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図面 (4)

課題

本発明の課題は、Cdkal1遺伝子が変異した膵臓β細胞における、tRNALys(UUU)の修飾異常によるインスリンの合成異常を原因の一つとする2型糖尿病患者に対する新規治療薬を提供することにある。

解決手段

本発明により、(S(+))-エペリゾンまたはその医薬的に許容される塩を有効成分として含有する2型糖尿病治療剤が提供される。

概要

背景

2型糖尿病中年以降における最も一般的な生活習慣病の1つであり、我が国を含めた多くの国においてその罹患率が上昇している。2型糖尿病患者の多くは、遺伝的な要因に、環境因子肥満運動不足脂肪の多い食生活など)が加わって発症すると考えられている。従って、糖尿病に関する遺伝因子事前診断し、発症前に糖尿病に罹患する可能性が高いと分かった人に対しては食事運動面において注意することによって、糖尿病の発症を未然に防ぐことが可能となる。

近年、ゲノム全体にわたる相関解析により、一塩基多型(SNP)と呼ばれる、配列決定されたゲノムにおいて高頻度に検出される遺伝的変異の検出が可能となっている。2型糖尿病においても、いくつかのSNPsが既に報告されている。Cdkal1(Cdk5 regulator subunit associated protein 1-like1)遺伝子内に存在する特異的なSNP変異は、2型糖尿病発症リスクを高める遺伝子変異として、インスリン分泌の低下ならびに2型糖尿病の発症と有意に相関することが知られている。

インスリンは、膵臓β細胞内でまず、プレプロインスリンとして合成される。プレプロインスリンは、シグナルペプチドB鎖、C−ペプチド、およびA鎖から成る。このプレプロインスリンが2カ所のジスルフィド結合により折りたたまれ、シグナルペプチドが切断されたものが、プロインスリンである。更に、プロインスリンからC−ペプチド部分が切断され、残った部分がインスリンとなる。このC−ペプチドとA鎖の切断部位リジン残基が存在する。

tRNAmRNAの情報を解読してタンパク翻訳において中心的な役割を有する小分子RNAである。一方、tRNAは最も翻訳後化学修飾されるRNAとしても知られている。特にアンチコドンに位置する34番の塩基およびアンチコドンすぐ近傍の37番の塩基における化学修飾は、翻訳の正確性を制御する重要な役割を有する。

2型糖尿病の危険因子であるCdkal1分子はリジンに対応するtRNAの37番アデノシンチオメチル化する。遺伝的あるいは環境的な要因によりCdkal1の発現量や活性が低下すると、リジンtRNAのチオメチル化が低下する。その結果、膵β細胞においてインスリンなどタンパクの翻訳精度が低下し、プロセッシングできない異常インスリンが産生される。このことから、tRNALys(UUU)の修飾異常によるインスリンの合成異常が、2型糖尿病の発症に寄与していると考えられている。日本人を含めアジアにおいて、4人に1人の割合でCdkal1遺伝子に変異が認められることから、多くの糖尿病患者においてタンパクの翻訳精度が低下し、インスリン分泌が低下していることが推測されている。

現在、糖尿病治療薬としては、様々な治療薬が市販されており、具体的には、スルホニル尿素薬グリニド薬、ビグアナイド薬チアゾリジン薬、α−グルコシダーゼ阻害剤DPP−4阻害剤、GLP−1受動作動薬、SGLT−2阻害薬を挙げることができる。
これらの、現在市販されている抗糖尿病薬は、インスリン分泌の促進あるいはインスリンの感受性を改善すること、腸管での糖吸収を制御すること、または、血中グルコースの濃度を制御することで糖尿病の症状を改善する。しかし、上記の抗糖尿病薬はインスリンの翻訳に対して全く作用しないため、Cdkal1遺伝子変異に起因する翻訳異常およびインスリン分泌低下に対して作用する新しい糖尿病治療薬の開発が必要とされている。

本発明者らは以前、翻訳時において読み枠が誤翻訳でずれることによりルシフェラーゼが翻訳されるスクリーニング系構築した。そして、同スクリーニング系を用い、翻訳の正確性を向上させる低分子化合物スクリーニングを行った。その結果、翻訳の正確性を向上させる抗糖尿病効果を有する低分子化合物として、エペリゾンフルオキセチン、およびエルビテグラビアを見いだし、特許を出願している(特許文献1)。エペリゾンは、従来、筋弛緩剤として知られていたが、抗糖尿病効果を有することが本発明者らにより初めて報告されたものである。エペリゾンには、不斉炭素原子が存在し、光学異性体が存在する。現在筋弛緩剤として市販されている塩酸エペリゾンは、光学異性体の混合物ラセミ体)である。また、試薬として販売されているエペリゾンまたはその塩も混合物(ラセミ体)である。単一の光学異性体に単離されたエペリゾンについては、その薬理活性も含めて報告がない。

概要

本発明の課題は、Cdkal1遺伝子が変異した膵臓β細胞における、tRNALys(UUU)の修飾異常によるインスリンの合成異常を原因の一つとする2型糖尿病患者に対する新規の治療薬を提供することにある。 本発明により、(S(+))-エペリゾンまたはその医薬的に許容される塩を有効成分として含有する2型糖尿病治療剤が提供される。

目的

本発明の課題は、Cdkal1遺伝子が変異した膵臓β細胞における、tRNALys(UUU)の修飾異常によるインスリンの合成異常を原因の一つとする2型糖尿病患者に対する新規の治療薬を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

(S(+))-エペリゾンまたはその医薬的に許容される塩を有効成分として含有する2型糖尿病治療剤

請求項2

前記医薬的に許容される塩が、塩酸硝酸メタンスルホン酸酢酸レブリン酸乳酸、フルビプロフェンケトプロフェンシュウ酸フマル酸、およびマレイン酸からなる群より選ばれるいずれか一つの酸との塩である請求項1に記載の2型糖尿病治療剤。

請求項3

実質的に(R(−))-エペリゾンまたはその塩を含有しない、請求項1または2に記載の2型糖尿病治療剤。

請求項4

前記2型糖尿病が、Cdkal1遺伝子が変異することによりインスリン分泌能が低下した2型糖尿病である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の2型糖尿病治療剤。

請求項5

プロインスリンからインスリンへの変換を活性化することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の2型糖尿病治療剤。

技術分野

0001

本発明は、Cdkal1遺伝子が変異することによりインスリン分泌能が低下した2型糖尿病患者に対する治療剤に関する。

背景技術

0002

2型糖尿病中年以降における最も一般的な生活習慣病の1つであり、我が国を含めた多くの国においてその罹患率が上昇している。2型糖尿病患者の多くは、遺伝的な要因に、環境因子肥満運動不足脂肪の多い食生活など)が加わって発症すると考えられている。従って、糖尿病に関する遺伝因子事前診断し、発症前に糖尿病に罹患する可能性が高いと分かった人に対しては食事運動面において注意することによって、糖尿病の発症を未然に防ぐことが可能となる。

0003

近年、ゲノム全体にわたる相関解析により、一塩基多型(SNP)と呼ばれる、配列決定されたゲノムにおいて高頻度に検出される遺伝的変異の検出が可能となっている。2型糖尿病においても、いくつかのSNPsが既に報告されている。Cdkal1(Cdk5 regulator subunit associated protein 1-like1)遺伝子内に存在する特異的なSNP変異は、2型糖尿病発症リスクを高める遺伝子変異として、インスリン分泌の低下ならびに2型糖尿病の発症と有意に相関することが知られている。

0004

インスリンは、膵臓β細胞内でまず、プレプロインスリンとして合成される。プレプロインスリンは、シグナルペプチドB鎖、C−ペプチド、およびA鎖から成る。このプレプロインスリンが2カ所のジスルフィド結合により折りたたまれ、シグナルペプチドが切断されたものが、プロインスリンである。更に、プロインスリンからC−ペプチド部分が切断され、残った部分がインスリンとなる。このC−ペプチドとA鎖の切断部位リジン残基が存在する。

0005

tRNAmRNAの情報を解読してタンパク翻訳において中心的な役割を有する小分子RNAである。一方、tRNAは最も翻訳後化学修飾されるRNAとしても知られている。特にアンチコドンに位置する34番の塩基およびアンチコドンすぐ近傍の37番の塩基における化学修飾は、翻訳の正確性を制御する重要な役割を有する。

0006

2型糖尿病の危険因子であるCdkal1分子はリジンに対応するtRNAの37番アデノシンチオメチル化する。遺伝的あるいは環境的な要因によりCdkal1の発現量や活性が低下すると、リジンtRNAのチオメチル化が低下する。その結果、膵β細胞においてインスリンなどタンパクの翻訳精度が低下し、プロセッシングできない異常インスリンが産生される。このことから、tRNALys(UUU)の修飾異常によるインスリンの合成異常が、2型糖尿病の発症に寄与していると考えられている。日本人を含めアジアにおいて、4人に1人の割合でCdkal1遺伝子に変異が認められることから、多くの糖尿病患者においてタンパクの翻訳精度が低下し、インスリン分泌が低下していることが推測されている。

0007

現在、糖尿病治療薬としては、様々な治療薬が市販されており、具体的には、スルホニル尿素薬グリニド薬、ビグアナイド薬チアゾリジン薬、α−グルコシダーゼ阻害剤DPP−4阻害剤、GLP−1受動作動薬、SGLT−2阻害薬を挙げることができる。
これらの、現在市販されている抗糖尿病薬は、インスリン分泌の促進あるいはインスリンの感受性を改善すること、腸管での糖吸収を制御すること、または、血中グルコースの濃度を制御することで糖尿病の症状を改善する。しかし、上記の抗糖尿病薬はインスリンの翻訳に対して全く作用しないため、Cdkal1遺伝子変異に起因する翻訳異常およびインスリン分泌低下に対して作用する新しい糖尿病治療薬の開発が必要とされている。

0008

本発明者らは以前、翻訳時において読み枠が誤翻訳でずれることによりルシフェラーゼが翻訳されるスクリーニング系構築した。そして、同スクリーニング系を用い、翻訳の正確性を向上させる低分子化合物スクリーニングを行った。その結果、翻訳の正確性を向上させる抗糖尿病効果を有する低分子化合物として、エペリゾンフルオキセチン、およびエルビテグラビアを見いだし、特許を出願している(特許文献1)。エペリゾンは、従来、筋弛緩剤として知られていたが、抗糖尿病効果を有することが本発明者らにより初めて報告されたものである。エペリゾンには、不斉炭素原子が存在し、光学異性体が存在する。現在筋弛緩剤として市販されている塩酸エペリゾンは、光学異性体の混合物ラセミ体)である。また、試薬として販売されているエペリゾンまたはその塩も混合物(ラセミ体)である。単一の光学異性体に単離されたエペリゾンについては、その薬理活性も含めて報告がない。

先行技術

0009

WO2014/156196

発明が解決しようとする課題

0010

本発明の課題は、Cdkal1遺伝子が変異した膵臓β細胞における、tRNALys(UUU)の修飾異常によるインスリンの合成異常を原因の一つとする2型糖尿病患者に対する新規の治療薬を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

現在市販されている糖尿病治療薬と比べて、エペリゾンは、高抗糖尿病効果以外に、翻訳改善効果も有することから、翻訳異常を伴う2型糖尿病患者に対して高い治療効果が得られる。しかし、エペリゾンは光学異性体の混合物であるため、その薬効がまだ十分に発揮されていない可能性がある。そこで、本発明者らは、エペリゾンの光学異性体を分離し、ラセミ体の状態とは異なる状態にあるエペリゾンが高い翻訳改善効果および抗糖尿病効果を示すことを見いだし、本発明を完成させた。
本発明は以下の態様を含む。
[1](S(+))-エペリゾンまたはその医薬的に許容される塩を有効成分として含有する2型糖尿病治療剤
[2]前記医薬的に許容される塩が、塩酸、硝酸メタンスルホン酸酢酸レブリン酸乳酸、フルビプロフェンケトプロフェンシュウ酸フマル酸、およびマレイン酸からなる群より選ばれるいずれか一つの酸との塩である上記[1]に記載の2型糖尿病治療剤。
[3]実質的に(R(−))-エペリゾンまたはその塩を含有しない、上記[1]または[2]に記載の2型糖尿病治療剤。
[4]前記2型糖尿病が、Cdkal1遺伝子が変異することによりインスリン分泌能が低下した2型糖尿病である、上記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の2型糖尿病治療剤。
[5]プロインスリンからインスリンへの変換を活性化することを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれか一つに記載の2型糖尿病治療剤。

発明の効果

0012

本発明により、新規な2型糖尿病治療剤が提供される。本発明により提供される2型糖尿病治療剤は、(S(+))−エペリゾンを有効成分として含むものであり、ラセミ体であるエペリゾンに比べ有意な翻訳改善効果、インスリン分泌促進効果、および血糖値抑制効果を示す。

図面の簡単な説明

0013

エペリゾン光学異性体の分離を示す図である。分離開始から4.2分後に現れたピークはR(−)体を示し、5.6分後に現れたピークはS(+)体を示す。
ルシフェラーゼ活性指標にした系を用いて、ラセミ体エペリゾン(Epe)、およびエペリゾンの光学異性体であるR(−)体とS(+)体のそれぞれの翻訳改善効果を示した図である。N=4,**P<0.01(ANOVA)。
Cdkal1欠損マウスの膵臓β細胞由来細胞株を用いて、ラセミ体エペリゾン(Epe)、および、エペリゾンの光学異性体であるR(−)体とS(+)体のそれぞれのインスリン翻訳の改善効果を示した図である。Conは対照溶媒のみ)である。n=4。*P<0.05(ANOVA)。

0014

以下、本発明を、例示的な実施態様を例として、本発明の実施において使用することができる好ましい方法および材料とともに説明する。
なお、文中で特に断らない限り、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味をもつ。また、本明細書に記載されたものと同等または同様の任意の材料および方法は、本発明の実施において同様に使用することができる。
また、本明細書に記載された発明に関連して本明細書中引用されるすべての刊行物および特許は、例えば、本発明で使用できる方法や材料その他を示すものとして、本明細書の一部を構成するものである。

0015

エペリゾン(Eperisone:1-(4-ethylphenyl)-2-methyl-3-(piperidin-1-yl)propan-1-one)は、中枢性骨格筋弛緩薬として古くから使用されてきた化合物である。
エペリゾンは、R(−)体とS(+)体の混合物であるラセミ体からなり、市販品として入手可能である。医薬品として用いられているものも、塩酸エペリゾンのラセミ体である。エペリゾンの塩としては、塩酸塩リン酸塩メタンスルホン酸塩硝酸塩酢酸塩レブリン酸塩乳酸塩、フルビプロフェン塩、ケトプロフェン塩、シュウ酸塩フマル酸塩、またはマレイン酸などが例示されるが、好ましくは、塩酸塩、リン酸塩、またはメタンスルホン酸塩であり、特に好ましくは、塩酸塩である。

0016

本発明に用いることができる、エペリゾンのS(+)体は、常法に従い、エペリゾンのラセミ体から分離することができる。本発明に用いることができる(S(+))−エペリゾンの調製方法は、ラセミ体混合物から分離することが好ましく用いられるが、それに限定されず、(S(+))−エペリゾンのみを合成できる合成方法により取得した(S(+))−エペリゾンも含む。また、エペリゾンの各種塩のS(+)体も、本発明のおいて用いることができる。例えば、これに限定されないが、(S(+))−塩酸エペリゾンを挙げることができる。

0017

本発明における「Cdkal1遺伝子が変異する」とは、Cdkal1遺伝子のDNAあるいはRNAの1つもしくは複数のヌクレオチドが別の塩基に置換する、Cdkal1遺伝子のDNAあるいはRNAに1つもしくは複数のヌクレオチドが挿入する、又はCdkal1遺伝子のDNAあるいはRNAの1つもしくは複数のヌクレオチドが欠失することを意味する。これらヌクレオチドの置換、挿入、あるいは欠失は、Cdkal1遺伝子のDNAあるいはRNAの複数の箇所で起こってもよく、異なる変異が同時に起こってもよい。

0018

本発明の2型糖尿病の治療剤、特にCdkal1遺伝子が変異することによりインスリン分泌能が低下した2型糖尿病の治療剤や、治療キット、あるいは、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化剤や、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化キットに、さらに、各種スルホニル尿素薬、各種グリニド系薬、各種ビグアナイド系薬、各種α−グルコシダーゼ阻害薬、各種チアゾリン誘導体、各種GLP−1受容体作動薬、各種DPP−4阻害剤、各種SGLT−2阻害剤等の糖尿病治療薬の1種又は2種以上を組み合わせて併用することができる。本発明の2型糖尿病の治療剤や、治療キット、あるいは、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化剤や、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化キットは、これら既存の糖尿病治療薬とは作用メカニズムが異なるため、2型糖尿病の治療剤との組合せを用いると、相加的な、場合によっては相乗的な効果が期待できる。

0019

本発明の2型糖尿病の治療剤、特にCdkal1遺伝子が変異することによりインスリン分泌能が低下した2型糖尿病の治療剤や、治療キットの各成分や、治療学的薬剤の組合せの各成分、あるいは、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化剤や、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化キットの各成分の投与経路としては、舌下投与も含む経口投与、あるいは、点鼻投与吸入投与点滴を含む静脈内投与パップ剤等による経皮投与座薬、又は経鼻胃管経鼻腸管、チューブ若しくは腸漏チューブを用いる強制経腸栄養法による投与等の非経口投与などを挙げることができる。なお、治療学的薬剤の組合せにおける2型糖尿病の治療剤の投与経路は、各薬剤において既に認められている投与経路を採用することが好ましい。

0020

本発明の2型糖尿病の治療剤、特にCdkal1遺伝子が変異することによりインスリン分泌能が低下した2型糖尿病の治療剤や、治療キットの各成分の剤形、あるいは、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化剤や、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化キットの各成分の剤形としては、上記投与経路に応じて適宜決定することができるが、注射剤点鼻剤点滴剤錠剤カプセル剤細粒剤散在液剤シロップ等に溶解した水剤、パップ剤、座剤等を挙げることができる。本発明の2型糖尿病の治療剤治療剤や、治療キットの各成分、あるいは、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化剤や、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化キットの各成分は医薬用途の他、錠剤やカプセル剤のサプリメントの形態とすることもできる。また特に、嚥下することが困難な高齢者等には、口中において速やかな崩壊性を示す崩壊錠の形態や、経鼻胃管投与に適した液剤の形態が好ましい。

0021

本発明の2型糖尿病の治療剤、特にCdkal1遺伝子が変異することによりインスリン分泌能が低下した2型糖尿病の治療剤や、治療キット、あるいは、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化剤や、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化キットを調製するために、必要に応じて、薬理学的に許容し得る担体賦形剤希釈剤添加剤崩壊剤結合剤被覆剤潤滑剤、滑走剤、滑沢剤風味剤甘味剤可溶化剤溶剤ゲル化剤栄養剤等を添加することができ、具体的には、水、生理食塩水動物性脂肪および油、植物油乳糖デンプンゼラチン結晶性セルロースガムタルクステアリン酸マグネシウムヒドロキシプロピルセルロースポリアルキレングリコールポリビニルアルコールグリセリンを例示することができる。

0022

本発明の2型糖尿病の治療剤、特にCdkal1遺伝子が変異することによりインスリン分泌能が低下した2型糖尿病の治療剤や、治療キット、あるいは、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化剤や、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化キットは、ヒトの他、家畜家禽類ペットなど獣医分野でも使用することができる。かかる治療剤等の投与の量・頻度・期間としては、対象がヒトの場合、2型糖尿病患者の年齢、体重、症状等により異なるが、(S(+))−エペリゾンまたはその医薬的に許容される塩の投与量としては、エペリゾン換算で、成人一人当たり、0.01mmol〜25mmol/日、好ましくは0.025mmol〜7.5mmol/日、より好ましくは0.075mmol〜5.5mmol/日、さらに好ましくは0.2mmol〜2mmol/日、特に好ましくは0.45mmol〜1.3mmol/日を挙げることができ、投与頻度としては、一日一回〜複数回(例えば、3回)の投与又は点滴等による連続的投与を例示することができる。投与期間は、当該技術分野の薬理学者臨床医既知の方法により決定することもできるが、その際に血糖値や血中インスリン量を指標にすることもできる。

0023

以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

0024

(実施例1)エペリゾン光学異性体の分離
エペリゾンを1 mg/mL(和光より購入)になるようにHPLC用溶媒(アセトニトリル(和光)およびジエチルアミン(和光)の混合液)に溶かし、その10μLをCHIRALCEL OZ−Hカラム(ダイセル)に添加した。同溶媒を1 mL/minの流速でカラムに流し、4.2分後の第一ピーク(R(−)体)および5.6分後の第2ピーク(S(+))体を、それぞれ分取した。溶出パターン図1に示す。

0025

(実施例2)エペリゾン光学異性体の翻訳改善効果
ホタルルシフェラーゼ遺伝子(Firefly Luciferase)の開始コドンの3’側にフェニルアラニンに対応するコドンAAAを挿入し、その直後にストップコドンであるTAAを挿入した。フレームシフトが生じれば、ストップコドンであるTAAのTが読み飛ばされ、AACが新たなコドンとなるため、ホタルルシフェラーゼ遺伝子が翻訳される。一方、フレームシフトが起こらなければ、ホタルルシフェラーゼの翻訳がTAAで停止する。ホタルルシフェラーゼはpACYCDuet−1プラスミドベクターのMulti−Cloning Site 1 (MCS1)領域に挿入した。一方、ウミシイタケルシフェラーゼ(Renilla Luciferase)遺伝子は対照としてMulti−Cloning Site 2(MCS2)領域に挿入した。

0026

大腸菌においてチオメチル化を行う酵素はCDKAL1と相同性を持つMiaBである。本実施例ではMiaBを欠損させた翻訳異常を検出する上記のコンストラクトを導入し大腸菌に形質転換した。形質転換済みの大腸菌コロニーを1 ml のLB培地OD>0.8以上まで震盪培養した後、最終濃度が10 μMとなるようにして、DMSOのみのコントロール、エペリゾンのラセミ体、R(−)体、およびS(+)体を培地に加えた。さらに1時間振盪培養した後、大腸菌を遠心分離により集菌し、10mM Tris−HCl pH7.4, 5 mM MgCl2, 10U Lysozymeを500 μL 加え、上で30分静置した。次に、ドライアイスと温浴で急冷および急解凍を行い、細胞破砕した。10,000g,4 ℃で5 分遠心し、上清をDual Luciferase Assay(Promega)でホタルルシフェラーゼとウミシイタケルシフェラーゼの活性測定を行った。翻訳の精度は、ホタルルシフェラーゼの値をウミシイタケルシフェラーゼの値で補正した値を用いた。なお、対照値として溶媒のみを加えた時の値を用いた。
結果を図2に示す。エペリゾン(ラセミ体)と比較し、S(+)体は翻訳精度を有意に向上させることが判った。また、エペリゾンのR(+)体もラセミ体と同様の活性を示した。

0027

(実施例3)エペリゾン光学異性体によるインスリン翻訳改善効果
Cdkal1欠損マウスの膵β細胞由来の株細胞(1万個)を24ウェル培養プレートに撒き、溶媒(DMSO)のみのコントロール、エペリゾンのラセミ体、R(−)体およびS(+)体をそれぞれ10 μMになるように培地(DMEM/10%FBS(Invitrogen)に添加し、一晩培養した。低ブドウ糖リンガー液(2.8 mM Glucose,115 mM NaCl,5 mM KCl,10 mM NaHCO3,2.5 mM MgCl2,2.5 mM CaCl2,および20 mMHEESpH 7.4,0.1% BSA)で30分培養した後、高ブドウ糖リンガー液(16.7 mM Glucoseを含む)を加え、30分刺激した。その後リンガー液を回収した。液中に分泌されたインスリンおよびプロインスリンの量をELISA法(Shibayagi製キット:レビスイスリン−マウスT、レビスプロインスリン−マウス)により測定した。測定方法は、同キットの方法に従った。
結果を図3に示す。エペリゾン(ラセミ体)と比べ、S(+)体投与は有意にインスリン翻訳改善効果を示した一方、R(−)体投与は、統計的な有意差が認められなかったが、エペリゾン(ラセミ体)と比べて改善傾向を示した(P=0.059)。即ち、エペリゾンのラセミ体に比べ、エペリゾンのS(−)体およびR(+)体のいずれもより強い活性をもつこと、およびエペリゾンのS(−)体は、R(+)体が存在しない状態に維持された場合に、より顕著なインスリン翻訳改善効果を示すことが判った。

0028

(実施例4)動物個体における光学異性体の抗糖尿病効果
エペリゾン(ラセミ体)、およびエペリゾンの光学異性体(R(−)体とS(+)体)をそれぞれ生理食塩水に溶かし、膵臓β細胞特異的Cdkal1欠損マウス(雄、30週齢)に投与した。エペリゾンは、1 mg/Kg体重になるように投与した。光学異性体は0.5 mg/Kg体重になるように投与した。毎日午後4時に経腹投与を行い、6日間連続投与を行った。糖負荷試験を行うために、化合物の最終投与日の午後8時からを除去し、12時間絶食を行った。ブドウ糖を生理食塩水に溶かし、1 g/kg体重となるように腹腔内に投与した。血糖値は、経時的に尾静脈から出血させ、簡易型血糖測定ACCU−CHEK(Roche)を用いて血中グルコース濃度を測定した。
これにより、エペリゾン(ラセミ体)投与群と比べ、S(+)体およびR(−)体投与群のマウスの耐糖能が改善されたことが確認できた。

実施例

0029

上記の詳細な記載は、本発明の目的および対象を単に説明するものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。添付の特許請求の範囲から離れることなしに、記載された実施態様に対しての、種々の変更および置換は、本明細書に記載された教示より当業者にとって明らかである。

0030

本発明により、膵臓β細胞のCdkal1遺伝子が変異することによりインスリン分泌能が低下している2型糖尿病患者に対し、新規治療薬を提供することが可能となる。

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