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技術 抵抗溶接装置

出願人 日本アビオニクス株式会社
発明者 岩月忠宏高崎浩幸重松孝英
出願日 2016年4月11日 (5年7ヶ月経過) 出願番号 2016-078720
公開日 2017年10月19日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2017-189780
状態 特許登録済
技術分野 スポット溶接
主要キーワード 荷重設定値 トランジスタ式 混合ブリッジ 電極間抵抗 経過時間毎 フェーズ毎 金属板同士 単位抵抗
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

溶接品質に優れた抵抗溶接装置を提供する。

解決手段

抵抗溶接装置は、被接合物と当接する電極(80a,80b)と、電極(80a,80b)に電流を供給する溶接電源(20)と、溶接中の被接合物に係る物理量を検出する物理量検出手段(21)と、溶接中に検出される物理量の望ましい時間変化を指定する物理量設定情報溶接電流二乗積算値設定値とを記憶する記憶部(16)と、溶接中に検出される物理量の時間変化が物理量設定情報で指定される時間変化と一致するように電極(80a,80b)への通電量を制御し、溶接電流の二乗の積算値が記憶部16に記憶されている設定値に達したときに、電極(80a,80b)への通電を停止させる制御部(14)とを備える。

概要

背景

抵抗溶接では、電極を流れる溶接電流電極間溶接電圧、電極に供給する溶接電力などが設定した波形どおりになるようにフィードバック制御することが一般的である。しかし、フィードバック制御の遅れは、電極の汚れ発熱による抵抗値の変化、電源電圧変動など様々な外乱により変動する。つまり、ワークでの発熱量(エネルギ)は変動し、溶接が不安定になる。

ワークでの発熱量(エネルギ)の変動に対応するために、従来の抵抗溶接装置では、溶接電流、溶接電圧、溶接電力に上下限値を設け、溶接電流、溶接電圧、溶接電力が上下限値の範囲内かどうかを判定することにより、溶接不良の発生を防止してきた。また、従来の抵抗溶接装置では、溶接電力の積算値設定値に達したときに、溶接電流の供給を停止したり次の溶接フェーズ移行したりする制御が提案されてきた(特許文献1参照)。

概要

溶接品質に優れた抵抗溶接装置を提供する。抵抗溶接装置は、被接合物と当接する電極(80a,80b)と、電極(80a,80b)に電流を供給する溶接電源(20)と、溶接中の被接合物に係る物理量を検出する物理量検出手段(21)と、溶接中に検出される物理量の望ましい時間変化を指定する物理量設定情報と溶接電流の二乗の積算値の設定値とを記憶する記憶部(16)と、溶接中に検出される物理量の時間変化が物理量設定情報で指定される時間変化と一致するように電極(80a,80b)への通電量を制御し、溶接電流の二乗の積算値が記憶部16に記憶されている設定値に達したときに、電極(80a,80b)への通電を停止させる制御部(14)とを備える。

目的

本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、溶接品質に優れた抵抗溶接装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

被接合物と当接する第1、第2の電極と、前記第1、第2の電極間電流を供給する溶接電源と、溶接中の前記被接合物に係る1乃至複数の物理量を検出する物理量検出手段と、溶接中に検出される前記物理量の望ましい時間変化を指定する物理量設定情報と前記第1、第2の電極を流れる溶接電流二乗積算値設定値とを、望ましい溶接条件として予め記憶する記憶手段と、溶接中に検出される前記物理量に含まれる前記溶接電流の二乗の積算値を算出する電流二乗値積算手段と、溶接中に検出される前記物理量のうち1つの物理量の時間変化が前記物理量設定情報で指定される時間変化と一致するように前記第1、第2の電極への通電量を制御するフィードバック制御手段と、前記物理量設定情報の示す通電停止イミングに達する前に、前記電流二乗値積算手段が算出した溶接電流の二乗の積算値が前記記憶手段に記憶されている設定値に達したときに、前記第1、第2の電極への通電を停止させる変動補正手段とを備えることを特徴とする抵抗溶接装置

請求項2

請求項1記載の抵抗溶接装置において、前記変動補正手段は、前記溶接電流の二乗の積算値が前記設定値に達する前に、前記フィードバック制御手段が制御中に参照する前記物理量設定情報の示す通電停止タイミングに達したときに、この通電停止タイミングを一時的に延長し、前記溶接電流の二乗の積算値が前記設定値に達したときに、前記第1、第2の電極への通電を停止させるものであり、前記フィードバック制御手段は、前記溶接電流の二乗の積算値が前記設定値に達する前に、前記物理量設定情報の示す通電停止タイミングに達したときに、前記記憶手段に記憶されている物理量設定情報の代わりに、前記変動補正手段が通電停止タイミングを延長した物理量設定情報を基に前記第1、第2の電極への通電量を制御することを特徴とする抵抗溶接装置。

請求項3

請求項1または2記載の抵抗溶接装置において、さらに、前記被接合物の溶接を複数の溶接フェーズに分けて行なう場合に、前記溶接電流の二乗の積算値が前記設定値に達したときに、次の溶接フェーズに移行させる溶接フェーズ移行制御手段を備え、前記記憶手段は、溶接フェーズ毎に前記望ましい溶接条件を予め記憶することを特徴とする抵抗溶接装置。

請求項4

請求項1乃至3のいずれか1項に記載の抵抗溶接装置において、さらに、溶接開始時から前記溶接電流の二乗の積算値が前記設定値に達するまでの時間が所定の最大時間閾値以上の場合に、警報を発する異常検出手段を備えることを特徴とする抵抗溶接装置。

請求項5

請求項1乃至3のいずれか1項に記載の抵抗溶接装置において、さらに、溶接開始時から前記溶接電流の二乗の積算値が前記設定値に達するまでの時間が所定の最小時間閾値以下の場合に、警報を発する異常検出手段を備えることを特徴とする抵抗溶接装置。

技術分野

0001

本発明は、電極間電流を流して、発生するジュール熱被接合物溶融させて接合を行う抵抗溶接装置に関するものである。

背景技術

0002

抵抗溶接では、電極を流れる溶接電流、電極間の溶接電圧、電極に供給する溶接電力などが設定した波形どおりになるようにフィードバック制御することが一般的である。しかし、フィードバック制御の遅れは、電極の汚れ発熱による抵抗値の変化、電源電圧変動など様々な外乱により変動する。つまり、ワークでの発熱量(エネルギ)は変動し、溶接が不安定になる。

0003

ワークでの発熱量(エネルギ)の変動に対応するために、従来の抵抗溶接装置では、溶接電流、溶接電圧、溶接電力に上下限値を設け、溶接電流、溶接電圧、溶接電力が上下限値の範囲内かどうかを判定することにより、溶接不良の発生を防止してきた。また、従来の抵抗溶接装置では、溶接電力の積算値設定値に達したときに、溶接電流の供給を停止したり次の溶接フェーズ移行したりする制御が提案されてきた(特許文献1参照)。

先行技術

0004

特開2013−10105号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、溶接電流、溶接電圧、溶接電力に上下限値を設定して判定する技術では、溶接箇所品質を大まかに判定し得るに過ぎず、溶接品質管理が十分でないという課題があった。
また、溶接電力の積算値を監視して制御する技術では、溶接電力を溶接電流と溶接電圧の積として求めており、溶接電圧がワーク以外の電極などの抵抗値の変化の影響を受けるため、安定した溶接を行うことができないという課題があった。

0006

本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、溶接品質に優れた抵抗溶接装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明の抵抗溶接装置は、被接合物と当接する第1、第2の電極と、前記第1、第2の電極間に電流を供給する溶接電源と、溶接中の前記被接合物に係る1乃至複数の物理量を検出する物理量検出手段と、溶接中に検出される前記物理量の望ましい時間変化を指定する物理量設定情報と前記第1、第2の電極を流れる溶接電流の二乗の積算値の設定値とを、望ましい溶接条件として予め記憶する記憶手段と、溶接中に検出される前記物理量に含まれる前記溶接電流の二乗の積算値を算出する電流二乗値積算手段と、溶接中に検出される前記物理量のうち1つの物理量の時間変化が前記物理量設定情報で指定される時間変化と一致するように前記第1、第2の電極への通電量を制御するフィードバック制御手段と、前記物理量設定情報の示す通電停止イミングに達する前に、前記電流二乗値積算手段が算出した溶接電流の二乗の積算値が前記記憶手段に記憶されている設定値に達したときに、前記第1、第2の電極への通電を停止させる変動補正手段とを備えることを特徴とするものである。

0008

また、本発明の抵抗溶接装置の1構成例において、前記変動補正手段は、前記溶接電流の二乗の積算値が前記設定値に達する前に、前記フィードバック制御手段が制御中に参照する前記物理量設定情報の示す通電停止タイミングに達したときに、この通電停止タイミングを一時的に延長し、前記溶接電流の二乗の積算値が前記設定値に達したときに、前記第1、第2の電極への通電を停止させるものであり、前記フィードバック制御手段は、前記溶接電流の二乗の積算値が前記設定値に達する前に、前記物理量設定情報の示す通電停止タイミングに達したときに、前記記憶手段に記憶されている物理量設定情報の代わりに、前記変動補正手段が通電停止タイミングを延長した物理量設定情報を基に前記第1、第2の電極への通電量を制御することを特徴とするものである。
また、本発明の抵抗溶接装置の1構成例は、さらに、前記被接合物の溶接を複数の溶接フェーズに分けて行なう場合に、前記溶接電流の二乗の積算値が前記設定値に達したときに、次の溶接フェーズに移行させる溶接フェーズ移行制御手段を備え、前記記憶手段は、溶接フェーズ毎に前記望ましい溶接条件を予め記憶することを特徴とするものである。
また、本発明の抵抗溶接装置の1構成例は、さらに、溶接開始時から前記溶接電流の二乗の積算値が前記設定値に達するまでの時間が所定の最大時間閾値以上の場合に、警報を発する異常検出手段を備えることを特徴とするものである。
また、本発明の抵抗溶接装置の1構成例において、さらに、溶接開始時から前記溶接電流の二乗の積算値が前記設定値に達するまでの時間が所定の最小時間閾値以下の場合に、警報を発する異常検出手段を備えることを特徴とするものである。

発明の効果

0009

本発明によれば、電流二乗値積算手段が算出した溶接電流の二乗の積算値が記憶手段に記憶されている設定値に達したときに、第1、第2の電極への通電を停止させることにより、フィードバック制御の遅れによる被接合物の発熱量(エネルギ)の変動を補正することができ、適切な溶接を実現することができる。

図面の簡単な説明

0010

本発明の実施の形態に係る抵抗溶接装置の構成を示すブロック図である。
本発明の実施の形態に係る溶接ヘッドの拡大断面図である。
本発明の実施の形態に係る抵抗溶接装置の動作を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態に係る抵抗溶接装置の制御部の構成を示すブロック図である。
溶接電流、溶接電圧、溶接電力の基準波形の1例を示す図である。
溶接電流の基準波形の延長を説明する図である。

実施例

0011

[発明の原理
発明者は、ワーク(被接合物)に流れる電流のみからワークで発生する熱量を算出することに着目した。具体的には、溶接電流の二乗値リアルタイムで積算し、この積算値が設定値に達したら、溶接電流を停止、または次の溶接フェーズへ移行する制御を行い、フィードバックの遅れによるワーク発熱量(エネルギ)の変動を補正する。溶接電流の二乗の積算値は、溶接電力(溶接電流×溶接電流×電極間抵抗)を電極間抵抗で割った時間積にあたり、単位抵抗あたりのエネルギに相当する。
また、本発明では、積算値が設定値に達する時間を監視し、ワーク不良、溶接機の異常、電極の劣化を検出する。

0012

[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係る抵抗溶接装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の抵抗溶接装置は、スタートスイッチ2と、整流回路3と、コンデンサ4と、インバータ5と、溶接トランス6と、ダイオード7と、溶接ヘッド8と、ホール素子9と、電流検出部10と、電圧検出部11と、電力検出部12と、荷重検出部13と、制御部14と、操作部15と、記憶部16と、表示部17とを有する。

0013

スタートスイッチ2と整流回路3とコンデンサ4とインバータ5と溶接トランス6とダイオード7とは、溶接ヘッド8に電流を供給する溶接電源20を構成している。また、ホール素子9と電流検出部10と電圧検出部11と電力検出部12と荷重検出部13と制御部14とは、溶接中の被接合物に係る物理量を検出する物理量検出手段21を構成している。

0014

図2は溶接ヘッド8の拡大断面図である。溶接ヘッド8は、例えば銅(Cu)合金モリブデン(Mo)、タングステン(W)等からなる電極80a,80bを備えている。被接合物82としては、例えば複数枚の銅(またはアルミニウム)板82a,82bを積層した積層体があり、この被接合物82の材料に応じて電極80a,80bの材料に変更が必要な場合があるが、本発明は、被接合物82や電極80a,80bの材料に関係なく適用することができる。

0015

さらに、溶接ヘッド8は、電極80a,80bを上下させて被接合物82を挟み込み加圧する加圧機構81a,81bを備えている。加圧機構81a,81bには、図示しないロードセルが設けられており、被接合物82に加わる荷重の大きさを電気信号に変換できるようになっている。

0016

以下、抵抗溶接装置の動作を説明する。図3は抵抗溶接装置の動作を示すフローチャートである。最初に、溶接ヘッド8の加圧機構81a,81bは、図2に示すように電極80a,80bによって被接合物82を上下方向(積層体の積層方向に沿った方向)から挟み込み加圧する。なお、図2の例では、加圧機構81a,81bがそれぞれ電極80a,80bに圧力を加えるようになっているが、電極80a,80bのうちどちらか一方のみに圧力を加えるようにしてもよい。荷重検出部13は、加圧機構81a,81bに設けられたロードセルの出力に基づいて、被接合物82に印加される荷重を検出する。そして、加圧機構81a,81bは、被接合物82に印加される荷重が所定の荷重設定値と一致するように電極80a,80bに加える力を調整する。こうして、溶接の準備が完了する。

0017

例えばユーザが操作部15を操作して溶接開始を指示すると、操作部15からスタート信号が出力され、スタートスイッチ2がオンになる。スタートスイッチ2がオンになると、整流回路3は、交流200Vの商用3相交流電源1の交流出力全波整流し、整流回路3の出力端間並列接続されたコンデンサ4を充電する。この整流回路3は、6個のダイオード30を用いた3相全波混合ブリッジで構成される。

0018

インバータ5は、コンデンサ4の充電電圧交流電圧に変換して、溶接トランス6の1次側に供給する。インバータ5は、4個のトランジスタ50からなるブリッジで構成される。溶接トランス6の2次側出力は、整流器(ダイオード)7で全波整流されて電極80a,80bに導かれる。これにより、電極80a,80b間に大電流を流し、発生するジュール熱で被接合物82の接合面(金属板同士の接合面)を溶融させて接合する。

0019

電流検出部10は、溶接トランス6の2次側に設けられたホール素子9の出力から、溶接トランス6の2次側を流れる電流I(電極80a,80bを流れる溶接電流)を検出する。電圧検出部11は、電極80a,80b間に印加される溶接電圧Vを検出する。電力検出部12は、電流検出部10が検出した溶接電流Iの値と電圧検出部11が検出した溶接電圧Vの値とを積算することにより、電極80a,80bに供給される溶接電力Wを検出する(図3テップS1)。

0020

図4は制御部14の構成を示すブロック図である。制御部14は、フィードバック制御部140と、電流二乗値積算部141と、変動補正部142と、異常検出部143と、溶接フェーズ移行制御部144とを備えている。

0021

制御部14の電流二乗値積算部141は、溶接電流Iの二乗と溶接開始時からの経過時間tとの積に相当する溶接電流Iの二乗の積算値(積分値)を算出する(図3ステップS2)。
制御部14の変動補正部142は、溶接電流Iの二乗の積算値が記憶部16に予め記憶された設定値に達したかどうかを判定する(図3ステップS3)。例えば抵抗溶接装置のユーザは、予め対象となる被接合物82を用いて溶接条件設定のための溶接試験を行い、適切な溶接が得られたときの溶接電流Iの二乗の積算値を設定値として記憶部16に設定しておけばよい。

0022

制御部14のフィードバック制御部140は、溶接電流Iの二乗の積算値が設定値に達していないと判定され(ステップS3においてNO)、かつ記憶部16に予め記憶された物理量の基準波形が示す通電停止タイミングに達していない場合(図3ステップS4においてNO)、溶接中に検出される上記物理量に基づくフィードバック制御を行なう(図3ステップS5)。

0023

上記のとおり、溶接中に検出される物理量としては、溶接電流I、溶接電圧V、溶接電力Wがある。記憶部16には、物理量設定情報として、溶接中に検出される物理量の望ましい基準波形(つまり、溶接開始時からの経過時間毎の物理量の値)が予め設定されている。記憶部16に記憶された溶接電流I、溶接電圧V、溶接電力Wの基準波形の1例を図5(A)、図5(B)、図5(C)に示す。このように溶接電流I、溶接電圧V、溶接電力Wの望ましい基準波形は、例えば溶接開始(時間0)後にそれぞれ一定値Ic,Vc,Wcを一定時間だけ維持するように設定されている。

0024

フィードバック制御部140は、インバータ5を動作させて交流電圧を発生させることにより、電極80a,80bに電流を印加する。そして、フィードバック制御部140は、ステップS1で検出される物理量(溶接電流I、溶接電圧V、溶接電力W)をリアルタイムで監視して、溶接開始時からの経過時間がtである現時点における物理量が、記憶部16に記憶された物理量の基準波形上の経過時間tにおける値と一致するように、インバータ5のトランジスタ50のオン/オフを制御して、電極80a,80bへの通電量を制御する(ステップS5)。

0025

溶接電流Iの二乗の積算値が設定値に達しておらず、かつ記憶部16に記憶された物理量の基準波形が示す通電停止タイミングに達していない場合、ステップS1〜S5の処理が所定の制御周期毎に繰り返し実行される。こうして、溶接中に検出される物理量の波形が予め設定された基準波形と一致するようにフィードバック制御される。

0026

フィードバック制御部140は、溶接電流Iのフィードバックに基づく制御を行う場合、溶接開始時からの経過時間がtである現時点で検出された溶接電流Iが、記憶部16に記憶された溶接電流Iの基準波形上の経過時間tにおける値と一致するように、電極80a,80bへの通電量を制御する。

0027

同様に、フィードバック制御部140は、溶接電圧Vのフィードバックに基づく制御を行う場合には、現時点で検出された溶接電圧Vが記憶部16に記憶された溶接電圧Vの基準波形上の経過時間tにおける値と一致するように、通電量を制御すればよく、溶接電力Wのフィードバックに基づく制御を行う場合には、現時点で検出された溶接電力Wが記憶部16に記憶された溶接電力Wの基準波形上の経過時間tにおける値と一致するように、通電量を制御すればよい。溶接電流I、溶接電圧V、溶接電力Wのいずれで制御を行なうかはユーザが選択可能である。

0028

次に、変動補正部142は、溶接電流Iの二乗の積算値が設定値に達していない状態で(ステップS3においてNO)、記憶部16に記憶された物理量の基準波形が示す通電停止タイミングに達した場合(ステップS4においてYES)、物理量の基準波形の通電停止タイミングを一時的に延長する処理を行なう(図3ステップS6)。

0029

変動補正部142は、溶接電流Iのフィードバックに基づく制御を行う場合、溶接開始時からの経過時間がtである現時点において、記憶部16に記憶された溶接電流Iの基準波形上の経過時間tにおける値が、1制御周期前の値と比較して所定値以上小さい場合、溶接電流Iの基準波形が示す通電停止タイミング(図5(A)のtdの時点)に達したと判定する。溶接電流Iの基準波形が示す通電停止タイミングに達したと判定した場合、変動補正部142は、通電停止タイミング前の値、すなわち基準波形上の1制御周期前の値(例えば図5(A)のIc)を維持するように、溶接電流Iの基準波形を一時的に延長する。こうして、図6破線60で示すように、溶接電流Iの通電停止タイミングが延長される。

0030

同様に、変動補正部142は、溶接電圧Vのフィードバックに基づく制御を行う場合、記憶部16に記憶された溶接電圧Vの基準波形上の経過時間tにおける値が、1制御周期前の値と比較して所定値以上小さい場合、溶接電圧Vの基準波形が示す通電停止タイミング(図5(B)のtdの時点)に達したと判定する。この場合、変動補正部142は、基準波形上の1制御周期前の値(例えば図5(B)のVc)を維持するように、溶接電圧Vの基準波形を一時的に延長する。

0031

また、変動補正部142は、溶接電力Wのフィードバックに基づく制御を行う場合、記憶部16に記憶された溶接電力Wの基準波形上の経過時間tにおける値が、1制御周期前の値と比較して所定値以上小さい場合、溶接電力Wの基準波形が示す通電停止タイミング(図5(C)のtdの時点)に達したと判定する。この場合、変動補正部142は、基準波形上の1制御周期前の値(例えば図5(C)のWc)を維持するように、溶接電力Wの基準波形を一時的に延長する。

0032

フィードバック制御部140は、記憶部16に記憶された物理量の基準波形が示す通電停止タイミングに達したと判定された場合(ステップS4においてYES)、溶接開始時からの経過時間がtである現時点で検出された物理量が、変動補正部142によって通電停止タイミングが延長された物理量の基準波形上の経過時間tにおける値と一致するように、電極80a,80bへの通電量を制御する(ステップS5)。
なお、以上のように物理量の基準波形の通電停止タイミングを一時的に延長する場合でも、記憶部16に予め記憶されている物理量の基準波形が更新されることはない。

0033

次に、物理量の基準波形の通電停止タイミングを一時的に延長した状態でフィードバック制御が行なわれている最中に溶接電流Iの二乗の積算値が記憶部16に予め記憶された設定値に達した場合、あるいは物理量の基準波形が示す通電停止タイミングに達する前に溶接電流Iの二乗の積算値が設定値に達した場合(ステップS3においてYES)、変動補正部142は、インバータ5の動作を停止させて、電極80a,80bへの通電を終了させる(図3ステップS7)。したがって、物理量の基準波形が示す通電停止タイミングに達する前に溶接電流Iの二乗の積算値が設定値に達した場合には、基準波形による通電時間を短縮することになる。

0034

異常検出部143は、溶接開始時から溶接電流Iの二乗の積算値が設定値に達するまでの時間が所定の最大時間閾値以上の場合(図3ステップS8においてYES)、例えば表示部17に警報メッセージを表示させることで、警報を発する(図3ステップS9)。
また、異常検出部143は、溶接開始時から溶接電流Iの二乗の積算値が設定値に達するまでの時間が所定の最小時間閾値以下の場合(図3ステップS10においてYES)、例えば表示部17に警報メッセージを表示させることで、警報を発する(図3ステップS11)。最小時間閾値は最大時間閾値より小さい値であることは言うまでもない。
以上で、抵抗溶接装置の処理が終了する。なお、制御部14は、溶接中に検出した物理量の波形を表示部17に表示させるようにしてもよい。

0035

本実施の形態では、溶接電流Iの二乗の積算値が設定値に達したときに電極80a,80bへの通電を終了させることで、フィードバック制御の遅れによる被接合物の発熱量(エネルギ)の変動を補正することができ、適切な溶接を実現することができる。本実施の形態では、溶接電流Iが変動したとしても、溶接電流Iによる被接合物の発熱量は常に一定になるので、外乱による影響が小さい溶接が可能となる。

0036

また、特許文献1に開示された従来の抵抗溶接装置のように溶接電力Vの積算値で制御する方式では、被接合物以外の抵抗値の変化による影響が大きく、抵抗値の小さい被接合物の溶接に適していない。これに対して、本実施の形態の抵抗溶接装置は、抵抗値の小さい被接合物の溶接にも適用することができる。

0037

また、従来のインバータ式の溶接電源では、溶接トランスの2次側電流のフィードバック制御の遅れによるオーバーシュートアンダーシュートが溶接に与える影響が大きいときに、溶接トランスの1次側の電流制御が選択される。この場合は、2次側を溶接モニタで検出し、溶接モニタの検出結果で許容範囲外の被接合物を溶接不良としていた。しかし、このような方法では溶接トランスの2次側の制御を行なっていないため、十分な溶接品質を確保することができないという問題があった。これに対して、本実施の形態では、溶接電流Iの二乗の積算値が設定値に達したときに電極80a,80bへの通電を終了させることで、溶接不良を削減し、溶接品質のばらつきを小さくすることが可能となった。

0038

また、本実施の形態では、溶接開始時から溶接電流Iの二乗の積算値が設定値に達するまでの時間が所定の最大時間閾値以上の場合、または積算値が設定値に達するまでの時間が所定の最小時間閾値以下の場合、溶接不良、抵抗溶接装置の異常、電極80a,80bの劣化のいずれかであるとして警報を発することにより、溶接の不具合をユーザに知らせることができる。

0039

なお、本実施の形態では、溶接電流Iの二乗の積算値が設定値に達したときに、電極80a,80bへの通電を停止させて溶接終了としているが、これに限るものではなく、被接合物の同一箇所の溶接を複数の溶接フェーズに分けて行なう場合に、制御部14の溶接フェーズ移行制御部144は、溶接電流Iの二乗の積算値が設定値に達したときに、次の溶接フェーズに移行させるようにしてもよい。

0040

この場合、溶接フェーズ毎の溶接条件(荷重設定値、物理量の基準波形、溶接電流Iの二乗の積算値の設定値)が記憶部16に予め設定されていることになる。制御部14は、溶接フェーズ毎に図3で説明したような処理を実行すればよい。被接合物の溶接を複数の溶接フェーズに分けて行なう場合、電流二乗値積算部141は、1つの溶接フェーズが終了する度に、溶接電流Iの二乗の積算値を0にリセットすることは言うまでもない。

0041

また、本実施の形態では、波形制御の例で説明しているが、溶接中に検出される物理量の望ましい時間変化を指定する物理量設定情報として、基準波形ではなく、物理量の値と通電時間の組み合わせを記憶部16に設定しておくようにしてもよい。この場合、フィードバック制御部140は、物理量設定情報で指定される値の物理量が通電時間だけ継続するように、インバータ5のトランジスタ50のオン/オフを制御して、電極80a,80bへの通電量を制御すればよい(ステップS5)。また、フィードバック制御部140および変動補正部142は、通電開始時点からの経過時間が物理量設定情報で指定される通電時間に達したときに、物理量設定情報の示す通電停止タイミングに達したと判断すればよい(ステップS4においてYES)。変動補正部142は、通電停止タイミングを一時的に延長する場合、物理量設定情報で指定される値の物理量が継続するように、通電時間の値を一時的に増やすようにすればよい(ステップS6)。通電時間を一時的に延長する場合でも、記憶部16に予め設定されている通電時間が更新されることはない。

0042

また、物理量設定情報として、基準波形と通電時間を組み合わせて記憶部16に設定しておき、通電制御については上記のように基準波形に基づく波形制御で行い、通電停止タイミングについては、基準波形ではなく、通電時間に基づいて判断するようにしてもよい。

0043

本実施の形態では、インバータ式の溶接電源に本発明を適用する場合について説明しているが、トランジスタで直接、溶接電流を制御するトランジスタ式の溶接電源に本発明を適用することも可能である。トランジスタ式の溶接電源については、例えば特開平9−277066号公報に開示されており、周知の構成であるので、詳細な説明は省略する。

0044

本実施の形態の制御部14、操作部15、記憶部16および表示部17の機能は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置および外部とのインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って本実施の形態で説明した処理を実行する。

0045

本発明は、抵抗溶接装置に適用することができる。

0046

1…3相交流電源、2…スタートスイッチ、3…整流回路、4…コンデンサ、5…インバータ、6…溶接トランス、7…ダイオード、8…溶接ヘッド、9…ホール素子、10…電流検出部、11…電圧検出部、12…電力検出部、13…荷重検出部、14…制御部、15…操作部、16…記憶部、17…表示部、20…溶接電源、21…物理量検出手段、80a,80b…電極、81a,81b…加圧機構、82…被接合物、140…フィードバック制御部、141…電流二乗値積算部、142…変動補正部、143…異常検出部、144…溶接フェーズ移行制御部。

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