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技術 延伸フィルムロールの製造方法

出願人 住友化学株式会社
発明者 古谷勉百田健太郎
出願日 2016年3月30日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2016-068052
公開日 2017年10月5日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2017-177530
状態 特許登録済
技術分野 プラスチック等の延伸成形、応力解放成形 偏光要素
主要キーワード 巻出速度 乾燥処理条件 厚み測定値 アクリル系モノマー由来 アクリロイルオキシ基含有化合物 脂環式エポキシ系化合物 ポリビニルアルコール系共重合体 グリオキザール誘導体
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図面 (4)

課題

ポリビニルアルコール系樹脂フィルム巻回してなるフィルムロールであって、そこからフィルムを巻き出したときのフィルム破断を抑制することができるフィルムロールを製造するための方法を提供する。

解決手段

表面の最大高さ粗さRzが30nm以上であり、かつ、フィルム幅方向の厚みの標準偏差σが0.2μm以上であるポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用意する工程と、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸して延伸フィルムを得る工程と、延伸フィルムを巻き取る工程とを含む延伸フィルムロールの製造方法が提供される。

概要

背景

偏光板を構成する偏光フィルムとして、延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムヨウ素や二色性染料のような二色性色素吸着配向させたものが従来用いられている。偏光フィルムの原料フィルムであるポリビニルアルコール系樹脂フィルムは通常、これをロール状に巻回してなるフィルムロール原反ロール)として用意され、偏光フィルムは、このフィルムロールから連続的にフィルムを巻き出しながら、薬液への浸漬等の所定の処理を施すことにより連続製造される〔例えば、特開2013−109287号公報(特許文献1)の段落[0002]〕。

概要

ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを巻回してなるフィルムロールであって、そこからフィルムを巻き出したときのフィルム破断を抑制することができるフィルムロールを製造するための方法を提供する。表面の最大高さ粗さRzが30nm以上であり、かつ、フィルム幅方向の厚みの標準偏差σが0.2μm以上であるポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用意する工程と、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸して延伸フィルムを得る工程と、延伸フィルムを巻き取る工程とを含む延伸フィルムロールの製造方法が提供される。

目的

本発明の目的は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを巻回してなるフィルムロールであって、そこからフィルムを巻き出したときのフィルム破断を抑制することができるフィルムロールを製造するための方法を提供する

効果

実績

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請求項1

表面の最大高さ粗さRzが30nm以上であり、かつ、フィルム幅方向の厚みの標準偏差σが0.2μm以上であるポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用意する工程と、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸して延伸フィルムを得る工程と、前記延伸フィルムを巻き取る工程と、を含む、延伸フィルムロールの製造方法。

請求項2

前記延伸フィルムは、表面の最大高さ粗さRzが25nm以上である、請求項1に記載の製造方法。

請求項3

前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用意する工程は、表面の最大高さ粗さRzが30nm以上である熱ロールに接触させる工程を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。

請求項4

前記延伸フィルムを得る工程は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾式延伸する工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項5

前記乾式延伸する工程において前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、表面温度が90〜150℃である熱ロールを用いて、3〜6倍の延伸倍率で延伸される、請求項4に記載の製造方法。

請求項6

前記延伸フィルムを巻き取る工程における巻取張力が50MPa以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項7

前記フィルム幅方向の厚みの標準偏差σが1μm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項8

前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの平均厚みTが35μm以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。

請求項9

表面の最大高さ粗さRzが25nm以上である延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムのロール。

技術分野

0001

本発明は、延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムである延伸フィルム巻回してなる延伸フィルムロールの製造方法に関する。

背景技術

0002

偏光板を構成する偏光フィルムとして、延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素や二色性染料のような二色性色素吸着配向させたものが従来用いられている。偏光フィルムの原料フィルムであるポリビニルアルコール系樹脂フィルムは通常、これをロール状に巻回してなるフィルムロール原反ロール)として用意され、偏光フィルムは、このフィルムロールから連続的にフィルムを巻き出しながら、薬液への浸漬等の所定の処理を施すことにより連続製造される〔例えば、特開2013−109287号公報(特許文献1)の段落[0002]〕。

先行技術

0003

特開2013−109287号公報

発明が解決しようとする課題

0004

偏光フィルムの製造において上記フィルムロール(原反ロール)からフィルムを巻き出す際、例えばフィルムロールから巻き出された直後に、フィルムが破断してしまうことがあった。

0005

本発明の目的は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを巻回してなるフィルムロールであって、そこからフィルムを巻き出したときのフィルム破断を抑制することができるフィルムロールを製造するための方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

本発明は、以下に示す延伸フィルムロールの製造方法、及び延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムのロールを提供する。

0007

[1]表面の最大高さ粗さRzが30nm以上であり、かつ、フィルム幅方向の厚みの標準偏差σが0.2μm以上であるポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用意する工程と、
前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸して延伸フィルムを得る工程と、
前記延伸フィルムを巻き取る工程と、
を含む、延伸フィルムロールの製造方法。

0008

[2]前記延伸フィルムは、表面の最大高さ粗さRzが25nm以上である、[1]に記載の製造方法。

0009

[3]前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用意する工程は、表面の最大高さ粗さRzが30nm以上である熱ロールに接触させる工程を含む、[1]又は[2]に記載の製造方法。

0010

[4]前記延伸フィルムを得る工程は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾式延伸する工程を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。

0011

[5]前記乾式延伸する工程において前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、表面温度が90〜150℃である熱ロールを用いて、3〜6倍の延伸倍率で延伸される、[4]に記載の製造方法。

0012

[6]前記延伸フィルムを巻き取る工程における巻取張力が50MPa以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。

0013

[7]前記フィルム幅方向の厚みの標準偏差σが1μm以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。

0014

[8]前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの平均厚みTが35μm以下である、[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。

0015

[9]表面の最大高さ粗さRzが25nm以上である延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムのロール。

発明の効果

0016

本発明によれば、フィルムを巻き出したときのフィルム破断を抑制することができるフィルムロールの製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0017

本発明に係る延伸フィルムロールの製造方法の一例を示すフローチャートである。
熱ロールを用いた縦延伸処理の一例を示す概略断面図である。
熱ロールを用いた縦延伸処理の他の一例を示す概略断面図である。

0018

<延伸フィルムロールの製造方法>
図1を参照して、本発明に係る延伸フィルムロールの製造方法は、下記の工程:
表面の最大高さ粗さRzが30nm以上であり、かつ、フィルム幅方向の厚みの標準偏差σが0.2μm以上であるポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用意する工程S10、
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸して延伸フィルムを得る工程S20、及び
延伸フィルムを巻き取る工程S30
を含む。以下、各工程について詳細に説明する。

0019

なお、以下では、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを「PVA系樹脂フィルム」ともいう。また、フィルムの機械流れ方向を「MD」、MDに直交する方向、すなわちフィルムの幅方向を「TD」ともいう。

0020

(1)PVA系樹脂フィルムを用意する工程S10
本工程で用意されるPVA系樹脂フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂で構成されたフィルムであり、通常、このフィルムは長尺である。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂ケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニル単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類オレフィン類ビニルエーテル類不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタアクリルアミド類等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルからなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。その他の「(メタ)」を付した用語においても同様である。

0021

ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、80.0〜100.0モル%の範囲であることができるが、好ましくは90.0〜100.0モル%の範囲であり、より好ましくは94.0〜100.0モル%の範囲であり、さらに好ましくは98.0〜100.0モル%の範囲である。ケン化度が80.0モル%未満であると、得られる延伸フィルムロールを用いて偏光フィルムを製造し、これを用いて偏光板を製造したとき、偏光板の耐水性及び耐湿熱性が低下し得る。

0022

ケン化度とは、ポリビニルアルコール系樹脂の原料であるポリ酢酸ビニル系樹脂に含まれる酢酸基(アセトキシ基:−OCOCH3)がケン化工程により水酸基に変化した割合をユニット比(モル%)で表したものであり、下記式:
ケン化度(モル%)=100×(水酸基の数)/(水酸基の数+酢酸基の数)
で定義される。ケン化度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。

0023

ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、好ましくは100〜10000であり、より好ましくは1500〜8000であり、さらに好ましくは2000〜5000である。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度もJIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。平均重合度が100未満では、得られる延伸フィルムロールを偏光フィルムの原料として使用する場合、好ましい偏光性能を有する偏光フィルムを得ることが困難であり、10000を超えると溶媒への溶解性が悪化し、PVA系樹脂フィルムの形成(製膜)が困難となり得る。

0024

本工程で用意されるPVA系樹脂フィルムは、延伸されたものであってもよいが、通常は上記ポリビニルアルコール系樹脂を製膜してなる未延伸フィルムである。製膜方法は、特に限定されるものではなく、溶融押出法溶剤キャスト法のような公知の方法を採用することができる。

0025

PVA系樹脂フィルムは、可塑剤等の添加剤を含有することができる。可塑剤の好ましい例は多価アルコールであり、その具体例は、エチレングリコールグリセリンプロピレングリコールジエチレングリコールジグリセリントリエチレングリコールトリグリセリンテトラエチレングリコールトリメチロールプロパンポリエチレングリコール等を含む。PVA系樹脂フィルムは、1種又は2種以上の可塑剤を含有することができる。可塑剤の含有量は、PVA系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常5〜20重量部であり、好ましくは7〜15重量部である。

0026

本工程で用意されるPVA系樹脂フィルムは、表面の最大高さ粗さRzが30nm以上であり、かつ、フィルム幅方向の厚みの標準偏差σが0.2μm以上である。かかるPVA系樹脂フィルムを原料として延伸フィルムロールを製造することにより、この延伸フィルムロールから延伸フィルムを巻き出したときのフィルム破断を効果的に抑制することができる。延伸フィルムを巻き出したときのフィルム破断をより効果的に抑制する観点から、Rzは、好ましくは32nm以上であり、より好ましくは35nm以上であり、さらに好ましくは38nm以上であり、特に好ましくは40nm以上である。また同様の理由で、σは、好ましくは0.25μm以上であり、より好ましくは0.3μm以上であり、さらに好ましくは0.35μm以上であり、特に好ましくは0.4μm以上である。

0027

Rzが30nm未満であるか、及び/又は、σが0.2μm未満であると、フィルム破断の抑制効果が得られない。従って、Rz又はσのいずれか一方を大きくすればフィルム破断の抑制効果が得られるという訳ではなく、フィルム破断の抑制効果を得るためには、Rzを30nm以上とし、かつ、σを0.2μm以上とすることが必要である。

0028

Rzが大きいほど、またσが大きいほど、フィルム破断の抑制効果は高くなる傾向にあるが、Rz又はσのいずれか一方が上記所定の範囲内で比較的低い場合であっても、他方の値を比較的大きくすれば、十分なフィルム破断の抑制効果が得られ得る。

0029

ただし、Rz及び/又はσがあまりに大きいと、延伸フィルムロールを用いて偏光フィルムを製造する場合、得られる偏光フィルムの偏光性能に過度ムラが生じ得る。従って、Rzは、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは80nm以下であり、さらに好ましくは70nm以下である。同様の理由で、σは、好ましくは1μm以下であり、より好ましくは0.8μm以下であり、さらに好ましくは0.7μm以下である。

0030

本明細書において、PVA系樹脂フィルムの「表面の最大高さ粗さRz」とは、PVA系樹脂フィルムの両面(両主面)の最大高さ粗さRzを平均したものをいう。具体的な測定方法は、後述する実施例の項の記載に従う。「最大高さ粗さRz」とは、JIS B 0601:2013の4.1.3に記載される最大高さ粗さRzをいう。

0031

また、PVA系樹脂フィルムの「フィルム幅方向の厚みの標準偏差σ」は、PVA系樹脂フィルムのn個の地点について厚みを測定したときのこれらの厚みをそれぞれT1、T2、…、Tnとし、PVA系樹脂フィルムの平均厚みをTとするとき、下記式:

0032

0033

で表される。n個の測定地点は、フィルムの幅方向に沿った(幅方向と平行になるように位置決めされた)測定点であり、フィルムの全幅にわたって100mm間隔で位置決めされる。従って、整数nの具体的数値は、PVA系樹脂フィルムの全幅によって異なる。またPVA系樹脂フィルムの「平均厚みT」とは、n個の測定地点における厚み測定値平均値である。「フィルム幅方向の厚みの標準偏差σ」及び「平均厚みT」のより具体的な測定方法は、後述する実施例の項の記載に従う。

0034

PVA系樹脂フィルムの平均厚みTは、通常65μm以下であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは35μm以下、さらに好ましくは30μm以下、特に好ましくは25μm以下である。PVA系樹脂フィルムを偏光フィルムの原料として用いる場合、PVA系樹脂フィルムの平均厚みTを小さくするほど、偏光フィルムの薄膜化には有利となる。しかしながら一般に、PVA系樹脂フィルムの平均厚みTを小さくすると、延伸フィルムロールから延伸フィルムを巻き出したときのフィルム破断が生じやすくなる。本発明によれば、PVA系樹脂フィルムの平均厚みTが小さい場合であっても、フィルム破断を効果的に抑制することが可能である。PVA系樹脂フィルムの平均厚みTは、通常5μm以上であり、好ましくは10μm以上である。

0035

本工程で用意されるPVA系樹脂フィルムは、フィルムに対して処理を施すことによってRz及びσを上記所定の範囲としたPVA系樹脂フィルムであってもよい。上記処理としては、例えば、PVA系樹脂フィルムの表面を粗面化する処理を挙げることができる。表面を粗面化する処理としては、例えば、PVA系樹脂フィルムを、表面の最大高さ粗さRzが30nm以上である熱ロールに接触させる処理を挙げることができる。熱ロールとは、表面温度を高くすることができるロールをいう。表面温度の高い熱ロールにPVA系樹脂フィルムの表面を接触させる(例えば、PVA系樹脂フィルムを熱ロールに抱かせる)ことにより、熱ロールの表面形状をPVA系樹脂フィルムの表面に反映(又は転写)させることができる。熱ロールにPVA系樹脂フィルムを接触させる際の熱ロールの表面温度は、例えば、90〜150℃である。また、PVA系樹脂を含有する溶液からPVA系樹脂フィルムを成膜する際、溶剤揮発させる速度(レベリングする前の速度)を増大させたり、レベリング剤の含有量を調整したり、上記溶液の濃度を高めたりすること等によってσを上記範囲に制御することが可能である。

0036

(2)延伸フィルムを得る工程S20
本工程は、工程S10で用意したPVA系樹脂フィルムを延伸して、延伸フィルムを得る工程である。この延伸フィルムは通常、長尺フィルムである。PVA系樹脂フィルムに対して延伸処理を施す本工程を設けることは、フィルムロールからフィルムを巻き出したときのフィルム破断を抑制するうえで有利となる。この観点から、フィルムを巻き取ってフィルムロールを製造する前に、PVA系樹脂フィルムに対して延伸処理を施しておくことが好ましい。

0037

PVA系樹脂フィルムに対する延伸処理は、空中で行う乾式延伸であってもよいし、水、水溶液有機溶剤等の液体中で行う湿式延伸であってもよいが、好ましくは乾式延伸である。すなわち、延伸フィルムを得る工程S20は、PVA系樹脂フィルムを乾式延伸する工程を含むことが好ましい。乾式延伸が好ましい理由の1つは、延伸前のPVA系樹脂フィルムの表面特性(Rz及びσ)を比較的維持しやすく、これにより、フィルム破断の抑制効果が得られやすくなるためである。また、乾式延伸であると、フィルムの乾燥処理を行うことなく、巻き取ることができる。湿式延伸の場合、フィルムの乾燥処理条件によっては、延伸フィルムロールからフィルムを巻き出したときのフィルム破断が生じやすくなる可能性がある。

0038

PVA系樹脂フィルムに対する延伸処理は通常、一軸延伸であり、好ましくは縦一軸延伸である。縦延伸とは、フィルムのMD、すなわちフィルムの長手方向への延伸をいう。

0039

乾式延伸としては、表面が加熱された熱ロールと、この熱ロールとは周速の異なるガイドロール(又は熱ロールであってもよい。)との間にフィルムを通し、熱ロールを利用した加熱下に縦延伸を行う熱ロール延伸;距離を置いて設置された2つのニップロール間にある加熱手段(オーブン等)を通過させながら、これら2つのニップロール間の周速差によって縦延伸を行うロール間延伸テンター延伸圧縮延伸等を挙げることができる。

0040

延伸前のPVA系樹脂フィルムの表面特性(Rz及びσ)を比較的維持しやすいことから、上記の中でも、乾式延伸は、熱ロールを利用した熱ロール延伸であることが好ましい。従って本工程は、例えば、長尺のPVA系樹脂フィルムを連続的に搬送しながら、熱ロールを含む熱ロール延伸装置に導入することにより、延伸フィルムを連続的に長尺物として製造する工程であることができる。熱ロール延伸は通常、縦一軸延伸であり、より典型的には自由端縦一軸延伸である。

0041

熱ロール延伸装置は、少なくとも1つの熱ロールを含み、2以上の熱ロールを含んでいてもよい。図2に熱ロール延伸処理及びそれに用いる熱ロール延伸装置の一例を示す。図2に示される熱ロール延伸装置は、フィルム搬送上流側から順に第1ニップロール10、熱ロール5及び第2ニップロール20を含む。熱ロール延伸装置に導入されたPVA系樹脂フィルム1は、第1ニップロール10、熱ロール5及び第2ニップロール20をこの順で含む搬送経路に沿って搬送される。すなわち、PVA系樹脂フィルム1はまず第1ニップロール10,10間を通過し、次いで熱ロール5に巻き掛けられた状態でその表面に接触しながら走行し、その後、第2ニップロール20,20間を通過し、延伸フィルム2が得られる。第1ニップロール10、第2ニップロール20及び熱ロール5はいずれも駆動ロールである。駆動ロールとは、モータ等のロール駆動源が直接又は間接的に接続されたロールなど、それに接触するフィルムに対してフィルム搬送のための駆動力を与えることができるロールをいう。第1ニップロール10と熱ロール5との間、及び/又は熱ロール5と第2ニップロール20との間にガイドロールを設けてもよい。

0042

図2に示される熱ロール延伸装置において、縦延伸のために必要なPVA系樹脂フィルム1への張力(引張力)は、第1ニップロール10又は第2ニップロール20と、熱ロール5との間の周速差によって付与される。例えば熱ロール5の周速を第1ニップロール10の周速よりも大きくすると、熱ロール5から第1ニップロール10へ向かう方向の張力(後方張力)が付与されながら、熱ロール5による加熱下にPVA系樹脂フィルム1は縦延伸される。一方、第2ニップロール20の周速を熱ロール5の周速よりも大きくすると、第2ニップロール20から熱ロール5へ向かう方向の張力(前方張力)が付与されながら、熱ロール5による加熱下にPVA系樹脂フィルム1は縦延伸される。

0043

縦延伸は、熱ロール5によりPVA系樹脂フィルム1が延伸可能な程度まで加熱され、かつ十分な張力が付与されたときに生じる。後方張力が付与されている場合、縦延伸は、PVA系樹脂フィルム1が熱ロール5の表面に接触した瞬間、及び/又はその前後(例えば手前)で生じ得る。前方張力が付与されている場合、縦延伸は、熱ロール5の表面に接触している間、及び/又はその直後に生じ得る。

0044

縦延伸のために必要なPVA系樹脂フィルム1にかかる張力の好ましい範囲は、10〜25MPaであり、より好ましくは13〜22MPaである。張力が10MPaを下回る場合にはフィルムの搬送性が低下し、皺等を生じる可能性がある。また、張力が25MPaを上回る場合には均一な縦延伸を行うことが困難となる。フィルムの搬送速度は特に限定されず、例えば2〜20m/分である。

0045

熱ロール5としては、その表面温度を高めることができるものである限り特に制限されず、熱源(例えば、温水等の熱媒赤外線ヒーター誘導加熱コイル誘電加熱回路等)を内部に備え、表面が金属やステンレス等の合金で構成されたロールを用いることができる。

0046

図3に示されるように、熱ロール延伸装置は、2以上の熱ロールを含んでいてもよい。図3は、3つの熱ロール6,7,8を含む例を示している。2以上の熱ロールを含む場合、縦延伸は、2つの熱ロールの間、及び/又は熱ロールの表面に接触している間に生じ得る。

0047

本工程における延伸処理の延伸倍率は、通常1.1〜8倍であり、好ましくは2〜6倍である。延伸フィルム2を偏光フィルムの原料として使用する場合における偏光フィルムの光学特性(特に偏光特性)の観点から、延伸倍率は、より好ましくは3.5倍以上であり、さらに好ましくは4倍以上である。

0048

熱ロール延伸時の熱ロールの表面温度は、例えば80〜150℃である。表面温度があまりに高いと、加熱されたPVA系樹脂フィルム1の強度が低下し、延伸時に破断する可能性がある。表面温度があまりに低いとPVA系樹脂フィルム1の延伸自体が困難となり得る。

0049

本工程により得られる延伸フィルム2は、表面の最大高さ粗さRzが25nm以上であることが好ましい。かかる延伸フィルムから延伸フィルムロールを製造することにより、この延伸フィルムロールから延伸フィルムを巻き出したときのフィルム破断を効果的に抑制することができる。延伸フィルムを巻き出したときのフィルム破断をより効果的に抑制する観点から、延伸フィルム2のRzは、より好ましくは30nm以上であり、さらに好ましくは35nm以上であり、なおさらに好ましくは38nm以上であり、特に好ましくは40nm以上である。また同様の理由で、延伸フィルム2のフィルム幅方向の厚みの標準偏差σは、好ましくは0.2μm以上であり、より好ましくは0.25μm以上であり、さらに好ましくは0.3μm以上であり、特に好ましくは0.35μm以上である。

0050

延伸フィルム2のRzを上記所定の範囲とするために、熱ロール延伸に用いる熱ロールとして、例えば、表面の最大高さ粗さRzが25nm以上である熱ロールを用いることもできる。

0051

熱ロール延伸によりPVA系樹脂フィルム1を延伸する場合、延伸前のPVA系樹脂フィルムの表面特性(Rz及びσ)を比較的維持しやすいことから、延伸倍率を3〜6倍とし、熱ロールの表面温度を90〜150℃とすることが好ましい。延伸倍率は、より好ましくは3.5〜6倍である。熱ロールの表面温度は、より好ましくは100〜135℃であり、さらに好ましくは100〜125℃である。

0052

延伸フィルム2の平均厚みは、通常2〜40μmであり、これを用いて製造される偏光フィルムの薄膜化の観点から、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。一般に、延伸フィルムの平均厚みを小さくすると、延伸フィルムロールから延伸フィルム2を巻き出したときのフィルム破断が生じやすくなる。本発明によれば、延伸フィルム2の平均厚みが小さい場合であっても、フィルム破断を効果的に抑制することが可能である。

0053

なお、延伸フィルム2の「表面の最大高さ粗さRz」、「フィルム幅方向の厚みの標準偏差σ」及び「平均厚み」の意味は、PVA系樹脂フィルムの場合と同じである。

0054

(3)延伸フィルムを巻き取る工程S30
本工程は、延伸フィルム2を巻き取って延伸フィルムロールを得る工程である。フィルムの巻き取りは、常法に従って行うことができる。

0055

延伸フィルム2を巻き取る際の巻取張力は特に制限されないが、これがあまりに大きいと、延伸フィルムロールから延伸フィルム2を巻き出したときのフィルム破断が生じやすくなる。従って、巻取張力は、50MPa以下であることが好ましく、40MPa以下であることがより好ましく、30MPa以下であることがさらに好ましい。巻取張力は、通常10MPa以上である。

0056

延伸フィルム2の巻出速度は特に制限されず、通常の速度であってよい。巻出速度は、例えば、2〜20m/秒であり、好ましくは4〜15m/秒である。

0057

上述のように、延伸フィルムを巻き出したときのフィルム破断を抑制する観点から、延伸フィルムロールを構成する延伸フィルム2は、表面の最大高さ粗さRzが、好ましくは25nm以上であり、より好ましくは30nm以上であり、さらに好ましくは35nm以上であり、なおさらに好ましくは38nm以上であり、特に好ましくは40nm以上である。また同様の理由で、延伸フィルムロールを構成する延伸フィルム2のフィルム幅方向の厚みの標準偏差σは、好ましくは0.2μm以上であり、より好ましくは0.25μm以上であり、さらに好ましくは0.3μm以上であり、特に好ましくは0.35μm以上である。

0058

延伸フィルムロールを構成する延伸フィルム2の長さは、例えば1000〜40000mであり、好ましくは5000〜35000mである。また延伸フィルム2の幅は、例えば1〜3mであり、好ましくは1.5〜2.5mである。

0059

<偏光フィルム及び偏光板の製造>
本発明に係る製造方法によって得られる延伸フィルムロールは、偏光フィルムの原料として好適に用いることができる。偏光フィルムは、延伸フィルムロールから巻き出された延伸フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程;二色性色素が吸着されたフィルムを架橋処理する工程;及び、架橋処理後水洗する工程、を経て製造することができる。このようにして製造される偏光フィルムは、延伸されたPVA系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向しているものである。二色性色素としては、ヨウ素又は二色性有機染料を用いることができる。

0060

延伸フィルムを二色性色素で染色する方法としては、例えば、延伸フィルムを二色性色素が含有された水溶液(染色溶液)に浸漬する方法が採用される。延伸フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理膨潤処理)を施しておくことが好ましい。

0061

二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、延伸フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この染色水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100重量部あたり通常0.01〜1重量部である。また、ヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部あたり通常0.5〜20重量部である。染色水溶液の温度は、通常20〜40℃程度である。

0062

一方、二色性色素として二色性有機染料を用いる場合は、通常、水溶性の二色性有機染料を含む染色水溶液に、延伸フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。染色水溶液における二色性有機染料の含有量は、水100重量部あたり通常1×10-4〜10重量部であり、好ましくは1×10-3〜1重量部である。この染色水溶液は、硫酸ナトリウム等の無機塩染色助剤として含有していてもよい。染色水溶液の温度は、通常20〜80℃程度である。

0063

二色性色素による染色後の架橋処理は、染色されたフィルムを架橋含有水溶液に浸漬することにより行うことができる。架橋剤の好適な例はホウ酸であるが、ホウ砂のようなホウ素化合物グリオキザールグルタルアルデヒド等の他の架橋剤を用いることもできる。架橋剤は1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

0064

架橋剤含有水溶液における架橋剤の量は、水100重量部あたり通常2〜15重量部であり、好ましくは4〜12重量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、この架橋剤含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。架橋剤含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、水100重量部あたり通常0.1〜15重量部であり、好ましくは5〜12重量部である。架橋剤含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃である。

0065

架橋処理後のフィルムは通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、架橋処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水洗処理における水の温度は通常、1〜40℃程度である。

0066

膨潤処理、染色処理、架橋処理及び洗浄処理のいずれか1以上の処理において、必要に応じてフィルムに湿式延伸を施してもよい。

0067

水洗後に乾燥処理を施して、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機による乾燥、熱ロールに接触させることによる乾燥、遠赤外線ヒーターによる乾燥などであることができる。乾燥処理の温度は、通常30〜100℃程度であり、40〜90℃が好ましい。偏光フィルムの平均厚みは、通常2〜40μmである。偏光板の薄膜化の観点から、偏光フィルムの平均厚みは、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。ここでいう平均厚みの意味も、PVA系樹脂フィルムの場合と同じである。

0068

得られた偏光フィルムは、順次巻き取ってロールとしてもよいし、巻き取ることなくそのまま偏光板作製工程に供することもできる。

0069

偏光フィルムの片面又は両面に接着剤層を介して熱可塑性樹脂フィルムを貼合することにより偏光板を得ることができる。熱可塑性樹脂フィルムは、透光性を有する熱可塑性樹脂、好ましくは光学的に透明な熱可塑性樹脂で構成されるフィルムである。熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂トリアセチルセルロースジアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂ポリエチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂ポリカーボネート系樹脂メタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂ポリスチレン系樹脂ポリ塩化ビニル系樹脂アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂;アクリロニトリル・スチレン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂ポリアミド系樹脂ポリアセタール系樹脂変性ポリフェニレンエーテル系樹脂ポリスルホン系樹脂ポリエーテルスルホン系樹脂ポリアリレート系樹脂ポリアミドイミド系樹脂ポリイミド系樹脂等であることができる。

0070

鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂ポリプロピレン樹脂のような鎖状オレフィンの単独重合体のほか、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。より具体的な例は、ポリプロピレン系樹脂(プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン樹脂や、プロピレンを主体とする共重合体)、ポリエチレン系樹脂エチレンの単独重合体であるポリエチレン樹脂や、エチレンを主体とする共重合体)を含む。

0071

環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィン重合単位として重合される樹脂の総称である。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物等である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネン多環ノルボルネン系モノマー等のノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。

0072

セルロース系樹脂とは、綿花リンタ木材パルプ広葉樹パルプ針葉樹パルプ)等の原料セルロースから得られるセルロースの水酸基における水素原子の一部または全部がアセチル基プロピオニル基及び/又はブチリル基置換された、セルロース有機酸エステル又はセルロース混合有機エステルをいう。例えば、セルロースの酢酸エステルプロピオン酸エステル酪酸エステル、及びそれらの混合エステル等からなるものが挙げられる。中でも、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートセルロースアセテートブチレートが好ましい。

0073

ポリエステル系樹脂は、エステル結合を有する、上記セルロース系樹脂以外の樹脂であり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体からなるものが一般的である。多価カルボン酸又はその誘導体としては2価のジカルボン酸又はその誘導体を用いることができ、例えばテレフタル酸イソフタル酸ジメチルテレフタレートナフタレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。多価アルコールとしては2価のジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオールブタンジオールネオペンチルグリコールシクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。好適なポリエステル系樹脂の例は、ポリエチレンテレフタレートを含む。

0074

ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合された重合体からなるエンジニアリングプラスチックであり、高い耐衝撃性耐熱性難燃性、透明性を有する樹脂である。ポリカーボネート系樹脂は、光弾性係数下げるためにポリマー骨格を修飾したような変性ポリカーボネートと呼ばれる樹脂や、波長依存性を改良した共重合ポリカーボネート等であってもよい。

0075

(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル系モノマー由来構成単位を含む重合体である。該重合体は、典型的にはメタクリル酸エステルを含む重合体である。好ましくはメタクリル酸エステルに由来する構造単位の割合が、全構造単位に対して、50重量%以上である重合体である。(メタ)アクリル系樹脂は、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、他の重合性モノマー由来の構成単位を含む共重合体であってもよい。この場合、他の重合性モノマー由来の構成単位の割合は、好ましくは全構造単位に対して、50重量%以下である。

0076

(メタ)アクリル系樹脂を構成し得るメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸アルキルエステルが好ましい。メタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチルメタクリル酸エチルメタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピルメタクリル酸n−ブチルメタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルメタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなアルキル基炭素数が1〜8であるメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。メタクリル酸アルキルエステルに含まれるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜4である。(メタ)アクリル系樹脂において、メタクリル酸エステルは、1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。

0077

(メタ)アクリル系樹脂を構成し得る上記他の重合性モノマーとしては、アクリル酸エステル、及びその他の分子内に重合性炭素炭素二重結合を有する化合物を挙げることができる。他の重合性モノマーは、1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸アルキルエステルが好ましい。アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチルアクリル酸エチルアクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチルアクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなアルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。アクリル酸アルキルエステルに含まれるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜4である。(メタ)アクリル系樹脂において、アクリル酸エステルは、1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。

0078

その他の分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物としては、エチレン、プロピレン、スチレン等のビニル系化合物や、アクリロニトリルのようなビニルシアン化合物が挙げられる。その他の分子内に重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。

0079

熱可塑性樹脂フィルムは、偏光フィルムを保護するための保護フィルムであることができる。また、熱可塑性樹脂フィルムは、位相差フィルム輝度向上フィルムのような光学機能を併せ持つ保護フィルムであることもできる。例えば、上記材料からなる熱可塑性樹脂フィルムを延伸(一軸延伸又は二軸延伸等)したり、該フィルム上に液晶層等を形成したりすることにより、任意の位相差値が付与された位相差フィルムとすることができる。熱可塑性樹脂フィルムは、その表面に積層される、ハードコート層、防眩層、反射防止層帯電防止層防汚層のような表面処理層コーティング層)を有していてもよい。

0080

熱可塑性樹脂フィルムの厚みは通常1〜100μmであるが、強度や取扱性、偏光板の薄膜化等の観点から5〜60μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。

0081

偏光フィルムと熱可塑性樹脂フィルムとの貼合に用いる接着剤としては、水系接着剤活性エネルギー線硬化性接着剤又は熱硬化性接着剤を用いることができ、好ましくは水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤である。

0082

水系接着剤は、接着剤成分を水に溶解したもの又は水に分散させたものである。好ましく用いられる水系接着剤は、例えば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂又はウレタン樹脂を用いた接着剤組成物である。

0083

接着剤の主成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、当該ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコールのようなポリビニルアルコール樹脂であることができるほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールメチロール基変性ポリビニルアルコールアミノ基変性ポリビニルアルコールのような変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。ポリビニルアルコール系樹脂は、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系共重合体であってもよい。

0084

ポリビニルアルコール系樹脂を接着剤成分とする水系接着剤は通常、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液である。接着剤中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、水100重量部に対して、通常1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。

0085

ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤は、接着性を向上させるために、多価アルデヒドメラミン系化合物ジルコニア化合物亜鉛化合物、グリオキザール、グリオキザール誘導体水溶性エポキシ樹脂のような硬化性成分や架橋剤を含有することが好ましい。水溶性エポキシ樹脂としては、例えばジエチレントリアミントリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸等のジカルボン酸との反応で得られるポリアミドアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂を好適に用いることができる。かかるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂の市販品としては、「スミレズレジン650」(田岡化学工業(株)製)、「スミレーズレジン675」(田岡化学工業(株)製)、「WS−525」(日本PMC(株)製)等が挙げられる。これら硬化性成分や架橋剤の添加量(硬化性成分及び架橋剤としてともに添加する場合にはその合計量)は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部である。上記硬化性成分や架橋剤の添加量がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して1重量部未満である場合には、接着性向上の効果が小さくなる傾向にあり、また、当該添加量がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して100重量部を超える場合には、接着剤層が脆くなる傾向にある。

0086

また、接着剤の主成分としてウレタン樹脂を用いる場合の好適な例として、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂グリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を挙げることができる。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。

0087

活性エネルギー線硬化性接着剤は、紫外線可視光電子線、X線のような活性エネルギー線照射によって硬化する接着剤である。活性エネルギー線硬化性接着剤を用いる場合、偏光板が有する接着剤層は、当該接着剤の硬化物層である。

0088

活性エネルギー線硬化性接着剤は、カチオン重合によって硬化するエポキシ系化合物を硬化性成分として含有する接着剤であることができ、好ましくは、かかるエポキシ系化合物を硬化性成分として含有する紫外線硬化性接着剤である。ここでいうエポキシ系化合物とは、分子内に平均1個以上、好ましくは2個以上のエポキシ基を有する化合物を意味する。エポキシ系化合物は、1種のみを使用してもよいし2種以上を併用してもよい。

0089

好適に使用できるエポキシ系化合物の具体例は、芳香族ポリオール芳香環水素化反応を行って得られる脂環式ポリオールに、エピクロロヒドリンを反応させることにより得られる水素化エポキシ系化合物(脂環式環を有するポリオールグリシジルエーテル);脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物ポリグリシジルエーテルのような脂肪族エポキシ系化合物;脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有するエポキシ系化合物である脂環式エポキシ系化合物を含む。

0090

活性エネルギー線硬化性接着剤は、硬化性成分として、上記エポキシ系化合物の代わりに、又はこれとともにラジカル重合性である(メタ)アクリル系化合物を含有することができる。(メタ)アクリル系化合物としては、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー官能基含有化合物を2種以上反応させて得られ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートオリゴマー等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物を挙げることができる。

0091

活性エネルギー線硬化性接着剤は、カチオン重合によって硬化するエポキシ系化合物を硬化性成分として含む場合、光カチオン重合開始剤を含有することが好ましい。光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩芳香族ヨードニウム塩芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩;鉄−アレン錯体等を挙げることができる。また、活性エネルギー線硬化性接着剤が(メタ)アクリル系化合物のようなラジカル重合性硬化性成分を含有する場合は、光ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン開始剤ベンゾフェノン系開始剤、ベンゾインエーテル系開始剤、チオキサントン系開始剤、キサントンフルオレノンカンファーキノンベンズアルデヒドアントラキノン等を挙げることができる。

0092

偏光フィルムに熱可塑性樹脂フィルムを貼合するに先立って、偏光フィルム及び/又は熱可塑性樹脂フィルムの貼合面に、プラズマ処理コロナ処理紫外線照射処理フレーム火炎)処理、ケン化処理のような表面活性化処理を行ってもよい。この表面活性化処理により、偏光フィルムと熱可塑性樹脂フィルムとの接着性を高めることができる。

0093

以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。フィルムの厚み及び表面特性に関する測定は、以下の方法に従った。

0094

(1)ポリビニルアルコール(PVA)フィルム表面の最大高さ粗さRz
Sensofar社製の三次元顕微鏡PLμ2300」を用いて、PVAフィルムの主面(表面)の標高を測定した。測定時の対物レンズ倍率は20倍とした。測定データから得られる長さ636μmの断面粗さ曲線より、最大高さ粗さRzを求めた。測定は、PVAフィルムの両面のそれぞれについて、フィルム幅方向に沿って3箇所実施し(測定点は、フィルム幅方向に沿って均等間隔で3箇所選択した。)、これらの測定値(計6点)の平均値をPVAフィルム表面の最大高さ粗さRzとした。

0095

(2)PVAフィルム幅方向の厚みの標準偏差σ及び平均厚みT
PVAフィルムから、MD長さ50mm×TD長さ全幅の帯状試験片切り出した。次いで、(株)ニコン製のデジタルマイクメーターMH−15M」を用いてフィルム幅方向に100mm間隔でフィルムの厚みを測定した。得られた測定値より、これらの測定値の平均値としてPVAフィルムの平均厚みTを得るとともに、PVAフィルムの厚みの標準偏差σを得た。

0096

(3)延伸フィルム表面の最大高さ粗さRz
Sensofar社製の三次元顕微鏡「PLμ2300」を用いて、延伸フィルムの主面(表面)の標高を測定した。測定時の対物レンズの倍率は20倍とした。測定データから得られる長さ636μmの断面粗さ曲線より、最大高さ粗さRzを求めた。測定は、延伸フィルムの両面のそれぞれについて、フィルム幅方向に沿って3箇所実施し(測定点は、フィルム幅方向に沿って均等間隔で3箇所選択した。)、これらの測定値(計6点)の平均値を延伸フィルム表面の最大高さ粗さRzとした。

0097

<実施例1>
平均重合度が約2400、ケン化度が99.9モル%以上、表面の最大高さ粗さRzが35nm、平均厚みTが19.9μm、幅方向の厚みの標準偏差σが0.3μmである長尺のPVAフィルムを、表面温度が105℃の熱ロールを用いて乾式で4.1倍に縦一軸延伸した後、22MPaの巻取張力で巻き取り、延伸フィルムロールを得た。ここで、巻取張力は巻取部直前に設置された張力計によって測定した。得られた延伸フィルムの表面の最大高さ粗さRzは39nmであった。

0098

得られた延伸フィルムロールから延伸フィルムを50MPaの張力で連続的に巻き出し、30℃の純水に滞留時間1分で浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.1/5/100である28℃の水溶液に滞留時間45秒で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が15/5.5/100である67℃の水溶液に滞留時間200秒で浸漬した。引き続き20℃の純水で5秒間洗浄した後、40℃で60秒間乾燥させて、一軸延伸されたPVAフィルムにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを連続的に製造した。偏光フィルムを作製するために、延伸フィルムロールから延伸フィルムを巻き出した際の破断頻度は0.0回/kmであった。破断頻度(単位:回/km)とは、巻き出した延伸フィルムの長さ1kmあたりのフィルム破断回数を意味する。

0099

<実施例2〜4、比較例1〜2>
表面の最大高さ粗さRz、平均厚みT、及び幅方向の厚みの標準偏差σが表1に示すとおりであるPVAフィルムを使用したこと以外は実施例1と同様にして延伸フィルムロールを作製し、次いで、得られた延伸フィルムロールを偏光フィルム製造工程に供した。

0100

実施例及び比較例におけるPVAフィルムの表面の最大高さ粗さRz、平均厚みT、及び幅方向の厚みの標準偏差σ、延伸フィルム表面の最大高さ粗さRz、並びに、延伸フィルムロールから延伸フィルムを巻き出した際の破断頻度を表1にまとめた。

実施例

0101

0102

1ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(PVA系樹脂フィルム)、2延伸フィルム、5,6,7,8熱ロール、10 第1ニップロール、20 第2ニップロール。

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