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技術 リチウム電池の正極活物質用熱処理容器

出願人 東京窯業株式会社
発明者 小池康太久保雅崇加藤寛二
出願日 2016年3月30日 (3年11ヶ月経過) 出願番号 2016-068606
公開日 2017年10月5日 (2年5ヶ月経過) 公開番号 2017-178681
状態 特許登録済
技術分野 酸化物セラミックスの組成1 セラミック製品3 炉の装入、排出(炉一般2) 電池の電極及び活物質
主要キーワード 閉鎖形状 アルミナ長繊維 損傷抵抗 熱処理容器 熱衝撃抵抗 公称目開き 耐反応性 無機材料粉末
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年10月5日)のものです。
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図面 (3)

課題

解決手段

本発明のリチウム電池の正極活物質用熱処理容器2は、無機材料粉末と、無機材料粉末の質量を100質量部としたときに0.1〜1質量部の割合で、無機材料粉末の最大粒径の1.2〜5倍の繊維長をもつアルミナ長繊維と、の焼成体1よりなることを特徴とするリチウム電池の正極活物質用熱処理容器2。本発明の熱処理容器2は、無機材料粉末とアルミナ長繊維との焼成体1よりなることで、耐熱衝撃性と耐割れ性に優れた熱処理容器となる。

概要

背景

種々の化合物、特に無機系化合物熱処理工程を経て製造されている。熱処理(加熱)は、通常、耐熱性熱処理容器被熱処理化合物(無機系化合物やその原料)を配した状態で行われる。熱処理容器には、耐熱性だけでなく、被熱処理化合物に対して安定であることが求められている。

上記の熱処理工程を経て製造される無機系化合物のひとつに、リチウムを含有する化合物がある。このリチウム含有化合物は、例えば、リチウム電池リチウムイオン電池正極活物質に用いられている、LiMnO2系化合物、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2系化合物、LiMn2O4系化合物、LiCoO2系化合物、LiNiO2系化合物、をあげることができる。以下、リチウム電池やリチウムイオン電池等のリチウム含有化合物を正極活物質に用いる電池をリチウム電池と総称する。

リチウム電池の正極活物質(リチウム含有化合物)は、原料粉末焼成して製造される。このリチウム含有化合物の原料粉末の熱処理(焼成)は、一般的にアルミナムライトコージェライトスピネル等の耐熱性を備えた材質を主な構成成分として焼成された熱処理容器(熱処理容器,匣鉢)に収納して行われる。

コージェライトは、高い耐熱衝撃性を有するため、繰り返しの熱処理での利用に効果を発揮する。しかし、コージェライトは、リチウム含有化合物との反応性が高く、反応によって、リチウムが熱処理容器に移動することによりリチウム含有化合物のリチウム濃度が低下することや、熱処理容器表層剥離によりリチウム含有化合物へ不純物混入するという問題があった。特に、リチウム電池の正極活物質においては、熱処理容器との反応によってリチウム電池の電池性能の低下を引き起こすおそれがある。

スピネルは、リチウム含有化合物との反応性は低いが、熱膨張係数が高く、含有率が高くなるほど、熱衝撃による割れが生じやすくなるという問題があった。すなわち、短期昇降温の繰り返しで熱処理容器を使用できなくなる。この結果、スピネルの含有率を高くすることが困難となっていた。
このような熱処理容器は、例えば、特許文献1〜2に記載されている。

特許文献1には、全体の質量を100%としたときに、5〜45%のアルミナ粉末と、0〜35%のムライト粉末と、5〜40%のコージェライト粉末と、5〜30%のスピネル粉末と、を有する混合粉末を焼成して形成されている熱処理容器が記載されている。

特許文献2には、スピネルを40質量%〜60質量%、コージェライトを20質量%〜40質量%、及びムライトを0質量%〜40質量%含有し、Al2O3成分を56質量%〜65質量%、MgO成分を14質量%〜23質量%、及びSiO2成分を15質量%〜25質量%含有し、Al2O3成分、MgO成分及びSiO2成分の合計が95質量%以上であり、気孔率が30%以下である匣鉢が記載されている。

概要

耐熱衝撃性と耐割れ性に優れたリチウム電池の正極活物質用熱処理容器を提供すること。 本発明のリチウム電池の正極活物質用熱処理容器2は、無機材料粉末と、無機材料粉末の質量を100質量部としたときに0.1〜1質量部の割合で、無機材料粉末の最大粒径の1.2〜5倍の繊維長をもつアルミナ長繊維と、の焼成体1よりなることを特徴とするリチウム電池の正極活物質用熱処理容器2。本発明の熱処理容器2は、無機材料粉末とアルミナ長繊維との焼成体1よりなることで、耐熱衝撃性と耐割れ性に優れた熱処理容器となる。

目的

本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、優れた耐反応性と耐熱衝撃性をもち、割れに対する抵抗(優れた耐割れ性)を兼ね備えたリチウム電池の正極活物質用熱処理容器を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

無機材料粉末と、該無機材料粉末の質量を100質量部としたときに0.1〜1質量部の割合で、該無機材料粉末の最大粒径の1.2〜5倍の繊維長をもつアルミナ長繊維と、の焼成体よりなることを特徴とするリチウム電池正極活物質用熱処理容器(2)。

請求項2

前記アルミナ長繊維は、1〜10mmの繊維長をもつ請求項1記載のリチウム電池の正極活物質用熱処理容器。

請求項3

前記無機材料は、アルミナムライトスピネルコージェライトより選ばれる1種以上である請求項1〜2のいずれか1項に記載のリチウム電池の正極活物質用熱処理容器。

技術分野

0001

本発明は、リチウム電池正極活物質を製造するときに用いるリチウム電池の正極活物質用熱処理容器に関する。

背景技術

0002

種々の化合物、特に無機系化合物熱処理工程を経て製造されている。熱処理(加熱)は、通常、耐熱性の熱処理容器に被熱処理化合物(無機系化合物やその原料)を配した状態で行われる。熱処理容器には、耐熱性だけでなく、被熱処理化合物に対して安定であることが求められている。

0003

上記の熱処理工程を経て製造される無機系化合物のひとつに、リチウムを含有する化合物がある。このリチウム含有化合物は、例えば、リチウム電池やリチウムイオン電池の正極活物質に用いられている、LiMnO2系化合物、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2系化合物、LiMn2O4系化合物、LiCoO2系化合物、LiNiO2系化合物、をあげることができる。以下、リチウム電池やリチウムイオン電池等のリチウム含有化合物を正極活物質に用いる電池をリチウム電池と総称する。

0004

リチウム電池の正極活物質(リチウム含有化合物)は、原料粉末焼成して製造される。このリチウム含有化合物の原料粉末の熱処理(焼成)は、一般的にアルミナムライトコージェライトスピネル等の耐熱性を備えた材質を主な構成成分として焼成された熱処理容器(熱処理容器,匣鉢)に収納して行われる。

0005

コージェライトは、高い耐熱衝撃性を有するため、繰り返しの熱処理での利用に効果を発揮する。しかし、コージェライトは、リチウム含有化合物との反応性が高く、反応によって、リチウムが熱処理容器に移動することによりリチウム含有化合物のリチウム濃度が低下することや、熱処理容器表層剥離によりリチウム含有化合物へ不純物混入するという問題があった。特に、リチウム電池の正極活物質においては、熱処理容器との反応によってリチウム電池の電池性能の低下を引き起こすおそれがある。

0006

スピネルは、リチウム含有化合物との反応性は低いが、熱膨張係数が高く、含有率が高くなるほど、熱衝撃による割れが生じやすくなるという問題があった。すなわち、短期昇降温の繰り返しで熱処理容器を使用できなくなる。この結果、スピネルの含有率を高くすることが困難となっていた。
このような熱処理容器は、例えば、特許文献1〜2に記載されている。

0007

特許文献1には、全体の質量を100%としたときに、5〜45%のアルミナ粉末と、0〜35%のムライト粉末と、5〜40%のコージェライト粉末と、5〜30%のスピネル粉末と、を有する混合粉末を焼成して形成されている熱処理容器が記載されている。

0008

特許文献2には、スピネルを40質量%〜60質量%、コージェライトを20質量%〜40質量%、及びムライトを0質量%〜40質量%含有し、Al2O3成分を56質量%〜65質量%、MgO成分を14質量%〜23質量%、及びSiO2成分を15質量%〜25質量%含有し、Al2O3成分、MgO成分及びSiO2成分の合計が95質量%以上であり、気孔率が30%以下である匣鉢が記載されている。

先行技術

0009

特開2014−227327号公報
特開2011−117663号公報

発明が解決しようとする課題

0010

従来の熱処理容器は、リチウム含有化合物との反応性が低い無機材料で形成することで、耐反応性を高めている。しかしながら、従来の熱処理容器では、繰り返し焼成を行うと耐熱衝撃性の低さから割れが発生するという問題があった。このため、熱処理容器には、繰り返しの使用によって発生する割れを抑えることが求められている。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、優れた耐反応性と耐熱衝撃性をもち、割れに対する抵抗(優れた耐割れ性)を兼ね備えたリチウム電池の正極活物質用熱処理容器を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0011

上記課題を解決するために熱処理容器について検討を重ねた結果、本発明を完成させた。

0012

本発明のリチウム電池の正極活物質用熱処理容器(以下、本発明の熱処理容器とも称する)は、無機材料粉末と、無機材料粉末の質量を100質量部としたときに0.1〜1質量部の割合で、無機材料粉末の最大粒径の1.2〜5倍の繊維長をもつアルミナ長繊維と、の焼成体よりなることを特徴とする。

0013

本発明の熱処理容器は、無機材料粉末とアルミナ長繊維と、の焼成体よりなることで、リチウム含有化合物に対する高い耐反応性や急激な昇降温に対する高い耐熱衝撃性を保持しながら、繰返しの熱衝撃による割れの発生を抑えるもの(耐割れ性にも優れた熱処理容器)となっている。

図面の簡単な説明

0014

実施形態の熱処理容器の焼成体の構造を模式的に示す拡大模式図である。
槽状の熱処理容器を示す斜視図である。

0015

以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、本発明は、各実施形態のみに限定されることなく、種々変形して実施することができる。
[実施形態]
本形態の熱処理容器は、無機材料粉末と、無機材料粉末の質量を100質量部としたときに0.1〜1質量部の割合で、無機材料粉末の最大粒径の1.2〜5倍の繊維長をもつアルミナ長繊維と、の焼成体よりなる。

0016

本形態の熱処理容器(の焼成体)を形成する無機材料粉末は、分子式にアルミナ(Al2O3)を含むセラミックス粉末よりなることが好ましい。このような無機材料粉末としては、アルミナ(Al2O3),ムライト(3Al2O3・2SiO2〜2Al2O3・SiO2),スピネル(Al2O3・MgO),コージェライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)より選ばれる1種以上のセラミックス粉末を挙げることができる。
無機材料粉末は、これらのセラミックス粉末のうち1種のセラミックス粉末よりなっていても、2種以上を混合していても、いずれでも良い。

0017

本形態の熱処理容器では、リチウム含有化合物の種類によって焼成体の組成(あるいは無機材料粉末)を使い分けることができる。反応性が高いリチウム含有化合物に対しては、耐反応性を発揮するスピネル粉末に、コージェライト粉末,アルミナ粉末及びムライト粉末を混合して成形、焼成してなる焼成体よりなるものを用いることが好ましい。また、反応性が低いリチウム含有化合物に対しては、耐熱衝撃性を高めるコージェライト粉末に、アルミナ粉末及びムライト粉末を混合した混合粉末の焼成体よりなるものを用いることが好ましい。これらのセラミックス粉末の混合粉末から製造された焼成体を用いることで、本形態の熱処理容器が耐反応性や耐熱衝撃性を有するようになる。

0018

本形態の熱処理容器を形成する焼成体は、500μm以上の粒子からなる粗粒部と、100μm以下の粒子の集合体からなるマトリックス部で構成されていることが好ましい。粗粒部は、リチウム含有化合物の侵食を抑える機能、または耐熱衝撃性を高める機能を発揮し、適宜無機材料粉末を選定できる。耐反応性が必要なら好ましくはスピネル、アルミナを選定し、耐熱衝撃性が必要なら好ましくはコージェライト、ムライトを選定する。マトリックス部は粗粒部の周りに存在し熱処理容器の強度を上げるためにあり、材質を限定するものではないが、好ましくはアルミナ、スピネルを選定する。

0019

粗粒部とマトリックス部は、焼成体の切断面に占める粗粒部の割合(切断面の面積中の粗粒部の面積の割合)が、20〜80%であることが好ましい。20%未満となると粗粒部を持つことの効果が十分に発揮できなくなり、80%を超えて大きくなるとマトリックス部が粗粒部の粒子の周りを囲うことができず強度が低くなる。好ましい粗粒部の割合は30〜70%であり、より好ましくは40〜70%である。

0020

本形態の熱処理容器の焼成体は、アルミナ長繊維を含有する。これにより、本形態の熱処理容器の耐熱衝撃性と耐割れ性が向上し、リチウム電池の正極活物質の合成に繰り返し利用できる。

0021

アルミナ長繊維は、公知のセラミック繊維アルミナ繊維)を用いることができ、例えば、アルミナが60%以上含まれる結晶質の繊維を用いることができる。アルミナ長繊維は、結晶層がアルミナもしくはムライトよりなり、一般的なサイズが、繊維径5〜30μm、長さ200μm以上の繊維である。

0022

本形態でのアルミナ長繊維は、無機材料粉末の最大粒径の1.2〜5倍の繊維長をもつ。アルミナ長繊維の繊維長が無機材料粉末の最大粒径よりも長くなることで、図1に模式図で焼成体1の微細構造を示したように、アルミナ長繊維12がマトリックス部11内もしくは粗粒部10の粒子の外周に沿って2つ以上のマトリックス部11の粒子を跨ぐように配置され、マトリックス部11内に発生した亀裂の進展や、粗粒部10とマトリックス部11の界面の亀裂の進展を止める構造となる。すなわち、熱衝撃を緩和する構造となる。繊維長が1.2倍未満では、2つのマトリックス部11の粒子を跨ぐようにアルミナ長繊維12が配置できないため熱衝撃の緩和が十分できず、耐割れ性が低下する。また、繊維長が5倍を超えて長くなると、アルミナ長繊維と無機材料粉末の均一な混合が難しくなり、成形性の低下につながる、もしくはアルミナ長繊維が塊を形成し、その塊が欠陥となり亀裂を発生させる原因になる。

0023

アルミナ長繊維は、無機材料粉末の質量を100質量部としたときに0.1〜1質量部の割合で、無機材料粉末に混合する。この割合でアルミナ長繊維が混合することで、アルミナ長繊維を添加する上記の効果を発揮できる。0.1質量部では、アルミナ長繊維の添加量が少なすぎ、添加の効果を発揮できない。また、1質量部を超えて多くなると、焼結体を形成するための成形体の成形性が低下する。

0024

アルミナ長繊維の繊維長は1〜10mmがよい。1mm以下の繊維長ではマトリックス部内の亀裂の進展を抑える効果が十分に発揮されず、10mm以上の繊維長では繊維同士が絡まりあい均一な混合ができず成形性の低下や亀裂の起因につながる。アルミナ長繊維の径については特に限定されるものではないが、市販されているあるいは公知の5〜30μmの長繊維を用いることができる。

0025

本形態の熱処理容器は、その気孔率が限定されるものではない。例えば、熱処理に使用したときに熱衝撃による割れやリチウム含有化合物の侵食が生じない程度に調整されていればよい。気孔率は、10〜40%であることが好ましく、25〜35%であることがより好ましい。気孔率がこれらの範囲より低くなると、熱衝撃による割れが発生しやすくなり、これらの範囲より高くなると、正極活物質が侵食し、熱処理容器と反応しやすくなり、熱処理容器の剥離による異物混入の原因となる。

0026

[製造方法]
本形態の熱処理容器は、その製造方法が限定されるものではないが、例えば、以下の製造方法を用いることができる。
まず、無機材料粉末と、アルミナ長繊維と、を所定の割合となるように量し、均一に混合する。無機材料粉末が複数のセラミックス粉末よりなる場合には、複数のセラミックス粉末を均一に混合した後にアルミナ長繊維を混合しても、複数のセラミックス粉末とアルミナ長繊維とを同時に混合しても、いずれでも良い。

0027

無機材料粉末とアルミナ長繊維との混合は、熱処理容器を製造したときに性質に影響を及ぼさない添加剤を添加していても良い。この添加剤としては、木節粘土蛙目粘土有機バインダ無機バインダをあげることができる。

0028

無機材料粉末とアルミナ長繊維との混合物に、成形及び焼成の各工程を施すことで、本形態の熱処理容器を製造できる。

0029

焼成は、その雰囲気が限定されるものではなく、酸化性ガス雰囲気下不活性ガス雰囲気下のいずれでも良く、大気雰囲気酸化性ガス雰囲気)で行うことが好ましい。
また、熱処理が行われるまえに、従来の成形体の焼成時に行われる乾燥工程や脱脂工程を施してもよい。

0030

[本形態の効果]
(第1の効果)
本形態の熱処理容器は、無機材料粉末と、無機材料粉末の質量を100質量部としたときに0.1〜1質量部の割合で、無機材料粉末の最大粒径の1.2〜5倍の繊維長をもつアルミナ長繊維と、の焼成体よりなる。
この構成によることで、本形態の熱処理容器は、耐反応性や耐熱衝撃性を持ち、耐割れ性にも優れた熱処理容器となる。

0031

(第2の効果)
本形態によると、アルミナ長繊維は、1〜10mmの繊維長をもつ。この構成となることで、熱衝撃緩和の効果を確実に発揮できる。

0032

(第3の効果)
本形態によると、無機材料は、アルミナ,ムライト,スピネル,コージェライトより選ばれる1種以上である。この構成となることで、上記の効果を確実に発揮できる。

0033

(その他の効果)
本形態の熱処理容器の焼成体は、耐反応性や耐熱衝撃性を付与する粗粒部、強度を向上させるマトリックス部、熱衝撃を緩和するアルミナ長繊維によって構成される。その結果、本形態の熱処理容器は、耐反応性や耐熱衝撃性を持ち、耐割れ性にも優れた熱処理容器となる。

0034

以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
本発明の実施例として、図2に示した槽状の熱処理容器(いわゆる、匣鉢)を製造した。図2に示した槽状の匣鉢は、上部に開口をもつ槽状部20と、槽状部20の開口を覆う蓋部材21と、を有する。なお、本実施例では、槽状の匣鉢を具体的に用いたが、熱処理時にリチウム電池の正極活物質を配する(保持する)ことができる形状であれば、その形状が特に限定されるものではない。例えば、リチウム電池の正極活物質の粉末をその上面に配する(保持する,固定する)略板状の形状(いわゆる、セッター),上方又は側方が開口した槽状(筒状)の形状,槽状(筒状)の開口を蓋部材で覆う閉鎖形状(いわゆる、匣鉢。),等の形状をあげることができる。
(実施例1)
無機材料粉末として、アルミナ粉末:40質量部、コージェライト粉末:20質量部、ムライト粉末:20質量部、スピネル粉末:20質量部を秤量する。JIS標準ふるい(JIS Z 8801)によりふるい分けされた粒度を用い、粗粒部は、公称目開き1.00mm−500μm(16−32メッシュ)の粒度を用いた。粒度分布測定装置マイクロトラックベル社製MT3300II)で測定した無機材料粉末の最大粒径は1mmであった。

0035

繊維長:1.5mmのアルミナ長繊維を、無機材料粉末の質量を100質量部としたときに0.2質量部となる割合で準備する。アルミナ長繊維の無機材料粉末の最大粒径に対する比は、1.5である。なお、アルミナ長繊維は、市販品(株式会社ニチビ製、商品名:ニチビアルフヤーン(繊維径)7μm)を所定の長さにカットしたチョップド品を用いた。
準備した無機材料粉末とアルミナ長繊維を、木節粘土、有機バインダを添加して均一に混合し、その後、水を添加して均一に混練する。

0036

混合物を20MPaの圧力で加圧して匣鉢形状に成形し、乾燥後、大気雰囲気1350℃で5時間保持で焼成し、本例の熱処理容器が製造された。

0037

本例の熱処理容器は、JIS R 2205に記載の測定方法で測定した気孔率が27.8%であった。JIS R 1601に記載の測定方法で測定した曲げ強度は6.9MPaであり、JIS R 1602の共振法に記載の測定方法で測定した弾性率は10.5GPaであった。

0038

(実施例2)
本例は、繊維長が2mmのアルミナ長繊維を用いたこと以外は実施例1と同様な熱処理容器である。アルミナ長繊維の無機材料粉末の最大粒径に対する比は、2である。
本例の熱処理容器は、気孔率が28.0%であり、曲げ強度が6.2MPaであり、弾性率が9.0GPaであった。

0039

(実施例3)
本例は、繊維長が3mmのアルミナ長繊維を用いたこと以外は実施例1と同様な熱処理容器である。アルミナ長繊維の無機材料粉末の最大粒径に対する比は、3である。
本例の熱処理容器は、気孔率が28.0%であり、曲げ強度が6.4MPaであり、弾性率が10.1GPaであった。

0040

(実施例4)
本例は、繊維長が5mmのアルミナ長繊維を用いたこと以外は実施例1と同様な熱処理容器である。アルミナ長繊維の無機材料粉末の最大粒径に対する比は、5である。
本例の熱処理容器は、気孔率が28.6%であり、曲げ強度が6.1MPaであり、弾性率が9.2GPaであった。

0041

(比較例1)
本例は、アルミナ長繊維を用いないこと以外は実施例1と同様な熱処理容器である。
本例の熱処理容器は、気孔率が26.0%であり、曲げ強度が8.4MPaであり、弾性率が11.8GPaであった。

0042

(比較例2)
本例は、繊維長が1mmのアルミナ長繊維を用いたこと以外は実施例1と同様な熱処理容器である。アルミナ長繊維の無機材料粉末の最大粒径に対する比は、1である。
本例の熱処理容器は、気孔率が26.3%であり、曲げ強度が8.9MPaであり、弾性率が14.2GPaであった。

0043

[評価]
各例の熱処理容器の評価として、耐熱衝撃性、熱衝撃損傷抵抗及び弾性率低下率の評価を下記の通り行った。評価結果を表1に示した。
また、各例の熱処理容器の製造時の成形性の評価も表1に合わせて示した。

0044

(耐熱衝撃性)
各例の熱処理容器(を形成する焼成体)を100×50×10mmの直方体ブロック状の試験片)に加工し、加熱炉内で大気雰囲気1000℃まで昇温(加熱)する。
炉内温度が1000℃で30分後、加熱炉から各例の熱処理容器を取り出し、温度15℃の水に投入して急冷水冷)する。
急冷後、クラックの有無を確認し、クラックが確認できなかった場合、試験片を100℃12時間乾燥後、再び加熱炉に入れる。

0045

この所定の加熱温度への昇温(加熱)と、水冷(急冷)を5回繰り返して、熱処理容器(ブロック状の試験片)の割れの有無を目視で観察した。表1には、割れの確認された回数を示した。なお、5回繰り返しても割れが確認できなかった例は、「5回以上」と表記した。

0046

(熱衝撃損傷抵抗)
熱衝撃損傷抵抗は、亀裂が発生した際の亀裂の進展を抑える指標となる値として知られている。この値が高いほど熱衝撃でクラックが発生した時に使用不可能となるほどの大きな亀裂を発生させにくいものとなる。熱衝撃損傷抵抗は、破壊エネルギーが材料間で差がないと仮定して、
R’’’=E/σ^2/(1−ν)
の式を用いて算出した。ここで、Eは弾性率、Σは曲げ応力、νはポアソン比である。

0047

(弾性率低下率)
弾性率低下率は、耐熱衝撃試験によって発生する目視では確認できないマイクロクラックの存在を、弾性率の低下によって評価する。弾性率の低下が大きいほど(弾性率低下率が小さいほど)マイクロクラックが多く発生していると推測できる。
弾性率低下率の値は、耐熱衝撃試験前後に共振法により弾性率を測定し、(試験後の弾性率)/(試験前の弾性率)から弾性率低下率を算出した。

0048

(成形性)
成形性の評価は、プレス成形時に側面上部まで均等に原料が上がって成形されていることを確認するもので、匣鉢形状の底部と側面部の曲げ強度を測定し、底部に対し側面部の曲げ強度が80%以上を合格、以下を不合格とする。評価結果は、合格を○、不合格を△、成形後に形を保てなかったものを×で、それぞれ表記した。

0049

0050

表1に示したように、各例の熱処理容器は、同等の気孔率を備えている。
その上で、各実施例の熱処理容器は、各比較例の熱処理容器と比較して、弾性率が低く、所定量のアルミナ長繊維を入れることによって熱処理容器の柔軟性が向上している。また、各実施例の熱処理容器は、同時に強度が低下しているため熱衝撃抵抗が上昇したとは解釈しにくい。しかしながら、耐熱衝撃試験ではアルミナ長繊維が含まれていない比較例1が4回、アルミナ長繊維の繊維長が短い比較例2が5回で割れが確認されたのに対し、最大粒径よりも長い繊維長のアルミナ長繊維を用いた各実施例では5回の熱衝撃を繰り返しても割れが確認できなかった。これは所定のアルミナ長繊維が熱衝撃を緩和しているためと考えられる。また各実施例は比較例に比べ熱衝撃抵抗係数が高いため、熱衝撃により小さなクラックが発生しても、アルミナ長繊維がマトリックス部内もしくは粗粒外周に沿って2つ以上のマトリックスを跨ぐように配置されているためクラックを進展させにくい構造となっていると考えられる。
このことは、弾性率低下率の結果からも同様である。
以上のように、各実施例の熱処理容器は、耐熱衝撃性と耐割れ性に優れていることが確認できる。

0051

(実施例5)
無機材料粉末として、アルミナ粉末:20質量部、コージェライト粉末:40質量部、ムライト粉末:30質量部、粘土鉱物カオリン)粉末:10質量部を秤量・準備する。粗粒部は、公称目開き2.36mm〜1.00mm(8〜16メッシュ)の粒度を用いた。粒度分布測定装置で測定した無機材料粉末の最大粒径は2.5mmであった。

0052

繊維長:3mmのアルミナ長繊維を、無機材料粉末の質量を100質量部としたときに0.2質量部となる割合で準備する。アルミナ長繊維は、繊維長が異なること以外は実施例1と同様である。アルミナ長繊維の無機材料粉末の最大粒径に対する比は、1.2である。
その後、実施例1と同様にして、無機材料粉末とアルミナ長繊維を、混合・混練・成形(乾燥)・焼成して本例の熱処理容器が製造された。
本例の熱処理容器は、気孔率が29.0%であり、曲げ強度が7.3MPaであり、弾性率が13.4GPaであった。

0053

(実施例6)
本例は、繊維長が5mmのアルミナ長繊維を用いたこと以外は実施例5と同様な熱処理容器である。アルミナ長繊維の無機材料粉末の最大粒径に対する比は、2である。
本例の熱処理容器は、気孔率が29.6%であり、曲げ強度が7.2MPaであり、弾性率が12.8GPaであった。

0054

(実施例7)
本例は、繊維長が10mmのアルミナ長繊維を用いたこと以外は実施例5と同様な熱処理容器である。アルミナ長繊維の無機材料粉末の最大粒径に対する比は、4である。
本例の熱処理容器は、気孔率が30.6%であり、曲げ強度が6.5MPaであり、弾性率が10.5GPaであった。

0055

(比較例3)
本例は、アルミナ長繊維を用いないこと以外は実施例5と同様な熱処理容器である。
本例の熱処理容器は、気孔率が27.6%であり、曲げ強度が9.1MPaであり、弾性率が14.7GPaであった。

0056

(比較例4)
本例は、繊維長が2mmのアルミナ長繊維を用いたこと以外は実施例5と同様な熱処理容器である。アルミナ長繊維の無機材料粉末の最大粒径に対する比は、0.8である。
本例の熱処理容器は、気孔率が29.2%であり、曲げ強度が7.6MPaであり、弾性率が11.9GPaであった。

0057

(比較例5)
本例は、繊維長が15mmのアルミナ長繊維を用いたこと以外は実施例5と同様な熱処理容器である。アルミナ長繊維の無機材料粉末の最大粒径に対する比は、6である。
本例の熱処理容器は、気孔率が35.2%であり、曲げ強度が5.2MPaであり、弾性率が5.5GPaであった。

0058

[評価]
各例の熱処理容器の評価として、耐熱衝撃性、熱衝撃損傷抵抗、弾性率低下率及び成形性の評価を上記と同様に行った。評価結果を表2に示す。

0059

0060

表1の結果と同様に、無機材料粉末の最大粒径が変わってもアルミナ長繊維が最大粒径よりも長い各実施例では耐熱衝撃性、熱衝撃損傷抵抗が高く弾性率の低下も小さいので耐熱衝撃性、耐割れ性に優れていることが確認できる。
アルミナ長繊維を含まない比較例3では比較例1と同様熱衝撃を緩和できていないことがわかる。比較例4は熱衝撃損傷抵抗が高く弾性率低下が小さいが、繊維長が短いため熱衝撃の緩和が十分できていないと考えられる。

0061

また、繊維長が過剰に長いアルミナ長繊維を用いた比較例5では、側面の曲げ強度が低く成形性が△と低下している。これに対し、各実施例では、いずれも○と評価している。このことから、アルミナ長繊維の繊維長が過剰に長くなると、繊維同士が絡まる、塊となることで成形性が低下することがわかる。

0062

(実施例8)
本例は、アルミナ長繊維の含有割合を0.1質量部としたこと以外は実施例5と同様な熱処理容器である。アルミナ長繊維の無機材料粉末の最大粒径に対する比は、1.2である。
本例の熱処理容器は、気孔率が29.2%であり、曲げ強度が7.6MPaであり、弾性率が13.3GPaであった。

0063

(実施例9)
本例は、アルミナ長繊維の含有割合を0.5質量部としたこと以外は実施例5と同様な熱処理容器である。
本例の熱処理容器は、気孔率が32.3%であり、曲げ強度が6.2MPaであり、弾性率が12.5GPaであった。

0064

(実施例10)
本例は、アルミナ長繊維の含有割合を1質量部としたこと以外は実施例5と同様な熱処理容器である。
本例の熱処理容器は、気孔率が35.0%であり、曲げ強度が5.6MPaであり、弾性率が11.8GPaであった。

0065

(比較例6)
本例は、アルミナ長繊維の含有割合を2質量部としたこと以外は実施例5と同様な熱処理容器である。
本例の熱処理容器は、気孔率が48.5%であり、曲げ強度が4.8MPaであり、弾性率が9.6GPaであった。

0066

(比較例7)
本例は、アルミナ長繊維の含有割合を0.05質量部としたこと以外は実施例5と同様な熱処理容器である。
本例の熱処理容器は、気孔率が28.2%であり、曲げ強度が8.6MPaであり、弾性率が14.6GPaであった。

0067

[評価]
各例の熱処理容器の評価として、耐熱衝撃性、熱衝撃損傷抵抗、弾性率低下率及び成形性の評価を上記と同様に行った。評価結果を表3に示す。表3には、実施例5と、アルミナ長繊維を含まないこと以外は実施例5と同様な比較例3も合わせて示した。

0068

0069

各実施例では耐熱衝撃性が高く、弾性率の低下も少ないため、アルミナ長繊維の含有割合が0.1質量部から1質量部の範囲では耐熱衝撃性に優れていることがわかる。また、熱衝撃損傷抵抗はアルミナ長繊維含有割合が増えるほど大きくなり、アルミナ長繊維の量が増えるほど耐割れ性が強くなる。
しかし、比較例6でアルミナ長繊維を2質量部の場合、熱衝撃損傷抵抗は高くなるもののアルミナ長繊維で原料のかさが増えることにより、成形性が低下することと、アルミナ長繊維が分散されず塊が増えることでその部分が欠陥となり強度、耐熱衝撃性が低下する。また気孔率も48.5%と非常に高く、リチウム含有化合物の侵食が大きくなる。
したがってアルミナ長繊維の含有割合が過剰に多くなると熱処理容器としての機能を果たせないことがわかる。

実施例

0070

対して、比較例7でアルミナ長繊維含有割合を0.05質量部の場合熱衝撃損傷抵抗、弾性率低下率ともに低下し、耐熱衝撃性テストは4回で割れる結果となったことから、含有量が少ない場合は、熱衝撃の緩和や割れの進展を抑えるアルミナ長繊維の効果が小さくなることがわかる。アルミナ長繊維がない比較例3も同様である。
以上のように、各実施例の焼成治具は、耐熱衝撃性、耐割れ性に優れていることが確認できる。

0071

1:焼成体10:粗粒部
11:マトリックス部 12:アルミナ長繊維
2:熱処理容器
20:槽状部 21:蓋部材

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