帯電部分露光部22からの光を当てる。これらの光は、画像データの示すイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の階調値分布に従って変調されているので、PCドラム21Y、…の各表面には各色の静電潜像が形成される。PCユニット20Y、…は次に静電潜像を、Y、M、C、Kのトナーで現像する。その後、4色のトナー像は1次転写ローラー23Y、23M、23C、23KとPCドラム21Y、…との間の電界により、PCドラム21Y、…の表面から順番中間転写ベルト24の表面上の同じ位置へ転写される。こうしてその位置に1つのカラートナー像が構成される。このカラートナー像はその後、中間転写ベルト24の駆動プーリー24Rと2次転写ローラー25との間のニップを通過する際、両者24R、25の間の電界により、同じニップへ同時に通紙されたシートSH2の表面へ転写される。このシートSH2は2次転写ローラー25から剥がされた後、定着部30へ送り出される。

0020

定着部30は、作像部20から送り出されたシートSH3の上にトナー像を熱定着させる。具体的には、加熱ローラー31と加圧ローラー32との間のニップへそのシートSH3が通紙されるとき、加熱ローラー31はそのシートSH3の表面へ内蔵のヒーターの熱を加え、加圧ローラー32はそのシートSH3の加熱部分に対して圧力を加えて加熱ローラー31へ押し付ける。加熱ローラー31からの熱と加圧ローラー32からの圧力とにより、トナーがそのシートSH3の表面上に溶着する。その後、加熱ローラー31と加圧ローラー32とはこのシートSH3を定着部30から送出する。

0021

排紙部40は、定着部30から送出されたシートSH3を排紙トレイ41へ搬送する。具体的には、そのシートSH3の先端が定着部30から排紙ローラー43の間のニップまで到達したとき、この先端を排紙ローラー43が排紙口42へ引き込む。これにより、そのシートSH3は先端から順に排紙口42を通過し、排紙トレイ41に積載される。
[定着部の構造]
図2の(a)は、定着部30の含むローラー対31、32とそれらの駆動機構との模式的な斜視図であり、(b)は、(a)が示す直線b−bに沿ったローラー対31、32の断面図である。これらの図が示すように定着部30は、加熱ローラー31、加圧ローラー32、2本のハロゲンヒーター331、332、温度センサー35、モーター36、およびトルク伝達機構37を含む。

0022

加熱ローラー31と加圧ローラー32とは回転軸が互いに平行に配置され、外周面が互いに接触している。この接触部すなわちニップに、作像部20から送り出されたシートSH2が挟み込まれる。
加熱ローラー31は、芯金311、弾性体層312、および離型層313を含む。芯金311はたとえば直径数十mmの円筒部材であり、主に、アルミ、鉄等の金属から成る。弾性体層312は、芯金311の外側を覆う、主にシリコーンゴム等、高弾性耐熱性樹脂から成る層であり、その厚さはたとえば1mm未満である。離型層313は、弾性体層312の外側を覆うフッ素樹脂等の薄膜であり、加熱ローラー31の外周面を形成している。離型層313は、加熱ローラー31による加熱で溶融したトナーがシートSH2の表面から加熱ローラー31の外周面へ転移する現象オフセット現象)を防止する。

0023

加圧ローラー32は、芯金321、弾性体層322、および離型層323を含む。芯金321はたとえば直径数十mmの円筒部材であり、主に、アルミ、鉄等の金属から成る。弾性体層322は、芯金321の外側を覆う主にシリコーンゴム等、高弾性の耐熱性樹脂から成る層である。この層の厚さはたとえば数mmであり、加熱ローラー31の弾性体層312の厚さよりも大きい。離型層323は、弾性体層322の外側を覆うフッ素樹脂等の薄膜であり、加圧ローラー32の外周面を形成している。加圧ローラー32は、図2には示されていないバネまたは電磁石等の付勢部材から加熱ローラー31に向かう力を受けている。これにより加圧ローラー32はニップに位置する部分が加熱ローラー31へ押し付けられるので、図2の(b)が示すとおり、その部分が窪むように変形する。加圧ローラー32のこの圧力と変形とにより、ニップに挟まれたシートSH2の部分には十分な熱量が加熱ローラー31から伝わるので、その部分に付着したトナーが、むらを残すことなくシートSH2の表面に定着する。

0024

2本のハロゲンヒーター331、332は加熱ローラー31の芯金311の内部空間に設置されている。各ヒーター331、332は細い棒状のハロゲンランプであり、芯金311の内部空間を長手方向に伸び発光に伴う熱放射で芯金311の全体を内側から加熱する。この熱が加熱ローラー31の弾性体層312と離型層313とを通してその外周面に伝わるので、その温度がたとえば摂氏百数十度〜数百度の範囲に維持される。この高温により、シートSH2の表面に付着したトナーが溶融する。

0025

温度センサー35は、サーモパイルを利用した非接触型温度センサーである。サーモパイルは、測定対象の表面から放射される熱を黒色受光面で吸収し、その吸収に伴う受光面の温度上昇を多数の熱電対直列接続で検出する。温度センサー35は所定の距離を隔てて加熱ローラー31の外周面に対向し、その面からの熱放射に伴うサーモパイルの出力から加熱ローラー31の表面温度(以下、「加熱ローラー31の温度」と略す。)を計測する。計測値はハロゲンヒーター331、332の発熱量の制御に利用される。

0026

モーター36はたとえば直流ブラシレスBLDC)モーターであり、そのシャフトがトルク伝達機構37の一端に接続されている。この伝達機構37の他端は加熱ローラー31の芯金311の一端に接続されている。伝達機構37はたとえば複数のギアを含む。ギアはモーター36のシャフトの回転数に対して加熱ローラー31の回転数を所定の割合に維持する。モーター36は伝達機構37を通してトルクを加熱ローラー31へ伝え、それを駆動ローラーとして回転させる。さらに、この回転に伴いニップに生じる摩擦力が、加圧ローラー32を従動ローラーとして回転させる。

0027

[ハロゲンヒーター]
−構造−
図3の(a)は、第1ハロゲンヒーター331の側面図である。この図が示す構造は、第2ハロゲンヒーター332についても同様である。この図が示すように、第1ハロゲンヒーター331は、ガラス管33A、フィラメント33B、封入ガス33C、封止部33D、および口金33Eを含む。ガラス管33Aはたとえば石英ガラス製の細長円管であり、ヒーター331の放射する高熱に伴う摂氏数百度の高温に耐えうる。フィラメント33Bはたとえばコイル状のタングステン線であり、ガラス管33Aの内部空間を長手方向に伸びている。封入ガス33Cは不活性ガスと微量のハロゲンガスとの混合ガスである。たとえば不活性ガスは、窒素アルゴン、またはクリプトンであり、ハロゲンガスは、ヨウ素、臭素塩素、またはそれらの化合物である。ハロゲンガスは、フィラメント33Bから蒸発により気化したタングステン原子と循環型連鎖反応(ハロゲンサイクル)を繰り返すことにより、それらのタングステン原子をフィラメント33Bへ戻す。ハロゲンサイクルの存在がハロゲンランプのフィラメントを白熱電球のものよりも長寿命化する。封止部33Dは、ガラス管33Aの長手方向の各端部であり、気密に封じられている。封止部33Dにはモリブデン箔33Fが埋め込まれ、その一端がガラス管33Aの内部空間に露出してフィラメント33Bに接続されている。モリブデン箔33Fの他端は封止部33Dの中で口金33Eと導通している。口金33Eはたとえばセラミックまたは耐熱性の高い金属で形成され、ガラス管33Aの両端を固定すると共に、モリブデン箔33Fを通してフィラメント33Bを外部電源に導通させる。

0028

−ハロゲンサイクル−
図3の(b)は、ガラス管33Aの内部空間においてハロゲンガス分子とタングステン原子との間に生じるハロゲンサイクルを表すガラス管33Aの模式的断面図である。この図が示すように、ヒーター331の通電中、摂氏数千度のフィラメント33Bと、外気で摂氏数百度に冷却されるガラス管33Aとの間に挟まれていることにより、ガラス管33Aの内部空間はフィラメント33B近傍の高温域HTRとガラス管33Aの内壁近傍低温域LTRとに分けられる。高温域HTRでは、ハロゲン分子Xに加え、フィラメント33Bから気化したタングステン原子Wが飛び交っている。タングステン原子Wは、拡散により高温域HTRから低温域LTRまで移動すると周囲のガスに冷却されて2個のハロゲン分子Xと結合し、タングステンハライド分子WX2を形成する。タングステンハライドは揮発性であるので、ガラス管33Aの内壁が十分に高温であれば、タングステンハライド分子WX2はその内壁に付着することなく低温域LTRを浮遊し続ける。タングステンハライド分子WX2は封入ガス33Cの対流に伴い、低温域LTRから高温域HTRへ移動すると周囲のガスまたはフィラメント33Bから加熱されてタングステン原子Wとハロゲン分子Xとに解離する。解離後のタングステン原子Wはフィラメント33Bに沈着する。

0029

このように、ハロゲンサイクルは、フィラメント33Bから気化したタングステン原子を再びフィラメント33Bへ戻すように作用する。この作用により、フィラメント33Bは、タングステンの蒸発にかかわらず細くなりにくいので、断線に対する耐性が高い。ハロゲンサイクルはまた、気化したタングステン原子がガラス管33Aの内壁へ付着することを防ぐように作用する。この作用により、付着したタングステン原子の固化に伴ってガラス管33Aの内壁が黒く変色する現象(黒化)が起こりにくいので、ガラス管33Aの透過率が長期間高く維持される。したがって、ハロゲンサイクルによるこれらの作用の持続時間が長いほど、ハロゲンヒーター33の寿命は長い。

0030

図3の(c)は、ガラス管33Aの内壁温度とハロゲンヒーター331の寿命との間の関係を示すグラフである。このグラフの縦軸はヒーター331の寿命の最長値に対する相対値を表す。このグラフが示すとおり、ガラス管33Aの内壁温度が約250℃未満にしか保たれていないと、ヒーター331の寿命が著しく短縮する。これは、ガラス管33Aの内壁温度がタングステンハライド分子の気化には低すぎるのでタングステンハライド分子による内壁の黒化が進み、ハロゲンサイクルが持続不能に陥ることに起因する。したがって、ヒーター331の長寿命化には、ガラス管33Aの内壁温度を約250℃以上に維持し、ハロゲンサイクルを持続させることが重要である。

0031

[画像形成装置の電子制御系統]
図4は、プリンター100の電子制御系統の構成を示すブロック図である。この制御系統ではプリンター100の各要素10、20、30、40に加え、操作部50と主制御部60とがバス90を通して互いに通信可能に接続されている。
−駆動部−
プリンター100の各要素10、…、40は駆動部10D、20D、30D、40Dを含む。図4は示していないが各駆動部10D、…は、搬送ローラー12、21、24R、25、31、32、43、PCドラム21Y、…等の可動部材に対する、アクチュエーター制御回路、および駆動回路の組み合わせを含む。アクチュエーターはたとえばBLDCモーターである。制御回路は、マイクロプロセッサ(MPU/CPU)、特定用途向け集積回路ASIC)、またはプログラム可能集積回路FPGA)等の電子回路であり、アクチュエーターからフィードバックされる実際の制御量、たとえばモーターであれば回転速度に基づいてそのアクチュエーターに対する印加電圧の目標値を駆動回路に指示する。駆動回路はスイッチングコンバーターであり、電界効果トランジスタFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等のパワートランジスタをスイッチング素子として利用して、アクチュエーターに対して電圧を印加する。これらの制御回路と駆動回路とによるフィードバック制御を利用して、各駆動部10D、…はアクチュエーターの制御量を、主制御部60から指示された目標値に制御する。

0032

−操作部−
操作部50は、プリンター100に実装されたユーザーと外部の電子機器とに対するインタフェースの全体であり、ユーザーの操作または外部の電子機器との通信を通してジョブ処理の要求と印刷対象の画像データとを受け付け、それらを主制御部60へ伝える。図4が示すように操作部50は操作パネル51と外部インタフェース(I/F)52とを含む。操作パネル51は、図1の(a)が示すように、押しボタン、タッチパネル、およびディスプレイを含む。このディスプレイに操作パネル51はGUI画面を表示する。操作パネル51はまた、押しボタンの中からユーザーが押下したものを識別し、またはタッチパネルの中からユーザーが触れた位置を検出し、その識別または検出に関する情報を操作情報として主制御部60へ伝える。特に印刷ジョブの入力画面がディスプレイに表示されている場合、操作パネル51は、印刷対象のシートのサイズ、紙種、姿勢(縦置きと横置きとの別)、部数画質等、印刷に関する条件をユーザーから受け付けて、これらの条件を示す項目を操作情報に組み込む。外部I/F52はUSBポートまたはメモリカードスロットを含み、それらを通してUSBメモリーまたはハードディスクドライブ(HDD)等の外付け記憶装置から直に印刷対象の画像データを取り込む。外部I/F52は更に、外部のネットワークNTWに有線または無線で接続された通信ポートを含み、そのネットワークNTWを通して他の電子機器から印刷対象の画像データを受信する。

0033

−主制御部−
主制御部60は、プリンター100の内部に設置された1枚の印刷回路基板に実装された集積回路である。図4が示すように、主制御部60は、CPU61、RAM62、およびROM63を含む。CPU61はMPUで構成され、各種ファームウェアを実行する。RAM62は、DRAM、SRAM等の揮発性半導体メモリー装置であり、CPU61がファームウェアを実行する際の作業領域をCPU61に提供すると共に、操作部50が受け付けた印刷対象の画像データを保存する。ROM63は書き込み不可不揮発性記憶装置書き換え可能な不揮発性記憶装置との組み合わせで構成されている。前者はファームウェアを格納し、後者は、EEPROMフラッシュメモリーSSD等の半導体メモリー装置、またはHDDを含み、CPU61に環境変数等の保存領域を提供する。

0034

主制御部60は、CPU61が実行する各種ファームウェアに従い、他の要素10、20、…に対する制御主体としての多様な機能を実現する。たとえば、主制御部60は操作部50にGUI画面を表示させてユーザーの入力操作を受け付けさせる。また、操作部50からの操作情報に応じて主制御部60はプリンター100の動作モードを決定する。
プリンター100の動作モードにはたとえば、「稼働」、「待機(低電力)」、「スリープ」が含まれる。「稼働モード」は、プリンター100が印刷ジョブを処理する動作モードをいう。たとえば、給送部10は操作情報の示す枚数のシートを連続して給送し、作像部20はトナー像の形成とシートへの転写とを繰り返し、定着部30はシートへの加熱と加圧とを継続する。「待機モード」は、プリンター100がジョブを実行可能な状態で待機する動作モードをいう。具体的には、給送部10と作像部20とは停止し、定着部30は加熱ローラー31をハロゲンヒーター331、332で予熱して適正な温度に保つ。「スリープモード」とは、プリンター100が電力消費を必要最小限に抑える動作モードをいう。たとえば、給送部10と作像部20とに加えて定着部30も停止し、特にハロゲンヒーター331、332への電源供給遮断される。

0035

主制御部60は、プリンター100に生じた様々なイベント、たとえばジョブ処理の完了、停止ボタンまたは電源ボタン等の押下、タッチパネルによるジェスチャーの検出、ネットワークからのジョブ処理要求または停止命令の受信に応じてプリンター100の動作モードを切り換える。主制御部60は更に、この切り換えに必要な情報をプリンター100の各要素10、…へ提供する。たとえば稼働モードを指示する場合、主制御部60は、給送部10には、給送対象のシートの紙種と枚数、各搬送ローラー12、…の回転のタイミング、シートの搬送速度を指定し、作像部20には画像データと作像のタイミングとを提供し、定着部30には加熱ローラー31の目標温度またはハロゲンヒーター331、332の発熱量を指定する。

0036

−定着部−
定着部30の制御系統は、主制御部60とは別の印刷回路基板に実装された、MPU/CPU、ASIC、FPGA等の集積回路である。この制御系統は駆動部30Dに加え、パルス幅変調(PWM)制御部30Cとスイッチング変換部30Sとを含む。
PWM制御部30Cは、MPU/CPU、ASIC、FPGA等の電子回路であり、加熱ローラー31の実温度を監視し、その実温度と目標温度との間の差に応じて、第1ハロゲンヒーター331と第2ハロゲンヒーター332との一方または両方を、一定周波数(たとえば20kHz。以下、「PWM周波数」という。)のパルス電圧の印加対象として選択する。PWM制御部30Cは更に、加熱ローラー31の実温度と目標温度との間の差の経時変化に合わせてパルス電圧のデューティ比を経時的に変更する。具体的には、PWM制御部30Cは、温度センサー35からフィードバックされる加熱ローラー31の温度の計測値とその温度の目標値との間の差を求め、その差が狭まるようにパルス電圧のデューティ比を変更し、変更後のデューティ比をスイッチング変換部30Sへ通知する。

0037

スイッチング変換部30Sは、商用交流電源等、外部電源から交流電力を受け、それを直流電力に変換してハロゲンヒーター331、332に供給する。スイッチング変換部30Sは特に、FET、IGBT等のパワートランジスタをスイッチング素子として利用してPWM周波数のパルス電圧を、PWM制御部30Cが選択した印加対象へ出力する。スイッチング変換部30Sは更に、PWMによりパルス電圧のデューティ比を、PWM制御部30Cが変更した値に調節する。

0038

[スイッチング変換部]
回路構成
図5は、スイッチング変換部30Sの回路図である。この図が示すように、スイッチング変換部30Sは、整流部381、ノイズフィルター382、降圧チョッパ383、IGBT駆動回路384、およびスイッチ部385を含む。

0039

整流部381はたとえば全波整流回路であり、外部電源OPSから印加される交流電圧VIのうち、レベルが負の部分の極性反転させることにより、その交流電圧VIを直流電圧VRに変換する。
ノイズフィルター382はたとえばπ型の3端子LCフィルターであり、リアクトルL1と2個のコンデンサーC1、C2とを含む。リアクトルL1の一端は整流部381の第1出力端子1Aの一方に接続されている。各コンデンサーC1、C2はリアクトルL1の異なる端と整流部381の出力端子の他方との間に接続されている。ノイズフィルター382はローパスフィルターであり、主に降圧チョッパ383の発する高周波ノイズが外部電源OPSへ向かって伝搬するのを防ぐ。

0040

降圧チョッパ383は、スイッチング素子を繰り返しオンオフさせることにより、入力の直流電圧を、それよりも低い直流電圧に変換するスイッチングコンバーターであり、リアクトルL2、回生ダイオードD1、およびスイッチング素子SWを含む。リアクトルL2の一端はノイズフィルター382のリアクトルL1を通して整流部381の第1出力端子1Aに接続され、他端は各ハロゲンヒーター331、332の一端に接続されている。リアクトルL1のその一端にはまた、回生ダイオードD1のカソードが接続されている。回生ダイオードD1のアノードと整流部381の第2出力端子1Bとの間にはスイッチング素子SWが接続されている。スイッチング素子SWはたとえばIGBTであり、コレクタが回生ダイオードD1のアノードに接続され、エミッタが整流部381の第2出力端子1Bに接続されている。スイッチング素子SWは、そのゲートに対してIGBT駆動回路384が印加するパルス信号VPのレベルに応じてオンオフする。すなわち、エミッタ−コレクタ間を導通させ、または遮断する。

0041

IGBT駆動回路384は、デューティ比を示す通知信号NTFをPWM制御部30Cから受信し、そのデューティ比でPWM周波数(たとえば20kHz)のパルス信号VPを降圧チョッパ383のスイッチング素子SWのゲートに対して印加する。これに応じてスイッチング素子SWが、パルス信号VPのデューティ比と同じデューティ比でオンオフする。

0042

スイッチ部385は、たとえば4対の2連スイッチS1、S2、S3、S4を含む電磁リレーである。いずれのスイッチS1、…もPWM制御部30Cからの開閉信号SSWに応じてオンオフする。第1スイッチS1は、降圧チョッパ383のリアクトルL2の出力端子と第1ハロゲンヒーター331の一端との間、および回生ダイオードD1のアノードと第1ハロゲンヒーター331の他端との間を同時に開閉する。第2スイッチS1は、降圧チョッパ383のリアクトルL2の出力端子と第2ハロゲンヒーター332の一端との間、および回生ダイオードD1のアノードと第2ハロゲンヒーター332の他端との間を同時に開閉する。これら2対の2連スイッチS1、S2によりスイッチ部385は降圧チョッパ383による直流電圧VOの出力先を、PWM制御部30Cが選択した印加対象へ切り換える。第3スイッチS3は整流部381の出力端子1A、1Bと第1ハロゲンヒーター331の両端との間を同時に開閉し、第4スイッチS4は整流部381の出力端子1A、1Bと第2ハロゲンヒーター332の両端との間を同時に開閉する。第3スイッチS3をオンさせる場合、スイッチ部385は第1スイッチS1をオフさせ、第4スイッチS4をオンさせる場合、第2スイッチS2をオフさせる。これにより、第3スイッチS3と第4スイッチS4とは整流部381とハロゲンヒーター331、332との間に、降圧チョッパ383を迂回する導通経路を形成する。この経路を通して整流部381の出力電圧VRが直にハロゲンヒーター331、332に対して印加される。

0043

−電流/電圧の波形−
図6は、スイッチング変換部30Sの各部分における電流/電圧の波形を示すグラフである。(a)は整流部381の入力電圧VIの波形を示し、(b)は整流部381の出力電圧VRの波形を示し、(c)は、スイッチング素子SWのゲートに対してIGBT駆動回路384が印加するパルス信号VPの波形を示す。(d)は、降圧チョッパ383がハロゲンヒーター331、332の少なくとも一方に接続されている場合における回生ダイオードD1の両端間電圧VDの波形を示し、(e)は、同じ場合における降圧チョッパ383の出力電流IOの波形を示す。いずれのグラフも横軸は時間を表す。

0044

図6の(a)、(b)が示すように、整流部381の出力電圧VRの波形は、入力電圧VIの波形のうち負の部分を上下反転させた形状に等しい。図6の(c)が示すように、パルス信号VPは矩形状の2値信号であり、ハイレベルHLがスイッチング素子SWのオン期間を表し、ローレベルLLがオフ期間を表す。図6の(c)、(d)、(e)が示すように、パルス信号VPがハイレベルHLであるときは、回生ダイオードD1の両端間電圧VDは実質的に整流部381の出力電圧VRと等しく、降圧チョッパ383の出力電流IOが増大する。一方、パルス信号VPがローレベルLLであるときは、回生ダイオードD1の両端間電圧VDは実質的に“0”と等しく、降圧チョッパ383の出力電流IOが実質的に途絶える。これらは次の理由に因る。

0045

スイッチング素子SWのオン期間では、回生ダイオードD1のアノードが整流部381の第2出力端子1Bに導通する。一方、カソードが整流部381の第1出力端子1Aに接続されているので、回生ダイオードD1は逆バイアスによりオフする。こうして、回生ダイオードD1の両端間電圧VDが整流部381の出力端子1A、1B間の電圧VRと実質的に一致する。したがって、降圧チョッパ383のリアクトルL2とハロゲンヒーター331、332との直列接続に流れる電流IOが増大し、外部電源OPSからの電力が、リアクトルL2には磁気エネルギーとして蓄積され、ハロゲンヒーター331、332からは放射熱として放出される。

0046

スイッチング素子SWのオフ期間では、回生ダイオードD1のアノードが整流部381の第2出力端子1Bから電気的に分離される。一方、降圧チョッパ383のリアクトルL2では、オン期間中に蓄積された磁気エネルギーにより起電力が生じ、出力電流IOが維持される。この出力電流IOが回生ダイオードD1のアノードに流れ込むので回生ダイオードD1がオンする。その結果、回生ダイオードD1の両端間電圧VDが実質的に“0”まで降下する。

0047

さらに、オフ期間中にリアクトルL2が磁気エネルギーを使い果たし、出力電流IOが途絶えるように、リアクトルL2のインダクタンスとスイッチング素子SWのオンオフの周期、すなわちPWM周波数の逆数PWM周期)が設計されている。このように、スイッチング素子SWがオフするごとに出力電流IOが途絶える降圧チョッパ383の動作モードを「電流不連続モード」という。こうして、スイッチング素子SWのオフ期間では、出力電流IOが途絶える。したがって、ハロゲンヒーター331、332からの熱放射が止まる。

0048

スイッチング素子SWのオン期間中、降圧チョッパ383のリアクトルL2では磁気エネルギーの蓄積に伴い磁束が増える。このときの増加分Δφonは、整流部381からの入力電圧VRとハロゲンヒーター331、332への出力電圧VOとのオン期間中の変化を無視すれば、それらの間の差VR−VOにスイッチング素子SWのオン時間Tonを乗じた値で近似される:Δφon≒(VR−VO)Ton。一方、スイッチング素子SWのオフ期間では、降圧チョッパ383のリアクトルL2から磁気エネルギーが放出されるので磁束が減る。このときの減少分Δφoffは、出力電圧VOのオフ期間中の変化を無視すれば、その出力電圧VOにスイッチング素子SWのオフ時間Toffを乗じた値に等しい:Δφoff≒VO×Toff。降圧チョッパ383の動作が安定していれば、磁束の増加分Δφonと減少分Δφoffとは等しいはずである。その等式Δφon=Δφoff、すなわち(VR−VO)/VO=Toff/Tonから、入力電圧VRに対する出力電圧VOの比がスイッチング素子SWのオンオフのデューティ比DT=Ton/(Ton+Toff)により次式で表される:VO/VR=DT。特にデューティ比DTは“1”よりも小さいので、出力電圧VOは入力電圧VRよりも低い:VO<VR。

0049

−電流不連続モードの利点−
降圧チョッパ383は、上記のとおり、電流不連続モードで動作するように設計されている。これにより、スイッチング素子SWのオン期間では出力電流IOが維持されるのでハロゲンヒーター331、332から熱が放射され、オフ期間では出力電流IOが途絶えるのでハロゲンヒーター331、332からの熱放射が止まる。オフ期間に対するオン期間の時間長の割合、すなわちスイッチング素子SWのオンオフのデューティ比が高いほどハロゲンヒーター331、332の発熱量は多い。したがって、そのデューティ比が調節されることにより、ハロゲンヒーター331、332の発熱量が制御される。

0050

リアクトルL2のインダクタンスとPWM周波数とによっては、図6の(e)が破線で示すように、スイッチング素子SWのオフ期間中、出力電流IOを持続させる動作も可能である。降圧チョッパ383のこの動作モードを「電流連続モード」という。電流連続モードにおいてもスイッチング素子SWのオフ期間中では出力電流IOが減衰するので、スイッチング素子SWのオンオフのデューティ比の調節によりハロゲンヒーター331、332の発熱量が調節可能ではある。

0051

しかし、電流不連続モードでは電流連続モードとは異なり、オフ期間中に出力電流IOが途絶えるので、スイッチング素子SWのオンに伴うスイッチングノイズが実質上存在しない。これにより、スイッチングノイズが大幅に低減するので、電流不連続モードは電流連続モードよりも有利である。
「スイッチングノイズ」とは主に、スイッチング素子SWのオンオフに伴うサージ電流/電圧をいう。スイッチングノイズは十分に小さければノイズフィルター382で除去される。しかし、スイッチングノイズがノイズフィルター382で除去しきれないほど過大であり、外部電源OPSまで伝搬した場合、その電源OPSを通して外部機器誤動作を起こさせかねない。過大なスイッチングノイズはまた、スイッチング変換部30Sと外部電源OPSとの接続部を通して、搬送部10、作像部20等、プリンター100の他の要素の電源系統にまで侵入しうる。この場合、侵入先の動作が不安定化し、搬送不良、画質劣化等の不具合が生じる危険性もある。

0052

図6の(f)は、スイッチング素子SWがオンする前後での、パルス信号VP、エミッタ電流IE、およびコレクタ−エミッタ間電圧VCEの波形を示すグラフである。電流不連続モードでは、パルス信号VPが立ち上がる前にすでに出力電流IOが途絶えている。したがって、パルス信号VPが立ち上がった時点ではスイッチング素子SWのコレクタに流れ込む電流が存在しないので、エミッタ電流IEが流れ出さない。コレクタ−エミッタ間電圧VCEが実質的に“0”へ降下した後にようやくエミッタ電流IEは流れ始める。すなわち、図6の(f)が実線で示すように、エミッタ電流IEが流れる期間は、コレクタ−エミッタ間電圧VCEが“0”よりも大きい期間と重複しない。これに対し、電流連続モードではスイッチング素子SWのオフ期間中、出力電流IOがある程度の量を維持している。したがって、パルス信号VPの立ち上がりに応じてスイッチング素子SWのコレクタに出力電流IOの一部が流れ込むので、コレクタ−エミッタ間電圧VCEが実質的に“0”まで降下しないうちにエミッタ電流IEが急速に増大する。すなわち、図6の(f)が破線で示すように、エミッタ電流IEが流れる期間は、コレクタ−エミッタ間電圧VCEが“0”よりも大きい期間と重複する。この重複期間SWLではエミッタ電流IEとコレクタ−エミッタ間電圧VCEとの積が“0”ではないので、スイッチング素子SWに電力損失が生じている。この損失の一部がスイッチングノイズとして散逸する。このように、電流不連続モードではエミッタ電流IEとコレクタ−エミッタ間電圧VCEとの間に波形の重複がないので、スイッチング素子SWのオンに伴うスイッチングノイズが実質上存在しない。

0053

[ハロゲンヒーターに対する制御パターン]
上記のとおり、スイッチング素子SWのオンオフのデューティ比が調節されることにより、ハロゲンヒーター331、332の発熱量が制御される。したがって、スイッチング素子SWのオンオフのデューティ比が設定可能な範囲により、ハロゲンヒーター331、332の発熱量の使用可能な範囲が決まる。

0054

図7の(a)は、第1ハロゲンヒーター331と第2ハロゲンヒーター332とのそれぞれの使用可能な出力電力範囲を示すグラフである。各ヒーター331、332の出力電力は連続点灯時にはそのヒーターの定格電力に等しい。連続点灯は理論上、スイッチング素子SWのオンオフのデューティ比が100%である場合(すなわち「全点灯」)に相当するので、ヒーターの定格電力はその出力電力の最大値を表す。図7の(a)において、第1ハロゲンヒーター331の出力電力の最大値が1000Wであり、第2ハロゲンヒーター332の最大値が500Wであるのは、各ヒーター331、332の定格電力が1000W、500Wであることによる。

0055

スイッチング変換部30SがPWM制御により各ヒーター331、332を点滅させる場合、図7の(a)が示すように、スイッチング素子SWのオンオフのデューティ比に対して設定可能な範囲の上限は100%よりも低く、下限は0%よりも高い。
デューティ比の上限は、降圧チョッパ383が電流不連続モードで動作可能であるという条件で決まり、特に降圧チョッパ383のリアクトルL2のインダクタンスとPWM周期とに大きく影響される。図7の(a)の示すデューティ比の上限70%は、リアクトルL2のインダクタンス20μHとPWM周波数20kHzとから算定された許容上限の一例であり、特に制御の簡単化を目的として両ヒーター331、332に対して共通化されている。

0056

デューティ比の下限は、ハロゲンヒーター331、332の発熱量がハロゲンサイクルを維持可能であるか否か、すなわち、ヒーターからの熱がその管壁温度を下限250℃以上に維持可能であるか否かで決まる。図7の(a)の示すデューティ比の下限30%は許容下限の一例であり、特に制御の簡単化を目的として両ヒーター331、332に対して共通化されている。

0057

図7の(b)は、スイッチング変換部30Sによるハロゲンヒーター331、332に対する制御パターンTY1、TY2、…、TY6を示す表である。制御パターンTY1、…は、各ハロゲンヒーター331、332の状態が、全点灯、PWM制御による点滅、消灯のいずれに維持されるべきかを規定し、具体的には、スイッチ部385の含む4対の2連スイッチS1、…のオンオフの組み合わせで表現される。各制御パターンTY1、…における出力電力の範囲は図7の(a)に示されている。

0058

第1制御パターンTY1では、スイッチ部385が第1スイッチS1と第2スイッチS2とをオフさせ、第3スイッチS3と第4スイッチS4とをオンさせる。これにより、整流部381の出力電圧VRが降圧チョッパ383を迂回して直に両方のハロゲンヒーター331、332に対して印加されるので、いずれのハロゲンヒーター331、332も全点灯する。この場合の出力電力1500Wは両ヒーター331、332の定格電力の和1000W+500W=1500Wに等しい。

0059

第2制御パターンTY2では、スイッチ部385が第1スイッチS1と第4スイッチS4とをオフさせ、第2スイッチS2と第3スイッチS3とをオンさせる。これにより、第1ハロゲンヒーター331は全点灯する一方、第2ハロゲンヒーター332は、降圧チョッパ383からのPWM制御に従った断続的な出力により点滅する。この場合の出力電力の範囲1150W〜1350Wは、第1ハロゲンヒーター331の定格電力1000Wだけ第2ハロゲンヒーター332の出力電力の範囲150W〜350Wよりも高い。

0060

第3制御パターンTY3では、スイッチ部385が第1スイッチS1と第4スイッチS4とをオンさせ、第2スイッチS2と第3スイッチS3とをオフさせる。これにより、第1ハロゲンヒーター331は降圧チョッパ383からのPWM制御に従った断続的な出力により点滅する一方、第2ハロゲンヒーター332は全点灯する。この場合の出力電力の範囲800W〜1200Wは、第2ハロゲンヒーター332の定格電力500Wだけ第1ハロゲンヒーター331の出力電力の範囲300W〜700Wよりも高い。

0061

第4制御パターンTY4では、スイッチ部385が第1スイッチS1と第2スイッチS2とをオンさせ、第3スイッチS3と第4スイッチS4とをオフさせる。これにより、両方のハロゲンヒーター331、332が、降圧チョッパ383からのPWM制御に従った断続的な出力により点滅する。この場合の出力電力の範囲450W〜1050Wは、両ヒーター331、332の出力電力間での下限の和300W+150Wから上限の和700W+350Wまでの範囲に等しい。

0062

第5制御パターンTY5では、スイッチ部385が第1スイッチS1をオンさせ、残りのスイッチS2、S3、S4をオフさせる。これにより、第1ハロゲンヒーター331は降圧チョッパ383からのPWM制御に従った断続的な出力により点滅する一方、第2ハロゲンヒーター332は消灯する。この場合の出力電力の範囲300W〜700Wは第1ハロゲンヒーター331の出力電力の範囲に等しい。

0063

第6制御パターンTY6では、スイッチ部385が第2スイッチS2をオンさせ、残りのスイッチS1、S3、S4をオフさせる。これにより、第1ハロゲンヒーター331は消灯する一方、第2ハロゲンヒーター332は降圧チョッパ383からのPWM制御に従った断続的な出力により点滅する。この場合の出力電力の範囲150W〜350Wは第2ハロゲンヒーター331の出力電力の範囲に等しい。

0064

プリンター100のウォームアップ期間では昇温制御が行われるので、ハロゲンヒーター331、332に要求される発熱量は、少なくとも昇温制御の初期では最大である。プリント期間と待機期間とでは温調制御が行われる。この制御では加熱ローラー31から逃げる熱量が補われさえすればよいので、ハロゲンヒーター331、332に要求される発熱量は昇温制御よりも小さい。ただし、定着処理時に加熱ローラー31からシートSH2に奪われる熱量が補われる必要上、プリント期間は待機期間よりも、ハロゲンヒーター331、332に要求される発熱量は大きい。したがって、PWM制御部30Cは、たとえば図7の(a)が示すように、出力電力の範囲が(一部でも)1000W以上に属する制御パターンTY1、TY2、TY3、TY4の中からプリンター100のウォームアップ期間に利用するパターンを選択し、出力電力の範囲が500W以上1000W未満に属する制御パターンTY3、TY4、TY5の中からプリンター100のプリント期間に利用するパターンを選択し、出力電力の範囲が500W未満に属する制御パターンTY4、TY5、TY6の中からプリンター100の待機期間に利用するパターンを選択する。

0065

[加熱ローラーの温度制御]
図8の(a)は、プリンター100の起動時刻t0以降における加熱ローラー31の温度の経時変化を示すグラフである。プリンター100の起動に応じて定着部30は加熱ローラー31の温度制御を開始する。具体的には、プリンター100のウォームアップ期間WUPにおいてPWM制御部30Cが昇温制御を行う。PWM制御部30Cはまず加熱ローラー31の目標温度をプリント時の値Ttg、たとえば180℃に設定する。PWM制御部30Cは次に、この目標温度Ttgと温度センサー35の出力が起動時刻t0で示す加熱ローラー31の初期温度T0との間の差から、ハロゲンヒーター331、332に対する制御パターンを選択する。

0066

図8の(b)は、加熱ローラー31の初期温度T0と、その温度に応じてPWM制御部30Cが選択する制御パターンとの間の対応表である。たとえば初期温度T0が30℃未満である場合、目標温度Ttgとの差がたとえば150度以上と大きく開いているので、出力電力が最大である第1制御パターンTY1が選択される。初期温度T0を始め、加熱ローラー31の実際の温度が目標温度Ttgに近いほど、出力電力をより低く設定可能な制御パターンをPWM制御部30Cは選択する。図8の(b)が示す例では、初期温度T0が30℃〜100℃である場合、目標温度Ttgとの差が80度〜150度に狭まるので、出力電力が次に大きい第2制御パターンTY2が選択され、初期温度T0が100℃〜150℃である場合、目標温度Ttgとの差が30度〜80度に更に狭まるので第3制御パターンTY3が選択され、初期温度が150℃〜180℃=Ttgである場合、目標温度Ttgとの差が0〜30度まで縮むので第4制御パターンTY4が選択される。このような制御パターンの選択により、加熱ローラー31の実際の温度が目標温度Ttgに近いほど昇温速度が低く抑えられるので、加熱ローラー31の実際の温度が目標温度Ttgに到達した後も上昇し続けてその目標温度Ttgを大幅に上回る現象、すなわちオーバーシュートが防止される。こうして、ウォームアップ期間WUPが十分に短縮される。

0067

図8の(a)が示す例では、ウォームアップ期間WUPの終了時刻t1から直ちに、プリンター100がプリントを開始する。プリント期間PRTでは、加熱ローラー31と加圧ローラー32との間のニップにシートSH2が通紙される度に加熱ローラー31からシートSH2に多量の熱が奪われるので、加熱ローラー31の温度が大きく変動する。この変動、すなわち温度リップルRPLの過大化を防ぐには、加熱ローラー31の失った熱量が速やかに補われることが必要である。この熱量の補填が十分に可能であるように、PWM制御部30Cは、第3制御パターンTY3、第4制御パターンTY4、第5制御パターンTY5のうちの1つを選択する。

0068

ジョブ処理の終了時刻t2ではプリンター100が稼働モードから待機モードへ移行するので、これに応じてPWM制御部30Cが目標温度を、プリント期間PRTでの値Ttgよりも低い値Twt(たとえば150℃)に変更する。この変更により待機期間WTTの開始直後では加熱ローラー31の実際の温度と目標温度Twtとの間の差が比較的大きく開くので、PWM制御部30Cはまず第5制御パターンTY5を選択する。すなわち、第1ハロゲンヒーター331のみがPWM制御により点滅し、第2ハロゲンヒーター332は消灯する。第1ハロゲンヒーター331に対するPWM制御は第2ハロゲンヒーター332に対するものよりも設定可能な熱量が大きいので、加熱ローラー31の降温速度を過大にすることなく適正なレベルに抑えることが容易である。

0069

加熱ローラー31の温度と目標温度Twtとの間の差が狭まるにつれて、加熱ローラー31の温度変動を抑えるのに必要な熱量は減少するのでデューティ比は低下し、やがて許容下限30%を下回る。デューティ比が許容下限30%未満である状態が所定時間、たとえば10秒間維持される場合、PWM制御部30Cは、図7の(a)が矢印TR1で示すように、第5制御パターンTY5を第6制御パターンTY6に切り換える。すなわち、第1ハロゲンヒーター331は消灯し、第2ハロゲンヒーター332のみがPWM制御により点滅する。第2ハロゲンヒーター332に対するPWM制御は第1ハロゲンヒーター331に対するものよりも設定可能な熱量が小さいので、加熱ローラー31の温度に過大なリップルを与えることなくその温度を目標値Twtに高精度に安定化させる。さらに、制御パターンの切り換えによりデューティ比が下限30%以上に保たれるので、第1ハロゲンヒーター331に、その管壁温度が下限を下回っている状態で点灯し続ける状態を回避させ、その長寿命を維持させることができる。

0070

待機期間WTTにおいて、たとえば外気の入れ換えによりプリンター100の環境温度が大きく変動したことにより、加熱ローラー31の温度と目標温度Twtとの間の差が大きく開く場合がある。この場合、加熱ローラー31に与えられるべき熱量が増大するのでデューティ比が上昇し、その上限70%を超える可能性がある。デューティ比が上限70%を超えた状態が所定時間、たとえば10秒間維持される場合、PWM制御部30Cは、図7の(a)が矢印TR2で示すように、第6制御パターンTY6を第5制御パターンTY5に切り換える。すなわち、第1ハロゲンヒーター331のみがPWM制御により点滅し、第2ハロゲンヒーター332は消灯する。これにより、加熱ローラー31へ供給可能な熱量が増大するので、加熱ローラー31の温度を目標温度Twtまで速やかに戻すことが容易である。さらに、制御パターンの切り換えによりデューティ比が上限70%以下に保たれるので、降圧チョッパ383に電流不連続モードを維持させて、そのスイッチングノイズに起因する悪影響が外部電源OPSまたはプリンター100の他の要素に及ぶことを防ぐことができる。

0071

新たなジョブ処理の要求をプリンター100が受けた時刻t3ではプリンター100が待機モードから稼働モードへ移行する。これに応じてPWM制御部30Cは加熱ローラー31の目標温度を、待機期間WTTでの値Twtからプリント時の値Ttgに変更する。この変更によりリカバリー期間RCV開始時刻t3直後では加熱ローラー31の実際の温度と目標温度Ttgとの間の差が比較的大きく開くのでデューティ比が上昇する。デューティ比が上限70%を超えた後、たとえば10秒間が経過すれば、PWM制御部30Cは第6制御パターンTY6を第5制御パターンTY5へ切り換える。切り換えた時点でもなお、加熱ローラー31の実際の温度と目標温度Ttgとの間の差が十分に大きければ、デューティ比は上昇を続ける。デューティ比が再び上限70%に到達し、更にそれを超えた場合、その状態がたとえば10秒間持続すれば、PWM制御部30Cは、図7の(a)が矢印TR3で示すように、第5制御パターンTY5を第4制御パターンTY4へ切り換える。すなわち、第1ハロゲンヒーター331に加えて第2ハロゲンヒーター332もPWM制御により点滅する。このように、設定可能な熱量が順次増大するので、加熱ローラー31の昇温速度を過大にすることなく適正なレベルに抑えて、オーバーシュートを防ぐことが容易である。さらに、制御パターンの切り換えによりデューティ比が上限70%以下に保たれるので、降圧チョッパ383に電流不連続モードを維持させて、そのスイッチングノイズに起因する悪影響が外部電源OPSまたはプリンター100の他の要素に及ぶことを防ぐことができる。

0072

−温度制御のフローチャート−
図9は、定着部30による加熱ローラー31の温度制御のフローチャートである。この制御は、定着部30が主制御部60から稼働モードへの移行指示を受けたときに開始される。
ステップS101では、プリンター100が稼働モードへの移行に伴い、ウォームアップまたはリカバリーを行う。この期間WUP、RCVにおいてPWM制御部30Cは昇温制御を行う。具体的には、PWM制御部30Cはまず、加熱ローラー31の目標温度をプリント時の値Ttgに設定し、目標温度Ttgと温度センサー35の出力が示す加熱ローラー31の初期温度T0との間の差からハロゲンヒーター331、332に対する制御パターンを選択する。PWM制御部30Cは次に、選択した制御パターンに従ってパルス電圧の印加対象を選択する。すなわち、スイッチ部385の含む4対の2連スイッチS1、…のオンオフの組み合わせを選択する。この組み合わせをPWM制御部30Cはスイッチ部385に開閉信号SSWで指示する。第1制御パターンTY1を選択した場合、PWM制御部30Cはスイッチ部385に第1スイッチS1と第2スイッチS2とをオフさせ、第3スイッチS3と第4スイッチS4とをオンさせるので、いずれのハロゲンヒーター331、332も全点灯する。第1制御パターンTY1以外を選択した場合、PWM制御部30Cは続いて、温度センサー35の出力が示す加熱ローラー31の温度と目標温度Ttgとの間の差に基づいてパルス電圧のデューティ比を算定し、その算定値を通知信号NTFでスイッチング変換部30Sに指示する。これ以降、PWM制御部30Cは温度センサー35を通して加熱ローラー31の温度と目標温度Ttgとの間の差を監視し、その差に応じてデューティ比を更新し、更新後のデューティ比を通知信号NTFでスイッチング変換部30Sに指示する。その後、処理はステップS102へ進む。

0073

ステップS102では、加熱ローラー31の温度が目標温度Ttgに到達したか否かをPWM制御部30Cが確認する。到達していれば処理はステップS103へ進み、到達していなければ処理はステップS101を繰り返す。
ステップS103では、加熱ローラー31の温度が目標温度Ttgに到達しているのでPWM制御部30Cは昇温制御を温調制御に変更する。この際、PWM制御部30Cはプリンター100の動作モードを確認し、その動作モードに応じて加熱ローラー31の目標温度とハロゲンヒーター331、332に対する制御パターンとを選択する。たとえば、稼働モードではプリントが開始されるので、加熱ローラー31と加圧ローラー32との間のニップにシートSH2が通紙される度に加熱ローラー31からシートSH2に多量の熱が奪われる。したがって、その奪われた熱量を加熱ローラー31に補填することが可能な程度に発熱量の多い制御パターン、たとえば、第3制御パターンTY3、第4制御パターンTY4、または第5制御パターンTY5が選択される。一方、待機モードでは加熱ローラー31から熱が逃げにくいので、補填すべき熱量が比較的少ない。したがって、発熱量が比較的少ない制御パターン、たとえば第5制御パターンTY5または第6制御パターンTY6が選択される。温調制御では昇温制御と同様に、PWM制御部30Cは温度センサー35を通して加熱ローラー31の温度と目標温度Ttgとの間の差を監視し、その差に応じてデューティ比を更新し、更新後のデューティ比を通知信号NTFでスイッチング変換部30Sに指示する。その後、処理はステップS104へ進む。

0074

ステップS104では、スリープモードへの移行、プリンター100の電源オフ等、定着部30の停止を主制御部60から指示されたか否かをPWM制御部30Cが確認する。指示されていれば処理はステップS105へ進み、いなければ処理はステップS103を繰り返す。
ステップS105では、定着部30の停止を主制御部60から指示されているので、PWM制御部30Cはスイッチ部385にすべてのスイッチS1、…、S4をオフさせてハロゲンヒーター331、332を消灯させる。その後、処理は終了する。

0075

−待機モードにおける温調制御のフローチャート−
図10は、図9が示すステップS103による温調制御のうち、待機モードにおける制御のフローチャートである。
ステップS201では、プリンター100が待機モードであるか否かをPWM制御部30Cが確認する。待機モードであれば処理はステップS202へ進み、他のモードであれば処理は図9の示すメインルーチンへ戻る。

0076

ステップS202では、プリンター100が待機モードであるので、PWM制御部30Cはまず第5制御パターンTY5で温調制御を行う。すなわち、第1ハロゲンヒーター331のみをPWM制御により点滅させ、第2ハロゲンヒーター332は消灯させる。その後、処理はステップS203へ進む。
ステップS203では、変更後のデューティ比が許容下限30%を下回ったか否かをPWM制御部30Cが確認する。下回っていれば処理はステップS204へ進み、以上であれば処理はステップS201を繰り返す。

0077

ステップS204では、変更後のデューティ比が許容下限30%を下回っているので、その状態の持続時間が閾値10秒以上に達したか否かをPWM制御部30Cは確認する。閾値以上に達していれば処理はステップS205へ進み、未満であれば処理はステップS201を繰り返す。
ステップS205では、変更後のデューティ比が許容下限30%を下回った状態の持続時間が閾値以上に達しているので、プリンター100が待機モードであるか否かをPWM制御部30Cは確認する。待機モードであれば処理はステップS206へ進み、他のモードであれば処理は図9の示すメインルーチンへ戻る。

0078

ステップS206では、プリンター100が待機モードであるので温調制御が継続される。しかし、第5制御パターンTY5ではデューティ比が許容下限を下回るので、PWM制御部30Cは第5制御パターンTY5を、より発熱量の少ない第6制御パターンTY6に切り換える。すなわち、第1ハロゲンヒーター331に代えて第2ハロゲンヒーター332のみをPWM制御により点滅させ、第1ハロゲンヒーター331は消灯させる。その後、処理はステップS207へ進む。

0079

ステップS207では、変更後のデューティ比が許容上限70%を超えたか否かをPWM制御部30Cが確認する。超えていれば処理はステップS208へ進み、以下であれば処理はステップS205を繰り返す。
ステップS208では、変更後のデューティ比が許容上限70%を超えているので、その状態の持続時間が閾値10秒以上に達したか否かをPWM制御部30Cは確認する。閾値以上に達していれば処理はステップS201を繰り返し、未満であれば処理はステップS205を繰り返す。

0080

ステップS208に続くステップS201では、変更後のデューティ比が許容上限70%を超えた状態の持続時間が閾値以上に達しているので、プリンター100が待機モードであるか否かをPWM制御部30Cは確認する。待機モードであれば処理はステップS202へ進み、他のモードであれば処理は図9の示すメインルーチンへ戻る。
ステップS208に続くステップS202では、プリンター100が待機モードであるので温調制御が継続される。しかし、第6制御パターンTY6ではデューティ比が許容上限を超えるので、PWM制御部30Cは第6制御パターンTY6を、より発熱量の多い第5制御パターンTY5に切り換える。すなわち、第2ハロゲンヒーター332に代えて第1ハロゲンヒーター331のみをPWM制御により点滅させ、第2ハロゲンヒーター332は消灯させる。その後、処理はステップS203へ進む。

0081

−PWM制御のフローチャート−
図11は、各ハロゲンヒーター331、332に対するPWM制御のフローチャートである。この制御は、PWM制御部30Cが第1制御パターンTY1以外の制御パターンを選択した場合に開始され、他の制御パターンに切り換えられるまで繰り返される。
ステップS301では、温度センサー35が内蔵のサーモパイルの出力から加熱ローラー31の温度を計測し、その計測値をPWM制御部30Cにフィードバックする。その後、処理はステップS302へ進む。

0082

ステップS302では、PWM制御部30Cは、温度センサー35からフィードバックされる加熱ローラー31の温度の計測値を目標温度と比較し、両温度間の差に基づいてパルス電圧のデューティ比を算定する。その後、処理はステップS303へ進む。
ステップS303では、ステップS302での算定値をPWM制御部30Cは通知信号NTFでスイッチング変換部30SのIGBT駆動回路384へ通知する。この通知信号NTFに応じてIGBT駆動回路384は、その通知信号NTFからデューティ比を解読し、その比でパルス信号VPをスイッチング素子SWのゲートに対して印加する。その後、処理は図9の示すメインルーチンへ戻る。

0083

[実施形態の利点]
本発明の実施形態によるプリンター100では、上記のとおり、定着部30が定格電力の異なる2本のハロゲンヒーター331、332を用いて加熱ローラー31の温度を制御する。特に、待機モードにおける温調制御では、PWM制御部30Cはまず第5制御パターンTY5を選択し、定格電力の高い第1ハロゲンヒーター331のみをPWM制御により点滅させ、定格電力の低い第2ハロゲンヒーター332は消灯させる。このとき、パルス電圧のデューティ比の許容下限30%は、第1ハロゲンヒーター331の発熱量がハロゲンサイクルを維持可能であるという条件を満たすように実験またはシミュレーションで決定され、PWM制御部30Cの内蔵するメモリ素子に保存されている。加熱ローラー31の温度と目標温度Twtとの間の差が縮まるにつれて、PWM制御部30Cが算出するデューティ比は低下する。デューティ比が許容下限30%を下回った場合、PWM制御部30Cはパルス電圧の印加対象を第1ハロゲンヒーター331から第2ハロゲンヒーター332へ切り換える。第2ハロゲンヒーター332は第1ハロゲンヒーター331よりも定格電力が低いので、必要な発熱量が共通であっても、それに対応するパルス電圧のデューティ比が高い。したがって、デューティ比を許容下限以上に維持したまま、PWM制御を連続させることができる。こうして、プリンター100は、ハロゲンヒーター331、332にハロゲンサイクルを維持させたまま、外部の電源系統に過大なノイズを与えることなくPWM制御を連続させて、加熱ローラー31に与える熱量を更に少ない値に安定化させることができる。

0084

待機モードにおける温調制御中、加熱ローラー31の温度と目標温度Twtとの間の差が大きく開き、パルス電圧のデューティ比が許容上限70%を超えた場合、PWM制御部30Cはパルス電圧の印加対象を第2ハロゲンヒーター332から第1ハロゲンヒーター331へ切り換える。第1ハロゲンヒーター331は第2ハロゲンヒーター332よりも定格電力が高いので、同じ発熱量に対応するパルス電圧のデューティ比が低い。したがって、デューティ比を許容上限以下に維持したままPWM制御を連続させて、加熱ローラー31の温度を目標温度Twtまで速やかに戻すことが容易である。特に、降圧チョッパ383が電流不連続モードを維持するので、そのスイッチングノイズに起因する悪影響が外部電源OPSまたはプリンター100の他の要素には及ばない。

0085

[変形例]
(A)上記の実施形態による画像形成装置100はカラーレーザープリンターである。本発明の実施形態による画像形成装置はその他に、モノクロレーザープリンター、ファクシミリ、コピー機、複合機MFP)等、シート上のトナー像を熱定着させるもののいずれであってもよい。

0086

(B)図5の示すスイッチング変換部30Sは降圧チョッパ383を含む。スイッチング変換部30Sはその他に、昇圧チョッパ昇降圧チョッパ等、非絶縁型の他のスイッチングコンバーターを含んでもよい。また、図5の示すスイッチング素子SWはIGBTであるが、代わりにFET等、他方式のパワートランジスターが利用されてもよい。
(C)図7の(a)では、デューティ比の許容上限と許容下限とがいずれも、2本のハロゲンヒーター331、332の間で共通である。これは、スイッチ部385の構造の単純化等、温度制御の簡単化を目的とする設定に過ぎない。実際には、ハロゲンヒーターの発熱量がハロゲンサイクルを維持可能であるという条件、すなわち、ヒーターからの熱がその管壁温度を下限250℃以上に維持可能であるという条件を満たすデューティ比は、ガラス管の熱容量等、ハロゲンヒーターの熱的特性に応じて異なる。同様に、降圧チョッパ383が電流不連続モードで動作可能であるという条件を満たすデューティ比は、抵抗等、ハロゲンヒーターの電気的特性に応じて異なる。したがって、たとえば、異なるハロゲンヒーターに対するPWM制御が異なる降圧チョッパで実行されることにより、デューティ比の許容上限または許容下限がハロゲンヒーターごとに異なる値であってもよい。

0087

本発明は、電子写真方式の画像形成装置における定着部の温度制御に関する。本発明によるPWM制御部は上記のとおり、2本のハロゲンヒーターのうち定格電力の高い方について、その発熱量がハロゲンサイクルを維持可能であるという条件を満たすパルス電圧のデューティ比の下限を、変更したデューティ比が下回る場合、パルス電圧の印加対象を定格電力の低いハロゲンヒーターへ切り換える。このように、本発明は明らかに産業利用可能である。

0088

100プリンター
10給送部
20作像部
30定着部
40 排紙部
31加熱ローラー
32加圧ローラー
331 第1ハロゲンヒーター
332 第2ハロゲンヒーター
35温度センサー
30Sスイッチング変換部
381整流部
382ノイズフィルター
383降圧チョッパ
SWスイッチング素子
384IGBT駆動回路
VPパルス信号
385 スイッチ部
S1、S2、S3、S4 2連スイッチ
30CPWM制御部
SSW開閉信号
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  • 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の「 画像形成装置」が 公開されました。( 2021/03/18)

    【課題】画像パターンと像担持体の状態とに応じて転写電流を制御し、転写メモリーの発生を抑制しつつ転写画像の画質を確保可能な画像形成装置を提供する。【解決手段】画像形成装置は、像担持体と、帯電装置と、露光... 詳細

  • 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の「 画像形成装置」が 公開されました。( 2021/03/18)

    【課題】トナー帯電量と像担持体の状態とに応じて転写電流を制御し、転写メモリーの発生を抑制しつつ転写画像の画質を確保可能な画像形成装置を提供する。【解決手段】画像形成装置は、像担持体と、帯電装置と、露光... 詳細

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