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技術 動脈狭窄の程度を検知する方法

出願人 学校法人岩手医科大学
発明者 人見次郎及川里百合槇昇八木慎太郎
出願日 2016年3月31日 (5年5ヶ月経過) 出願番号 2016-071324
公開日 2017年10月5日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2017-181381
状態 特許登録済
技術分野 ペプチド又は蛋白質 生物学的材料の調査,分析 酵素、微生物を含む測定、試験
主要キーワード 炭酸ガス中 アテローム血栓症 構造変換 検知対象 細胞数比 標識抗体液 血漿検体 ハサミ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題

アテローム血栓症イベントリスクの判定や、アテローム血栓症に対する治療効果の判定などを行うために有用な、定量性に優れた動脈狭窄の程度を検知する方法を提供すること。

解決手段

EDTA血漿検体に、2価の金属イオンと、抗凝固剤としてヘパリンまたはその塩を加えた検体中の、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量を指標とすることによる。

概要

背景

脳梗塞などの脳血管疾患心筋梗塞などの心血管疾患の原因となるアテローム血栓症ATIS:Atherothrombosis)は、動脈壁肥厚が進行した結果、血管内部に動脈硬化性プラーク粥腫)が形成され、内皮の損傷やプラークの破綻などによって血小板活性化されて血栓が形成されるに至った状態であり、近年、死亡原因となる疾患として著しく増加していることは一般にもよく知られた事実である。従って、そのイベントリスクの判定を正確に行い、リスクが高い患者に対して適切な治療を行うことは、生命の危険や重篤機能障害の発生を回避する上で非常に重要である。現在、アテローム血栓症の診断は、超音波エコー)、血管造影MRIなどの画像に基づいて行われている。しかしながら、これらの画像による診断は、画像の良し悪しが撮影者の技術によって左右されるため、いずれもゴールドスタンダードになり得ない。こうした点に鑑み、アテローム血栓症のイベントリスクの判定や、アテローム血栓症に対する治療効果の判定などを行うために有用な、動脈壁肥厚の程度を検知するためのバイオマーカーとして、C3a−desArg(アルギニン欠損型補体成分C3a)が特許文献1において提案されている。C3a−desArgは、巨大な補体成分であるC3が分解されて産生される分子量が約9000のC3aのC末端のアルギニンが切除されることで生成する物質であることは、当業者に周知の通りである。

アテローム血栓症のイベントリスクの判定や、アテローム血栓症に対する治療効果の判定などを行うために、動脈狭窄の程度を検知することは、動脈壁肥厚の程度を検知することと同様に有用である。特許文献1の教示によれば、C3a−desArgは、動脈狭窄の程度を検知するためのバイオマーカーとしても用いることができることが期待される。しかしながら、被験者由来血液検体血清)中のC3a−desArg量は、採血してから血清を分離するまでの時間や、血清を分離してからC3a−desArg量の測定を開始するまでの時間の経過に伴って増加するため、その血中濃度定量性担保することができないことが知られている(必要であれば例えば特許文献2を参照のこと)。従って、被験者由来の血清中のC3a−desArg量が多いことが、被験者のC3a−desArgの血中濃度が高いことを必ずしも意味しないことから、C3a−desArgが動脈狭窄の程度を検知するためのバイオマーカーとして用いることができたとしても、例えば血清中のC3a−desArg量が多いので動脈狭窄の程度が強いといったような判定は一概にすることができない点において改善の余地がある。

概要

アテローム血栓症のイベントリスクの判定や、アテローム血栓症に対する治療効果の判定などを行うために有用な、定量性に優れた動脈狭窄の程度を検知する方法を提供すること。EDTA血漿検体に、2価の金属イオンと、抗凝固剤としてヘパリンまたはその塩を加えた検体中の、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量を指標とすることによる。

目的

本発明は、アテローム血栓症のイベントリスクの判定や、アテローム血栓症に対する治療効果の判定などを行うために有用な、定量性に優れた動脈狭窄の程度を検知する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

EDTA血漿検体に、2価の金属イオンと、抗凝固剤としてヘパリンまたはその塩を加えた検体中の、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量を指標とすることによる動脈狭窄の程度を検知する方法。

請求項2

2価の金属イオンがカルシウムイオンである請求項1記載の方法。

請求項3

EDTA血漿検体に、2価の金属イオンと、抗凝固剤としてヘパリンまたはその塩を加えることによる動脈狭窄の程度を検知するための検体を調製する方法。

請求項4

EDTA血漿検体に、2価の金属イオンと、抗凝固剤としてヘパリンまたはその塩を加えた検体の、動脈狭窄の程度を検知するための検体としての使用。

技術分野

0001

本発明は、アテローム血栓症イベントリスクの判定や、アテローム血栓症に対する治療効果の判定などを行うために有用な、動脈狭窄の程度を検知する方法に関する。

背景技術

0002

脳梗塞などの脳血管疾患心筋梗塞などの心血管疾患の原因となるアテローム血栓症(ATIS:Atherothrombosis)は、動脈壁肥厚が進行した結果、血管内部に動脈硬化性プラーク粥腫)が形成され、内皮の損傷やプラークの破綻などによって血小板活性化されて血栓が形成されるに至った状態であり、近年、死亡原因となる疾患として著しく増加していることは一般にもよく知られた事実である。従って、そのイベントリスクの判定を正確に行い、リスクが高い患者に対して適切な治療を行うことは、生命の危険や重篤機能障害の発生を回避する上で非常に重要である。現在、アテローム血栓症の診断は、超音波エコー)、血管造影MRIなどの画像に基づいて行われている。しかしながら、これらの画像による診断は、画像の良し悪しが撮影者の技術によって左右されるため、いずれもゴールドスタンダードになり得ない。こうした点に鑑み、アテローム血栓症のイベントリスクの判定や、アテローム血栓症に対する治療効果の判定などを行うために有用な、動脈壁肥厚の程度を検知するためのバイオマーカーとして、C3a−desArg(アルギニン欠損型補体成分C3a)が特許文献1において提案されている。C3a−desArgは、巨大な補体成分であるC3が分解されて産生される分子量が約9000のC3aのC末端のアルギニンが切除されることで生成する物質であることは、当業者に周知の通りである。

0003

アテローム血栓症のイベントリスクの判定や、アテローム血栓症に対する治療効果の判定などを行うために、動脈狭窄の程度を検知することは、動脈壁肥厚の程度を検知することと同様に有用である。特許文献1の教示によれば、C3a−desArgは、動脈狭窄の程度を検知するためのバイオマーカーとしても用いることができることが期待される。しかしながら、被験者由来血液検体血清)中のC3a−desArg量は、採血してから血清を分離するまでの時間や、血清を分離してからC3a−desArg量の測定を開始するまでの時間の経過に伴って増加するため、その血中濃度定量性担保することができないことが知られている(必要であれば例えば特許文献2を参照のこと)。従って、被験者由来の血清中のC3a−desArg量が多いことが、被験者のC3a−desArgの血中濃度が高いことを必ずしも意味しないことから、C3a−desArgが動脈狭窄の程度を検知するためのバイオマーカーとして用いることができたとしても、例えば血清中のC3a−desArg量が多いので動脈狭窄の程度が強いといったような判定は一概にすることができない点において改善の余地がある。

先行技術

0004

国際公開第2015/178237号パンフレット
特開2010−181275号公報

発明が解決しようとする課題

0005

そこで本発明は、アテローム血栓症のイベントリスクの判定や、アテローム血栓症に対する治療効果の判定などを行うために有用な、定量性に優れた動脈狭窄の程度を検知する方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは上記の点に鑑みて鋭意検討を行った結果、EDTAエチレンジアミン四酢酸血漿検体に、2価の金属イオンとしてカルシウムイオンと、抗凝固剤としてヘパリンを加えた検体が、動脈狭窄の程度を検知するための検体として有用であること、この検体中の、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量が、動脈狭窄の程度を検知するための定量性に優れた指標となることを見出した。

0007

上記の知見に基づいてなされた本発明の動脈狭窄の程度を検知する方法は、請求項1記載の通り、EDTA血漿検体に、2価の金属イオンと、抗凝固剤としてヘパリンまたはその塩を加えた検体中の、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量を指標とすることによる。
また、請求項2記載の方法は、請求項1記載の方法において、2価の金属イオンがカルシウムイオンである。
また、本発明の動脈狭窄の程度を検知するための検体を調製する方法は、請求項3記載の通り、EDTA血漿検体に、2価の金属イオンと、抗凝固剤としてヘパリンまたはその塩を加えることによる。
また、本発明は、請求項4記載の通り、EDTA血漿検体に、2価の金属イオンと、抗凝固剤としてヘパリンまたはその塩を加えた検体の、動脈狭窄の程度を検知するための検体としての使用である。

発明の効果

0008

本発明によれば、アテローム血栓症のイベントリスクの判定や、アテローム血栓症に対する治療効果の判定などを行うために有用な、定量性に優れた動脈狭窄の程度を検知する方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0009

実施例1における、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量に基づいて、頸動脈狭窄の程度が軽度の群と重度の群を区別することができることを示すグラフである。
同、頸動脈狭窄の程度が軽度の群と重度の群について、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量から予測したROC曲線である。

0010

本発明の動脈狭窄の程度を検知する方法は、EDTA血漿検体に、2価の金属イオンと、抗凝固剤としてヘパリンまたはその塩を加えた検体中の、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量を指標とすることによるものである。以下、本発明の動脈狭窄の程度を検知する方法を、順を追って説明する。

0011

本発明の動脈狭窄の程度を検知する方法においては、まず、EDTA血漿検体に、2価の金属イオンと、抗凝固剤としてヘパリンやその塩を加える。EDTA血漿検体は、例えば市販のEDTA2ナトリウム入り採血管を用いて採血した被験者の血液から調製される、一般的な血液検査を行うためのものであってよい。

0012

EDTA血漿検体に加える2価の金属イオンは、血漿中のカルシウムイオンに対するEDTAによるキレート化によってC3カスケードの進行が阻止されている状態を解除することで、検体中においてC3カスケードを進行させて、検体中にC3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質を生成させるためのものである。こうしてC3カスケードを進行させることによって生成する物質の存在量が、動脈狭窄の程度を検知するための指標となる。2価の金属イオンとしては、例えばカルシウムイオンが挙げられるが、マグネシウムイオン亜鉛イオンなどであってもよい。EDTAによってC3カスケードの進行が阻止されている状態を解除するためには、2価の金属イオンの添加量は、検体に含まれるEDTA1モルに対して1モル以上が望ましく2モル以上がより望ましい。

0013

EDTA血漿検体に加える抗凝固剤は、ヘパリンやその塩(ナトリウム塩など)であり、検体に2価の金属イオンを加えることにより、EDTAが血漿中のカルシウムイオンをキレート化することによる抗凝固作用が解除されることで検体中に不溶性血液凝固物が生成することを阻止し、血液凝固物が、検体中のC3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量の測定に悪影響(ピペッティング操作の妨げなど)を及ぼさないようにするためのものである。抗凝固剤の添加量は、検体中に血液凝固物が生成することを効果的に阻止するために、検体中の濃度が1Unit/ml以上になるように加えることが望ましい(上限は例えば12Unit/mlである)。検体中に血液凝固物が生成することを効果的に阻止するためには、抗凝固剤は2価の金属イオンと同時に検体に加えることが望ましい。

0014

EDTA血漿検体に2価の金属イオンと抗凝固剤を加えた検体中の、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量を測定するために用いる、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体は、モノクローナル抗体であってもよいし、ポリクローナル抗体であってもよい。また、市販の抗体や公知の抗体であってもよいし、自家作製した抗体であってもよい。抗体は、容易かつ簡便に動脈狭窄の程度を検知することができるように、洗浄液などとともにキット化してもよい。C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量の測定は、抗原抗体反応を利用する免疫学的手法、具体的には、ELISA(Enzyme−Linked Immunosorbent Assay)法、ウエスタンブロッティング法ラテックス凝集比濁法フローサイトメトリー法などにより、それぞれの方法の標準的なプロトコルに従って行うことができる。その測定は、検体中においてC3カスケードを進行させて、検体中にC3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質を生成させるため、EDTA血漿検体を例えばpH5.0〜7.0に調整した後、2価の金属イオンを加えてから(同時に抗凝固剤を加えることが望ましいことは上述の通りである)、35〜40℃で30分間以上保温した後に行うことが望ましい(検体の調製から測定に至るまでの時間と測定に要する時間の合計時間を考慮すれば保温時間は2時間以下が望ましい)。

0015

本発明の動脈狭窄の程度を検知する方法において検知対象とする動脈は、狭窄が起こりうる動脈であれば体内のどの部位に存在する動脈であってもよいが、検知対象とする好適な動脈としては頸動脈が挙げられる。検知対象とする動脈が頸動脈の場合、本発明の方法は、例えば次のようにして利用することができる。健康診断などにおいて頸動脈におけるアテローム血栓症のイベントリスクの判定を行うために、頸動脈狭窄(CAS:carotid artery stenosis)の程度を知ることを目的として、被験者由来のEDTA血漿検体に2価の金属イオンと抗凝固剤を加えた検体中の、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量を測定し、頸動脈狭窄の程度が軽度(例えばECST法やNASCET法による狭窄率(SR:stenosis rate)が30%より大きく60%より小さい)と重度(SRが60%より大きい)のそれぞれの場合の予め定めた標準存在量と比較する。比較の結果、被験者の存在量が、頸動脈狭窄の程度が軽度の場合の標準存在量よりも少なければ治療の必要なし、軽度の場合の標準存在量に相当すれば薬物療法を実施する、重度の場合の標準存在量に相当すれば頸動脈内膜剥離術(CEA)を施行するといったように、治療の必要性の有無を判断したり、治療方針を策定したりする。また、頸動脈内膜剥離術を施行する必要性の有無を判断するための測定値基準値カットオフ値)を予め定めておけば、健常者やアテローム血栓症患者と頸動脈内膜剥離術対象患者を区別することができる。こうした治療の必要性の有無の判断や治療方針の策定を行う際、現在、アテローム血栓症の診断に利用されている、超音波(エコー)、血管造影、MRIなどの画像による診断の結果を参考にしてもよい。また、本発明の方法は、所定の治療を行った患者を被験者として、そのEDTA血漿検体に2価の金属イオンと抗凝固剤を加えた検体中の、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量を測定し、治療前の存在量と比較することで、頸動脈におけるアテローム血栓症に対する治療効果の判定などにも利用することもできる。

0016

以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。

0017

参考例1:C3aとC3a−desArgの両方を認識するモノクローナル抗体の作製(その1)
(A)ハイブリドーマの作製
C3aとC3a−desArgの両方を認識するモノクローナル抗体を作製するため、マウスへの免疫を以下のようにして行った。免疫抗原はC3a−desArgのC末端11アミノ酸ペプチド(QHARASHLGLA:配列番号1)のKLHコンジュゲートとし、10μg(ペプチド相当)をアジュバントであるTiterMax Gold(TiterMax USA)とともにBALB/cマウスに腹腔内投与した。2〜4週間ごとに同様の追加免疫を行い、さらにPBSに溶解したペプチド10μgを最終免疫として尾静脈内に投与した。

0018

最終免疫後3日目にマウスから脾臓無菌的に摘出し、ハサミおよび金属メッシュを用いて脾臓を個々の細胞にほぐし、RPMI−1640培地で3回洗浄した。対数増殖期マウス骨髄腫細胞株Sp2/0−Ag14をRPMI−1640培地で3回洗浄後、この細胞と脾臓細胞を1:5の細胞数比で混合した。200×gで5分間遠心した後、上清を除去し、細胞隗を緩やかに混合しながら50%ポリエチレングリコール(PEG)4000(Merck)を含むRPMI−1640培地1mlをゆっくりと加え、さらにRPMI−1640培地10mlを加えて細胞融合させた。

0019

得られた融合細胞を、200×gで5分間遠心してPEGを除いた後、10%ウシ胎児血清およびヒポキサンチンアミノプテリンチミジン(HAT)を含むRPMI−1640培地に懸濁し、96ウエル細胞培養プレート播種した。約10日間培養してハイブリドーマのみを増殖させた後、免疫抗原に対して特異的に反応するモノクローナル抗体を産生するクローンELISA法により検索し、所望のハイブリドーマを得、限界希釈法により単一クローン化を行い、ハイブリドーマを樹立した。

0020

(B)C3aとC3a−desArgの両方を認識するモノクローナル抗体の作製および解析
(A)で樹立したハイブリドーマの1つ(クローン名:C3a−19)を、無血清培地(Hybridoma−SFM、GIBCO)を用い、37℃にて5%炭酸ガス中において72〜96時間培養した。培地中に産生されたモノクローナル抗体を精製するため、その培養液を、プロテインAセファロースカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーにかけた。

0021

C3a−19が産生するモノクローナル抗体について、抗マウスIgアイソタイプ抗体を用いたアイソタイプタイピングキット(Zymed)により、サブクラスを同定した結果、IgG1であることがわかった。また、C3a−19が産生するモノクローナル抗体は、市販のヒトC3a精製物(Calbiochem)と市販のヒトC3a−desArg精製物(Calbiochem)の両方に反応することがわかった。

0022

参考例2:C3aとC3a−desArgの両方を認識するモノクローナル抗体の作製(その2)
免疫抗原としてC3a−desArgのN端側16アミノ酸ペプチド(KRMDKVGKYPKELRKC:配列番号2)のKLHコンジュゲートを用いること以外は参考例1と同様にして、所望のハイブリドーマを樹立した。その1つ(クローン名:C3N−6)が産生するモノクローナル抗体について、参考例1と同様にしてサブクラスを同定した結果、IgG1であることがわかった。また、C3N−6が産生するモノクローナル抗体は、市販のヒトC3a精製物と市販のヒトC3a−desArg精製物の両方に反応することがわかった。

0023

実施例1:本発明の方法による頚動脈狭窄の程度の検知
実験方法
頚動脈狭窄の程度が軽度(ECST法によるSRが60%未満)で血管イベント既往がない48例(CAS SR<60% w/o events群)と、頸動脈狭窄の程度が重度(ECST法によるSRが60%以上)であることから頸動脈内膜剥離術の施行が必要と判断された75例(CAS SR≧60%群)について、それぞれの患者から同意を得てEDTA血漿検体を採取した。検体をリン酸緩衝液によりpH6.0に調整した後、CaCl2とへパリンNa(WAKO)を最終濃度がそれぞれ10mMと8Unit/mlになるように同時に加え(CaCl2の添加量はEDTAのモル数の2倍モル量)、37℃で1時間保温してから、後述するプロトコルに従ってELISAを行い、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量の測定を行った。なお、採血してから血漿を分離するまでの時間や、血漿を分離してからC3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量の測定を開始するまでの時間の経過の違いにより、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量が変化することはほとんどないことを予め確認していたので、これらの時間は特に定めなかった。

0024

実験結果)
CAS SR<60% w/o events群の48例とCAS SR≧60%群の75例の両群の、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量の測定結果を、Mann−Whitney検定により比較したところ、p<0.0001で両群を区分することができた(図1)。また、両群について、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量から予測したROC曲線のAUC(曲線下面積)は0.8963であり、頸動脈狭窄の程度の違いによって両群を区別する上において、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量を測定することの有用性を確認することができた(図2)。ROC解析の結果から、暫定的に設定したカットオフ値(40.0nmol/l)を用いて両群を見極めることの可能性を評価すると、表1に示すように、感度84.0%(63/75)、特異度81.3%(39/48)、正診率82.9%(102/103)となり、頸動脈狭窄の程度の違いによる両群の見極めが可能であると考えられた。検体にCaCl2を加えるのと同時にヘパリンNaを加えたことで、例えばピペッティング操作の妨げとなるような血液凝固物の生成は認められなかった。

0025

0026

なお、EDTA血漿検体をリン酸緩衝液によりpH6.0に調整した後、CaCl2とへパリンNaを同時に加えてからの37℃での保温時間と、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量の関係を、CAS SR≧60%群のEDTA血漿検体2例について表2に示す(いずれも保温時間が長くなると存在量は増加する)。

0027

0028

(C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量を測定するためのELISA法のプロトコル)
参考例2で作製したモノクローナル抗体(C3N−6)を、終濃度が5μg/mlになるように0.15M NaClを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)で希釈し、96ウエルマイクロプレートヌンク社)1ウエルにつき100μlづつ分注した。4℃で一晩静置した後、0.15M NaClを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)0.35mlを用いてそれぞれのウエルを2回洗浄した。その後、0.5%カゼイン−Naを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)(以下「ブロッキング液」)0.35mlをそれぞれのウエルに添加し、さらに室温で4時間静置した。ブロッキング液を除去した後、0.2M NaClと1%BSAと0.07%カゼイン−Naを含む100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)90μlと、検体または段階的に希釈した標準物質(特許文献1に記載の方法で調製したTrpE−C3a−desArg融合抗原)10μlを、それぞれのウエルに添加して100μlとし、室温で1時間反応させた。反応後、0.15M NaClと0.05% Tween20を含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)(以下「洗浄液」)0.35mlを用いてそれぞれのウエルを5回洗浄した。その後、参考例1で作製したモノクローナル抗体(C3a−19)をペルオキシダーゼ(POD)標識して調製した標識抗体液(0.2M NaClと1%BSAと0.07%カゼイン−Naを含む100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3))100μlをそれぞれのウエルに添加し、室温で30分間反応させた。洗浄液0.35mlを用いてそれぞれのウエルを5回洗浄した後、基質オルトフェニレンジアミン溶液100μlを添加し、室温暗所で30分間反応させた。反応後、2N硫酸溶液100μlをそれぞれのウエルに添加し、波長630nmの吸光度対照として波長490nmにおける吸光度(OD490)を測定することで、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量を測定した。

0029

実施例1の結果からのC3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質に関する考察
Rodriguezらの方法(JBC 290,2334−2350,2015)に従い、市販のヒトC3精製物(Calbiochem)を、200mMヒドラジンと0.15M NaClを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)中、37℃で2時間反応させ、C3の加水化物であるC3(H2O)を産生させた。反応終了後試料について、実施例1に記載したプロトコルに従ってELISAを行ったところ、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量は775.8nmol/lであった。これに対し、ヒドラジンを加えないこと以外は同じ条件で実験を行って得た試料のC3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量は75.3nmol/lであったことから、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体によってC3の加水化物であるC3(H2O)が検出されることがわかった。血液中にはC3(H2O)とともにC3a−desArgが存在し、C3a−desArgも、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出されることと、血液中にC3aが存在したとしてもすぐさまカルボキシペプチダーゼNによってC3a−desArgに変換されることを考えれば、本発明の方法においてC3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される血液中の物質は、C3(H2O)とC3a−desArgの2者であり、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量は、両者の存在量の合計量であると推察された。C3(H2O)とC3a−desArgの存在量の合計量の違いが、動脈狭窄の程度の違いを反映するのは、C3カスケードの第2経路の進行に関与する酵素、とりわけ、C3が加水化されることによるC3(H2O)への構造変換に関与する酵素の量や活性の違いによるものではないかと本発明者らは考察している。

0030

参考例3:EDTA血漿検体にCaCl2とへパリンNaを同時に加えることの効果
EDTA血漿検体をリン酸緩衝液によりpH6.0に調整した後、CaCl2とへパリンNaを最終濃度がそれぞれ10mMと1,4,8,12Unit/mlになるように同時に加え、37℃で1時間保温してから、実施例1と同様にしてELISAを行い、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量の測定を行った。CAS SR≧60%群のEDTA血漿検体3例についての結果を表3に示す。表3には、CaCl2とへパリンNaを加えない、リン酸緩衝液によりpH6.0に調整したEDTA血漿検体について、実施例1と同様にしてELISAを行い、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量の測定を行った結果をあわせて示す(「無処理」のカラム)。表3から明らかなように、EDTA血漿検体にCaCl2とへパリンNaを同時に加えて37℃で1時間保温することで、C3aとC3a−desArgの両方を認識する抗体で検出される物質の存在量が増加した。へパリンNaの最終濃度が1Unit/mlの場合でも、例えばピペッティング操作の妨げとなるような血液凝固物の生成は認められなかった。検体にCaCl2だけを加えてヘパリンNaを加えなかった場合、例えばピペッティング操作の妨げとなるような血液凝固物の生成が認められた。

実施例

0031

0032

本発明は、アテローム血栓症のイベントリスクの判定や、アテローム血栓症に対する治療効果の判定などを行うために有用な、定量性に優れた動脈狭窄の程度を検知する方法を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。

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