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技術 ミルク感が増強された飲食品及びその製造方法、そのための飲食品用組成物並びに飲食品のミルク感増強方法

出願人 曽田香料株式会社
発明者 菅一也林歩
出願日 2016年3月31日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-071938
公開日 2017年10月5日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-176114
状態 特許登録済
技術分野 調味料 乳製品 非アルコール性飲料
主要キーワード 単独物質 遠心精製 キビナゴ エントレーナ 使用実態 ウルメイワシ 香味化合物 ミルク入りコーヒー
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年10月5日)のものです。
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図面 (2)

課題

原料として乳由来素材を用いることのない、ミルク感が増強された飲食品およびその製造方法、そのための飲食品用組成物バターチーズなどの乳製品豆菓子などの飲食物のミルク感増強方法、さらに、ミルク感が増強された組成物を提供する。

解決手段

煮干高圧CO2抽出エキスと、乳および/又は乳製品と、を含有するミルク感が増強された飲食品、その製造方法、ミルク感が増強された飲食品用組成物、並びに飲食品のミルク感増強方法を用いる。

概要

背景

近年、消費者嗜好性多様化により、そのニーズに合うような様々な商品の開発、殊に消費者の嗜好性やその他の要因に沿ったバラエティーに富んだ飲食品の開発が望まれている。これらの要望に対して、香料についても既存のフレーバー化合物だけでは十分には対応できているとは言えず、消費者の嗜好アレルギーなどの他の要因も踏まえて、独特香味特性を有するフレーバー化合物、飲食品の開発が課題となっている。

殊に、飲食品などにミルク感という香味を付与し、あるいは増強できるフレーバー化合物の開発が強く望まれている。
現在、ミルク入りコーヒーコーンスープバター風味菓子など、乳および乳製品を含む飲食品が多く市販されている。そのような飲食品は乳および乳製品の含有量を増加させるとミルク風味が強くなり、味が好ましいものとなる。しかし、原料費の低減、カロリーを抑えるなどの理由のため、あるいは乳由来沈殿ができるなど製造上発生する問題のために、原料の乳の配合量を低減したり、乳脂肪分の少ない加工乳代替したりする場合がある。さらに、ミルク感は飲食品の加熱処理等製造工程で損なわれることがあり、飲食品のミルク風味、すなわちミルク感の増強方法市場で求められる方法の一つである。

飲食品のミルク感を増強させる方法としては、大きく分けて乳由来原料を使用する方法と、それ以外の方法に分けられる。
乳由来の原料を使う方法としては、乳タンパク質酵素処理したペプチドを用いる方法(例えば特許文献1参照)や、乳清ミネラルを用いる方法(例えば特許文献2参照)などがある。しかし、そのような方法では乳脂肪風味コク味欠けていたり、苦味収斂味などの異味感じたりするという課題がある。また、乳原料由来の沈殿が発生しやすくなるという課題もある。

乳由来の原料を使わない方法としては、酵母エキスを用いる方法(例えば特許文献3、特許文献4参照)やカルシウム塩(例えば特許文献5参照)、茶エキスを用いる方法(例えば特許文献6参照)などがある。しかし、これらの素材は、実際には乳の風味を増強させているのではなく、単にアミノ酸などによるコク味増強によるものであり、添加量が比較的多いために添加物自体の風味が異味・異臭として感じられるという課題があった。

また、上記のような方法では、飲食品にとって重要な「乳様の香り」が不十分であり、結局ミルクフレーバーに頼らざるを得なかった。
例えば特許文献7では、野菜等に含まれグリーン臭系の香味料として知られている3−メチルノナン−2,4−ジオンが、乳の香気、香味のバランスを崩すことなく、乳特有の「こく」やボリューム感を乳、乳関連製品に補充し増強しうる旨記載されており、3−メチルノナン−2,4−ジオンを配合してなる乳、乳製品、乳若しくは乳製品を含有する飲食物、又は乳製品代用品について開示している。すなわち、野菜や茶等に含まれグリーン臭系の香味料が乳様の香りを有するあるいは増強する化合物として提案されている。しかし香味の多様性の観点からもさらに異なる由来からの香味を提案することが必要であり、本願において提案する由来の香味成分とは由来を異にしている。

特許文献8では、12-メチルトリデカナールを含有する乳脂肪感増強方法について開示している。この12-メチルトリデカナールはビーフシチュー臭、獣脂臭、ロウ臭を持ち、粉ミルク劣化した時に出てくる劣化臭の原因の一つであり、いわゆる「けもの臭」(インドールスカトールフェノールなど)に属する成分と考えられる。従って、本願において提案する魚由来の抽出成分による臭いとは異質な臭いである。

特許文献9では、新規香味化合物である5-ホルミルオキシアルカン酸エチルを開示している。この化合物は乳様の香りを有するあるいは増強する新規化合物との記載がある。しかし、この新規化合物は、食品添加物として認可されるまで費用も時間もかかるため、すぐに実用化できるものではない。また、本願において提案する魚由来の抽出成分の臭い(アミン系と推定する)とは異質なにおいと考えられる。

特許文献10では、各種のチーズヨーグルトおよびカゼイン製造等の過程で、カードを分離した後に生じる廃棄ホエイ乳清)を選択することにより、生乳風味の改善・増強にも優れている乳製品フレーバーおよび発酵風味の改善・増強にも優れている乳製品フレーバーが得られる旨の記載がある。しかし香味の多様性の観点からもさらに異なる由来からの香味を提案することが必要であり、本願において提案する魚由来の香味成分とは由来を異にしている。

概要

原料として乳由来の素材を用いることのない、ミルク感が増強された飲食品およびその製造方法、そのための飲食品用組成物バター、チーズなどの乳製品や豆菓子などの飲食物のミルク感増強方法、さらに、ミルク感が増強された組成物を提供する。煮干高圧CO2抽出エキスと、乳および/又は乳製品と、を含有するミルク感が増強された飲食品、その製造方法、ミルク感が増強された飲食品用組成物、並びに飲食品のミルク感増強方法を用いる。なし

目的

近年、消費者の嗜好性の多様化により、そのニーズに合うような様々な商品の開発、殊に消費者の嗜好性やその他の要因に沿ったバラエティーに富んだ飲食品の開発が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

煮干高圧CO2抽出エキスと、乳および/又は乳製品と、を含有するミルク感が増強された飲食品

請求項2

煮干し高圧CO2抽出エキスが超臨界CO2による抽出エキスである、請求項1に記載の飲食品。

請求項3

煮干しを高圧CO2抽出してエキスを得た後、得られた煮干しの抽出エキスを、乳および/又は乳製品を含有する飲食品に添加する、ミルク感が増強された飲食品の製造方法。

請求項4

ミルク感が増強された飲食品の製造に用いられる組成物であって、煮干しを高圧CO2抽出して得たエキスを含む、ミルク感が増強された飲食品用組成物

請求項5

高圧CO2抽出して得たエキスと、乳系フレーバーと、を含有する、請求項4に記載のミルク感が増強された飲食品用組成物。

請求項6

煮干しを高圧CO2抽出して得たエキスを、乳および/又は乳製品を含有する飲食品に添加する、飲食品のミルク感増強方法

請求項7

煮干しを高圧CO2抽出して得たエキスおよび乳系フレーバーとを含む、ミルク感が増強された飲食品用組成物を、乳および乳製品を実質的に含有しない飲食品に添加する、飲食品のミルク感賦与方法。

技術分野

0001

本発明は、ミルク感が増強された飲食品及びその製造方法、そのための飲食品用組成物並びに飲食品のミルク感増強方法に関する。詳しくは、バターチーズミルクなどの乳および乳製品を含む、もしくは実質的に含まない飲食品に、煮干高圧CO2抽出エキスを添加することによって、乳および乳製品(菓子類を含む)などが有する風味コク味などのミルク感を賦与しあるいはそれを増強して得られる飲食品及びその製造方法、飲食品製造のための飲食品用組成物並びに飲食品のミルク感の増強方法に関する。

背景技術

0002

近年、消費者嗜好性多様化により、そのニーズに合うような様々な商品の開発、殊に消費者の嗜好性やその他の要因に沿ったバラエティーに富んだ飲食品の開発が望まれている。これらの要望に対して、香料についても既存のフレーバー化合物だけでは十分には対応できているとは言えず、消費者の嗜好アレルギーなどの他の要因も踏まえて、独特香味特性を有するフレーバー化合物、飲食品の開発が課題となっている。

0003

殊に、飲食品などにミルク感という香味を付与し、あるいは増強できるフレーバー化合物の開発が強く望まれている。
現在、ミルク入りコーヒーコーンスープバター風味菓子など、乳および乳製品を含む飲食品が多く市販されている。そのような飲食品は乳および乳製品の含有量を増加させるとミルク風味が強くなり、味が好ましいものとなる。しかし、原料費の低減、カロリーを抑えるなどの理由のため、あるいは乳由来沈殿ができるなど製造上発生する問題のために、原料の乳の配合量を低減したり、乳脂肪分の少ない加工乳代替したりする場合がある。さらに、ミルク感は飲食品の加熱処理等製造工程で損なわれることがあり、飲食品のミルク風味、すなわちミルク感の増強方法は市場で求められる方法の一つである。

0004

飲食品のミルク感を増強させる方法としては、大きく分けて乳由来原料を使用する方法と、それ以外の方法に分けられる。
乳由来の原料を使う方法としては、乳タンパク質酵素処理したペプチドを用いる方法(例えば特許文献1参照)や、乳清ミネラルを用いる方法(例えば特許文献2参照)などがある。しかし、そのような方法では乳脂肪の風味、コク味に欠けていたり、苦味収斂味などの異味感じたりするという課題がある。また、乳原料由来の沈殿が発生しやすくなるという課題もある。

0005

乳由来の原料を使わない方法としては、酵母エキスを用いる方法(例えば特許文献3、特許文献4参照)やカルシウム塩(例えば特許文献5参照)、茶エキスを用いる方法(例えば特許文献6参照)などがある。しかし、これらの素材は、実際には乳の風味を増強させているのではなく、単にアミノ酸などによるコク味増強によるものであり、添加量が比較的多いために添加物自体の風味が異味・異臭として感じられるという課題があった。

0006

また、上記のような方法では、飲食品にとって重要な「乳様の香り」が不十分であり、結局ミルクフレーバーに頼らざるを得なかった。
例えば特許文献7では、野菜等に含まれグリーン臭系の香味料として知られている3−メチルノナン−2,4−ジオンが、乳の香気、香味のバランスを崩すことなく、乳特有の「こく」やボリューム感を乳、乳関連製品に補充し増強しうる旨記載されており、3−メチルノナン−2,4−ジオンを配合してなる乳、乳製品、乳若しくは乳製品を含有する飲食物、又は乳製品代用品について開示している。すなわち、野菜や茶等に含まれグリーン臭系の香味料が乳様の香りを有するあるいは増強する化合物として提案されている。しかし香味の多様性の観点からもさらに異なる由来からの香味を提案することが必要であり、本願において提案する由来の香味成分とは由来を異にしている。

0007

特許文献8では、12-メチルトリデカナールを含有する乳脂肪感増強方法について開示している。この12-メチルトリデカナールはビーフシチュー臭、獣脂臭、ロウ臭を持ち、粉ミルク劣化した時に出てくる劣化臭の原因の一つであり、いわゆる「けもの臭」(インドールスカトールフェノールなど)に属する成分と考えられる。従って、本願において提案する魚由来の抽出成分による臭いとは異質な臭いである。

0008

特許文献9では、新規香味化合物である5-ホルミルオキシアルカン酸エチルを開示している。この化合物は乳様の香りを有するあるいは増強する新規化合物との記載がある。しかし、この新規化合物は、食品添加物として認可されるまで費用も時間もかかるため、すぐに実用化できるものではない。また、本願において提案する魚由来の抽出成分の臭い(アミン系と推定する)とは異質なにおいと考えられる。

0009

特許文献10では、各種のチーズ、ヨーグルトおよびカゼイン製造等の過程で、カードを分離した後に生じる廃棄ホエイ乳清)を選択することにより、生乳風味の改善・増強にも優れている乳製品フレーバーおよび発酵風味の改善・増強にも優れている乳製品フレーバーが得られる旨の記載がある。しかし香味の多様性の観点からもさらに異なる由来からの香味を提案することが必要であり、本願において提案する魚由来の香味成分とは由来を異にしている。

先行技術

0010

特開2013-17402号公報
特開2014-50336号公報
特開2010-124819号公報
特開2011-4673号公報
特開平8-23878号公報
特開2006-238815号公報
特開2003-52330号公報
特開2010-158210号公報
特開2014-31331号公報
特開2014-50336号公報

発明が解決しようとする課題

0011

本発明者らは、上記に記載した種々の課題に対し課題を解決すべく検討した結果、次の知見を得た。
超臨界CO2抽出技術を飲食品の香味性成分抽出に利用することで、例えば1)〜5)に記載するような利点がある。
1)熱的・化学的な変化を加えないため対象物中の成分の変性が起こりにくい。特に揮発性の高い香気成分などの抽出には好適である。
2)CO2は不活性なため抽出物化学変化が無く変質が少ない。
3)CO2は高純度ガスにもかかわらず比較的安値で大量に供給が可能である。
4)抽出条件を変えることで選択的抽出が可能である。
5)抽出溶媒がCO2の為、溶媒抽出液残留する心配も無く、不燃性なので安全である。

0012

そこで、飲食品となる対象物に、煮干しの高圧CO2抽出液、特に超臨界CO2抽出液を添加することで、驚くべきことに、乳由来の原料を用いずとも牛乳並びにバターやチーズ等の乳製品の香り、風味、コク味および厚みを増強することができることを見出した。また、バター、チーズ、ミルクなどの乳および乳製品の香気香味を有する乳系フレーバー組成物に添加することで、フレーバー自体の力価を向上させることができ、それを添加することで乳および乳製品を実質的に含有しない飲食品でもミルク感を十分に感じることができることを見出した。

0013

本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、原料として乳由来の素材を用いることなしに、ミルク感が増強された飲食品およびその製造方法を提供することにある。また本発明の他の目的として、バター、チーズ、ミルクなどの乳および乳製品を含む飲食品の風味増強方法、さらに、ミルク感が増強された乳系フレーバー組成物を提供することにある。

0014

また本発明の別の目的として、アレルギーや乳糖不耐症患者でも問題なくミルク感が十分に楽しめることができる乳および乳製品を実質的に含有しない飲食品のミルク感増強方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0015

本発明者らは、煮干し抽出エキスを乳および乳製品を含む飲食品に添加することで、乳由来の原料を使うことなく、それら飲食品のミルク感およびコク味を増強させることに成功した。また、ミルク感だけではなく、バターやチーズ等の乳製品の風味および厚みを向上させることを見出した。さらに、乳製品ではなく、ミルクフレーバー等の乳系フレーバー組成物に煮干し抽出エキスを添加することで、フレーバー自体の力価を向上させる効果をも見出し、本発明を完成させるに至った。

0016

すなわち本発明は、煮干し高圧CO2抽出エキスと、乳および/又は乳製品と、を含有するミルク感が増強された飲食品に係る発明であり、煮干し高圧CO2抽出エキスが超臨界CO2による抽出エキスであることが好ましい。
また本発明は、煮干しを10ないし80℃温度、かつ7ないし80MPaの圧力で、高圧CO2抽出してエキスを得た後、得られた煮干しの抽出エキスを、乳および/又は乳製品を含有する飲食品に添加する、ミルク感が増強された飲食品の製造方法に係る発明である。

0017

また本発明は、ミルク感が増強された飲食品の製造に用いられる組成物であって、煮干しを10ないし80℃温度、かつ7ないし80MPaの圧力で、高圧CO2抽出して得たエキスを含む、ミルク感が増強された飲食品用組成物に係る発明である。

0018

また本発明は、煮干しを10ないし80℃の温度かつ7ないし80MPaの圧力で高圧CO2抽出して得たエキスを、乳および/又は乳製品を含有する飲食品に添加する、飲食品のミルク感増強方法に係る発明である。また一方で本発明は、煮干しを10ないし80℃の温度かつ7ないし80MPaの圧力で高圧CO2抽出して得たエキスを、乳系フレーバー組成物に添加した後、乳および乳製品を実質的に含有しない飲食品に添加する、飲食品のミルク感賦与方法に係る発明である。これは乳成分に対してアレルギー症状を示したり、乳糖不耐症など乳成分摂取で不具合が生じることがある人に対し、乳および乳製品を実質的に含有しない飲食品を提供するに際してミルク感を感じられる飲食品を提供できることは有益である。なお乳および乳製品を実質的に含有しない飲食品において、実質的に含有しないとは、アレルギー表示義務のないレベル特定原材料等の総タンパク量が数μg/ml濃度レベル(10μg/ml未満)又は数μg/g含有レベル(10μg/g未満))をいう。

0019

以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のミルク感が増強された飲食品は、煮干し高圧CO2抽出エキスと、乳および/又は乳製品とを含有する。

0020

本発明において用いられる煮干しは原料であり、マイワシカタクチイワシウルメイワシキビナゴアジサバトビウオレンコ鯛およびそれらの稚魚などを原料として用いた煮干しのことをいう。煮干し原料としては、好ましくはマイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシ、マアジが用いられ、さらに好ましくはマイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシが用いられる。特に好ましくはカタクチイワシが用いられる。また、煮干しは頭及び内臓を除去したものを用いてもよい。

0021

本発明において用いられる抽出溶媒としては、CO2が用いられる。CO2は、超臨界流体あるいは液体であってよく、好ましくは超臨界流体である。また、抽出溶媒に、水、アルコールケトンなどのエントレーナ(相溶剤)を添加してもよい。

0022

本発明において用いられる抽出(あるいは抽出方法)としては、高圧CO2による抽出が用いられ、好ましくは超臨界CO2による抽出又は亜臨界CO2による抽出が用いられ、さらに好ましくは超臨界CO2による抽出が用いられる。

0023

ここで、図1に示すように、物質固有臨界温度臨界圧力を超えた領域の状態を超臨界流体といい、CO2の場合には臨界温度(31.1℃)以上の温度で、圧力が臨界圧力(7.38MPa)を超えると超臨界CO2の状態となる。超臨界CO2は液体に似た性質を持ち、物質を溶解できるようになる。この超臨界CO2を利用して煮干しに内在する香味成分を抽出するのが、超臨界CO2による抽出である。また、図1臨界点に至らずとも、液体状態となっているCO2は亜臨界CO2の状態となることがあり、本願発明においては煮干しを亜臨界CO2により抽出することも含まれる。さらに、図1に示すようにCO2に所定温度で圧力をかけて液体状態とした高圧CO2による抽出により煮干しより香気成分を抽出することもできる。

0024

図2には、高圧CO2抽出による抽出工程を示す一例として、貫流方式の抽出プロセス圧力変化法により天然原料(煮干し)の抽出を行なうフロー図である。 装置は図2に示すように、CO2貯蔵タンク加圧ポンプ抽出槽抽出器)、分離層分離機)、回収工程からなる。
分離器による分離工程では圧力調節弁により減圧されたCO2が液体、超臨界状態から気体に変化し抽出物から除かれる。

0025

抽出工程では、抽出槽(抽出器)に天然原料(煮干し)を充填し、加圧ポンプと熱交換器により加圧、加温されたCO2により天然原料中の香味成分を溶解する。次いで、香味成分を含んだCO2は減圧することにより密度を低下させ分離槽にて香味成分を分離する。回収されたCO2は吸着器図2中、CO2精製吸着器で示す)により精製される。
本発明の煮干し高圧CO2抽出エキスの製造における抽出条件としては、10〜80℃の温度で、かつ7〜80MPaの圧力とするとよく、好ましくは35〜60℃で、かつ10〜50MPaとするとよい。

0026

本発明において用いられる抽出エキスとしては、超臨界CO2抽出された粗抽出物または粗抽出物を遠心精製および/又は濾過を行ったニボシエキストラクトであってよい。また、粗抽出物または粗抽出物を遠心精製および/又は濾過を行って得られたニボシエキストラクトに、食用油脂含水アルコール乳化剤および/又は安定剤等を用いて製剤化したニボシエキス製剤であってもよい。さらに、ニボシエキストラクトを糖類や澱粉等の賦形剤吸着させ、あるいは乳化剤等を使用し乳化後に噴霧乾燥させた、ニボシエキスパウダーであってもよい。また、ニボシエキストラクトをさらに精製した精製エキスを用いてもよい。

0027

これらの抽出エキス中、本願発明の効果を奏する有効成分を突き止めることができればより効果的な飲食品を得ることができると考えられるが、煮干しは多くの成分からなっており、それらの抽出成分は通常の化学分析等の手段により明確にすることは困難である。殊に本発明における「ミルク感が増強された飲食品」は、添加物に内在する香気成分によりミルク感が増強されるものであることから、単一成分なのか複数成分なのか、あるいはそれらの複合体によるものなのかを確認することは極めて困難である。例えばクロマトグラフィーによる分析を行なったとしても多くのピーク単独物質や複数成分が混じったピーク)が現出し、有効成分である物質の同定は困難を極めることがある。このため、原料である煮干しと抽出工程を明示することで、有効成分を含み、本願発明の効果を奏する成分を把握でき、またこのような記載によってしか現時点では把握できない。

0028

上記の通り、本発明の飲食品用組成物は、ミルク感が増強された飲食品の製造に用いられる組成物であって、煮干しを高圧CO2で抽出して得たエキスである。このエキスの詳しい成分は上記の通り分析することは困難であるが、煮干しを高圧CO2抽出により得られるものである。このエキス、すなわち飲食品用組成物を単独で、流通させることができる。具体的には、本発明のミルク感が増強された飲食品を製造するにあたり、飲食品の製造工場食堂売店などの流通過程、あるいは一般家庭において、対象飲食品に添加、混合することでミルク感が増強された飲食品を製造することができる。組成物の流通形態は香味成分が安定して保存されておれば特に制限されず、乾燥して固体状態としたり、他の賦形剤と混合したペースト状にすることもできる。この際に用いられる添加剤、賦形剤等は、公知のものを任意に使用することができる。また、この飲食品用組成物は乳系フレーバーを含む乳系フレーバー組成物であってよい。

0029

本発明において、ミルク感とは、生乳、乳加工品独特の香気、風味、厚み、コク味や、バター・チーズ等の乳製品独特の、乳様の香気、発酵感塩味感、厚み、コク味等が挙げられる。

0030

本発明における、煮干し高圧CO2抽出エキスを添加する対象物としては、生乳、乳および脱脂粉乳などの乳加工品を含む飲食品や、バター・チーズ等の乳製品を含む飲食品が挙げられる。また、ミルク、バター、チーズ等の香気香味を有する乳系フレーバーや、それらを含む組成物も挙げることができる。

0031

本発明の飲食品として乳、乳製品、清涼飲料、加工乳飲料、コーヒーホワイトナー、菓子、冷菓調味料マーガリン冷凍食品レトルト食品缶詰などが挙げられる。たとえば、本発明でいう清涼飲料としては、果汁入り清涼飲料、炭酸入り清涼飲料などが挙げられ、嗜好飲料としては、コーヒー飲料茶飲料などが挙げられ、菓子としては、パン類チョコレート焼き菓子キャンデーガム和菓子洋生菓子、洋乾菓子、米菓、油菓、スナック菓子が挙げられ、冷菓としてはアイスクリーム氷菓類が挙げられ、調味料としては、マヨネーズソースドレッシングシーズニングオイルシーズニングパウダーなどが挙げられる。

0032

本発明において、乳系フレーバー組成物とは、例えば乳または乳製品様の香味を有するフレーバー組成物であってよいが、乳系フレーバー組成物は公知の[日本香料工業会刊、平成12年度厚生科学研究報告書、日本における食品香料化合物の使用実態調査]に記載の香料化合物を使用することもできる。

0033

本発明における、飲食品への煮干し高圧CO2抽出エキスの添加量としては、超臨界CO2抽出して得たエキスを含むミルク感が増強された乳系フレーバー組成物の場合と、煮干し高圧CO2抽出エキスが添加されたミルク感が増強された飲食品の場合とで、条件を調整することが望ましい。

0034

飲食品用組成物の場合には、煮干し高圧CO2抽出エキス中のニボシエキストラクト量として0.1〜1000ppmとなるように添加するとよい。1000ppmを超える量を添加すると、煮干し風味および魚臭さが出てしまうことがあるため、好ましくないことがある。
添加対象が飲食品である場合は1ppm以上100ppm以下がさらに好ましい。添加対象が乳系フレーバー組成物である場合、5ppm以上1000ppm以下が好ましく、10ppm以上800ppm以下がさらに好ましく、最も好ましくは50ppm以上500ppm以下である。

発明の効果

0035

本発明により、原料として乳由来の素材を用いることのない、飲食品のミルク感増強方法、またはミルク感の増強された飲食品の製造方法を提供することができる。また、バターなどの乳製品の風味増強方法も提供することができる。さらに、ミルク感が増強された乳系フレーバー組成物を提供することができる。
これにより、乳および乳製品の原料費の低減や、今まで製造上の問題で乳を多く配合することができずミルク風味が薄かった製品や、製造工程でミルク感が失われていた製品についても、満足の得られるミルク感を付与することができるようになるという効果を奏する。また、本発明のミルク感が増強されたフレーバー等組成物を使用することで、アレルギーや乳糖不耐症の患者でも問題なくミルク感が十分に楽しめることができる。

図面の簡単な説明

0036

流体の状態図と亜臨界CO2および超臨界CO2の意味に関し説明する図である。
超臨界CO2抽出による煮干しの抽出工程を示す概略フロー図である。

0037

以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこの実施例により限定して解釈されるものではない。
煮干し抽出エキスの抽出原料として、カタクチイワシが原料である煮干しを、5mmメッシュサイズに粉砕したものを用いた。

0038

実施例1:煮干し超臨界CO2抽出エキス製造
煮干し1kgを抽出槽(5.8L)、分離槽(3.8L)に仕込み、圧力25MPa、温度40℃の超臨界CO2を連続的に4時間供給して抽出を行った。超臨界CO2は、原料である煮干しに対して24倍容量使用した。得られた抽出物含有超臨界CO2は、圧力5MPa、温度25度の分離槽(分離器)に移し、全量を回収した。

0039

回収された粗抽出物を遠心処理した後、250μmメッシュサイズでろ過、不溶性固形分を除去し、ニボシエキストラクトを50g得た。
また、抽出後の煮干し残渣については、残渣に対し5重量部の60%含水エタノール(水40容量+アルコール60容量)を添加、残渣エキスを抽出し、ニボシ残渣エキスを得た。

0040

実施例2:牛乳における効果の検証
実施例1で得られたニボシエキストラクトに60%含水エタノールを20重量部添加・混合し、水溶性のニボシエキス製剤を製造した。
市販の牛乳100gに、この製造したニボシエキス製剤を、ニボシエキストラクト換算にて0.1ppm、1ppm、5ppm、50ppm、100ppmになるように、それぞれ添加、混合して、実験例1ないし5を作成した。さらに、ニボシ残渣エキスを100ppmになるように添加し、実験例6を作成した。また、ニボシエキス製剤を添加しない比較実験例1も用意した。

0041

これらの牛乳について、訓練されたパネル10名により、比較実験例と比べた際の全体的な風味およびコク味について官能評価を行ない、その結果を表1に示す。表1において、パネルの平均的な風味評価については次の通り、◎、○、△、×の4段階で表記した。
◎は乳風味およびコク味が大幅に増強されていたことを示す。
○は乳風味およびコク味が増強されていたことを示す。
△は比較実験例による品と比べ変わりがなかったことを示す。
×は比較実験例による品より劣っていたことを示す。
−は比較実験例として実験例の対照品としたことを示す。

0042

0043

以上の結果より、実験例1〜5に示すように、ニボシエキストラクトは牛乳の乳風味すなわちミルク感およびコク味を増強させる効果があり、その添加量の増加と共に効果が増強されることが示された。なお、実験例5ではニボシエキストラクトとしての元来の風味が強まったものと思われる。また、実験例6に示すように、ニボシ残渣エキスを添加するとミルク感は増強されず、むしろ煮干しの魚臭さが強まり好ましいものではなかった。

0044

実施例3:バターにおける効果の検証
さらに、バターにおける効果について検討した。市販バター(有塩)100gを湯煎で溶かし、実施例1で得られたニボシエキストラクトを0.1ppm、1ppm、5ppm、50ppm、100ppmになるように、それぞれ添加、混合し、実験例7ないし11を製造した。また、ニボシエキストラクトを添加しない比較実験例2も用意した。

0045

これらのバターについて、実施例2と同様の評価にて、訓練されたパネル10名で官能試験を行った。結果を表2に示す。

0046

0047

以上の結果より、実験例7〜11に示すように、ニボシエキストラクトはバターの乳風味すなわちミルク感およびコク味を増強させる効果があり、その添加量の増加と共に効果が増強されることが示された。なお、実験例11ではニボシエキストラクトとしての元来の風味が強まったものと思われる。

0048

実施例4:原料変更による効果の検証
原料をカタクチイワシに代えて、アジ又はサバである煮干しを用い、実施例1と同様にしてアジニボシエキストラクトおよびサバニボシエキストラクトを得た。得られた各エキストラクトを100ppmになるように、それぞれ添加、混合し、実験例14ないし16を製造した。また、各エキストラクトを添加しない比較実験例3も用意した。

0049

これらの牛乳について、実施例2と同様の評価にて、牛乳におけるミルク感増強試験(訓練されたパネル10名で官能試験)を行った。結果を表3に示す。

0050

0051

以上の結果より、実験例14に示すように、原料にイワシ煮干しを用いたエキストラクトにおいては、牛乳の乳風味すなわちミルク感およびコク味を増強させる効果があることが示された。これに対し実験例12および13では、原料にアジおよびサバニボシを用いたアジニボシエキストラクトおよびサバニボシエキストラクトにおいては、魚の生臭みが出てしまい、ミルク感増強効果が得られなかった。

0052

実施例5:フレーバーへの添加効果検証1
下記表4の処方に従い、定法によって混合し、バターフレーバー(比較実験例4)を調整した。

0053

0054

上記比較実験例4に、実施例1で得られたニボシエキストラクトを1ppm、10ppm、100ppm、500ppm、1000ppm、10000ppmになるように、それぞれ添加、混合し、実験例15ないし20を製造した。
比較実験例4と実験例15ないし20について、食用油脂に0.1%となるように添加し、実施例2と同様の評価にて、訓練されたパネル10名で官能試験を行った。その結果を表5に示す。

0055

0056

以上の結果より、実験例15〜20に示すように、ニボシエキストラクトをバターフレーバーに添加することで、バターライクな乳風味および香りの厚みを増強させる効果があり、その添加量の増加と共に効果が増強されることが示された。なお、実験例20ではニボシエキストラクトとしての元来の風味が強まったものと思われる。

0057

実施例6:フレーバーへの添加効果検証2
下記表6の処方に従い、定法によって混合し、チーズフレーバー(比較実験例5)を調整した。

0058

0059

上記比較実験例5に、実施例1で得られたニボシエキストラクトを1ppm、10ppm、100ppm、500ppm、1000ppm、10000ppmになるように、それぞれ添加、混合し、実験例21ないし26を製造した。
比較実験例5と実験例21ないし26について、食用油脂に0.1%となるように添加し、実施例2と同様の評価にて、訓練されたパネル10名で官能試験を行った。その結果を表7に示す。

0060

0061

以上の結果より、実験例21〜26に示すように、ニボシエキストラクトをチーズフレーバーに添加することで、チーズライクな乳風味およびチーズ独特の発酵感を増強させる効果があり、その添加量の増加と共に効果が増強されることが示された。なお、実験例26ではニボシエキストラクトとしての元来の風味が強まったものと思われる。

0062

実施例7:豆菓子におけるニボシエキストラクト添加フレーバー効果の検証
市販の豆菓子(バター不使用、比較実験例6)に対し、実施例5の表4の通りに製造したバターフレーバーを0.1%(w/w)になるように添加した(比較実験例7)。このようにして製造されたバターフレーバー豆菓子100gに対し、実施例1で得られたニボシエキストラクトを0.1ppm、1ppm、5ppm、50ppm、100ppmになるように、それぞれ添加、混合し、実験例27ないし31を製造した。

0063

製造した比較実験例6、比較実験例7および実験例27ないし31について、実施例2と同様の評価にて、訓練されたパネル10名で官能試験を行った。結果を表8に示す。

0064

0065

以上の結果より、実験例27〜31に示すように、ニボシエキストラクトをバターフレーバーのみ添加しておりバターを全く使用していない豆菓子に添加することで、バターの風味や厚みを増強させる効果があり、その添加量の増加と共に効果が増強されることが示された。また、ミルク感のみならず、バター特有の塩味感も増強されていた。なお、実験例31ではニボシエキストラクトとしての元来の風味が強まったものと思われる。

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