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技術 凹部を有するフィルム

出願人 東レ株式会社
発明者 新崎盛昭石田洋一
出願日 2016年6月29日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-128634
公開日 2017年11月2日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2017-197705
状態 特許登録済
技術分野 積層体(2) 曲げ・直線化成形、管端部の成形、表面成形 高分子成形体の製造 高分子成形体の処理
主要キーワード 滑り子 変形様式 切削角度 バブル状 エンボス加工済 圧縮試験装置 接触冷温感 円形平面
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年11月2日)のものです。
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図面 (4)

課題

本発明は、フィルムとして用いるために必要な機械特性、布のような柔らかい風合い、心地良い触感、及び自然な外観を有するフィルムを提供することを目的とする。

解決手段

少なくとも一方の面に、ベースラインからの深さが50μm以上500μm未満である凹部(凹部1)、及びベースラインからの深さが500μm以上2,500μm以下である凹部(凹部2)を有し、凹部2を100cm2あたり200個以上有し、凹部1の個数と凹部2の個数の比率(凹部1の個数/凹部2の個数)が2以上100以下であり、KES法に従い測定されるせん断かたさ(G)が、0.1gf/(cm・deg)以上2.5gf/(cm・deg)以下であり、かつ、KES法に従い測定される圧縮仕事量が0.05gf・cm/cm2以上0.5gf・cm/cm2以下であることを特徴とする、フィルム。

概要

背景

近年、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備えた上で、さらに別の機能を有する単体のフィルムが要求されている。例えば、医療・衛生材の分野では、フィルムとして用いるために必要な機械特性に加え、布のような柔らかい風合い、心地良い触感、及び自然な外観を有するフィルムが望まれている。

これまでにフィルムの風合いを改善するため、種々の開発がなされている。例えば、特許文献1、2には、軟質樹脂充填剤を混合して延伸することにより、風合いが改善された多孔フィルムを得られることが開示されている。また、特許文献3、4には、エンボス加工による凹凸模様を形成することにより、透湿性やフィルムの触感を改善することが開示されている。

概要

本発明は、フィルムとして用いるために必要な機械特性、布のような柔らかい風合い、心地良い触感、及び自然な外観を有するフィルムを提供することを目的とする。少なくとも一方の面に、ベースラインからの深さが50μm以上500μm未満である凹部(凹部1)、及びベースラインからの深さが500μm以上2,500μm以下である凹部(凹部2)を有し、凹部2を100cm2あたり200個以上有し、凹部1の個数と凹部2の個数の比率(凹部1の個数/凹部2の個数)が2以上100以下であり、KES法に従い測定されるせん断かたさ(G)が、0.1gf/(cm・deg)以上2.5gf/(cm・deg)以下であり、かつ、KES法に従い測定される圧縮仕事量が0.05gf・cm/cm2以上0.5gf・cm/cm2以下であることを特徴とする、フィルム。なし

目的

例えば、医療・衛生材の分野では、フィルムとして用いるために必要な機械特性に加え、布のような柔らかい風合い、心地良い触感、及び自然な外観を有するフィルムが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

少なくとも一方の面に、ベースラインからの深さが50μm以上500μm未満である凹部(凹部1)、及びベースラインからの深さが500μm以上2,500μm以下である凹部(凹部2)を有し、凹部2を100cm2あたり200個以上有し、凹部1の個数と凹部2の個数の比率(凹部1の個数/凹部2の個数)が2以上100以下であり、KES法に従い測定されるせん断かたさ(G)が、0.1gf/(cm・deg)以上2.5gf/(cm・deg)以下であり、かつ、KES法に従い測定される圧縮仕事量が0.05gf・cm/cm2以上0.5gf・cm/cm2以下であることを特徴とする、フィルム

請求項2

KES法に従い測定される表面粗さの変動(SMD)が0.8μm以上16μm以下であり、かつ摩擦係数の変動(MMD)が0.003以上0.07以下である面(X面)を少なくとも一つ有することを特徴とする、請求項1に記載のフィルム。

請求項3

少なくとも一つのX面における摩擦係数が0.50以下であることを特徴とする、請求項2に記載のフィルム。

請求項4

KES法に従い測定される接触冷温感(Qmax)が、0.02W/cm2以上0.30W/cm2以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。

請求項5

結晶性を有する熱可塑性エラストマー充填剤を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。

請求項6

結晶性を有する熱可塑性エラストマーを含む2つの層(A層、B層)を有し、A層における充填剤の含有量がB層における充填剤の含有量よりも大きいことを特徴とする、請求項5に記載のフィルム。

請求項7

透湿度が1,000g/m2・day以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム。

請求項8

120℃の雰囲気下にて1分間、フィルムを長手方向に1.5倍の長さに伸長させた後のフィルム長手方向伸度保持率が75%以上であり、23℃、相対湿度65%の雰囲気下における、フィルム長手方向のヤング率が100MPa以下であるフィルムに賦形することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のフィルムの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、フィルムとして用いるために必要な機械特性、布のような柔らかい風合心地良い触感、および自然な外観を有するフィルムに関する。

背景技術

0002

近年、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備えた上で、さらに別の機能を有する単体のフィルムが要求されている。例えば、医療・衛生材の分野では、フィルムとして用いるために必要な機械特性に加え、布のような柔らかい風合い、心地良い触感、及び自然な外観を有するフィルムが望まれている。

0003

これまでにフィルムの風合いを改善するため、種々の開発がなされている。例えば、特許文献1、2には、軟質樹脂充填剤を混合して延伸することにより、風合いが改善された多孔フィルムを得られることが開示されている。また、特許文献3、4には、エンボス加工による凹凸模様を形成することにより、透湿性やフィルムの触感を改善することが開示されている。

先行技術

0004

特開平10−237238号公報
特開2007−238822号公報
特公平6−765015号公報
WO2013/031755号パンフレット

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、特許文献1、2に記載の技術では、フィルムの風合い改善効果がある程度得られるものの、布のような柔らかい風合いをフィルムに付与するには至らない。また、特許文献3、4に記載の技術では、凹凸模様の深さ及び高さ、個数を適当な範囲の値とすることにより布に近い柔らかさや触感が得られるものの、凹凸模様の存在により外観が布とは大きく異なる。すなわち、これらの技術では、フィルムとして用いるために必要な機械特性を有し、かつ布のような柔らかい風合い、心地良い触感、及び自然な外観を有するフィルムを得るには至らないという問題があった。

0006

本発明はかかる従来技術の欠点を改良し、フィルムとして用いるために必要な機械特性に優れ、布のような柔らかい風合い、心地良い触感、及び自然な外観を有するフィルムを提供することを、その課題とする。

課題を解決するための手段

0007

上記課題を解決するため、本発明は、下記の構成からなる。
(1) 少なくとも一方の面に、ベースラインからの深さが50μm以上500μm未満である凹部(凹部1)、及びベースラインからの深さが500μm以上2,500μm以下である凹部(凹部2)を有し、凹部2を100cm2あたり200個以上有し、凹部1の個数と凹部2の個数の比率(凹部1の個数/凹部2の個数)が2以上100以下であり、KES法に従い測定されるせん断かたさ(G)が、0.1gf/(cm・deg)以上2.5gf/(cm・deg)以下であり、かつ、KES法に従い測定される圧縮仕事量が0.05gf・cm/cm2以上0.5gf・cm/cm2以下であることを特徴とする、フィルム。
(2) KES法に従い測定される表面粗さの変動(SMD)が0.8μm以上16μm以下であり、かつ摩擦係数の変動(MMD)が0.003以上0.07以下である面(X面)を少なくとも一つ有することを特徴とする、(1)に記載のフィルム。
(3) 少なくとも一つのX面における摩擦係数が0.50以下であることを特徴とする、(2)に記載のフィルム。
(4) KES法に従い測定される接触冷温感(Qmax)が、0.02W/cm2以上0.30W/cm2以下であることを特徴とする、(1)〜(3)に記載のフィルム。
(5)結晶性を有する熱可塑性エラストマーと充填剤を含むことを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルム。
(6) 結晶性を有する熱可塑性エラストマーを含む2つの層(A層、B層)を有し、A層における充填剤の含有量がB層における充填剤の含有量よりも大きいことを特徴とする、(5)に記載のフィルム。
(7)透湿度が1,000g/m2・day以上であることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載のフィルム。
(8) 120℃の雰囲気下にて1分間、フィルムを長手方向に1.5倍の長さに伸長させた後のフィルム長手方向伸度保持率が75%以上であり、23℃、相対湿度65%の雰囲気下における、フィルム長手方向のヤング率が100MPa以下であるフィルムに賦形することを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載のフィルムの製造方法。

発明の効果

0008

本発明により、フィルムとして用いるために必要な機械特性、布のような柔らかい風合い、心地良い触感、及び自然な外観を有するフィルムを提供することができる。

図面の簡単な説明

0009

本発明の一実施態様に係るフィルムを示す拡大上面図(A)、及びAにおけるI−I’断面矢視図(B)である。
実施例のエンボス加工にて使用したエンボスロール回転軸と垂直な方向で切断したときにおける、一部分の拡大概略断面図であり、斜線部分がエンボスロールである。)
実施例のエンボス加工にて使用したエンボスロールの凸部を示す拡大概略上面図である。
本発明のフィルムの上面図、および断面観察のための切削方向を表す。

0010

本発明のフィルムは、少なくとも一方の面に、ベースラインからの深さが50μm以上450μm以下である凹部(凹部1)、及びベースラインからの深さが500μm以上2,500μm以下である凹部(凹部2)を有し、凹部2を100cm2あたり200個以上有し、凹部1の個数と凹部2の個数の比率(凹部1の個数/凹部2の個数)が2以上100以下であり、KES法に従い測定されるせん断かたさ(G)が、0.1gf/(cm・deg)以上2.5gf/(cm・deg)以下であり、かつ、KES法に従い測定される圧縮仕事量が0.05gf・cm/cm2以上0.5gf・cm/cm2以下であることを特徴とする。KES法とは、Kawabata Evaluation System法のことであり、以下、同方法の表記はKES法とする。

0011

以下に、本発明を実施するための望ましい形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

0012

(せん断かたさ(G))
本発明のフィルムは、布のようなせん変形性を付与する観点から、KES法に従い測定されるせん断かたさ(G)が0.1gf/(cm・deg)以上2.5gf/(cm・deg)以下であることが重要である。

0013

せん断変形とは、経糸緯糸とが交差することにより構成されている布がもっとも容易に受ける変形様式をいう。2次元の布が3次元の曲面を容易にカバーすることができるのはこのせん断変形に大きく依存し、せん断変形が大きい、つまり、せん断かたさ(G)が小さい方が人体のような曲面によりフィットし易く、着用感がよいものとなる。つまり、せん断かたさ(G)が0.1gf/(cm・deg)以上2.5gf/(cm・deg)以下であるフィルムは、例えば衛生材等の人体に着用する可能性のある用途に使用される際に好ましいものとなる。

0014

KES法に従い測定されるせん断かたさ(G)とは、KES法に従い測定される長手方向及び幅方向せん断応力より算出するせん断かたさ(G)をいう。より具体的には、せん断変形が−2.5°、−0.5°、0.5°、及び2.5°である点における、長手方向及び幅方向のせん断応力をKES法により測定し(以下、各点におけるせん断応力をそれぞれHG−2.5、HG−0.5、HG0.5、HG2.5ということがある)、長手方向及び幅方向について、式G1を用いて正方向のせん断かたさ(G(+))を、式G2用いて負方向のせん断かたさ(G(−))を算出し、長手方向及び幅方向のG(+)及びG(−)を平均して得られるせん断かたさ(G)をいう。なお、せん断応力の測定時の条件は、23℃、相対湿度65%の雰囲気下、強制荷重10gf、せん断ずり速度0.417mm/sec、及び試料のせん断変形範囲−8°〜8°である。なお、以後、KES法に従い測定されるせん断かたさ(G)のことを、単にせん断かたさ(G)と記すことがある。

0015

ここで、長手方向とは、フィルムを製造する際にフィルムが進行する方向をいい、幅方向とは、フィルムの搬送面に平行であり、長手方向と直交する方向をいう。なお、フィルムがロールに巻き取られたものである場合は、長手方向や幅方向を容易に特定することができるが、ロールに巻かれていないシート状のフィルムの場合は、長手方向や幅方向を容易に特定することができない。このような場合においては、後述の方法により任意に選択した一方向についてフィルムのヤング率を測定した後に、フィルムを右に5°回転させて同様の測定を行い、これを180°に達するまで繰り返して最もヤング率の値が大きい方向を長手方向として扱うものとする。以下、本発明において同様とする。
式G1:G(+)=(HG2.5−HG0.5)/(2.5°−0.5°)
式G2:G(−)=(HG−2.5−HG−0.5)/(−2.5°−(−0.5°))
フィルムのせん断変形性をより向上させる観点から、せん断かたさ(G)は、0.1gf/(cm・deg)以上2.2gf/(cm・deg)以下であることがより好ましく、0.1gf/(cm・deg)以上1.7gf/(cm・deg)以下であることがより好ましい。

0016

本発明のフィルムのせん断かたさ(G)を0.1gf/(cm・deg)以上2.5f/(cm・deg)以下、または上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、後述する結晶性を有する熱可塑性エラストマーや充填剤等の種類や含有量を調整する方法、目付けを調整する方法、層構成を調整する方法、凹部の深さを調整する方法などが挙げられる。より具体的には、凹部の深さを大きくすることや、目付けを小さくすることにより、せん断かたさ(G)を小さくすることができる。

0017

(圧縮仕事量)
本発明のフィルムは、布のようなクッション性があり、心地良い触感を有する。ここでいうクッション性とは、嵩高性と柔軟性を表す指標であり、フィルムを圧縮したときの仕事量(圧縮仕事量)を尺度として表現することができる。

0018

圧縮仕事量は、KES法に従い測定することができる。具体的には、フィルムを面積2cm2の円形平面を持つ鋼板間圧縮速度20μm/sec、圧縮最大荷重10gf/cm2、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気の条件で圧縮して、KES法により測定することができる。以後、KES法に従い測定した圧縮仕事量のことを、単に圧縮仕事量と記す。

0019

本発明のフィルムは、圧縮仕事量が0.05gf・cm/cm2以上0.5gf・cm/cm2以下であることが重要である。圧縮仕事量が0.05gf・cm/cm2未満であれば、フィルムのクッション性や触感が低下することがある。逆に、0.5gf・cm/cm2を超えると、フィルムのクッション性には優れるが、フィルムが嵩高くなり過ぎるため、その巻き取り性や取り扱い性、及び印刷や貼り合わせなどの後加工を施す際の後加工適性等が低下することがある。

0020

すなわち、フィルムとしての巻き取り性、取り扱い性、後加工適性と、フィルムに布のようなクッション性や心地よい触感を付与することを両立させる観点から、圧縮仕事量は、0.07gf・cm/cm2以上0.40gf・cm/cm2以下であることがより好ましく、0.1gf・cm/cm2以上0.30gf・cm/cm2以下であることがより好ましい。

0021

本発明のフィルムの圧縮仕事量を0.05gf・cm/cm2以上0.5gf・cm/cm2以下、または上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、後述する結晶性を有する熱可塑性エラストマーや充填剤等の種類や含有量を調整する方法、目付けを調整する方法、層構成を調整する方法、凹部の深さを調整する方法などが挙げられる。具体的には、後述する凹部の深さを大きくすることにより、圧縮仕事量を大きくすることができる。

0022

(表面粗さの変動(SMD)と摩擦係数の変動(MMD))
本発明のフィルムは、フィルムに心地良い触感を付与する観点から、KES法に従い測定される表面粗さの変動(SMD)が、0.8μm以上16.0μm以下であり、かつ摩擦係数の変動(MMD)が0.003以上0.07以下である面(X面)を少なくとも一つ有することが好ましい。

0023

KES法に従い測定される表面粗さの変動(SMD)とは、具体的には、23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、荷重を5gf、滑り子の移動速度を1mm/secとして、KES法により測定する表面粗さの変動(SMD)をいう。なお、以後、KES法に従い測定される表面粗さの変動(SMD)を、単に表面粗さの変動(SMD)ということがある。

0024

フィルムの触感の心地良さ、フィルムの生産性を向上させることに着目すると、X面において、表面粗さの変動(SMD)が1.3μm以上10.0μm以下であることがより好ましく、1.4μm以上9.0μm以下であることがさらに好ましく、1.6μm以上7.0μm以下であることが特に好ましい。

0025

本発明のフィルムのX面において、表面粗さの変動(SMD)を0.8μm以上16.0μm以下、または上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、後述する結晶性の熱可塑性エラストマーや充填剤等の種類や含有量を調整する方法、層構成を調整する方法、凹部の高さを調整する方法などが挙げられる。具体的には、後述する充填剤の含有量を増加させること、凹部の深さを大きくすることにより、その値を大きくすることができる。

0026

KES法に従い測定される摩擦係数の変動(MMD)とは、具体的には、23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、荷重を25gf、滑り子の移動速度を1mm/secとしてKES法により測定する摩擦係数の変動(MMD)をいう。なお、以後、KES法に従い測定される摩擦係数の変動(MMD)のことを、単に摩擦係数の変動(MMD)ということがある。

0027

フィルムの触感の心地良さ、フィルムの生産性を向上させることに着目すると、少なくとも一方の面において、摩擦係数の変動(MMD)が0.003以上0.06以下であることがより好ましく、0.003以上0.05以下であることがさらに好ましい。

0028

本発明のフィルムのX面において、摩擦係数の変動(MMD)を0.003以上0.07以下または上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、結晶性を有する熱可塑性エラストマーや充填剤等の種類や含有量を調整する方法、目付けを調整する方法、層構成を調整する方法、凹部の深さを調整する方法などが挙げられる。具体的には充填剤の含有量を増加させることにより、その値を小さくすることができる。

0029

なお、本発明のフィルムはX面を少なくとも一つ有するのであれば、本発明の効果を損なわない限り他方の面については特に制限されない。但し、フィルムを他の素材と貼り合わせる際に、表裏を区別する必要がなくなるため、両面がX面であることがより好ましい。

0030

(摩擦係数)
本発明フィルムは、前記X面に触れた際の心地良い触感をさらに向上させる観点から、X面の摩擦係数が、0.50以下であることが好ましい。ここで摩擦係数とは、KES法に従い測定される摩擦係数をいい、具体的には、23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、滑り子として標準摩擦子指紋タイプ)を取り付け、荷重25gf、1mm/secの速度で滑り子をサンプルの表面で移動させて、KES法により測定される摩擦係数をいう。

0031

フィルムの触感の心地良さ、ブロッキング防止性ハンドリング性の向上と、フィルムとしての機械特性の両立の観点から、X面の摩擦係数は、0.40以下であることがより好ましく、0.30以下であることがさらに好ましい。 なお、X面の摩擦係数の下限は低ければ低いほど好ましいが、実用的な下限は0.05である。

0032

X面の摩擦係数を0.50以下とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、結晶性を有する熱可塑性エラストマーや充填剤等の種類や含有量を調整する方法、目付けを調整する方法、層構成を調整する方法、凹部の深さを調整する方法などが挙げられる。具体的には、後述する充填剤の含有量を増加させること、後述する積層構成において表面を硬い層(剛性化)とすることにより、その値を小さくすることができる。

0033

(接触冷温感(Qmax))
本発明のフィルムは、フィルムに心地良い触感を付与する観点から、KES法に従い測定される接触冷温感(Qmax)が、0.02W/cm2以上0.30W/cm2以下であることが好ましい。

0034

KES法に従い測定される接触冷温感とは、一般的に、物体に触れたときに、冷たく感じるか温かく感じるかを評価する指標である。KES法に従い測定される接触冷温感(Qmax)の値は、物体に触れたときに冷たく感じる場合ほど大きく、温かく感じる場合ほど小さくなる。なお、以後、KES法に従い測定される接触冷温感(Qmax)を、単に接触冷温感(Qmax)ということがある。接触冷温感(Qmax)が0.45W/cm2以下であることにより、肌がフィルムに触れた際に温かみを感じることとなるため、フィルムは、衛生材等の人の肌に触れる可能性のある用途に好ましく用いることができるものとなる。接触冷温感(Qmax)の下限は、衛生材に適用する観点からすると、0.02W/cm2程度あれば十分である。

0035

フィルムの心地良い触感をより向上させる観点から、接触冷温感(Qmax)は0.02W/cm2以上0.25W/cm2以下であることがより好ましく、0.02W/cm2以上0.20W/cm2以下であることがさらに好ましい。

0036

本発明のフィルムの接触冷温感(Qmax)を0.02W/cm2以上0.30W/cm2以下、または上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、結晶性を有する熱可塑性エラストマーや充填剤等の種類や含有量を調整する方法、層構成を調整する方法、凹部の深さを調整する方法などが挙げられる。具体的には、凹部の深さを大きくすることで接触冷温感(Qmax)を小さくすることができる。

0037

(フィルムの透湿度)
本発明のフィルムを、衛生材などの透湿性が要求される用途に使用する場合、その透湿度が1,000g/(m2・day)以上であることが好ましく、1,500g/(m2・day)以上であることがより好ましく、2,000g/(m2・day)以上であることがさらに好ましい。フィルムの透湿度は大きいほど好ましく上限は特にないが、衛生材に適用するとの観点からすると、8,000g/(m2・day)あれば十分である。

0038

なお、ここでフィルムの透湿度とは、25℃、相対湿度90%に設定した恒温恒湿装置にて、JIS Z0208(1976)に規定された方法により測定して得られる透湿度をいう。

0039

本発明のフィルムの透湿度を上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、後述する結晶性を有する熱可塑性エラストマーや充填剤等の種類や含有量を調整する方法、目付けを調整する方法、層構成を調整する方法、凹部の深さを調整する方法などが挙げられる。具体的には、透湿性を有する結晶性を有する熱可塑性エラストマーを用いることや、ポリキオシエチレン等の透湿性の材料を組み合わせることや、後述する充填剤の含有量を減少させること、凹部の深さを大きくすることにより、フィルムの透湿度を大きくすることができる。

0040

(結晶性を有する熱可塑性エラストマー)
本発明のフィルムは、フィルムに柔軟性、伸縮性、せん断変形性に加えてエンボス等の後加工性を付与する観点から、結晶性を有する熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。熱可塑性を有する有機高分子量体の中でも柔軟性に優れる熱可塑性エラストマーを用いることで、エンボス等の後加工が容易となる。さらに、熱可塑性エラストマーが結晶性を有することにより、該熱可塑性エラストマー中の結晶性ユニット軟化・変形性を有する程度の加熱条件下で引張やエンボス加工等の変形させた際に、変形後の構造の固定化が容易となる。

0041

なお、熱可塑性エラストマーとは、25℃でゴム弾性を有する高分子量体をいう。結晶性を有する熱可塑性エラストマーとは、100℃の熱風オーブン中で24時間加熱させた後に、25℃から昇温速度20℃/分で250℃まで昇温した際に、結晶融解ピーク観測される熱可塑性エラストマーを指す。

0042

本発明のフィルムにおける結晶性を有する熱可塑性エラストマーとしては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、ポリエステル系エラストマーポリスチレン系エラストマーポリオレフィン系エラストマーポリウレタン系エラストマー、及びポリアミド系エラストマーなどを単独で又は組み合わせて用いることができる。中でも、柔軟性、伸縮性、せん断変形性を付与する観点から、製膜定性エンボス加工性、及び耐熱性等の観点から、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーを単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることが好ましい。

0043

なお、本発明のフィルムに用いることができるポリエステル系エラストマーとしては、例えば、芳香族ポリエステル脂肪族ポリエステルとのブロック共重合体、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体等が挙げられるが、透湿性の付与の観点から、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体を用いることが好ましい。

0044

フィルムとしたときに高い透湿性を発現することができるポリエステル系エラストマーとしては、例えば、東レ・デュポン社製の“ハイトレル”(登録商標)のG3548やHTR8206グレード等が挙げられる。

0045

また、本発明のフィルムに用いることができるポリアミド系エラストマーとしては、例えば、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとのブロック共重合体、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体等が挙げられるが、透湿性の付与の観点から、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体を用いることが好ましい。

0046

フィルムとしたときに高い透湿性を発現することができるポリアミド系エラストマーとしては、例えば、アルケマ社製の“PEBAX”(登録商標)のMV1074、MV1041、MV3000、MH1657グレード等が挙げられる。

0047

本発明のフィルム中の結晶性を有する熱可塑性エラストマーの含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、製膜安定性、エンボス加工性のさらなる改良の観点から、本発明のフィルム中の樹脂全体を100質量%としたときに、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、25質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、45質量%以上75質量%以下であることがさらに好ましい。なお、フィルム中の結晶性を有する熱可塑性エラストマーが複数種である場合においては、結晶性を有する熱可塑性エラストマーの含有量は全ての結晶性を有する熱可塑性エラストマーを合算して算出するものとする。

0048

(非晶性の熱可塑性エラストマー)
本発明のフィルムは、上記の結晶性を有する熱可塑性エラストマーとともに柔軟性、伸縮性、せん断変形性をさらに改良する観点から、非晶性の熱可塑性エラストマーを組み合わせてもよい。

0049

非晶性の熱可塑性エラストマーとは、100℃の熱風オーブン中で24時間加熱させた後に、25℃から昇温速度20℃/分で250℃まで昇温した際に、結晶融解ピークが観測されない熱可塑性エラストマーを指す。

0050

本発明において用いることができる非晶性の熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマーアクリル系エラストマー等が挙げられるが、その中でも特に柔軟性、せん断変形性を改良する効果が高いという観点から、非晶性のポリウレタン系エラストマーを用いることが好ましい。

0051

本発明のフィルムに用いることができる非晶性のポリウレタン系エラストマーとしては、例えば、短鎖グリコールジイソシアネートによりなるハードセグメント相とポリエーテルよりなるソフトセグメント相とのブロック共重合体や、同ハードセグメント相とポリエステルよりなるソフトセグメント相とのブロック共重合体等が挙げられるが、透湿性付与の観点から、ポリエーテルよりなるソフトセグメント相を有するブロック共重合体であることが好ましい。

0052

フィルムとした時に高い透湿性を付与できる非晶性のポリウレタン系エラストマーとしては、例えば、BASFジャパン社製エラストラン”(登録商標)のOP85A10グレードやET885FGグレードが挙げられる。

0053

本発明のフィルム中の非晶性の熱可塑性エラストマーの含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、柔軟性、伸縮性、せん断変形性、透湿性、製膜安定性、及びエンボス加工性のさらなる改良の観点から、本発明のフィルム中の樹脂全体を100質量%としたときに、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。なお、フィルム中の非晶性の熱可塑性エラストマーが複数種である場合においては、非晶性の熱可塑性エラストマーの含有量は全ての非晶性の熱可塑性エラストマーを合算して算出するものとする。

0054

(充填剤)
本発明のフィルムは、製膜安定性、ハンドリング性、巻き取り性、および表面粗さの変動(SMD)、摩擦係数の変動(MMD)を調整する観点から、充填剤を含むことが好ましい。なお、充填剤とは、諸性質を改善するために加えられる物質、あるいは増量、増容、又は製品コスト低減などを目的として添加する不活性物質をいう。

0055

充填剤は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、無機の充填剤および/または有機の充填剤を使用することができる。また、充填剤は1種類であっても複数種類を混合したものであってもよい。但し、表面粗さの変動(SMD)、摩擦係数の変動(MMD)を調整する観点から、充填剤は無機充填剤であることが好ましく、炭酸カルシウム炭酸バリウム炭酸マグネシウムなどの炭酸塩硫酸バリウム硫酸カルシウムなどの硫酸塩、酸化ケイ素シリカ)、酸化チタン酸化亜鉛等の金属酸化物アルミノシリケートマイカタルクカオリンクレー、及びモンモリロナイト等の複合酸化物のうち少なくとも一種類を用いることが好ましく、汎用性・コストの観点から炭酸カルシウムを用いることが好ましい。

0056

本発明のフィルム中の充填剤の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、製膜安定性、ハンドリング性、及び巻き取り性および触感のさらなる改良の観点から、本発明のフィルム中の樹脂全体を100質量部としたときに、5質量部以上200質量部以下であることが好ましく、15質量部以上70質量部以下であることがより好ましく、25質量部以上50質量部以下であることが特に好ましい。なお、フィルム中の充填剤が複数種である場合においては、充填剤の含有量は全ての充填剤を合算して算出するものとする。

0057

(層構成)
本発明のフィルムは、本発明の効果を損なわない限り、単層構成でも積層構成でもよいが、柔軟性、伸縮性、せん断変形性、透湿性を維持しつつ、エンボス加工性、及び布のような心地良い触感を改良する観点から、結晶性を有する熱可塑性エラストマーを含む2つの層(A層、B層)を有し、A層における充填剤の含有量がB層における充填剤の含有量よりも大きいことが好ましい。

0058

ここで、A層における充填剤の含有量がB層における充填剤の含有量よりも大きいとは、A層を構成する樹脂全体を100質量部としたときのA層における充填剤の含有量(質量部)が、B層を構成する樹脂全体を100質量部としたときのB層における充填剤の含有量(質量部)よりも大きいことをいう。このような層構成とすることにより、柔軟性、伸縮性、せん断変形性、透湿性を維持しつつ、エンボス加工性、及び布のような心地良い触感を改良することができる。なお、B層は充填剤を含まない層であってもよい。

0059

A層中の充填剤の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、柔軟性、伸縮性、せん断変形性、透湿性を維持しつつ、エンボス加工性、布のような心地良い触感をさらに改良するという観点から、A層を構成する樹脂全体を100質量部としたときに、15質量部以上90質量部以下であることが好ましく、17質量部以上70質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上50質量部以下であることがさらに好ましい。

0060

B層中の充填剤の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、柔軟性、伸縮性、せん断変形性、透湿性を維持しつつ、エンボス加工性、布のような心地良い触感をさらに改良するという観点から、B層を構成する樹脂全体を100質量部としたときに、3質量部以上45質量部以下であることが好ましく、5質量部以上40質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上30質量部以下であることがさらに好ましい。

0061

本発明のフィルムの層構成は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されない。但し、フィルムの柔軟性、伸縮性、せん断変形性、透湿性と、エンボス加工性、及び布のような心地良い触感を両立させる観点から、A層が少なくとも一方の最表面に位置する構成を有することが好ましく、A層/B層/A層の2種3層構成を有することがより好ましい。また、A層とB層は、直接積層することも、間に接着層を設けて積層することも可能であるが、柔軟性、伸縮性、せん断変形性、透湿性、エンボス加工性、布のような心地良い触感を損なわないためには、直接積層することが好ましい。すなわち、本発明のフィルムは、A層/B層/A層の2種3層構成を有し、A層とB層の間に他の層が存在しない態様とすることが特に好ましい。

0062

表層の剛性化)
本発明のフィルムがA層とB層を有する場合、せん断変形性を損なわずに摩擦係数を低下させる観点から、A層のヤング率とB層のヤング率の比(A層のヤング率/B層のヤング率)が2.0以上であることが好ましい。このような態様のフィルムは、相対的にヤングが高く硬いA層により摩擦係数が低下し、相対的にヤングが低く柔らかいB層によりせん断変形性の低下が抑えられる。そのため、このような態様とすることにより、せん断変形性と布のような心地よい触感が両立しやすくなる。ここでA層のヤング率とはA層の長手方向のヤング率をいい、B層のヤング率についても同様に解釈する。

0063

A層のヤング率は、A層と同様の組成、厚みを有する単膜フィルムについてJIS K7127(1999)に規定された方法に従い測定することができ、B層のヤング率についても同様である。また、フィルムが積層構成を有する場合は、積層フィルムの断面をウルトラミクロトームなどで切り出した後にA層に相当する部分およびB層に相当する部分のヤング率をナノインデンテーション法(連続剛性測定法)等の公知の方法により分析することでも各層のヤング率を測定することができる。例えば、ナノインデンテーション法による測定を行う場合の測定装置としては、MTSシステムズ社製の“Nanoindenter XP”を用いることができ、該装置を用いたときの測定条件は以下の通りである。
使用圧子:ダイヤモンド製三角錐圧子
測定周波数振幅:45Hz、2nm
測定雰囲気:室温・大気
測定n数:10
上記条件により得られた押し込み深さ線図における押し込み深さ40−60nmの領域を用いて、ヤング率を算出することができる。

0064

なお、A層やB層のヤング率の値は、上記のどちらの方法で測定しても概ね同等の値となるため、測定方法は、単膜フィルムの製造の可否等を考慮して適宜選択することができる。 A層のヤング率とB層のヤング率の比は、せん断変形性と摩擦係数をより好ましい値とする観点から、2.5以上であることがより好ましく、3.0以上であることがさらに好ましい。なお、製膜時のA層とB層の物性の違いに起因するフローマークを抑制する観点から、A層のヤング率とB層のヤング率の比の上限は5.0である。

0065

本発明のA層のヤング率とB層のヤング率の比を前記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、A層において前述の結晶性を有する熱可塑性エラストマーとともに、熱可塑性エラストマー以外のヤング率が200MPa以上の熱可塑性樹脂を併用する方法、A層の充填剤を調整する方法等が挙げられる。具体的には、A層原料として透湿性を有し結晶性を有する熱可塑性エラストマーとともに、ポリブチレンサクシネートポリ乳酸等のポリエステル系熱可塑性樹脂ポリカーボネート系熱可塑性樹脂を組み合わせることにより、A層のヤング率とB層のヤング率の比を前記の好ましい値とすることができる。

0066

(フィルムの目付け)
本発明のフィルムの目付けは、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、ハンドリング性、生産性の観点から、10g/m2以上45g/m2以下であることが好ましい。フィルムの目付けを5g/m2以上とすることで、フィルムのコシが強くなるため取り扱い性が向上し、また、ロール巻姿や巻出し性も良好となる。フィルムの目付けを45g/m2以下とすることで、特にインフレーション製膜法において、自重によりバブルが安定化する。

0067

さらに、本発明のフィルムに好ましい柔軟性、伸縮性、せん断変形性、透湿性、製膜安定性、エンボス加工性のさらなる改良の観点を考慮すると、フィルムの目付けは、15g/m2以上45g/m2であることがより好ましく、20g/m2以上40g/m2であることがさらに好ましい。

0068

添加剤
本発明のフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で前述した成分以外の成分を含有してもよい。例えば、酸化防止剤紫外線安定化剤着色防止剤艶消し剤抗菌剤消臭剤、耐候剤、抗酸化剤イオン交換剤粘着性付与剤着色顔料染料などを含有してもよい。

0069

(エンボス加工、フィルムの凹部)
本発明のフィルムは、フィルムの触感と外観を布に近づける観点から、少なくとも一方の面に、ベースラインからの深さが50μm以上500μm未満である凹部(凹部1)、及びベースラインからの深さが500μm以上2,500μm以下である凹部(凹部2)を有することが重要である。

0070

図1に本発明の一実施態様に係るフィルムを示す拡大上面図(A)、及びAにおけるI−I’断面矢視図(B)を示す。

0071

ベースラインはフィルムを水平な台上に置いた際に台の表面と接地している部分となる。例えば、図1Bのフィルムにおいてはc4がベースラインとなる。また、ベースラインと凹部における最深部との厚み方向の位置の差、(図1Bにおけるc5やc6)がベースラインからの深さとなる。本発明の一実施態様である図1Bのフィルムにおいては、図1Bにおけるc5が50μm以上500μm未満、かつc6が500μm以上2,500μm以下である。

0072

凹部の深さの測定は、ウルトラミクロトーム等を用いてフィルム面に対して垂直な方向から切削を行うことによって得られたフィルム断面マイクロスコープ撮影し、これを測長することで行う。

0073

本発明のフィルムは凹部2(図1Aのc3)を有することで、ベースラインとフィルムの間に大きな空間が生じるため、本発明のフィルムは高いクッション性と柔軟性を有するものとなり、圧縮仕事量を0.05gf・cm/cm2以上0.5gf・cm/cm2以下、せん断かたさ(G)を、0.1gf/(cm・deg)以上2.5gf/(cm・deg)以下とするのが容易となる。

0074

一方、本発明のフィルムが凹部として凹部2のみを有すると、例えば、フィルムを外部から視認できる箇所に布に代わる部材として用いた場合に、凹部が目立つことによる外観不良が生じる。凹部2よりも相対的に深さの小さい凹部1(図1Aのc2)をフィルムに共存させることにより、凹部2の存在による外観不良を緩和することができる。

0075

本発明のフィルムにおいて、圧縮仕事量やせん断かたさを上記範囲としてフィルムの触感や柔らかさを布に近づけることと、フィルムの取り扱い性を両立させる観点から、凹部2の深さは、550μm以上1,500μm以下であることが好ましく、600μm以上1,000μm以下であることがより好ましい。

0076

一方、凹部1の深さは、凹部2外観の不良を緩和する観点から50μm以上450μm以下であることが好ましく、100μm以上400μm以下であることがより好ましく、150μm以上350μm以下であることがさらに好ましい。

0077

さらに本発明のフィルムは、凹部2を100cm2あたり200個以上有し、凹部1の個数と凹部2の個数の比率(凹部1の個数/凹部2の個数)が2以上100以下であることが重要である。100cm2あたりの凹部2の個数、及び凹部1の個数/凹部2の個数は、実施例の「(12)フィルム凹部の深さ、凹部2の個数、凹部1の個数/凹部2の個数」の項に記載の方法により測定することができる。

0078

100cm2あたりの凹部2の個数をかかる範囲とすることで、フィルムの面全体に渡り空間が形成されるため、フィルムの触感や柔らかさを布に近づけることが容易となる。フィルムの触感や柔らかさを布に近づける観点から、フィルムは、凹部2を100cm2あたり400個以上有することが好ましく、600個以上有することがより好ましい。なお、100cm2あたりの凹部2の個数の上限は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、凹部2による空間の形成により布のような柔らかさや触感に近づけるという観点から10,000個あれば十分である。

0079

さらに凹部1の個数と凹部2の個数の比率をかかる範囲とすることにより、フィルム面全体に渡る凹部2による外観不良が軽減される。凹部2による外観不良の観点から、凹部1の個数と凹部2の個数の比率(凹部1の個数/凹部2の個数)が3以上90以下であることが好ましく、4以上80以下であることがより好ましい。

0080

本発明のフィルムにおいて、凹部1および凹部2のそれぞれのベースラインからの深さ、100cm2あたりの凹部2の個数、及び凹部1の個数と凹部2の個数の比率をかかる範囲又は上記の好ましい範囲とする方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、工程の簡便さの観点から、エンボスロールによるエンボス加工であることが好ましい。

0081

以下に、一例としてエンボス加工について説明する。

0082

本発明のフィルムを製造する際に使用するエンボス加工方式としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、例えば、雄エンボスロールとゴムロールなどの弾性ロールとを組み合わせる方法や、1対の雄エンボスロールと雌エンボスロールとを組み合わせる方法がある。また、エンボスロールの模様パターン)は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、四角凸柄格子凸柄、亀甲柄、ダイヤ柄、ピンポイント柄、四角錐台柄、円錐台柄、縦線柄、及び横線柄などが使用できる。

0083

(フィルムの製造方法)
本発明のフィルムの製造方法は、120℃の雰囲気下にて1分間、フィルムを長手方向に1.5倍の長さに伸長させた後のフィルム長手方向の伸度保持率が75%以上であり、23℃、相対湿度65%の雰囲気下における、フィルム長手方向のヤング率が100MPa以下であるフィルムに賦形することが重要である。

0084

ヤング率とは、弾性限度内において材料が受けた引張り応力を材料に生じたひずみで除した値であり、一般に、ヤング率が小さいほどフィルムは柔軟性を有する。なお、23℃、相対湿度65%の雰囲気下における、賦形前フィルム長手方向のヤング率のことを、以下、単に賦形前フィルムの長手方向のヤング率ということがある。

0085

ここで、フィルム長手方向のヤング率とは、150mm(長手方向)×10mm(幅方向)の短冊状をしたフィルムサンプルについて、23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、初期引張チャック間距離50mm、引張速度200mm/分として、JIS K−7127(1999)に規定された方法に従い測定して得られる値をいう。

0086

本発明のフィルムにおいてフィルム長手方向のヤング率は、柔軟性の観点から小さいほど好ましい。一方、製造工程(特にロール間走行時や巻き取り時)でフィルムのタルミシワが生じにくくする観点からは、フィルム長手方向のヤング率は5MPa以上であることが好ましい。そのため、フィルムの柔軟性と生産性を両立させる観点から、フィルム長手方向のヤング率は、10MPa以上70MPa以下であることがより好ましく、15MPa以上50MPa以下であることがより好ましい。

0087

フィルムに賦形するとは、フィルムに凹部を付することをいう。フィルムに賦形する工程は、フィルムに凹部を付することができる限りどのような工程であってもよいが、工程の簡便性の観点から、前述のエンボス加工を施す工程であることが好ましい。

0088

次に、本発明のフィルムを製造する方法についてより具体的に説明するが、本発明のフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。

0089

本発明のフィルムを得るために用いる組成物、つまり、熱可塑性エラストマー、充填剤などを含有する組成物を得るにあたっては、各成分を溶融混練することにより組成物を製造する溶融混練法が好ましい。溶融混練方法については、特に制限はなく、ニーダーロールミルバンバリーミキサー単軸または二軸押出機などの公知の混合機を用いることができる。中でも生産性の観点から、単軸または二軸押出機の使用が好ましい。

0090

次に、上記した方法により得られた組成物を用いて、インフレーション法チューブラー法、Tダイキャスト法などの公知のフィルムの製造方法により、無配向フィルムを製造することができる。

0091

得られた無配向フィルムは、一軸延伸又は二軸延伸を施してもよいが、フィルム長手方向のヤング率、せん断かたさ(G)、圧縮仕事量、耐水圧、及びフィルム長手方向の破断点伸度を前述の好ましい範囲とし、エンボス加工性を付与するためには、延伸を施さないことが好ましい。

0092

フィルムを製膜した後に、印刷性ラミネート適性コーティング適性などを向上させる目的で各種の表面処理を施しても良い。表面処理の方法としては、コロナ放電処理プラズマ処理火炎処理酸処理などが挙げられる。いずれの方法をも用いることができるが、連続処理が可能であり、既存の製膜設備への装置設置が容易な点や処理の簡便さから、コロナ放電処理がより好ましい。

0093

前述のような方法により製膜したフィルムを、エンボスロールとエンボスロールの間を通してエンボス加工を施し、目的とするフィルムを得る。このとき、ロール温度は20〜150℃が好ましく、ニップ圧力線圧)は20〜100kg/cmが好ましく、ロール回転速度は0.5〜30m/minが好ましい。

0094

エンボス加工でフィルムに凹部1と凹部2を付する場合は、1回の加工で凹部1と凹部2を付することが可能なパターンを有するエンボスロールを用いて加工を行ってもよく、凹部1に相当するパターンのエンボスロールを用いて凹部1を付した後に凹部2に相当するパターンのエンボスロールを用いて凹部2を付する、あるいはその逆の順序で凹部1と凹部2を付するような、2回の加工を行ってもよい。但し、複雑なパターンにも容易に対応できる観点から、2回の加工を行うことが好ましい。

0095

(その他用途など)
このようにして得られた本発明のフィルムは、フィルムとして用いるために必要な機械特性、布のような柔らかい風合い、心地良い触感、自然な外観を有するフィルムであり、例えば、衛生材用フィルムとして好適に用いることができる。さらに、本発明のフィルムは、不織布との積層体としてもよい。また、本発明のフィルムを含む衛生材は、柔らかい風合いと心地良い触感、及び自然な外観を兼ね備えたものとなる。

0096

以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。

0097

[測定および評価方法
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。

0098

(1)積層フィルムの各層の厚み比
フィルムの幅方向のセンター部からサンプル片を切り出し、ウルトラミクロトームを用いて該サンプル片の長手方向−厚み方向断面(以下、フィルム断面ということがある。)を観察面とするように−100℃で超薄切片採取した。走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ社製 S−3400N)を用いて倍率500倍〜1,500倍でフィルム断面の写真を撮影し、顕微鏡測長機能を用いて積層フィルムの各層の厚みを測定した。測定は、観察箇所を変えて10回行い、得られた値の平均値を積層フィルムの各層の厚み(μm)とし、これらの値より積層フィルムの各層の厚み比を算出した。なお、フィルムの厚みは、小数第1位を四捨五入して得られた値とした。

0099

(2)賦形前フィルムの長手方向のヤング率(MPa)、A層のヤング率とB層のヤング率の比
エンボス加工を施していないフィルム(以下、賦形前フィルムということがある。)について、恒温槽を備えたオリエンテック社製“TENSILON”(登録商標) UCT−100を用いて、JIS K−7127(1999)に規定された方法により応力歪み測定を行った。測定により得られた応力−歪み曲線の最初の直線部分を用いて、直線上の2点間の応力の差を同じ2点間の歪みの差で除し、ヤング率(MPa)を算出した。測定サンプルは150mm(長手方向)×10mm(幅方向)の短冊状の賦形前フィルムとし、測定条件は温度23℃、相対湿度65%、初期引張チャック間距離50mm、引張速度200mm/分とした。なお、測定は10回行い、その平均値を賦形前フィルム長手方向のヤング率(MPa)とした。なお、A層のヤング率とB層のヤング率の比(A層のヤング率/B層のヤング率)は、A層部分のみ製膜した単層フィルムおよびB層部分のみ製膜した単層フィルムそれぞれについて、同様の方法で賦形前フィルム長手方向のヤング率を10回測定し、得られた値の平均値を用いて求めた。

0100

(3)賦形前フィルムの長手方向の伸度保持率
先ず、120℃に調整した恒温槽の中で、150mm(長手方向)×10mm(幅方向)の短冊状の賦形前フィルムサンプルを、チャック間のフィルムサンプルの長手方向の長さが50mmとなるように、チャック間距離が50mmである2つのチャックに固定した。次いで、2つのチャックで固定されたフィルムサンプルの中心点(2つのチャックからの距離が共に25mmであり、長手方向と平行な2つの辺からの距離が共に5mmである点)が中点となるように、賦形前フィルムサンプルに長手方向と平行な30mmの直線を引き、引張速度200mm/分でフィルムを長手方向に1.5倍の長さ(チャック間距離75mm)に伸長させて1分間保持した。その後、伸長を開放して賦形前フィルムサンプル上の直線の長さを測定し、以下の式より賦形前フィルム長手方向の伸度保持率(%)を算出した。なお、測定は10回行い、その平均値を賦形前フィルムの長手方向の伸度保持率(%)とした。
賦形前フィルムの長手方向の伸度保持率(%)=100×(伸長開放後の直線の長さ−30)/(45−30)
(4)目付け(単位面積当りの質量)
JIS L 1913 (2010)に準拠し、幅方向に10cm、長手方向に10cm角の試験片を、フィルムの幅方向のセンター部から長手方向と平行に10枚採取し、それぞれの重量を測定してこれらの平均値を算出した後、1m2当たりの重量に換算して目付(g/m2)とした。なお目付けは賦形前後でのフィルム、すなわち前記賦形前フィルムおよび、凹部を有するフィルム両方について測定した。

0101

(5)フィルムのせん断かたさ(G)
フィルムを12cm(長手方向)×12cm(幅方向)の大きさに切取り試料とし、試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製のせん断試験機KES−FB1−Aを用いて、23℃、相対湿度65%の雰囲気下、強制荷重10gf、せん断ずり速度0.417mm/secの条件で、試料に−8°〜8°のせん断変形を与え、せん断変形が−2.5°、−0.5°、0.5°、及び2.5°である点におけるせん断応力を測定した(以下、各点におけるせん断応力をそれぞれHG−2.5、HG−0.5、HG0.5、HG2.5ということがある。)。HG0.5及びHG2.5より下記式G1を用いて正方向のせん断かたさ(G(+))を、HG−2.5及びHG−0.5より下記式G2を用いて負方向のせん断かたさ(G(−))をそれぞれ算出した。せん断応力の測定およびG(+)、G(−)の算出は、長手方向、幅方向ともに3回(合計6回)行い、そのすべてのG(+)、G(−)の値の平均値の小数第3位を四捨五入した値をそのフィルムのせん断かたさ(G)(gf/(cm・deg))とした。
式G1:G(+)=(HG2.5−HG0.5)/(2.5°−0.5°)
式G2:G(−)=(HG−2.5−HG−0.5)/(−2.5°−(−0.5°))
なお、長手方向のせん断かたさ(G)を測定する場合は、フィルムの長手方向がせん断変形方向と直交するように試料を取り付け、幅方向のせん断かたさ(G)を測定する場合は、フィルムの幅方向がせん断変形方向と直交するように試料を取り付けた。

0102

(6)フィルムの表面粗さの変動(SMD)
フィルムを12cm(長手方向)×12cm(幅方向)の大きさに切取り試料とし、巻外面が測定面となるように試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製の表面特性試験機KES−SE−SR−Uを用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気下にて、荷重5gf、速度1mm/secとして、測定面上で滑り子をフィルム長手方向と平行に移動させ、フィルム長手方向の表面粗さの変動を測定した。その後、同様に滑り子をフィルム幅方向と平行に移動させ、フィルム幅方向の表面粗さの変動を測定した。フィルム長手方向及び幅方向の表面粗さの変動をそれぞれ3回測定し、そのすべての値の絶対値を平均した値を、そのフィルムの表面粗さの変動(SMD)(μm)とした。なお、滑り子としては、長さ5mm、直径0.5mmのピアノ線を使用した。

0103

(7)フィルムの摩擦係数の変動(MMD)
フィルムを12cm(長手方向)×12cm(幅方向)の大きさに切取り試料とし、巻外面が測定面となるように試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製の表面特性試験機KES−SE−SR−Uを用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気下にて、荷重25gf、速度1mm/secとして、測定面上で滑り子をフィルム長手方向と平行に移動させ、フィルム長手方向の摩擦係数の変動を測定した。その後、同様に滑り子をフィルム幅方向と平行に移動させ、フィルム幅方向の摩擦係数の変動を測定した。フィルム長手方向及び幅方向の摩擦係数の変動をそれぞれ3回測定し、そのすべての値の絶対値を平均した値を、そのフィルムの摩擦係数の変動(MMD)とした。なお、滑り子としては、長さ5mm、直径0.5mmのピアノ線20本を隙間なく平行に並べたものを使用した。

0104

(8)フィルムの接触冷温感(Qmax)
カトーテック社製サーモラボKES−F7IIを用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気の条件にて、フィルムの接触冷温感(Qmax)を測定した。カトーテック社製サーモラボKES−F7IIは、フィルムを設置するための試料台と、検出器とを備えており、検出器の一面には銅薄板が貼られており、銅薄板の裏面には温度センサーが取り付けられている。試料台及び検出器にはヒーターが取り付けられており、それぞれ独立して制御装置によって温度を設定することが可能となっている。試料台にフィルムの巻外面が測定面となるように設置し、制御装置によって試料台の温度を20℃に設定し、検出器の銅薄板の温度を30℃に設定した。次いで、フィルムを設置した試料台と検出器を荷重6gf/cm2、接触面積50mm×50mmの条件で接触させると同時に、温度センサーからのセンサー出力を記録した。測定は10回行い、得られた値の平均値をフィルムの接触冷温感(Qmax)とした。

0105

(9)フィルムの圧縮仕事量
フィルムを12cm(長手方向)×12cm(幅方向)の大きさに切取り試料とし、試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製の自動化圧縮試験装置KES−FB3−Aを用いて、取り付けた試料を面積2cm2の円形平面を持つ鋼板間で圧縮速度20μm/sec、圧縮最大荷重10gf/cm2、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気の条件で圧縮し、フィルムの圧縮仕事量(gf・cm/cm2)を測定した。フィルムの巻内面、巻外面の両面ともに測定をそれぞれ3回(合計6回)行い、そのすべてのデータの平均値の小数第4位を四捨五入した値をそのフィルムの圧縮仕事量とした。

0106

(10)フィルムの透湿度
25℃、相対湿度90%に設定した恒温恒湿装置にて、JIS Z0208(1976)に規定された方法に従って測定した。測定は3回行い、得られた値の平均値をフィルムの透湿度(g/(m2・day))とした。なお、フィルムの透湿度はフィルムの巻外面から測定した。

0107

(11)エンボス加工
由利ロール社製電気加熱式エンボス機HTEM−300型にセットした下記エンボスロール(I)〜(III)のいずれかとゴムロールの間にフィルムを通してエンボス加工を行った。なお、エンボスロールおよびゴムロールの温度は120℃、ニップ圧力(線圧)は50kg/cm、回転速度は3.0m/minとした。
<エンボスロール(I)>
模様:格子凸柄
エンボスロール表面の凹凸差:700μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:2,540μm
圧着面積:3.39mm2
<エンボスロール(II)>
模様:格子凸柄
エンボスロール表面の凹凸差:180μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:847μm
圧着面積:0.44mm2
<エンボスロール(III)>
模様:格子凸柄
エンボスロール表面の凹凸差:140μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:635μm
圧着面積:0.25mm2
<エンボスロール(IV)>
模様:格子凸柄
エンボスロール表面の凹凸差:1,200μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:5,080μm
圧着面積:15.05mm2
<エンボスロール(V)>
模様:格子凸柄
エンボスロール表面の凹凸差:400μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:1,588μm
圧着面積:1.41mm2
<エンボスロール(VI)>
模様:格子凸柄
エンボスロール表面の凹凸差:300μm
エンボスロール表面の凹凸部のピッチ:1,270μm
圧着面積:0.94mm2
エンボスロール表面の凹凸差とは、エンボスロール表面にある凸部の高さをいい(図2のdに相当)、エンボスロール表面の凹凸部のピッチとは、周期的に付与されるフィルムの凹凸部の一周期分の長さをいう。(図2のeに相当)また圧着面積とは、エンボスロールの模様一つあたりの、エンボスロール表面の高さが最も高い部分の面積をいう(図3のf×gに相当)。

0108

(12)フィルム凹部の深さ、凹部2の個数、凹部1の個数/凹部2の個数
フィルムのセンター部からサンプル片を切り出し、ウルトラミクロトームにより−100℃でフィルム幅方向と平行(図4におけるJ−J’)かつフィルム面に対して垂直に切削し、断面出しを行った。先ず、このサンプル片を水平な台の上に置いた。このとき、水平な台とフィルム表面の接触面積が小さくなるほうの面を下側(水平な台の側)となるように設置した。マイクロスコープを用いて水平方向から、凹部の深さが確認できる倍率(例えば5倍)で観察し、その画像を撮影した。続いて観察位置を水平方向にずらしながら画像撮影を繰り返して、2cm長に渡る連続した領域についての断面画像を採取した。得られた断面画像において凹部の深さを測定し、ベースラインからの深さが50μm以上500μm未満の凹部(凹部1)および、500μm以上2,500μm以下の凹部(凹部2)を抽出した。続いてフィルムの幅方向から面内で時計回りに15°回転させた方向(図4におけるK−K’)に沿ってフィルム面に対して垂直に切削し断面出しを行い、同様に凹部の抽出を行った。以後、図4に記載のように15°ずつフィルム面内切削角度をずらしていき(図4におけるL−L’→P−P’)、面内切削角度異なる断面を得るとともに、その都度凹部の抽出を行った。なお、断面出しは合計で7回行った。このようにして得られた各断面について最も多くの凹部2が観測された角度での断面における、凹部1、凹部2それぞれの数を2乗した値を用いて、フィルム面全体における凹部1の個数と凹部2の個数の割合を算出した。また同じく、最も多くの凹部2が観測された角度での断面観察により得られた凹部1、凹部2のそれぞれの深さについて平均値を求め、凹部1の深さおよび凹部2の深さとした。

0109

続いてフィルムの幅方向のセンター部から10cm(長手方向)×10cm(幅方向)のサンプル片を切り出し、面積100cm2の試料とし凹部の個数を目視にて測定した。こうして得られた凹部の個数に、前記方法にて求めた凹部1および凹部2の割合(%)を掛け合わせて得られた数を、それぞれ凹部1および凹部2の個数とした。さらに、得られた凹部1および凹部2の個数より、両者の比率(凹部1の個数/凹部2の個数)を算出した。

0110

(13)フィルムの外観
凹部を有するフィルムを面方向から見た際の外観について、24人にアンケートをとり、以下の基準で評価した。
A:布のような自然な外観であると回答した人数が20〜24人。
B:布のような自然な外観であると回答した人数が15〜19人。
C:布のような自然な外観であると回答した人数が10〜14人。
D:布のような自然な外観であると回答した人数が5〜9人。
E:布のような自然な外観であると回答した人数が0〜4人。
外観はAが最も優れ、D以上の評価があれば実用性に耐えうると判断した。

0111

(14)フィルムの摩擦係数
カトーテック社製の表面特性試験機KES−SEを用いて、フィルムを12cm(長手方向)×12cm(幅方向)の大きさに切取り試料とし、試験台に取り付けて、滑り子として標準摩擦子(指紋タイプ)を取り付け、荷重25gf、1mm/secの速度で滑り子をフィルムのA層表面で移動させ、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気の条件にてフィルムの巻外面の摩擦係数を測定した。長手方向、幅方向ともに測定をそれぞれ3回(合計6回)行い、そのすべてのデータの平均値をそのフィルムの摩擦係数とした。

0112

[結晶性を有する熱可塑性エラストマー]
(A1)
ポリエステル系エラストマー(商品名:“ハイトレル”(登録商標) G3548 、東レ・デュポン(株)製)使用前には回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
(A2)
ポリエステル系エラストマー(商品名:“ハイトレル”(登録商標)HTR8206 、東レ・デュポン(株)製)使用前には回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
(A3)
ポリオレフィン系エラストマー(商品名:“アクリフト”(登録商標) WH303、住友化学工業(株)製)
(A4)
ポリアミド系エラストマー(商品名:“PEBAX”(登録商標)MV1073,アルケマ(株)製)使用前には回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。

0113

[非晶性の熱可塑性エラストマー]
(B1)
ウレタン系エラストマー(商品名:OP85A10 、BASFジャパン(株)製)。使用前には回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。

0114

[充填剤(C)]
(C1)
炭酸カルシウム(商品名:SCPE♯810、アスペクト比2、平均粒径3.0μm、三共精粉(株)製)
[熱可塑性エラストマー以外の樹脂]
(D1)
ポリエチレン樹脂(商品名:NUC8506、日本ユニカー(株)製)
(D2)
ポリブチレンサクシネート樹脂(三菱化学社製、商品名“GSPla”(登録商標)FZ91PN)
[フィルムの作製]
(実施例1)
原料について表1に記載の配合比となるようにシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付二軸押出機に供給して溶融混練し、均質化した後にペレット化して組成物を得た。この組成物のペレットを、回転式ドラム真空乾燥機を用いて、温度90℃で5時間真空乾燥した。真空乾燥した組成物のペレットをインフレーション法により、シリンダー温度200℃で、スクリュー径60mmの単軸押出機に供給し、直径250mm、リップクリアランス1.0mm、温度を190℃に設定した環状ダイスにより、ブロー比2.0にてバブル状に上向きに押出し、冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら、引き取りしてロール状に巻き取った。次いで、上記フィルムを、由利ロール社製電気加熱式エンボス機“HTEM−300型”にセットしたエンボスロール(I)とゴムロールの間を、ロール温度120℃(上段下段両方)、ニップ圧力(線圧)50kg/cm、ロール回転速度5.0m/minの条件で通すことで、エンボス加工した。続いて、該エンボス加工済みフィルムを用い、同エンボス機にてエンボスロール(II)とゴムロールの間を、同様のエンボス条件で通して、2度目のエンボス加工を行った。製膜後のエンボス加工前の賦形前フィルムの物性およびエンボス加工により得られたフィルムの物性及び評価結果を表1に示す。

0115

(実施例2〜6、14−20、比較例4)
表1または2に記載の組成とした以外は、実施例1と同様の方法により賦形前フィルムを得た。続いて表1または2に記載のエンボスロールを用いて、実施例1と同様の方法によりエンボス加工を行った。賦形前フィルムの物性およびエンボス加工により得られたフィルムの物性及び評価結果を表1、表2または表4に示す。

0116

(比較例1、2)
表2に記載の組成とした以外は、実施例1と同様の方法により賦形前フィルムを得た。続いて表2に記載のエンボスロールを用いて、エンボス加工を1度だけ行った。賦形前フィルムの物性およびエンボス加工により得られたフィルムの物性及び評価結果を表2に示す。

0117

(比較例3)
表2に記載の組成とした以外は、実施例1と同様の方法により賦形前フィルムを得た。この賦形前フィルムについては、エンボス加工等の凹部を賦形する処理は行わず、実施例1のエンボス加工後のフィルムと同様の評価を行った。フィルムの物性及び評価結果を表2に示す。

0118

(実施例7−13)
層用およびB層用の各原料について、表3に記載の配合比となるようにシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付二軸押出機に供給して溶融混練し、均質化した後にペレット化して組成物を得た。この組成物のペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度90℃で5時間真空乾燥し、A層用およびB層用の組成物を得た。続いてこれらの組成物をシリンダー温度200℃、スクリュー径60mmの、それぞれ独立したA層用単軸押出機およびB層用単軸押出機に供給し、直径250mm、リップクリアランス1.0mm、温度190℃のスパイラル型環状ダイスより、A層/B層/A層の2種3層構成となるように、ブロー比:2.0にてバブル状に上向きに押出し、冷却リングにより空冷し、冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら、引き取りしてロール状に巻き取った。得られた積層フィルムを実施例1と同様の方法で、表3に記載のエンボスロールを用いて実施例1と同様の方法によりエンボス加工を行った。賦形前フィルムの物性およびエンボス加工により得られたフィルムの物性及び評価結果を表3に示す。

0119

0120

0121

0122

実施例

0123

表における、「結晶性を有する熱可塑性エラストマー(質量%)」「非晶性の熱可塑性エラストマー(質量%)」、及び「熱可塑性エラストマー以外の樹脂」は、各層の樹脂全体を100質量%として算出した。
表における「充填剤」の項目の「質量部」は、各層の樹脂全体を100質量部として算出した。

0124

本発明により、フィルムとして用いるために必要な機械特性、布のような柔らかい風合い、心地良い触感、及び自然な外観を有するフィルムを提供することができる。本発明のフィルムは、具体的には、ベッド用シーツ枕カバー衛生ナプキン紙おむつなどの吸収性物品バックシートといった医療・衛生材、雨天衣類手袋などの衣料材料ゴミ袋堆肥袋、あるいは野菜果物などの食品用袋、各種工業製品の袋などの包装材料ビル、住宅、化粧板といった建材鉄道車両船舶航空機といった輸送機内での内装材料建築用材料などに好ましく用いることができる。

0125

c1:フィルム
c2:凹部1
c3:凹部2
c4:ベースライン
c5:凹部1の深さ
c6:凹部2の深さ
I−I’:切削面
d:エンボスロール表面の凹凸差
e:エンボスロール表面の凹凸部のピッチ
f×g:圧着面積
h:フィルム
J−J’:長手方向と平行な切削面
K−K’:JJ’に対して時計回りに15°ずれた切削面
L−L’:KK’に対して時計回りに15°ずれた切削面
M−M’:LL’に対して時計回りに15°ずれた切削面
N−N’:MM’に対して時計回りに15°ずれた切削面
O−O’:NN’に対して時計回りに15°ずれた切削面
P−P’:OO’に対して時計回りに15°ずれた切削面

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