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技術 無段変速機

出願人 ダイハツ工業株式会社
発明者 今井勝政
出願日 2016年4月27日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-088835
公開日 2017年11月2日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2017-198274
状態 特許登録済
技術分野 伝動装置(歯車、巻掛け、摩擦)の制御
主要キーワード スピードバンプ 回転径方向 アウトプット軸 インプット軸 上昇変化 リバースモード シフトレバ 信号出力ポート
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年11月2日)のものです。
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図面 (8)

課題

イナーシャトルクによるベルト滑りの発生を抑制できる、無段変速機を提供する。

解決手段

切替バルブ105がオンされている状態では、C1カットバルブ103の第1スプール111およびC2カットバルブ104のスプール131は、強制的に下位置に位置する。第1スプール111が下位置に位置する状態では、C1カットバルブ103のSL1入力ポート122およびSL2入力ポート123がそれぞれC1出力ポート126およびC2出力ポート127と連通する。また、スプール131が下位置に位置する状態では、C2カットバルブ104のSL1入力ポート142およびSL2入力ポート143がそれぞれSL1出力ポート147およびSL2出力ポート148と連通する。そのため、切替バルブ105がオンされている状態では、SL2ソレノイドバルブ102で調圧されたSL2圧をクラッチC2に供給することができる。

概要

背景

自動車などの車両では、駆動源からの動力変速機トランスミッション)のインプット軸に入力され、変速機で変速された動力がアウトプット軸からデファレンシャルギヤなどを介して駆動輪に伝達される。

車両に搭載される変速機として、無段変速機CVT:Continuously Variable Transmission)が知られている。ベルト式の無段変速機は、無段変速機の一例であり、入力側のプライマリプーリ出力側セカンダリプーリとに無端状のベルトが巻き掛けられた構成を有している。プライマリプーリおよびセカンダリプーリの各プーリは、固定シーブと、固定シーブにベルトを挟んで対向し、その対向方向(回転軸線方向)に移動可能な可動シーブとを備えている。各プーリにおける固定シーブと可動シーブとの間隔の変更により、各プーリに対するベルトの巻きかけ径を変更することができ、変速比プーリ比)を無段階で連続的に変更することができる。

車両の前進後進切り替えるため、無段変速機には、前後進切替機構としてのプラネタリギヤ遊星歯車機構)が備えられる。プラネタリギヤは、インプット軸とプライマリプーリを支持するプライマリ軸との間、または、セカンダリプーリを支持するセカンダリ軸とアウトプット軸との間に設けられる。

プラネタリギヤがセカンダリ軸とアウトプット軸との間に設けられた構成では、たとえば、セカンダリ軸とプラネタリギヤのサンギヤとが一体回転可能に連結され、アウトプット軸とプラネタリギヤのリングギヤとが一体回転可能に連結されている。プラネタリギヤのキャリアは、セカンダリ軸に対して相対回転可能に設けられている。車両の前進時には、キャリアが自由回転状態にされ、サンギヤとリングギヤとが直結される。これにより、セカンダリ軸に伝達される動力により、サンギヤおよびリングギヤが一体的に回転し、アウトプット軸がリングギヤと一体的に回転する。一方、車両の後進(後退)時には、サンギヤとリングギヤとの直結が解除され、キャリアが回転不能に固定される。これにより、サンギヤがセカンダリ軸と一体的に回転すると、リングギヤがサンギヤと逆方向に回転し、アウトプット軸がリングギヤと一体的に車両の前進時とは逆方向に回転する。

概要

イナーシャトルクによるベルト滑りの発生を抑制できる、無段変速機を提供する。切替バルブ105がオンされている状態では、C1カットバルブ103の第1スプール111およびC2カットバルブ104のスプール131は、強制的に下位置に位置する。第1スプール111が下位置に位置する状態では、C1カットバルブ103のSL1入力ポート122およびSL2入力ポート123がそれぞれC1出力ポート126およびC2出力ポート127と連通する。また、スプール131が下位置に位置する状態では、C2カットバルブ104のSL1入力ポート142およびSL2入力ポート143がそれぞれSL1出力ポート147およびSL2出力ポート148と連通する。そのため、切替バルブ105がオンされている状態では、SL2ソレノイドバルブ102で調圧されたSL2圧をクラッチC2に供給することができる。B

目的

本発明の目的は、イナーシャトルクによるベルト滑りの発生を抑制できる、無段変速機を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

エンジン動力が入力されるインプット軸から動力を出力するアウトプット軸に至る動力伝達経路上に、動力をプライマリプーリおよびセカンダリプーリプーリ比の変更によって無段階に変速するベルト式無段変速機構と、キャリア、前記セカンダリプーリと一体回転可能に設けられたサンギヤおよび前記アウトプット軸と一体回転可能に設けられたリングギヤを備える遊星歯車機構とが設けられ、前進レンジにおいて、前記キャリアが自由回転状態にされて、前記サンギヤと前記リングギヤとが直結され、後進レンジにおいて、前記サンギヤと前記リングギヤとの直結が解除されて、前記キャリアが回転不能に固定される無段変速機であって、前記サンギヤと前記リングギヤとを直結/分離するために係合解放される油圧式クラッチと、切替バルブを備え、前記切替バルブの開閉切り替えにより、前記クラッチに供給される油圧所定圧よりも高い油圧に保持される状態から前記クラッチに供給される油圧を前記所定圧よりも低い油圧に制限可能な状態に切り替わるように構成された油圧回路とを含む、無段変速機。

技術分野

0001

本発明は、ベルト式無段変速機に関する。

背景技術

0002

自動車などの車両では、駆動源からの動力変速機トランスミッション)のインプット軸に入力され、変速機で変速された動力がアウトプット軸からデファレンシャルギヤなどを介して駆動輪に伝達される。

0003

車両に搭載される変速機として、無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)が知られている。ベルト式の無段変速機は、無段変速機の一例であり、入力側のプライマリプーリ出力側セカンダリプーリとに無端状のベルトが巻き掛けられた構成を有している。プライマリプーリおよびセカンダリプーリの各プーリは、固定シーブと、固定シーブにベルトを挟んで対向し、その対向方向(回転軸線方向)に移動可能な可動シーブとを備えている。各プーリにおける固定シーブと可動シーブとの間隔の変更により、各プーリに対するベルトの巻きかけ径を変更することができ、変速比プーリ比)を無段階で連続的に変更することができる。

0004

車両の前進後進切り替えるため、無段変速機には、前後進切替機構としてのプラネタリギヤ遊星歯車機構)が備えられる。プラネタリギヤは、インプット軸とプライマリプーリを支持するプライマリ軸との間、または、セカンダリプーリを支持するセカンダリ軸とアウトプット軸との間に設けられる。

0005

プラネタリギヤがセカンダリ軸とアウトプット軸との間に設けられた構成では、たとえば、セカンダリ軸とプラネタリギヤのサンギヤとが一体回転可能に連結され、アウトプット軸とプラネタリギヤのリングギヤとが一体回転可能に連結されている。プラネタリギヤのキャリアは、セカンダリ軸に対して相対回転可能に設けられている。車両の前進時には、キャリアが自由回転状態にされ、サンギヤとリングギヤとが直結される。これにより、セカンダリ軸に伝達される動力により、サンギヤおよびリングギヤが一体的に回転し、アウトプット軸がリングギヤと一体的に回転する。一方、車両の後進(後退)時には、サンギヤとリングギヤとの直結が解除され、キャリアが回転不能に固定される。これにより、サンギヤがセカンダリ軸と一体的に回転すると、リングギヤがサンギヤと逆方向に回転し、アウトプット軸がリングギヤと一体的に車両の前進時とは逆方向に回転する。

先行技術

0006

特開2004−176890号公報

発明が解決しようとする課題

0007

車両がスピードバンプなどの突起物乗り越えたときに、車輪(駆動輪)が路面から浮き上がることにより、アウトプット軸の回転数が上昇した後、車輪が着地することにより、アウトプット軸の回転数が急減することがある。アウトプット軸の回転数が急減すると、イナーシャトルクがベルトに作用し、プーリとベルトとの間で滑りベルト滑り)が発生するおそれがある。

0008

プラネタリギヤがセカンダリ軸とアウトプット軸との間に設けられた構成では、サンギヤとリングギヤとを直結/分離するクラッチが滑れば、アウトプット軸に発生するイナーシャトルクがクラッチの滑りで吸収されるので、ベルト滑りの発生が回避される。しかしながら、アウトプット軸に伝達されるトルク変動によってクラッチが滑らないように、クラッチの伝達トルク容量が大きく設定されているので、車両が突起物を乗り越えても、クラッチは滑らない。

0009

本発明の目的は、イナーシャトルクによるベルト滑りの発生を抑制できる、無段変速機を提供することである。

課題を解決するための手段

0010

前記の目的を達成するため、本発明に係る無段変速機は、エンジンの動力が入力されるインプット軸から動力を出力するアウトプット軸に至る動力伝達経路上に、動力をプライマリプーリおよびセカンダリプーリのプーリ比の変更によって無段階に変速するベルト式の無段変速機構と、キャリア、セカンダリプーリと一体回転可能に設けられたサンギヤおよびアウトプット軸と一体回転可能に設けられたリングギヤを備える遊星歯車機構とが設けられ、前進レンジにおいて、キャリアが自由回転状態にされて、サンギヤとリングギヤとが直結され、後進レンジにおいて、サンギヤとリングギヤとの直結が解除されて、キャリアが回転不能に固定される無段変速機であって、サンギヤとリングギヤとを直結/分離するために係合解放される油圧式のクラッチと、切替バルブを備え、切替バルブの開閉の切り替えにより、クラッチに供給される油圧クラッチ圧)が所定圧よりも高い油圧に保持される状態からクラッチに供給される油圧を所定圧よりも低い油圧に制限可能な状態に切り替わるように構成された油圧回路とを含む。

0011

この構成によれば、切替バルブの開閉が切り替えられると、クラッチ圧が所定圧よりも高い油圧に保持される状態からクラッチ圧を所定圧よりも低い油圧に制限可能な状態に切り替わる。

0012

たとえば、切替バルブが閉じられている間は、クラッチ圧が所定圧よりも高い油圧に保持され、切替バルブが開かれると、クラッチ圧が所定圧よりも高い油圧に保持された状態からクラッチ圧を所定圧よりも低い油圧に制限可能な状態に切り替わる。

0013

そのため、無段変速機が搭載された車両の通常走行中は、切替バルブを閉じて、クラッチ圧を所定圧よりも高い油圧に保持することにより、クラッチが滑ることを抑制して、エンジンの動力をアウトプット軸に効率よく伝達することができる。そして、車両がスピードバンプなどの突起物を乗り越えたときに、切替バルブを閉から開に切り替えて、クラッチ圧を所定圧よりも低い油圧に下げることにより、クラッチを滑らせることができ、アウトプット軸に発生するイナーシャトルクをクラッチの滑りで吸収することができる。

0014

よって、切替バルブの開閉の切り替えを制御することにより、車両の通常走行中は、クラッチの滑りを抑制できながら、車両が突起物を乗り越えたときには、イナーシャトルクがベルトに作用することを抑制でき、ひいては、イナーシャトルクによるベルト滑りの発生を抑制することができる。

0015

切替バルブの開閉の切り替えを制御するため、無段変速機は、アウトプット軸に発生するイナーシャトルクを予測するイナーシャトルク予測手段と、イナーシャトルク予測手段によって予測されたイナーシャトルクが所定トルク値以上である場合に、切替バルブの開閉を切り替えるバルブ切替手段とを含む構成であってもよい。

0016

無段変速機は、インプット軸またはアウトプット軸の回転数変化率(回転数の時間変化率)を取得する回転数変化率取得手段をさらに含み、イナーシャトルク予測手段は、回転数変化率取得手段によって取得される回転数変化率からイナーシャトルクを予測してもよい。

0017

また、切替バルブの開閉の切り替えを制御するため、無段変速機は、インプット軸またはアウトプット軸の回転数変化率(回転数の時間変化率)を取得する回転数変化率取得手段と、回転数変化率取得手段によって取得される回転数変化率が所定変化率以上である場合に、切替バルブの開閉を切り替えるバルブ切替手段とを含む構成であってもよい。

発明の効果

0018

本発明によれば、車両の通常走行中は、クラッチの滑りを抑制できながら、車両が突起物を乗り越えたときには、イナーシャトルクがベルトに作用することを抑制でき、ひいては、イナーシャトルクによるベルト滑りの発生を抑制することができる。

図面の簡単な説明

0019

本発明の一実施形態に係る制御装置が搭載された車両の要部の構成を示す図である。
車両の駆動系統の構成を示すスケルトン図である。
動力分割式無段変速機に含まれる係合要素の状態を示す図である。
動力分割式無段変速機に含まれる遊星歯車機構のサンギヤ、キャリアおよびリングギヤの回転数(回転速度)の関係を示す共線図である。
動力分割式無段変速機の油圧回路の構成を示す回路図であり、ベルトモードが構成されている状態を示す。
動力分割式無段変速機の油圧回路の構成を示す回路図であり、ベルトモードが構成されるまでの過渡状態を示す。
動力分割式無段変速機に入力される入力トルクとクラッチの係合状態の保持に必要なクラッチ圧(必要クラッチ圧)およびクラッチに供給されるクラッチ圧との関係を示すグラフである。

実施例

0020

以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。

0021

<車両の要部構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る変速機ECU12が搭載された車両1の要部の構成を示す図である。

0022

車両1は、エンジン2を駆動源とする自動車である。

0023

エンジン2には、エンジン2の燃焼室への吸気量を調整するための電子スロットルバルブ燃料吸入空気噴射するインジェクタ燃料噴射装置)および燃焼室内に電気放電を生じさせる点火プラグなどが設けられている。また、エンジン2には、その始動のためのスタータ付随して設けられている。

0024

エンジン2の出力(エンジントルク)は、トルクコンバータ3および動力分割式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)4を介して、車両1の駆動輪(たとえば、左右の前輪)に伝達される。

0025

車両1には、CPUおよびメモリなどを含む構成の複数のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)が備えられている。複数のECUには、エンジンECU11および変速機ECU12が含まれる。各ECUは、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている。

0026

エンジンECU11には、アクセルセンサ13およびエンジン回転数センサ14などが接続されている。

0027

アクセルセンサ13は、運転者により操作されるアクセルペダル(図示せず)の操作量に応じた検出信号を出力する。エンジンECU11は、アクセルセンサ13から入力される信号に基づいて、アクセルペダルの最大操作量に対する操作量の割合、つまりアクセルペダルが踏み込まれていないときを0%とし、アクセルペダルが最大に踏み込まれたときを100%とする百分率であるアクセル開度演算する。

0028

エンジン回転数センサ14は、エンジン2の回転(クランクシャフトの回転)に同期したパルス信号を検出信号として出力する。エンジンECU11は、エンジン回転数センサ14から入力されるパルス信号の周波数をエンジン2の回転数(エンジン回転数)に換算する。

0029

エンジンECU11は、各種センサの検出信号から取得した情報および/または他のECUから入力される種々の情報などに基づいて、エンジン2の始動、停止および出力調整などのため、エンジン2に設けられた電子スロットルバルブ、インジェクタおよび点火プラグなどを制御する。

0030

変速機ECU12には、シフトポジションセンサ15およびタービン回転数センサ16などが接続されている。

0031

シフトポジションセンサ15は、シフトレバー(セレクトレバー)のポジションに応じた検出信号を出力する。シフトレバーのポジションとして、たとえば、Pポジション、Rポジション、NポジションおよびDポジションが設けられている。Pポジション、Rポジション、NポジションおよびDポジションは、それぞれシフトレンジPレンジ駐車レンジ)、Rレンジ(後進レンジ)、Nレンジ(中立レンジ)およびDレンジ(前進レンジ)に対応する。シフトレバーは、Pポジション、Rポジション、NポジションおよびDポジションの間でシフト操作することができ、そのシフト操作により、シフトレンジの切り替えを指示することができる。

0032

タービン回転数センサ16は、トルクコンバータ3のタービンランナ32(図2参照)の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力する。変速機ECU12は、タービン回転数センサ16から入力されるパルス信号の周波数をタービンランナ32の回転数であるタービン回転数に換算する。

0033

なお、後述のように、インプット軸41は、トルクコンバータ3のタービンランナ32に連結されているので、タービン回転数は、インプット軸41の回転数であるインプット軸回転数に一致する。

0034

変速機ECU12は、各種センサの検出信号から取得した情報および/または他のECUから入力される種々の情報に基づいて、たとえば、動力分割式無段変速機4の変速比(ユニット変速比)の変更のため、動力分割式無段変速機4の各部に油圧を供給するための油圧回路17に設けられている各種のバルブを制御する。

0035

<車両の駆動系統>
図2は、車両1の駆動系統の構成を示すスケルトン図である。

0036

エンジン2は、E/G出力軸21を備えている。E/G出力軸21は、エンジン2が発生する動力により回転される。

0037

トルクコンバータ3は、ポンプインペラ31、タービンランナ32およびロックアップクラッチ33を備えている。ポンプインペラ31には、E/G出力軸21が連結されており、ポンプインペラ31は、E/G出力軸21と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。タービンランナ32は、ポンプインペラ31と同一の回転軸線を中心に回転可能に設けられている。ロックアップクラッチ33は、ポンプインペラ31とタービンランナ32とを直結/分離するために設けられている。ロックアップクラッチ33が係合されると、ポンプインペラ31とタービンランナ32とが直結され、ロックアップクラッチ33が解放されると、ポンプインペラ31とタービンランナ32とが分離される。

0038

ロックアップクラッチ33が解放された状態において、E/G出力軸21が回転されると、ポンプインペラ31が回転する。ポンプインペラ31が回転すると、ポンプインペラ31からタービンランナ32に向かうオイルの流れが生じる。このオイルの流れがタービンランナ32で受けられて、タービンランナ32が回転する。このとき、トルクコンバータ3の増幅作用が生じ、タービンランナ32には、E/G出力軸21の動力(トルク)よりも大きな動力が発生する。

0039

ロックアップクラッチ33が係合された状態では、E/G出力軸21が回転されると、E/G出力軸21、ポンプインペラ31およびタービンランナ32が一体となって回転する。

0040

動力分割式無段変速機4は、トルクコンバータ3から入力される動力をデファレンシャルギヤ6に伝達する。動力分割式無段変速機4は、インプット軸41、アウトプット軸42、無段変速機構43、逆転ギヤ機構44、遊星歯車機構45、スプリットドライブギヤ46およびスプリットドリブンギヤ47を備えている。

0041

インプット軸41は、トルクコンバータ3のタービンランナ32に連結され、タービンランナ32と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。

0042

アウトプット軸42は、インプット軸41と平行に設けられている。アウトプット軸42には、出力ギヤ48が相対回転不能に支持されている。出力ギヤ48は、デファレンシャルギヤ6(デファレンシャルギヤ6の入力ギヤ)と噛合している。

0043

無段変速機構43は、公知のベルト式の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)と同様の構成を有している。具体的には、無段変速機構43は、プライマリ軸51と、プライマリ軸51と平行に設けられたセカンダリ軸52と、プライマリ軸51に相対回転不能に支持されたプライマリプーリ53と、セカンダリ軸52に相対回転不能に支持されたセカンダリプーリ54と、プライマリプーリ53とセカンダリプーリ54とに巻き掛けられたベルト55とを備えている。

0044

プライマリプーリ53は、プライマリ軸51に固定された固定シーブ61と、固定シーブ61にベルト55を挟んで対向配置され、プライマリ軸51にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持された可動シーブ(プライマリシーブ)62とを備えている。可動シーブ62に対して固定シーブ61と反対側には、プライマリ軸51に固定されたシリンダ63が設けられ、可動シーブ62とシリンダ63との間に、ピストン室油室)64が形成されている。

0045

セカンダリプーリ54は、セカンダリ軸52に固定された固定シーブ65と、固定シーブ65にベルト55を挟んで対向配置され、セカンダリ軸52にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持された可動シーブ(セカンダリシーブ)66とを備えている。可動シーブ66に対して固定シーブ65と反対側には、セカンダリ軸52に固定されたシリンダ67が設けられ、可動シーブ66とシリンダ67との間に、ピストン室(油室)68が形成されている。回転軸線方向において、固定シーブ65と可動シーブ66との位置関係は、プライマリプーリ53の固定シーブ61と可動シーブ62との位置関係と逆転している。

0046

無段変速機構43では、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54の各ピストン室64,68に供給される油圧が制御されて、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54の各溝幅が変更されることにより、プライマリプーリ53とセカンダリプーリ54とのプーリ比が連続的に無段階で変更される。

0047

具体的には、プーリ比が小さくされるときには、プライマリプーリ53のピストン室64に供給される油圧が上げられる。これにより、プライマリプーリ53の可動シーブ62が固定シーブ61側に移動し、固定シーブ61と可動シーブ62との間隔(溝幅)が小さくなる。これに伴い、プライマリプーリ53に対するベルト55の巻きかけ径が大きくなり、セカンダリプーリ54の固定シーブ65と可動シーブ66との間隔(溝幅)が大きくなる。その結果、プライマリプーリ53とセカンダリプーリ54とのプーリ比が小さくなる。

0048

プーリ比が大きくされるときには、プライマリプーリ53のピストン室64に供給される油圧が下げられる。これにより、ベルト55に対するセカンダリプーリ54の推力がベルト55に対するプライマリプーリ53の推力よりも大きくなり、セカンダリプーリ54の固定シーブ65と可動シーブ66との間隔が小さくなるとともに、固定シーブ61と可動シーブ62との間隔が大きくなる。その結果、プライマリプーリ53とセカンダリプーリ54とのプーリ比が大きくなる。

0049

一方、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54の推力は、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54とベルト55との間で滑りが生じない大きさを必要とする。そのため、インプット軸41に入力されるトルクの大きさに応じた推力が得られるよう、セカンダリプーリ54のピストン室68に供給される油圧が制御される。

0050

逆転ギヤ機構44は、インプット軸41に入力される動力を逆転かつ減速させてプライマリ軸51に伝達する構成である。具体的には、逆転ギヤ機構44は、インプット軸41に相対回転不能に支持されるインプット軸ギヤ71と、インプット軸ギヤ71よりも大径で歯数が多く、プライマリ軸51にスプライン嵌合により回転軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持されて、インプット軸ギヤ71と噛合するプライマリ軸ギヤ72とを含む。

0051

遊星歯車機構45は、サンギヤ81、キャリア82およびリングギヤ83を備えている。サンギヤ81は、セカンダリ軸52にスプライン嵌合により回転軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持されている。キャリア82は、アウトプット軸42に相対回転可能に外嵌されている。キャリア82は、複数個ピニオンギヤ84を回転可能に支持している。複数個のピニオンギヤ84は、円周上に配置され、サンギヤ81と噛合している。リングギヤ83は、複数個のピニオンギヤ84を一括して取り囲む円環状を有し、各ピニオンギヤ84にセカンダリ軸52の回転径方向の外側から噛合している。また、リングギヤ83には、アウトプット軸42が接続され、リングギヤ83は、アウトプット軸42と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。

0052

スプリットドライブギヤ46は、インプット軸41に相対回転可能に外嵌されている。

0053

スプリットドリブンギヤ47は、遊星歯車機構45のキャリア82と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。スプリットドリブンギヤ47は、スプリットドライブギヤ46よりも小径に形成され、スプリットドライブギヤ46よりも少ない歯数を有している。

0054

また、動力分割式無段変速機4は、クラッチC1,C2およびブレーキB1を備えている。

0055

クラッチC1は、インプット軸41とスプリットドライブギヤ46とを直結(一体回転可能に結合)する係合状態と、その直結を解除する解放状態とに切り替えられる。

0056

クラッチC2は、遊星歯車機構45のサンギヤ81とリングギヤ83とを直結(一体回転可能に結合)する係合状態と、その直結を解除する解放状態とに切り替えられる。

0057

ブレーキB1は、遊星歯車機構45のキャリア82を制動する係合状態と、キャリア82の回転を許容する解放状態とに切り替えられる。

0058

変速モード
図3は、車両1の前進時および後進時におけるクラッチC1,C2およびブレーキB1の状態を示す図である。図3において、「○」は、クラッチC1,C2およびブレーキB1が係合状態であることを示している。「×」は、クラッチC1,C2およびブレーキB1が解放状態であることを示している。図4は、遊星歯車機構45のサンギヤ81、キャリア82およびリングギヤ83の回転数(回転速度)の関係を示す共線図である。

0059

動力分割式無段変速機4は、Dレンジにおける変速モードとして、ベルトモードおよびスプリットモードを有している。

0060

ベルトモードでは、図3に示されるように、クラッチC1およびブレーキB1が解放され、クラッチC2が係合される。これにより、スプリットドライブギヤ46がインプット軸41から切り離され、遊星歯車機構45のキャリア82がフリー(自由回転状態)になり、遊星歯車機構45のサンギヤ81とリングギヤ83とが直結される。

0061

インプット軸41に入力される動力は、逆転ギヤ機構44により逆転かつ減速されて、無段変速機構43のプライマリ軸51に伝達され、プライマリ軸51およびプライマリプーリ53を回転させる。プライマリプーリ53の回転は、ベルト55を介して、セカンダリプーリ54に伝達され、セカンダリプーリ54およびセカンダリ軸52を回転させる。遊星歯車機構45のサンギヤ81とリングギヤ83とが直結されているので、セカンダリ軸52と一体となって、サンギヤ81、リングギヤ83およびアウトプット軸42が回転する。したがって、ベルトモードでは、図4に示されるように、動力分割式無段変速機4の変速比(ユニット変速比)が無段変速機構43による変速比であるベルト変速比、つまり無段変速機構43のプライマリプーリ53とセカンダリプーリ54とのプーリ比と一致する。

0062

スプリットモードでは、図3に示されるように、クラッチC1が係合され、クラッチC2およびブレーキB1が解放される。これにより、インプット軸41とスプリットドライブギヤ46とが直結され、遊星歯車機構45のキャリア82がフリーになり、遊星歯車機構45のサンギヤ81とリングギヤ83とが切り離される。

0063

インプット軸41に入力される動力は、逆転ギヤ機構44により逆転かつ減速されて、無段変速機構43のプライマリ軸51に伝達され、プライマリ軸51からプライマリプーリ53、ベルト55およびセカンダリプーリ54を介してセカンダリ軸52に伝達され、遊星歯車機構45のサンギヤ81に伝達される。一方、インプット軸41に入力される動力は、スプリットドライブギヤ46からスプリットドリブンギヤ47を介して遊星歯車機構45のキャリア82に増速されて伝達される。

0064

スプリットドライブギヤ46とスプリットドリブンギヤ47とのギヤ比は一定で不変(固定)であるので、スプリットモードでは、インプット軸41に入力される動力が一定であれば、遊星歯車機構45のキャリア82の回転が一定速度に保持される。そのため、プーリ比が上げられると、遊星歯車機構45のサンギヤ81の回転数が下がるので、図4破線で示されるように、遊星歯車機構45のリングギヤ83(アウトプット軸42)の回転数が上がる。その結果、スプリットモードでは、無段変速機構43のプーリ比が大きいほど、動力分割式無段変速機4のユニット変速比が小さくなる。

0065

ベルトモードおよびスプリットモードにおけるアウトプット軸42の回転は、出力ギヤ48を介して、デファレンシャルギヤ6に伝達される。これにより、車両1のドライブシャフト7,8が前進方向に回転する。

0066

Rレンジでは、リバースモードとなり、図3に示されるように、クラッチC1,C2が解放され、ブレーキB1が係合される。これにより、スプリットドライブギヤ46がインプット軸41から切り離され、遊星歯車機構45のサンギヤ81とリングギヤ83とが切り離され、遊星歯車機構45のキャリア82が制動される。

0067

インプット軸41に入力される動力は、逆転ギヤ機構44により逆転かつ減速されて、無段変速機構43のプライマリ軸51に伝達され、プライマリ軸51からプライマリプーリ53、ベルト55およびセカンダリプーリ54を介してセカンダリ軸52に伝達され、セカンダリ軸52と一体に、遊星歯車機構45のサンギヤ81を回転させる。遊星歯車機構45のキャリア82が制動されているので、サンギヤ81が回転すると、遊星歯車機構45のリングギヤ83がサンギヤ81と逆方向に回転する。このリングギヤ83の回転方向は、前進時(ベルトモードおよびスプリットモード)におけるリングギヤ83の回転方向と逆方向となる。そして、リングギヤ83と一体に、アウトプット軸42が回転する。アウトプット軸42の回転は、出力ギヤ48を介して、デファレンシャルギヤ6に伝達される。これにより、車両1のドライブシャフト7,8が後進方向に回転する。

0068

<油圧回路>
図5Aおよび図5Bは、動力分割式無段変速機4の油圧回路17の構成を示す回路図である。

0069

動力分割式無段変速機4の油圧回路17には、クラッチC1,C2にそれぞれ係合のための油圧を供給するための各種のバルブが含まれる。すなわち、油圧回路17には、SL1ソレノイドバルブ101、SL2ソレノイドバルブ102、C1カットバルブ103、C2カットバルブ104および切替バルブ105が含まれる。

0070

SL1ソレノイドバルブ101は、ノーマルクローズタイプのソレノイドバルブである。SL1ソレノイドバルブ101の入力ポートには、マニュアルバルブ(図示せず)からD圧が入力される。SL1ソレノイドバルブ101では、電磁コイルへの通電が制御されることにより、入力ポートに入力されるD圧が調圧され、その調圧された油圧であるSL1圧が出力ポートから出力される。

0071

マニュアルバルブは、シフトレバーのポジションに対応して油圧を出力するバルブである。シフトレバーがDポジションに位置する状態で、マニュアルバルブからクラッチモジュレータ圧がD圧として出力される。クラッチモジュレータ圧は、クラッチモジュレータバルブ(図示せず)から出力される油圧である。クラッチモジュレータバルブは、ライン圧が一定圧以下であるときには、そのライン圧と同圧のクラッチモジュレータ圧を出力し、ライン圧が当該一定圧よりも高いときには、当該ライン圧に減圧されたクラッチモジュレータ圧を出力する。

0072

SL2ソレノイドバルブ102は、ノーマルクローズタイプのソレノイドバルブである。SL2ソレノイドバルブ102の入力ポートには、マニュアルバルブからD圧が入力される。SL2ソレノイドバルブ102では、電磁コイルへの通電が制御されることにより、入力ポートに入力されるD圧が調圧され、その調圧された油圧であるSL2圧が出力ポートから出力される。

0073

C1カットバルブ103は、クラッチC1へのSL1圧の供給を許可禁止するためのバルブである。C1カットバルブ103は、第1スプール111および第2スプール112を備えている。第1スプール111および第2スプール112は、略円筒状周壁を有するスリーブ113内に収容され、スリーブ113の中心線方向に並べられて、それぞれ中心線方向に移動可能に設けられている。

0074

第1スプール111には、略円柱状のランド部114,115,116が中心線方向に間隔を空けて形成されている。第2スプール112は、略円柱状をなしている。第1スプール111のランド部114,115,116および第2スプール112は、同じ直径を有している。

0075

また、スリーブ113内には、第1スプール111側(上側)の端部に、第1スプール111を第2スプール112側(下側)に付勢するスプリング117が設けられている。

0076

スリーブ113の周壁には、D入力ポート121、SL1入力ポート122、SL2入力ポート123、信号ポート124,125、C1出力ポート126、C2出力ポート127、信号出力ポート128およびドレンポート129,130が形成されている。

0077

D入力ポート121は、図5Aに示されるように、第1スプール111が上位置に位置する状態で、ランド部115,116間と連通する。図5Bに示されるように、第1スプール111が下位置に位置する状態では、D入力ポート121は、ランド部115により閉鎖される。

0078

SL1入力ポート122は、図5Aに示されるように、第1スプール111が上位置に位置する状態で、ランド部115により閉鎖される。図5Bに示されるように、第1スプール111が下位置に位置する状態では、SL1入力ポート122は、ランド部114,115間と連通する。

0079

SL2入力ポート123は、図5Aに示されるように、第1スプール111が上位置に位置する状態で、ランド部116により閉鎖される。図5Bに示されるように、第1スプール111が下位置に位置する状態では、SL2入力ポート123は、ランド部115,116間と連通する。

0080

信号ポート124は、第1スプール111の位置にかかわらず、第1スプール111のランド部114とスリーブ113の上端との間に連通している。

0081

信号ポート125は、第1スプール111および第2スプール112の位置にかかわらず、第1スプール111のランド部116と第2スプール112との間に連通している。

0082

C1出力ポート126は、第1スプール111の位置にかかわらず、ランド部114,115間と連通している。また、図5Bに示されるように、第1スプール111が下位置に位置する状態では、C1出力ポート126は、ランド部114,115間を介して、SL1入力ポート122と連通する。

0083

C2出力ポート127は、第1スプール111の位置にかかわらず、ランド部115,116間と連通している。また、図5Aに示されるように、第1スプール111が上位置に位置する状態では、C2出力ポート127は、ランド部115,116間を介して、D入力ポート121と連通する。図5Bに示されるように、第1スプール111が下位置に位置する状態では、C2出力ポート127は、ランド部115,116間を介して、SL2入力ポート123と連通する。また、C2出力ポート127は、C1カットバルブ103の外部において、信号ポート125と連通している。

0084

信号出力ポート128は、第1スプール111の位置にかかわらず、ランド部114,115間と連通している。信号出力ポート128は、図5Aに示されるように、第1スプール111が上位置に位置する状態で、ランド部114,115間を介して、C1出力ポート126およびドレンポート129,130と連通する。図5Bに示されるように、第1スプール111が下位置に位置する状態では、信号出力ポート128は、SL1入力ポート122およびC1出力ポート126と連通する。

0085

ドレンポート129,130は、図5Aに示されるように、第1スプール111が上位置に位置する状態で、ランド部114,115間と連通し、図5Bに示されるように、第1スプール111が下位置に位置する状態で、ランド部114により閉鎖される。

0086

C2カットバルブ104は、クラッチC2へのC2圧の供給を許可/禁止するためのバルブである。C2カットバルブ104は、スプール131を備えている。スプール131は、略円筒状の周壁を有するスリーブ132内に収容され、スリーブ132の中心線方向に移動可能に設けられている。

0087

スプール131には、略円柱状のランド部133,134,135が中心線方向に間隔を空けて形成されている。ランド部133,134,135は、同じ直径を有している。

0088

また、スリーブ132内には、中心線方向の一端側(上側)の端部に、スプール131を他端側(下側)に付勢するスプリング136が設けられている。

0089

スリーブ132の周壁には、D入力ポート141、SL1入力ポート142、SL2入力ポート143、信号ポート144,145、D出力ポート146、SL1出力ポート147、SL2出力ポート148およびドレンポート149,150が形成されている。

0090

D入力ポート141は、スプール131が上位置に位置する状態で、ランド部133,134の間と連通する。スプール131が下位置に位置する状態では、D入力ポート141は、ランド部133により閉鎖される。

0091

SL1入力ポート142は、スプール131が上位置に位置する状態で、ランド部134により閉鎖される。スプール131が下位置に位置する状態では、SL1入力ポート142は、ランド部133,134間と連通する。また、SL1入力ポート142は、SL1ソレノイドバルブ101の出力ポートと連通し、SL1入力ポート142には、SL1ソレノイドバルブ101で調圧されたSL1圧が入力される。

0092

SL2入力ポート143は、スプール131が上位置に位置する状態で、ランド部135により閉鎖される。スプール131が下位置に位置する状態では、SL2入力ポート143は、ランド部134,135間と連通する。また、SL2入力ポート143は、SL2ソレノイドバルブ102の出力ポートと連通し、SL2入力ポート143には、SL2ソレノイドバルブ102で調圧されたSL2圧が入力される。

0093

信号ポート144は、スプール131の位置にかかわらず、スプール131のランド部133とスリーブ132の上端との間に連通している。

0094

信号ポート145は、スプール131の位置にかかわらず、スプール131のランド部135とスリーブ132の下端との間に連通している。

0095

D出力ポート146は、スプール131が上位置に位置する状態で、ランド部133,134の間と連通し、ランド部133,134の間を介して、D入力ポート141と連通する。スプール131が下位置に位置する状態では、D出力ポート146は、ランド部133により閉鎖される。また、D出力ポート146は、C1カットバルブ103のD入力ポート121と連通している。

0096

SL1出力ポート147は、スプール131の位置にかかわらず、ランド部133,134の間と連通している。SL1出力ポート147は、スプール131が上位置に位置する状態で、ランド部133,134の間を介して、D入力ポート141およびD出力ポート146と連通し、スプール131が下位置に位置する状態で、ランド部133,134の間を介して、SL1入力ポート142と連通する。また、SL1出力ポート147は、C1カットバルブ103のSL1入力ポート122と連通している。

0097

SL2出力ポート148は、スプール131の位置にかかわらず、ランド部134,135の間と連通している。SL2出力ポート148は、スプール131が上位置に位置する状態で、ランド部133,134の間を介して、ドレンポート149,150と連通し、スプール131が下位置に位置する状態で、ランド部133,134の間を介して、SL2入力ポート143と連通する。また、SL2出力ポート148は、C1カットバルブ103のSL2入力ポート123と連通している。

0098

ドレンポート149,150は、スプール131が上位置に位置する状態で、ランド部134,135間と連通し、スプール131が下位置に位置する状態では、ランド部134により閉鎖される。また、ドレンポート149は、C1カットバルブ103のドレンポート130と連通している。

0099

切替バルブ105は、ノーマルクローズタイプのソレノイドバルブである。切替バルブ105の入力ポートには、マニュアルバルブからD圧が入力される。切替バルブ105は、電磁コイルへの通電(オン)により開成し、電磁コイルへの通電の遮断オフ)により閉成する。切替バルブ105が開いた状態では、切替バルブ105の出力ポートからD圧が出力され、切替バルブ105が閉じられることにより、その出力ポートからのD圧の出力が停止される。切替バルブ105の出力ポートは、C1カットバルブ103の信号ポート124およびC2カットバルブ104の信号ポート144と連通している。

0100

回路動作
動力分割式無段変速機4では、シフトポジションがPポジションまたはRポジションからNポジションを経由してDポジションに切り替えられると、Dレンジのベルトモードが構成されるまでの変速過渡の期間、切替バルブ105がオンされて、油圧回路17の状態が図5Bに示される状態に保持される。また、ベルトモードとスプリットモードとが切り替えられる際には、変速過渡の期間、切替バルブ105がオンされて、油圧回路17の状態が図5Bに示される状態に保持される。

0101

すなわち、切替バルブ105がオンされることにより、切替バルブ105からC1カットバルブ103の信号ポート124およびC2カットバルブ104の信号ポート144にD圧が入力(供給)される。D圧の入力により、C1カットバルブ103の第1スプール111およびC2カットバルブ104のスプール131は、強制的に下位置に位置する。

0102

C1カットバルブ103の第1スプール111が下位置に位置する状態では、C1カットバルブ103のスリーブ113内において、SL1入力ポート122およびSL2入力ポート123がそれぞれC1出力ポート126およびC2出力ポート127と連通する。また、C2カットバルブ104のスプール131が下位置に位置する状態では、C2カットバルブ104のスリーブ132内において、SL1入力ポート142およびSL2入力ポート143がそれぞれSL1出力ポート147およびSL2出力ポート148と連通する。

0103

そのため、切替バルブ105がオンされている状態では、SL1ソレノイドバルブ101で調圧されたSL1圧をC2カットバルブ104およびC1カットバルブ103を介してクラッチC1に供給することができ、SL2ソレノイドバルブ102で調圧されたSL2圧をC2カットバルブ104およびC1カットバルブ103を介してクラッチC2に供給することができる。この状態において、SL1圧が0に調圧されて、クラッチC1が解放され、SL2圧が所定の係合保持圧に調圧されて、クラッチC2が係合されることにより、ベルトモードが構成される。係合保持圧は、たとえば、D圧の1/2に設定されている。C1カットバルブ103では、SL2圧が信号ポート125に入力されるが、切替バルブ105がオンされている間は、信号ポート124に係合保持圧よりも大きいD圧が入力されているので、第1スプール111が下位置に保持される。

0104

ベルトモードが構成されると、切替バルブ105がオフされる。切替バルブ105のオフにより、C1カットバルブ103の信号ポート124およびC2カットバルブ104の信号ポート144へのD圧の入力が停止する。そのため、C1カットバルブ103では、信号ポート125に入力される係合保持圧(SL2圧)により、第1スプール111が下位置から上位置に変位する。

0105

第1スプール111が上位置に位置する状態では、図5Aに示されるように、C1カットバルブ103のスリーブ113内において、D入力ポート121とC2出力ポート127とが連通する。一方、C2カットバルブ104のスプール131が下位置に位置しているので、D入力ポート121と連通するC2カットバルブ104のD出力ポート146がスプール131のランド部133により閉鎖されている。そのため、クラッチC2に供給される油圧(クラッチ圧)が係合保持圧に保持され、クラッチC2の係合状態が保持される。

0106

<クラッチ圧低減処理
図6は、動力分割式無段変速機4に入力される入力トルクとクラッチC1の係合状態の保持に必要なクラッチ圧(必要クラッチ圧)およびクラッチC1に供給されるクラッチ圧との関係を示すグラフである。

0107

クラッチC1の係合状態に必要な必要クラッチ圧は、図6二点鎖線で示されるように、動力分割式無段変速機4に入力されるエンジントルクに比例する。切替バルブ105が閉じられている時(オフされている時)にクラッチC1に供給されるクラッチ圧(切替バルブ閉時クラッチ圧)、つまり係合保持圧は、エンジントルクの大小にかかわらず、必要クラッチ圧を大きく上回る油圧に設定されている。そのため、クラッチC1に係合保持圧が供給されている状態では、車両1がスピードバンプなどの突起物を乗り越えることにより、アウトプット軸42にイナーシャトルクが発生し、動力分割式無段変速機4に入力されるエンジントルクにイナーシャトルクが加わっても、図6に破線で示されるように、係合保持圧がイナーシャトルクを考慮した必要クラッチ圧を上回る。それゆえ、クラッチC1の滑りは発生せず、イナーシャトルクの大きさによっては、無段変速機構43のプライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54とベルト55との間で滑り(ベルト滑り)が発生する。

0108

車両1が突起物を乗り越える際に、車両1の駆動輪が路面から浮き上がることにより、タービン回転数が上昇した場合、その後に駆動輪が路面に着地したときに、タービン回転数の上昇変化率に応じたイナーシャトルクがアウトプット軸42に発生する可能性がある。そこで、変速機ECU12では、ベルトモードでの車両1の走行中、一定周期で、タービン回転数の時間変化率である回転数変化率がタービン回転数を時間微分することにより算出され、その回転数変化率から、アウトプット軸42に発生し得るイナーシャトルクが推定される。そして、その推定されたイナーシャトルクが所定トルク値以上である場合、変速機ECU12により、切替バルブ105がオンにされて、切替バルブ105が閉から開に切り替えられる。切替バルブ105の切り替えと同時またはそれ以前に、SL2ソレノイドバルブ102で調圧されるSL2圧が係合保持圧よりも低い制限油圧(切替バルブ開時クラッチ圧)に低減される。制限油圧は、イナーシャトルクを考慮した必要クラッチ圧以下となるように設定されている。これにより、車両1がスピードバンプなどの突起物を乗り越えたときに、クラッチC1を滑らせることができ、アウトプット軸42に発生するイナーシャトルクをクラッチC1の滑りで吸収することができる。

0109

作用効果
このように、切替バルブ105の開閉の切り替えを制御することにより、車両1の通常走行中は、クラッチC1の滑りを抑制できながら、車両1が突起物を乗り越えたときには、クラッチC1を滑らせることにより、イナーシャトルクがベルト55に作用することを抑制できる。その結果、イナーシャトルクによるベルト滑りの発生を抑制することができる。

0110

<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することができる。

0111

たとえば、前述の実施形態では、回転数変化率からイナーシャトルクが推定されて、その推定されたイナーシャトルクが所定トルク値以上である場合、切替バルブ105が閉から開に切り替えられるとした。これに限らず、変速機ECU12により、ベルトモードでの車両1の走行中、一定周期で回転数変化率が算出され、その回転数変化率が所定変化率以上である場合に、切替バルブ105がオンにされて、切替バルブ105が閉から開に切り替えられてもよい。

0112

前述の各センサは、本発明に関連するセンサを例示したものに過ぎず、エンジンECU11および変速機ECU12には、その他のセンサが接続されていてもよい。

0113

エンジンECU11および変速機ECU12の機能の一部または全部は、1つのECUに集約されていてもよい。

0114

また、前述の実施形態では、動力分割式無段変速機4を取り上げたが、本発明は、ベルト式の無段変速機であって、遊星歯車機構45のような前後進切替機構がセカンダリ軸とアウトプット軸との間に設けられた構成のものに広く適用することができる。

0115

その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。

0116

1 車両
2エンジン
4動力分割式無段変速機
17油圧回路
41インプット軸
42アウトプット軸
43無段変速機構
45遊星歯車機構
53プライマリプーリ
54セカンダリプーリ
55ベルト
105切替バルブ
C2 クラッチ

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