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技術 垂直磁気記録媒体の製造方法

出願人 富士電機株式会社国立大学法人東北大学
発明者 菊池洋人島津武仁
出願日 2016年3月31日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-072191
公開日 2017年10月5日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-182861
状態 特許登録済
技術分野 磁気記録媒体の製造 磁気記録担体
主要キーワード アモルファス金属層 二次成長 二重保護 CAP層 シリコン酸化窒化物 規則度 比熱容量 ヒートシンク層
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

磁気ヘッド浮上性がよく、耐食性に優れた保護層を含む磁気記録媒体の製造方法を提供すること。

解決手段

基板と、規則合金及び非磁性粒界材料を含む磁気記録層と、保護層とを含む磁気記録媒体の製造方法に関する。この方法は(a)前記基板を準備する工程と、(b)前記規則合金を構成する元素と、前記非磁性粒界材料とをスパッタして、第1磁性層と、前記第1磁性層上に前記非磁性粒界材料からなる簿層とを含む磁気記録層を形成する工程と、(c)前記保護層を形成する工程とを含み、前記工程(b)において、スパッタ時のガス圧が1.5Pa以上に設定し、前記非磁性粒界材料からなる簿層が前記第1磁性層上に形成されることを特徴とする。この方法の前記工程(b)は、前記磁気記録層の形成前に、規則合金−C層からなる第2磁性層を形成する工程を更に含むことができる。

概要

背景

近年、コンピューターなどの情報処理機器で取り扱う情報量の増加及び情報処理機器の小型化に伴って、情報記録装置の記憶容量の増大が図られ、情報記録装置に使用される磁気記録媒体に求められる記憶容量は増加の一途を辿っている。

磁気記録高密度化を実現する技術として、垂直磁気記録方式が採用されている。垂直磁気記録媒体は、基板と、硬質磁性材料から形成される磁気記録層を少なくとも含む。垂直磁気記録媒体は、任意選択的に、軟磁性材料から形成されて、磁気ヘッドが発生する磁束を磁気記録層に集中させる役割を担う軟磁性裏打ち層、磁気記録層の硬質磁性材料を目的の方向に配向させるための下地層、磁気記録層の表面を保護する保護層などを更に含んでもよい。

良好な磁気特性を得ることを目的として、グラニュラー磁性材料を用いて垂直磁気記録媒体の磁気記録層を形成することが提案されている。グラニュラー磁性材料は、規則合金からなる磁性結晶粒と、磁性結晶粒の周囲を取り囲むように偏析した非磁性粒界材料からなる粒界部分とを含む。グラニュラー磁性材料中の個々の磁性結晶粒は、非磁性粒界材料の粒界部分によって磁気的に分離されている。

磁気記録媒体の記録密度引き上げるには、磁気ヘッドの保護層の厚さ、磁気ヘッド最表面と磁気記録媒体最表面の間隔(ヘッド浮上高さ)、磁気記録媒体の潤滑層の厚さなどを更に薄くすることが必要とされている。

また、磁気記録媒体の信頼性を向上させるには、特に、保護層に十分な信頼性を確保することが望まれる。即ち、保護層には、耐食性摺動耐久性磁気ヘッド浮上性が求められ、薄膜化しても従来と同様の信頼性を有することが求められる。しかし、従来の方法で形成された保護層は諸性能に関して十分な信頼性を得られていないことがあった。

そこで、かかる問題を改善するため、例えば特開平9−138943号公報(特許文献1)に記載の発明が提案されている。すなわち特許文献1では、磁性層と保護層との間にSi、Ge、Sn等を材料とした下地層を介在させて、これを緩衝膜とすることでカーボン層である保護層の残留歪を低減させている。これにより摺動耐久性を改善し、緩衝膜と保護層の合計の薄膜化を図るとしているが、まだ不十分である。

特開2008−176915号公報(特許文献2)、特開2008−192288号公報(特許文献3)及び特開2008−234828号公報(特許文献4)では、耐摩耗性、耐食性に優れた二重保護層が提案されている。二重保護層中の下地層として、アルミニウム酸化窒化物シリコン酸化窒化物、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo又はWからなる遷移金属酸化窒化物が提案されている。この下地層によって、保護層であるカーボン層の応力補償し、カーボン層が磁性層に効果的に付着し、強固で安定した接合を形成するとしている。

しかしながら、保護層の厚みが小さくなると、保護層のミクロ的粗密が大きくなることから潤滑層を設ける場合、その潤滑層の膜厚偏りが発生し、磁気ヘッドの浮上性が不安定になることが問題になっている。

また、特開2014−49156号公報(特許文献5)には、磁性層上にアモルファス金属層を形成し、その上にカーボン層を形成することで、保護層の膜厚を薄くしても良好な磁気ヘッド浮上性及び耐食性が得られることが示されている。この文献に記載の記録媒体でも、アモルファス金属層を形成する工程が必要となる。

更に、特開2011−154746号公報(特許文献6)には、高い記録密度を有する熱アシスト磁気記録媒体が開示されている。この熱アシスト磁気記録媒体は、少なくとも基板上に第1の磁性層と第2の磁性層を含む磁性層を有し、第1の磁性層が、FePt規則合金とSiO2非磁性粒界材料を含むグラニュラー磁性材料を含み、非磁性粒界材料の含有率が基板から磁性層表面側に向かって減少しているものである。この文献は、熱アシスト磁気記録媒体の保護層に関する磁気ヘッド浮上性及び耐食性については何ら着目していない。従って、この文献には、保護層との関係において、磁気ヘッド浮上性及び耐食性の特性を改善するための磁気記録媒体の製造方法への言及はない。

概要

磁気ヘッドの浮上性がよく、耐食性に優れた保護層を含む磁気記録媒体の製造方法を提供すること。基板と、規則合金及び非磁性粒界材料を含む磁気記録層と、保護層とを含む磁気記録媒体の製造方法に関する。この方法は(a)前記基板を準備する工程と、(b)前記規則合金を構成する元素と、前記非磁性粒界材料とをスパッタして、第1磁性層と、前記第1磁性層上に前記非磁性粒界材料からなる簿層とを含む磁気記録層を形成する工程と、(c)前記保護層を形成する工程とを含み、前記工程(b)において、スパッタ時のガス圧が1.5Pa以上に設定し、前記非磁性粒界材料からなる簿層が前記第1磁性層上に形成されることを特徴とする。この方法の前記工程(b)は、前記磁気記録層の形成前に、規則合金−C層からなる第2磁性層を形成する工程を更に含むことができる。

目的

特開平9−138943号公報
特開2008−176915号公報
特開2008−192288号公報
特開2008−234828号公報
特開2014−49156号公報
特開2011−154746号公報






上述のように、磁気ヘッドの浮上性及び耐食性に優れた保護層を得ることを目的とした

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

基板と、規則合金及び非磁性粒界材料を含む磁気記録層と、保護層とを含む磁気記録媒体の製造方法であって、(a)前記基板を準備する工程と、(b)前記規則合金を構成する元素と、前記非磁性粒界材料とをスパッタして、第1磁性層と、前記第1磁性層上に前記非磁性粒界材料からなる簿層とを含む磁気記録層を形成する工程と、(c)前記保護層を形成する工程とを含み、前記工程(b)の磁気記録層の形成において、スパッタ時のガス圧が1.5Pa以上に設定し、前記非磁性粒界材料からなる簿層が前記第1磁性層上に形成されることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。

請求項2

前記工程(b)は、前記磁気記録層の形成前に、規則合金を構成する元素と、炭素(C)をスパッタして、第2磁性層を形成する工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。

請求項3

前記規則合金は、Fe及びCoからなる群から選択される少なくとも1つの元素と、Pt、Pd、Au及びIrからなる群から選択される少なくとも1つの元素とを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の磁気記録媒体の製造方法。

請求項4

前記非磁性粒界材料は、C、B、Ag、Ge、W、SiO2、Al2O3、TiO2、GeO2及びB2O3からなる群から選択される少なくとも1種の材料を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。

請求項5

前記規則合金がFePtであり、前記非磁性粒界材料がSiO2であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、磁気記録媒体の製造方法に関する。具体的には、ハードディスク磁気記録装置(HDD)に用いられる磁気記録媒体の製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、コンピューターなどの情報処理機器で取り扱う情報量の増加及び情報処理機器の小型化に伴って、情報記録装置の記憶容量の増大が図られ、情報記録装置に使用される磁気記録媒体に求められる記憶容量は増加の一途を辿っている。

0003

磁気記録高密度化を実現する技術として、垂直磁気記録方式が採用されている。垂直磁気記録媒体は、基板と、硬質磁性材料から形成される磁気記録層を少なくとも含む。垂直磁気記録媒体は、任意選択的に、軟磁性材料から形成されて、磁気ヘッドが発生する磁束を磁気記録層に集中させる役割を担う軟磁性裏打ち層、磁気記録層の硬質磁性材料を目的の方向に配向させるための下地層、磁気記録層の表面を保護する保護層などを更に含んでもよい。

0004

良好な磁気特性を得ることを目的として、グラニュラー磁性材料を用いて垂直磁気記録媒体の磁気記録層を形成することが提案されている。グラニュラー磁性材料は、規則合金からなる磁性結晶粒と、磁性結晶粒の周囲を取り囲むように偏析した非磁性粒界材料からなる粒界部分とを含む。グラニュラー磁性材料中の個々の磁性結晶粒は、非磁性粒界材料の粒界部分によって磁気的に分離されている。

0005

磁気記録媒体の記録密度引き上げるには、磁気ヘッドの保護層の厚さ、磁気ヘッド最表面と磁気記録媒体最表面の間隔(ヘッド浮上高さ)、磁気記録媒体の潤滑層の厚さなどを更に薄くすることが必要とされている。

0006

また、磁気記録媒体の信頼性を向上させるには、特に、保護層に十分な信頼性を確保することが望まれる。即ち、保護層には、耐食性摺動耐久性磁気ヘッド浮上性が求められ、薄膜化しても従来と同様の信頼性を有することが求められる。しかし、従来の方法で形成された保護層は諸性能に関して十分な信頼性を得られていないことがあった。

0007

そこで、かかる問題を改善するため、例えば特開平9−138943号公報(特許文献1)に記載の発明が提案されている。すなわち特許文献1では、磁性層と保護層との間にSi、Ge、Sn等を材料とした下地層を介在させて、これを緩衝膜とすることでカーボン層である保護層の残留歪を低減させている。これにより摺動耐久性を改善し、緩衝膜と保護層の合計の薄膜化を図るとしているが、まだ不十分である。

0008

特開2008−176915号公報(特許文献2)、特開2008−192288号公報(特許文献3)及び特開2008−234828号公報(特許文献4)では、耐摩耗性、耐食性に優れた二重保護層が提案されている。二重保護層中の下地層として、アルミニウム酸化窒化物シリコン酸化窒化物、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo又はWからなる遷移金属酸化窒化物が提案されている。この下地層によって、保護層であるカーボン層の応力補償し、カーボン層が磁性層に効果的に付着し、強固で安定した接合を形成するとしている。

0009

しかしながら、保護層の厚みが小さくなると、保護層のミクロ的粗密が大きくなることから潤滑層を設ける場合、その潤滑層の膜厚偏りが発生し、磁気ヘッドの浮上性が不安定になることが問題になっている。

0010

また、特開2014−49156号公報(特許文献5)には、磁性層上にアモルファス金属層を形成し、その上にカーボン層を形成することで、保護層の膜厚を薄くしても良好な磁気ヘッド浮上性及び耐食性が得られることが示されている。この文献に記載の記録媒体でも、アモルファス金属層を形成する工程が必要となる。

0011

更に、特開2011−154746号公報(特許文献6)には、高い記録密度を有する熱アシスト磁気記録媒体が開示されている。この熱アシスト磁気記録媒体は、少なくとも基板上に第1の磁性層と第2の磁性層を含む磁性層を有し、第1の磁性層が、FePt規則合金とSiO2非磁性粒界材料を含むグラニュラー磁性材料を含み、非磁性粒界材料の含有率が基板から磁性層表面側に向かって減少しているものである。この文献は、熱アシスト磁気記録媒体の保護層に関する磁気ヘッド浮上性及び耐食性については何ら着目していない。従って、この文献には、保護層との関係において、磁気ヘッド浮上性及び耐食性の特性を改善するための磁気記録媒体の製造方法への言及はない。

先行技術

0012

特開平9−138943号公報
特開2008−176915号公報
特開2008−192288号公報
特開2008−234828号公報
特開2014−49156号公報
特開2011−154746号公報

発明が解決しようとする課題

0013

上述のように、磁気ヘッドの浮上性及び耐食性に優れた保護層を得ることを目的とした磁気記録媒体の製造方法は、保護層とは別の下地層などを別途設ける工程を含むものであり、生産性等に問題があった。

0014

従って、磁気ヘッドの浮上性がよく、しかも耐食性に優れた保護層を形成することができる磁気記録媒体の効率的な製造方法が望まれている。

課題を解決するための手段

0015

1つの実施形態の磁気記録媒体の製造方法は、基板と、規則合金及び非磁性粒界材料を含む磁気記録層と、保護層とを含む磁気記録媒体の製造方法であって、
(a)前記基板を準備する工程と、
(b)前記規則合金を構成する元素と、前記非磁性粒界材料とをスパッタして、第1磁性層と、前記第1磁性層上に前記非磁性粒界材料からなる簿層を含む磁気記録層を形成する工程と、
(c)前記保護層を形成する工程と
を含み、
前記工程(b)の前記磁気記録層の形成において、スパッタ時のガス圧を1.5Pa以上に設定し、前記非磁性粒界材料からなる簿層が前記第1磁性層上に形成されることを特徴とする。

0016

前記工程(b)は、前記磁気記録層の形成前に、規則合金を構成する元素と、炭素(C)をスパッタして、第2磁性層を形成する工程を更に含んでいてもよい。

0017

また、第1磁性層及び第2磁性層の規則合金は、Fe及びCoからなる群から選択される少なくとも1つの元素と、Pt、Pd、Au及びIrからなる群から選択される少なくとも1つの元素とを含むことが好ましい。

0018

また、非磁性粒界材料は、C、B、Ag、Ge、W、SiO2、Al2O3、TiO2、GeO2及びB2O3からなる群から選択される少なくとも1種の材料を含むことが好ましい。

0019

好ましい実施形態では、規則合金がFePtであり、非磁性粒界材料がSiO2である。

発明の効果

0020

上記発明の磁気記録媒体の製造方法によれば、磁気ヘッドの浮上性がよく、しかも耐食性に優れた磁気記録媒体を形成することができる。

図面の簡単な説明

0021

1つの実施形態の磁気記録媒体を示す概略断面図である。
1つの実施形態の磁気記録媒体を製造する工程を示す概略図である。
磁気記録媒体を製造する場合における、磁気記録層を形成する際の状態を説明するための図である。
別の実施形態の磁気記録媒体を製造する工程を示す概略図である。
実施例において作成された磁気記録媒体の磁気記録層及び保護層を示す透過電子顕微鏡TEM)の断面画像である。

実施例

0022

以下に、図面を参照しながら、磁気記録媒体の製造方法及び当該製造方法により製造される磁気記録媒体について説明するが、以下の説明は単なる例示であり、本発明を制限することを意図するものではない。

0023

1つの実施形態の磁気記録媒体の製造方法は、基板と、規則合金及び非磁性粒界材料を含む磁気記録層と、保護層とを含む磁気記録媒体の製造方法であって、
(a)前記基板を準備する工程と、
(b)前記規則合金を構成する元素と、前記非磁性粒界材料とをスパッタして、第1磁性層と、前記第1磁性層上に前記非磁性粒界材料からなる簿層とを含む磁気記録層を形成する工程と、
(c)前記保護層を形成する工程と
を含み、
前記工程(b)の前記磁気記録層の形成において、スパッタ時のガス圧が1.5Pa以上に設定し、前記非磁性粒界材料からなる簿層が前記第1磁性層上に形成されることを特徴とする。本明細書において、この実施形態の製造方法を第1実施形態の製造方法、第1実施形態の磁気記録媒体の製造方法などとも称する。

0024

ここで、第1実施形態の製造方法で製造される磁気記録媒体は、基板、磁気記録層を含むが、これらの層の間に、密着層、軟磁性裏打ち層、ヒートシンク層、下地層及び/又はシード層のような当該技術において知られている層を更に含んでもよい。加えて、磁気記録媒体は、磁気記録層の上に、保護層を含む。更に任意選択的に、液体潤滑剤層のような当該技術において知られている層を更に含んでもよい。図1に、基板20、シード層40、磁気記録層60、及び保護層80を含む磁気記録媒体100の1つの構成例を示す。磁気記録媒体100の磁気記録層60は、規則合金及び当該規則合金を取り囲む非磁性粒界材料を含む第1磁性層62を含む。また、磁気記録層60は、第1の磁性層の表面側に非磁性粒界材料が析出して形成された簿層64を含む。本明細書では、この簿層64を非磁性粒界材料層とも称する。

0025

第1実施形態の磁気記録媒体の製造方法の各工程について、図2を参照して説明する。

0026

工程(a)は、磁気記録媒体の基板20を準備する工程である(図2(a))。基板は、表面が平滑な基板であれば、特に限定されない。例えば、磁気記録媒体に一般的に用いられる材料を用いて、基板を形成することができる。用いることができる材料は、NiPメッキを施したAl合金、MgO単結晶、MgAl2O4、SrTiO3、強化ガラス結晶化ガラス、Si/SiO2等を含む。

0027

工程(b)は、基板20上に、規則合金を構成する元素と、前記非磁性粒界材料とをスパッタして、第1磁性層62と、第1磁性層上に前記非磁性粒界材料からなる簿層64とを含む磁気記録層60を形成する(図2(b))。

0028

規則合金を構成する元素は、Fe及びCoからなる群から選択される少なくとも1つの元素と、Pt、Pd、Au及びIrからなる群から選択される少なくとも1つの元素であることが好ましい。好ましい規則合金は、FePt、CoPt、FePd、及びCoPdからなる群から選択されるL10型規則合金である。特性変調のために、規則合金は、Ni、Mn、Cu、Ru、Ag、Au、及びCrからなる群から選択される少なくとも1種の元素を更に含んでもよい。望ましい特性変調は、規則合金の規則化に必要な温度の低下を含む。好ましい規則合金はFePtである。特に好ましい規則合金は、L10型FePtである。

0029

非磁性粒界材料は、C、B等の元素、金属、炭化物酸化物、窒化物等から選択される。好ましくは、C、B、Ag、Ge、W、SiO2、Al2O3、TiO2、GeO2、B2O3から選択される少なくとも1種の材料を含むことができる。特に好ましい非磁性粒界材料はSiO2である。

0030

磁気記録層60の第1磁性層62及び非磁性粒界材料からなる非磁性粒界材料層64は、規則合金の構成元素と、非磁性粒界材料とをスパッタ法により基板上に堆積させることにより形成することができる。

0031

本明細書における「スパッタする」とは、高エネルギーイオン衝突によりターゲットから原子クラスター又はイオン射出させる段階のみを意味し、射出された原子、クラスター又はイオンに含まれる元素の全てが基板上に固定されることを意味しない。即ち、本明細書における「スパッタする」工程で得られる薄膜は、基板に到達した元素を必ずしも到達量の比で含有しない。

0032

スパッタは、規則合金のターゲットと、非磁性粒界材料のターゲットを用いたコスパッタ法により実施することができる。例えば、第1磁性層62を規則合金FePtとSiO2非磁性粒界材料で形成する場合、Fe及びPtを所定の比率で含む規則合金のターゲットと、SiO2ターゲットを用いることができる。また、規則合金のターゲットとして、FeターゲットとPtターゲットを用いてもよい。或いは、Fe、Pt及びSiO2を特定の比率で含むターゲットを用いてもよい。磁気記録層における規則合金の割合、非磁性粒界材料の割合は、それぞれのターゲットに印加する電力を調整して制御することができる。

0033

工程(b)では、図2(b)に示すように、基板20上に磁気記録層60として、規則合金及び非磁性粒界材料からなる第1磁性層62と、非磁性粒界材料からなる非磁性粒界材料層64が形成される。非磁性粒界材料層64は、工程(b)の工程中に形成される。

0034

工程(b)について、図3を参照して更に詳細に説明する。以下の説明では、基板上にシード層を設け、このシード層上にFePt−SiO2の層をスパッタ法により形成する場合を例に取る。

0035

図3(a)及び(b)は、FePt−SiO2をスパッタ法によりシード層310上に堆積させた際の成長過程を示す図である。図3(a)に示すように、FePt−SiO2をスパッタ法で堆積させると、シード層310上で、図3(a)の330の方向として示した磁気記録媒体の表面に向けてFePt規則合金の磁性結晶粒300とその周りを取り囲むSiO2の非磁性粒界材料からなる粒界部分320が成長する。この状態から更にFePt−SiO2の堆積を進めると、FePt規則合金の磁性結晶粒の磁気記録媒体の表面側にSiO2が回り込み、この磁性結晶粒の表面上で、図3(b)のdの厚みで示されるようなSiO2薄膜が形成される。このように、工程(b)では、磁気記録層60を形成するためのスパッタ工程中に、第1磁性層62と非磁性粒界材料層64が形成される。

0036

また、工程(b)の磁気記録層のスパッタ時のガス圧を1.5Pa以上とすることが好ましい。このようなガス圧で磁気記録層60を形成することで、第1磁性層62の良好なグラニュラー構造を維持しつつ、第1磁性層62の表面上に非磁性粒界材料層64を形成することができる。また、用いるガスは、Ar、N等が好ましく、Arがより好ましい。

0037

上記の条件を用いることで、非磁性粒界材料層64を別途設ける工程を付加することなく、規則合金−非磁性粒界材料の第1磁性層62上に、非磁性粒界材料からなる非磁性粒界材料層64を形成することができる。このように、非磁性粒界材料層64は、磁気記録層を形成するスパッタ工程中に形成される。この非磁性粒界材料層64は保護層80の性能を改善する。このため非磁性粒界材料層64は保護層の下地層の機能を有する。この非磁性粒界材料層64の厚さ(図3(b)のd)は、記録の観点からは、保護層の下地層の機能を発揮できる限り、できるだけ薄い方がよい。

0038

磁気記録層60の形成時の基板の温度は、規則合金の規則度が十分に高くなる温度であり、かつ粒径の増大が生じない程度の温度に設定することが望ましい。より好ましくは、基板の温度は400℃以上、好ましくは400℃〜700℃である。また、磁気記録層60の形成時のスパッタのターゲットへの印加電力は、所望の磁気記録層の組成となるものであれば、特に限定されない。

0039

磁気記録媒体の製造方法では、磁気記録層60の膜厚は、4.2〜19nm、好ましくは6.2〜13nmである。また、磁気記録層60の第1磁性層62の膜厚は、記録保持の観点からは厚いほうが好ましい。例えば、第1磁性層62の膜厚は4〜16nm、好ましくは6〜12nmである。非磁性粒界材料層64の膜厚は、保護ができる程度の厚さは必要であるが、記録の観点からは薄い方がよい。非磁性粒界材料層64の膜厚は、0.2〜3nm、好ましくは0.2〜1nmである。

0040

規則合金と非磁性粒界材料の割合は、vol%で、規則合金:非磁性粒界材料=90:10〜50:50であることが好ましい。また、規則合金の材料であるFe及びCoからなる群から選択される少なくとも1つの元素(A)と、Pt、Pd、Au及びIrからなる群から選択される少なくとも1つの元素(B)との割合は、at%で、(A):(B)=42:58〜58:42であることが好ましい。例えば、FePt規則合金の場合、Fe(at%):Pt(at%)=48:52〜52:48であることが好ましい。

0041

磁気記録層60は更に多くの磁気記録層が積層された構造を有していてもよい。例えば、磁気記録層60は、上記の第1磁性層62に、追加の層として、第1磁性層とは組成又は構成元素の異なる材料からなる磁性層を更に積層した構造を有していてもよい。また、本発明では、磁気記録層60にCAP層のような追加の層を設けてもよい。

0042

工程(c)は、保護層80を形成する工程である。

0043

保護層80は、磁気記録媒体の分野で慣用的に使用されている材料を用いて形成することができる。具体的には、Ptなどの非磁性金属ダイアモンドライクカーボンなどのカーボン系材料、あるいは窒化シリコンなどのシリコン系材料を用いて、保護層80を形成することができる。また、保護層80は、単層であってもよく、積層構造を有してもよい。積層構造の保護層80は、例えば、特性の異なる2種のカーボン系材料の積層構造、金属とカーボン系材料との積層構造、又は金属酸化物層とカーボン系材料との積層構造であってもよい。保護層80は、CVD法、DCマグネトロンスパッタリング法などを含むスパッタ法、真空蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。

0044

磁気記録媒体の製造方法は、上述したように、少なくとも、基板20、第1磁性層62とその上に非磁性粒界材料層64とが形成された磁気記録層60、及び、保護層80を含む磁気記録媒体を製造する方法である。上述の通り、非磁性粒界材料層64は、保護層80の特性を改善するための下地層の機能を有するものである。この製造方法は、非磁性粒界材料層64を作成する別途の工程を必要とせずに、第1磁性層62の良好なグラニュラー構造を維持しながら、第1磁性層62上に非磁性粒界材料層64を形成することができる。そして、この非磁性粒界材料層64上に保護層80を形成することで、良好な磁気ヘッド浮上性及び耐食性を実現することができる。

0045

次に、磁気記録媒体の別の実施形態について説明する。この実施形態の磁気記録媒体の製造方法を、第2実施形態の磁気記録媒体の製造方法、第2実施形態の製造方法等とも称する。

0046

この磁気記録媒体の製造方法は、上述した第1実施形態の製造方法の工程(b)が、磁気記録層の形成前に、規則合金を構成する元素と、炭素(C)とをスパッタして、第2磁性層を形成する工程を更に含むことを特徴とする。

0047

より具体的には、磁気記録媒体の製造方法は、基板と、規則合金及び非磁性粒界材料を含む磁気記録層と、保護層とを少なくとも含む磁気記録媒体の方法であり、
(a)前記基板を準備する工程と、
(b)前記磁気記録層を形成する工程であって、
(b−1) 前記規則合金を構成する元素と炭素(C)とをスパッタして、第2磁性層を形成する工程、及び
(b−2) 前記規則合金を構成する元素と、前記非磁性粒界材料とをスパッタして、第1磁性層と、前記第1磁性層上に前記非磁性粒界材料からなる簿層とを含む第1磁気記録層を形成する工程、
を含む工程と、
(c)前記保護層を形成する工程と
を含み、
前記工程(b)の前記磁気記録層の形成において、(b−2)のスパッタ時のガス圧を1.5Pa以上に設定し、工程(b−2)の前記非磁性粒界材料からなる簿層が前記第1磁性層上に形成されることを特徴とする。

0048

図4を参照して、上記磁気記録媒体の製造方法を説明する。なお、この製造方法において、工程(a)及び工程(c)は上述の第1実施形態の製造方法と同様である。

0049

まず、工程(a)において、上記第1実施形態の製造方法と同様に、基板20を準備する(図4(a))。

0050

工程(b)は磁気記録層60を形成する工程である(図4(b))。この工程では、磁気記録層60の形成は、まず、第2磁性層61を形成し(工程(b−1))、次いで第1磁性層62と、第1磁性層の非磁性粒界材料からなる非磁性粒界材料層64層とを含む第1磁気記録層65を形成する(工程(b−2))。

0051

工程(b−1)は、基板20上に、規則合金を構成する元素と、非磁性粒界材料である炭素(C)とをスパッタして、第2磁性層61を形成する(図4(b))。

0052

第2磁性層の規則合金は、Fe、Co、Ni等から選択される少なくとも一種の元素と、Pt、Pd、Au、Cu、Ir等から選択される少なくとも一種の元素とを含む合金が好ましい。より好ましくは、規則合金はFePt、CoPt、FePd、及びCoPdからなる群から選択される材料で構成されるL10型合金であり、最も好ましくは、L10型のFePt合金である。

0053

従って、特に好ましい実施形態では、第2磁性層61は、規則合金がL10型のFePt合金であり、規則合金を取り囲む非磁性粒界材料が炭素(C)である。なお、本実施形態では、第1磁気記録層65は上記第1実施形態と同じであるから、第1磁気記録層65の規則合金はL10型のFePt合金であることが特に好ましく、非磁性粒界材料はSiO2であることが好ましい。なお、第2磁性層61の規則合金は、第1磁性層62と同じであることが好ましいが、これに限定されず、第1磁性層62と異なる元素を用いてもよい。

0054

第2磁性層61は、規則合金と炭素(C)からなる非磁性粒界材料とから構成されるグラニュラー構造を有する。第2磁性層61はテンプレート層として機能し、第2磁性層61のグラニュラー構造にならったグラニュラー構造の第1磁性層62を効率よく形成できる。また、本実施形態では、第1磁性層62上に非磁性粒界材料層64が形成された第1磁気記録層65を高率よく形成できる。

0055

規則合金と炭素(C)のスパッタは、規則合金のターゲットと、非磁性粒界材料である炭素(C)のターゲットを用いたコスパッタ法により実施することができる。例えば、第2磁性層61を規則合金FePtと炭素(C)で形成する場合、Fe及びPtを所定の比率で含む規則合金のターゲットと、炭素(C)ターゲットを用いることができる。また、規則合金のターゲットとして、FeターゲットとPtターゲットを用いてもよい。或いは、Fe、Pt及びCを特定の比率で含むターゲットを用いてもよい。第2磁性層61における規則合金の割合、非磁性粒界材料である炭素(C)の割合は、それぞれのターゲットに印加する電力を調整して制御することができる。

0056

また、第2磁性層61を形成する際のスパッタ時のガス圧は、規則合金−炭素(C)の良好なグラニュラー構造を実現できるものであれば特に限定されないが、1.0Pa以上が好ましく、1.5Pa以上とすることがより好ましい。また、用いるガスは、Ar、N等が好ましく、Arがより好ましい。

0057

第2磁性層61を形成する際のスパッタ時の基板の温度は、規則合金の規則度が十分に高くなる温度であり、かつ粒径の増大が生じない程度の温度に設定することが望ましい。例えば、基板の温度は400℃以上、好ましくは400℃〜700℃である。また、第2磁性層61の形成時のスパッタのターゲットへの印加電力は、所望の組成の第2磁性層61が形成されるものであれば特に限定されない。

0058

規則合金と非磁性粒界材料である炭素の割合は、vol%で、規則合金:炭素=90:10〜50:50であることが好ましい。また、規則合金であるFe及びCoからなる群から選択される少なくとも1つの元素(A)と、Pt、Pd、Au及びIrからなる群から選択される少なくとも1つの元素(B)との割合は、at%で、(A):(B)=42:58〜58:42であることが好ましい。例えば、FePt規則合金の場合、好ましくはFe:Pt=42:58〜58:42、より好ましくはFe(at%):Pt(at%)=48:52〜52:48である。

0059

工程(b−2)は第1磁気記録層65を形成する工程である。この工程(b−2)は、第1実施形態の製造方法で説明した磁気記録層60の形成工程である工程(b)と同様である。

0060

本製造方法では、磁気記録層60は、第1磁性層62と、第1磁性層の非磁性粒界材料からなる非磁性粒界材料層64層とを含む第1磁気記録層65、及び第2磁性層61を少なくとも含む。第1磁気記録層65は、上記第1実施形態の磁気記録層60として説明したものと同じである。従って、規則合金及び当該規則合金を取り囲む非磁性粒界材料は第1実施形態で説明したとおりである。なお、本発明の磁気記録媒体では、第2磁性層61上に第1磁気記録層65を形成した場合、第2磁性層61の磁性粒子と第1磁気記録層65の磁性粒子が一対一で成長する、いわゆる1by1成長して一体化した磁気記録層60となってもよい。

0061

第1及び第2磁性層の膜厚は、記録保持の観点からは厚いほうが好ましい。第2磁性層の膜厚は、4nm以下、好ましくは2〜4nmである。4nmを越えると、炭素(C)による規則合金の成長阻害及び二次成長が起こる。次に、第1磁性層62の膜厚は、高い磁気異方性を維持する観点から、3〜7nmであることが好ましい。また、非磁性粒界材料層64の膜厚は、0.2〜3.0nm、好ましくは0.2〜1.0nmである。

0062

磁気記録媒体の製造方法において、第2磁性層61及び第1磁気記録層65を含む磁気記録層60の全膜厚は、特に限定されるものではない。しかしながら、高い生産性及び高い記録密度を両立させる観点から、磁気記録層60の全膜厚は、少なくとも5nm以上、好ましくは8nm以上であることが望ましい。磁気記録層60のより好ましい膜厚は、6〜16nm、より好ましくは、8〜11nmである。

0063

次に、工程(c)は、保護層80を形成する工程である。保護層80は上記第1実施形態の製造方法と同様にして形成することができる。

0064

本製造方法で磁気記録層60を形成することで、規則合金−炭素(C)の第2磁性層61上に、規則合金−非磁性粒界材料の第1磁性層62と、前記非磁性粒界材料からなる非磁性粒界材料層64を少なくとも形成することができる。

0065

磁気記録媒体の製造方法によれば、基板20上に複数の磁性層を含む磁気記録層60として、その最上層に、非磁性粒界材料層64が形成された第1磁気記録層65を有し、この第1磁気記録層上に保護層80を設けた磁気記録媒体を製造することができる。この製造方法は、非磁性粒界材料層64を作成する別途の工程を必要とせずに、各磁性層の良好なグラニュラー構造を維持しながら、その上に非磁性粒界材料層64を形成することができる。そして、この非磁性粒界材料層上に保護層を形成することで、良好な磁気ヘッド浮上性及び耐食性を実現することができる。なお、非磁性粒界材料層64は保護層80の性能を改善するための下地層の機能を有するものである。この非磁性粒界材料層64の厚さは、記録の観点からは、保護層の下地層の機能を発揮できる限り、できるだけ薄い方がよい。

0066

また、磁気記録媒体の製造方法は、あらかじめ、第2磁性層61を、規則合金−炭素(C)を材料とした磁性層として形成し、この第2磁性層61上に規則合金−SiO2等の規則合金−非磁性粒界材料による第1磁性層62を形成することで、高い磁気異方性を維持しながら、磁気記録層60全体の厚膜化を実現できる。

0067

この実施形態の磁気記録層60は、更に多くの磁気記録層が積層された構造を有していてもよい。例えば、磁気記録層60は、上記の第1磁性層及び第2磁性層を1組として、これらが複数積層された構造を有し、最上層として非磁性粒界材料層64を有してもよい。或いは、上記の第1磁性層及び第2磁性層上に、これらの磁気記録層とは組成又は構成元素の異なる材料からなる磁気記録層を更に積層した構造を有し、最上層として非磁性粒界材料層64を有してもよい。また、磁気記録層60は、例えば、第1磁性層、第2磁性層、第1磁気記録層の順に積層された構造を有してもよい。更に、本発明では、磁気記録層60にCAP層のような追加の層を設けてもよい。

0068

磁気記録媒体は、上述したとおり、磁気記録層以外に種々の層を任意選択的に設けてもよい。以下にこれらの層について説明する。

0069

任意選択的に設けてもよい密着層(不図示)は、密着層の上に形成される層と密着層の下に形成される層との密着性を高めるために用いられる。密着層の下に形成される層としては基板20が含まれる。密着層を形成するための材料はNi、W、Ta、Cr、Ruなどの金属、前述の金属を含む合金を含む。密着層は、単一の層であってもよいし、複数の層の積層構造を有してもよい。密着層は、スパッタ法、真空蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。

0070

任意選択的に設けてもよい軟磁性裏打ち層(不図示)は、磁気ヘッドからの磁束を制御して、磁気記録媒体の記録・再生特性を向上させる。軟磁性裏打ち層を形成するための材料は、NiFe合金センダスト(FeSiAl)合金、CoFe合金などの結晶質材料、FeTaC、CoFeNi、CoNiPなどの微結晶質材料、CoZrNb、CoTaZrなどのCo合金を含む非晶質材料を含む。軟磁性裏打ち層の膜厚の最適値は、磁気記録に用いる磁気ヘッドの構造及び特性に依存する。他の層と連続して軟磁性裏打ち層を形成する場合、生産性との兼ね合いから、軟磁性裏打ち層が10nm〜500nmの範囲内(両端を含む)の膜厚を有することが好ましい。軟磁性裏打ち層は、スパッタ法、真空蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。

0071

本発明の磁気記録媒体を熱アシスト磁気記録方式において使用する場合、ヒートシンク層(不図示)を設けてもよい。ヒートシンク層は、熱アシスト磁気記録時に発生する磁気記録層60の余分な熱を効果的に吸収するための層である。ヒートシンク層は、熱伝導率及び比熱容量が高い材料を用いて形成することができる。そのような材料は、Cu単体、Ag単体、Au単体、又はそれらを主体とする合金材料を含む。ここで、「主体とする」とは、当該材料の含有量が50wt%以上であることを示す。また、強度などの観点から、Al−Si合金、Cu−B合金などを用いて、ヒートシンク層を形成することができる。更に、センダスト(FeSiAl)合金、軟磁性のCoFe合金などを用いてヒートシンク層を形成することができる。軟磁性材料を用いることによって、ヘッドの発生する垂直方向磁界を磁気記録層60に集中させる機能をヒートシンク層に付与し、軟磁性裏打ち層の機能を補完することもできる。ヒートシンク層の膜厚の最適値は、熱アシスト磁気記録時の熱量及び熱分布、ならびに磁気記録媒体の層構成及び各構成層の厚さによって変化する。他の構成層と連続して形成する場合などは、生産性との兼ね合いから、ヒートシンク層の膜厚は10nm以上100nm以下であることが好ましい。ヒートシンク層は、スパッタ法、真空蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。通常の場合、ヒートシンク層は、スパッタ法を用いて形成される。ヒートシンク層は、磁気記録媒体に求められる特性を考慮して、基板20と密着層との間、密着層と下地層との間などに設けることができる。

0072

下地層(不図示)は、上方に形成されるシード層40の結晶性及び/又は結晶配向を制御するための層である。下地層は単層であっても多層であってもよい。下地層は、非磁性であることが好ましい。下地層の形成に用いられる非磁性材料は、Pt金属、Cr金属、又は主成分であるCrにMo、W、Ti、V、Mn、Ta、及びZrからなる群から選択される少なくとも1種の金属が添加された合金を含む。下地層は、スパッタ法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。

0073

シード層40の機能は、上層である磁気記録層60中の規則合金の磁性結晶粒の粒径及び結晶配向を制御することである。シード層40に、シード層40の下にある層と磁気記録層60との間の密着性を確保する機能を持たせてもよい。また、シード層40と磁気記録層60の間に中間層等の他の層を配置してもよい。中間層等を配置する場合は、中間層等の規則合金の磁性結晶粒の粒径及び結晶配向を制御することにより磁気記録層60の規則合金の磁性結晶粒の粒径及び結晶配向を制御する機能を担うことになる。シード層40は非磁性であることが好ましい。シード層40の材料は、磁気記録層60の材料に合わせて適宜選択される。より具体的には、シード層40の材料は、磁気記録層の規則合金の材料に合わせて選択される。例えば、磁気記録層60がL10型規則合金で形成される場合、NaCl型の化合物を用いてシード層40を形成することが好ましい。特に好ましくは、MgO、SrTiO3などの酸化物、あるいはTiNなどの窒化物を用いてシード層40を形成する。また、上記の材料からなる複数の層を積層して、シード層40を形成することもできる。磁気記録層60の規則合金の磁性結晶粒の結晶性の向上、及び生産性の向上の観点から、シード層40は、1nm〜60nm、好ましくは1nm〜20nmの膜厚を有することが好ましい。シード層40は、スパッタ法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。

0074

以上の磁気記録層の形成よりも前に基板上に形成される、密着層、軟磁性裏打ち層、ヒートシンク層、下地層及び/又はシード層のような当該技術において知られている層は、上記磁気記録媒体の製造方法において、磁気記録層の形成工程よりも前に形成すればよい。

0075

また、任意選択的に、本発明の磁気記録媒体は、保護層80の上に設けられる液体潤滑剤層(不図示)を更に含んでもよい。液体潤滑剤層は、磁気記録媒体の分野で慣用的に使用されている材料を用いて形成することができる。液体潤滑剤層の材料は、例えば、パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤などを含む。液体潤滑剤層は、例えば、ディップコート法スピンコート法などの塗布法を用いて形成することができる。

0076

保護層80上に掲載される液体潤滑剤層のような当該技術において知られている層は、上記磁気記録媒体の製造方法において、保護層80を形成する上記工程(c)の後に形成すればよい。

0077

(実施例)
(実施例1)
表面が平滑な化学強化ガラス基板(HOYA社製N−10ガラス基板)を洗浄し、基板20を準備した。洗浄後の基板20を、スパッタ装置内に導入した。

0078

次に、磁気記録媒体の各層を、大気解放することなく、インライン式成膜装置成膜した。まず、基板20上にTa密着層を、純Taターゲットを用いて、Ar雰囲気中でDCマグネトロンスパッタ法により、膜厚5nmで成膜した。成膜に際してのArガスの圧力は0.5Paであった。また、成膜中の基板の温度は室温であり、DCの電力は100Wであった。

0079

次に、Cr下地層を、純Crターゲットを用いて、Ar雰囲気中でDCマグネトロンスパッタ法により、膜厚20nmで成膜した。成膜に際してのArガスの圧力は0.25Paであった。また、成膜中の基板の温度は室温であり、DCの電力は300Wであった。

0080

次に、基体を430℃に加熱し、MgOターゲットを用いて、RFスパッタリング法で、膜厚5nmのシード層40を成膜した。シード層であるMgO層は、Arガスの圧力0.1Paの条件下、RFの電力200Wで成膜した。

0081

次に、第2磁性層61を成膜した。第2磁性層はFePt−C層である。第2磁性層61の成膜は、まず、上記の各層を成膜した基体を430℃に加熱したまま、FePt合金ターゲット及びCターゲットを用いるコスパッタ法で行った。コスパッタには、DCマグネトロンスパッタ法を用い、膜厚2nmの第2磁性層を成膜した。FePt−C層の成膜は、ターゲットへの印加電力を、FePt合金ターゲットに対して40W、Cターゲットに対して210Wに調整して行った。この電力により、FePt(60vol%)−C(40vol%)のFePt−C層を得た。また、FePt合金ターゲットは、FePt−C層のFePtが、Fe(at%):Pt(at%)=50:50の組成となるように調製されたものである。

0082

次に、第1磁気記録層65を成膜した。本実施例の第1磁気記録層65はFePt−SiO2層の第1磁性層62及びSiO2からなる非磁性粒界材料層64を含む。第1磁気記録層65の成膜は、FePt合金ターゲット及びSiO2ターゲットを用いるコスパッタ法で行った。ここで、FePtに対しては40Wの電力を用いたDCマグネトロンスパッタ法を用い、SiO2に対しては200Wの電力を用いたRFスパッタ法を用いた。この電力により、FePt(70vol%)−SiO2(30vol%)のFePt−SiO2層を得た。また、FePt合金ターゲットは、FePt−SiO2層のFePtが、Fe(at%):Pt(at%)=50:50の組成となるように調製されたものである。得られた第1磁気記録層65の膜厚は、6nmであった。

0083

第1磁気記録層及び第2磁性層を形成する際のArガスの圧力は、1.0Pa、1.5Pa及び3.0Paの三種類に調整した。

0084

次に、0.5PaのArガス圧の下で、Ptターゲットを用いたDCマグネトロンスパッタ法により、膜厚2nmのPt保護層を形成した。成膜時の基板の温度は室温であり、スパッタ時の電力は50Wであった。以上の手順により、磁気記録媒体を得た。

0085

磁気記録媒体の成膜時の条件を以下の表にまとめた。

0086

0087

(結果)
上記条件で得られた各磁気記録媒体について、透過電子顕微鏡(TEM)により、断面TEM画像を測定し、磁気記録媒体の粒子構造を確認した。結果を図5に示す。図5に示されるように、FePt−SiO2の成膜時のArガス圧が1.5Pa以上の場合にFePt−SiO2層上に、SiO2からなる非磁性粒界材料層が形成さることがわかった。なお、図5において、SiO2からなる非磁性粒界材料層は、「SiO2薄膜」として示した。また、本実施例の場合、磁気記録層は、第2磁性層の磁性粒子と第1磁気記録層の磁性粒子が一対一で成長する、いわゆる1by1成長して一体化していた。

0088

磁気記録媒体の製造方法では、磁気記録層の成膜時のArガス圧が1.5Pa以上であると、磁気記録層の最上部に非磁性粒界材料層が形成される。そして、この非磁性粒界材料層上に保護層を設けることで、磁気ヘッドの浮上性がよく、しかも耐食性に優れた保護層を含む磁気記録媒体を形成することができる。

0089

20基板
40シード層
60磁気記録層
61 第2磁性層
62 第1磁性層
64非磁性粒界材料層
65 第1磁気記録層
80 保護層

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