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技術 ロータリ圧縮機

出願人 株式会社富士通ゼネラル
発明者 駒井裕二小野村正行福田鉄男両角尚哉
出願日 2016年3月28日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2016-063879
公開日 2017年10月5日 (2年10ヶ月経過) 公開番号 2017-180123
状態 特許登録済
技術分野 回転型圧縮機(2) 回転型圧縮機の応用細部
主要キーワード 最大許容寸法 最小許容寸法 スプリング穴 カシメ接合 最大隙間 中間ばめ アーク溶接後 ギャップゲージ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年10月5日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (12)

課題

解決手段

冷媒吸入部及び冷媒の吐出部が設けられた円筒状の圧縮機筐体と、圧縮機筐体内に配置され吸入部から吸入された冷媒を圧縮するためのシリンダ及びピストンを有する圧縮部と、圧縮部のピストンが設けられた回転軸と、圧縮機筐体の内部に固定され回転軸の一端側を回転自在に支持する軸受部と、円筒状のステータと、回転軸の他端側に設けられてステータ内で回転するロータとを有し回転軸を介して圧縮部を駆動するモータと、を備えるロータリ圧縮機において、ステータの外周部は凹部を有すると共に圧縮機筐体の内周部に中間ばめ状態で固定され圧縮機筐体は、ステータの凹部と接合された溶接部を有する。

概要

背景

ロータリ圧縮機としては、モータステータ圧縮機筐体内に、例えば締まりばめ状態で固定したり、あるいは隙間ばめ状態でスポット溶接によって圧縮機筐体とステータとが接合したりするものが知られている。関連技術のロータリ圧縮機としては、圧縮機筐体とステータとを接合する溶接部を適正に形成するために、圧縮機筐体の外周部に形成された貫通穴止め穴非貫通穴)を介して、圧縮機筐体の内周面とステータの外周面とがスポット溶接された構成がある。

概要

圧縮機筐体とステータとの溶接部の溶接状態信頼性を高める。冷媒吸入部及び冷媒の吐出部が設けられた円筒状の圧縮機筐体と、圧縮機筐体内に配置され吸入部から吸入された冷媒を圧縮するためのシリンダ及びピストンを有する圧縮部と、圧縮部のピストンが設けられた回転軸と、圧縮機筐体の内部に固定され回転軸の一端側を回転自在に支持する軸受部と、円筒状のステータと、回転軸の他端側に設けられてステータ内で回転するロータとを有し回転軸を介して圧縮部を駆動するモータと、を備えるロータリ圧縮機において、ステータの外周部は凹部を有すると共に圧縮機筐体の内周部に中間ばめ状態で固定され圧縮機筐体は、ステータの凹部と接合された溶接部を有する。

目的

本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、圧縮機筐体とステータとの溶接部の溶接状態の信頼性を高めることができるロータリ圧縮機を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

冷媒吸入部及び冷媒の吐出部が設けられた円筒状の圧縮機筐体と、前記圧縮機筐体内に配置され前記吸入部から吸入された冷媒を圧縮するためのシリンダ及びピストンを有する圧縮部と、前記圧縮部の前記ピストンが設けられた回転軸と、前記圧縮機筐体の内部に固定され前記回転軸の一端側を回転自在に支持する軸受部と、円筒状のステータと、前記回転軸の他端側に設けられて前記ステータ内で回転するロータとを有し前記回転軸を介して前記圧縮部を駆動するモータと、を備えるロータリ圧縮機において、前記ステータの外周部は凹部を有すると共に前記圧縮機筐体の内周部に中間ばめ状態で固定され、前記圧縮機筐体は前記ステータの前記凹部と接合された溶接部を有する、ロータリ圧縮機。

請求項2

前記ステータは前記回転軸の軸方向に積層された複数の金属板を有し、前記複数の金属板には、隣接する前記金属板同士が積層方向に対して接合されたカシメ接合部が前記金属板の厚み方向に変形して設けられ、前記凹部は前記複数の金属板の径方向において前記カシメ接合部に対応する位置に形成されている、請求項1に記載のロータリ圧縮機。

請求項3

前記凹部は前記ステータの軸方向にわたって形成されている、請求項2に記載のロータリ圧縮機。

請求項4

前記凹部は、前記ステータの径方向における深さdが0<d≦0.3mmを満たす、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のロータリ圧縮機。

請求項5

前記圧縮機筐体は、前記ステータの外周部が前記中間ばめ状態で固定された部分の厚みtが2.0mm≦t≦4.0mmを満たす、請求項4に記載のロータリ圧縮機。

請求項6

前記ステータは、前記ステータの周方向に間隔をあけて設けられた複数の前記凹部を有し、前記複数の凹部が前記ステータの軸方向にわたって設けられ、複数の前記溶接部は、前記圧縮機筐体の周方向において等間隔をあけて配置されると共に前記圧縮機筐体の軸方向に対する位置が互いに異なる、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のロータリ圧縮機。

技術分野

0001

本発明は、ロータリ圧縮機に関する。

背景技術

0002

ロータリ圧縮機としては、モータステータ圧縮機筐体内に、例えば締まりばめ状態で固定したり、あるいは隙間ばめ状態でスポット溶接によって圧縮機筐体とステータとが接合したりするものが知られている。関連技術のロータリ圧縮機としては、圧縮機筐体とステータとを接合する溶接部を適正に形成するために、圧縮機筐体の外周部に形成された貫通穴止め穴非貫通穴)を介して、圧縮機筐体の内周面とステータの外周面とがスポット溶接された構成がある。

先行技術

0003

特開2006−226242号公報
特許第5430208号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、上述した関連技術のロータリ圧縮機では、圧縮機筐体に貫通穴を形成した場合、溶融した金属材が貫通穴内に十分に充填されない場合があり、圧縮機筐体とステータとの溶接状態が不安定になるおそれがある。また、圧縮機筐体の外周部に止まり穴を形成した場合、止まり穴を加工するドリル等の穴あけ工具の先端の刃先角度等によって、止まり穴の底部が平坦面でなく、例えば120度程度をなす円錐状となる。このため、溶接時の溶接ワイヤの先端と止まり穴の底部との接触位置にバラツキが生じやすく、溶接条件が不安定になるので、圧縮機筐体とステータとの溶接部の溶接状態の安定性が乏しい問題がある。

0005

本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、圧縮機筐体とステータとの溶接部の溶接状態の信頼性を高めることができるロータリ圧縮機を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明の開示するロータリ圧縮機の一態様は、冷媒吸入部及び冷媒の吐出部が設けられた円筒状の圧縮機筐体と、前記圧縮機筐体内に配置され、前記吸入部から吸入された冷媒を圧縮するためのシリンダ及びピストンを有する圧縮部と、前記圧縮部の前記ピストンが設けられた回転軸と、前記圧縮機筐体の内部に固定され前記回転軸の一端側を回転自在に支持する軸受部と、円筒状のステータと、前記回転軸の他端側に設けられて前記ステータ内で回転するロータとを有し前記回転軸を介して前記圧縮部を駆動するモータと、を備えるロータリ圧縮機において、前記ステータの外周部は凹部を有すると共に前記圧縮機筐体の内周部に中間ばめ状態で固定され、前記圧縮機筐体は前記ステータの前記凹部と接合された溶接部を有する。

発明の効果

0007

本願の開示するロータリ圧縮機の一態様によれば、圧縮機筐体とステータとの溶接部の溶接状態の信頼性を高めることができる。

図面の簡単な説明

0008

図1は、実施例のロータリ圧縮機を示す縦断面図である。
図2は、実施例のロータリ圧縮機の圧縮部を示す横断面図である。
図3は、実施例のロータリ圧縮機のステータとロータの組立前を示す縦断面図である。
図4は、実施例のロータリ圧縮機のステータとロータの組立後を示す縦断面図である。
図5は、実施例のロータリ圧縮機の圧縮部及びステータと、圧縮機筐体の胴部との嵌合前の状態を示す縦断面図である。
図6は、実施例のロータリ圧縮機の圧縮部及びステータと、圧縮機筐体の胴部との嵌合後の状態を示す縦断面図である。
図7は、実施例のロータリ圧縮機のステータの要部を示す斜視図である。
図8は、実施例のロータリ圧縮機の圧縮機筐体とステータとのアーク溶接部を図1のA−A線に沿って示す横断面図である。
図9は、実施例のロータリ圧縮機の圧縮機筐体とステータとの溶接前の状態を拡大して示す横断面図である。
図10は、実施例のロータリ圧縮機の圧縮機筐体とステータとの溶接後の状態を拡大して示す横断面図である。
図11は、実施例のロータリ圧縮機の圧縮機筐体とステータとのアーク溶接部の位置を示す側面図である。

0009

以下に、本発明の開示するロータリ圧縮機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本発明の開示するロータリ圧縮機が限定されるものではない。

0010

(ロータリ圧縮機の構成)
図1は、本発明に係るロータリ圧縮機の実施例を示す縦断面図である。図2は、実施例のロータリ圧縮機の圧縮部を示す横断面図である。

0011

図1に示すように、ロータリ圧縮機1は、密閉された縦置き円筒状の圧縮機筐体10の下部に配置された圧縮部12と、圧縮機筐体10の上部に配置され、回転軸15を介して圧縮部12を駆動するモータ11と、を備えている。

0012

モータ11のステータ111は、円筒状に形成されており、圧縮機筐体10の胴部10Aの内周面にガスシールドアークスポット溶接(以下、アーク溶接と称する。)されて固定される。本発明のロータリ圧縮機1の特徴的な構成である圧縮機筐体10の胴部10Aとステータ111との溶接状態及び組立方法については後述する。ロータ112は、円筒状のステータ111の内部に配置されており、モータ11と圧縮部12とを機械的に接続する回転軸15に焼きばめされて固定されている。

0013

圧縮部12は、第1の圧縮部12Sと第2の圧縮部12Tとを備えており、第2の圧縮部12Tは、第1の圧縮部12Sの上側に配置されている。図2に示すように、第1の圧縮部12Sは、環状の第1シリンダ121Sを備えている。第1シリンダ121Sは、環状の外周から張り出した第1側方張出部122Sを備え、第1側方張出部122Sには、第1吸入孔135Sと第1ベーン溝128Sが放射状に設けられている。また、第2の圧縮部12Tは、環状の第2シリンダ121Tを備えている。第2シリンダ121Tは、環状の外周から張り出した第2側方張出部122Tを備え、第2側方張出部122Tには、第2吸入孔135Tと第2ベーン溝128Tが放射状に設けられている。

0014

図2に示すように、第1シリンダ121Sには、モータ11の回転軸15と同心に、円形の第1シリンダ内壁123Sが形成されている。第1シリンダ内壁123S内には、第1シリンダ121Sの内径よりも小さい外径の第1環状ピストン125Sが配置され、第1シリンダ内壁123Sと第1環状ピストン125Sとの間に、冷媒を吸入し圧縮して吐出する第1シリンダ室130Sが形成される。第2シリンダ121Tには、モータ11の回転軸15と同心に、円形の第2シリンダ内壁123Tが形成されている。第2シリンダ内壁123T内には、第2シリンダ121Tの内径よりも小さい外径の第2環状ピストン125Tが配置され、第2シリンダ内壁123Tと第2環状ピストン125Tとの間に、冷媒を吸入し圧縮して吐出する第2シリンダ室130Tが形成される。

0015

第1ベーン溝128Sは、第1シリンダ121Sの第1シリンダ内壁123Sから径方向に、シリンダ高さ全域に亘って形成され、第1ベーン溝128S内に、平板状の第1ベーン127Sが摺動自在に嵌合されている。第2ベーン溝128Tは、第2シリンダ121Tの第2シリンダ内壁123Tから径方向に、シリンダ高さ全域に亘って形成され、第2ベーン溝128T内に、平板状の第2ベーン127Tが摺動自在に嵌合されている。

0016

図2に示すように、第1ベーン溝128Sの径方向外側には、第1側方張出部122Sの外周部から第1ベーン溝128Sに連通するように第1スプリング穴124Sが形成されている。第1スプリング穴124Sには、第1ベーン127Sの背面を押圧する第1ベーンスプリング126S(図1参照)が挿入されている。第2ベーン溝128Tの径方向外側には、第2側方張出部122Tの外周部から第2ベーン溝128Tに連通するように第2スプリング穴124Tが形成されている。第2スプリング穴124Tには、第2ベーン127Tの背面を押圧する第2ベーンスプリング126T(図1参照)が挿入されている。

0017

ロータリ圧縮機1の起動時は、この第1ベーンスプリング126Sの反発力により、第1ベーン127Sが、第1ベーン溝128S内から第1シリンダ室130S内に突出し、その先端が、第1環状ピストン125Sの外周面に当接し、第1ベーン127Sにより、第1シリンダ室130Sが、第1吸入室131Sと、第1圧縮室133Sとに区画される。また、同様に、第2ベーンスプリング126Tの反発力により、第2ベーン127Tが、第2ベーン溝128T内から第2シリンダ室130T内に突出し、その先端が、第2環状ピストン125Tの外周面に当接し、第2ベーン127Tにより、第2シリンダ室130Tが、第2吸入室131Tと、第2圧縮室133Tとに区画される。

0018

また、第1シリンダ121Sには、第1ベーン溝128Sの径方向外側と圧縮機筐体10内とを開口部R(図1参照)で連通して圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒を導入し、第1ベーン127Sに冷媒の圧力により背圧をかける第1圧力導入路129Sが形成されている。なお、圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒は、第1スプリング穴124Sからも導入される。また、第2シリンダ121Tには、第2ベーン溝128Tの径方向外側と圧縮機筐体10内とを開口部R(図1参照)で連通して圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒を導入し、第2ベーン127Tに冷媒の圧力により背圧をかける第2圧力導入路129Tが形成されている。なお、圧縮機筐体10内の圧縮された冷媒は、第2スプリング穴124Tからも導入される。

0019

第1シリンダ121Sの第1側方張出部122Sには、第1吸入室131Sに外部から冷媒を吸入するために、第1吸入室131Sと外部とを連通させる第1吸入孔135Sが設けられている。第1吸入孔135Sは、圧縮機筐体10に設けられた吸入部としての下吸入管134Sを介してアキュムレータ(図示せず)と連結されている。第2シリンダ121Tの第2側方張出部122Tには、第2吸入室131Tに外部から冷媒を吸入するために、第2吸入室131Tと外部とを連通させる第2吸入孔135Tが設けられている。第2吸入孔135Tは、圧縮機筐体10に設けられた吸入部としての上吸入管134Tを介してアキュムレータ(図示せず)と連結されている。第1吸入孔135S及び第2吸入孔135Tの断面は円形である。

0020

また、図1に示すように、第1シリンダ121Sと第2シリンダ121Tの間には、中間仕切板140が配置され、第1シリンダ121Sの第1シリンダ室130S(図2参照)と第2シリンダ121Tの第2シリンダ室130T(図2参照)とを仕切っている。中間仕切板140は、第1シリンダ121Sの上端部と第2シリンダ121Tの下端部を閉塞している。

0021

第1シリンダ121Sの下端部には、下端板160Sが配置され、第1シリンダ121Sの第1シリンダ室130Sを閉塞している。また、第2シリンダ121Tの上端部には、上端板160Tが配置され、第2シリンダ121Tの第2シリンダ室130Tを閉塞している。下端板160Sは、第1シリンダ121Sの下端部を閉塞し、上端板160Tは、第2シリンダ121Tの上端部を閉塞している。

0022

下端板160Sには、副軸受部161Sが配置され、副軸受部161Sに、回転軸15の副軸部151が回転自在に支持されている。上端板160Tには、主軸受部161Tが配置され、主軸受部161Tに、回転軸15の主軸部153が回転自在に支持されている。

0023

回転軸15は、互いに180°位相をずらして偏心させた第1偏心部152Sと第2偏心部152Tとを備え、第1偏心部152Sは、第1の圧縮部12Sの第1環状ピストン125Sに回転自在に嵌合し、第2偏心部152Tは、第2の圧縮部12Tの第2環状ピストン125Tに回転自在に嵌合している。

0024

回転軸15が回転すると、第1環状ピストン125Sが、第1シリンダ内壁123Sに沿って第1シリンダ121S内を図2時計回り公転し、これに追随して第1ベーン127Sが往復運動する。この第1環状ピストン125S及び第1ベーン127Sの運動により、第1吸入室131S及び第1圧縮室133Sの容積が連続的に変化し、圧縮部12は、連続的に冷媒を吸入し圧縮して吐出する。また、回転軸15が回転すると、第2環状ピストン125Tが、第2シリンダ内壁123Tに沿って第2シリンダ121T内を図2の時計回りに公転し、これに追随して第2ベーン127Tが往復運動する。この第2環状ピストン125T及び第2ベーン127Tの運動により、第2吸入室131T及び第2圧縮室133Tの容積が連続的に変化し、圧縮部12は、連続的に冷媒を吸入し圧縮して吐出する。

0025

図1に示すように、下端板160Sの下側には、下端板カバー170Sが配置され、下端板160Sとの間に下マフラー室180Sを形成している。そして、第1の圧縮部12Sは、下マフラー室180Sに開口している。すなわち、下端板160Sの第1ベーン127S近傍には、第1シリンダ121Sの第1圧縮室133Sと下マフラー室180Sとを連通する第1吐出孔190S(図2参照)が設けられ、第1吐出孔190Sには、圧縮された冷媒の逆流を防止する図示しないリード弁型の第1吐出弁が配置されている。

0026

下マフラー室180Sは、環状に形成された1つの室であり、第1の圧縮部12Sの吐出側を、下端板160S、第1シリンダ121S、中間仕切板140、第2シリンダ121T及び上端板160Tを貫通する冷媒通路136(図2参照)を通して上マフラー室180T内に連通させる連通路の一部である。下マフラー室180Sは、吐出冷媒圧力脈動を低減させる。また、第1吐出弁に重ねて、第1吐出弁の撓み開弁量を制限するための図示しない第1吐出弁押さえが、第1吐出弁と共にリベットにより固定されている。第1吐出孔190S、第1吐出弁及び第1吐出弁押さえは、下端板160Sの第1吐出弁部を構成している。

0027

図1に示すように、上端板160Tの上側には、上端板カバー170Tが配置され、上端板160Tとの間に上マフラー室180Tを形成している。上端板160Tの第2ベーン127T近傍には、第2シリンダ121Tの第2圧縮室133Tと上マフラー室180Tとを連通する第2吐出孔190T(図2参照)が設けられ、第2吐出孔190Tには、圧縮された冷媒の逆流を防止する図示しないリード弁型の第2吐出弁が配置されている。また、第2吐出弁に重ねて、第2吐出弁の撓み開弁量を制限するための図示しない第2吐出弁押さえが、第2吐出弁と共にリベットにより固定されている。上マフラー室180Tは、吐出冷媒の圧力脈動を低減させる。第2吐出孔190T、第2吐出弁及び第2吐出弁押さえは、上端板160Tの第2吐出弁部を構成している。

0028

下端板カバー170S、下端板160S、第1シリンダ121S及び中間仕切板140は、下側から挿通されて第2シリンダ121Tに設けられたメネジネジ込まれた複数の通しボルト175により第2シリンダ121Tに締結される。上端板カバー170T及び上端板160Tは、上側から挿通されて第2シリンダ121Tに設けられたメネジにネジ込まれた通しボルト174により第2シリンダ121Tに締結される。複数の通しボルト174,175等により一体に締結された下端板カバー170S、下端板160S、第1シリンダ121S、中間仕切板140、第2シリンダ121T、上端板160T及び上端板カバー170Tは、圧縮部12を構成している。圧縮部12のうち、上端板160Tの外周部が、圧縮機筐体10の胴部10Aにアーク溶接部163Aにより接合され、圧縮部12を圧縮機筐体10に固定している。上端板160Tと胴部10Aとの寸法関係については後述する。

0029

冷媒回路低圧冷媒は、図示しないアキュムレータ及び第1シリンダ121Sの第1吸入孔135S(図2参照)を介して第1の圧縮部12Sに導かれる。また、冷媒回路の低圧冷媒は、図示しないアキュムレータ及び第2シリンダ121Tの第2吸入孔135T(図2参照)を介して第2の圧縮部12Tに導かれる。すなわち、第1吸入孔135S及び第2吸入孔135Tは、冷媒回路の蒸発器並列に対して接続されている。

0030

圧縮機筐体10の天部には、冷媒回路と接続し高圧冷媒を冷媒回路の凝縮器側に吐出する吐出部としての吐出管107が接続されている。すなわち、第1吐出孔190S及び第2吐出孔190Tは、冷媒回路の凝縮器に接続されている。

0031

圧縮機筐体10内には、軸方向において第2シリンダ121Tの高さ程度まで潤滑油封入されている。また、潤滑油は、回転軸15の下部に挿入される図示しないポンプ羽根により、回転軸15の下端部に取付けられた給油パイプ16から吸上げられ、圧縮部12を循環し、摺動部品(第1環状ピストン125S及び第2環状ピストン125T)の潤滑を行なうと共に、圧縮部12の微小隙間をシールする。

0032

(ロータリ圧縮機の特徴的な構成)
次に、図3図8を参照して実施例のロータリ圧縮機1の特徴的な構成について説明する。図3は、実施例のロータリ圧縮機1のステータ111とロータ112の組立前を示す縦断面図である。図4は、実施例のロータリ圧縮機1のステータ111とロータ112の組立後を示す縦断面図である。図5は、実施例のロータリ圧縮機1の圧縮部12及びステータ111と圧縮機筐体10の胴部10Aの嵌合前の状態を示す縦断面図である。図6は、実施例のロータリ圧縮機1の圧縮部12及びステータ111と圧縮機筐体10の胴部10Aの嵌合後の状態を示す縦断面図である。図7は、実施例のロータリ圧縮機1のステータ111の要部を示す斜視図である。図8は、実施例のロータリ圧縮機1の圧縮機筐体10とステータ111とのアーク溶接部を図1のA−A線に沿って示す横断面図である。

0033

図3に示すように、モータ11のロータ112の外径φDrは、ステータ111の内径φDtよりも小さく形成されており、ロータ112の外周面とステータ111の内周面との間の隙間が確保されている。ロータ112とステータ111とを芯出しするギャップゲージ200のシム201の厚さは、ロータ112の外周面とステータ111の内周面との間の隙間よりも薄くなっている。

0034

図5に示すように、モータ11のステータ111の外径φDsは、圧縮部12の上端板160Tの外径φDbよりも大きく形成されている(φDs>φDb)。また、圧縮機筐体10の胴部10Aの内径φDmは、ステータ111の外径φDsとほぼ等しく形成されている(φDm=φDs)。

0035

図7に示すように、ステータ111は、回転軸15の軸方向に積層された複数の金属板としての鋼板111aを有する。鋼板111aは、環状に形成されており、図8に示すように、内周部にステータコイル111bが巻き付け部に巻回されている。

0036

図7及び図8に示すように、複数の鋼板111aの面内方向には、隣接する鋼板111a同士が積層方向に対して接合された複数のカシメ接合部113が、鋼板111aの厚み方向に変形して設けられている。カシメ接合部113は、鋼板111aの厚み方向における一方の面から他方の面へ膨出する窪み状に形成されている。カシメ接合部113は、鋼板111aの積層方向(ステータ111の軸方向)から見て、矩形状の窪みとして形成されており、鋼板111aの外周部の近傍に位置している。複数のカシメ接合部113は、ステータ111の外周部に沿って所定の間隔をあけて配置されている。

0037

また、ステータ111の外周部、つまり各鋼板111aの外周部には、圧縮機筐体10内にステータ111が嵌め込まれた状態で圧縮機筐体10の内周部との間に所定の間隙をあける複数の凹部164が設けられている。複数の凹部164は、ステータ111の外周部の周方向に沿って所定の間隔をあけて配置されている。実施例では、ステータ111の周方向に対して9個の凹部164が等間隔をあけて配置されている。

0038

凹部164は、ステータ111の径方向においてカシメ接合部113に対応する位置に形成されており、カシメ接合部113の塑性変形時に鋼板111aの径方向に対する変形量を許容する、すなわち鋼板111aの変形を逃がすためのカシメ逃げ部として設けられている。本実施例では、カシメ逃げ部として機能する凹部164を、アーク溶接時に圧縮機筐体10を接合する凹部164としても利用する。凹部164の断面形状は、ステータ111の軸方向から見て矩形状に形成されたが、形状を限定するものではない。

0039

また、凹部164は、鋼板111aの製造工程でプレス加工打ち抜き加工)によって、鋼板111aの外形加工と同時に形成されるので、鋼板111aの外周部に凹部164を別途に加工する工程を設定することなく形成することができる。このため、ステータ111が凹部164を有することに伴って加工コストの増加を招くことはない。凹部164は、プレス加工により形成されるので、加工精度のバラツキを抑えられる。後述するが、凹部164は、ステータ111の径方向に対する深さdが0.3mm以下に形成されている。

0040

また、ステータ111の外周部には、潤滑油の流路となる複数の油溝166が軸方向にわたって形成されている。複数の油溝166は、ステータ111の外周部の周方向に沿って所定の間隔をあけて配置されており、周方向において各凹部164の間に配置されている。

0041

図8に示すように、胴部10Aは、鋼板を筒状に巻いて端部同士を突合せ溶接により接合して円筒形に形成したものである。このため、圧縮機筐体10の胴部10Aは、内径φDmの寸法精度及び真円度は、深絞り加工や機械加工されたものに比べて低い(突合せ溶接部165を図8に示す)。

0042

ここで、圧縮機筐体10の胴部10A内に、回転軸15により接続されたモータ11及び圧縮部12を固定する方法を説明する。図3及び図4に示すように、モータ11を組立てるときは、底部に円形の凹部211を有する円筒形の組立治具210の上端部にステータ111を載置し、ステータ111の上部に、外周部に複数のシム201が取付けられたギャップゲージ200をセットする。

0043

回転軸15にロータ112が固定された圧縮部12を、ロータ112を下側にして下降させ、回転軸15の端部をギャップゲージ200の上側凸部202に当接させる。圧縮部12をさらに下降させると、ロータ112は、ギャップゲージ200のシム201にガイドされてステータ111内に挿入され、ギャップゲージ200を下方に押し込む。図4に示すように、ギャップゲージ200の下側凸部203が組立治具210の凹部211に嵌合すると、ロータ112がステータ111内に完全に挿入されてシム201により芯出しされ、モータ11が組立てられる。

0044

次に、図5及び図6に示すように、組立治具210上にモータ11及び圧縮部12が載置された状態で、圧縮機筐体10の胴部10Aを圧縮部12の上端板160T及びモータ11のステータ111に嵌合する。胴部10Aと上端板160Tとの嵌合は、一般的な圧入焼ばめに比べて軽度の圧入や軽度の焼ばめとする。

0045

本実施例では、圧縮機筐体10の胴部10Aの内径φDmとステータ111の外径φDsとがほぼ等しく形成されており、胴部10A内にステータ111が中間ばめ状態で嵌め込まれる。ここで、中間ばめとは、圧縮機筐体10の内径φDmの最大許容寸法よりもステータ111の外径φDsの最小許容寸法が小さく、圧縮機筐体10の内径φDmの最小許容寸法よりもステータ111の外径φDsの最大許容寸法が小さいという、相反するはめあい条件である。したがって、一般に、中間ばめには、圧縮機筐体10の内周面とステータ111の外周面との間に隙間が生じたり、しめしろが生じたりする場合を含むが、実際には、上述したように、円筒状の圧縮機筐体10の胴部10Aの真円度にばらつきが生じるので、圧縮機筐体10の内周部とステータ111の外周部との間に所定のしめしろが生じて嵌合する。

0046

実施例における中間ばめとは、圧縮機筐体10の内周面とステータ111の外周面とが、締まりばめのしめしろに比較してしめしろが少なく、ステータ111の径方向に加わる応力が比較的に小さい状態で嵌め込まれた状態を指す。つまり、実施例における中間ばめとは、隙間ばめと異なり、圧縮機筐体10内にステータ111が嵌め込まれた状態であり、締まりばめのしめしろよりも小さい所定のしめしろを有する嵌合状態を指す。このような中間ばめ状態で固定するため、具体的には、図5に示すように、加熱して拡径させた圧縮機筐体10を、ステータ111に組み付けることで、軽度の焼きばめを行う。軽度の焼ばめを行うことで、圧縮機筐体10内に嵌め込まれたステータ111が自重で圧縮機筐体10内から脱落しない程度の嵌合状態となる。

0047

図6に示すように、胴部10Aの下端が組立治具210の段部212に当接するまで胴部10Aを下降させ、嵌合作業を終了する。この状態で、胴部10Aの内周面とステータ111の外周面との間には、ステータ111の凹部164の位置を除いて、隙間が生じない状態で固定され、かつ、ステータ111とロータ112とが芯出しされた状態にある。また、圧縮部12の上端板160Tも胴部10Aに軽度の焼ばめによって固定されているので、胴部10Aの内径を基準として圧縮部12の中心軸と、モータ11の中心軸とを容易に位置決めできる。このため、ロータリ圧縮機1の動作信頼性を確保するように組み立てることができる。

0048

(圧縮部及びモータと圧縮機筐体との接合状態
次に、図8図11を参照して、圧縮機筐体10の胴部10Aに対する圧縮部12の上端板160T及びモータ11のステータ111の接合状態を説明する。図9は、実施例のロータリ圧縮機1の圧縮機筐体10とステータ111との溶接前の状態を拡大して示す横断面図である。図10は、実施例のロータリ圧縮機1の圧縮機筐体10とステータ111との溶接後の状態を拡大して示す横断面図である。図11は、実施例のロータリ圧縮機1の圧縮機筐体10とステータ111とのアーク溶接部の位置を示す側面図である。

0049

図8に示すように、胴部10Aには、上端板160Tの外周部が嵌合された位置に、上端板160Tの周方向において互いに中心角120°で離間する3か所に、アーク溶接部163Aが設けられている。また、胴部10Aには、ステータ111の各凹部164にそれぞれ対応する外周部の各位置に複数のアーク溶接部163Bが設けられている。

0050

このアーク溶接部163Bは、図11に示すように、胴部10Aにおける、ステータ111の外周部の軸方向における圧縮部12側の上端面近傍位置と、圧縮部12とは反対側の下端面近傍位置と、ステータ111の外周部の軸方向における中央位置との3か所であって、ステータ111の周方向において互いに中心角120°をあけて離間する3か所に設けられている。

0051

上端面近傍のアーク溶接部163Bは、ステータ111の軸方向においてステータ111の上端面から12mm程度の位置に形成されている。同様に、下端面近傍のアーク溶接部163Bは、ステータ111の軸方向においてステータ111の下端面から8mm程度の位置に形成されている。下端面近傍のアーク溶接部163Bから下端面までの間の鋼板111aはカシメ接合と中間ばめのみで固定されることになるので、鋼板111aの固定状態の安定性を高めるために、下端面近傍のアーク溶接部163Bを、ステータ111の下端面に近づけることが好ましい。上端面側のアーク溶接部163Bが支持する鋼板111aの枚数をできるだけ増やすために、上端面側のアーク溶接部163Bは、下端面側のアーク溶接部163Bに比べて、ステータ111の端面からの距離が大きくされている。

0052

圧縮機筐体10の胴部10Aと上端板160Tとを接合するアーク溶接部163Aの個数、圧縮機筐体10の胴部10Aとステータ111とを接合するアーク溶接部163Bの個数は、必要に応じて、3つ以上であってもよい。例えば、上端部160T及びステータ111のそれぞれに6つのアーク溶接部163Bが設けられてもよい。

0053

胴部10Aの外周部に溶接ワイヤ167(図9)を隣接させ、アーク溶接により、胴部10Aと上端板160Tとを先に溶接し、次に、胴部10Aとステータ111とを溶接する。なお、これとは逆に、胴部10Aとステータ111とを溶接した後に、胴部10Aと上端板160Tと溶接してもよい。また、胴部10Aとステータ111とを接合する3つのアーク溶接部163Bは、例えば胴部10Aの周方向に沿う順序で行われるが、溶接する順序を限定するものではなく、いずれの順序で溶接を行ってもよい。また、アーク溶接時、ステータ111の凹部164に対応する各溶接位置は、圧縮機筐体10の上吸入管134T、下吸入管134S、吐出管107等に対する相対位置に基づいて定められる。

0054

本実施例におけるアーク溶接部163Bは、圧縮機筐体10の胴部10Aの端面に電極(図示せず)を接触させ、図9に示すように、溶接ワイヤ167の先端を、ステータ111の凹部164に対応する胴部10Aの外周部に接触させて、アーク溶接を行うことによって形成される。図10に示すように、圧縮機筐体10の胴部10Aとステータ111の外周部の凹部164とを接合することで、ステータ111の凹部164に向かって先端が延びる円錐状の溶接ビード168からなるアーク溶接部163Bが形成される。ステータ111の凹部164は、アーク溶接時の溶接ビード168によって連結され、圧縮された冷媒の圧力に耐え得る。アーク溶接後、ギャップゲージ200をモータ11から取り外す。

0055

胴部10Aの内周面とステータ111の外周面とが隙間なく接触している部分を溶接する場合、溶接時の熱が、胴部10Aを通してステータ111側に伝わりやすく、熱がステータ111側へ逃げることで、胴部10Aの溶接部分が適正に加熱されない可能性がある。一方、本実施例では、ステータ111の外周部が凹部164を有することで、ステータ111の外周面と胴部10Aとの間に生じた隙間が断熱部となって、溶接時の熱がステータ111に逃げることが抑えられるので適正に加熱されて溶接が確実に行われる。

0056

例えば、胴部10Aの厚みtが2.0mm≦t≦4.0mmであるときに、胴部10Aの内周面とステータ111の外周面との隙間の大きさ、すなわち凹部164の深さdが、0<d≦0.3mmを満たすように微小であると、胴部10Aとステータ111との間の微小な隙間(空気層)の断熱作用で胴部10Aが溶けやすくなり、かつ、凹部164の深さdが微小なので、溶融した金属材をステータ111の凹部164内に適正に行き渡らせることができる。このため、胴部10Aの内周面とステータ111の凹部164内との間に隙間なく溶接ビード168が跨ることで、アーク溶接部163Bが適正に形成される。凹部164の深さdが0.3mmを超える場合、溶融金属材が凹部164内に十分に到達しにくくなり、溶接ビード168の先端が凹部164内に適正に接合されないおそれがあるので、好ましくない。

0057

本実施例では、溶接部において、円筒状のステータ111の径方向に対する厚みtが10mm程度、胴部10Aの径方向の厚みtが2.0mm以上4.0mm以下、凹部164の深さdが0.3mmであるときに、胴部10Aの外周部から見たときに、アーク溶接部163Bの溶接痕が直径10mm程度となった。

0058

胴部10Aの厚みtが2.0mm未満の場合、胴部10Aの強度を十分に確保することが困難であり、胴部10Aの厚みtが4.0mmを超える場合、溶接時に胴部10Aを適正に加熱することが困難になる。また、溶接ビード168の先端が凹部164内に十分に接合された良好なアーク溶接部163Bをスムースに形成する観点では凹部164の深さdが0.3mm以下である場合が好ましい。

0059

また、本実施例では、胴部10Aの溶接部分に貫通穴や止め穴を予め加工することなく、ステータ111の凹部164を利用することで、胴部10Aとステータ111とのアーク溶接を適正に行うことができる。しかし、胴部10Aが4.0mmを超える場合には、必要に応じて、例えば胴部10Aの外周部に径方向に対して段差部を加工することで、凹部164に対応する部分の厚みが4.0mm以下になるように調整されてもよい。

0060

実施例では、胴部10Aと上端板160Tとを先にアーク溶接し、圧縮部12及びギャップゲージ200によって芯出しされたモータ11を胴部10A内で位置決めして固定する。次に、モータ11が胴部10Aに対して芯出しされた状態で、かつ、胴部10Aから径方向に対する圧縮力が、締まりばめに比べて小さい中間ばめ状態で、ステータ111を胴部10Aに直接溶接する。このため、胴部10Aからステータ111に作用する圧縮力が小さくなるので、ステータ111に圧縮歪みが生じることがなく、ステータ111の磁化特性劣化して鉄損が増加することもなく、モータ11の効率が高められる。

0061

また、圧縮機筐体10の胴部10Aとステータ111とが、ステータ111の軸方向及び周方向に対して所定の間隔をあけた3つのアーク溶接部163Bでアーク溶接されて固定される。このため、ロータリ圧縮機1が落下などの衝撃を受けたときも、積層した複数の鋼板111aをカシメ接合部113で接合したステータ111の外周部において、圧縮部12側の一端、圧縮部12とは反対側の他端、ステータ111の軸方向における中央との各間でカシメ状態が外れてステータ111の鋼板111aが分離することが抑えられる。

0062

また、実施例では、胴部10A内にステータ111を芯出しして組み付けた後、アーク溶接時のスパッタ位置決め治具等へ付着することを避けるため、胴部10A内にステータ111を嵌合させた組み付け品を組立治具210から取り外し、ロボットアームによって胴部10Aを溶接作業位置へ搬送する。このように組立治具210から離れた溶接作業位置で溶接を行うが、胴部10Aとステータ111とが隙間ばめの場合、胴部10A内からステータ111が分離してしまう不都合があり、中間ばめにすることで、胴部10A内にステータ111を保持した状態で胴部10Aをスムースに搬送することが可能になり、胴部10A内からステータ111の脱落を避けることができる。

0063

なお、図8に示すように、上端板160Tの3つのアーク溶接部163Aの周方向における各位置と、ステータ111の3つのアーク溶接部163Bの周方向における各位置とを、互いに胴部10Aの周方向に対して位置をずらして配置する(位相をずらす)ことで、各アーク溶接部163A、163Bが胴部10Aの軸方向において一直線上に並ばない。このため、胴部10Aにおいて、比較的に強度が弱くなるアーク溶接部163A、163B間の距離が長く確保されるので、胴部10Aの強度が弱くなることが抑えられる。また、胴部10Aの内周面とステータ111の凹部164とを接合するアーク溶接部163Bは、胴部10Aの径方向において、胴部10Aの内周面とステータ111の外周面の凹部164との間の最大隙間、つまり凹部164の深さdが0.30mmであるので、胴部10Aの内周面とステータ111の外周面の凹部164とがスムースに溶接され、溶接時にスパッタが飛散してステータ111の内部等へ侵入することが抑えられる。

0064

胴部10Aに圧縮部12及びモータ11を溶接固定した後、図1に示すように、胴部10Aの両端に底部10C及び天部10Bを全周にわたって溶接することで、ロータリ圧縮機1の組立が完了する。なお、本発明は、単シリンダ式ロータリ圧縮機及び2段圧縮式ロータリ圧縮機にそれぞれ適用することができる。

0065

(実施例の効果)
上述したように、実施例のロータリ圧縮機1におけるステータ111の外周部は、凹部164を有すると共に圧縮機筐体10の胴部10Aの内周部に中間ばめ状態で固定される。圧縮機筐体10の胴部10Aは、ステータ111の凹部164と接合されたアーク溶接部163Bを有する。これにより、圧縮機筐体10の外周部に貫通穴や止まり穴を加工する場合と比べて、圧縮機筐体10とステータ111とのアーク溶接部163Bの溶接状態の信頼性を高めることができる。

0066

具体的には、ステータ111が凹部164を有することで、圧縮機筐体10の内周面とステータ111の外周面との間に間隙が生じ、この間隙が断熱空間として作用するので、圧縮機筐体10の外周部から加えた熱がステータ111側へ伝わって逃げることが抑えられる。このため、アーク溶接時に圧縮機筐体10の溶接部分を適正に溶融し、溶接ビード168の先端が凹部164内にスムースに到達するので、アーク溶接部163Bを適正に形成することができる。

0067

また、実施例によれば、ステータ111が凹部164を有するが、圧縮機筐体10とステータ111とが中間ばめ状態で固定されることで、ロータリ圧縮機1の組み立て工程での取扱い時に、圧縮機筐体10とステータ111とが分離することが避けられ、組立作業性を高めることができる。

0068

圧縮機筐体とステータとを締まりばめ状態で固定した場合、ステータの径方向に対して応力が加わる。このような応力により、ロータリ圧縮機では、圧縮機筐体内に配置されるモータのステータに圧縮歪みが生じた場合、ステータの磁化特性が劣化して鉄損が増加し、モータの効率が低下する不都合がある。しかし、実施例によれば、圧縮機筐体10とステータ111とが、中間ばめ(軽度の焼ばめ)状態で固定されると共にアーク溶接部163Bで接合されることで、ステータ111の径方向に対して圧縮機筐体10による応力が加わることが抑えられる。このため、モータ11の効率の低下を抑えることができる。

0069

また、実施例のロータリ圧縮機1は、ステータ111の各鋼板111aの外形加工時にカシメ逃げ部として用いていた凹部164を、溶接時にも利用することで、ステータ111に凹部164を別途に加工する必要がない。したがって、上述した関連技術のロータリ圧縮機のように、圧縮機筐体の外周部に貫通穴や止まり穴を予め加工するための加工コストが不要になる。加えて、実施例では、鋼板111aを1枚ごとにプレス加工により凹部164を形成して所定の積厚まで積層するので、圧縮機筐体に貫通穴や止まり穴を加工するためにドリル等の穴あけ工具を用いる場合と比べて、凹部164の加工精度にばらつきが生じることが避けられ、圧縮機筐体10とステータ111とのアーク溶接部163Bの溶接状態の安定性を更に高めることができる。また、本実施例では、圧縮機筐体10に貫通穴を加工しないことで、溶接時に生じるスパッタがステータ111の内部等へ侵入することを避けることができる。

0070

また、実施例は、スポット溶接(圧接)に比べてアーク溶接(融接)によるアーク溶接部163Bを形成することで、圧縮機筐体10とステータ111とが接合されるので、電極によってステータ111と圧縮機筐体10の溶接部分を挟む必要がなく、溶接作業性を高めることができる。

0071

また、実施例のロータリ圧縮機1におけるステータ111の凹部164は、ステータ111の径方向における深さdが、0<d≦0.3mmを満たす。これにより、アーク溶接によって、ステータ111の凹部164と圧縮機筐体10とが溶接ビード168によってスムースに接合されるので、アーク溶接部163Bを適正に形成することができる。

0072

また、実施例のロータリ圧縮機1における圧縮機筐体10は、ステータ111の外周部が中間ばめ状態で固定された部分、すなわちアーク溶接部163Bに含まれる部分の厚みtが、2.0mm≦t≦4.0mmを満たす。これにより、アーク溶接によって、ステータ111の凹部164と圧縮機筐体10とが溶接ビード168によってスムースに接合されるので、アーク溶接部163Bを適正に形成することができる。

0073

溶接部分において、径方向における厚みが10mm以上のステータ111と、厚みが2.0mm〜4.0mmの圧縮機筐体10とをスポット溶接する場合、溶接位置においてステータ111と圧縮機筐体10とを電極間に挟む必要がある。しかしながら、ステータ111内に電極を挿入するための空間を設けにくく、電極を挿入するためにステータ111の形状を変更した場合、モータ11の性能を確保することが困難になる。また、上述した厚みのステータ111と圧縮機筐体10とをスポット溶接する場合には、厚みが厚いために、スポット溶接としては比較的大きな電源が必要になる不都合もある。したがって、上述の厚みのステータ11と圧縮機筐体10とをスポット溶接で接合することが困難である。一方、本実施例では、このようなスポット溶接と比較して、アーク溶接を行うことで、圧縮機筐体10の胴部10Aの端面に電極を接触させればよく、200A程度の電源を用いて溶接を行うことが可能になり、モータ11の性能を確保しながら、ステータ111と圧縮機筐体10とをアーク溶接部163Bで適正に溶接することができる。

0074

また、実施例のロータリ圧縮機1における圧縮機筐体10には、複数のアーク溶接部163Bが、圧縮機筐体10の周方向において等間隔をあけて配置されると共に圧縮機筐体10の軸方向に対する位置(高さ)が互いに異なる。これにより、各アーク溶接部163Bが直線上に並ぶことが抑えられるので、アーク溶接部163Bを形成することに伴って圧縮機筐体10の強度が低下することを抑えることができる。

実施例

0075

以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。

0076

1ロータリ圧縮機
10圧縮機筐体
10A胴部
11モータ
12圧縮部
15回転軸
16給油パイプ
107吐出管(吐出部)
111ステータ
111a鋼板(金属板)
112ロータ
113カシメ接合部
12S 第1の圧縮部(圧縮部)
12T 第2の圧縮部(圧縮部)
121S 第1シリンダ(シリンダ)
121T 第2シリンダ(シリンダ)
125S 第1環状ピストン(ピストン)
125T 第2環状ピストン(ピストン)
134S 下吸入管(吸入部)
134T 上吸入管(吸入部)
161S副軸受部(軸受部)
161T主軸受部(軸受部)
163A、163Bアーク溶接部
164 凹部
168溶接ビード
d 深さ
t 厚み

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