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課題
解決手段
エチレン・α−オレフィン共重合体を含む第1成分と、ポリプロピレンを含む第2成分とを有する複合繊維であって、第1成分はエチレン・α−オレフィン共重合体から実質的に成るものであるか、あるいはエチレン・α−オレフィン共重合体を60質量%以上含み全体として0.920g/cm3以上の密度を有するものであり、前記第2成分に含まれている前記ポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)が4よりも大きく、繊維断面において、前記第1成分および前記第2成分の少なくとも1つの重心位置が繊維の重心位置からずれており、かつ前記第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出しており、前記第1成分と前記第2成分との複合比(容積比)が、4.5:5.5〜1.5:8.5の範囲内にある、潜在捲縮性複合繊維である。
概要
背景
従来から、伸縮性を有する不織布を製造するのに用いられる潜在捲縮性複合繊維が種々提案されている。例えば、国際公開WO2005/021850(特許文献1)では、エチレン・α−オレフィン共重合体を含む第1成分と、第1成分の紡糸後の融点Tf1よりも高い紡糸後の融点Tf2を有する熱可塑性重合性から成る第2成分とから成る複合繊維であって、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出し、かつ特定条件下で測定した乾熱収縮率が特定値以上のものである潜在捲縮性複合繊維が提案されている。特開平3−167314号公報(特許文献2)では、結晶性ポリプロピレンを高融点成分とし、ポリプロピレンを主成分とする融点125℃以上の共重合体を低融点成分とし、120℃における真の熱収縮率が25%以下であり、120℃における見掛けの熱収縮率が55%以上である伸縮性複合繊維が提案されている。
特開2005−200795号公報(特許文献3)では、プロピレン共重合体を第1成分とし、結晶性ポリプロピレンを第2成分として構成され、複合繊維の構造が第1成分を鞘側、第2成分を芯側とする偏心鞘芯型もしくは第1成分と第2成分との並列型の断面形状である熱接着複合繊維が提案されている。この複合繊維は、耐熱収縮性に非常に優れており、優れた風合いを有するとされている。
概要
捲縮発現能が比較的小さい、潜在捲縮性複合繊維を提供する。エチレン・α−オレフィン共重合体を含む第1成分と、ポリプロピレンを含む第2成分とを有する複合繊維であって、第1成分はエチレン・α−オレフィン共重合体から実質的に成るものであるか、あるいはエチレン・α−オレフィン共重合体を60質量%以上含み全体として0.920g/cm3以上の密度を有するものであり、前記第2成分に含まれている前記ポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)が4よりも大きく、繊維断面において、前記第1成分および前記第2成分の少なくとも1つの重心位置が繊維の重心位置からずれており、かつ前記第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出しており、前記第1成分と前記第2成分との複合比(容積比)が、4.5:5.5〜1.5:8.5の範囲内にある、潜在捲縮性複合繊維である。なし
目的
効果
実績
- 技術文献被引用数
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請求項1
エチレン・α−オレフィン共重合体を含む第1成分と、ポリプロピレンを含む第2成分とを有する複合繊維であって、第1成分はエチレン・α−オレフィン共重合体から実質的に成るものであるか、あるいはエチレン・α−オレフィン共重合体を60質量%以上含み全体として0.920g/cm3以上の密度を有するものであり、前記第2成分に含まれている前記ポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)が4よりも大きく、繊維断面において、前記第1成分および前記第2成分の少なくとも1つの重心位置が繊維の重心位置からずれており、かつ前記第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出しており、前記第1成分と前記第2成分との複合比(容積比)が、4.5:5.5〜1.5:8.5の範囲内にある、潜在捲縮性複合繊維。
請求項2
請求項3
前記エチレン・α−オレフィン共重合体が、0.920g/cm3以上の密度を有する、請求項1または2に記載の潜在捲縮性複合繊維。
請求項4
前記繊維断面が、前記第1成分が鞘成分、前記第2成分が芯成分として配置され、前記第2成分の重心位置が繊維の重心位置からずれている偏心鞘芯型断面である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の潜在捲縮性複合繊維。
請求項5
前記偏心鞘芯型断面の偏心率が10%〜35%である、請求項4に記載の潜在捲縮性複合繊維。
請求項6
破断伸度が50%以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の潜在捲縮性複合繊維。
請求項7
前記第1成分の融点が105℃〜135℃である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の潜在捲縮性複合繊維。
請求項8
第1成分と第2成分とを含む潜在捲縮性複合繊維の製造方法であって、エチレン・α−オレフィン共重合体から実質的になるか、あるいはエチレン・α−オレフィン共重合体を60質量%以上含み全体として0.920g/cm3以上の密度を有する第1成分と、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)が4よりも大きいであるポリプロピレンを含む第2成分とを、繊維断面において、前記第1成分および前記第2成分の少なくとも1つの重心位置が繊維の重心位置からずれており、かつ前記第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出している繊維断面が得られ、かつ前記第1成分と前記第2成分との複合比(容積比)が、4.5:5.5〜1.5:8.5の範囲内にあるように、溶融紡糸して、紡糸フィラメントを得ること、紡糸フィラメントを延伸すること、延伸後のフィラメントに対し、機械捲縮を付与すること、を含む、潜在捲縮性複合繊維の製造方法。
請求項9
前記第1成分の紡糸前のメルトインデックス(MI)が10g/10min以上である、請求項8に記載の潜在捲縮性複合繊維の製造方法。
請求項10
請求項11
請求項1〜7のいずれか1項に記載の潜在捲縮性複合繊維を20mass%以上含有し、潜在捲縮性複合繊維において潜在捲縮が発現している、不織布。
技術分野
0001
本発明は、熱加工時に収縮性および捲縮発現性を示すものの、その度合いが比較的小さい潜在捲縮性複合繊維およびその製造方法に関する。また、本発明は、当該潜在捲縮性複合繊維を用いた柔軟性または嵩高性に優れた繊維集合物に関する。
背景技術
0002
従来から、伸縮性を有する不織布を製造するのに用いられる潜在捲縮性複合繊維が種々提案されている。例えば、国際公開WO2005/021850(特許文献1)では、エチレン・α−オレフィン共重合体を含む第1成分と、第1成分の紡糸後の融点Tf1よりも高い紡糸後の融点Tf2を有する熱可塑性重合性から成る第2成分とから成る複合繊維であって、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出し、かつ特定条件下で測定した乾熱収縮率が特定値以上のものである潜在捲縮性複合繊維が提案されている。特開平3−167314号公報(特許文献2)では、結晶性ポリプロピレンを高融点成分とし、ポリプロピレンを主成分とする融点125℃以上の共重合体を低融点成分とし、120℃における真の熱収縮率が25%以下であり、120℃における見掛けの熱収縮率が55%以上である伸縮性複合繊維が提案されている。
0003
特開2005−200795号公報(特許文献3)では、プロピレン共重合体を第1成分とし、結晶性ポリプロピレンを第2成分として構成され、複合繊維の構造が第1成分を鞘側、第2成分を芯側とする偏心鞘芯型もしくは第1成分と第2成分との並列型の断面形状である熱接着複合繊維が提案されている。この複合繊維は、耐熱収縮性に非常に優れており、優れた風合いを有するとされている。
先行技術
0004
国際公開WO2005/021850
特開平3−167314号公報
特開2005−200795号公報
発明が解決しようとする課題
0005
従来の潜在捲縮性複合繊維はいずれも、伸長性の大きい不織布等を得るために、捲縮発現能が比較的大きいものである。しかしながら、不織布等の用途によっては、捲縮発現能がそれほど必要とされないこともある。特許文献3に記載された繊維は、耐熱収縮性に優れたものとして提案されているが、繊維自体が熱収縮して得られるスパイラルな三次元捲縮ではなく、機械捲縮の付与された複合繊維である。そのため、この繊維を用いて作製した繊維集合物(特に不織布)においては、繊維が三次元捲縮を有することにより、また繊維が熱収縮することにより得られる独特の嵩高性、柔軟性および肌あたりが得られない。
0006
本発明の一実施形態は、捲縮発現能が比較的小さく、例えば、カードでウェブを作製した後、ウェブに熱を加えて繊維に捲縮を発現させたときに、カードの面積収縮率が比較的小さくなる潜在捲縮性複合繊維を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0007
本発明は、その一実施形態として、エチレン・α−オレフィン共重合体を含む第1成分と、ポリプロピレンを含む第2成分とを有する複合繊維であって、
第1成分はエチレン・α−オレフィン共重合体から実質的に成るものであるか、あるいはエチレン・α−オレフィン共重合体を60質量%以上含み全体として0.920g/cm3以上の密度を有するものであり、
前記第2成分に含まれている前記ポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)が4よりも大きく、
繊維断面において、前記第1成分および前記第2成分の少なくとも1つの重心位置が繊維の重心位置からずれており、かつ前記第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出しており、
前記第1成分と前記第2成分との複合比(容積比)が、4.5:5.5〜1.5:8.5の範囲内にある、
潜在捲縮性複合繊維を提供する。
発明の効果
0008
本発明の一実施形態の繊維は、捲縮発現能が比較的小さく、加熱により比較的緩やかな立体捲縮を発現するものである。よって、これを用いて繊維集合物(特に不織布)を製造すると、適度な嵩高性を有し、かつ過度に緻密なものとなっていない、良好な触感および風合いを有する繊維集合物が得られる。
0009
(本実施形態に至った経緯)
本発明者らは、特許文献1で提案された潜在捲縮性複合繊維の構成を基に、エチレン・α−オレフィン共重合体を含む第1成分と、ポリプロピレンを含む第2成分とからなる複合繊維であって、低温での捲縮発現能が比較的低い、潜在捲縮性複合繊維の構成を検討した。特許文献1にも記載のとおり、前記第1および第2成分を含む複合繊維においては、エチレン・α−オレフィン共重合体が繊維の収縮発現に寄与する成分となる。本発明者らが、種々検討した結果、捲縮発現能は第2成分によっても大きく変化することを見出した。そして、第2成分を特定値より大きいQ値を有するものとし、かつ、繊維断面を、第1成分が繊維の周面の長さに対して特定の割合以上の長さで露出した構成、特に第1成分が鞘成分であり、第2成分が芯成分である偏心鞘芯型断面とすることによって、捲縮発現能が比較的低い潜在捲縮性複合繊維が得られることを見出した。以下、本発明の実施形態を説明する。
0010
潜在捲縮性複合繊維とは、2以上の樹脂成分からなる繊維であって、樹脂成分の熱収縮性の違いを利用して、加熱により立体捲縮を発現する繊維、すなわち捲縮発現能を有する繊維をいう。「立体捲縮」とは、スパイラル状の湾曲またはカール、およびスタッフィングボックス型クリンパー等によって付与される捲縮の屈曲部分(通常、実質的に鋭角である)が変形して丸みを帯びるにいたった部分を指し、スタッフィングボックス型クリンパー等によってのみ付与された捲縮(「機械捲縮」ともいう)と区別するために使用される。
0011
(第1成分)
本実施形態の潜在捲縮性複合繊維は、これを構成する2つの樹脂成分(第1および第2成分)が特定の樹脂を含むものである。そこで、以下においては、各成分についてまず説明する。
本実施形態の潜在捲縮性複合繊維は、第1成分が熱収縮性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体を含む。ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体とは、エチレン及び炭素数が3〜12のα−オレフィンから成るものである。炭素数が3〜12のα−オレフィンとしては、具体的にはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1及びこれらの混合物を挙げることができる。これらのうち、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルヘキセン−1及びオクテン−1が特に好ましく、ブテン−1及びヘキセン−1がさらに好ましい。本実施形態の潜在捲縮性複合繊維を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィン含有量は、1〜10モル%であることが好ましく、2〜5モル%であることがより好ましい。α−オレフィン含有量が少ないと、本実施形態の潜在捲縮性複合繊維で不織布を構成したときに、不織布の柔軟性が損なわれることがある。α−オレフィンの含有量が多くなると、結晶性が悪くなり、繊維化の際に繊維同士が融着する可能性がある。合成繊維製造の分野において、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPEと略される)と称されるものもまた、本発明でいうエチレン・α−オレフィン共重合体に含まれ、本発明において好ましく用いられる。
0012
第1成分において使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体は、より具体的には、密度が、例えば0.900g/cm3以上であり、具体的には0.900〜0.940g/cm3の範囲内にあり、特に0.910g/cm3〜約0.935g/cm3、より特には0.920g/cm3〜0.933g/cm3の範囲内にある。エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が大きいほど、得られる繊維において捲縮発現能は小さくなる傾向にある。また、エチレン・α−オレフィン共重合体は、その融点(紡糸前)T1が100〜125℃の範囲内にあり、Q値(紡糸前)が1.5〜8の範囲内にあるものであってよい。融点T1およびQ値がこれらの範囲内にあるエチレン・α−オレフィン共重合体は、高い熱収縮性を有し、本実施形態の複合繊維の捲縮発現能を確保する役割をする。Q値は、好ましくは2〜6の範囲内にあり、より好ましくは2.5〜5.5の範囲内にあり、さらにより好ましくは2.5〜3.5の範囲内にある。特に好ましくは、密度が0.910〜0.935g/cm3の範囲内にあり、T1が103〜122℃の範囲内にあり、Q値が2.5〜3.5の範囲内にあるエチレン・α−オレフィン共重合体が第1成分として使用される。
0013
紡糸前のエチレン・α−オレフィン共重合体の密度および融点は、一般に樹脂メーカーから提供される。あるいは、紡糸前のエチレン・α−オレフィン共重合体の融点は、示差走査熱量計を用いて求めることもできる。具体的には、例えば、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製)を使用し、サンプル量を5.0mgとして、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/minの降温スピードで冷却した後、10℃/minの昇温スピードで融解させて、融解熱量曲線を得、得られた融解熱量曲線より求めることができる。この方法は、本実施形態の繊維を構成する他の樹脂の融点を求めるときにも用いることができる。この方法で融点を求める場合、曲線に二以上のピークが出現することがある。その場合には、最大のピークを示す温度を、融解ピーク温度、即ち融点とする。本発明を構成する他の樹脂についても同様とする。
0014
エチレン・α−オレフィン共重合体のメルトインデックス(MI)は、紡糸性を考慮すれば、例えば、1〜60g/10minの範囲内にあり、特に2g/10min〜40g/10min、より特には3g/10min〜35g/10min、さらに特には5g/10min〜25g/minの範囲内にあり、さらにより特には10g/10min〜25g/minの範囲内にある。潜在捲縮性複合繊維の捲縮発現能は、第1成分のMIが低いほど大きくなる傾向にある。MIが大きいほど、鞘成分の固化速度が遅くなり、繊維同士の融着を招く。一方、MIが小さすぎると、繊維製造が困難となる。また、MIが上記の範囲内にある場合、MIがより大きいほど、目的とする比較的低い捲縮発現能が得られやすい傾向にあり、この点から、MIを10g/10min以上としてよい。
0015
また、潜在捲縮性複合繊維の捲縮発現能は、第1成分のMIと第2成分のMI(またはMFR)との差が大きい程、大きくなる傾向にある。また、両者の差が大きすぎる場合には、繊維化することが困難となる。そこで、エチレン・α−オレフィン共重合体のMIは、第2成分のメルトインデックスまたはメルトフローレートとの差が30以下となるように選択することが好ましい。ここで、メルトインデックス(MI)は、JIS−K−7210(条件:190℃、荷重21.18N(2.16kg))に準じて測定される。メルトフローレートは、230℃で測定されるメルトインデックスに相当する。本実施形態においては、捲縮発現能を比較的小さくするために、第1成分のMIと第2成分のMIまたはMFRとの差は15以下としてもよい。
0016
上述した、密度、融点、Q値、およびMIを有するエチレン・α−オレフィン共重合体としては、メタロセン触媒により重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体(具体的には直鎖状低密度ポリエチレン樹脂)が挙げられる。より具体的には、宇部丸善ポリエチレン(株)製のユメリット420SD、およびユメリット431GD、日本ポリエチレン(株)製のカーネルKF480、ならびに日本ポリエチレン(株)製のハーモレックスNH725A等を第1成分として使用できる。あるいは、第1成分は、密度、融点、Q値およびMIが上述した範囲内にある限りにおいて、メタロセン触媒により重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体と、チーグラー・ナッタ触媒により重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体を混合したものであってよい。
0017
上記の密度、Q値およびMIはいずれも、紡糸前のものであるが、紡糸後のエチレン・α−オレフィン共重合体の密度、融点、Q値およびMIもまた、上記の範囲内にあることが好ましい。紡糸後のエチレン・α−オレフィン共重合体の密度等は、複合繊維の第1成分に含まれるエチレン・α−オレフィン共重合体について測定されるものである。複合繊維を構成しているエチレン・α−オレフィン共重合体の密度等を測定することが難しい場合には、エチレン・α−オレフィン共重合体のみを、複合繊維の紡糸条件と同じ条件(紡糸温度は第1成分のものとする)にて紡糸して得られる単一繊維について、密度等を測定し、その測定値を本実施形態の第1成分に含まれるエチレン・α−オレフィン共重合体の密度等としてよい。
0018
なお、繊維にした状態で特定される第1成分および第2成分の物性(密度、Q値およびMI等)は、繊維にした後の(すなわち、紡糸後の)ものであることに留意されたい。すなわち、添付の特許請求の範囲において、繊維を主題とする請求項において、第1成分および第2成分の物性を特定している場合、当該物性は紡糸後のものであることに留意されたい。
0019
第1成分は、好ましくは、エチレン・α−オレフィン共重合体のみから実質的に成る。ここで、「実質的に」という用語は、安定剤等の添加剤等が含まれる場合には、エチレン・α−オレフィン共重合体の割合が完全には100質量%とならないことを考慮して使用している。添加剤等の割合は、例えば、5質量%以下であり、好ましくは3質量%以下であり、最も好ましくは1質量%以下である。
0020
第1成分がエチレン・α−オレフィン共重合体以外の成分(樹脂)を含む場合には、第1成分はエチレン・α−オレフィン共重合体を少なくとも60質量%含み、かつ第1成分全体の密度が0.920g/cm3以上、好ましくは0.925g/cm3以上、より好ましくは0.927g/cm3以上となるものとする。エチレン・α−オレフィン共重合体の割合が60質量%未満であると、第1成分の熱収縮性が不十分となることがあり、あるいは逆に繊維の捲縮発現能が高くなることがある。また、エチレン・α−オレフィン共重合体と他の成分とからなる第1成分について、その全体の密度が0.920g/cm3未満であると、得られる繊維の捲縮発現能が目的とするものよりも大きくなる傾向にある。第1成分がエチレン・α−オレフィン共重合体以外の成分(樹脂)を含む場合には、第1成分はエチレン・α−オレフィン共重合体を少なくとも70質量%含むことが好ましく、少なくとも80質量%含むことがより好ましい。
0021
ここでの密度は紡糸後のものであり、繊維製造後に測定されるものである。尤も、樹脂の密度は紡糸前後でそれほど大きく変化しないので、紡糸前の密度を紡糸後の密度としてもよい。あるいは、第1成分のみを、複合繊維の紡糸条件と同じ条件(紡糸温度は第1成分のものとする)にて紡糸して得られる単一繊維について、密度を測定し、その測定値を本実施形態の第1成分の密度としてよい。
0022
第1成分に含まれるエチレン・α−オレフィン共重合体以外の成分は、例えば、高密度ポリエチレン、分岐低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブタジエン、プロピレン系共重合体(例えば、プロピレン−エチレン共重合体)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートおよびその共重合体などのポリエステル樹脂、ナイロン66、ナイロン12、およびナイロン6などのポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレンおよび環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチック、それらの混合物、ならびにそれらのエラストマー系樹脂などから成る群から選択される、1または複数種の樹脂である。
0023
第1成分がエチレン・α−オレフィン共重合体以外の成分を含む場合において、第1成分全体のMI(紡糸前)は、紡糸性を考慮すれば、例えば、1〜60g/10minの範囲内にあり、特に2g/10min〜40g/10min、より特には3g/10min〜35g/10min、さらに特には5g/10min〜25g/minの範囲内にあり、さらにより特には10g/10min〜25g/10minの範囲内にある。第1成分全体のMIが大きい場合および小さい場合の紡糸性等に与える影響は、先にエチレン・α−オレフィン共重合体のMIに関連して説明したとおりである。また、第1成分がエチレン・α−オレフィン共重合体以外の成分を含む場合にも、低捲縮発現能を実現するためにMIを10g/10min以上としてよい。
0024
なお、上記のMIは、紡糸前のものであるが、紡糸後の第1成分全体のMIもまた、上記の範囲内にあることが好ましい。紡糸後の第1成分のMIは、繊維製造後に測定されるものである。複合繊維を構成している第1成分のMIを測定することが難しい場合には、第1成分のみを、複合繊維の紡糸条件と同じ条件(紡糸温度は第1成分のものとする)にて紡糸して得られる単一繊維について、MIを測定し、その測定値を本実施形態の第1成分のMIとしてよい。
0025
第1成分がエチレン・α−オレフィン共重合体から実質的になる場合、および第1成分がエチレン・α−オレフィン共重合体に加えて他の成分を含む場合のいずれにおいても、第1成分全体の紡糸後の融点Tf1は、105℃〜135℃の範囲内にあることが好ましく、110℃〜125℃の範囲内にあることがより好ましい。第1成分の紡糸後の融点Tf1がこの範囲内にあると、本実施形態の繊維を熱接着性繊維として使用する場合に、比較的低い温度で熱接着処理が可能となる。また、第1成分の紡糸後の融点Tf1がこの範囲内にあると、本実施形態の繊維を含む繊維集合物を比較的低い温度で熱処理することにより製造できる。熱処理温度を低くすると、より柔軟な繊維集合物(特に不織布)を得ることができる。さらに、融点Tf1は第1成分の熱収縮性にも影響すると考えられ、融点Tf1が105℃よりも低いと、熱収縮性が大きくなりすぎて、繊維の捲縮発現能が大きくなりすぎることがあり、135℃よりも高いと、熱収縮性が小さくなりすぎて、繊維に捲縮発現能を付与できないことがある。
0026
第1成分の融点Tf1は、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製)を使用し、複合繊維の量(サンプル量)を5.0mgとして、10℃/minの昇温スピードで常温から200℃まで昇温して、繊維を融解させて、得られた融解熱量曲線から求めることができる。この方法によれば、合わせて第2成分の紡糸後の融点Tf2を求めることができる。
0027
(第2成分)
本実施形態の潜在捲縮性複合繊維において、第2成分は、紡糸後の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)が4より大きいポリプロピレンを含む。第2成分が、このようなポリプロピレンを含むと、複合繊維の捲縮発現能が抑制されるので、加熱したときに、細かな多数の立体捲縮の発現が抑制され、緩やかな立体捲縮が繊維に発現することとなる。ポリプロピレンのQ値は、より好ましくは4より大きく11以下であり、最も好ましくは4より大きく7以下であり、さらに好ましくは4.5以上6以下である。Q値が大きいほど、繊維の捲縮発現能を低下させることができるが、Q値が大きくなりすぎると、捲縮発現能が低くなりすぎる可能性がある。ここに記載した範囲は紡糸後のQ値についてのものであるが、紡糸前のQ値もここに記載した範囲内にあることが好ましい。紡糸前のQ値は一般に樹脂メーカーによって提供される。
0028
紡糸後のQ値は、繊維にした状態の第2成分に含まれるポリプロピレンについて測定されるものである。複合繊維を構成している第2成分に含まれるポリプロピレンのQ値を測定することが難しい場合には、ポリプロピレンのみを、複合繊維の紡糸条件と同じ条件(紡糸温度は第2成分のものとする)にて紡糸して得られる単一繊維について、Q値を測定し、その測定値を本実施形態の第2成分に含まれるポリプロピレンのQ値としてよい。
0029
Q値が4より大きいポリプロピレンの融点(紡糸前)は、例えば、150℃〜170℃であってよく、特に155℃〜165℃であってよい。また、Q値が4より大きいポリプロピレンは、好ましくは、10〜60g/10minのMFRを有し、より好ましくは、20〜40g/10minのMFRを有する。前述のように、MFRは、JIS−K−7210(条件:230℃、荷重21.18N(2.16kg))に準じて測定される。MFRが10g/10min未満であると、延伸性が悪いことがあり、MFRが60g/10minを越えると紡糸性が悪くなることがある。
0030
なお、上記MFRの好ましい範囲は、紡糸後のポリプロピレンのMFRについてもあてはまる。紡糸後のポリプロピレンのMFRは、複合繊維の第2成分に含まれるポリプロピレンについて測定されるものである。複合繊維を構成している第2成分に含まれるポリプロピレンのMFRを測定することが難しい場合には、ポリプロピレンのみを、複合繊維の紡糸条件と同じ条件(紡糸温度は第2成分のものとする)にて紡糸して得られる単一繊維について、MFRを測定し、その測定値を本実施形態の第2成分に含まれるポリプロピレンのMFRとしてよい。
0032
第2成分は、好ましくは、Q値が4より大きいポリプロピレンのみから実質的になる。ここで、「実質的に」という用語は、第1成分に関連して説明した意味で使用される。
第2成分がQ値が4より大きいポリプロピレン以外の成分を含む場合には、第2成分は該ポリプロピレンを少なくとも75質量%含むことが好ましい。該ポリプロピレンの割合が75質量%未満であると、捲縮発現能が低い潜在捲縮性複合繊維を得られないことがある。
0033
第2成分に含まれるQ値が4より大きいポリプロピレン以外の成分は、例えば、高密度ポリエチレン、分岐低密度ポリエチレン、Q値が4以下であるポリプロピレン、ポリブテン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブタジエン、プロピレン系共重合体(例えば、プロピレン−エチレン共重合体)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートおよびその共重合体などのポリエステル樹脂、ナイロン66、ナイロン12、およびナイロン6などのポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレンおよび環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチック、それらの混合物、ならびにそれらのエラストマー系樹脂などから成る群から選択される、1または複数種の樹脂である。
0034
第2成分がQ値が4より大きいポリプロピレン以外の成分を含む場合において、第2成分全体のMFR(紡糸前)は、紡糸性を考慮すれば、例えば、10〜60g/10minの範囲内にあり、特に20g/10min〜40g/10min、より特には25g/10min〜35g/10minの範囲内にある。第2成分全体のMFRが大きい場合および小さい場合の紡糸性等に与える影響は、先にQ値が4より大きいポリプロピレンのMFRに関連して説明したとおりである。紡糸後の第2成分全体のMFRもまた、上記の範囲内にあることが好ましい。紡糸後の第2成分のMFRは、繊維にした状態で測定されるものである。複合繊維を構成している第2成分のMFRを測定することが難しい場合には、第2成分のみを、複合繊維の紡糸条件と同じ条件(紡糸温度は第2成分のものとする)にて紡糸して得られる単一繊維についてMFRを測定し、その測定値を本実施形態の第2成分のMFR等としてよい。
0035
第2成分がQ値が4より大きいポリプロピレンから実質的に成る場合、および第2成分が該ポリプロピレンに加えて他の成分を含む場合のいずれにおいても、第2成分全体の紡糸後の融点Tf2は、第1成分の紡糸後の融点Tf1よりも10℃以上高いことが好ましく、15℃以上高いことがより好ましい。Tf1とTf2との差が小さいと、捲縮発現能が小さくなって、加熱しても立体捲縮が発現しないことがある。
0037
(潜在捲縮性複合繊維の構造)
次に、本実施形態の繊維の構造を説明する。本実施形態の繊維は、その繊維断面(繊維の長手方向に垂直な面で切断した面。以下、単に「断面」とも呼ぶ)において、第1成分および第2成分の少なくとも1つの重心位置が繊維の重心位置からずれており、かつ第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出しているものである。第1成分と第2成分とが断面においてこのように配置されていることにより、捲縮発現能が比較的小さい潜在捲縮性複合繊維を得ることができる。
0038
そのような繊維断面は、例えば、並列型断面および偏心鞘芯型断面であり、本実施形態では偏心鞘芯型断面であることが好ましい。偏心鞘芯型断面によれば、第1成分と第2成分との間の剥離が抑制されやすく、また、捲縮発現能が比較的小さい潜在捲縮性複合繊維を得ることがより容易となる。ここで、偏心鞘芯型断面には、鞘が芯を完全に覆っている(即ち、繊維の周面全部を第1成分が占める)偏心完全鞘芯型断面のほか、芯の一部が繊維の周面に露出しているようなものも含まれる。芯の一部が繊維の周面に露出している場合、繊維断面において、芯の全周の50%以上を鞘が被覆しているものを、偏心鞘芯型断面とし、それ以外のものは並列型断面に分類される。
0039
本実施形態の繊維は、繊維断面において第1成分が繊維の周面の長さに対して45%以上の長さで露出しているものが好ましく、70%以上の長さで露出しているものがより好ましく、繊維断面において第1成分が繊維の周面全体に亘って露出しているもの(すなわち、偏心完全鞘芯型断面)が特に好ましい。
0040
本実施形態の繊維の繊維断面が、第2成分を芯成分とする偏心鞘芯型断面である場合、第2成分の偏心率(単に「偏心率」とも呼ぶ)は、10%〜35%の範囲内にあることが好ましく、15%〜30%の範囲内にあることがより好ましい。ここでいう偏心率とは、次式で定義される。
0041
偏心率が10%未満であると、捲縮発現能が小さくなりすぎて、加熱しても立体捲縮が発現しないことがある。偏心率が35%を超えると、第1成分と第2成分の樹脂比率においてバランスが極端に悪くなって、捲縮発現能が大きくなりすぎ、場合によっては原綿段階で立体捲縮が高度に発現することがある。原綿段階で立体捲縮が発現してしまうと、特に高速カードでウェブを作製するときに、ウェブを作製することが困難となる。また、偏心率が大きくなると、偏心鞘芯型断面が完全偏心鞘芯型断面でなくなり、第2成分が繊維の周面に露出することがある。第2成分が繊維の周面に露出すると、第1成分と第2成分との界面が繊維表面に露出し、両成分の間で剥離が生じやすくなることがある。
0042
本実施形態の繊維において、第1成分と第2成分の複合比は、容積比で4.5:5.5〜1.5:8.5の範囲であることが好ましい。より好ましい容積比の範囲は、4.3:5.7〜3.0:7.0である。第1成分の割合が4.5を超えると、繊維の熱収縮性が大きくなりすぎて捲縮が過度に発現することがあり、1.5未満であると、繊維全体の収縮が不十分となり、立体捲縮が発現しないことがある。また、第1成分の割合が小さすぎると、繊維断面を偏心完全鞘芯型断面とする場合に、第1成分が断面において、繊維の周面全体に露出させる構成とすることが困難となる。
0043
(潜在捲縮性複合繊維の物性等)
上記特定の第1および第2成分を、上記のように配置してなる、本実施形態の繊維は、JIS−L−1015(乾熱収縮率)に準じて、温度100℃、時間15分間、初荷重なし(ゼロ)で測定される単繊維乾熱収縮率が好ましくは0.7%以下、より好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.3%以下であり、その下限は、例えば0%である。本実施形態の繊維は、捲縮発現能が比較的小さいため、その単繊維乾熱収縮率も比較的小さい。この単繊維乾熱収縮率は、立体捲縮発現に起因する収縮の度合い(即ち、見かけの収縮の度合い)を示す指標である。
0044
本実施形態の繊維は、その伸度が好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、最も好ましくは65%以上であり、上限は例えば120%である。第1および第2成分が同じであり、複合比および偏心率が同じ繊維であっても、伸度が小さいほど、捲縮発現能がより大きくなる傾向にある。伸度が小さいということは、一般に、比較的高い延伸倍率で延伸処理されたことを意味する。延伸倍率を高くして強く引っ張られた後の繊維は、伸長しにくいものであるが、収縮しやすいものであるため、高い捲縮発現能を示しやすい。したがって、本実施形態の繊維は、比較的高い伸度を有する、すなわち延伸処理中に強く引っ張られたものでないことが好ましい。伸度は、繊維製造の際の延伸条件を適宜調節することにより、制御してよい。
0045
本実施形態の繊維は、乾熱応力が、100℃にて、好ましくは8cN/110dtex以下、より好ましくは7cN/110dtex以下、最も好ましくは6.5cN/110dtex以下であり、その下限は、例えば、0cN/110dtexである。乾熱応力は、熱応力測定機(カネボウエンジニアリング(株)製)を用いて、測定対象の繊維をトータル繊度110dtexの繊維束とし、繊維束を周長が20mmのリング状として測定器に設置して、室温から開始して、1分間に1℃の割合で連続して昇温し、100℃に達したときの応力を観測する方法で測定される。乾熱応力が上記範囲内にあるということは、熱収縮性が好適であることを意味する。
0046
本実施形態の繊維は、その1%収縮開始温度が、好ましくは100℃以上であり、より好ましくは110℃以上であり、最も好ましくは120℃以上であり、その上限は例えば160℃である。1%収縮開始温度は、上述した熱応力測定機を用いて、同様の条件で昇温したときに繊維束が1%収縮する温度を観測することにより測定される。1%収縮開始温度が上記範囲内にある繊維は、捲縮発現能が比較的低く、100℃〜125℃程度で加熱したときに、繊維において強い立体捲縮が生じにくくなる。
0047
本実施形態の繊維は、JIS−L−1015に準じて測定される捲縮率が4〜18%であることが好ましく、8〜15%であることがより好ましい。捲縮率が18%を超えると、原綿段階で立体捲縮が高度に発現してしまうため、特に高速で作動するカードを通過させるときに開繊不良、シリンダーへの巻き付き、あるいは地合ムラ(クラウディ)が発生する傾向にある。捲縮率が4%未満であると、カード通過性が悪くなり、不織布等の製造に適さない。捲縮率は、繊維のカード性(特に高速カード性)を決定する重要な因子であり、延伸倍率、機械捲縮数、機械捲縮率、およびアニーリング処理温度などによって調整することが可能である。
0048
本実施形態の繊維は、これでウェブを形成したときのウェブの熱収縮挙動によっても特定され得る。具体的には、本実施形態の繊維は、上記特定の第1および第2成分を含み、かつ断面における第1および第2成分の配置が上記のようなものである複合繊維であって、当該複合繊維で目付30g/m2のウェブを形成し、これを100℃に設定した熱風吹き付け装置を用いて、風速1.5m/secにて、15秒間熱処理したときのウェブ面積収縮率が25%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下となる潜在捲縮性複合繊維としても特定される。即ち、本実施形態の繊維は、100℃程度の熱処理によっては強い立体捲縮を発現しないようなものである。ウェブ面積収縮率がこの程度であれば、例えば、熱処理により立体捲縮を発現させるときに、ピンテンター等を使用して、ウェブの幅方向での過度な収縮を抑制する作業を無くすことができる場合がある。
0049
あるいは、本実施形態の繊維は、設定温度を117℃とする以外は上記条件と同じ条件で熱処理したときのウェブ面積収縮率が、65%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下となる潜在捲縮性複合繊維としても特定される。
0050
(潜在捲縮性複合繊維の製造方法)
本実施形態の潜在捲性縮複合繊維は、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、第1成分としてのエチレン・α−オレフィン共重合体および場合によりエチレン・α−オレフィン共重合体と混合する他の樹脂を準備し、また、第2成分としてのQ値が4よりも大きいポリプロピレンおよび場合により該ポリプロピレンと混合する他の樹脂を準備する。第1成分をエチレン・α−オレフィン共重合体と他の樹脂との混合物とする場合、混合物の密度が0.920g/cm3以上となるように、これらの樹脂の混合割合を決定する。
0051
次いで、第1成分および第2成分を、常套の溶融紡糸機を用いて、第1成分および第2成分の少なくとも1つの重心位置が繊維の重心位置からずれており、かつ第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出している繊維断面、特に並列型断面または偏心鞘芯型断面、より特には偏心鞘芯型断面が得られるように複合紡糸し、繊度が3dtex以上、50dtex以下の範囲内にある紡糸フィラメントを作製する。紡糸フィラメントの引取繊度が3dtex未満であると、糸切れ等が生じて繊維生産性が低下する。紡糸フィラメントの引取繊度が50dtexを越えると十分な延伸ができず、ネッキングにより均質な繊度の繊維が得られない。紡糸温度は樹脂に応じて、200℃〜350℃の範囲から選択される。紡糸フィラメントを得る際、引取速度は、例えば200m/min〜2000m/minとしてよい。
0052
次いで、紡糸フィラメントを公知の延伸処理機を用いて延伸処理して、延伸フィラメントを得る。延伸処理は、延伸温度を60℃〜100℃の範囲内にある温度に設定して実施することが好ましく、80〜100℃の範囲内にある温度に設定することがより好ましく、90〜100℃の範囲内にある温度に設定することがさらに好ましい。延伸倍率は、2倍以上とすることが好ましく、3〜5倍とすることがより好ましい。延伸方法は、温水または熱水中で実施する湿式延伸法、あるいは乾式延伸法のいずれであってもよい。
0053
延伸処理条件は、得られる繊維の単繊維伸度を決定する因子の1つであり、単繊維伸度は、捲縮発現能および発現した捲縮の安定性を決定する因子の1つとなることがある。例えば、同一の又は類似するポリマーを使用して延伸処理条件以外の他の繊維製造条件を同じにして製造した繊維を比較すると、延伸処理条件の相違、即ち単繊維伸度の相違が、捲縮発現能および発現した捲縮の安定性に影響を及ぼすことがある。一般に、延伸温度が低くなると、伸度が低くなり、したがって得られる繊維は熱収縮しやすいものとなるため、所望の伸度が得られるように、延伸温度を適宜選択することが好ましい。また、延伸温度が60℃未満であると、繊維を構成するポリマー(即ち、第1成分および第2成分)が安定化されず、原綿段階で捲縮が発現しやすくなる、あるいは繊維集合物において発現した捲縮が不安定になることがある。延伸倍率が2倍未満であると、単繊維伸度が大きくなり、良好な捲縮発現能を得られないことがある。一方、延伸倍率が5倍を越えると、単繊維伸度が小さくなりやすく、捲縮発現能が高くなることがあり、場合によっては原綿段階で捲縮が発現し、カード性が悪くなることがある。
0054
得られた延伸フィラメントには、所定量の繊維処理剤が付着させられ、クリンパー(捲縮付与装置)で機械捲縮が与えられる。前記機械捲縮における捲縮数は、12〜19個/25mmの範囲内にあることが好ましい。捲縮数が12個/25mm未満であると、カードでのシリンダーへの巻き付き及び風綿が発生しやすいために、高速カード通過性が悪い。さらに、繊維同士の交絡度合いを示すウェブ強力も低く、カード工程でのトラブルが発生し易い傾向にある。捲縮数が19個/25mmを超えると、カード工程での開繊不良によるネップ、クラウディなど地合いムラが発生しやすくなる。捲縮数は、13〜17個/25mmの範囲内にあることがより好ましく、14〜17個/25mmの範囲内にあることがさらにより好ましい。
0055
捲縮付与後のフィラメントに40℃〜100℃の範囲内にある温度で数秒〜約30分間、アニーリング処理を施す。繊維処理剤を付着させた後でアニーリング処理を実施する場合、アニーリング処理温度を50℃〜80℃の範囲内にある温度とし、処理時間を5分以上として、アニーリング処理を実施すると同時に繊維処理剤を乾燥させることがより好ましい。アニーリング処理を上記温度範囲に設定して実施することにより、複合繊維の結晶化を抑制して、原綿段階での立体捲縮の発現を低く抑え、捲縮率および単繊維乾熱収縮率を所望の範囲に調整することが可能である。
0057
(繊維集合物)
以上において説明した本実施形態の潜在捲縮性複合繊維は、繊維集合物中に20mass%以上含有され、潜在捲縮を発現させることにより、強すぎず穏やかな収縮を示し、風合いの良好な繊維集合物を形成する。繊維集合物としては、織編物、不織布などが挙げられる。
0058
続いて、繊維集合物の具体的な一例として不織布を、その製造方法とともに説明する。前記不織布は、前記潜在捲縮性複合繊維を20質量%以上含有するようにカードウェブを作製し、前記カードウェブを熱処理し、潜在捲縮を発現させることにより得ることができる。前記不織布には、潜在捲縮性複合繊維以外に他の繊維を混綿したり、積層してもよい。当該他の繊維は、例えば、コットン、シルク、ウール、麻、パルプなどの天然繊維、レーヨン、キュプラなどの再生繊維、およびアクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系などの合成繊維から1種または複数種の繊維を用途などに応じて選択するとよい。
0059
前記不織布を製造するに際して用いられるカードウェブとしては、パラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスウェブ、およびクリスクロスウェブなどが挙げられ、異なる種類の繊維ウェブを2種類以上積層してもよい。また、繊維間を絡合させるために、繊維ウェブには必要に応じて熱処理前および/または熱処理後にニードルパンチ処理や水流交絡処理等の二次加工を施してもよい。特に、ニードルパンチ処理や水流交絡処理のように、構成する繊維同士を三次元的に交絡する方法によれば、後述する熱処理によって潜在捲縮性複合繊維の立体捲縮が発現したときに、繊維同士が適度に拘束されているため、伸長回復性を有する不織布を得やすい。
0060
前記繊維ウェブには、公知の熱処理手段により熱処理を施す。熱処理手段としては、熱風吹き付け法および熱圧着法から選ばれた少なくとも1種の熱処理方法を用いることが好ましい。前記熱処理方法における熱処理温度等の熱処理条件は、採用する熱処理方法に応じて適宜設定される。例えば、熱風吹き付け法(エアースルー法)を採用する場合、熱処理温度は、潜在捲縮性複合繊維の立体捲縮が発現する温度に設定するとよいが、好ましくは、90〜130℃の範囲、より好ましくは100〜120℃の範囲内にある温度に設定される。
0061
得られた不織布は、適度な収縮性または伸縮性を有するとともに、嵩高く、柔軟な風合いを有するから、オムツやナプキンなどの衛生材料、パップ剤や包帯などの医療(用途)材料、ウェットティッシュ、ワイパー、緩衝材、包装材料、スポンジ状不織布材料等の用途に好適である。
0062
繊維集合物、特に不織布は、本実施形態の潜在捲縮性複合繊維の第1成分を熱接着させて、熱接着不織布としてよい。また、本実施形態の繊維集合物は、この繊維集合物同士を重ね合わせて、あるいは他のシート状物(例えば紙)と重ね合わせて、例えばヒートシールまたはエンボスのような熱加工処理を施して一体化し、積層体を構成するのに適している。
0063
以下、本実施形態を実施例により具体的に説明する。なお、各種物性は、以下のように測定した。
0064
(Tf1およびTf2の測定)
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製)を使用し、サンプル量を5.0mgとして、10℃/minの昇温スピードで常温から200℃まで昇温して、繊維を融解させて、得られた融解熱量曲線からTf1およびTf2を求めた。
0065
(紡糸後のMI、MFR)
第1成分および第2成分をそれぞれ、各実施例で採用した条件と同じ条件(紡糸温度は各成分の紡糸温度とした)で紡糸し、延伸して得られた単繊維をサンプルとして紡糸後のMI、MFRを測定した。
0066
(紡糸後のQ値)
第1成分および第2成分をそれぞれ、各実施例で採用した条件と同じ条件(紡糸温度は各成分の紡糸温度とした)で紡糸し、延伸して得られた単繊維をサンプルとし、高温GPC装置(Polymer Laboratories製、PL−220)を用いて、分子量分布曲線を得た。分子量分布曲線から数平均分子量Mnおよび重量平均分子量Mwを求め、さらにQ値を求めた。測定条件等は以下のとおりである。
検出器:示差屈折率検出器RI
カラム:ShodexHT-G (1 本)、HT-806M (2 本) (昭和電工製)
溶媒:1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB) (0.1% BHT 添加)
流速:1.0 mL/min、カラム温度:145℃
試料調製:試料5mgに溶媒5mLを加え、約160℃〜170℃で30分間攪拌した後、0.5μm金属フィルターを用いて濾過
注入量:0.200 mL
標準試料:単分散ポリスチレン(東ソー製)
データ処理:GPCデータ処理システム(TRC製)
0067
(紡糸後の密度)
第1成分および第2成分をそれぞれ、各実施例で採用した条件と同じ条件(紡糸温度は各成分の紡糸温度とした)で紡糸し、延伸して得られた単繊維をサンプルとし、ピクノメーター法の気体置換法により密度を測定した。
0069
(捲縮数、捲縮率、残留捲縮率)
JIS−L−1015に準じて測定した。
0070
(単繊維乾熱収縮率)
熱応力測定機(カネボウエンジニアリング(株)製)を用いて、JIS−L−1015に準じ、つかみ間隔を100mmとし、処理温度100℃、処理時間15分間、初荷重なし(ゼロ)における乾熱収縮率をそれぞれ測定した。
0071
(1%収縮開始温度)
熱応力測定機(カネボウエンジニアリング(株)製)を用いて、測定対象の繊維をトータル繊度110dtexの繊維束とし、繊維束を周長が20mmのリング状として測定器に設置した。室温から開始して、1分間に1℃の割合で連続して昇温したときに、繊維束が1%収縮する温度を測定した。
0072
(乾熱応力)
熱応力測定機(カネボウエンジニアリング(株)製)を用いて、測定対象の繊維をトータル繊度110dtexの繊維束とし、繊維束を周長が20mmのリング状として測定器に設置した。室温から開始して、1分間に1℃の割合で連続して昇温し、100℃での応力を測定した。
0073
(ウェブ面積収縮率)
ウェブ面積収縮率を以下の方法で測定した。
(1)セミランダムカード機で目付約30g/m2のカードウェブを作製し、タテ20cm×ヨコ20cm角の大きさに切断する。収縮処理前のウェブの寸法(cm)を測定する。
(2)エアスルー熱処理機を用い、熱処理温度100℃、風速1.5m/sec(上吹き)の条件下で、カードウェブをフリー状態で熱処理して収縮させる。熱処理時間は、15秒に設定した。
(3)収縮後のウェブの寸法(cm)を測定する。
(4)面積収縮率を下記式から算出する。
0074
(樹脂)
第1成分および第2成分を構成する樹脂として、以下のものを準備した。
LLDPE1:
宇部丸善ポリエチレン(株)製、商品名431GD、α−オレフィンとして、ヘキセン−1を3.1mol%含む、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体
融点118℃、密度0.931g/cm3、MI20、Q値3.0
LLDPE2:
宇部丸善ポリエチレン(株)製、商品名420SD、α−オレフィンとして、ヘキセン−1を3.1mol%含む、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体
融点115℃、密度0.918g/cm3、MI7、Q値2.6
0075
PP1:
(株)プライムポリマー製、商品名S105HG、ポリプロピレン
融点160℃、密度0.900g/cm3、MFR30、Q値5
PP2:
日本ポリプロ(株)製、商品名SA03、ポリプロピレン
融点160℃、密度0.900g/cm3、MFR30、Q値3
0076
LDPE:
日本ポリエチレン(株)製、商品名LJ902、低密度ポリエチレン
融点106℃、密度0.915g/cm3、MI45、Q値5.3
0077
(実施例1〜6、比較例1〜9)
第1成分および第2成分として、表1〜3に示す樹脂を用い、2つの成分を偏心鞘芯型複合ノズルを用い、第1成分/第2成分の複合比(容積比)がそれぞれ表1に示す割合となり、かつ偏心率が表1に示す値となるように、鞘成分の紡糸温度を250℃、芯成分の紡糸温度を270℃として溶融押出して、紡糸フィラメントを得た。
0078
前記紡糸フィラメントを95℃の熱水中で4倍に延伸し、繊度1.8dtexの延伸フィラメントとした。次いで、繊維処理剤を付与した後、延伸フィラメントにスタッフィングボックス型クリンパーにて機械捲縮を付与した。各実施例および各比較例の捲縮数はそれぞれ表1〜表3に示すとおりである。そして、60℃に設定したエアスルー熱処理機にて約15分間、弛緩した状態でアニーリング処理と乾燥処理を同時に施し、フィラメントを51mmの繊維長に切断して、潜在捲縮性複合繊維を短繊維の形態で得た。
実施例1〜6、比較例1〜9として得た短繊維の物性を表1〜表3に示す。
0079
0080
0081
0082
実施例1〜6の繊維はいずれも、加熱処理により過度に立体捲縮を発現せず、したがって100℃でのウェブ面積収縮率がいずれも低く、また、117℃でのウェブ面積収縮率も低かった。実施例1〜6の繊維はいずれも、エチレン・α−オレフィン共重合体を含む第1成分と、Q値が4より大きいポリプロピレンからなる第2成分とを用いて、偏心率を比較的小さくしたことに加え、伸度がいずれも50%を超えるものであったため、捲縮発現能が比較的抑えられたと考えられる。
0083
Q値が4以下であるポリプロピレンを第2成分として用いた比較例1〜4、6、7の繊維はいずれも、捲縮発現能が大きく、したがって100℃でのウェブ面積収縮率が25%よりも大きかった。特に、比較例3および4は、伸度が比較例1および2よりも低かったために、より高い捲縮発現能を示した。
実施例1〜5で用いたのと同じ第1成分および第2成分を用いた場合でも、繊維断面に占める第1成分(鞘成分)の割合が大きいもの(比較例5)は捲縮発現能が大きく、100℃でのウェブ面積収縮率が25%よりも大きくなった。
0084
第1成分(鞘成分)に占めるエチレン・α−オレフィン共重合体の割合が小さいもの(比較例8)、ならびに第1成分全体の密度が0.920g/cm3未満であるもの(比較例9)も、高い捲縮発現能を示し、100℃でのウェブ面積収縮率が25%よりも大きかった。また、比較例8および9の繊維は伸度が小さく、そのことによっても捲縮発現能が高くなっていると考えられる。
0085
なお、実施例1〜6および比較例1〜9の繊維はいずれも、捲縮率と比較して残留捲縮率がそれほど低くなっておらず、一度捲縮が伸ばされた後も、捲縮が回復して元の状態に戻りやすい性質を有しており、カード通過性は良好であった。
実施例
0086
本発明は以下の態様のものを含む。
(態様1)
エチレン・α−オレフィン共重合体を含む第1成分と、ポリプロピレンを含む第2成分とを有する複合繊維であって、
第1成分はエチレン・α−オレフィン共重合体から実質的に成るものであるか、あるいはエチレン・α−オレフィン共重合体を60質量%以上含み全体として0.920g/cm3以上の密度を有するものであり、
前記第2成分に含まれている前記ポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)が4よりも大きく、
繊維断面において、前記第1成分および前記第2成分の少なくとも1つの重心位置が繊維の重心位置からずれており、かつ前記第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出しており、
前記第1成分と前記第2成分との複合比(容積比)が、4.5:5.5〜1.5:8.5の範囲内にある、
潜在捲縮性複合繊維。
(態様2)
前記第1成分のメルトインデックス(MI)が、10g/10min以上である、態様1の潜在捲縮性複合繊維。
(態様3)
前記エチレン・α−オレフィン共重合体が、0.920g/cm3以上の密度を有する、態様1または2の潜在捲縮性複合繊維。
(態様4)
前記繊維断面が、前記第1成分が鞘成分、前記第2成分が芯成分として配置され、前記第2成分の重心位置が繊維の重心位置からずれている偏心鞘芯型断面である、態様1〜3のいずれかの潜在捲縮性複合繊維。
(態様5)
前記偏心鞘芯型断面の偏心率が10%〜35%である、態様4の潜在捲縮性複合繊維。
(態様6)
破断伸度が50%以上である、態様1〜5のいずれかの潜在捲縮性複合繊維。
(態様7)
前記第1成分の融点が105℃〜135℃である、態様1〜6のいずれかの潜在捲縮性複合繊維。
(態様8)
第1成分と第2成分とを含む潜在捲縮性複合繊維の製造方法であって、
エチレン・α−オレフィン共重合体から実質的になるか、あるいはエチレン・α−オレフィン共重合体を60質量%以上含み全体として0.920g/cm3以上の密度を有する第1成分と、
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)が4よりも大きいであるポリプロピレンを含む第2成分とを、
繊維断面において、前記第1成分および前記第2成分の少なくとも1つの重心位置が繊維の重心位置からずれており、かつ前記第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出している繊維断面が得られ、かつ前記第1成分と前記第2成分との複合比(容積比)が、4.5:5.5〜1.5:8.5の範囲内にあるように、溶融紡糸して、紡糸フィラメントを得ること、
紡糸フィラメントを延伸すること、
延伸後のフィラメントに対し、機械捲縮を付与すること、
を含む、潜在捲縮性複合繊維の製造方法。
(態様9)
前記第1成分の紡糸前のメルトインデックス(MI)が10g/10min以上である、態様8の潜在捲縮性複合繊維の製造方法。
(態様10)
請求項1〜7のいずれかの潜在捲縮性複合繊維を20mass%以上含有し、潜在捲縮性複合繊維において潜在捲縮が発現している、繊維集合物。
(態様11)
請求項1〜7のいずれかの潜在捲縮性複合繊維を20mass%以上含有し、潜在捲縮性複合繊維において潜在捲縮が発現している、不織布。
0087
本実施形態の潜在捲縮性複合繊維は、適度な捲縮発現能を有するので、嵩高で風合いの良好な繊維集合物(特に不織布)を製造するのに有用である。