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技術 膨張性組成物

出願人 太平洋マテリアル株式会社
発明者 小林久美子
出願日 2016年3月31日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-073217
公開日 2017年10月5日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-178757
状態 拒絶査定
技術分野 重金属無機化合物(I) セメント、コンクリート、人造石、その養生
主要キーワード 円柱状型 焼成塊 調合量 酸化物換算値 膨張組成物 膨張性組成物 焼成用原料 膨張性能
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この項目の情報は公開日時点(2017年10月5日)のものです。
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課題

これまでの生石灰系膨張材よりもより高い膨張量を発現させることができるように生石灰自体の水和反応時間を、できるだけ少ない製造工程数で調整せしめることができる生石灰系の膨張性組成物を提供する。

解決手段

ZnをZnO換算で0.7〜2.5質量%固溶する生石灰を有効成分とする膨張性組成物。ZnをZnO換算で0.5〜5.0質量%固溶する生石灰の含有率が45質量%以上(100質量%を含む。)であって、ZnをZnO換算で0.5〜5.0質量%固溶する生石灰を有効成分とする膨張性組成物。

概要

背景

生石灰水和反応によって大きな膨張を呈するため、これを有効成分とする種々の膨張材(以下、生石灰系膨張材という。)が検討されてきた。生石灰系膨張材は、一般に、石灰石のようなCaO源となる鉱物原料などを焼成した焼成物として得られるが、様々な方法で膨張発現性に影響する水和反応の調整が施されている。その主なタイプとして次のものが知られている。生石灰結晶が別の鉱物相内に分散生成させることで、生石灰の水和反応時間を制御したもの(例えば、特許文献1参照。)、生石灰生成焼成塊を特定の粒度に調整することにより生石灰の水和反応時間を制御したもの(例えば、特許文献2参照。)、生石灰含有焼成物の粉砕によって露呈した生石灰相表面を化学処理改質することにより生石灰の水和反応速度を制御したもの(例えば、特許文献3参照。)、などが知られている。このうち、前二者は、生石灰生成焼成塊の粉砕処理により、露呈した生石灰の反応を制御することは容易でなく、また、後者は、処理工程が加わるため工程増加による作業負荷と製造時間とコストの増大をもたらす。

一方、セメントコンクリート製の下水道管耐酸性を改善するため、膨張性に加えて抗菌抗カビ性も付与する目的で、CaO原料とCaSO4原料とZnO原料等を混合して焼成して得た生石灰、無水石膏、ZnOを成分として含む焼成物を利用したセメント混和材に関する技術については知られている。(例えば、特許文献4参照。)しかし、前記技術では、ZnOを成分として含むことによる膨張性の向上は確認されていない。また、Znを生石灰中に固溶したものについての膨脹性能に関しては、これまで知られていない。

概要

これまでの生石灰系膨張材よりもより高い膨張量を発現させることができるように生石灰自体の水和反応時間を、できるだけ少ない製造工程数で調整せしめることができる生石灰系の膨張性組成物を提供する。 ZnをZnO換算で0.7〜2.5質量%固溶する生石灰を有効成分とする膨張性組成物。ZnをZnO換算で0.5〜5.0質量%固溶する生石灰の含有率が45質量%以上(100質量%を含む。)であって、ZnをZnO換算で0.5〜5.0質量%固溶する生石灰を有効成分とする膨張性組成物。 なし

目的

本発明は、製造工程をこれまでの生石灰系膨張材の製造で行われているものと大きく変えずに、生石灰自体の水和反応時間を調整した膨張性組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ZnをZnO換算で0.5〜5.0質量%固溶する生石灰を有効成分とする膨張性組成物

請求項2

ZnをZnO換算で0.5〜5.0質量%固溶する生石灰の含有率が45質量%以上(100質量%を含む。)である請求項1記載の膨張性組成物。

請求項3

CaO源となるカルシウム含有原料をCaO換算量でCm、Mg源となるマグネシウム含有原料をMgO換算量でMmとするとき、前記カルシウム含有原料とマグネシウム含有原料をCm:Mm=99.5〜95:0.5〜5の質量比で含有させた混合物を1300〜1700℃で焼成することを特徴とする膨張性組成物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、生石灰を有効成分とする膨張性組成物に関する。

背景技術

0002

生石灰は水和反応によって大きな膨張を呈するため、これを有効成分とする種々の膨張材(以下、生石灰系膨張材という。)が検討されてきた。生石灰系膨張材は、一般に、石灰石のようなCaO源となる鉱物原料などを焼成した焼成物として得られるが、様々な方法で膨張発現性に影響する水和反応の調整が施されている。その主なタイプとして次のものが知られている。生石灰結晶が別の鉱物相内に分散生成させることで、生石灰の水和反応時間を制御したもの(例えば、特許文献1参照。)、生石灰生成焼成塊を特定の粒度に調整することにより生石灰の水和反応時間を制御したもの(例えば、特許文献2参照。)、生石灰含有焼成物の粉砕によって露呈した生石灰相表面を化学処理改質することにより生石灰の水和反応速度を制御したもの(例えば、特許文献3参照。)、などが知られている。このうち、前二者は、生石灰生成焼成塊の粉砕処理により、露呈した生石灰の反応を制御することは容易でなく、また、後者は、処理工程が加わるため工程増加による作業負荷と製造時間とコストの増大をもたらす。

0003

一方、セメントコンクリート製の下水道管耐酸性を改善するため、膨張性に加えて抗菌抗カビ性も付与する目的で、CaO原料とCaSO4原料とZnO原料等を混合して焼成して得た生石灰、無水石膏、ZnOを成分として含む焼成物を利用したセメント混和材に関する技術については知られている。(例えば、特許文献4参照。)しかし、前記技術では、ZnOを成分として含むことによる膨張性の向上は確認されていない。また、Znを生石灰中に固溶したものについての膨脹性能に関しては、これまで知られていない。

先行技術

0004

特開昭50−24320号公報
特開2008−201592号公報
特開昭54−93020号公報
特開2002−087858号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、製造工程をこれまでの生石灰系膨張材の製造で行われているものと大きく変えずに、生石灰自体の水和反応時間を調整した膨張性組成物を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者は、前記課題解決のため検討した結果、Znを特定量固溶させた遊離生石灰を有効成分とする膨張性組成物が前記課題を総じて解決できるものであるとの知見を得、本発明を完成させた。

0007

即ち、本発明は、次の[1]〜[2]で表される膨張性組成物である。
[1]ZnをZnO換算で0.5〜5.0質量%固溶する生石灰を有効成分とする膨張性組成物。
[2]ZnをZnO換算で0.5〜5.0質量%固溶する生石灰の含有率が45質量%以上(100質量%を含む。)である前記[1]の膨張性組成物。

発明の効果

0008

本発明により、これまでの大きな膨張量を発現する生石灰系膨張材よりもさらに大きな膨張量が得られる生石灰系の膨張性組成物を得ることができる。

0009

本発明の膨張性組成物は、ZnをZnO換算で0.5〜5.0質量%固溶する生石灰を有効成分とするものである。生石灰中へのZnの固溶形態は特に限定されない。また、ZnOとして固溶するものがあっても良く、本発明ではこの場合もZnの固溶として扱う。本発明の膨張性組成物中でのZnは、その全量が生石灰に固溶していることが最も好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲でZnが遊離状態のZnOで共存することは許容される。この場合、好ましくは、本発明の膨張性組成物中のZnのうち、ZnO換算で90%(質量比)以上は固溶していることとする。ZnO換算で90%より少ない量しか固溶していない場合は、遊離ZnOの形態で膨張性組成物中に存在することが多く、これがコンクリートなどに使用すると凝結遅延を引き起こす虞があるので適当ではない。生石灰にZnをZnO換算で0.5〜5.0質量%固溶することで、接水直後の早期の水和反応は抑制され、抑制された水和反応は、その後の膨張が最も発現される期間と合致した期間に最も活発になるため、反応時間が短縮され、より高い膨張量が発現可能になるものと推測される。Znの生石灰への固溶量が0.5質量%未満では、生石灰の初期の水和反応が殆ど抑制されないため好ましくない。また、生石灰への固溶量が5.0質量%を超える場合は、生石灰の水和が過剰に抑制されるため、所定の膨脹量が得られない可能性があるので好ましくない。また、例えば不可避不純物などZnおよびZnO以外の他の成分が生石灰に固溶することは、本発明の効果を喪失させない範囲で許容される。

0010

本発明の膨張性組成物は、好ましくは、ZnをZnO換算で0.5〜5.0質量%固溶する生石灰の含有率が45質量%以上(100質量%を含む。)のものとする。より好ましくは、70質量%以上(100質量%を含む。)のものとする。前記生石灰の含有率が45質量%未満では膨張発現性が弱く、所望の高い膨張量を得難くなることがある。

0011

本発明の膨張性組成物は、ZnをZnO換算で0.5〜5.0質量%固溶した生石灰以外の成分も、本発明の効果を喪失させない限り含有することができる。このような含有可能な成分としては、例えばエーライトクリンカ間隙物質、無水石膏、カルシウムサルホアルミネート等を挙げることができる。また、このような成分の存在状態は特に限定されず、例えばZnOが固溶した生石灰が遊離状態である限り、これを包含するような鉱物相として存在しても良い。また、例えばこのような成分はZnが固溶した生石灰と単に混合された状態で存在していても良い。

0012

本発明の膨張性組成物は、粒径が300μm以下であると、水和遅延による遅れ膨張の発生可能性を低減できるので好ましい。また、粉末度は特に制限されないが、相手材との混合性反応活性及び経済性を考慮すると、例えばブレーン比表面積でおよそ3000〜5000cm2/gが好ましいが、記載例から外れる粒度値のものでも使用できる。

0013

本発明の膨張性組成物の製造方法は、CaO源となるカルシウム含有原料(以下、CaO源原料、という。)をCaO換算量で99.5〜95.0質量部とZn源となる亜鉛含有原料(以下、Zn源原料、という。)をZnO換算量で0.5〜5質量部とを含有させた混合物を焼成に供する。CaO源となるCaO源原料としては、焼成による熱分解によって生石灰(CaO)を生成する物質であれば特に限定されず、何れのものでも良い。工業的規模における好適例として石灰石(カルサイト)を挙げることができる。

0014

また、前記Zn源となるZn源原料としては、特に限定されず、何れのものでも良い。一般的には酸化亜鉛が好ましく、工業的には例えば亜鉛スラッジなども使用することができる。

0015

また、CaO源原料とZn源原料は前記例示のように別々の原料を用いても、カルシウムと亜鉛を両方共含む原料を使用することもできる。

0016

何れの原料も、不可避不純物等の混入は、本発明の効果に実質的な支障を及ぼさない限り許容される。

0017

前記CaO源原料とZn源原料を、前記CaO源原料をCaO換算質量でCm、前記Zn源原料をZnO換算質量でMmとして、質量比で次の割合になるよう調合し、混合物を作製する。
Cm:Mm=99.5〜95.0:0.5〜5.0

0018

原料調合は、例えば乾式混合で行うことができるが、混合条件、装置等は限定されるものではない。また、CaO源原料とZn源原料以外の他の成分源となる原料も、Znの生石灰への円滑な固溶に支障をきたさすものでなく、本発明の効果を喪失させない限り、前記CaO源原料とZn源原料の混合物に加えることができる。このような他の成分源となる原料として、例えば、石膏粘土鉱物高炉スラグ石炭灰硫酸マグネシウム等を挙げることができる。

0019

作製した混合物は、例えば電気炉ロータリーキルンなどの任意の加熱装置を使用し、焼成する。焼成温度は少なくともCaO源原料とZn源原料が熱分解して生石灰中にZnが固溶できる温度であれば良く、例えば1300〜1700℃が挙げられる。当該温度での保持時間は、原料種処理量および加熱装置等に応じて定める。具体的には予備実験を行うことによって最適値を定めることが望ましい。焼成後は、例えば、前記焼成温度から自然放冷による徐冷をするか又は生成相が安定する温度まで降温速度を抑制して徐冷し、それ以下の温度域では炉外急冷等を行っても良い。

0020

冷却された焼成物(クリンカ)は粉砕・分級し、所望の粒度の粉末に調整する。粉砕および分級の方法、装置等は特に限定されない。

0021

前記クリンカから得た粉末に、必要に応じて他の成分の粉末を加えることができる。前記他の成分からなる粉末は、本発明の効果を喪失させない限り、特に限定されない。このような成分として、具体的には、例えば、各種のポルトランドセメント、無水石膏、フライアッシュ、各種スラグ等を挙げることができる。また、前記他の成分からなる粉末の粉末度は、制限されないが、好ましくはブレーン比表面積でおよそ3000cm2/g以上にしておく。このように、他の成分からなる粉末を加える場合は、これを前記クリンカから得た粉末に任意の方法で混合した混合粉末をもって、膨張性組成物とする。また、他の成分からなる粉末を加えない場合は、そのまま前記クリンカから得た粉末をもって膨張性組成物とする。

0022

以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は記載の実施例に限定されるものではない。また、特記無い限り、実施例は20℃(±2℃)の環境下で行った。

0023

膨張組成物の作製]
以下に表すC1、M1、S1から選定される原料を用い、表1に表す調合量(何れも酸化物換算値。)で乾式混合し、タブレット状焼成用原料を作製した。タブレットは、乾式混合物3gを内寸が直径20mm、高さ30mmの円柱状型枠に充填し、約5mm厚となるよう加圧成形したものである。
C1;炭酸カルシウム(市販特級試薬
M1;酸化亜鉛(市販特級試薬)
S1;二酸化珪素(市販特級試薬)

0024

0025

この焼成用原料タブレットを電気炉を用い、約1時間で1600℃まで昇温し、1600℃で約30分間保持した。前記温度から約20分かけて1300℃まで降温し、その温度で焼成物を電気炉から取り出し、常温の室内で放冷した。放冷した焼成物(クリンカ)は粗砕ディスクミルで粉砕し、150又は300μmの篩残分が1質量%以下となるように粒度調整したクリンカ粉末を得た。尚、比較のため、Zn源原料を含まない前記と同様のタブレット状の焼成用原料を作製し、これを前期と同様の方法・焼成条件で焼成し、得られた放冷クリンカを粗砕後ディスクミルで粉砕し、150又は300μmの篩残分が1質量%以下となるように粒度調整したクリンカ粉末も作製した。

0026

前記のクリンカ粉末、II型無水石膏(市販品、ブレーン比表面積7000cm2/g)およびZnO(市販試薬)から選定される材料を乾式混合し、表2で表す配合の膨張性組成物を作製した。

0027

[膨張性組成物中の生石灰へのZnの固溶量の確認]
前記クリンカに、Znが固溶した生石灰が生成していることの確認は、生石灰にZnが固溶すると、粉末X線回折による回折ピーク回折角の位置が高角度へずれるという知見から次の方法で行った。即ち、炭酸カルシウム(市販試薬特級)を加熱して得た生石灰の粉末に、内部標準として高純度酸化アルミニウムを加え、対陰極にCu(金属銅)を用いた粉末X線回折装置で測定すると現れる回折角(2θ)37.38度付近の(200)面による回折ピークの位置(回折角)を基準に、この回折ピークに相当する前記クリンカの粉末X線回折による回折ピークの位置が、高角度側へのシフトズレ)していることが検出されれば、固溶していると判断した。Znの固溶が確認された生石灰に対しては、生石灰中へ固溶したZnの固溶量を、WDS(波長分散型X線分光器)又はEDS(エネルギー分散型X線分光器)を付属した電子顕微鏡により、鏡面研磨したクリンカの研磨面を観察し、生石灰粒子成分分析を行うことで調べた。尚、クリンカにZnが固溶した生石灰以外の生成相の有無とその生成量クリンカ中の質量%)は粉末X線回折によって行った。このような生成相が合計で0.1質量%未満の場合、クリンカ中の共存相は実質的に「無」と見なし、その結果も表2に表す。

0028

0029

[膨張性の評価]
JIS A 6202−2008「コンクリート膨張材」付属書1に規定の「膨張材のモルタルによる膨張性試験方法」に準拠し、前記の膨張性組成物と普通ポルトランドセメント(市販品)を用いてモルタル供試体を作製し、水中養生した材齢7日と14日のモルタル試験体の長さ変化率を測定し、前記膨張性組成物の膨張性能の評価とした。但し、前記膨張性組成物の膨張発現力に鑑み、膨張性組成物の配合量は、前記「膨張材のモルタルによる膨張性試験方法」で規定されている値よりも少ない配合量(セメント質量に対して6.7%)とした。この結果も表2に纏めて表す。

実施例

0030

表2の結果から、本発明の膨張組成物は、Znが固溶していない生石灰を有効成分とする膨張組成物に比べて高い膨張量を呈することがわかる。また、本発明の膨張性組成物と同程度の量のZnOとCaOを含有するも、ZnをZnO換算で0.5〜5.0質量%固溶する生石灰が見られない膨張性組成物では、その膨張量が本発明の膨張性組成物に遠く及ばないことがわかる。

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