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技術 冷間鍛造用鋼

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 志賀聡久保田学長谷川一宮西慶水上英夫
出願日 2016年4月22日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-085934
公開日 2017年10月26日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2017-193766
状態 特許登録済
技術分野 鋼の加工熱処理
主要キーワード 円位置 ラス間隔 初期圧縮率 X線解析 母材材質 各観察領域 使用チップ 粗形状
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この項目の情報は公開日時点(2017年10月26日)のものです。
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課題

冷間鍛造性および冷間鍛造後被削性に優れ、冷間鍛造後の表面硬化処理時におけるオーステナイト粒の粗大化を防止できる冷間鍛造用鋼を提供する。

解決手段

所定の化学組成を有する棒鋼または線材であり、表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNおよびAlN−Nb(CN)として析出しているAl量が0.010%以下、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)として析出しているNb量が0.020%以下であり、かつ、直径100nm以上の、AlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の合計の個数密度が50個/100μm2以下であり、圧延方向と平行な断面において、円相当径が2μm未満の硫化物の個数密度が300個/mm2以上である冷間鍛造用鋼とする。

概要

背景

自動車産業機械などに用いられる歯車プーリーシャフトなどの鋼製部品は、熱間鍛造または冷間鍛造により粗成形される場合が多い。冷間鍛造は、熱間鍛造と比べて寸法精度が高いので、鍛造後切削加工量を低減できる。このため、近年、冷間鍛造で粗成形される鋼製部品が多くなってきている。

冷間鍛造によって鋼材を粗成形する場合、鍛造での変形抵抗下げるとともに変形能を向上させるために、冷間鍛造前の鋼材に球状化焼鈍を施すことが多い。さらに、冷間鍛造後の鋼材には、切削加工を施し、浸炭焼入れあるいは浸炭窒化焼入れなどの表面硬化処理を行う場合が多い。

しかし、表面硬化処理時に鋼材に含まれるオーステナイト粒が粗大化すると、表面硬化処理後に得られる鋼製部品の疲労強度不足したり、表面硬化処理に伴う変形が大きくなったりする問題が生じやすい。このため、表面硬化処理時におけるオーステナイト粒の粗大化を安定して抑止できる鋼材が求められている。

また、鋼材に球状化焼鈍を施して球状化焼鈍組織にすると、冷間鍛造後の切削加工時における被削性が低下するという問題がある。この問題に対し、鋼に硫黄(S)を含有することで、被削性が向上することが知られている。Sは、鋼中のマンガン(Mn)と結合して、MnSを主体とするMn硫化物系介在物を形成し、被削性を向上させる。

しかしながら、被削性を高めるために、鋼材中のS含有量を高くすると、粗大な硫化物が多量に生成し、冷間鍛造性が低下する。このため、従来の冷間鍛造用鋼では、S含有量を低減することにより、冷間鍛造性の低下を抑制していた。その結果、従来の冷間鍛造用鋼は被削性が低かった。よって、冷間鍛造性を損ねることなく、S含有量を増加させて被削性を向上させた冷間鍛造用鋼材が要望されている。

従来、球状化焼鈍後に冷間鍛造により部品形状に成形される鋼材として、例えば、特許文献1〜特許文献3に記載のものがある。
特許文献1には、0.2〜0.6%のCを含み、初析フェライト分率が5〜30面積%であり、残部がベイナイトを主体する組織からなり、かつ、前記ベイナイト中におけるセメンタイトラス間隔平均値が0.3μm以上である球状化後の冷間鍛造性に優れた鋼線材棒鋼が開示されている。

特許文献2には、フェライト、ベイナイトおよびパーライトを含む混合組織を有し、ベイナイトの面積分率が30%以上であり、球状化後の冷間鍛造性に優れた肌焼用鋼線材・棒鋼が開示されている。

特許文献3には、棒鋼または線材の表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNおよびAlN−Nb(CN)として析出しているAl量が0.010%以下、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)として析出しているNb量が0.020%以下であり、かつ、直径100nm以上の、AlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の合計の個数密度が50個/100μm2以下であり、フェライト・ベイナイト組織面積率が80%以上、ベイナイトの面積率が30〜70%およびフェライト平均粒径が15〜40μmの金属組織を有する熱間圧延棒鋼または線材が開示されている。

概要

冷間鍛造性および冷間鍛造後の被削性に優れ、冷間鍛造後の表面硬化処理時におけるオーステナイト粒の粗大化を防止できる冷間鍛造用鋼を提供する。所定の化学組成を有する棒鋼または線材であり、表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNおよびAlN−Nb(CN)として析出しているAl量が0.010%以下、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)として析出しているNb量が0.020%以下であり、かつ、直径100nm以上の、AlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の合計の個数密度が50個/100μm2以下であり、圧延方向と平行な断面において、円相当径が2μm未満の硫化物の個数密度が300個/mm2以上である冷間鍛造用鋼とする。なし

目的

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、冷間鍛造性および冷間鍛造後の被削性に優れ、冷間鍛造後の表面硬化処理時におけるオーステナイト粒の粗大化を防止できる冷間鍛造用鋼を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

質量%で、C:0.10〜0.30%、Si:0.01〜1.00%、Mn:0.40〜1.80%、S:0.005〜0.030%、Cr:0.01〜1.60%未満、Al:0.010〜0.045%、N:0.010〜0.03%、Bi:0.0001〜0.0050%、Nb:0.02〜0.08%を含有し、P:0.05%以下、O:0.0025%以下に制限し、残部がFeおよび不純物からなり、下記式(1)を満たす化学組成を有する棒鋼または線材であり、表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNおよびAlN−Nb(CN)として析出しているAl量が0.010%以下、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)として析出しているNb量が0.020%以下であり、かつ、直径100nm以上の、AlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の合計の個数密度が50個/100μm2以下であり、圧延方向と平行な断面において、円相当径が2μm未満の硫化物の個数密度が300個/mm2以上であることを特徴とする冷間鍛造用鋼。0.8≦(Nb/93+Al/27)/(N/14)≦1.8(1)(式(1)中のNb、Al、Nは、質量%での各元素含有量とする。)

請求項2

Feの一部に代えて、質量%で、Mo:1.5%以下、Ni:1.0%以下、Cu:0.4%以下、V:0.35%以下、B:0.020%以下、Mg:0.0035%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有する、請求項1に記載の冷間鍛造用鋼。

技術分野

0001

本発明は、冷間鍛造用鋼に関する。

背景技術

0002

自動車産業機械などに用いられる歯車プーリーシャフトなどの鋼製部品は、熱間鍛造または冷間鍛造により粗成形される場合が多い。冷間鍛造は、熱間鍛造と比べて寸法精度が高いので、鍛造後切削加工量を低減できる。このため、近年、冷間鍛造で粗成形される鋼製部品が多くなってきている。

0003

冷間鍛造によって鋼材を粗成形する場合、鍛造での変形抵抗下げるとともに変形能を向上させるために、冷間鍛造前の鋼材に球状化焼鈍を施すことが多い。さらに、冷間鍛造後の鋼材には、切削加工を施し、浸炭焼入れあるいは浸炭窒化焼入れなどの表面硬化処理を行う場合が多い。

0004

しかし、表面硬化処理時に鋼材に含まれるオーステナイト粒が粗大化すると、表面硬化処理後に得られる鋼製部品の疲労強度不足したり、表面硬化処理に伴う変形が大きくなったりする問題が生じやすい。このため、表面硬化処理時におけるオーステナイト粒の粗大化を安定して抑止できる鋼材が求められている。

0005

また、鋼材に球状化焼鈍を施して球状化焼鈍組織にすると、冷間鍛造後の切削加工時における被削性が低下するという問題がある。この問題に対し、鋼に硫黄(S)を含有することで、被削性が向上することが知られている。Sは、鋼中のマンガン(Mn)と結合して、MnSを主体とするMn硫化物系介在物を形成し、被削性を向上させる。

0006

しかしながら、被削性を高めるために、鋼材中のS含有量を高くすると、粗大な硫化物が多量に生成し、冷間鍛造性が低下する。このため、従来の冷間鍛造用鋼では、S含有量を低減することにより、冷間鍛造性の低下を抑制していた。その結果、従来の冷間鍛造用鋼は被削性が低かった。よって、冷間鍛造性を損ねることなく、S含有量を増加させて被削性を向上させた冷間鍛造用鋼材が要望されている。

0007

従来、球状化焼鈍後に冷間鍛造により部品形状に成形される鋼材として、例えば、特許文献1〜特許文献3に記載のものがある。
特許文献1には、0.2〜0.6%のCを含み、初析フェライト分率が5〜30面積%であり、残部がベイナイトを主体する組織からなり、かつ、前記ベイナイト中におけるセメンタイトラス間隔平均値が0.3μm以上である球状化後の冷間鍛造性に優れた鋼線材棒鋼が開示されている。

0008

特許文献2には、フェライト、ベイナイトおよびパーライトを含む混合組織を有し、ベイナイトの面積分率が30%以上であり、球状化後の冷間鍛造性に優れた肌焼用鋼線材・棒鋼が開示されている。

0009

特許文献3には、棒鋼または線材の表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNおよびAlN−Nb(CN)として析出しているAl量が0.010%以下、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)として析出しているNb量が0.020%以下であり、かつ、直径100nm以上の、AlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の合計の個数密度が50個/100μm2以下であり、フェライト・ベイナイト組織面積率が80%以上、ベイナイトの面積率が30〜70%およびフェライト平均粒径が15〜40μmの金属組織を有する熱間圧延棒鋼または線材が開示されている。

先行技術

0010

特許第3737323号公報
特許第4411096号公報
特許第5397247号公報

発明が解決しようとする課題

0011

しかしながら、特許文献1に記載の鋼線材・棒鋼は、組織の初析フェライト分率が5〜30面積%と低いため、冷間鍛造での変形抵抗の低減が不十分である。また、特許文献1に記載の技術では、冷間鍛造後の表面硬化処理時におけるオーステナイト粒の粗大化に対する対策は講じられていない。
また、特許文献2に記載の技術も、冷間鍛造後の表面硬化処理時におけるオーステナイト粒の粗大化について考慮されていない。
さらに、特許文献1〜特許文献3に開示された技術は、いずれも冷間鍛造後の被削性向上について何ら考慮されておらず、冷間鍛造後の切削性は不明確である。

0012

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、冷間鍛造性および冷間鍛造後の被削性に優れ、冷間鍛造後の表面硬化処理時におけるオーステナイト粒の粗大化を防止できる冷間鍛造用鋼を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0013

[1] 質量%で、
C:0.10〜0.30%、
Si:0.01〜1.00%、
Mn:0.40〜1.80%、
S:0.005〜0.030%、
Cr:0.01〜1.60%未満、
Al:0.010〜0.045%、
N:0.010〜0.03%、
Bi:0.0001〜0.0050%、
Nb:0.02〜0.08%
を含有し、
P:0.05%以下、
O:0.0025%以下
に制限し、残部がFeおよび不純物からなり、
下記式(1)を満たす化学組成を有する棒鋼または線材であり、
表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNおよびAlN−Nb(CN)として析出しているAl量が0.010%以下、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)として析出しているNb量が0.020%以下であり、かつ、直径100nm以上の、AlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の合計の個数密度が50個/100μm2以下であり、
圧延方向と平行な断面において、円相当径が2μm未満の硫化物の個数密度が300個/mm2以上であることを特徴とする冷間鍛造用鋼。

0014

0.8≦(Nb/93+Al/27)/(N/14)≦1.8 (1)
(式(1)中のNb、Al、Nは、質量%での各元素の含有量とする。)

0015

[2] Feの一部に代えて、質量%で、
Mo:1.5%以下、
Ni:1.0%以下、
Cu:0.4%以下、
V:0.35%以下、
B:0.020%以下、
Mg:0.0035%以下
からなる群から選択される1種または2種以上を含有する、[1]に記載の冷間鍛造用鋼。

発明の効果

0016

本発明の冷間鍛造用鋼は、冷間鍛造性および冷間鍛造後の被削性に優れ、冷間鍛造後の表面硬化処理時におけるオーステナイト粒の粗大化を防止できる。よって、本発明の冷間鍛造用鋼は、冷間鍛造により粗成形される歯車、プーリー、シャフトなどの鋼製部品の素材として好適に用いることができる。

0017

本発明者らは、上記課題を解決するために、冷間鍛造用鋼に関する研究および検討を行った。その結果、以下に示す(a)〜(f)の知見を得た。
(a)微量のBiを含む所定の化学組成を有する冷間鍛造用鋼(棒鋼または線材)とすることで、冷間鍛造後の表面硬化処理中におけるピン止め粒子(AlNなど)の固溶・粗大化が抑制され、粗大なオーステナイト粒の発生を抑制できることを明らかにした。

0018

(b)切削は、切りくずを分離する破壊現象である。切削を促進させるには、マトリックス脆化させることが一つのポイントである。鋼材中に硫化物を微細分散させることにより、破壊を容易にすると、切りくず処理性(被削性)が向上する。しかし、鋼材中に粗大な硫化物が少数分散していると、切りくず分離の起点となる硫化物の間隔が長くなる。その結果、切りくずが長くなりやすくなる。

0019

なお、本実施形態における「硫化物」とは、以下に示すMn硫化物系介在物の総称を意味する。
すなわち、MnSを主体に含み、Fe、Ca、Ti、Zr、Mg、REM等の硫化物がMnSと固溶または結合して共存している介在物、MnTeのようにS以外の元素がMnと化合物を形成してMnSと固溶・結合して共存している介在物、酸化物を核として析出した上記介在物が含まれるものであり、化学式では(Mn、X)(S、Y)(ここで、X:Mn以外の硫化物形成元素、Y:S以外でMnと結合する元素)として表記できるMn硫化物系介在物の総称である。なお、介在物が硫化物であることは、走査電子顕微鏡付属するエネルギー分散X線解析によって確認できる。

0020

(c)本発明者らは、硫化物の円相当径と切りくず処理性との関係について種々実験を行った。その結果、平均円相当径が2μm未満の硫化物の個数密度が300個/mm2以上であると、切りくず処理性が向上するという知見を得た。

0021

(d)鋼材中の硫化物は、凝固前(溶鋼中)または凝固時に晶出することが多い。したがって、鋼材中の硫化物の大きさは、凝固時の冷却速度に大きく影響を受ける。また、連続鋳造鋳片の凝固組織は、通常はデンドライト形態(デンドライト)を呈している。デンドライトは、凝固過程における溶質元素拡散に起因して形成される。溶質元素は、デンドライトの樹間部において濃化する。具体的には、デンドライトの樹間部でMnが濃化し、Mn硫化物が晶出する。

0022

(e)鋼材中に硫化物を微細に分散させるには、デンドライトの樹間の間隔を短くする必要がある。デンドライトの1次アーム間隔は、下記(A)式で表すことができる。
λ∝(D×σ×ΔT)0.25 …(A)
(A)式において、λはデンドライトの1次アーム間隔(μm)、Dは拡散係数(m2/s)、σは固液界面エネルギー(J/m2)、ΔTは凝固温度範囲(℃)である。

0023

(A)式から、デンドライトの1次アーム間隔λは、固液界面エネルギーσに依存しており、σが低減すればλも減少することがわかる。1次アーム間隔λを減少できれば、デンドライトの樹間部に晶出するMn硫化物のサイズを低減できる。本発明者らは、鋼にBiを微量添加することにより、1次アーム間隔λを減少でき、硫化物のサイズを微細化できることを見出した。

0024

(f)さらに、本発明者らは、冷間鍛造用鋼(棒鋼または線材)の断面全域において、冷間鍛造後の表面硬化処理時におけるオーステナイト粒の粗大化を抑制するには、表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、AlNおよびAlN−Nb(CN)として析出しているAl量を0.010%以下とし、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)として析出しているNb量を0.020%以下とする必要がある。さらに、表面から半径の1/5までの領域および中心部から半径の1/5までの領域において、直径100nm以上の、AlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の合計の個数密度が50個/100μm2以下とする必要があるという知見を得た。
本発明は、上記(a)〜(f)の知見に基づいて完成されたものである。

0025

以下、本発明の冷間鍛造用鋼について詳細に説明する。
歯車などの鋼製部品の素材として用いる冷間鍛造用鋼は、例えば、連続鋳造した鋳片に熱間圧延や熱間鍛造といった熱間加工を行うことにより製造される。得られた冷間鍛造用鋼は、冷間鍛造した後、例えば、所定の部品形状に切削し、更に浸炭焼き入れ等の表面硬化処理を実施することにより部品となる。

0026

冷間鍛造用鋼中の硫化物は、冷間鍛造性を低下させるが、切削性の向上には極めて有効である。すなわち、被削材である冷間鍛造用鋼中の硫化物は、切削工具摩耗による工具変化を抑制し、工具寿命延ばす効果を発現する。したがって、切削性を高めるには、鋼中に硫化物を生じさせることが望ましい。

0027

一方、冷間鍛造用鋼を製造する過程で熱間圧延や熱間鍛造といった熱間加工を施すと、粗大な硫化物が延伸して被削性が低下することが多い。硫化物の粗大化を抑制するためには、溶鋼中の固液界面エネルギーを低減して、鋳造後の鋳片のデンドライトを微細化することが望ましい。デンドライトは、硫化物の粒径に大きく影響する。デンドライトが微細になるほど、硫化物の粒径が小さくなる。

0028

冷間鍛造用鋼中に硫化物を安定的にかつ効果的に微細分散させるには、微量のBiを含む化学組成とすることにより、溶鋼中の固液界面エネルギーを低減させることが好ましい。固液界面エネルギーを低減させると、鋳片のデンドライトが微細となり、そこから晶出する硫化物が微細化される。

0029

次に、本実施形態の冷間鍛造用鋼の化学組成について説明する。なお、各元素の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
本実施形態の冷間鍛造用鋼は、C:0.10〜0.30%、Si:0.01〜1.00%、Mn:0.40〜1.80%、S:0.005〜0.030%、Cr:0.01〜1.60%未満、Al:0.010〜0.045%、N:0.010〜0.03%、Bi:0.0001〜0.0050%、Nb:0.02〜0.08%を含有し、P:0.05%以下、O:0.0025%以下に制限し、残部がFeおよび不純物からなり、下記式(1)を満たす化学組成を有する。

0030

0.8≦(Nb/93+Al/27)/(N/14)≦1.8 (1)
(式(1)中のNb、Al、Nは、質量%での各元素の含有量とする。)

0031

(C:0.10〜0.30%)
炭素(C)は、鋼の引張強度および疲労強度を高める。一方、C含有量が多すぎると、鋼の冷間鍛造性が低下し、被削性が低下する。したがって、C含有量は0.10〜0.30%である。好ましいC含有量は0.14〜0.28%であり、さらに好ましくは、0.15〜0.25%である。

0032

(Si:0.01〜1.00%)
シリコン(Si)は、鋼中のフェライトに固溶して、鋼の引張強度を高める。一方、Si含有量が多すぎると、鋼の冷間鍛造性が低下する。したがって、Si含有量は、0.01〜1.00%である。好ましいSi含有量は0.15〜0.70%であり、さらに好ましくは0.20〜0.35%である。

0033

(Mn:0.40〜1.80%)
マンガン(Mn)は、鋼に固溶して鋼の引張強度及び疲労強度を高め、鋼の焼入れ性を高める。Mnはさらに、鋼中の硫黄(S)と結合してMnSを形成し、鋼の被削性を高める。一方、Mn含有量が高すぎると、粗大なMnSが生成し、疲労強度が低下する。したがって、Mn含有量は、0.40〜1.80%である。好ましいMn含有量は0.60〜1.30%であり、さらに好ましくは0.70〜1.20%である。

0034

(S:0.005〜0.030%)
硫黄(S)は、鋼中のMnと結合してMn硫化物を形成し、鋼の被削性を高める。一方、Sを過剰に含有すると、鋼の疲労強度が低下する。したがって、S含有量は、0.005〜0.030%である。好ましいS含有量は0.008〜0.018%であり、さらに好ましくは0.010〜0.016%である。

0035

(Cr:0.01〜1.60%未満)
クロム(Cr)は、鋼の焼入れ性及び引張強度を高める。本実施形態の冷間鍛造用鋼を用いて鋼製部品を製造する場合、部品形状とされた冷間鍛造用鋼に、浸炭処理高周波焼入れなどの表面硬化処理を行う場合がある。Crは、鋼の焼入れ性を高め、浸炭処理や高周波焼入れ後の鋼の表面硬度を高める。一方、Cr含有量が多すぎると、鋼の冷間鍛造性や疲労強度が低下する。したがって、Cr含有量は、0.01〜1.60%未満である。鋼の焼入れ性及び引張強度を高める場合、好ましいCr含有量は、0.03%〜1.50%であり、さらに好ましくは、0.10%〜1.20%である。

0036

(Al:0.010〜0.045%)
アルミニウム(Al)は、脱酸作用を有する。また、Alは、Nと結合してAlNを形成しやすく、浸炭加熱時のオーステナイト粒粗大化防止に有効な元素である。しかし、Alの含有量が0.010%未満では、冷間鍛造後の表面硬化処理時におけるオーステナイト粒の粗大化防止効果、および冷間鍛造での変形抵抗低減効果が十分に得られない。一方、Al含有量が0.045%を超えると、AlNが粗大となり、結晶粒の粗大化抑制に寄与しなくなる。したがって、Al含有量を0.010%〜0.045%とした。Al含有量の好ましい下限は0.020%であり、好ましい上限は0.035%である。

0037

(N:0.010〜0.03%)
窒素(N)は、AlN、Nb(CN)の析出による冷間鍛造後の表面硬化処理時における結晶粒の微細化、及び結晶粒の粗大化抑制を目的として添加する。N含有量が0.010%未満では、Nによる上記効果が十分に得られない。一方、N含有量が0.030%を超えると、Nを含有することによる上記効果が飽和する。また、過剰なNの添加は、鋼を脆化させ、鋳造、圧延時における割れキズの原因となる。以上の理由から、N含有量を0.010%〜0.03%の範囲内にする必要がある。N含有量の好適範囲は0.013〜0.02% である。

0038

(Bi:0.0001〜0.0050%)
ビスマス(Bi)は、本発明において重要な元素である。微量のBiを含有することによって、鋼の凝固組織が微細化され、硫化物が微細分散される。硫化物の微細化効果を得るには、Bi含有量を0.0001%以上とする必要がある。しかし、Bi含有量が0.0050%を超えると、デンドライトの微細化効果が飽和する。また、Bi含有量が0.0050%を超えると、熱間圧延時に表面割れが生じる。このことから、Bi含有量を0.0001〜0.0050%とする。被削性をさらに向上させるには、Bi含有量を0.0010%以上とすることが好ましい。また、Bi含有量は0.0048%以下であってもよい。

0039

(Nb:0.02〜0.08%)
ニオブ(Nb)は、Cおよび/またはNと結合してNbC、NbN、Nb(CN)を形成し、冷間鍛造後の表面硬化処理時におけるオーステナイト粒の粗大化防止効果を有する元素である。しかしながら、Nb含有量が0.02%未満では、前記の効果が十分に得られない。一方、Nb含有量が0.08%を超えると、上記のオーステナイト粒の粗大化防止効果がむしろ低下する。したがって、Nb含有量を0.02〜0.08%とした。なお、Nb含有量は0.03〜0.05%であることが好ましい。

0040

(P:0.05%以下)
燐(P)は不純物である。Pは鋼の冷間鍛造性および熱間加工性を低下する。したがって、P含有量は少ない方が好ましい。P含有量は0.05%以下である。好ましいP含有量は0.035%以下であり、さらに好ましくは、0.020%以下である。

0041

(O:0.0025%以下)
酸素(O)は、Alと結合して硬質酸化物系介在物を形成する。酸化物系介在物が鋼中に多量に存在すると、AlNやNb(CN)の析出サイトとなり、熱間圧延時に粗大なAlNおよび/またはNb(CN)が析出する。その結果、冷間鍛造後の表面硬化処理時における結晶粒の粗大化を抑制できなくなる。したがって、O含有量は、できるだけ低減することが望ましい。以上の理由から、O含有量を0.0025%以下に制限する必要がある。O含有量の好適範囲は0.0020%以下である。

0042

本実施形態における冷間鍛造用鋼の化学組成の残部は、Feおよび不純物からなる。本実施形態における不純物は、鉄鋼材料を工業的に製造する際に、鋼の原料として利用される鉱石スクラップ、あるいは製造過程の環境等から混入する元素をいう。

0043

[式(1)について]
冷間鍛造用鋼中のAlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の合計の個数密度(分散状態)には、鋼の化学組成が影響する。N含有量に対するAlおよび/またはNbの含有量が高すぎると、粗大なAlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)が析出し、結晶粒の粗大化抑制特性が低下する。鋼中のN含有量に対するAl含有量およびNb含有量を適切な範囲に設定することで、AlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の粗大化を抑制できる。

0044

本実施形態の冷間鍛造用鋼は、下記式(1)を満たす化学組成を有するため、冷間鍛造後の表面硬化処理時におけるオーステナイト粒の粗大化が抑制される。
0.8≦(Nb/93+Al/27)/(N/14)≦1.8 (1)
(式(1)中のNb、Al、Nは、質量%での各元素の含有量とする。対応する元素が不純物レベルの場合、式(1)の対応する元素記号には「0」が代入される。)

0045

式(1)は、結晶粒粗大化抑制特性の指標である。式(1)における(Nb/93+Al/27)/(N/14)が低すぎると、結晶粒の粗大化を抑制する析出物個数が少なくなり、結晶粒粗大化抑制特性に劣る。一方、(Nb/93+Al/27)/(N/14)が大きく、N含有量に対するAl含有量および/またはNb含有量が高すぎる場合、粗大化なAlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)が析出し、結晶粒粗大化抑制特性に劣る。

0046

本実施形態の冷間鍛造用鋼は、Mo、Ni、Cu、V、B及びMgからなる群から選択された1種以上を含有してもよい。Mo、Ni、Cu、V、B及びMgはいずれも、鋼の疲労強度を高める。

0047

(Mo:1.5%以下)
モリブデン(Mo)は、鋼の焼入れ性を高め、鋼の疲労強度を高める。また、Moは、浸炭処理において、不完全焼入れ層の生成を抑制する。Moを少しでも含有すれば、上記効果が得られる。一方、Mo含有量が多すぎると、鋼の被削性が低下する。さらに、鋼の製造コストも高くなる。したがって、Mo含有量は、1.5%以下である。Mo含有量が0.02%以上であれば、上記効果が顕著に得られる。好ましいMo含有量は0.05〜0.50%であり、さらに好ましくは、0.10〜0.30%である。

0048

(Ni:1.0%以下)
ニッケル(Ni)は、焼入れ性を高め、疲労強度を高めるために有効な元素であるので、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Ni含有量が1.0%を超えると、焼入れ性の向上による疲労強度向上効果が飽和するだけでなく、変形抵抗が高くなり冷間鍛造性の低下が顕著となる。そのため、Ni含有量を1.0%以下とした。Ni含有量は0.8%以下であることが好ましい。さらに、Niの焼入れ性向上による疲労強度を高める効果を安定して得るためには、Ni含有量は0.1%以上であることが好ましい。

0049

(Cu:0.4%以下)
銅(Cu)は、鋼の焼入性を高める元素である。Cuを含有することによる焼入れ性向上効果を安定して得るためには、Cu含有量は0.10%以上であることが好ましい。しかし、多量にCuを添加すると、鋼材の表面性状の劣化および合金コストの増加を招く。このため、Cu含有量の上限を0.4%以下とした。

0050

(V:0.35%以下)
バナジウム(V)は、鋼中で炭化物を形成し、鋼の疲労強度を高める。バナジウム炭化物は、フェライト中に析出して鋼の芯部(表層以外の部分)の強度を高める。Vを少しでも含有すれば、上記効果が得られる。一方、V含有量が多すぎると、鋼の冷間鍛造性および疲労強度が低下する。したがって、V含有量は0.35%以下とする。V含有量が0.03%以上であると、Vを含有することによる上記効果が顕著に得られる。好ましいV含有量は0.04〜0.20%であり、さらに好ましくは、0.05〜0.10%である。

0051

(B:0.020%以下)
ボロン(B)は、鋼の焼入れ性を高め、鋼の疲労強度を高める。Bが少しでも含有されれば、上記効果が得られる。B含有量が0.020%を超えると、上記効果は飽和する。したがって、B含有量は0.020%以下である。B含有量が0.0005%以上であれば、上記効果が顕著に得られる。好ましいB含有量は、0.001〜0.012%であり、さらに好ましくは、0.002〜0.010%である。

0052

(Mg:0.0035%以下)
マグネシウム(Mg)は、Alと同様に、鋼を脱酸し、鋼中の酸化物を微細化する。鋼中の酸化物が微細化されると、粗大酸化物を破壊起点とする破壊の確率が低下し、鋼の疲労強度が高まる。Mgを少しでも含有すれば、上記効果が得られる。一方、Mg含有量が多すぎると、上記効果は飽和し、かつ、鋼の被削性が低下する。したがって、Mg含有量は0.0035%以下である。Mg含有量が0.0001%以上であれば、上記効果が顕著に得られる。好ましいMg含有量は0.0003〜0.0030%であり、さらに好ましくは、0.0005〜0.0025%である。

0053

[硫化物]
硫化物は、切削性の向上に有用であるため、その個数密度を確保する必要がある。鋼中のS含有量を増加させると、被削性が向上するが、粗大な硫化物が増加する。熱間圧延等によって延伸した粗大な硫化物は、冷間鍛造性を損なう。このため、鋼中の硫化物のサイズおよび形状を制御する必要がある。さらに、被削時の切りくず処理性を向上させるには、鋼中に硫化物を微細に分散させることが必要である。
本実施形態の冷間鍛造用鋼は、冷間鍛造用鋼の圧延方向と平行な断面において、円相当径が2μm未満の硫化物の個数密度が300個/mm2以上である。このため、優れた冷間鍛造性および切りくず処理性(被削性)が得られる。

0054

[AlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)]
本実施形態の冷間鍛造用鋼では、表面から半径の1/5までの領域(以下、「表面領域」という場合がある。)および中心部から半径の1/5までの領域(以下、「中心領域」という場合がある。)において、AlNおよびAlN−Nb(CN)として析出しているAl量が0.010%以下、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)として析出しているNb量が0.020%以下である。
本実施形態において「AlN−Nb(CN)」とは、AlNとNb(CN)との複合析出物を指す。

0055

また、本実施形態の冷間鍛造用鋼では、表面領域および中心領域において、直径100nm以上の、AlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の合計の個数密度が50個/100μm2以下である。
本実施形態において、AlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の「直径」とは、一般的な方法で抽出レプリカ試料を作製し、透過型電子顕微鏡を用いて観察した場合の、AlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)それぞれの、長径短径算術平均を指す。

0056

鋳片、および鋳片を熱間加工して製造した鋼片は、断面積が大きい。このため、鋳片および鋼片を加熱すると、中心部と表層部とが同じ温度になるまでに長時間を要する。そのため、鋳片および鋼片を熱処理した場合、一般的に、所定の温度で保持される時間が、表層部と比較して中心部が短くなる。

0057

よって、鋳片を熱間加工して鋼片とし、さらに鋼片を熱間圧延して製造された冷間鍛造用鋼(棒鋼または線材)では、表層部と中心部とにおけるAlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の析出量、ならびにAlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の分散状態が異なる。したがって、冷間鍛造用鋼の中心部と表層部とでは、冷間鍛造後の表面硬化処理時におけるオーステナイト粒の粗大化にも差異が生じる。

0058

本実施形態の冷間鍛造用鋼は、表面領域および中心領域において、AlNおよびAlN−Nb(CN)として析出しているAl量が0.010%以下、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)として析出しているNb量が0.020%以下であり、かつ、直径100nm以上の、AlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の合計の個数密度が50個/100μm2以下である。このため、本実施形態の冷間鍛造用鋼では、表層部から中心部までの全域において、冷間鍛造後の表面硬化処理時におけるオーステナイト粒の粗大化を抑制できる。

0059

上記のオーステナイト粒の粗大化抑制効果を得るためには、表面領域および中心領域において、AlNおよびAlN−Nb(CN)として析出しているAl量は0.010%以下であり、0.008%以下であることが好ましい。上記Al量が0.002%未満であると、目標とするオーステナイト粒の粗大化抑制効果が得られ難くなる。このため、上記Al量は0.002%以上であることが好ましい。

0060

上記のオーステナイト粒の粗大化抑制効果を得るためには、表面領域および中心領域において、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)として析出しているNb量は0.020%以下であり、0.015%以下であることが好ましい。上記Nb量が0.005%未満であると、目標とするオーステナイト粒の粗大化防止効果が得られ難くなる。このため、上記Nb量は0.005%以上であることが好ましい。

0061

上記のオーステナイト粒の粗大化抑制効果を得るためには、表面領域および中心領域において、直径100nm以上の、AlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の合計の個数密度は、50個/100μm2以下であり、40個/100μm2以下であることが好ましい。

0062

冷間鍛造用鋼の表面領域および中心領域における、AlNおよびAlN−Nb(CN)として析出しているAl量、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)として析出しているNb量、AlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の合計の個数密度(分散状態)は、鋼の化学組成、鋳片および鋼片の製造条件、鋳片および鋼片における成分元素偏析熱間加工条件および熱間加工の後の冷却速度などによって変化する。

0063

「製造方法」
次に、本実施形態の冷間鍛造用鋼の製造方法を説明する。
[連続鋳造工程]
上記の化学組成を有する鋳片を連続鋳造法により製造する。鋳片は、造塊法によりインゴット鋼塊)にしてもよい。鋳造条件としては、例えば、220×220mm角鋳型を用いて、タンディッシュ内の溶鋼のスーパーヒートを10〜50℃とし、鋳込み速度を1.0〜1.5m/分とする条件を例示できる。

0064

本実施形態の冷間鍛造用鋼の製造方法では、所定の化学組成を有する鋳片を鋳造するため、硫化物の晶出核となるデンドライトが微細化されて、硫化物が鋼中に微細分散される。これにより、冷間鍛造後の被削性に優れた冷間鍛造用鋼が得られる。

0065

[デンドライト]
鋳片の凝固組織は、デンドライト形態(デンドライト)を呈している。冷間鍛造用鋼中の硫化物は、凝固前(溶鋼中)、または凝固時に晶出することが多く、鋳片のデンドライトの1次アーム間隔に大きく影響を受ける。すなわち、デンドライトの1次アーム間隔が小さければ、デンドライトの樹間部に晶出する硫化物が小さくなる。本実施形態の冷間鍛造用鋼は、鋳片の段階における鋳片表面から15mmの深さ位置におけるデンドライトの1次アーム間隔が600μm未満であることが望ましい。

0066

本実施形態では、上述したデンドライトの1次アーム間隔を600μm未満にするために、上記化学組成を有する溶鋼を鋳造する際に、鋳片表面から15mmの深さにおける液相線温度から固相線温度までの温度域内の平均冷却速度を100℃/min以上500℃/min以下とすることが望ましい。平均冷却速度が100℃/min未満では、鋳片表面から15mmの深さ位置におけるデンドライトの1次アーム間隔を600μm未満とすることが困難となり、硫化物を微細分散できないおそれがある。一方、平均冷却速度が500℃/min超では、デンドライトの樹間から晶出する硫化物が微細になり過ぎ、切りくず処理性が低下してしまう恐れがある。

0067

液相線温度から固相線温度までの温度域とは、凝固開始から凝固終了までの温度域のことである。したがって、この温度域での平均冷却温度とは、鋳片の平均凝固速度を意味する。上記の平均冷却速度は、例えば、鋳型断面の大きさ、鋳込み速度等を適正な値に制御すること、または鋳込み直後において、水冷に用いる冷却水量を増大させるなどの手段により達成できる。これは、連続鋳造法および造塊法共に適用可能である。

0068

鋳片表面から15mm深さにおける上記温度域内の平均冷却速度は、以下に示す方法により測定した数値である。
鋳造した鋳片の断面をピクリン酸にてエッチングし、鋳片表面から15mmの深さの位置について、鋳込み方向に5mmピッチでデンドライトの2次アーム間隔λ2(μm)を100点測定する。そして、測定した2次アーム間隔λ2(μm)の値から以下に示す式(2)を用いて、鋳片(スラブ)の液相線温度から固相線温度までの温度域内の冷却速度A(℃/秒)を算出し、算術平均により求めた平均値である。
λ2=710×A−0.39 式(2)

0069

本実施形態における鋳造条件は、以下に示す方法により決定してもよい。例えば、鋳造条件の異なる複数の鋳片を製造し、各鋳片における鋳片表面から15mm深さの上記温度域内の平均冷却速度を、上記の方法により式(2)を用いて求める。その後、デンドライトの1次アーム間隔が600μm未満となる平均冷却速度100〜500℃/minであった鋳造条件を用いて、鋳造の最適条件を決定する。

0070

[熱間圧延]
次に、得られた鋳片又はインゴットに分塊圧延等の熱間加工を施して、ビレット(鋼片)を製造する。更に、ビレットを熱間圧延して、棒鋼または線材とする。熱間加工は、熱間圧延を含んでいてもよい。熱間加工における圧下比に特に制限はない。
ビレットの熱間圧延は、例えば、ビレットを1270〜1300℃の加熱温度で1.5時間以上加熱した後、仕上げ温度を900〜1100℃、好ましくは950〜1050℃として熱間圧延する方法により行うことができる。

0071

上記仕上げ温度で仕上げ圧延を行った後、大気中で、800〜500℃の温度範囲での冷却速度を0.1〜1.0℃/秒の範囲として冷却する。なお、上記冷却速度の好適範囲は0.7℃/秒以下である。仕上げ圧延を行った後は、上記の冷却速度で、室温に至るまで冷却しても構わない。生産性を高めるためには、仕上げ圧延後の温度が500℃に至った時点で、空冷ミスト冷却及び水冷など、適宜の手段で冷却することが好ましい。

0072

なお、本実施形態の熱間圧延における上記の加熱温度および加熱時間は、それぞれ、炉内の平均温度及び在炉時間を意味する。
また、熱間圧延の仕上げ温度は、複数のスタンドを備える圧延機最終スタンド出口での棒鋼または棒線表面温度を意味する。
また、仕上げ圧延を行った後の冷却速度は、棒鋼または棒線の表面での冷却速度を指す。

0073

次に、製造された棒鋼、線材を焼鈍する。焼鈍は、球状化焼鈍であることが好ましい。球状化焼鈍を行うことにより、棒鋼、線材の冷間鍛造性を高めることができる。
以上の工程により、本実施形態の冷間鍛造用鋼が得られる。

0074

本実施形態の冷間鍛造用鋼は、例えば、自動車、産業機械用の歯車、シャフト、プーリーなどの鋼製部品を製造するための浸炭浸炭窒化または窒化前の素材として、好適に用いることができる。

0075

次に、本実施形態の冷間鍛造用鋼を用いて部品を製造する方法について説明する。
例えば、冷間鍛造用鋼(棒鋼、線材)を冷間鍛造し、粗形状中間品を製造する。製造された中間品は、所定の形状とするために、必要に応じて機械加工により切削してもよい。
次いで、中間品に、周知の条件で表面硬化処理を実施する。表面硬化処理としては、例えば、浸炭処理、窒化処理、高周波焼入れが挙げられる。次いで、表面硬化処理後の中間品を所定の形状に研削または磨きを行う。このようにして、冷間鍛造用鋼を素材として用いた鋼製部品が得られる。
なお、上記の部品の製造方法では、中間品に表面硬化処理を施したが、表面硬化処理は実施しなくてもよい。

0076

表1に示す化学組成を有する鋼A〜AAを270ton転炉で溶製し、連続鋳造機を用いて連続鋳造を実施して、220×220mm角の鋳片を製造した。なお、連続鋳造の凝固途中の段階で圧下を加えた。
また、各鋳片を鋳造する際における鋳型の冷却水量を変更することで、鋳片表面から15mmの深さにおける液相線温度から固相線温度までの温度域内の平均冷却速度を変化させた。

0077

表1に示す鋼A〜Oは、本発明で規定する化学組成を有する鋼である。鋼P〜AAは、化学組成が本発明で規定する条件から外れた比較例の鋼である。表1中の数値の下線は、本実施の形態による冷間鍛造用鋼材の範囲外であることを示す。

0078

0079

連続鋳造により得られた各鋳片を、一旦室温まで冷却して試験片採取し、以下に示す方法により、デンドライトを観察した。
[デンドライトの1次アーム間隔および2次アーム間隔の測定]
鋳片から採取した試験片の断面をピクリン酸にてエッチングした。そして、鋳片表面から15mmの深さに位置を、鋳込み方向に5mmピッチで、デンドライトの1次アーム間隔および2次アーム間隔をそれぞれ100点測定した。デンドライトの1次アーム間隔の平均値を表2に示す。

0080

[鋳片表面から15mmの深さにおける液相線温度から固相線温度までの温度域内の平均冷却速度]
上記の方法により測定した2次アーム間隔λ2(μm)の値から以下に示す式(2)を用いて、液相線温度から固相線温度までの温度域内の冷却速度A(℃/秒)を算出し、算術平均により求めた。その結果、いずれの鋳片においても、上記の温度域内の平均冷却速度は、100℃/min以上500℃/min以下であった。
λ2=710×A−0.39 式(2)

0081

デンドライト観察用の試験片を採取した後、各鋳片を熱間圧延してビレット(鋼片)とした。その後、ビレットを1270〜1300℃で3時間加熱し、仕上げ温度を900〜1100℃として熱間圧延した。仕上げ圧延後、800〜500℃の温度範囲を0.7℃/秒以下の冷却速度で冷却し、500℃に達した段階で放冷し、直径36mmの丸棒(棒鋼)を製造した。
このようにして得られた各丸棒の表面を目視で観察し、表面割れの有無を判定した。その結果を表2に示す。

0082

次に、熱間圧延後に得られた直径36mmの各丸棒に対して、球状化焼鈍処理を実施した。具体的には、上述の各丸棒を、加熱炉を用いて760℃で4時間均熱し、15℃/hの冷却速度で660℃まで冷却した後、放冷した。
以上の工程により、試験番号1〜27の冷間鍛造用鋼を製造した。

0083

ミクロ組織観察
以下に示す方法により、試験番号1〜27の冷間鍛造用鋼(丸棒)のミクロ組織を観察した。まず、丸棒を軸方向に対して平行に切断し、直径の1/4の位置(D/4位置)が観察面の中心であるミクロ組織観察用の試験片を採取した。試験片の切断面(観察面)を研磨し、ナイタル腐食液腐食した。腐食後、切断面の中央部のミクロ組織を、光学顕微鏡を用いて400倍で観察した。
試験番号1〜27の冷間鍛造用鋼ミクロ組織はいずれも、フェライトとパーライトとからなる組織であった。

0084

さらに、ミクロ組織観察用試験片を用いて、JIS Z2244に規定されたビッカース硬さ試験を実施した。各試験片について、それぞれ5箇所の硬さを測定した。
その結果、試験番号1〜27の冷間鍛造用鋼のビッカース硬さは、いずれもHv130〜200の範囲内であり、各冷間鍛造用鋼は、同程度の硬度を有した。

0085

次に、以下に示す方法により、試験番号1〜27の冷間鍛造用鋼の硫化物密度を測定した。
[硫化物密度測定方法
ミクロ組織観察と同様にして採取した試験片を樹脂埋めした後、被検面(切断面)を鏡面研磨した。被検面は、冷間鍛造用鋼の長手方向と平行である。被検面内の硫化物を走査電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分光分析装置(EDS)により特定した。

0086

具体的には、縦10mm×横10mmの研磨後の試験片を10個作製し、これらの試験片の所定位置を走査電子顕微鏡にて100倍で写真撮影し、0.9mm2の検査基準面積(領域)の画像を10視野分準備した。硫化物の観察視野は、9mm2である。各観察領域において、走査電子顕微鏡で観察される反射電子像コントラストに基づいて、硫化物を特定した。反射電子像では、観察領域グレースケール画像で表示した。反射電子像内におけるマトリクス母材)、硫化物、酸化物のコントラストはそれぞれ異なるものであった。

0087

各観察視野(画像)中の円相当径が1μm以上の硫化物の粒径を検出した。硫化物の粒径(直径)は、硫化物の面積と同一の面積を有する円の直径を示す円相当径に換算した。そして、各観察視野(画像)中の硫化物の個数を、画像解析によって求めた。その後、観察された1μm以上の硫化物のうち、円相当径が2μm未満の硫化物の個数を、円相当径が1μm以上の硫化物の個数で除し、円相当径が2μm未満の硫化物の個数密度とした。
なお、観察対象とした硫化物の円相当径を1μm以上としたのは、現実的に汎用機器で、粒子のサイズと成分を統計的に扱うことが可能であり、かつ、これより小さな硫化物を制御しても冷間鍛造性および切りくず処理性に与える影響が少ないためである。

0088

残差分析
上記のようにして得た直径36mmの各丸棒(試験番号1〜27の冷間鍛造用鋼)について、表面から半径の1/5までの領域(以下、「表面領域」という場合がある。)および中心部から半径の1/5までの領域(以下、「中心領域」という場合がある。)において、AlNおよびAlN−Nb(CN)として析出しているAl量と、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)として析出しているNb量とを、以下に示す方法により求めた。

0089

直径36mmの各丸棒の表面には、スケールが存在している。したがって、そのままでは十分な精度で抽出残渣分析を行うことはできない。このため、直径36mmの各丸棒を旋削加工してから、表面領域分析用の試験片(直径35mm、長さ10mm)と、中心領域分析用の試験片(直径7.2mm、長さ20mm)とを同心円位置から採取した。

0090

次いで、各試験片の横断面を電解研磨されないように樹脂でマスキングした。その後、マスキングした試験片を、一般的な条件である10体積アセチルアセトン−1質量%塩化テトラメチルアンモニウムメタノール溶液(10%AA系電解液)を用いて、電流密度250〜350A/m2で抽出(電気分解)した。そして、抽出した溶液メッシュサイズ0.2μmのフィルタでろ過し、ろ過物(残渣)について一般的な化学分析を行った。その結果から、表面領域および中心領域における上記Al量と、上記Nb量とを算出した。その結果を表2に示す。

0091

析出物個数密度
表面領域および中心領域において、直径100nm以上の、AlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の合計の個数密度を、以下に示す方法により求めた。
直径36mmの各丸棒(試験番号1〜27の冷間鍛造用鋼)の「表面領域」「中心領域」の各領域から、一般的な方法で抽出レプリカ試料を作製した。次に、各抽出レプリカ試料を、透過型電子顕微鏡を用いて、倍率20000倍、1視野あたりの面積10μm2で、ランダムに10視野観察し、直径100nm以上の、AlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の個数を求めた。その結果を用いて、各領域の面積100μm2当たりのAlN、Nb(CN)およびAlN−Nb(CN)の個数密度を算出した。その結果を表2に示す。

0092

次に、以下に示す方法により、試験番号1〜27の冷間鍛造用鋼に対し、冷間鍛造性試験、被削性試験、粗大粒発生温度試験を行った。
[冷間鍛造性試験]
各冷間鍛造用鋼(直径36mmの丸棒)から、半径の1/2の位置(R/2位置)を中心とした切り欠き付きの直径10mm、長さ15mmの丸棒試験片を8個ずつ採取した。丸棒試験片の長手方向は、直径36mmの丸棒の鍛伸軸に平行とした。冷間圧縮試験には、500ton油圧プレスを使用した。

0093

冷間圧縮試験は、8個の丸棒試験片を使用して圧縮率を段階的に引き上げて冷間圧縮を実施した。具体的には、初期圧縮率で8個の丸棒試験片を冷間圧縮した。1回目の冷間圧縮後、各丸棒試験片に割れが発生したか否かを目視により確認した。そして、割れが確認された丸棒試験片を排除し、残った丸棒試験片(つまり、割れが観察されなかった丸棒試験片)に対して、圧縮率を引き上げて2回目の冷間圧縮を実施した。2回目の冷間圧縮後、各丸棒試験片の割れの有無を確認した。1回目の冷間圧縮後と同様に、割れが確認された丸棒試験片を排除し、残った丸棒試験片に対して、圧縮率を引き上げて3回目の冷間圧縮を実施した。8個の丸棒試験片のうち、割れが確認された丸棒試験片が4個になるまで、上述の工程を繰り返した。

0094

8個の丸棒試験片のうち、4個の丸棒試験片に割れが確認されたときの圧縮率を「限界圧縮率」と定義した。なお、80%の圧縮率で冷間圧縮を実施した後、割れが確認された丸棒試験片が4個以下である場合、その鋼の限界圧縮率は「80%」とした。
限界圧縮率は、実用上問題ない75%以上を目標値とした。各冷間鍛造用鋼の限界圧縮率を表2に示す。

0095

[被削性試験]
各冷間鍛造用鋼(直径36mmの丸棒)に、冷間での引抜きにより歪を与え、引抜き後の丸棒の被削性により、冷間鍛造後の被削性を評価した。
具体的には、各冷間鍛造用鋼(直径36mmの丸棒)を、減面率30.6%で冷間引抜きし、直径25mmの丸棒にした。冷間引抜きした丸棒を長さ500mmに切断し、旋削加工用試験材とした。得られた直径25mm、長さ500mmの試験材の外周部を、数値制御NC旋盤を用いて、下記の条件で旋削加工し、被削性(切りくず処理性)を調査した。

0096

使用チップ
母材材質:超硬P20種グレード
コーティング:なし。

0097

<旋削加工条件
周速:150m/分。
送り:0.2mm/rev。
切り込み:0.4mm。
潤滑水溶性切削油を使用。

0098

各試験材について、旋削加工中の10秒間で排出された切りくずを回収した。回収された切りくずの長さを調べ、長いものから順に10個の切りくずを選択した。そして、選択された10個の切りくずの総重量を「切りくず重量」と定義した。
なお、切りくずが長くつながった結果、切りくずの総数が10個未満である場合、回収された切りくずの総重量を測定し、10個の個数に換算した値を「切りくず重量」と定義した。例えば、切りくずの総数が7個であって、その総重量が12gである場合、切りくず重量は、12g×10個/7個、と計算した。

0099

そして、各試験材の切りくず重量が15g以下であれば、切りくず処理性が高いと評価した。切りくず重量が15gを超える場合、切りくず処理性が低いと評価した。各冷間鍛造用鋼の切りくず処理性の評価結果を表2に示す。

0100

[粗大粒発生温度試験]
各冷間鍛造用鋼(直径36mmの丸棒)に、冷間鍛造を模擬する高さ方向で60%の圧縮加工を行った後、浸炭を模擬する熱処理を行なった。浸炭を模擬する熱処理としては、950℃、970℃、990℃、1010℃、1030℃および1050℃の各温度で300分保持した後、水冷によって室温まで冷却する処理を行った。

0101

上記の浸炭を模擬する熱処理を行った各冷間鍛造用鋼(直径36mmの丸棒)から中心部を含む縦断面(被検面)を切り出し、被検面を鏡面研磨した。次いで、被検面を、界面活性剤を添加したピクリン酸飽和水溶液で腐食し、光学顕微鏡を用いて倍率100倍でランダムに各10視野観察した。各視野の大きさは1.0mm×1.0mmとした。

0102

上記視野の光学顕微鏡観察において、粒度番号が5番以下のオーステナイト粒の結晶粒が合計2個以上あった場合、オーステナイト粒の粗大化が生じたと定義した。
そして、1050℃で300分保持する熱処理を行ってもオーステナイト粒が粗大化が生じない場合、オーステナイト粒粗大化防止効果が優れると評価した(表2に「>1050」と記す。)。一方、1030℃以下の温度で300分保持する熱処理を行うことによりオーステナイト粒が粗大化した場合、オーステナイト粒粗大化防止効果がないと評価した(表2に、粗大化が生じた熱処理の温度を記す。)。

0103

0104

表1および表2に示すように、試験番号1〜15の冷間鍛造用鋼は、化学組成(鋼A〜O)および硫化物個数密度、表面領域および中心領域におけるAl量とNb量の残差分析結果、析出物個数密度が本発明の範囲内である。試験番号1〜15の冷間鍛造用鋼は、冷間鍛造性および冷間鍛造後の被削性に優れ、冷間鍛造後の浸炭を模擬する熱処理時におけるオーステナイト粒の粗大化が抑制されたものであった。

0105

試験番号16の冷間鍛造用鋼は、JIS SCr420に規定される鋼である。試験番号16の冷間鍛造用鋼は、BiおよびNbを含有していないため、表面領域および中心領域におけるNb量および式(1)を満たさず、硫化物個数密度も低い。そのため、試験番号16の冷間鍛造用鋼は、限界圧縮率が75%未満となり、冷間鍛造性が低かった。また、試験番号16の冷間鍛造用鋼は、切りくず重量が15gを超え、被削性が低かった。また、試験番号16の冷間鍛造用鋼は、オーステナイト粒粗大化防止効果が不十分であった。

0106

試験番号17の冷間鍛造用鋼は、Biを含有せず、硫化物個数密度が低い例である。試験番号17の冷間鍛造用鋼は、冷間鍛造性および被削性が低く、オーステナイト粒粗大化防止効果が不十分であった。
試験番号18の冷間鍛造用鋼は、Biの含有量が本発明規定の範囲を上回った例である。試験番号18の冷間鍛造用鋼は、熱間圧延時に表面割れが生じた。

0107

試験番号19の冷間鍛造用鋼は、Alの含有量が本発明規定の範囲を下回ったため、式(1)を満たさない例である。試験番号19の冷間鍛造用鋼は、オーステナイト粒粗大化防止効果が不十分であった。
試験番号20の冷間鍛造用鋼は、Alの含有量が本発明規定の範囲を上回ったため、表面領域および中心領域におけるAl量と析出物個数密度、式(1)を満たさない例である。試験番号20の冷間鍛造用鋼は、表面領域および中心領域に粗大な析出物が高密度で析出しているために冷間鍛造性が低かった。また、試験番号20の冷間鍛造用鋼は、オーステナイト粒粗大化防止効果が不十分であった。

0108

試験番号21の冷間鍛造用鋼は、Nbの含有量が本発明規定の範囲を下回ったため、式(1)を満たさない例である。試験番号21の冷間鍛造用鋼は、オーステナイト粒粗大化防止効果が不十分であった。
試験番号22の冷間鍛造用鋼は、Nbの含有量が本発明規定の範囲を上回ったため、表面領域および中心領域におけるNb量と析出物個数密度、式(1)を満たさない例である。試験番号22の冷間鍛造用鋼は、表面領域および中心領域に粗大な析出物が高密度で析出しているために冷間鍛造性が低かった。また、試験番号22の冷間鍛造用鋼は、オーステナイト粒粗大化防止効果が不十分であった。

0109

試験番号23の冷間鍛造用鋼は、S含有量が本発明規定の範囲を下回ったため、硫化物個数密度が低い例である。試験番号23の冷間鍛造用鋼は、切りくず重量が15gを超え、被削性が低かった。
試験番号24の冷間鍛造用鋼は、S含有量が本発明規定の範囲を上回ったため、冷間鍛造性が不十分であった。

0110

試験番号25の冷間鍛造用鋼は、化学組成が式(1)を満たさない例である。試験番号25の冷間鍛造用鋼は、表面領域および中心領域に粗大な析出物が高密度で析出しているために冷間鍛造性が低かった。また、試験番号25の冷間鍛造用鋼は、オーステナイト粒粗大化防止効果が不十分であった。
試験番号26の冷間鍛造用鋼は、化学組成が式(1)を満たさない例である。試験番号26の冷間鍛造用鋼は、オーステナイト粒粗大化防止効果が不十分であった。
試験番号27の冷間鍛造用鋼は、本発明に規定する化学成分を有し、硫化物の個数密度が低い例である。試験番号27の冷間鍛造用鋼は、切りくず重量が15gを超え、被削性が低かった。

実施例

0111

以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は、本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。

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