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技術 放射線撮影システム

出願人 コニカミノルタ株式会社
発明者 巻渕千穂
出願日 2016年3月30日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2016-067145
公開日 2017年10月5日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-176399
状態 特許登録済
技術分野 放射線を利用した材料分析 放射線診断機器
主要キーワード 取付用アーム 周期移動 スリット周期 断熱素材 対数変換前 焦点中心 焦点径 スリット構造
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

タルボ干渉計又はタルボロー干渉計を用いた放射線撮影装置において、格子視野から取り外すことなく、簡便な撮影吸収画像を生成できるようにする。

解決手段

放射線撮影装置の制御部は、低鮮明度撮影モードにおいて散乱体照射野内に挿入することで、縞走査法による撮影よりもモアレ縞の鮮明度を低下させてモアレ縞画像を取得する。コントローラーは、撮影されたモアレ縞画像に基づいて吸収画像を生成する。

概要

背景

タルボ干渉計又はタルボロー干渉計を用いた放射線撮影装置により高精細の画像を得るには、複数の格子のうちのひとつを格子のスリット周期の1/M(Mは正の整数吸収画像はM>2、微分位相画像小角散乱画像はM>3)ずつスリット周期方向に移動させM回撮影した画像(モアレ縞画像)を用いて再構成を行う縞走査法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。

概要

タルボ干渉計又はタルボ・ロー干渉計を用いた放射線撮影装置において、格子を視野から取り外すことなく、簡便な撮影で吸収画像を生成できるようにする。放射線撮影装置の制御部は、低鮮明度撮影モードにおいて散乱体照射野内に挿入することで、縞走査法による撮影よりもモアレ縞の鮮明度を低下させてモアレ縞画像を取得する。コントローラーは、撮影されたモアレ縞画像に基づいて吸収画像を生成する。

目的

本発明の課題は、タルボ干渉計又はタルボ・ロー干渉計を用いた放射線撮影装置において、格子を視野から取り外すことなく、簡便な撮影で吸収画像を生成できるようにすることである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

放射線源と、複数の格子と、放射線検出器と、が放射線照射軸方向に並んで設けられ、再構成画像を生成するためのモアレ縞画像撮影するタルボ干渉計又はタルボロー干渉計を用いた放射線撮影システムであって、前記再構成画像を生成するためのモアレ縞画像の撮影よりもモアレ縞鮮明度を低下させてモアレ縞画像の撮影を行う低鮮明度撮影手段と、前記低鮮明度撮影手段により撮影されたモアレ縞画像に基づいて吸収画像を生成する生成手段と、を備える放射線撮影システム。

請求項2

前記低鮮明度撮影手段は、前記放射線源と前記放射線検出器との間の照射野内に散乱体を挿入することによりモアレ縞の鮮明度を低下させる請求項1に記載の放射線撮影システム。

請求項3

前記散乱体を照射野内に挿入したり照射野外退避させたりするための移動機構を備える請求項2に記載の放射線撮影システム。

請求項4

前記低鮮明度撮影手段は、前記複数の格子の少なくとも一つを前記再構成画像を生成するためのモアレ縞画像の撮影時の当該格子の位置に対して放射線照射軸回りに回転させた状態で撮影を行うことにより、モアレ縞の鮮明度を低下させる請求項1に記載の放射線撮影システム。

請求項5

前記低鮮明度撮影手段は、前記複数の格子の少なくとも一つを前記再構成画像を生成するためのモアレ縞画像の撮影時の当該格子の位置に対して放射線照射軸方向に移動させた状態で撮影を行うことにより、モアレ縞の鮮明度を低下させる請求項1に記載の放射線撮影システム。

請求項6

前記低鮮明度撮影手段は、前記複数の格子の少なくとも一つを前記格子のスリット周期方向にスリット1/4周期以上移動させながら撮影を行うことにより、モアレ縞の鮮明度を低下させる請求項1に記載の放射線撮影システム。

請求項7

前記格子のスリット周期方向の移動距離が、当該格子のスリット周期の整数倍である請求項6に記載の放射線撮影システム。

請求項8

前記放射線撮影システムは、縞走査法により前記再構成画像を生成するためのモアレ縞画像を撮影する請求項1〜7の何れか一項に記載の放射線撮影システム。

技術分野

0001

本発明は、放射線撮影システムに関する。

背景技術

0002

タルボ干渉計又はタルボロー干渉計を用いた放射線撮影装置により高精細の画像を得るには、複数の格子のうちのひとつを格子のスリット周期の1/M(Mは正の整数吸収画像はM>2、微分位相画像小角散乱画像はM>3)ずつスリット周期方向に移動させM回撮影した画像(モアレ縞画像)を用いて再構成を行う縞走査法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0003

特許第4445397号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、縞走査法では格子の移動と停止を繰り返しながら、複数枚のモアレ縞画像を撮影し、データ収集後、それらを演算処理することで再構成画像(微分位相画像、小角散乱画像、吸収画像)を生成するため、以下の様な目的で吸収画像のみが必要な場合においても、単純X線撮影装置のように簡便に吸収画像を撮影することができない。
・縞走査法による本撮影前の被写体のポジショニングの確認
・格子や放射線源放射線検出器などの調整や状態監視
・格子や放射線源、放射線検出器などの校正データ収集
また、撮影時間が長いため、被写体の体動、格子の位置変動などによる偽像が発生する。

0005

本発明の課題は、タルボ干渉計又はタルボ・ロー干渉計を用いた放射線撮影装置において、格子を視野から取り外すことなく、簡便な撮影で吸収画像を生成できるようにすることである。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
放射線源と、複数の格子と、放射線検出器と、が放射線照射軸方向に並んで設けられ、再構成画像を生成するためのモアレ縞画像を撮影するタルボ干渉計又はタルボ・ロー干渉計を用いた放射線撮影システムであって、
前記再構成画像を生成するためのモアレ縞画像の撮影よりもモアレ縞鮮明度を低下させてモアレ縞画像の撮影を行う低鮮明度撮影手段と、
前記低鮮明度撮影手段により撮影されたモアレ縞画像に基づいて吸収画像を生成する生成手段と、
を備える。

0007

請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記低鮮明度撮影手段は、前記放射線源と前記放射線検出器との間の照射野内に散乱体を挿入することによりモアレ縞の鮮明度を低下させる。

0008

請求項3記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記散乱体を照射野内に挿入したり照射野外退避させたりするための移動機構を備える。

0009

請求項4記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記低鮮明度撮影手段は、前記複数の格子の少なくとも一つを前記再構成画像を生成するためのモアレ縞画像の撮影時の当該格子の位置に対して放射線照射軸回りに回転させた状態で撮影を行うことにより、モアレ縞の鮮明度を低下させる。

0010

請求項5記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記低鮮明度撮影手段は、前記複数の格子の少なくとも一つを前記再構成画像を生成するためのモアレ縞画像の撮影時の当該格子の位置に対して放射線照射軸方向に移動させた状態で撮影を行うことにより、モアレ縞の鮮明度を低下させる。

0011

請求項6記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記低鮮明度撮影手段は、前記複数の格子の少なくとも一つを前記格子のスリット周期方向にスリット1/4周期以上移動させながら撮影を行うことにより、モアレ縞の鮮明度を低下させる。

0012

請求項7記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記格子のスリット周期方向の移動距離が、当該格子のスリット周期の整数倍である。

0013

請求項8記載の発明は、請求項1〜7の何れか一項に記載の発明において、
前記放射線撮影システムは、縞走査法により前記再構成画像を生成するためのモアレ縞画像を撮影する。

発明の効果

0014

本発明によれば、タルボ干渉計又はタルボ・ロー干渉計を用いた放射線撮影システムにおいて、格子を視野から取り外すことなく、簡便な撮影で吸収画像を生成することができる。

図面の簡単な説明

0015

第1の実施形態に係る放射線撮影システムの構成例を示す図である。
マルチスリットの平面図である。
本体部の機能的構成を示すブロック図である。
タルボ干渉計の原理を説明する図である。
縞走査法により第2格子をスリット周期方向にスリット周期の1/4ずつ移動させて撮影した4枚の被写体モアレ縞画像である。
図5の被写体モアレ縞画像の撮影時と同様の格子位置で撮影した4枚のBGモアレ縞画像である。
(a)は、図5に示す4枚の被写体モアレ縞画像を加算した画像、(b)は、図6に示す4枚のBGモアレ縞画像を加算した画像、(c)は、(a)に示す画像を(b)に示す画像で割ることにより得られた透過率画像、(d)は、(c)に示す透過率画像を対数変換することにより得られた吸収画像である。
図5に示す4枚の被写体モアレ縞画像のそれぞれを、図6に示す格子の位置関係が同じであるBGモアレ縞画像で割った画像である。
図5に示す4枚の被写体モアレ縞画像のそれぞれを周波数処理した画像である。
第1の実施形態において放射線撮影装置により実行される撮影制御処理Aを示すフローチャートである。
第1の実施形態の検証実験結果を示す画像である。
散乱体の照射野内への挿入及び退避を行う移動機構の例を示す図である。
マルチスリット、第1格子、第2格子の放射線照射軸周りの回転とモアレ縞鮮明度の関係を表した概念図である。
第2の実施形態における放射線撮影システムの構成例を示す図である。
格子を放射線照射軸周りに回転させる機構の一例を示す図である。
第2の実施形態において放射線撮影装置により実行される撮影制御処理Bを示すフローチャートである。
第2の実施形態の検証実験結果を示す画像である。
格子のz方向移動とモアレ縞の鮮明度の関係を表した概念図である。
第3の実施形態における放射線撮影システムの構成例を示す図である。
第3の実施形態において放射線撮影装置により実行される撮影制御処理Cを示すフローチャートである。
第3の実施形態の検証実験結果を示す画像である。
装置の構成別に、各格子の動かしやすいケースを模式的に示した図である。
第4の実施形態において放射線撮影装置により実行される撮影制御処理Dを示すフローチャートである。
第4の実施形態の検証実験結果を示す画像である。

実施例

0016

以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。

0017

[第1の実施形態]
(放射線撮影システムの構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る放射線撮影システム100Aを模式的に示した図である。
図1に示すように、放射線撮影システム100Aは、放射線撮影装置1Aとコントローラー5を備える。放射線撮影装置1Aはタルボ・ロー干渉計によるX線撮影を行い、コントローラー5は当該X線撮影により得られたモアレ縞画像を用いて再構成画像等を生成する。なお、以下の説明では、X線を用いて撮影を行う放射線撮影システムを例にとり説明するが、他の放射線、例えば、中性子線ガンマ線等を用いてもよい。

0018

放射線撮影装置1Aは、図1に示すように、放射線源11と、マルチスリット12を含む第1のカバーユニット120と、被写体台13、第1格子14、第2格子15、及び放射線検出器16を含む第2のカバーユニット130と、支柱17と、本体部18と、基台部19とを備える。放射線撮影装置1Aは縦型であり、放射線源11、マルチスリット12、被写体台13、第1格子14、第2格子15、放射線検出器16は、この順序重力方向であるz方向に配置される。放射線源11の焦点111とマルチスリット12間の距離をR0(mm)、マルチスリット12と放射線検出器16間の距離をRd(mm)、マルチスリット12と第1格子14間の距離をR1(mm)、マルチスリット12と第2格子15間の距離をR2(mm)で表す。

0019

距離R0は好ましくは5〜500(mm)であり、さらに好ましくは5〜300(mm)である。
距離Rdは、一般的に放射線科撮影室の高さは3(m)程度又はそれ以下であることから、少なくとも3000(mm)以下であることが好ましい。なかでも、距離Rdは400〜5000(mm)が好ましく、さらに好ましくは500〜2000(mm)である。
放射線源11の焦点111と第1格子14間の距離(R0+R1)は、好ましくは300〜5000(mm)であり、さらに好ましくは400〜1800(mm)である。
放射線源11の焦点と第2格子15間の距離(R0+R2)は、好ましくは400〜5000(mm)であり、さらに好ましくは500〜2000(mm)である。
それぞれの距離は、放射線源11から照射される放射線の波長から、第2格子15上に第1格子14による格子像自己像)が重なる最適な距離を算出し、設定すればよい。

0020

マルチスリット12、被写体台13、第1格子14、第2格子15、放射線検出器16は、同一の基台部19に保持されて支柱17に取り付けられている。基台部19は、支柱17に対してz方向に移動可能に構成されていてもよい。
また、支柱17には、基台部19のほか、放射線源11及び本体部18が取り付けられている。放射線源11は、緩衝部材17aを介して支柱17に保持されている。緩衝部材17aは、衝撃や振動を吸収できる材料であれば何れの材料を用いてもよいが、例えばエラストマー等が挙げられる。放射線源11は放射線の照射によって発熱するため、放射線源11側の緩衝部材17aは加えて断熱素材であることが好ましい。

0021

放射線源11は、X線管を備え、当該X線管によりX線を発生させてz方向(重力方向)にX線を照射する。X線管としては、例えば医療現場で広く一般に用いられているクーリッジX線管や回転陽極X線管を用いることができる。陽極としては、タングステンモリブデンを用いることができる。
放射線源11の焦点径は、0.03〜3(mm)が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1(mm)である。

0022

第1のカバーユニット120は、放射線源11の直下に設けられたユニットである。第1のカバーユニット120は、図1に示すように、マルチスリット12、取付用アーム12b、付加フィルターコリメーター112、散乱体113等を備えて構成されている。第1のカバーユニット120の各構成要素は、カバー部材に覆われて保護されている。

0023

マルチスリット12(G0格子)は回折格子であり、図2に示すように、放射線照射軸方向(ここではz方向)と直交するx方向に複数のスリットが所定間隔で配列されて設けられている。マルチスリット12はシリコンガラスといった放射線の吸収率が低い材質基板上に、タングステン、鉛、金といった放射線の遮蔽力が大きい、つまり放射線の吸収率が高い材質により形成される。例えば、フォトリソグラフィーによりレジスト層がスリット状にマスクされ、UVが照射されてスリットのパターンがレジスト層に転写される。露光によって当該パターンと同じ形状のスリット構造が得られ、電鋳法によりスリット構造間に金属が埋め込まれて、マルチスリット12が形成される。

0024

マルチスリット12のスリット周期(格子周期)d0は1〜60(μm)である。スリット周期は、図2に示すように隣接するスリット間の距離を1周期とする。スリットの幅(各スリットのスリット周期方向(x方向)の長さ)はスリット周期の1〜60(%)の長さであり、さらに好ましくは10〜40(%)である。スリットの高さ(z方向の高さ)は1〜500(μm)であり、好ましくは1〜150(μm)である。マルチスリット12は、取付用アーム12bに支持されて基台部19に取り付けられている。

0025

付加フィルター・コリメーター112は、放射線源11から照射されるX線の照射領域を制限するとともに、放射線源11から照射されるX線の中から撮影に寄与しない低エネルギー成分を除去するものである。

0026

散乱体113は、モアレ縞の鮮明度を低下させるためのものであり、X線散乱が強く、吸収が弱いものが好ましい。散乱体113は、移動機構113aによりx方向又はy方向に移動可能に構成されており、この移動機構113aにより移動され、照射野内に挿入されたり、照射野外に退避されたりする。移動機構113aは、モーター等の駆動により散乱体113をx方向又はy方向に直線送り可能であればどのような構成のものを用いてもよい。

0027

第2のカバーユニット130は、図1に示すように、被写体台13、第1格子14及び第2格子15、移動機構15a、放射線検出器16等を備えて構成されている。第2のカバーユニット130は、上面が被写体台13となっており、被写体台13の周囲をカバー部材で覆うことにより、患者技師の接触によるダメージ塵埃侵入から内部の構成要素を保護している。また、ユニット内の温度が外気の影響を受けにくくなるため、第1格子14及び第2格子15の熱膨張等による格子位置の変動を低減することができる。

0028

被写体台13は、被写体を載置するための台である。
第1格子14(G1格子)は、マルチスリット12と同様に、放射線照射軸方向であるz方向と直交するx方向に複数のスリットが配列されて設けられた回折格子である。第1格子14は、マルチスリット12と同様にUVを用いたフォトリソグラフィーによって形成することもできるし、いわゆるICP法によりシリコン基板微細細線で深掘加工を行い、シリコンのみで格子構造を形成することとしてもよい。第1格子14のスリット周期d1は1〜20(μm)である。スリットの幅はスリット周期の20〜70(%)であり、好ましくは35〜60(%)である。スリットの高さは1〜100(μm)である。

0029

第2格子15(G2格子)は、マルチスリット12と同様に、放射線照射軸方向であるz方向と直交するx方向に複数のスリットが配列されて設けられた回折格子である。第2格子15もフォトリソグラフィーにより形成することができる。第2格子15のスリット周期d2は1〜20(μm)である。スリットの幅はスリット周期の30〜70(%)であり、好ましくは35〜60(%)である。スリットの高さは1〜100(μm)である。第2格子15に隣接して、第2格子15をx方向に移動させる移動機構15aが設けられている。移動機構15aは、モーター等の駆動により第2格子15をx方向に直線送り可能であればどのような構成のものを用いてもよい。

0030

放射線検出器16は、照射された放射線に応じて電気信号を生成する変換素子が2次元状に配置され、当該変換素子により生成された電気信号を画像信号として読み取る。放射線検出器16の画素サイズは10〜300(μm)であり、さらに好ましくは50〜200(μm)である。放射線検出器16は第2格子15に当接するように基台部19に位置を固定することが好ましい。第2格子15と放射線検出器16間の距離が大きくなるほど、放射線検出器16により得られるモアレ縞画像がボケるからである。

0031

放射線検出器16としては、FPD(Flat Panel Detector)を用いることができる。FPDには、放射線をシンチレーターを介して光電変換素子により電気信号に変換する間接変換型、放射線を直接的に電気信号に変換する直接変換型があるが、何れを用いてもよい。
また、放射線検出器16としては、第2格子15の強度変調効果を与えた放射線検出器を使用しても良い。例えば、シンチレーターに第2格子15のスリットと同等の周期および幅で不感領域を与えるために、シンチレーターに溝を掘り、格子状のシンチレーターとしたスリットシンチレーター検出器を放射線検出器16として用いても良い(参照文献1:Simon Rutishauser et al.,「Structured scintillator for hard x-ray grating interferometry」,APPLIED PHYSICSLETTERS98, 171107 (2011))。この構成の放射線検出器16は、第2格子15と放射線検出器16とを兼ね備えたものであるため、第2格子15を別途設ける必要はない。即ち、スリットシンチレーター検出器を備えることは、第2格子15と放射線検出器16を備えていることと同じである。

0032

本体部18は、図3に示すように、制御部181、操作部182、表示部183、通信部184、記憶部185を備えて構成されている。
制御部181は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)等から構成され、記憶部185に記憶されているプログラムとの協働により、各種処理を実行する。制御部181は、本体部18外の各部(例えば、放射線源11、放射線検出器16、移動機構15a、移動機構113a等)に接続されており、後述する放射線撮影制御処理Aを実行して放射線撮影装置1Aの各部を制御することによりモアレ縞画像の生成を行う。

0033

操作部182は曝射スイッチや撮影条件等の入力操作に用いるキー群の他、表示部183のディスプレイと一体に構成されたタッチパネルを備え、これらの操作に応じた操作信号を生成して制御部181に出力する。
表示部183は制御部181の表示制御に従って、ディスプレイに操作画面、放射線撮影装置1Aの動作状況等を表示する。

0034

通信部184は通信インターフェイスを備え、ネットワーク上のコントローラー5と通信する。例えば、通信部184は、放射線検出器16によって読み取られ、記憶部185に記憶されたモアレ縞画像をコントローラー5に送信する。
記憶部185は、制御部181により実行されるプログラム、プログラムの実行に必要なデータを記憶している。また、記憶部185は放射線検出器16によって得られたモアレ縞画像を記憶する。

0035

なお、放射線撮影装置1Aは、上側に設けられた放射線源11から下方の被写体に向けてX線を照射するように構成されている場合(いわゆる縦型の場合)として説明したが、これに限らず、下側に設けられた放射線源11から上方の被写体に向けてX線を照射するように構成してもよい。また、X線を水平方向(いわゆる横型の場合)に照射するなど任意の方向に照射するように構成することも可能である。

0036

コントローラー5は、CPU、RAM、記憶部、操作部、表示部、通信部等を備えたコンピュータ装置であり、オペレーターによる操作に従って放射線撮影装置1Aの撮影動作を制御する。また、コントローラー5は、画像処理装置として、放射線撮影装置1Aにより得られた一連のモアレ縞画像に画像処理を施す。例えば、コントローラー5は、放射線撮影装置1Aにおいて縞走査法により得られた一連のモアレ縞画像を用いて再構成画像を生成する。

0037

(放射線撮影システムの動作)
ここで、上記放射線撮影装置1Aのタルボ・ロー干渉計による撮影方法を説明する。
図4に示すように、放射線源11から照射されたX線が第1格子14を透過すると、透過したX線がz方向に一定の間隔で像を結ぶ。この像を自己像といい、自己像が形成される現象タルボ効果という。自己像を結ぶ位置に第2格子15が自己像と概ね平行に配置され、第2格子15を透過したX線によりモアレ縞画像(図4においてMoで示す)が得られる。即ち、第1格子14は、周期パターンを形成し、第2格子15は周期パターンをモアレ縞に変換する。放射線源11と第1格子14間に被写体(図4においてHで示す)が存在すると、被写体によってX線の位相がずれるため、図4に示すようにモアレ縞画像上のモアレ縞は被写体の辺縁境界乱れる。このモアレ縞の乱れを、モアレ縞画像を処理することによって検出し、被写体像を画像化することができる。これがタルボ干渉計の原理である。

0038

放射線撮影装置1Aでは、放射線源11と第1格子14との間の放射線源11に近い位置に、マルチスリット12が配置され、タルボ・ロー干渉計によるX線撮影が行われる。タルボ干渉計は放射線源11が理想的な点線源であることを前提としているが、実際の撮影にはある程度焦点径が大きい焦点が用いられるため、マルチスリット12によってあたかも点線源が複数連なってX線が照射されているかのような効果が得られる。これがタルボ・ロー干渉計によるX線撮影法であり、焦点径がある程度大きい場合にも、タルボ干渉計と同様のタルボ効果を得ることができる。

0039

放射線撮影装置1Aにおいては、被写体の再構成画像を生成するために必要なモアレ縞画像を、縞走査法により撮影する。走査とは、一般的には、格子(マルチスリット12、第1格子14、第2格子15)のうちの何れか1枚(本実施形態では、第2格子15とする)または2枚をスリット周期方向(x方向)に相対的に動かしてM回(Mは正の整数、吸収画像はM>2、微分位相画像と小角散乱画像はM>3)の撮影(Mステップの撮影)を行い、再構成画像を生成するのに必要なM枚のモアレ縞画像を取得することをいう。具体的には、移動させる格子のスリット周期をd(μm)とすると、d/M(μm)ずつ格子をスリット周期方向に動かして撮影を行うことを繰り返し、M枚のモアレ縞画像を取得する。

0040

しかしながら、縞走査法では格子の移動と停止を繰り返しながら、複数枚のモアレ縞画像を撮影し、データ収集後それらを演算処理することで再構成画像を生成するため、以下の様な目的で吸収画像のみが必要な場合においても、単純X線撮影装置のように簡便に吸収画像を撮影することができない。
・縞走査法による本撮影前の被写体のポジショニングの確認
・格子や放射線源、放射線検出器などの調整や状態監視
・格子や放射線源、放射線検出器などの校正データの収集
また、縞走査法では撮影時間が長いため、被写体の体動、格子の位置変動などによる偽像が発生する。

0041

ここで、縞走査法により得られる複数のモアレ縞画像とこれらを演算することにより得られる吸収画像について説明する。
縞走査法により得られる複数のモアレ縞画像から吸収画像を生成するには、まず、以下の(式1)に示すように、被写体を配置して撮影した複数の被写体有りのモアレ縞画像(被写体モアレ縞画像と呼ぶ)を加算した画像(対応する画素同士の信号値を加算した画像)を被写体を配置せずに撮影した被写体無しのモアレ縞画像(BGモアレ縞画像と呼ぶ)を加算した画像で割る(各画素の信号値を対応する画素の信号値で除算する)ことにより透過率画像を生成する。次いで、この透過率画像を(式2)に示すように対数変換する。






atは吸収画像の信号値、trは透過率画像の信号値、Isは被写体モアレ縞画像の信号値、IrはBGモアレ縞画像の信号値である。x,yは、画素の2次元座標を示す。Mは縞走査回数を示す。

0042

図5に、縞走査法により第2格子15をスリット周期方向に第2格子15の周期の1/4ずつ移動させてモアレ縞の位相を1/2πずつ変化させて撮影した4枚の被写体モアレ縞画像を示す。図6に、図5の被写体モアレ縞画像の撮影時と同様の格子位置で撮影した4枚のBGモアレ縞画を示す。図7(a)に、図5に示す4枚の被写体モアレ縞画像を加算した画像を示す。図7(b)に、図6に示す4枚のBGモアレ縞画像を加算した画像を示す。図7(c)に、図7(a)に示す画像を図7(b)に示す画像で割ることにより得られた透過率画像を示す。図7(d)に、図7(c)に示す透過率画像を対数変換することにより得られた吸収画像を示す。

0043

図5の被写体は、PMMAアクリル)のケース内に直径3mmと直径5mmのPMMA円柱を配置したものである。PMMAのケースは、厚み6mmのPMMA板製作した直方体のケースであり、図5に示す被写体モアレ縞画像は、円柱以外の場所でもPMMAを少なくとも12mm透過していることになる。

0044

図5図6に示した画像は、以下の装置仕様の放射線撮影装置により撮影されたものである。また、本明細書におけるその他の実施形態の実験画像についても、全て以下の装置仕様の放射線撮影装置により撮影されている。
x方向の焦点径Σx:370um、y方向の焦点径Σy:400um
マルチスリット12の周期d0:22.8um
第1格子14の周期d1:4.3um
第2格子15の周期d2:5.3um
放射線検出器16の画素サイズ:縦横ともに85um
焦点とマルチスリット12間の距離R0:65mm
マルチスリット12と第1格子14間の距離R1:1107mm
マルチスリット12と第2格子15間の距離R2:1364mm
マルチスリット12と放射線検出器16間の距離Rd:1374mm

0045

なお、(式2)に示すように、吸収画像は透過率画像を単純に対数変換したものであり、透過率画像が正しく作成できれば、吸収画像としても正しいと言える。以降、記載を簡略化するため、吸収画像の代わりに対数変換前の透過率画像を使用して説明する。

0046

図5に示すように、被写体モアレ縞画像をそのまま透過率画像(吸収画像)として使用することは困難である。被写体モアレ縞画像は、モアレ縞の強度変動によって被写体の視認性が悪く、また、被写体によるモアレ縞の位相変化に応じた強度変化によって、モアレ縞の位相が異なる4枚の被写体モアレ縞画像で被写体の見え方が変化してしまう。被写体が上述の円柱の場合、エッジ部が白く写ったり、黒く写ったりし、図7(c)に示す透過率画像とは大きく異なることがわかる。

0047

図8に、図5に示す4枚の被写体モアレ縞画像のそれぞれを、図6に示す格子の位置関係が同じであるBGモアレ縞画像で割った(割り算した)画像を示す。図8に示すように、仮に全ての格子の位置関係が同じであっても、被写体によってモアレ縞の位相が変化しているため、被写体モアレ縞画像とBGモアレ縞画像のモアレ縞は同一とはならない。そのため、被写体モアレ縞画像をBGモアレ縞画像で割ってもモアレ縞を消すことができず、透過率画像(吸収画像)として用いることはできない。

0048

また、図9に、図5に示す4枚の被写体モアレ縞画像のそれぞれを周波数処理しモアレ縞を低減した画像を示す。図9に示すように、モアレ縞は格子構造の製造誤差などによって面内で均一ではなく、周波数処理で完全に消すことは困難である。仮に完全に周波数処理でモアレ縞を消すことができたとしても、被写体によるモアレ縞の位相変化による強度変化を消すことは困難である。即ち、1枚の被写体モアレ縞画像に周波数処理を施しても図7(c)に示す透過率画像(吸収画像)とは大きく異なり、透過率画像(吸収画像)として用いることはできない。

0049

ところで、タルボ装置及びタルボ・ロー装置ともに、再構成画像が鮮明であるためには、再構成画像の生成に用いる個々のモアレ縞画像のモアレ縞が鮮明であることが必要であることが知られている(例えば、参照文献2:山田治、横関俊介編著「モアレ縞・干渉縞応用計測法」、コロナ社、1996年12月10日(第15頁)参照)。そのため、縞走査法による撮影を行う放射線撮影装置は、一般的に、モアレ縞の鮮明度(Visibility)が高くなるように、格子位置や格子間の距離が予め設定されている。ここで、モアレ縞の鮮明度visは以下の(式3)により算出することができる。



a0はモアレ縞画像の平均強度、a1はモアレ縞画像の振幅、Iはモアレ縞画像の信号値である。visは0〜1の値をとる。例えば、図6に示すモアレ縞画像の鮮明度は0.3程度である。

0050

これに対し、本願発明者の検討の結果、モアレ縞の鮮明度を下げて0に近づけるほど、モアレ縞の強度変動及び被写体によるモアレ縞の位相変化に応じた強度変化のないモアレ縞画像が得られることを見出した。そして、縞走査法のように格子を移動させて複数回の撮影を行うことなく1回の撮影で、格子を取り外すことなく、再構成画像を生成するためのモアレ縞画像の撮影よりもモアレ縞の鮮明度を低下させたモアレ縞画像を得る方法をいくつか見出した。その中の一つの方法として、撮影時に放射線源11と放射線検出器16の間の照射野内に散乱体113を挿入することが挙げられる。散乱体113を挿入するとX線が方々に散乱するので、モアレ縞の発生を抑制することができる。

0051

散乱体113としては、例えばアクリルのケースなどに吸収が弱い粉末充填したものや、紙、繊維板などの木材の合板、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)、紙やすり研磨剤)などが適している。モアレ縞の鮮明度の低下量は散乱体113の構造の大きさに依存し、構造の形状が球の場合、最適な大きさrは(式4)で与えられる。



ここで、pはタルボ次数である。散乱体113の大きさは散乱体113を配置する放射線照射軸方向の位置と格子のスリット周期に応じて決めるのが好ましいが、紙や木材など最適な大きさと異なる場合においても、放射線照射軸方向の厚みを増すことで十分な鮮明度低下が得られれば良く、この条件に制限されるものではない。

0052

以下、散乱体113を有する放射線撮影装置1Aにおける撮影動作及びコントローラー5における画像生成動作について説明する。
図10に、放射線撮影装置1Aの制御部181により実行される撮影制御処理Aのフローチャートを示す。撮影制御処理Aは、制御部181と記憶部185に記憶されているプログラムとの協働により実行される。

0053

まず、制御部181は、撮影モードが低鮮明度撮影モードであるか本撮影モードであるかを判断する(ステップS1)。ここで、低鮮明度撮影モードは、例えば、ポジショニングの確認や装置の調整、校正データの収集等のための吸収画像を生成するために、1回の簡易的な撮影により、縞走査法による撮影よりもモアレ縞の鮮明度を低下させたモアレ縞画像を取得するモードである。本撮影モードは、被写体の再構成画像を生成するために縞走査法による撮影を行って複数のモアレ縞画像を取得するモードである。低鮮明度撮影モードと本撮影モードは、ユーザーによる操作部182の操作により設定することができる。

0054

撮影モードが低鮮明度撮影モードであると判断した場合(ステップS1;低鮮明度撮影モード)、制御部181は、移動機構113aを制御して散乱体113を照射野内に配置させる(ステップS2)。

0055

次いで、制御部181は、オペレーターにより操作部182の曝射スイッチがON操作されるのを待機する(ステップS3)。操作部182の曝射スイッチがON操作されると(ステップS3;YES)、制御部181は、放射線源11、放射線検出器16を制御して、第2格子15を移動させずに1回の撮影を行って1枚のモアレ縞画像を取得する(ステップS4)。即ち、放射線源11からX線を1回照射して放射線検出器16により1枚のモアレ縞画像を取得する。具体的には、放射線検出器16における前回の撮影により残存する不要な電荷を取り除くリセット後、放射線源11によるX線照射が行われ、X線照射のタイミングに合わせて放射線検出器16において電荷が蓄積され、X線の照射停止のタイミングに合わせて蓄積された電荷が画像信号として読み取られる。

0056

そして、制御部181は、通信部184によりコントローラー5に、モアレ縞画像を送信させ(ステップS5)、撮影制御処理Aを終了する。

0057

一方、撮影モードが本撮影モードであると判断した場合(ステップS1;本撮影モード)、制御部181は、移動機構113aを制御して散乱体113を照射野外に退避させる(ステップS6)。

0058

次いで、制御部181は、オペレーターにより操作部182の曝射スイッチがON操作されるのを待機する(ステップS7)。操作部182の曝射スイッチがON操作されると(ステップS7;YES)、制御部181は、放射線源11、放射線検出器16、移動機構15aを制御して、縞走査法により複数ステップ(Mステップ)の撮影を実行して複数(M枚)のモアレ縞画像を取得する(ステップS8)。

0059

縞走査法による撮影では、まず、第2格子15が停止した状態で放射線源11によるX線の照射が開始される。放射線検出器16では前回の撮影により残存する不要な電荷を取り除くリセット後、X線照射のタイミングに合わせて電荷が蓄積され、X線の照射停止のタイミングに合わせて蓄積された電荷が画像信号として読み取られる。これが1ステップ分の撮影である。1ステップ分の撮影が終了するタイミングで第2格子15の移動が開始され、所定量移動すると停止され、次のステップの撮影が行われる。第2格子15の移動量は、d2/Mである。このようにして、第2格子15の移動と停止が所定のステップ数分だけ繰り返され、第2格子15が停止したときにX線の照射と画像信号の読み取りが行われる。第2格子15がスリット周期1周期分移動した撮影が終了したときに、1枚の再構成画像を生成するのに必要な複数のモアレ縞画像を取得するための一連の撮影が終了する。なお、撮影終了後、第2格子15の位置は元の位置に戻される。

0060

そして、制御部181は、通信部184によりコントローラー5に、モアレ縞画像を送信させ(ステップS9)、撮影制御処理Aを終了する。通信部184からコントローラー5に対しては各ステップの撮影が終了する毎に1枚ずつ送信することとしてもよいし、各ステップの撮影が終了し、全てのモアレ縞画像が得られた後、まとめて送信することとしてもよい。

0061

なお、コントローラー5で被写体を配置して撮影することにより生成された被写体のモアレ縞画像における格子の吸収ムラ欠陥、放射線検出器16の感度ムラ補正するためには、被写体モアレ縞画像の他、被写体を撮影したときと同じ格子位置で被写体を配置せずに撮影を行ったBGモアレ縞画像が必要となる。BGモアレ縞画像は、放射線撮影装置1Aにおいて被写体モアレ縞画像を撮影する前又は後に被写体台13に被写体を配置せずに撮影を行って生成してもよいし、予め撮影してコントローラー5の記憶部に記憶しておくこととしてもよい。本実施形態においては、再構成画像生成用の複数枚のBGモアレ縞画像がコントローラー5の記憶部に予め記憶されているものとする。また、このBGモアレ縞画像には、後述するオフセット補正処理ゲイン補正処理欠陥画素補正処理X線強度変動補正等が施されているものとする(他の実施形態についても同様)。

0062

コントローラー5は、本体部18から低鮮明度撮影モードで生成された被写体モアレ縞画像を受信すると、吸収画像を生成する。具体的には、まず、被写体モアレ縞画像に、オフセット補正処理、ゲイン補正処理、欠陥画素補正処理、X線強度変動補正等を施す。次いで、補正後の被写体モアレ縞画像を記憶部に記憶されている再構成画像生成用のBGモアレ縞画像を加算した画像により割り算して、透過率画像を生成する。そして、透過率画像を対数変換することにより、吸収画像を生成し、生成した吸収画像を表示部に表示する。

0063

また、コントローラー5は、本体部18から本撮影モードで生成された一連の被写体モアレ縞画像を受信すると、受信した被写体モアレ縞画像及び記憶部に記憶されている再構成画像生成用のBGモアレ縞画像に基づいて、3種類の再構成画像(吸収画像、微分位相画像、小角散乱画像)を生成する。

0064

具体的には、まず、被写体モアレ縞画像に、オフセット補正処理、ゲイン補正処理、欠陥画素補正処理、X線強度変動補正等を施す。次いで、補正後の被写体モアレ縞画像及び構成画像生成用のBGモアレ縞画像に基づいて、3種類の再構成画像(透過率画像、微分位相画像、小角散乱画像)を生成する。吸収画像は、M枚の被写体モアレ縞画像の加算画像をM枚のBGモアレ縞画像の加算画像で割り算することにより生成される透過率画像を対数変換することにより生成される。微分位相画像は、被写体モアレ縞画像とBGモアレ縞画像のそれぞれについて縞走査法の原理を用いてモアレ縞の位相を計算することにより被写体有りの微分位相画像と被写体無しの微分位相画像をそれぞれ生成し、生成した被写体有りの微分位相画像から被写体無しの微分位相画像を減算することにより生成される。小角散乱画像は、被写体モアレ縞画像とBGモアレ縞画像のそれぞれについて縞走査法の原理を用いてモアレ縞のVisibilityを計算することにより(Visibility=振幅÷平均値)、被写体有りの小角散乱画像と被写体無しの小角散乱画像をそれぞれ生成し、生成した被写体有りの小角散乱画像を被写体無しの小角散乱画像で割り算することにより生成される(参照文献3;Timm Weitkamp,Ana Diazand,Christian David, franz Pfeiffer and Marco Stampanoni, Peter Cloetens and Eric Ziegler,X-ray Phase Imaging with a grating interferometer,OPTICSEXPRESS,Vol.13, No.16,6296-6004(2005)、参照文献4;Atsushi Momose, Wataru Yashiro, Yoshihiro Takeda, Yoshio Suzuki and Tadashi Hattori, Phase Tomography by X-ray Talbot Interferometry for Biological Imaging, Japanese Journal of Applied Physics, Vol.45, No.6A, 2006, pp.5254-5262(2006)、参照文献5;F.Pfeiffer, M.Bech,O.Bunk, P.Kraft, E.F.Eikenberry, CH.Broennimann,C.Grunzweig, and C.David,Hard-X-ray dark-field imaging using a grating interferometer,nature materials Vol.7,134-137(2008)参照)。

0065

(第1の実施形態の検証実験)
以下、第1の実施形態において低鮮明度撮影モードで生成される被写体モアレ縞画像及びこのモアレ縞画像に基づいて生成される透過率画像(吸収画像)について検証した検証実験の結果について説明する。

0066

検証実験では、メモ用紙70枚を重ねたものを散乱体113とし、図5のモアレ縞画像を撮影したときと同じPMMAを被写体として、上述の低鮮明度撮影モードで撮影を行って被写体モアレ縞画像を取得した。また、生成した被写体モアレ縞画像に基づいて、透過率画像を生成した。

0067

検証実験に用いた格子の周期や格子間距離については、上述の装置仕様に記載した通りである。散乱体113のメモ用紙1枚の厚みは50〜60μm、70枚での厚みは4mm弱、散乱体113のX線透過率は0.72であった。モアレ縞の鮮明度は0.05に低下した。

0068

図11(a)は、上述の低鮮明度撮影モードで散乱体113を照射野内に配置して撮影することにより得られた被写体モアレ縞画像である。モアレ縞の鮮明度が0.05であるため、図11(a)に示すように、モアレ縞の位相(マルチスリット12、第1格子14、第2格子15のx方向の相対位置と被写体での位相変化に依存)に応じて5%程度の強度変動が見られるが、モアレ縞の鮮明度を低下させる前の被写体モアレ縞画像(図5参照)より強度変動は小さく、図7(a)に示す被写体モアレ縞画像の加算画像に近い画像が得られている。

0069

図11(b)は、図11(a)に示す被写体モアレ縞画像を再構成画像生成用のBGモアレ縞画像の加算画像で割ったものを、更に散乱体113のX線透過率で割ることにより生成された透過率画像である。再構成画像生成用のBGモアレ縞画像は散乱体113を挿入せずに撮影を行っているため、X線透過率で割り算することにより被写体モアレ縞画像の散乱体113による吸収分を補正した。
図11(c)は、上述の低鮮明度撮影モードで被写体を配置せずに撮影することにより得られたBGモアレ縞画像である。図11(d)は、図11(a)に示す被写体モアレ縞画像を図11(c)のBGモアレ縞画像で割ることにより生成された透過率画像である。
図11(b)、(d)に示すように、図11(a)に示す被写体モアレ縞画像をBGモアレ縞画像で割ることにより、透過率画像として概ね安定した画像が得られている。

0070

以上のように、放射線源11と放射線検出器16の間の照射野内に散乱体113を挿入した状態で一回の撮影を行うことで、モアレ縞の鮮明度が0付近に低下した画像を得ることができる。そのため、格子を視野から取り外すことなく、従来の単純X線撮影装置のように一回の簡易な撮影で容易に吸収画像を生成することが可能となる。

0071

なお、モアレ縞の鮮明度は0になることが好ましいが、その分散乱体113での吸収が大きくなってしまうため、用途によっては本実験のようにモアレ縞の鮮明度とX線透過率とのトレードオフの関係から散乱体を決めてもよい。例えば、被写体のポジショニング等では被写体の位置関係を確認できれば良く、多少モアレ縞が残っていても問題ない。しかし、格子の欠陥マップや、検出器の校正データなどの装置の校正データを収集する用途では、モアレ縞の残存が本撮影の偽像の原因となるため、モアレ縞の鮮明度をほぼ0にする散乱体113が必要となる。

0072

また、散乱体113の位置は、放射線源11と放射線検出器16の間のどこでもよいが、医療用途などで被写体の被曝線量を低減させる必要がある場合は、散乱体113を被写体よりも放射線源11側に配置することが好ましい。散乱体113を被写体よりも放射線源11側に配置することで、被写体を透過した放射線が散乱体113で吸収されることなく、被曝線量あたりの粒状性低下を抑えることができる。

0073

また、上記では、散乱体113をx方向又はy方向に移動させることで、放射線源11と放射線検出器16の間に散乱体113を挿入したり退避させたりする構成としたが、これに限定されない。例えば、図12(a)、(b)に示すように、散乱体113を付加フィルター・コリメーター112と同一のターンテーブル112aに配置し、本撮影モードでは、図12(a)に示すように回転機構112bにより散乱体113を照射野Aの位置から退避させ、低鮮明度撮影モードでは、図12(b)に示すように、回転機構112bによりターンテーブル112aを回転させて散乱体113を照射野Aの位置に配置する構成としてもよい。

0074

[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、マルチスリット12、第1格子14、第2格子15の3つの格子うち一つ又は複数を縞走査法による撮影時の格子位置に対して放射線照射軸回りに回転させた状態で撮影を行うことで、モアレ縞の鮮明度を低下させたモアレ縞画像を取得する例について説明する。回転させる格子によってモアレ縞に与える影響が異なるため、最初にそれぞれの格子の回転で起きる現象について説明する。ここで、モアレ縞の位相は、3つの格子の相対角で決まるため、2つの格子を同じ方向に同じ角度回転させた場合は、回転させていない格子を逆方向に同じ角度回転させた効果となる。

0075

なお、3つの格子のスリット周期方向がx方向に平行であるときが各格子の縞走査法による撮影に適した格子位置であり、3つの格子の相対角度は0度である。

0076

まず、マルチスリット12を放射線照射軸回りに回転させた場合について説明する。
マルチスリット12の開口部(スリット)は、上述のように仮想的な光源として作用することが知られている。本実施形態のように、マルチスリット12が1次元格子の場合、マルチスリット12のスリット毎に形成される自己像が第2格子15上で重なるようにマルチスリット12の周期を決める必要がある。このようなマルチスリット12の周期d0は、以下の(式5)により求めることができる。



この(式5)に示す関係により異なるスリットで形成された自己像が重なることになるが、この前提としてマルチスリット12と第1格子14のスリット周期構造が平行である必要がある。マルチスリット12と第1格子14のスリット周期構造が平行でない場合、放射線源11の焦点径の大きさと角度に応じて自己像がx方向にシフトして加算されることになり、モアレ縞の鮮明度が低下する。本願発明者は、マルチスリット12の他の格子に対する相対角度が以下の(式6)に示すΔθ0となるときに焦点端部による自己像の位相は焦点中心部の自己像の位相とπずれて重なることになり、モアレ縞の鮮明度がほぼ極小値となることを見出した。

0077

モアレ縞の鮮明度は焦点の強度分布に依存するため、厳密に極小となる相対角度Δθ0を求めたい場合は、焦点の強度分布に応じて重み付けした自己像を加算して鮮明度が極小となる角度を求めればよい。

0078

次に、第2格子15を放射線照射軸回りに回転させた場合について説明する。
第2格子15を放射線照射軸回りに回転させた場合、特許文献1に記載のように、モアレ縞の周期が変化することがわかっている。モアレ縞の周期が放射線検出器16の画素サイズと同一となった時、モアレ縞1周期分が画素で平均化されることによりモアレ縞の鮮明度は0になる。モアレ縞の周期とy方向の画素サイズが同じになる第2格子15の相対角度Δθ2は(式7)で求めることができる。



ここで、detはy方向の画素サイズである。モアレ縞の周期が放射線検出器16の1画素よりも大きい場合でも放射線検出器16のMTF(Modulation Transfer Function)に応じてぼけが生じるため、モアレ縞の鮮明度はモアレ縞の周波数とMTFに応じて低下する。そのため、モアレ縞の周期が放射線検出器16の画素サイズと同一でなくてもほぼ同じであればモアレ縞の鮮明度はほぼ0になるが、エイリアシングによるビートが発生する。

0079

第1格子14を放射線照射軸周りに回転させることは、第1格子14に対してマルチスリット12を回転させ、かつ第2格子15も同じ角度回転させたことと等価である。つまり、第1格子14を放射線照射軸周りに回転させることは、マルチスリット12を回転させた効果と、第2格子15を回転させた二つの効果の組み合わせとなる。

0080

図13に、上述のマルチスリット12(G0)、第1格子14(G1)、第2格子15(G2)の放射線照射軸周りの回転とモアレ縞鮮明度の関係を表した概念図を示す。
上述の装置仕様に示す条件で計算したΔθ0とΔθ2は、それぞれ3.42度、3.59度である。

0081

そこで、第2の実施形態においては、低鮮明度撮影モードにおいて、3つの格子のうち一つ又は複数を縞走査法による撮影時の格子位置に対して放射線照射軸回りに回転させて1回の撮影を行う。回転角度Δθは、マルチスリット12を回転させる場合はΔθ0、第2格子15を回転させる場合はΔθ2、第1格子14を回転させる場合は、Δθ0又はΔθ2とすることが好ましい。

0082

なお、放射線検出器16としてスリットシンチレーター検出器を用いる場合、第2格子15の代わりにスリットシンチレーター検出器を放射線照射軸周りに回転させれば良い。また、スリットシンチレーター検出器の場合、Rd=R2としてΔθ2を計算する。

0083

図14に、第2の実施形態における放射線撮影システム100Bの構成例を示す。図14に示すように、放射線撮影システム100Bは、放射線撮影装置1B及びコントローラー5を備えて構成されている。放射線撮影装置1Bは、マルチスリット12、第1格子14、第2格子15の3つの格子のうち一つ又は複数を放射線照射軸回りに回転させる構成を備えている。3つの格子のうち一つ又は複数を放射線照射軸回りに回転させる構成としては、例えば、図15に示すように、放射線撮影装置1Bが放射線照射軸を回転軸とし中央部に格子を嵌め込む開口部を有するターンテーブル150を有し、ターンテーブル150を回転機構150aにより回転させる構成を用いることができる。図15及び以下の説明では、放射線撮影装置1Bが第2格子15を回転させる構成を有するものとして説明するが、これに限定されるものではない。なお、第2格子15をx方向に移動させる移動機構15aは、第2格子15を保持したターンテーブル150ごとx方向に移動させる。また、第2格子15のスリット周期方向がx方向となるときのターンテーブル150の回転角度は0度であり、このとき他の格子とのスリット周期方向が一致し、相対角度が0度となる。この相対角度0が縞走査法の撮影時の格子位置である。また、放射線撮影装置1Bにおいては、第1の実施形態で説明した散乱体113及び移動機構113aは不要である。
その他の放射線撮影装置1Bの各部及びコントローラー5の構成は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用する。

0084

次に、第2の実施形態の放射線撮影装置1Bにおける撮影動作及びコントローラー5における画像生成動作について説明する。
図16に、放射線撮影装置1Bの制御部181により実行される撮影制御処理Bのフローチャートを示す。撮影制御処理Bは、制御部181と記憶部185に記憶されているプログラムとの協働により実行される。

0085

まず、制御部181は、撮影モードが低鮮明度撮影モードであるか本撮影モードであるかを判断する(ステップS11)。

0086

撮影モードが低鮮明度撮影モードであると判断した場合(ステップS11;低鮮明度撮影モード)、制御部181は、回転機構150aを制御して第2格子15をΔθ度(例えば、Δθ2度)回転させる(ステップS12)。

0087

次いで、制御部181は、オペレーターにより操作部182の曝射スイッチがON操作されるのを待機する(ステップS13)。操作部182の曝射スイッチがON操作されると(ステップS13;YES)、制御部181は、放射線源11、放射線検出器16を制御して、第2格子15を移動させずに1回の撮影を行って1枚のモアレ縞画像を取得する(ステップS14)。ステップS14の具体的な処理はステップS4で説明したものと同様であるので説明を援用する。

0088

そして、制御部181は、通信部184によりコントローラー5に、モアレ縞画像を送信させ(ステップS15)、回転機構150aを制御して第2格子15の回転角度を元に戻し(ステップS16)、撮影制御処理Bを終了する。

0089

一方、撮影モードが本撮影モードであると判断した場合(ステップS11;本撮影モード)、制御部181は、オペレーターにより操作部182の曝射スイッチがON操作されるのを待機する(ステップS17)。操作部182の曝射スイッチがON操作されると(ステップS17;YES)、制御部181は、放射線源11、放射線検出器16、移動機構15aを制御して、縞走査法により複数ステップ(Mステップ)の撮影を実行して複数(M枚)のモアレ縞画像を取得する(ステップS18)。

0090

そして、制御部181は、通信部184によりモアレ縞画像をコントローラー5に送信し(ステップS19)、撮影制御処理Bを終了する。

0091

コントローラー5は、本体部18から低鮮明度撮影モードで生成された被写体モアレ縞画像を受信すると、吸収画像を生成し、生成した吸収画像を表示部に表示する。コントローラー5における吸収画像の生成については、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用する。

0092

また、コントローラー5は、本体部18から本撮影モードで生成された一連の被写体モアレ縞画像及びBGモアレ縞画像を受信すると、受信したモアレ縞画像に基づいて、3種類の再構成画像(吸収画像、微分位相画像、小角散乱画像)を生成し、表示部に表示する。コントローラー5における再構成画像の生成については、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用する。

0093

(第2の実施形態の検証実験)
以下、第2の実施形態における低鮮明度撮影モードで生成される被写体モアレ縞画像及びこのモアレ縞画像に基づいて生成される透過率画像(吸収画像)について検証した検証実験の結果について説明する。

0094

検証実験では、図5に示すモアレ縞画像を撮影したときと同じPMMAを被写体として、第2の実施形態で説明した低鮮明度撮影モードで撮影を行って被写体モアレ縞画像を取得した。また、生成した被写体モアレ縞画像に基づいて、透過率画像を生成した。
検証実験に用いた格子の周期や格子間距離については、上述の装置仕様に記載したとおりである。第2格子15の回転角度Δθは、(式6)の計算結果から3.59度とした。モアレ縞の鮮明度は0.02に低下した。

0095

図17(a)は、第2格子15を放射線照射軸周りに3.59度回転させて上述の低鮮明度撮影モードで撮影することにより得られた被写体モアレ縞画像である。モアレ縞はほぼ無くなり、図7(a)に近い画像が得られた。ただし、モアレ縞の周期と画素サイズが完全に一致しなかったことから若干のエイリアシングによるビートが発生している。仮にモアレ縞の周期と画素サイズが完全に一致したとしても、格子の周期構造を完璧に製造することは困難であり、部分的にエイリアシングによるビートが発生することも想定される。

0096

図17(b)は、図17(a)に示す被写体モアレ縞画像を再構成画像生成用のBGモアレ縞画像(Δθ=0度)の加算画像で割ることにより生成された透過率画像である。被写体モアレ縞画像を再構成画像生成用のBGモアレ縞画像(Δθ=0度)の加算画像で割り算した場合、図17(b)に示すように、被写体モアレ縞画像の撮影時に回転させていない格子の吸収ムラや欠陥、検出器の感度ムラは補正できるが、エイリアシングによるビートは補正できなかった。また、回転させた格子に欠陥がある場合、白点黒点の偽像が出現した。ただし、格子を被写体モアレ縞画像撮影時と同じ角度回転させてBGモアレ縞画像を撮影(保持)する必要がないというメリットがある。

0097

図17(d)は、図17(a)のモアレ縞画像を、第2格子15を3.59度回転させて撮影したBGモアレ縞画像(図17(c))で割ることにより生成した透過率画像である。格子の相対角度が被写体モアレ縞画像の撮影時と同じBGモアレ縞画像で割り算することで、ビートの発生が抑制され、さらに全ての格子の吸収ムラや欠陥、検出器の感度ムラが合わせて補正されている。

0098

上記検証実験では、第2格子15を放射線照射軸周りにΔθ度回転させた場合について示したが、上述のように、他の格子や複数の格子を放射線照射軸周りにΔθ度回転させた場合についても同様の効果が得られる。

0099

以上のように、マルチスリット12、第1格子14、第2格子15の3つの格子うち一つ又は複数を縞走査法による撮影時の格子位置に対して放射線照射軸回りに回転させた状態で一回の撮影を行うことで、モアレ縞の鮮明度が0付近に低下した画像を得ることができる。そのため、格子を視野から取り外すことなく、従来の単純X線撮影装置のように一回の簡易な撮影で容易に吸収画像を生成することが可能となる。

0100

なお、本実験では第2格子15の回転角度を計算から求めた値を使用して説明したが、格子の製造誤差や調整誤差などを考慮すると、モアレ縞の鮮明度が最小となる回転角度を予め実験的に求めておき、その値を使用することが好ましい。また、格子の回転方向である「放射線照射軸周り」とは、放射線照射軸回りに略一致していればよく、わずかにずれがある場合も含まれる。

0101

[第3の実施形態]
以下、本発明の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態では、マルチスリット12、第1格子14、第2格子15のうち一つまたは複数を縞走査法による撮影時の格子位置に対して放射線照射方向(z方向)に移動させた状態で撮影を行うことで、モアレ縞の鮮明度を低下させたモアレ縞画像を取得する例について説明する。

0102

上述のように、縞走査法による撮影ではモアレ縞が鮮明であることが求められるため、3つの格子のz方向の位置関係は干渉計の設計で所定位置設計位置)があり、マルチリット12、第2格子15の遮蔽部の放射線吸収が十分であれば、設計位置でモアレ縞の鮮明度は概ね最大となる。この状態から一つ又は複数の格子をz方向に移動させると2つのモアレ縞鮮明度の低減効果が得られる。1つ目は、マルチスリット12のスリット毎に形成される自己像が第2格子15の格子面上でx方向にシフトして加算されることによる鮮明度低下である。2つ目は第1格子14による自己像の周期が第2格子15の周期と合わないためモアレ縞の周期が細かくなることにより生じる放射線検出器16のMTFに応じた鮮明度低下である。この2つの低減効果は、第2の実施形態に記載した第1格子14の放射線照射軸周りの回転によるモアレ縞の鮮明度低下とモアレ縞が発生する方向が異なるものの、自己像と第2格子15の周期の差異およびマルチスリット12による重ね合わせのずれが原因で発生する。3枚の格子によってz方向の移動量に対するモアレ縞の鮮明度の低下量は異なるが、どの格子を動かしても2つの効果の組み合わせで鮮明度が低下する。

0103

図18に、格子のz方向移動とモアレ縞の鮮明度の関係を表した概念図を示す。
図18に示すΔzsは、マルチスリット12のスリットによる自己像がずれて第2格子15上に重ね合わされることにより、モアレ縞の鮮明度が最初に0になる移動量である。第2格子15をz方向に移動させる場合は、下記の(式8)によりおおよそのΔzsを計算できる。



Δzm1、Δzm2はモアレ縞の周期が放射線検出器16の画素サイズと同一となる移動量である。モアレ縞周期の変化は移動方向によって異なるため、放射線検出器16側への移動量をΔzm1、放射線源11側への移動量をΔzm2とする。第2格子15をz方向に移動させる場合は、以下の(式9)でおおよそのΔzm1、Δzm2を計算できる。



マルチスリット12、第1格子14のz方向移動についても、焦点径、スリット周期、格子間距離、検出器画素サイズの関係からΔzs、Δzm1、Δzm2の大まかな値を求めることが可能である。

0104

そこで、第3の実施形態における低鮮明度撮影モードでは、3つの格子のうち一つ又は複数を縞走査法による撮影時の格子位置に対してz方向に移動させて撮影を行う。

0105

図19に、第3の実施形態における放射線撮影システム100Cの構成例を示す。図19に示すように、放射線撮影システム100Cは、放射線撮影装置1C及びコントローラー5を備えて構成されている。放射線撮影装置1Cは、マルチスリット12、第1格子14、第2格子15の3つの格子のうち一つ又は複数をz方向に移動させる構成を備えている。図18においては、第2格子15をz方向に移動させる移動機構15bのみを図示し、以下の説明では、第2格子15をz方向に移動させる場合を例にとり説明するが、マルチスリット12及び第1格子14をz方向に移動させる移動機構を備え、これらの格子をz方向に移動させることとしてもよい。また、放射線撮影装置1Cにおいては、第1の実施形態で説明した散乱体113及び移動機構113aは不要である。

0106

その他の放射線撮影装置1Cの各部及びコントローラー5の構成は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用する。

0107

次に、放射線撮影装置1Cにおける撮影動作及びコントローラー5における画像生成動作について説明する。
図20に、放射線撮影装置1Cの制御部181により実行される撮影制御処理Cのフローチャートを示す。撮影制御処理Cは、制御部181と記憶部185に記憶されているプログラムとの協働により実行される。

0108

まず、制御部181は、撮影モードが低鮮明度撮影モードであるか本撮影モードであるかを判断する(ステップS21)。

0109

撮影モードが低鮮明度撮影モードであると判断した場合(ステップS21;低鮮明度撮影モード)、制御部181は、移動機構15bを制御して第2格子15を縞走査法による撮影の位置からz方向に所定距離(例えば、Δzs、Δzm1又はΔzm2)移動させる(ステップS22)。

0110

次いで、制御部181は、オペレーターにより操作部182の曝射スイッチがON操作されるのを待機する(ステップS23)。操作部182の曝射スイッチがON操作されると(ステップS23;YES)、制御部181は、放射線源11、放射線検出器16を制御して、マルチスリット12を移動させずに1回の撮影を行って1枚のモアレ縞画像を取得する(ステップS24)。ステップS14の具体的な処理はステップS4で説明したものと同様であるので説明を援用する。

0111

そして、制御部181は、通信部184によりコントローラー5に、モアレ縞画像を送信させ(ステップS25)、移動機構15bを制御して第2格子15を縞走査法による本影用の位置に戻し(ステップS26)、撮影制御処理Cを終了する。

0112

一方、撮影モードが本撮影モードであると判断した場合(ステップS21;本撮影モード)、制御部181は、オペレーターにより操作部182の曝射スイッチがON操作されるのを待機する(ステップS27)。操作部182の曝射スイッチがON操作されると(ステップS27;YES)、制御部181は、放射線源11、放射線検出器16、移動機構15aを制御して、縞走査法により複数ステップ(Mステップ)の撮影を実行して複数(M枚)のモアレ縞画像を取得する(ステップS28)。

0113

そして、制御部181は、通信部184によりモアレ縞画像をコントローラー5に送信し(ステップS29)、撮影制御処理Cを終了する。

0114

コントローラー5は、本体部18から低鮮明度撮影モードで生成された被写体モアレ縞画像を受信すると、吸収画像を生成し、生成した吸収画像を表示部に表示する。コントローラー5における吸収画像の生成については、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用する。

0115

また、コントローラー5は、本体部18から本撮影モードで生成された一連の被写体モアレ縞画像を受信すると、受信したモアレ縞画像に基づいて、3種類の再構成画像(吸収画像、微分位相画像、小角散乱画像)を生成し、表示部に表示する。コントローラー5における再構成画像の生成については、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用する。

0116

(第3の実施形態の検証実験)
以下、第3の実施形態における低鮮明度撮影モードで生成される被写体モアレ縞画像及びこのモアレ縞画像に基づいて生成される透過率画像(吸収画像)について検証した検証実験の結果について説明する。

0117

検証実験では、図5のモアレ縞画像を撮影したときと同じPMMAを被写体として、第3の実施形態で説明した低鮮明度撮影モードで撮影を行って被写体モアレ縞画像を取得した。また、生成した被写体モアレ縞画像に基づいて、透過率画像を生成した。
検証実験に用いた格子の周期や格子間距離については、上述の装置仕様に記載したとおりである。検証実験では、第2格子15を放射線源11側にΔzs移動させた。Δzsは、(式8)の計算結果から計算した20.47mmを四捨五入した20mmとした。モアレ縞の鮮明度は0.04に低下した。

0118

図21(a)は、第2格子15を縞走査法による撮影時の位置から放射線源11側に20mm移動させて上述の低鮮明度撮影モードで撮影することにより得られた被写体モアレ縞画像である。図21(a)に示すように、細かい縦方向のモアレ縞が残っているものの、図7(a)に示すモアレ縞加算画像に近い画像が得られた。

0119

図21(b)は、図21(a)に示すモアレ縞画像を再構成画像生成用のBGモアレ縞画像を加算した画像で割ることにより生成された透過率画像である。図21(b)に示すように、図21(a)に示すモアレ縞画像を再構成画像生成用のBGモアレ縞画像を加算した画像で割ると、移動させていない格子の吸収ムラや欠陥、検出器の感度ムラを補正した透過率画像が得られるが、細かいモアレ縞は補正できず、また、移動させた格子の欠陥が白点と黒点の偽像として出現した。ただし、予めコントローラー5に記憶されているBGモアレ縞画像を用いるので、格子をz方向に移動させてBGモアレ縞画像を撮影(保持)する必要がないというメリットがある。

0120

図21(c)は、上述の低鮮明度撮影モードで被写体を配置せず第2格子15を縞走査法による撮影時の位置から放射線源11側に20mm移動させて撮影することにより得られたBGモアレ縞画像である。図21(d)は、図21(a)に示すモアレ縞画像を図21(c)のBGモアレ縞画像で割ることにより生成された透過率画像である。図21(d)に示すように、被写体有りのモアレ縞画像を同じ格子位置で撮影したBGモアレ縞画像で割ることで、細かいモアレ縞が抑制され、更に全ての格子の吸収ムラや欠陥、検出器の感度ムラが合わせて補正された画像が得られた。

0121

上記検証実験では、第2格子15を放射線源11側にΔzs移動させた場合について示したが、上述のように、他の格子や複数の格子をz方向に移動させた場合についても同様の効果が得られる。

0122

以上のように、マルチスリット12、第1格子14、第2格子15の3つの格子うち一つ又は複数を縞走査法による撮影時の格子位置に対してz方向に移動させた状態で1回の撮影を行うことで、モアレ縞の鮮明度が0付近に低下した画像を得ることができる。そのため、格子を視野から取り外すことなく、従来の単純X線撮影装置のように一回の簡易な撮影で容易に吸収画像を生成することが可能となる。

0123

本実験では第2格子15のz方向移動量を計算から求めた値を使用して説明したが、格子の製造誤差や調整誤差などを考慮すると、鮮明度が最小となる移動量を予め実験的に求めておき、その値を使用することが好ましい。

0124

上記第3の実施形態においては、第2格子15をz方向に移動させる場合を例にとり説明したが、上述のように、マルチスリット12、第1格子14、第2格子15の何れをz方向に動かすこととしてもよい。ただし、放射線検出器16や筐体などと干渉する場合があるため、図22(a)〜(d)に、装置の構成別に、各格子の動かしやすいケースを矢印で示した。図22(a)は、被写体に対し上方向から放射線を照射する放射線撮影装置の例であり、図22(b)は、被写体に対し上方向から放射線を照射する放射線撮影装置であって、第2格子15と放射線検出器16の機能を有するスリットシンチレーター検出器を用いた装置の例である。図22(c)は、被写体に対し下方向から放射線を照射する撮影装置の例であり、図22(d)は、被写体に対し下方向から放射線を照射する放射線撮影装置であって、第2格子15と放射線検出器16の機能を有するスリットシンチレーター検出器を用いた装置の例である。
また、格子の移動方向である「放射線照射軸方向(z方向)」とは、放射線照射軸方向に略一致していればよく、わずかにずれがある場合も含まれる。

0125

[第4の実施形態]
以下、本発明の第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態では、撮影中にマルチスリット12、第1格子14、第2格子15のうち一つまたは複数をスリット周期方向であるx方向に連続的に移動させることで、モアレ縞の鮮明度を低下させたモアレ縞画像を取得する例について説明する。

0126

一つ又は複数の格子をその格子のスリット周期と同じかその整数倍だけx方向に連続的に移動させながら撮影を行うと、縞走査法による撮影により得られる複数ステップのモアレ縞画像を加算したのと同様の効果が得られ、理論上モアレ縞画像の鮮明度は0となる。しかし、格子のx方向移動量をデータ収集時間(放射線照射期間及び電荷蓄積期間)で割った速度で格子を移動させる必要があり、データ収集時間に応じて格子を動かす速度を変更する必要がある。
一方、格子のx方向移動量がスリット周期より大きいが整数倍でない場合、モアレ縞の鮮明度が0となることはほぼないが、格子の移動速度を制御する必要がない。格子の移動速度を一定とした場合、データ収集時間に応じてモアレ縞の鮮明度が変化することになるが、格子の移動量が大きいほど、モアレ縞の鮮明度は0に近いところで安定する。例えば、格子を10.1周期移動させた場合、10周期分は吸収画像として寄与し、残りの0.1周期分の移動平均がモアレ縞の鮮明度として寄与する。そのため、格子の移動量は1.1周期よりは2.1周期の方がモアレ縞の鮮明度は低下し、周期の小数点以下の移動量が同じであれば、格子の移動量が大きくなるほど鮮明度低下の効果が大きくなる。

0127

なお、格子の移動量がスリット周期の整数倍であるか否かにかかわらず、データ収集中の移動速度は一定であることが好ましい。そのため速度が安定してからデータ収集を開始することが好ましい。ただし移動速度は一定であることに限定されるものではなく、変速ステップ移動としても良い。

0128

そこで、第4の実施形態における低鮮明度撮影モードでは、3つの格子のうち一つ又は複数をその格子のスリット1/4周期以上連続的に移動させながら撮影を行う。

0129

ここで、第4の実施形態における放射線撮影システム100Dにおける放射線撮影装置1Dの構成は、図1に示した放射線撮影装置1Aから散乱体113及び移動機構113aを除いた構成であるので、図示及び説明は省略し、以下、第4の実施形態の放射線撮影装置1Dにおける撮影動作及びコントローラー5における画像生成動作について説明する。

0130

図23に、放射線撮影装置1Dの制御部181により実行される撮影制御処理Dのフローチャートを示す。撮影制御処理Dは、制御部181と記憶部185に記憶されているプログラムとの協働により実行される。

0131

まず、制御部181は、撮影モードが低鮮明度撮影モードであるか本撮影モードであるかを判断する(ステップS31)。

0132

撮影モードが低鮮明度撮影モードであると判断した場合(ステップS31;低鮮明度撮影モード)、制御部181は、オペレーターにより操作部182の曝射スイッチがON操作されるのを待機する(ステップS32)。
操作部182の曝射スイッチがON操作されると(ステップS32;YES)、制御部181は、放射線源11、放射線検出器16、移動機構15aを制御して、第2格子15をスリット1/4周期以上連続的に移動させながら1回の撮影を行い、1枚のモアレ縞画像を取得する(ステップS33)。即ち、放射線検出器16における前回の撮影により残存する不要な電荷を取り除くリセット後、放射線源11により所定時間連続的にX線照射が行われ、X線照射期間に合わせて放射線検出器16において電荷が蓄積される。また、X線照射期間中、移動機構15aにより第2格子15がx方向にスリット1/4周期以上連続的に移動される。X線の照射停止のタイミングに合わせて蓄積された電荷が画像信号として読み取られ、1枚のモアレ縞画像が取得される。なお、撮影終了後、第2格子15の位置は元の位置に戻される。

0133

そして、制御部181は、通信部184によりコントローラー5に、モアレ縞画像を送信させ(ステップS34)、撮影制御処理Dを終了する。

0134

一方、撮影モードが本撮影モードであると判断した場合(ステップS31;本撮影モード)、制御部181は、オペレーターにより操作部182の曝射スイッチがON操作されるのを待機する(ステップS35)。操作部182の曝射スイッチがON操作されると(ステップS35;YES)、制御部181は、放射線源11、放射線検出器16、移動機構15aを制御して、縞走査法により複数ステップ(Mステップ)の撮影を実行して複数(M枚)のモアレ縞画像を取得する(ステップS36)。

0135

そして、制御部181は、通信部184によりモアレ縞画像をコントローラー5に送信し(ステップS37)、撮影制御処理Dを終了する。
なお、撮影制御処理Dにおいては、第2格子15を連続的に移動させながら撮影を行うこととしたが、例えばステップ移動のように、非連続に移動させることとしてもよい。

0136

コントローラー5は、本体部18から低鮮明度撮影モードで生成された被写体モアレ縞画像を受信すると、吸収画像を生成し、生成した吸収画像を表示部に表示する。コントローラー5における吸収画像の生成については、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用する。

0137

また、コントローラー5は、本体部18から本撮影モードで生成された一連の被写体モアレ縞画像を受信すると、受信したモアレ縞画像に基づいて、3種類の再構成画像(吸収画像、微分位相画像、小角散乱画像)を生成する。コントローラー5における再構成画像の生成については、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用する。

0138

(第4の実施形態の検証実験)
以下、第4の実施形態における低鮮明度撮影モードで生成される被写体モアレ縞画像及びこのモアレ縞画像に基づいて生成される透過率画像(吸収画像)について検証した検証実験の結果について説明する。

0139

検証実験では、図5のモアレ縞画像を撮影したときと同じPMMAを被写体として、第4の実施形態で説明した低鮮明度撮影モードで撮影を行って被写体モアレ縞画像を取得した。また、生成した被写体モアレ縞画像に基づいて、透過率画像を生成した。
検証実験に用いた格子のスリット周期や格子間距離については、上述の装置仕様に記載したとおりである。第2格子15の移動速度は125um/sec、データ収集時間は0.427sec、データ収集中のx方向の移動量は53.375um(10.07周期)とした。

0140

図24(a)は、上述の低鮮明度撮影モードで、即ち、第2格子15をx方向にスリット周期以上連続的に移動させながら撮影することにより得られたモアレ縞画像である。図24(a)に示すように、モアレ縞はほぼ消え、図7(a)に示すモアレ縞画像に近い画像が得られた。

0141

図24(b)は、図24(a)に示すモアレ縞画像を再構成画像生成用のBGモアレ縞画像を加算した画像で割ることにより生成された画像である。図24(b)に示すように、図24(a)に示すモアレ縞画像を再構成画像生成用のBGモアレ縞画像を加算した画像で割ると、移動させていない格子の吸収ムラや欠陥、検出器の感度ムラを補正した透過率画像が得られるが、移動させた格子の欠陥が白点と黒点の偽像として出現した。ただし、予めコントローラー5に記憶されているBGモアレ縞加算画像を用いるので、格子をx方向に移動させてBGモアレ縞画像を撮影(保持)する必要がないというメリットがある。

0142

図24(c)は、上述の低鮮明度撮影モードで被写体を配置せずに、第2格子15をx方向に連続的に移動させながら上述の低鮮明度撮影モードで撮影することにより得られたBGモアレ縞画像である。図24(d)は、図24(a)に示すモアレ縞画像を図24(c)のBGモアレ縞画像で割ることにより生成された透過率画像である。図24(d)に示す例では、被写体を配置したときとしないときとで第2格子15の移動開始位置を異ならせて撮影を行ったため、白点と黒点の偽造が発生しているが、移動開始位置及び移動量を同じとすれば、移動させた格子の吸収ムラや欠陥を補正できる。

0143

上記検証実験では、第2格子15をx方向に移動させた場合について示したが、上述のように、他の格子や複数の格子をx方向に移動させた場合についても同様の効果が得られる。

0144

以上のように、マルチスリット12、第1格子14、第2格子15の3つの格子うち一つ又は複数をx方向にスリット1/4以上移動させながら撮影を行うことで、モアレ縞の鮮明度が0近くに低下した画像を得ることができる。そのため、格子を視野から取り外すことなく、従来の単純X線撮影装置のように一回の撮影で吸収画像を生成することが可能となる。
なお、格子の移動方向である「スリット周期方向(x方向)」とは、x方向に略一致していればよく、わずかにずれがある場合も含まれる。

0145

以上、本発明の第1〜第4の実施形態について説明したが、上述した本実施形態における記述は、本発明に係る好適な一例であり、これに限定されるものではない。

0146

例えば、上記実施形態では、縞走査法による撮影時に第2格子15をマルチスリット12及び第1格子14に対して移動させる方式のタルボ・ロー干渉計を用いた放射線撮影装置を例にとり説明したが、本発明は、縞走査法による撮影時にマルチスリット12又は第1格子14又は第2格子15の何れか又はそのうちの二つの格子を移動させる方式のタルボ・ロー干渉計を用いた放射線撮影装置に適用してもよい。また、本発明は、第1格子14又は第2格子15の何れかを他の格子に対して移動させる方式のタルボ干渉計を用いた放射線撮影装置に適用してもよい。また、本発明は、マルチスリット12又は第1格子14の何れかを他の格子に対して移動させる方式のロー干渉計を用いた放射線撮影装置に適用してもよい。また、本発明は、縞走査を必要としないフーリエ変換法を用いたタルボ・ロー干渉計、タルボ干渉計、ロー干渉計に適用してもよい。

0147

その他、放射線撮影システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。

0148

1A、1B、1C、1D放射線撮影装置
11放射線源
12マルチスリット
13被写体台
14 第1格子
15 第2格子
15a移動機構
16放射線検出器
17支柱
17a緩衝部材
111焦点
112付加フィルター・コリメーター
113散乱体
113a 移動機構
120 第1のカバーユニット
130 第2のカバーユニット
18 本体部
181 制御部
182 操作部
183 表示部
184通信部
185 記憶部
19基台部
5 コントローラー

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