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技術 制御装置

出願人 株式会社SUBARU
発明者 広澤拓也
出願日 2016年3月23日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-059303
公開日 2017年9月28日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2017-172461
状態 特許登録済
技術分野 内燃機関の複合的制御
主要キーワード 歪み度 共有領域内 制御指示値 符号付距離 負荷マップ 多次元マップ 条件分岐処理 比較ブロック
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年9月28日)のものです。
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図面 (11)

課題

マップが複数のマップに分割されている場合に、複雑な条件分岐処理等を要することなく、複数のマップの中から制御上より適切なマップを選択することが可能な制御装置を提供する。

解決手段

制御装置1を構成するECU50は、エンジン10の運転状態を示すパラメータ入力値制御値との関係を定めた複数のマップを予め記憶する記憶部51と、複数のマップそれぞれから、入力値に対する制御値、及び該制御値の誤差を取得する制御値・誤差取得部521と、取得された誤差に基づいて、複数のマップの中から、使用するマップを選択するマップマップ選択部531と、選択されたマップの制御値を、エンジン10の制御値として採用する制御値確定部541とを備える。

概要

背景

車両を駆動する例えばエンジンパワーユニット)の制御では、運転状態(例えば、エンジン回転数吸入空気量、スロットル開度等々)を各種センサで検出し、そのセンサ値入力値)を用いて、予め設定されて記憶されているマップ(センサ値と制御値との関係を定めたマップ(ルックアップテーブル))を検索することにより、エンジンの制御値(例えば、燃料噴射量、点火時期等々)を求める手法が広く用いられている。

ところで、例えば、同一環境下で全運転領域のマップデータ計測(取得)できない場合や、入力値と制御値との関係の非線形性が強い場合など、一つのマップですべての制御値を表現することが困難な場合がある。このような場合に、従来では、一つのマップを複数のマップに分割し、その複数のマップを例えば所定の入力値(パラメータ)に応じて切り替えて使用することが行われている(例えば、特許文献1参照)。

概要

マップが複数のマップに分割されている場合に、複雑な条件分岐処理等を要することなく、複数のマップの中から制御上より適切なマップを選択することが可能な制御装置を提供する。制御装置1を構成するECU50は、エンジン10の運転状態を示すパラメータの入力値と制御値との関係を定めた複数のマップを予め記憶する記憶部51と、複数のマップそれぞれから、入力値に対する制御値、及び該制御値の誤差を取得する制御値・誤差取得部521と、取得された誤差に基づいて、複数のマップの中から、使用するマップを選択するマップマップ選択部531と、選択されたマップの制御値を、エンジン10の制御値として採用する制御値確定部541とを備える。

目的

本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、マップが複数のマップに分割されている場合に、複雑な条件分岐処理等を要することなく、複数のマップの中から制御上より適切なマップを選択することが可能な制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

パワーユニット運転状態を示すパラメータ入力値を取得する検出手段と、入力値と制御値との関係を定めた複数のマップを予め記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている複数のマップそれぞれについて、前記検出手段により取得された入力値に対する制御値、及び該制御値の誤差を取得する誤差取得手段と、前記誤差取得手段により取得された誤差に基づいて、前記複数のマップの中から、使用するマップを選択するマップ選択手段と、前記マップ選択手段により選択されたマップの制御値を、前記パワーユニットの制御値として採用する制御値確定手段と、を備えることを特徴とする制御装置

請求項2

前記誤差は、統計モデルを用いて前記マップを記述した場合における前記制御値のばらつきであることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。

請求項3

前記検出手段は、複数のパラメータの入力値を取得し、前記記憶手段は、複数のパラメータの入力値と一以上の制御値との関係を定めた2次元以上の複数のマップを予め記憶し、前記誤差取得手段は、前記複数のパラメータの入力値に対する制御値、及び該制御値の誤差を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。

請求項4

前記検出手段により取得された入力値と、前記記憶手段に記憶されている複数のマップそれぞれの設定領域の外郭との距離を求める距離取得手段をさらに備え、前記マップ選択手段は、前記誤差が所定値未満の場合には、該誤差に基づいて、前記複数のマップの中から、使用するマップを選択し、前記誤差が前記所定値以上の場合には、前記距離に基づいて、前記複数のマップの中から、使用するマップを選択することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の制御装置。

請求項5

前記検出手段は、複数のパラメータの入力値を取得し、前記記憶手段は、複数のパラメータの入力値と一以上の制御値との関係を定めた2次元以上の複数のマップを予め記憶し、前記距離取得手段は、前記複数のパラメータの入力値と、前記複数のマップそれぞれの設定領域の外郭との距離を求めることを特徴とする請求項4に記載の制御装置。

請求項6

前記距離取得手段は、前記入力値と前記複数のマップそれぞれとの距離を求める際に、前記入力値とマップの設定領域の外郭との距離に、該設定領域の外郭の内側を「−」、該設定領域の外郭の外側を「+」とする符号を付加した、符号付距離を求め、前記マップ選択手段は、前記符号付距離がもっとも小さいマップを選択することを特徴とする請求項4又は5に記載の制御装置。

請求項7

前記距離取得手段は、前記入力値と前記複数のマップそれぞれとの距離を求める際に、前記入力値とマップの設定領域の外郭との距離に、該設定領域の外郭の内側を「+」、該設定領域の外郭の外側を「−」とする符号を付加した、符号付距離を求め、前記マップ選択手段は、前記符号付距離がもっとも大きいマップを選択することを特徴とする請求項4又は5に記載の制御装置。

請求項8

前記複数のマップそれぞれは、前記設定領域の外郭の形状が矩形でないことを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の制御装置。

請求項9

前記複数のマップそれぞれは、前記設定領域の外郭が統計モデルを用いて数式化されていることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の制御装置。

技術分野

0001

本発明は、制御装置に関し、特に、入力値制御値との関係を定めたマップ検索して制御値を求める、パワーユニットの制御装置に関する。

背景技術

0002

車両を駆動する例えばエンジン(パワーユニット)の制御では、運転状態(例えば、エンジン回転数吸入空気量、スロットル開度等々)を各種センサで検出し、そのセンサ値(入力値)を用いて、予め設定されて記憶されているマップ(センサ値と制御値との関係を定めたマップ(ルックアップテーブル))を検索することにより、エンジンの制御値(例えば、燃料噴射量、点火時期等々)を求める手法が広く用いられている。

0003

ところで、例えば、同一環境下で全運転領域のマップデータ計測(取得)できない場合や、入力値と制御値との関係の非線形性が強い場合など、一つのマップですべての制御値を表現することが困難な場合がある。このような場合に、従来では、一つのマップを複数のマップに分割し、その複数のマップを例えば所定の入力値(パラメータ)に応じて切り替えて使用することが行われている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0004

特開平10−109627号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、従来の技術では、一般的に、上下限値でマップの境界画定されているため、境界が矩形(軸と平行)になり、例えば所定の入力値(パラメータ)に基づいて、複数のマップの中から最も適したマップを選択しようとした場合に、最近傍でないマップ、すなわち最適でないマップを選択するおそれがあった。特に、例えば、入力値がマップの設定領域の外郭(境界)の外側に位置する場合や、2以上のマップの共有領域内に位置する場合には、複数のマップの中から、最適なマップを必ずしも選択できるとは限らなかった。

0006

また、近年、排気ガス規制エミッション規制)や燃費向上要求等からエンジンに付加される制御デバイスが増加し、かつ、トレードオフの関係にあるエンジン性能排気ガス、燃費、信頼性等の間の最適な制御値を求める必要から、制御がますます複雑になってきており、上述したマップも、例えば5次元、6次元といったように多次元化されてきている。そのような状況においては、複数のマップの中から一つのマップを選択する際に、マップの選択に複雑な条件分岐処理などが必要になることがあるため、そのような複雑な条件分岐処理などを要することなく、より適切なマップを選択することのできる技術が要望されていた。

0007

本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、マップが複数のマップに分割されている場合に、複雑な条件分岐処理等を要することなく、複数のマップの中から制御上より適切なマップを選択することが可能な制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明に係る制御装置は、パワーユニットの運転状態を示すパラメータの入力値を取得する検出手段と、入力値と制御値との関係を定めた複数のマップを予め記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶されている複数のマップそれぞれについて、検出手段により取得された入力値に対する制御値、及び該制御値の誤差を取得する誤差取得手段と、誤差取得手段により取得された誤差に基づいて、複数のマップの中から、使用するマップを選択するマップ選択手段と、マップ選択手段により選択されたマップの制御値を、パワーユニットの制御値として採用する制御値確定手段とを備えることを特徴とする。

0009

本発明に係る制御装置によれば、複数のマップそれぞれについて、入力値に対する制御値、及び該制御値の誤差が取得され、その誤差に基づいて、使用されるマップが選択される。そのため、例えば、誤差が最も小さい制御値を持つマップを選択することができる。その結果、マップが複数のマップに分割されている場合に、複雑な条件分岐処理等を要することなく、複数のマップの中から制御上より適切なマップを選択することが可能となる。

0010

その際に、上記誤差は、統計モデルを用いてマップを記述した場合における制御値のばらつきであることが好ましい。

0011

この場合、上記誤差が、統計モデルを用いてマップを記述した場合における制御値のばらつき、すなわち、マップを作成する際の測定に含まれるばらつき(測定値の分散や歪み度など)であるため、これらのばらつきを考慮して、複数のマップの中から制御上より適切なマップを選択することが可能となる。また、統計モデルを用いてマップを記述しているため、マップを生成する際のばらつき(測定値の分散や歪み度など)を適切に取り扱うことができる。

0012

本発明に係る制御装置では、検出手段が、複数のパラメータの入力値を取得し、記憶手段が、複数のパラメータの入力値と一以上の制御値との関係を定めた2次元以上の複数のマップを予め記憶し、誤差取得手段が、複数のパラメータの入力値に対する制御値、及び該制御値の誤差を取得することが好ましい。

0013

この場合、複数のパラメータの入力値に対する制御値、及び該制御値の誤差が取得されるため、各マップが2次元以上の多次元マップであったとしても、複雑な条件分岐処理等を要することなく、複数のマップの中から制御上より適切なマップを選択することが可能となる。

0014

本発明に係る制御装置は、検出手段により取得された入力値と、記憶手段に記憶されている複数のマップそれぞれの設定領域の外郭との距離を求める距離取得手段をさらに備え、マップ選択手段が、誤差が所定値未満の場合には、該誤差に基づいて、複数のマップの中から、使用するマップを選択し、誤差が所定値以上の場合には、上記距離に基づいて、複数のマップの中から、使用するマップを選択することが好ましい。

0015

この場合、入力値と複数のマップそれぞれの設定領域の外郭との距離を求める距離取得手段がさらに備えられており、上記誤差が所定値未満の場合には、該誤差に基づいて使用するマップが選択され、誤差が所定値以上の場合には、上記距離に基づいて使用するマップが選択される。そのため、誤差が所定値未満の場合には、例えば、誤差が最も小さい制御値を持つマップを選択することができ、一方、誤差が所定値以上のときには、例えば、入力値が外殻(境界)の内側にある場合には距離がより長いマップを選択し、入力値が外殻の外側にあるときには距離がより短いマップを選択することができる。その結果、マップが複数のマップに分割されている場合に、複雑な条件分岐処理等を要することなく、複数のマップの中から制御上より適切なマップ(最適なマップ)を選択することが可能となる。

0016

特に、本発明に係る制御装置では、検出手段が複数のパラメータの入力値を取得し、記憶手段が、複数のパラメータの入力値と一以上の制御値との関係を定めた2次元以上の複数のマップを予め記憶し、距離取得手段が、複数のパラメータの入力値と、複数のマップそれぞれの設定領域の外郭との距離を求めることが好ましい。

0017

この場合、複数のパラメータの入力値(入力ベクトル)と複数のマップそれぞれの設定領域の外郭(境界)との距離が求められるため、各マップが2次元以上の多次元マップであったとしても、複雑な条件分岐処理等を要することなく、複数のマップの中から制御上より適切なマップを選択することができる。

0018

本発明に係る制御装置では、入力値と複数のマップそれぞれとの距離を求める際に、距離取得手段が、入力値とマップの設定領域の外郭との距離に、該設定領域の外郭の内側を「−」、該設定領域の外郭の外側を「+」とする符号を付加した、符号付距離を求め、マップ選択手段が、符号付距離がもっとも小さいマップを選択することが好ましい。

0019

このようにすれば、制御値の誤差が大きい場合であっても、入力値と各マップの設定領域の外郭との距離(符号付距離)を求めるだけで、複数のマップの中からより適切なマップを選択することができる。

0020

一方、本発明に係る制御装置では、入力値と複数のマップそれぞれとの距離を求める際に、距離取得手段が、入力値とマップの設定領域の外郭との距離に、該設定領域の外郭の内側を「+」、該設定領域の外郭の外側を「−」とする符号を付加した、符号付距離を求め、マップ選択手段が、符号付距離がもっとも大きいマップを選択することも好ましい。

0021

このようにしても、制御値の誤差が大きい場合に、入力値と各マップの設定領域の外郭との距離(符号付距離)を求めるだけで、複数のマップの中からより適切なマップを選択することができる。

0022

本発明に係る制御装置では、上記複数のマップそれぞれの設定領域の外郭の形状が矩形でないことが好ましい。

0023

このようにすれば、複数のマップそれぞれが、設定領域の外郭の形状が矩形でない(すなわち非線形の)マップであっても、複数のマップの中から制御上より好ましいマップを選択することができる。

0024

本発明に係る制御装置では、上記複数のマップそれぞれの設定領域の外郭が統計モデルを用いて数式化されていることが好ましい。

0025

この場合、設定領域の外郭(計測領域の境界)が統計モデル化されているため、各マップの外郭が非線形な形状であったとしても、該外郭を適切に画定することができる。よって、入力値と各マップの設定領域の外郭(境界)との距離を正確に求めることができるため、入力値に最も近いマップを的確に選択することができる。

発明の効果

0026

本発明によれば、マップが複数のマップに分割されている場合に、複雑な条件分岐処理等を要することなく、複数のマップの中から制御上より適切なマップを選択することが可能となる。

図面の簡単な説明

0027

第1実施形態に係る制御装置の構成、及び該制御装置が適用されたエンジンの構成を示す図である。
第1実施形態に係る制御装置が有する、エンジン吸入空気推定量を求める制御モデルの一例を示す図である。
エンジン回転数、スロットル開度、吸気バルブタイミング、及びEGRバルブ開度とエンジン吸入空気推定量との関係を定めたマップ(Boundary Model)の一例を示す図である。
図3に示されたマップの散布図行列とBoundary Modelを示す図である。
2つのマップ(マップA,マップB)それぞれにおける実験計測値と制御値の誤差との関係を説明するための図である
2つのマップ(マップA,マップB)それぞれにおいて、同一の入力値について取得された制御値、及び該制御値に対する誤差の一例を示した図である
第1実施形態に係る制御装置による制御値取得処理(マップ選択処理)の処理手順を示すフローチャートである。
第2実施形態に係る制御装置の構成、及び該制御装置が適用されたエンジンの構成を示す図である。
第2実施形態に係る制御装置が有する、エンジン吸入空気推定量を求める制御モデルの一例を示す図である。
第2実施形態に係る制御装置による制御値取得処理(マップ選択処理)の処理手順を示すフローチャートである。

実施例

0028

以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、特に区別する必要がある場合を除いて、図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。

0029

(第1実施形態)
まず、図1及び図2を併せて用いて、第1実施形態に係る制御装置1の構成について説明する。ここで、図1は、制御装置1の構成、及び制御装置1が適用されたエンジン10の構成を示す図である。また、図2は、制御装置1が有するエンジン吸入空気推定量を求める制御モデルの一例を示す図である。

0030

エンジン10は、例えば水平対向型の4気筒ガソリンエンジンである。また、エンジン10は、シリンダ内(筒内)に燃料直接噴射する筒内噴射式のエンジンである。エンジン10では、エアクリーナ16から吸入された空気が、吸気管15に設けられた電子制御式スロットルバルブ(以下、単に「スロットルバルブ」ともいう)13により絞られ、インテークマニホールド11を通り、エンジン10に形成された各気筒に吸入される。ここで、エアクリーナ16から吸入された空気の量は、エアクリーナ16とスロットルバルブ13との間に配置されたエアフローメータ14により検出される。また、インテークマニホールド11を構成するコレクター部(サージタンク)の内部には、インテークマニホールド11内の圧力(吸気マニホールド圧力)を検出するバキュームセンサ30が配設されている。さらに、スロットルバルブ13には、該スロットルバルブ13の開度を検出するスロットル開度センサ31が配設されている。

0031

シリンダヘッドには、気筒毎に吸気ポート22と排気ポート23とが形成されている(図1では片バンクのみ示した)。各吸気ポート22、排気ポート23それぞれには、該吸気ポート22、排気ポート23を開閉する吸気バルブ24、排気バルブ25が設けられている。吸気バルブ24を駆動する吸気カム軸吸気カムプーリとの間には、吸気カムプーリと吸気カム軸とを相対回動してクランク軸10aに対する吸気カム軸の回転位相変位角)を連続的に変更して、吸気バルブ24のバルブタイミング開閉タイミング)を進遅角する可変バルブタイミング機構26が配設されている。この可変バルブタイミング機構26により吸気バルブ24の開閉タイミングがエンジン運転状態に応じて可変設定される。

0032

同様に、排気カム軸排気カムプーリとの間には、排気カムプーリと排気カム軸とを相対回動してクランク軸10aに対する排気カム軸の回転位相(変位角)を連続的に変更して、排気バルブ25のバルブタイミング(開閉タイミング)を進遅角する可変バルブタイミング機構27が配設されている。この可変バルブタイミング機構27により排気バルブ25の開閉タイミングがエンジン運転状態に応じて可変設定される。

0033

エンジン10の各気筒には、シリンダ内に燃料を噴射するインジェクタ12が取り付けられている。インジェクタ12は、高圧燃料ポンプ(図示省略)により加圧された燃料を各気筒の燃焼室内へ直接噴射する。

0034

また、各気筒のシリンダヘッドには、混合気点火する点火プラグ17、及び該点火プラグ17に高電圧印加するイグナイタ内蔵型コイル21が取り付けられている。エンジン10の各気筒では、吸入された空気とインジェクタ12によって噴射された燃料との混合気が点火プラグ17により点火されて燃焼する。燃焼後の排気ガスは排気管18を通して排出される。

0035

排気管18の集合部の下流かつ排気浄化触媒20の上流には、空燃比センサ19が取り付けられている。空燃比センサ19としては、排気ガス中の酸素濃度未燃ガス濃度に応じた信号(すなわち混合気の空燃比に応じた信号)を出力でき、空燃比をリニアに検出することができるリニア空燃比センサLAFセンサ)が用いられる。

0036

LAFセンサ19の下流には排気浄化触媒20が配設されている。排気浄化触媒20は三元触媒であり、排気ガス中の炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)の酸化と、窒素酸化物(NOx)の還元を同時に行い、排気ガス中の有害ガス成分を無害二酸化炭素(CO2)、水蒸気(H2O)及び窒素(N2)に清浄化するものである。

0037

排気管18には、エンジン10から排出された排気ガスの一部を、エンジン10のインテークマニホールド11に再循環させる排気ガス再循環装置(以下「EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置」という)40が設けられている。EGR装置40は、エンジン10の排気管18とインテークマニホールド11とを連通するEGR配管41、及びEGR配管41上に介装され、排気ガス還流量EGR流量)を調節するEGRバルブ42を有している。EGRバルブ42は、エンジン10の運転状態に応じて、後述する電子制御装置50によって開度(EGRSTP)が制御される。

0038

上述したエアフローメータ14、LAFセンサ19、バキュームセンサ30、スロットル開度センサ31に加え、エンジン10のカムシャフト近傍には、エンジン10の気筒判別を行うためのカム角センサ32が取り付けられている。また、エンジン10のクランクシャフト10a近傍には、クランクシャフト10aの回転位置を検出するクランク角センサ33が取り付けられている。ここで、クランクシャフト10aの端部には、例えば、2歯欠歯した34歯の突起が10°間隔で形成されたタイミングロータ33aが取り付けられており、クランク角センサ33は、タイミングロータ33aの突起の有無を検出することにより、クランクシャフト10aの回転位置を検出する。カム角センサ32及びクランク角センサ33としては、例えば電磁ピックアップ式のものなどが用いられる。

0039

これらのセンサは、電子制御装置(以下「ECU」という)50に接続されている。さらに、ECU50には、エンジン10の冷却水の温度を検出する水温センサ34、潤滑油の温度を検出する油温センサ35、アクセルペダル踏み込み量すなわちアクセルペダルの開度を検出するアクセルペダル開度センサ36、及び、車両の速度を検出する車速センサ37等の各種センサも接続されている。なお、エンジン10の運転状態を示すセンサ値(パラメータ値)を取得する上記各種センサは、特許請求の範囲に記載の検出手段として機能する。

0040

ECU50は、演算を行うマイクロプロセッサ、該マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを記憶するRAM、バッテリ等によってその記憶内容が保持されるバックアップRAM、及び入出力I/F等を有して構成されている。また、ECU50は、インジェクタ12を駆動するインジェクタドライバ点火信号を出力する出力回路、及び、電子制御式スロットルバルブ13を開閉する電動モータ13aを駆動するモータドライバ等を備えている。

0041

ECU50では、カム角センサ32の出力から気筒が判別され、クランク角センサ33の出力から回転角速度およびエンジン回転数が求められる。また、ECU50では、上述した各種センサから入力される検出信号に基づいて、吸入空気量、吸気管負圧、アクセルペダル開度、混合気の空燃比、及びエンジン10の水温油温等の各種情報が取得される。そして、ECU50は、取得したこれらの各種情報に基づいて、燃料噴射量や点火時期、及び、スロットルバルブ13やEGRバルブ42等の各種デバイスを制御することによりエンジン10を総合的に制御する。

0042

特に、ECU50は、上記各種デバイス等の制御値(制御指示値)を求める際に、マップが複数のマップに分割されている場合に、複雑な条件分岐処理等を要することなく、複数のマップの中から制御上より適切なマップを選択する機能を有している。そのため、ECU50は、記憶部51、制御値・誤差取得部521、マップ選択部531、及び制御値確定部541を機能的に備えている。ECU50では、ROM等に記憶されているプログラムがマイクロプロセッサによって実行されることにより、記憶部51、制御値・誤差取得部521、マップ選択部531、及び、制御値確定部541の各機能が実現される。

0043

記憶部51は、上述したROM等により構成され、一又は複数のパラメータの入力値と一以上の制御値との関係を定めた複数に分割されたマップ(例えば、後述するエンジンダイナモメータ(EDM)の計測結果を元に生成された中高負荷マップ、及びシャシダイナモメータ(CDM)の計測結果を元に生成された低負荷マップ等)を予め記憶する。すなわち、記憶部51は、特許請求の範囲に記載の記憶手段として機能する。なお、マップとしては、例えば統計モデルを用いて記述(表現)されたものを好適に用いることができる(詳細は後述する)。また、マップが作成される際に、その設定領域の外郭も画定される。

0044

ここで、記憶部51に記憶されている複数に分割されたマップ(例えば中高負荷マップ及び低負荷マップ)に含まれる一つのマップの例を図3に示す。図3に示されたマップは、エンジン回転数NE(rpm)、スロットル開度THR(deg)、吸気バルブタイミングVTR(deg)、及びEGRバルブ開度EGRSTPとエンジン吸入空気推定量GN’(g/rev)との関係を定めた4次元のマップである。なお、図3では、EGRバルブ開度EGRSTPを固定したときの3次元形状(Boundary Model)を示している。

0045

また、図3に示されたマップの散布図行列とBoundary Modelを図4に示す。図4に示される散布図行列は、EGRバルブ開度EGRSTP、エンジン回転数NE、スロットル開度THR、及び吸気バルブタイミングVTRの中から2つの入力(パラメータ)を選んで、計測点を2次元平面に投影したものである。なお、散布図行列中の黒点は計測点を示している。また、図3図4に示されるように、このマップの設定領域(計測領域)の外郭(以下、単に「マップの外郭」ともいう)の形状は、矩形ではなく非線形になっている。本実施形態では、マップの設定領域(計測領域)の外郭を統計モデルを用いて数式化した。

0046

制御値・誤差取得部521は、複数のマップ(例えば中高負荷マップ及び低負荷マップ)それぞれについて、取得された一又は複数のパラメータの入力値(例えば、上述したエンジン回転数NE、スロットル開度THR、吸気バルブタイミングVTR、及びEGRバルブ開度EGRSTP)を用いてマップ検索を行い、制御値(例えば、上述したエンジン吸入空気推定量GN’)を取得するとともに、該制御値の誤差(%)を求める。すなわち、制御値・誤差取得部521は、特許請求の範囲に記載の誤差取得手段として機能する。制御値・誤差取得部521により取得された誤差は、マップ選択部531に出力される。

0047

ここで、上記誤差は、統計モデルを用いてマップ(例えば、上述した中高負荷マップ及び低負荷マップ)を記述した場合における制御値(例えば、上述したエンジン吸入空気推定量GN’)のばらつきである。すなわち、マップを作成する際の測定に含まれるばらつき(例えば、測定値の分散や歪み度など)である。

0048

制御値の誤差は、例えば、代替推定法(Resubstitution estimate)、テストサンプル法(Test sample estimate)、又は交差検証法(n−flod cross−validation estimate)などの方法を用いて算出することが好ましい。例えば、代替推定法を用いる場合には、まず初めに、予め計測された点群の入力値と出力値(制御値)との関係がモデル化マップ化)される。その後、作成されたマップに入力値が入力され、出力(制御値)が取得される。そして、得られた出力(制御値)と予め計測された出力値の比が当該出力(制御値)の誤差とされる。

0049

ここで、2つのマップ(マップA,マップB)それぞれにおける実験計測値と制御値の誤差との関係の一例を図5に示す。図5横軸はマップ検索値(制御値)であり、縦軸は実験計測値である。図5破線で示されるように、マップAでは、実験計測値のばらつき(誤差)が紡錘形に(すなわち、マップ検索値(制御値)の増大に対して、ばらつき(誤差)が一旦拡大した後収束するように)分布している。一方、マップBでは、図5に一点鎖線で示されるように、実験計測値のばらつき(誤差)が略扇形に(すなわち、マップ検索値(制御値)の増大に対して、ばらつき(誤差)が単調増加するように)分布している。

0050

次に、上述した2つのマップ(マップA,マップB)それぞれにおいて、同一の入力値について取得された制御値(図5中のx1,x2)、及び該制御値に対する誤差の一例を図6に示す。図6に示されるように、制御値x1の誤差(ばらつき)は、「マップAの制御値x1の誤差>マップBの制御値x1の誤差」となる。なお、この場合には、より誤差の少ないマップBの制御値x1が選択される(詳細は後述する)。同様に、制御値x2の誤差(ばらつき)は、「マップAの制御値x2の誤差<マップBの制御値x2の誤差」となる。なお、この場合には、より誤差に少ないマップAの制御値x2が選択される(詳細は後述する)。

0051

図1戻り、説明を続ける。マップ選択部531は、制御値・誤差取得部521により取得された制御値の誤差に基づいて、複数のマップの中から、制御に使用するマップを選択する。その際に、マップ選択部531は、制御値の誤差がもっとも小さいマップを選択する。すなわち、マップ選択部531は、特許請求の範囲に記載のマップ選択手段として機能する。なお、マップ選択部531により選択されたマップは、制御値確定部541に出力される。

0052

制御値確定部541は、マップ選択部531により選択されたマップの制御値を、エンジン10の制御値として確定(採用)する。すなわち、制御値確定部541は、特許請求の範囲に記載の制御値確定手段として機能する。

0053

ここで、図2に示した制御モデルを用いて、例えば、エンジンダイナモメータ(EDM)の計測結果を元に生成された中高負荷マップ、及びシャシダイナモメータ(CDM)の計測結果を元に生成された低負荷マップを択一的に選択する場合を例にして、具体的に説明する。ここで、図2は、ECU50が有する、エンジン吸入空気推定量GN’を求める制御モデルの一例を示す図である。なお、中高負荷モデル521a(制御値・誤差取得部521に対応)は、エンジンダイナモメータ(EDM)の計測結果を元に生成された中高負荷マップを有しており、低負荷モデル521b(制御値・誤差取得部521に対応)は、シャシダイナモメータ(CDM)の計測結果を元に生成された低負荷マップを有している。

0054

中高負荷モデル521aに、エンジン回転数NE、スロットル開度THR、吸気バルブタイミングVTR、及びEGRバルブ開度EGRSTPそれぞれが入力されると、中高負荷マップに基づく制御値(吸入空気推定量GN’)、及び該制御値の誤差が取得されて出力される。同様に、低負荷モデル521bに、エンジン回転数NE、スロットル開度THR、吸気バルブタイミングVTR、及びEGRバルブ開度EGRSTPそれぞれが入力されると、低負荷マップに基づく制御値(吸入空気推定量GN’)、及び該制御値の誤差が取得されて出力される。

0055

ここで、中高負荷モデル521a及び低負荷モデル521bそれぞれによって取得された制御値の誤差は、後述する比較ブロック(マップ選択部に対応)531に出力される。一方、中高負荷モデル521a及び低負荷モデル521bそれぞれによって取得された制御値(吸入空気推定量GN’)は、選択ブロック(制御値確定部に対応)541に出力される。

0056

比較ブロック531は、中高負荷モデル521aから出力された制御値の誤差と、低負荷モデル521bから出力された制御値の誤差とを比較し、例えば、中高負荷モデル521aから出力された制御値の誤差の方が小さい場合には「1」を出力する。一方、比較ブロック53は、低負荷モデル521bから出力された制御値の誤差の方が小さい場合には「0」を出力する。

0057

選択ブロック541には、比較ブロック531の比較結果(「1」又は「0」)、及び、中高負荷モデル(中高負荷マップ)521a、低負荷モデル(低負荷マップ)521bそれぞれの制御値(吸入空気推定量GN’)が入力される。選択ブロック541は、比較結果として「1」が入力された場合には、中高負荷モデル(中高負荷マップ)の制御値(吸入空気推定量GN’)を出力し、「0」が入力された場合には、低負荷モデル(低負荷マップ)の制御値(吸入空気推定量GN’)を出力する。

0058

以上のようにして、制御上より適切な制御値(吸入空気推定量GN’)が取得される。なお、求められたエンジン吸入空気推定GN’に基づいて、例えば、スロットルバルブ13の開度を調節することや、エンジン吸入空気推定量GN’の変化を予測して、スロットルバルブ13や、可変バルブタイミング機構26、EGRバルブ42等の最適制御を行うこともできる。また、エアフローメータ14で計測された吸入空気量GNと吸入空気推定量GN’を比較する事で、空気漏れなどの異常検知を行うこともできる。

0059

次に、図7を参照しつつ、制御装置1の動作について説明する。図7は、制御装置1による制御値取得処理(マップ選択処理)の処理手順を示すフローチャートである。本処理は、ECU50において、所定のタイミングで繰り返して実行される。なお、ここでは、例えば、図3に示されたマップを用いて、図2に示されたようにエンジン吸入空気推定量GN’(吸入空気最適制御の制御値として利用する)を求める場合を例にして説明する。

0060

まず、ステップS100では、エンジン10の運転状態を示す複数のパラメータの入力値、図2の例では、エンジン回転数NE(rpm)、スロットル開度THR(deg)、吸気バルブタイミングVTR(deg)、及びEGRバルブ開度EGRSTPそれぞれが入力される。

0061

次に、ステップS102では、ステップS100において入力された入力値を用いて、制御値探索(マップ検索)が実行され、中高負荷マップの制御値が取得される。続いてステップS104では、ステップS102において取得された中高負荷マップの制御値の誤差が取得される。なお、制御値の誤差の取得方法については、上述したとおりであるので、ここでは詳細な説明を省略する。

0062

同様に、ステップS106では、ステップS100において入力された入力値を用いて、制御値探索(マップ検索)が実行され、低負荷マップの制御値が取得される。続いて、ステップS108では、ステップS106において取得された低負荷マップの制御値の誤差が取得される。なお、誤差の取得方法については、上述したとおりであるので、ここでは詳細な説明を省略する。

0063

次に、ステップS110では、ステップS104で求められた中高負荷マップの制御値の誤差と、ステップS108で求められた低負荷マップの制御値の誤差とが比較され、制御値の誤差が小さい方のマップが選択される。

0064

そして、ステップS112では、ステップS110において選択されたマップから得られた制御値(吸入空気推定量GN’)が、正規の制御値として確定(採用)され、出力される。

0065

以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、複数のマップそれぞれについて、入力値に対する制御値の誤差が取得され、その誤差に基づいて、使用されるマップが選択される。そのため、例えば、誤差が最も小さい制御値を持つマップを選択することができる。その結果、マップが複数のマップに分割されている場合に、複雑な条件分岐処理等を要することなく、複数のマップの中から制御上より適切なマップを選択することが可能となる。

0066

特に、本実施形態によれば、上記誤差が、統計モデルを用いてマップを記述した場合における制御値のばらつき、すなわち、マップを作成する際の測定に含まれるばらつき(測定値の分散や歪み度など)であるため、これらのばらつきを考慮して、複数のマップの中から制御上より適切なマップを選択することが可能となる。また、統計モデルを用いてマップを記述しているため、マップを生成する際のばらつき(測定値の分散や歪み度など)を適切に取り扱うことができる。

0067

また、本実施形態によれば、複数のパラメータの入力値に対する制御値の誤差が取得されるため、各マップが2次元以上の多次元マップであったとしても、複雑な条件分岐処理等を要することなく、複数のマップの中から制御上より適切なマップを選択することが可能となる。

0068

(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、制御値の誤差に応じて用いるマップを選択した(切替えた)が、このような方法に代えて、各マップの誤差が所定値よりも小さい場合には、当該誤差によってマップを選択し(切替え)、各マップの誤差が所定値よりも大きいときには、複数のマップそれぞれの設定領域の外郭と入力値との距離に応じてマップを選択する(切替える)構成とすることもできる。

0069

そこで、次に、図8及び図9を併せて用いて第2実施形態に係る制御装置2の構成について説明する。図8は、制御装置2の構成、及び該制御装置2が適用されたエンジン10の構成を示す図である。また、図9は、制御装置2が有する、エンジン吸入空気推定量を求める制御モデルの一例を示す図である。なお、図8図9において上記第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。

0070

本実施形態は、ECU50に代えてECU50Bが用いられている点で上述した第1実施形態と異なっている。また、ECU50Bは、距離取得部522をさらに有している点、及び、マップ選択部531、制御値確定部541に代えてマップ選択部532、制御値確定部542を有している点で上述した第1実施形態と異なっている。その他の構成は、上述した第1実施形態と同一または同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。

0071

距離取得部522は、取得された一又は複数のパラメータの入力値(入力点)と、複数のマップそれぞれの設定領域の外郭(境界)との距離を求める。その際に、距離取得部522は、入力値(入力点)がマップの外郭の内側に位置しているか外側に位置しているかを判定するとともに、入力値とマップの設定領域の外郭との距離に対して、該設定領域の外郭の内側を「−」、該設定領域の外郭の外側を「+」とする符号を付加した、符号付距離を求める。すなわち、距離取得部522は、特許請求の範囲に記載の距離取得手段として機能する。距離取得部522により取得された符号付距離は、マップ選択部532に出力される。

0072

マップ選択部532は、制御値・誤差取得部521により取得された制御値の誤差が予め設定されている所定値(閾値)未満の場合には、制御値の誤差に基づいて、複数のマップの中から使用するマップを選択する。その際に、マップ選択部532は、制御値の誤差がもっとも小さいマップを選択する。一方、マップ選択部532は、制御値の誤差が上記所定値以上の場合には、距離取得部522により取得された符号付距離に基づいて、複数のマップの中から使用するマップを選択する。その際に、マップ選択部532は、符号付距離がもっとも小さいマップを選択する。なお、マップ選択部532により選択されたマップは、制御値確定部542に出力される。

0073

制御値確定部542は、マップ選択部532により選択されたマップの制御値を、エンジン10の制御値として確定(採用)する。

0074

ここで、図9に示した制御モデルを用いて、例えば、エンジンダイナモメータ(EDM)の計測結果を元に生成された中高負荷マップ、及びシャシダイナモメータ(CDM)の計測結果を元に生成された低負荷マップを択一的に選択する場合を例にして、具体的に説明する。ここで、図9は、ECU50が有する、エンジン吸入空気推定量GN’を求める制御モデルの一例を示す図である。なお、中高負荷モデル52a(制御値・誤差取得部521、距離取得部522に対応)は、エンジンダイナモメータ(EDM)の計測結果を元に生成された中高負荷マップを有しており、低負荷モデル52b(制御値・誤差取得部521、距離取得部522に対応)は、シャシダイナモメータ(CDM)の計測結果を元に生成された低負荷マップを有している。

0075

中高負荷モデル52aに、エンジン回転数NE、スロットル開度THR、吸気バルブタイミングVTR、及びEGRバルブ開度EGRSTPそれぞれが入力されると、中高負荷マップに基づく制御値(吸入空気推定量GN’)、並びに該制御値の誤差、及び、入力値と中高負荷マップの外郭との符号付距離が取得されて出力される。

0076

より具体的には、中高負荷モデル52aに、エンジン回転数NE、スロットル開度THR、吸気バルブタイミングVTR、及びEGRバルブ開度EGRSTPが入力されると、中高負荷モデル52aでは、これらの入力値を用いて中高負荷マップを検索し、エンジン10の制御値(吸入空気推定量GN’)を求める。そして、取得された制御値がGN’ポートから出力される。また、中高負荷モデル52aでは、上記入力値が中高負荷マップの外郭の内側に位置しているか、外側に位置しているかが判定されるとともに、入力値と中高負荷マップ外郭との距離が求められる。そして、例えば、外側であれば「+」、内側であれば「−」の符号が付加された距離(入力点の外郭からの符号付距離)が距離ポートから出力される。なお、制御値の誤差の算出方法については、上述したとおりであるので、ここでは詳細な説明を省略する。

0077

同様に、低負荷モデル52bに、エンジン回転数NE、スロットル開度THR、吸気バルブタイミングVTR、及びEGRバルブ開度EGRSTPそれぞれが入力されると、低負荷マップに基づく制御値(吸入空気推定量GN’)、並びに該制御値の誤差、及び、入力値と低負荷マップの外郭との符号付距離が取得されて出力される。

0078

第1比較ブロック532a(マップ選択部532に対応)は、中高負荷モデル52aから出力された符号付距離と低負荷モデル52bから出力された符号付距離とを比較し、例えば、中高負荷モデル52aから出力された符号付距離の方が小さい場合には「1」を出力する。一方、第1比較ブロック532aは、低負荷モデル52bから出力された符号付距離の方が小さい場合には「0」を出力する。

0079

同様に、第2比較ブロック532b(マップ選択部532に対応)は、中高負荷モデル52aから出力された誤差と低負荷モデル52bから出力された誤差とを比較し、例えば、中高負荷モデル52aから出力された誤差の方が小さい場合には「1」を出力する。一方、第2比較ブロック532bは、低負荷モデル52bから出力された誤差の方が小さい場合には「0」を出力する。

0080

第1選択ブロック542a(制御値確定部542に対応)には、比較ブロック532aの比較結果(「1」又は「0」)、及び、中高負荷モデル(中高負荷マップ)52a、低負荷モデル(低負荷マップ)52bそれぞれの制御値(吸入空気推定量GN’)が入力される。第1選択ブロック542aは、比較結果として「1」が入力された場合には、中高負荷モデル(中高負荷マップ)の制御値(吸入空気推定量GN’)を出力し、「0」が入力された場合には、低負荷モデル(低負荷マップ)の制御値(吸入空気推定量GN’)を第3選択ブロック542cに出力する。

0081

同様に、第2選択ブロック542b(制御値確定部542に対応)には、比較ブロック532bの比較結果(「1」又は「0」)、及び、中高負荷モデル(中高負荷マップ)52a、低負荷モデル(低負荷マップ)52bそれぞれの制御値(吸入空気推定量GN’)が入力される。第2選択ブロック542bは、比較結果として「1」が入力された場合には、中高負荷モデル(中高負荷マップ)の制御値(吸入空気推定量GN’)を出力し、「0」が入力された場合には、低負荷モデル(低負荷マップ)の制御値(吸入空気推定量GN’)を第3選択ブロック542cに出力する。

0082

第3比較ブロック532cは、誤差が予め設定された所定値(閾値)よりも小さい場合には「1」を第3選択ブロック542cに出力する。一方、第3比較ブロック532cは、誤差が上記所定値以上のときには「0」を第3選択ブロック542cに出力する。

0083

第3選択ブロック542cには、第3比較ブロック532の比較結果(「1」又は「0」)、及び、第1選択ブロック542a、第2選択ブロック542bそれぞれからの制御値(吸入空気推定量GN’)が入力される。第3選択ブロック542cは、比較結果として「0」が入力された場合には、第1選択ブロック542aの制御値(吸入空気推定量GN’)を出力し、「1」が入力された場合には、第2選択ブロック542bの制御値(吸入空気推定量GN’)を出力する。

0084

以上のようにして、制御上より適切な制御値(吸入空気推定量GN’)が取得される。なお、求められたエンジン吸入空気推定GN’に基づいて、例えば、スロットルバルブ13の開度を調節することや、エンジン吸入空気推定量GN’の変化を予測して、スロットルバルブ13や、可変バルブタイミング機構26、EGRバルブ42等の最適制御を行うこともできる。また、エアフローメータ14で計測された吸入空気量GNと吸入空気推定量GN’を比較する事で、空気漏れなどの異常検知を行うこともできる。

0085

次に、図10を参照しつつ、制御装置2の動作について説明する。図10は、制御装置2による制御値取得処理(マップ選択処理)の処理手順を示すフローチャートである。本処理は、ECU50Bにおいて、所定のタイミングで繰り返して実行される。なお、ここでは、例えば、図3に示されたマップを用いて、図9に示されたようにエンジン吸入空気推定量GN’(吸入空気最適制御の制御値として利用する)を求める場合を例にして説明する。

0086

まず、ステップS200では、エンジン10の運転状態を示す複数のパラメータの入力値、図9の例では、エンジン回転数NE(rpm)、スロットル開度THR(deg)、吸気バルブタイミングVTR(deg)、及びEGRバルブ開度EGRSTPそれぞれが入力される。

0087

次に、ステップS202では、ステップS200において入力された入力値を用いて、制御値探索(マップ検索)が実行され、中高負荷マップの制御値が取得される。続いてステップS204では、ステップS202において取得された中高負荷マップの制御値の誤差が取得される。なお、誤差の取得方法は上述したとおりであるので、ここでは詳細な説明を省略する。

0088

同様に、ステップS206では、ステップS200において入力された入力値を用いて、制御値探索(マップ検索)が実行され、低負荷マップの制御値が取得される。続いて、ステップS208では、ステップS206において取得された低負荷マップの制御値の誤差が取得される。なお、誤差の取得方法は上述したとおりであるので、ここでは詳細な説明を省略する。

0089

次に、ステップS210では、ステップS200において入力されたエンジン回転数NE、スロットル開度THR、吸気バルブタイミングVTR、及びEGRバルブ開度EGRSTPの入力値(入力点)が、中高負荷マップの設定領域(計測領域)の外郭の内側に位置しているか、外側に位置しているかが判定されるとともに、入力値と中高負荷マップの設定領域の外郭との距離に対して、該設定領域の外郭の内側を「−」、該設定領域の外郭の外側を「+」とする符号が付加された、符号付距離が求められる。

0090

ステップS212では、上記ステップS210と同様にして、入力値と低負荷マップの設定領域の外郭との距離に対して、該設定領域の外郭の内側を「−」、該設定領域の外郭の外側を「+」とする符号を付加した、符号付距離が求められる。

0091

次に、ステップS214では、ステップS204で取得された中高負荷マップの制御値の誤差、及びステップS208で取得された低負荷マップの制御値の誤差が所定値(閾値)未満であるか否かについての判断が行われる。ここで、双方又はいずれか一方の誤差が所定値未満である場合には、ステップS216に処理が移行する。一方、双方(すべて)の制御値の誤差が所定値以上であるときには、ステップS218に処理が移行する。

0092

誤差が所定値未満の場合、ステップS216では、該誤差に基づいて使用するマップが選択される。すなわち、ステップS204で求められた中高負荷マップの制御値の誤差と、ステップS208で求められた低負荷マップの制御値の誤差とが比較され、制御値の誤差が小さい方のマップが選択される。

0093

一方、誤差が所定値以上の場合、ステップS218では、符号付距離に基づいて使用するマップが選択される。すなわち、ステップS210で求められた中高負荷マップの外郭からの符号付距離と、ステップS212で求められた低負荷マップの外郭からの符号付距離とが比較され、符号付距離が小さい方のマップが選択される。

0094

そして、ステップS220において、選択されたマップから得られた制御値(吸入空気推定量GN’)が出力される。

0095

本実施形態によれば、マップから得られる制御値の誤差が所定値未満の場合には、該誤差に基づいて使用するマップが選択され、制御値の誤差が所定値以上の場合には、符号付距離に基づいて使用するマップが選択される。そのため、少なくとも一つの誤差が所定値未満の場合には、例えば、誤差が最も小さい制御値を持つマップを選択することができる。一方、すべての誤差が所定値以上のときには、例えば、符号付距離が最も小さいマップを選択することができる。ここで、例えば、入力値がマップの外殻の内側にあるが近傍に計測点がなく誤差が大きい場合があり得る一方、入力値がマップの外殻の外側にあるが近傍に計測点があり誤差が小さい場合があり得る。このような場合には、後者のマップが選択される。また、例えば、入力値がマップの外殻の外側にありかつ近傍に計測点がなく誤差が大きい場合には、符号付距離に応じてマップが選択される。その結果、マップが複数のマップに分割されている場合に、複雑な条件分岐処理等を要することなく、複数のマップの中から制御上より適切なマップ(最適なマップ)を選択することが可能となる。

0096

また、その際に、本実施形態によれば、入力値とマップの設定領域の外郭との距離に、該設定領域の外郭の内側を「−」、該設定領域の外郭の外側を「+」とする符号が付加された、符号付距離が求められ、この符号付距離がもっとも小さいマップが選択される。そのため、制御値の誤差が大きい場合には、入力値と各マップの設定領域の外郭との距離(符号付距離)を求めるだけで、複数のマップの中からより適切なマップを選択することができる。なお、上記に代え、入力値とマップの設定領域の外郭との距離に、該設定領域の外郭の内側を「+」、該設定領域の外郭の外側を「−」とする符号を付加した符号付距離を求め、この符号付距離がもっとも大きいマップを選択するようにしてもよい。

0097

特に、本実施形態によれば、各マップが2次元以上の多次元マップであったとしても、複雑な条件分岐処理等を要することなく、複数のマップの中から制御上より適切なマップを選択することができる。

0098

また、本実施形態によれば、マップの設定領域の外郭(計測領域の境界)が統計モデル化されているため、各マップの外郭が非線形な形状であったとしても、該外郭を適切に画定することができる。よって、入力値と各マップの設定領域の外郭(境界)との距離を正確に求めることができるため、入力値に最も近いマップを的確に抽出(選択)することができる。

0099

以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明をガソリンエンジンの制御装置に適用した場合を例にして説明したが、本発明は、例えば、ディーゼルエンジン自動変速機、電動モータ(ハイブリッド車電気自動車)、燃料電池等のパワーユニットの制御装置にも適用することができる。

0100

また、上記実施形態では、出力される制御値が1つ(エンジン吸入空気推定量GN’)であったが、2つ以上の制御値を出力する構成としてもよい。

0101

1,2制御装置
10エンジン
12インジェクタ
13電子制御式スロットルバルブ
14エアフローメータ
17点火プラグ
26,27可変バルブタイミング機構
31スロットル開度センサ
32カム角センサ
33クランク角センサ
40排気ガス再循環装置
42EGRバルブ
50,50B ECU
51 記憶部
521制御値・誤差取得部
522 距離取得部
522a最近傍点取得部
522b入力値選択部
522c 制御値探索部
531,532マップ選択部
541,542 制御値確定部

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