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技術 歪み式腐食センサの製造方法および腐食測定方法

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 今福健一郎
出願日 2016年4月11日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2016-078849
公開日 2017年10月19日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2017-190953
状態 特許登録済
技術分野 機械的応力負荷による材料の強さの調査 耐候試験、機械的方法による材料調査
主要キーワード 内ピース 金属材料部分 応力変化量 座屈部位 座屈試験 腐食度合い 腐食面 歪み変化
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

検出感度が高くかつ製造を効率よく行える歪み式腐食センサの製造方法および腐食測定方法を提供する。

解決手段

腐食環境中に曝露される被腐食面18を有する被検体19と、被検体19に応力を付与する応力付与部材であるロッド29と、被検体19における応力を検出する歪みセンサ30とを有する歪み式腐食センサ1の製造方法であって、ロッド29により被検体19に圧縮応力を付与して、被検体19を座屈領域まで歪ませる。

概要

背景

構造物金属材料部分腐食環境中に曝される場合、当該金属材料腐食の進行を監視したいという要求がある。
このような要求に対して、監視対象と同じ金属製の被検体を、監視対象がおかれる同じ腐食環境中に配置し、被検体の表面(腐食環境により腐食される被腐食面)の腐食状態を経時的に測定することで、代替的に監視対象の腐食状態を推定する腐食測定方法が知られている(特許文献1参照)。

特許文献1に類する腐食測定方法では、監視対象と同じ金属製の被検体を用い、被検体に初期応力を導入したうえで腐食環境中に曝露し、歪みセンサにより被検体の応力変化を監視する。腐食環境によって被検体の腐食が進行すると、その断面積の減少によって応力が変化する。応力の変化は、歪みセンサの出力信号の変化として検出することができ、これにより腐食度合いを測定することができる。
このような腐食測定方法に好適な装置として、筒状の被検体の内部にロッドを設置し、ロッドで被検体に軸力を付与することで被検体に初期応力を導入するとともに、被検体の内周またはロッドの外周に歪みセンサを設置した歪み式腐食センサが用いられている。

前述した歪み式腐食センサは、特許文献1の腐食測定方法に好適であるが、被検体の腐食が進んだ後期に比べて、腐食の初期段階での歪み量が小さく、歪みセンサの出力変化が小さい。このため、腐食の初期段階で腐食の進行を認識しにくいという問題があった。
とくに、前述した歪み式腐食センサにおいては、同じ腐食の進行に対して、時期によって歪みの現れ方が極端に変化し、検出感度が十分でない時期が生じてしまう。このため、解像度が十分でない小型で廉価なデータ処理装置を用いた場合など、腐食の進行を確実に検出できない期間が生じるという問題があった。

これに対し、本発明の発明者らにより、歪み式腐食センサの製造方法として、腐食環境中に曝露される被腐食面を有する被検体と、被検体に応力を付与する応力付与部材と、被検体における応力を検出する歪みセンサとを有し、被検体を前記応力付与部材により応力が付与された状態とした後、被腐食面での厚みが減少するように被検体の材料を除去することが提案されている(特許文献2参照)。

特許文献2の製造方法では、被検体は、十分な厚さを有する状態で応力付与部材により応力が付与された後、被腐食面での厚みが減少するように材料を除去される。つまり、被検体は、従来の歪み式腐食センサにおいて、被検体が腐食されて厚みが減少するのと同様な状況とされる。
従って、特許文献2の製造方法で製造された歪み式腐食センサによれば、予め被検体を薄肉化した状態で応力を付与した場合のような被検体の降伏を回避し、測定レンジ縮小を回避することができる。そして、測定レンジの縮小を回避しつつ、被検体の薄肉化により腐食測定の初期から十分な検出感度を得ることができ、腐食の進行を確実に検出することができる。

概要

検出感度が高くかつ製造を効率よく行える歪み式腐食センサの製造方法および腐食測定方法を提供する。腐食環境中に曝露される被腐食面18を有する被検体19と、被検体19に応力を付与する応力付与部材であるロッド29と、被検体19における応力を検出する歪みセンサ30とを有する歪み式腐食センサ1の製造方法であって、ロッド29により被検体19に圧縮応力を付与して、被検体19を座屈領域まで歪ませる。

目的

本発明の目的は、検出感度が高くかつ製造を効率よく行える歪み式腐食センサの製造方法および腐食測定方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

腐食環境中に曝露される被腐食面を有する被検体と、前記被検体に応力を付与する応力付与部材と、前記被検体における応力を検出する歪みセンサとを有する歪み式腐食センサの製造方法であって、前記応力付与部材により前記被検体に圧縮応力を付与して、前記被検体を座屈領域まで歪ませることを特徴とする歪み式腐食センサの製造方法。

請求項2

請求項1に記載した歪み式腐食センサの製造方法において、前記座屈領域は、前記被検体の座屈荷重の90%以上の荷重が前記被検体に付与された状態であることを特徴とする歪み式腐食センサの製造方法。

請求項3

請求項1または請求項2に記載した歪み式腐食センサの製造方法において、前記歪みセンサは前記応力付与部材に設置されていることを特徴とする歪み式腐食センサの製造方法。

請求項4

腐食環境中に曝露される被腐食面を有する被検体と、前記被検体に応力を付与する応力付与部材と、前記被検体における応力を検出する歪みセンサとを用いる腐食測定方法であって、前記応力付与部材により前記被検体に圧縮応力を付与して、前記被検体を座屈領域まで歪ませておき、前記座屈領域まで歪ませた前記被検体を腐食環境中に曝露して、前記歪みセンサで前記被検体の応力を検出することを特徴とする腐食測定方法。

請求項5

請求項4に記載した腐食測定方法において、前記被検体と、前記応力付与部材と、前記歪みセンサとを有する歪み式腐食センサを複数準備し、複数の前記歪み式腐食センサの前記被検体の座屈条件を互いに異なる設定とし、複数の前記歪み式腐食センサのうち第1の歪み式腐食センサの座屈が終わる前記被検体の腐食状態と、第2の歪み式腐食センサの座屈が始まる前記被検体の腐食状態とを重複させておき、これら複数の前記歪み式腐食センサを腐食環境中に曝露して、各々の前記歪みセンサで前記被検体の応力を検出することを特徴とする腐食測定方法。

技術分野

0001

本発明は、歪み式腐食センサの製造方法および腐食測定方法に関し、腐食環境中に曝される金属材料腐食の進行を測定するためのセンサの製造方法および測定方法に関する。

背景技術

0002

構造物金属材料部分が腐食環境中に曝される場合、当該金属材料の腐食の進行を監視したいという要求がある。
このような要求に対して、監視対象と同じ金属製の被検体を、監視対象がおかれる同じ腐食環境中に配置し、被検体の表面(腐食環境により腐食される被腐食面)の腐食状態を経時的に測定することで、代替的に監視対象の腐食状態を推定する腐食測定方法が知られている(特許文献1参照)。

0003

特許文献1に類する腐食測定方法では、監視対象と同じ金属製の被検体を用い、被検体に初期応力を導入したうえで腐食環境中に曝露し、歪みセンサにより被検体の応力変化を監視する。腐食環境によって被検体の腐食が進行すると、その断面積の減少によって応力が変化する。応力の変化は、歪みセンサの出力信号の変化として検出することができ、これにより腐食度合いを測定することができる。
このような腐食測定方法に好適な装置として、筒状の被検体の内部にロッドを設置し、ロッドで被検体に軸力を付与することで被検体に初期応力を導入するとともに、被検体の内周またはロッドの外周に歪みセンサを設置した歪み式腐食センサが用いられている。

0004

前述した歪み式腐食センサは、特許文献1の腐食測定方法に好適であるが、被検体の腐食が進んだ後期に比べて、腐食の初期段階での歪み量が小さく、歪みセンサの出力変化が小さい。このため、腐食の初期段階で腐食の進行を認識しにくいという問題があった。
とくに、前述した歪み式腐食センサにおいては、同じ腐食の進行に対して、時期によって歪みの現れ方が極端に変化し、検出感度が十分でない時期が生じてしまう。このため、解像度が十分でない小型で廉価なデータ処理装置を用いた場合など、腐食の進行を確実に検出できない期間が生じるという問題があった。

0005

これに対し、本発明の発明者らにより、歪み式腐食センサの製造方法として、腐食環境中に曝露される被腐食面を有する被検体と、被検体に応力を付与する応力付与部材と、被検体における応力を検出する歪みセンサとを有し、被検体を前記応力付与部材により応力が付与された状態とした後、被腐食面での厚みが減少するように被検体の材料を除去することが提案されている(特許文献2参照)。

0006

特許文献2の製造方法では、被検体は、十分な厚さを有する状態で応力付与部材により応力が付与された後、被腐食面での厚みが減少するように材料を除去される。つまり、被検体は、従来の歪み式腐食センサにおいて、被検体が腐食されて厚みが減少するのと同様な状況とされる。
従って、特許文献2の製造方法で製造された歪み式腐食センサによれば、予め被検体を薄肉化した状態で応力を付与した場合のような被検体の降伏を回避し、測定レンジ縮小を回避することができる。そして、測定レンジの縮小を回避しつつ、被検体の薄肉化により腐食測定の初期から十分な検出感度を得ることができ、腐食の進行を確実に検出することができる。

先行技術

0007

特開昭53−65783号公報
特開2014−173926号公報

発明が解決しようとする課題

0008

前述した特許文献2の歪み式腐食センサの製造方法では、応力付与部材により応力を付与した状態で被検体の材料の除去を行う手段として、被腐食面の切削もしくは被腐食面のエッチング処理を行うとしている。
このうち、被腐食面の切削によれば、機械加工であるため作業効率が優れている。一方、被腐食面のエッチング処理によれば、機械加工のような加工応力がないため、被検体を不必要に変化させることがない。

0009

しかし、いずれの手段を利用するにしても、応力付与部材により応力を付与した状態で、被検体の材料の除去を行うための別途工程が必要となる。
すなわち、切削加工であれば、応力付与部材により応力を付与した状態の被検体を、工作機械まで搬送し、工作機械に装着し、切削加工を実行する、という手順が必要となる。
また、エッチング処理であれば、応力付与部材により応力を付与した状態の被検体を、エッチング処理槽まで搬送し、前処理を行い、槽内に浸漬し、後処理を行う、という手順が必要となる。
このような別途工程があるため、製造時間が長くなり、製造コストが増大する可能性があった。

0010

本発明の目的は、検出感度が高くかつ製造を効率よく行える歪み式腐食センサの製造方法および腐食測定方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

本発明の歪み式腐食センサの製造方法は、腐食環境中に曝露される被腐食面を有する被検体と、前記被検体に応力を付与する応力付与部材と、前記被検体における応力を検出する歪みセンサとを有する歪み式腐食センサの製造方法であって、前記応力付与部材により前記被検体に圧縮応力を付与して、前記被検体を座屈領域まで歪ませることを特徴とする。

0012

本発明において、座屈領域とは、被検体に圧縮力が加えられて被検体が座屈し始める状態ないし座屈し始めた状態であって、座屈が終了つまり座屈がそれ以上進行しなくなるまでの領域である。
すなわち、被検体に対し、その両端から圧縮力を加えると、被検体には圧縮応力が生じ、この圧縮応力が増大してゆく。被検体の圧縮応力が増大すると、やがて被検体の中間部分などの一部が側方へ変形し、この変形が進んで破壊に至るなどすると、それ以上の変形は生じず、座屈の終了となる。このような座屈が生じる状態ないし座屈が生じている状態を、被検体の座屈領域とする。
本発明において、座屈領域としては、被検体が座屈している状態とともに、座屈に至る状態あるいは座屈の直前の状態、被検体として用いる部材の座屈荷重の例えば90%の荷重を、被検体に付与している状態を含む。部材の座屈は、材料の強度や部材としての形状にも影響されるため、実施にあたっては、被検体として用いる部材を実際に座屈させる試験を行い、これにより座屈荷重を測定しておくことが好ましい。

0013

このような本発明では、歪み式腐食センサの基本構成として、応力付与部材により被検体に圧縮応力が付与される。
すなわち、応力付与部材から被検体へと圧縮力を加えることで、被検体にはその断面積に応じた圧縮応力が生じる。応力付与部材には、被検体に対する圧縮力の反力により、逆向きの引張り応力が生じる。
この歪み式腐食センサを腐食測定に適用すると、被検体の腐食の進行に伴って、被検体の断面積が減少し、圧縮応力が高まるとともに、圧縮方向の歪みが増大する。応力付与部材では、被検体の歪みの増大に伴って、被検体に対して加えていた圧縮力が減少し、引張り応力および歪みも減少する。
従って、歪みセンサを応力付与部材に設置しておけば、応力付与部材の引張り応力を検出することで、相互の関係から被検体における圧縮応力を間接的に検出することができる。そして、検出された圧縮応力に基づいて、被検体の断面積の減少度合いから、腐食を測定することができる。

0014

ここで、本発明では、歪み式腐食センサ製造にあたって、被検体は応力付与部材からの圧縮応力により、座屈領域まで歪ませられている。
通常、金属材料の応力と歪みとの関係は、弾性領域では応力変化に対応する歪み変化が小さい(応力−歪み曲線の傾きが大きい)のに対し、塑性領域では応力変化に対応する歪み変化が大きい(応力−歪み曲線の傾きが小さい)。つまり、歪みセンサで検出される歪み変化の応力変化に対する比率は、弾性領域にある被検体よりも塑性領域にある被検体のほうが大きく顕著となる。
さらに、座屈領域においては、被検体の塑性変形が短時間で急速に進行する。従って、応力付与部材により被検体に圧縮応力を付与して、被検体を座屈領域まで歪ませておくことによって、被検体を腐食による変化率が大きな領域で使用することができ、検出感度を高めることができる。

0015

このように、本発明の歪み式腐食センサでは、被検体を座屈領域まで歪ませておくことで、腐食測定により被検体の断面積が減少し、圧縮応力に抗しきれずに座屈に至った際には、被検体の応力変化に対する被検体の歪みの変化幅を大きくすることができる。
その結果、歪み式腐食センサとしての検出感度を高感度にすることができる。

0016

さらに、本発明においては、被検体を座屈領域まで歪ませる操作は、応力付与部材により被検体に圧縮応力を付与する工程において実施することができる。このため、従来の被腐食面の切削、あるいは被腐食面のエッチング処理などの、別途の工程を導入しなくてもよく、製造工程を効率化することができる。
このように、本発明によれば、高感度の歪み式腐食センサを、効率よく製造することができる。

0017

本発明の歪み式腐食センサの製造方法において、前記座屈領域は、前記被検体の座屈荷重の90%以上の荷重が前記被検体に付与された状態であることが好ましい。
このような本発明では、座屈荷重の90%以上の荷重が被検体に付与された状態としておくことで、腐食がわずかに進行したところで座屈が発生し、高感度な腐食測定が可能な状態とすることができる。

0018

本発明の歪み式腐食センサの製造方法において、前記歪みセンサは前記応力付与部材に設置されていることが望ましい。
このような本発明では、応力付与部材の歪みに基づいて被検体の圧縮応力を検出することができる。本発明において、被検体は座屈に至る状態で使用されるため、歪みセンサが座屈部位に設置されていると検出が困難な場合があるが、応力付与部材に設置しておくことで、このような不都合を回避することができる。

0019

本発明の腐食測定方法は、腐食環境中に曝露される被腐食面を有する被検体と、前記被検体に応力を付与する応力付与部材と、前記被検体における応力を検出する歪みセンサとを用いる腐食測定方法であって、前記応力付与部材により前記被検体に圧縮応力を付与して、前記被検体を座屈領域まで歪ませておき、前記座屈領域まで歪ませた前記被検体を腐食環境中に曝露して、前記歪みセンサで前記被検体の応力を検出することを特徴とする。
このような本発明の測定方法によれば、前述した本発明の歪み式腐食センサの製造方法で説明した通りの効果を得ることができる。

0020

本発明の腐食測定方法において、前記被検体と、前記応力付与部材と、前記歪みセンサとを有する歪み式腐食センサを複数準備し、複数の前記歪み式腐食センサの前記被検体の座屈条件を互いに異なる設定とし、複数の前記歪み式腐食センサのうち第1の歪み式腐食センサの座屈が終わる前記被検体の腐食状態と、第2の歪み式腐食センサの座屈が始まる前記被検体の腐食状態とを重複させておき、これら複数の前記歪み式腐食センサを腐食環境中に曝露して、各々の前記歪みセンサで前記被検体の応力を検出することが望ましい。

0021

このような本発明では、複数の歪み式腐食センサを用い、各々の座屈過程を連続させ、長い期間にわたって曝露試験を行うことができる。
すなわち、被検体の座屈過程、つまり座屈が始まってから完全に座屈してしまうまでの期間(被検体の腐食の進行度合い)は、座屈という現象の特性上、余り長い期間とすることができないこともある。
しかし、本発明のように、異なる歪み式腐食センサを用いて、各々の座屈過程を連続させることで、長い期間にわたって被検体の腐食を検出することができる。

発明の効果

0022

本発明によれば、検出感度が高くかつ製造を効率よく行える歪み式腐食センサの製造方法および腐食測定方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0023

本発明の一実施形態の歪み式腐食センサを示す断面図。
歪み式腐食センサの被検体が座屈した状態を示す断面図。
被検体が座屈する際の応力付与部材の応力−歪み曲線を示すグラフ
本発明の他の実施形態を示す模式図。

実施例

0024

以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔歪み式腐食センサの構成〕
図1において、歪み式腐食センサ1は、筒状の被検体19を有する外ピース10と、応力付与部材であるロッド29を有する内ピース20とを備えている。

0025

外ピース10は、腐食測定対象(監視対象)と同じ金属材料で形成された筒体であり、一端は封止部11で閉じられ、他端は接続部12とされている。
封止部11と接続部12との間の部分により、筒状の被検体19が形成され、この被検体19の外周面が腐食環境中に曝露される被腐食面18とされている。
封止部11は、被検体19側に底壁を有する有底筒状とされ、底壁の中央には挿通孔14が形成されている。封止部11の開口端は、着脱自在なねじ込み式の蓋13で封止されている。
接続部12は筒状とされ、被検体19と反対側から内ピース20が挿入可能である。接続部12の内壁面の途中には段差が形成され、この段差には止水ゴムコーキング材などのシール部材15が設置されている。

0026

内ピース20は、底壁を有する有底筒状に形成された本体21と、本体21の底壁から本体21と同軸上を延びる丸棒状のロッド29とを有する。ロッド29と本体21とは、外ピース10と同じ金属材料から一連で削り出されたものである。
本体21の底壁には、後述するセンサ30の信号線を引き出すための挿通孔24が形成されている。
本体21の開口端は、ねじ込み式の蓋23で封止されている。蓋23には、後述するセンサ30の信号線を引き出すための挿通孔25が形成されている。挿通孔25は、止水ゴムやコーキング材などのシール部材26で封止されている。

0027

本体21は、ロッド29が形成された側から、外ピース10の接続部12に挿入可能である。接続部12に挿入された際、本体21の辺縁が接続部12の段差に設置されたシール部材15に当接可能である。
ロッド29は、先端に雄ねじ28が形成され、雄ねじ28にはナット27が螺合可能である。接続部12に挿入された際、雄ネジ部28は外ピース10の挿通孔14に挿通可能である。

0028

内ピース20と外ピース10とは、ロッド29を接続部12から外ピース10の内部へ挿入し、ロッド先端の雄ねじ28をナット27に螺合させることで一体に連結される。
このナット27を締め付けることで、ロッド29が封止部11に対して下向きに引き寄せられ、ロッド29を介して内ピース20の本体21が封止部11に向けて引っ張られる。ここに発生するロッド29の引張り力は、本体21および接続部12を経て被検体19に伝達され、被検体19に圧縮力を発生させる。
従って、ナット27を締め付けてロッド29に引張り力を発生させることで、被検体19に圧縮力およびこれに伴う圧縮応力を発生させることができる。本実施形態では、ロッド29が応力付与部材とされる。
なお、外ピース10のシール部材15を接続部12の内周面に沿わせ、このシール部材15に内ピース20を押し込んで固定されるようにしてもよい。
また、外ピース10の接続部12の内周面の段差を用いずに、外ピース10の接続部12の内周面に雌ねじを形成し、内ピース20の本体21の外周に雄ねじを形成し、これらを螺合させて内ピース20と外ピース10とを接続してもよい。

0029

ロッド29の中間部の外周面には、歪みセンサ30が設置されている。
歪みセンサ30は複数(例えば2個)が、周方向一定間隔で配列されている。歪みセンサ30の各々には、検出信号の信号線が接続されている。信号線の各々は、本体21に形成された挿通孔24,25を通して外部に引き出され、図示しないデータ処理装置に接続されている。

0030

〔歪み式腐食センサの製造手順
このような本実施形態の歪み式腐食センサ1は、次のような手順で製造される。
はじめに、歪み式腐食センサ1となる部品である外ピース10、内ピース20および歪みセンサ30を準備する。
次に、外ピース10、内ピース20および歪みセンサ30を組立てて歪み式腐食センサ1とするとともに、ナット27を締め込んでロッド29に引張り力を発生させ、これにより被検体19に所期の圧縮応力を付与してゆく。
本実施形態において、被検体19に付与される圧縮応力は、被検体19を座屈領域まで歪ませる応力とされる。

0031

被検体19を座屈領域まで歪ませるために、予め外ピース10の座屈試験を行い、座屈が生じる荷重(座屈荷重)を測定しておく。
例えば、外ピース10を圧縮破壊試験装置に装着し、被検体19の表面(被腐食面18)に歪みゲージを設置し、この状態で外ピース10の中心軸線方向の荷重を加えてゆく。荷重が増加してゆくと、やがて被検体19に座屈が発生する。
図2に示すように、被検体19が座屈した際には、被検体19の表面に、周方向に連続する隆起17や皺などが発生する。荷重と変位の関係から、変位の増加率が大きくなった荷重、即ち被検体表面の隆起が発生し始める荷重を持って座屈の始まりと判定する。そして、座屈の始まりと判定された時点の歪みゲージの出力を座屈開始歪みとして記録しておく。

0032

被検体19に座屈領域の歪みを付与する際には、外ピース10と内ピース20とを組立てた後、ナット27を締め付けて被検体19に圧縮力を加えてゆく。そして、被検体19の表面の歪みゲージから得られる歪みを判定し、試験で記録しておいた座屈開始歪みに達したらナット27の締め付けを停止する。
このような操作により、被検体19には、予め座屈が始まる際に測定されるのと同じ歪みが生じる圧縮応力が、付与される。以上により、被検体19には、被検体19を座屈領域まで歪ませる応力が付与される。

0033

〔本実施形態の効果〕
このような本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態では、歪み式腐食センサ1を腐食環境におき、被検体19の被腐食面18を腐食させることで、その経時的な変化を測定することができる。
本実施形態において、被腐食面18が腐食されると、被検体19の断面積が減少し、予め付与しておいた圧縮力に対し、圧縮応力が増大する。この被検体19の圧縮応力の変化は、応力付与部材であるロッド29に設置された歪みセンサ30により、ロッド29の引張り応力の変化として検出することができる。

0034

本実施形態では、歪み式腐食センサ1の製造にあたって、被検体19は座屈領域まで歪ませられている。このため、被検体19の腐食量eが同じでも、被検体19の歪みの変化を大きなものとして検出することができる。
図3において、被検体19を一般的な弾性領域で用いている場合(曲線Cn)の、腐食量eに対する応力変化量σnとする。被検体19を座屈領域で用いる場合(座屈開始点Pbから先の曲線Cb)には、被検体19の歪み変化の応力変化に対する比率が大きくなり、同じ腐食量eでも応力変化量σb>σnとなる。
このように、被検体19を、腐食による変化率が大きな領域で使用することができ、これにより検出感度を高めることができる。

0035

さらに、本実施形態では、被検体19を座屈領域まで歪ませる操作は、歪み式腐食センサ1の組立の際に、応力付与部材であるロッド29のナット27を締め付けることで、簡単に行うことができる。このため、従来の被腐食面の切削、あるいは被腐食面のエッチング処理などの、別途の工程を導入する必要がなく、製造工程を効率化することができる。
このように、本実施形態によれば、高感度の歪み式腐食センサ1を、効率よく製造することができる。

0036

〔他の実施形態〕
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
前述した実施形態では、被検体19の座屈試験を行い、被検体19が座屈を始める時点の圧縮力あるいは圧縮歪みを検出していた。しかし、本発明の他の実施形態として、被検体19が座屈を始める時点に限らず、座屈により所定量の変形が生じた時点や、理論計算数値計算に基づいて判定される座屈荷重などを基準としてもよい。

0037

さらに、本発明の他の実施形態として、基準とする座屈荷重などの値を、被検体19を座屈領域とする荷重としてそのまま用いるのではなく、例えば被検体の座屈荷重の90%以上の荷重を被検体に付与する、としてもよい。
このように、座屈荷重の90%以上の荷重が被検体に付与された状態としておくことで、腐食がわずかに進行したところで座屈が発生し、高感度な腐食測定が可能な状態とすることができる。

0038

前述した実施形態では、歪みセンサ30を応力付与部材であるロッド29に設置していたが、被検体19の内周面に設置してもよい。このように被検体19に設置することで、被検体19の圧縮応力を直接的に検出することができる。ただし、被検体19の座屈部位、例えば図2の隆起17が生じる部位では脱落する可能性がある。これに対し、歪みセンサ30を応力付与部材であるロッド29に設置しておくことで、このような不都合を回避することができる。

0039

前記実施形態では、外ピース10に筒状の被検体19を形成し、その外周面を被腐食面18として曝露試験を行った。他の実施形態として、複数の短冊状の被検体を円周上に配置し、概略筒状として用いてもよい。
このような短冊状の被検体を配列する場合、被検体の外側面および内側面をともに被腐食面とすることができ、両面からの腐食により進行を検出しやすくできる。なお、このような構成では、ロッド29や歪みセンサ30など、歪み式腐食センサ1の内部まで腐食環境に曝露されることになる。このため、腐食を避けるべき部分には、予め塗装その他の防食処理を施しておくことが好ましい。また、短冊状の被検体の外側面だけを被腐食面とするのであれば、被検体の内側面にも防食処理を施せばよい。

0040

前記実施形態では、ねじ込み組立て式の外ピース10および内ピース20を用いたが、被検体の支持および応力付与部材の配置は他の構成によってもよい。例えば、矩形枠組の内側に被検体を掛け渡し、その両側を圧縮する応力付与部材を設置した構造、あるいは、被検体を両端から挟み込み、その両側に締め付けねじを沿わせて圧縮する構造などを利用してもよい。要するに、応力付与部材により被検体に圧縮応力を付与して、被検体を座屈領域まで歪ませることができればよい。

0041

前述した実施形態では、一個の歪み式腐食センサ1を用い、その被検体19を座屈領域で用い、腐食環境での曝露試験を行うことで、被検体19を構成する材料の腐食測定を行った。
これに対し、本発明の他の実施形態として、複数の歪み式腐食センサ1を用い、各々の座屈過程を連続させ、長い期間にわたって曝露試験を行うことができる。

0042

具体的には、前述した実施形態と同様に、被検体19、応力付与部材であるロッド29、歪みセンサ30を有する歪み式腐食センサ1(図1参照)を複数、例えば3つ準備する。そして、複数の歪み式腐食センサ1においては、それぞれの被検体19の座屈条件を互いに異なる設定とする。

0043

図4に示すように、複数の歪み式腐食センサS1,S2,S3において、各々の座屈が始まる時点の荷重をW1s,W2s,W3sとし、各々の座屈が終わる時点の荷重をW1e,W2e,W3eとする。
各々の歪み式腐食センサS1,S2,S3の座屈開始荷重W1s,W2s,W3s、および座屈終了荷重W1e,W2e,W3eは、各々の被検体19の厚みや形状を変えることで調整することができる。

0044

この際、第1の歪み式腐食センサS1の座屈終了荷重W1eと、第2の歪み式腐食センサS2の座屈開始荷重W2sとを、略同じ値となるように調整しておく。また、第2の歪み式腐食センサS2の座屈終了荷重W2eと、第3の歪み式腐食センサS3の座屈開始荷重W3sとを、略同じ値となるように調整しておく。
これにより、第1の歪み式腐食センサS1において座屈が終わる被検体19の腐食状態と、第2の歪み式腐食センサS2において座屈が始まる被検体19の腐食状態とを、重複させることができる。また、第2の歪み式腐食センサS2において座屈が終わる被検体19の腐食状態と、第3の歪み式腐食センサS3において座屈が始まる被検体19の腐食状態とを、重複させることができる。
その結果、第1〜第3の歪み式腐食センサS1,S2,S3の座屈過程T1,T2,T3を、順次連続させることができる。

0045

このような3つの歪み式腐食センサS1,S2,S3を用い、これらを同じ腐食環境中に曝露して、各々の歪みセンサ30で被検体19の応力を検出することで、各々の座屈過程T1,T2,T3を連続させ、長い期間Ttにわたって曝露試験を行うことができる。

0046

前述した実施形態では、歪みセンサ30からの信号線を、それぞれ本体21の挿通孔24,25を通して外部へと引き出していた。
しかし、信号線の引き出し位置は任意であり、他の部分の挿通孔を用いてもよい(ただし、被検体19部分を除く)。また、歪みセンサ30は有線接続ではなく、無線接続としてもよく、この場合、挿通孔24,25などによる信号線の引き出しを省略することができる。

0047

前述した実施形態では、予め歪み式腐食センサ1として組立てておき、腐食測定に利用するものであった。
しかし、本発明の腐食測定方法としては、歪み式腐食センサ1の各構成を測定現場で組立て、これにより腐食測定を行うようにしてもよい。
この場合、測定現場において歪み式腐食センサ1の被検体19、ロッド29などの応力付与部材、歪みセンサ30などの各機能が構成されればよく、歪み式腐食センサ1として独立した機材が形成されることは必要ではない。
このような場合でも、被検体19に対する座屈領域までの圧縮応力付与による検出感度の向上など、前述した実施形態で説明した効果を得ることができる。

0048

本発明は、歪み式腐食センサの製造方法および腐食測定方法に関し、腐食環境中に曝される金属材料の腐食の進行を、測定するためのセンサの製造方法および測定方法として利用できる。

0049

1…歪み式腐食センサ、10…外ピース、11…封止部、12…接続部、13…蓋、14…挿通孔、15…シール部材、17…隆起、18…被腐食面、19…被検体、20…内ピース、21…本体、23…蓋、24,25…挿通孔、26…シール部材、27…ナット、28…雄ねじ、29…ロッド、30…歪みセンサ、Cb,Cn…曲線、e…腐食量、Pb…座屈開始点、S1,S2,S3…歪み式腐食センサ、T1,T2,T3…座屈過程、Tt…測定期間、W1s,W2s,W3s…座屈開始荷重、W1e,W2e,W3e…座屈終了荷重、σb,σn…応力変化量。

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