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技術 トラス橋の落橋防止装置

出願人 国立大学法人名古屋工業大学日本車輌製造株式会社
発明者 後藤芳顯山田忠信王慶雲
出願日 2016年4月12日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-079473
公開日 2017年10月19日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2017-190582
状態 特許登録済
技術分野 橋または陸橋
主要キーワード 上曲面 限界変位量 延設部材 懸垂曲線 近似解析 傾斜直線 構造工学 追加工事
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年10月19日)のものです。
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図面 (20)

課題

トラス橋上部構造中央付近桁部材が損傷した場合でも、トラス橋の落橋を防止できる落橋防止装置を提供する。

解決手段

柱状の桁部材の両端を他の桁部材と三角形に繋いだ構造を繰り返して構成された上部構造1と、上部構造の両端を支える一対の下部構造3を有するトラス橋の落橋防止装置において、上部構造の幅員方向の両サイドに各々少なくとも1本のケーブル5を有すること、複数の桁部材の側面に、ケーブルを摺動可能に挿通するガイド部材21B、21C、21D、21Eを有すること、上部構造は両端に端部鉛直部材11A、11Fを有し、端部鉛直部材は上端付近定着部材8A、8Bを有すること、ケーブルはガイド部材に挿通され、両端は定着部材の各々に固定されていること、ケーブルは、活荷重の移動により生じる通常振動時には、弛んだ状態にあり、桁部材が破損して上部構造が変形した時に、緊張して上部構造の崩落を防止する。

概要

背景

トラス橋等の橋梁上部構造下部構造とが、支承により連結されている。上部構造は、床版トラスを有する。下部構造は、橋台及び橋脚を有する。
例えば、大地震等により、下部構造及び上部構造は損傷せずに、支承の一部が損傷した場合に、上部構造が地上に落下するのを防止するための装置が、落橋防止装置である。
この場合の落橋防止装置は上部構造が致命的な損傷に至っていない場合を想定しており,このような場合に限り有効に機能する。

落橋防止装置としては、2タイプが公知である。すなわち、特許文献1には、図19に示すように、チェーン式の落橋防止装置が記載されている。上部構造202の端部下面に設けられた桁側固定具206と、下部構造203の側面に設けられた支持側固定具207とを、鋼製チェーン205によって連結し,上部構造202の移動を制限することにより落橋を防止する。
ここで、チェーン205は、チェーン部材251、接続部材252とゴム製の緩衝部材253が連結され構成されている。

また、特許文献2には、ケーブル式の落橋防止装置が記載されている。すなわち、特許文献2には、図18に示すように、上部構造102の端部下面に設けられた桁側固定具106と、下部構造103の側面に設けられた支持側固定具107とを、ケーブル151の両端に接続部材152を設けたケーブル部材105によって連結し,上部構造102の移動を制限することにより落橋を防止する。
ここで、ケーブル部材105は、橋梁が健全な状態では作用荷重地震活荷重等)に対して張力がかからないように、緩めた状態で取り付けられている。

一方、トラス橋の斜材破断した場合については、非特許文献1がある。この論文では、次の点が記載されている。
1)引張り斜材が脆性的に破断する場合、破断時にひずみが突如解放される。この結果、まず、ひずみは縦波として高速で部材両端方向に伝播破断部材格点に一次衝撃を与える。
次に、部材破断による構造系全体の剛性低下により新たなつり合い状態への動的な移行により二次衝撃が発生する。
2)一次衝撃による応力の動的増幅は、二次衝撃による応力の増幅に較べて小さい。また,一次衝撃と二次衝撃の発生には時間差があり両者の連成の影響は無視できる。すなわち、リダンダンシー解析では衝撃係数として二次衝撃によるもののみを考慮すればよい。
3)一次衝撃、二次衝撃を同時に精度良く解析するには一次衝撃でのひずみ伝播における縦波の波長が非常に短く,伝播速度が速いので、細密要素分割時間増分となり、時刻歴応答解析では膨大な計算時間を要する。
ここでは衝撃係数への一次衝撃の影響が無視できることから、二次衝撃のみを精度良く解析できる近似解析法を提示した。この手法により大幅に計算時間を短縮できる。

概要

トラス橋の上部構造の中央付近桁部材が損傷した場合でも、トラス橋の落橋を防止できる落橋防止装置を提供する。柱状の桁部材の両端を他の桁部材と三角形に繋いだ構造を繰り返して構成された上部構造1と、上部構造の両端を支える一対の下部構造3を有するトラス橋の落橋防止装置において、上部構造の幅員方向の両サイドに各々少なくとも1本のケーブル5を有すること、複数の桁部材の側面に、ケーブルを摺動可能に挿通するガイド部材21B、21C、21D、21Eを有すること、上部構造は両端に端部鉛直部材11A、11Fを有し、端部鉛直部材は上端付近定着部材8A、8Bを有すること、ケーブルはガイド部材に挿通され、両端は定着部材の各々に固定されていること、ケーブルは、活荷重の移動により生じる通常振動時には、弛んだ状態にあり、桁部材が破損して上部構造が変形した時に、緊張して上部構造の崩落を防止する。

目的

本発明は、トラス橋の上部構造の中央付近の桁部材が損傷した場合でも、トラス橋の落橋を防止できる落橋防止装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

柱状の桁部材の両端を他の桁部材と三角形に繋いだ構造でありそれを繰り返して構成された上部構造と、前記上部構造の両端を支える一対の下部構造を有するトラス橋落橋防止装置において、前記上部構造の幅員方向の両サイドに各々少なくとも1本のケーブルを有すること、複数の前記桁部材の側面に、前記ケーブルを摺動可能に挿通するガイド部材を有すること、前記上部構造は両端に端部鉛直部材を有し、前記端部鉛直部材は上端付近定着部材を有すること、前記ケーブルは前記ガイド部材に挿通され、前記ケーブルの両端は前記定着部材の各々に固定されていること、前記ケーブルは、活荷重の移動により生じる通常振動時には、弛んだ状態にあり、前記桁部材が破損して前記上部構造が変形した時に、緊張して前記上部構造の崩落を防止すること、を特徴とするトラス橋の落橋防止装置。

請求項2

請求項1に記載する落橋防止装置において、前記ガイド部材は、前記ケーブルが下弦材格点に沿わせた位置に配置されていること、を特徴とするトラス橋の落橋防止装置。

請求項3

請求項1に記載する落橋防止装置において、前記ガイド部材は、前記ケーブルが懸垂曲線を描くように保持する位置に配置されていること、を特徴とするトラス橋の落橋防止装置。

請求項4

請求項2または請求項3に記載する落橋防止装置において、前記上部構造の変化量が、前記通常振動時の限界変位量を越える場合に、前記ケーブルが緊張すること、を特徴とするトラス橋の落橋防止装置。

請求項5

請求項1乃至請求項4に記載するトラス橋の落橋防止装置において、前記トラス橋が下路トラス橋であり、前記端部鉛直部材が補強部材として追加されたものであること、を特徴とするトラス橋の落橋防止装置。

技術分野

0001

本発明は、柱状の桁部材の両端を他の桁部材と三角形に繋いだ構造でありそれを繰り返して構成された上部構造と、上部構造の両端を支える一対の下部構造を有するトラス橋落橋防止装置に関するものである。

背景技術

0002

トラス橋等の橋梁は上部構造と下部構造とが、支承により連結されている。上部構造は、床版トラスを有する。下部構造は、橋台及び橋脚を有する。
例えば、大地震等により、下部構造及び上部構造は損傷せずに、支承の一部が損傷した場合に、上部構造が地上に落下するのを防止するための装置が、落橋防止装置である。
この場合の落橋防止装置は上部構造が致命的な損傷に至っていない場合を想定しており,このような場合に限り有効に機能する。

0003

落橋防止装置としては、2タイプが公知である。すなわち、特許文献1には、図19に示すように、チェーン式の落橋防止装置が記載されている。上部構造202の端部下面に設けられた桁側固定具206と、下部構造203の側面に設けられた支持側固定具207とを、鋼製チェーン205によって連結し,上部構造202の移動を制限することにより落橋を防止する。
ここで、チェーン205は、チェーン部材251、接続部材252とゴム製の緩衝部材253が連結され構成されている。

0004

また、特許文献2には、ケーブル式の落橋防止装置が記載されている。すなわち、特許文献2には、図18に示すように、上部構造102の端部下面に設けられた桁側固定具106と、下部構造103の側面に設けられた支持側固定具107とを、ケーブル151の両端に接続部材152を設けたケーブル部材105によって連結し,上部構造102の移動を制限することにより落橋を防止する。
ここで、ケーブル部材105は、橋梁が健全な状態では作用荷重地震活荷重等)に対して張力がかからないように、緩めた状態で取り付けられている。

0005

一方、トラス橋の斜材破断した場合については、非特許文献1がある。この論文では、次の点が記載されている。
1)引張り斜材が脆性的に破断する場合、破断時にひずみが突如解放される。この結果、まず、ひずみは縦波として高速で部材両端方向に伝播破断部材格点に一次衝撃を与える。
次に、部材破断による構造系全体の剛性低下により新たなつり合い状態への動的な移行により二次衝撃が発生する。
2)一次衝撃による応力の動的増幅は、二次衝撃による応力の増幅に較べて小さい。また,一次衝撃と二次衝撃の発生には時間差があり両者の連成の影響は無視できる。すなわち、リダンダンシー解析では衝撃係数として二次衝撃によるもののみを考慮すればよい。
3)一次衝撃、二次衝撃を同時に精度良く解析するには一次衝撃でのひずみ伝播における縦波の波長が非常に短く,伝播速度が速いので、細密要素分割時間増分となり、時刻歴応答解析では膨大な計算時間を要する。
ここでは衝撃係数への一次衝撃の影響が無視できることから、二次衝撃のみを精度良く解析できる近似解析法を提示した。この手法により大幅に計算時間を短縮できる。

0006

特開2012-177255号公報
特開2012-012867号公報

先行技術

0007

土木学会構造工学論文集Vol.56A(2010年3月)792頁〜805頁 後芳顯、川西直樹、本多一成 「リダンダンシー解析における鋼トラス橋の引張り斜材破断時の衝撃係数」

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、従来の落橋防止装置には、次のような問題があった。
(1)トラス橋は、桁をトラス構造とした橋である。トラス構造は細長い桁部材の両端を他の桁部材と三角形に繋いだ構造でありそれを繰り返して桁を構成している。トラス橋は、比較的大きな支間長に適用される。例えば、大地震により、トラスを構成する桁部材の一部であるトラス橋の中央付近の桁部材が損傷した場合に、特許文献1、2の技術では対応不能であった。
すなわち、特許文献1、2の技術は、上部構造の端部と下部構造とをケーブルやチェーンで連結する構造であるため、上部構造の端部を支えることはできるが、上部構造の中央付近を支えることは不可能であり、トラス橋の中央付近の桁部材が損傷した場合には、落橋する事態を生じていた。
(2)トラス橋の中央付近の桁部材が損傷した場合に、トラス橋の中央付近でトラス橋の崩壊を防止しようとすると、トラス橋がどのように変位するかについてシミュレーションを行う必要がある。しかし、非特許文献1では、トラス橋が受ける衝撃の算出を行っているが、桁部材が損傷した場合に、トラス橋がどのように変位するかについては、記載されていない。

0009

本発明は、トラス橋の上部構造の中央付近の桁部材が損傷した場合でも、トラス橋の落橋を防止できる落橋防止装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

上記目的を達成するため、本発明のトラス橋の落橋防止装置は、次のような構成を有している。
(1)柱状の桁部材の両端を他の桁部材と三角形に繋いだ構造でありそれを繰り返して構成された上部構造と、上部構造の両端を支える一対の下部構造を有するトラス橋の落橋防止装置において、上部構造の幅員方向の両サイドに各々少なくとも1本のケーブルを有すること、複数の桁部材の側面に、ケーブルを摺動可能に挿通するガイド部材を有すること、上部構造は両端に端部鉛直部材を有し、端部鉛直部材は上端付近定着部材を有すること、ケーブルはガイド部材に挿通され、ケーブルの両端は定着部材の各々に固定されていること、ケーブルは、活荷重の移動により生じる通常振動時には、弛んだ状態にあり、桁部材が破損して上部構造が変形した時に、緊張して上部構造の崩落を防止すること、を特徴とする。

0011

(2)(1)に記載する落橋防止装置において、ガイド部材はケーブルが、下弦材格点に沿わせた位置に配置されていること、を特徴とする。
(3)(1)に記載する落橋防止装置において、ガイド部材は前記ケーブルが懸垂曲線を描くように保持する位置に配置されていること、を特徴とする。
(4)(2)または(3)に記載する落橋防止装置において、上部構造の変化量が、通常振動時の限界変位量を越える場合に、ケーブルが緊張すること、を特徴とする。
(5)(1)乃至(4)に記載するトラス橋の落橋防止装置において、トラス橋が下路トラス橋であり、端部鉛直部材が補強部材として追加されたものであること、を特徴とする。

発明の効果

0012

本発明のトラス橋の落橋防止装置は、次のような作用、効果を有している。
(1)柱状の桁部材の両端を他の桁部材と三角形に繋いだ構造でありそれを繰り返して構成された上部構造と、上部構造の両端を支える一対の下部構造を有するトラス橋の落橋防止装置において、上部構造の幅員方向の両サイドに各々少なくとも1本のケーブルを有すること、複数の桁部材の側面に、ケーブルを摺動可能に挿通するガイド部材を有すること、上部構造は両端に端部鉛直部材を有し、端部鉛直部材は上端付近に定着部材を有すること、ケーブルはガイド部材に挿通され、ケーブルの両端は定着部材の各々に固定されていること、ケーブルは、活荷重の移動により生じる通常振動時には、弛んだ状態にあり、桁部材が破損して上部構造が変形した時に、緊張して上部構造の崩落を防止すること、を特徴とする。
本発明者らは、桁部材破断により生じる運動エネルギ、破断系のエネルギ吸収能をいずれも静的な複合非線形解析によるPushover解析で近似評価している。このPushover解析はいわゆるModel Pushover解析であり、桁部材破断後の構造系の質点位置に作用する外力としては重力を加えて破断系が新たなつり合い状態へ動的に移行することで生じる慣性力を破断系の低次固有振動モードに基づき近似的に評価している。
この解析によると、損傷後のトラス橋の挙動を精度良く評価でき、落橋防止装置としてケーブルの作動タイミングコントロールできる。

0013

死荷重(トラス橋の自重による荷重)と活荷重(自動車荷重等)が作用するトラス構造は元々一対の下部構造で支持されている。
本発明のトラス橋の落橋防止装置で、損傷したトラス橋を支持する場合、損傷した桁部材周辺のトラス構造が順次下方に向かって変位するに連れて、トラスが負担できなくなった死荷重と活荷重をケーブルが負担するので、ケーブルの張力が増大する。
そのため、下方への変位ができるだけ小さい時点で、ケーブルによりトラス構造自体に作用している荷重を受けてやれば、それ以上変位が増大することなく落橋が防止できる。
すなわち、桁部材が損傷した後には、上部構造の荷重の大半を下部構造が支持している状態を維持しながら、トラス構造をケーブルにより支持するのである。

0014

本出願人らは、始めケーブルの両端を下部構造に固定することを考えていた。しかし、ケーブルの両端を下部構造に固定する場合、下部構造の固定する部位に対して構造を補強する必要がある。既設のトラス橋の下部構造を補強することはコストが高く実際的でない。
また、複数の橋脚を有する長い橋(連続トラス橋)の場合には、下部構造である橋脚にケーブルを固定するのは困難である。一般に、両端は橋台に、中間部は橋脚に支持されているからである。
(1)の発明によれば、上部構造である端部鉛直部材近傍にケーブルの両端を固定しているため、既設のトラス橋に対して、下部構造に補強工事を行うことなく上部構造のみを補強すれば実現できるため、低コストで落橋防止装置を実施することができる。
また、端部鉛直部材の上端付近に付設された定着部材は、現場での施工に配慮して、端部鉛直部材と上弦材高力ボルトで取り付けられる。

0015

(2)(1)に記載する落橋防止装置において、ガイド部材は、ケーブルが下弦材格点に沿わせた位置に配置されていること、を特徴とする。
下弦材は強度部材であり、十分強い強度を有しており、下弦材の下方には他の部材が存在しないため、ケーブルを保持するガイド部材を設けるのに都合が良い。

0016

(3)(1)に記載する落橋防止装置において、ガイド部材は前記ケーブルが懸垂曲線を描くように保持する位置に配置されていること、を特徴とする。
る。
本発明者らは、トラスの桁部材破断によるトラス構造の変位をシミュレーションし、ケーブルをどのように配置したら良いかを検討した。両端が固定されたのみで、ケーブルがガイド部材に拘束されていない場合には、ケーブル全体にテンションがかかるのは、ケーブルが懸垂曲線を描くように位置した後であることを発見した。ケーブルが懸垂曲線を描く状態になるまでは、ケーブルには、部分的なテンションがかかり、ケーブルは部分的に伸ばされた状態となり、トラス構造の変位が増大する。ケーブルが懸垂曲線を描いた後は、ケーブルによりトラスが支えられる。
したがって、通常状態において、ガイド部材をケーブルが懸垂曲線を描くように保持する位置に配置しておけば、桁部材が損傷した時に、速やかにケーブルが懸垂曲線を描いた状態になるため、ケーブルが部分的に伸びることが少なく、トラス構造を支えることができ、トラス構造の変位を最小限に抑えることができる。これにより、ケーブルの部分的な伸びを最小とすることができ、ケーブルとして小径のものを使用することができる。

0017

(4)(2)または(3)に記載する落橋防止装置において、上部構造の変化量が、通常振動時の限界変位量を越える場合に、ケーブルが緊張すること、を特徴とする。
トラス橋は、例えば、自動車鉄道車両等の活荷重の移動により、上下に振動する。そのような通常振動時の限界変位量は、国交省により規定されている。通常振動時の限界変位量は、通常振動時には越えることのない値であるため、ケーブルの弛み量を限界変位量に設定しておけば、活荷重による振動によりケーブルが緊張することが無いため、ケーブルが疲労等により影響を受けることがない。一方、桁部材の損傷直後には、下部構造がほとんどの死荷重と活荷重を支持している状態であるため、トラス構造の変位が大きくなる前にケーブルが緊張するようにケーブルの弛みを設定すると、ケーブルにかかる力を最小とすることができ、ケーブルも小径のものを使用することができる。

0018

(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載する落橋防止装置において、トラス橋が下路トラス橋であり、端部鉛直部材が補強部材として追加されたものであること、を特徴とするので、端部に端部鉛直部材がある上路トラス橋のみならず、端部に端部鉛直部材のない下路トラス橋に対しても、補強部材を追加することにより、本発明を適用することができる。

図面の簡単な説明

0019

本発明の第1の実施形態における上路式トラス橋の側面図である。
本発明の第2の実施形態における上路式トラス橋の側面図である。
図1図2のC部拡大図である。
図1図2のA部拡大図である。
図2のB部拡大図である。
図1のトラス橋をモデル化した図である。
図6における各桁部材の諸元材料定数を示す図である。
トラス橋に掛かる死荷重と活荷重の大きさを示す部分図である。
橋軸直角方向における活荷重の分布を示す図である。
トラス橋の橋軸方向での活荷重の分布を示す図である。
ケーブル5を用いていない従来のトラス橋において、下弦材15の一部50が破損した場合のシミュレーション結果を示す図である。
ケーブル5を用いた場合の解析モデルを示す図である。
ケーブル5のサグ量を示す図である。
ケーブル5を用いたトラス橋において、下弦材15の一部50が破損した場合のシミュレーション結果を示す図である。
ガイド部21aB、21aC、21aD、21aEを鉛直部材11B、11C、11D、11Eの下端に設けた場合のシミュレーション結果を示す図である。
ガイド部31aB、31aC、31aD、31aEにより、ケーブル5が懸垂曲線を描くようにされている場合のシミュレーション結果を予測した図である。
下路トラス橋に本発明を適用した場合の構造を示す図である。
従来のケーブル式の落橋防止装置を示す図である。
従来のチェーン式の落橋防止装置を示す図である。

実施例

0020

本発明の1実施の形態である落橋防止装置について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は上路式トラス橋の側面図であり、本発明の実施形態の構造を模式的に示した図である。
上路式トラス橋とは、自動車、歩行者、または鉄道車両が通行する床版1が、トラス構造2の上側に配置される形式のものである。床版1とトラス構造2により上部構造が形成されている。上部構造1、2は左右一対の下部構造3の段差部上面に両者の連結部である支承4を介して配置されている。
トラス構造2は、6本の柱状の鉛直部材11A、11B、11C、11D、11E、11Fを有する。鉛直部材11A〜11Fの上端は、鉛直部材11Aの上端から鉛直部材11Fの上端までに位置する上弦材14に固定されている。また、鉛直部材11A〜11Fの下端は、鉛直部材11Aの下端から鉛直部材11Fの下端までに位置する下弦材15に固定されている。鉛直部材11Aと鉛直部材11Bの間の空間には、傾斜する方向の異なる斜め桁部材12A、13Aが斜めに固定されている。順次、斜め桁部材12B〜12E、13B〜13Eが固定されている。
これらにより、トラス構造2が構成されている。

0021

次に、本実施例の特徴部分である落橋防止装置について説明する。本実施例では、上部構造1、2(トラス構造2)の幅員方向の両サイドに一対のケーブル5を張り巡らせている。端部鉛直部材11Aに一端が固定され、上弦材14に他端が固定された定着部材8Aの中間位置に、ケーブル5の一端が固定されている。端部鉛直部材11Fに一端が固定され、上弦材14に他端が固定された定着部材8Bの中間位置に、ケーブル5の他端が固定されている。
図1のC部拡大図を図3に示す。図3の(a)は、取付構造を示す断面図であり、(b)は、(a)のC矢視図である。図1のA部拡大図を図4に示す。図4の(b)は、拡大部分断面図であり、(a)は、(b)のDD断面図である。また、図2のB部拡大図を図5に示す。図5の(b)は、拡大部分断面図であり、(a)は、(b)のEE断面図である。

0022

次に、定着部材8(8A、8B)について図3に基づいて説明する。図3(a)は、定着部材8Aの拡大図である。
端部鉛直部材11Aは、H型鋼材であり、補強のための外枠材111が固設されている。具体的には、外枠材111の両端に立設された内側向きブラケット113と端部鉛直部材11Aの平行板ボルトナットにより締結されている。
定着部材8Aの一端81が接続される部位には、平行板の全面に対向してブラケット81aが延設されており、平行板と全面に渡ってボルトとナットで締結されている。また、定着部材8Aの他端82には、上弦材14に重ね合されたブラケット82aが延設されており、上弦材14と全面に渡ってボルトとナットで締結されている。
定着部材8の中間位置には、図3(b)に示すように、両側に一対の延設部83が付設されている。延設部83には、貫通孔が形成されており、貫通孔にケーブル5が挿通され、ケーブル5の端部にケーブル留め具51が固定されている。

0023

図4に示すように、鉛直部材11D下に設けられた下弦材15の直下の位置には、ガイド部材21Dが溶接等により固設されている。ガイド部材21Dは、下弦材15の両側面と底面とを囲む形状の取付ブラケット21cDと、下面に溝形状の一対のガイド部21aDが形成されたガイドブラケット21dDと、取付ブラケット21cDから上向きに延設され鉛直部材11Dに溶接される溶接ブラケット21bDを有している。ガイド部21aDの内周面は、ケーブル5に倣った曲面として形成されている。
鉛直部材11Cには、ガイド部材21Dと同じ高さ位置にガイド部材21Cが固設されている。同様に、鉛直部材11Bには、ガイド部材21Dと同じ高さ位置にガイド部材21Bが固設されている。同様に、鉛直部材11Eには、ガイド部材21Dと同じ高さ位置にガイド部材21Eが固設されている。ガイド部材21C、21B、21Eの形状は、ガイド部材21Dと同じである。

0024

両端を定着部材8に固定されたケーブル5は、ガイド部21aB、21aC、21aD、21aEに挿入されている。ケーブル5は、弛みを持った状態であり、ガイド部21aB、21aC、21aD、21aEの内周上曲面に接触しつつ弛んだ状態にある。
この弛み量は、上部構造1、2(トラス構造2)の変位が、通常振動時の限界変位量を越えない範囲では、ケーブル5が緊張することのない弛み量に設定されている。国交省の基準では、通常振動時の限界変位量は、L/600とされている。ここで、Lは、橋の長さである。本実施例では、L=60mであり、通常振動時の限界変位量は、60m/600=0.1mである。
弛み量は、具体的には、サグ量により管理される。この点に関しては、後で説明する。

0025

次に、下弦材15の一部が損傷した場合のトラスの変位解析について説明する。
始めに、初期条件を説明する。図6に、トラス橋をモデル化したものを示す。(b)は側面図であり、(a)は平面図であり、(c)は、下方向から見た図である。
図7に、トラス橋モデルの部材諸元と材料定数を示す。部材番号は、図6に記載された部材の番号に対応している。ここで、σyは、各部材の軸方向の降伏応力である。
図8に、トラス橋に掛かる死荷重と活荷重の大きさを示す。具体的には、トラス橋モデルの格点に作用する質量と等価の荷重を黒丸の大きさで示す。
図9に橋軸直角方向における活荷重の分布を示し、図10にトラス橋の橋軸方向での活荷重の分布を示す。

0026

本発明者らは、桁部材破断により生じる運動エネルギ、破断系のエネルギ吸収能をいずれも静的な複合非線形解析によるPushover解析で近似評価している。このPushover解析はいわゆるModel Pushover解析であり、桁部材破断後の構造系の質点位置に作用する外力としては重力を加えて破断系が新たなつり合い状態へ動的に移行することで生じる慣性力を破断系の低次固有振動モードに基づき近似的に評価している。
この解析結果によれば、損傷した桁部材周辺のトラス構造が順次下方に向かって変位していくことがわかる。トラス構造は、元々一対の下部構造に全死荷重(トラス橋の自重による荷重)と活荷重(自動車荷重等)が支持されている。
損傷した桁部材周辺のトラス構造が順次下方に向かって変位するに連れて、上部構造で荷重を支持できなくなり、落橋に至る。

0027

図11に、ケーブル5を用いていない従来のトラス橋において、下弦材15の一部が破損した場合のシミュレーション結果を示す。(a)は0.5秒後の状態を示し、(b)は1.0秒後の状態を示し、(c)は1.5秒後の状態を示し、(d)は2.0秒後の状態を示す。
下弦材15の両側で各々の一部50が破損した場合を想定している。1秒後には、トラス橋の湾曲が進み、1.5秒後には、大きく湾曲し、2.0秒後には崩壊状態となることがわかる。

0028

図12に、ケーブル5を用いた場合のシミュレーションの解析モデルを示す。(a)が本発明の落橋防止装置であり、端部鉛直部材11A、11Fは、既設の鉛直部材の場合には、補強されたものである。また、最初から設計する場合には、十分な強度を有するものである。(b)は、本発明の落橋防止装置で端部鉛直部材11A、11Fを従来通りの強度で設計した場合である。(c)は、ケーブル5の両端を下部構造に固定した場合である。
図12において、端部鉛直部材11Aの定着部材8Aとガイド部材21Bとの間に位置するケーブルを5Aで表し、ガイド部材21Bとガイド部材21Cの間に位置するケーブルを5Bで表し、ガイド部材21Cとガイド部材21Dの間に位置するケーブルを5Cで表し、ガイド部材21Dとガイド部材21Eの間に位置するケーブルを5Dで表し、ガイド部材21Eと端部鉛直部材11Fの定着部材8Bの間に位置するケーブルを5Eで表す。

0029

図13にケーブル5のサグ量を示す。ここで、サグ量とは、2点間懸架したケーブルの、同2点を結ぶ直線からの鉛直方向のたわみ量である。
ケース1は、図12の(a)の場合に、ケーブルA〜Eのサグ量を0.4以下と、小さく取った場合である。ケース2は、図12の(b)の場合に、ケーブルA〜Eのサグ量を0.4以下と、小さく取った場合である。ケース3は、図12の(a)の場合に、ケーブルA〜Eのサグ量を0.45以上と、大きく取った場合である。ケース4は、図12の(c)の場合に、ケーブルA〜Eのサグ量を0.4以下と、小さく取った場合である。ケース5は、図12の(c)の場合に、ケーブルA〜Eのサグ量を0.45以上と、大きく取った場合である。
図14に、ケーブル5を用いたトラス橋において、下弦材15の一部が破損した場合のシミュレーション結果を示す。(a)は、ケース1の場合であり、1.1秒後の状態を示す。(b)は、ケース2の場合であり、1.5秒後の状態を示す。
ケース1では、図11の(b)と比較して、トラス構造2の変形が少ないことがわかる。ケース2では、端部鉛直部材が変形して耐力を失いトラス構造2が大きく変形することがわかる。

0030

つぎに、ケーブルにかかる張力について説明する。
図15(a)及び(b)に、ガイド部21aB、21aC、21aD、21aEを鉛直部材11B、11C、11D、11Eの下端に設けた場合のシミュレーション結果を示す。横軸時間軸(秒)であり、縦軸は、ケーブル5にかかる張力である。(a)は、ケース1の場合であり、(b)は、ケース3の場合である。ケース2の場合には、端部鉛直部材が破損し、ケーブル5が荷重を受けないため、図に示していない。
また、左図は橋梁の右側に配設したケーブルRの結果を示し、右図は橋梁の左側に配設したケーブルLの結果を示す。

0031

図15(a)、(b)のケースでは、ケーブル5A及びケーブル5Eに部分的に大きな張力が作用していることがわかる。しかし、図15からわかるように、ケーブル5に掛かる張力は、いずれの場合でも、ケーブル降伏張力を下回っているため、ケーブル5が破損することはない。
(a)に示すケース1の場合と、(b)に示すケース3の場合を比較すると、ケース1のケーブル5A、5Eに掛かる最大張力は、ケース1の場合の方が明らかに小さいことがわかる。
この理由は、ケース1及びケース3においては、損傷した桁部材周辺のトラス構造2が順次下方向に向かって変位するにつれて、下部構造3で支持する荷重が減少し、ケーブル5が負担する荷重が増大する。
そのときケース1においては、ケース3と比較してサグ量が0.4以下と小さいため、下方への変位ができるだけ小さい時点でケーブル5によりトラス構造2を支持するので、ケース3のケーブルの張力より小さくなる。その場合、下部構造3が支持している荷重はケース3より大きくなる。また、破断後の変位を小さくすることは、破断後の運動エネルギが小さくなり衝撃的な力(動的な増幅力)も小さくなる。

0032

図15の(c)は、ケース4の場合であり、(d)は、ケース5の場合である。図15(c)、(d)のケースでは、ケーブル5A及びケーブル5Eに部分的に大きな張力が作用していることがわかる。しかし、図15からわかるように、ケーブル5に掛かる張力は、いずれの場合でも、ケーブル降伏張力を下回っているため、ケーブル5が破損することはない。
(c)に示すケース4の場合と、(d)に示すケース5の場合を比較すると、ケース4のケーブル5A、5Eに掛かる最大張力は、ケース4の場合の方が明らかに小さいことがわかる。

0033

ケース1とケース4とを比較すると、ケーブル5の両端を下部構造3に固定した場合のケース4と、ケーブル5の両端を端部鉛直部材11A、11Fに取り付けられた定着部材8A、8Bに固定した場合のケース1とでは、ケーブル5に掛かる張力はほとんど近似している。
同様に、ケース3とケース5とを比較すると、ケーブル5の両端を下部構造3に固定した場合のケース5と、ケーブル5の両端を端部鉛直部材11A、11Fに取り付けられた定着部材8A、8Bに固定した場合のケース3とでは、ケーブル5に掛かる張力はほとんど同じであることがわかる。
したがって、例えば、既設のトラス橋に落橋防止装置を設置しようとするときに、ケース5では、下部構造3に追加工事を行う必要があるため、工事が複雑となりコストアップする問題があるが、ケース1では、下部構造3に対する追加工事を必要としないため、工事を単純にしてコストを低減できる。
また、複数の橋脚を有する長い橋の場合には、ケース4、5のように、下部構造3である橋脚にケーブル5を固定するのは困難であるが、ケース1、3では、各々のトラス橋の端部鉛直部材を利用すればよいので工事が容易である。

0034

以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、
(1)柱状の桁部材の両端を他の桁部材と三角形に繋いだ構造でありそれを繰り返して構成された上部構造1と、上部構造1の両端を支える一対の下部構造3を有するトラス橋の落橋防止装置において、上部構造1の幅員方向の両サイドに各々少なくとも1本のケーブル5を有すること、複数の桁部材の側面に、ケーブル5を摺動可能に挿通するガイド部材21を有すること、上部構造1は両端に端部鉛直部材11A、11Fを有し、端部鉛直部材11A、11Fは上端付近に定着部材8A、8Bを有すること、ケーブル5はガイド部材21に挿通され、ケーブル5の両端は定着部材8A、8Bの各々に固定されていること、ケーブル5は、活荷重の移動により生じる通常振動時には、弛んだ状態にあり、桁部材が破損して上部構造1が変形した時に、緊張して上部構造1の崩落を防止すること、を特徴とする。
本発明者らは、桁部材破断により生じる運動エネルギ、破断系のエネルギ吸収能をいずれも静的な複合非線形解析によるPushover解析で近似評価している。このPushover解析はいわゆるModel Pushover解析であり、桁部材破断後の構造系の質点位置に作用する外力としては重力を加えて破断系が新たなつり合い状態へ動的に移行することで生じる慣性力を破断系の低次固有振動モードに基づき近似的に評価している。
この解析によると、損傷後のトラス橋の挙動を精度良く評価でき、落橋防止装置としてケーブルの作動タイミングをコントロールできる。

0035

死荷重(トラス橋の自重による荷重)と活荷重(自動車荷重等)が作用するトラス構造2は元々一対の下部構造3で支持されている。
本発明のトラス橋の落橋防止装置で、損傷したトラス橋を支持する場合、損傷した桁部材周辺のトラス構造が順次下方に向かって変位するに連れて、トラスが負担できなくなった死荷重と活荷重をケーブルが負担するので、ケーブルの張力が増大する。
そのため、下方への変位ができるだけ小さい時点で、ケーブル5によりトラス構造自体に作用している荷重を受けてやれば、それ以上変位が増大することなく落橋が防止できる。
すなわち、桁部材が損傷した後には、上部構造1の荷重の大半を下部構造3が支持している状態を維持しながら、トラス構造2をケーブル5により支持するのである。

0036

本出願人らは、始めケーブル5の両端を下部構造に固定することを考えていた。しかし、ケーブル5の両端を下部構造3に固定する場合、下部構造3の固定する部位に対して構造を補強する必要がある。既設のトラス橋の下部構造3を補強することはコストが高く実際的でない。
また、複数の橋脚を有する長い橋の場合には、下部構造3である橋脚にケーブル5を固定するのは困難である。
本実施例によれば、上部構造1である端部鉛直部材11A、11F近傍にケーブル5の両端を固定しているため、既設のトラス橋に対して、下部構造3に補強工事を行うことなく上部構造1のみを交換すれば実現できるため、低コストで落橋防止装置を実施することができる。

0037

ガイド部材21は、ケーブル5が下弦材格点に沿わせた位置に配置されていること、を特徴とする。
下弦材15は十分強い強度を有しており、下弦材15の下方には他の部材が存在しないため、ケーブル5を保持するガイド部材21を設けるのに都合が良い。
また、上部構造1の変化量が、通常振動時の限界変位量を越える場合に、ケーブル5が緊張すること、を特徴とする。
トラス橋は、例えば、自動車や鉄道車両等の活荷重の移動により、上下に振動する。そのような通常振動時の限界変位量は、国交省により規定されている。通常振動時の限界変位量は、通常振動時には越えることのない値であるため、ケーブル5の弛み量を限界変位量に設定しておけば、活荷重による振動によりケーブル5が緊張することが無いため、ケーブル5が疲労等により影響を受けることがない。一方、桁部材の損傷時には、下部構造3がほとんどの死荷重と活荷重を支持している状態で、トラス構造2の変位の増大を止めることができるため、ケーブル5にかかる力を最小とすることができ、ケーブル5も小径のものを使用することができる。

0038

次に、本発明の第2の実施形態について説明する。全体の内容は、第1の実施形態と同じなので、異なる点についてのみ詳細に説明し、同じ点については説明を割愛する。
図2に示すように、ケーブル5が、懸垂曲線を描くように保持する位置にガイド部材31B、31C、31D、31Eが配置されている。
ガイド部材31C、31Dの構造は、図4に示すものと同じである。ガイド部材31Bの構造を図5に示す。図5は、図2のB部拡大図である。
図5に示すように、鉛直部材11Bには、ガイド部材31Bが固設されている。ガイド部材31Bは、鉛直部材11Bの全周を取り囲んで一体的に固定された取付ブラケット31cBと、下面に溝形状の一対のガイド部31aBが形成されたガイドブラケット31dBを有している。

0039

ガイド部31aBの内周面は、図2において、右肩下がりに傾斜するように懸垂曲線に倣った曲面として形成されている。本実施例では、曲面に形成しているが、近似する傾斜直線で形成しても良い。曲面または近似する傾斜直線で形成しているのは、ケーブルと内周面全体とが全体的に接触することにより、ケーブル5の一部分に応力集中するのを防止するためである。
鉛直部材11Eには、ガイド部材31Bと同じ高さ位置にガイド部材31Eが固設されている。ガイド部材31Eに固定されたガイド部31aEの内周面は、ガイド部31aBとは反対方向である右肩上がりに傾斜するように曲面として形成されている。
両端を鋼製ブラケット81a、82aに固定されたケーブル5は、ガイド部31aB、31aC、31aD、31aEに挿入されている。ケーブル5は、弛みを持った状態であり、ガイド部31aB、31aC、31aD、31aEの内周上曲面からわずかに離れて弛んだ状態にある。

0040

次に、図2に示すように、ガイド部31aB、31aC、31aD、31aEにより、ケーブル5が懸垂曲線を描くようにされている場合のシミュレーション結果を予測した図を図16に示す。横軸が時間軸(秒)であり、縦軸は、ケーブル5にかかる張力である。
図2のケースでは、ケーブル5が始めから略懸垂曲線を描いた状態にあるため、ケーブル5に部分的にテンションがかかることがなく、ケーブル5の一部が伸ばされることなく、ケーブル5の全ての部分であるケーブル5A、5B、5C、5D、5Eにかかる張力がほぼ等しく、ケーブル降伏張力未満であるため、ケーブル5が破損する恐れが無い。

0041

以上説明したように、第2実施の形態のトラス橋の落橋防止装置は、ガイド部材31はケーブル5が懸垂曲線を描くように保持する位置に配置されていること、を特徴とする。
本発明者らは、トラスの桁部材破断によるトラス構造の変位をシミュレーションし、ケーブルをどのように配置したら良いかを検討した。両端が固定されたのみで、ケーブル5がガイド部材31に拘束されていない場合には、ケーブル5全体にテンションがかかるのは、ケーブル5が懸垂曲線を描くように位置した後であることを発見した。ケーブル5が懸垂曲線を描く状態になるまでは、ケーブル5には、部分的なテンションがかかり、ケーブル5は部分的に伸ばされた状態となり、トラス構造2の変位が増大する。ケーブル5が懸垂曲線を描いた後は、ケーブル5によりトラス構造2が支えられる。
したがって、通常状態において、ガイド部材31をケーブル5が懸垂曲線を描くように保持する位置に配置しておけば、桁部材が損傷した時に、速やかにケーブル5が懸垂曲線を描いた状態になるため、ケーブル5が部分的に伸びることが少なく、トラス構造2を支えることができ、トラス構造2の変位を最小限に抑えることができる。これにより、ケーブル5の部分的な伸びを最小とすることができ、ケーブル5として小径のものを使用することができる。

0042

次に、本発明の第3の実施形態について説明する。全体の内容は、第1の実施形態と同じなので、異なる点についてのみ詳細に説明し、同じ点については説明を割愛する。
図17に示すように、本実施形態は、トラス橋において、床版が下弦材15の位置に設置されている下路トラス橋である。この場合には、端部鉛直部材が存在しない。そのため、本発明を実施するには、両端部に端部鉛直部材41X、41Y、及び上弦材14を延長した上桁設材42X、42Yを補強部材として追加する必要がある。補強部材を追加すれば、あとは、第1の実施形態及び第2の実施の形態と同じである。なお、図17においては、図18、19に示した従来の落橋防止装置44A、44Bを併用している。

0043

以上に説明したように、第3実施の形態のトラス橋の落橋防止装置は、トラス橋が下路トラス橋であり、端部鉛直部材41X、41Yが補強部材として追加されたものであること、を特徴とするので、端部に端部鉛直部材がある上路トラス橋のみならず、端部に端部鉛直部材のない下路トラス橋に対しても、補強部材である端部鉛直部材41X、41Yを追加することにより、本発明を適用することができる。

0044

本発明のトラス橋の落橋防止装置は、上記実施例に限定されることなく色々な変形が可能である。
例えば、本実施例では、一対のケーブル5を用いているが、ケーブルの本数を3本以上としても良く、また例えば、下弦材がアーチ状の場合には、ケーブルを1本のみとしても良い。

0045

1床版
2トラス構造
3下部構造
4 支承
5ケーブル
8定着部材
11 鉛直部材
11A、11F 端部鉛直部材
12 斜め桁部材
13 斜め桁部材
21、31ガイド部材
21a、31aガイド部
21c、31c取付ブラケット
21d、31dガイドブラケット
41 端部鉛直部材(補強部材)
42上桁延設部材(補強部材)

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