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技術 溶液製膜方法

出願人 富士フイルム株式会社
発明者 金村一秀
出願日 2016年3月29日 (3年10ヶ月経過) 出願番号 2016-064868
公開日 2017年10月5日 (2年4ヶ月経過) 公開番号 2017-177404
状態 特許登録済
技術分野 偏光要素 高分子成形体の製造 型の被覆による成形、強化プラスチック成形
主要キーワード 送出ノズル 放射発散度 乾燥機器 ダイユニット 原動スプロケット 予熱エリア レール間隔 給気状態
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

他のフィルム接着剤を介して積層した状態で切断した場合に、フィルム面近くにおけるフィルムの欠け、あるいは凝集破壊が発生しないフィルムを製造する溶液製膜方法を提供する。

解決手段

溶液製膜設備10は第1ドープ21と第2ドープ22とからフィルム11を製造する。流延装置13は、第1ドープ21の流れを第2ドープ22の流れにより挟んだ状態で、第1ドープ21と第2ドープ22とを走行するベルト23に流延し、流延膜29を形成する。流延膜29の溶剤含有率が200%に達するまで流延膜29を遠赤外線ヒータ41によって加熱することにより乾燥する。第2ドープ22は、遠赤外吸収液を含み、遠赤外吸収液の含有率が少なくとも10%である。第1ドープ21は遠赤外吸収液の含有率が第2ドープ22よりも低い。

概要

背景

偏光板構成部材であるフィルムに対しては、厚みをより薄くすることが求められている。また、偏光板は、偏向膜とこの偏向膜を挟む例えば一対の保護膜との積層体を目的とするサイズに切断することにより得られる。偏向膜と保護膜とは接着剤により接着することが多い。

例えば上記の偏光板に用いられるフィルムは、工業的には通常、長尺に製造される。長尺のフィルムの製造方法として、溶液製膜方法が知られている。溶液製膜方法は、ポリマー溶剤に溶解したドープを流延ダイから、走行する流延支持体上に流出して流延膜を形成し、この流延膜を流延支持体から剥がしてフィルムを形成し、形成したフィルムを乾燥する方法である。流延膜は、剥ぎ取って形成したフィルムが搬送可能になるように、流延支持体上で固められる。流延膜を流延支持体上で固める方法の一手法として、流延膜を乾燥する手法があり、乾燥の手法としては、例えば、加熱する方法と、乾燥した気体を供給する方法とがあり、後者の方法においては加熱した気体を用いることもある。

流延膜を加熱することにより乾燥する手法として、遠赤外線で加熱する手法が例えば特許文献1に記載されている。この特許文献1では、流延膜は溶剤含有率が10%以上200%以下の範囲内で流延支持体から剥ぎ取り、ドープにアルコールを含ませてよいこと、及び、共流延を用いてもよいことが記載されている。アルコールは、ドープの溶剤全体に対し2〜25質量%が好ましいとされている。

特許文献2のフィルムの製造方法は、ドープに近赤外線を吸収する物質を含ませて流延し、流延膜に近赤外線を照射している。また、特許文献3には、少なくとも一層を近赤外線吸収層とする光学フィルムの製造方法が記載されている。

概要

他のフィルムと接着剤を介して積層した状態で切断した場合に、フィルム面近くにおけるフィルムの欠け、あるいは凝集破壊が発生しないフィルムを製造する溶液製膜方法を提供する。溶液製膜設備10は第1ドープ21と第2ドープ22とからフィルム11を製造する。流延装置13は、第1ドープ21の流れを第2ドープ22の流れにより挟んだ状態で、第1ドープ21と第2ドープ22とを走行するベルト23に流延し、流延膜29を形成する。流延膜29の溶剤含有率が200%に達するまで流延膜29を遠赤外線ヒータ41によって加熱することにより乾燥する。第2ドープ22は、遠赤外吸収液を含み、遠赤外吸収液の含有率が少なくとも10%である。第1ドープ21は遠赤外吸収液の含有率が第2ドープ22よりも低い。

目的

また、偏光板は、偏向膜とこの偏向膜を挟む例えば一対の保護膜との積層体を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

第1ドープの流れを第2ドープの流れにより挟んだ状態で前記第1ドープと前記第2ドープとを走行する流延支持体流延し、流延膜を形成する流延膜形成工程と、前記流延膜の溶剤含有率が200%に達するまで、前記流延膜を遠赤外線ヒータによって加熱することにより乾燥する遠赤外乾燥工程と、を有し、前記第2ドープは、遠赤外線を吸収する液体有機化合物を含み、かつ、前記第2ドープの質量をMDとし、前記第2ドープにおける固形分の質量をMSとし、前記有機化合物の質量をMLとするときに{ML/(MD−MS)}×100で求める前記有機化合物の含有率が少なくとも10%であり、前記第1ドープは前記有機化合物の含有率が前記第2ドープよりも低い溶液製膜方法

請求項2

単層構造フィルムを製造する請求項1に記載の溶液製膜方法。

請求項3

前記有機化合物はアルコールである請求項1または2に記載の溶液製膜方法。

請求項4

前記第1ドープにおける前記有機化合物の含有率は大きくても13%である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の溶液製膜方法。

請求項5

前記遠赤外線ヒータの遠赤外線を射出する射出部の温度は低くても250℃である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の溶液製膜方法。

請求項6

前記流延支持体と前記射出部との距離は20mm以上200mm以下の範囲内である請求項5に記載の溶液製膜方法。

技術分野

0001

本発明は、溶液製膜方法に関する。

背景技術

0002

偏光板構成部材であるフィルムに対しては、厚みをより薄くすることが求められている。また、偏光板は、偏向膜とこの偏向膜を挟む例えば一対の保護膜との積層体を目的とするサイズに切断することにより得られる。偏向膜と保護膜とは接着剤により接着することが多い。

0003

例えば上記の偏光板に用いられるフィルムは、工業的には通常、長尺に製造される。長尺のフィルムの製造方法として、溶液製膜方法が知られている。溶液製膜方法は、ポリマー溶剤に溶解したドープを流延ダイから、走行する流延支持体上に流出して流延膜を形成し、この流延膜を流延支持体から剥がしてフィルムを形成し、形成したフィルムを乾燥する方法である。流延膜は、剥ぎ取って形成したフィルムが搬送可能になるように、流延支持体上で固められる。流延膜を流延支持体上で固める方法の一手法として、流延膜を乾燥する手法があり、乾燥の手法としては、例えば、加熱する方法と、乾燥した気体を供給する方法とがあり、後者の方法においては加熱した気体を用いることもある。

0004

流延膜を加熱することにより乾燥する手法として、遠赤外線で加熱する手法が例えば特許文献1に記載されている。この特許文献1では、流延膜は溶剤含有率が10%以上200%以下の範囲内で流延支持体から剥ぎ取り、ドープにアルコールを含ませてよいこと、及び、共流延を用いてもよいことが記載されている。アルコールは、ドープの溶剤全体に対し2〜25質量%が好ましいとされている。

0005

特許文献2のフィルムの製造方法は、ドープに近赤外線を吸収する物質を含ませて流延し、流延膜に近赤外線を照射している。また、特許文献3には、少なくとも一層を近赤外線吸収層とする光学フィルムの製造方法が記載されている。

先行技術

0006

特開2006−063266号公報
特開2004−067816号公報
特開2007−171244号公報

発明が解決しようとする課題

0007

フィルムの厚みを小さくした偏光板は、へこみやすいという問題があるので、薄くても硬いフィルムが求められる。また、硬いフィルムほど、目的とするサイズの偏光板を得るために上記の切断をした場合に、フィルム面に近い位置で、フィルムが欠けるあるいは凝集破壊を起こすという問題が生じやすい。フィルム面に近い位置とは、フィルム面から1μm程度という極めて近い位置である。

0008

そして、流延膜を、乾燥した気体を吹き付けることにより乾燥した場合には、他のフィルムと接着剤を介して積層した状態で切断した場合には、フィルムの欠け、あるいは凝集破壊が、支持体に接していたフィルム面側において発生しやすい。また、特許文献1の方法を用いても、切断によって発生する上記のフィルムの欠けあるいは凝集破壊を確実に防止するには至らない。特許文献2の方法は、フィルムの引き裂き強度を向上することはできるが、上記のような切断においては特許文献2,3の方法を用いた場合にも同様にフィルムの欠けあるいは凝集破壊が生じることがある。

0009

そこで、本発明は、他のフィルムと接着剤を介して積層した状態で切断した場合に、フィルム面近くにおけるフィルムの欠け、あるいは凝集破壊が発生しないフィルムを製造する溶液製膜方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

上記課題を解決するために、本発明の溶液製膜方法は、流延膜形成工程と遠赤外乾燥工程とを有する。流延膜形成工程は、第1ドープの流れを第2ドープの流れにより挟んだ状態で第1ドープと第2ドープとを走行する流延支持体に流延し、流延膜を形成する。遠赤外乾燥工程は、流延膜の溶剤含有率が200%に達するまで、流延膜を遠赤外線ヒータによって加熱することにより乾燥する。第2ドープは、遠赤外線を吸収する液体有機化合物を含む。第2ドープの質量をMDとし、第2ドープにおける固形分の質量をMSとし、有機化合物の質量をMLとするときに、第2ドープは、{ML/(MD−MS)}×100で求める前記有機化合物の含有率が少なくとも10%である。第1ドープは有機化合物の含有率が第2ドープよりも低い。

0011

単層構造のフィルムを製造する場合には、上記の溶液製膜方法は効果がある。

0012

上記の有機化合物はアルコールであることが好ましい。

0013

第1ドープにおける上記の有機化合物の含有率は大きくても13%であることが好ましい。

0014

遠赤外線ヒータの遠赤外線を射出する射出部の温度は低くても250℃であることが好ましい。流延支持体と射出部との距離は20mm以上200mm以下の範囲内であることが好ましい。

発明の効果

0015

本発明によると、他のフィルムと接着剤を介して積層した状態で切断した場合に、フィルム面近くにおけるフィルムの欠け、あるいは凝集破壊が発生しないフィルムを製造することができる。

図面の簡単な説明

0016

溶液製膜設備の概略図である。
遠赤外線ヒータの平面概略図である。
図2のIII−III線に沿う断面図である。
流延膜とフィルムとの説明図である。

0017

本発明を実施した図1に示す溶液製膜設備10は、厚みが10μm以上40μm以下の範囲内であり、フィルム面にハードコート層を設けた場合における鉛筆硬度が2H以上5H以下の範囲内であるポリマーフィルム(以下、単に「フィルム」と称する)11を製造するためのものである。ハードコート層を設ける場合には、フィルム11もできるだけ硬く製造する。なお、ハードコート層は、塗布により設けることができる。鉛筆硬度は、JIS K 5400に準じて求めることができる。具体的には、フィルム11を偏向膜の両膜面に貼り付けることにより偏光板をつくり、この偏光板の3辺を接着テープによりガラス板上へ貼り付け、温度25℃、相対湿度60%で24時間調湿した後、500gの荷重をかけて傷の有無を確認することにより求められる。本実施形態では、厚みが例えば40μm、後にハードコート層を設け、ハードコート層がある状態において3Hの鉛筆硬度を示すフィルム11を製造している。溶液製膜設備10は、流延装置13と、テンタ14と、ローラ乾燥装置15と、スリッタ16と、巻取装置17とを、上流側から順に備える。なお、本明細書においては、溶剤含有率(単位;%)は乾量基準の値であり、具体的には、溶剤の質量をMS、溶剤含有率を求める対象のフィルム11または流延膜29の質量をMFとするときに、{MS/(MF−MS)}×100で求める百分率である。後述の遠赤外吸収液がポリマーを溶解する機能をもたないものである場合には、遠赤外吸収液と溶剤との質量の和を上記のMSとする。

0018

流延装置13は、ポリマーが溶剤に溶解した第1ドープ21と第2ドープ22とからフィルム11を形成するためのものである。第1ドープ21と第2ドープ22とは、ポリマーが溶剤に溶解したポリマー溶液である。ポリマーとして、本実施形態では、セルローストリアセテート(以下、TACと称する)を用いているが、TACと異なる他のセルロースアシレートを用いてもよい。セルロースアシレートのアシル基は1種類だけでも良いし、あるいは2種類以上のアシル基を有していても良い。アシル基が2種以上であるときは、その1つがアセチル基であることが好ましい。セルロース水酸基カルボン酸エステル化している割合、すなわち、アシル基の置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するものが好ましい。なお、以下の式(I)〜(III)において、A及びBは、アシル基の置換度を表わし、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。

0019

(I) 2.0≦A+B≦3.0
(II) 1.0≦ A ≦3.0
(III) 0 ≦ B ≦2.0

0020

アシル基の全置換度A+Bは、2.20以上2.90以下であることがより好ましく、2.40以上2.88以下であることが特に好ましい。また、炭素原子数3〜22のアシル基の置換度Bは、0.30以上であることがより好ましく、0.5以上であることが特に好ましい。

0021

また、第1ドープ21のポリマーはセルロースアシレートに限られない。例えば、アクリル樹脂環状オレフィン樹脂(例えばJSR(株)製のアートン(登録商標))等でもよい。

0022

第1ドープ21と第2ドープ22とは、フィルム11になる固形分としてポリマー以外のものが含まれていてもよい。ポリマー以外の固形分としては、例えば、可塑剤紫外線吸収剤レタデーション制御剤微粒子等があり、本実施形態では可塑剤を含ませている。微粒子は、フィルム11に滑り性耐傷性を付与したり、フィルム11を重ねた際の貼り付きを抑制するなどの目的で使用されるいわゆるマット剤である。

0023

第1ドープ21と第2ドープ22とにおける各固形分の割合(以下、固形分含有率と称する)は、固形分の質量をMSとし、第1ドープ21と第2ドープ22との質量をそれぞれMDとするときに、(MS/MD)×100で求める百分率で10%以上23%以下の範囲内とされ、本実施形態ではともに19%としている。

0024

第1ドープ21と第2ドープ22との溶剤としては、本実施形態においては、ジクロロメタンメタノールとの混合物を用いている。溶剤は本実施形態の例に限られず、例えば、ブタノールエタノールプロパノール等が用いられ、これらは混合物として2種以上を併用してもよい。

0025

第2ドープ22は、遠赤外線(4μm以上50μm以下の波長範囲)を吸収する液体を含み、この液体は有機化合物である。以下、遠赤外線を吸収する液体の有機化合物を、遠赤外吸収液と称する。ここで、「遠赤外線を吸収する」とは、FT−IR(Fourier transform infrared spectrometer、フーリエ変換赤外分光光度計)のスペクトル分析により、黒体での各波長の遠赤外線放射発散度(この遠赤外線放射発散度は周知の通りプランクの式により求められる)を積分して求める値(エネルギ)をE1とし、上記の遠赤外線放射発散度に各素材吸収率を乗じ、得られた乗算値を積分することにより求める値(エネルギ)をE2とするときに、(E2/E1)×100の算出式により求められる値(単位は%)が20%以上であることを意味する。上記の「黒体」は、日本工業規格JIS Z 8117の遠赤外線用語において定義されており、具体的には「すべての波長の放射を完全に吸収する仮想的な物体」である。第2ドープ22は遠赤外吸収液を含む。第2ドープ22は、遠赤外吸収液の含有率が少なくとも10%、すなわち10%以上である。第2ドープ22の遠赤外吸収液の含有率は、第2ドープ22の質量をMDとし、第2ドープ22における固形分の質量をMSとし、第2ドープ22における遠赤外吸収液の質量をMLとするときに、{ML/(MD−MS)}により求める値である。第2ドープ22は、遠赤外吸収液を少なくとも13%含むことがより好ましく、少なくとも15%含むことがさらに好ましい。本実施形態では、第2ドープ22は遠赤外吸収液を例えば15%含んでいる。

0026

遠赤外吸収液としては、アルコールが好ましい。アルコールとしては、エタノールとブタノールとメタノールとがそれぞれ好ましく、メタノールがさらに好ましい。なお、複数種類の遠赤外吸収液を併用してもよい。本実施形態では、前述の溶剤の一成分として用いているメタノールがこの遠赤外吸収液として機能している。すなわち、本実施形態においては、第2ドープ22のメタノールは、溶剤としての機能と、遠赤外線を吸収する機能との両方の機能を担っている。

0027

遠赤外吸収液は、第2ドープ22の他の成分と相溶性を有するものがよい。この点、第2ドープ22に水が含まれている場合には相分離を起こす場合があるので、水が含まれていないことが最も好ましい。しかし、含水率厳格に0(ゼロ)とすることは困難であり、含水率は0.5%以下であれば水を含まないとみなして許容してよい。

0028

第1ドープ21は、遠赤外吸収液の含有率が第2ドープ22よりも低い。第2ドープ22よりも低いとは、0(ゼロ)である場合も含む。第1ドープ21は、遠赤外吸収液の含有率が大きくても13%である、すなわち13%以下であることが好ましく、大きくても10%すなわち10%以下であることがより好ましく、大きくても5%すなわち5%以下であることがさらに好ましい。第1ドープ21の遠赤外吸収液の含有率は、第2ドープにおける算出方法と同様の算出方法で求められ、第1ドープ21の質量をMDとし、第1ドープ21における固形分の質量をMSとし、遠赤外吸収液の質量をMLとするときに{ML/(MD−MS)}×100で求める。本実施形態の第1ドープ21は、前述のように溶剤の一成分としてアルコールを含んでいるから遠赤外吸収液を含んでおり、遠赤外吸収液の含有率は8%である。第1ドープ21は、遠赤外吸収液を非含有としていてもよいが、本実施形態のようにポリマーの溶剤成分として例えばアルコールを使用している場合には、第1ドープ21は遠赤外吸収液を含んでいることになる。このような場合には、アルコールは遠赤外線を吸収する機能を担うためではなく、溶剤としての機能を担うために用いている。

0029

流延装置13は、環状に形成された無端の流延支持体であるベルト23と、周方向に回転する第1ローラ26及び第2ローラ27とを備える。ベルト23は、第1ローラ26と第2ローラ27との周面に巻き掛けられる。第1ローラ26と第2ローラ27との少なくともいずれか一方が駆動手段を有する駆動ローラであればよく、本実施形態においては第1ローラ26と第2ローラ27との両方が駆動ローラとされている。この駆動ローラが周方向に回転することにより、周面に接するベルト23が長手方向に走行して循環する。なお図1において符号Xを付している矢線は、ベルト23の走行方向ならびにフィルム11の搬送方向を示している。

0030

ベルト23の上方にはダイユニット28が備えられている。ダイユニット28は、流延ダイ(以下、ダイと称する)28aと、ダイ28aの上流に配されるフィードブロック28bとを有する。フィードブロック28bは、供給されてきた第1ドープ21と第2ドープ22との流れを合流させ、合流した状態でダイ28aへ案内する。フィードブロック28bは、第1ドープ21の流れを一対の第2ドープ22の流れによって挟んだ状態に、第1ドープ21と第2ドープ22とを合流させる。ダイ28aは、フィードブロック28bから案内されてきた第1ドープ21と第2ドープ22とを、これらの流れを第2ドープ22、第1ドープ21、第2ドープ22の順で重なった状態で図1紙面行方向に拡がった膜状に拡幅した後に、流出口28c(図2参照)連続的に流出する。これにより、走行しているベルト23に、流延膜29が形成される。なお、重なった状態の第1ドープ21と第2ドープ22とがベルト23に接触を開始する位置を、以下、流延位置PCと称する。

0031

第1ドープ21を挟む一対の第2ドープ22の各々の流量は、製造されたフィルム11において厚みが概ね各3μmになるように調整するとよい。

0032

本実施形態においては、ダイ28aは、第1ローラ26上のベルト23の上方に設けており、流延位置PCは第1ローラ26上としている。しかし、ダイ28aの位置はこれに限定されない。例えば、第1ローラ26から第2ローラ27へ向かうベルト23の上方に設けてもよい。この場合には、第1ローラ26から第2ローラ27へ向かうベルト23の下方にローラ31を配し、ローラ31により支持されているベルト23の上方にダイ28aを配することが好ましい。

0033

第1ローラ26と第2ローラ27とは、それぞれ周面温度を制御する温度コントローラ(図示せず)を備える。例えば、第1ローラ26は、周面温度が所定の範囲となるように冷却する。第1ローラ26を冷却することにより、ベルト23は1周する毎に冷却される。これにより、連続走行して遠赤外線ヒータ41と給気乾燥ユニット42とにより加熱され続けても、ベルト23、特に両側部23s(図2参照)の温度上昇が抑えられる。第2ローラ27は、周面温度が所定の範囲となるように加熱する。第2ローラ27を加熱することにより、流延膜29はより効果的に乾燥する。

0034

第1ローラ26の周面温度は、3℃以上30℃以下の範囲にすることが好ましく、5℃以上25℃以下の範囲にすることがより好ましく、8℃以上20℃以下の範囲にすることがさらに好ましい。第2ローラ27の周面温度は、20℃以上50℃以下の範囲にすることが好ましく、25℃以上45℃以下の範囲にすることがより好ましく、30℃以上40℃以下の範囲にすることがさらに好ましい。

0035

ダイ28aからベルト23に至る積層状態の第1ドープ21と第2ドープ22、いわゆるビードに関して、ベルト23の走行方向における上流には、減圧チャンバが設けられるが図示は略す。この減圧チャンバは、ビードの上流側エリア雰囲気吸引することによりこのエリアを減圧する。

0036

流延膜29を、テンタ14への搬送が可能な程度にまで固く(ゲル化)してから、溶剤を含む状態でベルト23から剥がし、フィルム11を形成する。剥ぎ取りは、溶剤含有率が70%以下になってから行うことが好ましく、より好ましくは10%以上70%以下の範囲内、さらに好ましくは20%以上50%以下の範囲内で行うことがより好ましい。

0037

剥ぎ取りの際には、フィルム11を剥ぎ取り部としてのローラ(以下、剥取ローラと称する)32で支持し、流延膜29がベルト23から剥がれる剥取位置PPを一定に保持する。剥取ローラ32は、駆動手段を備えて周方向に回転する駆動ローラであってもよい。なお、剥ぎ取りは、第1ローラ26上のベルト23で行っている。ベルト23は循環して剥取位置PPから流延位置PCに戻ると再び新たな第1ドープ21と第2ドープ22とが流延される。

0038

流延装置13は、遠赤外線ヒータ41と給気乾燥ユニット42とを備える。遠赤外線ヒータ41は、流延膜29を形成直後から溶剤含有率が200%に達するまで乾燥させる第1の流延膜乾燥部である。遠赤外線ヒータ41は、第1ローラ26から第2ローラ27へ向かうベルト23の走行路近傍に配されており、流延膜29を形成直後から溶剤含有率が200%に達するまで乾燥させる。遠赤外線ヒータ41は、第1ローラ26と第2ローラ27上のベルト23の、走行方向におけるほぼ全域にわたって設けられているが、流延膜29の溶剤含有率が200%に達するまでの領域であれば、この例に限定されない。また、流延膜29の溶剤含有率が200%よりも低い領域にわたって、遠赤外線ヒータ41を設けてもよい。すなわち、前述の「溶剤含有率が200%に達するまで乾燥する」とは、少なくとも200%に達するまでは乾燥することを意味し、200%より低くなっても乾燥することを含む。

0039

この例では、遠赤外線ヒータ41は、ベルト23の流延面23aと対向して配されている。しかし、遠赤外線ヒータ41は、ベルト23の反流延面23bと対向して配してもよいし、あるいは、流延面23aと反流延面23bとの両方に対向するように一対の遠赤外線ヒータ41を配してもよい。遠赤外線ヒータ41の詳細は、別の図面を用いて後述する。

0040

給気乾燥ユニット42は、遠赤外線ヒータ41での乾燥を経た流延膜29を、ベルト23から剥ぎ取った後の搬送ができる程度にまでさらに乾燥させる第2の流延膜乾燥部である。給気乾燥ユニット42は、ベルト23の走行方向における遠赤外線ヒータ41よりも下流に設けられ、第1給気部45と排気部46と第2給気部47とを有する。これらは、ベルト23の走行方向に沿って、上流側から第1給気部45,排気部46,第2給気部47の順に並べて配されている。第1給気部45は、第2ローラ27上のベルト23の走行路近傍に配され、排気部46と第2給気部47とは、第2ローラ27から第1ローラ26へ向かうベルト23の走行路近傍に配されている。ただし、第1給気部45と排気部46と第2給気部47とが配される位置はこの例に限られず、ベルト23の走行方向における遠赤外線ヒータ41よりも下流であればよい。

0041

第1給気部45と第2給気部47とは乾燥した気体を流出し、排気部46は気体を吸引し、排気する。ここで、ベルト23、ダイユニット28、遠赤外線ヒータ41、第1給気部45,排気部46,第2給気部47などは、外部空間と仕切チャンバ56の内部に収容されており、排気部46は吸引した気体をこのチャンバ56の外部へ排気する。給気乾燥ユニット42は、チャンバ56の外部に、コントローラ57を備える。コントローラ57は、第1給気部45と第2給気部47とに乾燥した気体(以下、乾燥気体と称する)、例えば空気を送り、その気体の温度と、湿度と、第1給気部45と第2給気部47とからの流量と、排気部46での気体の吸引力とを独立して調節する。本実施形態においては、第1給気部45と第2給気部47とからの乾燥気体は、コントローラ57により概ね100℃に加熱されてある。このように加熱された気体を温風として流延膜29上に流すことにより、流延膜29を加熱し、乾燥をすすめる。乾燥気体の温度は、50℃以上140℃以下の範囲内であることが好ましい。

0042

第1給気部45は、乾燥気体を流出する流出口45aがベルト23の走行方向Xに向くように配されており、これにより、搬送されている流延膜29に対し乾燥気体を追い風で供給する。この乾燥気体は流延膜29の膜面に対して並行な流れとなる。第2給気部47は、乾燥気体を流出する流出口47aがベルト23の走行方向Xとは反対側に向くように配されており、これにより、搬送されている流延膜29に対し乾燥気体を向かい風で供給する。この乾燥気体も流延膜29の膜面に対して並行な流れとなる。排気部46は、気体を吸引する吸引口46aが通過する流延膜29に向くように配されており、第1給気部45と第2給気部47との間で気体を吸引する。なお、流出口45a,流出口47a,吸引口46aは、ベルト23の幅方向図1の紙面奥行き方向)に延びたスリット状の開口としている。

0043

本実施形態では、第1給気部45と排気部46と第2給気部47とをコントローラ57によりそれぞれ独立して制御しているが、この態様に限られない。例えば、第1給気部45と排気部46と第2給気部47とにそれぞれコントローラ(図示無し)を設け、各コントローラにより第1給気部45と排気部46と第2給気部47とを制御してもよい。

0044

この例では、遠赤外線ヒータ41を経た流延膜29の乾燥をさらにすすめる乾燥部として給気乾燥ユニット42を用いているが、これに限定されず、流延膜を乾燥する公知の乾燥機器を乾燥部として使用してよい。例えば、流延膜29を覆うサイズの箱状に形成された給気ボックスと、この給気ボックスのベルト23との対向面に設けられた、乾燥気体を先端の開口から送出する複数の送出ノズルとを備える送風機であってもよい。

0045

ベルト23からの剥ぎ取りにより形成されたフィルム11は、テンタ14に案内される。流延装置13とテンタ14との間の搬送路には、送風装置(図示無し)を配してもよい。この送風装置からの送風により、フィルム11の乾燥がすすめられる。

0046

テンタ14は、フィルム11を搬送しながら乾燥をすすめる第1のフィルム乾燥装置である。本実施形態のテンタ14は、フィルム11の各側部を保持部材としてのクリップ14aで保持して長手方向に搬送しながら、幅方向での張力を付与することにより、フィルム11を幅方向に延伸する延伸処理も行う。テンタ14には、上流側から順に、予熱エリア延伸エリア、及び緩和エリアが形成されてある。なお、緩和エリアは無くてもよい。

0047

テンタ14は、1対のレール(図示無し)及びチェーン(図示無し)を備える。レールはフィルム11の搬送路の両側に設置され1対のレールは所定の間隔で離間して配される。このレール間隔は、予熱エリアでは一定であり、延伸エリアでは下流に向かうに従って次第に広くなり、緩和エリアでは一定である。なお、緩和エリアのレール間隔は、下流に向かうに従って次第に狭くなるようにしてもよい。

0048

チェーンは、原動スプロケット及び従動スプロケット(図示無し)に掛け渡され、レールに沿って移動自在に取り付けられている。複数のクリップ14aは、チェーンに所定の間隔で取り付けられている。原動スプロケットの回転により、クリップ14aはレールに沿って循環移動する。クリップ14aは、テンタ14の入口近傍で、案内されてきたフィルム11の保持を開始し、出口に向かって移動して、出口近傍で保持を解除する。保持を解除したクリップ14aは再び入口近傍に移動して、新たに案内されてきたフィルム11を保持する。

0049

予熱エリア、延伸エリア、緩和エリアは、ダクト14bからの乾燥風の送り出しによって空間として形成されたものであり、明確な境界があるわけではない。ダクト14bはフィルム11の搬送路の上方に設けられる。ダクト14bは、乾燥気体(例えば乾燥した空気)を送り出すスリット(図示無し)を複数有し、乾燥気体は送風機(図示無し)から供給される。送風機は、所定の温度や湿度に調整した乾燥風をダクト14bに送る。スリットがフィルム11の搬送路と対向するようにダクト14bは配される。各スリットはフィルム11の幅方向に長く伸びた形状であり、複数のスリットは搬送方向Xにおいて互いに所定の間隔をもって形成されている。なお、同様の構造を有するダクトを、フィルム11の搬送路の下方に設けてもよいし、フィルム11の搬送路の上方と下方との両方に設けてもよい。

0050

ローラ乾燥装置15は、フィルム11をさらに乾燥させるための第2の乾燥装置である。ローラ乾燥装置15の内部の雰囲気は、温度や湿度などが空調機(図示無し)により調節されている。ローラ乾燥装置15では、多数のローラ15aにフィルム11が巻き掛けられて搬送される。

0051

スリッタ16は、フィルム11の両側部を切除してフィルム11を目的とする幅にするためのものである。この切除では、クリップ14aによる保持跡を含むようにフィルム11の両側部を切除する。巻取装置17は、フィルム11を巻き芯に巻いてロール状にする。

0052

遠赤外線ヒータ41について、図2を参照しながら説明する。遠赤外線ヒータ41は、前述のように流延膜29を形成直後から溶剤含有率が200%に達するまで乾燥するためのものであり、流延位置PCの下流に設けられている。本実施形態では、流延位置PCの下流側近傍にラビリンスシール61を設けてあり、遠赤外線ヒータ41は可能な限りラビリンスシール61に近づけて配してある。ラビリンスシール61は、チャンバ56(図1参照)の内壁から先端をベルト23に向けて、ベルト23に対して起立した姿勢で設けられている。なお、ラビリンスシール61の他に、ダイ28aの上流側にもラビリンスシール62(図1参照)を設けてあり、これらラビリンスシール61,62は、ダイユニット28を囲む空間を形成するためのものである。これにより、前述のビードの形状が安定するとともに、ダイユニット28の周囲における気圧のばらつきや気圧の変化が抑制される。

0053

遠赤外線ヒータ41は、流延膜29を加熱することにより乾燥するためのものである。遠赤外線ヒータ41は、ベルトに対向して配された複数の射出部41aと、射出部41aを支持する基板41bとを備える。射出部41aは、遠赤外線を射出し、流延膜29に照射するものであり、図2においては、各射出部41aを大きく誇張して描いている。したがって、図2では、射出部41aの数は、ベルト23の幅方向Yに9個、ベルトの走行方向Xに20個とされているが、実際の数はこれよりも多い。また、本実施形態においては、複数の射出部41aを、マトリックス状に並べているが、他の並べ方でもよく、規則的な並びでなくてもよい。なお、ベルト23の幅方向Yは、流延膜29,フィルム11の各幅方向と互いに一致するので、以降の説明においては単に幅方向と称して、いずれも符号Yを付す。

0054

射出部41aの温度は低くても250℃であること、すなわち250℃以上であることが好ましく、200℃以上400℃以下の範囲内であることがより好ましく、240℃以上320℃以下の範囲内であることがさらに好ましい。本実施形態においては射出部41aの温度は例えば250℃としている。

0055

射出部41aからの遠赤外線の照射により流延膜29は加熱されて昇温し、乾燥がすすむ。ここで、遠赤外線ヒータ41は、幅方向Yにおける長さが流延膜29の幅よりも小さく形成され、また、射出部41aが流延膜29の側縁29eよりも幅方向Yにおける内側に位置するように配されていることが好ましい。流延膜29はベルト23の第1ドープ21と第2ドープ22とが流延される流延面23aの両側部23sには形成されないので、両側部23sは露呈した状態で遠赤外線ヒータ41を通過するが、遠赤外線ヒータ41を上記の大きさ及び配置とすることで、両側部23sの加熱が抑制されている。両側部23sの加熱が抑制されることで、流延膜29の側部の過度な加熱も抑制され、流延膜29の側部における発泡も生じない。

0056

この例では、遠赤外線ヒータ41は、ベルト23の流延面23aと対向して設けられており、流延膜29に向けて赤外線を射出する。ただし、遠赤外線ヒータ41は、流延面23aと対向する位置と、反流延面23bと対向する位置との少なくともいずれか一方に設ければよい。反流延面23bと対向して設ける場合の遠赤外線ヒータ41は、反流延面23bに向けて赤外線を射出し、ベルト23を介して流延膜29を加熱する。

0057

ベルト23の流延面23aと射出部41aとの距離をD2とするときに、距離D2は20m以上200mm以下の範囲内であることが好ましく、20mm以上100mm以下の範囲内であることがより好ましく、20mm以上50mm以下の範囲内であることがさらに好ましい。本実施形態ではD2を50mmとしている。この例では、遠赤外線ヒータ41を流延面23aと対向して配してあるから、距離D2は、流延面23aと射出部41aとの距離である。遠赤外線ヒータ41を反流延面23bと対向して配する場合の距離D2は、反流延面23bと射出部41aとの距離である。

0058

上記構成の作用を説明する。走行するベルト23へダイ28aから第1ドープ21と第2ドープ22とが連続的に流出されることにより、ベルト23上に流延膜29が形成される(流延膜形成工程)。ダイ28aの流出口28cからは、第1ドープ21の流れを第2ドープ22の流れによって挟んだ状態に第1ドープ21と第2ドープ22とが流出する。これにより、流延膜29は、図4の(A)に示すように、厚み方向において、第1ドープ21から形成される中央層29aが、第2ドープ22から形成される第1表層29bと第2表層29cとの間に位置する態様となる。第1表層29bは露呈する膜面を構成する表層を第1表層29bとし、ベルト23に接して形成される表層を第2表層29cとする。したがって、この例において遠赤外線ヒータ41に対向する表層は第1表層29bである。図4においては、説明の便宜上、第1表層29bと中央層29aとの境界、及び、第2表層29cと中央層29aとの境界を描いているが、この境界は観察されるものではない。

0059

流延膜29は、走行するベルト23により搬送され、遠赤外線ヒータ41に案内される。流延膜29は、遠赤外線ヒータ41の下方を通過することで、赤外線が直接照射され、加熱される。この加熱により、流延膜29は昇温し、乾燥がすすむ。ベルト23の下方に遠赤外線ヒータ41を配した場合には、流延膜29はベルト23を介して加熱される。遠赤外線ヒータ41による加熱により、遠赤外線ヒータ41を通過後の流延膜29の溶剤含有率を200%以下にする(遠赤外乾燥工程)。

0060

給気して乾燥させる手法では、本実施形態のように厚みが小さい流延膜29は膜面が給気により凹凸形状を成したまま乾燥してしまい、厚みが例えば80μm以上などの厚いフィルムを製造する場合において効果的な皮膜形成による膜面の平滑化の作用は得られない。これに対して、上記のように給気をしないいわゆる無給気状態下で流延膜29を遠赤外線ヒータ41で加熱する手法によると、流延膜29は、膜面を平滑に保った状態で乾燥がすすむ。

0061

第1表層29bには遠赤外吸収液が含まれ、その含有率は少なくとも10%であるから、第1表層29bは遠赤外線ヒータ41からの遠赤外線を吸収しやすい。また、第2表層29cには遠赤外吸収液が含まれ、その含有率は少なくとも10%であり、中央層29aは第1表層29bと第2表層29cとに比べて遠赤外吸収液の含有率が低くされているから、第1表層29b及び第2表層29cと同じまたはこれらよりも高い場合に比べて、遠赤外線ヒータ41からの遠赤外線は中央層29aにおいて吸収が多少なりとも抑えられ、第2表層29cに吸収されやすい。そして、中央層29aを厚く形成する場合ほど、中央層29aにおける遠赤外吸収液の含有率を低く抑えておくことの効果は高い。遠赤外線の吸収により、第1表層29bと第2表層29cとに含まれるポリマーの分子は、運動活発化し、互いにより絡むようになる。そして、溶媒含有率が200%以上と大きい間に遠赤外線が照射させているから、ポリマーの分子の動くことができる領域が確実に広く確保されているから分子同士が確実に絡み合う。その結果、得られるフィルム11は、他のフィルムと接着剤を介して積層した状態、すなわち他のフィルムと接着剤により積層された積層体の状態で切断した場合に、フィルム面近くにおける欠けと凝集破壊とが生じない。

0062

また、加熱した気体を供給して流延膜29を乾燥する手法によると、ベルト23に接した一方の膜面側には熱エネルギ伝わりにくいが、本実施形態の構成によると、流延膜29は、一方の膜面側と他方の膜面側とで同程度に、分子の運動が活発化するから、ポリマーの分子は両膜面側においてそれぞれ確実に絡む。

0063

なお、ポリマーの分子の運動を活発化するために、ポリマーの良溶媒を増量したドープを第2ドープ22として用いる手法も考えられる。しかし、製造するフィルム11の厚みを例えば10μm以上40μm以下の範囲内というように小さくする場合、あるいは、生産性を向上するために流延膜29を乾燥するための乾燥条件をより過酷にする場合には、分子が十分に絡み合う前に流延膜29が乾燥しすぎてしまう。これに対し、上記構成によると、流延膜29の乾燥の進み具合と分子の絡み合いとがバランスよくすすむ。

0064

また、上記の構成によると、中央層29aを形成する第1ドープ21の処方は、従来の単層構造のフィルムを製造するためのドープの処方と同じでよいというメリットがある。また、第2ドープ22の処方は、遠赤外吸収液を第1ドープ21よりも増量した処方に変更するだけでよいというメリットがある。

0065

遠赤外線を吸収する物質としてフィルム11中に残留するような固体を用いた場合には、第1表層29bと第2表層29cとに遠赤外線が吸収されても、流延膜29におけるポリマーの分子の運動を活発化することよりもむしろ絡み合いを阻害するようになる。本実施形態では、遠赤外線を吸収する物質として液体を用いているから、ポリマーの分子の動くことができる領域がより広く確保され、かつ、ポリマーの分子の運動自体も活発化する。

0066

射出部41aの温度を低くても250℃としているから、第1表層29bと第2表層29cとにおいてポリマーの分子がより絡みあい、かつ、流延膜29の乾燥も確実にすすむ。

0067

ベルト23と射出部41aとの距離D2が20mm以上であるから、流延膜29の膜面から未溶解のゲル状のものが突出していても、ラビリンスシール61の先端とベルト23までの距離は通常20mmよりも小さく、例えば本実施形態では15mmであるため、大きなゲル状のものはこのラビリンスシール61により通過が防がれ、高温の射出部41aに接触することがより確実に防止される。距離D2が200mm以下であるから、流延膜29がより確実に加熱され、その結果、ポリマーの分子がより確実に絡み合い、かつ、流延膜29の乾燥もより確実にすすむ。

0068

遠赤外線ヒータ41を通過した流延膜29は、給気乾燥ユニット42へ案内される。第1給気部45と第2給気部47とからの給気(風速は概ね3m/s以上20m/s以下の範囲内)により、流延膜29は乾燥をすすめられる。排気部46は、気体を吸引する吸引口46aが通過する流延膜29に向くように配されており、第1給気部45と第2給気部47との間で気体を吸引するから、第1給気部45と第2給気部47とから流出した乾燥気体は、より確実に流延膜29上を流れる。このため、流延膜29の乾燥はより効率的にすすむ。また、流延膜29は、遠赤外線ヒータ41により200%以下に溶剤含有率を下げられているから、第1給気部と第2給気部47とからの乾燥気体の流量を多めに設定しても流延膜29の露呈した膜面の平滑性が維持される。

0069

流延膜29をベルト23から剥ぎ取られることで形成されるフィルム11は、テンタ14で搬送されながら、ダクト14bからの乾燥風により乾燥をすすめられるとともに、クリップ14aにより幅方向に延伸されて目的とする光学特性発現する。フィルム11は、ローラ乾燥装置15によりさらに乾燥されて、スリッタ16で側部を除去された後に、巻取装置17によりロール状に巻かれる。得られるフィルム11は、図4の(B)に示すように単層構造として得られる。

0070

上記構成は、製造するフィルム11の厚みが小さいほど上記作用が顕著であり、例えば10μm以上40μm以下の厚みである場合に特に顕著である。また、上記構成は、製造するフィルム11が硬い場合ほど上記作用が顕著であり、例えばハードコート層が後工程で設けられるフィルム11であり、かつ、ハードコート層を設けた状態での鉛筆硬度が3H以上5H以下の範囲である硬いフィルム11を製造する場合に特に顕著である。

0071

以下、実施例と比較例とを挙げる。詳細は実施例に記載し、比較例については実施例と異なる条件のみを記載する。

0072

[実施例1]〜[実施例26]
厚みが40μmであるフィルム11を製造し、実施例1〜13とした。また、厚みが25μmであるフィルム11を製造し、実施例14〜26とした。第1ドープ21の固形分を、ジクロロメタンとメタノールとの混合物に溶解して第1ドープ21をつくった。また、第2ドープ22の固形分を、ジクロロメタンとメタノールとの混合物に溶解して第2ドープ22をつくった。第1ドープ21と第2ドープ22との各メタノールの含有率は表1及び表2の「第1ドープの遠赤外吸収液の含有率」欄と「第2ドープの遠赤外吸収液の含有率」欄とに示す。第1ドープ21と第2ドープ22との固形分は、以下の通り、TACと第1可塑剤と第2可塑剤である。第1可塑剤はトリフェニルフォスフェートであり、第2可塑剤はビフェニルジフェニルフォスフェートである。

0073

第1ドープ21と第2ドープ22との各固形分は以下である。
TAC 100質量部
第1可塑剤7質量部
第2可塑剤 5質量部

0074

溶液製膜設備10により、フィルム11を製造した。ベルト23の走行速度は60m/分とした。射出部41aの温度は、表1と表2との「射出部の温度」欄に示す。遠赤外乾燥工程終了時の流延膜29の溶剤含有率は、表1と表2との「遠赤外乾燥工程終了時の溶剤含有率」欄に示す。得られたフィルム11の厚みは、小野計測社製の厚み測定機DG125で測定し、実施例1〜13では40μmであること、実施例14〜26では25μmであることを確認した。また、各フィルム11からシート状にサンプリングした第1のサンプルシートには後工程でハードコート層を設け、ハードコート層を設けた状態でのハードコート層側における鉛筆硬度は、前述の方法で測定し、いずれも3Hであった。

0075

得られた各フィルム11からシート状にサンプリングした第2のサンプルシートにつき、下記の切断試験を行った。下記の剥離試験における評価結果が良いものほど、他のフィルムと積層した状態で切断した場合に、フィルム面近くにおけるフィルムの欠け及び凝集破壊が発生しない。まず、第2のサンプルシート用いて偏光板をつくった。偏光板は、ポリビニルアルコールから形成されている偏向膜の一方の膜面に、ポリビニルアルコール系の接着剤を用いて第2のサンプルシートを貼り付け、かつ、偏向膜の他方の膜面に、ポリビニルアルコール系の接着剤を用いて市販のTACフィルムを貼り付けることによりつくった。偏光板を80℃に設定した恒温槽オーブン)中に入れ、80℃の条件下に24時間放置した。その後、温度が25℃、相対湿度が60%の部屋に1時間静置することにより調湿した。その後、トムソン刃と呼ばれる切断刃を用いて、偏光板を第2サンプルシートが設けられている表面側から、4cm×4cmの矩形打ち抜いた。ひとつの偏光板から打ち抜いた枚数は5枚である。

0076

打ち抜いて得られた5枚の打ち抜きサンプルの個々について、第2サンプルシート部分の各辺における剥がれ具合を、以下の基準に基づいて点数化した。そして四辺での点数を合計し、各打ち抜きサンプルについて4点を最高点として点数化した。
0.00点:剥がれが無い。
0.25点:剥がれている領域が、一辺の25%以下である。
0.50点:剥がれている領域が、一辺の25%より大きく50%以下である。
0.75点:剥がれている領域が、一辺の50%より大きく75%未満である。
1.00点:剥がれている領域が、一辺の75%より大きい。

0077

5枚の打ち抜きサンプルの点数を合計し、以下の基準で評価した。AとBとは合格、Cは不合格である。結果は表1と表2との「評価結果」欄に示す。
A;0点以上3点以下である
B;3点より大きく5点以下である
C;5点より大きい

0078

[比較例1]〜[比較例24]
実施例における第1ドープ21及び第2ドープ22のジクロロメタンとメタノールとの比率を変えて、比較例1〜24を実施した。具体的には、メタノールの含有率が表1と表2との「第1ドープの遠赤外吸収液の含有率」欄及び「第2ドープの遠赤外吸収液の含有率」欄に記載の値である第1ドープと第2ドープとをつくった。これらの第1ドープと第2ドープとを用いてフィルムを製造した。遠赤外乾燥工程終了時における流延膜の溶剤含有率と射出部41aの温度とは、表1と表2との「遠赤外乾燥工程終了時の溶剤含有率」欄と「射出部の温度」欄とに示す。比較例1〜12で製造したフィルムの厚みは40μmであり、比較例13〜24で製造したフィルムの厚みは25μmであった。比較例1〜24で製造したフィルムからサンプリングした第1のサンプルシートにハードコート層を設け、ハードコート層がある状態における鉛筆硬度はいずれも3Hであった。その他の条件は、実施例と同じである。

0079

実施例と同様の方法及び基準で切断試験を行った。評価結果は表1と表2とに示す。

0080

実施例

0081

0082

10溶液製膜設備
11フィルム
13流延装置
14テンタ
14aクリップ
14bダクト
15ローラ乾燥装置
15aローラ
16スリッタ
17巻取装置
21 第1ドープ
22 第2ドープ
23ベルト
23a流延面
23b反流延面
23s 側部
26 第1ローラ
27 第2ローラ
28ダイユニット
28a ダイ
28bフィードブロック
28c 流出口
29流延膜
29a中央層
29b 第1表層
29c 第2表層
29e側縁
31 ローラ
32 剥取ローラ
41遠赤外線ヒータ
41a射出部
41b基板
42給気乾燥ユニット
45 第1給気部
45a 流出口
46排気部
47 第2給気部
47a 流出口
56チャンバ
57コントローラ
D2 ベルトと射出部との距離
PC流延位置
PP 剥取位置

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