図面 (/)

技術 ヤング率が高いCu−Fe−P系合金板材

出願人 株式会社神戸製鋼所
発明者 野村幸矢
出願日 2016年3月31日 (4年3ヶ月経過) 出願番号 2016-070849
公開日 2017年10月5日 (2年8ヶ月経過) 公開番号 2017-179532
状態 未査定
技術分野 金属圧延一般 非鉄金属または合金の熱処理 ダイオード、トランジスタのリードフレーム
主要キーワード 材料採取 圧縮応力領域 中高温域 長尺寸法 尺度母数 銅板材 応力歪曲線 座屈応力
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年10月5日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

ヤング率が高く、かつ幅方向において機械的性質やヤング率の均質性に優れるCu−Fe−P系合金板材の提供

解決手段

Fe:1.6〜2.5質量%、P:0.005〜0.14質量%、及びMg,Si,Snの1種又は2種以上を合計で0.005〜0.5質量%、及びZn、Mn,Co,Al,Cr,Ti,Zr,Ta,Agの1種又は2種以上を合計で0.4質量%以下含み、残部がCuと不可避不純物からなるCu−Fe−P系銅合金板材。引張強さのワイブ指数mが150〜620であり、ワイブル尺度母数σが400MPa以上であり、圧延方向に平行及び直角方向のヤング率が125〜145GPaであるCu−Fe−P系銅合金板材。好ましくは、下記不等式(1)を満たすCu−Fe−P系銅合金板材。但し、Esは昇温前、Efは昇温後の室温における圧延方向に平行方向のヤング率である。{(Ef−Es)/Es}×100≦3.0・・・(1)

概要

背景

リードフレーム薄肉化(0.25⇒0.20⇒0.15mm)していることに加え、従来は1列であったリードフレームのスタンピング加工を、生産性向上のため2列から6列程度の複数列同時にスタンピング加工することが多くなっている(特開2011−100899号公報、特開2011−91326号公報参照)。これにより、リードフレーム用銅合金条の幅も20〜50mm程度から100〜150mm程度に広幅化している。しかし、銅合金条幅方向機械的性質を均一にすることが意外に難しいことから、このような広幅銅合金条においては、スタンピング時のリードフレームのアイランド部のペコつきあるいはペコペコ感が従来より一層発生しやすくなっている。

このような板材のペコ付きやペコペコ感はこれまでは一枚の大きな板をプレス加工する自動車用パネル材などで問題になっていた現象である(「プレス成型難易ハンドブック」第3版、511ページ、2007年、日刊工業新聞発行)。ペコつきが発生しやすい銅合金条を用いると、最悪の場合、1ロット(同じ条よりスタンピング加工されたもの)すべてが製品化できなくなることがあり、製品歩留まりが著しく低下することが問題となっている。

リードフレームのスタンピング加工時のペコつきはアイランド部に作用する応力による座屈である。座屈が発生するときの座屈応力は、下記式に示すように、その部材のヤング率板厚に比例することが知られている。下記式において、σ:座屈応力、E:ヤング率、ν:ポアソン比、t:板厚、b:板幅である。
σ={E/(1−ν2)}×(t/b)
上記式から、ヤング率が同じ材料であれば、板厚の減少量に比例して座屈応力が小さくなる。このため、板厚が薄くなるほど、アイランド部の座屈が起きやすくなる。また、幅方向に機械的性質やヤング率が均一でない銅合金板条においては、ヤング率が小さい箇所においてアイランド部の座屈が起きやすくなる。
以上においてはリードフレームのスタンピング時のペコつきについて説明したが、銅合金切板エッチング加工して製作するリードフレームにおいても、アイランド部のペコつきが同様に発生することが知られている。

特許文献1には、リードフレームのペコつきを防止することができるCu−Fe−P系合金板材が記載されている。このCu−Fe−P系合金板材は、950〜1000℃で熱延(熱延後600℃以上より水冷)⇒面削⇒冷間粗圧延中間焼鈍(450〜600℃、1〜4時間)⇒仕上げ冷間圧延⇒歪取焼鈍(600〜800℃の連続焼鈍)の工程で製造することができる。
特許文献1に記載されたCu−Fe−P系合金板材は、降伏応力引張り強さの関係を一定の範囲に定めることにより、リードフレームのペコつきを防止したものである。特許文献1に記載された製造条件は、各冷間圧延加工率熱間圧延の加工率等が不明であり、このCu−Fe−P系合金板材のヤング率はC194合金の通常の値(121GPa)に近いものであると考えられる。なお、ヤング率は材料の組成により決まるもので、製造条件によりヤング率を大きく変化させることは難しいと、通常は考えられてきた。

特許文献2には、結晶粒径のばらつきを小さくすることにより、プレス加工性スタンピング性)、及び曲げ加工性を改善したCu−Fe−P系合金板材が記載されている。
特許文献2にはヤング率に関する記載はない。また、記載された製造条件において、結晶粒整粒化のため、冷間圧延の途中で再結晶処理を行うことは記載されているが、各冷間圧延の加工率、熱間圧延の加工率等の詳細は不明であり、ヤング率はC194合金の通常の値(121GPa)に近いものであると考えられる。

特許文献3には、端子などの薄肉化、狭幅化に対応して、少ない変位量で大きな弾性応力を発生させることができ、あるいは厚肉端子材曲げ加工したときのスプリングバック量の低減のため、高ヤング率銅合金板材が求められていることが記載されている。このため、特許文献3では、圧延板の幅方向(TD)に向く原子面集積に関し、(111)面の法線とTD方向とのなす角度が20°以内である原子面を有する領域の面積率が50%を超える銅合金板材が提案されている。この構成を満たすCu−2.32%Fe−0.08%P−0.11%Zn合金板材では、TD方向の引張りヤング率138MPa、同方向のたわみ係数123GPaが達成され、この値は通常のC194よりかなり大きい。

特許文献3に記載された高ヤング率材を製造するには、高温での熱間圧延後、動的再結晶温度以下まで冷却し、その温度域で第2の熱間圧延工程を採用する必要がある。このため、熱間圧延工程が煩雑であり、また第2の熱間圧延工程は材料の変形抵抗が大きい中高温領域で加工するため大きな圧下力を持つ圧延機が必要になる。また、析出活発になる中高温域圧延されることから、材料の組織混粒組織となると考えられ、曲げ加工性、及びプレススタンピング性が低下(バリの発生)する。

特許文献4には、端子などの薄肉化に対応して、少ない変位量で高い接触力を確保できるように高い曲げたわみ係数を有し、かつ高温で保持しても接触力が保持されるように高い耐応力緩和特性を有する銅合金板材が求められていることが記載されている。このため、特許文献4では、圧延材の板幅方向(TD)と直交する断面において、(122)面の法線がTDとなす角度が10°以下である結晶の面積率と、(133)面の法線がTDとなす角度が10°以下である結晶の面積率との合計が10%以上である銅合金板材が提案されている。この構成を満たすCu−2.2%Fe−0.03%P−0.12%Zn合金板材ではTD方向のたわみ係数135GPa、応力緩和率20%(150℃、1000時間保持後)が達成され、これらの値は通常のC194よりかなり大きい。

特許文献4に記載された銅合金板材において、前記結晶方位満足させて高ヤング率材を製造するには、熱間圧延における1パスあたりの加工率の最大値を25%以下とし、かつ全パスの加工率の平均値を20%以下とする必要がある。熱間圧延の平均、及び最大加工率を前記のように設定して圧延すると、特に熱間圧延の初期において鋳塊内部に加工が加わらず、また熱間圧延のパス回数が必要以上に多くなり(平均加工率16.9%で200mmから15mmまで圧延すると14パス)、圧延材の温度低下が大きくなる。このため、熱間圧延終了時点において、熱間圧延材の表面側と中央部付近の組織及び密度が異なったものになる。このような熱延材加工熱処理を行うと、最終製品の組織が混粒組織となると考えられ、曲げ加工性、及びプレススタンピング性が低下(バリの発生)する。

概要

ヤング率が高く、かつ幅方向において機械的性質やヤング率の均質性に優れるCu−Fe−P系合金板材の提供Fe:1.6〜2.5質量%、P:0.005〜0.14質量%、及びMg,Si,Snの1種又は2種以上を合計で0.005〜0.5質量%、及びZn、Mn,Co,Al,Cr,Ti,Zr,Ta,Agの1種又は2種以上を合計で0.4質量%以下含み、残部がCuと不可避不純物からなるCu−Fe−P系銅合金板材。引張強さのワイブ指数mが150〜620であり、ワイブル尺度母数σが400MPa以上であり、圧延方向に平行及び直角方向のヤング率が125〜145GPaであるCu−Fe−P系銅合金板材。好ましくは、下記不等式(1)を満たすCu−Fe−P系銅合金板材。但し、Esは昇温前、Efは昇温後の室温における圧延方向に平行方向のヤング率である。{(Ef−Es)/Es}×100≦3.0・・・(1)なし

目的

本発明の主たる目的は、ヤング率が高く、かつ幅方向において機械的性質やヤング率の均質性に優れるCu−Fe−P系合金板材を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

Fe:1.6〜2.5質量%、P:0.005〜0.14質量%、及びMg,Si,Snの1種又は2種以上を合計で0.005〜0.5質量%、及びZn、Mn,Co,Al,Cr,Ti,Zr,Ta,Agの1種又は2種以上を合計で0.4質量%以下含み、残部がCuと不可避不純物からなるCu−Fe−P系銅合金板材において、引張強さのワイブ指数mが150以上620以下であり、ワイブル尺度母数σが400MPa以上であり、圧延方向に平行及び直角方向のヤング率が125〜145GPaであることを特徴とするCu−Fe−P系合金板材

請求項2

室温から280℃まで昇温し、再度室温まで冷却したCu−Fe−P系銅合金板の昇温前の室温における圧延方向に平行方向のヤング率をEsとし、昇温及び冷却後の室温における圧延方向に平行方向のヤング率をEfとしたとき、下記不等式(1)の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載されたCu−Fe−P系合金板材。{(Ef−Es)/Es}×100≦3.0・・・(1)

技術分野

0001

本発明はCu−Fe−P系合金板材に関し、詳しくはリードフレーム端子等の電気電子部品素材として用いられるヤング率が高いCu−Fe−P系合金板材に関する。

背景技術

0002

リードフレームが薄肉化(0.25⇒0.20⇒0.15mm)していることに加え、従来は1列であったリードフレームのスタンピング加工を、生産性向上のため2列から6列程度の複数列同時にスタンピング加工することが多くなっている(特開2011−100899号公報、特開2011−91326号公報参照)。これにより、リードフレーム用銅合金条の幅も20〜50mm程度から100〜150mm程度に広幅化している。しかし、銅合金条幅方向機械的性質を均一にすることが意外に難しいことから、このような広幅銅合金条においては、スタンピング時のリードフレームのアイランド部のペコつきあるいはペコペコ感が従来より一層発生しやすくなっている。

0003

このような板材のペコ付きやペコペコ感はこれまでは一枚の大きな板をプレス加工する自動車用パネル材などで問題になっていた現象である(「プレス成型難易ハンドブック」第3版、511ページ、2007年、日刊工業新聞発行)。ペコつきが発生しやすい銅合金条を用いると、最悪の場合、1ロット(同じ条よりスタンピング加工されたもの)すべてが製品化できなくなることがあり、製品歩留まりが著しく低下することが問題となっている。

0004

リードフレームのスタンピング加工時のペコつきはアイランド部に作用する応力による座屈である。座屈が発生するときの座屈応力は、下記式に示すように、その部材のヤング率と板厚に比例することが知られている。下記式において、σ:座屈応力、E:ヤング率、ν:ポアソン比、t:板厚、b:板幅である。
σ={E/(1−ν2)}×(t/b)
上記式から、ヤング率が同じ材料であれば、板厚の減少量に比例して座屈応力が小さくなる。このため、板厚が薄くなるほど、アイランド部の座屈が起きやすくなる。また、幅方向に機械的性質やヤング率が均一でない銅合金板条においては、ヤング率が小さい箇所においてアイランド部の座屈が起きやすくなる。
以上においてはリードフレームのスタンピング時のペコつきについて説明したが、銅合金切板エッチング加工して製作するリードフレームにおいても、アイランド部のペコつきが同様に発生することが知られている。

0005

特許文献1には、リードフレームのペコつきを防止することができるCu−Fe−P系合金板材が記載されている。このCu−Fe−P系合金板材は、950〜1000℃で熱延(熱延後600℃以上より水冷)⇒面削⇒冷間粗圧延中間焼鈍(450〜600℃、1〜4時間)⇒仕上げ冷間圧延⇒歪取焼鈍(600〜800℃の連続焼鈍)の工程で製造することができる。
特許文献1に記載されたCu−Fe−P系合金板材は、降伏応力引張り強さの関係を一定の範囲に定めることにより、リードフレームのペコつきを防止したものである。特許文献1に記載された製造条件は、各冷間圧延加工率熱間圧延の加工率等が不明であり、このCu−Fe−P系合金板材のヤング率はC194合金の通常の値(121GPa)に近いものであると考えられる。なお、ヤング率は材料の組成により決まるもので、製造条件によりヤング率を大きく変化させることは難しいと、通常は考えられてきた。

0006

特許文献2には、結晶粒径のばらつきを小さくすることにより、プレス加工性スタンピング性)、及び曲げ加工性を改善したCu−Fe−P系合金板材が記載されている。
特許文献2にはヤング率に関する記載はない。また、記載された製造条件において、結晶粒整粒化のため、冷間圧延の途中で再結晶処理を行うことは記載されているが、各冷間圧延の加工率、熱間圧延の加工率等の詳細は不明であり、ヤング率はC194合金の通常の値(121GPa)に近いものであると考えられる。

0007

特許文献3には、端子などの薄肉化、狭幅化に対応して、少ない変位量で大きな弾性応力を発生させることができ、あるいは厚肉端子材曲げ加工したときのスプリングバック量の低減のため、高ヤング率銅合金板材が求められていることが記載されている。このため、特許文献3では、圧延板の幅方向(TD)に向く原子面集積に関し、(111)面の法線とTD方向とのなす角度が20°以内である原子面を有する領域の面積率が50%を超える銅合金板材が提案されている。この構成を満たすCu−2.32%Fe−0.08%P−0.11%Zn合金板材では、TD方向の引張りヤング率138MPa、同方向のたわみ係数123GPaが達成され、この値は通常のC194よりかなり大きい。

0008

特許文献3に記載された高ヤング率材を製造するには、高温での熱間圧延後、動的再結晶温度以下まで冷却し、その温度域で第2の熱間圧延工程を採用する必要がある。このため、熱間圧延工程が煩雑であり、また第2の熱間圧延工程は材料の変形抵抗が大きい中高温領域で加工するため大きな圧下力を持つ圧延機が必要になる。また、析出活発になる中高温域圧延されることから、材料の組織混粒組織となると考えられ、曲げ加工性、及びプレススタンピング性が低下(バリの発生)する。

0009

特許文献4には、端子などの薄肉化に対応して、少ない変位量で高い接触力を確保できるように高い曲げたわみ係数を有し、かつ高温で保持しても接触力が保持されるように高い耐応力緩和特性を有する銅合金板材が求められていることが記載されている。このため、特許文献4では、圧延材の板幅方向(TD)と直交する断面において、(122)面の法線がTDとなす角度が10°以下である結晶の面積率と、(133)面の法線がTDとなす角度が10°以下である結晶の面積率との合計が10%以上である銅合金板材が提案されている。この構成を満たすCu−2.2%Fe−0.03%P−0.12%Zn合金板材ではTD方向のたわみ係数135GPa、応力緩和率20%(150℃、1000時間保持後)が達成され、これらの値は通常のC194よりかなり大きい。

0010

特許文献4に記載された銅合金板材において、前記結晶方位満足させて高ヤング率材を製造するには、熱間圧延における1パスあたりの加工率の最大値を25%以下とし、かつ全パスの加工率の平均値を20%以下とする必要がある。熱間圧延の平均、及び最大加工率を前記のように設定して圧延すると、特に熱間圧延の初期において鋳塊内部に加工が加わらず、また熱間圧延のパス回数が必要以上に多くなり(平均加工率16.9%で200mmから15mmまで圧延すると14パス)、圧延材の温度低下が大きくなる。このため、熱間圧延終了時点において、熱間圧延材の表面側と中央部付近の組織及び密度が異なったものになる。このような熱延材加工熱処理を行うと、最終製品の組織が混粒組織となると考えられ、曲げ加工性、及びプレススタンピング性が低下(バリの発生)する。

先行技術

0011

特開2002−294364号公報
特開平10−265873号公報
特開2012−180593号公報
特開2015−48521号公報

発明が解決しようとする課題

0012

銅合金条のヤング率が同じであれば、薄肉化するほど座屈応力が小さくなり、スタンピング加工又はエッチング加工により製造したリードフレームのアイランド部が座屈しやすく、ペコつきあるいはペコペコ感が発生しやすい。また、複数列同時にスタンピング加工又はエッチング加工を行う広幅銅合金条において、ヤング率及び材料強度が幅方向に均一でない場合、ヤング率が小さい箇所においてアイランド部の座屈が起きやすい。
しかし、特許文献1〜4の発明は、広幅銅合金条の幅方向におけるヤング率及び材料強度の均質性を高めようとしたものではない。
従って、本発明の主たる目的は、ヤング率が高く、かつ幅方向において機械的性質やヤング率の均質性に優れるCu−Fe−P系合金板材を提供することである。

0013

一方、ヤング率は原子間力や結晶方位配向性などで決まることが知られているが、実際には可動転位密度や結晶粒界粘性挙動の影響を強く受ける。特に銅合金の場合、280℃以下の温度では可動転位密度がヤング率に及ぼす影響が大きい。冷間加工を受けた銅合金板材を室温から280℃まで昇温し、再度室温まで冷却したときの該銅合金板材のヤング率は、冷間加工で導入された可動転位密度が外部の温度変化により減少し、ヤング率に与える影響が低下する。このため、銅合金板材の昇温後のヤング率は、昇温前のヤング率よりも高くなる。この変化率が大きい銅合金板材をリードフレームなどの素材として使用すると、プレス加工後歪取り焼鈍形状変化やゆがみを生じる。また、このような銅合金板材がはんだ付けのように高温工程にさらされると、形状変化やゆがみを生じる。

0014

合型端子音叉端子は、嵌合部や接触部において、端子のばねの力により電気的接触を維持している。100〜160℃程度の雰囲気において、端子を使用しても、応力緩和によりばねによる接圧力が低下し、電気的接触が損なわれないよう、耐応力緩和特性に優れる銅合金が端子として用いられている。あるいは、銅合金の応力緩和率を考慮して端子の設計がなされている。また、端子を流れる電流による発熱ジュール熱)を少なくし、端子の温度上昇を抑制するため、導電率の高い銅合金が使用されている。

0015

ところで、Cu−Fe−P系合金板材を素材として製造された端子において、使用中に導通不良がまれに発生することがある。導通不良の発生した端子及び発生しなかった端子の元板材について、引張り強さ、降伏応力、応力緩和率、ヤング率、導電率を室温において測定したところ、その測定値はほぼ同じであった。
前記2種類の銅合金板材について、室温から300℃まで昇温しながらヤング率を測定したところ、導通不良の発生しなかった銅合金板材においては、全温度範囲で温度上昇に伴って直線的にヤング率が低下した。これに対し、導通不良が発生した銅合金板材においては、室温から130〜160℃程度の温度まではヤング率が直線的に低下し、その後昇温に伴い、ヤング率の低下に遅滞が見られ、更に昇温することによりヤング率が直線的に低下していく挙動を示すことが分かった。つまり、導通不良が発生した銅合金板材では、温度上昇に対してヤング率は非線形的に減少する。この非線形性発現は前述の可動転位の影響である。従って、この遅滞部を超えて加熱され、冷却されると、可動転位密度が減少し、この非線形性は消失する。

0016

これらの結果より、導通不良が発生した端子においては、温度上昇に伴うヤング率の低下が線形−遅滞−線形と変化することにより、加熱後のヤング率Eが増加したことを意味している。ヤング率Eは端子成型加工などで可動転位が導入されると、加工前あるいは可動転位が存在しない場合に比べて低下する。また、加熱や焼鈍により温度上昇に曝されて再度室温に冷却されると、可動転位密度は減少してヤング率は増加する。ばねは加熱により可動転位密度を下げるような外部仕事をしたことになり、ばねの弾性エネルギー(=1/2×E×(たわみ)2)は加熱により加熱前に比べて低下するので、ヤング率Eが増える分だけたわみは必ず減少する。その結果、接圧力が低下して、導通不良が発生したものと考えられる。
従って、本発明の別の目的は、このような導通不良を発生させないよう、温度上昇に伴うヤング率の低下が線形で、かつ室温から加熱され再度室温に冷却されたときのヤング率の差ができるだけ小さいCu−Fe−P系合金板材を提供することである。

課題を解決するための手段

0017

本発明に係るCu−Fe−P系合金板材は、Fe:1.6〜2.5質量%、P:0.005〜0.14質量%、Mg,Si,Snの1種又は2種以上を合計で0.005〜0.5質量%、及びZn、Mn,Co,Al,Cr,Ti,Zr,Ta,Agの1種又は2種以上を合計で0.4質量%以下含み、残部がCuと不可避不純物からなり、引張強さのワイブ指数mが150以上620以下であり、ワイブル尺度母数σが400MPa以上であり、圧延方向に平行及び直角方向のヤング率が125〜145GPaであることを特徴とする。板材には、板及び条が含まれる。
上記Cu−Fe−P系合金板材は、好ましくは、室温から280℃まで昇温し、再度室温まで冷却したCu−Fe−P系銅合金板の昇温前の室温におけるヤング率をEsとし、昇温及び冷却後の室温におけるヤング率をEfとしたとき、下記不等式(1)の関係を満たす。ただし、ヤング率Es,Efは共に圧延方向に平行方向のヤング率である。
{(Ef−Es)/Es}×100≦3.0・・・(1)

発明の効果

0018

本発明に係るCu−Fe−P系合金板材は、ヤング率が高く、かつ幅方向において機械的性質やヤング率の均質性に優れる。これにより、広幅銅合金条を素材として、スタンピング加工又はエッチング加工により例えばリードフレーム等を製造する場合、アイランド部のペコつきあるいはペコペコ感の発生を抑えることができる。
また、上記Cu−Fe−P系合金板材が前記不等式(1)の関係を満たすとき、この板材を素材として製造した例えば嵌合端子が、使用中に導通不良を起こすのを防止することができる。

0019

以下、本発明に係るCu−Fe−P系合金板材について、具体的に説明する。
銅合金組成
(Fe:1.6〜2.5質量%)
Feは、溶解鋳造時にFe単体又はFe−P化合物初晶を発生させ、包晶反応により鋳造組織微細化する作用がある。また、圧延後は、Fe単体又はFe−P化合物の粒子として銅合金中に析出し、銅合金の強度、耐熱性を向上させ、導電率を回復させる。しかし、Feの含有量が1.6質量%未満では鋳造組織の微細化が生じず、鋳造組織の結晶粒が柱状晶となり、熱延時の荷重に耐えきれず割れが生じる。あるいはその後の工程で有害な集合組織を消失させることができない。一方、Feの含有量が2.5質量%を超えると溶解鋳造工程で2液相分離、あるいは初晶として発生したFe粒子が粗大に成長する。粗大Fe粒子は、その後の加工熱処理工程で固溶させることが難しく、熱間圧延、冷間圧延工程で母材と粗大Fe粒子の界面に隙間を発生させ、冷間圧延でもこの隙間を閉塞することができないので、強度、耐熱性、及びヤング率を低下させる。また、曲げ加工性、耐食性、めっき付着性を低下させ、めっき膨れ、及び金型損耗の原因ともなる。
従って、Fe含有量は1.6%〜2.5質量%とする。Fe含有量の下限値は好ましくは1.7質量%、より好ましくは1.8質量%であり、上限値は好ましくは2.4質量%、より好ましくは2.3質量%である。

0020

(P:0.005〜0.14質量%)
Pは、Feと協調して包晶反応による鋳造組織の微細化効果を発現する。つまりPを共添することにより、Fe単独よりも少ないFe含有量で品質良好な鋳塊を作製することができ、その効果は0.005質量%以上で発現する。しかし、P含有量が0.14質量%を超えると、Fe−Pの晶出物溶湯中に発生する。この晶出物は、冷間圧延後の検出で典型的に寸法が5〜100μm程度の楕円状で、硬さはビッカース硬さ換算でHv1000以上に達し、熱間圧延以降の工程では消失させることができず、電子電機部品用銅合金板材の典型的板厚100〜250μmの中で深刻な欠陥となる。この晶出物(楕円状介在物)の周囲を包む母相には最大で介在物長径の2倍程度の間隙が生じ、これは板材内に空洞が空いていることと等価であり、板材のヤング率と強度特性劣化させる。
従って、P含有量は0.005〜0.14質量%とする。P含有量の下限値は好ましくは0.01質量%、より好ましくは0.02質量%であり、上限値は好ましくは0.1質量%である。

0021

(Mg、Si、Sn:合計で0.005〜0.5質量%)
これらの元素は、Cu−Fe−P系合金において鋳造組織の微細化と均質化を促進し、特に鋳塊サイズが大きくなったときに、その組織の微細化と均質化に効果がある。その効果は、これらの元素の1種又は2種以上の合計含有量が0.005質量%以上で発揮される。一方、これらの元素の1種又は2種以上の合計含有量が0.5%を超えると、酸化物として鋳塊に分散して品質低下を招き、特に内部酸化の進行を助長し、材料特性的には導電率を低下させる。従って、Mg、Si、Snの1種又は2種以上の合計含有量は0.005〜0.5質量%とする。

0022

(Zn、Mn、Co、Al、Cr、Ti、Zr、Ta、Ag:合計で0.4質量%以下)
これらの元素はいずれもCu−Fe−P系合金の強度と耐熱性を向上させる。これらの元素の1種又は2種以上の合計含有量が0.4質量%を超えると、溶解鋳造過程でFeの粗大粒子が発生しやすくなり、導電率を低下させる。従って、Zn、Mn、Co、Al、Cr、Ti、Zr、Ta、Agの1種又は2種以上の合計含有量は、0.4質量%以下とし、好ましくは0.2質量%、より好ましくは0.15質量%以下とする。

0023

[ワイブル指数m、ワイブル尺度母数σ]
ワイブル指数mとワイブル尺度母数σは下記の方法で求める。
Cu−Fe−P系合金板材より、圧延方向に平行にJIS13号B試験片を30本以上加工し、JISZ2241の規定に準拠して引張試験を行い、引張り強さTSを求める。この際、工業的に非定常部と見なされるような箇所からは材料採取は行わない。具合的には圧延まま材の部分などで製品にならずトリミング切り捨てられるような部分を避けて材料採取を行う。
引張り強さTSを小さい順に並べ、それぞれの引張り強さの値にF=i/(i+n)を割り当てる。ここで、n:総試験本数(n≧30)、i:1〜nまでの整数である。
横軸に引張り強さTSの自然対数縦軸に1/(1−F)の自然対数をとったワイブルプロット紙に各データをプロットする。
このプロットの傾きからワイブル指数m(形状指数)を求める。
縦軸の切片からワイブル尺度母数σを求める。

0024

ワイブル指数mは、強度の最弱部を内部に含む材料の強度特性のばらつきを示す尺度である。mが大きいことは強度が低い部分がランダムに分散していることを示し、mが小さいと最弱部が局在していることを示す。mの値が150を下回ると、ガラスセラミクスと同じような性質を持つようになる。金属では軟鋼などに相当する。つまり体積効果が表れやすくなり(大きな体積中に最弱部が多数存在する)、破壊を生じやすくなる。この最弱部はガラスなどの場合は目に見えないような微小クラックであることが多いが、金属材料の引張試験の場合はリューダーズ帯による不均一変形である。広幅銅合金条から、同幅の引張試験片採取して引張り試験を行えば、リューダーズ帯が発生し予測できないところで破断する。従って、そのヤング率、引張り強さともJIS13号B試験片で取得した値よりも小さくなる。引張試験片の幅よりもはるかに幅広多列取りリードフレーム用広幅銅合金条では、打ち抜きプレスの荷重で著しい変形を起こす。従って、ワイブル指数mの値を150以上にしてリューダーズ帯の発生を抑制しなければならない。

0025

ワイブル指数mの値は高ければ高いほど良い。つまり強度が低い部分がランダムに分布して局在化していない状態が最善である。数センチから数メートルオーダーの寸法からなる材料を製造する方法としては超強加工法による結晶粒のサブミクロンオーダー超微細化などで、ワイブル指数mの値を1000程度まで高めることが可能である。しかしながら、数百メートルから数キロメートルオーダーの長尺寸法を持つ伸銅製品条材)では、ワイブル指数mの現実的な上限値は620である(具体的な製造法は後述)。

0026

ワイブル尺度母数σは、正規分布でいうところの平均値に相当する。つまりワイブル分布に従う材料の引張強さの平均値である。この値が400MPa未満では、ワイブル指数mが下限(150)に近いと、材料中に引張破断強度が380MPa以下の部分が対象とする銅板材全体の10%近く存在することになり、リードフレームなどの電気電子部品用材料として適しない。従って、ワイブル尺度母数σは400MPa以上とする。

0027

[ヤング率]
ヤング率は、圧延方向に平行方向及び直角方向ともに125〜140GPaとする。このヤング率は、JISZ2280「金属材料の高温ヤング率試験方法」に準拠した共振法で測定する。なお、後述する実施例に記載したとおり、圧延方向に平行方向のヤング率は、長手方向が圧延方向に平行方向となる矩形型試験片を用いて測定され、圧延方向に直角方向のヤング率は、長手方向が圧延方向に直角方向となる矩形型試験片を用いて測定される。
金属、合金のヤング率はその金属の種類や合金の組成により固有の値であり、その値を変化させることは難しいと考えられてきた。しかしながら、共振法などの動的測定法を用いると、材料のヤング率Eは、1/E=Σ1/Eiと表現されることが明確になってきた。ここで1/Eとなるのは、ヤング率に寄与する因子電気回路中の抵抗並行接続のように作用するからである。Eiの例を挙げると、元素本来の原子間力に起因するヤング率、原子詰まり方、つまり結晶配向性に起因するヤング率、可動転位密度に起因するヤング率減少、結晶粒界粘性挙動によるヤング率減少などがある。これらの要素を分解して捉えるには、現在の技術では引張試験による応力歪曲線弾性範囲内での傾きでヤング率を算出する方法よりも、共振法によるヤング率測定が適する。ただし、引張試験でも応力歪曲線図上の原点での応力歪曲線の傾き(微分)を正確に、かつ室温とそれ以上の加熱状態で測定できるのであれば共振法にこだわる必要性はない。

0028

ヤング率Eは1/E=Σ1/Eiと表現されるので、各Eiを適切に制御すれば、一般的に認知されている銅合金のヤング率よりも高めていくことができる。例えば、C194合金(Cu−2.3%Fe−0.03%P−0.15%Zn)のヤング率は121GPaであり、C194合金を用いるリードフレームは、前記の値を用いて形状設計が行われてきた。リードフレームの高強度化と薄肉化に伴ってペコつきがより発生しやすくなっており、これを防止するため、C194合金の場合、少なくとも125GPa以上のヤング率が必要になっている。
Fe:1.6〜2.5質量%、P:0.005〜0.14質量%を含むCu−Fe−P系合金において、加工熱処理条件を工夫することにより、125〜140GPa程度のヤング率を達成することが可能である(後述)。リードフレームはQFDのように4方向にリード伸び形式のものがあることから、そのペコつきをなくすには圧延方向に平行及び直角方向ともに上記の高いヤング率を有することが求められている。ヤング率は、圧延方向に平行及び直角方向ともに、好ましくは130GPa以上、より好ましくは135GPa以上である。

0029

[昇温後のヤング率の増加率
本発明に係るCu−Fe−P系合金板材は、室温から280℃まで昇温し、再度室温まで冷却したとき、昇温前の室温におけるヤング率Esと、昇温及び冷却後の室温におけるヤング率Efが、好ましくは、前記不等式(1)の関係を満たす。ただし、ヤング率Es,Efは圧延方向に平行方向のヤング率であり、後述する実施例に記載したとおり、長手方向が圧延方向に平行方向となる矩形型試験片を用いて測定される。前記不等式(1)の左辺は昇温後のヤング率の増加率であり、この{(Ef−Es)/Es}×100の値が3.0以下のとき、端子の接圧力の低下及び導通不良の発生(100〜160℃程度で使用後)を防止し、また、歪み取り焼鈍後の変形を抑制できる。

0030

[板材の組織]
銅合金板材のワイブル指数とヤング率は、共に銅合金板材の組織と関係する。上記組成のCu−Fe−P系合金板材において、上記範囲内のワイブル指数m、ワイブル尺度母数σ及びヤング率を発現させるには、下記組織が達成されていることが好ましい。下記組織は、後述する製造方法により得ることができる。

0031

平均結晶粒径:10μm以下)
板厚/結晶粒径の比が10未満であると最弱部での局所変形、つまりリューダーズ帯が発生しやすくなる。このため、板厚/結晶粒径の比は10以上であることが好ましい。リードフレームの板厚は100〜250μmであり、板厚/結晶粒径の比を10以上にするためには、平均結晶粒径を10μm以下(板材の圧延垂直方向と圧延平行方向の両方で)としなければならない。つまり、平均結晶粒径は10μm以下であることが好ましい。なお、結晶粒径は、銅合金板材表面において、板材の圧延垂直方向と圧延平行方向の両方で、JISH0501に規定された切断法に準拠して測定される。

0032

(結晶粒径の標準偏差をσとしたとき2σが10μm以下)
結晶粒径のばらつきが大きいと塑性変形時に異なる粒径の結晶粒の間で大きなひずみが他の部位に先駆けて生じ、リューダーズ帯の発生を引き起こす。そのため、結晶粒径の標準偏差をsとするとき2sが10μm以下(板材の圧延垂直方向と圧延平行方向の両方で)であることが好ましい。このとき冷間加工上がりのヤング率は銅の理論的ヤング率135GPaに近接する。
なお、上記組織(平均結晶粒径と結晶粒径の標準偏差)は、曲げ加工性の確保、及びスタンピング加工後のばりの発生の減少のためにも有効である。

0033

[製造方法]
本発明に係るCu−Fe−P系合金板材を製造するには、次に説明する好ましい鋳塊を得て、好ましい熱間圧延条件で熱間圧延を行う必要がある。
(好ましい鋳塊)
高ヤング率をCu−Fe−P系合金板材で実現するためには、鋳塊組織の均一性を実現した鋳塊を準備しなければならない。鋳塊組織の微細化及び均質性の保証には、鋳塊から切り出された円柱試験片の高温据え込み鍛造後の形状又は高温落後の形状がもっとも適切である。このほかの方法としては鋳塊断面のエッチング後組織の観察法があるが、一断面の情報しか分からない。ただし、多数の断面を観察することにより、三次元的な組織の微細化、均質化が評価できる利点はある。

0034

具体的には、溶解鋳造後の鋳塊から切り出した円柱状試験片を800℃以上の高温に保持して円形の上面及び底面を挟み込むように据え込み鍛造又は落槌試験を行う。試験後の試験片を上面及び底面と平行な平面に投影したとき、その長径と短径の比が1.2以下であるような鋳塊でなくてはならない。円柱状試験片の切り出し方向は任意であり、試験片の高さhと円柱の直径Rの比R/hは1であることが望ましい。切り出し部位は、工業的な非定常部として切り捨てられる部分を避ける。鋳塊から切り出した円柱内に柱状晶が存在していると、鋳込み温度よりも低い温度で熱間加工(据え込み鍛造、落追試験)してもその組織は消失させることができず、異方性発達させながら熱間加工を完了することになる。従って、円柱の上面及び底面を挟んで圧縮するような加工を受けると、円柱状のまま圧縮されるのではなく、断面が楕円状に変形しながら圧縮される。材料組織の均質性及び柱状晶の完全排除を達成するためには、熱間加工後の試験片を上面と底面に平行な平面に投影したときの長径と短径の比が1.2以下でなくてはならない。なお、ここで加工温度を800℃以上としたのは、これより低い温度では変形抵抗が大きく円柱状試験片が扁平になりにくく上述の効果が見えにくいためである。

0035

(好ましい熱間圧延条件)
組織の緻密化によるヤング率の向上、機械的性質の異方性低減、組織の均質化、熱延時間の短縮のため、熱間圧延の1パスあたりの加工率は可能な限り大きくすることが望ましい。熱間圧延の1パスあたりの加工率は熱間圧延材のみならず、最終製品の靭性、組織の均質性、緻密化に影響する。本発明に係るCu−Fe−P系合金板材を製造するには、熱間圧延の1パスあたりの加工率の平均値を20%以上、最大加工率を25%以上とすることが好ましい。その理由は以下のとおりである。

0036

(1)圧延ロールによる圧下が加わったとき、圧延出側鋳塊の表面から一定の深さhcの領域には圧延方向に圧縮応力が、深さhcから鋳塊厚さの中央部の領域には圧延方向に引張応力が作用することが知られている。
圧縮応力領域においては表面からの深さが浅いほど圧縮応力が大きく、引張り応力領域においては鋳塊厚さの中心に近いほど引張り応力が大きくなる。
圧縮応力から引張り応力に変わる深さhcは、圧延ロール径、圧下量(圧延ロール入り側の板厚−圧延ロール出側の板厚)等により計算で求めることができる(O.G.Muzalevskii:Stal in Eng.,June(1970),p.455)。
圧延ロール径が一定の場合、圧下率が大きくなるほどhcは大きくなる。すなわち、鋳塊内部の引張り応力の作用する領域が小さくなる。

0037

(2)鋳塊には引け巣ガスによるミクロキャビティ合金元素ミクロ偏析、介在物等の欠陥が存在し、これらの欠陥は鋳塊内部になるほど多くなる。これらの欠陥をゼロにすることは工業的には難しい。特に、Feを1.6質量%以上含むCu−Fe−P系合金では、鋳塊の厚さが160mmを超えると、円相当径が20μmを超える粗大Fe粒子が発生しやすくなる。
均質化処理のために鋳塊を加熱すると、合金元素の拡散によりミクロ偏析は解消されるが、鋳塊内部のミクロキャビティは解消されることがない。カーケンダルボイドの形成、鋳塊に固溶していたガス成分の介在物−母材界面や粒界への析出により、鋳塊内部のミクロキャビティは均質化処理によってむしろ増加する傾向にある。また、粗大Fe粒子は溶湯中で発生することから、均質化処理によりその寸法が縮小したり、消滅することはない。
このように内部にミクロキャビティ、粗大Fe粒子、介在物が存在する鋳塊に、熱間圧延が行われる。

0038

(3)Feを1.6質量%以上含有するCu−Fe−P系合金鋳塊は、熱間加工性が悪く、熱間圧延の1パス目から15%以上の加工率で圧延すると、鋳塊のコーナー部近傍の割れが多発する。この熱間圧延割れを防止するため、熱間圧延の1パス目から4パス目くらいまでは各パス、数%〜10%程度の軽加工率で圧延する対策をとるのが普通である。
しかしながら、軽加工率のパスを続けることにより、圧延パスごとに、前記hcから鋳塊中央までの領域において、引っ張り応力が作用し、鋳塊内部に存在するミクロキャビティが拡大する。また、粗大Fe粒子や介在物と母材とは延性が異なるため、これらの界面に空隙が発生、拡大し、内部割れに至る。その後の熱間圧延工程で、加工率を大きくしても、一旦発生した内部割れの圧着は不十分な状態で終了することになり、所定厚さまで圧延された熱延材の内部品質は相対的に低下する。このような内部割れや空隙を内在する熱間圧延材に冷間圧延、熱処理を行っても、完全に密着させることは難しいことから、最終製品におけるヤング率や曲げ加工性の低下が起こりやすくなる。
このため、熱間圧延材の内部品質を高くするには熱間圧延の1パスあたりの加工率の平均値を20%以上、最大加工率を25%以上とすることが好ましい。1パスあたりの加工率の平均値は、より好ましくは23%以上、さらに好ましくは25%以上であり、最大加工率は、より好ましくは28%以上、さらに好ましくは30%以上である。

0039

(4)なお、圧延初期、1パス目から3パス目の平均加工率を10%以上とするのが好ましい。前記平均加工率は12%以上がより好ましく、15%以上が更に好ましい。
圧延初期の圧延加工率を大きくすると、鋳塊の熱延割れが発生しやすくなるが、これを避けるため、1パス目の圧延前、及び1パスから3パスの各パス終了後、鋳塊端面を圧延するエッジャー活用すればよい。これにより、鋳塊端面付近の熱間圧延割れを防止することが可能になり、熱間圧延初期から加工率を大きくとることができる。このため、熱間圧延初期の内部割れ発生を防止、あるいは軽減することが可能になる。
熱間圧延における1パス当たりの加工率を大きくすることにより熱延パス回数を減らすことができ、より高温で熱間圧延を終了し、熱間圧延材での合金元素の固溶量を増やすことができる。
また、Cu−Fe−P系合金の鋳塊の熱間圧延割れを回避するには、鋳塊のH、S、Pb、Bi、Se、Te等の熱間加工性を阻害する元素の含有量を低減し(H≦1質量ppm、S、Pb、Bi、Se、Te:合計20質量ppm以下)、かつ鋳塊結晶粒を微細化することが好ましい。

0040

(5)望ましい熱間圧延材が得られているか否かは、熱間圧延後から最終工程前までの間の任意のタイミングでサンプリングした圧延方向に平行な方向を長手に持つ短冊又は引張試験片で確認できる。具体的には、前記短冊又は引張試験片に対し、引張強さの90%に相当する引張応力を掛けたのち室温で測定した共振ヤング率E1、除荷実体温度300℃に加熱して室温まで冷却して測定した共振ヤング率E2が、下記不等式(2)の関係を有するか否かで確認できる。
{(E2−E1)/E2}×100≦5・・・(2)

0041

熱間・冷間圧延材中に介在物や欠陥、ボイド、空隙などが存在すると、その箇所での転位蓄積が生じるために、圧延による加工で材料中には強い方向性を持ったバウシンガー効果が生じる。これら材料内部の欠陥は圧延方向に伸びた形状を取ることが多いので、これら欠陥の投影面積圧延直角方向から圧延平行方向と平行な面に投影したほうが大きくなる。ところが転位密度不均一性は、圧延平行方向にひずみを受けているので圧延平行方向のほうが大きくなる。ここで圧延平行方向に圧縮すればヤング率を始めとする機械的特性の急激な減少を観察できる。しかしながら、板材をその面内で圧縮する試験方法は高度で限られた施設でしか評価出来ない。

0042

一方、ここで知りたいのは転位の挙動ではなく欠陥の個数である。Cu−Fe−P系合金においては、おおむね実体温度300℃に加熱すれば熱活性過程を起こして転位の対消滅が発生する。欠陥や転位を含んだ状態で、引張強さの90%に相当する引張応力をかけて転位不均一をさらに発達させると、ヤング率は引張応力負荷前より急激に低下する。ついで、同じ材料を実体温度300℃まで加熱してヤング率を測定すると、転位減少分だけヤング率が急増する。この二つのヤング率の差が大きければ大きいほど、材料中には可動転位と不均一分布を促す欠陥が多かったことを意味する。

0043

FeやFe−P化合物を第二相として含むCu−Fe−P系合金でこの現象をもっとも感度よく検出するには、上記の方法が最も適している。すなわち、圧延方向に平行方向を長手にもつ前記短冊又は引張試験片に、その試験片の引張強さの90%に相当する引張荷重を加えて除荷したのち、その試験片から切り出した矩形状試験片の共振周波数から室温ヤング率E1を算出する。次いで、実体温度300℃まで加熱して室温まで冷却した時のヤング率E2とを求め、その相対差{(E2−E1)/E2}×100を算出する。
不等式(2)に示すように、この相対差が5以下であれば、材料内部に最終製品レベルでヤング率を低下させたり材料の均一性を損なう欠陥は存在しない。最終工程での低温焼鈍矯正などでも転位群の整理や対消滅を起こさせることができるが、よりヤング率を高めるには、上記の方法で工程中間材選別を行っておくことが重要である。

0044

(製造条件)
熱間圧延後に行われるべき工程及び条件を以下に示す。
(1)熱間圧延(700℃以上より水冷)⇒冷間圧延(加工率50%以上)⇒焼鈍(析出&再結晶)⇒冷間圧延⇒焼鈍(析出&再結晶)⇒冷間圧延(加工率50%超え、好ましくは55%以上)⇒テンションアニーリング処理(実体温度250℃以上400℃未満、張力≧2kgf/mm2)、又は室温耐力の60%以上の張力で引っ張ったあとに実体温度280℃以上に到達する低温焼鈍。
(2)熱間圧延(700℃以上より水冷)⇒冷間圧延(加工率50%以上)⇒高温焼鈍(再結晶整粒化)⇒焼鈍(析出&再結晶)⇒冷間圧延(加工率50%超え、好ましくは55%以上)⇒テンションアニーリング処理(実体温度250℃以上400℃未満、張力≧2kgf/mm2)、又は室温耐力の60%以上の張力で引っ張ったあとに実体温度280℃以上に到達する低温焼鈍。

0045

熱間圧延後、上記(1)、(2)のどちらかの製造方法を採用することにより、本発明の組成において、引張強さのワイブル指数m、ワイブル尺度母数σ、圧延方向に平行及び直角方向のヤング率が前記範囲内の値を取るCu−Fe−P系合金板材を製造することができる。また、上記(1)、(2)のどちらかの製造方法を採用することにより、室温から280℃まで昇温し、再度室温まで冷却したときの昇温前後のヤング率が前記不等式(1)の関係を満たす板材を製造することができる。

0046

[実施例1]
次に本発明に係るCu−Fe−P系合金板材の実施例について説明する。
銅合金をクリプトル炉において大気中、木炭被覆下で溶解し、表1に示す組成を有する厚さ65mmの鋳塊を得た。この鋳塊表面を面削にて各面2.5mm深さまで除去し、中央付近から高さ10mm、直径10mmの円柱を複数切り出し、熱間落槌試験に供した。試験片の仕上げ旋盤で行い平滑にした。円柱の高さ方向は鋳塊の鋳込み方向と一致させた。

0047

熱間落追試験は、まず、円柱状試験片をマッフル炉にて900℃に加熱し、鋼鉄定盤の上に静置した(この時点で温度は低下し850℃程度となる)。この試験片の上に高さ70センチのところから重さ75kgのハンマー自由落下させ、円柱状試験片を衝撃力で加工(圧縮)した。加工後の試験片は硝酸洗浄し乾燥後、上面・底面に平行な平面に投影し、その形状の変形度(長径/小径の値)を測定した。その結果を表1に示す。
次いで、この加工後の試験片を樹脂に埋め込んで断面研磨し、エタノール100ccに塩化第二鉄六水和物):0.5g及び硝酸:1mlを溶解した液でエッチングを行った。このとき、粗大なFe−P晶出物が存在すると、青黒く変色しすぐに検出することができる。微細な鉄などは銅マトリクスよりもエッチングされやすく、すぐに脱落するため、エッチング後に母相に残留しているFe−P晶出物は容易に検出できる。その結果を表1に示す。

0048

0049

表1に示す本発明の合金組成(No.1〜5)では、熱間落槌試験後も割れは無く、試験片の形状は円形を保っており、断面観察時にも直径10μm以上の空孔又はFe−P晶出物は検出されない。このように、No.1〜5の鋳塊には最終製品レベルで問題になるような欠陥や不均一性は含まれておらず、ヤング率の低下や温度に対するヤング率の変化率が急激に変化するような要因も含まれていない。
これに対し、比較例のうちNo.6,10はP添加量が本発明規定の上限を超えたため、粗大で硬質なFe−P晶出物が発生した。比較例のうちNo.7はFe添加量が本発明の規定を下回り、熱間落槌試験時に試験片側面に割れを生じたため、その後の試験は断念した。No.8はFe添加量が本発明の規定の上限を超えたため、熱間落槌試験後の断面観察で粗大なFe−P晶出物が検出された。No.9はP添加量が本発明の規定を下回ったため、鋳塊中に柱状晶が発生し落槌試験片が円形を保てなかった。No.11は鋳造組織微細化促進元素群(Mg、Si、Sn)の添加量が本発明の規定を下回ったため、落槌試験片が円形を維持できなかった。No.12は鋳造組織微細化促進元素群(Mg、Si、Sn)が本発明の規定を超え、鋳込み時にこれら元素の酸化物が巻き込まれ、熱間落槌試験時にそこからの割れを生じたため、その後の試験は断念した。No.13は強度・耐熱性向上作用を有するその他の選択元素群が本発明の規定を上回ったため、Fe−P晶出物の生成が促進された。

0050

[実施例2]
次に、[実施例1]のNo.1〜3の残部鋳塊をAグループとし、No.4〜6の残部鋳塊をBグループとする。Aグループの鋳塊とBグループの鋳塊(いずれも厚さt=60mm)に、パススケジュールが異なるA方式とB方式の熱間圧延を適用する。A方式及びB方式の熱間圧延パススケジュールを、それぞれ表2、3に示す。A方式は高加工率のパススケジュールで、平均加工率23.9%、最大加工率34.8%であり、B方式は低加工率のパススケジュールであり、平均加工率11.2%、最大加工率20.0%である。

0051

鋳塊は980℃で30分間の均質化焼鈍を行い、熱間圧延開始温度は950℃であった。この温度差は鋳塊サイズが小さく冷えやすいために生じたもので、工程上の意味はない。熱間圧延はロール径450mmの圧延ロールで行った。B方式(No.4〜6)では、6パス終了後、雰囲気温度980℃の炉に圧延材を短時間挿入して昇温し、7パス以降の熱間圧延を行い、熱間圧延終了温度をA方式(No.1〜3)の圧延材に揃えた。熱間圧延終了温度(急冷用水タンク投入温度)は750℃である。

0052

0053

0054

作製したA方式(板厚:15t)及びB方式(板厚:16t)の熱延材をグラインダー等で酸化スケールを除去して表面調整したあと、1tまで冷間粗圧延し、その段階で圧延方向を長手とするJIS5号引張試験片を切り出した。この引張試験片に対し、株式会社島津製作所製オートグラフAG−500kNで引張強さの90%まで引張荷重を負荷後、試験片中央から長手方向が圧延方向に平行方向となる幅10mm、長さ45mmの矩形型試験片を切り出した。この矩形型試験片を用い、日本テクノプラス株式会社製高温ヤング率測定装置JE−HTにより、室温(25℃)で圧延方向に平行方向の共振ヤング率E1を測定した。次いで同試験装置加熱チャンバー内でそのまま試験片を300℃に加熱し(昇温速度20℃/分、保持時間1分)、自然冷却で室温まで戻したあと、前記測定装置により、圧延方向に平行方向の共振ヤング率E2を測定した。また、測定したヤング率E1,E2から、それらの相対差{(E2−E1)/E2}×100(不等式(2)の左辺の値)を算出した。その結果を表4に示す。

0055

0056

表4に示すように、A方式のパススケジュールで熱間圧延を行ったNo.1〜3は、ヤング率の相対差{(E2−E1)/E2}×100が5以下(不等式(2)を満たす)であり、内部欠陥の消滅・閉塞が達成されている。
一方、B方式のパススケジュールで熱間圧延を行ったNo.4〜6は、熱間圧延による内部欠陥の消滅・閉塞は達成できておらず、引張強さの90%の応力負荷後の共振ヤング率E1の値が小さい。そのため、ヤング率の相対差{(E2−E1)/E2}×100が5を超えている(不等式(2)を満たさない)。
このように熱間圧延後から最終工程前までの間に、ヤング率の相対差{(E2−E1)/E2}×100を測定することにより、材料の均質性と高い値のヤング率発現の阻害因子を含んだ材料を、後工程に流すのを防止することができる。

0057

[実施例3]
次にA、B方式で熱延したNo.1〜6の各サンプルを表5の工程に供した。なお、No.1,6の工程は、先に示した製造条件(1)に、No.2,4の工程は、製造条件(2)に該当する。これら工程のうち、保持2時間の熱処理はオーブン炉で行い、所定温度までの昇温には8時間、2時間保持後の室温までの冷却には6時間を掛けた。保持時間20秒の熱処理は溶融塩などの高温炉に材料を浸漬することで達成した。圧延材の最終板厚は0.2mmtであり、この圧延材(銅合金板材)を用いて、以下の測定試験を行った。

0058

0059

前記銅合金板材を用い、先に示した方法でn:30の引張試験を行い、試験結果のワイブル統計処理(ワイブルプロット紙にデータをプロットし、ワイブル指数m及びワイブル尺度母数σを求める)を行った。
導電率の測定を、JISH0505に記載の方法に準じて行った。電気抵抗の測定はダブルブリッジを用いた。
280℃への昇温前後の室温でのヤング率の測定を、前述の日本テクノプラス製高温ヤング率測定装置JE−HTを用いて行った。具体的には、銅合金板材から長手方向が圧延方向に平行方向となる幅10mm、長さ45mmの矩形型試験片を切り出し、室温(25℃)で圧延方向に平行方向のヤング率(Es)を測定した。続いて、測定後の試験片を室温から280℃まで昇温し、再度室温まで冷却して圧延方向に平行方向のヤング率(Ef)を測定した。測定したヤング率(Es、Ef)から、昇温後のヤング率の増加率{(Ef−Es)/Es}×100(前記不等式(1)の左辺の値)を求めた。また、銅合金板材から長手方向が圧延方向に直角方向となる幅10mm、長さ45mmの矩形型試験片を切り出し、室温(25℃)で圧延方向に直角方向のヤング率を測定した。続いて、測定後の試験片を室温から280℃まで昇温し、再度室温まで冷却して圧延方向に直角方向のヤング率を測定した。
以上の結果を表6に示す。

0060

0061

表5,6に示すNo.1〜3のCu−Fe−P合金板材は、本発明の組成を有し、鋳塊、熱間圧延材とも、高ヤング率発揮に望ましい性質を有していることが確認されたものである([実施例1],[実施例2]参照)。No.1,2は、熱間圧延後の工程も、先に説明した製造方法で行われている。
一方、No.4,5のCu−Fe−P合金板材は、本発明の組成を有し、鋳塊は高ヤング率発揮に望ましい性質を有しているが、熱間圧延材が高ヤング率発揮に望ましくない性質を有していることが確認されたものである([実施例1],[実施例2]参照)。また、No.6は、鋳塊及び熱間圧延材が高ヤング率発揮に望ましくない性質を有していることが確認されたものである([実施例1],[実施例2]参照)。

0062

No.1は、高いワイブル指数が示すように材料組織の均一性が非常に高い。ワイブル指数m及びワイブル尺度母数σから(より簡便には作成したワイブルプロット紙から)、σ=480MPa±5MPaの応力で、板材のあらゆる場所でサンプリングした試験片の98%以上が破断することが分かる。均質性の高い材料を矯正熱処理しているため、昇温後のヤング率の増加率は小さく、かつ高いヤング率を維持しており、ペコ付きや歪取り焼鈍後の変形を抑制できる。
No.2も、No.1ほどではないが高い均質性を維持しており本発明の効果が表れている。
一方、No.3は、第2熱処理を行っていないため組織の均一性確保が不十分なうえに、最終矯正熱処理を適用していない。そのため不均一変形(リューダーズ帯)が発生しやすく、ワイブル指数mとワイブル尺度母数σは本発明の範囲内にない。No.3の板材から多数の試験片をとったとき、ワイブル指数m及びワイブル尺度母数σから(より簡便には作成したワイブルプロット紙から)、その95%を破断させるための応力は390MPa±20MPaものばらつきを持つことが分かる。また最終矯正熱処理を行っていないため昇温後のヤング率の増加率は本発明の規定を超え、またヤング率自体が高くない。このためペコ付きや加熱前後の変形を抑制できない。

実施例

0063

No.4〜6は、内部に圧延方向に転位密度の不均一を引き起こす結晶粒の配向と内部欠陥が含まれていることを、表4で確認した。これらの板材をNo.1〜3と同じ熱処理・矯正工程に通しても、ヤング率は低く、また再加熱後にヤング率の回復が起こる、つまりヤング率の温度変化に対するヒステリシスが残留したままになっており、本発明の規定を満たしていない。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ