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技術 熱処理小麦粉の製造方法及びベーカリー食品用ミックスの製造方法

出願人 日清フーズ株式会社
発明者 福田真人福留真一田上祐二榊原通宏
出願日 2016年3月28日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-064371
公開日 2017年10月5日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-175954
状態 特許登録済
技術分野 ベイカリー製品及びその製造方法 穀類誘導製品
主要キーワード 移送路内 粉体移送装置 バームクーヘン 押出具 冷蔵保管後 衝撃式粉砕 製造結果 劣化耐性
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年10月5日)のものです。
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課題

食感の経時的な劣化が起こり難いベーカリー食品を製造可能で、該ベーカリー食品を効率良く製造し得る熱処理小麦粉及びベーカリー食品用ミックスを提供すること。

解決手段

本発明の熱処理小麦粉の製造方法は、小麦粉と、オリゴ糖及び糖アルコールからなる群から選択される1種以上の糖質とを混合し、その混合物湿熱処理を施す工程を有する。オリゴ糖としては、スクロースラクトーストレハロースマルトース及びマルトトリオースからなる群から選択される1種以上が好ましく、糖アルコールとしては、エリトリトールラクチトールマルチトールマンニトールソルビトール及びキシリトールからなる群から選択される1種以上が好ましい。

概要

背景

従来、小麦粉に含まれる夾雑蛋白質や酵素失活させて製パン適性等の二次加工特性を改良する目的で、小麦粉を加熱処理することが知られている。しかしながら、小麦粉の加熱処理は、加熱条件によっては小麦粉の二次加工特性に有益な効果を有するグルテン等の小麦蛋白質変性させてしまうため、却って二次加工特性を損なうおそれがある。斯かる小麦粉の加熱処理の課題の解決を図った技術に関し、例えば特許文献1には、パン類の製造において、小麦粉を品温100〜155℃で5〜350秒間湿熱処理してなる、熱処理小麦粉を用い、該熱処理小麦粉を小麦粉の全量に対して4〜17質量%添加することが記載されている。特許文献1記載のパン類の製造方法によれば、パン類の製造に使用した際に、生地の弾力と伸展性バランスが非常に良い優れた作業性を示し、ソフトで口溶けの良い優れた食感を示すパン類が得られるとされている。

また特許文献2には、電子レンジ加熱耐性を有するホットケーキ用熱処理小麦粉として、中力粉及び/又は薄力粉を75〜85℃の条件下で5〜15分間間接加熱して得られる熱処理小麦粉が記載されている。この間接加熱は、熱伝導障壁を介して加熱媒体である蒸気又は加圧熱水で加熱する方式であり、特許文献2の〔0006〕には、間接加熱方式の具体例としてプレート式チューブ式が挙げられ、また実施例では、ジャケットリボンミキサーによる加熱方式が採用されている。

概要

食感の経時的な劣化が起こり難いベーカリー食品を製造可能で、該ベーカリー食品を効率良く製造し得る熱処理小麦粉及びベーカリー食品用ミックスを提供すること。本発明の熱処理小麦粉の製造方法は、小麦粉と、オリゴ糖及び糖アルコールからなる群から選択される1種以上の糖質とを混合し、その混合物に湿熱処理を施す工程を有する。オリゴ糖としては、スクロースラクトーストレハロースマルトース及びマルトトリオースからなる群から選択される1種以上が好ましく、糖アルコールとしては、エリトリトールラクチトールマルチトールマンニトールソルビトール及びキシリトールからなる群から選択される1種以上が好ましい。なし

目的

本発明の課題は、食感の経時的な劣化が起こり難いベーカリー食品を製造可能で、該ベーカリー食品を効率良く製造し得る熱処理小麦粉及びベーカリー食品用ミックスを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

小麦粉と、オリゴ糖及び糖アルコールからなる群から選択される1種以上の糖質とを混合し、その混合物湿熱処理を施す工程を有する熱処理小麦粉の製造方法。

請求項2

前記オリゴ糖は、スクロースラクトーストレハロースマルトース及びマルトトリオースからなる群から選択される1種以上である請求項1に記載の熱処理小麦粉の製造方法。

請求項3

前記糖アルコールは、エリトリトールラクチトールマルチトールマンニトールソルビトール及びキシリトールからなる群から選択される1種以上である請求項1又は2に記載の熱処理小麦粉の製造方法。

請求項4

小麦粉と混合する前記糖質の量は、該小麦粉に対して1〜10質量%である請求項1〜3の何れか1項に記載の熱処理小麦粉の製造方法。

請求項5

前記湿熱処理は、前記混合物に加水したものを雰囲気温度100〜120℃の密閉容器内に3〜60秒間収容する処理であり、その加水量は、該混合物に対して5〜20質量%である請求項1〜4の何れか1項に記載の熱処理小麦粉の製造方法。

請求項6

前記湿熱処理後に前記混合物の粒径を200μm以下に調整する工程を有する請求項1〜5の何れか1項に記載の熱処理小麦粉の製造方法。

請求項7

請求項1〜6の何れか1項に記載の製造方法によって製造された熱処理小麦粉を含むベーカリー食品ミックスの製造方法であって、該ミックス中の全小麦粉に占める該熱処理小麦粉の割合を5〜30質量%に調整するベーカリー食品用ミックスの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、パンケーキ類等のベーカリー食品の製造に用いられる熱処理小麦粉及びそれを利用したベーカリー食品用ミックスに関する。

背景技術

0002

従来、小麦粉に含まれる夾雑蛋白質や酵素失活させて製パン適性等の二次加工特性を改良する目的で、小麦粉を加熱処理することが知られている。しかしながら、小麦粉の加熱処理は、加熱条件によっては小麦粉の二次加工特性に有益な効果を有するグルテン等の小麦蛋白質変性させてしまうため、却って二次加工特性を損なうおそれがある。斯かる小麦粉の加熱処理の課題の解決を図った技術に関し、例えば特許文献1には、パン類の製造において、小麦粉を品温100〜155℃で5〜350秒間湿熱処理してなる、熱処理小麦粉を用い、該熱処理小麦粉を小麦粉の全量に対して4〜17質量%添加することが記載されている。特許文献1記載のパン類の製造方法によれば、パン類の製造に使用した際に、生地の弾力と伸展性バランスが非常に良い優れた作業性を示し、ソフトで口溶けの良い優れた食感を示すパン類が得られるとされている。

0003

また特許文献2には、電子レンジ加熱耐性を有するホットケーキ用熱処理小麦粉として、中力粉及び/又は薄力粉を75〜85℃の条件下で5〜15分間間接加熱して得られる熱処理小麦粉が記載されている。この間接加熱は、熱伝導障壁を介して加熱媒体である蒸気又は加圧熱水で加熱する方式であり、特許文献2の〔0006〕には、間接加熱方式の具体例としてプレート式チューブ式が挙げられ、また実施例では、ジャケットリボンミキサーによる加熱方式が採用されている。

先行技術

0004

特開2014−50367号公報
特開2001−346503号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明の課題は、食感の経時的な劣化が起こり難いベーカリー食品を製造可能で、該ベーカリー食品を効率良く製造し得る熱処理小麦粉及びベーカリー食品用ミックスを提供することに関する。

課題を解決するための手段

0006

本発明は、小麦粉と、オリゴ糖及び糖アルコールからなる群から選択される1種以上の糖質とを混合し、その混合物に湿熱処理を施す工程を有する熱処理小麦粉の製造方法である。

0007

また本発明は、前記の本発明の熱処理小麦粉の製造方法によって製造された熱処理小麦粉を含むベーカリー食品用ミックスの製造方法であって、該ミックス中の全小麦粉に占める該熱処理小麦粉の割合を5〜30質量%に調整するベーカリー食品用ミックスの製造方法である。

発明の効果

0008

本発明によれば、しっとりもっちりした食感を有し、且つ食感の経時的な劣化が起こり難く、例えば、製造後に一日間冷蔵保管した後でも、製造直後のしっとりもっちりした食感を維持し得るベーカリー食品が得られる。

0009

本発明の熱処理小麦粉の製造方法は、小麦粉と、オリゴ糖及び糖アルコールからなる群から選択される1種以上の糖質を混合し、その小麦粉と糖質との混合物に湿熱処理を施す工程を有する。本発明の主たる特徴の1つは、小麦粉に対しオリゴ糖及び/又は糖アルコールの存在下で湿熱処理を施す点にある。斯かる特徴的な湿熱処理により、小麦粉のみに湿熱処理を施す従来法に比して、その処理済みの小麦粉を用いて得られるベーカリー食品の食感が、しっとりもっちりした独特の食感となり、且つ食感の経時的な劣化耐性を向上させることが可能となる。

0010

本発明で用いる小麦粉としては、ベーカリー食品に従来用いられているものを特に制限なく用いることができ、例えば、強力粉準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦粉等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、本発明で用いる小麦粉のアミロースアミロペクチン比は特に定めるものではない。

0011

本発明で糖質として使用可能なオリゴ糖としては、例えば、スクロースラクトーストレハロースマルトース等の二糖類マルトトリオースラフィノースパノース等の三糖類;ニゲロテトラオース、ニストーススタキオース等の四糖類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのオリゴ糖の中でも特に、スクロース、ラクトース、トレハロース、マルトース及びマルトトリオースが好ましい。

0012

本発明で糖質として使用可能な糖アルコールとしては、糖のカルボニル基還元してアルコール基としたもので、植物、動物微生物由来物質又はそれらを加工若しくは化学修飾した物質を広く用いることができ、具体的には例えば、エリトリトールラクチトールマルチトールマンニトールソルビトールキシリトール還元パラチノース、還元キシロオリゴ糖等が挙げられ、これらの糖質の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの糖アルコールの中でも特に、エリトリトール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール及びキシリトールが好ましい。

0013

小麦粉と混合する糖質(オリゴ糖、糖アルコール)の量は、小麦粉に対して、好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。糖質の対小麦粉換算での添加量が少なすぎると、糖質を使用する意義に乏しく、逆に多すぎると、糖質に期待される効果、特にベーカリー食品の食感の劣化耐性向上効果が頭打ちになる傾向があり、また、メイラード反応による着色や、焙煎臭が生じることにより、品質の悪化に繋がるおそれがある。

0014

本発明の熱処理小麦粉の製造方法においては、小麦粉と糖質との混合物に湿熱処理を施す。尚、小麦粉と糖質との混合時期は、湿熱処理前であれば良く、特に制限されない。通常は、湿熱処理の直前に小麦粉と糖質とを混合する。

0015

本発明に係る湿熱処理は、処理対象(前記混合物)の水分を維持しながら、又は処理対象に水分を加えながら、処理対象を加熱する処理である。処理対象に加える水分としては、水、水蒸気を用いることができ、水蒸気としては飽和水蒸気が好ましく用いられる。湿熱処理における加熱方法は特に制限されず、例えば、熱風などの熱媒体を処理対象に直接接触させる方法、処理対象を高湿度雰囲気下において間接的に加熱する方法が挙げられる。湿熱処理の実施装置は特に制限されず、例えば、オートクレーブスチームオーブン、一軸又は二軸エクストルーダーが挙げられる。

0016

本発明に係る湿熱処理において、処理対象(前記混合物)に加水する場合、その加水方法は特に制限されず、処理対象に直接水を添加する方法の他、例えば、処理対象が収容された密閉容器内に飽和水蒸気を導入する方法が挙げられる。前記混合物への加水量は、該混合物に対して、好ましくは5〜20質量%、更に好ましくは5〜15質量%である。

0017

本発明に係る湿熱処理の好ましい一例として、処理対象(前記混合物)に加水したものを雰囲気温度100〜120℃の密閉容器内に3〜60秒間収容する処理が挙げられる。ここでいう「雰囲気温度」は、密閉容器内の空間の気温であり、密閉容器内の処理対象の温度即ち品温ではない。湿熱処理において、雰囲気温度が低すぎる、又は所定の雰囲気温度を維持する時間即ち湿熱処理時間が短すぎると、湿熱処理を経て得られた熱処理小麦粉を用いたベーカリー食品の食感の改善効果が十分に得られないおそれがあり、逆に、雰囲気温度が高すぎる、又は湿熱処理時間が長すぎると、処理対象が焦げる等の不都合が生じるおそれがある。前記の好ましい湿熱処理において、密閉容器内の雰囲気温度は好ましくは105〜115℃である。

0018

前記の好ましい湿熱処理の一例として、処理対象(前記混合物)に加水したものをアルミパウチ等の密閉容器に封入密閉し、加圧下で加熱する処理が挙げられる。また、前記の好ましい湿熱処理の他の一例として、処理対象に加水したものを密閉容器内に導入した後、必要に応じて該処理対象を攪拌しつつ、該容器内に飽和水蒸気を導入して加圧下で加熱する処理が挙げられる。尚、湿熱処理における「加圧下」は、主として容器内に充満する蒸気によって加圧状態となった場合を意味し、押出具(エクストルーダーが備えるスクリューに相当する部材)のような物体を処理対象に接触させることによって該処理対象を加圧状態とした場合は含まない。

0019

前記の密閉容器内に飽和水蒸気を導入する湿熱処理は、例えば、攪拌移送機構を備え且つジャケット等の加温手段で加温された連続粉体移送装置密封高速撹拌機ともいう)を用い、且つ該連続粉体移送装置に処理対象(前記混合物)を連続的に導入して攪拌移送しながら、該装置内に飽和水蒸気を導入して所望の雰囲気温度に設定し、その状態で該処理対象を所望の時間攪拌することによって実施し得る。この連続粉体移送装置は、導入された処理対象を排出口まで移送する移送路と、該移送路内に飽和水蒸気を導入する機構とを備え、該移送路内に、処理対象の移送方向に延びる撹拌軸と該撹拌軸の周囲に螺旋状に植設された撹拌羽根とを含んで構成される攪拌機が設けられ、該攪拌機によって該移送路内の処理対象を撹拌可能になされている。この撹拌機は、あくまで前記移送路内の処理対象を撹拌するための部材であって、処理対象を前記排出口へ押し出すための押出具ではなく、前記連続粉体移送装置は、そのような押出具(エクストルーダーが備えるスクリューに相当する部材)は備えていない。

0020

尚、本発明の熱処理小麦粉の製造方法においては、湿熱処理が施された前記混合物に対して乾燥処理を施しても良い。この乾燥処理は、例えば熱風を利用した直接的な乾燥であり、具体的には乾燥、熱風乾燥流動層乾燥等が挙げられる。

0021

湿熱処理が施され、さらに必要に応じ乾燥処理が施された前記混合物は、本発明の製造目的物である熱処理小麦粉である。この熱処理小麦粉の粒径は、好ましくは500μm以下、さらに好ましくは200μm以下である。ここでいう「粒径」は、動的光散乱法を用いて乾式測定した粒子径分布メジアン径を意味する。後述する実施例からも明らかなように、熱処理小麦粉の粒径が200μm以下であると、二次加工性がより一層向上し、また、これを用いて得られるベーカリー食品の食感がより一層向上し得る。熱処理小麦粉の粒径は小さいほど好ましく、前記の粒径の好ましい範囲に下限値は特に無い。熱処理小麦粉中における粒径200μm以下の画分の割合は、好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは80〜100質量%である。

0022

湿熱処理の完了時点あるいはその後の乾燥処理の完了時点で、得られた熱処理小麦粉の粒径が大きすぎる場合は、その熱処理小麦粉に粉砕処理を施すことによって、その粒径を所望の範囲、例えば200μm以下に調整することができる。粉砕処理の方法は特に制限されず公知の方法を用いることができ、例えば、ロール式粉砕衝撃式粉砕気流式粉砕、ピンミル式粉砕等が挙げられ、これらの1つを単独で又は2つ以上を組み合わせて用いることができる。

0023

本発明の製造結果物たる熱処理小麦粉は、適宜二次加工して種々の食品用途に用いることができる。熱処理小麦粉の代表的な用途としてベーカリー食品が挙げられる。本発明でいうベーカリー食品は、穀粉主原料とし、これに必要に応じてイースト膨張剤ベーキングパウダー等)、水、食塩砂糖等の副原料を加えて得られた発酵又は非発酵生地を、焼成、蒸し、フライ等の加熱処理に供して得られる食品をいう。本発明が適用可能なベーカリー食品の例としては、パン類;ケーキ類ワッフルシュービスケット等の焼き菓子ドーナツ等の揚げ菓子等が挙げられる。パン類としては、食パン(例えばロールパン、白パン、黒パン、フランスパン乾パンコッペパンクロワッサン等)、調理パン菓子パン、蒸しパン等が挙げられる。ケーキ類としては、スポンジケーキバターケーキロールケーキ、ホットケーキ、ブッセ、バームクーヘンパウンドケーキチーズケーキスナックケーキ、マフィン、バー、クッキー、パンケーキ等が挙げられる。

0024

本発明の製造結果物たる熱処理小麦粉は、ベーカリー食品用ミックスの原料として用いることができる。ベーカリー食品用ミックスは、小麦粉等の穀粉を含む、常温常圧下で粉体のものであり、これに加水し混捏して生地を調製し、その生地を加熱することで、ベーカリー食品が得られる。

0025

本発明のベーカリー食品用ミックスの製造方法は、前述した本発明の製造結果物たる熱処理小麦粉と、該熱処理小麦粉以外の小麦粉とを混合する工程を有し、該ミックス中の全小麦粉に占める該熱処理小麦粉の割合を、好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは10〜20質量%に調整する。ミックス中の熱処理小麦粉の割合が少なすぎると、経時変化耐性の付与や食感の改善効果が十分に得られないおそれがあり、熱処理小麦粉の割合が多すぎると、二次加工性が悪化するおそれがある。

0026

ベーカリー食品用ミックスには、本発明の製造結果物たる熱処理小麦粉以外の穀粉として、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦粉等の小麦粉の他、ライ麦粉大麦粉、そば粉米粉豆粉コーンフラワー等の1種以上が含まれていても良い。また、ベーカリー食品用ミックスには、穀粉以外の副原料として、例えば、馬鈴薯澱粉コーンスターチワキシースターチ小麦澱粉、及びこれらにα化、エーテル化エステル化架橋酸化等の処理を施した加工澱粉炭酸水素ナトリウム重曹)、ベーキングパウダー、炭酸アンモニウム炭酸水素アンモニウム塩化アンモニウム等の膨張剤あるいはイースト;サラダ油等の油脂類;砂糖等の糖類;全卵白卵黄等の卵類牛乳脱脂粉乳バター等の乳製品;食塩等の塩類乳化剤増粘剤酸味料香料香辛料着色料果汁果実ビタミン類等の添加物の1種以上が含まれていても良い。

0027

以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例により制限されるものではない。

0028

〔実施例1〜12〕
薄力粉(日清製粉株式会社製、商品名「フラワー」)に、糖質及び水をそれぞれ所定量添加して混合物を得、該混合物を密閉容器としての前記連続粉体移送装置の収容空間に収容し、該収容空間に飽和水蒸気を連続的に導入して該混合物を撹拌しつつ、所定の雰囲気温度で所定時間湿熱処理を行い、熱処理小麦粉を得た。湿熱処理後、棚乾燥を用いて熱処理小麦粉を乾燥処理した後、必要に応じ、粉砕機を用いて熱処理小麦粉を粉砕して粒径を調整した。製造方法の詳細を下記表1に示す。糖質として用いたオリゴ糖は、マルトトリオース(群栄化学工業(株)製、商品名「ピュアトースP」)又はトレハロース((株)林原製、商品名「トレハ」)であった。

0029

〔比較例1〕
糖質を用いなかった以外は実施例2と同様にして、熱処理小麦粉を製造した。

0030

〔比較例2及び3〕
湿熱処理を行わなかった以外は実施例6又は7と同様にして、熱処理小麦粉を製造した。

0031

尚、下記表1では、各実施例をI〜IVの4つのグループに分けているところ、グループIは、糖質の配合量及び種類を適宜変化させた例であり、グループIIは、加水量を適宜変化させた例であり、グループIIIは、湿熱処理における雰囲気温度を適宜変化させた例であり、グループIVは、熱処理小麦粉の粒度分布を適宜変化させた例である。

0032

試験例1〕
各実施例及び比較例の熱処理小麦粉を用いて、下記方法によりベーカリー食品の一種であるパンケーキを製造した。得られたパンケーキを冷蔵庫で1日間保管した後、パンケーキの食感を10人のパネラーに下記評価基準に基づいて評価してもらった。評価結果(パネラー10名の平均点)を下記表1に示す。

0033

〔パンケーキの製造方法〕
ベーカリー食品用ミックスとして、評価対象の熱処理小麦粉を含む下記組成のパンケーキミックス粉を製造した。このミックス粉100gに、水95g及び全卵25gを添加した後、ホイッパーを用いて60秒間撹拌して生地を調製した。ホットプレートの温度を180℃に設定し、調製した生地の一面側を2分間、他面側を1.5分間加熱して、パンケーキを得た。
パンケーキミックス粉の組成:小麦粉40質量部、評価対象の熱処理小麦粉20質量部、澱粉5質量部、糖類25質量部、油脂5質量部、膨張剤5質量部(合計100質量部)

0034

(食感の評価基準)
5点:全体が充分にしっとりもっちりした食感を有する。
4点:しっとりもっちりした食感を有するが、部分的にしっとり感やソフト感欠ける場合がある。
3点:しっとり感やもっちり感を少し感じる。
2点:全体にしっとり感やもっちり感が少なく、部分的にパサつく。
1点:全体に軟らか過ぎるか又はパサつく。

0035

実施例

0036

表1に示す通り、各実施例は各比較例に比して1日冷蔵保管後のパンケーキの食感に優れていた。比較例1は糖質を用いずに小麦粉を湿熱処理している点、比較例2及び3は湿熱処理をしていない点で各実施例と異なっており、そうした相違点がパンケーキの食感に現出していると考えられる。この結果から、食感の経時的な劣化が起こり難いベーカリー食品用ミックスとしては、小麦粉にオリゴ糖又は糖アルコールを加えて湿熱処理して得られた熱処理小麦粉を含むものが有効であることがわかる。
また、表1のグループII内での実施例の対比から、湿熱処理における混合物への加水量としては5〜20質量%程度が好ましいことがわかる。
また、表1のグループIII内での実施例の対比から、湿熱処理における雰囲気温度としては100℃以上が好ましいことがわかる。
また、表1のグループIV内での実施例の対比から、湿熱処理後の混合物即ち熱処理小麦粉においては粒径200μm以下の粒径の割合が高いことが好ましく、少なくとも70質量%程度はあった方が好ましいことがわかる。
尚、表1には掲載していないが、表1のグループIに関連して、ソルビトールの配合量を11質量部とした以外は実施例1と同様に製造された熱処理小麦粉は、褐色を呈し、焙煎臭が比較的強く、品質としては実施例1及び2に劣るものであった。

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