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※この項目の情報は公開日時点(2017年9月28日)のものです。
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課題
解決手段
フラワーバッター法によるビスケット類の製造において、ロースト小麦粉を使用して全小麦粉のグルテンバイタリティを75〜90%に調整することにより、機械耐性とサクサクした食感を両立するビスケット類の製造が可能となる。
概要
背景
ビスケット類は、小麦粉、糖類、食用油脂および食塩を原料とし必要により澱粉、乳製品、卵製品、膨張剤、食品添加物の原料を配合し、または、添加したものを混合機により生地調製し、成型機で成型後、オーブンで焼成されて製造される。ビスケット類としては、油分や糖分の違いにより、ビスケット、クッキー、サブレ、クラッカー、パイなどが挙げられる。
ビスケット類に要求される性質としては、最終製品のサクサクとした食感と風味とともに、生地の機械耐性すなわち生地の調製が容易で成型性に優れる点が要求される。これらの食感と機械耐性には、ビスケット類の主要原料である小麦粉中のグルテンが、ビスケット類の膨化やサクサクした食感と生地の結着性や展延性に関与している。
すなわち、小麦粉中のグルテン量が少ないとサクサクした食感が得られるが、膨化が弱くなるとか、生地の結着性が悪くなり成型性が低下する傾向にある。逆に、小麦粉中のグルテン量が多いと、膨化性や生地の成型性は良好であるが、サクサク感に欠ける硬い食感のビスケット類になる傾向がある。
上記より、小麦粉中のグルテン量を調整して、機械適性が良く、膨化や食感に優れたビスケット類を得る試みとして、例えば特許文献1には、焼成前のビスケット生地にロースト小麦粉を添加する方法が開示されており、具体的にはロースト小麦粉を全小麦粉量のうち、75〜100%の範囲にて使用することにより、適度なグルテンネットワークが形成される結果、適度な成型性を有する機械適性とサクサクした好ましい食感が得られる方法である。
特許文献2は、小麦粉または小麦粉および澱粉からなる原料粉を品温110〜160℃の条件下で50〜150分間焙焼し、グルテンバイタリティ10〜65%を有する焙焼小麦粉の製造法に関する。該焙焼小麦粉を15%と薄力小麦粉85%を混合使用することにより、優れた加工適性と、適度な焙焼香とサクサクした食感のクッキーが得られたことが示されている。
概要
本発明の目的は、生産効率がより高いと言われるフラワーバッター法による機械適性とサクサクした食感を両立する方法が課題として残されている中で、該方法によるビスケット類の製造において、機械耐性とサクサクした食感を両立するビスケット類の製造方法を提供することにある。フラワーバッター法によるビスケット類の製造において、ロースト小麦粉を使用して全小麦粉のグルテンバイタリティを75〜90%に調整することにより、機械耐性とサクサクした食感を両立するビスケット類の製造が可能となる。なし
目的
本発明の目的は、フラワーバッター法によるビスケット類の製造において、機械耐性とサクサクした食感を両立するビスケット類の製造方法を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
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- 牽制数
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この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
技術分野
背景技術
0002
ビスケット類は、小麦粉、糖類、食用油脂および食塩を原料とし必要により澱粉、乳製品、卵製品、膨張剤、食品添加物の原料を配合し、または、添加したものを混合機により生地調製し、成型機で成型後、オーブンで焼成されて製造される。ビスケット類としては、油分や糖分の違いにより、ビスケット、クッキー、サブレ、クラッカー、パイなどが挙げられる。
0003
ビスケット類に要求される性質としては、最終製品のサクサクとした食感と風味とともに、生地の機械耐性すなわち生地の調製が容易で成型性に優れる点が要求される。これらの食感と機械耐性には、ビスケット類の主要原料である小麦粉中のグルテンが、ビスケット類の膨化やサクサクした食感と生地の結着性や展延性に関与している。
0004
すなわち、小麦粉中のグルテン量が少ないとサクサクした食感が得られるが、膨化が弱くなるとか、生地の結着性が悪くなり成型性が低下する傾向にある。逆に、小麦粉中のグルテン量が多いと、膨化性や生地の成型性は良好であるが、サクサク感に欠ける硬い食感のビスケット類になる傾向がある。
0005
上記より、小麦粉中のグルテン量を調整して、機械適性が良く、膨化や食感に優れたビスケット類を得る試みとして、例えば特許文献1には、焼成前のビスケット生地にロースト小麦粉を添加する方法が開示されており、具体的にはロースト小麦粉を全小麦粉量のうち、75〜100%の範囲にて使用することにより、適度なグルテンネットワークが形成される結果、適度な成型性を有する機械適性とサクサクした好ましい食感が得られる方法である。
0006
特許文献2は、小麦粉または小麦粉および澱粉からなる原料粉を品温110〜160℃の条件下で50〜150分間焙焼し、グルテンバイタリティ10〜65%を有する焙焼小麦粉の製造法に関する。該焙焼小麦粉を15%と薄力小麦粉85%を混合使用することにより、優れた加工適性と、適度な焙焼香とサクサクした食感のクッキーが得られたことが示されている。
0007
特開平9−149757号公報
特開2002−345421号公報
0008
ビスケット類の代表的な生地調製方法として、シュガーバッター法とフラワーバッター法があり、それぞれ下記のような特徴がある。
シュガーバッター法は、バター等の油脂と砂糖をすり混ぜて起泡させクリーム状とした後、徐々に卵を混ぜ合わせ、最後に小麦粉などの粉体を合わせて生地を調製する方法であり、比較的小麦粉のグルテンが出にくいことから、ソフトでサクサクした食感が得られやすい方法である。但し、本方法では卵の混合に長時間を要するとか、小麦粉などの粉体のダマが発生するとかの問題があり、大量生産する焼菓子製造工程には機械適性として問題を有する方法である。
0009
一方、フラワーバッター法は、バター等の油脂と小麦粉、砂糖などの粉体を混ぜ合わせた後、卵を加えて生地を調製する方法であり、小麦粉のグルテンが出やすい方法であるため、サクサクした食感が得られにくいものの、生地調製が比較的短時間で処理可能で、しかも機械適性に優れる利点がある。
先行技術
0010
上記の特許文献1および2で示されている方法は、いずれもシュガーバッター法によるビスケット類の製造方法に関し、生産効率がより高いと言われるフラワーバッター法による機械適性とサクサクした食感を両立する方法が課題として残されていた。
発明が解決しようとする課題
0011
本発明の目的は、フラワーバッター法によるビスケット類の製造において、機械耐性とサクサクした食感を両立するビスケット類の製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
0012
本発明者らは、上記課題を達成するべく鋭意検討した結果、ビスケット類に配合する小麦粉全量のグルテンバイタリティを特定%に調整することにより、フラワーバッター法により比較的短時間で生地調製可能で、成型性に優れ、しかもサクサクした食感を有するビスケット類が得られることを見出し、本発明を完成させた。
0013
即ち、本発明は、
(1)フラワーバッター法によるビスケット類の製造において、ロースト小麦粉を使用して全小麦粉のグルテンバイタリティを75〜90%に調整することを特徴とするビスケット類の製造方法。
(2) グルテンバイタリティが75〜90%のロースト小麦粉を使用する(1)記載のビスケット類の製造方法。
(3) グルテンバイタリティが55〜75%のロースト薄力粉と生薄力粉を混合使用する(1)記載のビスケット類の製造方法。
である。
発明の効果
0014
本発明により、フラワーバッター法によるビスケット類の製造において、機械耐性とサクサクした食感を両立するビスケット類の製造方法を提供することが可能となった。
0015
本発明は、フラワーバッター法によるビスケット類の製造法に関する。本発明におけるフラワーバッター法とは、概ね以下の手順で調製する焼菓子生地の調製法である。
1)ミキサーボールに小麦粉や砂糖などの粉体と冷蔵状態のバターまたはバター代替油脂を入れ、ミキサーで低速撹拌し、油脂がそぼろ状になるまで良く混ぜる。
2)卵や卵黄を撹拌しながら混合する。
本発明におけるビスケット類とは、ビスケット、クッキー、サブレ、クラッカー、パイなどが挙げられる。
0016
本発明に使用するロースト小麦粉とは、薄力粉、中力粉、強力粉などの小麦粉を、ロースト処理(加熱焙煎または加熱焙炒)したものであり、本発明においては、特に薄力粉または中力粉を原料としたロースト小麦粉であるのが好ましい。
0017
本発明に使用する小麦粉としては、ロースト小麦粉を使用して全小麦粉のグルテンバイタリティを75〜90%、好ましくは75〜85%、最も好ましくは75〜80%に調整する必要がある。グルテンバイタリティとは、小麦粉中の全粗蛋白含量100%に対する可溶性粗蛋白含量(%)である。その測定方法は、特開平09−191847号公報の段落番号[0008]〜[0012]記載の方法にて、求めることができる。本発明においては、生小麦粉のグルテンバイタリティを100とした場合、ビスケット類原料の全小麦粉のグルテンバイタリティを75〜90%とすることで、生地調製時の卵類の混合が容易で、焼成後の食感がサクサクしたビスケット類を容易に得ることができる。全小麦粉中のグルテンバイタリティが75%未満であると、生地のつながりが悪く成型作業が容易でなくなる傾向がある。逆に、90%を超えると、成型作業はスムーズであるが、焼成後のビスケット類食感が硬くなりすぎて、ガリガリとした食感になる傾向がある。
0018
本発明において、全小麦粉のグルテンバイタリティ調整する一態様は、小麦粉のロースト処理条件を適宜調整して、ロースト小麦粉そのもののグルテンバイタリティを75〜90%に調整する方法である。例えば、オーブンで100〜140℃、数分〜30分間のロースト処理を行うことにより、75〜90%のグルテンバイタリティを有するロースト小麦粉、好ましくはロースト薄力粉またはロースト中力粉、最も好ましくはロースト薄力粉を得ることができる。
0019
本発明における全小麦粉のグルテンバイタリティ調整する別の一態様は、グルテンバイタリティが55〜75%のロースト小麦粉、好ましくはロースト薄力粉と生小麦粉好ましくは生薄力粉を混合使用して、全小麦粉のグルテンバイタリティを75〜90%に調整する方法である。すなわち、ロースト小麦粉好ましくはロースト薄力粉30〜75部と生小麦粉好ましくは生薄力粉を70〜25部を混合することにより、上記に調整することができる。なお、本態様において、ロースト小麦粉のグルテンバイタリティが55〜75%であると適度な香ばしいロースト臭を付与できる利点があるが、55%未満となるとやや焦げ臭を感じやすくなる。
0020
本発明のビスケット類には、前記小麦粉以外の原材料として、糖類、食用油脂および食塩を原料とし必要により澱粉、乳製品、卵製品、膨張剤、着色料、香料を用途や好みに応じて、機械適性や焼成後のサクサクした食感を妨げない範囲で、適宜使用することができる。
0022
以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は、いずれも重量基準を意味する。
0023
実施例1
薄力小麦粉を135℃になるまで撹拌加熱後、冷却処理を行い、ロースト薄力粉を得た。本ロースト薄力粉のグルテンバイタリティは67%であった。本ロースト薄力粉を用いて、下記の手順でクッキーを調製した。
1)品温20℃に調整したバター70部をミキサーボールに計量し、これにロ—スト薄力粉60部、生薄力粉40部、砂糖40部、脱脂粉乳3部を低速撹拌しながら混合した。
この時の全小麦粉のグルテンバイタリティは80.2%であった。
2) 次いで、卵黄6部、食塩1部を低速撹拌しながら、添加混合した。生地の調製に要した時間は10分であった。また、生地の比重は1.1であった。
3) 生地を棒状成型し、厚さ約10mmでカットし、円形のカット生地を得た。
4) 生地をオーブンを用いて、170℃、15分間焼成を行い、クッキーを得た。
得られたクッキーはほぐれが良く、サクサクとした軽い食感で、口溶けも良好であった。
0024
実施例2
実施例1において、ロースト小麦粉60部を75部に、生薄力粉40部を25部に変更して、全小麦粉のグルテンバイタリティを75.3%に調整し、実施例1同様に生地の調製と焼成を行い、クッキーを得た。本例において、生地の調製に要した時間は10分であった。また、生地の比重は1.1であった。得られたクッキーはほぐれよくサクサクした非常に軽い食感で、口溶けも良好であった。
0025
実施例3
実施例1において、ロースト小麦粉60部を35部に、生薄力粉40部を65部に変更して、全小麦粉のグルテンバイタリティを88.5%に調整し、実施例1同様に生地の調製と焼成を行い、クッキーを得た。本例において、生地の調製に要した時間は10分であった。また、生地の比重は1.1であった。得られたクッキーはやや硬めのサクサクした食感で、やや良好な口溶けであった。
0026
比較例1
実施例1において、ロースト小麦粉をグルテンバイタリティ100%の生薄力粉に置換して、
実施例1同様に生地の調製と焼成を行い、クッキーを得た。本例において、生地の調製に要した時間は10分であった。また、生地の比重は1.1であった。得られたクッキーは非常に硬くゴリゴリした食感で、口溶けが悪いものであった。
0027
比較例2
実施例1において、ロースト小麦粉60部を100部に、生薄力粉40部を0部に変更して、全小麦粉のグルテンバイタリティを67.0%に調整し、実施例1同様に生地の調製と焼成を行い、クッキーを得た。本例において、生地の調製に要した時間は10分であった。また、生地の比重は1.1であったが、つながりの悪い生地となり、成型性が良くないものであった。得られたクッキーは非常に軽くサクサクした食感で、口溶けは非常に良好であった。
0028
比較例3
実施例1において、ロースト小麦粉60部を10部に、生薄力粉を40部を90部に変更して、全小麦粉のグルテンバイタリティを96.7%に調整し、実施例1同様に生地の調製と焼成を行い、クッキーを得た。本例において、生地の調製に要した時間は10分であった。また、生地の比重は1.1であった。得られたクッキーはやや硬くゴリゴリした食感で、口溶けはやや悪いものであった。
0029
参考例1
シュガーバッター法を用いて、以下の手順でクッキーを調製した。
1)品温20℃に調整したバター70部をミキサーボールに計量し、これに砂糖40部を低速撹拌しながら混合した。
2)上記を高速撹拌にて、比重0.75まで起泡させた。
3) 次いで、卵黄6部、食塩1部を低速撹拌しながら、添加混合し、比重0.65まで起泡させた。
4) 次いで、脱脂粉乳3部、生薄力粉100部及び膨張剤1.2部を添加混合した。生地の調製に要した時間は20分であった。また、生地の比重は1.1であった。
5) 生地を棒状成型し、厚さ約10mmでカットし、円形のカット生地を得た。
6) 生地をオーブンを用いて、170℃、15分間焼成を行い、クッキーを得た。
得られたクッキーはほぐれが良く、サクサクしたかなり軽い食感で、口溶けも非常に良好であった。
0030
比較例4
参考例1において、2)の高速撹拌後の比重0.75を0.90に変更して、参考例1同様にクッキーを調製した。生地の調製に要した時間は16分であった。また、生地の比重は1.1であった。得られたクッキーは、ザクザクしたやや硬めの食感で、やや口溶けの良いものであった。
0031
表1に、各例のテスト結果及び評価結果を示した。
表1
実施例
0032
表1に示すように、全小麦粉のグルテンバイタリティを75〜90%として、フラワーバッター法で調製した実施例1〜実施例3では、生地調製が比較的短時間で調製可能であり、焼成後のクッキー食感はサクサクとした軽い食感で、口溶けも良好なものであった。グルテンバイタリティが高い比較例1や比較例3では、生地調製は短時間で調製可能であったが、焼成後のクッキー食感が硬くゴリゴリしたものになり、口溶けも悪くなる傾向であった。グルテンバイタリティがやや低い比較例2では、焼成後のクッキー食感はサクサクして良好であったが、つながりの悪い生地で成型に時間を要した。なお、参考例1のシュガーバッター法では生小麦粉を用いても、焼成後のクッキー食感はサクサクとした軽い食感で、口溶けも良好なものであったが、生地調製には長時間を要した。また、シュガーバッター法による比較例4は、生地調製にやや長時間を要するとともに、ザクザクとしたやや硬めの食感であった。
0033
本発明により、フラワーバッター法によるビスケット類の製造において、機械耐性とサクサクした食感を両立するビスケット類の製造方法の提供が可能となった。