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技術 管内張りの裏込め材

出願人 株式会社菱晃
発明者 澤田健司瀬谷昌明近藤一平小林英樹池本桂子
出願日 2016年4月15日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-082303
公開日 2017年10月19日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2017-190652
状態 特許登録済
技術分野 下水 管の敷設
主要キーワード 合計配合比 小径配管 上水道配管 高分子有機酸 下水道配管 ストレートフレーム 円柱試験体 注入用ホース
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課題

水中不分離性に優れ、既設管内部における施工が容易になるとともに、既設管更生管との付着力を高めることが可能な管内張り裏込め材を提供する。

解決手段

少なくともセメント系組成物を含み、既設管と、該既設管の内面側に配置された更生管との間に注入され、硬化することで既設管に更生管を固定する、管内張りの裏込め材であって、セメント系組成物は、少なくとも、水硬性セメント及び混練水を含む主材液と、アルミナセメント無水石膏、JIS A6203:2015に規定されるセメント混和再乳化形粉末樹脂及び混練水を含む硬化材液とが配合されてなる。

概要

背景

従来、下水道配管上水道配管等の既設管更生を目的として、この既設管の内面側に更生管を設置する管内張り工法が採用されている(例えば、特許文献1を参照)。このような更生管としては、例えば、特許文献1に記載のような、樹脂等からなる長尺帯板螺旋状に巻回されて設置された、所謂ダンビー工法によって構築される断面略円形状(環状)のものが一般的に用いられている。また、更生管としては、リング状とされた複数の帯板が連結されてなるものや、帯板状のライニング材の背面側、即ち既設管側にストレートフレーム及びハンチフレームが配置され、ライニング材と各フレームとが連結材一体化された、所謂クリアフロー工法によって構築される断面略矩形状のもの等があり、既設管の構成に応じて適宜採用されている。

また、既設管と更生管との間には一定の隙間が設けられ、この隙間には、例えばセメント系組成物等からなる裏込め材注入され、これが硬化することで既設管に更生管が接合・固定される。また、既設管と更生管との隙間には、さらに、例えば小径配管を配置し、この小径配管の中に各種の通信ケーブル等を収容する用途に使用される場合もある。

既設管と更生管との隙間に未硬化の裏込め材を注入する際は、例えば、配管端部から上記の隙間に注入用ホースを挿入し、裏込め材を順次注入する。この際、配管径が小さめで且つ施工箇所配管長さ方向で短めである場合は、既設管と更生管との隙間に全断面注入で裏込め材を充填する。一方、配管径が大きめである場合は、大量の裏込め材による圧力で更生管が破損するのを防止するため、全断面注入を行わず、まず、鉛直方向で下側への裏込め材の注入を行い、これが硬化した後に上側への注入を行う、ステップ注入を実施する。また、施工箇所が配管長さ方向で長めである場合には、やはり大量の裏込め材による圧力で更生管が破損するのを防止するため、例えば、配管長さ方向で奥側から手前にかけて順次注入処理を行うこともある。

また、上記のような管内張り工法においては、裏込め材が硬化する途中段階で更生管が浮き上がり既設管内における更生管の位置ずれ等が生じたり、施工時の硬化待ち時間が長くなったりしないように、一般的に、裏込め材の硬化時間が短めに設定される。この場合、例えば、裏込め材中における各成分の配合比を調整することにより、通常、20℃の温度環境下で5〜15分程度の硬化時間となるように設定される。

管内張り工法に用いられる裏込め材としては、従来から各種のセメント系組成物等からなるものが多数提案されている。例えば、裏込め材として、主材液とアルミナセメント及びII型無水石膏を含む硬化材液とからなり、両液の混合液中におけるアルミナセメントを除く水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏の合計質量に対するアルミナセメント及びII型無水石膏の合計質量の比、並びに、混合液中におけるアルミナセメントを除く水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏の合計質量に対する混練水の合計質量の比が適正化されたセメント系組成物を用いたものが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。

しかしながら、特許文献2に記載のような従来の裏込め材は、一般的に水中不分離性に劣ることから、下水道配管や上水道配管等のような、既設管内における施工に際しては、存在する下水上水を一旦除去する必要があり、施工が煩雑であったり、困難となる場合があった。
また、管内張り工法において既設管に更生管を強固に固定するため、より高い付着力を発揮する裏込め材の実現が切に望まれていた。

概要

水中不分離性に優れ、既設管内部における施工が容易になるとともに、既設管と更生管との付着力を高めることが可能な管内張りの裏込め材を提供する。少なくともセメント系組成物を含み、既設管と、該既設管の内面側に配置された更生管との間に注入され、硬化することで既設管に更生管を固定する、管内張りの裏込め材であって、セメント系組成物は、少なくとも、水硬性セメント及び混練水を含む主材液と、アルミナセメント、無水石膏、JIS A6203:2015に規定されるセメント混和再乳化形粉末樹脂及び混練水を含む硬化材液とが配合されてなる。なし

目的

本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、水中不分離性に優れ、既設管内部における施工が容易になるとともに、既設管と更生管との付着力を高めることが可能な管内張りの裏込め材を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

既設管と、該既設管の内面側に配置された更生管との間に注入され、硬化することで、前記既設管に前記更生管を固定する、セメント系組成物からなる管内張り裏込め材であって、少なくとも、水硬性セメント及び混練水を含む主材液と、アルミナセメント無水石膏、JISA6203:2015に規定されるセメント混和再乳化形粉末樹脂及び混練水を含む硬化材液とが配合されてなる、管内張りの裏込め材。

請求項2

前記水硬性セメント、前記アルミナセメント及び前記無水石膏の合計100質量部に対して、前記アルミナセメント及び前記無水石膏の合計が10〜40質量部、前記混練水の合計が40〜60質量部、前記セメント混和用再乳化形粉末樹脂が1〜6質量部で含まれる、請求項1に記載の管内張りの裏込め材。

請求項3

前記セメント混和用再乳化形粉末樹脂が、(メタアクリル酸エステル系重合体である、請求項1又は請求項2に記載の管内張りの裏込め材。

請求項4

下記(1)に示す方法で確認される水中不分離性を有し、且つ、下記(2)に示す方法で測定される、硬化後のコンクリート面に対する付着力が1.0N/mm2以上である、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の管内張りの裏込め材。[(1)水中不分離性の確認方法]水を満たした内径50mm、内部高さ100mmの円筒状の型枠に、混練調整した裏込め材を流し込み、硬化させて得られた硬化体を温度20±2℃の水中で養生した材齢28日における圧縮強度A、及び、水を入れていない内径50mm、内部高さ100mmの円筒状の型枠に、混練調整した裏込め材を流し込み、硬化させて得られた硬化体を温度20±2℃の水中で養生した材齢28日における圧縮強度Bを測定し、前記圧縮強度Aが前記圧縮強度Bの80%以上であった場合に、その裏込め材が水中不分離性を有すると評価する。但し、前記圧縮強度A及び前記圧縮強度Bは、公益社団法人土木学会において規定されるJSCE−G505「円柱試験体を用いたモルタルまたはセメントペースト圧縮強度試験方法」に準拠した方法で測定される。[(2)付着力の測定方法]前記裏込め材から得られる硬化体の養生条件を、温度20±2℃、相対湿度90%以上で28日間とする点以外は、JISA1171:2000「ポリマーセメントモルタル試験方法」に準拠した方法で測定される。

請求項5

前記更生管は、長尺帯板螺旋状に巻回されてなる螺旋更生管であり、前記既設管と前記螺旋更生管との間に注入されて硬化することで、前記既設管に前記螺旋更生管を固定する、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の管内張りの裏込め材。

請求項6

前記更生管は、リング状とされた複数の帯板が連結されてなる連結更生管であり、前記既設管と前記連結更生管との間に注入されて硬化することで、前記既設管に前記連結更生管を固定する、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の管内張りの裏込め材。

技術分野

0001

本発明は、管内張り裏込め材に関する。

背景技術

0002

従来、下水道配管上水道配管等の既設管更生を目的として、この既設管の内面側に更生管を設置する管内張り工法が採用されている(例えば、特許文献1を参照)。このような更生管としては、例えば、特許文献1に記載のような、樹脂等からなる長尺帯板螺旋状に巻回されて設置された、所謂ダンビー工法によって構築される断面略円形状(環状)のものが一般的に用いられている。また、更生管としては、リング状とされた複数の帯板が連結されてなるものや、帯板状のライニング材の背面側、即ち既設管側にストレートフレーム及びハンチフレームが配置され、ライニング材と各フレームとが連結材一体化された、所謂クリアフロー工法によって構築される断面略矩形状のもの等があり、既設管の構成に応じて適宜採用されている。

0003

また、既設管と更生管との間には一定の隙間が設けられ、この隙間には、例えばセメント系組成物等からなる裏込め材が注入され、これが硬化することで既設管に更生管が接合・固定される。また、既設管と更生管との隙間には、さらに、例えば小径配管を配置し、この小径配管の中に各種の通信ケーブル等を収容する用途に使用される場合もある。

0004

既設管と更生管との隙間に未硬化の裏込め材を注入する際は、例えば、配管端部から上記の隙間に注入用ホースを挿入し、裏込め材を順次注入する。この際、配管径が小さめで且つ施工箇所配管長さ方向で短めである場合は、既設管と更生管との隙間に全断面注入で裏込め材を充填する。一方、配管径が大きめである場合は、大量の裏込め材による圧力で更生管が破損するのを防止するため、全断面注入を行わず、まず、鉛直方向で下側への裏込め材の注入を行い、これが硬化した後に上側への注入を行う、ステップ注入を実施する。また、施工箇所が配管長さ方向で長めである場合には、やはり大量の裏込め材による圧力で更生管が破損するのを防止するため、例えば、配管長さ方向で奥側から手前にかけて順次注入処理を行うこともある。

0005

また、上記のような管内張り工法においては、裏込め材が硬化する途中段階で更生管が浮き上がり既設管内における更生管の位置ずれ等が生じたり、施工時の硬化待ち時間が長くなったりしないように、一般的に、裏込め材の硬化時間が短めに設定される。この場合、例えば、裏込め材中における各成分の配合比を調整することにより、通常、20℃の温度環境下で5〜15分程度の硬化時間となるように設定される。

0006

管内張り工法に用いられる裏込め材としては、従来から各種のセメント系組成物等からなるものが多数提案されている。例えば、裏込め材として、主材液とアルミナセメント及びII型無水石膏を含む硬化材液とからなり、両液の混合液中におけるアルミナセメントを除く水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏の合計質量に対するアルミナセメント及びII型無水石膏の合計質量の比、並びに、混合液中におけるアルミナセメントを除く水硬性セメント、アルミナセメント及びII型無水石膏の合計質量に対する混練水の合計質量の比が適正化されたセメント系組成物を用いたものが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。

0007

しかしながら、特許文献2に記載のような従来の裏込め材は、一般的に水中不分離性に劣ることから、下水道配管や上水道配管等のような、既設管内における施工に際しては、存在する下水上水を一旦除去する必要があり、施工が煩雑であったり、困難となる場合があった。
また、管内張り工法において既設管に更生管を強固に固定するため、より高い付着力を発揮する裏込め材の実現が切に望まれていた。

先行技術

0008

特開平07−100925号公報
特開2002−068819号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、水中不分離性に優れ、既設管内部における施工が容易になるとともに、既設管と更生管との付着力を高めることが可能な管内張りの裏込め材を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、管内張りの裏込め材を構成するセメント系組成物を、硬化材液中にJIS A6203:2015で規定されるセメント混和再乳化形粉末樹脂からなるポリマーが含まれる成分とすることで、優れた水中不分離性が得られるとともに、付着力が高められることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の態様を包含する。

0011

[1]既設管と、該既設管の内面側に配置された更生管との間に注入され、硬化することで、前記既設管に前記更生管を固定する、セメント系組成物からなる管内張りの裏込め材であって、少なくとも、水硬性セメント及び混練水を含む主材液と、アルミナセメント、無水石膏、JIS A6203:2015に規定されるセメント混和用再乳化形粉末樹脂及び混練水を含む硬化材液とが配合されてなる、管内張りの裏込め材。
[2] 前記水硬性セメント、前記アルミナセメント及び前記無水石膏の合計100質量部に対して、前記アルミナセメント及び前記無水石膏の合計が10〜40質量部、前記混練水の合計が40〜60質量部、前記セメント混和用再乳化形粉末樹脂が1〜6質量部で含まれる、上記[1]に記載の管内張りの裏込め材。
[3] 前記セメント混和用再乳化形粉末樹脂が、(メタアクリル酸エステル系重合体である、上記[1]又は[2]に記載の管内張りの裏込め材。
[4] 下記(1)に示す方法で確認される水中不分離性を有し、且つ、下記(2)に示す方法で測定される、硬化後のコンクリート面に対する付着力が1.0N/mm2以上である、上記[1]〜[3]の何れか一項に記載の管内張りの裏込め材。
[(1)水中不分離性の確認方法
水を満たした内径50mm、内部高さ100mmの円筒状の型枠に、混練調整した裏込め材を流し込み、硬化させて得られた硬化体を温度20±2℃の水中で養生した材齢28日における圧縮強度A、及び、水を入れていない内径50mm、内部高さ100mmの円筒状の型枠に、混練調整した裏込め材を流し込み、硬化させて得られた硬化体を温度20±2℃の水中で養生した材齢28日における圧縮強度Bを測定し、前記圧縮強度Aが前記圧縮強度Bの80%以上であった場合に、その裏込め材が水中不分離性を有すると評価する。但し、前記圧縮強度A及び前記圧縮強度Bは、公益社団法人土木学会において規定されるJSCE−G 505「円柱試験体を用いたモルタルまたはセメントペースト圧縮強度試験方法」に準拠した方法で測定される。
[(2)付着力の測定方法
前記裏込め材から得られる硬化体を、温度20±2℃、相対湿度90%以上で28日間とする点以外は、JIS A1171:2000「ポリマーセメントモルタル試験方法」に準拠した方法で測定される。
[5] 前記更生管は、長尺の帯板が螺旋状に巻回されてなる螺旋更生管であり、前記既設管と前記螺旋更生管との間に注入されて硬化することで、前記既設管に前記螺旋更生管を固定する、上記[1]〜[4]の何れか一項に記載の管内張りの裏込め材。
[6] 前記更生管は、リング状とされた複数の帯板が連結されてなる連結更生管であり、前記既設管と前記連結更生管との間に注入されて硬化することで、前記既設管に前記連結更生管を固定する、上記[1]〜[4]の何れか一項に記載の管内張りの裏込め材。

発明の効果

0012

本発明の管内張りの裏込め材によれば、硬化材液にJIS A6203:2015で規定されるセメント混和用再乳化形粉末樹脂からなるポリマーが含まれることで、優れた水中不分離性が得られるので、例えば、下水や上水が存在する条件の既設管内における施工性が向上する。また、硬化材に上記のポリマーが含まれることで、裏込め材の付着力が高められるので、既設管に対して更生管を強固に固定することが可能になる。
従って、既設管の内面側に更生管を設置する管内張り工法において、既設管と更生管との接合に本発明の裏込め材を適用することで、例えば、下水道配管や上水道配管等の既設管の更生を目的とした用途において非常に有用である。

0013

以下、本発明の管内張りの裏込め材(以下、単に裏込め材と略称する場合がある)について、その実施形態を挙げて詳述する。

0014

<裏込め材の成分>
本発明の裏込め材の成分について以下に説明する。
本発明の裏込め材は、セメント系組成物からなり、既設管と、該既設管の内面側に配置された更生管との間に注入され、硬化することで、既設管に更生管を固定するためのものである。そして、本発明の裏込め材は、少なくとも、水硬性セメント及び混練水を含む主材液と、アルミナセメント、無水石膏、JIS A6203:2015に規定されるセメント混和用再乳化形粉末樹脂及び混練水を含む硬化材液とが配合されてなる成分を有する。

0015

本発明の裏込め材を構成するセメント系組成物は、上記のように、主材液と硬化材液とからなる。
以下、各成分とその物性について詳しく説明する。

0016

[主材液]
本発明の裏込め材に配合される主材液は、少なくとも、水硬性セメント(アルミナセメントを除く)及び混練水を含んでなる。即ち、主材液は、水硬性セメントを水で混練したものである。

0017

(水硬性セメント)
主材液に用いることのできる水硬性セメントとしては、例えば、普通・早強・超早強・中庸熱・白色等の各種ポルトランドセメント類、高炉セメントシリカセメントフライアッシュセメント等の混合セメント類等を挙げることができる。また、これらのセメントは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

0018

主材液中における水硬性セメントの含有量は、特に限定されないが、主材液750Lあたりで水硬性セメントが750質量部以上であることが好ましく、800〜1100質量部であることがより好ましい。主材液750Lあたりの水硬性セメントが750質量部未満だと、硬化後の裏込め材の最終到達強度が低くなるおそれがある。
一方、硬化後の裏込め材の強度を高めるために、主材液750Lあたりで1100質量部を超えて水硬性セメントを配合すると、粘度が増大し、ポンプ負荷がかかるとともに混合性も低下するため、この場合には、水硬性セメントが750〜1100質量部となるように主材液を調製したうえで、例えば、{主材液:硬化材液=2:1〜4:1}となるように比例配合することができる。

0019

[硬化材液]
本発明の裏込め材に配合される硬化材液は、少なくとも、アルミナセメント、無水石膏、JIS A6203:2015に規定されるセメント混和用再乳化形粉末樹脂及び混練水を含んでなる。即ち、硬化材液は、主材液に含まれる水硬性セメントに対しての硬化材を水で混練したものである。

0020

硬化材液の配合による裏込め材の硬化時間としては、施工時の待ち時間や、硬化途中で更生管の浮き上がり等が生じるのを抑制すること等を考慮し、通常、20℃において5〜15分程度の短い時間に設定される。また、裏込め材の既設管と更生管との隙間への注入を、全断面注入ではなく、鉛直方向で下側と上側とに分けてステップ注入で行う場合には、特に下側への注入ステップにおいて、本発明の裏込め材を好適に用いることができる。

0021

(アルミナセメント)
本発明において硬化材液に用いられるアルミナセメントとは、石灰質原料カルシウム分)とアルミナ質原料アルミナ分)とを混合し、この混合物焼成するか、あるいは、該混合物を溶融〜硬化させた後に粉砕することで得られるセメント鉱物全般を意味する。

0022

このようなアルミナセメントの一例としては、例えば、主要鉱物組成ガラス質(非晶質)のC12A7となるように、上記の石灰質原料とアルミナ質原料との混合物を溶融した後に急冷し、この硬化物を粉砕したもの、これにさらに石膏を添加して混合させたもの等が挙げられる。ここで、石膏は、上記混合物の硬化物を粉砕しながら添加してもよいし、硬化物の粉砕が完了してから添加してもよい。また、添加する石膏の結晶形態としては、II型であってもよいし、他の形態であってもよい。

0023

また、アルミナセメントの他の例としては、主要鉱物組成がCAとなるように、上記の石灰質原料とアルミナ質原料との混合物を焼成するか、あるいは、混合物を溶融した後に急冷し、この硬化物を粉砕することで得られるものが挙げられる。また、この例のアルミナセメントは、焼成又は溶融条件や、原料に含まれる不純物の影響により、CAに加えて、例えば、上記したような、CA2、C12A7、C2AS、C4AF等の鉱物を副成分として含むことがある。

0024

さらに、アルミナセメントの具体例としては、例えば、JIS R2511:1995「耐火物用アルミナセメント」に規定されるアルミナセメント1〜5種、若しくはこれに相当する品質を有するアルミナセメントが挙げられる。
これらの内、アルミナセメント3種又は4種、若しくはこれに相当する品質を有するものを用いることがより好ましい。

0025

このようなアルミナセメントしては、例えば、CA、CA2等のカルシウムアルミネートを主成分とし、C4AF等のカルシウムアルミノフェライト、C2AS等のカルシウムアルミノシリケート、等の化合物で構成されるセメントが挙げられる。
なお、上記の各化学式の例示において、「A」はAl2O3を表し、「C」はCaO、「F」はFe2O3、「S」はSiO2を表す。

0026

(無水石膏)
本発明において硬化材液に用いられる無水石膏は、例えば、不溶性のII型無水石膏である。
硬化材液中におけるアルミナセメントと無水石膏との含有量比は、特に限定されないが、例えば、アルミナセメント1質量部に対し、無水石膏0.5質量部〜1.5質量部の範囲とすることができる。アルミナセメント1質量部に対する無水石膏の配合比が0.5質量部未満であるか、あるいは1.5質量部を超えると、主材液と混合して硬化させた硬化体の強度が低くなるおそれがある。

0027

ここで、硬化材液中においてアルミナセメントと併用される石膏として、II型無水石膏以外の他の形態の石膏、例えば、α半水石膏、β半水石膏、二水石膏、又はIII型無水石膏等を用いた場合、何れにおいても硬化体における目的の強度が得られないおそれがある。一方、硬化材液に用いる無水石膏中に、II型無水石膏以外の他の形態の石膏が不純物レベルの含有量で混入することは許容される。

0028

なお、硬化材液を調製する際に用いるアルミナセメント及び無水石膏の包装形態については特に限定されず、例えば、アルミナセメントとII型無水石膏とを別々の包装袋現場搬入し、各々所定量を硬化材液の調製に用いる方法が挙げられる。その他、例えば、予め、アルミナセメントとII型無水石膏とを所定量比で混合し、プレミックスの包装袋で現場に搬入して用いる方法等も挙げることができる。これらの方法のうち、現場における作業効率や煩雑性等を考慮すると、後者の方法が好ましい。

0029

(セメント混和用再乳化形粉末樹脂)
本発明の裏込め材は、硬化材液に、JIS A6203:2015で規定されるセメント混和用再乳化形粉末樹脂からなるポリマーを含むものである。

0030

本発明の裏込め材は、硬化材液に、上記のようなセメント混和用再乳化形粉末樹脂からなるポリマーが含まれることにより、詳細を後述する確認方法で評価される水中不分離性が得られるものとなる。このような水中不分離性が得られる詳細なメカニズムは不明であるが、主材液と硬化材液が混合された際、主材液に配合される水硬性セメント中の成分及び/またはその水和物とポリマーとの反応で粘性発現し、その結果、裏込め材に、水中不分離性を確保するに適度な粘性が付与されるためであると推測される。
本発明の裏込め材によれば、水中不分離性が確保されることにより、例えば、設置から年数が経った下水道配管や上水道配管等の内部に更生管を設置するにあたり、下水や上水が存在する条件の既設管内における施工性が向上する。さらに、硬化材液にセメント混和用再乳化形粉末樹脂が含まれることで、裏込め材の付着力がより高められるので、既設管に対して更生管をさらに強固に固定することが可能になる。

0031

上記のセメント混和用再乳化形粉末樹脂としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を用いることが、水中不分離性が確実に得られ、さらに、付着力も高められる効果が顕著に得られる観点からより好ましい。

0032

[その他の添加剤
本発明の裏込め材においては、上記の各成分に加え、必要に応じて、各種物性の改善等を目的として、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、以下に説明するような成分を添加することができる。
その他の添加剤としては、例えば、界面活性剤減水剤凝結硬化調節剤遅延剤)、消泡剤等の他、炭酸カルシウム等が挙げられる。

0033

(界面活性剤・減水剤)
本発明の裏込め材は、界面活性剤や減水剤等を含有していてもよい。具体的には、例えば、通常コンクリート用減水剤として市販されているもの、リグニンスルホン酸塩ポリアルキルアリスルホン酸塩ポリオキシカルボン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルメラミンホルマリン縮合物スルホン酸塩、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、又は高縮合トリアジンスルホン酸塩等が挙げられる。
上記の界面活性剤や減水剤等を含有した場合には、主材液や硬化材液の流動性が向上する効果が得られる。

0034

(凝結・硬化調節剤(遅延剤))
本発明の裏込め材には、凝結・硬化調節剤(遅延剤)を含有していてもよい。具体的には、例えば、オキシカルボン酸グルコン酸グルコヘプトン酸、クエン酸酒石酸)とその塩、ケト酸(2ケトカルボン酸)とその塩、アミノカルボン酸グルタミン酸)とその塩、糖類、糖アルコール類高分子有機酸リグニンスルホン酸フミン酸タンニン酸)とその塩、水溶性アクリル酸(ポリアクリル酸)とその塩、ケイフッ化物ホウ酸類、又はリン酸塩等が挙げられる。
上記の遅延剤を適正範囲で含有することにより、裏込め材の硬化時間を最適な範囲に調整することが可能になる。

0035

(消泡剤)
本発明の裏込め材には、消泡剤を含有してもよい。具体的には、例えば、高級アルコール系、アルキルフェノール系、ジエチレングリコール系、ジブチルフタレート系、非水溶性アルコール系、トリブチルホスフェート系、ポリグリコール系、シリコーン系、又は酸化エチレン酸化プロピレン共重合物系等の消泡剤が挙げられる。
上記の消泡剤を含有した場合には、裏込め材の硬化体の物性が安定し、また、作業性も良好となる。

0036

[主材液と硬化材液との混合比]
本発明の裏込め材は、主材液と硬化材液とを混合して使用される。
本発明における主材液と硬化材液との混合比は、特に限定されないが、硬化時間や、硬化後の初期強度及び最終到達強度等を案しながら設定することが好ましい。例えば、上述したように、硬化後の裏込め材の強度を高めながら、粘度の増大を抑制する場合には、主材液中における水硬性セメントの含有量比を適正化したうえで、主材液と硬化材液との混合比が適正範囲となるように比例配合することで目的を達成することができる。

0037

ここで、本発明においては、主材液と硬化材液とを配合した際に、水硬性セメント(主材液)、アルミナセメント(硬化材液)及び無水石膏(硬化材液)の合計100質量部に対して、アルミナセメント及び無水石膏の合計が10〜40質量部、混練水(主材液及び硬化材液)の合計が40〜60質量部、セメント混和用再乳化形粉末樹脂が1〜6質量部となるように調製することがより好ましい。各成分の配合比が上記範囲に含まれるように主材液及び後述の硬化材液を調製し、配合することにより、水中不分離性が確実に得られ、また、付着力も高められる効果がより顕著に得られる。さらに、各成分の配合比が上記範囲であることで、硬化時間を適正に調整でき、且つ、硬化後の裏込め材の初期強度及び最終到達強度も十分に得られる。

0038

アルミナセメント及び無水石膏の合計配合比は、多いほど硬化時間が短くなる傾向がある。また、アルミナセメント及び無水石膏の合計配合比を、水硬性セメント、アルミナセメント及び無水石膏の合計100質量部に対して、10〜40質量部とすると、硬化後の裏込め材の初期強度及び最終到達強度が高くなる傾向がある。

0039

また、混練水(主材液及び硬化材液)の合計配合比は、多いほど主材液と硬化材液との混合液(裏込め材)の流動性が高くなる傾向があり、既設管と更生管との隙間への充填がし易くなる。また、混練水の合計配合比が少ないほど、硬化後の裏込め材の初期強度及び最終到達強度が高くなる傾向がある。

0040

さらに、セメント混和用再乳化形粉末樹脂の配合比は、多いほど水中不分離性が向上し、既設管の内部に水が存在する環境下での施工性が良好になる傾向がある。また、付着力も向上し、既設管と更生管との接合力が高まる傾向がある。一方、セメント混和用再乳化形粉末樹脂の配合比は、少ないほどコスト等の点で経済的である。

0041

<裏込め材の水中不分離性及び付着力>
本発明の管内張りの裏込め材は、上記成分範囲に調製・配合することで、下記(1)に示す方法で確認される水中不分離性を有し、且つ、下記(2)に示す方法で測定される、硬化後のコンクリート面に対する付着力が1.0N/mm2以上である物性を有するように構成できる。

0042

(1)水中不分離性の確認方法
水を満たした内径50mm、内部高さ100mmの円筒状の型枠に、混練調整した裏込め材を流し込み、硬化させて得られた硬化体を温度20±2℃の水中で養生した材齢28日における圧縮強度A、及び、水を入れていない内径50mm、内部高さ100mmの円筒状の型枠に、混練調整した裏込め材を流し込み、硬化させて得られた硬化体を温度20±2℃の水中で養生した材齢28日における圧縮強度Bを測定する。そして、上記の圧縮強度Aが圧縮強度Bの80%以上であった場合に、その裏込め材が水中不分離性を有する、と評価する。但し、上記の圧縮強度A及び圧縮強度Bは、公益社団法人土木学会において規定されるJSCE−G 505「円柱試験体を用いたモルタルまたはセメントペーストの圧縮強度試験方法」に準拠した方法で測定される値である。

0043

(2)付着力の測定方法
裏込め材から得られる硬化体の養生条件を、温度20±2℃、相対湿度90%以上で28日間とする点以外は、JIS A1171:2000「ポリマーセメントモルタルの試験方法」に準拠した方法で測定する。

0044

本発明の裏込め材は、上述した成分とされることで、上記条件で確認・測定される水中不分離性及び高い付着力の各物性を有する。これにより、例えば、既設管の内部に水が存在する環境下において更生管を設置する際の施工性が向上するとともに、既設管に対して更生管をより強固に固定できる。

0045

<裏込め材を用いた施工方法
本発明の管内張りの裏込め材を用いて、既設管の内面側に更生管を設置する管内張り工法において、既設管の内面に更生管を固定する際は、例えば、以下のような手順とすることができる。

0046

まず、施工現場において、裏込め材を注入する直前のタイミングで、主材液と硬化材液とを適正比率で配合する。そして、混合後の裏込め材を、既設管と更生管との隙間に、配管端部から挿入した注入用ホース及びポンプによって順次注入する。
あるいは、主材液及び硬化材液を、例えば、単位時間当たりの送液容量を可変にできるポンプを用いて、それぞれをY字管合流させ、攪拌装置や注入用ホースの経路内に設けられた混合室管内混合器管路混合器)等に圧送しながら、混合後の裏込め材を既設管と更生管との隙間に注入する方法も採用できる。

0047

この際、例えば、配管径が小さめで且つ施工箇所も配管長さ方向で短めである場合は、既設管と更生管との隙間に全断面注入で裏込め材を一気に充填することができる。
一方、配管径が大きめである場合は、大量の裏込め材を一気に注入すると、裏込め材の圧力によって更生管に変形や破損が生じるおそれがあるので、全断面注入は行わず、例えば、2段階のステップ注入を行う。この場合、まず、鉛直方向で下側への裏込め材の注入を行った後、これを硬化させる(1ステップ目)。この際の硬化時間は、施工時間や、硬化途中における更生管の浮き上がり防止等を考慮して、20℃下で概ね5〜15分程度となるように、主材液及び硬化材液の組成、並びにこれらの配合比を最適化する。そして、裏込め材が硬化した後、この上に未硬化の裏込め材を注入することで、既設管と更生管との隙間における鉛直方向の最上部まで裏込め材を充填する(2ステップ目)。また、配管径が非常に大きい場合には、さらに、3段階や4段階以上のステップ注入方法を採用することもできる。
また、施工箇所が配管長さ方向で長めである場合にも、大量の裏込め材による圧力で更生管が破損するのを防止するため、例えば、配管長さ方向で奥側から手前にかけて、順次、裏込め材を注入・充填する方法を採用できる。

0048

そして、既設管と更生管との隙間に充填された裏込め材が硬化することにより、既設管の内面側に更生管が接合・固定される。

0049

<裏込め材の用途>
本発明の管内張りの裏込め材は、上述のような既設管に更生管を固定する用途において、例えば、一般的に用いられる、樹脂等からなる長尺の帯板が螺旋状に巻回されてなる螺旋更生管の他、リング状とされた複数の帯板が連結されてなる連結更生管の固定にも適用することができる。

0050

また、本発明の裏込め材は、ダンビー工法によって構築される断面略円形状(環状)とされた螺旋更生管等に加え、例えば、クリアフロー工法によって構築され、帯板状のライニング材の背面側、即ち既設管側にストレートフレーム及びハンチフレームが配置され、ライニング材と各フレームとが連結材で一体化され、断面略矩形状とされた更生管等の固定にも適用することが可能である。

0051

さらに、本発明の裏込め材は水中不分離性及び付着力に優れたものなので、上記以外の用途であっても、長年にわたって水が存在する環境下で使用された既設管の更生に適用することができ、上記同様の効果が得られるものである。

0052

作用効果
以上説明したように、本発明の管内張りの裏込め材によれば、硬化材液にJIS A6203:2015に規定されるセメント混和用再乳化形粉末樹脂からなるポリマーが含まれることで、優れた水中不分離性が得られるので、例えば、下水や上水が存在する条件の既設管内における施工性が向上する。また、硬化材に上記のポリマーが含まれることで、裏込め材の付着力が高められるので、既設管に対して更生管を強固に固定することが可能になる。
従って、既設管の内面側に更生管を設置する管内張り工法において、既設管と更生管との接合に本発明の裏込め材を適用することで、例えば、下水道配管や上水道配管等の既設管の更生を目的とした用途において非常に有用である。

0053

以下、実施例を挙げて、本発明の管内張りの裏込め材をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。

0054

<実施例1>
実施例1においては、まず、以下に示す成分を含有する裏込め材を調製し、この裏込め材に対して、後述する方法で評価試験を実施した。

0055

[裏込め材の調製]
(主材液の調製)
水硬性セメントとしては、下記(a)に示す市販の普通ポルトランドセメントと下記(b)に示す市販の高炉水砕スラグを下記(a)及び(b)に示す量で混合して得た高炉セメントを準備した。
また、界面活性剤として、下記(c)に示す市販品を準備した。
そして、これら(a)と(b)の混合物及び(c)を以下に示す量で混練槽投入し、これに水(混練水)424Lを加えた状態で混練することにより、練り上がり容量が750Lとなるように調製した。この際、まず、水と界面活性剤とを1分間混練した後、さらに、水硬性セメントを加えた状態で3分間混練した。

0056

(a)水硬性セメント:普通ポルトランドセメント(市販品);800kg
(b)水硬性セメント:高炉水砕スラグ(市販品);192kg
(c)界面活性剤:β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物からなる市販のコンクリート用減水剤;8kg

0057

(硬化材液の調製)
アルミナセメントとして、下記(d)に示す市販のアルミナセメントを準備した(JIS R2511に準拠)。
また、無水石膏として、下記(e)に示す市販のII型無水石膏を準備した。
また、凝結・硬化調節剤(遅延剤)として、下記(f)に示す市販の遅延剤を準備した。
また、JIS A6203:2015に規定されるセメント混和用再乳化形粉末樹脂(ポリマー)として、下記(g)に示す市販のセメント混和用ポリマーを準備した。
また、消泡剤として、下記(h)に示す市販品を準備した。
さらに、界面活性剤として、下記(i)に示す市販品を準備した。
そして、これら(d)〜(i)を以下に示す量で混練槽に投入し、これに水(混練水)143Lを加えた状態で混練することにより、練り上がり容量が250Lとなるように調製した。この際の混練時間は3分間とした。

0058

(d)アルミナセメント:JIS R2511:1995「耐火物用アルミナセメント」に規定されるアルミナセメント、3種(市販品);99.23kg
(e)無水石膏(II型):ブレーン値を5000cm2/gに調整した無水石膏(II型)(市販品);135.38kg
(f)遅延剤:無水クエン酸;1.20kg
(g)セメント混和用ポリマー:JIS A6203:2015で規定される、(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなるセメント混和用再乳化形粉末樹脂(市販品);25.00kg
(h)消泡剤:高級アルコール系消泡剤(市販品);1.84kg
(i)界面活性剤:β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物からなる市販のコンクリート用減水剤;1.05kg

0059

[裏込め材の評価]
上記のようにして得られた主材液及び硬化材液を用いて、以下に示す項目の評価試験を行った。

0060

(水中不分離性の有無の確認)
まず、上記手順で得られた主材液と硬化材液とを、その割合が{主材液:硬化材液=3:1}となるように配合した。この配合比による混合物(混練調製した未硬化の裏込め材)の設定硬化時間は液温20℃で概ね8分である。
次いで、直ちに、上記混合物を、水を満たした内径50mm、内部高さ100mmの円筒状の型枠に流し込み、硬化させた。
次いで、得られた裏込め材の硬化体を、温度20±2℃の水中で養生し、材齢が28日となった時点における圧縮強度(一軸圧縮強度)Aを、公益社団法人土木学会において規定されるJSCE−G 505「円柱試験体を用いたモルタルまたはセメントペーストの圧縮強度試験方法」に準拠した方法で測定した。

0061

これと同時に、上記混合物を、直ちに、水を入れていない内径50mm、内部高さ100mmの円筒状の型枠に流し込み、硬化させた。
次いで、得られた裏込め材の硬化体を、温度20±2℃の水中で養生し、材齢が28日となった時点における圧縮強度(一軸圧縮強度)Bを、上記同様の方法で測定した。

0062

そして、圧縮強度Aと圧縮強度Bとの関係が、次式{((圧縮強度A/圧縮強度B)×100)≧80%}を満足する場合に、その裏込め材が水中不分離性を有すると評価し、それ以外の場合を、水中不分離性を有していないと評価した。

0063

(付着力の測定)
上記の水中不分離性の有無の確認の場合と同様、まず、上記手順で得られた主材液と硬化材液とを、その割合が{主材液:硬化材液=3:1}となるように配合した。この配合比による混合物の設定硬化時間は液温20℃で概ね8分である。
そして、裏込め材から得られる硬化体の養生条件を、温度20±2℃、相対湿度90%以上で28日間とする点以外は、JIS A1171:2000「ポリマーセメントモルタルの試験方法」に準拠した方法で、付着力を測定した。

0064

<実施例2>
実施例2においては、成分及び含有量を以下に示すように変更した点を除き、実施例1と同様の手順で裏込め材を調製した。
そして、得られた裏込め材について、実施例1と同様に評価試験を実施した。

0065

(主材液の調製)
下記(a)〜(c)に示す各成分を混練槽に投入し、これに水432Lを加えた状態で混練することにより、練り上がり容量が750Lとなるように調製した。この際、まず、水と炭酸カルシウム及び界面活性剤とを1分間混練した後、さらに、水硬性セメントを加えた状態で3分間混練した。
実施例2で調製した主材液は、水硬性セメントとしては普通ポルトランドセメントを用い、さらに、炭酸カルシウムを含有している点、また、水硬性セメント及び水の添加量が変更されている点で、実施例1の主材液とは異なる。

0066

(a)水硬性セメント:普通ポルトランドセメント(市販品);800kg
(b)炭酸カルシウム:ブレーン値を2500cm2/gに調整した炭酸カルシウム(市販品);152kg
(c)界面活性剤:β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物からなる市販のコンクリート用減水剤;8kg

0067

(硬化材液の調製)
下記(d)〜(j)に示す各成分を混練槽に投入し、これに水148Lを加えた状態で混練することにより、練り上がり容量が250Lとなるように調製した。この際の混練時間は3分間とした。
実施例2で調製した硬化材液は、下記(h)に示す炭酸カルシウムをさらに含有し、また、下記(d)〜(g)、(i)、(j)に各々示すアルミナセメント、無水石膏、遅延剤、セメント混和用再乳化形粉末樹脂、消泡剤、界面活性剤及び水の添加量が変更されている点で、実施例1の硬化材液とは異なる。

0068

(d)アルミナセメント:JIS R2511:1995「耐火物用アルミナセメント」に規定されるアルミナセメント、3種(市販品);85.25kg
(e)無水石膏(II型):ブレーン値を5000cm2/gに調整した無水石膏(II型)(市販品);98.00kg
(f)遅延剤:無水クエン酸;0.85kg
(g)セメント混和用ポリマー:JIS A6203:2015で規定される、(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなるセメント混和用再乳化形粉末樹脂(市販品);23.00kg
(h)炭酸カルシウム:ブレーン値を2500cm2/gに調整した炭酸カルシウム(市販品);41.75kg
(i)消泡剤:高級アルコール系消泡剤(市販品);1.25kg
(j)界面活性剤:β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物からなる市販のコンクリート用減水剤;0.75kg

0069

<比較例>
比較例においては、硬化材液にセメント混和用ポリマー(セメント混和用再乳化形粉末樹脂)を添加しなかった点を除き、その他の成分量等や手順については実施例1と同様にして裏込め材を調製し、同様の評価試験を実施した。

0070

<評価結果>
上記評価試験の結果、硬化材液にセメント混和用ポリマーを含有する実施例1の裏込め材は、上記条件で測定した圧縮強度Aが52N/mm2、圧縮強度Bが57N/mm2で、圧縮強度Aが圧縮強度Bに対して80%以上であり、水中不分離性を有していることが確認できた。
また、実施例1の裏込め材は、上記条件で測定した付着力が1.6N/mm2であり、既設管に更生管を固定する管内張りの裏込め材として、十分な付着力を有することが確認できた。

0071

また、実施例2の裏込め材についても、実施例1と同様、硬化材液にセメント混和用ポリマーを含有することから、上記条件で測定した圧縮強度Aが40N/mm2、圧縮強度Bが43N/mm2で、圧縮強度Aが圧縮強度Bに対して80%以上であり、水中不分離性を有していることが確認できた。
また、実施例2の裏込め材は、上記条件で測定した付着力が1.5N/mm2であり、実施例1と同様、既設管に更生管を固定する管内張りの裏込め材として、十分な付着力を有することが確認できた。

0072

一方、硬化材液にセメント混和用ポリマーが含まれていない比較例の裏込め材は、上記条件で測定した圧縮強度Aが59N/mm2、圧縮強度Bが40N/mm2で、圧縮強度Aが圧縮強度Bに対して80%未満であり、水中不分離性を有していないことが確認できた。
また、比較例の裏込め材は、上記条件で測定した付着力が0.6N/mm2であり、実施例1,2に比べて大幅に劣っており、既設管に更生管を固定する管内張りの裏込め材として、十分な付着力が得られなかった。

実施例

0073

以上説明した実施例の結果からも明らかなように、本発明で規定する組成を有する裏込め材は、上記条件で確認される水中不分離性を有しているとともに、高い付着力を有している。従って、本発明の裏込め材によれば、例えば、既設管の内部に水が存在する環境下において更生管を設置する際の施工性が向上し、且つ、既設管に対して更生管をより強固に固定できることが明らかである。

0074

本発明の管内張りの裏込め材は、優れた水中不分離性、及び、高い付着力を有するものなので、既設管の内面側に更生管を設置する管内張り工法において、既設管と更生管との接合に用いる裏込め材として非常に好適である。従って、本発明の裏込め材は、例えば、下水道配管や上水道配管等の既設管の更生を目的とした用途において非常に有用であり、産業上の利用可能性が極めて高いものである。

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