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技術 蒸着処理装置

出願人 一般財団法人ファインセラミックスセンター人工光合成化学プロセス技術研究組合
発明者 永野孝幸佐藤功二山田恭子久保美和子
出願日 2016年3月29日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-066576
公開日 2017年10月5日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2017-179431
状態 特許登録済
技術分野 CVD 半透膜を用いた分離
主要キーワード 真空継手 ステンレス鋼製配管 円形平板形状 スウェージ 蒸着処理装置 無機珪素化合物 セラミックスファイバ リボンヒータ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

被処理部の面積が増大しても蒸着処理が可能な蒸着処理装置を提供する。

解決手段

原料ガス対向ガスとを複数の細孔を有する多孔質からなる被処理部S1の細孔の両端側よりそれぞれ対向拡散させて該細孔の内壁化学蒸着を行う蒸着処理装置であって、被処理部S1を有する被処理材Sを、原料ガスが供給される原料ガス供給側12と対向ガスが供給される対向ガス供給側13とを区画する位置に収容する処理室10と、原料ガスを原料ガス供給側12に複数箇所111〜118から供給する原料ガス供給手段20と、対向ガスを対向ガス供給側13に供給する対向ガス供給手段30と、処理室10内を排気する排気手段40と、少なくとも処理室10に供給された原料ガスにエネルギーを付与するエネルギー付与手段50と、を備える。

概要

背景

蒸発した物質被処理材の表面に付着させて薄膜などを形成する技術として、化学蒸着CVD)が知られている。特に、対向拡散CVDは、混合ガスから水素ガスなどの特定のガス成分を分離精製するために用いられるセラミックス系ガス分離材の製造に多用されている。

図9は、対向拡散CVDの概念を説明する概略図である。対向拡散CVDは、原料ガス(たとえば有機珪素化合物ガス)と、原料ガスと反応する対向ガス(たとえば酸素ガス)と、を多孔質基材の細孔の両端よりそれぞれ対向拡散させ、細孔内で反応させる。反応生成物は、細孔の内壁蒸着され、反応が進行すると細孔は反応生成物で閉塞されるので、両ガスの接触が妨げられることで反応が終了する。その結果、細孔内に形成された閉塞部Fは、極薄い膜となる。

セラミックス系のガス分離材には、材料自体が有するサブナノサイズの細孔によるガス分離が可能なことから、シリカなどの分離活性層が利用されている。分離活性層として用いられるシリカ膜を対向拡散CVDにより製造するには、たとえば、テトラメトキシシランを含むガスと酸素ガスとを多孔質基材の細孔の両端よりそれぞれ対向拡散させた状態で加熱することで、細孔を閉塞させるようにしてシリカが形成される。形成される閉塞部は、50〜500nm程度の極薄いシリカ膜からなる。ガス透過速度膜厚反比例することから、極薄いシリカ膜を分離活性層に用いると、ガス分離の際の透過速度が増大し、分離処理能力が高まるため有効である。

特許文献1、特許文献2および特許文献3には、対向拡散CVD法を用いたガス分離材の製造方法が開示されている。対向拡散CVD法では、通常、円筒形状の多孔質基材の筒内に対向ガスとしての酸素含有ガスを、外周面側に原料ガスとしての有機珪素化合物ガスを供給した状態で、所定の温度で加熱されることで、多孔質基材の細孔内部にシリカ膜が形成される。

概要

被処理部の面積が増大しても蒸着処理が可能な蒸着処理装置を提供する。原料ガスと対向ガスとを複数の細孔を有する多孔質からなる被処理部S1の細孔の両端側よりそれぞれ対向拡散させて該細孔の内壁に化学蒸着を行う蒸着処理装置であって、被処理部S1を有する被処理材Sを、原料ガスが供給される原料ガス供給側12と対向ガスが供給される対向ガス供給側13とを区画する位置に収容する処理室10と、原料ガスを原料ガス供給側12に複数箇所111〜118から供給する原料ガス供給手段20と、対向ガスを対向ガス供給側13に供給する対向ガス供給手段30と、処理室10内を排気する排気手段40と、少なくとも処理室10に供給された原料ガスにエネルギーを付与するエネルギー付与手段50と、を備える。

目的

本発明は、上記の問題点に鑑み、基材長尺化などにより処理面積が大きくなった場合にも、所望の蒸着処理を行うことが可能な蒸着処理装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

原料ガス対向ガスとを複数の細孔を有する多孔質からなる被処理部の該細孔の両端側よりそれぞれ対向拡散させて該細孔の内壁化学蒸着を行う蒸着処理装置であって、前記被処理部を有する被処理材を、前記原料ガスが供給される原料ガス供給側と前記対向ガスが供給される対向ガス供給側とを区画する位置に収容する処理室と、前記原料ガスを前記原料ガス供給側に複数箇所から供給する原料ガス供給手段と、前記対向ガスを前記対向ガス供給側に供給する対向ガス供給手段と、前記処理室内を排気する排気手段と、少なくとも前記処理室に供給された前記原料ガスにエネルギーを付与するエネルギー付与手段と、を備える蒸着処理装置。

請求項2

前記処理室は、筒状の前記被処理部を有する前記被処理材を収容し、前記原料ガス供給手段は該被処理部の外周側に前記原料ガスを供給し、前記対向ガス供給手段は該被処理部の内周側に前記対向ガスを供給する請求項1に記載の蒸着処理装置。

請求項3

前記処理室は、長尺状の前記被処理部を有する前記被処理材を収容し、前記原料ガス供給手段は、該被処理部の長手方向に間隔をもって配置される複数個で構成される原料ガス供給口を有する請求項1または2に記載の蒸着処理装置。

請求項4

前記原料ガス供給口は、前記処理室に形成された開口からなる請求項3に記載の蒸着処理装置。

請求項5

前記排気手段は、少なくとも前記被処理部の長手方向の一端部に位置し、主として前記処理室に供給された前記原料ガスを排気する原料ガス排気口を有する請求項3または4のいずれかに記載の蒸着処理装置。

請求項6

前記原料ガス排気口は、前記原料ガス供給口を挟んで前記被処理部の長手方向の両端部に位置する複数個で構成される請求項5に記載の蒸着処理装置。

請求項7

前記処理室は、筒状の前記被処理部を有する前記被処理材を収容し、前記被処理部の長手方向で隣接する個々の前記原料ガス供給口は、互いに該被処理部の周方向の異なる位置に配置される請求項3〜6のいずれかに記載の蒸着処理装置。

請求項8

前記エネルギー付与手段は、少なくとも前記処理室に供給された前記原料ガスを加熱する加熱手段である請求項1〜7のいずれかに記載の蒸着処理装置。

請求項9

前記原料ガスはシリカ前駆体を含み、前記対向ガスは酸素元素を含み、前記細孔の内壁にシリカ蒸着する請求項1〜8のいずれかに記載の蒸着処理装置。

技術分野

0001

本発明は、化学蒸着CVD)、特に対向拡散CVDに好適な蒸着処理装置に関する。

背景技術

0002

蒸発した物質被処理材の表面に付着させて薄膜などを形成する技術として、化学蒸着(CVD)が知られている。特に、対向拡散CVDは、混合ガスから水素ガスなどの特定のガス成分を分離精製するために用いられるセラミックス系ガス分離材の製造に多用されている。

0003

図9は、対向拡散CVDの概念を説明する概略図である。対向拡散CVDは、原料ガス(たとえば有機珪素化合物ガス)と、原料ガスと反応する対向ガス(たとえば酸素ガス)と、を多孔質基材の細孔の両端よりそれぞれ対向拡散させ、細孔内で反応させる。反応生成物は、細孔の内壁蒸着され、反応が進行すると細孔は反応生成物で閉塞されるので、両ガスの接触が妨げられることで反応が終了する。その結果、細孔内に形成された閉塞部Fは、極薄い膜となる。

0004

セラミックス系のガス分離材には、材料自体が有するサブナノサイズの細孔によるガス分離が可能なことから、シリカなどの分離活性層が利用されている。分離活性層として用いられるシリカ膜を対向拡散CVDにより製造するには、たとえば、テトラメトキシシランを含むガスと酸素ガスとを多孔質基材の細孔の両端よりそれぞれ対向拡散させた状態で加熱することで、細孔を閉塞させるようにしてシリカが形成される。形成される閉塞部は、50〜500nm程度の極薄いシリカ膜からなる。ガス透過速度膜厚反比例することから、極薄いシリカ膜を分離活性層に用いると、ガス分離の際の透過速度が増大し、分離処理能力が高まるため有効である。

0005

特許文献1、特許文献2および特許文献3には、対向拡散CVD法を用いたガス分離材の製造方法が開示されている。対向拡散CVD法では、通常、円筒形状の多孔質基材の筒内に対向ガスとしての酸素含有ガスを、外周面側に原料ガスとしての有機珪素化合物ガスを供給した状態で、所定の温度で加熱されることで、多孔質基材の細孔内部にシリカ膜が形成される。

先行技術

0006

特開2007−216106号公報
特開2009−202096号公報
国際公開第2014/007140号

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、上記の各特許文献に開示されている従来型の装置では、多孔質基材の全長が長くなるほど、換言すれば処理面積が増大するほど、蒸着処理が困難になることがわかった。成膜初期は、処理室内に原料ガスおよび対向ガスが満たされた状態にある。蒸着処理が進むと、原料ガスおよび対向ガスが消費され減少するため、処理が終了するまで原料ガスおよび対向ガスを追加供給し続ける。しかし、多孔質基材が長尺化して処理面積が増大すると、多孔質基材の表面にシリカが粉末状で堆積する現象が見られ、良好な蒸着処理ができなくなる問題があることがわかった。さらに、生成されたシリカ粉末は、蒸着処理装置の配管を詰まらせる原因にもなり、継続して処理を行うことが困難であった。

0008

本発明は、上記の問題点に鑑み、基材の長尺化などにより処理面積が大きくなった場合にも、所望の蒸着処理を行うことが可能な蒸着処理装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者等は、この課題を解決すべく鋭意研究の結果、シリカ粉末の生成の原因が、処理室内における原料ガスと対向ガスとの分圧不均衡にあることを突き止めた。この成果発展させることで、以降に述べる発明を完成させるに至った。

0010

すなわち本発明は、原料ガスと対向ガスとを複数の細孔を有する多孔質からなる被処理部の該細孔の両端側よりそれぞれ対向拡散させて該細孔の内壁に化学蒸着を行う蒸着処理装置であって、
前記被処理部を有する被処理材を、前記原料ガスが供給される原料ガス供給側と前記対向ガスが供給される対向ガス供給側とを区画する位置に収容する処理室と、
前記原料ガスを前記原料ガス供給側に複数箇所から供給する原料ガス供給手段と、
前記対向ガスを前記対向ガス供給側に供給する対向ガス供給手段と、
前記処理室内を排気する排気手段と、
少なくとも前記処理室に供給された前記原料ガスにエネルギーを付与するエネルギー付与手段と、
を備える。

0011

本願発明者等は、前述の通り、シリカ粉末の生成の原因が、処理室内における原料ガスと対向ガスとの分圧の不均衡にあることを突き止めた。従来の蒸着処理装置では、被処理材を収容する処理室に対して原料ガスの供給位置が一カ所に限られている。原料ガスの供給位置周辺においては、充分な原料ガスが存在する。しかしながら、原料ガスの供給位置から離れた場所では、原料ガスが不足することで分圧の不均衡が生じ、対向ガスが被処理部の細孔を通じて対向ガス供給側から原料ガス供給側へと噴出し、原料ガス供給側において被処理部から離れた位置で両ガスが反応することで、反応生成物は細孔内に蒸着されずに粉末化すると考えられる。

0012

このような現象を抑制するために、原料ガスを処理室内に複数箇所から供給することを新たに想到した。原料ガスを処理室内に複数箇所から供給することで、蒸着処理が進んでも処理室内の分圧の均衡が保たれる。したがって、処理面積の大きい大型の被処理材を処理する場合であっても、原料ガスの粉末化が抑制され、所望の蒸着処理が可能となる。

0013

なお、従来の蒸着処理装置は、いずれも、原料ガスの供給口を一カ所しか設けておらず、そもそも、上記の問題点に気付いていなかった。したがって、本発明は従来にない新たな着眼点からなされた発明である。

発明の効果

0014

本発明の蒸着処理装置は、従来、蒸着処理が困難であった大面積の被処理部に対しても良好な蒸着処理が可能となる。

図面の簡単な説明

0015

本発明の蒸着処理装置の一実施形態を説明するための概要図である。
実施例1の蒸着処理装置を示す模式図である。
実施例1の蒸着処理装置で用いられる被処理材を示す模式図である。
実施例2の蒸着処理装置を部分的に示す模式図である。
実施例3の蒸着処理装置を部分的に示す模式図である。
実施例4の蒸着処理装置を部分的に示す模式図である。
実施例5の蒸着処理装置を部分的に示す模式図である。
実施例6の蒸着処理装置を部分的に示す模式図である。
対向拡散CVDの概念を説明する概略図である。

0016

以下に、本発明の蒸着処理装置を実施するための形態を説明する。なお、本明細書に記載された数値範囲の上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。

0017

本発明は、原料ガスと対向ガスとを複数の細孔を有する多孔質からなる被処理部の細孔の両端側よりそれぞれ対向拡散させて、その細孔の内壁に化学蒸着を行う蒸着処理装置である。換言すれば対向拡散CVDを行うのに好適な蒸着処理装置である。蒸着処理装置は、主として、処理室、原料ガス供給手段、対向ガス供給手段、排気手段およびエネルギー付与手段を備える。

0018

<処理室>
処理室は、被処理部を有する被処理材を、原料ガスが供給される原料ガス供給側と対向ガスが供給される対向ガス供給側とを区画する位置に収容する。処理室は、蒸着処理に必要な気密性を維持できる容器であれば特に限定はない。容器の材質にも特に限定はないが、原料ガスとの反応性が低い材質、たとえば石英ガラスなどのセラミックス、各種金属などが望まれる。さらに、後述のエネルギー付与手段が、処理室の外部から加温する類の構成であれば、熱伝導に優れた金属製であるのが好ましい。具体的には、ステンレス鋼製の他、インコネル登録商標)、ハステロイ(登録商標)などのニッケル基合金製などが挙げられる。

0019

処理室を構成する容器の形状は、被処理材を所定の位置に収容できれば特に限定はなく、被処理材の形状に応じて適宜選択すればよい。収容される被処理材の数にも限定はなく、処理室の内部を、被処理部の一方の表面と接する原料ガス供給側と、背向する他方の表面と接する対向ガス供給側と、に区画することができればよい。処理室を区画する方向にも限定はなく、水平方向に区画しても、鉛直方向に区画しても、その他の方向に区画してもよい。被処理材を所定の位置に収容する方法にも特に限定はないが、処理室内の気密性を維持しつつ処理室内を原料ガス供給側と対向ガス供給側とに区画する必要があるため、少なくとも被処理部が密閉状態になるように保持することが望まれる。たとえば、被処理材をシール部材で挟持して収容するとよい。シール部材は、処理室および被処理材の形状および寸法に応じて適宜選択すればよいが、Oリングなどに代表されるスクイーズタイプの各種ガスケットを使用するとよい。また、シール部材の材質は、使用条件に応じて無機材料または有機材料のシール部材から適宜選択すればよい。有機シール部材としては、各種樹脂天然ゴム合成ゴムなどが挙げられる。具体的には、フッ素ゴムニトリルゴムシリコンゴムエチレンプロピレンゴムクロロプレンゴムパーフルオロエラストマーポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。シール部材が高温となる使用条件下では、耐熱性の観点から、セラミックス、各種金属などの無機シール部材を用いるのが望ましい。無機シール部材として具体的には、黒鉛シート、ステンレス鋼やニッケル基合金などの金属製の中空Oリング、Cリング、EリングUリング使用可能である。

0020

ただし、被処理部の細孔において原料ガスおよび対向ガスの対向拡散を良好に行うためには、被処理材のうち被処理部を除く部分、つまり蒸着処理を行わない部分は、原料ガスおよび/または対向ガスを通さないようにする。被処理材全体が多孔質からなる場合であっても、細孔を封止して蒸着処理が不要な部分にガスシール性を付与することで、被処理部の細孔内での対向拡散が効率よく行われる。たとえば、ホウケイ酸塩ガラスアルミノケイ酸塩ガラス石英バナジウム系ガラスなどのガラス、タルククレーなどの粘土チタンアルミニウムなどの金属、アルミナなどのセラミックス、カーボンのうちの一種以上を主成分とする無機系の封止材を用いて不要な細孔を封止するとよい。封止材は、シール部材と同様に、使用条件に応じて適宜選択することが望まれる。

0021

処理室の一実施形態を、図を用いて説明する。図1は、本発明の蒸着処理装置の一実施形態を説明するための模式図である。図1で説明する蒸着処理装置は、被処理材としての多孔質基材1sに蒸着処理を施すための処理室1を有する。多孔質基材1sは、円形平板形状であって、互いに背向する一面側から他面側に貫通する多数の細孔を有する多孔質体よりなる。多孔質基材1sは、その周縁部表面にカーボン系封止材によるシール1s’が施されている。なお、多孔質基材1sのうちシール1s’で覆われていない部分が被処理部となる。処理室1は、共にステンレス鋼製で有底円筒形状の上部チャンバー1Aおよび下部チャンバー1Bからなる。多孔質基材1sは、上部チャンバー1Aおよび下部チャンバー1Bの開口端部により金属Uリング1aおよび1bを介してシール1s’を施された周縁部を挟持される。その結果、上部チャンバー1A、金属Uリング1a、多孔質基材1s、金属Uリング1bおよび下部チャンバー1Bは順に同軸的に配置され、金属Uリング1aおよび1bを押し潰すように上部チャンバー1Aと下部チャンバー1Bとを締付固定することで、処理室1内は、気密性を維持しつつ原料ガス供給側2aと対向ガス供給側3bとに区画される。

0022

<原料ガス供給手段>
原料ガス供給手段は、原料ガスを処理室の原料ガス供給側に複数箇所から供給する。原料ガス供給手段は複数個で構成される原料ガス供給口を有するとよい。原料ガス供給口は、処理室に形成された複数の開口であってもよいし、処理室内で複数の流路分岐するように形成された配管が有する複数の穴や複数のノズルであってもよい。また、原料ガス供給手段は、原料ガスを貯留する原料ガス槽と処理室とを接続する原料ガス配管を有するのが望ましい。原料ガス槽および原料ガス配管は、原料ガスの供給箇所の数に応じて複数個備えてもよいし、複数の供給箇所に対して原料ガス槽を共用してもよい。原料ガス槽を共用する場合には、接続される原料ガス供給口の数に応じて、原料ガス配管を分岐させて用いればよい。なお、配管の材質に特に限定はなく、前述の処理室を構成する容器と同等の材質を使用可能である。

0023

処理室に長尺状の被処理部を有する被処理材を収容する場合には、原料ガス供給手段は、被処理部の長手方向に間隔をもって配置される複数個で構成される原料ガス供給口を有するのが望ましい。このとき、隣接する個々の原料ガス供給口は、長手方向の同一直線上に配置されてもよいし、長手方向と交差する方向に意図的に位置を変えてもよい。特に、処理室に筒状の被処理部を有する被処理材を収容する場合には、被処理部の長手方向で隣接する個々の原料ガス供給口が、互いに被処理部の周方向の異なる位置に配置されてもよい。つまり、個々の原料ガス供給口は、軸方向に所定の間隔かつ周方向に所定の角度をもって配置されてもよい。また、個々の原料ガス供給口は、少なくとも被処理部の長手方向の両端部に配置するのが望ましい。

0024

隣接する原料ガス供給口の中心位置の間隔の上限としては、200mmが好ましく、150mmがより好ましく、100mmが特に好ましい。また、隣接する原料ガス供給口の中心位置の間隔の下限としては、特に限定されないが、30mmが好ましく、40mmがより好ましく、50mmが特に好ましい。また、原料ガス供給口の大きさに特に限定はないが、その内径がφ3〜12mmが好ましく、φ6〜10mmがより好ましい。

0025

原料ガス供給手段の一実施形態を、図1を用いて説明する。処理室1の構成は、前述の通りである。原料ガス供給手段2は、原料ガス供給側2aに原料ガスを供給する。図1において原料ガス供給手段2を示す矢印は、原料ガスの流路を示しており、上部チャンバー1Aの上方から多孔質基材1sの表面に対して複数箇所から原料ガスが供給される。具体的には、原料ガス供給手段2は、上部チャンバー1Aの底壁中央部に形成された開口部より原料ガス供給側2aに貫通する主配管と、原料ガス供給側2aにおいて主配管から分岐して放射状に延出する複数のノズルと、を有するのがよい。あるいは、原料ガス供給手段は、上部チャンバー1Aの側壁に周方向に間隔をおいて設けられた複数の開口部(図示せず)から原料ガス供給側2aに原料ガスを供給する構成であってもよい。

0026

<対向ガス供給手段>
対向ガス供給手段は、対向ガスを処理室の対向ガス供給側に供給する。対向ガス供給手段の形態に特に限定はないが、処理室および被処理部の形状によっては、原料ガス供給手段と同様に複数箇所から対向ガスを供給してもよい。対向ガス供給手段は、対向ガスを貯留する対向ガス槽を有するのが好ましい。処理室に筒状の被処理部を有する被処理材を収容する場合には、原料ガス供給手段は被処理部の外周側に原料ガスを供給し、対向ガス供給手段は被処理部の内周側に対向ガスを供給するのが望ましい。

0027

対向ガス供給手段の一実施形態を、図1を用いて説明する。処理室1および原料ガス供給手段2の構成は、前述の通りである。対向ガス供給手段3は、対向ガス供給側3bに対向ガスを供給する。図1において対向ガス供給手段3を示す矢印は、対向ガスの流路を示しており、下部チャンバー1Bの側壁に設けられた開口部から対向ガスが供給される。あるいは、対向ガス供給手段3は、下部チャンバー1Bの底壁中央部に設けられた開口部(図示せず)から対向ガス供給側3bに対向ガスを供給する構成であってもよい。

0028

<排気手段>
排気手段は、処理室内を排気する。排気手段は、処理室に供給された原料ガスを排気する原料ガス排気手段を有するのが好ましく、さらに、対向ガスを排気する対向ガス排気手段を設けてもよい。未反応の原料ガスおよび対向ガスは、排気手段により処理室から排出される。排気手段は、ロータリーポンプターボ分子ポンプメカニカルブースターポンプクライオポンプダイヤフラムポンプなど、一般的な真空ポンプを有するのが好ましい。真空ポンプは、処理室に排気口となる開口部を設け、配管を介して開口部に接続するとよい。

0029

処理室に長尺状の被処理部を有する被処理材を収容する場合には、原料ガス排気手段は、少なくとも被処理部の長手方向の一端部に位置し、主として処理室に供給された原料ガスを排気する原料ガス排気口を有するのが望ましい。特に、原料ガス排気口が複数個で構成される場合には、仮に粉末化した反応生成物が原料ガスと共に排気されたとしても、配管に堆積する粉末が複数に分配され、粉末による配管の詰まりが低減され、処理室内の分圧の均衡が維持されるため望ましい。複数個の原料ガス排気口は、原料ガス供給口を挟んで被処理部の長手方向の両端部に位置するのが望ましい。原料ガス排気口の大きさに特に限定はないが、その内径がφ3〜12mmが好ましく、φ6〜10mmがより好ましい。

0030

排気手段の一実施形態を、図1を用いて説明する。処理室1、原料ガス供給手段2および対向ガス供給手段3の構成は、前述の通りである。排気手段4は、原料ガス供給側2aから原料ガスを、対向ガス供給側3bから対向ガスを、それぞれ排気する。図1において排気手段4は、それぞれ一箇所図示しているが、複数箇所に設けてもよい。

0031

<エネルギー付与手段>
エネルギー付与手段は、少なくとも処理室に供給された原料ガスにエネルギーを付与する。少なくとも原料ガスに化学反応のためのエネルギーが付与されれば、その手段に特に限定はないが、少なくとも処理室に供給された原料ガスを加熱する加熱手段であるのが望ましい。たとえば、ヒーターなどを用いて処理室を外部から加熱する方法が簡便である。その他の方法としては、高周波マイクロ波などの電波照射紫外線などの光照射レーザ照射などの電磁波を用いる他、プラズマ照射などが挙げられる。処理室に長尺状の被処理部を有する被処理材を収容する場合には、管状炉を使用するとよい。

0032

エネルギー付与手段の一実施形態を、図1を用いて説明する。処理室1、原料ガス供給手段2、対向ガス供給手段3および排気手段4の構成は、前述の通りである。エネルギー付与手段5は、少なくとも原料ガス供給側2aに供給された原料ガスを、処理室1の外部からエネルギー付与することで、原料ガスと対向ガスとを反応させる。

0033

<蒸着処理装置を用いた処理方法
以下に、本発明の蒸着処理装置を用いた被処理部の処理方法を説明する。

0034

被処理材は、複数の細孔を有する多孔質からなる被処理部を有するものであれば、特に限定はない。被処理部は、原料ガスと対向ガスとを対向拡散させるため、線状または網目状に貫通する細孔、換言すれば連通孔を有する多孔質体が好ましい。ただし、化学蒸着では原料ガスと対向ガスとを反応させる際に被処理材の周辺も高温になることがあることから、熱的に安定な無機多孔質材料を用いるとよい。無機多孔質材料としては、α−アルミナ、ムライトコージェライト炭化珪素などが挙げられる。これらの無機多孔質材料は、通常、連通孔の平均細孔径が50〜1000nmであるため、対向拡散CVDを用いて細孔を反応生成物で閉塞させて細孔内部に薄膜を形成するには不向きである。細孔内部に薄膜を形成する場合には、4〜8nm程度の平均細孔径をもつ無機多孔質膜を中間層として用いるのが好ましい。特に、シリカを主成分とする分離活性層を形成する場合には、好ましくは10nm以下、より好ましくは8nm以下、特に好ましくは6nm以下の平均細孔径の細孔を有するγ−アルミナからなる中間層が被処理部の表面に形成された被処理部を有する被処理材を用いるのがよい。なかでも、ニッケル(Ni)元素を含むγ−アルミナ中間層は、ガス分離材に必要とされる耐湿性の観点から好適である。γ−アルミナ中間層における細孔の平均細孔径の下限を規定するのであれば、好ましくは1nm、より好ましくは2nm、特に好ましくは3nmである。このようなγ−アルミナ中間層は、好ましくは40〜200nm、より好ましくは60〜150nmの平均細孔径の細孔を有する無機多孔質材料の表面に形成されるのが好ましい。中間層の膜厚に限定はないが、1〜6μmが好ましく、2〜5μmがより好ましい。

0035

なお、本明細書において、無機多孔質材料の平均細孔径は、市販の細孔分布測定装置を用いてバブルポイント法およびハーフドライ法により測定された細孔分布における50%透過流束径である。また、中間層の平均細孔径は、西産業株式会社製細孔径分布測定装置「ナノパームポロメーター」により測定された細孔分布における50%透過流束径である。

0036

被処理部の形状は、目的や用途に応じて選択されるが、板状、柱状、筒状、半筒状、棒状、塊状などのいずれであってもよい。被処理部の大きさも、目的や用途に応じて選択されるが、特に、角筒円筒などの筒状、曲板平板などの板状であって、200mm以上の長尺部を含む被処理部を有する被処理材は、本発明の蒸着処理装置を用いる効果が顕著であるため好適である。また、被処理部の形状が、ガス分離材に好適な円筒形状である場合は、その外径をφ3〜16mmとするのが好ましく、φ6〜12mmとするのがより好ましい。

0037

原料ガスおよび対向ガスの種類は、被処理部に蒸着される材料(つまり反応生成物)に応じて決定される。反応生成物に限定はなく、従来の化学蒸着法により蒸着可能な材料であれば蒸着処理可能である。原料ガスとしては、一般的に用いられる金属化合物を含むガスを使用すればよく、目的の反応生成物に応じて、金属化合物と反応する元素を含む対向ガスを使用すればよい。金属化合物としては、有機金属化合物金属ハロゲン化物金属水素化物などが挙げられる。対向ガスとしては、酸素ガス、オゾンガス、水素ガス、アンモニアガス炭化水素ガスなどを目的に応じて使用すればよい。原料ガスは、金属化合物とともにキャリアガスとして、窒素ガスヘリウムガスアルゴンガスクリプトンガスキセノンガスなどの不活性ガスから選ばれる一種以上をさらに含んでもよい。キャリアガスは、原料ガス全体を100体積%としたとき、30%以下さらには10〜20%含まれるのが実用的である。以下に、シリカを蒸着する場合に好適な原料ガスおよび対向ガスを詳説する。

0038

細孔の内壁にシリカを蒸着する場合には、少なくともシリカ前駆体を含む原料ガスおよび酸素元素を含む対向ガスを用いるのが好適である。シリカ前駆体は、有機珪素化合物無機珪素化合物のいずれも使用可能であるが、特に好適であるのは有機珪素化合物である。無機珪素化合物としては、モノシランジシラン、SiH2Cl2、SiF4などの無機シラン化合物が挙げられる。有機珪素化合物としては、CH3SiH3、ジメチルシラントリプロピルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランフェニルトリメトキシシランジフェニルジメトキシシランなどのシラン化合物テトラエチルシロキサンヘキサメチルジシロキサンテトラメチルシクロテトラシロキサントリメチルジシロキサン等のシロキサン化合物が挙げられる。これらのうちの一種以上を気体状態で使用するのが望ましい。上記の化合物常温液体のものが多いため、恒温状態に維持されたバブラーに液体を収容し、キャリアガスを作用させることで液体を気化させるバブリング方式を用いてガス化するとよい。また、ガス混合器を用いて複数種類のガスを混合したり、添加元素を含むガスを混合したりしてもよい。酸素元素を含むガスとしては、酸素ガス、オゾンガス等が挙げられる。反応温度は、200〜700℃さらには500〜650℃が望ましい。

0039

反応生成物の形成位置は、原料ガスおよび対向ガスの流量バランスに依存する。被処理部の原料ガス供給側の表層に反応生成物を蒸着させたい場合には、原料ガスと対向ガスとの流量(sccm)の比を1:1〜1:6とするのが好ましく、1:2〜1:5とするのがより好ましい。原料ガスは、処理室の原料ガス供給側において被処理部の表面近傍滞留させておいてもよいし、一定量が存在するように連続的または間欠的に流してもよい。また、対向ガスは、対向ガス供給側に連続的に送気してもよいし、間欠的に送気してもよい。いずれにおいても、蒸着処理に十分な原料ガスが原料ガス側に存在することで、良好な蒸着処理が継続的に行われる。原料ガスおよび対向ガスが被処理部の細孔内で接触する体積割合は、両者の合計を100体積%とした場合に、原料ガスの体積%が20〜80体積%、さらには30〜70体積%が望ましい。

0040

以上、本発明の蒸着処理装置の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。いずれの実施形態が最良であるかは、要求性能利用対象などによって異なるが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。

0041

以下に、本発明の蒸着処理装置の実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。図2に実施例1の蒸着処理装置を模式的に示す。また、図3に実施例1の蒸着処理装置に用いた被処理材を模式的に示す。

0042

<実施例1>
(1)蒸着処理装置
実施例1の蒸着処理装置は、処理室10と、原料ガス供給手段20と、対向ガス供給手段30と、排気手段40と、エネルギー付与手段50と、を備える。
処理室10は、円筒形状で軸方向の両端部を真空継手16および17を介して配管と接続可能なステンレス鋼製の反応器11からなる。反応器11は、被処理材Sを収容する大径部と、大径部の両端に一体的に形成され被処理材Sを保持する小径部と、からなる。大径部は、外径がφ30mm、内径がφ26m、全長が700mmであり、外周面には10個の開口110〜119が形成されている。開口110〜119は、内径φ6mm、隣接する開口の間隔(中心間距離)が50mmであって、反応器11の軸方向に等間隔に位置する。小径部は、開口端18および19を有し、スウェージロック社製ウルトラトール(登録商標)を用いた真空継手16および17が螺合される。

0043

原料ガス供給手段20は、原料ガス供給管201〜208、原料ガス配管21、バブラー22、マスフローコントローラ(これ以下「MFC」と略記)23およびガスボンベ24から構成される。原料ガス供給管201〜208は、ステンレス鋼製で、開口111〜118から反応器11の径方向外周側へ延出するように開口111〜118にそれぞれ溶接されている。したがって、開口111〜118は、原料ガス供給口となる。原料ガス配管21は、状に分岐した配管を含むステンレス鋼製配管であって、原料ガス供給管201〜208とバブラー22とを接続する。ガスボンベ24はバブラー22に接続され、両者を接続する配管には、ガスボンベ24からバブラー22に供給されるガスの流量制御を行うMFC23が取り付けられている。マントルヒータ26は、バブラー22を恒温状態に維持する。

0044

対向ガス供給手段30は、対向ガス配管31、MFC32およびガスボンベ33から構成される。対向ガス配管31は、ステンレス鋼製配管であって、反応器11の一端部とガスボンベ33とを、真空継手17を介して接続する。したがって、反応器11の一端側(図2の右端側)の開口端19が対向ガス供給口となる。MFC32は、反応器11とガスボンベ33との間で、反応器11へ流入するガスの流量制御を行う。

0045

排気手段40は、排気管401、409および排気配管41、46ならびに反応器内部を真空引きする排気配管49から構成される。排気管401および409は、ステンレス鋼製で、それぞれ開口110および119から反応器11の径方向外方側へ延出するように開口110および119にそれぞれ溶接されている。したがって、開口110および119は、原料ガス排気口となる。排気配管41および46は、排気管401および409をコールドトラップ42および47にそれぞれ接続する。圧力計41gおよび46gと流量制御バルブ41bおよび46bは、排気管401および409とコールドトラップ42および47との間に、それぞれ取り付けられている。また、排気配管49は、ステンレス鋼製配管であって、反応器11の他端部とロータリーポンプ48とを、真空継手16を介して接続する。したがって、反応器11の他端側(図2の左端側)の開口端18が対向ガス排気口となる。圧力計49gと流量制御バルブ49bは、反応器11とロータリーポンプ48との間に取り付けられている。

0046

エネルギー付与手段50は、円筒形状のモジュールヒータからなる発熱体51とAl2O3−SiO2セラミックスファイバ製の断熱材52とがアルミニウム製の筐体53に収容されてなる、全長500mmの電気管状炉を用いる。電気管状炉は、軸方向に二分割開閉可能に構成されており、断面には、原料ガス供給管201〜208ならびに排気管401および409を挟持する10組の半円形状溝を有する。また、発熱体51の両端部には、リング型耐火レンガからなるスペーサ54および55が載置され、発熱体51の中空部分に反応管11が互いに同軸的になるように収容される。発熱体51の全長が、反応器11の大径部の全長よりも短いため、反応器11の両端部は、電気管状炉から突出する。エネルギー付与手段50の両端部外側には、真空継手16および17に用いられるゴム製Oリング14および15近傍を冷却することを目的として、それぞれ冷却ファン(図示せず)が取り付けられている。

0047

(2)被処理材
図3に示されるように、被処理材Sは、外径φ12mm、長さ750mm、厚さ1.6mmで150nmの平均細孔径の連通孔を有するα−アルミナ製管長尺基材S0の外表面に、γ−アルミナ中間層S1およびガラスシールS2を形成してなる。被処理材Sのうちγ−アルミナ中間層S1が形成された被処理部材Sの長手方向中央部が、被処理部Psに相当する。
被処理材Sは、具体的には、長尺基材S0の両端からそれぞれ175mmの幅でガラス粉末を塗布後、溶融させて凝固させることで長尺基材S0の両端部表面を完全にガラスで被覆し、蒸着処理が不要な連通孔をガラスにより閉塞させた。長尺基材S0の幅400mmの中央部には、Niを添加したベーマイト混合液を塗布後、焼成することで、Ni元素を含有するγ−アルミナ中間層S1を形成した。中間層S1は、厚さ3μm、平均細孔径が5nmであった。

0048

(3)シリカ膜の蒸着
実施例1の蒸着処理装置を用いて、以下のようにして、上記の被処理材Sの被処理部Psにシリカ膜を形成した。

0049

まず、被処理材Sを、処理室10の一端部から他端部へ挿入した。そして、被処理材Sの両端部を真空継手16および17で固定した。真空継手16内および真空継手17内の金属環の両端にそれぞれ一組のOリング14および15を介在させることで、反応器11の内部が気密になるようにした。反応器11と被処理材Sは同軸的に配置されるので、反応器11に形成された開口110〜119は、被処理材Sの軸方向に等間隔に位置する。また、反応器11の内部は、被処理材Sにより、外周面側に位置する原料ガス供給側12と、内周面側に位置する対向ガス供給側13と、に区画された。なお、開口110〜119のうち中央の開口111〜118が被処理部Psの軸方向に等間隔に位置し、両端の開口110および119がガラスシールS2の部分に位置する。

0050

次に、反応容器11を電気管状炉の発熱体51内に収容した。処理室10は、反応容器11の軸方向が水平方向になるようにスペーサ54および55に載置され、原料ガス供給管201〜208ならびに排気管401および409は水平方向に延出した。この状態で、真空継手16と排気配管49、真空継手17と対向ガス配管31、原料ガス供給管201〜208と原料ガス配管21、排気管401および409と排気配管41および46、を接続した。原料ガス配管21には、配管内における原料ガスの凝縮を防ぐために、リボンヒータ25を巻き付けた。

0051

バブラー22には、シリカ前駆体としてのヘキサメチルジシロキサン(HMDS)を準備した。また、ガスボンベ24にはキャリアガスとしての窒素ガス、ガスボンベ33には酸素ガス、を準備した。

0052

はじめに、ロータリーポンプ48により、反応器11内を減圧した。反応器11内の圧力が50Paに到達したら、発熱体51を作動させて、反応器11内の温度を600℃まで昇温させた。このとき、反応器11の両端部は、冷却ファン(図示せず)により冷却した。また、リボンヒータ25を70℃、マントルヒータ26を45℃にして、原料ガス配管21およびバブラー22を加熱した。次に、ロータリーポンプ48を停止し、反応器11内にガスボンベ(図示せず)から窒素ガスを導入し、反応器11内を窒素ガスで置換した。反応器11内の温度が安定したら、バブラー22内のHMDSを窒素ガスでバブリングして気化させ、反応器11の原料ガス供給側12にHMDSガスを導入した。排気手段40の流量制御バルブ41bおよび46bにより、圧力計41gおよび46gの表示で差圧が5Paとなるように調整した。次いで、反応器11の対向ガス供給側13(被処理材Sの内周側)にガスボンベ33から酸素ガスを導入して、蒸着処理を開始した。このときの原料ガスと対向ガスとのガス流量比(sccm)は、1:4であった。処理時間は5分とした。蒸着処理の間、圧力計41gおよび46gが表示する差圧は一旦上昇した後、反応生成物(シリカ)による細孔の閉塞に伴い下降した。

0053

<比較例1>
反応器11の開口110および112〜118を閉鎖した他は、実施例1と同様にして被処理材Sの被処理部Psにシリカ膜を形成した。つまり、比較例1では、原料ガス供給口111がひとつのみ、機能している状態にある。
比較例1の蒸着処理装置を用いた場合には、処理後の被処理材Sの表面にはシリカ粉末が付着していた。また、圧力計46gが表示する差圧は上昇し続け、0.1MPaを超えた。これは、被処理部Psの長手方向においてHMDSガスの供給が不均一であることに起因する。HMDSガスが十分に無い箇所では、被処理部Psの細孔がシリカ膜で閉塞されず、閉塞されない細孔から酸素ガスが噴出する。細孔から噴出した酸素ガスは、HMDSガスと被処理部Ps表面から離れた位置で反応して、シリカ粉末を生成する。さらに、生成したシリカ粉末が処理室10の原料ガス供給側12からキャリアガスとともに排気されることにより、排気配管46がバルブ46b付近配管詰まりを起こし、蒸着処理の進行が妨げられたと考えられる。処理後の被処理材Sの表面には、シリカ粉末が付着していた。

0054

一方、実施例1の蒸着処理装置を用いた場合には、処理後の被処理材Sの表面には僅かなシリカ粉末しか付着しておらず、また、排気配管41および排気配管46にシリカ粉末はほとんど確認されなかった。つまり、実施例1の蒸着処理装置を用いることで、シリカ粉末の生成が抑制され、被処理部Psの細孔をシリカ膜で閉塞することができた。

0055

<実施例2>
実施例2の蒸着処理装置は、原料ガス供給口111〜118を有する原料ガス供給管201〜208に接続される原料ガス配管をそれぞれ独立して配設した他は、実施例1の蒸着処理装置と同様である。図4に、実施例2の蒸着処理装置の主要部分を模式的に示す。

0056

すなわち、原料ガス供給管201〜208には、それぞれ独立したガスボンベ124、224、324、424、524、624、724および824が接続される。個々のガスボンベと原料ガス供給管との間には、バブラー122、222、322、422、522、622、722および822ならびにMFC123、223、323、423、523、623、723および823が、それぞれ設置される。

0057

実施例2の蒸着処理装置によれば、バブラーを複数個備えるため、処理室10内において、被処理材Sの長手方向における原料ガス濃度のばらつきを抑制することができる。

0058

<実施例3>
実施例3の蒸着処理装置は、原料ガス供給口111〜118を有する原料ガス供給管201〜208に接続される原料ガス配管を、櫛状およびトーナメント状に分岐した配管とした他は、実施例1の蒸着処理装置と同様である。図5に、実施例3の蒸着処理装置の主要部分を模式的に示す。

0059

すなわち、原料ガス供給管201〜208には、櫛状に分岐した第一原料ガス配管271が接続されている。第一原料ガス配管271の分岐部分を跨ぐようにして、櫛状に分岐した第二原料ガス配管272が、第一原料ガス配管271に7箇所で接続されている。さらに、第二原料ガス配管272の分岐部分を跨ぐようにして、第三原料ガス配管273が6箇所でトーナメント状に配管され、それぞれ独立したガスボンベ214、234および254が接続される。個々のガスボンベと原料ガス供給管との間には、バブラー212、232および252ならびにMFC213、233および253が、それぞれ設置される。

0060

実施例3の蒸着処理装置によれば、複数のバブラーをトーナメント状に接続したため、実施例2よりも少ない数のバブラーを用いても、処理室10内において、被処理材Sの長手方向における原料ガス濃度のばらつきを抑制することができる。

0061

<実施例4>
実施例4の蒸着処理装置は、反応器の外周面に形成された複数の開口を、反応器の軸方向に延びる異なる同一直線上に配置した他は、実施例2の蒸着処理装置と同様である。図6に、実施例4の蒸着処理装置の主要部分を模式的に示す。

0062

すなわち、処理室60は、円筒形状の反応器61の軸方向に等間隔に配置され、かつ、同一直線上に配置された開口610、612、614、616および618を有する。さらに、円筒形状の反応器61の中心軸に対して周方向に180°ずらした同一直線上に等間隔に配置された開口611、613、615、617および619を有する。換言すれば、開口610〜619は、軸方向および周方向に所定の間隔をもって形成されている。開口610、612、614、616および618と、開口611、613、615、617および619と、は、それぞれ反応器61内で互いに対向しない位置に形成されている。

0063

実施例4の蒸着処理装置によれば、被処理材に対して径方向に異なる二方向から原料ガスが供給されるため、被処理部Psの全周囲に渡って原料ガスと対向ガスとの分圧の均衡が良好に保たれる。

0064

<実施例5>
実施例5の蒸着処理装置は、反応器の外周面に形成された複数の開口を、反応器の軸方向に延びる異なる同一直線上に配置した他は、実施例2の蒸着処理装置と同様である。図7に、実施例5の蒸着処理装置の主要部分の径方向断面を模式的に示す。

0065

すなわち、処理室70は、円筒形状の反応器71の軸方向および周方向に所定の間隔をもって形成された複数の開口を有する。具体的には、複数の開口のうち反応器71の一端部側に形成された開口710に対して、周方向に120°かつ軸方向に所定の間隔でずらした位置に開口711が形成されている。さらに、開口711に対して、周方向に120°かつ軸方向に所定の間隔でずらした位置に開口712が形成されている。処理室70は、反応器71の外周面に、周方向および軸方向に所定の間隔でずらした位置に合計10個の開口を有するが、120°毎ずれていることから、図7において他の開口は、開口710、711または712に重なる位置に形成されている。

0066

実施例5の蒸着処理装置によれば、被処理材に対して径方向の複数の方向から原料ガスが供給されるため、被処理部Psの全周囲に渡って原料ガスと対向ガスとの分圧の均衡がさらに良好に保たれる。

0067

<実施例6>
実施例6の蒸着処理装置は、原料ガス供給口911〜918を有する複数のノズルから構成される原料ガス供給管900を有する他は、実施例1の蒸着処理装置と同様である。図8に、実施例6の蒸着処理装置の主要部分を模式的に示す。

実施例

0068

すなわち、処理室80は、円筒形状の反応器81の外周面中央部に開口を有し、この開口より原料ガス供給管900が挿入されている。原料ガス供給管900はT字に分岐しており、軸方向に延びる配管から8本のノズルが分岐している。ノズルの先端部の原料ガス供給口911〜918から反応器81内に原料ガスが供給される。また、反応器81は、両端部に開口810および819を有し、これらの開口には、排気管401および409が溶接されている。

0069

1,10処理室
2,20原料ガス供給手段
3,30対向ガス供給手段
4,40排気手段
5,50エネルギー付与手段
2a,12 原料ガス供給側
3b,13 対向ガス供給側、
111〜118原料ガス供給口(開口)
110,119原料ガス排気口(開口)
18 対向ガス排気口(開口端)
19 対向ガス供給口(開口端)

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