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技術 制御装置

出願人 株式会社神戸製鋼所
発明者 西田吉晴白樫浩飯田勝博
出願日 2016年3月30日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-069451
公開日 2017年10月5日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2017-182503
状態 特許登録済
技術分野 フィードバック制御一般
主要キーワード 一定値制御 所定時刻後 離散システム 離散モデル 参照軌道 未来時刻 最適計算 評価時刻
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

応答遅れが大きな系であっても、所定時刻後目標値と実測値位相差を持つことなく確実に一致させる制御方法を提供する。

解決手段

本発明の制御装置1は、所定時間後の制御対象9の出力目標値を与える目標値設定部2と、出力目標値が付与された場合における所定時間後の制御対象9の出力を、制御対象9の動特性モデルに基づいて予測する予測部4と、予測部4が予測した所定時間後の制御対象9の出力の予測値と目標値設定部2で与えられた出力目標値とが一致するような入力を、モデル予測制御に基づいて決定する入力決定部8と、備えていて、予測部4が予測した所定時間後の制御対象9の出力の予測値と目標値設定部2で与えられた出力目標値との位相差を補償すべく、目標値設定部2が出力した出力目標値と、出力目標値の微分値とに基づき、入力決定部8に対する入力値を算出する位相進み補償部12、を有している。

概要

背景

例えば、圧延工程において鋳片を所定の温度に加熱する加熱炉に関しては、加熱炉内に設けられたバーナヒータなどを用いて、炉内の雰囲気温度を上昇させ、その結果、加熱炉内に配置された被加熱物の温度を上げるようにしている。加熱源温度制御に関しては、炉内のバーナやヒータなどの加熱源の近傍の温度(加熱源温度)を測定し、測定結果を基にして加熱源の制御を行うようにしている。

しかしながら、加熱炉での温度制御を正確に行おうとすると、加熱する被加熱物自体の温度や被加熱物の近傍の温度(以降、物温という)を制御する必要がある。とはいえ、物温は加熱源の温度に比べ、応答遅れが大きく、制御し難いのに加え、加熱炉の保温効果が高いと冷却側冷却速度が低く、一旦温度をオーバーシュートしてしまうと冷えにくく、ハンチングが発生するなど、さらに制御性能劣化する。

近年、このような応答遅れが大きいな系に対して簡単なモデルで制御可能なモデル予測制御の適用が行われている。モデル予測制御としては、例えばPFC制御(Predictive Function Control)などがある。PFC制御は所定時間後の目標値と実出力が一致するように入力を決定する予測制御一種で、予測に用いるモデルは「むだ時間系」+「一次遅れ系」の簡単な近似モデルで与えるだけで、応答が遅い系において良好な制御が実現される。

PFC制御を用いた制御技術は、例えば特許文献1に開示されており、PFC制御の技術的事項の説明は、非特許文献1や非特許文献2などに詳しく開示されている。
一方で、本願出願人は、応答遅れが大きな系に対しても、所定時刻後に目標値と実測値を確実に一致させることのできる応答遅れ系の制御技術に関する技術を開発している(特許文献2)。

概要

応答遅れが大きな系であっても、所定時刻後に目標値と実測値を位相差を持つことなく確実に一致させる制御方法を提供する。本発明の制御装置1は、所定時間後の制御対象9の出力目標値を与える目標値設定部2と、出力目標値が付与された場合における所定時間後の制御対象9の出力を、制御対象9の動特性モデルに基づいて予測する予測部4と、予測部4が予測した所定時間後の制御対象9の出力の予測値と目標値設定部2で与えられた出力目標値とが一致するような入力を、モデル予測制御に基づいて決定する入力決定部8と、備えていて、予測部4が予測した所定時間後の制御対象9の出力の予測値と目標値設定部2で与えられた出力目標値との位相差を補償すべく、目標値設定部2が出力した出力目標値と、出力目標値の微分値とに基づき、入力決定部8に対する入力値を算出する位相進み補償部12、を有している。

目的

本発明は、上記問題点に鑑み、応答遅れが大きな系に対しても、所定時刻後に目標値と実測値を位相差を持つことなく確実に一致させることのできる応答遅れ系の制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

所定時間後の制御対象出力目標値を与える目標値設定部と、前記出力目標値が付与された場合における所定時間後の制御対象の出力を、前記制御対象の動特性モデルに基づいて予測する予測部と、前記予測部が予測した所定時間後の制御対象の出力の予測値と前記目標値設定部で与えられた出力目標値とが一致するような入力を、モデル予測制御に基づいて決定する入力決定部と、備えていて、前記予測部が予測した所定時間後の制御対象の出力の予測値と前記目標値設定部で与えられた出力目標値との位相差補償すべく、前記目標値設定部が出力した出力目標値と、当該出力目標値の微分値とに基づき、前記入力決定部に対する入力値を算出する位相進み補償部と、を有していることを特徴とする制御装置

請求項2

前記位相進み補償部は、未来時刻teと制御による位相進みtmとから補正すべき位相進みtcを算出し、算出されたtc又は当該tcをフィルタリングしたtfと、前記目標値設定部が出力した所定時間後の出力目標値の微分値に基づいて、前記入力決定部に対する入力値を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。

請求項3

前記モデル予測制御がPFC制御の場合、ランプ目標値に対する位相進みtmは(T・e-(te-L)/T+te-T-L)×dyd(t)/dtとされ、前記位相進み補償部は、次式に基づいて、前記入力決定部に対する入力値を算出することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。

請求項4

前記入力決定部から出力される信号を補正する補正部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の制御装置。

請求項5

前記補正部にて、所定時間taだけ位相進める補正を行うと共に、前記位相進み補償部においても、所定時間taだけ位相進める補正を行うことを特徴とする請求項4に記載の制御装置。

技術分野

0001

本発明は、応答遅れ系を制御する制御装置に関する。

背景技術

0002

例えば、圧延工程において鋳片を所定の温度に加熱する加熱炉に関しては、加熱炉内に設けられたバーナヒータなどを用いて、炉内の雰囲気温度を上昇させ、その結果、加熱炉内に配置された被加熱物の温度を上げるようにしている。加熱源温度制御に関しては、炉内のバーナやヒータなどの加熱源の近傍の温度(加熱源温度)を測定し、測定結果を基にして加熱源の制御を行うようにしている。

0003

しかしながら、加熱炉での温度制御を正確に行おうとすると、加熱する被加熱物自体の温度や被加熱物の近傍の温度(以降、物温という)を制御する必要がある。とはいえ、物温は加熱源の温度に比べ、応答遅れが大きく、制御し難いのに加え、加熱炉の保温効果が高いと冷却側冷却速度が低く、一旦温度をオーバーシュートしてしまうと冷えにくく、ハンチングが発生するなど、さらに制御性能劣化する。

0004

近年、このような応答遅れが大きいな系に対して簡単なモデルで制御可能なモデル予測制御の適用が行われている。モデル予測制御としては、例えばPFC制御(Predictive Function Control)などがある。PFC制御は所定時間後の目標値と実出力が一致するように入力を決定する予測制御一種で、予測に用いるモデルは「むだ時間系」+「一次遅れ系」の簡単な近似モデルで与えるだけで、応答が遅い系において良好な制御が実現される。

0005

PFC制御を用いた制御技術は、例えば特許文献1に開示されており、PFC制御の技術的事項の説明は、非特許文献1や非特許文献2などに詳しく開示されている。
一方で、本願出願人は、応答遅れが大きな系に対しても、所定時刻後に目標値と実測値を確実に一致させることのできる応答遅れ系の制御技術に関する技術を開発している(特許文献2)。

0006

特開2011−198327号公報
特開2014−186721号公報

先行技術

0007

モデル予測制御の機械制御への適用、田ら、IHI技報 Vol.51 No.2(2011)、P33-37
モデル予測制御 PFC(Prective Functional Control)の原理と応用,ジャック・リシャレ(著),江口 元(著),小崎 恭寿(監修),2007年 ,日本工業出版

発明が解決しようとする課題

0008

特許文献1や非特許文献1に開示されているPFC制御は、定常状態での制御に対しては有効なことが知見されている。しかしながら、加熱炉における非定常応答、例えば、一定速度で炉内を加熱するような過渡応答では、温度外れが発生するなど、制御性能の改善が必要である。
すなわち、応答遅れが大きな系に対して、所定時刻後に目標値と実測値を一致させるPFC制御において、目標値が変化する過渡状態において、目標値と実測値との乖離が発生するといった問題が顕著化しており、このため、応答遅れが大きな系に対して、従来手法に基づいたPFC制御を適用できないといった問題が存在した。

0009

このような問題点は、特許文献2により解決可能とされている。
しかしながら、上記した特許文献2の技術にも、若干の問題点があることが現場実績として明らかとなってきている。
例えば、図1には、従来から行われている制御手法ブロック図で示したものが開示されている。すなわち、図1では、応答遅れが大きな制御対象に対して、PFC制御などに代表されるモデル予測制御を適用した場合が示されている。この制御ブロックにおいては、指令値(物温指令値)yd(t)がモデル予測制御に入力され、その結果、モデル予測制御から所定時間後の指令値(te時間後指令値)ukが出力される。この出力値は制御対象(加熱源)に適用され、制御対象(正確には、加熱物の物温y(t))が制御される。物温y(t)は、モデル予測制御へフィードバックされる。

0010

図2には、図1の制御ブロック図を基に制御を行った結果が示されている。図2から明らかなように、モデル予測制御から出力されるte時間後指令値ukと、加熱物の物温y(t)とが、その増加量(傾き)はほぼ一致しているものの、ある位相差をもってずれた状態となっており、結果的に、出力されるte時間後指令値ukと、加熱物の物温y(t)とが、一致していないといった状況のままとなっている。

0011

別に観点から述べれば、PFC制御のようなモデル予測制御では、未来の目標値あるいは参照軌道が必要となるが、実際の制御においては、突然、目標値が変更になる場合など、未来の目標値が決まっていない事が多々存在し、未来の目標値を与えることは困難なことが多いのが実情である。特に一定値制御ではなく、目標値が時々刻々変化するトラッキング制御では、未来の目標値あるいは参照軌道の設定が容易ではなく、モデル予測制御が、トラッキング制御に有益に活用されていない状況がある。

0012

そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、応答遅れが大きな系に対しても、所定時刻後に目標値と実測値を位相差を持つことなく確実に一致させることのできる応答遅れ系の制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明に係る制御装置は、所定時間後の制御対象の出力目標値を与える目標値設定部と、前記出力目標値が付与された場合における所定時間後の制御対象の出力を、前記制御対象の動特性モデルに基づいて予測する予測部と、前記予測部が予測した所定時間後の制御対象の出力の予測値と前記目標値設定部で与えられた出力目標値とが一致するような入力を、モデル予測制御に基づいて決定する入力決定部と、備えていて、前記予測部が予測した所定時間後の制御対象の出力の予測値と前記目標値設定部で与えられた出力目標値との位相差を補償すべく、前記目標値設定部が出力した出力目標値と、当該出力目標値の微分値とに基づき、前記入力決定部に対する入力値を算出する位相進み補償部と、を有していることを特徴とする。

0014

好ましくは、前記位相進み補償部は、未来時刻teと制御による位相進みtmとから補正すべき位相進みtcを算出し、算出されたtc又は当該tcをフィルタリングしたtfと、前記目標値設定部が出力した所定時間後の出力目標値の微分値に基づいて、前記入力決定部に対する入力値を算出するように構成されているとよい。
好ましくは、前記モデル予測制御がPFC制御の場合、ランプ目標値に対する位相進みtmは(T・e-(te-L)/T+te-T-L)×dyd(t)/dtとされ、前記位相進み補償部は、次式に基づいて、前記入力決定部に対する入力値を算出するように構成されるとよい。

0015

0016

好ましくは、前記入力決定部から出力される信号を補正する補正部を有するとよい。
好ましくは、前記補正部にて、所定時間taだけ位相進める補正を行うと共に、前記位相進み補償部においても、所定時間taだけ位相進める補正を行うとよい。

発明の効果

0017

本発明による制御方法を用いれば、応答遅れが大きな系であっても、所定時刻後に目標
値と実測値を位相差を持つことなく確実に一致させることが可能となる。

図面の簡単な説明

0018

モデル予測制御により制御対象を制御する制御ブロック図を示したものである(第1実施形態における従来例)。
図1による制御結果を示した図である。
モデル予測制御により制御対象を制御する制御ブロック図を示したものである(第1実施形態)。
図3による制御結果を示した図である。
モデル予測制御により制御対象を制御した結果を示したものである(第2実施形態における従来例)。
モデル予測制御により制御対象を制御した結果を示したものである(第2実施形態)。
モデル予測制御により制御対象を制御する制御ブロック図を示したものである(第3実施形態)。
モデル予測制御の1つであるPFC制御の制御ブロック図を示したものである。
一般的なモデル予測制御の制御ブロック図を示したものである。
制御対象の一例である加熱炉を模式的に示した図である。

実施例

0019

以下、図面を参照しながら、応答遅れ系に対する制御装置1(以下、単に制御装置1ということもある)を説明する。なお、以下に説明する実施形態において、制御装置1における同一の構成部材には、同一の符号及び同一の名称を付すこととする。従って、同一の符号及び同一の名称が付された構成部材については、同じ説明を繰り返さない。
本実施形態の制御装置1が制御する対象としては、圧延工程において鋳片を所定の温度まで加熱する加熱炉20や、高圧処理を行う物品に対する前処理として、当該物品を所定の温度まで加熱する加熱炉20などが想定される。

0020

図10に示すように、このような加熱炉20は、耐火煉瓦断熱層で構成された炉体21を有し、この炉体21内には、バーナやヒータなどの加熱源22が設けられている。加熱源22の近傍には、加熱源22の温度や炉内雰囲気の温度を計測するための温度計23が設置されている。
加熱炉20には、炉内の雰囲気温度を適切に制御し、被加熱物Wの温度(以下、単に物温と呼ぶこともある)をコントロールするための制御装置(従来の制御装置101)が設けられている。

0021

この制御装置101では、モデル予測制御といわれる制御の一種であるPFC制御(Predictive Function Control)を用いたが実行され、被加熱物Wの温度をコントロールするための制御が行われている。
PFC制御は所定時間後の目標値と実出力が一致するように入力を決定する予測制御の一種で、モデル予測制御といわれる制御の一種である。PFC制御は、予測に用いるモデルは「むだ時間系」+「一次遅れ系」の簡単な近似モデルで与えるだけで、応答が遅い系において良好な制御が実現されることから多くの事例に対して適用が進んでいる。

0022

図8には、従来から行われているPFC制御を行う制御装置101のブロック図を示す。
図8の制御装置101(PFC制御を行う制御装置)は、加熱炉20などの制御対象109を一次遅れ系とむだ時間系で近似できるものとし、この制御対象109に、所定時間後の制御対象109の出力目標値を与えるようにする。すなわち、出力目標値yd(t+te)を設定する目標値設定部102が設けられると共に、制御対象109の入側に積算部103が設けられ、この積算部103でuk=uk-1+akで算出された指令値を入力するようにしている。ここで、ukはyd(t+te)-ye(t+te)、akは、一次遅れ系のステップ応答逆数で与えられるものとしている。

0023

積算部103からの出力は、分岐して予測部104に入力される。予測部104は、一次遅れ系の伝達関数で構成されていて、予測部104からの出力は、むだ時間系の伝達関数で表現されるむだ時間部110に入力され、むだ時間部110の出力が制御対象109の出力に減算の形で入力される。
また、積算部103からの出力は、分岐してステップ応答部105へと入力される。ステップ応答部105は一次遅れ系のステップ応答の一定時間後のゲイン特性を有している。また、予測部104の出力はインパルス応答部106へと入力される。インパルス応答部106は、一次遅れ系のインパルス応答の一定時間後のゲイン特性を有するものとなっている。インパルス応答部106の出力はステップ応答部105の出力に加算された上で、制御対象109の出力に加算され、推定誤差を加味した未来時刻teでの物温の予測値ye(t+te)となる。つまり、予測部104の出力がむだ時間部110を通過した後の値が制御対象109の出力に加えられると共に、ステップ応答部105の出力とインパルス応答部106の出力とが加算された値が制御対象109の出力に加えられ、積算部103の入側へネガティブフィードバックされる。

0024

すなわち、推定誤差を加味した未来時刻teでの物温の予測値ye(t+te)が、積算部103の入側へネガティブフィードバックされる。
以上述べたような制御装置101は、所定の評価時刻te後の出力実測値y(t+te)と目標値yd(t+te)が一致するように制御するもので、入力uk(=u(t))を一定にホールドした際のte時刻後の出力y(t+te)の予測値ye(t+te)をモデルから予測し、ye(t+te)とyd(t+te)が一致するように、ukをサンプリング周期毎に決定するものとなっている。

0025

一方、図1には、図8に示すようなPFC制御を用いて加熱炉を制御するための制御手法をブロック図で示したものを示している。すなわち、図1では、応答遅れが大きな制御対象に対して、上述したPFC制御などに代表されるモデル予測制御を適用した場合が示されている。このブロック図で示される手法は、従来使用されているものである。
図1の制御ブロック図においては、指令値(物温指令値)yd(t)がモデル予測制御に入力され、その結果、モデル予測制御から所定時間後の指令値(te時間後指令値)ukが出力される。この出力値は制御対象(加熱源)に適用され、制御対象(正確には、加熱物の物温y(t))が制御される。物温y(t)は、モデル予測制御へフィードバックされる。

0026

図2には、図1の制御ブロック図を基に制御した結果が示されている。図2から明らかなように、モデル予測制御から出力されるte時間後指令値ukと、加熱物の物温y(t)とが、その増加量(傾き)はほぼ一致しているものの、ある位相差をもってずれた状態となっており、結果的に、出力されるte時間後指令値ukと、加熱物の物温y(t)とが、一致していないといった状況のままとなっている。

0027

すなわち、応答遅れが大きな系に対して、PFC制御などに代表されるモデル予測制御を適用したとしても、モデル予測制御から出力されるte時間後指令値ukと、加熱物の物温y(t)とが、ある位相差をもってずれた状態となっており、結果的に、出力されるte時間後指令値ukと、加熱物の物温y(t)とが、一致していないといった状況となる場合がある。
[第1実施形態]
そこで、本実施形態では、上記した問題点を克服した応答遅れ系に対する制御装置1を有するものとなっている。

0028

図3には、制御装置1で実行される制御であって、第1実施形態に係る制御手法がブロック図で示されている。
図3の制御ブロック図においては、指令値(物温指令値)yd(t)が、まずは位相進み補償部12へと入力される。
位相進み補償部12においては、制御による位相進み時間tmと未来時間teを加味したtc分だけ、位相に対して補償を行った信号yc(t)を出力する。この出力yc(t)は、モデル予測制御(PFC制御)に入力され、その結果、モデル予測制御から所定時間後の指令値(te時間後の未来時間指令値)ukが出力される。この出力値は制御対象(加熱源22)に適用され、制御対象(正確には、加熱物Wの物温y(t))が制御される。物温y(t)は、モデル予測制御へネガティブフィードバックされる。

0029

位相進み補償部12から出力されるyc(t)は、式(1)で計算される。

0030

0031

なお、式(1)のように、yd(t)に対してtc(t)を直接補償する場合、昇温開始時にいきなりtc(t)がステップ変化し、加熱源22に対する急峻な操作入力が必要となる。このような急峻な操作入力を避けたい場合、te(t)を直接補償のではなく、式(2)、式(3)で示す如く、tc(t)にフィルタ(例えば、時定数Tの一次フィルタ)した値を加算して補償すれば目標値yc(t)の急峻な変化を避けることができる。

0032

0033

図4には、図3の制御ブロック図を基に制御した結果が示されている。この結果は、前述の式(2)、式(3)を用い、tc(t)ではなくtf(t)にて、yd(t)を補正したものである。
図4から明らかなように、物温指令値yd(t)と、加熱物の物温y(t)とが、一致する状況、すなわち適切な制御が行われている状況となっている。
[第2実施形態]
次に、本発明の制御装置1にかかる第2実施形態について説明をする。

0034

本実施形態においても、第1実施形態と同様に、図3で示す制御ブロック図による制御が制御装置において実行される。しかしながら第1実施形態と異なるのは、モデル予測制御が、PFC制御ではなく、通常のモデル予測制御(MPC制御)である点である。
例えば、通常のモデル予測制御(MPC制御)としては、図9に示すブロック図で表されものがある。

0035

これまでのPFC制御では評価すべき未来時間は t+te の1点のみであったが、通常のモデル予測制御(MPC制御)では、評価すべき時間を評価区間{t+te0≦τ≦t+te1}として幅を持って与えることができる。この評価区間{t+te0≦τ≦t+te1}における評価関数Jとして、予測される制御誤差{yd-ye}2と入力u2の和で与えた式(a1)を考える。

0036

0037

一般にモデル予測制御は離散システムの形で記述され、式(a1)を離散化すると、式(a2)のように書き換えることができる。

0038

0039

この評価関数Jを最小にする{ u(i)| k≦i≦k+ie1 }を最適計算に基づいて算出する(式(a3)参照)。

0040

0041

得られた最適入力時系列{ u(i)| k≦i≦k+ie1 }の内、最初の u(k) のみを使用し、u(k) を時刻t における制御入力uk として出力する制御が通常のモデル予測制御である。
評価関数は事前に与えられている yd(i)に加え、出力の未来予測値ye(i)を予測する必要がある。今、プラント離散モデルが式(a4)で与えられた場合を考える。

0042

0043

この場合、未来予測値ye(i) は過去の ye と u によって、式(a5)で与えられ、漸化的に算出することができる。

0044

0045

なお、異常から ye は u によって決定されるため、評価関数Jも u の関数となり、u によって最適化することができる。
図5には、制御対象として、一次遅れ系(1/(1+s))の場合を考える。また現時刻t に対して0〜2秒先の区間を評価区間{t+0≦τ≦t+2}とした場合の結果を示す。この図は、このような制御対象に対して、図1で示すような従来の制御を行った結果(ランプ入力時)を示したものである。

0046

通常、評価区間が0〜2秒なので、その中央値である1秒後に yd と一致するのが最も妥当である。そこでte=1とした場合、te時刻後の指令値yd(t-te) と出力 y(t) はやはり一致せず、MPC制御もPFC制御と同様に、y(t) が yd(t-te) に対して位相が進んでいることがわかる。
図6は、一次遅れ系で示される制御対象に対して、位相進みtmを加味し、図3で示すような本発明の制御を行った結果(ランプ入力時)を示したものである。

0047

図3に示す制御では、位相進み補償部12を有しており、この位相進み補償部12は、制御による位相進み時間tmと未来時間teを加味したtc分だけ、位相に対して補償を行った信号yc(t)を出力する。出力yc(t)は、モデル予測制御に入力され、その結果、モデル予測制御から所定時間後の指令値(te時間後指令値)ukが出力される。
すなわち、式(4)を基にtc(t)を算出して、tc(t)分だけ位相補償を行う。

0048

0049

この位相進み補償部12による位相補償によって、図6に示すように、物温指令値yd(t)と物温y(t)を一致させることができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の制御装置1にかかる第3実施形態について説明をする。
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、図3で示す制御ブロック図による制御が制御装置1において実行される。ここでは、モデル予測制御はPFC制御とされている。

0050

しかしながら第1実施形態と異なるのは、図7に示すように、PFC制御においても、te先の未来を予測した未来予測値ye(t)(≒y(t+te))に対して、更にtaだけ位相を進める位相進み補償を行うようにしている点が大きく異なっている。加えて、位相進み補償部12において、未来予測値teをtaだけ位相進めるのに対応して、目標値もtaだけ余分に位相を進めている。なお、制御対象としては、一次遅れ系(e−L・s・1/(1+Ts))を考える。

0051

本実施形態におけるPFC制御の詳細は以下の通りである。
詳しくは、図7に示す如く、加熱炉20などの制御対象を一次遅れ系とむだ時間系で近似できるものとし、この制御対象に、所定時間後の制御対象の出力目標値を与えるようにする。すなわち、出力目標値yd(t+te)を設定する目標値設定部2が設けられると共に、制御対象の入側に積算部3が設けられ、この積算部3でuk=uk-1+akで算出された指令値を、出力目標値が付与された場合における所定時間後の制御対象の出力を制御対象の動特性モデルに基づいて予測する制御対象9へ入力するようにしている。ここで、ukはyd(t+te)-ye(t+te)、akは、一次遅れ系のステップ応答の逆数で与えられるものとしている。

0052

積算部3からの出力は、分岐して予測部4に入力され、その出力が制御対象9の出力に加算される。予測部4は一次遅れ系の伝達関数で構成され、予測部4からの出力は、むだ時間系の伝達関数で構成されたむだ時間部10に入力され、むだ時間部10の出力が制御対象9の出力に減算の形で入力される。
一方、積算部3からの分岐された出力ukは、さらに、ステップ応答部5へと入力される。ステップ応答部5は一次遅れ系のステップ応答の一定時間後のゲイン特性を有している。また、予測部4の出力はインパルス応答部6へと入力される。インパルス応答部6は、一次遅れ系のインパルス応答の一定時間後のゲイン特性を有するものとなっている。インパルス応答部6の出力はステップ応答部5の出力に加算された上で、制御対象9の出力に加算され、推定誤差を加味した未来時刻teでの物温の予測値ye(t+te)となる。

0053

つまり、予測部4の出力がむだ時間部10を通過した後の値と、ステップ応答部5の出力とインパルス応答部6の出力とが加算された値とが、制御対象9の出力に加えられ、積算部3の入側へネガティブフィードバックされる。すなわち、推定誤差を加味した未来時刻teでの物温の予測値ye(t+te)が、積算部3の出力側へネガティブフィードバックされる。

0054

以上述べた予測部4、ステップ応答部5、インパルス応答部6、むだ時間部10により、算出される所定時間後の制御対象9の出力の未来時刻での予測値と、目標値設定部2で与えられた出力目標値が一致するような入力をPFC制御に基づいて決定する入力決定部8が構成されている。
さらに、制御装置1は、補正部7(未来入力算出部)を有し、この補正部7の出力(ta×dya/dt)が、積算部3の出力側へネガティブフィードバックされる信号ye(t)に加算されyf(t)となっている。すなわち、第3実施形態の制御装置1においては、補正部7にて、所定時間taだけ位相進める補正を行うと共に、位相進み補償部12においても、所定時間taだけ位相進める補正を行うこととしている。

0055

この制御装置1によっても、第1実施形態や第2実施形態と同様に、物温指令値yd(t)と物温y(t)を位相遅れなく確実に一致させることができる。
以上述べたように、本発明の制御装置1は、所定時間後の制御対象9の出力目標値を与える目標値設定部2と、出力目標値が付与された場合における所定時間後の制御対象9の出力を、制御対象9の動特性モデルに基づいて予測する予測部4と、予測部4が予測した所定時間後の制御対象9の出力の予測値と目標値設定部2で与えられた出力目標値とが一致するような入力を、モデル予測制御に基づいて決定する入力決定部8とを備えていて、予測部4が予測した所定時間後の制御対象9の出力の予測値と目標値設定部2で与えられた出力目標値との位相差を補償すべく、目標値設定部2が出力した出力目標値と、当該出力目標値の微分値とに基づき、入力決定部8に対する入力値(位相補正値)を算出する位相進み補償部12を有している。この制御装置1によれば、応答遅れが大きな系に対しても、所定時刻後に目標値と実測値を位相差を持つことなく確実に一致させることのできる応答遅れ系の制御を実現することができる。

0056

ところで、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、動作条件測定条件、各種パラメータ構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。

0057

1制御装置
2目標値設定部
3 積算部
4予測部
5ステップ応答部
6インパルス応答部
7補正部
8入力決定部
9制御対象
10むだ時間部
20加熱炉
21炉体
22加熱源(ヒータ)
23温度計
101 従来からの制御装置(PFC制御)
W 被加熱物

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