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技術 抗癌剤、並びに前記抗癌剤を含む癌の予防又は治療用医薬組成物及び飲食品

出願人 学校法人日本大学
発明者 熊谷日登美原弘之赤尾真安藤俊希
出願日 2016年4月21日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-085063
公開日 2017年10月26日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2017-193509
状態 未査定
技術分野 食品の着色及び栄養改善 化合物または医薬の治療活性 非環式または炭素環式化合物含有医薬
主要キーワード 呈色物質 チオスルフィネート アリイナーゼ 撹拌洗浄 ジメチルイソプロピルアミン 嫌気性解糖 ジアリルジスルフィド システインスルホキシド
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年10月26日)のものです。
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図面 (7)

課題

無臭で水溶性が高く、効果的な抗癌剤を提供する。

解決手段

本発明の抗癌剤は、下記一般式(1)で表される化合物、又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有することを特徴とする。[化1](式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基である。)

概要

背景

癌は、1981年以降日本人死亡原因の第1位となり、疾病対策上の最重要課題として対策が進められてきた。癌の治療法としては、腫瘍形成部位病期ステージ)により異なるが、例えば、外科療法、放射線療法化学療法抗癌剤による治療)、免疫療法ホルモン治療法、又はこれらの治療法を組み合わせた治療法等が挙げられる。しかしながら、放射線療法、化学療法、免疫療法等の癌の治療法には、白血球の減少と発熱血小板の減少と出血血色素の減少と貧血吐き気嘔吐しびれ感等の重篤副作用を伴うことも多い。また、癌の種類やステージにもよるが、癌は一般的に予後不良な疾患である。また、内視鏡開腹手術による切除(外科療法)が一般的な治療法であり、一方、癌の進行又は転移を認める症例や白血病等の血液の癌に対しては、薬剤を用いた化学療法が一般的な治療法である。

ところで、ニンニクは古来より免疫力改善等で健康維持に良い影響をもたらすものと信じられてきた。また、ニンニクには、前立腺癌膀胱癌予防効果癌細胞増殖抑制効果があることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、タマネギをはじめとする、ニンニク、ネギニララッキョウ等のユリ科野菜は、R−システインスルホキシド細胞質に含有する。R(アルキル基或いはアルケニル基)については、ユリ科野菜間で組成が異なる。ニンニクについて最も詳細に研究されており、ニンニクではアリイン(S−アリル−L−システインスルホキシド)が主成分である。アリイン等のR−システインスルホキシドは、酵素であるアリイナーゼ(C−Sリアーゼ)の働きによりスルフェン酸(sulfenic acids)が生成され、さらにスルフェン酸は重合してチオスルフィネートが生成される。アリシンはニンンクから生成する多様なチオスルフィネートのうちの一つである。さらに、アリシン等のチオスルフィネートも不安定な物質であるため、分解されて、ジアリルスルフィドジアリルジスルフィド、ジアリルトリスルフィド等のスルフィド類が生成される。このスルフィド類のうち、ジアリルトリサルファイドが優れた癌細胞増殖抑制効果を有するという報告もある(例えば、特許文献2参照。)。

一方、アリイン(S−アリル−L−システインスルホキシド)については、血糖値抑制作用(例えば、特許文献3参照。)及び血小板凝集抑制作用を有することが知られている。

概要

無臭で水溶性が高く、効果的な抗癌剤を提供する。本発明の抗癌剤は、下記一般式(1)で表される化合物、又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有することを特徴とする。[化1](式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基である。)なし

目的

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、無臭で水溶性が高く、効果的な抗癌剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記一般式(1)で表される化合物、又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有することを特徴とする抗癌剤。(式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基である。)

請求項2

前記Rが、メチル基、1−プロペニル基又は2−プロペニル基である、請求項1に記載の抗癌剤。

請求項3

適用対象とする癌がメラノーマ悪性黒色腫)である、請求項1又は2に記載の抗癌剤。

請求項4

請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗癌剤、並びに薬理学的に許容され得る担体又は希釈剤のうち少なくともいずれかを含むことを特徴とする癌の予防又は治療用医薬組成物

請求項5

請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗癌剤を含むことを特徴とする飲食品

技術分野

0001

本発明は、抗癌剤、並びに前記抗癌剤を含む癌の予防又は治療用医薬組成物及び飲食品に関する。

背景技術

0002

癌は、1981年以降日本人死亡原因の第1位となり、疾病対策上の最重要課題として対策が進められてきた。癌の治療法としては、腫瘍形成部位病期ステージ)により異なるが、例えば、外科療法、放射線療法化学療法(抗癌剤による治療)、免疫療法ホルモン治療法、又はこれらの治療法を組み合わせた治療法等が挙げられる。しかしながら、放射線療法、化学療法、免疫療法等の癌の治療法には、白血球の減少と発熱血小板の減少と出血血色素の減少と貧血吐き気嘔吐しびれ感等の重篤副作用を伴うことも多い。また、癌の種類やステージにもよるが、癌は一般的に予後不良な疾患である。また、内視鏡開腹手術による切除(外科療法)が一般的な治療法であり、一方、癌の進行又は転移を認める症例や白血病等の血液の癌に対しては、薬剤を用いた化学療法が一般的な治療法である。

0003

ところで、ニンニクは古来より免疫力改善等で健康維持に良い影響をもたらすものと信じられてきた。また、ニンニクには、前立腺癌膀胱癌予防効果癌細胞増殖抑制効果があることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、タマネギをはじめとする、ニンニク、ネギニララッキョウ等のユリ科野菜は、R−システインスルホキシド細胞質に含有する。R(アルキル基或いはアルケニル基)については、ユリ科野菜間で組成が異なる。ニンニクについて最も詳細に研究されており、ニンニクではアリイン(S−アリル−L−システインスルホキシド)が主成分である。アリイン等のR−システインスルホキシドは、酵素であるアリイナーゼ(C−Sリアーゼ)の働きによりスルフェン酸(sulfenic acids)が生成され、さらにスルフェン酸は重合してチオスルフィネートが生成される。アリシンはニンンクから生成する多様なチオスルフィネートのうちの一つである。さらに、アリシン等のチオスルフィネートも不安定な物質であるため、分解されて、ジアリルスルフィドジアリルジスルフィド、ジアリルトリスルフィド等のスルフィド類が生成される。このスルフィド類のうち、ジアリルトリサルファイドが優れた癌細胞増殖抑制効果を有するという報告もある(例えば、特許文献2参照。)。

0004

一方、アリイン(S−アリル−L−システインスルホキシド)については、血糖値抑制作用(例えば、特許文献3参照。)及び血小板凝集抑制作用を有することが知られている。

先行技術

0005

特開2001−302531号公報
特開2003−342170号公報
特開2014−51436号公報

発明が解決しようとする課題

0006

アリシン等のチオスルフィネート、及びジアリルスルフィド、ジアリルジスルフィド、ジアリルトリスルフィド等のスルフィド類は揮発性が高く不安定な物質である。さらに、ニンニク等特有の強い臭気を有する脂溶性化合物であるため、食品だけでなく、医薬品においても、活用しにくい。
一方、アリイン等のR−システインスルホキシドについては、癌の予防又は治療効果については知られていなかった。

0007

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、無臭で水溶性が高く、効果的な抗癌剤を提供する。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、アリイン等のR−システインスルホキシドが優れた癌細胞増殖抑制効果を有することを見出し、本発明を完成させた。

0009

すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1]下記一般式(1)で表される化合物、又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有することを特徴とする抗癌剤。

0010

0011

(式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基である。)
[2]前記Rが、メチル基、1−プロペニル基又は2−プロペニル基である、[1]に記載の抗癌剤。
[3]適用対象とする癌がメラノーマ悪性黒色腫)である、[1]又は[2]に記載の抗癌剤。
[4][1]〜[3]のいずれか一つに記載の抗癌剤、並びに薬理学的に許容され得る担体又は希釈剤のうち少なくともいずれかを含むことを特徴とする癌の予防又は治療用医薬組成物。
[5][1]〜[3]のいずれか一つに記載の抗癌剤を含むことを特徴とする飲食品。

発明の効果

0012

本発明によれば、無臭で水溶性が高く、効果的な抗癌剤を提供することができる。

図面の簡単な説明

0013

製造例1における化合物(1−B2)の核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance;NMR分光法による分析結果を示すグラフである。
製造例1における化合物(1−B2)の質量分析法(Mass Spectrometry;MS)による分析結果を示すグラフである。
製造例2における化合物(1−A1)の核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance;NMR)分光法による分析結果を示すグラフである。
製造例2における化合物(1−A1)の質量分析法(Mass Spectrometry;MS)による分析結果を示すグラフである。
実施例1におけるマウスメラノーマ細胞を用いたMTT(3−(4,5−Dimethylthial−2−yl)−2,5−Diphenyltetrazalium Bromide)アッセイの結果を示すグラフである。
実施例2におけるコントロール蒸留水投与)群、化合物(1−B2)投与群、化合物(1−b1)投与群、及び化合物(1−A1)投与群でのマウスメラノーマ細胞皮下注射後の腫瘍体積の経時的な変化を示すグラフである。
実施例2におけるコントロール(蒸留水投与)群、化合物(1−B2)投与群、化合物(1−b1)投与群、及び化合物(1−A1)投与群でのマウスメラノーマ細胞を皮下注射した群、又はマウスメラノーマ細胞を皮下注射しなかった群の乳酸脱水素酵素LDH)の活性を測定した結果を示すグラフである。

0014

<<抗癌剤>>
一実施形態において、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」と略記することがある。)、又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有する抗癌剤を提供する。

0015

0016

(式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基である。)

0017

本実施形態の抗癌剤は、高い癌細胞増殖抑制効果を有し、さらに、無臭で水溶性が高いため、容易に医薬品又は飲食品に加工することができる。また、ニンニク等のユリ科野菜に含まれる化合物を有効成分としており、日常的に摂取することができ、重篤な副作用を引き起こす心配がないものである。

0018

本発明者らは、日常摂取する食品による癌の予防及び初期段階での増殖抑制が重要であるという考えの元、ニンニク等のユリ科野菜に含まれるアリイン等のR−システインスルホキシドに着目し、高い癌細胞増殖抑制効果を有すること見出し、本発明を完成させるに至った。

0019

本実施形態の抗癌剤の適用対象とする癌としては、特別な限定はなく、例えば、乳癌(例えば、浸潤性乳管癌、非浸潤性乳管癌、炎症性乳癌等)、前立腺癌(例えば、ホルモン依存性前立腺癌ホルモン非依存性前立腺癌等)、膵癌(例えば、膵管癌等)、胃癌(例えば、乳頭腺癌粘液性腺癌腺扁平上皮癌等)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌小細胞肺癌悪性中皮腫等)、結腸癌(例えば、消化管間質腫瘍等)、直腸癌(例えば、消化管間質腫瘍等)、大腸癌(例えば、家族性大腸癌、遺伝性ポリポーシス大腸癌、消化管間質腫瘍等)、小腸癌(例えば、非ホジキンリンパ腫、消化管間質腫瘍等)、食道癌十二指腸癌、舌癌咽頭癌(例えば、上咽頭癌中咽頭癌下咽頭癌等)、唾液腺癌、脳腫瘍(例えば、松果体星細胞腫瘍、毛様細胞性星細胞腫、びまん性星細胞腫、退形成性星細胞腫等)、神経鞘腫肝臓癌(例えば、原発性肝癌肝外胆管癌等)、腎臓癌(例えば、腎細胞癌腎盂尿管移行上皮癌等)、胆嚢癌、胆管癌、膵臓癌肝癌子宮内膜癌子宮頸癌卵巣癌(例、上皮性卵巣癌性腺外胚細胞腫瘍卵巣性胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍等)、膀胱癌、尿道癌、皮膚癌(例えば、眼内(眼)黒色腫メルケル細胞癌等)、血管腫悪性リンパ腫(例えば、細網肉腫リンパ肉腫ホジキン病等)、メラノーマ(悪性黒色腫)、甲状腺癌(例えば、甲状腺髄様癌等)、副甲状腺癌、鼻腔癌、副鼻腔癌、骨腫瘍(例えば、骨肉腫ユーイング腫瘍子宮肉腫軟部組織肉腫等)、血管線維腫網膜肉腫、陰茎癌、精巣腫瘍小児固形癌(例えば、ウィルムス腫瘍、小児腎腫瘍等)、カポジ肉腫AIDSに起因するカポジ肉腫、上顎洞腫瘍、線維性組織球腫平滑筋肉腫横紋筋肉腫、白血病(例えば、急性骨髄性白血病急性リンパ芽球性白血病等)等が挙げられ、これらに限定されない。中でも、本実施形態の抗癌剤の適用対象とする癌としては、メラノーマが好ましい。

0020

本実施形態の抗癌剤は、癌細胞に直接又は間接的に作用し、癌細胞の増殖若しくは転移抑制、癌細胞の殺傷、又は癌細胞の発生抑制に寄与するものである。

0021

<化合物(1)>
本実施形態の抗癌剤は、化合物(1)を有効成分として含有する。

0022

0023

(式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基である。)

0024

化合物(1)は、システインスルホキシド骨格を有する化合物であり、癌細胞の増殖若しくは転移抑制、癌細胞の殺傷、又は癌細胞の発生抑制に寄与するものである。

0025

一般式(1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基である。

0026

[アルキル基]
Rにおける前記炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。そして、前記アルキル基は、炭素数が1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜4であることがさらに好ましく、1〜3であることが特に好ましい。

0027

直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基としては、炭素数が1〜6であることが好ましく、前記アルキル基としては、例えば、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、1−エチル−n−プロピル基、n−ヘキシル基、1−メチル−n−ペンチル基、2−メチル−n−ペンチル基、3−メチル−n−ペンチル基、4−メチル−n−ペンチル基、1,1−ジメチル−n−ブチル基、1,2−ジメチル−n−ブチル基、1,3−ジメチル−n−ブチル基、2,2−ジメチル−n−ブチル基、2,3−ジメチル−n−ブチル基、3,3−ジメチル−n−ブチル基、1−エチル−n−ブチル基、2−エチル−n−ブチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピル基、1−エチル−2−メチル−n−プロピル基等が挙げられる。
直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基は、炭素数が1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜4であることがさらに好ましく、1〜3であることが特に好ましい。

0028

より具体的には、Rにおける直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。

0029

環状の前記アルキル基は、炭素数が3〜6であることが好ましく、前記アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基シクロブチル基、1−メチル−シクロプロピル基、2−メチル−シクロプロピル基、シクロペンチル基、1−メチル−シクロブチル基、2−メチル−シクロブチル基、3−メチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロプロピル基、2,3−ジメチル−シクロプロピル基、1−エチル−シクロプロピル基、2−エチル−シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1−メチル−シクロペンチル基、2−メチル−シクロペンチル基、3−メチル−シクロペンチル基、1−エチル−シクロブチル基、2−エチル−シクロブチル基、3−エチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロブチル基、1,3−ジメチル−シクロブチル基、2,2−ジメチル−シクロブチル基、2,3−ジメチル−シクロブチル基、2,4−ジメチル−シクロブチル基、3,3−ジメチル−シクロブチル基、1−n−プロピル−シクロプロピル基、2−n−プロピル−シクロプロピル基、1−i−プロピル−シクロプロピル基、2−i−プロピル−シクロプロピル基、1,2,2−トリメチル−シクロプロピル基、1,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、2,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、1−エチル−2−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−1−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−2−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−3−メチル−シクロプロピル基等が挙げられ、さらに、これら環状のアルキル基の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子又は水酸基置換されたものが挙げられる。ここで、水素原子を置換するハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子塩素原子臭素原子ヨウ素原子等が挙げられる。

0030

環状の前記アルキル基は、単環状であることが好ましい。また、環状の前記アルキル基は、炭素数が3〜6であることがより好ましく、3〜5であることがさらに好ましく、3〜4であることがより好ましい。

0031

より具体的には、Rにおける環状の前記アルキル基はシクロプロピル基、シクロブチル基、1−メチル−シクロプロピル基又は2−メチル−シクロプロピル基であることが好ましく、シクロプロピル基又はシクロブチル基であることがより好ましく、シクロプロピル基であることがさらに好ましい。

0032

[アルケニル基]
Rにおける前記炭素数2〜6のアルケニル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。そして、前記アルケニル基は、炭素数が2〜6であることが好ましく、2〜5であることがより好ましく、2〜4であることがさらに好ましく、2〜3であることが特に好ましい。

0033

直鎖状又は分岐鎖状の前記アルケニル基としては、炭素数が2〜6であることが好ましく、前記アルケニル基としては、例えば、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−メチル−1−エテニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−エチルエテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−n−プロピルエテニル基、1−メチル−1−ブテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、2−エチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、1−i−プロピルエテニル基、1,2−ジメチル−1−プロペニル基、1,2−ジメチル−2−プロペニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−メチル−1−ペンテニル基、1−メチル−2−ペンテニル基、1−メチル−3−ペンテニル基、1−メチル−4−ペンテニル基、1−n−ブチルエテニル基、2−メチル−1−ペンテニル基、2−メチル−2−ペンテニル基、2−メチル−3−ペンテニル基、2−メチル−4−ペンテニル基、2−n−プロピル−2−プロペニル基、3−メチル−1−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、3−メチル−3−ペンテニル基、3−メチル−4−ペンテニル基、3−エチル−3−ブテニル基、4−メチル−1−ペンテニル基、4−メチル−2−ペンテニル基、4−メチル−3−ペンテニル基、4−メチル−4−ペンテニル基、1,1−ジメチル−2−ブテニル基、1,1−ジメチル−3−ブテニル基、1,2−ジメチル−1−ブテニル基、1,2−ジメチル−2−ブテニル基、1,2−ジメチル−3−ブテニル基、1−メチル−2−エチル−2−プロペニル基、1−s−ブチルエテニル基、1,3−ジメチル−1−ブテニル基、1,3−ジメチル−2−ブテニル基、1,3−ジメチル−3−ブテニル基、1−i−ブチルエテニル基、2,2−ジメチル−3−ブテニル基、2,3−ジメチル−1−ブテニル基、2,3−ジメチル−2−ブテニル基、2,3−ジメチル−3−ブテニル基、2−i−プロピル−2−プロペニル基、3,3−ジメチル−1−ブテニル基、1−エチル−1−ブテニル基、1−エチル−2−ブテニル基、1−エチル−3−ブテニル基、1−n−プロピル−1−プロペニル基、1−n−プロピル−2−プロペニル基、2−エチル−1−ブテニル基、2−エチル−2−ブテニル基、2−エチル−3−ブテニル基、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル基、1−t−ブチルエテニル基、1−メチル−1−エチル−2−プロペニル基、1−エチル−2−メチル−1−プロペニル基、1−エチル−2−メチル−2−プロペニル基、1−i−プロピル−1−プロペニル基、1−i−プロピル−2−プロペニル基、2−メチレン−シクロペンチル基、3−メチレン−シクロペンチル基等が挙げられる。
直鎖状又は分岐鎖状の前記アルケニル基は、炭素数が2〜6であることが好ましく、2〜5であることがより好ましく、2〜4であることがさらに好ましく、2〜3であることが特に好ましい。

0034

より具体的には、Rにおける直鎖状又は分岐鎖状の前記アルケニル基は、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基又は1−メチル−1−エテニル基であることが好ましく、エテニル基、1−プロペニル基又は2−プロペニル基であることがより好ましく、1−プロペニル基又は2−プロペニル基であることがさらに好ましい。

0035

環状の前記アルケニル基は、炭素数が5〜6であることが好ましく、前記アルケニル基としては、例えば、1−シクロペンテニル基、2−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−メチル−2−シクロペンテニル基、1−メチル−3−シクロペンテニル基、2−メチル−1−シクロペンテニル基、2−メチル−2−シクロペンテニル基、2−メチル−3−シクロペンテニル基、2−メチル−4−シクロペンテニル基、2−メチル−5−シクロペンテニル基、3−メチル−1−シクロペンテニル基、3−メチル−2−シクロペンテニル基、3−メチル−3−シクロペンテニル基、3−メチル−4−シクロペンテニル基、3−メチル−5−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基等が挙げられ、さらに、これら環状のアルケニル基の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子又は水酸基で置換されたものが挙げられる。ここで、水素原子を置換するハロゲン原子としては、上述の[アルキル基]で例示されたものと同様のものが挙げられる。

0036

環状の前記アルケニル基は、単環状であることが好ましい。また、環状の前記アルケニル基は、炭素数が5〜6であることが好ましく、5であることがより好ましい。

0037

より具体的には、Rにおける環状の前記アルケニル基は1−シクロペンテニル基、2−シクロペンテニル基、又は3−シクロペンテニル基であることが好ましい。

0038

化合物(1)で好ましいものとしては、例えば、Rが炭素数1〜6のアルキル基である場合、以下に示す化合物等が挙げられる。
なお、これら化合物は、好ましい化合物(1)の一例に過ぎず、好ましい化合物(1)はこれらに限定されない。

0039

0040

化合物(1)で好ましいものとしては、例えば、Rが炭素数2〜6のアルケニル基である場合、以下に示す化合物等が挙げられる。
なお、これら化合物は、好ましい化合物(1)の一例に過ぎず、好ましい化合物(1)はこれらに限定されない。

0041

0042

本実施形態の抗癌剤は、化合物(1)の薬学的に許容できる塩を含んでいてもよい。

0043

本明細書において、「薬学的に許容できる」とは、被検動物に適切に投与された場合に、概して、副作用を起こさない程度を意味する。

0044

塩としては、薬学的に許容できる酸付加塩又は塩基性塩が好ましい。
酸付加塩としては、例えば、塩酸リン酸臭化水素酸硫酸等の無機酸との塩;酢酸ギ酸プロピオン酸フマル酸マレイン酸コハク酸酒石酸クエン酸リンゴ酸安息香酸メタンスルホン酸ベンゼンスルホン酸等の有機酸との塩等が挙げられる。
塩基性塩としては、例えば、水酸化ナトリウム水酸化カリウム水酸化アンモニウム水酸化マグネシウム等の無機塩基との塩;カフェインピペリジントリメチルアミンピリジン等の有機塩基との塩等が挙げられる。

0045

本実施形態の抗癌剤は、他の成分として、例えば、PBS、Tris−HCl等の緩衝液アジ化ナトリウムグリセロール等の添加剤を含んでいてもよい。

0046

本実施形態の抗癌剤を用いて、癌(特に、メラノーマ)の治療方法を提供することができる。
治療対象としては、特別な限定はなく、例えば、ヒト又はヒト以外の哺乳動物(例えば、サル、マウス、ラットウサギブタイヌウマウシ等)が挙げられ、中でも、ヒトが好ましい。

0047

<化合物(1)の製造方法>
化合物(1)は、例えば、ユリ科野菜(例えば、タマネギ、ニンニク、ネギ、ニラ、ラッキョウ等)に含まれる化合物であることから、所望のRを有する化合物(1)を含むユリ科野菜を適宜選択し、ユリ科野菜から前記所望のRを有する化合物(1)を抽出及び精製することにより得ることができる。

0048

また、化合物(1)は、例えば、システインと、所望のRを有する臭化物とを、公知の反応を用いて置換させ、さらに公知の反応を用いて酸化させることで製造できる。より具体的には以下のとおりである。

0049

化合物(1)は、例えば、システインと下記一般式(1a)で表される化合物(以下、「化合物(1a)」と略記することがある。)とを反応させて、下記一般式(1b)で表される化合物(以下、「化合物(1b)」と略記することがある。)を得る工程(以下、「化合物(1b)製造工程」と略記することがある。)と、下記一般式(1b)で表される化合物と酸化剤とを反応させて、化合物(1)を得る工程(以下、「化合物(1)製造工程」と略記することがある。)と、を有する製造方法により、製造できる。
以下、各工程について、詳細に説明する。

0050

0051

(式中、Rは、上記と同じである。Xは、ハロゲン原子である。)

0052

[化合物(1b)製造工程]
前記化合物(1b)製造工程においては、システインと化合物(1a)とを反応させて、化合物(1b)を得る。
化合物(1b)を得る前記反応は、公知の置換反応である。

0053

(化合物(1a))
化合物(1a)は公知化合物(有機ハロゲン化物)である。
化合物(1a)において、Rが炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である場合、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。

0054

また、Rが炭素数1〜6の環状のアルキル基である場合、シクロプロピル基、シクロブチル基、1−メチル−シクロプロピル基又は2−メチル−シクロプロピル基であることが好ましく、シクロプロピル基又はシクロブチル基であることがより好ましく、シクロプロピル基であることがさらに好ましい。

0055

また、Rが炭素数2〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基である場合、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基又は1−メチル−1−エテニル基であることが好ましく、エテニル基、1−プロペニル基又は2−プロペニル基であることがより好ましく、1−プロペニル基又は2−プロペニル基であることがさらに好ましい。

0056

また、Rが炭素数5〜6の環状のアルケニル基である場合、1−シクロペンテニル基、2−シクロペンテニル基、又は3−シクロペンテニル基であることが好ましい。

0057

化合物(1a)において、Xはハロゲン原子である。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。中でも、Xにおけるハロゲン原子としては、臭素原子又はヨウ素原子であることが好ましい。

0058

反応条件
化合物(1b)製造工程においては、例えば、適当な有機溶媒、又は前記有機溶媒及び水の混合溶媒等の水性溶媒反応溶媒として用いることが好ましい。
化合物(1b)製造工程において使用可能な有機溶媒としては、例えば、メタノールエタノールジクロロメタンクロロホルムトルエントリフルオロメチルベンゼンテトラヒドロフランテトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、メチル−tert−ブチルエーテル等が挙げられ、これらに限定されない。
前記溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。

0059

化合物(1b)製造工程において、システインの使用量は、例えば、化合物(1a)の使用量の0.5〜2倍モル量であることが好ましく、1〜1.5倍モル量であることがより好ましい。

0060

化合物(1b)製造工程においては、さらに塩基を用いて反応を行うことが好ましい。
前記塩基としては、例えば、ピリジン、2,6−ルチジン、2,6−ビス(tert−ブチル)ピリジン、トリエチルアミンジメチルイソプロピルアミンN−メチルモルホリン等の有機塩基;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム水素化カリウムナトリウムアミド等の無機塩基;リチウムジイソプロピルアミドブチルリチウム等の有機金属塩等が挙げられ、これらに限定されない。
前記塩基は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
化合物(1b)製造工程において、塩基の使用量は、例えば、化合物(1b)の使用量の1〜5倍モル量であることが好ましく、2〜4倍モル量であることがより好ましい。

0061

化合物(1b)製造工程において、反応温度は、例えば、15〜40℃であることが好ましく、20〜30℃であることがより好ましい。
化合物(1b)製造工程において、反応時間は、例えば、12〜48時間であることが好ましく、18〜24時間であることがより好ましい。

0062

化合物(1b)製造工程において、反応終了後は、公知の手法によって、必要に応じて後処理を行い、化合物(1b)を取り出せばよい。すなわち、適宜必要に応じて、ろ過、洗浄、抽出、pH調整、脱水濃縮等の後処理操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて行い、濃縮、結晶化、再沈殿カラムクロマトグラフィー等により、化合物(1b)を取り出せばよい。また、取り出した化合物(1b)は、さらに必要に応じて、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、抽出、溶媒による結晶の撹拌洗浄等の操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて1回以上行うことで、精製してもよい。
化合物(1b)製造工程においては、反応終了後、化合物(1b)を取り出さずに、次工程で用いてもよいが、目的物である化合物(1)の収率が向上する点から、化合物(1b)を上述の方法で取り出すことが好ましい。

0063

[化合物(1)製造工程]
前記化合物(1)製造工程においては、化合物(1b)と酸化剤とを反応させて、化合物(1)を得る。
化合物(1)を得る前記反応は、公知の酸化反応である。

0064

(化合物(1b))
化合物(1b)は公知化合物である。
化合物(1b)において、Rの好ましい態様は、前記化合物(1a)におけるRと同様である。

0065

(反応条件)
化合物(1)製造工程においては、例えば、適当な有機溶媒、又は前記有機溶媒及び水の混合溶媒等の水性溶媒を反応溶媒として用いることが好ましい。
化合物(1)製造工程において使用可能な有機溶媒としては、上述の[化合物(1b)製造工程]で例示されたものと同様のものが挙げられる。

0066

化合物(1)製造工程においては、例えば、過酸化水素オキソン過安息香酸等の酸化剤を用いて反応を行うことが好ましい。
酸化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。ただし、通常、酸化剤は、1種を単独で用いれば十分である。
化合物(1)製造工程において、酸化剤の使用量は、例えば、化合物(1b)の使用量の1〜4倍モル量であることが好ましく、1〜2倍モル量であることがより好ましい。

0067

化合物(1)製造工程において、反応温度は、例えば、15〜40℃であることが好ましく、20〜30℃であることがより好ましい。
化合物(1)製造工程において、反応時間は、例えば、30分〜24時間であることが好ましく、1〜12時間であることがより好ましい。

0068

化合物(1)製造工程において、反応終了後は、化合物(1b)製造工程の場合と同様の方法で、化合物(1)を取り出すことができ、取り出した化合物(1)をさらに同様の方法で精製してもよい。

0069

化合物(1)、化合物(1a)、化合物(1b)等の各化合物は、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光法、質量分析法(MS)、赤外分光法(IR)等、公知の手法で構造を確認できる。

0070

<<癌の予防又は治療用医薬組成物>>
一実施形態において、本発明は、上述の抗癌剤、並びに薬理学的に許容され得る担体又は希釈剤のうち少なくともいずれかを含む癌の予防又は治療用医薬組成物を提供する。

0071

本実施形態の医薬組成物によれば、効果的に癌を予防又は治療することができる。本実施形態の医薬組成物の適用対象とする癌としては、上述の<<抗癌剤>>において例示されたものと同様のものが挙げられる。中でも、本実施形態の医薬組成物は、メラノーマの予防又は治療に用いられることが好ましい。

0072

<投与量>
本実施形態の医薬組成物は、被検動物(ヒト又は非ヒト動物を含む各種哺乳動物、好ましくはヒト)の年齢性別、体重、症状、治療方法、投与方法、処理時間等を案して適宜調節される。
本実施形態の医薬組成物に含まれる上述の抗癌剤の投与量は、症状により差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約1.0から100g、好ましくは約3.0から30g、より好ましくは約5.0から15gであると考えられる。
非経口的に投与する場合は、その1回の投与量は症状、投与方法によっても異なるが、例えば注射剤の形では通常成人(体重60kgとして)においては、通常、1日当り約0.01から30g、好ましくは約0.05から15g、より好ましくは約0.1から5gを静脈注射により投与するのが好都合であると考えられる。

0073

投与回数としては、1週間平均当たり、1回〜数回投与することが好ましい。
投与形態としては、例えば、動脈内注射静脈内注射、皮下注射、鼻腔内的、腹腔内的、経気管支的、筋内的、経皮的、または経口的に当業者に公知の方法が挙げられ、静脈内注射、又は経皮的若しくは経口的投与が好ましい。
注射剤は、非水性の希釈剤(例えば、ポリエチレングリコールオリーブ油等の植物油、エタノール等のアルコール類など)、懸濁剤、又は乳濁剤として調製することもできる。このような注射剤の無菌化は、フィルターによる濾過滅菌殺菌剤等の配合により行うことができる。注射剤は、用事調製の形態として製造することができる。即ち、凍結乾燥法などによって、無菌固体組成物とし、使用前に注射用蒸留水又は他の溶媒に溶解して使用することができる。

0074

<組成成分>
本実施形態の医薬組成物は、治療的に有効量の上述の抗癌剤、並びに薬学的に許容されうる担体又は希釈剤を含む。薬学的に許容されうる担体又は希釈剤は、賦形剤稀釈剤増量剤崩壊剤、安定剤、保存剤緩衝剤乳化剤芳香剤着色剤甘味料粘稠剤、矯味剤溶解補助剤、添加剤等が挙げられる。これら担体の1種以上を用いることにより、注射剤、液剤カプセル剤、懸濁剤、乳剤、又はシロップ剤等の形態の医薬組成物を調製することができる。

0075

また、担体としてコロイド分散系を用いることもできる。コロイド分散系は、上述の抗癌剤の生体内定性を高める効果や、特定の臓器組織、又は細胞へ、上述の抗癌剤の移行性を高める効果が期待される。コロイド分散系としては、例えば、ポリエチレングリコール、高分子複合体高分子凝集体ナノカプセルミクロスフェアビーズ水中油系の乳化剤、ミセル混合ミセルリポソーム包含する脂質を挙げることができ、特定の臓器、組織、又は細胞へ、上述の抗癌剤を効率的に輸送する効果のある、リポソームや人工膜小胞が好ましい。

0076

本実施形態の医薬組成物における製剤化の例としては、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤マイクロカプセル剤として経口的に使用されるものが挙げられる。
または、水若しくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、又は懸濁液剤の注射剤の形で非経口的に使用されるものが挙げられる。更には、薬理学上許容される担体又は希釈剤、具体的には、滅菌水生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、賦形剤、ベヒクル防腐剤結合剤等と適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態混和することによって製剤化されたものが挙げられる。

0077

錠剤、カプセル剤に混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチンコーンスターチトラガントガムアラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸のような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖乳糖又はサッカリンのような甘味剤ペパーミントアカモノ油又はチェリーのような香味剤が用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記の材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用蒸留水のようなベヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができる。

0078

本実施形態の医薬組成物が注射剤である場合、無菌組成物は、例えば、注射用蒸留水のようなベヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができる。また、注射用水溶液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えばD−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール塩化ナトリウム等が挙げられ、適当な溶解補助剤(例えば、アルコール(具体的には、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等))、又は非イオン性界面活性剤(例えばポリソルベート80(TM)、HCO−50等)と併用してもよい。

0079

また、油性液としては、例えば、ゴマ油大豆油等が挙げられ、溶解補助剤として、例えば、安息香酸ベンジルベンジルアルコール等と併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液酢酸ナトリウム緩衝液等)、無痛化剤(例えば、塩酸プロカイン等)、安定剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノール等)、又は酸化防止剤をさらに配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプル充填させる。

0080

また、注射剤は、非水性の希釈剤(例えば、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、エタノール等のアルコール類等)、懸濁剤、又は乳濁剤として調製することもできる。このような注射剤の無菌化は、フィルターによる濾過滅菌、殺菌剤等の配合により行うことができる。注射剤は、用事調製の形態として製造することができる。即ち、凍結乾燥法などによって、無菌の固体組成物とし、使用前に注射用蒸留水又は他の溶媒に溶解して使用することができる。

0081

本実施形態の医薬組成物は、単独で用いてもよく、その他の癌の予防又は治療用医薬組成物と組み合わせて用いてもよい。

0082

<治療方法>
本発明の一側面は、癌の予防又は治療のための上述の抗癌剤を含む医薬組成物を提供する。
また、本発明の一側面は、治療的に有効量の上述の抗癌剤、並びに薬学的に許容されうる担体又は希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
また、本発明の一側面は、前記医薬組成物を含む、癌の治療剤を提供する。
また、本発明の一側面は、癌の治療剤を製造するための上述の抗癌剤の使用を提供する。
また、本発明の一側面は、上述の抗癌剤の有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、癌の治療方法を提供する。

0083

<<飲食品>>
一実施形態において、本発明は、上述の抗癌剤を含む飲食品を提供する。

0084

本実施形態の飲食品によれば、効果的に癌を予防することができる。また、本実施形態の飲食品に含まれる抗癌剤は、無臭で水溶性が高く、さらに、呈味増強効果を有することから、より美味しい飲食品を提供することができる。
本実施形態の飲食品の適用対象とする癌としては、上述の<<抗癌剤>>において例示されたものと同様のものが挙げられる。中でも、本実施形態の飲食品は、メラノーマの予防に用いられることが好ましい。

0085

本明細書において、「飲食品」とは、食品と飲料を合わせたものであり、主に加工食品を意味する。また、本実施形態の飲食品は、健康食品(特定保健用食品を含む)、機能性食品、健康飲料、機能性飲料を含む。

0086

上述の抗癌剤を含む飲食品の形態は、固形状であっても液状であってもよい。飲食品の種類としては、具体的には、清涼飲料炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料乳飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリームアイスシャーベット、かき等の冷菓;そば、うどん、スパゲッティ、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺即席麺等の麺類;飴、チューインガムキャンディーグミガムキャラメルチョコレート錠菓スナック菓子ビスケット等の焼き菓子ゼリージャムクリーム等の菓子類;かまぼこ、ハンバーグハムソーセージ等の水産又は畜産加工食品;加工乳発酵乳ヨーグルトバターチーズ等の乳製品サラダ油てんぷら油、マーガリンマヨネーズショートニングホイップクリームドレッシング等の油脂及び油脂加工食品ソース、たれ等の調味料スープシチューカレーパン、ジャム、サラダ惣菜漬物等が挙げられ、これらに限定はされない。

0087

本実施形態の飲食品は、その種類に応じて通常使用される添加剤を適宜配合してもよい。添加剤としては、例えば、砂糖果糖異性化液糖、ブドウ糖、アスパルテームステビア等の甘味料、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等の酸味料デキストリン澱粉等の賦形剤、結合剤、希釈剤、香料、緩衝剤、増粘剤ゲル化剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤懸濁化剤、防腐剤等が挙げられる。

0088

本実施形態の飲食品における上述の抗癌剤の配合量は、その生理作用薬理作用が発揮できる量であればよく、上述の<<癌の予防又は治療用医薬組成物>>における経口投与での投与量及び対象飲食品の一般的な摂取量を考慮して、通常、成人1日当たりの摂取量が約1.0から100g、好ましくは約3.0から30g、より好ましくは約5.0から15gとなる量とすればよい。例えば、固形状食品の場合には10〜50重量%、飲料等の液状食品の場合には1〜10重量%であればよい。

0089

以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

0090

[製造例1]化合物(1−B2)(S−Allyl−L−cysteine sulfoxide;ACSO)の合成
以下に示す経路で、化合物(1−B2)(S−Allyl−L−cysteine sulfoxide(ACSO)、Allin)を製造した。

0091

0092

まず、システイン塩酸塩一水和物(30g、170mmol)を99%エタノールと水とを2:1で混合した溶媒を添加した50mL容量の丸底フラスコに加えた。続いて、塩基であるトリエチルアミン(72mL、518mmol)を加えた。続いて、臭化アリル(29mL、335mmol)を加えて、氷冷下で20分間反応させた。続いて、反応溶液吸引ろ過及び真空乾燥し、白色の結晶(化合物(1b−1))を得た(収量12g、収率44%)。

0093

続いて、得られた化合物(1b−1)(12g、75mmol)を、純水を添加した50mL容量の丸底フラスコに加えた。続いて、酸化剤である30%過酸化水素水(15mL、152mmol)を加えて、室温で24時間反応させた。続いて、ロータリーエバポレーターを用いて反応溶液を濃縮した。続いて、濃縮した溶液を用いて、99%エタノールによる抽出、吸引ろ過及び真空乾燥し、白色の結晶(化合物(1−B2))を得た(収量6.6g、収率50%)。

0094

得られた化合物(1−B2)の核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance;NMR)分光法による分析結果を図1に、質量分析法(Mass Spectrometry;MS)による分析結果を図2に示す。
図1及び図2から、化合物(1−B2)(ACSO)が製造できたことが確かめられた。

0095

[製造例2]化合物(1−A1)(S−Methyl−L−cysteine sulfoxide;MCSO)の合成
以下に示す経路で、化合物(1−A1)(S−Methyl−L−cysteine sulfoxide;MCSO)を製造した。

0096

0097

まず、システイン塩酸塩一水和物(30g、170mmol)を99%エタノールと水とを2:1で混合した溶媒を添加した50mL容量の丸底フラスコに加えた。続いて、塩基であるトリエチルアミン(72mL、518mmol)を加えた。続いて、ヨードメタン(21mL、337mmol)を加えて、氷冷下で20分間反応させた。続いて、反応溶液を吸引ろ過及び真空乾燥し、白色の結晶(化合物(1b−2))を得た(収量14g、収率61%)。

0098

続いて、得られた化合物(1b−2)(14g、100mmol)を、純水を添加した50mL容量の丸底フラスコに加えた。続いて、酸化剤である30%過酸化水素水(20mL、200mmol)を加えて、室温で24時間反応させた。続いて、ロータリーエバポレーターを用いて反応溶液を濃縮した。続いて、濃縮した溶液を用いて、99%エタノールによる抽出、吸引ろ過及び真空乾燥し、白色の結晶(化合物(1−A1))を得た(収量6.5g、収率43%)。

0099

得られた化合物(1−A1)の核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance;NMR)分光法による分析結果を図3に、質量分析法(Mass Spectrometry;MS)による分析結果を図4に示す。
図3及び図4から、化合物(1−A1)(MCSO)が製造できたことが確かめられた。

0100

[実施例1]マウスメラノーマ細胞を用いたMTT(3−(4,5−Dimethylthial−2−yl)−2,5−Diphenyltetrazalium Bromide)アッセイ
(1)細胞の準備
96穴プレートにB16F1細胞(マウスメラノーマ細胞)を3.0×105cells/ウェルとなるように播種し、37℃で24時間インキュベートした。

0101

(2)化合物の添加
続いて、製造例1及び2で製造した化合物(1−B2)、化合物(1−A1)及び化合物(1−b1)をそれぞれ0、0.1、0.5、1、5、10μmol/mLの濃度となるように添加し、37℃で24時間インキュベートした。

0102

(3)MTT(3−(4,5−Dimethylthial−2−yl)−2,5−Diphenyltetrazalium Bromide)アッセイ
続いて、MTT(3−(4,5−Dimethylthial−2−yl)−2,5−Diphenyltetrazalium Bromide)標識試薬同仁化学研究所製)をPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で5mg/mLに溶解したMTT標識試薬を、各ウェルに10μLずつ添加し、37℃で30分間インキュベートした。MTT標識試薬は、代謝的に活性のある細胞により紫色のフォルマザン結晶を生成することが知られており、細胞生存率指標となる。続いて、DMSO(Dimethyl sulfoxide)を各ウェルに100μLずつ添加し、反応を停止させた。続いて、マルチプレートリーダー(Biotek社製)を用いて、570nm及び650nmの吸光度を測定した。結果を図5に示す。

0103

図5から、化合物(1−b1)を添加したB16F1細胞では細胞の生存率に変化は見られなかった。一方、化合物(1−B2)又は化合物(1−A1)を添加したB16F1細胞において、1μmol/mL以上添加した場合に、B16F1細胞の細胞生存率が著しく低下することが明らかとなった。また、化合物(1−B2)を添加したB16F1細胞では、3μmol/mL以上添加した場合に、化合物(1−A1)を添加したB16F1細胞よりも細胞生存率が低下することが明らかとなった。

0104

[実施例2]化合物(1−B2)又は化合物(1−A1)経口投与し、マウスメラノーマ細胞を皮下注射したマウスを用いた乳酸脱水素酵素(LDH)の活性測定試験
(1)マウスへの化合物の投与
C57BL/6J雄マウス(5週齢)(日本エスエルシー株式会社製)を7日間飼育した。続いて、各6〜9匹のマウスに、化合物(1−B2)、化合物(1−A1)又は化合物(1−b2)を蒸留水に溶解して毎日経口投与した。1日の投与量としては、体重1kg当たり各化合物を1mmol含む10mLの蒸留水を経口投与した。コントロールとして、化合物を含まない蒸留水を経口投与したマウス群も準備した。

0105

(2)メラノーマ細胞の皮下注射
続いて、化合物の投与から7日目に、(1)で化合物を投与した各マウス群及びコントロール(蒸留水投与)群について、B16F1細胞(マウスメラノーマ細胞)を3.0×105cellsずつ皮下注射した。また、対照群として、(1)で化合物を投与した各マウス群及びコントロール(蒸留水投与)群について、B16F1細胞を皮下注射しない群も準備した。また、各化合物の投与はB16F1細胞の皮下注射後も毎日行った。各マウス群において、腫瘍が肉眼で観察された日から5日後までの腫瘍の各日の体積を測定した。結果を図6に示す。腫瘍体積は以下の式を用いて、計算した。

0106

0107

図6から、化合物(1−b1)を投与したマウス群では、腫瘍体積は経時的に増加した。一方、化合物(1−B2)又は化合物(1−A1)を投与したマウス群では、腫瘍体積の増加が抑制されていた。特に、化合物(1−B2)を投与したマウス群では、腫瘍体積の増加の抑制が顕著であった。
このことから、化合物(1−B2)及び化合物(1−A1)が腫瘍成長に対する抑制効果を有することが示唆された。

0108

(3)乳酸脱水素酵素(Lactate Dehydrogenase;LDH)の活性測定
続いて、乳酸脱水素酵素(Lactate Dehydrogenase;LDH)の活性測定を行った。癌が進行すると、癌細胞の急激な速度での細胞増殖により酸素消費するため、低酸素状態となり、嫌気性解糖触媒する酵素であるLDHが増加することが知られている。よって、LDHの活性測定が癌の進行の指標となる。

0109

まず、腫瘍が肉眼で観察された日から5日後に各マウス群の尾静脈から血液を採取した。続いて、採取した血液を遠心分離して、血漿を得た。得られた血漿を各5μLずつ、スポットケム(登録商標)IILDH(SP−4410)(アークレイ社製)に滴下し、室温で3分間放置した。LDHはNAD補酵素として、乳酸を酸化してピルビン酸とNADHとを生成する。生成されたNADHは、ジアホラーゼを介して、スポットケム(登録商標)II LDH(SP−4410)の試薬層に存在するテトラゾリウムバイオレットを紫色のフォルマザンに還元する。よって、紫色の呈色物質比色定量することで、LDHの活性を測定することができる。続いて、スポットケム(登録商標)EZ(アークレイ社製)を用いて、550nmの吸光度を測定した。結果を図7に示す。図7において、(i)はコントロール(蒸留水投与)群であり、(ii)は化合物(1−B2)投与群であり、(iii)は化合物(1−b1)投与群であり、(iv)は化合物(1−A1)投与群である。また、「Melanoma B16F1 cell」とは、各(i)〜(iv)のうち、B16F1細胞を皮下注射した群である。

0110

図7から、コントロール(蒸留水投与)群及び化合物(1−b1)投与群では、メラノーマ細胞を皮下注射した群は、皮下注射しなかった群と比較して、LDHの活性が増加した。一方、化合物(1−B2)投与群及び化合物(1−A1)投与群では、メラノーマ細胞を皮下注射したコントロール(蒸留水投与)群及び化合物(1−b1)投与群と比較して、LDHの活性が減少することが明らかとなった。

実施例

0111

以上の結果から、化合物(1−B2)及び化合物(1−A1)は癌細胞(特に、メラノーマ細胞)の増殖抑制効果を有することが示唆された。

0112

本発明によれば、無臭で水溶性が高く、効果的な抗癌剤を提供することができる。さらに、本発明の抗癌剤は、無臭で水溶性が高いため、容易に医薬品又は飲食品に加工することができる。また、本発明の抗癌剤は、呈味増強効果を有することから、飲食品をより美味しくすることができ、同時に癌を予防することが可能である。

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