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技術 引裂方向性シーラントフィルム及びフィルム積層体

出願人 フタムラ化学株式会社
発明者 濱田俊一郎山田志保
出願日 2016年4月18日 (5年6ヶ月経過) 出願番号 2016-082972
公開日 2017年10月26日 (4年0ヶ月経過) 公開番号 2017-193063
状態 特許登録済
技術分野 被包材 積層体(2) シーリング材組成物
主要キーワード 不可抗力 引裂性能 エアリーク 組成樹脂 シールチェック ヒートシール部位 熱伝導量 リン酸アルミニウム塩
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年10月26日)のものです。
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図面 (5)

課題

一軸延伸により引裂方向性を備えたシーラントフィルム自体の引裂性の良さと、ヒートシールの不良を低減する引裂方向性シーラントフィルムと、これに他のフィルムを積層したフィルム積層体を提供する。

解決手段

基材層10の一側にヒートシール層20を備え実質的に一軸延伸により製膜され、基材層はエチレン−プロピレン共重合体またはエチレンプロピレンブテン共重合体の少なくともいずれかを含有する共重合体組成樹脂であり、共重合体組成樹脂の融解ピーク温度は130〜150℃であり、ヒートシール層は炭素数を3ないし10とするコモノマーを備えた直鎖状ポリエチレン系樹脂であり、直鎖状ポリエチレン系樹脂の密度は0.900〜0.945g/cm3であり、直鎖状ポリエチレン系樹脂のMFRの値は6〜25g/10minであり、引裂方向性シーラントフィルムに占めるヒートシール層の厚さの割合は15〜50%とする。

概要

背景

現在、物品包装にあっては、自動包装機により、フィルムと物品が供給され充填、包装、封止は連続して行われる。このような包装用フィルムに要求される性能は、フィルムの供給や加工、さらには流通時に十分な強度を備え、封止時の良好なヒートシール性を満たすことである。さらに、これらの要請とともに開封の容易さも求められる。一般的なシーラントフィルムである無延伸フィルムは、延伸されていないため総じて引裂強度が高くなりやすい。また、一般的な二軸延伸ヒートシールフィルムでは、分子配向から引裂強度は低くなるものの方向性が定まらない。それゆえ、必ずしもヒートシールフィルムの引き裂きは簡便とはならず、引き裂き時の抵抗過剰や方向性が定まらない等の問題点を有していた。

このような引裂性への対処として、一軸延伸により製膜したフィルムが提唱されている(特許文献1、2等参照。)。特許文献1は、各種オレフィン系樹脂ヒートシール層にこれよりも高融点プロピレン系樹脂のフィルムが積層され、縦一軸延伸されてなる縦方向引裂性積層フィルムである。特許文献2は、各種オレフィン系樹脂のヒートシール層にこれよりも高融点のプロピレン系樹脂のフィルムが積層され、横一軸延伸されてなる横方向引裂性積層フィルムである。

特許文献1、2等に例示のフィルムによると、フィルム方向の引裂性においては一定の効果を発揮する。しかしながら、延伸による配向によりヒートシール温度は上昇する。また、配向の影響から方向によっては熱収縮率も増加することも問題視されている。従って、既存の一軸延伸フィルムをシーラントフィルムとして使用する場合、十分なヒートシール強度を得にくい傾向にある。このように、既存の一軸延伸フィルムにおいては低温ヒートシールへの対応と、加熱時の形状の安定性改善が求められていた。また、当該一軸延伸フィルムをいわゆるシーラントフィルムとして、これに他のフィルムを積層する目的で使用する場合、より問題となりやすい。そこで、発明者らはシーラントフィルム用途の一軸延伸フィルムにおいてヒートシール温度をより低下させ、同時に熱収縮率の改善について鋭意検討を重ねてきた(特許文献3参照)。

自動包装機を用いた製袋において、ピロー包装等と称されるヒートシールによる製袋方法が広範に利用されている。しかしながら、ピロー包装により製袋された袋において、折り曲げ部分や製袋方向両端封止部分センターシール部分が重なり合う箇所が生じる。このような箇所では、ヒートシール装置熱盤等からの熱伝導量が低下して樹脂フィルム融着が十分に行われないこともある。この種の問題はエアリークと称され、ヒートシール部位気密性が低下してしまうことである。すると、内容物の安定した保存やレトルト殺菌等に支障を来たすおそれもあり得る。例えば、図4の写真は、ピロー包装による製袋品である。製袋時のヒートシールの不良により生じたエアリークの状態を示す。写真中の着色された線状の箇所がエアリークを示す箇所である。

特許文献3に例示のフィルムは、ヒートシール温度の低下及び熱収縮率の改善は見られた。しかしながら、エアリーク発生への対応については改善の余地があった。このような経緯から、ヒートシール温度の低下及び熱収縮率の改善とともに、製袋後のエアリーク発生の問題についてもより改善を図ったシーラントフィルムフィルムが求められていた。

概要

一軸延伸により引裂方向性を備えたシーラントフィルム自体の引裂性の良さと、ヒートシールの不良を低減する引裂方向性シーラントフィルムと、これに他のフィルムを積層したフィルム積層体を提供する。基材層10の一側にヒートシール層20を備え実質的に一軸延伸により製膜され、基材層はエチレン−プロピレン共重合体またはエチレンプロピレンブテン共重合体の少なくともいずれかを含有する共重合体組成樹脂であり、共重合体組成樹脂の融解ピーク温度は130〜150℃であり、ヒートシール層は炭素数を3ないし10とするコモノマーを備えた直鎖状ポリエチレン系樹脂であり、直鎖状ポリエチレン系樹脂の密度は0.900〜0.945g/cm3であり、直鎖状ポリエチレン系樹脂のMFRの値は6〜25g/10minであり、引裂方向性シーラントフィルムに占めるヒートシール層の厚さの割合は15〜50%とする。

目的

本発明は、上記状況に鑑み提案されたものであり、一軸延伸により引裂方向性を備えたシーラントフィルムにおいて、フィルム自体の引裂性の良さを保持し、しかも、エアリークに見られるヒートシールの不良を低減することのできる新たな引裂方向性シーラントフィルムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

基材層(10)の一側にヒートシール可能なヒートシール層(20)を備え実質的に一軸延伸により製膜される引裂方向性シーラントフィルム(1)であって、前記基材層(10)はエチレン−プロピレン共重合体(A1)またはエチレンプロピレンブテン共重合体(B1)の少なくともいずれかを含有する共重合体組成樹脂(D1)であるとともに、前記共重合体組成樹脂(D1)のJISK7122(1987)に準拠して測定した融解ピーク温度(Tm1)は130〜150℃であり、前記ヒートシール層(20)は炭素数を3ないし10とするコモノマーを備えた直鎖状ポリエチレン系樹脂(D2)であるとともに、前記直鎖状ポリエチレン系樹脂(D2)のJISK7112(1999)に準拠して測定した密度は0.900〜0.945g/cm3であり、前記直鎖状ポリエチレン系樹脂(D2)のMFRの値は6〜25g/10minであり、前記引裂方向性シーラントフィルム(1)に占める前記ヒートシール層(20)の厚さの割合は15〜50%であることを特徴とする引裂方向性シーラントフィルム。

請求項2

前記直鎖状ポリエチレン系樹脂(D2)のJISK7112(1999)に準拠して測定した密度が0.915〜0.945g/cm3である請求項1に記載の引裂方向性シーラントフィルム。

請求項3

前記直鎖状ポリエチレン系樹脂(D2)のMFRの値が、10〜25g/10minである請求項1または2に記載の引裂方向性シーラントフィルム。

請求項4

前記共重合体組成樹脂(D1)に核剤が添加される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の引裂方向性シーラントフィルム。

請求項5

請求項1ないし4のいずれか1項に記載の引裂方向性シーラントフィルムと、第2の延伸フィルム(2)とを積層してなることを特徴とするフィルム積層体(5)。

技術分野

0001

本発明は、引裂方向性シーラントフィルム及びフィルム積層体に関し、特に延伸フィルムにおいてヒートシール部位気密性を実現した引裂方向性シーラントフィルムと、その積層品である積層体に関する。

背景技術

0002

現在、物品包装にあっては、自動包装機により、フィルムと物品が供給され充填、包装、封止は連続して行われる。このような包装用フィルムに要求される性能は、フィルムの供給や加工、さらには流通時に十分な強度を備え、封止時の良好なヒートシール性を満たすことである。さらに、これらの要請とともに開封の容易さも求められる。一般的なシーラントフィルムである無延伸フィルムは、延伸されていないため総じて引裂強度が高くなりやすい。また、一般的な二軸延伸ヒートシールフィルムでは、分子配向から引裂強度は低くなるものの方向性が定まらない。それゆえ、必ずしもヒートシールフィルムの引き裂きは簡便とはならず、引き裂き時の抵抗過剰や方向性が定まらない等の問題点を有していた。

0003

このような引裂性への対処として、一軸延伸により製膜したフィルムが提唱されている(特許文献1、2等参照。)。特許文献1は、各種オレフィン系樹脂ヒートシール層にこれよりも高融点プロピレン系樹脂のフィルムが積層され、縦一軸延伸されてなる縦方向引裂性積層フィルムである。特許文献2は、各種オレフィン系樹脂のヒートシール層にこれよりも高融点のプロピレン系樹脂のフィルムが積層され、横一軸延伸されてなる横方向引裂性積層フィルムである。

0004

特許文献1、2等に例示のフィルムによると、フィルム方向の引裂性においては一定の効果を発揮する。しかしながら、延伸による配向によりヒートシール温度は上昇する。また、配向の影響から方向によっては熱収縮率も増加することも問題視されている。従って、既存の一軸延伸フィルムをシーラントフィルムとして使用する場合、十分なヒートシール強度を得にくい傾向にある。このように、既存の一軸延伸フィルムにおいては低温ヒートシールへの対応と、加熱時の形状の安定性改善が求められていた。また、当該一軸延伸フィルムをいわゆるシーラントフィルムとして、これに他のフィルムを積層する目的で使用する場合、より問題となりやすい。そこで、発明者らはシーラントフィルム用途の一軸延伸フィルムにおいてヒートシール温度をより低下させ、同時に熱収縮率の改善について鋭意検討を重ねてきた(特許文献3参照)。

0005

自動包装機を用いた製袋において、ピロー包装等と称されるヒートシールによる製袋方法が広範に利用されている。しかしながら、ピロー包装により製袋された袋において、折り曲げ部分や製袋方向両端封止部分センターシール部分が重なり合う箇所が生じる。このような箇所では、ヒートシール装置熱盤等からの熱伝導量が低下して樹脂フィルム融着が十分に行われないこともある。この種の問題はエアリークと称され、ヒートシール部位の気密性が低下してしまうことである。すると、内容物の安定した保存やレトルト殺菌等に支障を来たすおそれもあり得る。例えば、図4写真は、ピロー包装による製袋品である。製袋時のヒートシールの不良により生じたエアリークの状態を示す。写真中の着色された線状の箇所がエアリークを示す箇所である。

0006

特許文献3に例示のフィルムは、ヒートシール温度の低下及び熱収縮率の改善は見られた。しかしながら、エアリーク発生への対応については改善の余地があった。このような経緯から、ヒートシール温度の低下及び熱収縮率の改善とともに、製袋後のエアリーク発生の問題についてもより改善を図ったシーラントフィルムフィルムが求められていた。

先行技術

0007

特許第2518233号公報
特公平8−18416号公報
特開2016−32911号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、上記状況に鑑み提案されたものであり、一軸延伸により引裂方向性を備えたシーラントフィルムにおいて、フィルム自体の引裂性の良さを保持し、しかも、エアリークに見られるヒートシールの不良を低減することのできる新たな引裂方向性シーラントフィルムを提供する。そして、当該引裂方向性シーラントフィルムに他のフィルムを積層したフィルム積層体を提供する。

課題を解決するための手段

0009

すなわち、請求項1の発明は、基材層の一側にヒートシール可能なヒートシール層を備え実質的に一軸延伸により製膜される引裂方向性シーラントフィルムであって、前記基材層はエチレン−プロピレン共重合体またはエチレンプロピレンブテン共重合体の少なくともいずれかを含有する共重合体組成樹脂であるとともに、前記共重合体組成樹脂のJIS K 7122(1987)に準拠して測定した融解ピーク温度は130〜150℃であり、前記ヒートシール層は炭素数を3ないし10とするコモノマーを備えた直鎖状ポリエチレン系樹脂であるとともに、前記直鎖状ポリエチレン系樹脂のJIS K 7112(1999)に準拠して測定した密度は0.900〜0.945g/cm3であり、前記直鎖状ポリエチレン系樹脂のMFRの値は6〜25g/10minであり、前記引裂方向性シーラントフィルムに占める前記ヒートシール層の厚さの割合は15〜50%であることを特徴とする引裂方向性シーラントフィルムに係る。

0010

請求項2の発明は、前記直鎖状ポリエチレン系樹脂のJIS K 7112(1999)に準拠して測定した密度が0.915〜0.945g/cm3である請求項1に記載の引裂方向性シーラントフィルムに係る。

0011

請求項3の発明は、前記直鎖状ポリエチレン系樹脂のMFRの値が、10〜25g/10minである請求項1または2に記載の引裂方向性シーラントフィルムに係る。

0012

請求項4の発明は、前記共重合体組成樹脂に核剤が添加される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の引裂方向性シーラントフィルムに係る。

0013

請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の引裂方向性シーラントフィルムと、第2の延伸フィルムとを積層してなることを特徴とするフィルム積層体に係る。

発明の効果

0014

請求項1の発明に係る引裂方向性シーラントフィルムによると、基材層の一側にヒートシール可能なヒートシール層を備え実質的に一軸延伸により製膜される引裂方向性シーラントフィルムであって、前記基材層はエチレン−プロピレン共重合体またはエチレン−プロピレン−ブテン共重合体の少なくともいずれかを含有する共重合体組成樹脂であるとともに、前記共重合体組成樹脂のJIS K 7122(1987)に準拠して測定した融解ピーク温度(Tm1)は130〜150℃であり、前記ヒートシール層は炭素数を3ないし10とするコモノマーを備えた直鎖状ポリエチレン系樹脂であるとともに、前記直鎖状ポリエチレン系樹脂のJIS K 7112(1999)に準拠して測定した密度は0.900〜0.945g/cm3であり、前記直鎖状ポリエチレン系樹脂のMFRの値は6〜25g/10minであり、前記引裂方向性シーラントフィルムに占める前記ヒートシール層の厚さの割合は15〜50%であるため、フィルム自体の引裂性の良さを保持し、しかも、エアリークに見られるヒートシールの不良を低減可能な新たな引裂方向性シーラントフィルムを得ることができる。

0015

請求項2の発明に係る引裂方向性シーラントフィルムによると、請求項1の発明において、前記直鎖状ポリエチレン系樹脂のJIS K 7112(1999)に準拠して測定した密度が0.915〜0.945g/cm3であるため、引裂時の方向性はさらに良好となる。

0016

請求項3の発明に係る引裂方向性シーラントフィルムによると、請求項1または2において、前記直鎖状ポリエチレン系樹脂のMFRの値が、10〜25g/10minであるため、ヒートシール時の密封性はさらに向上する。

0017

請求項4の発明に係る引裂方向性シーラントフィルムによると、請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記共重合体組成樹脂に核剤が添加されるため、層内の樹脂結晶化が促されて一軸方向の延伸により一定の方向性が生じ、引き裂きの良さを得ることができる。

0018

請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の引裂方向性シーラントフィルムと、第2の延伸フィルムとを積層してなるため、第2の延伸フィルムに由来する機能性を備えることができる。

図面の簡単な説明

0019

本発明の引裂方向性シーラントフィルムの概略断面模式図である。
本発明のフィルム積層体の概略断面模式図である。
実施例の袋状物の写真である。
従前のエアリークが生じた袋状物の写真である。

0020

図1の概略断面模式図は、本発明の一実施形態に係る引裂方向性シーラントフィルム1の構造例である。引裂方向性シーラントフィルム1では、基材層10の一側(第1面11側)にヒートシール可能なヒートシール層20が備えられる。この引裂方向性シーラントフィルム1は実質的に一軸延伸により製膜される。符号12は、基材層10の第2面である。

0021

一般に樹脂フィルムの延伸方向は、巻き取り方向(長さ方向,流れ方向,MD)の延伸と、横幅方向(TD)の延伸の2とおりである。いずれか一方向への延伸を伴う製膜は一軸延伸であり、両方向への延伸を伴う製膜は二軸延伸である。これに対し、本発明の引裂方向性シーラントフィルム1はテンターにて行われる延伸を用いたいずれか一方向のみの一軸延伸である。以降、本明細書及び実施例においては、実質的に一軸延伸の方向(フィルムの延伸方向)とは、横幅方向(TD)への延伸であるとして説明する。実質的とは、積極的に一軸延伸の方向以外への延伸は行わないとの意味である。ただし、製膜の都合上の不可抗力として他方向の延伸が部分的に含まれる場合もある。

0022

基材層10を形成する共重合体組成樹脂(D1)及びヒートシール層20を形成する直鎖状ポリエチレン系樹脂(D2)は広義ポリオレフィン系樹脂である。共重合体組成樹脂(D1)は、単独の樹脂としても2種類以上の樹脂の混合としてもよい。各層に必要とされる特性、引裂方向性シーラントフィルム全体に必要な物性等が案され、樹脂の種類、物性の相違、配合量が規定される。さらに、基材層10とヒートシール層20の良好な密着を維持する観点から、互いの樹脂の相溶性も考慮される。

0023

基材層10を形成する共重合体組成樹脂(D1)は、エチレン−プロピレン共重合体(A1)またはエチレン−プロピレン−ブテン共重合体(B1)の少なくともいずれかを含有する組成である。引裂方向性シーラントフィルム1において、基材層10は過半数以上の質量や厚さを有する。当該引裂方向性シーラントフィルム1の熱による変形への耐性を考慮すると、基材層10を形成する共重合体組成樹脂(D1)には熱安定性が求められる。そこで、共重合体組成樹脂(D1)に求められる物性として融解ピーク温度(Tm1)が挙げられる。この融解ピーク温度(Tm1)は、JIS K 7122(1987)に準拠して測定され、共重合体組成樹脂(D1)の融解ピーク温度(Tm1)は130ないし150℃の範囲である。

0024

共重合体組成樹脂(D1){エチレン−プロピレン共重合体(A1)またはエチレン−プロピレン−ブテン共重合体(B1)}の融解ピーク温度が130℃を下回る場合、耐熱性の低下から引裂方向性シーラントフィルム1の熱収縮率が大きくなる。つまり、このフィルム自体の熱変形により不良化が懸念される。融解ピーク温度が150℃を上回る範囲については、共重合体組成樹脂(D1)を組成する樹脂において存在せず入手できなかった。そこで、現実的に調達可能であるとともに実際の使用を想定し作製可能なフィルムの樹脂の融解ピーク温度の範囲として130ないし150℃が適当である。

0025

ヒートシール層20は、コモノマーを備えた直鎖状ポリエチレン系樹脂(D2)を主成分として形成される。特に、同樹脂(D2)において、コモノマーの炭素数は3ないし10である。コモノマーを備えた直鎖状ポリエチレン系樹脂(D2)は、直鎖部分のポリエチレン短鎖長の分岐部分が形成された構造となる。コモノマーを備えた直鎖状ポリエチレン系樹脂(D2)を使用した組成では、背景技術等にて示したエアリーク等のヒートシール性能の良好な改善が見られた。そこで、コモノマーを備えた直鎖状ポリエチレン系樹脂(D2)がヒートシール層20に採用される。

0026

直鎖状ポリエチレン系樹脂(D2)におけるコモノマーの数は、ポリエチレンに導入可能なアルケンに依存する。例えば、1−ブテン1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等が導入され、複数の種類でも構わない。ここで、コモノマーの炭素数が3未満となるコモノマーを備えた直鎖状ポリエチレン系樹脂は存在しない。また、コモノマーの炭素数が11以上のコモノマーを備えた直鎖状ポリエチレン系樹脂の入手はほぼ困難である。そのため、現実的に入手可能でありしかもヒートシール層の樹脂としての適切な性能を勘案すると、直鎖状ポリエチレン系樹脂のコモノマーの炭素数の適当な範囲は3ないし10である。ここで、直鎖状ポリエチレン系樹のコモノマーの炭素数を数えるに際し、コモノマー部分が2種類以上ある場合、それぞれの特徴を示すため、例えば、3及び6等のように称する(実施例参照)。

0027

直鎖状ポリエチレン系樹脂(D2)はヒートシール層20に使用される。このことから、熱安定性と熱融着性の双方を均衡させる必要がある。まず、直鎖状ポリエチレン系樹脂(D2)の密度は、JIS K 7112(1999)に準拠した測定において、0.900ないし0.945g/cm3の範囲である。直鎖状ポリエチレン系樹脂(D2)の密度が0.900g/cm3を下回る場合、引裂時の方向性が悪化しやすくなる。密度0.945g/cm3を上回る樹脂については、好適な種類は存在しなかった。そこで、現実的に、直鎖状ポリエチレン系樹脂(D2)の密度は、0.900ないし0.945g/cm3の範囲、より好ましくは、0.915ないし0.945g/cm3の範囲である。より好ましい範囲の場合、引裂時の方向性がさらに良好となる。

0028

また、直鎖状ポリエチレン系樹脂(D2)のMFR(メルトフローレート)の値は、6ないし25g/10minの範囲である。MFRの値が6g/10minを下回る場合、ヒートシール時の樹脂の流動性は十分とは言えず、ヒートシール部位の密封性は十分とはいえない。また、MFRの値が25g/10minを上回る場合、製膜等の生産時に流動過剰となることから製膜等に支障を来たすことになる。そこで、好適なMFRの値は6ないし25g/10minの範囲、より好適なMFRの値は10ないし25g/10minの範囲となる。より好適なMFR値の範囲の樹脂では、ヒートシール時の密封性がさらに向上する。

0029

引裂方向性シーラントフィルム1の厚さは特には規定されない。一般的なフィルム製品と同様であり、10ないし100μmの厚さである。そこで、図1に示す引裂方向性シーラントフィルム1に占めるヒートシール層20の厚さは、当該引裂方向性シーラントフィルム1の全体の厚さの15ないし50%の範囲である。ヒートシール層20の厚さが15%を下回る場合、ヒートシール部位における密封性は低下する。また、ヒートシール層20の厚さが50%を上回る場合、基材層10が相対的に少なくなる。そこで、フィルムの引裂方向性は悪くなりやすい。このことから、引裂方向性シーラントフィルム1に占めるヒートシール層20の好ましい厚さは15ないし50%の範囲である。

0030

前述のとおり、引裂方向性シーラントフィルム1に占める基材層10の厚さは過半数以上であることから、引裂方向性シーラントフィルム1に占める基材層10の厚さの比率は大きい。つまり、基材層10側に真っ直ぐな引き裂き可能となる性能が求められる。このことから、核剤が基材層10を構成する共重合体組成樹脂(D1)に添加される。

0031

共重合体組成樹脂(D1)への核剤の添加により、層内の樹脂で結晶化が促される。この結晶化と一軸方向の延伸により基材層10に一定の方向性が生じる。この結果、引き裂きの良さにつながる。ここで使用される主な核剤は以下のとおりである。

0032

ソルビトール系、ノニトール系、キシリトール系等の糖類系核剤の具体例として、ビス−1,3:2,4−(3’−メチル−4’−フルオロ?ベンジリデン)1−プロピルソルビトール、ビス−1,3:2,4−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)1’−メチル−2’−プロペニルソルビトール、ビス−1,3,2,4−ジベンジリデン2’,3’−ジブロモプロピルソルビトール、1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−[(4−プロピルフェニルメチレン]−ノニトール、ビス?1,3:2,4−(5’,6’,7’,8’−テトラヒドロ−2−ナフトアルデヒドベンジリデン)1−アリルキシトール、ビス−1,3:2,4−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)1−プロピルキシリトール等が挙げられる。

0033

リン酸エステル系化合物の核剤の具体例として、ビス(4−t−ブチルフェニルリン酸ナトリウム塩リン酸リチウム塩リン酸アルミニウム塩も含む)、2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム塩(リン酸リチウム塩、リン酸アルミニウム塩も含む)、ビス−(4−t−ブチルフェニル)リン酸カルシウム塩等が挙げられる。

0034

さらに、トリアミノベンゼン誘導体核剤として、1,3,5−トリス(2,2−ジメチルプロパンアミドベンゼン等がある。また、カルボン酸金属塩核剤として、安息香酸ナトリウムカリウム塩リチウム塩も含む)、アルミニウムジベンゾエート、1,2−シクロヘキサンジカルボキシル酸カルシウム塩等がある。後記の実施例にて、カルボン酸金属塩核剤を使用した。

0035

これまでに説明した引裂方向性シーラントフィルム1は単独で包装資材として使用されることに加え、主として他のフィルムと積層(ラミネート)されて各種の包装資材に加工される。図2の概略断面模式図はフィルム積層体5の例である。引裂方向性シーラントフィルム1のヒートシール層20が備えられていない基材層10の他側(第2面12側)に、第2延伸フィルム2が積層される。こうして両フィルムの組み合わせとしてフィルム積層体5が形成される。第2延伸フィルム2を引裂方向性シーラントフィルム1に積層する方法は限定されず、ドライラミネート押出しラミネート、またはホットメルトラミネート等の公知の方法が目的に応じて採用される。

0036

第2延伸フィルム2は、引裂方向性シーラントフィルム1の延伸方向と同方向に実質的に一軸延伸により製膜されるフィルムまたは二軸延伸により製膜されるフィルムである。フィルム積層体5自体も引き裂きの良さを備える必要があるためである。第2延伸フィルム2の選択に際し、主に目的が考慮される。袋等の包装材の用途であれば、十分な強度とともに一定方向の引き裂きやすさが求められる。また、第2延伸フィルム2には、ガスバリア性能等の機能性を持たせることもできる。すなわち、第2延伸フィルム2の積層に伴い他のフィルムに由来する機能性を備えることができる。第2延伸フィルム2の外側にさらに別のフィルムを積層してもよい。

0037

本発明の引裂方向性シーラントフィルム1及び第2延伸フィルム2には、アンチブロッキング剤帯電防止剤酸化防止剤中和剤着色剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。

0038

[引裂方向性シーラントフィルムの作成]
実施例1ないし18及び比較例1ないし6の引裂方向性シーラントフィルムについて、後出の表1ないし表5に示した各層の樹脂組成に基づき、原料となる樹脂を溶融混練して共押出ダイフィルム成形機及びオーブンを用い、実質的に横幅方向(TD)に一軸延伸して製膜した。実施例及び比較例の延伸倍率はいずれも8倍とした。各実施例及び各比較例とも、表中のフィルム厚さ(μm)とする条件とした。また、当該引裂方向性シーラントフィルムに占めるヒートシール層の層厚さの割合も表中に示す。さらに、出来上がった各試作例の引裂方向性シーラントフィルムに対して後出の第2延伸フィルムをドライラミネートにより積層してフィルム積層体とした。

0039

使用原料
基材層を形成する原料樹脂(共重合体組成樹脂(D1))として、以下の原料を使用した。
(原料01)エチレン−プロピレン−ブテン共重合体(日本ポリプロ株式会社製,商品名「FX8877」,融解ピーク温度130℃)
(原料02) エチレン−プロピレン−ブテン共重合体(日本ポリプロ株式会社製,商品名「FW4B」,融解ピーク温度138℃)
(原料03)エチレン−プロピレン共重合体(日本ポリプロ株式会社製,商品名「FW3GT」,融解ピーク温度145℃)
(原料04) エチレン−プロピレン共重合体(日本ポリプロ株式会社製,商品名「WFX6」,融解ピーク温度125℃)

0040

ヒートシール層を形成する原料樹脂(直鎖状ポリエチレン系樹脂(D2))として、以下の原料を使用した。
(原料11) 日本ポリエチレン株式会社製,商品名「KF570」,コモノマー炭素数:6,密度:0.912g/cm3,MFR:9g/10min
(原料12) 宇部丸善ポリエチレン株式会社製,商品名「ZM085」,コモノマー炭素数:4,密度:0.901g/cm3,MFR:25g/10min
(原料13) 日本ポリエチレン株式会社製,商品名「KS571」,コモノマー炭素数:6,密度:0.907g/cm3,MFR:12g/10min
(原料14) 住友化学株式会社製,商品名「GA802」,コモノマー炭素数:4,密度:0.935g/cm3,MFR:20g/10min
(原料15) 宇部丸善ポリエチレン株式会社製,商品名「145EC」,コモノマー炭素数:6,密度:0.941g/cm3,MFR:12g/10min
(原料16)ダウケミカル社製,商品名「ELITE5815」,コモノマー炭素数:8,密度:0.910g/cm3,MFR:15g/10min

0041

(原料17) 日本ポリエチレン株式会社製,商品名「KC577T」,コモノマー炭素数:3及び6,密度:0.910g/cm3,MFR:15g/10min
(原料18) 宇部丸善ポリエチレン株式会社製,コモノマー炭素数:4,密度:0.916g/cm3,MFR:6.5g/10min
(原料19) 宇部丸善ポリエチレン株式会社製,コモノマー炭素数:4,密度:0.916g/cm3,MFR:11g/10min
(原料20) 宇部丸善ポリエチレン株式会社製,コモノマー炭素数:4,密度:0.926g/cm3,MFR:13g/10min
(原料21) 宇部丸善ポリエチレン株式会社製,商品名「1540F」,コモノマー炭素数:6,密度:0.913g/cm3,MFR:4g/10min
(原料22) 日本ポリエチレン株式会社製,商品名「KS560T」,コモノマー炭素数:3及び6,密度:0.898g/cm3,MFR:17g/10min
(原料23) 宇部丸善ポリエチレン株式会社製,商品名「613A」,コモノマー炭素数:6,密度:0.913g/cm3,MFR:30g/10min

0042

その他の配合成分として以下の原料も使用した。
核剤として、ミリケンジャパン合同会社製のカルボン酸金属塩核剤を使用した。
核剤は、実施例16,17,18の基材層を形成する原料樹脂(共重合体組成樹脂(D1))に添加した。その添加量は、いずれも基材層の樹脂重量の0.2重量%とした。
アンチブロッキング剤として、粉末合成シリカ(富士シリシア化学株式会社製,商品名「サイリシア430」)を使用した。
なお、アンチブロッキング剤については、微量であるため表中に記していない。

0043

実施例及び比較例の引裂方向性シーラントフィルムと積層される第2延伸フィルムとして、以下の3種類を使用した。
(フィルム1)二軸延伸により製膜したポリプロピレンフィルムフタムラ化学株式会社製,商品名「FOR」,厚さ20μm)
(フィルム2) 二軸延伸により製膜したポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製,商品名「FOR」,厚さ30μm)
(フィルム3)ポリエチレンテレフタレートフィルム(フタムラ化学株式会社製,商品名「FE2001#12」,厚さ12μm)

0044

[融解ピーク温度]
使用樹脂の融解ピーク温度は、JIS K 7122(1987)に準拠した測定とした。

0045

延伸温度
延伸温度については、テンターを用い延伸を行った際のオーブンの温度を延伸時の温度とした。

0046

加熱収縮率
実施例及び比較例の引裂方向性シーラントフィルムについて、JIS Z 1712(2009)に準拠した方法、条件に基づいて加熱収縮率を測定した。測定に際し、全試作例の引裂方向性シーラントフィルムとも、測定片(幅20mm、長さ150mm)の長手方向をフィルムの延伸方向、すなわち横幅方向(TD)とした。そこで、加熱の前と後のフィルムの測定片の長さの変化を計測して加熱収縮率(%)を算出した。

0047

[ヒートシール層の厚さ割合]
実施例及び比較例の引裂方向性シーラントフィルムのフィルム全体に占めるヒートシール層の厚さの割合の測定について、押出時のヒートシール層の設定の厚さを、製膜後のフィルム全体を測定して得た厚さにより除し、百分率とした。

0048

生産性
実施例及び比較例の樹脂組成に基づき共押出Tダイフィルム成形機及びオーブンを用いて横幅方向(TD)に一軸延伸して製膜した際、当該フィルムの製膜の状態を把握して良否判断を下した。具体的には、製膜を終えた引裂方向性シーラントフィルムの厚薄精度に問題ない例を「A」の評価とした。これに対し、引裂方向性シーラントフィルムの厚薄精度に問題のある例を「F」の評価とした。

0049

ヒートシール開始温度
実施例及び比較例の引裂方向性シーラントフィルムについて、JIS Z 1713(2009)に準拠してヒートシール開始温度を測定した。このとき、測定片(幅50mm、長さ250mm)の長手方向をフィルムの延伸方向とした。そして、2枚の試験片のヒートシール層同士を重ね、株式会社東洋精機製作所製,熱傾斜試験機(ヒートシール試験機)を使用し、ヒートシール圧力を1kg/cm2、ヒートシール時間を1秒とした。そして、5℃ずつ温度を傾斜(昇温)する条件にてヒートシールした。このとき、ヒートシーラー熱板と試験片フィルムの間に融着防止用PETフィルム(厚さ12μm)を挟んだ。ヒートシールにより融着した試験片を180°に開き、株式会社東洋精機製作所製,引張試験機ストログラフE−L)により未シール部分を引張した。そして、ヒートシール強度が3Nに到達した時点の温度を求めた。

0050

弾性率の測定]
実施例及び比較例の引裂方向性シーラントフィルムの弾性率は、JIS K 7127(1999)に準拠し、各フィルムとも試験片(15mm×300mm)に切り出し、株式会社東洋精機製作所製,引張試験機(ストログラフV1−D)を使用し、同試験機のチャック間距離を250mmとし、2.5mm/minの引張り速度にて測定した(単位GPa)。

0051

[引裂強度の測定]
実施例及び比較例の引裂方向性シーラントフィルムのそれぞれについて、表中に開示の第2延伸フィルム(フィルム1ないし3のいずれか)をドライラミネートにより積層してフィルム積層体を得た。各フィルム積層体に対し、JIS K 7128−1(1998)に規定のトラウザー引裂法に準拠してフィルムの幅方向(TD)の引裂強度を測定した。トラウザー引裂法を実施する測定対象のフィルムでは、延伸方向である横幅方向TDに150mm、延伸方向と直交する縦方向MDに50mmの長尺の試験片を切り出し、当該試験片の長手方向に75mmの切れ込みを入れ、両方の片部分を互いに逆方向に引張して荷重(N)(横幅方向TDの引裂強度)を計測した(単位N/cm)。

0052

[密封性試験
前述の「引裂強度の測定」にて作製した実施例及び比較例毎のフィルム積層体について、自動包装機(株式会社フジキカイ製,FW3400)を用いてヒートシールにより、実際に袋状物に横ピロー製袋した(開口部横幅約80mm,袋全長約170mm,ヒートシール幅10mm)。横ピローの製袋条件として、ヒートシール温度を170℃に設定した。また、当該包装機への各フィルム積層体の供給速度は、いずれについても、22.5m/minとし、1分間で150個、袋状物を製造した。

0053

前記の条件により製造した実施例及び比較例のピロー包装袋について、中央部分で横方向に切断した。そして、気密確認用の専用着色剤のスプレー(三菱ガス化学株式会社製,エージレスシールチェック)を注入した。そこで、ヒートシール部位への着色剤の浸透の有無を確認した。各実施例及び比較例について、それぞれ10品ずつ確認した(n=10)。10品全てにヒートシール部位への着色剤の浸透が存在しなければ、ヒートシール性能は十分でありエアリーク無しの判断した。エアリーク無しの評価は良品:「A」とした。10品中に1つでもヒートシール部位への着色剤の浸透が存在すれば、ヒートシール性能が不十分でエアリークのおそれありと判断した。エアリーク有りの評価は不良品:「F」とした。

0054

エアリーク無しの評価の場合、図3の写真に示すように着色剤は袋内のみに留まっていて、ヒートシール部位に浸透していない。これに対して、エアリーク有りの評価の場合、背景技術の説明にて図4に開示のように有色(実際は赤紫色)の筋が生じる。

0055

[フィルム積層体の引裂方向性]
前述の「引裂強度の測定」にて作製した実施例及び比較例毎のフィルム積層体について、前述の「密封性試験」と同様の条件にて実施例及び比較例のそれぞれについて横ピロー製袋を行い同様の袋状物を作成した。横ピロー製袋におけるセンターシール部に、引裂方向性シーラントフィルムの一軸延伸方向と同方向(いわゆるTD方向)に5mmの切れ込みを入れた。当該切れ込みからほぼ真っ直ぐにフィルム積層体が裂けた例を「A」の評価とした。当該切れ込みから方向にややずれが生じながらフィルム積層体が裂けた例を「B」の評価とした。当該切れ込みから方向性無くフィルム積層体が裂けた例及び裂け難かった例を「F」の評価とした。この評価に際しては、目視と裂いたときの感触にて判断した。なお、製品として使用可能な例は「A」及び「B」の評価例である。

0056

総合評価
数値測定結果並びに各種評価結果を踏まえ、実際の生産性等の商品化可能性も含めて実施例及び比較例の引裂方向性シーラントフィルムを総合的に3段階評価した。概ね全ての指標において優れているないし良好な引裂方向性シーラントフィルムを「優」とした。使用上問題ない引裂方向性シーラントフィルムを「良」とした。使用に向かない引裂方向性シーラントフィルムを「不可」とした。

0057

各試作例の使用原料、計測結果、評価結果について、表1ないし表5に示す。表の上欄から順に、基材層(10)の原料樹脂(共重合体組成樹脂(D1))、基材層(10)中の核剤の有無、樹脂(D1)の融解ピーク温度(℃)、ヒートシール層(20)の原料樹脂(直鎖状ポリエチレン系樹脂(D2))、樹脂(D2)のコモノマーの炭素数、樹脂(D2)の密度(g/cm3)、樹脂(D2)のMFR値(g/10min)、そして、延伸温度(℃)、シーラントフィルムの厚さ(μm)、ヒートシール層の厚さの割合(%)、加熱収縮率(%)、生産性(2段階評価)、ヒートシール開始温度(℃)、弾性率(GPa)、第2延伸フィルムの種類、フィルム積層体(5)の厚さ(μm)、フィルム積層体の引裂強度(N/cm)を示す。

0058

これとともに、密封性の判定(2段階評価)、フィルム積層体の引裂方向性の判定(3段階評価)、及び総合評価(3段階評価)を示す。

0059

0060

0061

0062

0063

0064

[結果・考察]
実施例1ないし18はいずれも「優」及び「良」の評価であり、特に、実施例3,4,9ないし18は「優」の評価であった。これに対し、比較例はいずれも「不可」の評価であった。つまり、比較例は現実的に使用に向かない。実施例及び比較例に共通して、引裂方向性シーラントフィルムを構成するオレフィン系樹脂の種類は共通である。しかしながら、使用した樹脂の種類は共通であっても、樹脂の物性等の相違により出来上がる引裂方向性シーラントフィルムの性能は大きく異なった。そこで、以下、結果と原材料、備えるべき物性について検討する。

0065

〈融解ピーク温度(Tm1)〉
共重合体組成樹脂(D1)の融解ピーク温度に着目すると、実施例1の130℃と比較例1の125℃との比較から、比較例1では加熱収縮率が悪化した。実施例2等の138℃では、さらに加熱収縮率は改善した。そこで、共重合体組成樹脂(D1)の融解ピーク温度の下限を130℃以上とした。なお、上限については実施例中の145℃の例の加熱収縮率が良好であったことと、現実的な調達可能性の点から150℃とした。従って、共重合体組成樹脂(D1)の融解ピーク温度(Tm1)の好ましい範囲は130ないし150℃である。また、当該融解ピーク温度を充足する限り、エチレン−プロピレン共重合体またはエチレン−プロピレン−ブテン共重合体のいずれについても使用可能であることを明らかにした。

0066

〈コモノマー炭素数〉
直鎖状ポリエチレン樹脂(D2)のコモノマーの炭素数に着目すると、コモノマーの炭素数3が含まれる実施例12の密封性試験の結果は良好であった。この結果を踏まえ、直鎖状ポリエチレン樹脂(D2)のコモノマーの炭素数の下限を3とした。次に、コモノマーの炭素数が8である実施例11の密封性試験の結果は良好であった。このことから、概ねコモノマーの炭素数10までは同様の傾向にあると予想される。そこで、コモノマーの炭素数の上限を10とした。従って、直鎖状ポリエチレン樹脂(D2)のコモノマーの好ましい炭素数は3ないし10の範囲となる。また、この実施例において使用した樹脂を勘案するとコモノマーの炭素数は3ないし8、さらには4ないし8である。

0067

〈密度〉
直鎖状ポリエチレン樹脂(D2)の密度に着目すると、0.900g/cm3未満の比較例3では、フィルム積層体の引裂方向性の低下が顕著となった。これに対し、実施例3の密度の場合には優位好転した。従って、直鎖状ポリエチレン樹脂(D2)の密度の下限は0.900g/cm3と勘案される。さらに、実施例13等の密度0.916g/cm3の場合には、より性能は向上した。

0068

高密度側となる実施例10の直鎖状ポリエチレン樹脂(D2)の密度の場合、各指標とも良好であった。そこで、直鎖状ポリエチレン樹脂(D2)の密度の範囲は、0.900ないし0.945g/cm3、好ましくは0.915ないし0.945g/cm3と導き出した。

0069

〈MFR値〉
直鎖状ポリエチレン樹脂(D2)のMFR値に着目すると、比較例2のMFR値4g/10minでは、密封性試験のエアリークの結果は悪化した。実施例13のMFR値6.5g/10minでは、密封性試験の結果は好転した。次に、比較例6のMFR値30g/10minでは、生産性の指標が低下した。実施例3のMFR値25g/10minでは、密封性試験のエアリークの結果は良好であった。この結果から、直鎖状ポリエチレン樹脂(D2)のMFR値の範囲は、6ないし25g/10min、より好ましくは、実施例14等のMFR値を加味して10ないし25g/10minとなる。

0070

〈ヒートシール層の厚さ割合〉
ヒートシール層(20)の厚さの割合に着目すると、比較例4の厚さ割合は12%であったため、密封性試験のエアリークの結果は悪化した。実施例6では20%であったため、密封性試験の結果は改善した。次に、比較例5の厚さ割合は56%であったため、フィルム積層体の引裂方向性が劣化した。実施例8等によると47%であり、いずれの実施例の指標も良好であった。この結果から、引裂方向性シーラントフィルムの全体に占めるヒートシール層の好ましい厚さの割合は15ないし50%となる。

0071

〈核剤の有無〉
実施例16,17,18は基材層に核剤を添加した例である。実施例15と16の比較から、実施例16では引裂強度は低下した。すなわち、核剤の添加に伴い、一軸延伸時に基材層内の樹脂で結晶化が促進する。つまり、延伸方向に一定の方向性が生じ、引き裂きの良さがより向上したと考える。この性質は引裂方向性シーラントフィルムにおいて最も必要とされる特性である。さらに、実施例17,18のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層したフィルム積層体であっても、良好な引裂性能を得ることができた。従って、基材層の樹脂へ核剤を添加する効果は大きい。

実施例

0072

〈第2延伸フィルムの積層〉
実施例1ないし18の引裂方向性シーラントフィルムに第2延伸フィルムを積層したフィルム積層体の結果から、総じて積層体についても良好な引裂方向性を確認することができた。しかも、密封性試験のエアリークにおいて大きくヒートシール性能は向上した。このように、実際の使用を想定した試験においても十分に満足できる性能を確認した。従って、実施例のフィルム積層体は、包装資材として求められるヒートシール性能と、開封しやすさの利便性を併せ持つ。

0073

本発明に規定した要素を含む引裂方向性シーラントフィルムは、良好な引裂性とヒートシール性を備える。さらに、当該引裂方向性シーラントフィルムを他の延伸フィルムと積層することによって、引裂き性を保持したままより精度の良いヒートシール性能も備える。このことから、各種物品の包装資材等への汎用性は極めて高まる。

0074

1引裂方向性シーラントフィルム
2 第2延伸フィルム
5フィルム積層体
10基材層
11 基材層の第1面
12 基材層の第2面
20 ヒートシール層

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