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技術 金属イオンの抽出・回収方法及びこれに用いる装置

出願人 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 和久井喜人金久保光央牧野貴至
出願日 2016年4月15日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-082138
公開日 2017年10月19日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2017-190514
状態 特許登録済
技術分野 抽出、液体の置換 金属の製造または精製
主要キーワード 導電性コート 強酸性水溶液 マイクロメーターサイズ イオン液体相 水相溶液 金属イオン水溶液 電圧負荷 噴出圧力
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (14)

課題

有機相中金属イオンを含む液滴を細かく分散させてエマルジョン化させ、金属イオンを効率よく抽出することのできる抽出・回収方法及びこれに用いる装置の提供。

解決手段

抽出試薬を含む有機相2中に金属塩水溶液を加えて有機相2中に金属イオンを抽出する金属イオンの抽出・回収方法あって、界面を挟んで有機相2の下に水相3を与え、水相3中に電極板6を配置するとともに、有機相2中にノズル4を挿入し界面に向けて電極板6に引き付けられるように帯電させた金属塩水溶液を噴出させて液滴9を形成させる金属イオンの抽出・回収方法。界面を挟んで有機相2の下に水相3を与えた水槽1と、水相3中に配置された電極板6と、有機相2中のノズル4と、界面に向けて電極板6に引き付けられる様に帯電させた金属塩水溶液を噴出させて液滴9を形成させる送液手段と、を含む金属イオンの抽出装置10。

概要

背景

金属イオンの抽出・回収方法として、溶媒抽出法が知られている。かかる方法は、金属イオンの溶解した水相溶液抽出剤を溶解させた有機(油)相溶液とを接触させて、金属イオンを抽出剤との間で錯体などに変化させて有機相中へと抽出させる方法である。一般的には、液界面での反応を促進させるよう、装置を激しく振とうさせ、水相有機相との接触面積を増加させる。これによりエマルジョンが生成し、これを解乳化させるためには静置させるなど時間を要する工程が必要であった。

例えば特許文献1では、溶媒抽出法によりSc3+を抽出し回収する方法を開示している。すなわち、Sc3+と他の金属イオンとを含む水溶液に、有機溶媒とともにキレート剤を加えて、これを振とうすることで有機相にSc3+のキレート錯体を抽出し、遠心分離により有機相を分離している。振とうにより水相と有機相とがエマルジョンを形成して、両者の接触面積が増大することで錯体の形成が促進されることを述べている。なお、水相への回収については有機相に酸を加えるとしている。

特許文献2では有機溶媒ではなく疎水性イオン液体を使用する方法を開示している。始めから2相に分離している溶媒抽出法では抽出媒体と水相との接触界面が小さく抽出速度が著しく遅いとして、イオン液体を水溶液中で生成させる方法を採用している。すなわち、互いに会合してイオン液体を生成する陽イオン物質及び陰イオン物質のうち、まず陽イオン物質を、金属混合溶液と混合する。これに左記の陰イオン物質を加えて白濁させ、生成したイオン液体相へ金属イオンを抽出し、静置してイオン液体相を分離させるのである。つまり、白濁させたときに水溶液中で微細なイオン液体相を形成させて水相との接触面積を大きくしており、イオン液体への金属イオンの抽出率を向上させるのである。なお、水相への回収については、メンブランフィルターにてろ過してイオン液体を捕捉させ、これに硝酸水溶液を通過させて濾液に回収する方法を開示している。

概要

有機相中に金属イオンを含む液滴を細かく分散させてエマルジョン化させ、金属イオンを効率よく抽出することのできる抽出・回収方法及びこれに用いる装置の提供。抽出試薬を含む有機相2中に金属塩水溶液を加えて有機相2中に金属イオンを抽出する金属イオンの抽出・回収方法あって、界面を挟んで有機相2の下に水相3を与え、水相3中に電極板6を配置するとともに、有機相2中にノズル4を挿入し界面に向けて電極板6に引き付けられるように帯電させた金属塩水溶液を噴出させて液滴9を形成させる金属イオンの抽出・回収方法。界面を挟んで有機相2の下に水相3を与えた水槽1と、水相3中に配置された電極板6と、有機相2中のノズル4と、界面に向けて電極板6に引き付けられる様に帯電させた金属塩水溶液を噴出させて液滴9を形成させる送液手段と、を含む金属イオンの抽出装置10。

目的

本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、有機相中に金属イオンを含む液滴を細かく分散させてエマルジョン化させ、金属イオンを効率よく抽出することのできる抽出・回収方法及び装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

抽出試薬を含む有機相中金属塩水溶液を加えて該有機相中に金属イオンを抽出する金属イオンの抽出・回収方法であって、界面を挟んで前記有機相の下に水相を与え、前記水相中に電極板を配置するとともに、前記有機相中にノズルを挿入し前記界面に向けて前記電極板に引き付けられるように帯電させた金属塩水溶液を噴出させて液滴を形成させることを特徴とする金属イオンの抽出・回収方法。

請求項2

前記金属塩水溶液は複数の金属イオン種を含み、前記有機相中に生ずるエマルジョンの解乳を制御して、特定の金属イオン種だけを前記有機相中に抽出することを特徴とする請求項1記載の金属イオンの抽出・回収方法。

請求項3

前記ノズルの位置、方向、吐出口形状、流量、及び/又は噴出圧力を変化させて解乳を制御することを特徴とする請求項2記載の金属イオンの抽出・回収方法。

請求項4

抽出試薬を含む有機相中に金属塩水溶液を加えて該有機相中に金属イオンを抽出する金属イオンの抽出・回収に用いる装置であって、界面を挟んで前記有機相の下に水相を与えた水槽と、前記水相中に配置された電極板と、前記有機相中のノズルと、前記界面に向けて前記電極板に引き付けられるように帯電させた金属塩水溶液を噴出させて液滴を形成させる送液手段と、を含むことを特徴とする金属イオンの抽出・回収に用いる装置。

技術分野

0001

本発明は、金属イオンを液抽出して回収する抽出・回収方法及び装置に関し、特に、有機相中に金属イオンを含む液滴を細かく分散させてエマルジョン化させ、金属イオンを有機相中に効率よく抽出できる抽出・回収方法及び装置に関する。

背景技術

0002

金属イオンの抽出・回収方法として、溶媒抽出法が知られている。かかる方法は、金属イオンの溶解した水相溶液抽出剤を溶解させた有機(油)相溶液とを接触させて、金属イオンを抽出剤との間で錯体などに変化させて有機相中へと抽出させる方法である。一般的には、液界面での反応を促進させるよう、装置を激しく振とうさせ、水相有機相との接触面積を増加させる。これによりエマルジョンが生成し、これを解乳化させるためには静置させるなど時間を要する工程が必要であった。

0003

例えば特許文献1では、溶媒抽出法によりSc3+を抽出し回収する方法を開示している。すなわち、Sc3+と他の金属イオンとを含む水溶液に、有機溶媒とともにキレート剤を加えて、これを振とうすることで有機相にSc3+のキレート錯体を抽出し、遠心分離により有機相を分離している。振とうにより水相と有機相とがエマルジョンを形成して、両者の接触面積が増大することで錯体の形成が促進されることを述べている。なお、水相への回収については有機相に酸を加えるとしている。

0004

特許文献2では有機溶媒ではなく疎水性イオン液体を使用する方法を開示している。始めから2相に分離している溶媒抽出法では抽出媒体と水相との接触界面が小さく抽出速度が著しく遅いとして、イオン液体を水溶液中で生成させる方法を採用している。すなわち、互いに会合してイオン液体を生成する陽イオン物質及び陰イオン物質のうち、まず陽イオン物質を、金属混合溶液と混合する。これに左記の陰イオン物質を加えて白濁させ、生成したイオン液体相へ金属イオンを抽出し、静置してイオン液体相を分離させるのである。つまり、白濁させたときに水溶液中で微細なイオン液体相を形成させて水相との接触面積を大きくしており、イオン液体への金属イオンの抽出率を向上させるのである。なお、水相への回収については、メンブランフィルターにてろ過してイオン液体を捕捉させ、これに硝酸水溶液を通過させて濾液に回収する方法を開示している。

先行技術

0005

特開2013−57115号公報
特開2015−77583号公報

発明が解決しようとする課題

0006

上記したように、回収する目的の金属イオンを水相から有機相などの他の相に効率よく抽出するためには水相と他の相との接触面積を大きくするよう細かく分散させたエマルジョンを形成させる必要がある。

0007

本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、有機相中に金属イオンを含む液滴を細かく分散させてエマルジョン化させ、金属イオンを効率よく抽出することのできる抽出・回収方法及び装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明による金属イオンの抽出・回収方法は、抽出試薬を含む有機相中に金属塩水溶液を加えて該有機相中に金属イオンを抽出する金属イオンの抽出・回収方法であって、界面を挟んで前記有機相の下に水相を与え、前記水相中に電極板を配置するとともに、前記有機相中にノズルを挿入し前記界面に向けて前記電極板に引き付けられるように帯電させた金属塩水溶液を噴出させて液滴を形成させることを特徴とする。

0009

かかる発明によれば、有機相中に金属イオンを含む液滴を細かく分散させてエマルジョン化させて金属イオンを効率よく有機相中に抽出できる。

0010

上記した発明において、前記金属塩水溶液は複数の金属イオン種を含み、前記有機相中に生ずるエマルジョンの解乳を制御して、特定の金属イオン種だけを前記有機相中に抽出することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、より効率よく特定の金属イオン種を抽出できる。

0011

上記した発明において、前記ノズルの位置、方向、吐出口形状、流量、及び/又は噴出圧力を変化させて解乳を制御することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、エマルジョン化と解乳をより効率よく行い得て、金属イオンをより効率よく抽出できる。

0012

さらに本発明による金属イオンの抽出・回収に用いる装置は、抽出試薬を含む有機相中に金属塩水溶液を加えて該有機相中に金属イオンを抽出する金属イオンの抽出・回収に用いる装置であって、界面を挟んで前記有機相の下に水相を与えた水槽と、前記水相中に配置された電極板と、前記有機相中のノズルと、前記界面に向けて前記電極板に引き付けられるように帯電させた金属塩水溶液を噴出させて液滴を形成させる送液手段と、を含むことを特徴とする。

0013

かかる発明によれば、有機相中に金属イオンを含む液滴を細かく分散させてエマルジョン化させて金属イオンを効率よく有機相中に抽出できる。

図面の簡単な説明

0014

本発明による金属イオンの分離回収装置ブロック図である。
抽出の結果の例を示す図である。
試験1の結果を示す図である。
試験2の結果を示す図である。
試験3の結果を示す図である。
試験4の結果を示す図である。
試験5の結果を示す図である。
試験6の結果を示す図である。
試験7の結果を示す図である。
試験8の結果を示す図である。
試験9の結果を示す図である。
試験10の結果を示す図である。
試験11の結果を示す図である。

実施例

0015

本発明による1つの実施例における金属イオンの分離回収装置について図1を用いて説明する。

0016

図1に示すように、抽出装置10は、金属イオンの抽出・回収のうち、金属塩の水溶液から有機相2に金属イオンを抽出するために用いられる装置であり、水槽1と、その中に貯留された有機相2と、その下に配置される水相3と、有機相2中にその先端を配置されたノズル4と、水相3中にその主面を略水平にして配置された電極板6とを含む。ノズル4は送液ポンプ5に接続され、金属塩の水溶液を微細な液滴9として有機相2中に噴霧可能である。また、ノズル4及び電極板6は、互いに電圧負荷装置7を介して接続され、それぞれ正の及び負の高電圧印加される。なお、ノズル4と電極板6の電圧正負は逆にすることもできる。

0017

ノズル4は、噴霧する水溶液の液滴9をより微小にできることが好ましく、例えば、直径をマイクロメーターサイズ体積フェムトリットルベルの極微小な液滴に微細化できる吐出口形状を有することが好ましい。また、送液ポンプ5は、水溶液の流量や圧力を調節できることが好ましい。

0018

ノズル4から噴霧される水溶液は回収する対象である金属イオンの塩を含み、pH緩衝剤が添加されてpHを調整される。また、ノズル4に印加される電圧により正に帯電しながら噴霧される。金属イオンとしては、例えば、Al(III)、Fe(III)、Ga(III)、Ni(II)、Y(III)などである。水溶液のpHは、例えば1〜7の酸性領域とされ、抽出される金属イオンに合わせて設定される。

0019

有機相2の有機溶媒は金属イオンを抽出するための抽出試薬を含んでおり、一般的な溶媒抽出法の溶媒としての選択基準に加え、噴霧される水溶液の液滴9が細かくなるようその粘性なども選択基準とされ得る。抽出試薬は、噴霧された水溶液の液滴9との界面で金属イオン捕捉し、例えば、錯体を形成するなどして有機相2に金属イオンを抽出できるものである。例えば、酸性リン酸系抽出試薬などを用い得る。より具体的には、ビス(2−エチルヘキシル)リン酸(以降、D2EHPAと記す)を用いる。

0020

水相3は、金属イオンを有機相2に抽出された後の液滴9を収集するものであり、酸性水溶液等を用い得る。また、水相3中に配置される電極板6は、上記した通り略水平に配置され、その主面を有機相2及び水相3の界面に略平行にしている。

0021

電極板6及びノズル4に電圧を負荷する電圧負荷装置7は、互いの電位差を例えば数kV程度の高電圧を負荷できる装置である。

0022

次に、抽出装置10を用いて金属塩の水溶液から有機相2に金属イオンを抽出する方法について図1及び図2を用いて説明する。

0023

図1を参照すると、送液ポンプ5によりノズル4から有機相2に金属塩の水溶液を噴霧させた。水溶液は、Y(III)を濃度10000ppmで含み、pH3に調整されている。噴霧速度は20μL/minとした。有機相2は、ヘプタン50mlを有機溶媒として2MのD2EHPAを抽出試薬として含む。

0024

ここで、ノズル4には+2kV、電極板6には−1kVの電圧を印加した。また、水相3としてエチレンジアミン四酢酸(以降、EDTAと記す)を0.01Mで添加し、pH3とした水溶液50mLを用意した。

0025

図2には、噴霧の結果、水相3におけるYの濃度を示した。点線は、Yが有機相2に全く抽出されなかったと仮定した場合のYの濃度変化を示す。60分までは水相3にYはほとんど検出されなかった。すなわち、Yの99%以上は有機相2に抽出されたことが判る。

0026

ここで、有機相2中に噴霧された水溶液は極微細な液滴9を形成して有機相2に混合されるのでエマルジョンを形成する。一般に、エマルジョンは混合された液滴が微細であるほどその解乳に時間や手間がかかる。これに対し、抽出装置10によれば、液滴9は正に帯電しており、電極板6により引き込まれることで速やかに水相3に到達して収集され、噴霧による微細な液滴9が連続して有機相2中を通過し水相3に収集された。つまり、短時間で効率よく解乳された。

0027

以上のように、抽出装置10を用いて金属塩の水溶液を有機相2中に噴霧させることで、金属イオンを有機相2中に効率よく抽出することができた。なお、ノズル4の位置、方向、吐出口形状、流量、噴出圧力などを調整し、液滴をより小さくしつつ抽出される効率を向上させることが好ましい。また、有機相2と水相3との界面に対するノズルの位置、界面から電極板6までの距離、電圧、有機相2の粘性などを調整することで、有機相2への金属イオンの抽出を効率よく行いつつも解乳を速やかに進めるようにすることが好ましい。

0028

なお、有機相2から対象となる金属イオンを水相に回収する方法については公知の方法を用い得る。例えば有機相をpH0以下の強酸性水溶液と接触させること、さらに望ましくは振とうすることで効率的に金属イオン水溶液を得ることが可能である。

0029

抽出試験
以下、金属イオンの抽出についての条件を変化させた試験について図3乃至図13を用いてそれぞれ説明する。

0030

[試験1]
水溶液は、抽出する金属イオンをIn(III)として濃度100mg/Lで含み、pH3に調整された上で流速20μm/minにて噴霧された。有機相2は、有機溶媒としてヘプタン50mlに0.1MのD2EHPAを抽出試薬として含む。なお、水相3は0.01MのEDTAを含むpH3の水溶液50mlである。水相3については、他の試験においても同様であるので、以降の説明を省略する。

0031

図3(a)に示すように、ノズル4と電極板6との電位差ΔEを5kVとしたとき、水相3のInの濃度から算出される有機相2へのIn(III)の抽出率は78%であった。これに対し、図3(b)に示すように、ノズル4と電極板6との電位差ΔEを9kVとしたとき、In(III)の抽出率は65%であった。つまり、単に電位差が高ければ抽出率が高くなるわけではなく、噴霧される液滴や有機相2との関係によって最適な電位差があることが判る。

0032

これらに対し、図3(c)では、金属塩の水溶液を噴霧せず、同量を液滴として供給し、ノズル4及び電極板6に電圧を印加しなかった。水溶液として供給したIn(III)の多くが水相3から検出され、抽出率が非常に低いことが判る。

0033

[試験2]
図4には、抽出しようとする金属イオン毎に、ノズル4と電極板6との電位差を変えた場合の抽出率についての結果を示す。抽出率は上記と同様に水相3から検出される金属イオンの濃度に基づき算出した。「水溶液」の欄にはpHと金属イオンの濃度を示し、「有機相」の欄には抽出試薬とその量を示した。なお、有機相2の総量は50mLである。電圧については、ノズル4に+3.0kV、電極板6に−2.0kVを印加して電位差5.0kVとした場合と、ノズル4に+5.0kV、電極板6に−4.0kVを印加して電位差9.0kVとした場合の2通りとした。

0034

図4に示すように、Al(III)、Ni(II)、In(III)、Y(III)、Ga(III)、Fe(III)について有機相2への抽出ができることを確認できた。電位差を5.0kVとした場合の方が、多くの場合において抽出率は高かったが、一部、抽出率の低いイオン種もあった。つまり、複数の金属イオン種を含む水溶液から特定のイオン種のみを有機相2に抽出できるよう、条件を整えることもできる。また、有機相に抽出試薬を含まないAl(III)の例では、金属イオンはほとんど抽出されなかった。

0035

[試験3]
図5には、Y(III)を抽出する試験において抽出試薬を変えた結果を示す。用いた抽出試薬は、上記したD2EHPAの他に、PC−88A(2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル)、CYANEX 272(ジオクチルホスフィン酸)、LIX 84I(2’−ヒドロキシ−5’−ノニルアセトフェノンオキシム)、Versatic 10(2,2−ジメチルオクタン酸)を用いた。有機相2中でのそれぞれの抽出試薬の量は図に示す通りであり、有機溶媒として50mLのヘプタンを用いた。噴霧した水溶液は、Y(III)の濃度を100ppmとし、pH3に調整された。

0036

図5に示すように、D2EHPAで最も抽出率が高く、PC−88A、CYANEX 272でも高い抽出率が得られたが、LIX 84I及びVersatic 10ではほとんど抽出されなかった。この結果は、従来の溶媒抽出法における平衡系の挙動に準ずるものであった。

0037

[試験4]
図6には、Y(III)を抽出する試験において水溶液のpHを1から7まで変えた結果を示す。上記と同様に、有機相2は抽出試薬としてD2EHPAを0.1M含む50mLのヘプタン溶液である。水溶液中のY(III)の濃度は100ppmである。同図に示すように、pH3のときに最も高い抽出率を得たことが判る。

0038

[試験5]
図7には、Y(III)を抽出する試験において抽出試薬の濃度を変えた結果を示す。有機相2はヘプタンを有機溶媒として用い、抽出試薬としてD2EHPAを含む溶液であり、その濃度は有機溶媒の量50mLに対する抽出試薬の量によって表した。なお、水溶液中のY(III)の濃度は上記と同様に100ppmである。抽出試薬の量を0.01M、0.1M、1Mとした全てにおいて高い抽出率を得られた。抽出試薬の量の多い(濃度の高い)方が抽出率を高くできると言えるが、従来の溶媒抽出法ほど顕著な差はなかった。

0039

[試験6]
図8には、Y(III)を抽出する試験において有機相2に用いる溶媒を変えた結果を示す。有機相2は、抽出試薬として0.1MのD2EHPAを含み、それぞれ50mLの有機溶媒を用いた。有機溶媒としては、上記したヘプタンの他に、トルエン酢酸エチル、1−オクタノール、4−メチル−2−ペンタン、及び、ジブチルエーテルを用いた。なお、水溶液は上記と同様にY(III)を濃度100ppmで含み。pH3とされている。

0040

図8に示すように、上記したいずれの有機溶媒でも高い抽出率が得られたが、ノズル4と電極板6との電位差を9kVとしたときにおいては一部の有機溶媒で抽出率が低下した。

0041

[試験7]
図9には、Y(III)を抽出する試験において、印加する電圧の正負を変えた結果を示す。すなわち、ノズル4側に正の電圧を印加し電極板6(対極側)に負の電圧を印加する場合、及び、その逆の場合の2通りである。なお、有機相2は抽出試薬としてD2EHPAを0.1M含む50mLのヘプタン溶液とした。また、その他の条件は上記と同様とした上で、印加する電圧を5.0kV及び9.0kVの2通りとした。

0042

図9に示すように、ノズル4に正の電圧を印加した場合により高い抽出率を得られた。かかる結果は、抽出する金属イオンが陽イオンであることに関係している可能性を示唆される。

0043

[試験8]
図10には、Y(III)を抽出する試験において、ノズル4から電極6までの距離である電極間距離を変えた結果を示す。同距離は1.5cm、2.5cm、3.0cm及び3.5cmの4通りとし、ノズル4に正の電圧を印加し、その他の条件は上記と同様とした。

0044

図10に示すように、電極間距離を長くするほど抽出率が向上する傾向が見られた。電極間距離を長くするほど微細な液滴9の有機相2中の滞在時間が長くなるためと考えられる。

0045

[試験9]
ここからは、Al(III)を抽出する試験の結果について説明する。図11には、Al(III)を抽出する試験において、印加する電圧を変えた結果を示す。印加する電圧は、3kV、5kV、7kV及び9kVの4通りとした。水溶液は、Al(III)を濃度100mg/Lで含み、pH3に調整された上で流速20μL/minにて噴霧された。有機相2は、有機溶媒としてヘプタン50mLに0.1MのD2EHPAを抽出試薬として含む。なお、上記した通り、水相3は0.01MのEDTAを含むpH3の水溶液50mlである。また、ノズル4から電極6までの距離は1.5cmである。

0046

図11に示すように、Al(III)を抽出する試験において電圧による明確な差異は特に観察されず、幅広い電圧の範囲において微細な液滴9が噴霧され、高い抽出率を得られた。

0047

[試験10]
図12には、Al(III)を抽出する試験において、水溶液を噴霧させる流速を変えた結果を示す。上記と同じAl(III)の水溶液をそれぞれ、10μL/min、20μL/min、及び、50μL/minの3通りの流速で噴霧させた。電圧は5kVとし、その他は上記と同様とした。

0048

図12に示すように、噴霧させる流速を高くするにつれて抽出率が低下する傾向が見られた。この条件においては噴霧速度を低速とした方が微細な液滴9を得られたものと推察される。

0049

[試験11]
図13には、Al(III)を抽出する試験において、ノズル4の材料とその内径、ノズル4と電極板6との電位差を変えた場合の抽出率についての結果を示す。ノズルの材料としてはステンレス又は石英ガラスを用いた。また、ステンレス製のノズルでは先端を研磨し、石英ガラス製のノズルでは表面に導電性コートしたものと表面処理をしなかったものとの2通りとした。ノズルの内径や、ノズル4と電極板6との電位差については図示の通りである。また、水溶液は流速20μL/minにて噴霧し、他の条件は上記と同様とした。

0050

図13に示すように、ノズル4の内径や材料による差異は特に観察されず、各種材料の幅広い電位差において微細な液滴9が噴霧され、高い抽出率を得られた。

0051

以上、本発明による実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。

0052

2有機相
3水相
4ノズル
5 送液ポンプ
6 電極板

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