図面 (/)

技術 TiAl系金属間化合物焼結体の製造方法

出願人 三菱重工航空エンジン株式会社大阪冶金興業株式会社
発明者 鈴木研二新藤健太郎寺内俊太郎北垣壽花見和樹花田忠之
出願日 2016年4月5日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2016-075931
公開日 2017年10月12日 (2年8ヶ月経過) 公開番号 2017-186608
状態 特許登録済
技術分野 非鉄合金の製造 粉末冶金
主要キーワード 金属粉末射出成型法 収納用空間 金属射出成型 バインダ添加 ネック形成 ニアネット形状 航空宇宙機器 仮焼結温度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年10月12日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (7)

課題

TiAl系金属間化合物焼結体形状精度を向上させつつ、焼結密度の低下を抑制する。

解決手段

TiAl系金属間化合物焼結体の製造方法は、Ti粉末とAl粉末バインダとを混合して混合体を得る混合ステップと、混合体を金属射出成型機によって所定形状の成形体成形する射出成型テップと、内部に収納用空間を有する仮焼結型内に成形体を収納して、予め定められた所定の仮焼結温度焼結を行って仮焼結体を生成する仮焼結ステップと、仮焼結体を仮焼結型から取り出して、仮焼結温度よりも高い焼結温度で焼結を行って、TiAl系金属間化合物焼結体を形成する焼結ステップと、を有する。

概要

背景

TiAl系金属間化合物は、Ti(チタン)とAl(アルミニウム)とが結合している金属間化合物(合金)であり、軽量、かつ高温での強度が高いため、エンジン航空宇宙機器高温用構造材へ適用されている。TiAl系金属間化合物は、展延性が低いなどの理由により、鍛造鋳造などによって成形することは困難であり、焼結によって成形されることがある。特許文献1には、Ti粉末とAl粉末とを混合して、加圧焼結することによってTiAl系金属間化合物の焼結体を製造する旨が開示されている。

概要

TiAl系金属間化合物焼結体の形状精度を向上させつつ、焼結密度の低下を抑制する。TiAl系金属間化合物焼結体の製造方法は、Ti粉末とAl粉末とバインダとを混合して混合体を得る混合ステップと、混合体を金属射出成型機によって所定形状の成形体に成形する射出成型テップと、内部に収納用空間を有する仮焼結型内に成形体を収納して、予め定められた所定の仮焼結温度で焼結を行って仮焼結体を生成する仮焼結ステップと、仮焼結体を仮焼結型から取り出して、仮焼結温度よりも高い焼結温度で焼結を行って、TiAl系金属間化合物焼結体を形成する焼結ステップと、を有する。

目的

本発明は、形状精度を向上させつつ、焼結密度の低下を抑制するTiAl系金属間化合物焼結体の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

Ti粉末とAl粉末バインダとを混合して混合体を得る混合ステップと、前記混合体を金属射出成型機によって所定形状の成形体成形する射出成型テップと、内部に収納用空間を有する仮焼結型内に前記成形体を収納して、予め定められた所定の仮焼結温度焼結を行って仮焼結体を生成する仮焼結ステップと、前記仮焼結体を前記仮焼結型から取り出して、前記仮焼結温度よりも高い焼結温度で焼結を行って、TiAl系金属間化合物焼結体を形成する焼結ステップと、を有する、TiAl系金属間化合物焼結体の製造方法。

請求項2

前記仮焼結ステップは、前記Al粉末中のAlを、前記Ti粉末中のTiに対して固溶させ、前記焼結ステップは、TiとそのTiに固溶したAlとが結合して形成されたTiAl系金属間化合物の粒子同士を凝集させ、前記仮焼結温度は、前記固溶を開始する温度よりも高く、前記TiAl系金属間化合物の粒子同士が凝集を開始する温度よりも低い、請求項1に記載のTiAl系金属間化合物焼結体の製造方法。

請求項3

前記仮焼結温度は、400℃以上1400℃未満である、請求項2に記載のTiAl系金属間化合物焼結体の製造方法。

請求項4

前記仮焼結温度は、900℃以上である、請求項3に記載のTiAl系金属間化合物焼結体の製造方法。

請求項5

前記焼結温度は、1400℃以上1500℃以下である、請求項3又は請求項4に記載のTiAl系金属間化合物焼結体の製造方法。

請求項6

前記射出成型ステップは、内部に成形用空間を有する成形型内に、前記混合体を噴射して前記成形体を成形し、前記収納用空間の形状及び大きさは、前記成形用空間と略同一である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のTiAl系金属間化合物焼結体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、TiAl系金属間化合物焼結体の製造方法に関する。

背景技術

0002

TiAl系金属間化合物は、Ti(チタン)とAl(アルミニウム)とが結合している金属間化合物(合金)であり、軽量、かつ高温での強度が高いため、エンジン航空宇宙機器高温用構造材へ適用されている。TiAl系金属間化合物は、展延性が低いなどの理由により、鍛造鋳造などによって成形することは困難であり、焼結によって成形されることがある。特許文献1には、Ti粉末とAl粉末とを混合して、加圧焼結することによってTiAl系金属間化合物の焼結体を製造する旨が開示されている。

先行技術

0003

特開昭62−70531号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかし、例えば加圧焼結によってTiAl系金属間化合物の焼結体を製造した場合、加圧焼結する際の装置及び金型等に制約があるため、製造する最終製品に近い形状(ニアネット形状)に仕上げるなどの、形状精度を高くすることができない。また、金型等の形状を工夫して形状精度を高くした場合は、焼結密度が低下するという問題が生じる。

0005

従って、本発明は、形状精度を向上させつつ、焼結密度の低下を抑制するTiAl系金属間化合物焼結体の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るTiAl系金属間化合物焼結体の製造方法は、Ti粉末とAl粉末とバインダとを混合して混合体を得る混合ステップと、前記混合体を金属射出成型機によって所定形状の成形体に成形する射出成型テップと、内部に収納用空間を有する仮焼結型内に前記成形体を収納して、予め定められた所定の仮焼結温度で焼結を行って仮焼結体を生成する仮焼結ステップと、前記仮焼結体を前記仮焼結型から取り出して、前記仮焼結温度よりも高い焼結温度で焼結を行って、TiAl系金属間化合物焼結体を形成する焼結ステップと、を有する。

0007

このTiAl系金属間化合物焼結体の製造方法は、金属射出成型法において、焼結の前に仮焼結を実行する。仮焼結においては、成形体が仮焼結型内に収納されている。従って、この製造方法によると、Alの固溶工程におけるTi粉末の体積膨張を仮焼結型によって抑制することが可能となり、TiAl系金属間化合物焼結体の形状精度を向上させつつ、焼結密度の低下を抑制することができる。

0008

前記TiAl系金属間化合物焼結体の製造方法において、前記仮焼結ステップは、前記Al粉末中のAlを、前記Ti粉末中のTiに対して固溶させ、前記焼結ステップは、TiとそのTiに固溶したAlとが結合して形成されたTiAl系金属間化合物の粒子同士を凝集させ、前記仮焼結温度は、前記固溶を開始する温度よりも高く、前記TiAl系金属間化合物の粒子同士が凝集を開始する温度よりも低いことが好ましい。このTiAl系金属間化合物焼結体の製造方法は、Ti粉末の体積膨張がおきる工程で、Ti粉末を確実に仮焼結型内に収納したままにすることができる。そのため、本実施形態の製造方法は、Ti粉末の体積膨張を抑制し、TiAl系金属間化合物焼結体の形状精度を向上させつつ、焼結密度の低下を抑制することができる。

0009

前記TiAl系金属間化合物焼結体の製造方法において、前記仮焼結温度は、400℃以上1400℃未満であることが好ましい。仮焼結温度を400℃以上とすることで、仮焼結型によりTi粉末の体積膨張を抑制し、TiAl系金属間化合物焼結体の形状精度を向上させつつ、焼結密度の低下を抑制することができる。仮焼結温度を1400℃以下とすることで、焼結を適切に行うことができる。

0010

前記TiAl系金属間化合物焼結体の製造方法において、前記仮焼結温度は、900℃以上であることが好ましい。仮焼結温度を900℃以上とすることで、仮焼結終了時の形状保持性が向上する。従って、このTiAl系金属間化合物焼結体の製造方法は、より適切に焼結を行うことが可能となる。

0011

前記TiAl系金属間化合物焼結体の製造方法において、焼結温度は、1400℃以上1500℃以下であることが好ましい。このTiAl系金属間化合物焼結体の製造方法は、仮焼結を行った後、この焼結温度で焼結を行うことで、TiAl系金属間化合物焼結体の形状精度を向上させつつ、焼結密度の低下を抑制することができる。

0012

前記TiAl系金属間化合物焼結体の製造方法において、前記射出成型ステップは、内部に成形用空間を有する成形型内に、前記混合体を噴射して前記成形体を成形し、前記収納用空間の形状及び大きさは、前記成形用空間と略同一であることが好ましい。このTiAl系金属間化合物焼結体の製造方法は、収納用空間と成形型との形状及び大きさが略同一であるため、Ti粉末の体積膨張を適切に抑制する。

発明の効果

0013

本発明によれば、TiAl系金属間化合物焼結体の形状精度を向上させつつ、焼結密度の低下を抑制することができる。

図面の簡単な説明

0014

図1は、本実施形態に係る焼結体製造システムの構成を示すブロック図である。
図2は、本実施形態における仮焼結の条件の例を示すグラフである。
図3は、本実施形態における焼結の条件の例を示すグラフである。
図4は、第1実施形態に係る焼結体製造システムによるTiAl系金属間化合物焼結体の製造フローを説明するフローチャートである。
図5は、比較例に係る焼結工程を示す説明図である。
図6は、本実施形態に係る仮焼結工程及び焼結工程を示す説明図である。

実施例

0015

以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。

0016

図1は、本実施形態に係る焼結体製造システムの構成を示すブロック図である。本実施形態に係る焼結体製造システム1は、TiAl系金属間化合物の焼結体の製造方法を実行するためのシステムである。TiAl系金属間化合物焼結体とは、TiAl系金属間化合物(TiAl系合金)を主成分とする焼結体である。本実施形態におけるTiAl系金属間化合物とは、Ti(チタン)とAl(アルミニウム)とが結合した化合物(TiAl、Ti3Al、Al3Ti等)である。ただし、TiAl系金属間化合物は、TiとAlとが結合している相であるTiAl相に、後述する添加金属Mを固溶するものであってもよい。

0017

図1に示すように、焼結体製造システム1は、金属粉末射出成型装置10と、仮焼結装置20と、焼結装置30とを有する。焼結体製造システム1は、金属粉末射出成型装置10によって原料粉末をバインダと共に成形型12に射出して成形体を成形し、仮焼結装置20によって仮焼結型22に収納された成形体を仮焼結して仮焼結体を生成し、焼結装置30によって仮焼結体を焼結して、TiAl系金属間化合物の焼結体(TiAl系金属間化合物焼結体)を製造する。

0018

金属粉末射出成型装置10は、金属粉末射出成型(MIM:Metal Injection Molding)を行う装置である。金属粉末射出成型装置10は、原料粉末Aとバインダとが混合された混合体Bから、成形体Cを成形する。原料粉末Aは、Ti粉末と、Al粉末と、添加金属粉末とを含有する。Ti粉末は、Ti(チタン)の粉末である。Al粉末は、Al(アルミニウム)の粉末である。添加金属粉末は、添加金属Mの粉末である。添加金属Mは、Ti及びAl以外の金属であり、例えば、Nb(ニオブ)、Cr(クロム)、及びMn(マンガン)のうち少なくともいずれか一種を含有する。添加金属として複数種類の金属を用いる場合、添加金属粉末は、各金属の合金の粉末である1種類の粉末であってもよいし、金属毎に複数種類の金属粉末を含むものであってもよい。

0019

原料粉末A、すなわちTi粉末とAl粉末と添加金属粉末とは、粒径が、1μm以上50μm以下、より好ましくは1μm以上20μm以下である。また、原料粉末Aは、20〜80重量%のTi粉末と、20〜80重量%のAl粉末と、0〜30重量%の添加金属粉末とを含有する。

0020

混合体Bは、原料粉末Aとバインダとを混合したものである。バインダは、原料粉末A同士を繋ぎ合わせるものであり、流動性を有する樹脂である。混合体Bは、バインダ添加により、流動性及び成形性が付与される。

0021

金属粉末射出成型装置10は、成形型12内に混合体Bを射出する。成形型12は、内部に所定の形状の空間である成形用空間を有する型である。成形型12内に射出された混合体Bは、成形用空間の形状と同じ形状及び大きさを有する成形体Cを形成する。成形体Cは、バインダ添加により成形性が付与されているため、成形型12から取り出されても、成形用空間の形状と同じ形状に維持される。

0022

仮焼結装置20は、成形体Cを予め定められた所定の仮焼結温度で仮焼結して、仮焼結体Dを生成する装置(炉)である。成形体Cは、成形型12から取り出されて仮焼結型22内に収納される。仮焼結型22内に収納された成形体Cは、仮焼結装置20内に収納されて仮焼結され、仮焼結体Dとなる。仮焼結とは、後述する焼結温度よりも低温の仮焼結温度で成形体Cを加熱する処理である。

0023

仮焼結型22は、内部に所定の形状の空間である収納用空間を有する型である。仮焼結型22は、材料が、Y2O3、ZrO2、Al2O3等のセラミックスである。仮焼結型22の収納用空間は、成形型12の成形用空間の形状及び大きさと略同一の形状及び大きさである。言い換えれば、仮焼結型22の収納用空間は、成形体Cと略同一の形状及び大きさとなっている。ここで、略同一の形状及び大きさとは、一般的な寸法公差程度の違いを除いて同一の形状及び大きさであることを意味する。ただし、仮焼結型22の内部空間は、成形型12の内部空間よりも、0%以上2%以下だけ、大きくてもよい。なお、本実施形態では、仮焼結型22は、成形型12とは別の型であったが、仮焼結型22は、成形型12と同じものであってもよい。すなわち、成形型12をそのまま仮焼結型22として使用してもよい。この場合、金属粉末射出成型装置10によって成形された成形体Cを、成形型12に入れたままとし、成形型12を仮焼結型22として、仮焼結装置20内に収納して仮焼結を行う。

0024

図2は、本実施形態における仮焼結の条件の例を示すグラフである。図2横軸は時間であり、縦軸は仮焼結装置20内部の温度である。図2に示すように、仮焼結装置20は、仮焼結型22に収納された成形体Cを内部に収納して、時間HA0から時間HA1まで、内部の温度を温度TA0から温度TA1まで上昇させる。温度TA0は、時間HA0、すなわち仮焼結開始時の温度である。温度TA0は、本実施形態では室温であるが、バインダの脱脂が開始される温度未満の温度であってもよい。バインダの脱脂が開始される温度とは、バインダが熱分解を開始する温度であり、例えば300℃である。温度TA1は、時間HA1での温度であり、仮焼結温度である。温度TA1(仮焼結温度)は、TiAl系金属間化合物の粒子同士がネックを形成し結合を開始する温度(後述するネック形成工程が開始する温度)よりも高く、TiAl系金属間化合物の粒子同士が凝集を開始する(後述する凝集工程)温度よりも低い。ただし、温度TA1(仮焼結温度)は、この温度範囲外であっても、AlがTi粉末へ固溶を開始する(後述する固溶工程)温度よりも高く、TiAl系金属間化合物の粒子同士が凝集を開始する(後述する凝集工程)温度よりも低くてもよい。具体的には、温度TA1は、900℃以上1400℃未満であるが、400℃以上1400℃未満であってもよい。なお、時間HA1は、時間HA0から所定の時間だけ後の時間であるが、例えば時間HA0から0.5時間以上3時間以下後である。

0025

図2に示すように、時間HA1で温度TA1(仮焼結温度)に達したら、仮焼結装置20は、時間HA2まで、内部の温度を温度TA1のまま維持する。時間HA2は、時間HA1から所定の時間だけ後の時間であるが、例えば時間HA1から0.5時間以上10時間以下後である。仮焼結装置20は、時間HA2から時間HA3まで、内部の温度を温度TA1から温度TA0に低下させ、仮焼結処理を終了させる。このように、仮焼結装置20は、仮焼結型22に収納された成形体Cを、温度TA1(仮焼結温度)で仮焼結して、仮焼結体Dを生成する。なお、時間HA3は、時間HA2から所定の時間だけ後の時間であるが、例えば時間HA2から0.5時間以上3時間以下後である。

0026

焼結装置30は、仮焼結体Dを焼結して、TiAl系金属間化合物焼結体Eを生成する装置(炉)である。仮焼結体Dは、仮焼結型22から取り出されて、焼結装置30内に収納される。焼結装置30は、この仮焼結体Dを予め定められた所定の焼結温度で焼結してTiAl系金属間化合物焼結体Eを生成する。

0027

図3は、本実施形態における焼結の条件の例を示すグラフである。図3の横軸は時間であり、縦軸は焼結装置30内部の温度である。図3に示すように、焼結装置30は、仮焼結型22から取り出された仮焼結体Dを内部に収納して、時間HB0から時間HB1まで、内部の温度を温度TB0から温度TB1まで上昇させる。温度TB0は、時間HB0、すなわち焼結開始時の温度である。温度TB0は、室温である。温度TB1は、時間HB1での温度であり、焼結温度である。温度TB1(焼結温度)は、仮焼結温度より高い温度であり、Ti粉末とAl粉末とが焼結可能な温度、すなわち、TiAl系金属間化合物の粉末同士のネックが成長して凝集(後述する凝集工程)が可能な温度である。温度TB1(焼結温度)は、1400℃以上1500℃以下であることが好ましく、1420℃以上1470℃以下であることがより好ましい。なお、時間HB1は、時間HB0から所定の時間だけ後の時間であるが、例えば時間HB0から0.5時間以上3時間以下後である。

0028

図3に示すように、時間HB1で温度TB1(焼結温度)に達したら、焼結装置30は、時間HB2まで、内部の温度を温度TB1のまま維持する。時間HB2は、時間HB1から所定の時間だけ後の時間であるが、例えば時間HB1から0.5時間以上5時間以下後である。焼結装置30は、時間HB2から時間HB3まで、内部の温度をTB1からTB0に低下させ、焼結処理を終了させる。このように、焼結装置30は、仮焼結型22から取り出された仮焼結体Dを、温度TB1(焼結温度)で焼結して、TiAl系金属間化合物焼結体Eを生成する。時間HB3は、時間HB2から所定の時間だけ後の時間であるが、例えば時間HB2から0.5時間以上10時間以下後である。

0029

次に、焼結体製造システム1によるTiAl系金属間化合物焼結体Eの製造フローを説明する。図4は、第1実施形態に係る焼結体製造システムによるTiAl系金属間化合物焼結体の製造フローを説明するフローチャートである。図4に示すように、焼結体製造システム1は、最初に、原料粉末Aとバインダとを混合して、混合体Bを生成する(ステップS10)。この混合体Bの生成処理は、機械によって行われてもよいし、作業者によって行われてもよい。混合体Bを生成した後、焼結体製造システム1は、金属粉末射出成型装置10により、混合体Bを成形型12内に射出成型して、成形体Cを成形する(ステップS12)。成形体Cを成形した後、焼結体製造システム1は、成形体Cを仮焼結型22に収納し(ステップS14)、仮焼結装置20により、仮焼結型22に収納された成形体Cを仮焼結して、仮焼結体Dを生成する(ステップS16)。仮焼結体Dを生成した後、焼結体製造システム1は、仮焼結体Dを仮焼結型22から取り出し(ステップS18)、焼結装置30により、仮焼結型22から取り出された仮焼結体Dを焼結して、TiAl系金属間化合物焼結体Eを生成する(ステップS20)。TiAl系金属間化合物焼結体Eの生成により、本処理は終了する。

0030

原料粉末AにはTi粉末とAl粉末が含有されている。このような原料粉末Aからなる成形体Cを焼結すると、いわゆるカーケンドル効果によってTi粉末(Ti相)内にAlが固溶及び拡散して、TiAl系金属間化合物粉末が生成される。そして、TiAl系金属間化合物粉末同士がネックを形成して結合(溶着)して、TiAl系金属間化合物焼結体Eが生成される。Ti粉末にAlが固溶及び拡散すると、Ti粉末が大きくなるため、Ti粉末同士の中心間距離が長くなり、結果として、体積膨張を起こす。従って、原料粉末Aを焼結した場合、体積膨張が生じるため、形状を保持することが困難となり、形状精度の向上が困難となる。また、焼結が進むと、体積膨張した後に収縮してTiAl系金属間化合物焼結体Eが生成されるが、一度体積膨張してしまうため、収縮した後の最終的な焼結密度が低下するという問題もある。特に、金属粉末射出成型法を用いる場合、成形形状を維持しつつ焼結を行う必要があるが、この体積膨張により、成形形状の維持が特に困難になるという課題がある。本実施形態に係る焼結体製造システム1は、焼結の前に、仮焼結型22に収納して仮焼結を行うことで、体積膨張を抑制し、形状精度の向上、及び焼結密度の低下の抑制を可能としている。以下、比較例と本実施形態との比較を行う。

0031

図5は、比較例に係る焼結工程を示す説明図である。比較例においては、仮焼結を行わず、成形体Cを脱脂、焼結してTiAl系金属間化合物焼結体EXを生成するものである。以下の説明では、Ti粉末をTi粉末Xとし、Al粉末をAl粉末Yとし、TiAl系金属間化合物粉末をTiAl系金属間化合物粉末Zとする。また、以下の説明では、添加金属粉末についての説明は省略する。図5に示すように、成形完了工程では、Ti粉末XとAl粉末Yとが成形体Cを形成している。成形完了工程とは、金属射出成型により成形体Cが成形された後で、焼結が開始される前である。成形完了工程におけるTi粉末X同士の中心間距離は、L1となっている。

0032

比較例においては、成形体Cを仮焼結型22などの型に入れずに加熱して、焼結を行う。成形体Cは、加熱されると、最初にバインダが脱脂される脱脂工程を経る。脱脂工程において、バインダが脱脂され、Ti粉末X及びAl粉末Yのみが残る。脱脂工程においては、Ti粉末XとAl粉末Yとは、反応が起きていないため、Ti粉末X同士の中心間距離は、L1のままである。脱脂工程からさらに温度が上がっていくと、固溶工程となる。固溶工程においては、Al粉末中のAlがTi粉末Xの周囲を覆い、Ti粉末X内への固溶を開始する。この固溶工程においては、AlがTi粉末Xの周囲を覆い、Ti粉末X内に固溶するため、Ti粉末Xが大きくなり、Ti粉末X同士の中心間距離が、L1よりも大きいL2となる。従って、固溶工程においては、全体的な体積膨張が起こり、成形体Cよりも体積が大きくなる。固溶工程からさらに温度が上がっていくと、拡散工程になる。拡散工程においては、Ti粉末X(Ti相)内に固溶したAlが拡散し、TiAl系金属間化合物粉末Zが生成する。拡散工程におけるTiAl系金属間化合物粉末Z同士の中心間距離は、L2のままである。

0033

拡散工程の後は、ネック形成工程となる。ネック形成工程においては、TiAl系金属間化合物粉末Z同士がネックを形成し、結合を開始する。ネック形成工程は、ネック形成を開始しているが、ネック成長(凝集)前であるため、TiAl系金属間化合物粉末Z同士の中心間距離は、L2のままである。ネック形成工程の後は、凝集工程となる。凝集工程においては、TiAl系金属間化合物粉末Z同士が形成したネックが成長して、TiAl系金属間化合物粉末Z同士が凝集し、TiAl系金属間化合物焼結体Exが生成される。凝集工程においては、TiAl系金属間化合物粉末Z同士の距離が小さくなり、TiAl系金属間化合物粉末Z同士の中心間距離が、L2よりも小さいL3となる。

0034

次に本実施形態について説明する。図6は、本実施形態に係る仮焼結工程及び焼結工程を示す説明図である。本実施形態は、少なくとも脱脂工程及び固溶工程を仮焼結工程で実行し、少なくとも凝縮工程を焼結工程で実行する。本実施形態においては、最初に、成形体Cを仮焼結型22内に収納して、仮焼結を行う。本実施形態における成形完了工程は、成形体Cを仮焼結型22内に収納した後であり、仮焼結を開始する前である。仮焼結型22内に収納された成形体Cは、仮焼結温度まで加熱されると、最初にバインダが脱脂される脱脂工程を経て、Ti粉末X及びAl粉末Yのみが残る。成形完了工程及び脱脂工程におけるTi粉末X同士の中心間距離は、L1である。脱脂工程は、例えば300℃以上に加熱された場合に起きる。

0035

脱脂工程からさらに温度が上がっていくと、固溶工程となる。固溶工程は、例えば400℃以上に加熱された場合に起こる。固溶工程においては、Al粉末中のAlがTi粉末Xの周囲を覆い、Ti粉末X内への固溶を開始する。この固溶工程においては、Ti粉末Xが膨張しようとするが、成形体Cと略同一形状である仮焼結型22に膨張が抑制され、成形体Cと略同一な形状が保持される。本実施形態の固溶工程においては、Ti粉末Xの膨張が比較例よりも抑制されるため、Ti粉末Xの中心間距離L4は、比較例における距離L2よりも小さくなる。すなわち、本実施形態においては、固溶工程における体積膨張が抑制される。

0036

固溶工程からさらに温度が上がっていくと、拡散工程となる。拡散工程においては、Ti粉末X(Ti相)内に固溶したAlが拡散(結合)し、TiAl系金属間化合物粉末Zが生成する。拡散工程におけるTiAl系金属間化合物粉末Z同士の中心間距離は、L4のままである。拡散工程からさらに温度が上がっていくと、ネック形成工程となる。ネック形成工程は、例えば900℃以上に加熱された場合に起こる。ネック形成工程においては、TiAl系金属間化合物粉末Z同士がネックを形成し、結合を開始する。ネック形成工程は、ネック形成を開始しているが、ネック成長(凝集)前であるため、TiAl系金属間化合物粉末Z同士の中心間距離は、L4のままである。なお、本実施形態においては、ネック形成工程までが仮焼結処理に含まれるが、仮焼結処理、すなわち仮焼結型22へ収納しておく工程は、少なくとも体積膨張が起こる固溶工程までであればよい。言い換えれば、仮焼結処理においては、Alの固溶(体積膨張)が終了していればよく、TiAl系金属間化合物粉末Zが生成していなくてもよい。また、仮焼結処理は、一部の凝集工程、すなわち凝集工程が完了していないが、ある程度凝集工程が始まった工程までを含んでもよい。

0037

本実施形態では、拡散工程において仮焼結処理を終了し、焼結処理に移る。すなわち、拡散工程が終了した後、仮焼結体Dを仮焼結型22から取り出し、焼結温度で焼結を実行する。焼結温度まで温度を上昇させていくと、凝集工程となる。凝集工程は、例えば1400℃以上に加熱された場合に起こる。凝集工程においては、TiAl系金属間化合物粉末Z同士のネックが成長して、TiAl系金属間化合物粉末Z同士が凝集し、TiAl系金属間化合物焼結体Eが生成される。凝集工程においては、TiAl系金属間化合物粉末Z同士の距離が小さくなり、TiAl系金属間化合物粉末Z同士の中心間距離が、L4よりも小さいL5となる。本実施形態においては、Ti粉末Xの体積膨張が抑えられているため、距離L5は、比較例のTiAl系金属間化合物焼結体Exにおける距離L3よりも小さくなる。本実施形態に係るTiAl系金属間化合物焼結体Eは、Ti粉末Xの体積膨張が抑えられるため、成形体Cからの形状変化が比較例よりも小さくなるため、形状精度が向上する。さらに、本実施形態に係るTiAl系金属間化合物焼結体Eは、Ti粉末Xの体積膨張が抑えられるため、距離L5が距離L3よりも小さいことが示すように、焼結密度の低下が抑制される。

0038

以上説明したように、本実施形態の焼結体製造システム1が実行するTiAl系金属間化合物焼結体Eの製造方法は、混合ステップと、射出成型ステップと、仮焼結ステップと、焼結ステップとを有する。混合ステップは、Ti粉末とAl粉末とバインダとを混合して混合体Bを得る。射出成型ステップは、混合体Bを金属射出成型機によって所定形状の成形体Cに成形する。仮焼結ステップは、内部に収納用空間を有する仮焼結型22内に成形体Cを収納して、予め定められた所定の仮焼結温度で焼結を行って仮焼結体Dを生成する。焼結ステップは、仮焼結体Dを仮焼結型22から取り出して、仮焼結温度よりも高い焼結温度で焼結を行って、TiAl系金属間化合物焼結体Eを形成する。

0039

本実施形態におけるTiAl系金属間化合物焼結体Eの製造方法は、Ti粉末とAl粉末とを混合して金属射出成型を行ってTiAl系金属間化合物焼結体Eを製造する上で、焼結の前に仮焼結を実行する。仮焼結においては、成形体Cが仮焼結型22内に収納されている。従って、この製造方法によると、Alの固溶工程におけるTi粉末Xの体積膨張を仮焼結型22によって抑制することが可能となり、TiAl系金属間化合物焼結体Eの形状精度を向上させつつ、焼結密度の低下を抑制することができる。

0040

本実施形態におけるTiAl系金属間化合物焼結体Eの製造方法において、仮焼結ステップは、Al粉末中のAlを、Ti粉末中のTiに対して固溶(固溶工程)させる。焼結ステップは、TiとそのTiに固溶したAlとが結合して形成されたTiAl系金属間化合物の粒子同士を凝集(凝集工程)させる。そして、仮焼結温度は、Alが固溶を開始する温度(Alの固溶工程が始まる温度)よりも高く、TiAl系金属間化合物の粒子同士が凝集を開始する温度(凝集工程が始まる温度)よりも低い。従って、本実施形態の製造方法は、Alの固溶工程、すなわちTi粉末Xの体積膨張がおきる工程で、Ti粉末Xを確実に仮焼結型22内に収納したままにすることができる。そのため、本実施形態の製造方法は、Ti粉末Xの体積膨張を抑制し、TiAl系金属間化合物焼結体Eの形状精度を向上させつつ、焼結密度の低下を抑制することができる。

0041

また、仮焼結温度は、400℃以上1400℃未満である。Alは、約400℃から固溶工程が始まるため、仮焼結温度を400℃以上とすることで、仮焼結型22によりTi粉末Xの体積膨張を抑制し、TiAl系金属間化合物焼結体Eの形状精度を向上させつつ、焼結密度の低下を抑制することができる。また、凝集工程は、1400℃を超えてから開始することがあるため、仮焼結温度を1400℃以下とすることで、焼結を適切に行うことができる。

0042

また、仮焼結温度は、900℃以上1400℃未満であることが好ましい。TiAl系金属間化合物粉末Zは、900℃以上からネック形成工程が始まるため、仮焼結終了時に、ネック形成によってTiAl系金属間化合物粉末Zの少なくとも一部が結合しており、仮焼結型22から取り出した際の形状保持性が向上する。従って、仮焼結温度を、900℃以上1400℃未満とすることで、より適切に焼結を行うことが可能となる。

0043

また、焼結温度は、1400℃以上1500℃以下であることが好ましい。仮焼結を行った後、この焼結温度で焼結を行うことで、TiAl系金属間化合物焼結体Eの形状精度を向上させつつ、焼結密度の低下を抑制することができる。

0044

また、射出成型ステップは、内部に成形用空間を有する成形型12内に、混合体Bを噴射して成形体Cを成形する。そして、仮焼結型22の収納用空間の形状及び大きさは、成形型12の成形用空間と略同一である。仮焼結型22は、成形型12と形状及び大きさが略同一であるため、Ti粉末Xの体積膨張を適切に抑制する。そのため、本実施形態に係る製造方法は、形状精度を向上させつつ、焼結密度の低下を抑制することができる。

0045

以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。

0046

1焼結体製造システム
10金属粉末射出成型装置
12成形型
20仮焼結装置
22 仮焼結型
30焼結装置
A原料粉末
B混合体
C成形体
D仮焼結体
ETiAl系金属間化合物焼結体
XTi粉末
YAl粉末
Z TiAl系金属間化合物粉末

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ