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技術 部品、及び部品の製造方法、並びに表面処理方法

出願人 富士通株式会社
発明者 長沼靖雄木村浩一
出願日 2016年3月24日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-060782
公開日 2017年9月28日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2017-172013
状態 特許登録済
技術分野 金属の化成処理 その他の表面処理 アルカリ金属化合物
主要キーワード 非潮解性 脱脂処理液 黒色物質 温湿度サイクル試験 リン酸系化成皮膜 無機塩水溶液 ジルコニウム系化成処理 斑模様
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題

マグネシウムリチウム合金の表面のリチウムが十分に不活性化された部品の製造方法などの提供。

解決手段

マグネシウムリチウム合金の母材の表面を、リチウム塩を除く無機塩水溶液に曝し、前記表面に非潮解性リチウム化合物を生じさせる工程を含む部品の製造方法である。

概要

背景

携帯電話ノートPC(Personal Computer)などのモバイル端末においては、軽量化のために樹脂、又はアルミニウム合金を材料とする筐体が使用されている。前記アルミニウム合金は、前記樹脂よりも強度が高いというメリットはあるものの、前記樹脂よりも重いという欠点がある。

前記アルミニウム合金よりも軽量な合金として、マグネシウム合金が知られているが、更に軽量な合金として、マグネシウムリチウム合金が注目されつつある。前記マグネシウムリチウム合金は、主成分であるマグネシウムに少量のリチウムを添加してなり、高強度かつ軽量という特徴がある。

しかし、リチウムは活性が高いため、マグネシウムリチウム合金は、アルミニウム合金やマグネシウム合金と比較して大気中で容易に酸化して黒く変色してしまうという問題がある。

そこで、フッ素化合物を含有する処理液にマグネシウムリチウム合金を浸漬して、フッ化リチウムを生じさせ、マグネシウムリチウム合金の表面のリチウムを不活性化させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この提案の技術では、リチウムの不活性化が不十分であるという問題がある。

したがって、マグネシウムリチウム合金の表面のリチウムが十分に不活性化された部品、及びその製造方法、並びにマグネシウムリチウム合金の表面のリチウムを十分に不活性化させる表面処理方法の提供が求められているのが現状である。

概要

マグネシウムリチウム合金の表面のリチウムが十分に不活性化された部品の製造方法などの提供。マグネシウムリチウム合金の母材の表面を、リチウム塩を除く無機塩水溶液に曝し、前記表面に非潮解性リチウム化合物を生じさせる工程を含む部品の製造方法である。

目的

国際公開第2011/030870号パンフレット






本件は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

マグネシウムリチウム合金母材の表面を、リチウム塩を除く無機塩水溶液に曝し、前記表面に非潮解性リチウム化合物を生じさせる工程を含むことを特徴とする部品の製造方法。

請求項2

前記無機塩が、炭酸塩であり、前記非潮解性リチウム化合物が、炭酸リチウムである請求項1に記載の部品の製造方法。

請求項3

前記炭酸塩が、炭酸アンモニウム炭酸カリウム炭酸ナトリウム炭酸カルシウム炭酸水素アンモニウム炭酸水素カリウム炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カルシウムの少なくともいずれかである請求項2に記載の部品の製造方法。

請求項4

前記表面が、アンモニア存在下で前記水溶液に曝される請求項1から3のいずれかに記載の部品の製造方法。

請求項5

前記母材が、電子機器筐体である請求項1から4のいずれかに記載の部品の製造方法。

請求項6

マグネシウムリチウム合金の母材の表面を、リチウム塩を除く無機塩の水溶液に曝し、前記表面に非潮解性リチウム化合物を生じさせる工程を含むことを特徴とする表面処理方法

請求項7

前記無機塩が、炭酸塩であり、前記非潮解性リチウム化合物が、炭酸リチウムである請求項6に記載の表面処理方法。

請求項8

前記炭酸塩が、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カルシウムの少なくともいずれかである請求項7に記載の表面処理方法。

請求項9

前記表面が、アンモニア存在下で前記水溶液に曝される請求項6から8のいずれかに記載の表面処理方法。

請求項10

前記母材が、電子機器の筐体である請求項6から9のいずれかに記載の表面処理方法。

請求項11

マグネシウムリチウム合金の母材の表面に非潮解性リチウム化合物を有することを特徴とする部品。

請求項12

前記非潮解性リチウム化合物が、炭酸リチウムである請求項11に記載の部品。

請求項13

前記母材が、電子機器の筐体である請求項11から12のいずれかに記載の部品。

技術分野

0001

本件は、部品、及び部品の製造方法、並びに表面処理方法に関する。

背景技術

0002

携帯電話ノートPC(Personal Computer)などのモバイル端末においては、軽量化のために樹脂、又はアルミニウム合金を材料とする筐体が使用されている。前記アルミニウム合金は、前記樹脂よりも強度が高いというメリットはあるものの、前記樹脂よりも重いという欠点がある。

0003

前記アルミニウム合金よりも軽量な合金として、マグネシウム合金が知られているが、更に軽量な合金として、マグネシウムリチウム合金が注目されつつある。前記マグネシウムリチウム合金は、主成分であるマグネシウムに少量のリチウムを添加してなり、高強度かつ軽量という特徴がある。

0004

しかし、リチウムは活性が高いため、マグネシウムリチウム合金は、アルミニウム合金やマグネシウム合金と比較して大気中で容易に酸化して黒く変色してしまうという問題がある。

0005

そこで、フッ素化合物を含有する処理液にマグネシウムリチウム合金を浸漬して、フッ化リチウムを生じさせ、マグネシウムリチウム合金の表面のリチウムを不活性化させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この提案の技術では、リチウムの不活性化が不十分であるという問題がある。

0006

したがって、マグネシウムリチウム合金の表面のリチウムが十分に不活性化された部品、及びその製造方法、並びにマグネシウムリチウム合金の表面のリチウムを十分に不活性化させる表面処理方法の提供が求められているのが現状である。

先行技術

0007

国際公開第2011/030870号パンフレット

発明が解決しようとする課題

0008

本件は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本件は、マグネシウムリチウム合金の表面のリチウムが十分に不活性化された部品、及びその製造方法、並びにマグネシウムリチウム合金の表面のリチウムを十分に不活性化させる表面処理方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

前記課題を解決するための手段としては、後述する付記に記載した通りである。即ち、
開示の部品の製造方法は、マグネシウムリチウム合金の母材の表面を、リチウム塩を除く無機塩水溶液に曝し、前記表面に非潮解性リチウム化合物を生じさせる工程を含む。
開示の表面処理方法は、マグネシウムリチウム合金の母材の表面を、リチウム塩を除く無機塩の水溶液に曝し、前記表面に非潮解性リチウム化合物を生じさせる工程を含む。
開示の部品は、マグネシウムリチウム合金の母材の表面に非潮解性リチウム化合物を有する。

発明の効果

0010

開示の部品の製造方法によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、マグネシウムリチウム合金の表面のリチウムが十分に不活性化された部品の製造方法を提供できる。
開示の表面処理方法によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、マグネシウムリチウム合金の表面のリチウムを十分に不活性化できる表面処理方法を提供できる。
開示の部品によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、マグネシウムリチウム合金の表面のリチウムが十分に不活性化された部品を提供できる。

図面の簡単な説明

0011

図1は、実施例1の表面処理方法のフローチャートである。
図2は、実施例1及び比較例1の試験片の表面を観察して得られた写真である。

0012

(部品の製造方法、及び部品、並びに表面処理方法)
開示の部品の製造方法は、非潮解性リチウム化合物生成工程を少なくとも含み、更に必要に応じて、脱脂工程、活性化工程、デスマット工程、化成皮膜形成工程などのその他の工程を含む。
開示の表面処理方法は、非潮解性リチウム化合物生成工程を少なくとも含み、更に必要に応じて、脱脂工程、活性化工程、デスマット工程、化成皮膜形成工程などのその他の工程を含む。
開示の部品は、マグネシウムリチウム合金の母材の表面に非潮解性リチウム化合物を有する。
なお、前記部品の製造方法、及び前記表面処理方法において、各工程は、例えば、脱脂工程、活性化工程、デスマット工程、非潮解性リチウム化合物生成工程、及び化成皮膜形成工程の順で行われる。

0013

本発明者らは、マグネシウムリチウム合金の表面のリチウムの不活性化を、フッ化リチウムを生じさせて行った場合、水洗の際の残存水分によりフッ化リチウムが潮解し、活性が高いリチウム(Li)が再生されることを見出した。
そこで、本発明者らは、更に鋭意検討を行った結果、マグネシウムリチウム合金の表面のリチウムの不活性化を、非潮解性のリチウム化合物を生じさせて行った場合に、マグネシウムリチウム合金の表面のリチウムが十分に不活性化できることを見出し、本発明の完成に至った。

0014

<非潮解性リチウム化合物生成工程>
前記非潮解性リチウム化合物生成工程としては、マグネシウムリチウム合金の母材の表面を、リチウム塩を除く無機塩の水溶液に曝し、前記表面に非潮解性リチウム化合物を生じさせる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マグネシウムリチウム合金の母材を、前記水溶液に浸漬させることにより行うことができる。

0015

<<マグネシウムリチウム合金>>
前記マグネシウムリチウム合金としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、LZ91などが挙げられる。

0016

<<母材>>
前記母材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子機器の筐体などが挙げられる。前記電子機器としては、例えば、モバイル端末などが挙げられる。前記モバイル端末としては、例えば、ノート型PC、タブレットPC、携帯電話、スマートフォンなどが挙げられる。

0017

<<無機塩の水溶液>>
前記無機塩としては、リチウム塩以外の無機塩であって、マグネシウムリチウム合金の母材の表面に非潮解性リチウム化合物を生じさせることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、毒性が低く取り扱いやすい点で、炭酸塩が好ましい。

0018

前記炭酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水に対する溶解性に優れ、かつ毒性が低く取り扱いやすい点で、炭酸アンモニウム炭酸カリウム炭酸ナトリウム炭酸カルシウム炭酸水素アンモニウム炭酸水素カリウム炭酸水素ナトリウム炭酸水素カルシウムが好ましい。

0019

前記水溶液における前記無機塩の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%〜5質量%が好ましい。

0020

<<非潮解性リチウム化合物>>
前記非潮解性リチウム化合物とは、潮解性を有しないリチウム化合物である。
ここで、潮解性とは、固体が水分を吸収して溶解する性質を意味する。すなわち、非潮解性とは、固体が水分に曝されても溶解しない性質を意味する。
前記非潮解性リチウム化合物としては、潮解性を有しないリチウム化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭酸リチウムなどが挙げられる。

0021

前記非潮解性リチウム化合物は、前記表面において、一様な膜状に存在していてもよいし、点在していてもよい。

0022

前記非潮解性リチウム化合物生成工程において、マグネシウムリチウム合金の母材の表面を前記水溶液に曝す際は、アンモニア存在下で行われることが好ましい。すなわち、前記水溶液は更にアンモニアを溶解していることが好ましい。
前記アンモニアは、前記非潮解性リチウム化合物を生じさせる反応を促進する触媒として機能する。
前記水溶液における前記アンモニアの濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%〜5質量%が好ましい。

0023

前記非潮解性リチウム化合物生成工程において、マグネシウムリチウム合金の母材の表面を前記水溶液に曝す際の前記水溶液の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記非潮解性リチウム化合物を生じさせる反応を促進させる点で、40℃〜70℃が好ましい。

0024

前記非潮解性リチウム化合物生成工程において、マグネシウムリチウム合金の母材の表面を前記水溶液に曝す時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1分間〜10分間などが挙げられる。

0025

<脱脂工程>
前記脱脂工程としては、脱脂処理剤に、マグネシウムリチウム合金の母材の表面を曝す工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脱脂処理液に前記母材を浸漬する処理などが挙げられる。

0026

前記脱脂処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリなどが挙げられる。前記アルカリとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、強アルカリであることが好ましい。前記強アルカリとしては、pHが13〜14のアルカリであることが好ましい。

0027

前記脱脂処理液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ水溶液などが挙げられる。前記脱脂処理液としては、例えば、市販品を用いることができる。前記市販品としては、例えば、強アルカリ水溶液(ミリオ化学株式会社製、GF MG−15SX)などが挙げられる。

0028

前記脱脂工程における前記アルカリの温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、反応促進の点で、50℃〜90℃が好ましく、65℃〜85℃がより好ましく、70℃〜80℃が特に好ましい。

0029

前記脱脂工程において、前記アルカリに、前記表面を曝す時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1分間〜10分間などが挙げられる。

0030

<活性化工程>
前記活性化工程としては、フッ素を含む酸に、マグネシウムリチウム合金の母材の表面を曝す工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記フッ素を含む酸に前記母材を浸漬する処理などが挙げられる。

0031

前記フッ素を含む酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ酸などが挙げられる。前記フッ素を含む酸としては、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、ミリオン化学株式会社製のGF MG−109などが挙げられる。

0032

前記活性化工程における前記フッ素を含む酸の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、温度管理が容易である点で、20℃〜60℃が好ましく、30℃〜50℃がより好ましく、35℃〜45℃が特に好ましい。

0033

前記活性化工程において、フッ素を含む酸に、マグネシウムリチウム合金の母材の表面を曝す時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.5分間〜5分間などが挙げられる。

0034

前記活性化工程においては、前記表面にフッ化マグネシウム、フッ化リチウム、及び酸化リチウムなどが生成する。

0035

<デスマット工程>
前記デスマット工程としては、アルカリに、前記表面を曝す工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ水溶液に前記母材を浸漬する処理などが挙げられる。

0036

前記アルカリとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、強アルカリであることが好ましい。前記強アルカリとしては、pHが13〜14のアルカリであることが好ましい。
前記アルカリとしては、例えば、市販品を用いることができる。前記市販品としては、例えば、強アルカリ水溶液(ミリオン化学株式会社製、GF MG−15SX)などが挙げられる。

0037

前記デスマット工程における前記アルカリの温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、反応促進の点で、40℃〜80℃が好ましく、50℃〜70℃がより好ましく、55℃〜65℃が特に好ましい。

0038

前記デスマット工程において、前記アルカリに、前記表面を曝す時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1分間〜5分間などが挙げられる。

0039

<化成皮膜形成工程>
前記化成皮膜形成工程としては、前記表面に化成皮膜を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記表面を、化成処理液に曝すことで行うことができる。前記表面を、前記化成処理液に曝す方法としては、例えば、前記化成処理液に前記母材を浸漬する方法などが挙げられる。

0040

前記化成皮膜としては、例えば、ジルコニウム系化成皮膜フッ化物系化成皮膜、マンガン系化成皮膜、リン酸系化成皮膜などが挙げられる。これらの化成皮膜は、それぞれの化成皮膜に対応する公知の化成処理ジルコニウム系化成処理、フッ化物系化成処理、マンガン系化成処理、リン酸系化成処理)により得られる。

0041

前記化成処理液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジルコニウム系化成処理液、フッ化物系化成処理液、マンガン系化成処理液、リン酸系化成処理液などが挙げられる。前記化成処理液は、市販品であってもよい。前記市販品としては、例えば、GR MC−1600(ミリオン化学株式会社製)などが挙げられる。

0042

前記化成皮膜形成工程における前記化成処理液の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、反応促進の点で、30℃〜70℃が好ましく、50℃〜70℃がより好ましく、55℃〜65℃が特に好ましい。

0043

前記化成皮膜形成工程において、前記化成処理液に、前記表面を曝す時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1分間〜5分間などが挙げられる。

0044

以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。

0045

(実施例1)
マグネシウムリチウム合金の表面処理を行った。具体的な方法を、図1を参照しながら説明する。

0046

〔工程S11:脱脂〕
まず、最初の工程S11において、温度が75℃の強アルカリ水溶液(ミリオン化学株式会社製、GF MG−15SX)にマグネシウムリチウム合金の試験片を5分間浸漬することにより、その試験片の表面を脱脂した。なお、この例では、試験片として短辺の長さが25mmで長辺の長さが50mmの矩形状のLZ91の板(日本金属株式会社製)を用いた。LZ91は、リチウムが9重量%、亜鉛が1重量%、マグネシウムが90重量%のマグネシウムリチウム合金である。また、強アルカリ水溶液には添加剤としてミリオン化学株式会社製のGF F21を添加した。

0047

〔工程S12:活性化〕
次に、工程S12に移り、温度が40℃の酸に上記の試験片を1分間浸漬することにより、試験片の表面に形成されたマグネシウム及びリチウムの自然酸化膜エッチングして除去し、試験片の表面を清浄化した。このように表面を清浄化する工程は活性化とも呼ばれる。
この例では、フッ酸を含有するミリオン化学株式会社製のGF MG−109を上記の酸として使用した。このようにフッ素を含む酸を使用することで、試験片中のマグネシウム及びリチウムがフッ化され、活性化の後の試験片の表面にはマグネシウムのフッ化物、及びリチウムのフッ化物が形成されることになる。

0048

〔工程S13:デスマット〕
続いて、工程S13に移り、上記の活性化で試験片の表面に発生した残渣を除去するために、温度が60℃の強アルカリ水溶液(ミリオン化学株式会社製、GF MG−15SX)に試験片を2分間浸漬した。この工程で除去される残渣はスマットと呼ばれる黒色物質であり、この工程はデスマット処理とも呼ばれる。

0049

〔工程S14:非潮解性リチウム化合物の形成〕
続いて、工程S14に移り、試験片の表面に存在するリチウム又はフッ化リチウムを非潮解性リチウム化合物である炭酸リチウムに転化させるために、試験片を60℃の無機塩水溶液に5分間浸漬した。
ここで、無機塩水溶液は、1質量%の炭酸水素ナトリウムと1質量%のアンモニアとを含有している。

0050

〔工程S15:化成皮膜の形成〕
そして、工程S15に移り、化成処理液に上記の試験片を浸漬した。この例では、化成処理液としてミリオン化学株式会社製のGR MC−1670Aを使用すると共に、その化成処理液の温度を60℃に維持しつつ、化成処理液に試験片を2.5分間浸漬した。
この化成処理により、試験片の表面にフッ化物系化成皮膜が形成された。

0051

〔工程S16:乾燥〕
この後は、工程S16に移り、高温槽において温度を80℃、加熱時間を10分間とする条件で試験片の表面の水分を蒸散させ、試験片を乾燥させた。

0052

以上により、試験片に対する表面処理を終了した。

0053

得られた試験片を、MILSTD−106D−202Eで規定される温湿度サイクル試験に供し、試験後の外観を観察した。

0054

(実施例2)
実施例1の工程S14(非潮解性リチウム化合物の形成)において、無機塩水溶液を、1質量%の炭酸水素アンモニウムと1質量%のアンモニアとを含有する無機塩水溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして、表面処理を行った。

0055

得られた試験片を、MIL−STD−106D−202Eで規定される温湿度サイクル試験に供し、試験後の外観を観察した。

0056

(比較例1)
実施例1において、工程S14(非潮解性リチウム化合物の形成)を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、表面処理を行った。

0057

得られた試験片を、MIL−STD−106D−202Eで規定される温湿度サイクル試験に供し、試験後の外観を観察した。

0058

<温湿度サイクル試験>
実施例1及び比較例1の試験片を温湿度サイクル試験に供した結果を図2に示した。なお、図2において「gate」とは、射出成形によりマグネシウムリチウム合金の板が作製される際の型の入り口付近の試験片であることを指す。「overflow」とは、射出成形によりマグネシウムリチウム合金の板が作製される際の型の出口付近の試験片であることを指す。
比較例1の試験片では、3サイクル目から皮膜外観腐食痕(斑模様)が見られるのに対し、実施例1の試験片では、6サイクル後でもほとんど腐食痕(斑模様)が見られなかった。この違いは、試験片(マグネシウムリチウム合金)の表面に非潮解性リチウム化合物が形成されているか否かの違いに起因する。すなわち、実施例1の試験片では、マグネシウムリチウム合金の表面のリチウムが十分に不活性化されているために、腐食が起こりにくくなっているのに対して、比較例1の試験片では、マグネシウムリチウム合金の表面のリチウムの不活性化が不十分であるために、腐食が起こりやすくなっていた。
なお、実施例2の試験片も、実施例1と同様に、腐食が起こりにくくなっていた。

実施例

0059

以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
マグネシウムリチウム合金の母材の表面に、リチウム塩を除く無機塩の水溶液に曝し、前記表面に非潮解性リチウム化合物を生じさせる工程を含むことを特徴とする部品の製造方法。
(付記2)
前記無機塩が、炭酸塩であり、前記非潮解性リチウム化合物が、炭酸リチウムである付記1に記載の部品の製造方法。
(付記3)
前記炭酸塩が、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カルシウムの少なくともいずれかである付記2に記載の部品の製造方法。
(付記4)
前記表面が、アンモニア存在下で前記水溶液に曝される付記1から3のいずれかに記載の部品の製造方法。
(付記5)
前記母材が、電子機器の筐体である付記1から4のいずれかに記載の部品の製造方法。
(付記6)
マグネシウムリチウム合金の母材の表面を、リチウム塩を除く無機塩の水溶液に曝し、前記表面に非潮解性リチウム化合物を生じさせる工程を含むことを特徴とする表面処理方法。
(付記7)
前記無機塩が、炭酸塩であり、前記非潮解性リチウム化合物が、炭酸リチウムである付記6に記載の表面処理方法。
(付記8)
前記炭酸塩が、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カルシウムの少なくともいずれかである付記7に記載の表面処理方法。
(付記9)
前記表面が、アンモニア存在下で前記水溶液に曝される付記6から8のいずれかに記載の表面処理方法。
(付記10)
前記母材が、電子機器の筐体である付記6から9のいずれかに記載の表面処理方法。
(付記11)
マグネシウムリチウム合金の母材の表面に非潮解性リチウム化合物を有することを特徴とする部品。
(付記12)
前記非潮解性リチウム化合物が、炭酸リチウムである付記11に記載の部品。
(付記13)
前記母材が、電子機器の筐体である付記11から12のいずれかに記載の部品。

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