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技術 レーザ加工装置、三次元造形装置、及びレーザ加工方法

出願人 株式会社豊田中央研究所
発明者 長谷川和男加藤覚市川正米村正寿
出願日 2016年3月18日 (4年0ヶ月経過) 出願番号 2016-056211
公開日 2017年9月28日 (2年6ヶ月経過) 公開番号 2017-170454
状態 特許登録済
技術分野 プラスチック等のその他の成形、複合成形(変更なし) 粉末冶金
主要キーワード 加工周波数 ヘテロダイン効果 溶融スポット 照射プロファイル 包絡成分 軟鋼材 遮蔽ガス 非重畳領域
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

被加工物への入熱プロファイルをより精度よく制御することを可能とすると共に、エネルギー効率のより高い加工を実現するレーザ加工装置三次元造形装置、及びレーザ加工方法を提供すること。

解決手段

複数のレーザ光源14、16と、複数のレーザ光源14、16の各々の光束L1、L2を集光して被加工物Wに複数の集光点S1、S2を形成する共に、複数の集光点S1、S2の各々の少なくとも一部が重なるように集光する集光部12と、を備えている。

概要

背景

レーザ加工装置においては、加工特性の向上、とりわけエネルギー効率を高める検討が種々行われている状況下、複数のビームスポット、あるいは複数の波長を用いたレーザ加工装置の検討も行われている。そのような検討の一例として、例えば、非特許文献1に開示されたものが知られている。非特許文献1に開示されたレーザ加工装置は、レーザ光源ビームを空間的に分割することにより、入熱分布を制御して加工特性の向上を図っている。すなわち、1つのビームに対して、焦点位置の異なる光学系(集光レンズ)を用いて、入熱を制御し、切断、溶接等の加工を行っている。なお、「入熱」とは、加工に際し、外部から加工点及びその近傍に付与される熱量をいう。

また、エネルギー効率の向上が検討されたレーザ加工装置の他の例として、非特許文献2に開示されたものが知られている。非特許文献2に開示されたレーザ加工装置は複数の波長の光源を用いたものであり、半導体レーザからの光と、YAGレーザからの光とを1本のマルチモードファイバで同じ集光点照射している。非特許文献2に開示されたレーザ加工装置では、半導体レーザ単独の光の波長が、Al(アルミニウム)材に対して吸収効率が良いことを利用している。

概要

被加工物への入熱プロファイルをより精度よく制御することを可能とすると共に、エネルギー効率のより高い加工を実現するレーザ加工装置、三次元造形装置、及びレーザ加工方法を提供すること。複数のレーザ光源14、16と、複数のレーザ光源14、16の各々の光束L1、L2を集光して被加工物Wに複数の集光点S1、S2を形成する共に、複数の集光点S1、S2の各々の少なくとも一部が重なるように集光する集光部12と、を備えている。

目的

本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、被加工物への入熱プロファイルをより精度よく制御することを可能とすると共に、エネルギー効率のより高い加工を実現するレーザ加工装置、三次元造形装置、及びレーザ加工方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

複数のレーザ光源と、前記複数のレーザ光源の各々の光束を集光して被加工物に複数の集光点を形成する共に、前記複数の集光点の各々の少なくとも一部が重なるように集光する集光部と、を備えたレーザ加工装置

請求項2

前記複数のレーザ光源の各々のレーザ光波長が同じであると共に前記複数の集光点の大きさが互いに異なり、一の集光点の内部に他の集光点が包含されている請求項1に記載のレーザ加工装置。

請求項3

前記複数のレーザ光源の各々が1つのレーザ光源から分岐されたものである請求項2に記載のレーザ加工装置。

請求項4

レーザ加工を行うに際し、2つの前記集光点が重なった領域で前記被加工物を溶融させた後、2つの前記集光点が重なっていない領域で入熱プロファイルを制御する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。

請求項5

前記複数のレーザ光源の各々のレーザ光は互いに波長が異なると共に前記複数の集光点の大きさが互いに異なり、一の集光点の内部に他の集光点が包含されている請求項1に記載のレーザ加工装置。

請求項6

前記複数のレーザ光源は、互いに波長の異なる2つのレーザ光源であり、レーザ加工を行うに際し、2つの前記集光点が重なった領域で前記被加工物を溶融させた後、2つの前記集光点が重なっていない領域で入熱プロファイルを制御する請求項1又は請求項5に記載のレーザ加工装置。

請求項7

前記集光部は、複数の前記光束の各々を集光させる光学系を含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。

請求項8

積層物を形成する積層加工を行うための部材を供給する部材供給部を備えた積層加工部と、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のレーザ加工装置と、を備え、前記積層加工部は、前記部材供給部及び前記光束と、前記積層物と、を相対的に移動させつつ前記部材供給部から前記積層物上に前記部材を供給し、供給された前記部材に前記光束を照射して積層加工を行う三次元造形装置

請求項9

複数のレーザ光源と、前記複数のレーザ光源の各々の光束を集光して被加工物に複数の集光点を形成する集光部と、を備えたレーザ加工装置による加工方法であって、前記集光部により、前記複数の集光点の各々の少なくとも一部が重なるように集光するレーザ加工方法

請求項10

前記複数のレーザ光源は、互いに波長の異なる2つのレーザ光源であり、2つの前記集光点が重なった領域で前記被加工物を溶融させ、2つの前記集光点が重なっていない領域で入熱プロファイルを制御する請求項9に記載のレーザ加工方法。

技術分野

0001

本発明は、レーザ加工装置三次元造形装置、及びレーザ加工方法に関する。

背景技術

0002

レーザ加工装置においては、加工特性の向上、とりわけエネルギー効率を高める検討が種々行われている状況下、複数のビームスポット、あるいは複数の波長を用いたレーザ加工装置の検討も行われている。そのような検討の一例として、例えば、非特許文献1に開示されたものが知られている。非特許文献1に開示されたレーザ加工装置は、レーザ光源ビームを空間的に分割することにより、入熱分布を制御して加工特性の向上を図っている。すなわち、1つのビームに対して、焦点位置の異なる光学系(集光レンズ)を用いて、入熱を制御し、切断、溶接等の加工を行っている。なお、「入熱」とは、加工に際し、外部から加工点及びその近傍に付与される熱量をいう。

0003

また、エネルギー効率の向上が検討されたレーザ加工装置の他の例として、非特許文献2に開示されたものが知られている。非特許文献2に開示されたレーザ加工装置は複数の波長の光源を用いたものであり、半導体レーザからの光と、YAGレーザからの光とを1本のマルチモードファイバで同じ集光点照射している。非特許文献2に開示されたレーザ加工装置では、半導体レーザ単独の光の波長が、Al(アルミニウム)材に対して吸収効率が良いことを利用している。

先行技術

0004

J.Xie, Welding Journal 223-S, 2002
K.Miura et al., JLMN-Journal of Laser Micro/Nanoengineering, Vol.6(3), 225-230, 2011

発明が解決しようとする課題

0005

ところで、複数のビームスポット、あるいは複数の波長を用いたレーザ加工装置では、複数のビームスポットの間の、あるは複数の波長の間の相乗効果を利用することが加工特性の向上において重要な技術となると考えられる。

0006

この点、非特許文献1に開示されたレーザ加工装置のように単一波長レーザビームを分割することで実現した光学系では、単に複数のビームスポットが存在するだけで、複数のビームスポットの相乗効果は期待できない。つまり、非特許文献1に開示されたレーザ加工装置では、集光点において同じ波長の2つのビームが重なっているだけであるから、例えば干渉によるヘテロダイン効果のような現象は発生しない。従って、ビーム重畳による吸収特性の向上は期待できない。

0007

また、非特許文献2に開示されたレーザ加工装置では異なるレーザ光源からのレーザ光を用いているものの、マルチモードファイバを伝搬させた後ではヘテロダイン効果のような相互作用は発生しない。また、同じ出射端から得られた複数のレーザビームを同じレンズ集光する場合、集光点での入熱プロファイルを制御することは困難である。レーザ加工装置の加工特性は、一般にレーザ光の波長(つまり、単独の吸収特性)と被加工物の吸収特性で決まり、その際の入熱分布は、主として照射プロファイルで決定される。

0008

本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、被加工物への入熱プロファイルをより精度よく制御することを可能とすると共に、エネルギー効率のより高い加工を実現するレーザ加工装置、三次元造形装置、及びレーザ加工方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

上記目的を達成するために、請求項1に記載のレーザ加工装置は、複数のレーザ光源と、前記複数のレーザ光源の各々の光束を集光して被加工物に複数の集光点を形成する共に、前記複数の集光点の各々の少なくとも一部が重なるように集光する集光部と、を備えたものである。

0010

また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記複数のレーザ光源の各々のレーザ光は波長が同じであると共に前記複数の集光点の大きさが互いに異なり、一の集光点の内部に他の集光点が包含されているものである。

0011

また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記複数のレーザ光源の各々が1つのレーザ光源から分岐されたものである。

0012

また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、レーザ加工を行うに際し、2つの前記集光点が重なった領域で前記被加工物を溶融させた後、2つの前記集光点が重なっていない領域で入熱プロファイルを制御するものである。

0013

また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記複数のレーザ光源の各々のレーザ光は互いに波長が異ると共に前記複数の集光点の大きさが互いに異なり、一の集光点の内部に他の集光点が包含されているものである。

0014

また、請求項6に記載の発明は、請求項1又は請求項5に記載の発明において、前記複数のレーザ光源は、互いに波長の異なる2つのレーザ光源であり、レーザ加工を行うに際し、2つの前記集光点が重なった領域で前記被加工物を溶融させた後、2つの前記集光点が重なっていない領域で入熱プロファイルを制御するものである。

0015

また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の発明において、前記集光部は、複数の前記光束の各々を集光させる光学系を含むものである。

0016

上記目的を達成するために、請求項8に記載の三次元造形装置は、積層物を形成する積層加工を行うための部材を供給する部材供給部を備えた積層加工部と、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のレーザ加工装置と、を備え、前記積層加工部は、前記部材供給部及び前記光束と、前記積層物と、を相対的に移動させつつ前記部材供給部から前記積層物上に前記部材を供給し、供給された前記部材に前記光束を照射して積層加工を行うものである。

0017

上記目的を達成するために、請求項9に記載のレーザ加工方法は、複数のレーザ光源と、前記複数のレーザ光源の各々の光束を集光して被加工物に複数の集光点を形成する集光部と、を備えたレーザ加工装置による加工方法であって、前記集光部により、前記複数の集光点の各々の少なくとも一部が重なるように集光するものである。

0018

また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記複数のレーザ光源は、互いに波長の異なる2つのレーザ光源であり、2つの前記集光点が重なった領域で前記被加工物を溶融させ、2つの前記集光点が重なっていない領域で入熱プロファイルを制御するものである。

発明の効果

0019

本発明によれば、被加工物への入熱プロファイルをより精度よく制御することを可能とすると共に、エネルギー効率のより高い加工を実現するレーザ加工装置、三次元造形装置、及びレーザ加工方法を提供することができるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

0020

第1の実施の形態に係るレーザ加工装置の構成の一例、及びレーザ加工装置のビームスポットの一例を示す図である。
実施の形態に係るレーザ加工装置の原理を説明する図である。
第2の実施の形態に係るレーザ加工装置の構成の一例を示す図である。
第3の実施の形態に係るレーザ加工装置の構成の一例を示す図である。
第4の実施の形態に係るレーザ加工装置の構成の一例を示す図である。
第5の実施の形態に係る3Dプリンタの構成の一例を示す図である。

実施例

0021

以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。

0022

[第1の実施の形態]
図1及び図2を参照して本実施の形態に係るレーザ加工装置10について説明する。図1(a)に示すように、レーザ加工装置10は、光学系12、レーザ光源14、及びレーザ光源16を備えている。なお、本発明では、複数の波長の光源を用いることができるが、本実施の形態では2つの波長を用いた形態を例示して説明する。

0023

レーザ光源14及びレーザ光源16は、加工に際しての熱を供給する熱源であり、本実施の形態では、固体レーザファイバレーザ等、特に限定されることなく用いることができる。本実施の形態では、レーザ光源14の波長はλ1であり、レーザ光源16の波長はλ2であり、両波長は異なるものとされている(λ1≠λ2)。波長λ1、λ2としては、例えば1.00μm帯の波長とすることができる。また、レーザ光源14及び16はCW(Continuous Wave)を基本とするが、パルス光であってもよい。さらに、本実施の形態に係るレーザ光源14及び16のレーザ光の偏光状態直線偏光としている。ただし、これに限られず加工効率等を案して、円偏光としてもよいし、一方レーザ光源を円偏光とし、他方のレーザ光源を直線偏光としてもよい。

0024

光学系12は、レーザ光源14から出射した光、及びレーザ光源16から出射した光の各々を独立して集光させる部位である。図1(a)に示すように、光学系12は、レーザ光源14から出射した光束L1を集光するレンズ18及びレンズ20、レーザ光源16から出射した光束L2を集光するレンズ22及びレンズ24を含んで構成されている。

0025

図1(a)に示すように、レーザ光源14から出射した光束L1、及びレーザ光源16から出射した光束L2の各々は、光学系12で集光された後、被加工物Wの表面に集光され、加工点P(被加工物Wに対する加工が施される領域)に各レーザビームのスポット(集光点)が重畳されたスポットであるスポットSを形成する。なお、被加工物Wへの重畳スポットSの形成位置は、必ずしも被加工物Wの表面に限られず、被加工物Wの材質等に応じて、被加工物Wの内部に形成してもよい。

0026

図1(b)に重畳スポットSの拡大図を示す。図1(b)に示すように、本実施の形態に係る重畳スポットSは、レーザ光源14(光束L1)によるスポットS1と、レーザ光源16(光束L2)によるスポットS2が重畳されて形成されている。重畳スポットSにおいては、スポットS1とS2とが重畳された領域のエネルギー密度は、重畳されていない領域のエネルギー密度よりも高い。図1(b)に示すように、本実施の形態では、スポットS2がスポットS1を包含するようにして重畳スポットSが形成される形態としているが、スポットS1とスポットS2との重畳形態はこれに限られない。また、本実施の形態では、スポットS、S1、S2の形状について円形状を例示して説明するが、これに限られず、加工内容等に応じて直線状、矩形形状等適切な形状を選択してよいし、各々のスポットの形状が異なっていてもよい。なお、スポットS1とスポットS2との重畳形態の詳細については後述する。

0027

図1(c)に示すように、重畳スポットSにおいて、スポットS1とスポットS2とが重畳している領域(図1(c)では、スポットS1の領域)を「重畳領域OA」、スポットS1とスポットS2とが重畳していない領域(図1(c)では、スポットS2のみの領域)を「非重畳領域NA」ということにする。また、スポットS1の集光径(スポットサイズ)R1、及びスポットS2の集光径(スポットサイズ)R2を図1(c)に示すように定義する。本実施の形態に係る集光径は、一例として、R1=50μm、R2=100μmである。

0028

ところで、金属などの被加工物の切断加工溶接加工では、一般に被加工物の表面におけるレーザ光の反射率が高いため、レーザ光源からのエネルギーを有効に使うことが難しい。一方、レーザ光の照射によって被加工物の表面の一部が溶融し始めることで、レーザ光の吸収効率を高めることが出来る。

0029

そこで、本実施の形態では、2つのスポットS1、S2を重畳させた重畳スポットSを加工点Pに集光させ、まず、集光性の高い(エネルギー密度の高い)重畳領域OAにおいて僅かな溶融を発生させる。このことにより、1つのレーザビームを集光させ、集光されたレーザビームで被加工物Wの表面を溶融し、その同じビームプロファイルでそのまま切断加工、溶接加工をするよりも加工特性が向上する。しかも、非重畳領域NAによって、本来の切断加工や溶接加工を実現するのに適したビームプロファイルを独立して制御することができるので、エネルギー効率の高い加工を行うことが可能となる。

0030

さらに、本実施の形態では、2つの異なる波長のレーザ光のスポットが重畳された領域である重畳領域OAにおいて、2つのレーザ光の干渉によるヘテロダイン干渉を発生させ、このヘテロダイン干渉をレーザ加工に利用している。

0031

すなわち、2つのレーザビームを用いた本実施の形態では、波長λ1、λ2(換言すれば、光周波数ω1、ω2)のレーザビームを重畳させることによりヘテロダイン干渉を発生させる。そして、周波数(ω1+ω2)/2で表現されるキャリア成分と、(ω1−ω2)/2で表現される包絡成分との重畳ビームを生成させる。加工条件に応じた周波数ω1、ω2を選択することにより、キャリア成分の周波数(ω1+ω2)/2を、あたかも被加工物Wの吸収特性に影響のある第三の波長λ3として作用させ、包絡成分の周波数(ω1−ω2)/2により加工特性を制御する。このことにより、エネルギー効率が向上された新たな波長が導入されたに等しいレーザ加工を実現することができる。つまり、重畳領域OAの吸収特性は、上記キャリア周波数と被加工物の吸収特性から決まり、キャリア周波数を適切に選択することによって、重畳領域OAにおける吸収特性を高めることができる。また、必要に応じ、キャリア周波数を、あえて重畳領域OAで反射率が高くなるように設定することも可能である。この際、波長λ1とλ2の組み合わせは、被加工物Wの吸収波長特性を勘案することにより、適切に選択することができる。

0032

図2を参照して、本実施の形態に係るヘテロダイン効果、すなわち、キャリア成分及び包絡成分の発生について、より詳細に説明する。2つの波長の異なるレーザ光の電界分布を、以下に示す(式1)及び(式2)で表現する。

0033

(式1)及び(式2)示される電界分布を有する2つのレーザ光を、被加工物の表面で合波、干渉させたときの電磁界は、(式1)と(式2)とを乗算することにより、以下に示す(式3)で表される。ただし、(式3)を求めるに際しては、議論単純化するためにE0=E1=E2とした。

0034

(式3)より、周波数ωc=(ω1+ω2)/2で表現されるキャリア成分による電界分布と、周波数ωe=(ω1−ω2)/2で表現される包絡成分による電界成分とが発生することがわかる。図2(a)は、上記キャリア成分Car、及び包絡成分Envを、横軸に時間、縦軸電界Eをとって図示したものである。レーザ加工装置10の加工に用いる周波数(加工周波数)をωcとした場合、図2(a)から、加工周波数ωcが包絡成分の周波数ωeで高速強度変調されているともいえる。つまり、重畳領域OAでは、材料に対する反射率特性あるいは吸収特性は周波数ωcのレーザ光の特性と同様であり、しかもこの周波数ωcのレーザ光が、周波数ωeで強度変調されているかのように振る舞う

0035

一方、ヘテロダイン効果が発現している際の、包絡成分の光強度|E(t)|2は以下に示す(式4)で表される。


(式4)を図示すると、図2(b)のようになる。図2(b)は、上記から、加工周波数ωcに対する強度変調成分を図示するものである。

0036

図2(c)に、2つの異なる波長のレーザ光源であるレーザ光源14及びレーザ光源16からのレーザ光により発生する干渉信号の、振幅の大きさ(変調度、あるいは明領度)を示す。2つのレーザ光源からのレーザ光のパワーを各々P1、P2とし、パワー比kをk=P1/P2で定義する。図2(c)は、横軸にパワー比kをとり、パワー比kの変化に対する変調度mの変化を図示したものである。図2(c)では、例えばk=1の場合、つまり2つのレーザ光源からのレーザ光のパワーが等しい場合、図2(b)に示す振幅2|E1|・|E2|が0と最大値の間で変化する状態となることを意味している。

0037

ここで、レーザ光源14及びレーザ光源16からのレーザ光の偏光偏波)について説明する。本実施の形態に係るレーザ加工装置10では、レーザ光源14からのレーザ光と、レーザ光源16からのレーザ光との干渉現象を用いているため、偏光(偏波)面を一致させる必要がある。なお、本実施の形態において、「偏光を一致させる」とは完全に一致させる場合のみならず、所定の干渉性の低下を許容して一致させる場合を含む。

0038

本実施の形態に係るレーザ光源14及びレーザ光源16からのレーザ光の偏光は、双方とも直線偏光であることが望ましく、直線偏光同士の干渉によって生じる光ビームの特性を用いるのが最も効率がよい。しかしながら、直線偏光と円偏光(あるいはランダム偏光無偏光)とによる干渉、あるいは、円偏光同士の干渉を用いることもできる。光ファイバを用いて伝送したレーザ光を用いることもできるが、干渉効果を期待するためには、シングルモード光ファイバ伝播したレーザ光、あるいは、高次モードが伝搬可能な光ファイバ中を伝搬した低次モードのレーザ光を用いることが望ましい。なお、「ランダム偏光」とは、直線偏光の偏光方向が不定期に変化する偏光であり、「無偏光」とは、直線偏光の偏光方向が、360°の範囲で均等に混ざっている偏光である。

0039

次に、レーザ光源14からのレーザ光によるスポットS1、及びレーザ光源16からのレーザ光によるスポットS2の重畳形態について説明する。上述したように、本実施の形態では、スポットS1とスポットS2とが少なくとも一部で重なっていること、すなわち重畳していることを前提としているが、この重畳にはさまざまな形態が考えられる。スポットが2つの場合は、図1(b)に示すように、一方のスポットに他方のスポットが完全に包含される形態が望ましい。しかしながら、これに限られず、スポットS1の位置が図1(b)に示す位置からずれ、一部がスポットS2の外部にはみ出した形態でも、例えば干渉の効率低下の許容範囲等を設けて使用することができる。逆に、スポットS1とS2とがまったく重ならず、独立に存在している場合には干渉効果は期待できない。

0040

なお、本発明では、3台以上のレーザ光源を用いることも可能なので、スポットの数も3つ以上の場合がある。3つ以上のスポット、例えば3台のレーザ光源を用いて3つのスポットS3、S4、S5を用いる場合には、一例として、スポットS5にスポットS3及びS4が内包された形態が考えられる。この場合、さらに、スポットS5の内部で、スポットS3とS4とがまったく重ならない形態、スポットS3がスポットS4に内包される形態等が考えられる。また、スポットS3及びS4の少なくとも一方の一部がスポットS5の外部にはみ出した形態も考えられる。3つ以上のスポットを用いることによって、入熱プロファイルをより精密に制御することが可能となる。

0041

次に、本実施の形態に係るレーザ加工装置10の加工性能について、従来技術に係るレーザ加工装置の加工性能と比較した事例について説明する。本事例は、両レーザ加工装置によって金属板を切断し、その加工の良好性を比較した事例である。
<比較例>
単一のレーザ光源を用いる従来技術に係るレーザ加工装置において、900Wのレーザ光源のレーザ光を、集光径(直径)300μmに絞ったスポット用いて、板厚1.5mmの軟鋼材を切断した。その結果、良好な品質で切断できていることがわかった。切断シロとしてカフ幅溶融金属を吹き飛ばすために必要な幅)を制御する必要があり、最適幅は300μmであった。
<本実施の形態>
図1に示す本実施の形態に係る光学系を適用し、パワー300Wのレーザ光源14のレーザ光を集光径150μmに絞ったスポットS1と、パワー300Wのレーザ光源16のレーザ光を集光径300μmに絞ったスポットS2とを重畳したレーザビームを用いて、板厚1.5mmの軟鋼材を切断した。その結果、比較例と同等な品質で切断できることがわかった。
つまり、本実施の形態に係るレーザ加工装置10によって、エネルギー効率が約33%((1−300W×2/900W)×100)向上したことがわかる。

0042

以上詳述したように、本実施の形態に係るレーザ加工装置、及びレーザ加工方法によれば、上記のように波長(換言すれば、光周波数)の異なる複数のレーザ光源からの出射光を、図1(b)に示すように加工点で重畳して重畳スポットSを形成することにより、エネルギー効率の良いレーザ加工装置、レーザ加工方法を実現している。また、ビームの重なり分布を制御することで、被加工物への入熱(エネルギー密度)を制御することができるレーザ加工装置、レーザ加工方法を実現している。つまり、複数のビーム(波長や集光特性が異なる)の集光点におけるビームプロファイル(重畳スポットSの形状)を制御し、その重畳によるレーザ光の干渉効果を用いることで、入熱特性と、被加工物の吸収特性を独立に制御することができ、エネルギー効率の高い切断や溶接加工を実現している。

0043

[第2の実施の形態]
図3を参照して、本実施の形態に係るレーザ加工装置30について説明する。本実施の形態は、上記実施の形態における光学系を変えた形態である。

0044

図3に示すように、レーザ加工装置30は、レーザ光源34、レーザ光源36、及び光学系32を備えている。レーザ光源34の波長はλ1であり、レーザ光源36の波長はλ2(≠λ1)である。

0045

本実施の形態に係る光学系32は、レンズ38、40、42を含んで構成され、レンズ38はレーザ光源34からの光束L1を集光し、レンズ40はレーザ光源36からの光束L2を集光する。レンズ38で集光された光束L1及びレンズ40で集光された光束L2の各々は、さらにレンズ42で集光され、その結果被加工物Wの加工点Pに重畳スポットS(図1(b)参照)が形成される。

0046

本実施の形態に係るレーザ加工装置によれば、上記実施の形態と比較して、レンズの一部を共用化することによりレンズの枚数を減らせるので、光学系をより簡易に構成できる。

0047

[第3の実施の形態]
図4を参照して、本実施の形態に係るレーザ加工装置50について説明する。本実施の形態は、上記実施の形態における光学系を変えた形態である。

0048

図4に示すように、レーザ加工装置50は、波長λ1のレーザ光源、及び波長λ2のレーザ光源(以上、図示省略)、及び光学系52を備えている。

0049

本実施の形態に係る光学系52は、ミラー54、56、及びレンズ58を含んで構成されている。波長λ1のレーザ光源からの光束L1はミラー54で略直角に反射されてレンズ58に向かい、被加工物Wの加工点Pに集光される。波長λ2のレーザ光源からの光束L2はミラー56で略直角に反射されてレンズ58に向かい、被加工物Wの加工点Pに集光される。その結果、加工点に重畳スポットSが形成される。

0050

本実施の形態に係るレーザ加工装置によれば、上記実施の形態と比較して、光学系にミラーを採用することによりレンズの枚数がさらに減らされるので、光学系をより簡易に構成できる。

0051

[第4の実施の形態]
図5を参照して、本実施の形態に係るレーザ加工装置について説明する。本実施の形態は、上記実施の形態における光学系を変えた形態である。図5は(a)は、本実施の形態に係るレーザ加工装置70を、図5(b)は、レーザ加工装置70の変形例であるレーザ加工装置90を示している。

0052

図5(a)に示すように、レーザ加工装置70は、レーザ光源74、レーザ光源76、及び光学系72を備えている。レーザ光源74の波長はλ1であり、レーザ光源76の波長はλ2(≠λ1)である。レーザ光源74のレーザ光、及びレーザ光源76のレーザ光はいずれも直線偏光であり、偏波方向が互いに直交している。

0053

本実施の形態に係る光学系72は、偏光プリズム78、1/4波長板80、及びレンズ82、84、86を備えている。偏光プリズム78は、偏波方向が直交する2つの直線偏光の光を合波する光学素子であり、レーザ光源74からのレーザ光(光束L1)とレーザ光源76からのレーザ光(光束L2)とを合波し、1/4波長板80に向けて透過する。
1/4波長板80は、入射された直線偏光を円偏光に変換する素子であり、偏光プリズム78で合波された、レーザ光源74からのレーザ光とレーザ光源76からのレーザ光とを円偏光に変換し、被加工物Wの加工点Pに重畳スポットSを形成する。

0054

本実施の形態に係るレーザ加工装置によれば、特に、互いに直交した直線偏光とされ、互いに近接した波長である波長λ1及び波長λ2の各々の波長を有する光による上述のヘテロダイン干渉を利用する場合に、1/4波長板を用いることによって当該ヘテロダイン干渉を安定化させることができるという効果がある。また、本実施の形態に係るレーザ加工装置によれば、加工点Pにおけるレーザ光が円偏光であるので、例えば、金属を切断する場合の加工光偏光依存性を低減することができる。

0055

図5(b)に示すように、レーザ加工装置90は、レーザ光源93、レーザ光源94、及び光学系92を備えている。レーザ光源93の波長はλ1、レーザ光源94の波長はλ2であり、各レーザ光源のレーザ光の偏光状態は円偏光とされている。

0056

本実施の形態に係る光学系92は、ダイクロイックミラー95、及びレンズ96、97、98を含んで構成されている。ダイクロイックミラー95は、波長が異なる2つのレーザ光に対し、一方を反射させ、一方を透過させることによって合波する光学素子であり、図5(b)では、レーザ光源93からの光束L1を反射させ、レーザ光源94からの光束L2を透過させて合波している。合波された光束L1及び光束L2はレンズ98により集光され、被加工物Wの加工点Pに重畳スポットSを形成する。

0057

本実施の形態に係るレーザ加工装置によれば、特に、波長λ1と波長λ2として所定の波長間隔を有する波長の組み合わせ(例えば、1μm帯の赤外領域の波長と可視域の波長との組み合わせ等)を適用する場合に、本実施の形態に係るダイクロイックミラーを用いることによって1/4波長板を用いる必要がなくなるので、光学系をより簡素化することができるという効果がある。また、本実施の形態に係るレーザ加工装置によれば、ダイクロイックミラーが偏光プリズムに比べて安価であり、1/4波長板を用いる必要もないので、より安価なレーザ加工装置が実現される。

0058

[第5の実施の形態]
図6を参照して、上記実施の形態に係るレーザ加工装置を用いた、本実施の形態に係る3Dプリンタ(三次元造形装置)について説明する。3Dプリンタとは、3DCADデータ、あるいは3DCGデータを元に立体(3次元オブジェクト)を造形する機器であり、造形方法としては例えば積層造形法が用いられる。3Dプリンタでは精密な積層物を形成するために、微小な集光径のレーザスポット、つまり溶融スポットが要求される場合がある。上記実施の形態に係るレーザ加工装置は、この3Dプリンタで要求されるような微小な溶融スポットを実現するのにも好適である。

0059

すなわち、本実施の形態に係るレーザ加工装置では、被加工物Wの加工点Pにおいて、重畳スポットSの重畳領域OAにより最も強く吸収させて溶融させる領域と、非重畳領域NAにより全体で投入する熱量を調整する領域とを独立に制御することで、微細な溶融スポットによる積層物生成が実現される。

0060

図6(a)に示すように、本実施の形態に係る3Dプリンタは、加工光生成部100、及び金属粉末供給機構200を備えている。加工光生成部100は上述したレーザ加工装置と同様の機能を有する部位であり、複数の波長(図6(a)では2波長の場合を例示している)のレーザ光を出力するレーザ光源102、及びレンズ104を備えている。

0061

レーザ光源102から出力された波長λ1の光束L1と波長λ2の光束L2はレンズ104で集光され、積層造形を形成する加工点Pに重畳スポットSを形成する。

0062

金属粉末供給機構200は、ノズル202、及び図示を省略する金属粉末源及びその搬送部、搬送ガス及びその搬送部、遮蔽ガス及びその搬送部を含んで構成されている。なお、紛体は金属に限られず、セラミックス樹脂などを用いてもよい。

0063

図6(a)に示すように、ノズル202は、積層部材としての金属粉末を、搬送ガス(例えば窒素ガス)と共に粉末混ガスPGとして供給するための金属粉末・搬送ガス流路204と、積層加工に際して、加工点Pを外部から遮断するための遮蔽ガスSG(例えば窒素ガス)を供給する遮蔽ガス流路206を備えている。図6(b)示すように、ノズル202は、先端方向から見ると、金属粉末・搬送ガス流路204と遮蔽ガス流路206とが、同心円状に配置された構成となっている。そして、加工光生成部100では、光束L1、L2を加工点に照射しつつノズル202から金属粉末を噴射させて積層加工を行う。
その際、積層加工を行っている加工点Pを遮蔽ガスSGでシールドし、加工点Pの周辺が、搬送ガスの雰囲気に維持されるようにしている。

0064

積層加工を行う場合には、図6(a)に示すように、ノズル202から粉末混合ガスPGを噴出し、粉末混合ガスPGに含まれる金属粉末に、レーザ光源102からの光束L1、L2を照射する。加工点PにおいてスポットSのエネルギーを受け、熱せられた金属粉末が溶融、固化して金属の積層部が形成される。

0065

なお、上記実施の形態では、レーザ加工装置における複数のレーザ光源の波長が互いに異なる形態を例示して説明したが、これに限られず、複数のレーザ光源の波長を同じ波長としてもよい。この場合ヘテロダイン干渉は発生しないが、重畳スポットSを用いることによる効果、すなわち、所定のエネルギー密度を有する重畳領域OAにより加工点を溶融させた後、それより低いエネルギー密度の非重畳領域NAのエネルギーを吸収させることによって加工特性を制御し、エネルギーの効率化を図るという効果を奏することができる。

0066

また、上記各実施の形態では、複数のレーザ光源を用いて重畳スポットSを形成する形態を例示して説明したが、これに限られず、例えば1つのレーザ光源からのレーザ光を分岐して重畳スポットSを形成する形態としてもよい。この場合は、例えば、該1つのレーザ光源からのレーザ光をビームスプリッタ等で複数のレーザ光に分岐し、分岐された複数のレーザ光により上述した特性(エネルギー密度、包含関係等)を満たすようにして、重畳スポットSを形成すればよい。このような構成によれば、レーザ光源の数を削減できるので、より簡便な構成のレーザ加工装置によって、本発明に係る重畳スポットSの効果を奏することができる。

0067

10レーザ加工装置
12光学系
14、16レーザ光源
18、20、22、24レンズ
30 レーザ加工装置
32 光学系
34、36 レーザ光源
38、40、42 レンズ
50 レーザ加工装置
52 光学系
54、56ミラー
58 レンズ
70 レーザ加工装置
72 光学系
74、76 レーザ光源
78偏光プリズム
80 1/4波長板
82、84、86 レンズ
90 レーザ加工装置
92 光学系
93、94 レーザ光源
95ダイクロイックミラー
96、97、98 レンズ
100加工光生成部
102 レーザ光源
104 レンズ
200金属粉末供給機構
202ノズル
204 金属粉末・搬送ガス流路
206遮蔽ガス流路
Carキャリア成分
Env包絡成分
L1、L2 光束
PG粉末混合ガス
SG遮蔽ガス
P加工点
R1、R2集光径
S重畳スポット
S1〜S5 スポット
OA重畳領域
NA非重畳領域
W 被加工物

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