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技術 内燃機関用の点火コイル

出願人 株式会社デンソー
発明者 加藤明浩
出願日 2016年4月13日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-080623
公開日 2017年10月19日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-190722
状態 特許登録済
技術分野 内燃機関の点火装置
主要キーワード ポニフェニレンサルファイド エラストマ層 高圧出力端子 境界周辺 スキン層表面 分散相粒子 巻回軸方向 薄膜形
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (16)

課題

中心コアを内側に埋設したボビンの、内周側と外周側との絶縁性を確保することができる内燃機関用点火コイルを提供すること。

解決手段

内燃機関用の点火コイルは、一次コイル21及び二次コイルと、ボビン3と、中心コア4と、モールド樹脂5と、を有する。一次コイル21及び二次コイルは、互いに磁気的に結合している。ボビン3は、一次コイル21が直接巻回されている。中心コア4は、ボビン3の内側において、ボビン3に密着するよう配されている。モールド樹脂は、一次コイル21及び二次コイル、ボビン3、並びに中心コア4を、内側に埋設している。ボビン3は、熱可塑性樹脂と、熱可塑性樹脂中に分散された分散相粒子とを有する。分散相粒子は、熱可塑性樹脂よりも低弾性である。

概要

背景

特許文献1には、内燃機関用点火コイルとして、互いに磁気的に結合した一次コイル及び二次コイルと、一次コイルが巻回されたボビンと、ボビンの内側に配された中心コアとを有するものが開示されている。上記ボビンは、内側に中心コアを配した状態でインサート成形されている。これにより、中心コアを内側に配した状態のボビンを低コストで得られると共に、ボビンと中心コアとを一体として形成でき、部品点数の削減を図ることもできる。なお、上記中心コアは金属からなり、上記ボビンは樹脂からなる。

概要

中心コアを内側に埋設したボビンの、内周側と外周側との絶縁性を確保することができる内燃機関用の点火コイルを提供すること。内燃機関用の点火コイルは、一次コイル21及び二次コイルと、ボビン3と、中心コア4と、モールド樹脂5と、を有する。一次コイル21及び二次コイルは、互いに磁気的に結合している。ボビン3は、一次コイル21が直接巻回されている。中心コア4は、ボビン3の内側において、ボビン3に密着するよう配されている。モールド樹脂は、一次コイル21及び二次コイル、ボビン3、並びに中心コア4を、内側に埋設している。ボビン3は、熱可塑性樹脂と、熱可塑性樹脂中に分散された分散相粒子とを有する。分散相粒子は、熱可塑性樹脂よりも低弾性である。

目的

以上のごとく、上記態様によれば、中心コアを内側に埋設したボビンの、内周側と外周側との絶縁性を確保することができる内燃機関用の点火コイルを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

互いに磁気的に結合した一次コイル(21)及び二次コイル(22)と、上記一次コイルが直接巻回されたボビン(3)と、該ボビンの内側において、上記ボビンに密着するよう配された中心コア(4)と、上記一次コイル及び上記二次コイル、上記ボビン、並びに上記中心コアを、内側に埋設したモールド樹脂(5)と、を有し、上記ボビンは、熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂中に分散された分散相粒子とを有し該分散相粒子は、上記熱可塑性樹脂よりも低弾性である、内燃機関用点火コイル(1)。

請求項2

上記分散相粒子は、エラストマである、請求項1に記載の内燃機関用の点火コイル。

請求項3

上記ボビンは、エラストマの含有率が、3〜10質量%である、請求項2に記載の内燃機関用の点火コイル。

請求項4

上記熱可塑性樹脂は、ポリブチレンテレフタレート樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関用の点火コイル。

請求項5

上記熱可塑性樹脂は、ポニフェニレンサルファイド樹脂、又はポニフェニレンエーテル樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関用の点火コイル。

技術分野

0001

本発明は、一次コイルを直接巻回しボビンと、ボビンの内側においてボビンに密着するよう配された中心コアとを有する内燃機関用点火コイルに関する。

背景技術

0002

特許文献1には、内燃機関用の点火コイルとして、互いに磁気的に結合した一次コイル及び二次コイルと、一次コイルが巻回されたボビンと、ボビンの内側に配された中心コアとを有するものが開示されている。上記ボビンは、内側に中心コアを配した状態でインサート成形されている。これにより、中心コアを内側に配した状態のボビンを低コストで得られると共に、ボビンと中心コアとを一体として形成でき、部品点数の削減を図ることもできる。なお、上記中心コアは金属からなり、上記ボビンは樹脂からなる。

先行技術

0003

特許第2981702号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、上記内燃機関用の点火コイルは、ボビンが、内側に中心コアを配した状態でインサート成形されており、かつ、中心コアの線膨張係数と樹脂製のボビンの線膨張係数とが異なる。それゆえ、ボビンと中心コアとの線膨張係数の差に起因した熱応力がボビンに作用し、ボビンにクラックが生じるおそれが考えられる。そして、ボビンのクラックが、ボビンの内周端から外周端まで形成されてしまうと、ボビンの内側にインサートされた中心コアと、ボビンの外周側に巻回された一次コイルとの間の電気的絶縁性を確保することができないおそれが考えられる。

0005

本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、中心コアを内側に埋設したボビンの、内周側と外周側との絶縁性を確保することができる内燃機関用の点火コイルを提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0006

本発明の一態様は、互いに磁気的に結合した一次コイル(21)及び二次コイル(22)と、
上記一次コイルが直接巻回されたボビン(3)と、
該ボビンの内側において、上記ボビンに密着するよう配された中心コア(4)と、
上記一次コイル及び上記二次コイル、上記ボビン、並びに上記中心コアを、内側に埋設したモールド樹脂(5)と、を有し、
上記ボビンは、熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂中に分散された分散相粒子とを有し
該分散相粒子は、上記熱可塑性樹脂よりも低弾性である、内燃機関用の点火コイル(1)にある。

発明の効果

0007

上記内燃機関用の点火コイルにおいて、ボビンは、熱可塑性樹脂と分散相粒子とを有する。そして、分散相粒子は、上記熱可塑性樹脂よりも低弾性である。それゆえ、後述するように、ボビンの内周端から外周端に連なるクラックが形成されることを防止することができる。そのため、ボビンの内側に配された中心コアと、ボビンの外側に巻回された一次コイルとの間の絶縁性を確保することができる。

0008

以上のごとく、上記態様によれば、中心コアを内側に埋設したボビンの、内周側と外周側との絶縁性を確保することができる内燃機関用の点火コイルを提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。

図面の簡単な説明

0009

実施形態1における、内燃機関用の点火コイルの断面図。
実施形態1における、ボビン、一次コイル、及びコネクタをY方向から見た側面図。
実施形態1における、ボビン及びコネクタをY方向から見た側面図。
実施形態1における、ボビン及びコネクタをZ方向から見た下面図。
図2の、V−V線矢視断面図。
図5の、ボビン周辺の拡大断面図。
図6の、ボビンと一次コイルとの境界周辺の拡大図。
実施形態1における、ボビンを構成する溶湯が流れる様子を示す模式図。
実施形態1における、ボビンを構成する溶湯中エラストマ粒子が、変形、移動する様子を示す模式図。
実施形態1における、ボビンを構成する溶湯中の複数のエラストマ粒子の形状が、スキン層の対向方向の位置によって異なる様子を示す模式図。
実施形態1における、ボビンを構成する溶湯中の複数のエラストマ粒子が、スキン層表面凝集し、扁平化してエラストマ層を形成した様子を示す模式図。
実施形態1における剥離層が形成されたボビンの、X方向に直交する断面を示した模式図。
図12の、ボビン周辺の拡大図。
実施形態1における、効果を示すための模式図。
実験例2における、エラストマ含有率接着強度との関係を示した線図。

実施例

0010

(実施形態1)
内燃機関用の点火コイルの実施形態につき、図1図14を用いて説明する。
本実施形態の内燃機関用の点火コイル1は、図1に示すごとく、一次コイル21及び二次コイル22と、ボビン3と、中心コア4と、モールド樹脂5と、を有する。一次コイル21及び二次コイル22は、互いに磁気的に結合している。ボビン3は、一次コイル21が直接巻回されている。中心コア4は、ボビン3の内側において、ボビン3に密着するよう配されている。モールド樹脂5は、一次コイル21及び二次コイル22、ボビン3、並びに中心コア4を、内側に埋設している。図5図6に示すごとく、ボビン3は、熱可塑性樹脂と、熱可塑性樹脂中に分散された分散相粒子とを有する。分散相粒子は、熱可塑性樹脂よりも低弾性である。

0011

本実施形態の点火コイル1は、例えば、自動車コージェネレーション等の内燃機関に用いるものとすることができる。なお、以下において、一次コイル21及び二次コイル22の巻回軸方向をX方向という。

0012

図1に示すごとく、中心コア4は、軟磁性材料からなる平板状の鋼板を、その厚み方向に複数積層してなる。中心コア4の鋼板の積層方向は、X方向に直交する方向である。以下において、中心コア4の鋼板の積層方向をZ方向といい、X方向とZ方向との双方に直交する方向をY方向という。

0013

図3図4に示すごとく、中心コア4は、直方体形状を有する直方体部41と、X方向における直方体部41の一端において、直方体部41よりもY方向の両側に突出した突出部42とを有する。なお、図3図4において、中心コア4は、その外形破線で表している。図5に示すごとく、直方体部41は、X方向に直交する断面形状における四隅に角部43を有する。

0014

図1に示すごとく、中心コア4は、X方向の両端面を露出した状態で、ボビン3の内側に埋設されている。ボビン3は、中心コア4を内側に配した状態で、インサート成形されている。

0015

ボビン3は、筒状を呈している。上述のごとく、ボビン3は、熱可塑性樹脂中に分散相粒子を分散させた材料からなる。本実施形態において、熱可塑性樹脂は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(すなわちPBT樹脂)である。また、分散相粒子は、エラストマである。エラストマは、ポリブチレンテレフタレート樹脂よりも低弾性である。そして、ボビン3は、エラストマの含有率が、3〜10質量%である。

0016

図5図6に示すごとく、ボビン3は、内周端部及び外周端部に形成された2つのスキン層32と、この2つのスキン層32の間に形成されたコア層33とを有する。スキン層32は、中心コア4を内側に配置した金型内キャビティに溶湯を流しこんでボビン3を成形する際に、溶湯が金型及び中心コア4に熱を奪われて、比較的早期に固化する層である。そして、コア層33は、スキン層32よりも後に固化されて形成される層である。スキン層32及びコア層33は、ポリブチレンテレフタレート樹脂にエラストマ粒子が分散された状態にある。

0017

2つのスキン層32と、コア層33との間には、それぞれ、エラストマ層34が形成されている。エラストマ層34は、複数のエラストマ粒子が凝集し、扁平化して連結された層である。エラストマ層34は、ボビン3の全周にわたって形成されている。上述のごとく、エラストマは、ポリブチレンテレフタレート樹脂よりも低弾性であるため、エラストマからなるエラストマ層34は、ポリブチレンテレフタレート樹脂にエラストマ粒子が分散されたスキン層32及びコア層33よりも強度が低い。便宜上、2つのスキン層32のうち、内周側に形成されたものを内周側スキン層321、外周側に形成されたものを外周側スキン層322ということもある。また、便宜上、2つのエラストマ層34のうち、内周側に形成されたものを内周側エラストマ層341、外周側に形成されたものを外周側エラストマ層342ということもある。

0018

図1図4に示すごとく、ボビン3は、外周側に向って突出した一対の鍔部36を有する。一対の鍔部36は、互いに、X方向に一定間隔をあけて形成されている。図1図2に示すごとく、ボビン3における一対の鍔部36の間に、一次コイル21が巻回されている。図1に示すごとく、一次コイル21は、中心コア4における直方体部41の外周側に巻回されている。図5図6に示すごとく、一次コイル21は、ボビン3の外周面に接触するよう巻回されている。

0019

図1に示すごとく、一次コイル21の外周側に、二次コイル用ボビン6が配されており、二次コイル用ボビン6に二次コイル22が巻回されている。一次コイル21及び二次コイル22は、同心状に内外周に重なって配置されている。

0020

また、点火コイル1は、ケース7を有する。ケース7は、一次コイル21及び二次コイル22、ボビン3、中心コア4、その他の点火コイル1を構成する部材を内部に収容するケース本体71を有する。ケース本体71はZ方向の一方が開放されている。また、ケース7は、ケース本体71における開放された側と反対側において、ケース本体71からZ方向に突出するように形成された筒状の高圧タワー部72を有する。高圧タワー部72におけるケース本体71側端部には、金属製の高圧出力端子11が嵌入されている。これにより、高圧タワー部72におけるケース本体71側の端部は閉塞されている。なお、点火コイル1の構成部品としては、例えば、中心コア4と共に閉磁路を形成するように二次コイル22の外側に配された外周コア14や、一次コイル21への通電及び通電の遮断を行うイグナイタ15等がある。

0021

ケース本体71内に、モールド樹脂5が充填されている。モールド樹脂5は、例えばエポキシ樹脂である。モールド樹脂5内に、一次コイル21及び二次コイル22、ボビン3、中心コア4、その他の点火コイル1の構成部品が埋設されている。図6図7に示すごとく、モールド樹脂5は、一次コイル21とボビン3の外周面との間の微小領域8にも含浸されている。これにより、モールド樹脂5は、一次ボビン3に接着されている。

0022

図1に示すごとく、ケース本体71には、点火コイル1を外部に接続するためのコネクタ12が嵌合されている。本実施形態において、コネクタ12は、ボビン3と一体的に成形されている。なお、コネクタ12は、ボビン3と別体に形成されていても良い。

0023

次に、図8図11を参照しつつ、ボビン3の成形時におけるエラストマ粒子の移動、変形の様子について説明する。なお、図8図9においては、便宜上、1つのエラストマ粒子31について図示している。

0024

図8に示すごとく、ボビン3を成形するにあたっては、内側に中心コア4を配置した金型13内のキャビティ100に、溶湯300を流し込む。溶湯300は、ポリブチレンテレフタレート樹脂に、分散相粒子としてエラストマ粒子を分散させ、エラストマの含有量を3〜10質量%としたものである。

0025

キャビティ100を流れる溶湯300は、金型13、中心コア4のそれぞれに接触する部位が、金型13、中心コア4のそれぞれに熱を奪われやすいため、比較的早期に固化され、スキン層32を形成する。

0026

固化されたスキン層32間を流れる溶湯300には、スキン層32の対向方向において、せん断速度の勾配が生じる。スキン層32間を流れる溶湯300のせん断速度は、スキン層32側に近い領域ほど大きくなり、スキン層32に隣接する領域が最も大きくなる。それゆえ、図9に示すごとく、スキン層32間を流れる溶湯300に分散されたエラストマ粒子31は、せん断速度が大きいスキン層32側に移動する。なお、図10に示すごとく、エラストマ粒子31は、スキン層32の対向方向におけるせん断速度の勾配に起因したせん断応力により、上記対向方向に徐々に圧縮されながら、スキン層32側に移動する。なお、図8において、せん断応力の大きさと向きを示すベクトルを矢印で表している。矢印は、せん断応力が大きいほど、長くしている。

0027

スキン層32の表面に移動したエラストマ粒子31は、図10に示すごとく、上述のせん断応力により、さらにスキン層32の対向方向に圧縮され、扁平化する。以上のように、エラストマ粒子31が、移動、変形する。そして、上述のエラストマ粒子31の移動、変形が、溶湯300に含まれる複数のエラストマ粒子31において生じる。これにより、スキン層32とコア層33との間に、扁平化された複数のエラストマ粒子31が凝集する。そして、扁平化された複数のエラストマ粒子31同士が、ボビン3の周方向、及びX方向において連結する。これにより、図5図6図11に示すごとく、エラストマ層34が形成される。

0028

次に、ボビン3に後述する剥離層35が形成される様子の一例を説明する。
図5に示すごとく、点火コイル1を製造する際に、スキン層32、コア層33、及びエラストマ層34が形成されたボビン3に、直接一次コイル21を巻回する。ボビン3に直接一次コイル21を巻回することにより、ボビン3に応力がかかる。この応力により、一次コイル21が外周側スキン層322を拘束する。外周側スキン層322が拘束された状態でボビン3に冷熱応力が加わると、外周側エラストマ層342と外周側スキン層322との間に歪みが生じる。特に、ボビン3の角部37において、一次コイル21を巻回することによる応力が大きくなるめ、ボビン3の角部37において、一次コイル21による外周側スキン層322の拘束力が大きくなる。そして、一次コイル21によって拘束された外周側スキン層322と、一次コイル21によって拘束されていないコア層33との間の外周側エラストマ層342は、歪みが大きくなり、剥離しやすい状態となる。

0029

そして、点火コイル1の使用時の冷熱により、点火コイル1が高温から低温になることによって、ボビン3がX方向に収縮する。ここで、上述のごとく、図7に示すように、外周側スキン層322は、一次コイル21とボビン3の外周面との間の微小領域8に含浸されたモールド樹脂5に固定されているとともに、一次コイル21によって拘束されている。それゆえ、冷熱によりボビン3がX方向に収縮する際、外周側スキン層322は、その内周側の層よりも、X方向への収縮が制限される。そのため、上述のごとく歪みが生じた外周側スキン層322と外周側エラストマ層342との間に比較的大きな応力がかかる。それゆえ、図12図13に示すごとく、外周側エラストマ層342と外周側スキン層322との間に剥離が生じ、外周側エラストマ層342と外周側スキン層322との間が剥離する。そして、外周側エラストマ層342と外周側スキン層322との間に、空間からなる剥離層35が形成される。剥離層35は、少なくとも、一次コイル21による外周側スキン層322の拘束力が大きい角部37に形成される。

0030

このように、点火コイル1の完成時においては、剥離層35は形成されていないが、点火コイル1の使用時の冷熱により、剥離層35が形成される。

0031

次に、本実施形態の作用効果につき説明する。
内燃機関用の点火コイル1においては、ボビン3は、熱可塑性樹脂と分散相粒子とを有する。そして、分散相粒子は、上記熱可塑性樹脂よりも低弾性である。それゆえ、ボビン3の少なくとも角部37には、剥離層35、すなわち空間からなる層が形成される。これにより、図14に示すごとく、仮に、点火コイル1の使用時の冷熱等により、特に冷熱応力が大きくなりやすい中心コア4の角部43を起点としてボビン3にクラック16が生じた場合であっても、クラック16がボビン3の内周端から外周端に連なるように形成されることを防止することができる。すなわち、仮に、中心コア4の角部43を起点としたクラック16が外周側に向って進展したとしても、外周側エラストマ層342と外周側スキン層322との間には剥離層35が存在するため、クラック16が外周側スキン層322まで進展しない。そのため、ボビン3の内側に配された中心コア4と、ボビン3の外側に巻回された一次コイル21との間の絶縁性を確保することができる。

0032

また、分散相粒子は、熱可塑性樹脂よりも低弾性のエラストマである。それゆえ、ボビン3の成形時において、分散相粒子が容易に変形できる。そのため、分散相粒子が扁平化して凝集やすく、剥離しやすいエラストマ層34が形成されやすい。

0033

また、熱可塑性樹脂は、ポリブチレンテレフタレート樹脂である。それゆえ、ボビン3の材料として、従来から用いられている材料を用いつつ、エラストマ層34を形成しやすい。また、熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂(すなわちPPS樹脂)、又はポリフェニレンエーテル樹脂(すなわちPPE樹脂)とすることもできる。これらの場合においても、同様の効果を奏する。

0034

また、ボビン3は、エラストマの含有率が、3〜10質量%である。それゆえ、後述するように、ボビン3の全周にわたって形成されたエラストマ層34を得やすいと共に、ボビン3とモールド樹脂5との間の接着強度を確保することができる。

0035

以上のごとく、本実施形態によれば、中心コアを内側に埋設したボビンの、内周側と外周側との絶縁性を確保することができる内燃機関用の点火コイルを提供することができる。

0036

(実験例1)
本例は、表1に示すごとく、ボビン3におけるエラストマの含有率を種々変更してボビン3を形成した場合における、ボビン3のエラストマ層34を形成するエラストマが凝集して扁平化した状態について評価した例である。

0037

本例においては、評価の対象となるボビン3として、14個の試料1〜試料14を作製した。14個の試料は、基本構造を実施形態1で示したボビン3と同様としつつ、エラストマの含有率を互いに異ならせたものである。各試料は、ポリブチレンテレフタレート樹脂にエラストマ粒子を分散させてなる。エラストマの含有率は、試料1が0.0質量%、試料2が1.0質量%、試料3が2.0質量%、試料4が2.5質量%、試料5が3.0質量%、試料6が4.0質量%、試料7が5.0質量%、試料8が6.0質量%、試料9が7.0質量%、試料10が8.0質量%、試料11が9.0質量%、試料12が10.0質量%、試料13が11.0質量%、試料14が12.0質量%である。

0038

試験においては、各試料を作製した後、各試料をX方向に平行な断面を顕微鏡により観察し、ボビン3においてエラストマが凝集して扁平化した状態を評価した。その結果を、表1に示す。ボビン3においてエラストマが凝集して扁平化した状態の評価は、エラストマが凝集して扁平化して連結されたエラストマ層34が、X方向において連続的に形成された場合は「A」と評価し、エラストマ層34がX方向において部分的に形成された場合は「B」と評価し、エラストマ層34がほとんど若しくは全く形成されていない場合は「C」と評価した。表1において、「エラストマ含有率」は、各試料におけるエラストマの含有率を表している。

0039

0040

表1に示すごとく、ボビンのエラストマの含有率が2.0質量%以下である試料1〜試料3においては、エラストマ層がほとんど若しくは全く形成されていないことが確認された。また、ボビン3のエラストマの含有率が2.5質量%である試料4においては、エラストマ層34がX方向において部分的に形成されていることが確認された。そして、ボビン3のエラストマの含有率が3.0質量%以上である試料5〜試料14においては、エラストマ層34がX方向において連続して形成されていることが確認された。

0041

すなわち、本試験から、ボビン3におけるエラストマの含有率は2.5質量%以上とすることが好ましいことが分かる。すなわち、ボビン3におけるエラストマの含有率を2.5質量%以上とすることにより、エラストマ層34が形成されやすい。これにより、上述のごとく、ボビン3の内周端から外周端まで繋がるクラックが生じることを防止することができる。また、本試験から、ボビン3におけるエラストマの含有率を3.0質量%以上とすることにより、X方向に連続的に形成されたエラストマ層34を得ることができることが分かる。

0042

(実験例2)
本試験は、図15に示すごとく、エラストマの含有率を種々変更したボビン3について、モールド樹脂5との接着強度を評価した例である。なお、本例において、モールド樹脂5は、実施例1と同様、エポキシ樹脂である。

0043

本例においては、ポリブチレンテレフタレート樹脂にエラストマ粒子を分散させてなる薄膜形試験片を14個用意した。該11個の試験片は、互いにエラストマの含有率を異なせたものである。すなわち、各試験片のエラストマの含有率は、0質量%、1質量%、2質量%、2.5質量%、3質量%、4質量%、5質量%、6質量%、7質量%、8質量%、9質量%、10質量%、11質量%、12質量%である。

0044

そして、11個の試験片の表面にエポキシ樹脂を塗布した。このとき、エポキシ樹脂と各試験片との接触面積が、4mm2となるようにした。そして、各試料について、エポキシ樹脂の表面に、M4の六角ナットを接着し、加熱してエポキシ樹脂を硬化させた。

0045

その後、室温で引張速度5mm/分にて、各試料に接着させた六角ナットを引っ張り、試験片とエポキシ樹脂との間が破断したしたときの引張強度を、接着強度として測定した。結果を図15に示す。

0046

図15から、エラストマの含有率を0質量%から徐々に増加させると、エラストマの含有率が6質量%になるまでは、徐々にボビン3とモールド樹脂5との接着強度は高くなることが分かる。しかし、エラストマの含有率が6質量%を超えると、徐々に接着強度は低下することが分かる。そして、エラストマの含有率が10質量%になると、実験例1で示した、さらに好ましい範囲の下限である3質量%の場合の接着強度と略同等の値となる。そして、エラストマの含有率が10質量%を超えると、実験例1で示した、さらに好ましい範囲の下限である3質量%の場合の接着強度よりも小さくなる。それゆえ、実験例1で示したように、ボビン3のエラストマの含有率を3質量%以上とすることにより、ボビン3に連続的に形成されたエラストマ層34を得ることができると共に、本例で示したように、3〜10質量%とすることにより、ボビン3とモールド樹脂5との間の接着強度を確保することができることが分かる。

0047

本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。例えば、実施形態1において、分散相粒子はエラストマとしたが、これに限られない。すなわち、ボビンが、熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂よりも弾性の低い分散相粒子とからなれば、種々の態様が考えられる。また、熱可塑性樹脂は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(すなわちPBT樹脂)としたが、ポリフェニレンサルファイド樹脂(すなわちPPS樹脂)、ポニフェニレンエーテル樹脂(すなわちPPE樹脂)等とすることもできる。

0048

1内燃機関用の点火コイル
21一次コイル
22二次コイル
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