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技術 車両の乗員保護装置

出願人 株式会社SUBARU
発明者 長澤勇
出願日 2016年3月22日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-056928
公開日 2017年9月28日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2017-170996
状態 特許登録済
技術分野 乗員・歩行者の保護 車両用シートベルト
主要キーワード 圧迫荷重 プリテンション機構 ラッゲージスペース プリテンション 乗員保護制御 リトラクタ装置 目標範囲 動力ユニット
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年9月28日)のものです。
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図面 (11)

課題

乗員の身体についてのストラップが当接する部位に対して作用する力を削減する。

解決手段

車両の乗員保護装置は、車両のシート5に着座した乗員の身体の前に掛け渡されるストラップ11と、ストラップ11を巻き取るプリテンショナと、プリテンショナによるストラップ11の巻き取りを制御する制御部30と、を有する。制御部30は、衝突前に、プリテンショナによるストラップ11の巻き取りを開始し、衝突時の衝撃により身体が前へ移動する前に、ストラップ11の巻き取りを一時的に緩め、衝突時の衝撃により身体が前へ移動する際に、再度、ストラップ11を巻き取る。

概要

背景

特許文献1から3は、自動車シート着座した乗員の前で掛け渡されるストラップを、衝突前または衝突時から巻き取るプリテンション機構を開示する。プリテンション動作により、シートに着座した乗員の背面は衝突前または衝突時からシートのバックレストに押し当てられ、衝突により乗員が前へ移動する際に乗員の姿勢を正すことができる。これにより、衝突時の衝撃荷重がストラップにより適切に拘束された状態の乗員に作用し易くなり、衝突時の乗員の保護性能を得ることが期待できる。

概要

乗員の身体についてのストラップが当接する部位に対して作用する力を削減する。車両の乗員保護装置は、車両のシート5に着座した乗員の身体の前に掛け渡されるストラップ11と、ストラップ11を巻き取るプリテンショナと、プリテンショナによるストラップ11の巻き取りを制御する制御部30と、を有する。制御部30は、衝突前に、プリテンショナによるストラップ11の巻き取りを開始し、衝突時の衝撃により身体が前へ移動する前に、ストラップ11の巻き取りを一時的に緩め、衝突時の衝撃により身体が前へ移動する際に、再度、ストラップ11を巻き取る。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

車両のシート着座した乗員の身体の前に掛け渡されるストラップと、前記ストラップを巻き取るプリテンショナと、衝突前にまたは衝突の際に前記プリテンショナにより前記ストラップの巻き取りを開始する制御部と、を有し、前記制御部は、前記ストラップの巻き取りを開始した後、衝突前に前記ストラップの巻き取りと緩めとを繰り返す、車両の乗員保護装置

請求項2

前記乗員の状態を検出する乗員状態センサ、を有し、前記制御部は、前記乗員状態センサにより検出された乗員の状態に応じて、前記プリテンショナによる前記ストラップの巻き取りと緩めとを繰り返す、請求項1記載の車両の乗員保護装置。

請求項3

乗員状態センサとして、前記ストラップに作用する張力を検出するベルト張力センサと、前記ストラップの巻取量を検出するベルト巻取センサと、を有し、前記制御部は、前記ベルト張力センサの検出値および前記ベルト巻取センサの検出値が、乗員の胸部変位に対応するベルト巻取量とベルト張力との対応関係に基づく目標範囲または目標値の範囲内となるように、前記プリテンショナによる前記ストラップの巻き取りと緩めとを繰り返す、請求項1または2記載の車両の乗員保護装置。

請求項4

前記制御部は、前記ベルト張力センサの検出値および前記ベルト巻取センサの検出値から演算される検出値の変化の傾きが、目標とする傾きに沿うように、前記プリテンショナによる前記ストラップの巻き取りと緩めとを繰り返す、請求項3記載の車両の乗員保護装置。

請求項5

前記制御部は、前記ベルト張力センサの検出値が、定常最大許容ベルト張力を超えないように、前記プリテンショナによる前記ストラップの巻き取りと緩めとを繰り返す、請求項3または4記載の車両の乗員保護装置。

請求項6

前記制御部は、前記ベルト張力センサの検出値が、前記定常最大許容ベルト張力より大きい瞬時最大許容ベルト張力を超えないように、前記プリテンショナによる前記ストラップの巻き取りと緩めとを繰り返す、請求項5記載の車両の乗員保護装置。

請求項7

前記制御部は、前記ベルト張力センサの検出値が、定常最大許容ベルト張力と定常最小許容ベルト張力との間に維持されるように、前記プリテンショナによる前記ストラップの巻き取りと緩めとを繰り返す、請求項3から6のいずれか一項記載の車両の乗員保護装置。

請求項8

前記目標範囲または前記目標値は、乗員の体形に応じて設定される、請求項3から7のいずれか一項記載の車両の乗員保護装置。

請求項9

前記車両の走行状況を検出する走行状況センサ、を有し、前記制御部は、前記走行状況センサの検出に基づいて衝突前に前記車両の衝突を予測すると、衝突前に、前記プリテンショナによる前記ストラップの巻き取りと緩めとを繰り返す、請求項1から8のいずれか一項記載の車両の乗員保護装置。

請求項10

時間を計測するタイマ、または前記車両の衝突または衝突による前記身体の移動を検出する衝撃センサ、を有し、前記制御部は、前記タイマにより計測される衝突までの予測時間が経過すると、または前記衝撃センサにより衝突が検出されると、前記ストラップの巻き取りと緩めとの繰り返しを終了し、その後に、前記ストラップを巻き取る、請求項1から9のいずれか一項記載の車両の乗員保護装置。

請求項11

前記制御部は、前記ストラップの巻き取りと緩めとの繰り返し制御において、前記シートに対する前記身体の拘束状態解除するように前記ストラップを送り出す、請求項1から10のいずれか一項記載の車両の乗員保護装置。

技術分野

0001

本発明は、たとえば自動車といった車両の乗員保護装置に関する。

背景技術

0002

特許文献1から3は、自動車のシート着座した乗員の前で掛け渡されるストラップを、衝突前または衝突時から巻き取るプリテンション機構を開示する。プリテンション動作により、シートに着座した乗員の背面は衝突前または衝突時からシートのバックレストに押し当てられ、衝突により乗員が前へ移動する際に乗員の姿勢を正すことができる。これにより、衝突時の衝撃荷重がストラップにより適切に拘束された状態の乗員に作用し易くなり、衝突時の乗員の保護性能を得ることが期待できる。

先行技術

0003

特開平10−167000号公報
特開2000−142321号公報
特開2011−152837号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、プリテンション機構では、ストラップを巻き取ることにより、身体をシートに押し付けて乗員の姿勢を正している。よって、衝突前の姿勢や体形によっては、身体の所望の部位に対して適切にストラップを架け渡すことができず、そのまま衝突荷重が身体に作用する可能性がある。たとえば通常よりも体格が良い場合、ストラップは胸部の前ではなく、腹部において掛け渡される可能性がある。また、体格が小さい場合、ストラップは、鎖骨の前ではなく、鎖骨より首寄りの部位の前を通過する可能性がある。

0005

このように車両の乗員保護装置では、乗員の身体に対してストラップが適切に掛け渡された状態で衝突荷重が作用する可能性を高めることが求められている。

課題を解決するための手段

0006

本発明に係る車両の乗員保護装置は、車両のシートに着座した乗員の身体の前に掛け渡されるストラップと、前記ストラップを巻き取るプリテンショナと、衝突前にまたは衝突の際に前記プリテンショナにより前記ストラップの巻き取りを開始する制御部と、を有し、前記制御部は、前記ストラップの巻き取りを開始した後、衝突前に前記ストラップの巻き取りと緩めとを繰り返す。

0007

好適には、前記乗員の状態を検出する乗員状態センサ、を有し、前記制御部は、前記乗員状態センサにより検出された乗員の状態に応じて、前記プリテンショナによる前記ストラップの巻き取りと緩めとを繰り返す、とよい。

0008

好適には、乗員状態センサとして、前記ストラップに作用する張力を検出するベルト張力センサと、前記ストラップの巻取量を検出するベルト巻取センサと、を有し、前記制御部は、前記ベルト張力センサの検出値および前記ベルト巻取センサの検出値が、乗員の胸部変位に対応するベルト巻取量とベルト張力との対応関係に基づく目標範囲または目標値の範囲内となるように、前記プリテンショナによる前記ストラップの巻き取りと緩めとを繰り返す、とよい。

0009

好適には、前記制御部は、前記ベルト張力センサの検出値および前記ベルト巻取センサの検出値から演算される検出値の変化の傾きが、目標とする傾きに沿うように、前記プリテンショナによる前記ストラップの巻き取りと緩めとを繰り返す、とよい。

0010

好適には、前記制御部は、前記ベルト張力センサの検出値が、定常最大許容ベルト張力を超えないように、前記プリテンショナによる前記ストラップの巻き取りと緩めとを繰り返す、とよい。

0011

好適には、前記制御部は、前記ベルト張力センサの検出値が、前記定常最大許容ベルト張力より大きい瞬時最大許容ベルト張力を超えないように、前記プリテンショナによる前記ストラップの巻き取りと緩めとを繰り返す、とよい。

0012

好適には、前記制御部は、前記ベルト張力センサの検出値が、定常最大許容ベルト張力と定常最小許容ベルト張力との間に維持されるように、前記プリテンショナによる前記ストラップの巻き取りと緩めとを繰り返す、とよい。

0013

好適には、前記目標範囲または前記目標値は、乗員の体形に応じて設定される、とよい。

0014

好適には、前記車両の走行状況を検出する走行状況センサ、を有し、前記制御部は、前記走行状況センサの検出に基づいて衝突前に前記車両の衝突を予測すると、衝突前に、前記プリテンショナによる前記ストラップの巻き取りと緩めとを繰り返す、とよい。

0015

好適には、時間を計測するタイマ、または前記車両の衝突または衝突による前記身体の移動を検出する衝撃センサ、を有し、前記制御部は、前記タイマにより計測される衝突までの予測時間が経過すると、または前記衝撃センサにより衝突が検出されると、前記ストラップの巻き取りと緩めとの繰り返しを終了し、その後に、前記ストラップを巻き取る、とよい。

0016

好適には、前記制御部は、前記ストラップの巻き取りと緩めとの繰り返し制御において、前記シートに対する前記身体の拘束状態解除するように前記ストラップを送り出す、とよい。

発明の効果

0017

本発明では、衝突前にまたは衝突の際に、プリテンショナによるストラップの巻き取りを開始する。プリテンション動作により乗員の身体を正し、その状態で衝突時の衝撃荷重から身体を支えることができる。しかも、本発明では、ストラップの巻き取りを開始した後、衝突前にストラップの巻き取りと緩めとを繰り返す。よって、ストラップは、正された乗員の身体に対して、適切な位置で掛け渡され得る。乗員の体形や姿勢によっては一度のストラップの巻き取りでは適切な位置で掛け渡すことができない場合でも、それを解消することができる。乗員の身体に対してストラップが適切に掛け渡された状態で衝突荷重が作用する可能性を高めることができる。
また、本発明では、衝突前にストラップの巻き取りと緩めとを繰り返すことにより、衝突前のプリテンション動作により身体に圧迫圧力が作用したとしても、それを衝突前にリセットして低減することができる。ストラップの当接部位に対して、プリテンションによる圧迫圧力と、展開したエアバッグによる圧迫荷重とがそのまま加算されて作用し難くなる。しかも、その後に衝突による衝撃荷重が作用したとしても、ストラップの当接部位に対してプリテンションによる圧迫圧力と衝突時の衝撃荷重とをそのまま加算した力が作用し難くなる。

図面の簡単な説明

0018

図1は、本発明の第1実施形態に係る自動車の説明図である。
図2は、図1の車体に設けられる車両の乗員保護装置の一例の説明図である。
図3は、一般的な乗員保護装置による乗員保護動作の一例の説明図である。
図4は、ベルト張力と胸部変位に対応するベルト巻取量との対応関係の一例を示す特性図である。
図5は、図2の乗員保護装置の制御系ブロック図である。
図6は、図5の制御部による乗員保護制御フローチャートである。
図7は、図6の制御による乗員保護動作の一例の説明図である。
図8は、乗員にストラップをフィットさせるためのストラップの巻取制御の一例を示すタイミングチャートである。
図9は、第2実施形態に係る乗員保護制御のフローチャートである。
図10は、第3実施形態による乗員保護制御のフローチャートである。

実施例

0019

以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。

0020

[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る自動車1の説明図である。自動車1は、車両の一例である。図1には、この他にも自動車1の前を走行する他の自動車1が図示されている。

0021

図1の自動車1は、前室2、乗員室3、および後室4からなる車体を有する。前室2には、エンジン電気モータ等の動力ユニットが配置される。後室4には、ラッゲージスペースが設けられる。乗員室3には、乗車した乗員が着座するシート5が設けられる。また、乗員室3において運転者用のシート5の前には、アクセルペダルブレーキペダルハンドルなどの操作部材が設けられる。自動車1は、運転者の操作に基づいて走行、停止、右左折する。

0022

図2は、図1の車体に設けられる車両の乗員保護装置の一例の説明図である。

0023

図2には、三点式のシートベルト装置10が図示されている。シートベルト装置10は、ストラップ11、アンカ12、タングプレート13、バックル14、リトラクタ装置15、ホルダ16、を有する。
ストラップ11は、シート5に着座した乗員の身体の前に掛け渡されるベルトである。
アンカ12は、ストラップ11の先端を、シート5の座面の外側位置で固定する。
タングプレート13には、ストラップ11が通される。
バックル14は、シート5の座面の内側位置に固定される。タングプレート13は、バックル14に対して取外し可能に取り付けられる。
リトラクタ装置15は、ストラップ11を巻き取るリール17と、リール17を任意のトルク正逆回転駆動するモータ18と、リール17を瞬時に巻取方向へ回転させる図示外のガス発生装置と、を有する。モータ18およびガス発生装置は、衝突前からストラップ11を巻き取るプリテンショナとして機能し得る。
リトラクタ装置15は、たとえばBピラー下部といった、シート5の外下方の位置に設けられる。
ホルダ16は、たとえばBピラー上部といった、シート5の外上方の位置に設けられる。ホルダ16には、ストラップ11が通される。
そして、シート5に着座した乗員は、たとえばタングプレート13を引いてリトラクタ装置15からストラップ11を引き出し、タングプレート13をバックル14に取り付ける。これにより、ストラップ11は、ホルダ16からバックル14へ向かって延び、さらにバックル14からアンカ12へ向かって延び、シート5に着座した乗員の腰部および胸部の前に掛け渡される。

0024

図3は、一般的な乗員保護装置による乗員保護動作の一例の説明図である。
衝突前は、図3(A)に示すように、シートベルト装置10のストラップ11が、シート5に着座した乗員の前に掛け渡されている。この時点で、ストラップ11は、緩んでいてよく、乗員の身体をシート5に押し付けるように拘束していなくてよい。
次に、たとえば衝突が予想されると、図3(B)に示すように、リトラクタ装置15のプリテンショナが作動し、ストラップ11を巻き取る。これにより、乗員の身体は、シート5に押し付けるように拘束され得る。また、リトラクタ装置15は、所定以下のトルクでは繰り出されないようにストラップ11を保持する。
次に、実際に車体がたとえば図1の他の自動車1に追突すると、図3(C)に示すように、シート5に着座した乗員の身体は、相対的にシート5から前へ移動しようとする。

0025

このように、衝突前のプリテンション動作により、シート5に着座した乗員の背面は、衝突前または衝突時からシート5のバックレストに押し当てられる。衝突により乗員が前へ移動する際に乗員の姿勢を正すことができる。衝突時の衝撃荷重がストラップ11により適切に拘束された状態の乗員に作用し易くなり、衝突時の乗員の保護性能を得ることが期待できる。
しかしながら、プリテンション機構では、ストラップ11を巻き取ることにより、身体をシート5に押し付けて乗員の姿勢を正している。よって、衝突前の姿勢や体形によっては、身体の所望の部位に対して適切にストラップ11を架け渡すことができず、そのまま衝突荷重が身体に作用する可能性がある。
このように車両の乗員保護装置では、乗員の身体に対してストラップ11が適切に掛け渡された状態で衝突荷重が作用する可能性を高めることが求められている。

0026

図4は、ベルト張力とベルト巻取量との対応関係の一例を示す特性図である。
横軸は、ベルト張力であり、縦軸は、ベルト巻取量である。
図4には、乗員に対してストラップ11が適切な位置で掛け渡される良好な関係を示す実線と、良好でない場合を示す破線と、が図示されている。
乗員に対してストラップ11が適切な位置で掛け渡されている場合、当初は、ストラップ11が巻き取られる程に、ベルト張力が大きくなる。そして、乗員に対して適切な拘束力を発揮すると、ストラップ11の巻取量が変化しないまま、ベルト張力が大きくなるようになる。
これに対し、ストラップ11がたとえば腹部に掛け渡されている場合などにおいては、ストラップ11を巻き取っても、ベルト張力が変化し難い傾向なり、図での傾きが大きくなる。
この他にもたとえば、ストラップ11がたとえば肩を通過するように適切に掛け渡されていない場合には、ストラップ11の巻取量がいつまでたっても変化し続けるようになる。
このように、ストラップ11による乗員の拘束状態は、ベルト張力とベルト巻取量との対応関係によりある程度把握することができる。

0027

図5は、図2の乗員保護装置の制御系のブロック図である。

0028

図5の制御系は、撮像デバイス21、車両加速度センサ22、車両速度センサ23、ブレーキ操作センサ24、車両角速度センサ25、ベルト張力センサ26、ベルト巻取量センサ27、着座センサ28、タイマ29、およびこれらが接続された制御部30、を有する。また、図5には、制御部30に接続された制御対象であるシートベルト装置10とエアバッグ装置35とが併せて図示されている。

0029

撮像デバイス21は、たとえば一対の撮像素子であり、図1に示すように乗員室3のルーフ前向きに設けられ、車両の前方の周辺状況撮像により観測する。制御部30は、撮像された画像から、車両の周辺状況として、たとえば車両前方の他の自動車1などの障害物を特定し、該障害物の衝突の可能性を判断し得る。これにより、衝突前の車両の走行状況を検出し得る。

0030

車両加速度センサ22は、車体に固定して設けられ、車両の走行状況として車両に作用する加速度を検出する。これにより、衝突前の車両の減速を検出し得る。また、衝突時には大きな減速が生じることから、車両の衝突を検出し得る。

0031

車両速度センサ23は、車体に固定して設けられ、車両の走行状況として車両の速度を検出する。

0032

ブレーキ操作センサ24は、乗員室3内に設けられ、乗員によるブレーキペダルの踏み込み操作を検出する。これにより、衝突前の車両の減速操作を検出し得る。

0033

車両角速度センサ25は、車体に固定して設けられ、車両の走行状況として車両の速度を検出する。

0034

ベルト張力センサ26は、たとえばリトラクタ装置15に設けられ、ストラップ11に作用する張力を検出する。これより、追突時に相対的に前へ移動する乗員の身体の動き、または、その身体の動きによりストラップ11に作用する張力を検出し得る。

0035

ベルト巻取量センサ27は、たとえばリトラクタ装置15に設けられ、ストラップ11の巻取量を検出する。

0036

着座センサ28は、たとえばシート5の座面に設けられ、乗員のシート5への着座、着座位置を検出する。

0037

タイマ29は、時間を計測する。

0038

制御部30は、これらセンサの検出信号に基づいて、シートベルト装置10による乗員保護動作を制御する。制御部30は、たとえば、衝突予想に基づいて衝突前制御を実施し、衝突検出に基づいて衝突時制御を実施する。

0039

図6は、図5の制御部30による乗員保護制御のフローチャートである。制御部30は、図6の処理を繰り返し実行して、プリテンショナによるストラップ11の巻き取りを制御する。
図7は、図6の制御による乗員保護動作の一例の説明図である。図7(A)から図7(E)へ向かう順番で時間が流れる。そして、図7(E)のタイミングで、自動車1は他の自動車1に衝突する。

0040

図6に示すように、制御部30は、周期的に、衝突の可能性を判断する(ステップST1)。制御部30は、回避が容易ではない衝突の可能性を判断してもよい。
たとえば、制御部30は、撮像デバイス21により撮像された車両前方の画像から、車両前方の他の自動車1などの障害物を特定する。また、障害物が特定された場合、衝突の可能性を判断する。衝突の可能性がある場合、衝突までの時間を予測する。たとえば車幅方向に並んだ一対の撮像素子の画像の間では、近くにある障害物の見え方が異なる。よって、この一対の画像中での障害物の違いに基づいて、近くにある障害物を特定することができる。また、一対の撮像素子の配置と、一対の画像中の障害物の撮像位置とから、三角法により障害物の方向および距離を演算し得る。この距離と車両速度センサ23による車速とから、車両が障害物に到達して衝突するまでの時間を演算し得る。また、制御部30は、さらに時間的に前後する複数組の障害物の方向および距離の情報から、障害物の移動方向および距離を予測し、その予測結果に基づいて障害物との衝突を予測してもよい。
この他にもたとえば、制御部30は、車両加速度センサ22により検出される衝突回避のための急激な車両の減速や、ブレーキ操作センサ24により検出される衝突回避のための急激な減速操作に基づいて、衝突の可能性を判断してもよい。

0041

そして、衝突の可能性を予想した場合、制御部30は、衝突前に、プリテンショナによるストラップ11の巻き取りを開始する(ステップST2)。この場合、制御部30は、モータ18を巻取り方向へ駆動させればよい。これにより、衝突前に、乗員の身体の前に掛け渡されたストラップ11の巻き取りが開始される。乗員の身体は、ストラップ11により拘束されて、シート5に押し付けられる。乗員の身体は、シート5に背部が触れた正しい姿勢に矯正される。たとえば図7(A)のようにシート5から前へ離れている乗員の上体は、図7(B)のように、ストラップ11により拘束されることにより衝突前にシート5に押し付けられる。
逆に、衝突の可能性が予想されない場合、制御部30は、図6の処理を終了する。

0042

ストラップ11の巻き取りを開始した後、制御部30は、図7(C)および図7(D)に示すように、衝突前に、乗員状態センサにより検出された乗員の状態に応じて、目標の値に沿って、プリテンショナによるストラップ11の巻き取りと緩めとを繰り返す(ステップST3)。
具体的には、制御部30は、ベルト張力センサ26の検出値およびベルト巻取量センサ27の検出値が、乗員を適切に拘束した場合のベルト巻取量とベルト張力との対応関係に基づく目標値またはその範囲内となるように、プリテンショナによるストラップ11の巻き取りと緩めとを繰り返す。
そして、ストラップ11を緩める場合、制御部30は、ストラップ11を巻き取るトルクを下げるだけでなく、シート5に対する身体の拘束状態を解除するようにストラップ11を送り出してよい。
また、目標範囲または目標値は、乗員の体形に応じて設定されてよい。
このようにストラップ11が緩められることにより、またはその後に再度巻き取られることにより、乗員の身体に対するストラップ11の掛け渡し位置は、乗員の体形に応じて上下へずれることができる。そして、図7(B)に示すように適切に着座するように姿勢が矯正された乗員についてのたとえば上体に対するストラップ11の掛け渡し位置は、腹部ではなく胸部となり、また、肩上を通過するように斜めに掛け渡されるように変化することができる。ストラップ11の掛け渡し位置は、図7(B)の腹部から、図7(D)の胸部へ変化することができる。

0043

また、この繰り返し制御において、制御部30は、ベルト張力センサ26の検出値が、定常最大許容ベルト張力の値を超えないように、プリテンショナによるストラップ11の巻き取りと緩めとを繰り返す。
また、制御部30は、ベルト張力センサ26の検出値が、定常最大許容ベルト張力より大きい瞬時最大許容ベルト張力の値を超えないように、プリテンショナによるストラップ11の巻き取りと緩めとを繰り返す。
また、制御部30は、ベルト張力センサ26の検出値が、定常最大許容ベルト張力の値と定常最小許容ベルト張力の値との間に維持されるように、プリテンショナによるストラップ11の巻き取りと緩めとを繰り返す。
これらの制御により、繰り返し制御中であっても、ベルト張力が、定常的にまたは瞬時的に目標の値を超えてしまうことを予防できる。

0044

図8は、乗員にストラップ11をフィットさせるためのストラップ11の巻取制御の一例を示すタイミングチャートである。
横軸は時間であり、縦軸はベルト張力である。
そして、図8の場合、最初の巻取では、ストラップ11がたとえば腹部に掛け渡されていてストラップ11を巻き取ってもベルト張力が大きく変化していない。
回目の巻取では、ベルト張力の変化が1回目より大きくなり、特性線の傾きも1回目より大きくなっている。
3回目の巻取では、ベルト張力の変化が2回目より大きくなり、特性線の傾きも2回目より大きく適切になっている。図4に示す適切な場合に対応する傾きになっている。この場合、乗員に対してストラップ11が適切な位置で掛け渡されていると考えられる。
制御部30は、このように適切に掛け渡された場合に、ストラップ11の巻き取りと緩めとの繰り返しを終了してもよい。

0045

また、制御部30は、衝突を検出する(ステップST4)。
そして、衝突が検出されると、制御部30は、終了していないストラップ11の巻き取りと緩めとの繰り返しの制御を終了し(ステップST5)、その後に、前記ストラップ11を巻き取る(ステップST6)。
矯正後に図7(D)のようにストラップ11により適切に拘束された乗員の身体は、図7(E)の衝突時には、巻き取られるストラップ11により適切に拘束して支持され得る。

0046

以上のように、本実施形態では、衝突前にまたは衝突の際に、プリテンショナによるストラップ11の巻き取りを開始する。プリテンション動作により乗員の身体を正し、その状態で衝突時の衝撃荷重から身体を支えることができる。しかも、本発明では、ストラップ11の巻き取りを開始した後、衝突前にストラップ11の巻き取りと緩めとを繰り返す。よって、ストラップ11は、正された乗員の身体に対して、適切な位置で掛け渡され得る。乗員の体形や姿勢によっては一度のストラップ11の巻き取りでは適切な位置で掛け渡すことができない場合でも、それを解消することができる。乗員の身体に対してストラップ11が適切に掛け渡された状態で衝突荷重が作用する可能性を高めることができる。
また、本実施形態では、衝突前にストラップ11の巻き取りと緩めとを繰り返すことにより、衝突前のプリテンション動作により身体に圧迫圧力が作用したとしても、それを衝突前にリセットして低減することができる。ストラップ11の当接部位に対して、プリテンションによる圧迫圧力と、展開したエアバッグ37による圧迫荷重とがそのまま加算されて作用し難くなる。しかも、その後に衝突による衝撃荷重が作用したとしても、ストラップ11の当接部位に対してプリテンションによる圧迫圧力と衝突時の衝撃荷重とをそのまま加算した力が作用し難くなる。

0047

[第2実施形態]
本発明の第2実施形態は、乗員保護制御において第1実施形態と相違する。以下には、主に第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態と共通する構成および動作の説明は省略する。

0048

図9は、第2実施形態に係る乗員保護制御のフローチャートである。

0049

図9に示すように、制御部30は、周期的に、衝突前に衝突の可能性を判断する(ステップST11)。制御部30は、回避が容易ではない衝突の可能性を判断してもよい。
衝突の可能性を予想した場合、制御部30は、衝突前に、プリテンショナによるストラップ11の巻き取りを開始する(ステップST12)。この場合、制御部30は、モータ18を巻取り方向へ駆動させればよい。
逆に、衝突の可能性が予想されない場合、制御部30は、図6の処理を終了する。

0050

ストラップ11の巻き取りを開始した後、制御部30は、衝突前に、乗員状態センサにより検出された乗員の状態に応じて、目標の傾きに沿って、プリテンショナによるストラップ11の巻き取りと緩めとを繰り返す(ステップST13)。
ここで、制御部30は、ベルト張力センサ26の検出値およびベルト巻取量センサ27の検出値から演算される検出値の変化の傾きが、目標とする傾きに沿うように、プリテンショナによるストラップ11の巻き取りと緩めとを繰り返す。

0051

また、制御部30は、衝突を検出する(ステップST14)。
そして、衝突が検出されると、制御部30は、終了していないストラップ11の巻き取りと緩めとの繰り返しの制御を終了し(ステップST15)、その後に、前記ストラップ11を巻き取る(ステップST16)。
これにより、予測時間に前後して車両が衝突する場合、適切な位置に修正され得たストラップ11により乗員を支えることが可能になる。

0052

[第3実施形態]
本発明の第3実施形態は、乗員保護制御において第1実施形態と相違する。以下には、主に第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態と共通する構成および動作の説明は省略する。

0053

図10は、第3実施形態による乗員保護制御のフローチャートである。

0054

図10に示すように、制御部30は、周期的に、衝突前に衝突の可能性を判断する(ステップST21)。制御部30は、回避が容易ではない衝突の可能性を判断してもよい。
衝突の可能性を予想した場合、制御部30は、衝突前に、プリテンショナによるストラップ11の巻き取りを開始する(ステップST22)。この場合、制御部30は、モータ18を巻取り方向へ駆動させればよい。
逆に、衝突の可能性が予想されない場合、制御部30は、図6の処理を終了する。

0055

ストラップ11の巻き取りを開始した後、制御部30は、衝突前に、乗員状態センサにより検出された乗員の状態に応じて、目標の値に沿って、プリテンショナによるストラップ11の巻き取りと緩めとを繰り返す(ステップST23)。
なお、制御部30は、目標の傾きに沿って、または、これらの双方に沿って、プリテンショナによるストラップ11の巻き取りと緩めとを繰り返してもよい。

0056

また、制御部30は、衝突までの予測時間を演算し(ステップST24)、タイマ29に計測させる。
そして、その予測時間が経過すると(ステップST25)、制御部30は、ストラップ11の巻き取りと緩めとの繰り返しを終了し(ステップST26)、ストラップ11を巻き取る(ステップST27)。
これにより、予測時間に前後して車両が衝突する場合、適切な位置に修正され得たストラップ11により乗員を支えることが可能になる。

0057

以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。

0058

1…自動車(車両)
2…前室
3…乗員室
4…後室
5…シート
10…シートベルト装置
11…ストラップ
12…アンカ
13…タングプレート
14…バックル
15…リトラクタ装置
16…ホルダ
17…リール
18…モータ
21…撮像デバイス
22…車両加速度センサ
23…車両速度センサ
24…ブレーキ操作センサ
25…車両角速度センサ
26…ベルト張力センサ
27…ベルト巻取量センサ
28…着座センサ
29…タイマ
30…制御部
35…エアバッグ装置

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