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技術 質量流量制御装置及び質量流量制御方法

出願人 日立金属株式会社
発明者 岸根裕次
出願日 2017年2月27日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2017-035030
公開日 2017年10月19日 (4年2ヶ月経過) 公開番号 2017-191597
状態 特許登録済
技術分野 流量の制御
主要キーワード z変換 運転再開後 アナログフィルタ回路 調圧スプリング 層流素子 体積流 離散周波数 測定流量
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図面 (11)

課題

圧力式流量計を備えた質量流量制御装置において、流量計によって測定された流量が実際に流れている流量と時間的に乖離している場合であっても、安定でかつ迅速な制御動作を実現すること。

解決手段

圧力差発生手段の上流側における流体の圧力及び圧力差発生手段の下流側における流体の圧力から導かれる1又は2以上の圧力値を圧力値測定手段によって測定し、得られた圧力値の時間変化加速手段によって加速し、時間変化が加速された圧力値を用いて流量を計算し、計算された流量を用いて流体の流量を制御する。

概要

背景

質量流量制御装置マスフローコントローラ)は、少なくとも、流体の流量を測定する流量計、流体の流量を制御する流量制御弁、これらを制御する制御回路を含む部品によって構成された制御機器である。質量流量制御装置は、例えば、半導体の製造プロセスにおいてチャンバー内に供給されるガス質量流量を制御する用途などに広く使用されている。

質量流量制御装置に用いられる流量計にはさまざまな形式のものがある。半導体の製造プロセスにおいてガスの質量流量を制御する用途に使用される質量流量制御装置においては、主に熱式流量計又は圧力式流量計が用いられている。いずれの形式の流量計においても、ガスの流量の測定値は、流量計を通過するガスの圧力の影響を受けやすい。例えば、流量計を通過するガスの圧力が急激に変化した場合などには、流量を正確に測定することが困難となる。このため、流量を正確に測定して制御することを目的として、流量計を通過するガスの圧力を一定に保持するための機構を備えた質量流量制御装置が提案されている。

例えば、特許文献1には、流量計と、流量計の上流側に隣接して配置される機械式調圧弁と、流量計の下流側に配置される流量制御弁と、を備える質量流量制御装置の発明が記載されている。機械式調圧弁は、電気的な手段を用いることなく機械的な動作のみによって圧力の調整を行うことができる調圧弁又は圧力レギュレータである。

機械式調圧弁は、上流側における流体の圧力が想定された範囲内において変動しても、下流側における流体の圧力を常に予め設定された一定の値に維持する作用を有する。このため、特許文献1に記載された質量流量制御装置においては、機械式調圧弁の有する調圧作用により、流量計に到達するガスの圧力が変動した場合であっても、これを元の圧力に瞬時に回復させることができる。これにより、流量計を通過するガスの圧力が一定に保持されるので、流量計によって測定される流量の測定精度を高めることができる。

概要

圧力式流量計を備えた質量流量制御装置において、流量計によって測定された流量が実際に流れている流量と時間的に乖離している場合であっても、安定でかつ迅速な制御動作を実現すること。圧力差発生手段の上流側における流体の圧力及び圧力差発生手段の下流側における流体の圧力から導かれる1又は2以上の圧力値を圧力値測定手段によって測定し、得られた圧力値の時間変化加速手段によって加速し、時間変化が加速された圧力値を用いて流量を計算し、計算された流量を用いて流体の流量を制御する。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

流量計と、流量制御弁と、を備え、前記流量計は、圧力差発生手段と、前記圧力差発生手段の上流側における流体の圧力P1及び前記圧力差発生手段の下流側における前記流体の圧力P2から導かれる1又は2以上の圧力値を測定する圧力値測定手段と、を備える質量流量制御装置において、前記流量計は、前記圧力値測定手段によって測定された1又は2以上の圧力値の時間変化加速する加速手段をさらに備え、前記加速手段によって時間変化が加速された圧力値に基づいて前記流体の流量を計算し、前記流量制御弁は、前記流量計によって計算された前記流量に基づいて前記流体の流量を制御することを特徴とする質量流量制御装置。

請求項2

前記加速手段は、前記圧力値測定手段によって測定された圧力値をアナログデジタル変換する変換手段と、前記変換手段によってアナログデジタル変換された圧力値の時間変化をデジタルフィルタによるフィルタリング処理によって加速するフィルタリング手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の質量流量制御装置。

請求項3

前記圧力値が、前記圧力差発生手段の上流側における流体の圧力P1と、前記圧力差発生手段の下流側における流体の圧力P2とを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の質量流量制御装置。

請求項4

前記圧力値が、前記圧力差発生手段の上流側における流体の圧力P1と、前記圧力差発生手段の下流側における流体の圧力P2との差圧ΔPを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の質量流量制御装置。

請求項5

前記圧力値が、前記圧力差発生手段の上流側における流体の圧力P1又は前記圧力差発生手段の下流側における流体の圧力P2のいずれかをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の質量流量制御装置。

請求項6

前記加速手段は、前記圧力値測定手段によって測定された2以上の圧力値のそれぞれについて時間変化を個別に加速することを特徴とする請求項3又は請求項5のいずれかに記載の質量流量制御装置。

請求項7

前記流量計の上流側に配置される機械式調圧弁をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の質量流量制御装置。

請求項8

前記機械式調圧弁は、前記流量計に隣接して配置され、前記流量制御弁は、前記流量計の下流側に配置されることを特徴とする請求項7に記載の質量流量制御装置。

請求項9

圧力差発生手段及び圧力値測定手段を備える流量計と、流量制御弁と、を備える質量流量制御装置において、前記圧力値測定手段により、前記圧力差発生手段の上流側における流体の圧力P1及び前記圧力差発生手段の下流側における前記流体の圧力P2から導かれる1又は2以上の圧力値を測定すること、及び前記流量制御弁により、前記圧力値測定手段によって測定された前記圧力値から導かれる前記流体の流量に基づいて、前記質量流量制御装置のユーザーによって設定された流量である設定流量に前記流体の流量を近付けること、を含む質量流量制御方法であって、前記流量計は、加速手段をさらに備え、前記加速手段により、前記圧力値測定手段によって測定された前記圧力値の時間変化を加速すること、前記流量計により、前記加速手段によって時間変化が加速された圧力値に基づいて前記流体の流量を計算すること、及び前記流量制御弁により、前記流量計によって計算された前記流量に基づいて前記流体の流量を制御すること、を含む質量流量制御方法。

請求項10

前記加速手段は、アナログデジタル変換を実行する変換手段と、デジタルフィルタによるフィルタリング処理を実行するフィルタリング手段と、を含み、前記変換手段により、前記圧力値測定手段によって測定された前記圧力値をアナログデジタル変換すること、及び前記フィルタリング手段により、前記変換手段によってアナログデジタル変換された前記圧力値の時間変化を前記フィルタリング処理によって加速すること、を含む請求項9に記載の質量流量制御方法。

請求項11

前記圧力値が、前記圧力差発生手段の上流側における流体の圧力P1と、前記圧力差発生手段の下流側における流体の圧力P2とを含むことを特徴とする請求項9又は請求項10のいずれかに記載の質量流量制御方法。

請求項12

前記圧力値が、前記圧力差発生手段の上流側における流体の圧力P1と、前記圧力差発生手段の下流側における流体の圧力P2との差圧ΔPを含むことを特徴とする請求項9又は請求項10のいずれかに記載の質量流量制御方法。

請求項13

前記圧力値が、前記圧力差発生手段の上流側における流体の圧力P1又は前記圧力差発生手段の下流側における流体の圧力P2のいずれかをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の質量流量制御方法。

請求項14

前記加速手段により、前記圧力値測定手段によって測定された2以上の圧力値のそれぞれについて時間変化を個別に加速すること、を含む請求項11又は請求項13のいずれかに記載の質量流量制御方法。

技術分野

0001

この発明は、質量流量制御装置及び質量流量制御方法に関する発明であり、特に、流体の圧力に基づいて質量流量を制御する質量流量制御装置及び質量流量制御方法に関する。

背景技術

0002

質量流量制御装置(マスフローコントローラ)は、少なくとも、流体の流量を測定する流量計、流体の流量を制御する流量制御弁、これらを制御する制御回路を含む部品によって構成された制御機器である。質量流量制御装置は、例えば、半導体の製造プロセスにおいてチャンバー内に供給されるガスの質量流量を制御する用途などに広く使用されている。

0003

質量流量制御装置に用いられる流量計にはさまざまな形式のものがある。半導体の製造プロセスにおいてガスの質量流量を制御する用途に使用される質量流量制御装置においては、主に熱式流量計又は圧力式流量計が用いられている。いずれの形式の流量計においても、ガスの流量の測定値は、流量計を通過するガスの圧力の影響を受けやすい。例えば、流量計を通過するガスの圧力が急激に変化した場合などには、流量を正確に測定することが困難となる。このため、流量を正確に測定して制御することを目的として、流量計を通過するガスの圧力を一定に保持するための機構を備えた質量流量制御装置が提案されている。

0004

例えば、特許文献1には、流量計と、流量計の上流側に隣接して配置される機械式調圧弁と、流量計の下流側に配置される流量制御弁と、を備える質量流量制御装置の発明が記載されている。機械式調圧弁は、電気的な手段を用いることなく機械的な動作のみによって圧力の調整を行うことができる調圧弁又は圧力レギュレータである。

0005

機械式調圧弁は、上流側における流体の圧力が想定された範囲内において変動しても、下流側における流体の圧力を常に予め設定された一定の値に維持する作用を有する。このため、特許文献1に記載された質量流量制御装置においては、機械式調圧弁の有する調圧作用により、流量計に到達するガスの圧力が変動した場合であっても、これを元の圧力に瞬時に回復させることができる。これにより、流量計を通過するガスの圧力が一定に保持されるので、流量計によって測定される流量の測定精度を高めることができる。

先行技術

0006

国際公開第2016/035558号

発明が解決しようとする課題

0007

流量計は、どのような形式のものであっても、測定される流量(以下「測定流量」という場合がある。)と、実際に流れている流量(以下「実流量」という場合がある。)との間に時間的な乖離があることが知られている。一般に、実流量が変動した場合に、測定流量の変動は実流量の変動に比べて遅れて現れる。

0008

質量流量制御装置のユーザーによって設定された流量(以下「設定流量」という場合がある。)と、流量計によって測定される流量との偏差に基づいていわゆるフィードバック制御により流体の流量を制御しようとする場合、測定流量の実流量からの時間的な乖離は、制御動作不安定化をもたらす要因となる。具体的には、流量が設定流量を超えて増加するオーバーシュート及び/又は測定流量が安定せずに振動するハンチングなどの現象が起こりやすくなる。

0009

圧力式流量計においては、圧力差発生手段としての層流素子等の周辺に主流路圧力計への導管などの一定の体積を有する空間が存在する。この空間に存在する流体は、流体の流量や圧力などか変動したときに、その変動を時間的に遅らせる作用をもたらし、測定流量の実流量からの時間的な乖離の原因となる。このため、圧力式流量計を備えた質量流量制御装置において測定流量をそのまま用いて流量の制御を行うと、熱式流量計を備えた質量流量制御装置に比べて制御動作が不安定になったり、流量が設定流量に到達するまでの応答時間が長くなったりする場合があるという課題があった。

0010

また、機械式調圧弁は、さまざまな原因によって、調圧作用が働かずに流体が機械式調圧弁の上流側から下流側に向かって漏れ出る場合があることが知られている。特許文献1に記載された機械式調圧弁を備えた質量流量制御装置においてこのような現象が起こると、機械式調圧弁と流量制御弁との間の空間に、機械式調圧弁が正常に動作した場合よりも高い圧力の流体が滞留する。そうすると、質量流量制御装置が次に制御動作を開始したときに、流体の圧力が正常な値に戻るまで滞留した流体を下流側に排出しなければならない。このため、機械式調圧弁を備えた質量流量制御装置において機械式調圧弁の漏れが発生すると、測定流量の実流量からの時間的な乖離がより顕著になるという課題があった。

0011

本発明は、従来技術に係る質量流量制御装置が有する上記の諸課題に鑑みてなされたものであり、圧力式流量計を備えた質量流量制御装置において、流量計によって測定された流量が実際に流れている流量と時間的に乖離している場合であっても、安定かつ迅速な制御動作を実現することを目的としている。

課題を解決するための手段

0012

本発明に係る質量流量制御装置は、流量計と、流量制御弁と、を備え、流量計は、圧力差発生手段と、圧力差発生手段の上流側における流体の圧力P1及び下流側における流体の圧力P2から導かれる1又は2以上の圧力値を測定する圧力値測定手段と、を備え、流量計は、圧力値測定手段によって測定された圧力値の時間変化加速する加速手段をさらに備え、加速手段によって時間変化が加速された圧力値に基づいて流量を計算し、流量制御弁は、流量計によって計算された流量に基づいて流体の流量を制御することを特徴としている。なお、本明細書において、「時間変化」とは、「時間の経過に伴う変化」を意味するものとする。

0013

この発明の構成において、流量計によって計算される流量は、加速手段によって時間変化が加速された圧力値に基づいて計算された流量であり、質量流量制御装置を実際に流れている流量の時間変化に近い速度にて時間的に変化する。このため、加速手段を用いない場合に比べて短い応答時間で流体の流量を設定値に安定に到達させることができる。

0014

本発明の好ましい実施の形態において、圧力値は、圧力差発生手段の上流側における流体の圧力P1と、圧力差発生手段の下流側における流体の圧力P2とを含んでもよい。また、圧力値は、圧力差発生手段の上流側における流体の圧力P1と下流側における流体の圧力P2との差圧ΔPを含んでもよく、この場合に、圧力値は、圧力差発生手段の上流側における流体の圧力P1又は圧力差発生手段の下流側における流体の圧力P2のいずれかをさらに含んでもよい。

0015

本発明の好ましい実施の形態において、加速手段は、圧力値測定手段によって測定された2以上の圧力値のそれぞれについて時間変化を個別に加速する。この発明の構成において、質量流量制御装置は、より安定で迅速な制御を行うことができる。なお、本発明は、本発明に係る質量流量制御装置において実行される上述した方法によって実現される質量流量制御方法にも関する。

発明の効果

0016

本発明に係る質量流量制御装置及び質量流量制御方法によれば、圧力差発生手段と圧力値測定手段とを備えた圧力式流量計を用いた場合であっても、従来技術に係る質量流量制御装置に比べて測定流量と実流量との時間的な乖離を少なくすることができ、安定かつ迅速な流量制御を実現することができる。

図面の簡単な説明

0017

本発明に係る質量流量制御装置の構成の例を示す模式図である。
質量流量制御装置における圧力P1及び圧力P2並びに流量Qの時間変化の一般的な例を示すグラフである。
測定流量の実流量からの時間的な乖離が大きい場合の質量流量制御装置における圧力P1及び圧力P2並びに流量Qの時間変化の典型的な例を示すグラフである。
本発明に係る質量流量制御装置において、加速手段によって時間変化が加速された圧力P1’及び圧力P2’並びに流量Q’の時間変化の例を示すグラフである。
機械式調圧弁の構造の例を示す断面図である。
機械式調圧弁に漏れが発生した場合の従来技術に係る質量流量制御装置において、直前に行われた運転を停止してからの時間と、運転再開後の圧力P1及び圧力P2の時間変化との関係を示すグラフである。
機械式調圧弁に漏れが発生している状態において測定流量の実流量からの時間的な乖離が大きい場合の従来技術に係る質量流量制御装置における圧力P1及び圧力P2並びに流量Qの時間変化と、機械式調圧弁に漏れが発生している状態において測定流量の実流量からの時間的な乖離が大きい場合の本発明に係る質量流量制御装置において加速手段によって時間変化が加速された圧力P1’及び圧力P2’並びに流量Q’の時間変化と、を比較するグラフである。
従来技術に係る質量流量制御方法における処理手順を示すフローチャートである。
本発明に係る質量流量制御方法における処理手順を示すフローチャートである。
本発明の好ましい実施の形態に係る質量流量制御方法における処理手順を示すフローチャートである。

実施例

0018

本発明を実施するための形態を、図を用いて詳細に説明する。なお、ここで説明する実施の形態は本発明の実施の形態を例示するものにすぎず、本発明の実施の形態はここに例示する形態に限られない。

0019

図1は、本発明に係る質量流量装置の構成の例を示す模式図である。流体(液体又はガス)は、図の左側から質量流量制御装置1に流入し、右側から流出する。本発明に係る質量流量制御装置1は、流量計2と、流量制御弁4と、を備える。流量制御弁4は、弁4b及び弁4bを開閉するためのアクチュエータ4aを備える。アクチュエータ4aは、圧電素子又はソレノイドコイルによって構成することができる。

0020

流量計2は、圧力差発生手段2aと、圧力差発生手段2aの上流側における流体の圧力P1(以下「圧力P1」という。)及び下流側における流体の圧力P2(以下「圧力P2」という。)から導かれる1又は2以上の圧力値を測定する圧力値測定手段と、を備える。圧力差発生手段2aは、ノズルオリフィス、及び層流素子などの流体抵抗を有する部材によって構成することができる。圧力測定手段は、公知の圧力センサ又は差圧センサによって構成することができる。

0021

流量計2は、圧力値測定手段によって測定された圧力値を用いて流体の流量を計測するものである。圧力値は、圧力P1及び圧力P2から導かれる1又は2以上の値である。例えば、圧力値測定手段は、圧力P1及び圧力P2のそれぞれについて測定することができる別個の圧力センサによって構成してもよいし、圧力P1と圧力P2の差圧を測定することができる1個の差圧センサによって構成してもよい。前者の場合の圧力値は圧力P1及び圧力P2の2つの値そのものを含むことができ、後者の場合の圧力値は圧力P1と圧力P2から導かれる両者の差圧ΔPという1つの値を含むことができる。

0022

図1に例示された流量計2は、圧力差発生手段2aとして層流素子を備え、層流素子の上流側の圧力P1及び下流側の圧力P2をそれぞれ別個の圧力値測定手段としての圧力センサ2b及び2cで測定するように構成されている。流量計2によって計測される流量は体積流量であるので、例えば、圧力P1と圧力P2の平均値などを用いてこれを質量流量に換算することができる。圧力センサ2b及び2cの代わりに1個の差圧センサを用いて差圧ΔPを測定する場合には、差圧センサとは別に圧力センサを設けて圧力式流量計の位置での流体の圧力を測定することにより、体積流量を質量流量に換算することができる。

0023

図2は、質量流量制御装置における圧力P1及び圧力P2並びに流量Qの時間変化の一般的な例を示すグラフである。なお、当該質量流量制御装置は、図1に示した質量流量制御装置1と同様の構成を有するものとする。したがって、このグラフに関する以下の説明においては、図1に示した質量流量制御装置1の各構成要素に付した符号を使用する。このグラフにおいて、圧力P1は常に一定の値に保たれる。流量制御弁4が閉じていて流体が流れていないときは、圧力P2は圧力P1と等しい。

0024

時刻O(Open)において質量流量制御装置1に流体を流す命令信号が伝えられると、流量制御弁4が開き、流体の流量Qが増加する。また、圧力差発生手段2aに流体が流れ始めるので、圧力P2は圧力P1よりも低くなる。質量流量制御装置1は、流量計2によって測定される流量Qが予め設定された設定流量QSと等しくなるように、公知の制御方法を用いて流量制御弁4の開きを制御する。この結果、流量Qは時刻Oの後、短い応答時間を経て設定流量QSに到達する。また、圧力P2も同じ応答時間を経て圧力P1よりも低い一定の値に到達する(破線によって描かれたグラフを参照。)。

0025

次に、時刻C(Close)において質量流量制御装置1に流体の供給を停止する命令信号が伝えられると、流量制御弁4が閉じる。流量制御弁4は、流量制御弁4が閉じられると、流量計2が計測する流体の流量Qは直ちにゼロとなる。また、これに伴い、圧力P2も直ちに増加し、圧力P1と等しくなる。

0026

ところが、前述したように、流量計は、どのような形式のものであっても、測定される流量(測定流量)と実際に流れている流量(実流量)との間に時間的な乖離(一般的には遅れ)があることが知られている。ユーザーによって設定された流量(設定流量)と測定流量との偏差に基づくフィードバック制御により流体の流量を制御しようとする場合、測定流量の実流量からの時間的な乖離は、制御動作の不安定化をもたらす要因となり得る。具体的には、測定流量の実流量からの時間的な乖離が大きいほど、流量が設定流量を超えて増加するオーバーシュート及び/又は測定流量が安定せずに振動するハンチングなどの現象が起こりやすくなる。

0027

図3は、測定流量の実流量からの時間的な乖離が大きい場合の質量流量制御装置1における圧力P1及び圧力P2並びに流量Qの時間変化の典型的な例を示すグラフである。比較のため、図2に示した圧力P1及び圧力P2並びに流量Qの時間変化も図3併記されている(点線)。ここに例示されたグラフにおいて、質量流量制御装置1に流体を流す命令信号が伝えられた時刻O以降の圧力P2の値(破線)は、図2のグラフに示された圧力P2の値(点線)の変化に比べて緩やかに減少している。これは、圧力差発生手段2aの内部及び周辺の空間に存在する流体の影響により、圧力P2が減少するのに一定の時間が必要であるためである。

0028

このように、時刻O以降において流量制御弁4が開いて実際には流体が流れているにもかかわらず、圧力P2の減少は緩慢であるため、流量計2によって測定される流量Qは、実際に流れている流量よりも遅れて増加する。したがって、流量計2によって測定される流量Qと設定流量QSとの偏差に基づいて流量制御弁4の開きを制御すると、流量制御弁4の操作量が過剰となるので、測定される流量Qは図3実線のグラフに示すように設定流量QSを超えてオーバーシュートしたり、あるいはハンチングしたりする。その結果、測定される流量Qが設定流量QSに安定するまでの応答時間Tは、図2の場合(点線)に比べて長くなる。

0029

そこで、本発明に係る質量流量制御装置1においては、圧力値測定手段によって測定された圧力値の時間変化を加速する加速手段をさらに備えることにより、圧力値の時間変化を速めて、短い時間で安定値に到達させる。図4は、本発明に係る質量流量制御装置1において加速手段によって時間変化が加速された圧力P1’及び圧力P2’並びに流量Q’の時間変化の例を示すグラフである。比較のため、図3に示した圧力P1及び圧力P2並びに流量Qの時間変化も図4に併記されている(点線)。本発明において「圧力値の時間変化を加速する」とは、例えば図4記号P2’が付されたグラフの時刻O以降の部分に示されるように、圧力値の時間変化を速めて、時間軸の方向に圧縮する変換を行うことをいう(白抜きの矢印)。なお、本発明において、記号「’」は、加速手段によって加速された値及びその値に基づいて計算された値を表す記号である。

0030

本発明に係る質量流量制御装置1において、流量計2は、加速手段によって時間変化が加速された圧力値に基づいて流量を計算する。図4の記号Q’が付されたグラフは、加速手段によって時間変化が加速された圧力P1’及び圧力P2’に基づいて計算された流量Q’の時間変化を示す。流量Q’は、時間変化が加速された圧力P2’に基づいて計算されているため、実際に流れている流量の時間変化に近い時間変化を示す。なお、図4に示した例において圧力P1は一定の値であるため、加速手段によって時間変化を加速しても、その値は変わらない。

0031

本発明に係る質量流量制御装置1において、流量制御弁4は、流量計2によって計算された流量に基づいて流体の流量を制御する。図4に示された流量Q’はこのような流量であり、流量Qに比べて急速に増加し、オーバーシュートすることなく、応答時間Tよりも短い応答時間T’にて設定値QSに到達する。これは、流量Q’が実際に流れている流量の時間変化に近い時間変化を示しているので、流量制御弁4の操作量が過剰にならず、適切な値に制御されるためである。

0032

本発明において、流量Q’の時間変化が、実際に流れている流量の時間変化に近い挙動を示しているかどうかは、例えば、質量流量制御装置1の下流側に応答速度の極めて速い他の流量計を設置する方法や、質量流量制御装置1に設定流量QSを与えたときの応答の安定性を調べる方法などの方法により、確認することができる。

0033

本発明における加速手段は、圧力値の時間変化を加速することができるものであれば、公知のどのような手段を用いてもよい。具体的には、加速手段は、アナログ値としての圧力値の時間変化を加速することができる電気的なアナログフィルタ回路等によって構成することができる。この場合、アナログフィルタ回路の時定数を好ましい値に設定することにより、本発明における加速手段を構成することができる。

0034

本発明の好ましい実施の形態において、加速手段は、圧力値測定手段によって測定された圧力値をアナログデジタル変換する変換手段と、変換手段によってアナログデジタル変換された圧力値の時間変化をデジタルフィルタによるフィルタリング処理によって加速するフィルタリング手段とを含む。この発明の構成において、質量流量制御装置1は、加速手段としてアナログフィルタ回路等を用いた場合に比べてより安定な制御を行うことができる。

0035

変換手段によって圧力値をアナログデジタル変換する際のサンプリング周期は、CPUのクロック周期等に応じて適宜定めることができる。具体的には、サンプリング周期は例えば2ms(ミリ秒)とすることができる。また、圧力値をサンプリングした値をそのまま使ってアナログデジタル変換すると、ノイズの影響により圧力値の変動が大きくなる場合がある。そのようなときは、例えば、過去の複数回(例えば、50回)分のサンプルの移動平均値を用いることにより、ノイズの影響を軽減することができる。

0036

0037

数式1は、デジタルフィルタによるフィルタリング処理を行う場合の離散周波数領域において表された変換式の例である。ここで、P(z)は、連続時間tの関数である圧力P(t)をz変換したときの関数を表し、P(z)は加速手段によって時間変化が加速される前の圧力値を表し、P’(z)は加速手段によって時間変化が加速された後の圧力値を表す。また、a1、a0、b1及びb0は、それぞれ適宜定めることができる定数である。

0038

0039

数式2は、デジタルフィルタによるフィルタリング処理を行う場合の離散時間領域において表された変換式であり、漸化式の形式にて表されている。ここで、kは離散的な時刻を表し、k−1は、それよりもひとつ前の離散的な時刻を表す。また、a0、b1及びb0は、それぞれ適宜定めることができる定数である。数式1と数式2とは表現に用いられた領域が異なるものの、同一の内容を表している。

0040

0041

表1は、数式2の漸化式によって表された変換式による計算の手順を説明するものである。加速された圧力P’[k]は、表1の太枠によって囲まれた加速前の圧力値P[k−1]及びP[k]と、加速後の圧力値P’[k−1]とを用いて算出される。それぞれの圧力値には、数式2において示された定数を乗じる。

0042

本発明において、加速手段を変換手段とフィルタリング手段とによって構成する場合、変換手段はアナログデジタルコンバータによって構成することができ、フィルタリング手段は、質量流量制御装置1の内部に実装されるコンピュータ、又は質量流量制御装置1の外部に接続されたコンピュータなどのハードウエア資源によって実現されるソフトウエアによって構成することができる。

0043

本発明において、加速手段を変換手段とフィルタリング手段とによって構成する場合、数式1及び数式2に含まれる各定数は、実際の質量流量制御装置1を用いて流体の流量制御を行いながら試行錯誤により決定することができる。あるいは、実際の質量流量制御装置1の動作をシミュレーションすることができるソフトウエアを用いて決定することもできる。この場合において、各定数は、流量Q’の時間変化が実際に流れている流量の時間変化にできるだけ一致するように定めることが好ましい。

0044

本発明の好ましい実施の形態において、加速手段は、圧力値測定手段によって測定された2以上の圧力値のそれぞれについて時間変化を個別に加速する。2以上の圧力値の具体例としては、圧力P1と圧力P2とを含むことができ、あるいは圧力P1と圧力P2との差圧ΔPと、圧力P1又は圧力P2のいずれかとを含むことができる。

0045

この実施の形態において、「2以上の圧力値のそれぞれについて時間変化を個別に加速する」とは、2以上の圧力値に基づいて計算された流量について時間変化を加速したり、2以上の圧力値について数式1又は数式2における各定数を共通にして時間変化を加速したりするのではなく、2以上の圧力値のそれぞれについて個別の定数を用いて時間変化を加速することをいう。このように圧力値を個別に加速することにより、流量Q’を実際に流れている流量により近づけることができるので、流量の制御動作をさらに安定かつ迅速にすることができる。

0046

本発明の好ましい実施の形態において、質量流量制御装置1は、流量計2の上流側に配置される機械式調圧弁3をさらに備える。機械式調圧弁は、上流側における流体の圧力が想定された範囲内で変動しても、下流側における流体の圧力を常に一定の値に維持する作用を有する。このため、流量計2の上流側に機械式調圧弁3を配置すると、流量計を通過するガスの圧力が一定に保持されるので、流量計によって測定される流量の測定精度を高めることができる。

0047

図5は、機械式調圧弁3の構造の例を示す断面図である。機械式調圧弁3において、弁スプリング3bが弁体3cを弁座3dの側へ押し下げ弾性力と、調圧スプリング3iがダイアフラム押え3h及びダイアフラム3gを調圧室3fの側へ突き上げる弾性力とが、ステム3eを介して拮抗している。

0048

調圧室3fの圧力P1が設定圧力PSよりも低いときは、流体がダイアフラム3gを押し下げる力が弱いので、弁体3cが突き上げられて、弁体3cと弁座3dの間に隙間ができる。このため、流体は流体入口3aから入って調圧室3fを経て流体出口3kから流出する。

0049

一方、調圧室3fの圧力P1が設定圧力PSよりも高いときは、流体がダイアフラム3gを押し下げる力が働き、弁体3cが弁座3dの側へ変位して弁体3cと弁座3dとの間の隙間が閉じる。このため、流体の流動遮断される。

0050

このように、弁体3cと弁座3dとの間の隙間の開閉動作が正常に行われている間は、圧力P1は設定圧力PSに等しくなるまで調整される。なお、設定圧力PSは、調整ねじ3jの位置によって変更することができる。

0051

ところが、例えば、弁座3dと弁体3cとの間の隙間がわずかに開いた状態において何らかの原因によりステム3eの上下の動きが妨げられた場合及び弁座3dと弁体3cとの間の隙間に異物が挟まったような場合などにおいては、機械式調圧弁3の下流側の圧力が上昇しても弁座3dと弁体3cとの間の隙間を閉じることが困難になり、機械式調圧弁3において流体の漏れが発生する。そうすると、この隙間を通って機械式調圧弁3と閉じている流量制御弁4との間の空間に流体が漏れ出して、この空間における流体の圧力が徐々に上昇する。

0052

図6は、機械式調圧弁3に漏れが発生した場合の質量流量制御装置において、直前に行われた運転を停止してからの時間と、運転再開後の圧力P1及び圧力P2の時間変化との関係を示すグラフである。なお、当該質量流量制御装置も、図1に示した質量流量制御装置1と同様の構成を有するものとする。したがって、このグラフに関する以下の説明においても、図1に示した質量流量制御装置1の各構成要素に付した符号を使用する。時刻ゼロから時刻Oまでの間は、流量制御弁4が閉じており流体が流れない状態である。また、この間は機械式調圧弁3も完全に閉じており、漏れは発生していないものとする。したがって、この間は、圧力P1及び圧力P2には変化が見られない。次に、時刻Oにおいて流量制御弁4が開き、流量の制御が開始されると、応答時間T0が経過した後に流量Qは安定し、圧力P2も一定の値に保持される。このときの時刻Oにおける圧力P2と時刻Cにおける圧力P2との差はΔP0である。

0053

次に、時刻Cおいて流量制御弁4が閉じられると、流量Qは直ちにゼロとなるが、機械式調圧弁3に漏れが発生しているため、圧力P1は増加し、圧力P2もこれに追随して増加する。この漏れに伴って、圧力P1及び圧力P2は、時刻Oからの時間の経過と共に最初は急激に、その後は緩やかに増加する。圧力P1及び圧力P2の増加は、最終的に圧力P1及び圧力P2が機械式調圧弁3よりも上流側の供給ラインの流体の圧力P0に到達するまで続く。

0054

その後、時刻O1において再び流量制御弁4が開かれると、応答時間T1が経過した後に圧力P1及び圧力P2は安定し、流量Qも安定する。このときの時刻O1における圧力P2と安定した後の圧力P2との差ΔP1はΔP0よりも大きい。これに対応して、応答時間T1は応答時間T0よりも長くなる。このように、機械式調圧弁3に漏れが発生すると、漏れが発生していない場合と比べて質量流量制御装置1の応答時間が長くなる。これは、圧力差発生手段2aの内部及び周辺の空間に漏れ出た流体の影響により、圧力差発生手段2aの上流側の圧力P1及び下流側の圧力P2が減少するのに一定の時間が必要であるためである。

0055

図6において、流量制御弁4が開かれる時刻がO1よりも後のO2である場合は、応答時間T2が経過した後に圧力P1及び圧力P2が安定し、流量Qも安定する。このときの時刻O2における圧力P2と安定した後の圧力P2との差ΔP2はΔP1よりも大きい。これに対応して、応答時間T2は応答時間T1よりも長くなる。このように、機械式調圧弁3に漏れが発生すると、直前に行われた運転を停止してから運転を再開するまでの時間の長さに応じて、質量流量制御装置1の応答時間が長くなったり短くなったりする。

0056

上記のように機械式調圧弁3に漏れが発生している状態において閉じられていた流量制御弁4が再び開かれた場合においても、測定流量と実流量との間の時間的な乖離は、設定流量と測定流量との偏差に基づく流量Qのフィードバック制御における制御動作の不安定化をもたらす要因となり得る。

0057

図7は、機械式調圧弁に漏れが発生している状態において測定流量の実流量からの時間的な乖離が大きい場合の質量流量制御装置1において、流体を流す命令信号が伝えられた時刻O以降の圧力P1及び圧力P2の値並びに流量Qの時間変化の例を示すグラフである。従来技術に係る質量流量制御装置1においては圧力値の時間変化が加速されないため、時刻O以降において流量制御弁4が開いて実際には流体が流れているにもかかわらず、圧力P1及び圧力P2の減少は緩慢である。その結果、流量計2によって測定される流量Qは、実際に流れている流量よりも遅れて増加する。したがって、流量計2によって測定される流量Qと設定流量QSとの偏差に基づいて流量制御弁4の開きを制御すると、流量制御弁4の操作量が過剰となるので、測定される流量Qは図7に示すように設定流量QSを超えてオーバーシュートしたり、あるいはハンチングしたりする。その結果、測定される流量Qが設定流量QSに安定するまでの応答時間が長くなる。

0058

そこで、本発明に係る質量流量制御装置1においては、流量計2が、圧力値測定手段によって測定された圧力値の時間変化を加速する加速手段をさらに備え、加速手段によって時間変化が加速された圧力値に基づいて流量を計算する。そして、流量制御弁4が、流量計によって計算された流量に基づいて流体の流量を制御する。これにより、圧力値の時間変化を速めて、短い時間で安定値に到達させる。図7の記号Q’が付されたグラフは、上記のように加速手段によって時間変化が加速された圧力P1’及び圧力P2’に基づいて計算された流量Q’の時間変化を示す。流量Q’は、時間変化が加速された圧力P1’及び圧力P2’に基づいて計算されているため、実際に流れている流量の時間変化に近い時間変化を示す。

0059

本発明に係る質量流量制御装置1において、流量制御弁4は、流量計2によって計算された流量に基づいて流体の流量を制御する。図7に示された流量Q’はこのような流量であり、流量Qに比べて急速に増加し、オーバーシュートすることなく、応答時間T1及びT2よりも短い応答時間で設定値QSに到達する。これは、流量Q’が実際に流れている流量の時間変化に近い時間変化を示しているので、流量制御弁4の操作量が過剰にならず、適切な値に制御されるためである。

0060

このように、本発明に係る質量流量制御装置1においては、流量計2によって測定される流量(測定流量)と実際に流れている流量(実流量)との乖離がほとんど無視することができる程度となるように圧力値の時間変化の加速の程度を調整することができる。この結果、機械式調圧弁3に漏れが発生したあと、図6に示したように圧力P1及び圧力P2の値が時間の経過とともに増加しているような場合であっても、流量制御を再開する時刻にかかわらず一定の応答時間にて安定な流量制御を実現することができる。

0061

本発明の好ましい実施の形態において、機械式調圧弁3は、流量計2の上流側に隣接して配置され、流量制御弁4は、流量計2の下流側に配置される。ここで、「隣接して配置される」とは、機械式調整弁3と流量計2との間に他の構成部品が存在せず、両者が互いに配管部材によって直接接合されていることをいう。機械式調整弁3と流量計2とを接合する配管部材はできるだけ短くすることが好ましい。

0062

機械式調圧弁3を流量計2の上流側に隣接して配置することにより、両者の間の流体抵抗及び流体の体積が小さくなるので、機械式調圧弁3の調圧室3fの圧力を設定圧力PSと等しくなるように調整した結果が流量計2の内部の圧力により迅速に反映される。それにより、流量計2の内部の圧力が常に設定圧力PSと等しくなるように維持されるので、流量計2による流量測定の精度が高まる。

0063

また、流量制御弁4を流量計2の下流側に配置することにより、質量流量制御装置1に流体の供給を停止する命令信号が伝えられて流量制御弁4が閉じると、流量を直ちにゼロにすることができる。本発明に係る質量流量制御装置1においては、流量制御弁4によって流路が遮断された後に機械式調圧弁3に漏れが発生しても、応答時間を一定に保つことができる。このため、例えば、流体を短い周期断続的に流したいような場合であっても、精度のよい流体の供給が可能となる。

0064

ところで、前述したように、本発明は、本発明に係る質量流量制御装置において実行される上述した方法によって実現される質量流量制御方法にも関する。本発明に係る質量流量制御方法は、圧力式流量計において、ユーザーによって設定された流量である設定流量に流体の流量を近付ける方法である。この点においては、本発明に係る質量流量制御方法は、従来技術に係る質量流量制御方法と同様である。

0065

従来技術に係る質量流量制御方法においては、例えば図8のフローチャートに示すような処理手順に従って、流体の流量が制御される。先ず、ステップS810において、圧力差発生手段の上流側における流体の圧力P1及び圧力差発生手段の下流側における流体の圧力P2から導かれる1又は2以上の圧力値が圧力値測定手段によって測定される。次に、ステップS820において、圧力値測定手段によって測定された上記圧力値に基づき、その時点における測定流量が流量計によって計算される。続いて、ステップS830において、流量計によって計算された上記測定流量とユーザーによって設定された設定流量との偏差に基づくフィードバック制御により流量制御弁の開きが制御され、測定流量が設定流量に近付けられる。

0066

ところが、前述したように、流量計は、どのような形式のものであっても、測定(計算)される流量(測定流量)と実際に流れている流量(実流量)との間には時間的な乖離(一般的には遅れ)がある。したがって、上記のように設定流量と測定流量との偏差に基づくフィードバック制御により流体の流量を制御しようとすると、測定流量の実流量からの時間的な乖離は、制御動作の不安定化をもたらす要因となり、流量のオーバーシュート及び/又は測定流量のハンチングなどの問題に繋がるおそれがある。

0067

一方、本発明に係る質量流量制御方法は、圧力差発生手段及び圧力値測定手段を備える流量計と流量制御弁とに加えて加速手段をさらに備える本発明に係る質量流量制御装置において、例えば図9のフローチャートに示すような処理手順に従って、以下に列挙する各ステップを実行することを含む。

0068

ステップS910:圧力値測定手段により、圧力差発生手段の上流側における流体の圧力P1及び圧力差発生手段の下流側における流体の圧力P2から導かれる1又は2以上の圧力値を測定する。
ステップS920:加速手段により、圧力値測定手段によって測定された圧力値の時間変化を加速する。
ステップS930:流量計により、加速手段によって時間変化が加速された圧力値に基づいて流体の流量を計算する。
ステップS940:流量制御弁により、流量計によって計算された上記流量に基づいて流体の流量を制御して、質量流量制御装置のユーザーによって設定された流量である設定流量に流体の流量を近付ける。

0069

上記のような各ステップを実行する本発明に係る質量流量制御方法によれば、圧力差発生手段と圧力値測定手段とを備えた圧力式流量計を用いた場合であっても、従来技術に係る質量流量制御装置に比べて測定流量と実流量との時間的な乖離を少なくすることができ、安定かつ迅速な流量制御を実現することができる。

0070

なお、上述したように、本発明における加速手段は、圧力値の時間変化を加速することができるものであれば、公知のどのような手段を用いてもよい。具体的には、加速手段は、アナログ値としての圧力値の時間変化を加速することができる電気的なアナログフィルタ回路等によって構成することができる。この場合、アナログフィルタ回路の時定数を好ましい値に設定することにより、本発明における加速手段を構成することができる。

0071

本発明の好ましい実施の形態において、加速手段は、圧力値測定手段によって測定された圧力値をアナログデジタル変換する変換手段と、変換手段によってアナログデジタル変換された圧力値の時間変化をデジタルフィルタによるフィルタリング処理によって加速するフィルタリング手段とを含む。この発明の構成において、質量流量制御装置は、加速手段としてアナログフィルタ回路等を用いた場合に比べてより安定な制御を行うことができ、本発明に係る質量流量制御方法においても、このような加速手段を用いて、圧力値の時間変化を加速することができる。

0072

この場合、本発明に係る質量流量制御方法が適用される質量流量制御装置が備える加速手段は、アナログデジタル変換を実行する変換手段と、デジタルフィルタによるフィルタリング処理を実行するフィルタリング手段と、を含む。そして、本発明に係る質量流量制御方法に含まれるステップS920は、例えば図10のフローチャートに示すように、以下に列挙する各ステップを実行することを含む。

0073

ステップS921:変換手段により、圧力値測定手段によって測定された圧力値をアナログデジタル変換する。
ステップS922:フィルタリング手段により、変換手段によってアナログデジタル変換された圧力値の時間変化をフィルタリング処理によって加速する。

0074

なお、圧力値は、圧力差発生手段の上流側における流体の圧力P1と、圧力差発生手段の下流側における流体の圧力P2とを含むことができる。あるいは、圧力値は、圧力差発生手段の上流側における流体の圧力P1と、圧力差発生手段の下流側における流体の圧力P2との差圧ΔPを含むことができる。後者の場合、圧力値は、圧力差発生手段の上流側における流体の圧力P1又は圧力差発生手段の下流側における流体の圧力P2のいずれかをさらに含むことができる。

0075

さらに、加速手段により、圧力値測定手段によって測定された2以上の圧力値のそれぞれについて時間変化を個別に加速するようにしてもよい。

0076

加えて、本発明に係る質量流量制御方法は、上述したように流量計の上流側に配置される機械式調圧弁をさらに備える質量流量制御装置にも適用され得る。この場合、機械式調圧弁は流量計に隣接して配置されることが好ましく、流量制御弁は流量計の下流側に配置されることが好ましい。

0077

なお、本発明に係る質量流量制御方法が適用される質量流量制御装置の構成及び圧力値測定手段によって測定された圧力値の時間変化を加速手段によって加速する処理等の詳細については、上述した各種実施の形態を始めとする本発明に係る質量流量制御装置に関する説明において既に説明した。従って、これらの事項についての詳細な説明は、ここでは繰り返さない。

0078

1質量流量制御装置
2流量計
2a圧力差発生手段(層流素子)
2b圧力値測定手段(圧力センサ)
2c 圧力値測定手段(圧力センサ)
3機械式調圧弁
3a流体入口
3b弁スプリング
3c弁体
3d弁座
3eステム
3f調圧室
3gダイアフラム
3h ダイアフラム押さえ
3i調圧スプリング
3j調整ねじ
3k流体出口
4流量制御弁
4aアクチュエータ
4b 弁
5 圧力センサ
6 温度センサ

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