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技術 位置変動に対して性能低下防止機能を有するOFDM変調を用いた水中超音波通信装置

出願人 国立大学法人琉球大学独立行政法人国立高等専門学校機構株式会社オキシーテック
発明者 和田知久鈴木大作中川重夫
出願日 2016年4月22日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2016-085918
公開日 2017年10月26日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2017-195566
状態 特許登録済
技術分野 伝送の細部、特殊媒体伝送方式 交流方式デジタル伝送 時分割方式以外の多重化通信方式
主要キーワード ダウンコンバージョン処理 探査船 水中通信 パラレルデータ伝送 時間的位相 無人探査 潜水調査船 送波装置
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年10月26日)のものです。
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図面 (13)

課題

送波器受波器位置変動に伴う伝送性能の低下を防止し、位置変動に強いOFDM変調を用いた水中超音波通信装置を提供する。

解決手段

受波信号サンプリング周波数ディジタル値に変換するアナログディジタル変換部及びダウンコンバージョン処理31と送受波器間の位置変動に伴って受波信号が時間的に伸び縮みする割合を検知する伸び縮み比率検知部32とディジタル値に変換された受波信号を伸び縮み比率に応じてリサンプリング変換するリサンプリング部とリサンプリング変換により生じた周波数ズレ補正するデロテーション部33とOFDM信号直交周波数分割多重)を構成するサブキャリアの一部の時間的変化によりドップラーシフト量を検知するドップラーシフト検知部34とを備える。ドップラーシフト量をもとにOFDM信号のドップラー補正を行うことで送受波器間の位置変動に対する受波信号の精度改善を図る。

概要

背景

従来の海中での通信方式は、いわゆるシングルキャリア方式が主流であり、ある周波数正弦波をある時間単位振幅位相を変化させて、その変化を受波側で検知することにより、ディジタル情報通信を行っていた。
図8は、有人潜水調査船しんかい6500」(海洋研究開発機構(JAMSTEC)所有)対応のディジタル画像伝送装置に関する論文として、株式会社オキシテックが2013年9月に発行したニュースレター(No.29)に掲載された同装置の処理フローを示したものである。

同図は、ある瞬間の変調された信号の送受波仕組みを説明したものであるが、このある変調された信号の、振幅特性および位相特性(1)が、送波器水中音波伝搬受波器のそれぞれの特性(2)、(3)、(4)の影響を受け、受波器出力では(5)のように(1)と比べて大きく変化していることを示している。
これは、通信路により波形が歪んだことに起因する。
そして、その波形の歪みを除去するために、アダプティブイコライザーが用いられて波形歪みの除去を行っており、結果的に(6)に示される送波信号再現する方法が示されている。

また、電波通信では、異なる周波数を搬送波として利用して、同時に複数のパラレル通信を実現することで、伝送容量を上げる方法が提案されている。
その中で特に主流な方式は、直交周波数分割多重(Orthogonal frequency Division Multiplex)、いわゆるOFDMである。
OFDMでは、異なる周波数の隣接周波数の差を小さくすることが可能であり、ある決められた利用可能な周波数帯域に最大の数の異なる周波数ごとに、データを伝送することが可能である。
このデータを伝送する周波数の多数の搬送波をOFDMでは特にサブキャリア—と呼んでいる。

しかし、水中通信においては、送波器や受波器の位置が時間とともに変動するような、いわゆる移動体通信では、その移動によるドップラー効果による影響をアダプティブイコライザーだけでは補正することが困難であり、移動時の性能の劣化が大きいという問題があった。
また、大容量伝送を実現するためにはOFDM方式を用いることが一般的だが、OFDM方式では、多数のサブキャリアを用いたパラレルデータ伝送を行うので、ドップラー効果等の影響により、各サブキャリア間干渉が生じて著しく性能が劣化するなど、ドップラー効果の影響を受けやすいという問題があった。

これに対し、特許文献1には、複数の送信機および/あるいは受信機に複数の周波数を割当て、複数の送信機に同一あるいは共通のデジタル信号並列に入力し、複数の受信機から出力される複数のデジタル信号から正常に受信されたものを選択して出力することで、伝送遅延が少なく他から妨害あるいは干渉を受けた場合にも信頼性の高い伝送を可能にするデジタル信号伝送装置が開示されている。

概要

送波器や受波器の位置変動に伴う伝送性能の低下を防止し、位置変動に強いOFDM変調を用いた水中超音波通信装置を提供する。受波信号サンプリング周波数ディジタル値に変換するアナログディジタル変換部及びダウンコンバージョン処理31と送受波器間の位置変動に伴って受波信号が時間的に伸び縮みする割合を検知する伸び縮み比率検知部32とディジタル値に変換された受波信号を伸び縮み比率に応じてリサンプリング変換するリサンプリング部とリサンプリング変換により生じた周波数のズレを補正するデロテーション部33とOFDM信号(直交周波数分割多重)を構成するサブキャリアの一部の時間的変化によりドップラーシフト量を検知するドップラーシフト検知部34とを備える。ドップラーシフト量をもとにOFDM信号のドップラー補正を行うことで送受波器間の位置変動に対する受波信号の精度改善をる。

目的

本発明は、上記課題に鑑み、送波器や受波器の位置変動に伴う伝送性能の低下を防止し、位置変動に強いOFDM変調を用いた水中超音波通信装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

受波信号サンプリング周波数ディジタル値に変換するアナログディジタル変換部と、送受波器間位置変動に伴って受波信号が時間的に伸び縮みする割合(伸び縮み比率)を検知する伸び縮み比率検知部と、ディジタル値に変換された受波信号を伸び縮み比率に応じてリサンプリング変換するリサンプリング部と、リサンプリング変換により生じた周波数ズレ補正するデロテーション部と、OFDM信号直交周波数分割多重)を構成するサブキャリアの一部の時間的変化によりドップラーシフト量を検知するドップラーシフト検知部と、を備え、ドップラーシフト量をもとにOFDM信号のドップラー補正を行うことで、送受波器間の位置変動に対する受波信号の精度改善を図ることを特徴とする水中超音波通信装置。

請求項2

伸び縮み比率検知部が、時間方向に定期的に計測された遅延プロファイルの時間的ズレ量を用いて伸び縮み比率を決定することを特徴とする請求項1に記載の水中音響通信装置

請求項3

リサンプリング部が、ディジタル値に変換された受波信号に対して、係数可変FIRフィルターでリサンプリング変換することを特徴とする請求項1または2に記載の水中音響通信装置。

請求項4

デロテーション部が、リサンプリング変換により発生した周波数のズレ量(例えば、)の複素共役値乗算として実現されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水中音響通信装置。

請求項5

ドップラーシフト検知部が、OFDM信号に含まれる、時間方向に連続的に配置されたコンティニュウスパイロット時間的位相変化によりドップラーシフト量を検知することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水中音響通信装置。

請求項6

水中超音波通信装置からのOFDM信号を構成するサブキャリアごとに、受波信号に含まれるノイズ成分電力パワー推定するノイズパワー推定部を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の水中超音波通信装置。

請求項7

水中超音波通信装置からのOFDM信号を構成する複数のサブキャリアごとに復調処理を行い、複数の出力値に基づいて出力合成を行うダイバーシティ合成部を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の水中超音波通信装置。

請求項8

ダイバーシティ合成部が、複数の水中超音波通信装置からのOFDM信号を構成するサブキャリアごとに、ノイズパワー推定部の出力値に応じて、出力合成を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の水中超音波通信装置。

技術分野

0001

この発明は、海洋での潜水夫同士または潜水夫との大容量海中ディジタル通信を実現し、安全確認、位置把握等への応用や、海中探査船、海中ロボット等が取得したディジタル情報(画像、動画など)を母船送波して海洋資源探索等に応用できる水中超音波通信装置に関する。

背景技術

0002

従来の海中での通信方式は、いわゆるシングルキャリア方式が主流であり、ある周波数正弦波をある時間単位振幅位相を変化させて、その変化を受波側で検知することにより、ディジタル情報の通信を行っていた。
図8は、有人潜水調査船しんかい6500」(海洋研究開発機構(JAMSTEC)所有)対応のディジタル画像伝送装置に関する論文として、株式会社オキシテックが2013年9月に発行したニュースレター(No.29)に掲載された同装置の処理フローを示したものである。

0003

同図は、ある瞬間の変調された信号の送受波仕組みを説明したものであるが、このある変調された信号の、振幅特性および位相特性(1)が、送波器水中音波伝搬受波器のそれぞれの特性(2)、(3)、(4)の影響を受け、受波器出力では(5)のように(1)と比べて大きく変化していることを示している。
これは、通信路により波形が歪んだことに起因する。
そして、その波形の歪みを除去するために、アダプティブイコライザーが用いられて波形歪みの除去を行っており、結果的に(6)に示される送波信号再現する方法が示されている。

0004

また、電波通信では、異なる周波数を搬送波として利用して、同時に複数のパラレル通信を実現することで、伝送容量を上げる方法が提案されている。
その中で特に主流な方式は、直交周波数分割多重(Orthogonal frequency Division Multiplex)、いわゆるOFDMである。
OFDMでは、異なる周波数の隣接周波数の差を小さくすることが可能であり、ある決められた利用可能な周波数帯域に最大の数の異なる周波数ごとに、データを伝送することが可能である。
このデータを伝送する周波数の多数の搬送波をOFDMでは特にサブキャリア—と呼んでいる。

0005

しかし、水中通信においては、送波器や受波器の位置が時間とともに変動するような、いわゆる移動体通信では、その移動によるドップラー効果による影響をアダプティブイコライザーだけでは補正することが困難であり、移動時の性能の劣化が大きいという問題があった。
また、大容量伝送を実現するためにはOFDM方式を用いることが一般的だが、OFDM方式では、多数のサブキャリアを用いたパラレルデータ伝送を行うので、ドップラー効果等の影響により、各サブキャリア間干渉が生じて著しく性能が劣化するなど、ドップラー効果の影響を受けやすいという問題があった。

0006

これに対し、特許文献1には、複数の送信機および/あるいは受信機に複数の周波数を割当て、複数の送信機に同一あるいは共通のデジタル信号並列に入力し、複数の受信機から出力される複数のデジタル信号から正常に受信されたものを選択して出力することで、伝送遅延が少なく他から妨害あるいは干渉を受けた場合にも信頼性の高い伝送を可能にするデジタル信号伝送装置が開示されている。

先行技術

0007

特開2001-136114号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、特許文献1の発明は、OFDM方式によるものではなく、OFDM信号を構成するサブキャリアごとに出力合成を行うという観点はない。
したがって、OFDM受波装置を複数用い、そのOFDM受波装置の出力を合成してノイズ低減等を行うことで、送波器や受波器の位置変動に伴う伝送性能の精度改善を図るものではない。

0009

そこで、本発明は、上記課題に鑑み、送波器や受波器の位置変動に伴う伝送性能の低下を防止し、位置変動に強いOFDM変調を用いた水中超音波通信装置を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明に係る水中超音波通信装置は、受波信号ディジタル化し、送受波器の位置変動による時間的な伸び縮みの割合を検知し、その検知割合により受波信号のサンプリング周波数を変換し、同時にそのサンプリング周波数変換により生じた周波数ズレの補正を行う、OFDM(直交周波数分割多重)を用いた水中超音波通信装置であり、OFDM信号を構成するサブキャリア信号の一部の時間的変化によりドップラーシフトを検知して、OFDM信号のドップラー補正を行うことを特徴とするものである。
また、OFDM受波装置を複数用い、そのOFDM受波装置の出力を合成することによって、さらなるノイズ低減等を行うことを特徴とするものである。

発明の効果

0011

本発明によれば、水中を伝わる音波受波した場合に送受波器の位置変動によって生ずる時間的な信号の伸び縮みを補正することができる。
さらに、ドップラーシフト量を検知して補正することにより、残留ひずみを補正して伝送性能向上を実現することができる。
また、OFDM受波装置を複数用い、そのOFDM受波装置の出力を合成することによって、ノイズ成分抑圧することが可能となり、さらにノイズやひずみに強い水中超音波通信装置を実現することができる。

図面の簡単な説明

0012

本発明の通信装置の構成例を示す模式図
本発明の通信装置の一実施例を示す模式図
本発明の通信装置の一実施例を示す模式図
本発明の通信装置の受波装置に関するシステム構成
本発明の通信装置の受波装置の信号伸び縮み検知部に関する説明図
本発明の通信装置の受波装置の信号伸び縮み検知部に関する説明図
本発明のOFDM信号の構成の一実施例の説明図
本発明のOFDM信号の構成の一実施例の説明図
本発明のOFDM受波処理全体の流れを示す図
本発明の複数の復調処理による出力値を合成する合成部の説明図
従来のシングルキャリアを用いた水中音響通信ステム
リサンプル処理の説明図

実施例

0013

図1は、水中超音波通信装置の構成例を示した図である。
(11a)(11b)(12)はトランスデューサと呼ばれる、水中において音波もしくは超音波を受波もしくは送波するデバイスである。
水中超音波通信装置は、受波用トランスデューサを2本(11a)(11b)、送波用トランスデューサ(12)、本体(13)からなる。
受波用トランスデューサ2本(11a)(11b)が同時に受波を行い、その信号を水中超音波通信装置の本体(13)内にて復調処理および2つの受波信号の合成処理を行う。
この本体(13)は、防水スマートフォン等の電気通信端末(14)などと接続することにより、音声や画像、動画などの情報をトランスデューサを介して送波または受波できる。

0014

図2Aは、水中超音波通信装置の使用例として、海上の母船(20)、海中に沈められたマスター側の水中超音波通信装置(10)、ユーザ側のダイバー(21a)(21b)の水中超音波通信装置(10)、の関係を示した図である。
水中での超音波伝送により、マスター側とユーザ側の間でディジタル通信が実現され、ダイバー(21a)(21b)の状況を母船(20)で把握したり、母船(20)からの指示がダイバー(21a)(21b)に伝達される。

0015

図2Bは、水中超音波通信装置の使用例として、海上の母船(20)から、海中に沈められたマスター側の水中超音波通信装置(10)と、海中の無人探査船や海中ロボット(22)の水中超音波通信装置(10)の関係を示した図である。
水中での超音波伝送により、母船(20)側と無人探査船や海中ロボット(22)側間でディジタル通信が実現され、母船から無人探査船や海中ロボット(22)を制御したり、海中の画像等の情報を母船(20)に伝送することが可能となる。

0016

図3は、本発明に係る水中超音波通信装置(10)の、特に受波装置(30)に関する構成を表したブロック図である。
送波装置(36)から伝送波号が生成され、伝送チャンネル(37)に伝搬される。伝送チャンネル(37)を通った信号は受波装置(30)で復調処理される。
この図の実施例は、超音波の中心周波数を20KHzに仮定したものである。
中心周波数20KHzの信号は、一般的にパスバンド信号と呼ばれる。
受波装置(30)は、最初に中心周波数を20KHzから0Hzに変換するダウンコンバージョン処理(31)を行う。
実際には、ダウンコンバージョンの前もしくは直後に、受波したアナログ信号ディジタル信号に変換するADコンバータが必要であるが、ここでは省略している。
ダウンコンバージョン処理(31)の出力信号ベースバンド信号と呼ばれ、一般的には複素数として表現される。
その後、ダウンコンバージョンされた信号の時間的な伸び縮みを検知する伸び縮み比率検知部(32)において、伸び縮み比率の検知を行う。
この説明は、図4において後記する。
伸び縮み比率を用いた受波信号の補正は、リサンプルおよびデロテーション部(33)において行う。
補正は、前段のADコンバータである一定のサンプリング周波数でサンプリングされた信号のサンプリング周波数の補正を行うリサンプル処理と、前段のダウンコンバージョン(31)での周波数シフトの補正を行うデロテーション処理からなる。
リサンプル処理とは、システムのオリジナルサンプリング周期Tsをβ倍して、Ts´に変換する処理のことである。

0017

図9に示すように●のサンプル点を〇に変換する。
図から分かるように、オリジナルの●のサンプリング点を用いた補完処理が必要であり、通常係数可変FIRフィルター実装される。

0018

「デロテーション処理」とは、周波数の補正を意味するが、ここでは信号は複素数で表現されており、振動が回転として数学的に表現されるので、回転を示すローテーションに対して逆回転の意味でデロテーションという名称で表現している。

0019

デロテーション処理に関する説明は次のとおりである。
ダウンコンバージョンする複素指数関数次式で示す。



これを、t=n・Ts (Tsはサンプリング周期)でサンプリングすると、次式が得られる。



ここで、このサンプリング周期Tsに誤差があり、Ts´=β・Tsを用いて、サンプリング周期を変換すると、



となる。すなわち、βによる変換で、



の分だけ周波数がシフトしたことになる。
したがって、リサンプラーにより、Ts´=β・Tsを用いて、サンプリング周期を変換すると数5式の周波数ズレが発生するので、数5式の周波数ズレに対して、次式を乗算することで補正することができる。
この補正をデロテーション処理と呼んでいる。

0020

以上の処理で、送波器や受波器の移動によるドップラー効果などを含めた受波信号の時間方向への伸び縮みが補正される。
その後、(34)のブロック処理でドップラーシフトの補正を行い、(35)のブロック処理で、OFDMの復調を行う。

0021

図5A及び5Bは、OFDM信号の実施例を説明するための図である。
横軸は時間方向と対応しており、縦軸周波数方向に対応している。
ある時刻の縦に並んだ複数のプロットされた印はサブキャリアと呼ばれひとつの複素数に対応する。
この複素数の数値を用いて情報の伝送が行われる。
縦に並んだ複数のプロットされた印すなわち複数のサブキャリアは、同一の時刻のものであり、同時に伝送される複素数の集合ということになる。
本実施例では、2N+1個のサブキャリアを同時にパラレルに伝送を行っている。
▲のサブキャリア51を、本実施例ではSCATTERED PILOT (SP)と呼ぶ。
SPは時間方向のインデックス1,5、…の箇所で2つおきに周波数方向に挿入されている。
SPはあらかじめ決まった複素数が代入されるので、受波装置でSPの部分を用いて、送波側から受波側への伝送時にSPの複素数値がどのように変換されたかを検知することができる。
したがって、周波数領域の各周波数に対する伝送チャネルの影響を示すことができる。
これを一般的にはチャネル伝達関数CHANNEL TRANSFER FUNCTION (CTF)と言う。
また、□のサブキャリア52は、ある特定の周波数の箇所に時間方向に連続して置かれたパイロット信号であり、本実施例ではCONTINUOUS PILOT (CP)と呼ぶ。
SPと同様にCPもあらかじめ決まった複素数が代入されるので、受波装置でCPの部分を用いて、その場所のCTFを検知することができる。
その他のサブキャリアで示された○のサブキャリア53は、送波したいデータに応じて決定される複素数値であり、一般的にはBPSK、QPSK、16QAM、64QAM等のディジタル変調にて複素数値を決定することができる。
上記CPは時間方向に連続で配置されているので、時間方向のCTFの変化を常に検知することができる。
図3の(34)のブロックでは、FFT後にこのCPを取り出し、CTFの時間変化を検知することで、時間方向の変化すなわちドップラー効果による周波数シフト量を検知することができ、補正すべき位相を計算することができる。
この補正位相量を時間信号にフィードバックすることで、ドップラー補正を実現することができる。

0022

図5Bは、図5AのOFDM信号の一例でCPの部分を四角囲み強調したものである。
CPの部分は同一の複素数値が伝送されているので、ドップラー周波数シフトがない状態では、同じサブキャリア位置では同一値である。
このCPのあるサブキャリアにて、時間方向に連続する2つのCP値の変化を計測することで、OFDMシンボル間の位相ズレを検知することができる。
たとえば、時間方向に連続するCP値の値が、X0、X1である場合、



となる。
これは複素数であるので、



とし、φを求めることで、隣接サブキャリアの位相回転量を求めることができる。
OFDM信号のGI長をTg、OFDM有効シンボル長をTuとすると、時間(Tg+Tu)で、φの位相変化したことになる。



より、ドップラーシフト量は、



推定できる。
CPのサブキャリアごとに、ドップラーシフトの瞬時推定値が求まるので、すべてのCPのあるサブキャリアに対して平均処理を行うことで、推定値に含まれるノイズ成分を減らすことができる。

0023

次に、図4A、4Bを用いて、伸び縮み比率検知部(32)の詳細を説明する。
伸び縮み比率検知部(32)は、図5で示した時間方向インデックスで1、5、9…というように4おきにSPの配置されたOFDM信号を用いている。
まず、そのSPを含んだOFDM信号を高速フーリエ変換器(40)で、OFDM信号を時間領域から周波数領域に変換する。
その結果、図5の時間方向インデックスで1、5、9…等で示される複数のサブキャリア信号が得られる。
このうち、SP(51)を用いるとチャネル伝達関数(CTF)を求めることができる。
この一連CTF値逆高速フーリエ変換することで、遅延プロファイルを求めることができる。

0024

図4Bは、この遅延プロファイルを示した図である。
OFDM信号が反射等なしに伝搬チャンネルを伝搬した場合、図4Bの下側に実線で示すように、大きなピーク波形が得られる。
このピークの位置が、FFTを行った信号のFFT時間領域での遅延時間に対応する。
(43)でピークが発生する遅延時間の位置(PP)を検知することができる。
本実施例では、時間方向に4おきのインデックスで、同様の処理をすることが可能であり、以前の検知された遅延時間の位置PP(n-1)と現在のPP(n)の差分(44)をとることで、遅延時間の変動を検知することができ、この値により、受波信号の伸び縮みを検知することが可能である。

0025

図6は、図3乃至5をもとに全体の流れを説明した図である。
(61)は送受波器が移動しない場合の時間軸方向のOFDM信号を示したものであり、白の部分はガードインターバルGIとよばれる部分である。
(62)は遅延プロファイルを示しており、送受波器の移動はないので、FFTの窓位置を示す点線に対して変動することはない。
(63)は送受波器の位置が変動する場合に対応し、送受波器間の距離が時間とともに増大する場合に対応している。
したがって、(64)に示されているように、OFDM信号の先頭位置を示す遅延プロファイルのピークの位置は、次第にFFT窓位置を示す点線から右方向に移動(ズレ幅が拡大)している。
すなわち、このズレ幅の変化をモニターすることで、送受波器の位置変動を検知することが可能である。

0026

図5で示したように時間方向に4OFDMシンボルおきに、SPが配置されていることを前提に、図6では、5OFDMシンボルを処理の単位とし、その処理のウインドウを4OFDMシンボルごとにずらしながら処理を行っている。
(65)は1処理単位である5OFDMシンボルを取り出したものである。
(66)にはその5OFDMシンボルに対応する遅延プロファイルが示されている。
ここで、(65)の5OFDMシンボルの1番目の遅延プロファイルのズレds、5番目の遅延プロファイルのズレをdeと示している。
先に説明したように、deとdsの差を取ることにより、送受波器の移動によるOFDM信号の伸び縮みを検知することができる。
この伸び縮みをすでに説明したように、リサンプルおよびデロテーション部(33)にて補正することができる。
(67)と(68)は補正後のOFDM信号とその遅延プロファイルを示している。
この補正で大きなズレを補正することが可能であるが、その後、先に説明したDoppler補正を(34)で行い、(69)のOFDMシンボルを生成し、通常のOFDM復調処理を(35)で行う。
図3に示されるOFDM復調処理部(35)は、ひずみ補正がされた出力信号EQ、および推定したチャネル伝達関数CTF、ノイズ振幅の推定値NOISEを出力している。

0027

以上の構成で、位置変動に対する性能低下防止機能を有するOFDM変調を用いた水中超音波通信装置を実現することができる。

0028

さらに、受波装置(30)に複数の復調処理を行わせ、その出力値を合成することで、ひずみ補正がされた出力信号EQのSN比を改善できる。

0029

図7は、受波装置(30)において行った複数の復調処理(30a、30b、30c、30d)による出力値を合成する実施例を示した図である。
受波装置(30)において複数の復調処理(30a、30b、30c、30d)による出力のチャネル伝達関数CTFを絶対値の2乗することで、信号電力を推定することができる。
また、ノイズ振幅の推定値NOISEの絶対値の2乗を計算することで、ノイズ電力の推定値を得ることができる。
図7では、平均のノイズ電力の推定値を得るために、各サブキャリアの周波数ごとに、平均を行い各サブキャリアのノイズパワー平均値を計算している。ノイズパワー平均と上記信号電力の比を取ることで、いわゆる信号対雑音電力の比CNを計算することができる。
図7合成回路では、以下の式に従って、受波装置(30)による複数の復調処理(30a、30b、30c、30d)の出力EQ1、EQ2、EQ3、EQ4の合成を行い、合成された信号MRCを計算している。

0030

0031

この合成式は、各上記復調装置CN比を考慮して、出力を合成する方法であり、Cambridge University Press社の “Digital Front-End in Wireless Communication and Broadcasting.” Chapter 18. Diversity and error compensation in OFDMtransceivers: principles and implementation by Tomohisa Wadaに記載されている式(18.35)を参考にしている。

0032

以上のように、この発明のかかるOFDM変調を用いた水中超音波通信装置によれば、送受波器の位置変動により、受波信号が時間的に伸び縮みする割合である伸び縮み比率を検知する伸び縮み比率検知部、上記伸び縮み比率検知部出力値に応じて、ディジタル化された受波信号のサンプリング周波数を変換するリサンプリング部、上記リサンプリング部のリサンプリング処理により生じた周波数ズレを補正するデロテーション部により、送受波器の位置移動の影響を補償し、かつOFDM信号を構成するサブキャリア信号の一部の時間的変化によりドップラーシフトを検知するドップラーシフト検知部を備え、上記ドップラーシフト検知部出力により、OFDM信号のドップラー補正を行うことで、送受波器の位置変動があっても安定な受波性能を実現する効果がある。
また、上記水中超音波通信装置を複数用いて、その出力を合成することでさらに、安定な受波性能を実現する効果がある。

0033

10 水中超音波通信装置
11a受波用トランスデューサ
11b 受波用トランスデューサ
12送波用トランスデューサ
13 水中超音波通信装置の本体
14電気通信端末
20母船
21aダイバー
21b ダイバー
30受波装置
31ダウンコンバージョン
32伸び縮み比率検知部
33リサンプルおよびデロテーション部
34ドップラーシフト補正
35OFDM復調
40高速フーリエ変換器
51SCATTERED PILOT (SP)
52 CONTINUOUS PILOT (CP)
53 複素数値

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    【課題】簡単な処理でチャネル干渉を低減することができる無線通信装置を提供すること。【解決手段】無線通信装置80は、チャネル干渉の可能性がある複数のチャネルの中から使用チャネルを指定して通信を行う。無線... 詳細

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