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技術 レーダ装置、位相差折返判定方法

出願人 株式会社デンソーテン
発明者 松井功岡謙治黒野泰寛
出願日 2016年4月21日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-085353
公開日 2017年10月26日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-194379
状態 特許登録済
技術分野 方向探知 レーダ方式及びその細部
主要キーワード 位相差α チャープ波 ノコギリ波 相対速 経路長差 受信レベル差 mmテープ MMIC
関連する未来課題
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図面 (10)

課題

精度よく信号の到来方向推定する装置を提供する。

解決手段

第1周波数の信号と、前記第1周波数と異なる第2周波数の信号とを送信する送信アンテナを含む送信部と、前記第1周波数の信号が物標によって反射された第1信号と、前記第2周波数の信号が前記物標によって反射された第2信号とを受信する、第1受信アンテナ及び第2受信アンテナを含む受信部と、前記第1受信アンテナによって受信した前記第1信号と前記第2受信アンテナによって受信した前記第1信号との間の第1位相差と、前記第1受信アンテナによって受信した前記第2信号と前記第2受信アンテナによって受信した前記第2信号との間の第2位相差と、前記第1位相差と前記第2位相差との差に基づいて、前記第1位相差の折り返しを判定する制御部と、を備えるレーダ装置とする。

概要

背景

物標ターゲット)を検出するレーダ装置がある。レーダ装置は、周波数変調された電磁波を送受信することにより、レーダ装置から電磁波を反射した物標までの距離やレーダ装置との相対速度、レーダ装置からの物標の方向(角度)を推定することができる。

レーダ装置は、複数の受信アンテナで、物標で反射された電磁波を受信する。レーダ装置は、物標の方向(電磁波の到来方向)を、隣接する2つのアンテナが受信する反射波(反射された電磁波)の位相差によって求めることができる。位相差は、物標から各アンテナまでの経路長の差(経路長差)によって生じる。

隣接する2つの受信アンテナが、受信する電磁波の1/2波長以上離れている場合、−90°から+90°の検知エリアの中で、当該2つの受信アンテナが受信する同一の物標からの反射波の位相差が360°(2πrad)以上になることがある。sin(α)=sin(α+360°)であるため、レーダ装置は、例えば、位相差α(−180°<α≦180°)と、位相差α+360°とを、区別することができない。このため、位相差だけでは、物標の方向を1つに推定することができない。また、受信アンテナの間隔を狭くすると、位相差が−180°から+180°までの範囲に収まるが、アンテナ特性劣化する。

図1は、物標がレーダ装置から異なる方向にある場合の位相差の例を示す図である。図1では、レーダ装置の受信アンテナである、第1受信アンテナ及び第2受信アンテナが示されている。第1受信アンテナ及び第2受信アンテナの間隔は、dである。図1の左側では、レーダ装置の正面方向とのなす角がθである方向に存在する物標からの反射波を第1受信アンテナ及び第2受信アンテナで受信している。アンテナの間隔dは、反射波の波長よりも長い。図1の左側では、第1受信アンテナ及び第2受信アンテナで受信する反射波の位相差は、α(−180°<α≦180°)であるとする。図1の右側では、レーダ装置の正面方向とのなす角がφ(>θ)である方向に存在する物標からの反射波を、左側と同じ第1受信アンテナ及び第2受信アンテナで受信している。図1の右側では、第1受信アンテナ及び第2受信アンテナで受信する反射波の位相差は、α+360°であるとする。ここで、レーダ装置は、位相差αと、位相差α+360°とを、区別することができないので、位相差だけでは、物標の方向がθの方向か、φの方向かを推定することができない。

そこで、レーダ装置の複数の送信アンテナ(例えば、第1送信アンテナ、第2送信アンテナ)から電磁波を送信して、位相差から推定した物標の方向と、各送信アンテナに対する受信レベルに基づき、物標の方向を推定する技術がある。即ち、物標が位相差αに対応する方向に存在する場合と、位相差α+360°に対応する方向に存在する場合とで、第1送信アンテナによる信号の受信信号と、第2送信アンテナによる信号の受信信号とのレベル差が異なる。この特性を利用して、推定した方向に対して、受信レベル差を算出することで、物標の方向が位相差αに対応する方向であるのか、位相差α+360°に対応する方向であるのかを判定する。

概要

精度よく信号の到来方向を推定する装置を提供する。第1周波数の信号と、前記第1周波数と異なる第2周波数の信号とを送信する送信アンテナを含む送信部と、前記第1周波数の信号が物標によって反射された第1信号と、前記第2周波数の信号が前記物標によって反射された第2信号とを受信する、第1受信アンテナ及び第2受信アンテナを含む受信部と、前記第1受信アンテナによって受信した前記第1信号と前記第2受信アンテナによって受信した前記第1信号との間の第1位相差と、前記第1受信アンテナによって受信した前記第2信号と前記第2受信アンテナによって受信した前記第2信号との間の第2位相差と、前記第1位相差と前記第2位相差との差に基づいて、前記第1位相差の折り返しを判定する制御部と、を備えるレーダ装置とする。

目的

本発明は、精度よく信号の到来方向を推定する装置を提供することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

第1周波数の信号と、前記第1周波数と異なる第2周波数の信号とを送信する送信アンテナを含む送信部と、前記第1周波数の信号が物標によって反射された第1信号と、前記第2周波数の信号が前記物標によって反射された第2信号とを受信する、第1受信アンテナ及び第2受信アンテナを含む受信部と、前記第1受信アンテナによって受信した前記第1信号と前記第2受信アンテナによって受信した前記第1信号との間の第1位相差と、前記第1受信アンテナによって受信した前記第2信号と前記第2受信アンテナによって受信した前記第2信号との間の第2位相差と、前記第1位相差と前記第2位相差との差に基づいて、前記第1位相差の折り返しを判定する制御部と、を備えるレーダ装置

請求項2

周波数が連続的に変化するチャープ波を送信する送信アンテナを含む送信部と、前記チャープ波が物標によって反射された信号を受信する第1受信アンテナ及び第2受信アンテナを含み、前記チャープ波と受信した前記信号とによるビート信号を生成する受信部と、前記ビート信号のうち、前記第1受信アンテナによって受信した前記チャープ波の高域側の第1信号と前記第2受信アンテナによって受信した前記チャープ波の高域側の前記第1信号とに間の第1位相差と、前記第1受信アンテナによって受信した前記チャープ波の低域側の第2信号と前記第2受信アンテナによって受信した前記チャープ波の低域側の前記第2信号とに間の第2位相差と、前記第1位相差と前記第2位相差との差に基づいて、前記第1位相差の折り返しを判定する制御部と、を備えるレーダ装置。

請求項3

所定の周波数の信号を送受信するレーダ装置が、第1周波数の信号と、前記第1周波数と異なる第2周波数の信号とを送信し、前記第1周波数の信号が物標によって反射された第1信号と、前記第2周波数の信号が前記物標によって反射された第2信号とを、第1受信アンテナ及び第2受信アンテナで受信し、前記第1受信アンテナによって受信した前記第1信号と前記第2受信アンテナによって受信した前記第1信号との間の第1位相差と、前記第1受信アンテナによって受信した前記第2信号と前記第2受信アンテナによって受信した前記第2信号との間の第2位相差と、前記第1位相差と前記第2位相差との差に基づいて、前記第1位相差の折り返しを判定する、ことを実行する位相差折返判定方法

技術分野

0001

本発明は、レーダ装置位相差折返判定方法に関する。

背景技術

0002

物標ターゲット)を検出するレーダ装置がある。レーダ装置は、周波数変調された電磁波を送受信することにより、レーダ装置から電磁波を反射した物標までの距離やレーダ装置との相対速度、レーダ装置からの物標の方向(角度)を推定することができる。

0003

レーダ装置は、複数の受信アンテナで、物標で反射された電磁波を受信する。レーダ装置は、物標の方向(電磁波の到来方向)を、隣接する2つのアンテナが受信する反射波(反射された電磁波)の位相差によって求めることができる。位相差は、物標から各アンテナまでの経路長の差(経路長差)によって生じる。

0004

隣接する2つの受信アンテナが、受信する電磁波の1/2波長以上離れている場合、−90°から+90°の検知エリアの中で、当該2つの受信アンテナが受信する同一の物標からの反射波の位相差が360°(2πrad)以上になることがある。sin(α)=sin(α+360°)であるため、レーダ装置は、例えば、位相差α(−180°<α≦180°)と、位相差α+360°とを、区別することができない。このため、位相差だけでは、物標の方向を1つに推定することができない。また、受信アンテナの間隔を狭くすると、位相差が−180°から+180°までの範囲に収まるが、アンテナ特性劣化する。

0005

図1は、物標がレーダ装置から異なる方向にある場合の位相差の例を示す図である。図1では、レーダ装置の受信アンテナである、第1受信アンテナ及び第2受信アンテナが示されている。第1受信アンテナ及び第2受信アンテナの間隔は、dである。図1の左側では、レーダ装置の正面方向とのなす角がθである方向に存在する物標からの反射波を第1受信アンテナ及び第2受信アンテナで受信している。アンテナの間隔dは、反射波の波長よりも長い。図1の左側では、第1受信アンテナ及び第2受信アンテナで受信する反射波の位相差は、α(−180°<α≦180°)であるとする。図1の右側では、レーダ装置の正面方向とのなす角がφ(>θ)である方向に存在する物標からの反射波を、左側と同じ第1受信アンテナ及び第2受信アンテナで受信している。図1の右側では、第1受信アンテナ及び第2受信アンテナで受信する反射波の位相差は、α+360°であるとする。ここで、レーダ装置は、位相差αと、位相差α+360°とを、区別することができないので、位相差だけでは、物標の方向がθの方向か、φの方向かを推定することができない。

0006

そこで、レーダ装置の複数の送信アンテナ(例えば、第1送信アンテナ、第2送信アンテナ)から電磁波を送信して、位相差から推定した物標の方向と、各送信アンテナに対する受信レベルに基づき、物標の方向を推定する技術がある。即ち、物標が位相差αに対応する方向に存在する場合と、位相差α+360°に対応する方向に存在する場合とで、第1送信アンテナによる信号の受信信号と、第2送信アンテナによる信号の受信信号とのレベル差が異なる。この特性を利用して、推定した方向に対して、受信レベル差を算出することで、物標の方向が位相差αに対応する方向であるのか、位相差α+360°に対応する方向であるのかを判定する。

先行技術

0007

特開2015−068724号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかし、レーダ装置での物標の検知方向の範囲が拡大すると、検知方向の範囲の境界付近では、受信アンテナにおける受信レベルが低下する。受信レベルが低下すると、レベル差が小さくなるため、レベル差を用いて、物標の方向を推定することが難しくなる。また、受信レベル差で物標方向の推定をするには、複数の送信アンテナを使用するため、レーダ装置の構成が複雑になる。

0009

本発明は、精度よく信号の到来方向を推定する装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
即ち、第1の態様は、
第1周波数の信号と、前記第1周波数と異なる第2周波数の信号とを送信する送信アンテナを含む送信部と、
前記第1周波数の信号が物標によって反射された第1信号と、前記第2周波数の信号が前記物標によって反射された第2信号とを受信する、第1受信アンテナ及び第2受信アンテナを含む受信部と、
前記第1受信アンテナによって受信した前記第1信号と前記第2受信アンテナによって受信した前記第1信号との間の第1位相差と、前記第1受信アンテナによって受信した前記第2信号と前記第2受信アンテナによって受信した前記第2信号との間の第2位相差と、前記第1位相差と前記第2位相差との差に基づいて、前記第1位相差の折り返しを判定する制御部と、
を備えるレーダ装置とする。

0011

開示の態様は、プログラム情報処理装置によって実行されることによって実現されてもよい。即ち、開示の構成は、上記した態様における各手段が実行する処理を、情報処理装置に対して実行させるためのプログラム、或いは当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として特定することができる。また、開示の構成は、上記した各手段が実行する処理を情報処理装置が実行する方法をもって特定されてもよい。開示の構成は、上記した各手段が実行する処理を行う情報処理装置を含むシステムとして特定されてもよい。

0012

プログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくても、並列的または個別に実行される処理を含む。プログラムを記述するステップの一部が省略されてもよい。

発明の効果

0013

本発明によれば、精度よく信号の到来方向を推定する装置を提供することを目的とする。

図面の簡単な説明

0014

図1は、物標がレーダ装置から異なる方向にある場合の位相差の例を示す図である。
図2は、本実施形態に係るレーダ装置の構成例を示す図である。
図3は、レーダ装置のおける送信信号、受信信号、ビート信号の例を示す図である。
図4は、制御部における位相折り返し判定動作フローの例を示す図である。
図5は、位相差の折り返しの例(1)を示す図である。
図6は、位相差の折り返しの例(2)を示す図である。
図7は、位相差の差の例を示す図である。
図8は、経路長の差の例を示す図である。
図9は、制御部における位相の折り返し判定の動作フローの変形例を示す図である。

実施例

0015

以下、図面を参照して実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、発明の構成は、開示の実施形態の具体的構成に限定されない。発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。

0016

〔実施形態〕
(構成例)
図2は、本実施形態に係るレーダ装置の構成例を示す図である。図2のレーダ装置10は、送信MMIC(Monolithic Microwave IntegratedCircuit)1、送信アンテナ2、
制御部4、受信MMIC5、第1受信アンテナ6、第2受信アンテナ7を含む。送信MMIC1及び送信アンテナ2は、送信部の一例である。受信MMIC5、第1受信アンテナ6、第2受信アンテナ7は、受信部の一例である。

0017

レーダ装置10の制御部4からの制御信号に基づいて、送信MMIC1を動作させ、送信アンテナ2より、周波数変調された送信電波が出力される。物標(ターゲット)で反射した電波が、第1受信アンテナ6、第2受信アンテナ7で、それぞれ受信される。

0018

レーダ装置10は、例えば、車両に搭載され、他の車両、標識、ガードレール等、車両の周囲に存在する物標を検知することに使用することができる。物標の検知結果は、車両の記憶装置やECU(Electrical Control Unit)等に対して出力され、例えばPCS(Pre-crash Safety System)などの車両制御に用いることができる。但し、本実施形態に係るレーダ装置1は、車載レーダ装置以外の各種用途(例えば、飛行中の航空機航行中船舶監視等)に用いられてもよい。

0019

送信MMIC1は、制御部4からの指示に基づいて、所定の周波数の電磁波を生成する。MMICは、マイクロ波信号発振増幅変調周波数変換等の信号処理を行うモノリシックマイクロ波集積回路である。ここで生成する電磁波の周波数は、76GHz程度のマイクロ波であるが、電磁波の周波数は、これに限定されるものではない。送信MMIC1は、少なくとも2種類の周波数の電磁波を生成する。

0020

ここでは、送信MMIC1は、FCM(Fast Chirp Modulation)方式の電磁波を生成
してもよい。FCM方式は、周波数が連続的に増加または減少するチャープ波を、送信信号として使用し、送信信号及び受信信号から生成されるビート信号に対して2次元FFTを施すことにより、距離・速度を計測する方式である。また、送信MMIC1は、FMCW方式の電磁波を生成してもよい。

0021

送信アンテナ2は、送信MMIC4で生成された電磁波を送信する。送信アンテナ2から送信された電磁波は、レーダ装置10の周囲の物体で反射されて、第1受信アンテナ6、第2受信アンテナ7で受信される。

0022

制御部4は、レーダ装置10を制御する。制御部4は、所定の周波数の送信信号の生成を指示する。また、制御部4は、受信信号に対して、演算処理を行う。制御部4は、コン
ピュータプログラムに従って信号の演算処理を行うプロセッサや、演算処理に係る情報を記憶するメモリ等を備える。制御部4は、汎用のプロセッサがコンピュータプログラムソフトウェア)に基づいて実現する構成に限定されず、例えば、プロセッサの内部あるいは外部に配置された専用の演算回路ハードウェア)によってその全部または一部が実現される構成であってもよい。メモリには、計算で使用される計算式や値、計算結果等が格納される。

0023

受信MMIC5は、第1受信アンテナ6、第2受信アンテナ7で受信した電磁波に対して、所定の処理を行う。受信MMIC5は、各アンテナで受信した電磁波(受信波)と送信波ミキシングし、送信波と受信波の差の絶対値をとることにより、ビート信号を生成する。

0024

第1受信アンテナ6、第2受信アンテナ7は、送信アンテナ2から送信され、レーダ装置10の周囲で反射された電磁波を受信する。受信アンテナの本数は、2本に限定されるものではなく、2本以上であってもよい。

0025

(動作例)
本実施形態のレーダ装置10の動作例をについて説明する。ここでは、レーダ装置10は、FCMのチャープ波を送信し、物標で反射した反射波を各受信アンテナで受信して、ビート信号を生成する。レーダ装置10は、ビート信号において、チャープ波の高い周波数による領域と、チャープ波の低い周波数による領域とで、FFT演算を行ってパワースペクトルを生成する。レーダ装置10は、パワースペクトルから所定のしきい値以上のピークを抽出する。当該ピークは、レーダ装置10の周囲の物標に対応する。レーダ装置10は、各ピークについて、第1受信アンテナ6における位相差と、第2受信アンテナ7における位相差とを算出する。レーダ装置10は、高い周波数による領域と、低い周波数による領域とで、それぞれ、第1受信アンテナ6と第2受信アンテナ7との間の位相差を算出する。さらに、レーダ装置10は、高い周波数による領域の位相差と、低い周波数による領域の位相差との差分により、位相の折り返しを判定する。ここで使用される送信信号は、FCM方式の送信信号の代わりにFMCW方式の送信信号であってもよい。

0026

レーダ装置10は、送信MMIC1で送信波(チャープ波)を生成して、送信アンテナ2を介して送信する。チャープ波は、周波数が連続的に増加または減少する電磁波である。送信アンテナ2から送信された送信波は、レーダ装置10の周囲の物標により反射される。レーダ装置10は、第1受信アンテナ6及び第2受信アンテナ7で、物標で反射された電磁波(反射波)を受信する。受信MMIC5は、各受信アンテナで受信した反射波を送信波とミキシングし、ビート信号を生成する。受信MMIC5は、ビート信号をAD(Analog to Digital)変換し、制御部4に出力する。

0027

図3は、レーダ装置のおける送信信号、受信信号、ビート信号の例を示す図である。図3の上のグラフでは、横軸が時間で、縦軸が、送信周波数又は受信周波数である。図3の上のグラフにおいて、太い点線で示されるノコギリ波が送信信号の周波数の時間変化を表し、太い実線で示されるノコギリ波が受信信号の周波数の時間変化を表す。送信信号は、周波数が連続的に減少するチャープ波である。受信信号は、送信信号の物標からの反射波による信号である。受信信号は、物標までの距離に応じて、送信信号から遅れて受信される。図4の下のグラフは、送信信号と受信信号とのミキシングによるビート信号の時間変化を表す。送信信号が周波数が連続的に減少するチャープ波であることから、1つのビート信号において、左側の部分が高い周波数の領域によるビート信号であり、右側の部分が低い周波数の領域によるビート信号である。ここでは、周波数の高低は、当該周波数が受信信号の周波数の範囲(チャープ波の周波数の範囲)の平均より高いか低いかをいう。

0028

図4は、制御部における位相の折り返し判定の動作フローの例を示す図である。図4の動作フローは、制御部4が、受信MMIC5から、各受信アンテナで受信した反射波によるビート信号を受信することにより、開始される。

0029

S101では、制御部4は、受信したビート信号のチャープ波の高い周波数による領域について、FFT演算を行いパワースペクトルを生成する。高い周波数の領域の幅は、例えば、1つのビート信号の領域のうち、高い周波数側の端から、20%の領域とすることができる。このとき、低い周波数の領域の幅も、1つのビート信号の領域のうち、低い周波数側の端から、20%の領域とする。この割合は、20%に限定されるものではない。この割合を大きくすると、演算に使用できるデータ量は多くなるが後に求める位相差の差が小さくなる。一方、この割合を小さくすると、演算に使用できるデータ量が少なくなるが、位相差の差が大きくなる。演算に使用できるデータ量が多くなると、演算上のノイズが軽減する。一方、位相差の差が大きくなると、位相の折り返しの判定が容易になる。よって、この割合は、ノイズの大きさと位相の折り返し判定の容易さとを鑑みて適宜決定される。制御部4は、受信アンテナ毎に、パワースペクトルを生成する。

0030

S102では、制御部4は、生成したパワースペクトルから所定のしきい値以上のピークを抽出する。各ピークは、それぞれ、物標に対応する。制御部4は、各ピークの位相差を算出する。ここで求まる位相差は、送信信号と各受信アンテナによる受信信号との間の位相差である。

0031

S103では、制御部4は、受信アンテナ間の位相差を算出する。制御部4は、S102で算出した各ピークの位相差について、受信アンテナ間の位相差を求める。即ち、1つのピークにおける、第1受信アンテナ6に対する位相差と第2受信アンテナ7に対する位相差との差が、受信アンテナ間の位相差となる。

0032

S104では、制御部4は、受信したビート信号のチャープ波の低い周波数による領域について、FFT演算を行いパワースペクトルを生成する。低い周波数の領域の幅のビート信号の幅に対する割合は、S101の高い周波数の領域の幅のビート信号の幅に対する割合と同じである。制御部4は、受信アンテナ毎に、パワースペクトルを生成する。

0033

S105では、制御部4は、生成したパワースペクトルから所定のしきい値以上のピークを抽出する。各ピークは、それぞれ、物標に対応する。制御部4は、各ピークの位相差を算出する。ここで求まる位相差は、送信信号と各受信アンテナによる受信信号との間の位相差である。

0034

S106では、制御部4は、受信アンテナ間の位相差を算出する。制御部4は、S102で算出した各ピークの位相差について、受信アンテナ間の位相差を求める。即ち、1つのピークにおける、第1受信アンテナ6に対する位相差と第2受信アンテナ7に対する位相差との差が、受信アンテナ間の位相差となる。

0035

これにより、各ピークについて、ビート信号のうちチャープ波の高い周波数の領域における受信アンテナ間の位相差と、ビート信号のうちチャープ波の低い周波数の領域における受信アンテナ間の位相差とが算出される。

0036

S107では、制御部4は、位相差の差を算出する。制御部4は、各ピークについて、S103で求めたチャープ波の高い周波数の領域による位相差と、S106で求めたチャープ波の低い周波数の領域による位相差との差を求める。

0037

図5は、位相差の折り返しの例(1)を示す図である。図5のグラフは、横軸がレーダ
装置10からの物標の方向であり、縦軸が当該物標からの第1受信アンテナの受信信号と第2受信アンテナの受信信号との位相差である。2つの受信アンテナの距離が信号の波長よりも長いと、物標からの受信アンテナまでの経路長の差が波長以上になることがある。経路長の差が波長以上になると、受信信号の位相差が−180°から+180°までの範囲を超えることがある。位相差がこの範囲を超えると、位相差では、この範囲内のものと区別がつかなくなる。位相差がこの範囲を超えることを、位相差が折り返すという。位相差が折り返すと、見た目の位相差は、位相差に+360°または−360°を加算して、−180°から+180°までの範囲となる。図5のグラフでは、物標の方向が角度X1と角度X2とで、位相差が折り返している。このため、見た目の位相差Zでは、物標の方向が角度Y1なのか、角度Y2なのかの区別がつかない。

0038

図6は、位相差の折り返しの例(2)を示す図である。図6のグラフは、横軸がレーダ装置10からの物標の方向であり、縦軸が当該物標からの第1受信アンテナの受信信号と第2受信アンテナの受信信号との位相差である。ここでは、送信信号(受信信号)の周波数が、f1の場合の例と、f2の場合の例を示す。ここでは、f1>f2である。例えば、高い周波数の領域の平均の周波数(中心の周波数)をf1、低い周波数の領域の平均の周波数(中心の周波数)をf2とする。送信信号の周波数が異なると、受信アンテナ間の
位相差も異なる。なお、図5のグラフにおける送信信号の周波数は、図6の周波数f2と同じである。

0039

図7は、位相差の差の例を示す図である。図7のグラフは、横軸がレーダ装置10からの物標の方向であり、縦軸が位相差の差である。ここでの位相差の差は、図6のグラフにおける周波数f1の第1受信アンテナの受信信号と第2受信アンテナの受信信号との位相差と、周波数f2の第1受信アンテナの受信信号と第2受信アンテナの受信信号との位相差と、の差である。図7のグラフの例では、物標の方向の角度Y1では、位相差の差は、
Z1であり、物標の方向の角度Y2では、位相差の差は、Z2(≠Z1)である。よって、図5では、区別できなかった物標の方向が、位相差の差を用いることにより区別できる。

0040

本実施形態で使用する第1の周波数f1(波長λ1)と第2の周波数f2(波長λ2)との比f1/f2(=λ2/λ1)は、最大で1.2程度である。ここでf1>f2とする。また、本実施形態で使用する受信アンテナの間隔dは、最大で2波長(2×λ2)程度である。このとき、物標の方向が+90°または−90°の場合で、位相差の差の絶対値は、次のようになる。




なお、位相差の差の絶対値は、物標の方向が+90°または−90°で最大となる。即ち、ここでは、位相差の差は、−180°から+180°までの範囲に収まる。しかし、2つの周波数の位相差の折り返しの回数差異が生じると、位相差の差が−180°から+180°までの範囲を超えたように見えることがある。位相差の差が、−180°から+180°までの範囲を超えたとき、位相差の差に+360°または、−360°を加算することにより、位相差の差が、−180°から+180°の範囲に入るようにする。図
7の位相差の差のグラフでは、位相差の差が−180°から+180°までの範囲に入るようにされている。位相差の差が−180°から+180°までの範囲を超える物標の方向の範囲は、例えば、図6の領域Aや領域Bである。

0041

図8は、経路長の差の例を示す図である。図8の例では、第1受信アンテナ6と第2受信アンテナとの間隔がdであり、角度θの方向に物標が存在している。このとき、物標と各受信アンテナとの間の経路長の差は、d×sinθと求まる。

0042

S108では、制御部4は、位相差の折り返しを判定する。制御部4は、受信信号の周波数における、物標の方向と、受信信号に対する受信アンテナ間の位相差との関係(図5参照)から、物標の方向の候補を求める。例えば、周波数(高い周波数の領域の平均の周波数)f2の受信信号の受信アンテナ間の位相差(S103で求めたもの)が、Zであったとする。すると、図5の関係から、物標の方向の候補は、角度Y1または角度Y2となる。次に、制御部4は、物標の方向と位相差の差(S107で求めたもの)の関係とから、物標の方向を決定する。ここでは、位相差の差が、Z1よりもZ2により近いとき、物標の方向は、角度Y2となる。また、位相差の差が、Z2よりもZ1により近いとき、物標の方向は、角度Y1となる。図5を参照して、物標の方向が角度Y1の時には、位相差の折り返しが発生しておらず、物標の方向が角度Y2の時には、位相差の折り返しが発生していることが分かる。このようにして、制御部4は、位相差の折り返しを判定する。受信信号に対する受信アンテナ間の位相差との関係や、物標の方向と位相差の差との関係は、受信アンテナ間の距離、受信信号の周波数等からあらかじめ算出して、制御部4のメモリ等に格納しておく。

0043

(変形例)
本実施形態のレーダ装置10の動作の変形例をについて説明する。上記の動作例では、レーダ装置10は、チャープ波を送信したが、ここでは、レーダ装置10は、第1周波数f1の送信信号及び第2周波数f2(<f1)の送信信号を送信する。レーダ装置10は、各送信信号を物標で反射した反射波を各受信アンテナで受信して、送信信号と各アンテナの受信信号との位相差を求める。同じ送信信号における位相差の差が、第1受信アンテナ6と第2受信アンテナ7との間の位相差となる。レーダ装置10は、第1周波数f1の信号による位相差と、第2周波数の信号による位相差との差分(位相差の差)により、位相の折り返しを判定する。

0044

レーダ装置10は、第1周波数f1の送信信号、第2周波数f2の送信信号を生成して、送信アンテナ2を介して送信する。送信信号の波形は、例えば、正弦波である。送信アンテナ2から送信された送信波は、レーダ装置10の周囲の物標により反射される。レーダ装置10は、第1受信アンテナ6及び第2受信アンテナ7で、物標で反射された電磁波(反射波)を受信する。受信MMIC5は、各受信アンテナで受信した反射波(受信波)を送信波とミキシングした信号を生成する。送信波と受信波との位相差は、ミキシング後の信号の振幅に依存する。受信MMIC5は、ミキシングした信号をAD(Analog to Digital)変換し、制御部4に出力する。

0045

図9は、制御部における位相の折り返し判定の動作フローの変形例を示す図である。図9の動作フローは、制御部4が、受信MMIC5から、各受信アンテナで受信した反射波による信号を受信することにより、開始される。

0046

S201では、制御部4は、第1周波数の受信信号による受信アンテナ間の位相差を算出する。制御部4は、受信MMIC5から出力された信号に基づいて、第2周波数の受信信号による受信アンテナ間の位相差を求める。制御部4から出力される信号は、送信信号と各受信アンテナとの受信信号との位相差の情報を有するので、これらを使用して、受信
アンテナ間の位相差を算出することができる。

0047

S202では、同様に、制御部4は、第2周波数の受信信号による受信アンテナ間の位相差を算出する。制御部4は、受信MMIC5から出力された信号に基づいて、第2周波数の受信信号による受信アンテナ間の位相差を求める。

0048

S203では、制御部4は、位相差の差を算出する。制御部4は、S201で求めた第1周波数f1の受信信号による位相差と、S106で求めた第2周波数f2の受信信号による位相差との差を求める。

0049

S204では、制御部4は、位相差の折り返しを判定する。制御部4は、受信信号の周波数における、物標の方向と、受信信号に対する受信アンテナ間の位相差との関係(図5参照)から、物標の方向の候補を求める。例えば、第2周波数f2の受信信号の受信アンテナ間の位相差(S201で求めたもの)が、Zであったとする。すると、図5の関係から、物標の方向の候補は、角度Y1または角度Y2となる。次に、制御部4は、物標の方向と位相差の差(S202で求めたもの)の関係とから、物標の方向を決定する。ここでは、位相差の差が、Z1よりもZ2により近いとき、物標の方向は、角度Y2となる。また、位相差の差が、Z2よりもZ1により近いとき、物標の方向は、角度Y1となる。図5を参照して、物標の方向が角度Y1の時には、位相差の折り返しが発生しておらず、物標の方向が角度Y2の時には、位相差の折り返しが発生していることが分かる。このようにして、制御部4は、位相差の折り返しを判定する。

0050

(実施形態の作用、効果)
本実施形態のレーダ装置10の動作例をについて説明する。ここでは、レーダ装置10は、所定の送信信号を送信し、物標で反射した反射波を各受信アンテナで受信して、送信信号及び受信信号に基づく信号を生成する。レーダ装置10は、各送信信号について、第1受信アンテナ6における位相差と、第2受信アンテナ7における位相差とを算出する。レーダ装置10は、高い周波数による信号と、低い周波数による信号とで、それぞれ、第1受信アンテナ6と第2受信アンテナ7との間の位相差を算出する。さらに、レーダ装置10は、高い周波数による信号の位相差と、低い周波数による信号の位相差との差分(位相差の差)により、位相の折り返しを判定する。

0051

レーダ装置10によれば、第1受信アンテナ6と第2受信アンテナ7との間隔を送信信号の波長よりも大きくすることができるため、折り返し判定の際の、受信アンテナの性能の劣化を防ぐことができる。

0052

レーダ装置10によれば、1つの送信アンテナ2、少なくとも2種類の周波数の送信信号の周波数差を使用することで、位相差の折り返しの判定を行うことができる。また、レーダ装置10によれば、位相差の折り返しが発生しないように、受信アンテナの間隔を送信周波数の波長以下にすることなく、物標からの信号の到来方向の推定を精度よく行うことができる。

0053

レーダ装置10によれば、FCMやFMCWの送信信号の高域(高い周波数の領域)と低域(低い周波数の領域)との2つの領域の信号を使用して、位相差の折り返しの判定を行うことができる。

0054

〈コンピュータ読み取り可能な記録媒体〉
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させること
により、その機能を提供させることができる。

0055

ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体内には、CPU、メモリ等のコンピュータを構成する要素を設け、そのCPUにプログラムを実行させてもよい。

0056

また、このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク光磁気ディスクCD−ROM、CD−R/W、DVD、DAT、8mmテープメモリカード等がある。

0057

また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。

0058

10レーダ装置
1 送信MMIC
2送信アンテナ
4 制御部
5 受信MMIC
6 第1受信アンテナ
7 第2受信アンテナ

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