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技術 ハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両システム

出願人 株式会社SUBARU
発明者 家邊裕文田中悠一
出願日 2016年3月29日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-066476
公開日 2017年10月5日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2017-177976
状態 特許登録済
技術分野 ハイブリッド電気車両
主要キーワード 電磁波センサ 左右一組 シングルモ 加速応答 相対速 モータ制御ユニット 伝達クラッチ ハイブリッド車両システム
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

車両の駆動力を生成可能な2つのモータジェネレータを備えるハイブリッド車両において、それぞれのモータジェネレータの出力範囲を有効利用可能なハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両システムを提供する。

解決手段

ハイブリッド車両の制御装置は、車両の要求駆動力を算出する要求駆動力算出部と、算出された車両の要求駆動力に基づいて、第1のモータジェネレータ及び第2のモータジェネレータのうちの少なくとも一方により車両を駆動させるEV走行モード、又は、第2のモータジェネレータ及びエンジンにより車両を駆動させるハイブリッド走行モード切り替えながら車両を駆動させる駆動制御部と、を備え、駆動制御部は、車両の要求駆動力の予測が可能な期間、第1のモータジェネレータ及び第2のモータジェネレータにより車両を駆動させるツインモータEV走行モードで車両を駆動させる。

概要

背景

車両の駆動源として、エンジン及び駆動モータを備えたハイブリッド車両が知られている。従来のハイブリッド車両では、モータEV走行モードハイブリッド走行モードとを切り替えながら、車両の駆動制御が行われている。モータEV走行モードは、例えば、車両の要求駆動力が小さい領域において、駆動モータから出力されるトルクにより車両を駆動させるモードである。また、ハイブリッド走行モードは、例えば、要求駆動力が大きい領域においてエンジンから出力されるトルクを駆動モータから出力されるトルクにより補助しながら車両を駆動させるモードである。

また、特許文献1には、エンジンと、第1のモータジェネレータと、第2のモータジェネレータと、駆動輪とが、この順に直列に配列されたハイブリッド車両が開示されている。かかるハイブリッド車両では、バッテリ残存容量(SOC:State Of Charge)が十分にあり、第2のモータジェネレータがトルクを出力できる状態になっており、かつ、エンジンを停止してもよい状態になっている場合に、第2のモータジェネレータによるシングルモータEV走行モード、又は、第1のモータジェネレータ及び第2のモータジェネレータによって車両を駆動させるツインモータEV走行モードが実行されることが記載されている。

概要

車両の駆動力を生成可能な2つのモータジェネレータを備えるハイブリッド車両において、それぞれのモータジェネレータの出力範囲を有効利用可能なハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両システムを提供する。ハイブリッド車両の制御装置は、車両の要求駆動力を算出する要求駆動力算出部と、算出された車両の要求駆動力に基づいて、第1のモータジェネレータ及び第2のモータジェネレータのうちの少なくとも一方により車両を駆動させるEV走行モード、又は、第2のモータジェネレータ及びエンジンにより車両を駆動させるハイブリッド走行モードに切り替えながら車両を駆動させる駆動制御部と、を備え、駆動制御部は、車両の要求駆動力の予測が可能な期間、第1のモータジェネレータ及び第2のモータジェネレータにより車両を駆動させるツインモータEV走行モードで車両を駆動させる。

目的

本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

車両の駆動力を生成するエンジンを制御するエンジン制御部と、エンジンクラッチを介して前記エンジンに連設された第1のモータジェネレータ、及び、伝達クラッチを介して前記第1のモータジェネレータに連設された第2のモータジェネレータを制御するモータ制御部と、前記エンジンクラッチ及び前記伝達クラッチの断接を制御するクラッチ制御部と、前記車両の要求駆動力を算出する要求駆動力算出部と、算出された前記車両の要求駆動力に基づいて、前記第1のモータジェネレータ及び前記第2のモータジェネレータのうちの少なくとも一方により前記車両を駆動させるEV走行モード、又は、前記第1のモータジェネレータ及び前記第2のモータジェネレータのうちの少なくとも一方並びに前記エンジンにより前記車両を駆動させるハイブリッド走行モード切り替えながら前記車両を駆動させる駆動制御部と、を備え、前記駆動制御部は、前記車両の要求駆動力の予測が可能な期間には、前記第1のモータジェネレータ及び前記第2のモータジェネレータにより前記車両を駆動させるツインモータEV走行モードで前記車両を駆動させる、ハイブリッド車両制御装置

請求項2

前記駆動制御部は、前記車両の速度を一定に維持させる制御、又は、前記車両を先行車両追従させる制御の実行中に前記ツインモータEV走行モードで前記車両を駆動させる、請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。

請求項3

前記駆動制御部は、前記ツインモータEV走行モードで前記車両が駆動されている間に、前記車両の要求駆動力が増大すると予測される場合に、前記エンジンを始動させて前記ハイブリッド走行モードに切り替える、請求項1又は2に記載のハイブリッド車両の制御装置。

請求項4

前記駆動制御部は、ウィンカ作動状態アクセルペダル操作量及びステアリングホイール舵角のうちの少なくとも一つの情報に基づいて前記ツインモータEV走行モードを解除する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。

請求項5

前記駆動制御部は、前記第2のモータジェネレータによるシングルモータEV走行モードにおいては前記伝達クラッチを開放させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。

請求項6

前記駆動制御部は、前記ツインモータEV走行モードにおいては、前記エンジンクラッチを開放させ、かつ、前記伝達クラッチを締結させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。

請求項7

前記駆動制御部は、前記ハイブリッド走行モードにおいては、前記エンジンクラッチ及び前記伝達クラッチを締結させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。

請求項8

前記駆動制御部は、前記ツインモータEV走行モードで前記車両が駆動されている間に前記エンジンを始動させる場合において、前記車両が中速域以下で走行しているときには前記伝達クラッチを締結したまま前記エンジンクラッチを締結させることにより前記エンジンのクランクシャフトを回転させて前記エンジンを始動させる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。

請求項9

前記駆動制御部は、前記ツインモータEV走行モードで前記車両が駆動されている間に前記エンジンを始動させる場合において、前記車両が高車速域で走行しているときには前記伝達クラッチを締結したまま前記エンジンクラッチを開放し続け、スタータモータにより前記エンジンのクランクシャフトを回転させて前記エンジンを始動させる、請求項1〜8のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。

請求項10

車両の駆動力を生成するエンジンと、エンジンクラッチを介して前記エンジンに連設された第1のモータジェネレータと、伝達クラッチを介して前記第1のモータジェネレータに連設された第2のモータジェネレータと、前記エンジンを制御するエンジン制御部と、前記第1のモータジェネレータ及び前記第2のモータジェネレータを制御するモータ制御部と、前記エンジンクラッチ及び前記伝達クラッチの断接を制御するクラッチ制御部と、前記車両の要求駆動力を算出する要求駆動力算出部と、算出された前記車両の要求駆動力に基づいて、前記第1のモータジェネレータ及び前記第2のモータジェネレータのうちの少なくとも一方により前記車両を駆動させるEV走行モード、又は、前記第1のモータジェネレータ及び前記第2のモータジェネレータのうちの少なくとも一方並びに前記エンジンにより前記車両を駆動させるハイブリッド走行モードに切り替えながら前記車両を駆動させる駆動制御部と、を備え、前記駆動制御部は、前記車両の要求駆動力の予測が可能な期間には、前記第1のモータジェネレータ及び前記第2のモータジェネレータにより前記車両を駆動させるツインモータEV走行モードで前記車両を駆動させる、ハイブリッド車両システム

技術分野

背景技術

0002

車両の駆動源として、エンジン及び駆動モータを備えたハイブリッド車両が知られている。従来のハイブリッド車両では、モータEV走行モードハイブリッド走行モードとを切り替えながら、車両の駆動制御が行われている。モータEV走行モードは、例えば、車両の要求駆動力が小さい領域において、駆動モータから出力されるトルクにより車両を駆動させるモードである。また、ハイブリッド走行モードは、例えば、要求駆動力が大きい領域においてエンジンから出力されるトルクを駆動モータから出力されるトルクにより補助しながら車両を駆動させるモードである。

0003

また、特許文献1には、エンジンと、第1のモータジェネレータと、第2のモータジェネレータと、駆動輪とが、この順に直列に配列されたハイブリッド車両が開示されている。かかるハイブリッド車両では、バッテリ残存容量(SOC:State Of Charge)が十分にあり、第2のモータジェネレータがトルクを出力できる状態になっており、かつ、エンジンを停止してもよい状態になっている場合に、第2のモータジェネレータによるシングルモータEV走行モード、又は、第1のモータジェネレータ及び第2のモータジェネレータによって車両を駆動させるツインモータEV走行モードが実行されることが記載されている。

先行技術

0004

特開2015−20486号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ここで、特許文献1に記載されたハイブリッド車両では、ツインモータEV走行モードにおいて第1のモータジェネレータと第2のモータジェネレータとの間の伝達クラッチ締結されている。このため、ツインモータEV走行モードからエンジンを用いて走行するモードに移行する際に、エンジンの始動時に発生するクランキング振動によってドライバが違和感を覚えるおそれがある。これを解消するために、当該伝達クラッチを開放した上でエンジンを始動させようとした場合には、伝達クラッチを開放することによる駆動力の変化や、エンジン走行モードに切り替えられるまでの加速応答遅れが生じたりするおそれがある。そのため、領域を限定してツインモータEV走行モードの領域を設定する必要があり、本来モータジェネレータが実現可能な出力範囲を十分に使いきれないと考えられる。

0006

本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、車両の駆動力を生成可能な2つのモータジェネレータを備えるハイブリッド車両において、それぞれのモータジェネレータの出力範囲を有効利用可能な、新規かつ改良されたハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両システムを提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、車両の駆動力を生成するエンジンを制御するエンジン制御部と、エンジンクラッチを介してエンジンに連設された第1のモータジェネレータ、及び、伝達クラッチを介して第1のモータジェネレータに連設された第2のモータジェネレータを制御するモータ制御部と、エンジンクラッチ、及び、伝達クラッチの断接を制御するクラッチ制御部と、車両の要求駆動力を算出する要求駆動力算出部と、算出された車両の要求駆動力に基づいて、第1のモータジェネレータ及び第2のモータジェネレータのうちの少なくとも一方により車両を駆動させるEV走行モード、又は、第2のモータジェネレータ及びエンジンにより車両を駆動させるハイブリッド走行モードに切り替えながら車両を駆動させる駆動制御部と、を備え、駆動制御部は、車両の要求駆動力の予測が可能な期間、第1のモータジェネレータ及び第2のモータジェネレータにより車両を駆動させるツインモータEV走行モードで車両を駆動させる、ハイブリッド車両の制御装置が提供される。

0008

駆動制御部は、車両の速度を一定に維持させる制御、又は、車両を先行車両追従させる制御の実行中にツインモータEV走行モードで車両を駆動させてもよい。

0009

駆動制御部は、ウィンカ作動状態アクセルペダル操作量及びステアリングホイール舵角のうちの少なくとも一つの情報に基づいてツインモータEV走行モードを解除してもよい。

0010

駆動制御部は、ツインモータEV走行モードで車両が駆動されている間に、車両の要求駆動力が増大すると予測される場合に、エンジンを始動させてハイブリッド走行モードに切り替えてもよい。

0011

駆動制御部は、第2のモータジェネレータによるシングルモータEV走行モードにおいては伝達クラッチを開放させてもよい。

0012

駆動制御部は、ツインモータEV走行モードにおいては、エンジンクラッチを開放させ、かつ、伝達クラッチを締結させてもよい。

0013

駆動制御部は、ハイブリッド走行モードにおいては、エンジンクラッチ及び伝達クラッチを締結させてもよい。

0014

駆動制御部は、ツインモータEV走行モードで車両が駆動されている間にエンジンを始動させる場合において、車両が中速域以下で走行しているときには伝達クラッチを締結したままエンジンクラッチを締結させることによりエンジンのクランクシャフトを回転させてエンジンを始動させてもよい。

0015

駆動制御部は、ツインモータEV走行モードで車両が駆動されている間にエンジンを始動させる場合において、車両が高車速域で走行しているときには伝達クラッチを締結したままエンジンクラッチを開放し続け、スタータモータによりクランクシャフトを回転させてエンジンを始動させてもよい。

0016

また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、車両の駆動力を生成するエンジンと、エンジンクラッチを介してエンジンに連設された第1のモータジェネレータと、伝達クラッチを介して第1のモータジェネレータに連設された第2のモータジェネレータと、エンジンを制御するエンジン制御部と、第1のモータジェネレータ及び第2のモータジェネレータを制御するモータ制御部と、エンジンクラッチ及び伝達クラッチの断接を制御するクラッチ制御部と、車両の要求駆動力を算出する要求駆動力算出部と、算出された車両の要求駆動力に基づいて、第1のモータジェネレータ及び第2のモータジェネレータのうちの少なくとも一方により車両を駆動させるEV走行モード、又は、第1のモータジェネレータ及び第2のモータジェネレータのうちの少なくとも一方並びにエンジンにより車両を駆動させるハイブリッド走行モードに切り替えながら車両を駆動させる駆動制御部と、を備え、駆動制御部は、車両の要求駆動力の予測が可能な期間には、第1のモータジェネレータ及び第2のモータジェネレータにより車両を駆動させるツインモータEV走行モードで車両を駆動させる、ハイブリッド車両システムが提供される。

発明の効果

0017

以上説明したように本発明によれば、車両の駆動力を生成可能な2つのモータジェネレータを備えるハイブリッド車両システムにおいて、それぞれのモータジェネレータの出力範囲を有効利用することができる。

図面の簡単な説明

0018

本発明の実施の形態にかかるハイブリッド車両の駆動系のシステム構成例を示すブロック図である。
同実施形態にかかるハイブリッド車両の走行モードの一例を示す説明図である。
同実施形態にかかるハイブリッド車両の制御装置の構成例を示すブロック図である。
車両の要求駆動力が予測できない場合に走行モードの選択のために使用される第1のマップを示す説明図である。
車両の要求駆動力が予測できる場合に走行モードの選択のために使用される第2のマップを示す説明図である。
走行モードの選択のために使用されるマップを選択する処理を示すフローチャートである。
車両の要求駆動力が予測できない場合の処理を示すフローチャートである。
車両の要求駆動力が予測できる場合の処理を示すフローチャートである。
ツインモータEV走行モード中のエンジンの始動方法を示すフローチャートである。
変形例にかかるハイブリッド車両の駆動系のシステム構成例を示すブロック図である。

実施例

0019

以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。

0020

<1.ハイブリッド車両システムの基本構成
まず、図1を参照して、本発明の実施の形態にかかるハイブリッド車両の制御装置が適用され得るハイブリッド車両の駆動系1の基本構成について説明する。

0021

図1は、ハイブリッド車両の駆動系1を示している。かかる駆動系1は、エンジン10と、第1のモータジェネレータ20と、第2のモータジェネレータ24とを備え、エンジン10、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24を駆動源として併用可能なパワーユニットである。かかる駆動系1では、走行モードが、エンジン走行モードと、シングルモータEV走行モードと、ツインモータEV走行モードと、ハイブリッド走行モードとで切り替えられながら、車両の駆動力制御が行われる。

0022

エンジン走行モードは、エンジン10から出力されるトルクにより車両を駆動するモードである。シングルモータEV走行モードは、第2のモータジェネレータ24から出力されるトルクにより車両を駆動するモードである。ツインモータEV走行モードは、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24から出力されるトルクにより車両を駆動するモードである。ハイブリッド走行モードは、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24のうちの少なくとも一方から出力されるトルクと、エンジン10から出力されるトルクとにより車両を駆動するモードである。以下、シングルモータEV走行モード及びツインモータEV走行モードを総称して、EV走行モードともいう。

0023

エンジン10は、ガソリン等を燃料としてトルクを生成する内燃機関であり、出力軸としてのクランクシャフト11を有する。クランクシャフト11は、自動変速装置30内に延設されている。また、クランクシャフト11には、ギヤ式のオイルポンプ15が連結されている。かかるオイルポンプ15は、図示しない車軸CVT31のプライマリ軸34又はセカンダリ軸36に対して、図示しないギヤ機構を介して連結されていてもよい。オイルポンプ15が車軸に対して連結されている場合、駆動輪(車輪)80の回転によってもオイルポンプ15が駆動され得る。オイルポンプ15がプライマリ軸34又はセカンダリ軸36に対して連結されている場合、第2の伝達クラッチ46が締結されている間、駆動輪80の回転によってもオイルポンプ15が駆動され得る。オイルポンプ15は、エンジン10の出力トルク又は駆動輪80の回転により駆動されて、自動変速装置30に向けて作動油を供給する。自動変速装置30に供給される作動油は、CVT31及び各クラッチを作動させる作動油として用いられる。自動変速装置30は、第1のモータジェネレータ20と、第2のモータジェネレータ24と、自動変速機としての無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)31とを備える。

0024

エンジン10と第1のモータジェネレータ20とはエンジンクラッチ42を介して直列的に配列される。エンジン10のクランクシャフト11と、第1のモータジェネレータ20のモータ軸21との間には、クランクシャフト11とモータ軸21との間を締結又は開放するエンジンクラッチ42が設けられている。エンジンクラッチ42が締結状態にあるときに、クランクシャフト11とモータ軸21との間で動力を伝達することができる。

0025

第1のモータジェネレータ20は、例えば、三相交流式のモータであり、インバータ70を介して高電圧バッテリ50に接続されている。高電圧バッテリ50は、例えば定格電圧が200Vの充放電可能なバッテリである。第1のモータジェネレータ20は、高電圧バッテリ50の電力を用いて駆動(力行駆動)されて車両の駆動力を生成する駆動モータとしての機能と、エンジン10のトルクを用いて駆動されて発電する発電機としての機能と、車両の減速時に回生駆動されて車両の制動力回生して発電する発電機としての機能とを有する。さらに、第1のモータジェネレータ20は、エンジン10を始動又は停止させるスタータモータとしての機能と、モータ軸21に連結されたオイルポンプ28を回転駆動させるモータとしての機能とを併せ持つ。

0026

第1のモータジェネレータ20をスタータモータ、駆動モータ又はオイルポンプ28の駆動モータとして機能させる場合、インバータ70は、高電圧バッテリ50から供給される直流電力交流電力に変換し、第1のモータジェネレータ20を駆動する。また、第1のモータジェネレータ20を発電機として機能させる場合、インバータ70は、第1のモータジェネレータ20で発電された交流電力を直流電力に変換して高電圧バッテリ50に充電する。

0027

上述のとおり、本実施形態にかかる駆動系1では、トルクコンバータではなく、エンジンクラッチ42を介して、クランクシャフト11とモータ軸21との間で動力の伝達が行われる。このため、第1のモータジェネレータ20を駆動モータとして機能させる場合に、第1のモータジェネレータ20とエンジン10とを完全に切り離すことにより、第1のモータジェネレータ20からの出力トルクがエンジン10で消費されることがなく、第1のモータジェネレータ20の効率の低下を抑制することができる。

0028

第1のモータジェネレータ20のモータ軸21には、ギヤ式のオイルポンプ28が組み付けられている。オイルポンプ28は、エンジン10の回転、又は、第1のモータジェネレータ20の回転に伴ってモータ軸21が回転することによって駆動され、CVT31及び各クラッチに向けて作動油を供給する。かかるオイルポンプ28は、第1のモータジェネレータ20により駆動される電動オイルポンプとして構成される。また、第1のモータジェネレータ20のモータ軸21は、第1の伝達クラッチ44を介して、CVT31のプライマリ軸34に連設されている。第1の伝達クラッチ44は、モータ軸21とプライマリ軸34との間を締結又は開放する。第1の伝達クラッチ44が締結状態にあるときに、モータ軸21とプライマリ軸34との間で動力を伝達することができる。

0029

CVT31は、プライマリ軸34と、当該プライマリ軸34に平行に配設されたセカンダリ軸36とを有する。プライマリ軸34にはプライマリプーリ33が固定され、セカンダリ軸36にはセカンダリプーリ35が固定されている。プライマリプーリ33及びセカンダリプーリ35には、ベルト又はチェーンからなる巻き掛け式の動力伝達部材37が卷回されている。CVT31は、プライマリプーリ33及びセカンダリプーリ35上での動力伝達部材37の巻き掛け半径を変化させてプーリ比を変化させることにより、プライマリ軸34とセカンダリ軸36との間において、任意の変速比で変換したトルクを伝達する。

0030

セカンダリ軸36は、第2の伝達クラッチ46を介して、第2のモータジェネレータ24のモータ軸25に連設されている。第2の伝達クラッチ46は、セカンダリ軸36とモータ軸25との間を締結又は開放する。第2の伝達クラッチ46が締結状態にあるときに、セカンダリ軸36とモータ軸25との間で動力を伝達することができる。第2のモータジェネレータ24のモータ軸25は、図示しない減速ギヤ及び駆動軸を介して駆動輪80に連設され、モータ軸25を介して出力されるトルクが駆動輪80に伝達可能になっている。モータ軸25が、図示しないデファレンシャルギヤに接続され、トルクが前輪及び後輪分配されてもよい。

0031

第2のモータジェネレータ24は、エンジンクラッチ42、第1の伝達クラッチ44及び第2の伝達クラッチ46を介してエンジン10に連設されている。本実施形態にかかる駆動系1では、第2のモータジェネレータ24は、第2の伝達クラッチ46及びCVT31を介して第1のモータジェネレータ20に連設されている。第2のモータジェネレータ24は、第1のモータジェネレータ20と同様、三相交流式のモータであり、インバータ70を介して高電圧バッテリ50に接続されている。第2のモータジェネレータ24は、高電圧バッテリ50の電力を用いて駆動(力行駆動)されて車両の駆動力を生成する駆動モータとしての機能と、車両の減速時に回生駆動されて車両の制動力を回生して発電する発電機としての機能とを有する。

0032

第2のモータジェネレータ24を駆動モータとして機能させる場合、インバータ70は、高電圧バッテリ50から供給される直流電力を交流電力に変換し、第2のモータジェネレータ24を駆動する。また、第2のモータジェネレータ24を発電機として機能させる場合、インバータ70は、第2のモータジェネレータ24で発電された交流電力を直流電力に変換して高電圧バッテリ50に充電する。第2のモータジェネレータ24の定格出力と第1のモータジェネレータ20の定格出力とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。

0033

エンジン10は、エンジン制御ユニット(エンジンECU)200により制御される。自動変速装置30は、トランスミッション制御ユニットトランスミッションECU)300により制御される。第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24は、モータ制御ユニット(モータECU)400により制御される。高電圧バッテリ50は、バッテリ制御ユニット(バッテリECU)500により制御される。また、本実施形態にかかるハイブリッド車両システムは、車両の前方を撮像するための一対のステレオカメラ5a,5bを制御するためのカメラECU600を備える。

0034

これらのエンジンECU200、トランスミッションECU300、モータECU400、バッテリECU500、及び、カメラECU600は、システム全体を統合的に制御するハイブリッド制御ユニットハイブリッドECU)100に接続されている。ハイブリッドECU100は、エンジンECU200、トランスミッションECU300、モータECU400、及び、バッテリECU500等に制御指令を出力し、車両の走行制御、あるいは、高電圧バッテリ50の充電制御を行う。

0035

それぞれのECUは、マイクロコンピュータをはじめとして各種インタフェース又は周辺機器等を備えて構成される。それぞれのECUは、例えばCAN(Controller Area Network)等の通信ラインを介して双方向通信可能に接続され、制御情報制御対象に関連する各種の情報を相互に通信する。以下、それぞれのECUの機能の概略について説明する。

0036

カメラECU600は、ステレオカメラ5a,5bから入力される撮像情報に基づき、先行車両、歩行者障害物道路標識又は車線の検出、自車両と先行車両等との間の距離の算出、及び、自車両と先行車両との相対速度Vdの算出等の処理を行う。ステレオカメラ5a,5bは、例えば、電荷結合素子(CCD)等の固体撮像素子を用いた左右一組CCDカメラからなる。これらの左右一組のステレオカメラ5a,5bが、例えば車室内天井の前方に所定の間隔をもって取り付けられ、車両の前方をステレオ撮像する。ステレオカメラ5a,5bとカメラECU600は、一体化されたユニットとして構成されてもよい。

0037

カメラECU600は、自車両の前方を撮影した1組のステレオ画像対をステレオカメラ5a,5bから取得し、対応する位置のずれ量から三角測量の原理によって距離情報を生成する。また、カメラECU600は、生成した距離情報に基づいて先行車両等を検出する。あるいは、カメラECU600は、ステレオカメラ5a,5bから取得したステレオ画像を画像処理することにより先行車両等を検出してもよい。先行車両等が検出された場合、カメラECU600は、生成した距離情報に基づいて、自車両と先行車両との車間距離D、自車両と先行車両との相対速度Vd等を算出する。以下、カメラECU600により算出された各種の情報を、「車両前方情報」とも言う。

0038

なお、「車両前方情報」を取得する装置は、ステレオカメラ5a,5bを用いたカメラECU600に限られない。例えば、ステレオカメラの代わりに単眼カメラが用いられてもよい。また、カメラを用いずに、あるいは、カメラと併せて、電磁波センサレーダセンサ車車間通信装置を用いた制御装置により車両前方情報が取得されてもよい。

0039

バッテリECU500は、高電圧バッテリ50の残存容量SOC(State Of Charge)やセル温度セル電圧出力電圧等の情報を取得し、高電圧バッテリ50の状態を管理する。

0040

エンジンECU200は、ハイブリッドECU100からの制御指令を受け、エンジン10に備えられた各種センサにより検出される情報に基づいて、スロットル開度点火時期、及び、燃料噴射量等の制御量を算出する。エンジンECU200は、算出された制御量に基づいてスロットル弁点火プラグ、及び、燃料噴射弁等を駆動し、エンジン10の出力が制御指令値となるようにエンジン10を制御する。エンジンECU200は、本発明におけるエンジン制御部に相当する。

0041

モータECU400は、ハイブリッドECU100からの制御指令を受け、インバータ70を介して第1のモータジェネレータ20又は第2のモータジェネレータ24をそれぞれ制御する。モータECU400は、第1のモータジェネレータ20又は第2のモータジェネレータ24の回転数電圧電流等の情報に基づいてインバータ70に対して電流指令電圧指令を出力し、第1のモータジェネレータ20又は第2のモータジェネレータ24の出力が制御指令値となるように、第1のモータジェネレータ20又は第2のモータジェネレータ24をそれぞれ制御する。モータECU400は、本発明におけるモータ制御部に相当する。

0042

トランスミッションECU300は、ハイブリッドECU100からの制御指令を受けてCVT31の変速比を決定し、入力されるトルクを運転状態に応じた適切な変速比で制御する。トランスミッションECU300は、例えば、油圧を制御し、プーリ比を調節することにより、CVT31の変速比を制御する。また、トランスミッションECU300は、ハイブリッドECU100からの制御指令を受けて、エンジンクラッチ42、第1の伝達クラッチ44、及び、第2の伝達クラッチ46の断接の制御を行うことで、走行モードの切り替えを行う。トランスミッションECU300は、例えば、油圧を制御することにより、各クラッチの断接を制御する。トランスミッションECU300は、本発明におけるクラッチ制御部に相当する。

0043

図2は、本実施形態にかかるハイブリッド車両の走行モードの一例を示している。エンジン走行モードにおいて、エンジンECU200は、エンジン10を駆動させる。トランスミッションECU300は、エンジンクラッチ42、第1の伝達クラッチ44及び第2の伝達クラッチ46をすべて締結させ、エンジン10からの出力トルクをCVT31に伝達させる。そして、トランスミッションECU300は、CVT31においてエンジン10から出力されたトルクを所定の変速比で変換して、駆動輪80に伝達させる。このとき、モータECU400は、第1のモータジェネレータ20をゼロトルク状態にするか、あるいは、エンジン10から出力されるトルクの一部を用いて第1のモータジェネレータ20の発電制御を行う。また、モータECU400は、第2のモータジェネレータ24をゼロトルク状態にするか、あるいは、車両の減速時において第2のモータジェネレータ24を回生駆動させる。

0044

シングルモータEV走行モードの場合、トランスミッションECU300は、エンジンクラッチ42、第1の伝達クラッチ44及び第2の伝達クラッチ46をすべて開放する。また、モータECU400は、第2のモータジェネレータ24を力行駆動させ、第2のモータジェネレータ24から出力されるトルクを駆動輪80に伝達する。このとき、モータECU400は、第1のモータジェネレータ20をゼロトルク状態にするか、あるいは、エンジン10の出力トルクを用いて第1のモータジェネレータ20の発電制御を行う。エンジンECU200は、基本的にはエンジン10を停止させるが、第1のモータジェネレータ20に発電させる際には、エンジン10を駆動させる。第1のモータジェネレータ20に発電させる場合、トランスミッションECU300は、エンジンクラッチ42を締結させる。また、モータECU400は、車両の減速時においては、第2のモータジェネレータ24を回生駆動させる。

0045

ツインモータEV走行モードの場合、トランスミッションECU300は、第1の伝達クラッチ44及び第2の伝達クラッチ46を締結して、第1のモータジェネレータ20からの出力トルクをCVT31に伝達させる。このとき、モータECU400は、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24の出力を調停しつつ、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24をそれぞれ力行駆動させる。また、モータECU400は、車両の減速時において第2のモータジェネレータ24を回生駆動させる。また、モータECU400は、必要に応じて第1のモータジェネレータ20を回生駆動させる。モータECU400は、車両の減速時において第1のモータジェネレータ20を回生駆動させてもよい。そして、トランスミッションECU300は、CVT31を介して第1のモータジェネレータ20から出力されるトルクをモータ軸25に伝達させ、第2のモータジェネレータ24の出力トルクと合わせて、駆動輪80に伝達する。ツインモータEV走行モードの場合、エンジンクラッチ42は常時開放され、エンジン10は停止される。

0046

ハイブリッド走行モードの場合、トランスミッションECU300は、エンジンクラッチ42、第1の伝達クラッチ44及び第2の伝達クラッチ46をすべて締結させる。エンジンECU200は、エンジン10を駆動させ、駆動力を駆動輪80に伝達させる。モータECU400は、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24のうちの少なくとも一方を力行駆動させ、エンジン10による駆動輪80の駆動を補助する。このとき、トランスミッションECU300は、CVT31に伝達されたトルクを所定の変速比で変換してモータ軸25に伝達させ、第2のモータジェネレータ24の出力トルクと合わせて、駆動輪80に伝達させる。ハイブリッド走行モードにおいては、第1のモータジェネレータ20を力行駆動及び回生駆動させなくてもよい。

0047

図2に示した走行モード以外に、停車中におけるエンジン10の始動時においては、トランスミッションECU300は、エンジンクラッチ42を締結させ、かつ、モータECU400は、第1のモータジェネレータ20を駆動させ、エンジン10をクランキングさせてもよい。

0048

本実施形態にかかるハイブリッド車両の駆動系1では、すべての走行モードにおいて、車両の減速時に、第2のモータジェネレータ24を回生駆動させることによって、回生電力を生成させつつ、回生ブレーキ力を発生させることができる。また、エンジン走行モード、ツインモータEV走行モード、及び、ハイブリッド走行モードにおいて、車両の減速時に、第1のモータジェネレータ20を回生駆動させることによって、回生電力を生成させつつ、回生ブレーキ力を発生させることができる。また、シングルモータEV走行モード、又は、ハイブリッド走行モードにおいて、エンジン10から出力されるトルクの一部又は全部を用いて、第1のモータジェネレータ20に発電させることができる。さらに、エンジン走行モードにおいて、エンジン10から出力されるトルクの一部を用いて、第1のモータジェネレータ20に発電させることができる。

0049

このように、第1のモータジェネレータ20は、オイルポンプ28と一体となって電動オイルポンプとしての機能を有する。したがって、エンジン10又は駆動輪80が停止し、ギヤ式のオイルポンプ15により作動油圧を生成できない場合にしか使用されていなかった従来の電動オイルポンプを省略することができる。

0050

また、本実施形態にかかる駆動系1では、第1のモータジェネレータ20が、第1の伝達クラッチ44を介して、CVT31のプライマリプーリ33に連設されており、走行中において、第1のモータジェネレータ20を駆動モータとして機能させることができる。したがって、車両の動力性能を向上させることができる。さらに、エンジン10により車両の駆動力を発生させている間、エンジン10の出力に余剰のトルクがある場合には、第1のモータジェネレータ20を発電機として機能させることができる。したがって、車両の燃費性能を向上させることができる。

0051

<2.ハイブリッド車両の制御装置の構成例>
ここまで、本実施形態にかかるハイブリッド車両の駆動系1の基本構成について説明した。次に、本実施形態にかかるハイブリッド車両の制御装置について具体的に説明する。

0052

図3は、本実施形態にかかるハイブリッド車両の制御装置の構成例を示すブロック図である。本実施形態にかかるハイブリッド車両の制御装置は、CAN等の図示しない通信ラインに接続されたハイブリッドECU100、エンジンECU200、トランスミッションECU300、モータECU400、バッテリECU500、及び、カメラECU600を備えて構成される。かかるハイブリッド車両の制御装置により、エンジン10、自動変速装置30、第1のモータジェネレータ20、及び、第2のモータジェネレータ24が協調制御される。なお、ハイブリッド車両の制御装置を構成する制御ユニットは、1つの制御ユニットからなっていてもよく、適宜の数の制御ユニットから構成されてもよい。

0053

ハイブリッドECU100は、要求駆動力算出部110と、駆動制御部120とを備える。要求駆動力算出部110及び駆動制御部120は、マイクロコンピュータによるプログラムの実行により実現される機能であってよい。ハイブリッドECU100は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の図示しない記憶素子を備えていてもよい。

0054

ハイブリッドECU100は、車両のアクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの舵角、車速、及び、ウィンカ等の情報を取得する。また、ハイブリッドECU100は、バッテリECU500を介して、高電圧バッテリ50の残存容量SOC、セル温度、セル電圧、出力電圧、又は、出力電流等の情報を取得する。また、ハイブリッドECU100は、エンジンECU200を介して、エンジン10の温度や回転数等のエンジン10の駆動に関わる各種の情報を取得する。また、ハイブリッドECU100は、モータECU400を介して、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24の温度や回転数等の第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24の駆動に関わる各種の情報を取得する。

0055

さらに、ハイブリッドECU100は、カメラECU600を介して、車両前方情報を取得する。車両前方情報には、少なくとも先行車両の有無、及び、先行車両との車間距離Dの情報が含まれる。

0056

また、本実施形態にかかるハイブリッド車両の制御装置では、ハイブリッドECU100に、追従制御オンオフの切り替えスイッチの信号が入力される。追従制御のオンオフは、ドライバ等によって切り替えられる。追従制御(ACC:Adaptive Cruise Control)は、ハイブリッドECU100がエンジンECU200、トランスミッションECU300及びモータECU400を制御することにより、車両の定速走行又は車間距離一定走行を行わせる制御である。

0057

定速走行では、車速がドライバ等により設定された目標車速となるように、エンジン10、CVT31、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24のうちの少なくとも一つが制御される。車間距離一定走行では、先行車両が存在する場合に、先行車両との車間距離Dが車速等に応じてあらかじめ設定された目標車間距離D_tgtとなるように、エンジン10、CVT31、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24のうちの少なくとも一つが制御される。

0058

要求駆動力算出部110は、車両の要求駆動力Tr_tgtを算出する。要求駆動力算出部110は、追従制御の非実行時において、ドライバによるアクセルペダルの操作量及び車速V等に基づいて、要求駆動力Tr_tgtを算出する。また、要求駆動力算出部110は、追従制御の実行時において、実車速Vと目標車速V_tgtとの差分ΔV、又は、実車間距離Dと目標車間距離D_tgtとの差分ΔDに基づいて、要求駆動力Tr_tgtを算出する。追従制御の実行時においては、要求駆動力Tr_tgt、あるいは、車速Vの変化割合変化速度)の上限が定められている。

0059

駆動制御部120は、車両の走行モードを、シングルモータEV走行モード、ツインモータEV走行モード、又は、ハイブリッド走行モードに切り替えながら、車両の走行制御を実行する。駆動制御部120は、要求駆動力Tr_tgt、高電圧バッテリ50の残存容量SOC、エンジン10の温度、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24の温度、CVT31の油温等の情報に基づき、走行モードを選択する。

0060

例えば、駆動制御部120は、要求駆動力Tr_tgtが大きく、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24から出力されるトルクだけでは不足すると考えられる場合には、ハイブリッド走行モードを選択して、エンジン10から出力されるトルクと、第2のモータジェネレータ24から出力されるトルクとにより車両を駆動させる。例えば、駆動制御部120は、要求駆動力Tr_tgtが所定の閾値Tr_tgt_0より大きい場合に、ハイブリッド走行モードを選択して、第2のモータジェネレータ24を力行駆動させつつ、エンジン10を駆動させることにより車両を駆動させる。閾値Tr_tgt_0は、要求駆動力Tr_tgtを予測できる場合と予測できない場合とで異なっていてもよい。

0061

この場合、駆動制御部120は、トランスミッションECU300に対して、エンジンクラッチ42、第1の伝達クラッチ44及び第2の伝達クラッチ46をすべて締結させるよう制御指令を送信する。また、駆動制御部120は、要求駆動力Tr_tgtを配分して、エンジン10及び第2のモータジェネレータ24にそれぞれ出力させるトルクを決定する。そして、駆動制御部120は、エンジンECU200に対して、エンジン10を所定の出力で駆動させるよう制御指令を送信し、かつ、モータECU400に対して、第2のモータジェネレータ24を所定の出力で駆動させるよう制御指令を送信する。ハイブリッド走行モードにおいて、駆動制御部120は、要求駆動力Tr_tgtに対して、第2のモータジェネレータ24から出力されるトルクでは不足する差分のトルクをエンジン10に出力させてもよい。トルクの不足分をエンジン10に補わせることにより、燃費の低下を抑制することができる。

0062

また、駆動制御部120は、要求駆動力Tr_tgtが比較的小さく、高電圧バッテリ50の残存容量SOCが所定レベル以上ある場合には、EV走行モードを選択し、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24のうちの少なくとも一方から出力されるトルクにより車両を駆動させる。シングルモータEVモードが選択される場合、駆動制御部120は、トランスミッションECU300に対して、少なくとも第1の伝達クラッチ44及び第2の伝達クラッチ46を開放させるよう制御指令を送信する。これにより、第2のモータジェネレータ24がエンジン10やCVT31の抵抗を受けることがなくなる。また、駆動制御部120は、モータECU400に対して、要求駆動力Tr_tgtに応じた所定の出力で第2のモータジェネレータ24を力行駆動させるよう制御指令を送信する。

0063

また、ツインモータEV走行モードが選択される場合、駆動制御部120は、トランスミッションECU300に対して、エンジンクラッチ42を開放させ、かつ、第1の伝達クラッチ44及び第2の伝達クラッチ46を締結させるよう制御指令を送信する。また、駆動制御部120は、要求駆動力Tr_tgtを配分して、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24にそれぞれ出力させるトルクを決定する。そして、駆動制御部120は、モータECU400に対して、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24をそれぞれ所定の出力で力行駆動させるよう制御指令を送信する。

0064

駆動制御部120は、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24の温度や回転数等の状態に応じて、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24にそれぞれ出力させるトルクを配分してもよい。例えば、第2のモータジェネレータ24を優先的に使用しつつ、第2のモータジェネレータ24の温度が高くなった場合には、第1のモータジェネレータ20を優先的に使用してもよい。これにより、第2のモータジェネレータ24の過渡的な温度上昇によって出力トルクが制限される機会が低減され、EV走行モードで走行可能な状態を維持させることができる。

0065

ここで、EV走行モードからハイブリッド走行モードに切り替えられる場合、第1の伝達クラッチ44が締結された状態でエンジン10が始動されると、エンジン10のクランキング振動によってドライバが違和感を覚える場合がある。このため、ツインモータEV走行モードからエンジン走行モードに切り替える際には、一旦、第1の伝達クラッチ44を開放させてエンジン10を始動させなければならない。そうすると、駆動輪80に伝達される駆動力が変化してしまったり、走行モードの切り替えに要する時間が長くなって加速応答性に遅れが生じたりする。

0066

これに対して、本実施形態にかかるハイブリッド車両の制御装置において、駆動制御部120は、要求駆動力Tr_tgtを予測可能であり、エンジン10が始動されないと保証される期間には、ツインモータEV走行モードを選択して、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24を用いて車両を駆動させる。つまり、駆動制御部120は、エンジン10が始動される可能性がある状態では、第1の伝達クラッチ44が締結状態となるツインモータEV走行モードを選択しない。これにより、ツインモータEV走行モードから直接ハイブリッド走行モードに切り替えられることがなくなり、エンジン10のクランキング振動に起因するドライバの違和感や、駆動力変化、加速応答性の遅れが抑制される。

0067

本実施形態にかかるハイブリッド車両の制御装置において、駆動制御部120は、追従制御が実行されている期間を、要求駆動力Tr_tgtを予測可能な期間として、ツインモータEV走行モードを選択する。上述のとおり、追従制御の実行時においては、要求駆動力Tr_tgt又は車速Vの変化割合(変化速度)に上限が定められており、エンジン10の始動を要する要求駆動力Tr_tgtが必要となることがない。また、追従制御の実行時には、ドライバによってアクセルペダルが踏み込まれていないことから、ドライバがアクセルペダルを踏み込み始めるまでは、少なくともエンジン10が始動されないことが保証され得る。

0068

したがって、追従制御の実行中はエンジンクラッチ42が締結されることがなく、第1の伝達クラッチ44を締結状態で維持できることから、少なくとも第1のモータジェネレータ20から出力されるトルクを用いて車両を駆動させる領域を拡大させることができる。その結果、EV走行モードを選択する際に、第2のモータジェネレータ24から出力されるトルクによるシングルモータEV走行モードだけでなく、ツインモータEV走行モードを選択することが可能となる。

0069

要求駆動力Tr_tgtを予測可能な期間は、追従制御の実行時に限られない。例えば、追従制御以外の理由で、要求駆動力Tr_tgt、又は、車速Vの変化割合(変化速度)の上限が設定されている期間が、要求駆動力Tr_tgtを予測可能な期間とされてもよい。

0070

図4及び図5は、本実施形態にかかるハイブリッド車両システムにおいて、各走行モードが選択される領域を表す第1のマップ及び第2のマップの一例を示している。図4は、要求駆動力Tr_tgtを予測不可能な場合に選択され得る走行モードの領域を示す第1のマップであり、図5は、要求駆動力Tr_tgtを予測可能な場合に選択され得る走行モードの領域を示す第2のマップである。それぞれのマップにおいて、横軸が車速Vを示し、縦軸が車両の要求駆動力Tr_tgtを示す。また、図5には、第1のマップの走行モードの境界破線で示されている。

0071

要求駆動力Tr_tgtを予測できない場合、例えば、追従制御の非実行時には、ドライバのアクセルペダルの操作量の予測ができない。このため、図4に示す第1のマップでは、車速Vが小さく、又は、要求駆動力Tr_tgtが小さい領域ではシングルモータEV走行モードが選択され、車速V又は要求駆動力Tr_tgtが大きくなったときにツインモータEV走行モードが選択される。ただし、ツインモータEV走行モードからハイブリッド走行モードに直接切り替えられることを避けるために、ツインモータEV走行モードが選択され得る領域は比較的限定的になっている。また、ツインモータEV走行モードが選択され得る領域と、ハイブリッド走行モードが選択され得る領域とが隣り合うことがないように、ツインモータEV走行モードとハイブリッド走行モードとの間には、第2のモータジェネレータ24を用いたシングルモータEV走行モードが選択され得る領域が介在している。

0072

これに対して、図5に示す第2のマップでは、要求駆動力Tr_tgtを予測できる場合、例えば、追従制御の実行時には、EV走行モードが選択される際には、基本的にはツインモータEV走行モードが選択されるように設定されている。また、エンジン10の始動を伴うハイブリッド走行モードに切り替えられる直前までツインモータEV走行モードで車両の駆動制御を実行することができるために、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24の出力トルクを同時に利用できる領域が拡大され、EV走行モードを選択し得る領域が拡大されている。

0073

ただし、駆動制御部120は、要求駆動力Tr_tgtを予測可能な期間であっても、高電圧バッテリ50の残存容量SOCが十分でない場合には、ツインモータEV走行モードが選択され得る要求駆動力Tr_tgtの上限を小さくしてもよい。高電圧バッテリ50の残存容量SOCが十分でない場合に、ツインモータEV走行モードにより過大な要求駆動力Tr_tgtを出力させようとすると、EV走行モードでの航続距離が短くなるおそれがあるからである。したがって、要求駆動力Tr_tgtを予測可能な期間であっても、高電圧バッテリ50の残存容量SOCが所定の閾値未満の場合には、駆動制御部120は、図4に示すマップを使用してもよい。

0074

また、駆動制御部120は、追従制御の実行中、EV走行モードからエンジン10を始動させるか否かを判別する際には、要求駆動力Tr_tgt、あるいは、要求駆動力Tr_tgt及び高電圧バッテリ50の残存容量SOCと併せて、他の情報を用いてもよい。例えば、他の情報としては、アクセルペダルの操作量、ウィンカの作動状態、ステアリングホイールの舵角等のうちの少なくとも1つの情報が用いられる。つまり、追従制御の実行中に、アクセルペダルが所定量以上踏み込まれる場合や、ウィンカが作動された場合、ステアリングホイールの舵角が大きく変化した場合等においては、先行車両を追い越すために加速することが考えられる。このため、上記の条件が成立する場合には、エンジン10を始動させてハイブリッド走行モードに切り替えることにより、より効率的に走行モードを切り替えることができる。

0075

あるいは、駆動制御部120は、エンジン10の温度が低い場合に、ハイブリッド走行モードを選択してエンジン10を駆動させることにより、エンジン10の暖機を優先させてもよい。

0076

なお、図4及び図5に示した第1のマップ及び第2のマップでは、エンジン走行モードが設けられていないが、本実施形態にかかるハイブリッド車両システムでは、EV走行モードで車両を走行させることができない場合にのみ、エンジン走行モードが選択されるようになっている。EV走行モードで車両を走行させることができない場合としては、例えば、高電圧バッテリ50の残存容量SOCが低下している場合や、第2のモータジェネレータ24、あるいは、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24が故障している場合が挙げられる。

0077

また、駆動制御部120は、ツインモータEV走行モードで車両の駆動制御をしている間に、エンジン10を始動させてハイブリッド走行モードに切り替える際に、車速Vに応じてエンジン10の始動方法を異ならせてもよい。例えば、駆動制御部120は、車速Vが中速域(例えば、40〜80km/h)の場合には、第1の伝達クラッチ44を締結したまま、開放されているエンジンクラッチ42を締結させ、駆動輪80の回転によるトルクを利用してエンジン10をクランキングさせてもよい。これにより、エンジン10を始動させる直前まで第1のモータジェネレータ20を駆動させて、第1のモータジェネレータ20の使用領域を拡大させつつ、スタータモータ13によらないエンジン10の始動が可能になる。また、スタータモータ13を駆動させないことにより、騒音を低減させることができる。

0078

また、駆動制御部120は、車速Vが高車速域(例えば、80km/h超)の場合には、第1の伝達クラッチ44を締結し、かつ、エンジンクラッチ42を開放したままで、スタータモータ13によりエンジン10をクランキングさせてもよい。これにより、エンジン10を始動させる直前まで第1のモータジェネレータ20を駆動させて、第1のモータジェネレータ20の使用領域を拡大させることができる。また、高車速域では、スタータモータ13よるクランキング時に生じる騒音が感じにくくなることから、スタータモータ13によりエンジン10を始動させることも可能になる。これにより、高車速域でエンジンクラッチ42を締結させることによる、エンジンクラッチ42の摩耗及び発熱を抑制しつつ、エンジン10を始動させることができる。

0079

以上のように、駆動制御部120は、ツインモータEV走行モードで車両の駆動制御が行われている間に、要求駆動力Tr_tgtの増大が予測されたときには、実際に要求駆動力Tr_tgtが増大する前にエンジン10を始動する。したがって、実際に要求駆動力Tr_tgtが増大したときには、エンジン10の出力を用いてトルクを発生させることができ、加速応答性の低下が抑制される。

0080

<3.フローチャート>
次に、図6図9を参照して、本実施形態にかかるハイブリッド車両の制御装置による制御処理のフローチャートの一例を説明する。以下に説明するフローチャートは、ハイブリッド車両システムの電源オンにされている間、常時実行されてもよい。

0081

図6は、車両の駆動制御に使用するマップを選択する処理のフローチャートを示す。まず、ステップS10において、ハイブリッドECU100の駆動制御部120は、車両の要求駆動力Tr_tgtが予測可能な状態であるか否かを判別する。例えば、駆動制御部120は、追従制御が実行中か否かによって、車両の要求駆動力tr_tgtが予測可能か否かを判別する。要求駆動力Tr_tgtが予測可能な状態である場合(S10:Yes)、駆動制御部120は、図5に例示した第2のマップを使用して車両の駆動制御を実行する。一方、要求駆動力Tr_tgtが予測不可能な状態である場合(S10:No)、駆動制御部120は、図4に例示した第1のマップを使用して車両の駆動制御を実行する。駆動制御部120は、図6に示したフローチャートを繰り返し実行し、車両の駆動制御に使用するマップを選択する。

0082

図7は、車両の要求駆動力Tr_tgtが予測不可能である場合に実行される制御処理のフローチャートを示す。まず、ステップS20において、ハイブリッドECU100の要求駆動力算出部110は、車両の要求駆動力Tr_tgtを算出する。例えば、追従制御の非実行時においては、要求駆動力算出部110は、ドライバによるアクセルペダルの操作量及び車速V等に基づいて、要求駆動力Tr_tgtを算出する。

0083

次いで、ステップS22において、ハイブリッドECU100の駆動制御部120は、第1のマップを用いて、要求駆動力Tr_tgt及び車速V等に基づき選択される走行モードがツインモータEV走行モードであるか否かを判別する。ツインモータEV走行モードが選択される場合(S22:Yes)、ステップS24に進み、駆動制御部120は、エンジンクラッチ42、第1の伝達クラッチ44及び第2の伝達クラッチ46をすべて開放させる。ここまで第2のモータジェネレータ24によるシングルモータEV走行モードで制御されていた場合には、すでに各クラッチは開放されていることから、そのままの状態を維持させる。

0084

次いで、ステップS26において、駆動制御部120は、高電圧バッテリ50の残存容量SOCが十分に高い状態であるか否かを判別する。例えば、駆動制御部120は、高電圧バッテリ50の残存容量SOCが所定の閾値よりも高いか否かを判別する。かかる閾値は、例えば、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24を両方使用した場合の車両の航続可能距離が適宜の距離以上になるか否かの観点で、適切な値に設定され得る。高電圧バッテリ50の残存容量SOCが十分でない場合(S26:No)、EV走行モードによる航続可能距離が短く、エンジン10を始動させなければならない可能性があることから、駆動制御部120は、ステップS36に進み、第2のモータジェネレータ24を力行駆動させることによるシングルモータEV走行モードで、車両の駆動制御を実行する。

0085

一方、高電圧バッテリ50の残存容量SOCが十分である場合(S26:Yes)、ステップS28に進み、駆動制御部120は第1の伝達クラッチ44及び第2の伝達クラッチ46を締結させる。その後、ステップS30において、駆動制御部120は、それぞれ出力させるトルクを調停しながら、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24を力行駆動させることによるツインモータEV走行モードで、車両の駆動制御を実行する。

0086

上記のステップS22において、ツインモータEV走行モードが選択されていない場合(S22:No)、ステップS32に進み、駆動制御部120は、選択される走行モードがシングルモータEV走行モードであるか否かを判別する。シングルモータEV走行モードが選択される場合(S32:Yes)、ステップS34に進み、駆動制御部120は、エンジンクラッチ42、第1の伝達クラッチ44及び第2の伝達クラッチ46をすべて開放させる。ここまで第2のモータジェネレータ24によるシングルモータEV走行モードで制御されていた場合には、すでに第1の伝達クラッチ44及びエンジンクラッチ42は開放されていることから、そのままの状態を維持させる。次いで、ステップS36において、駆動制御部120は、第2のモータジェネレータ24を力行駆動させることによるシングルモータEV走行モードで、車両の駆動制御を実行する。

0087

一方、ステップS32において、シングルモータEV走行モードが選択されていない場合(S32:No)、つまり、この場合は、ハイブリッド走行モードが選択されている場合、ステップS38に進み、駆動制御部120は、エンジンクラッチ42、第1の伝達クラッチ44及び第2の伝達クラッチ46をすべて開放させる。ここまで第2のモータジェネレータ24によるシングルモータEV走行モードで制御されていた場合には、すでに第1の伝達クラッチ44及びエンジンクラッチ42は開放されていることから、そのままの状態を維持させる。

0088

次いで、駆動制御部120は、ステップS40において、スタータモータ13を用いてエンジン10をクランキングさせ、エンジン10を始動させた後、ステップS42において、エンジンクラッチ42、第1の伝達クラッチ44及び第2の伝達クラッチ46を締結させる。すでにエンジン10が始動している場合には、ステップS40及びS42は省略される。次いで、ステップS44において、駆動制御部120は、エンジン10を駆動させるとともに、第2のモータジェネレータ24を力行駆動させることにより、ハイブリッド走行モードで車両の駆動制御を実行する。追従制御が実行開始されない限り、駆動制御部120は、図7に示したフローチャートを繰り返すことで、車両の駆動制御を実行する。

0089

図8は、車両の要求駆動力Tr_tgtが予測可能である場合に実行される制御処理のフローチャートを示す。まず、ステップS50において、ハイブリッドECU100の要求駆動力算出部110は、車両の要求駆動力Tr_tgtを算出する。例えば、追従制御の実行時においては、実車速Vと目標車速V_tgtとの差分ΔV、又は、実車間距離Dと目標車間距離D_tgtとの差分ΔDに基づいて、要求駆動力Tr_tgtが算出される。

0090

次いで、ステップS52において、ハイブリッドECU100の駆動制御部120は、第2のマップを用いて、要求駆動力Tr_tgt及び車速V等に基づき選択される走行モードがEV走行モードであるか否かを判別する。選択された走行モードがEV走行モードでない場合(S52:No)、ステップS64に進み、駆動制御部120は、エンジンクラッチ42、第1の伝達クラッチ44及び第2の伝達クラッチ46を開放させる。ここまで第2のモータジェネレータ24によるEV走行モードで制御されていた場合には、すでに第1の伝達クラッチ44及びエンジンクラッチ42は開放されていることから、そのままの状態を維持させる。

0091

次いで、駆動制御部120は、ステップS66において、スタータモータ13を用いてエンジン10をクランキングさせ、エンジン10を始動させた後、ステップS68において、エンジンクラッチ42、第1の伝達クラッチ44及び第2の伝達クラッチ46を締結させる。すでにエンジン10が始動している場合には、ステップS66及びS68は省略される。次いで、ステップS70において、駆動制御部120は、エンジン10を駆動させるとともに、第2のモータジェネレータ24を力行駆動させることにより、ハイブリッド走行モードで車両の駆動制御を実行する。

0092

一方、上記のステップS52において、選択された走行モードがEV走行モードである場合、ステップS54に進み、駆動制御部120は、エンジンクラッチ42、第1の伝達クラッチ44及び第2の伝達クラッチ46を開放させる。ここまで第2のモータジェネレータ24によるEV走行モードで制御されていた場合には、すでにエンジンクラッチ42、第1の伝達クラッチ44及び第2の伝達クラッチ46は開放されていることから、そのままの状態を維持させる。

0093

次いで、ステップS56において、駆動制御部120は、高電圧バッテリ50の残存容量SOCが十分に高い状態であるか否かを判別する。例えば、駆動制御部120は、高電圧バッテリ50の残存容量SOCが所定の閾値よりも高いか否かを判別する。かかる閾値は、例えば、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24を両方使用した場合の車両の航続可能距離が適宜の距離以上になるか否かの観点で、適切な値に設定され得る。高電圧バッテリ50の残存容量SOCが十分でない場合(S56:No)、EV走行モードによる航続可能距離が短く、エンジン10を始動させなければならない可能性があることから、駆動制御部120は、ステップS62に進み、第2のモータジェネレータ24を力行駆動させることによるシングルモータEV走行モードで、車両の駆動制御を実行する。

0094

一方、高電圧バッテリ50の残存容量SOCが十分である場合(S56:Yes)、駆動制御部120は、ステップS58に進み、第1の伝達クラッチ44及び第2の伝達クラッチ46を締結させた後、ステップS60において、それぞれ出力させるトルクを調停しながら、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24を力行駆動させることによるツインモータEV走行モードで、車両の駆動制御を実行する。

0095

ツインモータEV走行モードで車両の駆動制御が実行される期間、駆動制御部120は、要求駆動力Tr_tgtが増大するか否かを予測し、要求駆動力Tr_tgtの増大が予測された場合には、車速Vに応じた異なる方法でエンジン10を始動させる。図9は、ツインモータEV走行モード中のエンジン10の始動制御処理を示すフローチャートである。まず、ステップS82において、駆動制御部120は、要求駆動力が増大すると予測されるか否かを判別する。

0096

例えば、駆動制御部120は、追従制御の実行中にアクセルペダルが踏み込まれた場合に、要求駆動力Tr_tgtが増大すると予測してもよい。また、駆動制御部120は、車間距離一定走行中に先行車両がいなくなったときの車速が、設定されている低速走行用の目標車速よりも著しく小さい場合等に、要求駆動力Tr_tgtが増大すると予測してもよい。さらに、駆動制御部120は、車間距離一定走行中に、ウィンカが作動された場合、又は、ステアリングホイールの舵角が大きく変更された場合に、要求駆動力Tr_tgtが増大すると予測してもよい。

0097

要求駆動力が増大すると予測されない場合(S82:No)、駆動制御部120は、ツインモータEV走行モードを継続させる。一方、要求駆動力が増大すると予測される場合(S82:Yes)、ステップS84に進み、駆動制御部120は、現在の車速Vが高車速域であるか否かを判別する。例えば、駆動制御部120は、現在の車速Vが80km/hを超えるか否かを判別してもよい。現在の車速Vが高車速域である場合(S84:No)、駆動制御部120は、ステップS86において、スタータモータ13を用いてエンジン10をクランキングさせ、エンジン10を始動させた後、ステップS88において、エンジンクラッチ42を締結させて、ハイブリッド走行モードに移行させる。高車速域であれば、スタータモータ13を駆動させても、ドライバが騒音として感じにくい。

0098

一方、現在の車速が高車速域でない場合(S84:No)、駆動制御部120は、ステップS90において、エンジンクラッチ42を締結させることによりエンジン10をクランキングさせ、エンジン10を始動させて、ハイブリッド走行モードに移行させる。これにより、スタータモータ13の駆動による騒音を生じさせることなくエンジン10を始動させることができる。また、高車速域でエンジンクラッチ42が接続されることがないため、エンジンクラッチ42の摩耗や発熱を低減させることができる。

0099

以上のように、ツインモータEV走行モードで車両の走行制御が行われている間に、要求駆動力Tr_tgtの増大が予測されたときには、実際に要求駆動力Tr_tgtが増大する前にエンジン10が始動される。したがって、加速応答性の低下が抑制される。

0100

以上説明したように、本実施形態にかかるハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両システムは、要求駆動力Tr_tgtが予測可能な場合には、ツインモータEV走行モードで車両の走行制御が行われる。したがって、ツインモータEV走行モードから直接ハイブリッド走行モードに切り替えられる可能性が少なくなって、第1のモータジェネレータ20の使用領域を拡大させることができる。これにより、EV走行モードが選択され得る領域が拡大され、第1のモータジェネレータ20及び第2のモータジェネレータ24の出力範囲を十分に活用して、効率よく車両の走行制御を実行させることができる。

0101

また、本実施形態にかかるハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両システムは、ツインモータEV走行モードで車両の走行制御が実行されている間に、要求駆動力が増大すると予測されたときには、あらかじめツインモータEV走行モードが解除され、ハイブリッド走行モードに切り替えられる。したがって、実際に要求駆動力Tr_tgtが増大したときの加速応答性の低下を抑制することができる。

0102

また、本実施形態にかかるハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両システムは、ツインモータEV走行モードからハイブリッド走行モードに切り替える際に、車速が中車速域にある場合には、ツインモータEV走行モードの状態からエンジンクラッチ42を締結し、エンジン10をクランキングして始動する。したがって、スタータモータ13の駆動による騒音や振動が低減される。また、ツインモータEV走行モードからハイブリッド走行モードに切り替える際に、車速が高車速域にある場合には、ツインモータEV走行モードの状態でスタータモータ13によりエンジン10をクランキングして始動した後に、エンジンクラッチ42を締結する。したがって、スタータモータ13の駆動による騒音を低減しつつ、エンジンクラッチ42の摩耗や発熱が抑制される。

0103

以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

0104

例えば、上記実施形態では、第2のモータジェネレータ24が、エンジン10及び第1のモータジェネレータ20の動力伝達経路上に配置(シリアル配置)されていたが、本発明を適用可能なハイブリッド車両システムの構成は、かかる例に限定されない。図13は、第2のモータジェネレータ24が、エンジン10及び第1のモータジェネレータ20の動力伝達経路に対して並列に配置(パラレル配置)された駆動系1の構成例を示す。図13に示した駆動系1では、上記実施形態における第2の伝達クラッチ46に相当する伝達クラッチが省略されている。かかる駆動系1であっても、上記実施形態における第1の伝達クラッチ44の断接に対応するように第1の伝達クラッチ44を開放又は締結させることによって、上記実施形態にかかるハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両システムと同様の効果を得ることができる。

0105

また、上記実施形態におけるフローチャートの各ステップは、必ずしもフローチャート図として記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、駆動制御処理における各ステップは、フローチャート図として記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。

0106

1 駆動系
10エンジン
20 第1のモータジェネレータ
24 第2のモータジェネレータ
30自動変速装置
31CVT
42エンジンクラッチ
44 第1の伝達クラッチ
46 第2の伝達クラッチ
50高電圧バッテリ
70インバータ
80駆動輪
100ハイブリッド制御ユニット(ハイブリッドECU)
200エンジン制御ユニット(エンジンECU)
300トランスミッション制御ユニット(トランスミッションECU)
400モータ制御ユニット(モータECU)
500バッテリ制御ユニット(バッテリECU)

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