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技術 物理強化ガラスの製造方法及び製造装置

出願人 YKKAP株式会社
発明者 川底光広田村稔谷口卓児細川雪男杉崎剛史
出願日 2016年4月5日 (4年3ヶ月経過) 出願番号 2016-075946
公開日 2017年10月12日 (2年8ヶ月経過) 公開番号 2017-186197
状態 特許登録済
技術分野 ガラスの再成形、後処理、切断、輸送等
主要キーワード エアブロワー パイプ状ノズル 高温期間 本実施品 低温期間 数値解析結果 段階冷却 強化炉
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

均一な急冷能力を確保しつつ季節の変化などによるロットバラツキを抑制し、品質が安定した冷却方法を提供する。

解決手段

ガラス所定温度に加熱する工程と、前記所定温度に加熱したガラスに、ブロワーから供給されるブロワーエアとコンプレッサーで生成した圧縮エアを吹き付けて冷却する急冷工程と、急冷工程に続きガラスを少なくともブロワーエアで外気温度までさらに冷却する冷却工程とを有し、前記ガラスの表面に表面圧縮応力を生成する物理強化ガラスの製造方法であって、前記圧縮エアを第1の所定温度まで冷却する第1の冷却工程と、第1の冷却工程で前記第1の所定温度に冷却した圧縮エアを、除湿のためにさらに第2の所定温度まで冷却する第2の冷却工程とを有する。

概要

背景

強化ガラスの製造におけるガラス強化方法として、物理強化化学強化が知られている。物理強化されたガラス(物理強化ガラス)は、建材用の強化ガラスのように大面積板ガラスにおいて多用されている。物理強化方法では、加熱したガラスをエア等の流体急冷する方法が用いられている。
この方法は、概略的には、図8に示すように、切断して面取り洗浄を行った板ガラスを、熱処理工程においてまず600〜690℃まで加熱する。次に加熱した板ガラスの表面にエアを吹き付けて急冷(約550℃以下好ましくは500℃以下)し、さらに50℃以下(好ましくは室温程度)に冷却する。これによりガラスの表・裏面側に表面圧縮応力を発生させる。

ところで、物理強化ガラスは、ガラスの反射面のゆがみの原因になることから、加熱温度をより低温で急冷することが切望されている。
加熱したガラスを急冷するための冷却用エアとしては、ブロワー送風されるエア(ブロワーエアという)やコンプレッサー圧縮したエア(圧縮エアという)があるが、急冷にはブロワーより圧縮エアを使う方が有効である。

圧縮エアでガラスを冷却する方法は、例えば特許文献1(特表2006−500308号公報)、特許文献2(WO2008−20509号公報)などで提案されている。
しかし、圧縮エアのみでガラスの冷却を行う場合でも、圧縮エアは加圧時に外気よりも高温季節により35〜45℃以上)になる。吹き付け時には温度は下がるが、雰囲気温度が高いと圧縮エアの温度も高くなりその分ガラスの冷却が遅れる。また、この方法では、圧縮エアのエアタンクの容量を過度に大きくする必要があり、経済的に引き合わず実際にはあまり使用されていない。

そこで、ブロワーとコンプレッサーを併用してガラスを急冷する方法が提案されている。例えば、特許文献3(特許第4489214号)には、パイプ状ノズルからの圧縮エアにより、エジェクタ効果高圧流体加速することで低圧の空間を生成し、外部の流体を生成した低圧で吸引する効果)でブロワーエアによる冷却効率を上げる方法が記載されている。
強化ガラスの製造装置熱処理設備)は、投入されたガラス板を加熱する加熱ゾーンと、加熱した板ガラスを急冷する急冷ゾーンクエンチエリア)と、急冷後の板ガラスをさらに冷却する冷却ゾーンクーリングエリア)を含み、急冷ゾーンで板ガラスをエアで急冷するためのコンプレッサー、コンプレッサーで圧縮したエアを貯蔵するコンプレッサータンク、ブロワー等を備える。

ただ、この従来の強化ガラスの製造装置においても、急冷効果はコンプレッサーに取り込む空気の温度の影響を受け、気温(雰囲気温度)が比較的低いときは急冷ができても気温が上がると急冷能力下がり、安定した表面圧縮応力が得られないという問題がある。
とくに季節によって大幅な温度変動があると、エジェクタ効果を利用して冷却効率を高めても、一年を通じて常に同じ品質を維持することは困難である。

加えて、エジェクタ効果を発現するには、圧縮エアとブロワーエアの吹き出し口を近づける必要がある。そのために従来はパイプ状ノズルが用いられているが、パイプ状ノズルは、構造が複雑でありノズル清掃、調整、均一な冷却の維持は容易ではない。
したがって、ブロワーとコンプレッサーを併用して急冷する従来の熱処理方法では、この点からも安定した品質維持が困難である。

概要

均一な急冷能力を確保しつつ季節の変化などによるロットバラツキを抑制し、品質が安定した冷却方法を提供する。ガラスを所定温度に加熱する工程と、前記所定温度に加熱したガラスに、ブロワーから供給されるブロワーエアとコンプレッサーで生成した圧縮エアを吹き付けて冷却する急冷工程と、急冷工程に続きガラスを少なくともブロワーエアで外気温度までさらに冷却する冷却工程とを有し、前記ガラスの表面に表面圧縮応力を生成する物理強化ガラスの製造方法であって、前記圧縮エアを第1の所定温度まで冷却する第1の冷却工程と、第1の冷却工程で前記第1の所定温度に冷却した圧縮エアを、除湿のためにさらに第2の所定温度まで冷却する第2の冷却工程とを有する。

目的

本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、圧縮エアとブロワーエアを併用して板ガラスを冷却する方法において、均一な急冷能力を確保しつつ季節の変化などによるロット間バラツキを抑制し、品質が安定した冷却方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

ガラス所定温度に加熱する工程と、前記所定温度に加熱したガラスに、ブロワーから供給されるブロワーエアとコンプレッサーで生成した圧縮エアを吹き付けて冷却する急冷工程と、急冷工程に続きガラスを少なくともブロワーエアで外気温度までさらに冷却する冷却工程とを有し、前記ガラスの表面に表面圧縮応力を生成する物理強化ガラスの製造方法であって、前記圧縮エアを第1の所定温度まで冷却する第1の冷却工程と、前記第1の冷却工程で前記第1の所定温度に冷却した圧縮エアを、除湿のためにさらに第2の所定温度まで冷却する第2の冷却工程と、を有することを特徴とする物理強化ガラスの製造方法。

請求項2

請求項1に記載された物理強化ガラスの製造方法において、前記急冷工程において、圧縮エアを圧縮エアの導管に設けたオリフィスから前記ブロワーエアの導管中吐出し、前記ブロワーエアのオリフィスから前記ブロワーエアと共に、前記ガラスに吹き付けることを特徴とする物理強化ガラスの製造方法。

請求項3

ブロワーと、コンプレッサーと、ガラスを所定温度に加熱する装置と、前記加熱したガラスに前記ブロワーから供給されるブロワーエアと前記コンプレッサーで生成した圧縮エアを吹き付けて冷却する急冷装置と、前記急冷装置で冷却されたガラスを少なくともブロワーエアで外気温度までさらに冷却する冷却装置と、を備えた前記ガラスの表面に表面圧縮応力を生成する物理強化ガラスの製造装置であって、前記圧縮エアを第1の所定温度まで冷却する第1の冷却装置と、前記第1の冷却装置で前記第1の所定温度に冷却した圧縮エアを、除湿のためにさらに第2の所定温度まで冷却する第2の冷却装置と、を有することを特徴とする物理強化ガラスの製造装置。

請求項4

請求項3に記載された物理強化ガラスの製造装置において、前記圧縮エアのノズルは、前記ブロワーエアのノズル内に配置され、前記圧縮エアのノズルと、前記ブロワーエアのノズルは、同芯状に配置されそれぞれ複数のオリフィスを備えた円周面部分を有し、前記複数のオリフィス同士は、互いに前記同芯状の円弧半径方向同一直線上になるように配置したことを特徴とする物理強化ガラスの製造装置。

請求項5

請求項3又は4に記載された物理強化ガラスの製造装置において、前記第1の冷却装置は、水冷熱交換器であることを特徴とする物理強化ガラスの製造装置。

技術分野

0001

本発明は、物理強化ガラスの製造方法及び製造装置に関し、とくに物理強化ガラスの冷却ゾーンにおいて、ブロワーエアと圧縮エアを使用して冷却を行う方法及びその装置に関する。

背景技術

0002

強化ガラスの製造におけるガラス強化方法として、物理強化化学強化が知られている。物理強化されたガラス(物理強化ガラス)は、建材用の強化ガラスのように大面積板ガラスにおいて多用されている。物理強化方法では、加熱したガラスをエア等の流体急冷する方法が用いられている。
この方法は、概略的には、図8に示すように、切断して面取り洗浄を行った板ガラスを、熱処理工程においてまず600〜690℃まで加熱する。次に加熱した板ガラスの表面にエアを吹き付けて急冷(約550℃以下好ましくは500℃以下)し、さらに50℃以下(好ましくは室温程度)に冷却する。これによりガラスの表・裏面側に表面圧縮応力を発生させる。

0003

ところで、物理強化ガラスは、ガラスの反射面のゆがみの原因になることから、加熱温度をより低温で急冷することが切望されている。
加熱したガラスを急冷するための冷却用エアとしては、ブロワーで送風されるエア(ブロワーエアという)やコンプレッサー圧縮したエア(圧縮エアという)があるが、急冷にはブロワーより圧縮エアを使う方が有効である。

0004

圧縮エアでガラスを冷却する方法は、例えば特許文献1(特表2006−500308号公報)、特許文献2(WO2008−20509号公報)などで提案されている。
しかし、圧縮エアのみでガラスの冷却を行う場合でも、圧縮エアは加圧時に外気よりも高温季節により35〜45℃以上)になる。吹き付け時には温度は下がるが、雰囲気温度が高いと圧縮エアの温度も高くなりその分ガラスの冷却が遅れる。また、この方法では、圧縮エアのエアタンクの容量を過度に大きくする必要があり、経済的に引き合わず実際にはあまり使用されていない。

0005

そこで、ブロワーとコンプレッサーを併用してガラスを急冷する方法が提案されている。例えば、特許文献3(特許第4489214号)には、パイプ状ノズルからの圧縮エアにより、エジェクタ効果高圧流体加速することで低圧の空間を生成し、外部の流体を生成した低圧で吸引する効果)でブロワーエアによる冷却効率を上げる方法が記載されている。
強化ガラスの製造装置(熱処理設備)は、投入されたガラス板を加熱する加熱ゾーンと、加熱した板ガラスを急冷する急冷ゾーンクエンチエリア)と、急冷後の板ガラスをさらに冷却する冷却ゾーン(クーリングエリア)を含み、急冷ゾーンで板ガラスをエアで急冷するためのコンプレッサー、コンプレッサーで圧縮したエアを貯蔵するコンプレッサータンク、ブロワー等を備える。

0006

ただ、この従来の強化ガラスの製造装置においても、急冷効果はコンプレッサーに取り込む空気の温度の影響を受け、気温(雰囲気温度)が比較的低いときは急冷ができても気温が上がると急冷能力下がり、安定した表面圧縮応力が得られないという問題がある。
とくに季節によって大幅な温度変動があると、エジェクタ効果を利用して冷却効率を高めても、一年を通じて常に同じ品質を維持することは困難である。

0007

加えて、エジェクタ効果を発現するには、圧縮エアとブロワーエアの吹き出し口を近づける必要がある。そのために従来はパイプ状ノズルが用いられているが、パイプ状ノズルは、構造が複雑でありノズル清掃、調整、均一な冷却の維持は容易ではない。
したがって、ブロワーとコンプレッサーを併用して急冷する従来の熱処理方法では、この点からも安定した品質維持が困難である。

先行技術

0008

特表2006−500308号公報
WO2008−20509号公報
特許第4489214号

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、圧縮エアとブロワーエアを併用して板ガラスを冷却する方法において、均一な急冷能力を確保しつつ季節の変化などによるロットバラツキを抑制し、品質が安定した冷却方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、ガラスを所定温度に加熱する工程と、前記所定温度に加熱したガラスに、ブロワーから供給されるブロワーエアとコンプレッサーで生成した圧縮エアを吹き付けて冷却する急冷工程と、急冷工程に続きガラスを少なくともブロワーエアで外気温度までさらに冷却する冷却工程とを有し、前記ガラスの表面に表面圧縮応力を生成する物理強化ガラスの製造方法であって、前記圧縮エアを第1の所定温度まで冷却する第1の冷却工程と、前記第1の冷却工程で前記第1の所定温度に冷却した圧縮エアを、除湿のためにさらに第2の所定温度まで冷却する第2の冷却工程と、を有することを特徴とする物理強化ガラスの製造方法である。
本発明は、ブロワーと、コンプレッサーと、ガラスを所定温度に加熱する装置と、前記加熱したガラスに前記ブロワーから供給されるブロワーエアと前記コンプレッサーで生成した圧縮エアを吹き付けて冷却する急冷装置と、前記急冷装置で冷却されたガラスを少なくともブロワーエアで外気温度までさらに冷却する冷却装置と、を備えた前記ガラスの表面に表面圧縮応力を生成する物理強化ガラスの製造装置であって、前記圧縮エアを第1の所定温度まで冷却する第1の冷却装置と、前記第1の冷却装置で前記第1の所定温度に冷却した圧縮エアを、除湿のためにさらに第2の所定温度まで冷却する第2の冷却装置と、を有することを特徴とする物理強化ガラスの製造装置である。

発明の効果

0011

本発明によれば、圧縮エアとブロワーエアを併用して板ガラスを冷却する方法において、均一な急冷能力を確保しつつ季節の変化などによるロット間バラツキを抑制し、品質が安定した冷却方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0012

本実施形態で実行する板ガラスに物理強化処理を施す際における、熱処理の手順を図8から抜き出し拡大した図である。
圧縮エアとブロワーエアを併用する場合の圧縮エアの系統図であり、図2Aは、従来の系統図、図2Bは、本実施形態に係る系統図を示す図である。
圧縮エアの冷却装置を模式的に示す図であり、図3Aは、本実施形態に係る圧縮エアの冷却装置であり、図3Bは、従来の圧縮エアの冷却装置である。
図4Aは、比較のため従来のパイプ状ノズルを備えたエアノズルの断面図であり、図4Bは、本実施形態の強化ガラスの製造装置で用いるエアノズルの断面図である。
急冷ゾーン(クエンチエリア)における圧縮エアノズルを内部に備えたノズルの配置例を示す図である。
ブロワーエアと圧縮エアを併用した比較例と本実施形態による急冷効果についてのシミュレーションに基づく数値解析結果を示す図である。
図7A、7Bは、本発明の実施例と比較例との性能比較結果を示す図であり、図7Cは、本発明の実施例におけるガラス厚毎の、表面圧縮応力と、板ガラスに発生するローラーウェーブ実測値を示す図である。
従来の強化ガラスの製造工程を概略的に示す図である。

実施例

0013

本発明をその実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態で実行する板ガラスに物理強化処理を施す際における、熱処理の手順を図8から抜き出し拡大した図である。
即ち、本発明で実施する物理強化処理により板ガラス、例えばソーダライムガラスを強化する際に、まず板ガラスを加熱炉内で約600〜690℃まで加熱し、加熱した板ガラスを加熱炉から出して搬送ローラで急冷ゾーンに搬送する。急冷ゾーンでは加熱した板ガラスを次の冷却ゾーンに搬送しながらその表面にエアを吹き付けて約500℃以下に急冷する。冷却ゾーンでは、板ガラスを所定回数往復動させ、例えば50℃以下になるまで冷却する。
なお、本実施形態では、急冷工程においては、圧縮エアとブロワーエアを併用するが、その後の冷却工程ではブロワーエアのみを用いて冷却を行ってもよい。

0014

図2は、圧縮エアとブロワーエアを併用する場合の圧縮エアの系統図であり、図2Aは、従来の系統図、図2Bは、本実施形態に係る系統図を示す。
比較のため、まず、従来の圧縮エアの系統について説明する。
従来の圧縮エアの系統は、図2Aに示すように、導管11、13、24で順に接続されたコンプレッサー10と、熱交換器エアドライヤ)12と、エアタンク14と、エアノズル20で構成されている。
この構成において、コンプレッサー10で所望の圧縮比で圧縮した圧縮エアを、導管11でエアドライヤ12に導入し、次にエアドライヤ12で脱水し、脱水したエアを導管13でエアタンクに導きエアタンク14に溜める。急冷時にはブロワー16からのブロワーエアと共にエアタンク14から導管24を介して供給される圧縮エアをエアノズル20から加熱した板ガラスに吹付ける。

0015

これに対し、本実施形態の圧縮エアの系統は、図2Bに示すように、従来の圧縮エア系統におけるエアドライヤ12の前段に冷却装置(水冷クーラー)18を配置して、次のエアドライヤ12と共に圧縮エアに対して2段階冷却装置を構成する。
本圧縮エア系統では、コンプレッサー10からの圧縮エアは導管11により水冷クーラー18に導入される。水冷クーラー18では、コンプレッサー10で35〜45℃程度(或いはそれ以上)に昇温された圧縮エアを、第1の所定温度(ガラスに吹き付ける圧縮エアの温度及び次段のエアドライヤ12の冷却能力を考慮して定めた所定の温度;例えば25℃)まで冷却する。次に、冷却した圧縮エアを導管11aによりエアドライヤ12に導入し、エアドライヤ12でさらに第2の所定温度まで冷却(例えば20℃以下に冷却)して、導管13を介してエアタンク14に蓄積する。加熱した板ガラスの冷却時には、エアタンク14から導管24を介して供給した圧縮エアを、ブロワーエアと共にエアノズル20を通してガラス面に吹き付ける。なお、圧縮エアの温度維持のために、導管11、11a、13、24、エアタンク14等は断熱することが望ましい。

0016

図3は、圧縮エアの冷却装置を模式的に示す図であり、図3Aは、本実施形態に係る圧縮エアの冷却装置であり、図3Bは、従来の圧縮エアの冷却装置である。
本実施形態に係る2段階冷却装置は、図3Aに示すように水冷クーラー18とエアドライヤ12とから成る。ここで、水冷クーラー18は、装置内に略U字状に配置されたパイプ18aと、パイプ18aに対して垂直になるように等間隔に配置された複数の邪魔板18bを備えている。パイプ18a中には図示しない供給源から適宜供給される冷却用の水(冷却水)がパイプ18aの一端部(入口)から導入され、他端部(出口)に向かって流動する。

0017

圧縮エア入口には、コンプレッサー10で例えば45℃に昇温された圧縮エアが導管11により圧縮エア入口に導入され、ここで第1の所定温度(例えば25℃)に冷却される。
即ち、導入された圧縮エアは、水冷クーラー18中で、複数の邪魔板18bで区画された領域を通り抜けながらエアドライヤ12に向かって流動する。その流動中に、圧縮エアはパイプ18b中を流動する冷却水により第1の所定温度に冷却される。なお、圧縮エア中の水蒸気の一部は凝縮して水滴となって結露水のドレン18cを通して機外に排出される。

0018

第1の所定温度に冷却された圧縮エアは、次に、エアドライヤ12に導入され、以後は、従来と同様に冷却して脱水(除湿)処理が行われる。即ち、エアドライヤ12に導入された圧縮エアは、まず、出口に向かう、より低温の先に導入済みの圧縮エアとの熱交換により冷却され、次に、U字状に配置されたパイプ12aに対して垂直かつ等間隔に配置された複数の邪魔板12bで区画された領域を流動し、その間にパイプ12a中を流動する適宜の冷媒により冷却される。ここで圧縮エア中の水蒸気は凝縮して結露水としてドレン12cを通して機外に排出される。圧縮エアは、次に後から導入されてくる圧縮エアと熱交換しながら若干昇温した状態(20℃以下(第2の所定温度)の状態)で出口に向かって流動する。

0019

図3Bは、比較のため示した従来のエアドライヤ12であるが、その構造は本実施形態におけるエアドライヤ12と同様である。
従来のエアドライヤ12だけの構造では、コンプレッサー10で35〜45℃程度に昇温された圧縮エアが直接エアドライヤ12に導入される。エアドライヤ12自体は、本実施形態で説明したものと同じ構造であり圧縮エアを冷却する(なお従来は、圧縮エアは冷却後に改めて図示のヒータHで加熱して元の温度に戻してエアタンク14に導入される)。
そのため、外気の温度の変動により、コンプレッサー10からエアドライヤ12に流入する圧縮エアの温度が変化すると、それに伴い板ガラスに吹き付ける圧縮エアの温度も変化する。そのため、例えば夏季などの高温期間冬季などの低温期間における温度差の影響で、製造される強化ガラスのロット間に季節ごとの品質差が生じ、四季を通じて同じ表面圧縮応力を備えた品質一様な強化ガラスを得ることはできない。

0020

これに対し、本実施形態では、上述のように冷却を2段階で行い、圧縮時に35〜45℃程度に昇温した圧縮エアの温度を、1段目でコンプレッサー10から導入される圧縮エアを第1の所定温度まで降温し、その上で2段目のエアドライヤ12で除湿処理のため冷却・脱水が行われ、第2の所定温度まで冷却される。また、本実施形態では、除湿処理した圧縮エアを従来のようにヒータで加熱して元の温度まで昇温することなく、エアタンク14に導入する。
したがって、本実施形態では、エアドライヤ12に流入する圧縮エアの外気温度の変動の影響が抑制され、エアドライヤ12から出てくる圧縮エアの温度は従来よりも低温(第2の所定温度)でほぼ一定にできる。つまり、本実施形態によれば、エアブロワーからのブロワーエアの温度変動も緩和され、季節などに関わらず比較的安定した温度のエアをエアタンク14に供給可能である。その結果、従来方法に対して相対的に高く安定した表面圧縮応力を外気温の変化に関わらずに生成することができる。
なお、図3は、一例を示すものであって、2段階で冷却する方法であれば本発明に包含される。また、好ましくは圧縮エアの場合と同様に、ブロワーエアを低温化する手段を付加することもできる。

0021

次に、本実施形態の強化ガラスの製造装置で用いるエアノズルについて説明する。
図4Aは、比較のため従来のパイプ状ノズルを備えたエアノズルの断面図であり、図4Bは、本実施形態の強化ガラスの製造装置で用いるエアノズル20の断面図である。

0022

まず、従来の冷却用のエアノズル20(1)は、図4Aに示すように、ブロワーエアの導管22(1)の閉じた端部に形成された複数のオリフィス22(1)aと、ブロワーエアの導管22(1)内に配置された圧縮エアの導管24(1)の閉じた端部に形成されたパイプ状のノズル24(1)aで構成されている。ここで従来のエアノズル20(1)では、エジェクタ効果を発現するために、パイプ状のノズル24(1)aの吹き出し口はオリフィス22(1)aの近傍に配置されている。
そのため、既に指摘したようにノズルの形状・構造が複雑で、かつその清掃や調整が困難なため、冷却状態を均一に維持することが困難であり、経済性や安定性等で問題がある。

0023

これに対し、本実施形態の強化ガラスの製造方法で用いるエアノズル(以下、本実施形態のエアノズルという)20は、ブロワーエアをエアドライヤ12からその吹き出し端に導く導管22の終端部に形成されたブロワーエア用ノズル22aと、圧縮エアをエアタンク14から吹き出し端に導く導管24の端部に形成された圧縮エア用ノズル24aとからなる2重管式のものである。

0024

ブロワーエア用ノズル22aは、板ガラス35(図5)の幅方向図4紙面に対して垂直方向)において、板ガラス35以上の幅を有するブロワーエアの導管22の閉じた断面半円形の端部において、半円形の周面に沿ってその径方向に設けた複数のオリフィスで構成されている。
圧縮エア用ノズル24aは、ブロワーエアの導管22中においてその幅方向に挿入された圧縮エアの断面円形の導管24の半周面に、ブロワーエア用ノズル22aのオリフィスに対応して設けたその径方向に複数のオリフィスで構成されている。なお、好ましくは、圧縮エアの導管24とブロワーエアの導管22の断面半円形部分は同芯状であり、かつブロワーエア用ノズル22aと圧縮エア用ノズル24aの各オリフィスは同一直線上に配置される。
なお、図4Bは圧縮エア用ノズルの一例を示すものであって、ブロワーエアの導管が丸パイプ等で構成され、ブロワーエア用ノズルと圧縮エア用ノズルが同芯状であるものであってもよい。

0025

以上の構成において、冷却処理時にエアタンク14から供給される圧縮エアは、圧縮エア用ノズル24aのオリフィスからブロワーエアの導管22内に吹き出し、そこでブロワーエアと混じり合ってブロワーエア用ノズル22aのオリフィスから吹き出す。
本実施形態では、圧縮エア用ノズルは、単に圧縮エアの導管の周面に複数のオリフィスを設けただけの構成であるから、経済的にみて従来のパイプ状ノズルよりも有利である。さらに、ノズルの構造が単純であるため、その調整や清掃も不要であり常に安定した状態で板ガラスを急冷することができる。
なお、本発明は、圧縮エアが圧縮エア用ノズル24aのオリフィスからブロワーエアの導管22内に吹き出し、そこでブロワーエアと混じり合ってブロワーエア用ノズル22aのオリフィスから吹き出すものであればよく、ここで説明する実施形態に限定されない。

0026

また、本実施形態では、2段階で冷却を行うことで従来よりも低温の圧縮エアを用いるため、ブロワーエアのオリフィスからの噴出流に圧縮エアの噴出流を重ねるいわゆるエジェクタ効果を利用しなくても、或いは圧縮エアのエアタンクの容量を過度に大きくしなくとも従来と同等以上の急冷ができる。したがって、この面からも得られる強化ガラスの品質及び経済性において有利な効果が得られる。

0027

図5は、急冷ゾーン(クエンチエリア)におけるエアノズル20を内部に備えたノズルの配置例を示す斜視図である。
クエンチエリアにおいては、ノズルは、ローラ30上を移送されてくる加熱されたガラスの両面側に複数個等間隔に、かつ上下で互い違いになるように配置される。
加熱した板ガラス35は、圧縮エアとブロワーエアの両方を用いてその表裏両面からエアが吹き付けられて上述のように急冷される。なお図中32は、板ガラス35のガイド部材である。

0028

以上説明したとおり、本実施形態によれば、物理ガラスにおいて、薄板での高表面圧応力付与、急冷能力を確保しながら、板内バラツキ防止(歪、応力分布のバラツキ防止)、圧縮エアの温度コントロールによる季節変化によるロット間バラツキを抑制することができる。

0029

具体的には、ブロワー16とコンプレッサー10を併用する物理強化炉において、とくに気温30℃以上のときでも、圧縮エアを気温以下にコントロールすることができる。これにより、板厚が例えば2.7mm以上のソーダライムガラスを材料にして、表面圧縮応力100MPa以上の熱強化ガラスを製造することができる。また、板厚4.7mm以上で表面圧縮応力150MPa以上の熱強化ガラスを、歪みを抑えて製造することもできる。

0030

次に、以上で説明した本発明の実施形態について、その効果を確認する為に行った、シミュレーションに基づく数値解析結果と、実際に行った強化ガラス製造における比較例との比較結果について説明する。
図6は、ブロワーエアと圧縮エアを併用した比較例と本実施形態による急冷効果についてのシミュレーションに基づく数値解析結果を示す図である。
図6Aは、板ガラスの厚み6mmの場合における、比較例A〜Cと本発明との比較結果を示す。
即ち、板ガラス冷却用にいずれもエアを用いた場合であって、比較例Aはブロワーエアのみを用いた場合、比較例B、Cは圧縮エアとブロワーエアを併用した場合を示す。
(比較例A;ブロワーのみ使用)
ブロワーエアの風圧は12kPa、ブロワーエアの温度は45℃、板ガラスの加熱温度は650℃としたとき、急冷開始から3秒後の板ガラスの温度は525℃であり、結果として得られた表面圧縮応力は、200MPaであった。

0031

(比較例B;2重管構造、但しパイプ状ノズル)
圧縮エアの風圧は、300kPa、ブロワーエアの風圧は9kPa、圧縮エアの温度25℃、ブロワーエアの温度は45℃、板ガラスの加熱温度は650℃としたとき、急冷開始から3秒後の板ガラスの温度は483℃であり、結果として得られた表面圧縮応力は、220MPaであった。
(比較例C;2重管構造、但し1段冷却
圧縮エアの風圧は、300kPa、ブロワーエアの風圧は9kPa、圧縮エア(2重管構造但しパイプ状ノズルなし)の温度25℃、ブロワーエアの温度は45℃、板ガラスの加熱温度は650℃としたとき、急冷開始から3秒後の板ガラスの温度は489℃であり、結果として得られた表面圧縮応力は、200MPaであった。

0032

(本発明の実施例;2重管構造、2段冷却)
圧縮エアの風圧は、300kPa、ブロワーエアの風圧は9kPa、圧縮エア(2重管構造、但しパイプ状ノズルなし)の温度20℃、ブロワーエアの温度は45℃、板ガラスの加熱温度は650℃としたとき、急冷開始から3秒後の板ガラスの温度は463℃であり、結果として得られた表面圧縮応力は、220MPaであった。

0033

図6Bは、板ガラスの厚み5mmの場合における、比較例A、B、比較例Cと本実施品との比較結果を示す。
(比較例A)
ブロワーエアの風圧は12kPa、ブロワーエアの温度は45℃、板ガラスの加熱温度は650℃としたとき、結果として得られた表面圧縮応力は、180MPaであった。

0034

(比較例B)
圧縮エア(2重管構造、但しパイプ状ノズルあり)の風圧は、300kPa、ブロワーエアの風圧は9kPa、圧縮エアの温度25℃、ブロワーエアの温度は45℃、板ガラスの加熱温度は650℃としたとき、結果として得られた表面圧縮応力は、195MPaであった。
(比較例C)
圧縮エアの風圧は、300kPa、ブロワーエアの風圧は9kPa、圧縮エア(2重管構造、但しパイプ状ノズルなし)の温度25℃、ブロワーエアの温度は45℃、板ガラスの加熱温度は650℃としたとき、結果として得られた表面圧縮応力は、185MPaであった。

0035

(本発明の実施例)
圧縮エアの風圧は、300kPa、ブロワーエアの風圧は9kPa、圧縮エア(2重管構造但しパイプ状ノズルなし)の温度20℃、ブロワーエアの温度は45℃、板ガラスの加熱温度は650℃としたとき、結果として得られた表面圧縮応力は、195MPaであった。
以上の比較から明らかなように、本実施例の場合は、パイプ状ノズルを使用しないにも関わらず、得られる冷却効果(したがって表面圧縮応力)が高いことが証明された。加えて、既に述べたように雰囲気温度の影響が抑制されるため、季節に関わらず、或いは雰囲気温度に関わらず常に安定した表面圧縮応力を得ることができる。

0036

以上の数値解析結果から、本実施例の場合は、ブロワーエアのみを用いた比較例A、及びノズルを本実施例と同じにして従来と同様の1段冷却を行った比較例Cに比べてより大きな表面圧縮応力が得られること、またパイプ状ノズルを用いなくとも、パイプ状ノズルを用いた場合と同等以上の表面圧縮応力が得られることが分かった。

0037

図7A、7Bは、本発明の実施例と比較例との性能比較結果を示す図であり、図7Cは、本発明の実施例におけるガラス厚毎の、表面圧縮応力と、板ガラスに発生するローラーウェーブの実測値を示す図である。
なお、比較例は、図6で説明した比較例Cに対応する。
ここでは、(i)ガラス厚5.7mmで、面積が600×900mm、(ii)ガラス厚4.7mmで、面積が600×900mmについて行った性能確認結果を示す。
(i)ガラス厚5.7mmで、面積が600×900mm
ここで、ガラス加熱温度(660〜665℃)、クエンチ搬送速度(0.6〜1.0m/min)、ブロワ風圧(8.7kPa)、ブロワ風温(35℃)、圧縮エア比(450kPa)は比較例及び本実施例とも共通とし、圧縮エア温度のみが比較例では、25℃であるところ、本実施例では、17℃であった。その結果、表面圧縮応力は、比較例では、203MPaであるのに対し、本実施例では225MPaであることが確認できた。

0038

(ii)ガラス厚4.7mmで、面積が600×900mm
ここで、ガラス加熱温度(660〜665℃)、クエンチ搬送速度(0.6〜1.0m/min)、ブロワ風圧(8.7kPa)、ブロワ風温(35℃)、圧縮エア比(450kPa)は、比較例及び本実施例とも共通とし、圧縮エア温度のみが比較例では、25℃であるところ、本実施例では、17℃であった。その結果、表面圧縮応力は、比較例では、185MPaであるのに対し、本実施例では198MPaであることが確認できた。

0039

以上から、いずれの板厚のガラス板においても、本発明の実施例によるときは、圧縮エアの温度を1段冷却の場合に比べてより低温にできるため、表面圧縮応力が増大している、つまりより強化されていることが確認できた。

0040

図7Cは、ガラス厚ごとに、生成された表面圧縮応力と、処理中に発生するローラーウェーブの大きさを示す図である。
図示のように、ガラス厚が6(5.7〜5.8)mm、5(4.7〜4.8)mm、4(3.7〜3.8)mm、3(2.7〜2.8)mmの板ガラスに本発明の強化ガラス方法を適用して熱処理を行ったところ、それぞれ、225MPa、198MPa、175MPa、130MPaの表面圧縮応力が生成された。また、その際に生成されるローラーウェーブは、ガラス厚が6(5.7〜5.8)mm、5(4.7〜4.8mmの板ガラスにおいて、0.3mm未満、ガラス厚が4(3.7〜3.8)mmのものでは、0.5mm未満であった。
このように、加熱板ガラスに対して本発明による急冷を実行することで、比較的高い表面圧縮応力が生成されるとともに、ローラーウェーブも無視し得るレベルであることが分かった。

0041

10・・・コンプレッサー、12・・・エアドライヤ、12a・・・パイプ、12b・・・邪魔板、12c・・・ドレン、14・・・エアタンク、16・・・ブロワー、18・・・水冷クーラー、18a・・・パイプ、18b・・・邪魔板、18c・・・ドレン、20・・・エアノズル、30・・・ローラ、35・・・板ガラス。

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