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技術 窒化アルミニウム−窒化ホウ素複合凝集粒子およびその製造方法

出願人 三菱ケミカル株式会社
発明者 池宮桂山崎正典
出願日 2016年3月31日 (3年11ヶ月経過) 出願番号 2016-070502
公開日 2017年10月5日 (2年5ヶ月経過) 公開番号 2017-178719
状態 未査定
技術分野 硫黄、窒素等及びそれらの化合物;過化合物 高分子組成物
主要キーワード 板状成型体 熱処理粒子 バインダー由来 BN板 公転攪拌 複合材組成物 複合スラリー マイクロミスト
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図面 (13)

課題

従来よりも大きな熱伝導率複合材組成物に与えるh−BN凝集粒子を得る事を課題とする。

解決手段

窒化アルミニウム一次粒子及び窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる窒化アルミニウム−窒化ホウ素複合凝集粒子により課題を解決する。また、当該複合凝集粒子は、酸化アルミニウム還元窒化テップ、を含む製造法により得ることができる。

概要

背景

窒化ホウ素(以下「BN」と称す。)は、絶縁性物質であり、ダイヤモンド構造を持つc−BN、黒鉛構造をもつh−BN、乱層構造を持つα−BN、β−BNなど様々な結晶型が知られている。
これらの中で、h−BNは、黒鉛と同じ層状構造を有し、合成が比較的容易でかつ熱伝導性固体潤滑性化学的定性耐熱性に優れるという特徴を備えていることから、電気電子材料分野で多く利用されている。

近年、特に電気・電子分野では集積回路高密度化に伴う発熱が大きな問題となっており、いかに熱を放熱するかが緊急の課題となっている。h−BNは、絶縁性であるにもかかわらず、高い熱伝導性を有するという特徴を活かして、このような放熱部材熱伝導性フィラーとして注目を集めている。

h−BNは板状結晶であり、その板面方向(ab面内あるいは(002)面内)には高い熱伝導性を示すものの(通常、熱伝導率として400W/mK程度)、板厚方向(c軸方向)には低い熱伝導性(通常、熱伝導率として2〜3W/mK程度)しか示さない。また一般に、板状結晶をフィラーとして樹脂などに配合して複合材組成物を作製する際、原料混合プレス成型射出成形などの過程に於いて、板状結晶の板面が特定方向に配向する現象が起こる。即ち、h−BN板結晶を樹脂に配合して複合材組成物を作製した場合、h−BN板状結晶の配向によって複合材組成物に大きな熱伝導方性が生じてしまう。例えば、プレス成型によって板状成形体を作製した場合、h−BN板状結晶の板面が成型体板面と平行に配向する。その結果、得られた板状成型体の熱伝導率が、板面方向には高く、厚み方向には低くなるという問題が生じる。

そこで、このようなh−BN板状結晶が複合材組成物に与える熱伝導性異方性を改良するために、上記のような配向が起こりにくい鱗片状以外の形状を有するh−BN凝集粒子が検討されてきた。このようなh−BN凝集粒子としては、噴霧乾燥などにより造粒されたh−BN凝集粒子、h−BNを焼結焼結体粉砕して製造されたh−BN凝集粒子などがある(特許文献1、2)。また、ホウ酸メラミンの混合物から製造したh−BN凝集粒子であって、一次粒子が配向せずに凝集したぼっくり状のh−BN凝集粒子も提案されている(特許文献3)。

h−BN板状結晶の熱伝導異方性は非常に大きいため(通常、熱伝導率としてab面内には400W/mK程度、c軸方向には2〜3W/mK程度)、h−BN凝集粒子内外に於いてh−BN一次粒子同士がどの様に接触するかによって、それらの間に形成される熱伝導パスの熱伝導率は大きく変化する。具体的には、ab面内を通る様に形成された熱伝導パス(以下「ab面内パス」と称す。)は高熱伝導率であり、c軸方向に形成された熱伝導パス(以下「c軸方向パス」と称す。)は低熱伝導率である。従って、h−BN一次粒子同士がh−BN凝集粒子内外に形成する熱伝導パスが、高い割合でab面内パスであれば、複合材組成物には高い熱伝導率が発現する。

そこで、噴霧乾燥という量産に適した簡便な手法によって、ab面内パスを高い割合で形成する様なh−BN凝集粒子が作製され、この様なh−BN凝集粒子が複合材組成物に与える熱伝導率を飛躍的に高める事が確かめられた(特許文献2)。

この様なh−BN凝集粒子が複合材組成物に与える熱伝導率を更に高めようとする場合、h−BN一次粒子同士がh−BN凝集粒子内外に形成するab面内パスの割合を更に増加させる、もしくは、c軸方向パスの割合を更に減少させる必要がある。しかし、この様なh−BN凝集粒子に於いては、h−BN一次粒子の配置は自己組織化的に決まるため、h−BN一次粒子の配置を大きく変化させる事は困難であった。すなわち、これまで以上にab面内パスの割合を増加させる、もしくは、c軸方向パスの割合を減少させる事は困難であった。

概要

従来よりも大きな熱伝導率を複合材組成物に与えるh−BN凝集粒子を得る事を課題とする。窒化アルミニウム一次粒子及び窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる窒化アルミニウム−窒化ホウ素複合凝集粒子により課題を解決する。また、当該複合凝集粒子は、酸化アルミニウム還元窒化テップ、を含む製造法により得ることができる。

目的

本発明は、上記従来の問題点を解決し、従来よりも大きな熱伝導率を複合材組成物に与えるh−BN凝集粒子を得る事を課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

窒化アルミニウム一次粒子及び粒子長軸が0.1μm以上の窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる窒化アルミニウム−窒化ホウ素複合凝集粒子

請求項2

前記窒化ホウ素一次粒子がカードハウス構造を形成している請求項1に記載の複合凝集粒子。

請求項3

少なくともホウ素、炭素窒素、及び酸素からなる成分を含有する請求項1又は2に記載の複合凝集粒子。

請求項4

窒化アルミニウム一次粒子及び窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる窒化アルミニウム−窒化ホウ素複合凝集粒子の製造法であって、酸化アルミニウム還元窒化テップ、を含む製造法。

請求項5

前記還元窒化ステップは、カーボンブラック存在下、非酸化性ガス又は還元性ガス雰囲気下にて行われる、請求項4に記載の製造法。

請求項6

請求項1から3のいずれか1項に記載の複合凝集粒子と、樹脂を含む複合材組成物

請求項7

請求項6に記載の複合材組成物を成形してなるシート又は基板

請求項8

放熱用部材である、請求項7に記載のシート又は基板。

技術分野

0001

本発明は窒化アルミニウム窒化ホウ素複合凝集粒子(以下「AlN−BN複合凝集粒子」と称す。)、該粒子の製造方法に係り、詳しくは、窒化アルミニウム一次粒子(以下「AlN一次粒子」と称する。)および窒化ホウ素一次粒子(以下「BN一次粒子」と称す。)が凝集してなるAlN−BN複合凝集粒子及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

窒化ホウ素(以下「BN」と称す。)は、絶縁性物質であり、ダイヤモンド構造を持つc−BN、黒鉛構造をもつh−BN、乱層構造を持つα−BN、β−BNなど様々な結晶型が知られている。
これらの中で、h−BNは、黒鉛と同じ層状構造を有し、合成が比較的容易でかつ熱伝導性固体潤滑性化学的定性耐熱性に優れるという特徴を備えていることから、電気電子材料分野で多く利用されている。

0003

近年、特に電気・電子分野では集積回路高密度化に伴う発熱が大きな問題となっており、いかに熱を放熱するかが緊急の課題となっている。h−BNは、絶縁性であるにもかかわらず、高い熱伝導性を有するという特徴を活かして、このような放熱部材熱伝導性フィラーとして注目を集めている。

0004

h−BNは板状結晶であり、その板面方向(ab面内あるいは(002)面内)には高い熱伝導性を示すものの(通常、熱伝導率として400W/mK程度)、板厚方向(c軸方向)には低い熱伝導性(通常、熱伝導率として2〜3W/mK程度)しか示さない。また一般に、板状結晶をフィラーとして樹脂などに配合して複合材組成物を作製する際、原料混合プレス成型射出成形などの過程に於いて、板状結晶の板面が特定方向に配向する現象が起こる。即ち、h−BN板結晶を樹脂に配合して複合材組成物を作製した場合、h−BN板状結晶の配向によって複合材組成物に大きな熱伝導方性が生じてしまう。例えば、プレス成型によって板状成形体を作製した場合、h−BN板状結晶の板面が成型体板面と平行に配向する。その結果、得られた板状成型体の熱伝導率が、板面方向には高く、厚み方向には低くなるという問題が生じる。

0005

そこで、このようなh−BN板状結晶が複合材組成物に与える熱伝導性異方性を改良するために、上記のような配向が起こりにくい鱗片状以外の形状を有するh−BN凝集粒子が検討されてきた。このようなh−BN凝集粒子としては、噴霧乾燥などにより造粒されたh−BN凝集粒子、h−BNを焼結焼結体粉砕して製造されたh−BN凝集粒子などがある(特許文献1、2)。また、ホウ酸メラミンの混合物から製造したh−BN凝集粒子であって、一次粒子が配向せずに凝集したぼっくり状のh−BN凝集粒子も提案されている(特許文献3)。

0006

h−BN板状結晶の熱伝導異方性は非常に大きいため(通常、熱伝導率としてab面内には400W/mK程度、c軸方向には2〜3W/mK程度)、h−BN凝集粒子内外に於いてh−BN一次粒子同士がどの様に接触するかによって、それらの間に形成される熱伝導パスの熱伝導率は大きく変化する。具体的には、ab面内を通る様に形成された熱伝導パス(以下「ab面内パス」と称す。)は高熱伝導率であり、c軸方向に形成された熱伝導パス(以下「c軸方向パス」と称す。)は低熱伝導率である。従って、h−BN一次粒子同士がh−BN凝集粒子内外に形成する熱伝導パスが、高い割合でab面内パスであれば、複合材組成物には高い熱伝導率が発現する。

0007

そこで、噴霧乾燥という量産に適した簡便な手法によって、ab面内パスを高い割合で形成する様なh−BN凝集粒子が作製され、この様なh−BN凝集粒子が複合材組成物に与える熱伝導率を飛躍的に高める事が確かめられた(特許文献2)。

0008

この様なh−BN凝集粒子が複合材組成物に与える熱伝導率を更に高めようとする場合、h−BN一次粒子同士がh−BN凝集粒子内外に形成するab面内パスの割合を更に増加させる、もしくは、c軸方向パスの割合を更に減少させる必要がある。しかし、この様なh−BN凝集粒子に於いては、h−BN一次粒子の配置は自己組織化的に決まるため、h−BN一次粒子の配置を大きく変化させる事は困難であった。すなわち、これまで以上にab面内パスの割合を増加させる、もしくは、c軸方向パスの割合を減少させる事は困難であった。

先行技術

0009

特開2006−257392号公報
特表2008−510878号公報
特開平9−202663号公報

発明が解決しようとする課題

0010

h−BN凝集粒子に於いては、h−BN一次粒子同士がh−BN凝集粒子内外に形成する熱伝導パスが、高い割合でab面内パスであれば、複合材組成物に高い熱伝導率が発現する。従来、噴霧乾燥という量産に適した簡便な手法によって、高い割合でab面内パスを形成する様なh−BN凝集粒子が作製されている(特許文献2)。しかし、この様なh−BN凝集粒子に於けるh−BN一次粒子の配置は自己組織化的に決まることから、これまで以上にab面内パスの割合を増加させる、もしくは、c軸方向パスの割合を減少させる事は困難であった。即ち、この様なh−BN凝集粒子が複合材組成物に与える熱伝導率を更に増大させることは困難であった。

0011

本発明は、上記従来の問題点を解決し、従来よりも大きな熱伝導率を複合材組成物に与えるh−BN凝集粒子を得る事を課題とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、BN一次粒子の作る熱伝導パス中にAlN一次粒子が配置されたAlN−BN複合凝集粒子が、複合材組成物に対して飛躍的に高い熱伝導率を与える事を見出した。窒化アルミニウム(以下「AlN」と称す。)は絶縁性であるという点、そして、高い熱伝導性(通常、熱伝導率として300W/mK程度)を示すという点に於いて、h−BNと類似している。しかし、結晶形状が粒状であるという点、また、熱伝導異方性を持たないという点に於いて、h−BNとは大きく異なる。従って、AlNのみからなるAlN凝集粒子を作製した場合、AlN凝集粒子内外に形成される熱伝導パスの大部分は、h−BNに於けるab面内パスと同様に高熱伝導であると考えられる。しかし、AlN一次粒子は粒状であって板状のh−BN一次粒子と比べて変形性に劣る事から、AlN一次粒子間およびAlN凝集粒子間の接触面積は小さく、従って、AlN一次粒子間およびAlN凝集粒子間に形成される熱伝導パスの密度はh−BNの場合よりも小さいと考えられる。以上のことから、AlN一次粒子とh−BN一次粒子を複合化し、AlN−BN複合凝集粒子とする事によって、熱伝導パスの密度を保ちつつ、高熱伝導なパスの割合を増加させる事が出来ると考えられる。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。

0013

(1)窒化アルミニウム一次粒子及び粒子の長軸が0.1μm以上の窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる窒化アルミニウム−窒化ホウ素複合凝集粒子。
(2)前記窒化ホウ素一次粒子がカードハウス構造を形成している(1)に記載の複合凝集粒子。
(3)少なくとも、ホウ素、炭素窒素、及び酸素からなる成分を含有する(1)又は(2)に記載の複合凝集粒子。
(4)窒化アルミニウム一次粒子及び窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる窒化アルミニウム−窒化ホウ素複合凝集粒子の製造法であって、酸化アルミニウム還元窒化テップ、を含む製造法。
(5)前記還元窒化ステップは、カーボンブラック存在下、非酸化性ガス又は還元性ガス雰囲気下にて行われる、(4)に記載の製造法。
請求項1から3のいずれか1項に記載の複合凝集粒子と、樹脂よりなる複合材組成物。(6)(1)から(3)に記載の複合凝集粒子の何れかと、樹脂よりなる複合材組成物。(7)(6)に記載の複合材組成物を成形してなるシート又は基板
(8)放熱用部材である、(7)に記載のシート又は基板。

発明の効果

0014

本発明により、BN一次粒子の作る熱伝導パス中にAlN一次粒子が配置されたAlN−BN複合凝集粒子が提供される。本発明のAlN−BN複合凝集粒子を樹脂などのマトリクスに配合した複合材組成物は、高い熱伝導率を示す。すなわち、放熱部材用熱伝導性フィラーとして有用なAlN−BN複合凝集粒子が提供される。

図面の簡単な説明

0015

比較例1、2に係る熱処理粒子XRDパターンである。
比較例1、2に係る熱処理粒子のSEM像である。
比較例1、2、実施例1、2、3に係る複合材組成物の熱伝導率グラフである。
実施例1、2、3に係る熱処理粒子のXRDパターンである。
実施例1、2、3に係る熱処理粒子のSEM像である。
実施例1、2、3に係る高純度還元窒化粒子のXRDパターンである。
実施例1、2、3に係る高純度還元窒化粒子および熱処理粒子のXRDパターンである。
実施例1、2、3に係る高純度還元窒化粒子のSEM像である。
実施例1、2、3に係る高純度還元窒化粒子のSEM−EDX分析結果である。
比較例3に係る熱処理粒子のXRDパターンである。
比較例3に係る熱処理粒子のSEM像である。
比較例1、2、3、4に係る複合材組成物の熱伝導率グラフである。

0016

以下、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲は具体的な実施形態のみに限定されない。
[AlN−BN複合凝集粒子]
本発明のAlN−BN複合凝集粒子は、AlN一次粒子及びBN一次粒子が凝集して形成されたものであり、本願発明の効果を損なわない範囲で、上記AlN一次粒子または上記BN一次粒子以外の成分を含有してもよい。AlN一次粒子またはBN一次粒子以外の成分としては、後記の[BN凝集粒子の製造方法]で述べる、スラリーに添加してもよいバインダー界面活性剤溶媒由来する成分を挙げることができる。

0017

本発明のAlN−BN複合凝集粒子の形態は、特に制限はないが、好ましくは球状の形態を有する。また、AlN−BN複合凝集粒子の形態はSEMにより確認することができる。ここで「球状」とは、アスペクト比長径短径の比)が1以上2以下、好ましくは
1以上1.5以下であることをさす。本発明のAlN−BN複合凝集粒子のアスペクト比は、SEMで撮影された画像から200個以上の粒子を任意に選択し、それぞれの長径と短径の比を求めて平均値を算出することにより決定する。

0018

また、AlN−BN複合凝集粒子は、AlN−BN複合凝集粒子においてBN一次粒子の結晶がAlN−BN複合凝集粒子の中心側から表面側へ向けて放射状に成長しているウニ様の形態、BN一次粒子が小板でありそれらが焼結凝集しているウニ様の球状の形態であることが好ましい。また、AlN−BN複合凝集粒子は、カードハウス構造を有することが好ましい。カードハウス構造とは、例えばセラミックス43 No.2(2008年 日本セラミックス協会発行)に記載されており、板状粒子が配向せずに複雑に積層したような構造である。より具体的には、カードハウス構造を有するAlN−BN複合凝集粒子とは、AlN一次粒子およびBN一次粒子の集合体であって、BN一次粒子の平面部と端面部が接触している構造中にAlN一次粒子が含有されるAlN−BN複合凝集粒子であり、好ましくは球状である。また、カードハウス構造は粒子の内部においても同様の構造であることが好ましい。これらのAlN−BN複合凝集粒子の凝集形態及び内部構造走査型電子顕微鏡(SEM)により確認することができる。

0019

また、AlN−BN複合凝集粒子に於いては、それを構成するAlN一次粒子またはBN一次粒子の表面に、ホウ素、炭素、窒素、そして酸素からなる成分(化合物)が存在する事が好ましい。AlN結晶およびBN結晶に於いては、結晶中に溶存する酸素原子が熱伝導率を低下させる。従って、酸素を化合物として結晶表面に留める事で、この様な熱伝導率の低下を防ぐことが出来る。ホウ素、炭素、窒素、そして酸素からなる化合物の存在は、その化合物が結晶質である場合はX線回折測定(XRD)測定によって、非晶質である場合はエネルギー分散X線分析(EDX)等による元素分析によって確認することが出来る。

0020

本発明のAlN−BN複合凝集粒子は、AlN−BN複合凝集粒子を構成するAlN一次粒子およびBN一次粒子が特定の物性を有する。以下詳細に説明する。なお、本明細書で規定する物性測定に供する試料粉体)は、成形体に成形する前のAlN−BN複合凝集粒子粉体でもよいし、AlN−BN複合凝集粒子を含有した成形体しくは成形体から取り出されたAlN−BN複合凝集粒子であってもよい。好ましくは、成形体に成形する前のAlN−BN複合凝集粒子粉体である。

0021

(AlN−BN複合凝集粒子の特性)
・一次粒子の大きさ
AlN−BN複合凝集粒子を構成するBN一次粒子の長軸は通常0.1μm以上、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは、0.5μm以上、更に好ましくは0.7μm以上、特に好ましくは1.0μm以上である。また通常10μm以下、好ましくは7μm以下、より好ましくは5μm以下である。尚、上記長軸とはSEM測定により得られたBN凝集粒子1粒を拡大し、1粒のBN凝集粒子を構成しているBN一次粒子について、画像上で観察できるBN一次粒子の最大長を平均した値である。
AlN−BN複合凝集粒子を構成するAlN一次粒子の長軸は通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは、1.0μm以上、更に好ましくは2.0μm以上、特に好ましくは3.0μm以上である。また通常20μm以下、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。尚、上記長軸とはSEM測定により得られたAlN−BN複合凝集粒子1粒を拡大し、1粒のAlN−BN複合凝集粒子を構成しているAlN一次粒子について、画像上で観察できるAlN一次粒子の最大長を平均した値である。

0022

・一次粒子の結晶構造
BN一次粒子の結晶構造は、特に限定されないが、合成の容易さと熱伝導性の点で六方晶系のh−BNを主成分として含むものが好ましい。また、バインダーとしてBN以外の無機成分が含まれる場合、熱処理の過程でそれらが結晶化するが、BNが主成分として含まれていればよい。なお、上記BN一次粒子の結晶構造は、XRD測定により確認することができる。

0023

・AlN−BN複合凝集粒子の平均粒子径(D50)
AlN−BN複合凝集粒子の平均粒子径(D50)は、通常1.0μm以上であり、好ましくは5.0μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは20μm以上であり、特に好ましくは30μm以上、最も好ましくは40μm以上であり、50μm以上であっても好ましく、60μm以上であっても好ましい。また、通常200μm以下、好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。大きすぎると成形体とした際に表面の平滑性が悪くなる、AlN−BN複合凝集粒子間の間隙が多くなる等により、熱伝導性が向上しない傾向がある。小さすぎると成形体とした際にAlN−BN複合凝集粒子間の接触抵抗が大きくなる、AlN−BN複合凝集粒子自体の熱伝導性が低くなる等の傾向がある。

0024

なお、D50は測定に供した粉体の体積を100%として累積曲線を描かせた際に丁度累積体積が50%となる時の粒子径を意味し、その測定方法は、湿式測定法としては、分散安定剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムを含有する純水媒体中にBN凝集粒子を分散させた試料に対して、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置などを用いて測定することができ、乾式測定法としては、Malvern社製「Morphologi」を用いて測定することができる。

0025

・AlN−BN複合凝集粒子中のAlN:BN比
AlN−BN複合凝集粒子中のAlNとBNとの組成比特段限定されないが、AlN:BN比(質量比)は通常3:97〜85:15であり、好ましくは10:90〜80:20であり、更に好ましくは20:80〜55:45である。上記範囲内とすることで、BN一次粒子によるカードハウス構造が形成され、好ましい。

0026

[AlN−BN複合凝集粒子の製造方法]
{スラリーの調製}
原料BN粉末
・原料BN粉末の種類
本発明で用いる原料BN粉末としては、市販のh−BN、市販のαおよびβ−BN、ホウ素化合物アンモニア還元窒化法により作製されたBN、ホウ素化合物とメラミンなどの含窒素化合物から合成されたBNなど何れも制限なく使用できるが、特にh−BNが本発明の効果をより発揮する点で好ましく用いられる。

0027

・原料BN粉末の結晶性
本発明で用いる原料BN粉末の形態としては、XRD測定により得られるピーク半値幅が広く、結晶性が低い粉末状のBN粒子が好適である。結晶性の目安として、XRD測定から得られる(002)面のピーク半値幅が、2θの角度で、通常0.4°以上、好ましくは0.45°以上、より好ましくは0.5°以上である。また、通常2.0°以下、好ましくは1.5°以下、更に好ましくは1°以下である。上記上限より大きいと、結晶子が十分大きくならず、大きくするためには長時間を要するため、生産性が悪くなる傾向がある。上記下限未満だと、結晶性が高すぎて、十分な結晶成長が見込めず、また、スラリー作製時の分散安定性が悪くなる傾向がある。

0028

・原料BN粉末中の酸素原子濃度
BN結晶成長の観点からは、原料BN粉末中に酸素原子がある程度存在することが好ましく、本発明では、原料BN粉末中の全酸素濃度は、通常1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上である。また、通常、20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。上記上限より大きいと、熱処理後も酸素が残存しやすくなるため、熱伝導性の改善効果が小さくなる傾向がある。上記下限未満だと、結晶性が高すぎて、結晶成長が見込めず、XRD測定から確認できるピーク強度比が所望の範囲から外れる傾向がある。

0029

なお、原料BN粉末の全酸素濃度を上記範囲に調製する方法としては、例えばBN合成時の合成温度を1500℃以下の低温で行う方法、500℃〜900℃の低温の酸化雰囲気中で原料BN粉末を熱処理する方法などが挙げられる。
なお、原料BN粉末の全酸素濃度は、不活性ガス融解赤外線吸収法により、株式会社堀場製作所製の酸素・窒素分析計を用いて測定することができる。

0030

<原料Al2O3粉末>
・原料Al2O3粉末の種類
本発明で用いる原料Al2O3粉末としては、市販のα、γ、δおよびθ−Al2O3、アモルファスAl2O3など何れも制限なく使用できる。
原料Al2O3粉末の粒子径は特段限定されないが、通常0.005μm〜10μmであり、好ましくは0.01μm〜5μmであり、更に好ましくは0.1μm〜1μmである。上記範囲内とすることで、原料BN粉末と原料Al2O3粉末がスラリー中で分離しにくくなり、かつ、スラリーが高粘度化しすぎなくなる。

0031

カーボンブラック粉末
・カーボンブラックの種類
本発明で用いるカーボンブラック粉末としては、市販のカーボンブラックなど何れも制限なく使用できる。
カーボンブラックは、ファーネス法チャンネル法などのカーボンブラック、アセチレンブラックなどを使用することができる。これらカーボンブラックの粒径は、任意であるが、0.01〜20μmのものが好ましい。カーボンブラックの代替として、黒鉛、高温カーボン源となり得るカーボン前駆体を使用する事も出来る。カーボン前駆体としては、フェノール樹脂メラミン樹脂エポキシ樹脂フランフェノール樹脂等の合成樹脂縮合物ピッチタール等の炭化水素化合物セルロースショ糖ポリ塩化ビニリデンポリフェニレンなどの有機化合物が挙げられる。特に、フェノール樹脂、セルロース、ポリフェニレンなど金属不純物などが少ないものが好ましい。

0032

媒体
Al2O3−BNスラリーの調製に用いる媒体としては特に制限はなく、水及び/又は各種の有機溶媒を用いることができるが、噴霧乾燥の容易さ、装置の簡素化などの観点から、水を用いることが好ましく、純水がより好ましい。

0033

<バインダー>
Al2O3−BNスラリーは、原料Al2O3粉末および原料BN粉末を効果的に粒子状に造粒するために、バインダーを含んでもよい。バインダーは、一次粒子同士を強固に結びつけ、造粒粒子を安定化するために作用する。
Al2O3−BNスラリーに用いるバインダーとしては、一次粒子同士の接着性を高めることができるものであればよいが、本発明においては、造粒粒子は粒子化後に加熱処理されるため、この加熱処理工程における高温条件に対する耐熱性を有するものが好ましい。

0034

このようなバインダーとしては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム酸化イットリウム酸化カルシウム酸化珪素酸化ホウ素酸化セリウム酸化ジルコニウム酸化チタンなどの金属の酸化物などが好ましく用いられる。これらの中でも、酸化物としての熱伝導性と耐熱性、一次粒子同士を結合する結合力などの観点から、酸化アルミニウム、酸化イットリウムが好適である。なお、バインダーはアルミナゾルのような液状バインダーを用いてもよく、加熱処理中に反応して、他の無機成分に変換されるものであってもよい。これらのバインダーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。

0035

バインダーの使用量(液状バインダーの場合は、固形分としての使用量)は、Al2O3−BNスラリー中の原料粉末全量に対して、通常0質量%以上30質量%以下であり、好ましくは0質量%以上20質量%以下、より好ましくは0質量%以上15質量%以下である。上記上限を超えると造粒粒子中の原料Al2O3粉末および原料BN粉末の含有量が少なくなり、結晶成長に影響するばかりか熱伝導性のフィラーとして用いた場合に熱伝導性改善効果が小さくなる。

0036

スラリー調製方法
スラリー調製方法は、原料Al2O3粉末および原料BN粉末、更に必要により、媒体、バインダー、界面活性剤が均一に分散し、所望の粘度範囲に調製されていれば特に限定されないが、原料BN粉末、原料Al2O3粉末及び媒体、更に必要により、バインダー、界面活性剤を用いる場合、好ましくは以下のように調製する。

0037

原料Al2O3粉末および原料BN粉末を容器に所定量計量し、次いで、バインダーを所定量添加する。さらに、界面活性剤を所定量添加した後、ハンドミキサーを用いて均一になるまで程度撹拌する。
添加の順番は特に制限はないが、大量の原料Al2O3粉末および原料BN粉末をスラリー化する場合、だまなどの凝集物ができやすくなるため、水に界面活性剤とバインダーを加えた水溶液を作製した後、所定量の原料Al2O3粉末および原料BN粉末を少量ずつ添加し、これを家庭用ハンドミキサーを用いて撹拌してスラリー化しても良い。

0038

また、分散に際しては、ハンドミキサーのほかに、ポットミルビーズミルプラネタリーミキサーなどの分散装置を使用しても良い。スラリー化に際して、スラリーの温度は、10℃以上60℃以下で行う。下限よりも低いと、スラリー粘度が上昇し、所望の粘度範囲から外れる傾向にあり、上限よりも高いと原料BN粉末が水溶液中でアンモニアに分解しやすくなる。通常、10℃以上60℃以下であるが、好ましくは15℃以上50℃以下、より好ましくは15℃以上40℃以下、更に好ましくは15℃以上35℃以下である。
原料Al2O3粉末および原料BN粉末の含有比は特段限定されないが、原料Al2O3粉末:原料BN粉末比(質量比)は通常1:99〜90:10であり、好ましくは2:98〜85:15であり、更に好ましくは13:87〜60:40である。上記範囲内とすることで、BN一次粒子によるカードハウス構造が形成され、好ましい。

0039

{造粒}
Al2O3−BN複合スラリーから造粒粒子を得るには、スプレードライ法転動法、流動層法、そして撹拌法などの一般的な造粒方法を用いることができ、この中でもスプレードライ法が好ましい。
スプレードライ法では、原料となるスラリーの濃度、装置に導入する単位時間当たりの送液量と送液したスラリーを噴霧する際の圧空圧力及び圧空量により、所望の大きさの造粒粒子を製造することが可能であって、球状の造粒粒子を得ることも可能である。

0040

造粒により得られたAl2O3−BN複合造粒粒子の平均粒子径は、本発明のAlN−BN複合凝集粒子の体積基準の平均粒子径の範囲を好ましくは5μm以上150μm以下とする場合には、体積基準の平均粒子径D50で通常1.0μm以上であり、好ましくは5.0μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは20μm以上であり、特に好ましくは30μm以上、最も好ましくは40μm以上であり、50μm以上であっても好ましく、60μm以上であっても好ましい。また、通常200μm以下、好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。ここで、造粒粒子の体積基準の平均粒子径D50は、例えば、湿式では堀場製作所製「LA920」、乾式ではMalvern社製「Morphorogi」などで測定することができる。

0041

{仮加熱処理}
上記のAl2O3−BN複合造粒粒子を更に酸化雰囲気下で加熱処理することで、Al2O3−BN複合仮加熱処理粒子を製造することができる。
ここで、酸化雰囲気とは、酸素ガスなどを含む酸化性ガス雰囲気のことである。ここで用いる酸性ガスの種類によりAl2O3−BN複合造粒粒子中の有機成分の燃焼による除去加減が異なってくる。
加熱処理温度は通常500℃以上、900℃以下であるが、好ましくは700℃以上であり、また好ましくは800℃以下である。仮加熱処理温度が低すぎると、有機成分の燃焼による除去が不十分となり、後述する加熱処理工程に於いて窒素および炭素を含有する有毒ガスが発生する恐れがある。仮加熱処理温度が高すぎると、BNが酸化されてしまうおそれがある。

0042

仮加熱処理の加熱処理時間は、通常1時間以上、好ましくは2時間以上、また通常12時間以下、好ましくは5時間以下である。仮加熱処理の加熱処理時間が上記下限未満の場合、有機成分の燃焼による除去が不十分となり、上記上限を超えるとBNが一部酸化するおそれがある。

0043

仮加熱処理の加熱処理に用いる焼成炉としては、マッフル炉管状炉雰囲気炉などのバッチ式炉ロータリーキルンスクリューコンベヤ炉、トンネル炉ベルト炉プッシャー炉、竪型連続炉などの連続炉が挙げられ、目的に応じて使い分けられる。

0044

{加熱処理}
上記のAl2O3−BN複合仮加熱処理粒子を更に非酸化性ガス雰囲気下に加熱処理することで、Al2O3−BN複合熱処理粒子を製造することができる。
ここで、非酸化性ガス雰囲気とは、窒素ガスヘリウムガスアルゴンガスアンモニアガス水素ガスメタンガスプロパンガス一酸化炭素ガスなどの雰囲気のことである。ここで用いる雰囲気ガスの種類によりAl2O3粒子またはBN粒子の結晶化速度が異なるものとなり、結晶化を短時間で行うためには特に窒素ガス、もしくは窒素ガスと他のガスを併用した混合ガスが好適に用いられる。
加熱処理温度は通常1500℃以上、2000℃以下であるが、好ましくは1600℃以上であり、また好ましくは1900℃以下である。加熱処理温度が低すぎると、BNの平均結晶子の成長が不十分となり、BN凝集粒子および成形体の熱伝導率が小さくなる場合がある。加熱処理温度が高すぎると、Al2O3またはBNの分解などが生じてしまうおそれがある。

0045

加熱処理時間は、通常1時間以上、好ましくは5時間以上、より好ましくは12時間以上、また通常72時間以下、好ましくは48時間以下である。加熱処理時間が上記下限未満の場合、結晶成長が不十分となり、上記上限を超えるとAl2O3またはBNが一部分解するおそれがある。

0046

加熱処理は、非酸化性ガス雰囲気下で行うために、好ましくは、通常、焼成炉内真空ポンプを用いて排気した後、非酸化性ガスを導入しながら、所望の温度まで加熱して昇温するが、焼成炉内が十分に非酸化性ガスで置換できる場合は、常圧下で非酸化性ガスを導入しながら加熱昇温しても良い。焼成炉としては、マッフル炉、管状炉、雰囲気炉などのバッチ式炉やロータリーキルン、スクリューコンベヤ炉、トンネル炉、ベルト炉、プッシャー炉、竪型連続炉などの連続炉が挙げられ、目的に応じて使い分けられる。

0047

{還元窒化処理}
上記のAl2O3−BN複合熱処理粒子を還元窒化処理することで、AlN−BN複合凝集粒子を製造することができる。
ここで、還元窒化処理とは、Al2O3−BN複合熱処理粒子とカーボンブラックとの混合物を非酸化性ガス雰囲気下もしくは還元性ガス雰囲気下にて加熱処理することである。
ここで、非酸化性ガス雰囲気とは、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、アンモニアガス、水素ガス、メタンガス、プロパンガス、一酸化炭素ガスなどの雰囲気のことである。また、ここで、還元性ガス雰囲気下とは、アンモニアガス、水素ガス、一酸化炭素ガスなどを含む雰囲気のことである。
加熱処理温度は通常1000℃以上、2000℃以下であるが、好ましくは1600℃以上であり、また好ましくは1900℃以下である。加熱処理温度が低すぎると、還元窒化が不十分となり、AlN−BN複合凝集粒子および成形体の熱伝導率が小さくなる場合がある。加熱処理温度が高すぎると、Al2O3、AlN、またはBNの分解などが生じてしまうおそれがある。
還元窒化処理においてカーボンブラックの含有量は特段限定されないが、Al2O3−BN複合熱処理粒子中のAl2O3100質量部に対し通常30質量部以上、好ましくは35質量部以上であり、また通常75質量部以下、好ましくは55質量部以下である。

0048

還元窒化処理における加熱処理時間は、通常1時間以上、好ましくは5時間以上、より好ましくは12時間以上、また通常72時間以下、好ましくは48時間以下である。加熱処理時間が上記下限未満の場合、還元窒化が不十分となり、上記上限を超えるとAl2O3、AlN、またはBNが一部分解するおそれがある。

0049

還元窒化処理は、非酸化性ガス雰囲気下または還元性ガス雰囲気下で行うために、好ましくは、通常、焼成炉内を真空ポンプを用いて排気した後、非酸化性ガスまたは還元性ガスを炉内導入しながら、所望の温度まで加熱して昇温する。焼成炉内が十分に非酸化性ガスまたは還元性ガスで置換できる場合は、常圧下で非酸化性ガスまたは還元性ガスを導入しながら加熱昇温してもよい。焼成炉としては、マッフル炉、管状炉、雰囲気炉などのバッチ式炉やロータリーキルン、スクリューコンベヤ炉、トンネル炉、ベルト炉、プッシャー炉、竪型連続炉などの連続炉が挙げられ、目的に応じて使い分けられる。

0050

{カーボンブラック除去処理
上記のAlN−BN複合凝集粒子を更に酸化雰囲気下で加熱処理することで、高純度AlN−BN複合凝集粒子を製造することができる。
ここで、酸化雰囲気とは、酸素ガスなどを含む酸化性ガス雰囲気のことである。ここで用いる酸性ガスの種類によりAlN−BN複合凝集粒子に残留する余剰カーボンブラックの燃焼による除去加減が異なってくる。
カーボンブラック除去処理温度は通常500℃以上、900℃以下であるが、好ましくは700℃以上であり、また好ましくは800℃以下である。カーボンブラック除去処理温度が低すぎると、カーボンブラックの燃焼による除去が不十分となり、AlN−BN複合凝集粒子の絶縁性が低下する恐れがある。カーボンブラック除去処理温度が高すぎると、BNが酸化されてしまうおそれがある。

0051

カーボンブラック除去処理における加熱処理時間は、通常1時間以上、好ましくは2時間以上、また通常12時間以下、好ましくは5時間以下である。加熱処理時間が上記下限未満の場合、カーボンブラックの燃焼による除去が不十分となり、上記上限を超えるとBNが一部酸化するおそれがある。

0052

加熱処理に用いる焼成炉としては、マッフル炉、管状炉、雰囲気炉などのバッチ式炉やロータリーキルン、スクリューコンベヤ炉、トンネル炉、ベルト炉、プッシャー炉、竪型連続炉などの連続炉が挙げられ、目的に応じて使い分けられる。

0053

上記説明したAlN−BN複合凝集粒子の製造方法は、本発明の別の実施形態であり、
窒化アルミニウム一次粒子及び窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる窒化アルミニウム−窒化ホウ素複合凝集粒子の製造法であって、酸化アルミニウムの還元窒化ステップ、を含む製造法である。
上記還元窒化ステップは、カーボンブラック存在下、非酸化性ガス又は還元性ガス雰囲気下にて行われることが好ましい。

0054

<複合材組成物>
本発明の別の実施形態は、上記AlN−BN複合凝集粒子をマトリクスに配合させてなる、複合材組成物である。
用いるマトリクスは熱伝導性が高いことが好ましく、マトリクスの熱伝導率は0.2W/mK以上であることが好ましく、特に0.22W/mK以上であることが好ましい。
なお、マトリクスの熱伝導率の測定方法は以下の装置を用いて、熱拡散率比重、及び比熱を測定し、この3つの測定値を乗じることで熱伝導率を求める。
(1)熱拡散率:アイフェイズ社製 「アイフェイズ・モバイル1u」
(2)比重:メトラー・トレド社製 「天秤XS−204」(固体比重測定キット使用)
(3)比熱:セイコーインツル社製 「DSC320/6200」

0055

マトリクスとしては通常樹脂が用いられ、硬化性樹脂熱可塑性樹脂のいずれも制限なく用いることが出来る。硬化性樹脂としては、熱硬化性光硬化性電子線硬化性などの架橋可能なものであればよいが、耐熱性、吸水性、寸法安定性などの点で、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。
熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂としては、例えばWO2013/081061に例示されたものを用いることができる。このうち、熱硬化性樹脂を用いることが好ましく、特にエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
エポキシ樹脂としては、ナフタレン骨格フルオレン骨格ビフェニル骨格アントラセン骨格ピレン骨格キサンテン骨格アダマンタン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有するフェノキシ樹脂が好ましい。中でも、耐熱性がより一層高められることから、フルオレン骨格及び/又はビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂が特に好ましく、とりわけビルフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格及びビフェニル骨格のうちの少なくとも1つ以上の骨格を有するフェノキシ樹脂であることが好ましい。

0056

複合材組成物中のマトリクスの含有量は、通常2wt%以上、好ましくは5wt%以上、より好ましくは7wt%以上であり、通常70wt%以下、好ましくは60wt%以下、より好ましくは40wt%以下である。
また、複合材組成物中の(高純度)AlN−BN複合凝集粒子の含有量は、通常30wt%以上、好ましくは40wt%以上、より好ましくは50wt%以上であり、通常99wt%以下、好ましくは98wt%以下、より好ましくは95wt%以下である。

0057

複合材組成物の調製には、有機溶剤を用いることができる。有機溶剤としては、アルコール系溶剤芳香族系溶剤アミド系溶剤アルカン系溶剤エチレングリコールエーテル及びエーテルエステル系容易剤、プロピレングリコールエーテル及びエーテル・エステル系溶剤ケトン系溶剤、エステル系溶剤の中から、樹脂の溶解性等を考慮して、好適に選択して用いることができる。
有機溶剤の具体例としては、WO2013/081061に例示されたものを用いることができる。
有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。

0058

複合材組成物は、必要に応じて硬化剤を含有していてもよい。
硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基等などの、マトリクスの架橋基間の架橋反応に寄与する物質を示す。
エポキシ樹脂においては、必要に応じて、エポキシ樹脂用の硬化剤、硬化促進剤が共に用いられる。
硬化剤としては例えば、酸無水物系硬化剤アミン系硬化剤が挙げられる。酸無水物系硬化剤としては、例えば、テトラヒドロフタル酸無水物メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、及びベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物が挙げられる。アミン系硬化剤としては、例えば、エチレンジアミンジエチレントリアミントリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミンジアミノジフェニルスルホンジアミノジフェニルメタンジアミノジフェニルエーテルm−フェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン及びジシアンジアミド等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。

0059

また、機能性の更なる向上を目的として、本発明の効果を損なわない範囲において、各種の添加剤(その他の添加剤)を含んでいてもよい。その他の添加剤としては、例えば、液晶性エポキシ樹脂等の、前記のマトリクスに機能性を付与した機能性樹脂、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、繊維状窒化ホウ素等の窒化物粒子アルミナ繊維状アルミナ酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン等の絶縁性金属酸化物ダイヤモンドフラーレン等の絶縁性炭素成分樹脂硬化剤樹脂硬化促進剤粘度調整剤、分散安定剤が挙げられる。

0060

さらに、その他の添加剤としては、マトリクスと(高純度)AlN−BN複合凝集粒子との接着性を向上させるための添加成分として、シランカップリング剤チタネートカップリング剤等のカップリング剤、保存安定性向上のための紫外線防止剤酸化防止剤可塑剤難燃剤着色剤分散剤流動性改良剤等が挙げられる。

0061

その他、組成物中での各成分の分散性を向上させる、界面活性剤や、乳化剤低弾性化剤、希釈剤消泡剤イオントラップ剤等を添加することもできる。
これらは、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
添加剤の具体例については、WO2013/081061に例示されたものを用いることができ、添加量についてもWO2013/081061に記載の範囲とすることができる。

0062

複合材組成物の調製は、(高純度)AlN−BN複合凝集粒子、マトリクス、溶剤およびその他の添加剤を分散・混合することを目的として、ペイントシェーカーやビーズミル、プラネタリーミキサー、攪拌型分散機、自公転攪拌混合機、三本ロールニーダー単軸又は二軸混練機等の一般的な混練装置などを用いて混合することが好ましい。
複合材組成物の各配合成分の混合順序も、反応や沈殿物が発生するなど特段の問題がない限り任意であり、組成物の構成成分のうち、何れか2成分又は3成分以上を予め混合し、その後に残りの成分を混合してもよいし、一度に全部を混合してもよい。

0063

上記複合材組成物は、成形体とすることでシート、基板などの放熱部材となり得る。
この成形体を成形する方法は、樹脂組成物の成形に一般に用いられる方法を用いることができる。
ここでいう基板とは、シートの片面ないしは両面に対して、金属ないしはセラミックスからなる板を貼り合せたものをいう。
例えば、放熱シート塗布液を所望の形状で、例えば、型へ充てんした状態で硬化させることによって成形することができる。このような成形体の製造法としては、射出成形法射出圧縮成形法押出成形法、及び圧縮成形法を用いることができる。
また、複合材組成物がエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂組成物を含む場合、成形体の成形、すなわち硬化は、それぞれの組成に応じた硬化温度条件で行うことができる。
本実施形態に係る複合材組成物を成形したシート・基板は、含有される複合凝集粒子が熱伝導性に優れることから高い放熱性を有し、パワーデバイス用途の放熱シート及び放熱基板などの放熱用部材として好適に用いられる。

0064

また、複合材組成物が熱可塑性樹脂組成物を含む場合、成形体の成形は、熱可塑性樹脂の溶融温度以上の温度及び所定の成形速度や圧力の条件で行うことができる。また、複合材組成物を成形硬化した固形状の材料から所望の形状に削り出すことによって成形体を得ることもできる。

0065

以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、下記の実施例における各種の条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における好ましい範囲同様に、本発明の好ましい範囲を示すものであり、本発明の好ましい範囲は前記した実施態様における好ましい範囲と下記実施例の値または実施例同士の値の組合せにより示される範囲を案して決めることができる。

0066

測定条件
本発明における特性は以下に記載の方法にて測定した。
・平均粒子径(D50):
平均粒子径は、HORIBA社製「LA−300」を用いてD50(μm)を測定した。
・XRDパターン
XRD測定は、PANalytical社製X線回折装置「X‘Pert Pro MPD」を用いた。なお、X線源はCuKαである。
・粒子形状
粒子形状観察は、SEM(Zeiss Ultra55)を用いた。
・元素分析
元素分析は、BRUKER AXS社製エネルギー分散型X線分析(SEM−EDX)装置「QUANTAX 200」を用いた。
・成形体の厚み方向熱伝導率
成形体の厚み方向の熱拡散率を株式会社アイフェイズ製の熱拡散率測定装置「ai—Phase Mobile 1u」を用いて測定し、以下により求めた。
成形体の厚み方向熱伝導率=成形体の厚み方向の熱拡散率×成形体の比重×成形体の比熱

0067

(比較例1)
BNのみからなる凝集粒子が複合材組成物に与える熱伝導率を評価し、AlN−BN複合凝集粒子との比較対象とした。
<凝集粒子の作製>
[スラリーの調製]
バインダー(多木化学(株)製「タキセラムM160L」、固形分濃度21質量%)を容器に取り、そこへ原料h−BN粉末(酸素濃度7.5質量%)を秤取った。バインダー量は、原料h−BN粉末量の1.15倍とした。各物質の配合量は表1に示す。これをハンドミキサーで均一になるまで撹拌した。

0068

[造粒粒子の作製]
スラリーからの造粒は、電機株式会社製マイクロミストスプレードライヤ(MDL−050M)Laboを用いて実施し、球状の造粒粒子を得た。造粒粒子のD50は表1に示す。

0069

[仮熱処理粒子の作製]
上記造粒粒子を、大気下で700℃まで700℃/時で昇温し、700℃到達後そのまま2時間保持し、その後室温まで冷却することで、仮熱処理粒子を得た。

0070

[熱処理粒子の作製]
上記仮熱処理粒子を、室温で真空引きをした後、窒素ガスを導入して復圧し、そのまま窒素ガスを0.5L/minで導入しながら1600℃まで230℃/時で昇温し、1600℃到達後、そのまま窒素ガスを導入しながら24時間保持した。その後、室温まで冷却し、カードハウス構造を有する球状の熱処理粒子を得た。

0071

<凝集粒子の評価>
[熱処理粒子の組成]
熱処理粒子のXRDパターンは図1の様になった。ピークはh−BN(丸印)、そしてAl5BO9(無印)に帰属された。Al5BO9のピーク強度は弱いため、その含有率極小さいと考えられる。また、このAl5BO9は、バインダー由来アルミ酸化物とh−BN中のホウ素酸化物の反応によって形成されたと考えられる。
原料AlN粉末量)×100/(原料AlN粉末量+原料BN粉末量)で定義した熱処理粒子中のAlN量、(原料BN粉末量)×100/(原料AlN粉末量+原料BN粉末量)で定義した熱処理粒子中のBN量は、表1の様になった。
[熱処理粒子の構造]
熱処理粒子のSEM像は図2の様になった。板状のh−BN一次粒子によるカードハウス構造の形成が確認された。

0072

<複合材組成物の作製>
[複合材組成物の作製]
(原料)
得られた熱処理粒子、ダイソー社製エポキシ樹脂「LX−01」、BYK社製分散剤「BYK−2155」、そして、四国化成社製硬化剤「C11Z−CN」を用いた。
(複合材組成物の調製)
得られた熱処理粒子、エポキシ樹脂、分散剤を蓋付容器に秤取り、自公転攪拌機(シンキー社製、ARV−310))を用いて混合した。次いで、そこに硬化剤を秤取り、自公転攪拌機を用いて混合した。分散材量は還元窒化粒子量の0.02倍とし、硬化剤量はエポキシ樹脂量の0.06倍とした。各物質の配合量は表2に示す。得られた混合物を、離形処理を施したガラス板に、シリコーンゴム製の500μmギャップと共に挟み込み、160℃で4時間加熱硬化させて熱伝導率評価用の複合材組成物を得た。

0073

<複合材組成物の評価>
上記複合材組成物について、厚み方向の熱伝導率を測定した。測定結果は表2の様になった。また、凝集粒子の含有率に対して熱伝導率をプロットすると図3の様になった。

0074

(比較例2)
AlNのみからなる凝集粒子が複合材組成物に与える熱伝導率を評価し、AlN−BN複合凝集粒子との比較対象とした。
<凝集粒子の作製>
原料h−BN粉末を原料AlN粉末(東洋アルミニウム(株)製トーヤルナイトJC)に変えた以外は、比較例1と同様に行った。

0075

<凝集粒子の評価>
[熱処理粒子の組成]
熱処理粒子のXRDパターンは図1の様になった。ピークはAlN(星印)、そしてCaAl12O19に帰属された。CaAl12O19のピーク強度は弱いため、その含有率は極小さいと考えられる。また、このCaAl12O19は、バインダー中に微量不純物として含まれるカルシウム化合物とAlNの反応によって形成されたと考えられる。
[熱処理粒子の構造]
熱処理粒子のSEM像は図4の様になった。粒状のAlN一次粒子が確認された。

0076

<複合材組成物の作製>
比較例1と同様に行った。

0077

<複合材組成物の評価>
比較例1と同様に行った。測定結果は表2の様になった。また、凝集粒子の含有率に対して熱伝導率をプロットすると図3の様になった。すなわち、AlNのみからなる凝集粒子が複合材組成物に与える熱伝導率は、BNのみからなる凝集粒子と同等であることが確認された。

0078

0079

0080

(実施例1、2、3)
AlN−BN複合凝集粒子が複合材組成物に与える熱伝導率を評価し、AlN一次粒子とBN一次粒子を複合凝集粒子化することが熱伝導率に与える効果を確認した。
<凝集粒子の作製>
[スラリーの調製]
バインダー(多木化学(株)製「タキセラムM160L」、固形分濃度21質量%)を容器に秤取り、そこへ原料Al2O3粉末(住友化学(株)製「スミコランダムAA03」)および原料h−BN粉末(酸素濃度7.5質量%、一次粒子径0.05μm)を秤取った。バインダー量は、原料Al2O3粉末および原料h−BN粉末の合計量の1.15倍とした。各物質の配合量は表3に示す。これをハンドミキサーで均一になるまで撹拌した。

0081

[造粒粒子の作製]
スラリーからの造粒は、藤崎電機株式会社製マイクロミストスプレードライヤ(MDL−050M)Laboを用いて実施し、球状の造粒粒子を得た。造粒粒子のD50は表3に示す。

0082

[仮熱処理粒子の作製]
上記造粒粒子を、大気下で700℃まで700℃/時で昇温し、700℃到達後そのまま2時間保持し、その後室温まで冷却することで、仮熱処理粒子を得た。

0083

[熱処理粒子の作製]
上記仮熱処理粒子を、室温で真空引きをした後、窒素ガスを導入して復圧し、そのまま窒素ガスを0.5L/minで導入しながら1600℃まで230℃/時で昇温し、1600℃到達後、そのまま窒素ガスを導入しながら24時間保持した。その後、室温まで冷却し、カードハウス構造を有する球状の熱処理粒子を得た。

0084

[還元窒化粒子の作製]
上記熱処理粒子およびカーボンブラックを容器に所定量計量し、蓋をした。各物質の配合量は表3に示す。これを手で5分間振って混合し、カーボンブラック混合物を得た。カーボンブラック混合物を、室温で真空引きをした後、窒素ガスを導入して復圧し、そのまま窒素ガスを0.5L/minで導入しながら1600℃まで230℃/時で昇温し、1600℃到達後、そのまま窒素ガスを導入しながら24時間保持した。その後、室温まで冷却した。この粒子を、大気下で700℃まで700℃/時で昇温し、700℃到達後、そのまま5時間保持した。その後、室温まで冷却し、球状の還元窒化粒子を得た。

0085

[高純度還元窒化粒子の作製]
上記還元窒化粒子を、大気下で700℃まで700℃/時で昇温し、700℃到達後そのまま5時間保持し、その後室温まで冷却することで、高純度還元窒化粒子を得た。

0086

<凝集粒子の評価>
[熱処理粒子の組成]
熱処理粒子のXRDパターンは図4の様になった。ピークはAl2O3(三角印)、h−BN(丸印)、そしてAl5BO9(無印)に帰属された。Al5BO9のピーク強度は弱いため、Al5BO9含有率は小さいと考えられる。また、このAl5BO9は、バインダー由来のアルミ酸化物とh−BN中のホウ素酸化物の反応によって形成されたと考えられる。
(原料Al2O3粉末量)×100/(原料Al2O3粉末量+原料BN粉末量)で定義した熱処理粒子中のAl2O3量、(原料BN粉末量)×100/(原料Al2O3粉末量+原料BN粉末量)で定義した熱処理粒子中のBN量は、表3の様になった。

0087

[熱処理粒子の構造]
熱処理粒子のSEM像は図5の様になった。粒状のAl2O3一次粒子および、板状のh−BN一次粒子によるカードハウス構造が確認された。なお、図5から、h−BN一次粒子の長軸の長さは、実施例1が1.29μm程度、実施例2が0.72μm程度、実施例3が0.65μ程度であった。

0088

[高純度還元窒化粒子の組成]
高純度還元窒化粒子のXRDパターンは図6の様になった。ピークはAlN(星印)およびh−BN(丸印)に帰属された。また、熱処理粒子と高純度還元窒化粒子のXRDパターンを重ねてプロットすると、図7の様になった(前者:細線、後者:太線)。h−BNピーク形状は両者で全く同じであった。従って、熱処理粒子に見られたものと全く同じ板状および結晶性を持ったh−BN一次粒子が、還元窒化粒子に於いても存在すると考えられる。原料Al2O3粉末全量の窒化によって得られるAlNの重量をαとすると、α×100/(α+原料BN粉末量)で定義した還元窒化粒子中のAlN量、そして、原料BN粉末量×100/(α+原料BN粉末量)で定義した還元窒化粒子中のBN量は表3の様になった。

0089

[高純度還元窒化粒子の構造]
高純度還元窒化粒子のSEM像及は図8の様になった。粒子表面がアモルファス質に覆われている事が判った。また、原料Al2O3粉末を大明化学工業(株)製TM−DAに変えた以外は、実施例2と全く同様に作製した高純度還元窒化粒子のSEM−EDX分析結果は図9の様になった。また、SEM像中の矢印部分に於いて、EDX点分析を行った。このアモルファス質はホウ素、炭素、窒素、そして酸素からなることが判った。

0090

<複合材組成物の作製>
[複合材組成物の作製]
(原料)
得られた高純度還元窒化粒子、ダイソー社製エポキシ樹脂「LX−01」、BYK社製分散剤「BYK−2155」、そして、四国化成社製硬化剤「C11Z−CN」を用いた。
(複合材組成物の調製)
得られた高純度還元窒化粒子、エポキシ樹脂、分散剤を蓋付容器に秤取り、自公転攪拌機(シンキー社製、ARV−310))を用いて混合した。次いで、そこに硬化剤を秤取り、自公転攪拌機を用いて混合した。分散材量は高純度還元窒化粒子量の0.02倍とし
、硬化剤量はエポキシ樹脂量の0.06倍とした。各物質の配合量は表4に示す。得られた混合物を、離形処理を施したガラス板に、シリコーンゴム製の300μmギャップと共に挟み込み、160℃で4時間加熱硬化させて熱伝導率評価用の複合材組成物を得た。

0091

<複合材組成物の評価>
上記複合材組成物について、厚み方向の熱伝導率を測定した。測定結果は表4の様になった。また、凝集粒子の含有率に対して熱伝導率をプロットすると図3の様になった。図3を見ると、実施例1、2、そして、3の熱伝導率は、比較例1または2の熱伝導率よりも高いことが判る。即ち、AlN一次粒子とh−BN一次粒子を複合化し、AlN−BN複合凝集粒子とする事は、凝集粒子が複合材組成物に与える熱伝導率を大きく増大させることが示された。

0092

0093

0094

(比較例3)
原料Al2O3粉末の代わりに原料AlN粉末を用いてAlN−BN複合凝集粒子を作製し、それを用いた複合材組成物の熱伝導率を評価し、原料Al2O3粉末を用いた場合との比較対象とした。

0095

<凝集粒子の作製>
[スラリーの調製]
バインダー(多木化学(株)製「タキセラムM160L」、固形分濃度21質量%)を容器に秤取り、そこへ原料h−BN粉末(酸素濃度7.5質量%)および原料AlN粉末(東洋アルミニウム(株)製「トーヤルナイトJC」)を秤取った。バインダー量は、原料h−BN粉末および原料AlN粉末の合計量の1.15倍とした。各物質の配合量は表5
に示す。これをハンドミキサーで均一になるまで撹拌した。

0096

[造粒粒子の作製]
スラリーからの造粒は、藤崎電機株式会社製マイクロミストスプレードライヤ(MDL−050M)Laboを用いて実施し、球状の造粒粒子を得た。

0097

[仮熱処理粒子の作製]
上記造粒粒子を、大気下で700℃まで700℃/時で昇温し、700℃到達後そのまま2時間保持し、その後室温まで冷却することで、仮熱処理粒子を得た。

0098

[熱処理粒子の作製]
上記仮熱処理粒子を、室温で真空引きをした後、窒素ガスを導入して復圧し、そのまま窒素ガスを0.5L/minで導入しながら1600℃まで230℃/時で昇温し、1600℃到達後、そのまま窒素ガスを導入しながら24時間保持した。その後、室温まで冷却し、粒状構造を有する球状の熱処理粒子を得た。

0099

<凝集粒子の評価>
[熱処理粒子の組成]
熱処理粒子のXRDパターンは図10の様になった。ピークはh−BN(丸印)、AlN(星印)、そしてCaAl12O19(無印)に帰属された。CaAl12O19のピーク強度は弱いため、その含有率は極小さいと考えられる。また、このCaAl12O19は、バインダー中に微量不純物として含まれるカルシウム化合物とAlNの反応によって形成されたと考えられる。h−BNピークの半値幅は実施例1、2、そして3の場合よりも大きく、板状のh−BN一次粒子が十分に成長しなかったことが示唆される。

0100

[熱処理粒子の構造]
熱処理粒子のSEM像は図11の様になった。h−BN一次粒子の長軸は50nm程度であり、板状のh−BN一次粒子が十分に成長しなかった(0.1μm未満である)ことが判る。

0101

<複合材組成物の作製>
[複合材組成物の作製]
(原料)
得られた熱処理粒子、ダイソー社製エポキシ樹脂「LX−01」、BYK社製分散剤「BYK−2155」、そして、四国化成社製硬化剤「C11Z−CN」を用いた。
(複合材組成物の調製)
得られた熱処理粒子、エポキシ樹脂、分散剤を蓋付容器に秤取り、自公転攪拌機(シンキー社製、ARV−310))を用いて混合した。次いで、そこに硬化剤を秤取り、自公転攪拌機を用いて混合した。分散材量は還元窒化粒子量の0.02倍とし、硬化剤量はエポキシ樹脂量の0.06倍とした。各物質の配合量は表6に示す。得られた混合物を、離形処理を施したガラス板に、シリコーンゴム製の500μmギャップと共に挟み込み、160℃で4時間加熱硬化させて熱伝導率評価用の複合材組成物を得た。

0102

<複合材組成物の評価>
上記複合材組成物について、厚み方向の熱伝導率を測定した。測定結果は表6の様になった。また、凝集粒子の含有率に対して熱伝導率をプロットすると図12の様になった。比較のために、比較例1および2の結果も併せてプロットする。すると、比較例3の凝集粒子が複合体組成物に与える熱伝導率は、比較例1および2の場合と同程度もしくはそれ以下であることが判る。以上の様に、熱処理段階でAlNが存在すると、h−BN一次粒子の板状成長が阻害されることが判った。また、この様な凝集粒子が複合材組成物に与え
る熱伝導率は低いことが示された。

0103

(比較例4)
Al2O3の熱伝導はAlNと同じく等方的であるが、その大きさはAlNよりもはるかに小さい(通常、熱伝導率として40W/mK程度。)。Al2O3−BN複合凝集粒子を用いた複合材組成物の熱伝導率を評価しAlN−BN複合凝集粒子との比較対象とした。
<凝集粒子の作製>
凝集粒子として、実施例2に於いて得た熱処理粒子を用いた。
<凝集粒子の評価>
実施例2の熱処理粒子と同様である。

0104

<複合材組成物の作製>
比較例3と同様に行った。

0105

<複合材組成物の評価>
比較例3と同様に行った。測定結果は表6の様になった。また、凝集粒子の含有率に対して熱伝導率をプロットすると図12の様になった。比較のために、比較例1および2の結果も併せてプロットする。すると、比較例4の凝集粒子が複合体組成物に与える熱伝導率は、比較例1および2の場合と同程度もしくはそれ以下であることが判る。即ち、熱伝導異方性の無い物質であっても、その熱伝導率が小さければ、h−BN一次粒子と複合化してBN複合凝集粒子としても、凝集粒子が複合材組成物に与える熱伝導率は低いことが示された。

0106

実施例

0107

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