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技術 分析方法及び分析装置

出願人 岩谷産業株式会社
発明者 表田新一松本和人井上吾一三木伸一畠山典久長尾博文
出願日 2016年3月31日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-070185
公開日 2017年10月5日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2017-181344
状態 特許登録済
技術分野 計測用電子管 その他の電気的手段による材料の調査、分析
主要キーワード 回遅れ 検出器電圧 最大許容濃度 感度誤差 燃料水素ガス 周回運動 入射電極 ジェットセパレータ
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

本発明は、標準物質を添加することなく、燃料電池用燃料水素ガス中の不純物ガスを定量するための分析方法及び分析装置を提供する。

解決手段

本発明の分析方法及び分析装置は、標準試料ガスジェットセパレータ2により濃縮し、濃縮後の標準試料濃縮ガス多重周回飛行時間型質量分析器3に導入して水素ガス及び不純物ガスの信号強度を測定し、他方、燃料電池用の燃料水素ガスである未知試料ガスをジェットセパレータ2により濃縮し、濃縮後の未知試料濃縮ガスを多重周回飛行時間型質量分析器3に導入して水素ガス及び不純物ガスの信号強度を測定し、両測定における水素ガスの信号強度比に基づき、未知試料ガスの不純物ガスの信号強度を補正して、未知試料ガス中の不純物ガスを定量することを可能としたものである。

概要

背景

燃料電池は、精密機器であるため、燃料電池用燃料水素ガス不純物ガスが多く混入していると、本来の性能を発揮できなくなるばかりか、故障の原因にもなるため、水素ガス品質管理は非常に重要である。
そのため、燃料電池用の燃料水素ガス中の不純物ガスの分析が求められるところである。

ところで、微量化合物定量分析定性分析に用いられる分析装置として、質量分析器がある。
質量分析器は、試料イオン化し、各イオンが有する質量電荷比m/z(エムオーバージーと称呼され、正式には斜体の記号で表示されるが、簡略に表示している、以下同じ)の値に応じてイオンを分離し、分離された各イオンを検出して電気信号に変換し、スペクトルを得るものである。
イオンの飛行速度が質量電荷比によって異なることを利用した飛行時間型質量分析器も知られており、さらに、イオンを同一軌道多重周回させることにより、装置を大型化することなく飛行時間を大きくし、質量分解能を向上させた多重周回飛行時間型質量分析器も知られている(例えば、特許文献1参照)。

概要

本発明は、標準物質を添加することなく、燃料電池用の燃料水素ガス中の不純物ガスを定量するための分析方法及び分析装置を提供する。本発明の分析方法及び分析装置は、標準試料ガスジェットセパレータ2により濃縮し、濃縮後の標準試料濃縮ガスを多重周回飛行時間型質量分析器3に導入して水素ガス及び不純物ガスの信号強度を測定し、他方、燃料電池用の燃料水素ガスである未知試料ガスをジェットセパレータ2により濃縮し、濃縮後の未知試料濃縮ガスを多重周回飛行時間型質量分析器3に導入して水素ガス及び不純物ガスの信号強度を測定し、両測定における水素ガスの信号強度比に基づき、未知試料ガスの不純物ガスの信号強度を補正して、未知試料ガス中の不純物ガスを定量することを可能としたものである。

目的

本発明は、外部から標準物質を添加することなく、燃料電池用の燃料水素ガス中の不純物ガスを定量するための分析方法及び分析装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

水素ガス中既知の濃度で不純物ガスを含有する標準試料ガスジェットセパレータに導入して、前記標準試料ガス中の不純物ガスを濃縮するために主として水素ガス分離除去を行った後、前記濃縮後の標準試料濃縮ガス多重周回飛行時間型質量分析器に導入して水素ガス及び不純物ガスの信号強度を測定する標準試料ガス測定を、不純物ガスの濃度が異なる2以上の標準試料ガスについて行う第1の工程と、前記第1の工程により得られた標準試料ガス測定の結果から、不純物ガスの濃度と不純物ガスの信号強度との関係を把握する第2の工程と、燃料電池用燃料水素ガスであって不純物ガスの濃度が未知である未知試料ガスをジェットセパレータに導入して、前記未知試料ガス中の不純物ガスを濃縮するために主として水素ガスの分離除去を行った後、前記濃縮後の未知試料濃縮ガスを多重周回飛行時間型質量分析器に導入して水素ガス及び不純物ガスの信号強度を測定する未知試料ガス測定を行う第3の工程と、前記第1の工程における水素ガスの信号強度と前記第3の工程における水素ガスの信号強度との比に基づき、前記第3の工程における不純物ガスの信号強度を補正するとともに、前記補正後の補正値を、前記第2の工程で把握した不純物ガスの濃度と不純物ガスの信号強度との関係に当てはめて、未知試料ガス中の不純物ガスを定量する第4の工程と、を備える、分析方法

請求項2

試料ガス中の前記不純物ガスを濃縮するために主として水素ガスを分離除去するジェットセパレータと、前記ジェットセパレータで濃縮された試料濃縮ガスが導入され、前記試料濃縮ガス中の水素ガス及び不純物ガスの信号強度を測定する多重周回飛行時間型質量分析器と、水素ガス中に既知の濃度で不純物ガスを含有する標準試料ガスを前記ジェットセパレータ及び前記多重周回飛行時間型質量分析器で順次処理させる操作を不純物ガスの濃度が異なる2以上の標準試料ガスについて行うことにより取得可能な情報として、少なくとも、前記標準試料ガス中の不純物ガスの濃度と不純物ガスの信号強度との関係及び水素ガスの信号強度を記憶する記憶部と、を備え、燃料電池用の燃料水素ガスであって不純物ガスの濃度が未知である未知試料ガスを前記ジェットセパレータ及び前記多重周回飛行時間型質量分析器で順次処理させて得られる不純物ガスの信号強度を、前記未知試料ガスにおける水素ガスの信号強度と前記記憶部に記憶された標準試料ガスにおける水素ガスの信号強度との比に基づき補正するとともに、前記補正後の補正値を、前記記憶部に記憶された不純物ガスの濃度と不純物ガスの信号強度との関係に当てはめて、未知試料ガス中の不純物ガスを定量することを可能とした、分析装置

請求項3

前記不純物ガスが、酸素窒素一酸化炭素二酸化炭素メタンアンモニア及び硫化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1に記載の分析方法又は請求項2に記載の分析装置。

請求項4

試料濃縮ガスを多重周回飛行時間型質量分析器においてイオン化するときのイオン化電圧及び真空度と、イオン飛行時間に応じたパルス電圧印加タイミングと、検出器電圧とを、不純物ガスの種類に応じて設定するようにした、請求項1もしくは3に記載の分析方法又は請求項2もしくは3に記載の分析装置。

技術分野

0001

本発明は、燃料電池用燃料水素ガス中の不純物ガスを定量するための分析方法及び分析装置に関する。

背景技術

0002

燃料電池は、精密機器であるため、燃料電池用の燃料水素ガスに不純物ガスが多く混入していると、本来の性能を発揮できなくなるばかりか、故障の原因にもなるため、水素ガス品質管理は非常に重要である。
そのため、燃料電池用の燃料水素ガス中の不純物ガスの分析が求められるところである。

0003

ところで、微量化合物定量分析定性分析に用いられる分析装置として、質量分析器がある。
質量分析器は、試料イオン化し、各イオンが有する質量電荷比m/z(エムオーバージーと称呼され、正式には斜体の記号で表示されるが、簡略に表示している、以下同じ)の値に応じてイオンを分離し、分離された各イオンを検出して電気信号に変換し、スペクトルを得るものである。
イオンの飛行速度が質量電荷比によって異なることを利用した飛行時間型質量分析器も知られており、さらに、イオンを同一軌道多重周回させることにより、装置を大型化することなく飛行時間を大きくし、質量分解能を向上させた多重周回飛行時間型質量分析器も知られている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0004

特許第4980583号公報

発明が解決しようとする課題

0005

多重周回飛行時間型質量分析器を用いて、燃料電池用の燃料水素ガス中の不純物ガスの定量分析を行う場合、大量の水素ガスがイオン化されることによって不純物ガスの分析精度に影響を及ぼす可能性がある。

0006

また、燃料電池用の燃料水素ガスの不純物ガスを多重周回飛行時間型質量分析器により定量分析する場合、上記問題とは別に、次のような問題もある。
すなわち、燃料電池用の燃料水素ガス中に、内部標準として標準物質となるべき適当な物質がなく、また、外部から標準物質を添加するのでは、添加の手間がかかるとともに、添加の際に大気成分などの異物が混入する可能性があるという問題がある。
特に、分析装置を現場に持ち込んで、現場で分析を行う場合、できるだけ簡易・迅速な分析であるほうが望ましく、標準物質を添加することの手間や異物混入の可能性は回避するべきである。

0007

そこで、本発明は、外部から標準物質を添加することなく、燃料電池用の燃料水素ガス中の不純物ガスを定量するための分析方法及び分析装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

上記課題を解決するため、本発明者らは以下の検討を行い、本発明を完成するに至った。
すなわち、まず、多重周回飛行時間型質量分析器によるイオン化、イオンの分離及び検出による分析を行うことを検討するとともに、大量の水素ガスがイオン化されることによる弊害を回避するために、ジェットセパレータにより水素ガスを分離除去して試料ガス濃縮してから、濃縮後の試料濃縮ガスを多重周回飛行時間型質量分析器に導入することを検討した。
そして、試料濃縮ガス中の水素ガスの量はほぼ一定とみなすことができることに着目して、当初は分析の障害としか考えていなかった水素ガスを逆に利用して、水素ガスの信号強度を基準に不純物ガスの信号強度を補正することを着想し、このような手法によれば、外部から標準物質を添加することなく、燃料電池用の燃料水素ガス中の不純物ガスの定量分析を行い得ることを見出した。

0009

従って、本発明にかかる分析方法は、水素ガス中既知の濃度で不純物ガス(すなわち測定対象成分)を含有する標準試料ガスをジェットセパレータに導入して、前記標準試料ガス中の不純物ガスを濃縮するために主として水素ガスの分離除去を行った後、前記濃縮後の標準試料濃縮ガスを多重周回飛行時間型質量分析器に導入して水素ガス及び不純物ガスの信号強度を測定する標準試料ガス測定を、不純物ガスの濃度が異なる2以上の標準試料ガスについて行う第1の工程と、前記第1の工程により得られた標準試料ガス測定の結果から、不純物ガスの濃度と不純物ガスの信号強度との関係を把握する第2の工程と、燃料電池用の燃料水素ガスであって不純物ガスの濃度が未知である未知試料ガスをジェットセパレータに導入して、前記未知試料ガス中の不純物ガスを濃縮するために主として水素ガスの分離除去を行った後、前記濃縮後の未知試料濃縮ガスを多重周回飛行時間型質量分析器に導入して水素ガス及び不純物ガスの信号強度を測定する未知試料ガス測定を行う第3の工程と、前記第1の工程における水素ガスの信号強度と前記第3の工程における水素ガスの信号強度との比に基づき、前記第3の工程における不純物ガスの信号強度を補正するとともに、前記補正後の補正値を、前記第2の工程で把握した不純物ガスの濃度と不純物ガスの信号強度との関係に当てはめて、未知試料ガス中の不純物ガスを定量する第4の工程と、を備えることを特徴とする。

0010

また、本発明にかかる分析装置は、試料ガス中の前記不純物ガスを濃縮するために主として水素ガスを分離除去するジェットセパレータと、前記ジェットセパレータで濃縮された試料濃縮ガスが導入され、前記試料濃縮ガス中の水素ガス及び不純物ガスの信号強度を測定する多重周回飛行時間型質量分析器と、水素ガス中に既知の濃度で不純物ガスを含有する標準試料ガスを前記ジェットセパレータ及び前記多重周回飛行時間型質量分析器で順次処理させる操作を不純物ガスの濃度が異なる2以上の標準試料ガスについて行うことにより取得可能な情報として、少なくとも、前記標準試料ガス中の不純物ガスの濃度と不純物ガスの信号強度との関係及び水素ガスの信号強度を記憶する記憶部と、を備え、燃料電池用の燃料水素ガスであって不純物ガスの濃度が未知である未知試料ガスを前記ジェットセパレータ及び前記多重周回飛行時間型質量分析器で順次処理させて得られる不純物ガスの信号強度を、前記未知試料ガスにおける水素ガスの信号強度と前記記憶部に記憶された標準試料ガスにおける水素ガスの信号強度との比に基づき補正するとともに、前記補正後の補正値を、前記記憶部に記憶された不純物ガスの濃度と不純物ガスの信号強度との関係に当てはめて、未知試料ガス中の不純物ガスを定量することを可能としたことを特徴とする。

発明の効果

0011

本発明においては、試料ガスをジェットセパレータにより濃縮し、多重周回飛行時間型質量分析器で検出される水素ガスの信号強度を基準に、不純物ガスの信号強度を補正するので、外部から標準物質を添加する必要がなく、現場で標準物質を添加する手間がないとともに、標準物質添加の際の異物混入の問題もない。

図面の簡単な説明

0012

本発明の実施の形態に係る分析装置及び分析方法の概略を示す説明図である。
本発明の実施の形態に係る分析装置及び分析方法に用いるジェットセパレータの概略を示す説明図である。
本発明の実施の形態に係る分析装置及び分析方法に用いる多重周回飛行時間型質量分析器の概略を示す説明図である。
本発明の実施の形態に係る分析装置及び分析方法において標準試料ガス測定の結果に基づき不純物ガスの濃度と不純物ガスの信号強度との関係及び不純物ガスの濃度と水素ガスの信号強度との関係の例を示した模式的なグラフである。
図4に示すグラフと不純物ガスの信号強度の補正値とから不純物ガスの濃度を定量することについて説明するために図4追記を行った模式的なグラフである。

実施例

0013

以下、本発明にかかる分析方法及び分析装置について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。

0014

本発明にかかる分析方法は、ジェットセパレータと多重周回飛行時間型質量分析器とを組合せた分析装置によって実施することができる。
本発明にかかる分析方法に用いることができる本発明にかかる分析装置の一例を図1に示す。

0015

図1に示す分析装置1は、ジェットセパレータ2と多重周回飛行時間型質量分析器3とを備える。
ジェットセパレータ2には、試料ガス容器4からマスフローコントローラ41を介設した試料ガス管路42によりジェットセパレータ2に接続している。
多重周回飛行時間型質量分析器3は、イオン源31と分析部32と検出器33と制御装置34とを備える。
また、検出器33で検出される信号強度の測定値に関連するデータが検出器33に接続された記憶部7に記憶可能に構成されている。

0016

ジェットセパレータ2には真空ポンプ5を介設した排気管路51を接続して、試料ガスから質量の小さい水素ガスを主として排気することにより、ジェットセパレータ2で主として水素ガスの分離除去を行うようにしている。
そして、ジェットセパレータ2による不純物ガスの濃縮後の試料濃縮ガスを、多重周回飛行時間型質量分析器3に試料濃縮ガス管路43により導入するようにしている。

0017

また、ジェットセパレータ2の入口管22に圧力を検出して設定値に調節する圧力調整器6を設けて、ジェットセパレータ2の圧力が設定値となるようにマスフローコントローラ41を調節してジェットセパレータ2に導入する試料ガスの質量流量を調節するようにしている。

0018

ジェットセパレータ2は、図2に示すように、試料ガス中の不純物ガスを濃縮するために主として水素ガスの分離除去を行うのであり、本体21と、試料ガスの入口管22と、主として水素ガスを排気する排気管23と、試料濃縮ガスの出口管24とを備えている。

0019

また、図1において説明したように、試料ガス容器4からの試料ガスは圧力調整器6の設定圧力に基づいて質量流量を調節するマスフローコントローラ41により質量流量を調節されて、ジェットセパレータ2の入口管22に導入され、排気管23から排気管路51に設けられた真空ポンプ5により主として水素ガスが排気される。
そして、ジェットセパレータ2の出口管24から試料濃縮ガス管路43により試料濃縮ガスが多重周回飛行時間型質量分析器3に導入されるようにしている。

0020

なお、ジェットセパレータは、従来、ガスクロマトグラフィーと質量分析器とを接続する際に、ガスクラマトグラフィーにおけるキャリアガス(一般にヘリウムなどの不活性ガス)を除去する目的で使用されていたものであるが、本発明では、主として水素ガスを分離除去して試料ガスを濃縮する目的に利用するものである。

0021

多重周回飛行時間型質量分析器3は、図1及び図3に示すように、イオン源31と、分析部32と、検出部33とを備える。
多重周回飛行時間型質量分析器3では、イオン源31で試料濃縮ガスがイオン化され、一定のパルス電圧加速され、分析部32で一定距離を飛行したのち、検出部33に至る。
一定のエネルギーを与えられて加速されたイオンは、それぞれ質量に応じた飛行速度を持つので、イオンは質量に応じて分離して検出されることになる。

0022

分析部32は、入射電極321と、4つの周回電極322と、出射電極323と、周回軌道324と、イオンゲート325とを備える。

0023

イオン源31から加速されたイオンは、入射電極321により周回軌道324に入射される。入射されたイオンは、一定の電圧印加されている周回電極322のそれぞれにおいて軌道が曲げられ、周回軌道324を8の字状に周回運動することができるようになっている。
周回軌道324に入ったイオンが1周して戻る前に、入射電極321をオフにしておくことで、周回軌道324を連続的に周回させることが可能となる。

0024

また、イオンゲート325では、分析対象外のイオンの到達時にパルス電圧を印加することによりそのイオンを除去して、周回遅れのイオンを検出しないように構成している。これにより、周回遅れのイオン検出によるデータの信頼性の低下を抑止することができる。
このようにイオンを多重周回させることで、分析部を大型化することなく飛行時間を長くして質量分解能を高くすることが可能となっている。

0025

出射は出射電極323をオンにすることにより行う。これにより、イオンは、出射電極323において軌道が曲げられ、検出器33に向かって飛行する。
質量分解能に関係する周回数は、出射電極323をオンにするまでの時間を調整することにより変更可能である。

0026

各イオンの飛行速度は、質量電荷比m/zの値に応じて一定であり、予め把握しておくことができる。そのため、各々の飛行速度から、各イオンを分離するための飛行時間・周回数を導出することができる。
従って、出射電極323をオンにするまでの時間を分析対象となるイオンの種類に応じて調整し、かつ、イオンゲート325で数回遅れの分析対象外のイオンを除去することで、分析対象のイオンのみを検出することができる。

0027

このようにして、入射電極321におけるパルス電圧、イオンゲート325におけるパルス電圧、出射電極323におけるパルス電圧のそれぞれの印加タイミングを適切に制御することにより、目的のイオンのみを検出器33に当てて、信号強度を測定することができる。
また、上記各部におけるパルス電圧の印加タイミングの制御により、1種のイオンについて分析を複数回行って、各分析における信号強度を積算し、平均化することも容易に行うことができる。このような積算・平均化処理を行うことにより、測定データの信頼性が高まる。
1回の分析を1ミリ秒(ms)程度で行うことが可能であり、従って、例えば、30秒程度で1種類の不純物ガスを30000回程度分析することが可能である。

0028

ところで、本発明の分析方法及び分析装置は、燃料電池用の燃料水素ガスであって不純物ガスの濃度が未知である未知試料ガス中の不純物ガスを定量することを目的としたものである。
燃料電池用の燃料水素ガス中の不純物ガスとしては、酸素窒素一酸化炭素二酸化炭素全炭化水素アンモニア全硫黄化合物などが想定され、例えば、酸素については5ppmを、窒素については100ppmを、一酸化炭素については0.2ppmを、二酸化炭素については2ppmを、全炭化水素については2ppmを、アンモニアについては0.1ppmを、全硫黄化合物については0.004ppmを、各々の最大許容濃度とすることが関係機関議論されている。なお、これ以降、全炭化水素の一つとしてメタンを、全硫黄化合物の一つとして硫化水素を例に挙げて説明していく。
これらの不純物ガスのイオン化エネルギーは、酸素が12.07eV、窒素が15.58eV、一酸化炭素が14.01eV、二酸化炭素が13.78eV、メタンが12.61eV、アンモニアが10.07eV及び硫化水素が10.46eVである。また、キャリアとなる水素は15.43eVである。

0029

このように、不純物ガスといっても、最大許容濃度のオーダーが異なっていたり、イオン化エネルギーが異なっていたりするので、定量したい不純物ガスの種類に応じて、分析における諸条件、例えば、試料濃縮ガスを多重周回飛行時間型質量分析器3においてイオン化するときのイオン化電圧及び真空度と、イオンの飛行時間に応じたパルス電圧印加タイミングと、検出器電圧とを設定することが好ましい。

0030

試料濃縮ガスを多重周回飛行時間型質量分析器3においてイオン化するときの真空度の設定は、図1に示すように、圧力調整器6によりジェットセパレータ2の圧力を検出してマスフローコントローラ41を制御することにより行うことができる。
試料濃縮ガスを多重周回飛行時間型質量分析器3においてイオン化するときのイオン源31のイオン化電圧の設定は、制御装置34の設定により行うことができる。
検出器電圧の設定も、制御装置34の設定により行うことができる。
出射電極323などのパルス電圧の印加タイミングは、分離したい測定対象物質の組合せによって変わるが、上述の通り、各々の飛行速度から各イオンの飛行時間・周回数を導出することで、適切なタイミングを設定することができる。

0031

図1に示す記憶部7には、検出器33で検出される信号強度の測定値に関連するデータ、例えば、検出器33で検出された測定データ(水素ガスや不純物ガスの信号強度)や、分析を複数回行った場合の積算値平均値等の計算データなど、任意のデータを記憶させることができる。
本発明の分析装置では、水素ガス中に既知の濃度で不純物ガスを含有する標準試料ガスをジェットセパレータ2及び多重周回飛行時間型質量分析器3で順次処理させる操作を不純物ガスの濃度が異なる2以上の標準試料ガスについて行うことにより取得可能な情報として、少なくとも、標準試料ガス中の不純物ガスの濃度と不純物ガスの信号強度との関係及び水素ガスの信号強度を記憶させることができるようにしている。
記憶部7に標準試料ガス中の不純物ガスの濃度と不純物ガスの信号強度との関係及び水素ガスの信号強度を記憶させておけば、現場で後述する標準試料ガス測定を行う必要がなくなり、後述する未知試料ガス測定のみを行えばよいこととなって、現場での作業時間が短縮できる。
なお、標準試料ガス中の不純物ガスの濃度と不純物ガスの信号強度との関係については、後述する図4に示す如き関係をいうものである。

0032

上記の如き分析装置の測定原理を用いて実施可能である本発明の分析方法は、以下に詳述する第1〜第4の工程を含む。

0033

第1の工程では、水素ガス中に既知の濃度で不純物ガスを含有する標準試料ガスをジェットセパレータ2に導入して、標準試料ガス中の不純物ガスを濃縮するために主として水素ガスの分離除去を行った後、濃縮後の標準試料濃縮ガスを多重周回飛行時間型質量分析器3に導入して水素ガス及び不純物ガスの信号強度を測定する標準試料ガス測定を、不純物ガスの濃度が異なる2以上の標準試料ガスについて行う。
そして、第2の工程では、第1の工程により得られた標準試料ガス測定の結果から、不純物ガスの濃度と不純物ガスの信号強度との関係を把握する。

0034

標準試料ガスは水素ガス中に既知の濃度で不純物ガスを含有するものであれば特に限定されず、例えば、既存の標準ガスを用いても良いし、既存の標準ガスを希釈して用いるなどしても良い。

0035

第2の工程における上記関係をグラフ化したものの例を図4に示す。
図4に示すグラフでは、標準試料ガスの不純物ガス濃度横軸とし、信号強度を縦軸とし、標準試料ガスの不純物ガス濃度と、検出器33で検出される不純物ガスの信号強度との関係をプロットしている。
このような不純物ガスの濃度と不純物ガスの信号強度との関係を、不純物ガスごとに把握しておく。
すなわち、例えば、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、アンモニア及び硫化水素の7種の不純物ガスの定量を目的とする場合には、それぞれについて、濃度の異なる2以上の標準試料ガスを用いて標準試料ガス測定を行い、図4に示す如き不純物ガスの濃度と不純物ガスの信号強度との関係を、それぞれの不純物ガスごとに把握しておく。

0036

第1の工程では、水素ガスの信号強度も測定する。図4に示すグラフでは、標準試料ガスの不純物ガス濃度と、検出器33で検出される水素ガスの信号強度との関係を併せてプロットしている。
標準試料ガス中の不純物ガスの含有割合はごく僅かであるので、試料濃縮ガス中の水素ガスの存在量は、試料ガスの不純物ガスの濃度によらず、一定とみなせる。
図4に示すグラフにおいて、水素ガスの信号強度が不純物ガスの濃度が変わっても一定となっているのは、上記の理由によるものである。

0037

水素ガスの信号強度は、微量にしか存在しない不純物ガスの影響をほとんど受けず、一定とみなすことができることから、第1の工程における水素ガスの信号強度の測定は、定量対象とする各不純物ガスに対応する全ての標準試料ガスについて行う必要はなく、1種の標準試料ガスについて行うだけでも良い。

0038

次に、第3の工程では、燃料電池用の燃料水素ガスであって不純物ガスの濃度が未知である未知試料ガスをジェットセパレータ2に導入して、未知試料ガス中の不純物ガスを濃縮するために主として水素ガスの分離除去を行った後、濃縮後の未知試料濃縮ガスを多重周回飛行時間型質量分析器3に導入して水素ガス及び不純物ガスの信号強度を測定する未知試料ガス測定を行う。

0039

本発明においては、第1の工程により得られた標準試料ガス測定の結果に基づいて、第3の工程により得られた未知試料ガス測定における不純物ガスの信号強度の補正を行うものであるから、第3の工程において水素ガスの信号強度及び各不純物ガスの信号強度を測定する際の諸条件は、それぞれ、第1の工程において水素ガスの信号強度及び各不純物ガスの信号強度を測定する際の諸条件と同じとする。

0040

そこで、次に、第1の工程及び第3の工程における水素ガス及び不純物ガスの分析条件について説明すると、まず、不純物ガスの分析条件については、上述のとおり、定量したい不純物ガスの種類に応じて、分析における諸条件、例えば、試料濃縮ガスを多重周回飛行時間型質量分析器3においてイオン化するときのイオン化電圧及び真空度と、イオンの飛行時間に応じたパルス電圧印加タイミングと、検出器電圧とを設定することが好ましい。
上記7種の不純物ガスを分析する場合において、それぞれの不純物ガスの種類に応じて適切と考えられる諸条件を一例として下表1に示す。

0041

0042

水素ガスの分析条件については、以下のとおりである。
まず、標準試料ガス測定時と未知試料ガス測定時との感度誤差の程度は、検出器電圧によって異なり得る。
例えば、表1に示した例では、不純物ガスの種類に応じて、検出器電圧を2600V、2800V又は3000Vの3パターンとしているが、検出器電圧が2600Vである場合において、未知試料ガス測定時の信号強度が標準試料ガス測定時の信号強度のa倍であったとしても、検出器電圧2800V又は3000Vである場合において、未知試料ガス測定時の信号強度が標準試料ガス測定時の信号強度のa倍であるとは限らない。
従って、不純物ガスの種類に応じて検出器電圧を異なる設定とする場合には、各検出器電圧について、水素ガスの分析を行うことが好ましい。

0043

また、試料濃縮ガス中の水素ガスは、ジェットセパレータ2による分離除去後といえども、不純物ガスと比べて、多量に存在している。
そこで、水素ガスを分析する際には、イオン源31におけるイオン化効率下げた状態で行うことが好ましい。
これにより、水素ガスの信号強度が、不純物ガスの信号強度に対して極端に大きくなることが避けられ、また、検出器33の劣化の抑制にも繋がる。

0044

以上の観点から、例えば、上記7種の不純物ガスの定量を目的とし、各不純物ガスの分析条件を上記表1に示す条件とする場合、水素ガスの分析は、少なくとも、下表2に示す3パターンの分析条件について実施することが好ましい。

0045

0046

検出器電圧以外にも感度誤差の程度に影響を与える可能性がある分析条件がある場合には、それぞれの分析条件について、さらに、水素ガスの分析を行っても良い。

0047

最後に、第4の工程では、第1の工程における水素ガスの信号強度と前記第3の工程における水素ガスの信号強度との比に基づき、第3の工程における不純物ガスの信号強度を補正するとともに、補正後の補正値を、第2の工程で把握した不純物ガスの濃度と不純物ガスの信号強度との関係に当てはめて、未知試料ガス中の不純物ガスを定量する。

0048

第4の工程について、より具体的に説明すると以下のとおりである。
まず、図4に示すように、第1の工程における水素ガスの信号強度がXであり、第2の工程で把握した不純物ガスの濃度と不純物ガスの信号強度との関係が図4に示す関係であったとする。
そして、第3の工程において定量対象である不純物ガスの信号強度がAであったとする。

0049

上記の場合において、第3の工程における水素ガスの信号強度が第1の工程における水素ガスの信号強度Xに対してa倍(すなわち、第3の工程における水素ガスの信号強度=aX)であったときは、第3の工程における不純物ガスの信号強度Aも標準試料ガス測定時に対してa倍された値であると判断できる。
従って、第1の工程における水素ガスの信号強度と第3の工程における水素ガスの信号強度との比(=aX/X=a)に基づき、第3の工程における不純物ガスの信号強度(=A)を補正したときの補正値は、A/aとなる。

0050

この補正値A/aを、第2の工程で把握した不純物ガスの濃度と不純物ガスの信号強度との関係に当てはめることにより、具体的には、図5に示すように、不純物ガスの信号強度がA/aであるときの不純物ガスの濃度を読み取ることにより、不純物ガスの濃度(=読取値=B)を導き出すことができる。

0051

ここで、上記表1に示す例では、窒素を分析する際の検出器電圧を2600V、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素及びメタンを分析する際の検出器電圧を2800V、アンモニア及び硫化水素を分析する際の検出器電圧を3000Vとしている。
この場合、標準試料ガス測定時と未知試料ガス測定時との感度誤差の程度は、検出器電圧によって異なり得るので、上記表2に示すように、水素ガスの分析を、検出器電圧2600V、2800V及び3000Vの3パターンについて実施することが好ましい。

0052

そして、窒素の信号強度の補正を行う場合には、表2における分析条件1の場合の第1の工程における水素ガスの信号強度と第3の工程における水素ガスの信号強度との比を用いて補正を行うのが良い。
同様に、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素及びメタンの信号強度の補正を行う場合には、表2における分析条件2の場合の第1の工程における水素ガスの信号強度と第3の工程における水素ガスの信号強度との比を用いて補正を行い、アンモニア及び硫化水素の信号強度の補正を行う場合には、表2における分析条件3の場合の第1の工程における水素ガスの信号強度と第3の工程における水素ガスの信号強度との比を用いて補正を行うのが良い。
このようにすれば、検出器電圧の違いによる分析精度の低下を避けることができる。

0053

なお、第3の工程における水素ガスの信号強度が第1の工程における水素ガスの信号強度と同値であったときは、厳密な意味では補正を必要としないのであるが、上記における感度誤差a=1の場合であると考えて、本発明にいう「補正」の概念に含めることとする。

0054

なお、以上の説明は、冒頭に述べたように、発明を実施するための一形態を説明したものであるに過ぎず、本発明の範囲は、上記説明に拘束されるものではない。
例えば、上記においては、不純物ガスについて、全炭化水素の一つとしてメタンを、全硫黄化合物の一つとして硫化水素を例に挙げて説明したが、エチレンなどのメタン以外の炭化水素類二酸化硫黄などの硫化水素以外の硫黄化合物類も、本発明の測定対象成分に含むことができる。

0055

1分析装置
2ジェットセパレータ
21 本体
22入口管
23排気管
24出口管
3多重周回飛行時間型質量分析器
31イオン源
32分析部
321入射電極
322周回軌道
323 周回電極
324出射電極
325イオンゲート
33検出器
34制御装置
4試料ガス容器
41マスフローコントローラ
42試料ガス管路
43試料濃縮ガス管路
5真空ポンプ
51排気管路
6圧力調整器
7 記憶部

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