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技術 永久磁石、回転電機、及び車両

出願人 株式会社東芝
発明者 堀内陽介桜田新哉萩原将也小林忠彦高橋利英
出願日 2017年2月17日 (4年0ヶ月経過) 出願番号 2017-027725
公開日 2017年9月21日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2017-168824
状態 特許登録済
技術分野 粉末冶金 金属質粉又はその懸濁液の製造 硬質磁性材料 同期機の永久磁石界磁
主要キーワード 外磁場 磁化回路 磁化巻線 理論最大値 再溶体化 各元素濃度 電子後方散乱回折像法 Cuリッチ相
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図面 (12)

課題

高性能永久磁石を提供する。

解決手段

永久磁石は、組成式:RpFeqMrCutCo100−p−q−r−tで表される組成と、Th2Zn17型結晶相を有する主相と、主相を構成する結晶粒の間に設けられた粒界相と、を含む金属組織と、を具備する。主相は、Th2Zn17型結晶相を有するセル相と、セル相を分断するように設けられ且つセル相よりも高濃度のCuを含むCuリッチ相と、を含む。Th2Zn17型結晶相のc軸を含む断面において結晶粒内のCuリッチ相に分断されたセル相を構成する第1の領域のCu濃度と、第1の領域と同じ結晶粒内であって断面の粒界相の延在方向に垂直な方向において粒界相から50nm以上200nm以下の範囲に位置する第2の領域のCu濃度と、の差は0.5原子%以下である。

概要

背景

高性能希土類磁石の例としてSm−Co系磁石、Nd−Fe−B系磁石などが知られている。これらの磁石では、FeやCoが飽和磁化の増大に寄与している。また、これらの磁石にはNdやSm等の希土類元素が含まれており、結晶場中における希土類元素の4f電子挙動由来して大きな磁気異方性をもたらす。これにより、大きな保磁力が得られ、高性能磁石が実現されている。

このような高性能磁石は、主としてモータスピーカ計測器等の電気機器に使用されている。近年、各種電気機器の小型軽量化低消費電力化の要求が高まり、これに対応するために永久磁石最大磁気エネルギー積(BHmax)を向上させた、より高性能の永久磁石が求められている。また、近年、可変磁束型モータが提案され、モータの高効率化に寄与している。

Sm−Co系磁石は、キュリー温度が高いため、高温で良好なモータ特性を実現することが可能であるが、さらなる高保磁力化と高磁化、さらに角型比の改善が望まれている。Sm−Co系磁石の高磁化にはFeの高濃度化が有効であると考えられる。しかしながら、従来の製造方法ではFe濃度を高めることにより、角型比が低下する場合がある。高性能なモータ用の磁石を実現するためには、高いFe濃度の組成において磁化を改善するとともに良好な角型比の発現を可能とする技術が必要である。

概要

高性能な永久磁石を提供する。永久磁石は、組成式:RpFeqMrCutCo100−p−q−r−tで表される組成と、Th2Zn17型結晶相を有する主相と、主相を構成する結晶粒の間に設けられた粒界相と、を含む金属組織と、を具備する。主相は、Th2Zn17型結晶相を有するセル相と、セル相を分断するように設けられ且つセル相よりも高濃度のCuを含むCuリッチ相と、を含む。Th2Zn17型結晶相のc軸を含む断面において結晶粒内のCuリッチ相に分断されたセル相を構成する第1の領域のCu濃度と、第1の領域と同じ結晶粒内であって断面の粒界相の延在方向に垂直な方向において粒界相から50nm以上200nm以下の範囲に位置する第2の領域のCu濃度と、の差は0.5原子%以下である。

目的

Sm−Co系磁石は、キュリー温度が高いため、高温で良好なモータ特性を実現することが可能であるが、さらなる高保磁力化と高磁化、さらに角型比の改善が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

組成式:RpFeqMrCutCo100−p−q−r−t(式中、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素、MはZr、Ti、及びHfからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素、pは10.5≦p≦12.4原子%を満足する数、qは26≦q≦40原子%を満足する数、rは0.88≦r≦4.3原子%を満足する数、tは3.5≦t≦13.5原子%を満足する数である)で表される組成と、主相と、前記主相を構成する結晶粒の間に設けられた粒界相と、を含む金属組織と、を具備する永久磁石であって、前記主相は、前記Th2Zn17型結晶相を有するセル相と、前記セル相を分断するように設けられ且つ前記セル相よりも高濃度のCuを含むCuリッチ相と、を含み、前記Th2Zn17型結晶相のc軸を含む断面において前記結晶粒内の前記Cuリッチ相に分断された前記セル相を構成する第1の領域のCu濃度と、前記第1の領域と同じ結晶粒内であって前記断面の前記粒界相の延在方向に垂直な方向において前記粒界相から50nm以上200nm以下の範囲に位置する第2の領域のCu濃度と、の差が0.5原子%以下である、永久磁石。

請求項2

前記第1の領域のCu濃度が1.5原子%以上5原子%以下である、請求項1に記載の永久磁石。

請求項3

前記第1の領域のFe濃度が26原子%以上である、請求項1又は請求項2に記載の永久磁石。

請求項4

前記組成式におけるR元素の50原子%以上がSmであり、前記組成式におけるM元素の50原子%以上がZrである、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の永久磁石。

請求項5

前記組成式におけるCoの20原子%以下が、Ni、V、Cr、Mn、Al、Ga、Nb、Ta、及びWから選ばれる少なくとも一つの元素で置換されている、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の永久磁石。

請求項6

請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の永久磁石を具備する、回転電機

請求項7

モータ又は発電機である、請求項6に記載の回転電機。

請求項8

ステータと、ロータと、を具備し、前記ステータ又は前記ロータは、前記永久磁石を有する、請求項6に記載の回転電機。

請求項9

請求項6ないし請求項8のいずれか一項に記載の回転電機を具備する、車両。

請求項10

前記回転電機の一端に設けられたシャフトに回転が伝達される、請求項9に記載の車両。

技術分野

0001

実施形態の発明は、永久磁石回転電機、及び車両に関する。

背景技術

0002

高性能希土類磁石の例としてSm−Co系磁石、Nd−Fe−B系磁石などが知られている。これらの磁石では、FeやCoが飽和磁化の増大に寄与している。また、これらの磁石にはNdやSm等の希土類元素が含まれており、結晶場中における希土類元素の4f電子挙動由来して大きな磁気異方性をもたらす。これにより、大きな保磁力が得られ、高性能磁石が実現されている。

0003

このような高性能磁石は、主としてモータスピーカ計測器等の電気機器に使用されている。近年、各種電気機器の小型軽量化低消費電力化の要求が高まり、これに対応するために永久磁石の最大磁気エネルギー積(BHmax)を向上させた、より高性能の永久磁石が求められている。また、近年、可変磁束型モータが提案され、モータの高効率化に寄与している。

0004

Sm−Co系磁石は、キュリー温度が高いため、高温で良好なモータ特性を実現することが可能であるが、さらなる高保磁力化と高磁化、さらに角型比の改善が望まれている。Sm−Co系磁石の高磁化にはFeの高濃度化が有効であると考えられる。しかしながら、従来の製造方法ではFe濃度を高めることにより、角型比が低下する場合がある。高性能なモータ用の磁石を実現するためには、高いFe濃度の組成において磁化を改善するとともに良好な角型比の発現を可能とする技術が必要である。

先行技術

0005

国際公開第2015/037041号
国際公開第2015/044974号

発明が解決しようとする課題

0006

本発明で解決しようとするべき課題は、Sm−Co系磁石においてその金属組織を制御することにより、高性能な永久磁石を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

実施形態の永久磁石は、組成式:RpFeqMrCutCo100−p−q−r−t(式中、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素、MはZr、Ti、及びHfからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素、pは10.5≦p≦12.4原子%を満足する数、qは26≦q≦40原子%を満足する数、rは0.88≦r≦4.3原子%を満足する数、tは3.5≦t≦13.5原子%を満足する数である)で表される組成と、Th2Zn17型結晶相を有する主相と、主相を構成する結晶粒の間に設けられた粒界相と、を含む金属組織と、を具備する。主相は、Th2Zn17型結晶相を有するセル相と、セル相を分断するように設けられ且つセル相よりも高濃度のCuを含むCuリッチ相と、を含む。Th2Zn17型結晶相のc軸を含む断面において結晶粒内のCuリッチ相に分断されたセル相を構成する第1の領域のCu濃度と、第1の領域と同じ結晶粒内であって断面の粒界相の延在方向に垂直な方向において粒界相から50nm以上200nm以下の範囲に位置する第2の領域のCu濃度と、の差は0.5原子%以下である。

図面の簡単な説明

0008

永久磁石の構造例を示す断面模式図である。
金属組織の構造例を示す断面模式図である。
STEM観察により得られるTh2Zn17型結晶相のc軸を含む断面の明視野像を示す図である。
図3に示す明視野像と同視野でのCuのマッピング像を示す図である。
図3の一部を示す部分拡大図である。
図3の一部を示す部分拡大図である。
永久磁石モータを示す図である。
可変磁束モータを示す図である。
発電機を示す図である。
車両の構成例を示す模式図である。
車両の構成例を示す模式図である。

0009

以下、実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面は模式的なものであり、例えば厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。また、実施形態において、実質的に同一の構成要素には同一の符号を付し説明を省略する。

0010

(第1の実施形態)
本実施形態の永久磁石について以下に説明する。

0011

<永久磁石の構成例>
本実施形態の永久磁石は、組成式:RpFeqMrCutCo100−p−q−r−t(式中、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素、MはZr、Ti、及びHfからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素、pは10.5≦p≦12.4原子%を満足する数、qは26≦q≦40原子%を満足する数、rは0.88≦r≦4.3原子%を満足する数、tは3.5≦t≦13.5原子%を満足する数である)で表される組成を備える。

0012

上記組成式におけるRは、磁石材料に大きな磁気異方性をもたらすことができる元素である。R元素としては、希土類元素から選ばれる少なくとも一つの元素が挙げられる。例えば、イットリウム(Y)、サマリウム(Sm)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、又はネオジム(Nd)等が挙げられる。元素Rは、1種類で用いることもできるし、複数種類の元素を用いても良い。特に、Smを用いることが好ましい。例えば、R元素としてSmを含む複数の元素を用いる場合、Sm濃度をR元素として適用可能な元素全体の50原子%以上とすることにより、磁石材料の性能、例えば保磁力を高めることができる。なお、R元素として適用可能な元素の70原子%以上、さらには90%以上をSmとするとさらに好ましい。

0013

上記組成式におけるpが10.5原子%未満の場合、多量のα−Feが析出して保磁力が小さくなり、上記組成式におけるpが12.4原子%を超える場合、飽和磁化が低下する。上記組成式におけるpが10.9原子%以上12.1原子%以下、さらには11.0原子%以上12.0原子%以下であることがより好ましい。

0014

上記組成式におけるMは、高いFe濃度の組成で大きな保磁力を発現させることができる元素である。M元素としては、例えばチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及びハフニウム(Hf)からなる群より選ばれる1つ又は複数の元素が用いられる。元素Mは、1種類で用いることもできるし、複数種類の元素を用いても良い。上記組成式におけるrが4.3原子%を超える場合、M元素を過剰に含有する異相が生成しやすくなり、保磁力、磁化ともに低下しやすくなる。上記組成式におけるr(M元素の含有量)が0.88原子%未満である場合、Fe濃度を高める効果が小さくなりやすい。M元素の含有量は、1.14原子%以上3.58原子%以下、さらには1.49原子%よりも大きく2.24原子%以下、さらには1.55原子%以上2.23原子%以下であることがより好ましい。

0015

M元素は、少なくともZrを含むことが好ましい。特に、M元素の50原子%以上をZrとすることによって、永久磁石の保磁力を高めることができる。一方、M元素の中でHfは高価であるため、Hfを使用する場合においても、その使用量は少ないことが好ましい。例えば、Hfの濃度は、M元素の20原子%未満であることが好ましい。

0016

Cuは、磁石材料において高い保磁力を発現させることができる元素である。上記組成式におけるt(Cuの含有量)が13.5原子%を超える場合、磁化が低下しやすい。上記組成式におけるtが3.5原子%未満である場合、高い保磁力と良好な角型比を得ることが困難となる。Cuの含有量は、3.9原子%以上9.0原子%以下、さらには4.3原子%以上5.8原子%以下であることがより好ましい。

0017

Feは、主として磁石材料の磁化を担う元素である。Feを多量に配合することにより磁石材料の飽和磁化を高めることができるが、過剰に配合するとα−Feの析出や相分離により所望の結晶相が得られにくくなり、保磁力を低下させるおそれがある。よって含有量qは、26原子%以上40原子%以下であることが好ましい。Feの含有量qは、29原子%以上36原子%以下、さらには30原子%以上33原子%以下であることがより好ましい。

0018

Coは、磁石材料の磁化を担うとともに高い保磁力を発現させることができる元素である。また、Coを多く配合すると高いキュリー温度が得られ、磁石特性熱安定性を高めることができる。Coの配合量が少ないとこれらの効果が小さくなる。しかしながら、Coを過剰に添加すると、相対的にFeの割合が減り、磁化の低下を招くおそれがある。また、Coの20原子%以下をNi、V、Cr、Mn、Al、Si、Ga、Nb、Ta、及びWからなる群より選ばれる1つ又は複数の元素で置換することにより磁石特性、例えば保磁力を高めることができる。これら置換元素は、1種類で用いることもできるし、複数種類の元素を用いても良い。

0019

図1は、本実施形態の永久磁石の構造例を示す断面模式図である。図1では、永久磁石の断面の一部を示している。本実施形態の永久磁石は、六方晶系のTh2Zn17型結晶相(2−17型結晶相)を有する結晶粒101と、結晶粒101の間に設けられた粒界相102と、を含む2次元の金属組織を具備する。結晶粒101は永久磁石の主相(永久磁石中の各結晶相及び非晶質相のうち、最も体積占有率が高い相)を構成する。

0020

図2は、金属組織の構造例を示す断面模式図である。図2では、Th2Zn17型結晶相のc軸を含む断面の一部を示している。図2に示す金属組織は、2−17型結晶相を有するセル相111と、六方晶系のCaCu5型結晶相(1−5型結晶相)を有するCuリッチ相112と、を含む。Cuリッチ相112は、セル相を囲むように形成されることが好ましい。上記構造をセル構造ともいう。Cuリッチ相112は、セル相を分断するセル壁相を含む。Th2Zn17型結晶相のc軸は磁化容易軸と平行又は略平行に存在していることが好ましい。なお、略平行とは、例えば平行方向から−10度以上10度以下の範囲内の方向である。

0021

Cuリッチ相112は、Th2Zn17型結晶相よりも高濃度のCuを含む相である。Cuリッチ相のCu濃度は、例えばTh2Zn17型結晶相のCu濃度の1.2倍以上であることが好ましい。Th2Zn17型結晶相のCu濃度は、例えば3.5原子%以上13.5原子%以下であることが好ましい。Cuリッチ相112は、例えばTh2Zn17型結晶相におけるc軸を含む断面において、線状又は板状に存在する。Cuリッチ相112の構造としては、特に限定されないが、例えば六方晶系のCaCu5型結晶相(1−5型結晶相)等が挙げられる。また、永久磁石は、相の異なる複数のCuリッチ相を有していてもよい。

0022

Cuリッチ相112の磁壁エネルギーは、Th2Zn17型結晶相の磁壁エネルギーよりも高く、この磁壁エネルギーの差が磁壁移動障壁となる。つまり、Cuリッチ相112がピニングサイトとして機能することにより、複数のセル相間での磁壁移動を抑制することができる。特に、セル構造を形成することにより、磁壁移動の抑制効果が高まる。これを磁壁ピニング効果ともいう。よって、セル相111を囲むようにCuリッチ相112が形成されることがより好ましい。

0023

26原子%以上のFeを含むSm−Co系磁石において、Cuリッチ相112のCu濃度は、10原子%以上60原子%以下であることが好ましい。Cuリッチ相112のCu濃度を高めることにより保磁力や角型比を高くすることができる。Fe濃度が高い領域においてはCuリッチ相112のCu濃度にばらつきが発生しやすくなり、例えば磁壁ピニング効果が大きいCuリッチ相と磁壁ピニング効果が小さいCuリッチ相とが生じ、保磁力及び角型比が低下する。Cuリッチ相112のCu濃度は、30原子%以上60原子%以上、さらには40原子%以上60原子%以下であることがより好ましい。

0024

ピニングサイトを外れた磁壁が移動すると、移動した分だけ磁化が反転してしまうため、磁化が低下する。外磁場印加した際に、ある一定の磁場で一斉に磁壁がピニングサイトを外れれば、磁場の印加により磁化が低下しにくくなり、良好な角型比が得られる。換言すると、磁場を印加した際に保磁力よりも低い磁場でピニングサイトを外れ、磁壁が移動してしまうと、移動した分だけ磁化が減少し、角型比の悪化につながると考えられる。

0025

主相を構成する結晶粒や粒界相は、SEMを利用した電子後方散乱回折像法(SEM−Electron Backscattering Pattern:SEM−EBSP)の測定結果から定義することができる。以下に手順を示す。まず、前処理として、試料エポキシ樹脂にて包埋して機械研磨及びバフ仕上げした後、水洗及びエアブローによる散水を行う。散水後の試料をドライエッチング装置表面処理する。次に、EBSDシステム−Digiview(TSL社製)が付属する走査型電子顕微鏡S−4300SE(日立ハイテクノロジーズ社製)で試料表面を観察する。観察条件は、加速電圧30kV、測定面積500μm×500μmとする。なお、SEM−EBSPによる測定は、焼結体の内部に対して行う。ステップサイズ2μmにて、測定面積範囲内の全ピクセル方位を測定し、隣接するピクセル間方位差が5度未満である領域を結晶粒とみなすことができ、隣接するピクセル間の方位差が5度以上である境界を粒界相とみなすことができる。

0026

永久磁石の組成は、例えばICP(高周波誘導結合プラズマ:Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法、SEM−EDX(走査電子顕微鏡エネルギー分散型X線分光法:SEM−Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)、TEM−EDX(透過電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法:Transmission Electron Microscope−EDX)等により測定される。各相体積比率は、電子顕微鏡光学顕微鏡による観察とX線回折等とを併用して総合的に判断されるが、永久磁石の断面を撮影した電子顕微鏡写真面積分析法により求めることができる。永久磁石の断面は、試料の最大面積を有する表面の実質的に中央部の断面を用いるものとする。

0027

Th2Zn17型結晶相を有するセル相及びCuリッチ相は、例えば以下のように定義される。まず、走査透過型電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope:STEM)によるサンプルの観察を行う。このとき、SEMによりサンプルを観察することにより、粒界相の場所を特定し、収束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)を用いて粒界相が視野に入るようにサンプルを加工することにより観察効率を高めることができる。上記サンプルは、時効処理後のサンプルである。この際、サンプルは未着磁品であることが好ましい。観察条件は、例えば加速電圧200kV、測定面積30μm×30μmとする。

0028

図3は、STEM観察により得られるTh2Zn17型結晶相のc軸を含む断面の明視野像を示す図である。図3に示す断面は、結晶粒101aと、結晶粒101bと、結晶粒101aと結晶粒101bとの間に位置する粒界相102と、を有する。

0029

次に、断面における各元素の濃度を例えばSTEMを利用したエネルギー分散型X線分光法(STEM−Energy Dispersive X−ray Spectroscopy:STEM−EDX)により測定する。STEM−EDXにより各元素の濃度を測定する際、サンプルの表面の1mm以上内部から測定用の試料を切り出す。また、磁化容易軸(c軸)に平行な面に対し、100k倍の観察倍率で観察する。

0030

図4は、図3に示す明視野像と同視野でのCuのマッピング像を示す図である。図4において、相対的に白い線状又は板状の領域がCuリッチ相である。26原子%以上の高いFe濃度を有するSm−Co系磁石では、図3及び図4に示すように、粒界相102の近傍領域においてセル構造が形成されにくい。よって、角型比が低下しやすい。

0031

粒界相の近傍領域を詳細に分析するとCu濃度が他の領域よりも低いことがわかる。26原子%以上の高いFe濃度を有するSm−Co系磁石では、Cuリッチの異相が生じやすいため、Cuリッチ相に分断されたセル相の領域と粒界相の近傍領域との間でCu濃度のばらつきが生じやすい。Cuリッチの異相が多いと角型比が低下しやすい。よって、角型比の低下を抑制するためには、Cuリッチの異相の発生を抑制してCu濃度のばらつきを低減することが求められる。

0032

図5は、図3においてCuリッチ相に分断されたセル相の領域を含む部分拡大図であり、図6は、図3において粒界相の近傍領域を含む部分断面図である。本実施形態の永久磁石において、Th2Zn17型結晶相のc軸を含む断面において結晶粒内のCuリッチ相112に分断されたセル相111を構成する第1の領域(セル相領域)A(図5参照)のCu濃度と、第1の領域Aと同じ結晶粒内であって上記断面の粒界相102の延在方向(図3及び図4に示す破線)に垂直な方向VDにおいて粒界相102から50nm以上200nm以下の範囲に位置する第2の領域(粒界相近傍領域)B(図6参照)のCu濃度と、の差は0.5原子%以下である。第1の領域AのFe濃度は、例えば26原子%以上であることが好ましい。第1の領域AのCu濃度は、例えば1.5原子%以上5原子%以下であることが好ましい。

0033

第1の領域AのCu濃度は、10か所分の測定値のうち、最大値最小値を除く測定値の平均値により定義される。第2の領域BのCu濃度も同じである。セル構造領域のCu濃度と粒界相近傍領域のCu濃度との差が上記範囲である永久磁石では、Cuリッチの異相の発生が抑制され、角型比が大幅に改善されている。

0034

各相の元素の濃度測定には、三次元アトムプローブ(3−Dimension Atom Probe:3DAP)を用いてもよい。3DAPを用いた分析法とは、電圧を印加することにより観察試料電界蒸発させ、電界蒸発されたイオン二次元検出器により検出することにより原子配列を特定する分析法である。二次元検出器に到達するまでの飛行時間からイオン種が同定され、個々に検出されたイオンを深さ方向に連続的に検出し、検出された順番にイオンを並べる(再構築する)ことにより、三次元の原子分布が得られる。TEM−EDXの濃度測定と比べて、各結晶相内の各元素濃度をより正確に測定することができる。

0035

3DAPによる各相内の元素濃度の測定は、以下に示す手順にしたがって実施する。まず、試料をダイシングにより薄片化し、そこからFIBにてピックアップアトムプローブ(AP)用針状試料を作製する。

0036

3DAPによる測定は、焼結体の内部に対して行う。焼結体内部の測定とは、以下の通りである。まず、最大の面積を有する面における最長の辺の中央部において、辺に垂直(曲線の場合は中央部の接線と垂直)に切断した断面の表面部と内部とで組成を測定する。測定箇所は、上記断面において各辺の1/2の位置を始点として、辺に対し垂直に内側に向けて端部まで引いた第1の基準線と、各角部の中央を始点として角部の内角の角度の1/2の位置で内側に向けて端部まで引いた第2の基準線とを設け、これら第1の基準線及び第2の基準線の始点から基準線の長さの1%の位置を表面部、40%の位置を内部と定義する。なお、角部が面取り等で曲率を有する場合、隣り合う辺を延長した交点を辺の端部(角部の中央)とする。この場合、測定箇所は交点からではなく、基準線と接した部分からの位置とする。

0037

測定箇所を以上のようにすることによって、例えば断面が四角形の場合、基準線は第1の基準線及び第2の基準線でそれぞれ4本の合計8本となり、測定箇所は表面部及び内部でそれぞれ8箇所となる。本実施形態において、表面部及び内部でそれぞれ8箇所全てが上記した組成範囲内であることが好ましいが、少なくとも表面部及び内部でそれぞれ4箇所以上が上記した組成範囲内となればよい。この場合、1本の基準線での表面部及び内部の関係を規定するものではない。このように規定される焼結体内部の観察面研磨して平滑にした後に観察を行う。例えば、濃度測定におけるTEM−EDXの観察箇所は、各相内の任意の20点とし、これら各点での測定値から最大値と最小値を除いた測定値の平均値を求め、この平均値を各元素の濃度とする。3DAPの測定もこれに準ずる。

0038

上述した3DAPを用いたCuリッチ相内の濃度の測定結果において、Cuリッチ相におけるCuの濃度プロファイルは、よりシャープであることが好ましい。具体的には、Cuの濃度プロファイルの半値幅FWHM:Full Width at Half Maximum)が5nm以下であることが好ましく、このような場合により高い保磁力を得ることができる。これはCuリッチ相内のCuの分布がシャープな場合、セル相とCuリッチ相との間の磁壁エネルギー差が急激に生じ、磁壁がよりピニングされやすくなるためである。

0039

Cuリッチ相におけるCuの濃度プロファイルの半値幅(FWHM)は、以下のようにして求められる。上述した方法に基づいて3DAPのCuプロファイルからCu濃度が最も高い値(PCu)を求め、この値の半分の値(PCu/2)となるところのピークの幅、すなわち半値幅(FWHM)を求める。このような測定を10個のピークに対して行い、それらの値の平均値をCuプロファイルの半値幅(FWHM)と定義する。Cuプロファイルの半値幅(FWHM)が3nm以下である場合に、さらに保磁力を高める効果が向上し、2nm以下の場合により一層優れた保磁力の向上効果を得ることができる。

0040

角型比は、以下のように定義される。まず、直流B−Hトレーサーにより室温における直流磁化特性を測定する。次に、測定結果から得られたB−H曲線より磁石の基本特性である残留磁化Mrと保磁力iHC及び最大エネルギー積(BH)maxを求める。このとき、Mrを用いて理論最大値(BH)maxが下記式(1)により求められる。
(BH)max(理論値)=Mr2/4μ0・・・(1)
角型比は、測定で得られる(BH)maxと(BH)max(理論値)の比により評価され、下記式(2)により求められる。
(BH)max(実測値)/(BH)max(理論値)×100・・・(2)

0041

上記永久磁石は、例えばボンド磁石としても用いられる。例えば、特開2008−29148号公報又は特開2008−43172号公報に開示されているような可変磁束ドライブシステムにおける可変磁石に上記永久磁石を用いることにより、システムの高効率化、小型化、低コスト化が可能となる。上記永久磁石を可変磁石として用いるためには時効処理条件を変更し、例えば保磁力を100kA/M以上350kA/M以下に収める必要がある。

0042

<永久磁石の製造方法>
次に、永久磁石の製造方法例について説明する。まず、永久磁石の合成に必要な所定の元素を含む合金粉末を調製する。次に、電磁石の中に設置した金型内に合金粉末を充填し、磁場を印加しながら加圧成形することにより結晶軸配向させた圧粉体を製造する。

0043

例えば、アーク溶解法高周波溶解法による溶湯鋳造して得られた合金インゴット粉砕することにより合金粉末を調製することができる。合金粉末は、組成が異なる複数の粉末を混ぜ合わせて所望の組成としてもよい。また、メカニカルアロイング法メカニカルグラインディング法、ガスアトマイズ法還元拡散法などを用いて合金粉末を調製してもよい。ストリップキャスト法を用いた合金薄帯の作製では、フレーク状の合金薄帯を作製し、その後合金薄帯を粉砕することにより合金粉末を調製する。例えば、周速0.1m/秒以上20m/秒以下で回転する冷却ロール合金溶湯傾注することにより、厚さ1mm以下に連続的に凝固させた薄帯を作製することができる。周速が0.1m/秒未満の場合、薄帯において組成のばらつきが生じやすい。また、周速が20m/秒を超える場合、結晶粒が微細化しすぎてしまう等、磁気特性が低下する場合がある。冷却ロールの周速は0.3m/秒以上15m/秒以下、さらに好ましくは0.5m/秒以上12m/秒以下である。

0044

さらに、上記合金粉末又は粉砕前の合金の材料に対して熱処理を施すことにより該材料を均質化することが可能である。例えば、ジェットミルボールミルなどを用いて材料を粉砕することができる。なお、不活性ガス雰囲気もしくは有機溶媒中で材料を粉砕することにより粉末の酸化を防止することができる。

0045

粉砕後の粉末において、平均粒径が2μm以上5μm以下であり、かつ粒径が2μm以上10μm以下の粉末の割合が粉末全体の80%以上であると配向度が高くなり、また、保磁力が大きくなる。これを実現するためにはジェットミルによる粉砕が好ましい。

0046

例えば、ボールミルで粉砕する場合、粉末の平均粒径が2μm以上5μm以下であったとしても、粒径がサブミクロンレベル微粉末が多量に含まれる。この微粉末が凝集するとプレス時の磁場配向中に磁化容易軸方向にTbCu7相における結晶のc軸が揃いにくくなり、配向度が悪くなりやすい。また、このような微粉末は、焼結体中の酸化物の量を増大させ、保磁力を低下させるおそれがある。特に、Fe濃度が26原子%以上の場合、粉砕後の粉末において、10μm以上の粒径の粉末の割合が粉末全体の10%以下であることが望ましい。Fe濃度が26原子%以上の場合、原材料となるインゴット中における異相の量が増大する。この異相では、粉末の量が増大するだけでなく、粒径も大きくなる傾向にあり、粒径が20μm以上になることがある。

0047

このようなインゴットを粉砕した際に例えば15μm以上の粒径の粉末がそのまま異相の粉末となることがある。このような異相粗粉末を含んだ粉砕粉を磁場中でプレスし、焼結体とすると、異相が残存し、保磁力の低下、磁化の低下、角型性の低下等を引き起こす。角型性が低下すると着磁が難しくなる。特に、ロータなどへのアセンブリ後の着磁が困難となる。このように、10μm以上の粒径の粉末を全体の10%以下とすることにより26原子%以上のFeを含む高いFe濃度組成において角型比の低下を抑制しつつ保磁力を大きくすることができる。

0048

次に、上記圧粉体に対し、1180℃以上1220℃以下の温度で、1時間以上15時間以下の熱処理により焼結を行う。焼結温度が1180℃未満の場合、融点が高い領域において焼結を十分に進行せず、金属組織の均一性が低下する場合がある。焼結温度が1220℃よりも高い場合、粉末中のSm等のR元素が過剰に蒸発する等で磁気特性が低下する場合がある。焼結温度は、例えば1190℃以上1210℃以下であることがより好ましい。保持時間が1時間未満である場合、密度が不均一になりやすいため磁化が低下しやすく、さらに、焼結体の結晶粒径が小さくなり、かつ粒界相比率が高くなることにより、磁化が低下しやすい。また、保持時間が15時間を超える場合、粉末中のR元素の蒸発が過剰となり、磁気特性が低下するおそれがある。より好ましい保持時間は2時間以上13時間以下であり、さらに好ましくは3時間以上10時間以下である。上記焼結では、チャンバ内に成形体をセットした後に真空状態にし、保持温度近くになるまで真空を維持し、その後Ar等の不活性雰囲気に切り替え等温保持することにより焼結体密度を向上させることができる。

0049

次に、高質化処理を行い、その後溶体化処理を行う。高質化処理は、金属組織、特にマクロ組織を制御する処理である。高質化処理では、例えば焼結時の熱処理温度よりも10℃以上低い温度で、かつ溶体化処理時の熱処理温度よりも10℃以上高い温度で、2時間以上12時間以下保持することにより熱処理を行う。焼結時の熱処理温度よりも10℃以上低い温度で熱処理を行わない場合、焼結中に生成した液相由来の異相を十分に除去できない。この異相の配向性は低いことが多く、当該異相が存在すると結晶粒の結晶方位が磁化容易軸に対してずれやすくなり、角型比が低下するだけでなく磁化も低下しやすい。また、溶体化処理では、温度が低く、元素拡散速度の観点から焼結中に生じた異相を十分に除去することは困難である。また、粒成長速度も遅く、十分な結晶粒径を得ることができない可能性があり、角型比の改善が望めない。これに対し、溶体化処理時の保持温度よりも10℃以上高くして高質化処理を行うことにより、上記異相を十分に除去し、主相を構成する結晶粒を大きくすることができる。高質化処理時の保持温度は、例えば1140℃以上1210℃以下であることが好ましい。1140℃未満の場合及び1210℃を超える場合、角型比が低下する場合がある。

0050

26原子%以上の高Fe濃度のSm−Co系永久磁石において、異相を抑制するために必要な高質化処理の保持時間は、Fe濃度(組成式におけるqの値)によって大きく変化する。発生する異相の量がFe濃度によって大きく変化するためである。本実施形態の永久磁石の製造方法では、高質化処理の最低保持時間Tminは以下の式により設定される。qはFe濃度である。

0051

Tmin(時間)=2q−50

0052

すなわち、高質化処理の保持時間は、(2q−50)時間以上であることが好ましい。(2q−50)時間未満であると、明瞭な角型比改善効果が得られない。また、組織不均一化によりセル相内のFe濃度が仕込み組成より低くなり、26原子%以下となってしまうため高い磁化が得られない。

0053

(2q−50)時間は、例えば2時間以上であることが好ましい。保熱処理時間が2時間未満の場合、拡散が不十分であり、異相が十分に除去されず、角型比改善の効果が小さい。また、保持時間は30時間以下であることが好ましい。30時間を超える場合、Sm等のR元素が蒸発して良好な磁気特性が得られないおそれがある。しかしながら、高質化処理の保持温度が溶体化処理温度よりも10℃以上30℃以下高ければ、12時間以上でも特性の低下が生じにくい。この場合保持時間は、例えば30時間以下であればよい。なお、高質化処理における熱処理時間は10時間以上28時間以下であることがより好ましく、さらに12時間以上20時間以下であることが好ましい。また、酸化防止のために真空中やアルゴンガス等の不活性雰囲気中で高質化処理を行うことが好ましい。

0054

このとき、高質化処理におけるチャンバ内の圧力を正圧にすることにより、異相の生成を抑制する効果が高まる。よって、R元素の過剰な蒸発を抑制することができるため保磁力の低下を抑制することができる。チャンバ内の圧力は、例えば0.15MPa以上15MPa以下、さらには0.2MPa以上10MPa以下、さらには1.0MPa以上5.0MPa以下であることが好ましい。

0055

次に、溶体化処理を行う。溶体化処理は、相分離組織の前駆体となるTbCu7型結晶相(1−7型結晶相)を形成する処理である。溶体化処理では、1090℃以上1130℃以下の温度で3時間以上28時間以下保持する。

0056

溶体化処理の温度が1090℃未満又は1130℃を超える場合、溶体化処理後の試料中に存在するTbCu7型結晶相の割合が小さく、磁気特性が低下するおそれがある。溶体化処理の温度は、例えば1100℃以上1130℃以下であることがより好ましい。溶体化処理時における保持時間が3時間未満の場合、構成相が不均一になりやすく、保磁力が低下しやすくなり、金属組織の結晶粒径が小さくなりやすく、粒界相比率が高くなり磁化が低下しやすい。また、溶体化処理時における保持温度が28時間を超える場合、焼結体中のR元素が蒸発する等で磁気特性が低下するおそれがある。保持時間は、好ましくは12時間以上18時間以下である。なお、真空中やアルゴンガス等の不活性雰囲気中で溶体化処理を行うことにより粉末の酸化を抑制することができる。

0057

さらに、等温保持後に急冷を行う。例えば、冷却速度を170℃/分以上として室温まで急冷を行うことにより、TbCu7型結晶相を安定化させることができ保磁力が発現しやすくなる。冷却速度が170℃/分未満の場合、冷却中にCe2Ni7型結晶相(2−7型結晶相)が生成されやすくなる。2−7型結晶相の存在により磁化が低下する場合があり、また、保磁力も低下する場合がある。2−7型結晶相はCuが濃化されていることが多く、これにより主相中のCu濃度が低下し、時効処理による相分離が起きにくくなるためである。特に、Feを26原子%以上含む組成では冷却速度が重要となりやすい。

0058

高質化処理温度から溶体化処理温度までは急冷しないことが好ましい。例えば15℃/分以下の速度で溶体化処理温度まで徐冷することが好ましい。冷却速度は、10℃/分以下、さらには5℃/分以下であることがより好ましい。冷却速度を低くすることで金属組織の均一化がなされ、角型比の改善効果が明瞭となる。

0059

次に、急冷後の焼結体に時効処理を行う。時効処理とは、金属組織を制御して磁石の保磁力を高める処理であり、磁石の金属組織を複数の相に相分離させることを目的としている。

0060

時効処理では、760℃以上850℃以下の温度まで昇温させた後、その到達温度で20時間以上60時間以下保持(第1の保持)する。次に、0.2℃/分以上2.0℃/分以下の冷却速度で350℃以上650℃以下の温度まで徐冷を行った後、その到達温度で0.5時間以上8時間以下保持(第2の保持)することにより、熱処理を行う。その後、室温まで冷却する。以上により焼結体磁石を得ることができる。

0061

第1の保持において、保持温度が850℃よりも高い場合、セル相が粗大になり、角型比が低下しやすい。また、保持温度が760℃未満の場合、セル構造が十分に得られず、保磁力の発現が困難となる。第1の保持における保持温度は、例えば780℃以上840℃以下であることがより好ましい。また、第1の保持において、保持時間が20時間未満の場合、セル構造が不十分となり、保磁力の発現が困難となる。また、保持時間が60時間よりも長い場合、セル壁相が過剰に厚くなり、角型比が劣化する可能性がある。第1の保持における保持時間は、例えば25時間以上40時間以下であることがより好ましい。

0062

徐冷時の冷却速度が0.2℃/分未満の場合、セル壁相が過剰に厚くなり、磁化が減少しやすい。また、2.0℃/分を超える場合、セル相とセル壁相とのCu濃度の差が十分に得られず、保磁力が低下し易い。徐冷時の冷却速度は、例えば0.4℃/分以上1.5℃/分以下、さらには0.5℃/分以上1.3℃/分以下であることがより好ましい。また、350℃未満まで徐冷する場合、上述したような低温異相が生成され易い。また、650℃を超える温度まで徐冷する場合、Cuリッチ相でのCu濃度が十分に高くならず、十分な保磁力が得られないことがある。また、第2の保持における保持時間が8時間を超える場合、低温異相が生成し、十分な磁気特性が得られない可能性がある。

0063

なお、時効処理において、徐冷時に所定の温度で一定時間保持し、さらにそこから徐冷を行ってもよい。また、上記時効処理を本時効処理として、本時効処理の前に第1の保持における保持温度よりも低い温度で、かつ第1の保持における保持時間よりも短い時間で保持することにより予備時効処理を行ってもよい。上記徐冷時の保持や予備時効処理により、より角型比を高めることができる。

0064

なお、高質化処理は、焼結後であって時効処理前に行えばよい。例えば、溶体化処理を第1の溶体化処理及び第2の溶体化処理(再溶体化処理ともいう)に分割し、第1の溶体化処理後に高質化処理を行い、高質化処理後に第2の溶体化処理を行ってもよい。また、溶体化処理の間に高質化処理を複数回行ってもよい。

0065

上記永久磁石の製造方法では、高質化処理及び溶体化処理の条件を調整することによりTh2Zn17型結晶相のc軸を含む断面において結晶粒内のCuリッチ相112に分断されたセル相111を構成する第1の領域(セル構造領域)AのCu濃度と、第1の領域Aと同じ結晶粒内であって上記断面の粒界相102の延在方向(図3及び図4に示す破線)に垂直な方向VDにおいて粒界相102から50nm以上200nm以下の範囲に位置する第2の領域(粒界相近傍領域)BのCu濃度と、の差を0.5原子%以下に制御することができる。よって、角型比等の磁気特性を向上させることができる。

0066

(第2の実施形態)
第1の実施形態の永久磁石は、自動車鉄道車両等の車両等に具備される各種モータや発電機等の回転電機に使用することができる。また、可変磁束モータや可変磁束発電機固定磁石や可変磁石として使用することも可能である。第1の実施形態の永久磁石を用いることによって、各種のモータや発電機が構成される。第1の実施形態の永久磁石を可変磁束モータに適用する場合、可変磁束モータの構成やドライブシステムには、例えば特開2008−29148号公報や特開2008−43172号公報に開示されている技術を適用することができる。

0067

次に、上記永久磁石を具備する回転電機について、図面を参照して説明する。図7は本実施形態における永久磁石モータを示す図である。図7に示す永久磁石モータ1では、ステータ固定子)2内にロータ(回転子)3が配置されている。ロータ3の鉄心4中には、第1の実施形態の永久磁石である永久磁石5が配置されている。第1の実施形態の永久磁石を用いることにより、各永久磁石の特性等に基づいて、永久磁石モータ1の高効率化、小型化、低コスト化等を図ることができる。

0068

図8は本実施形態による可変磁束モータを示す図である。図8に示す可変磁束モータ11において、ステータ(固定子)12内にはロータ(回転子)13が配置されている。ロータ13の鉄心14中には、第1の実施形態の永久磁石が固定磁石15及び可変磁石16として配置されている。可変磁石16の磁束密度磁束量)は可変することが可能とされている。可変磁石16はその磁化方向がQ軸方向と直交するため、Q軸電流の影響を受けず、D軸電流により磁化することができる。ロータ13には磁化巻線(図示せず)が設けられている。この磁化巻線に磁化回路から電流を流すことによって、その磁界が直接に可変磁石16に作用する構造となっている。

0069

第1の実施形態の永久磁石によれば、固定磁石15に好適な保磁力を得ることができる。第1の実施形態の永久磁石を可変磁石16に適用する場合には、前述した製造方法の各種条件(時効処理条件等)を変更することによって、例えば保磁力を100kA/m以上500kA/m以下の範囲に制御すればよい。なお、図8に示す可変磁束モータ11においては、固定磁石15及び可変磁石16のいずれにも第1の実施形態の永久磁石を用いることができるが、いずれか一方の磁石に第1の実施形態の永久磁石を用いてもよい。可変磁束モータ11は、大きなトルクを小さい装置サイズ出力可能であるため、モータの高出力・小型化が求められるハイブリッド車電気自動車等の車両用のモータに好適である。

0070

図9は本実施形態による発電機を示している。図9に示す発電機21は、上記永久磁石を用いたステータ(固定子)22を備えている。ステータ(固定子)22の内側に配置されたロータ(回転子)23は、発電機21の一端に設けられたタービン24とシャフト25を介して接続されている。タービン24は、例えば外部から供給される流体により回転する。なお、流体により回転するタービン24に代えて、自動車等の車両の回生エネルギー等の動的な回転を伝達することによって、シャフト25を回転させることも可能である。ステータ22とロータ23には、各種公知の構成を採用することができる。

0071

シャフト25はロータ23に対してタービン24とは反対側に配置された整流子(図示せず)と接触しており、ロータ23の回転により発生した起電力が発電機21の出力として相分離母線及び主変圧器(図示せず)を介して、系統電圧に昇圧されて送電される。発電機21は、通常の発電機及び可変磁束発電機のいずれであってもよい。なお、ロータ23にはタービン24からの静電気や発電に伴う軸電流による帯電が発生する。このため、発電機21はロータ23の帯電を放電させるためのブラシ26を備えている。

0072

以上のように、上記永久磁石を発電機に適用することにより、高効率化、小型化、低コスト化等の効果が得られる。

0073

上記回転電機は、例えば、鉄道交通に利用される鉄道車両(車両の一例)に搭載されてよい。図10は、回転電機201を具備する鉄道車両200の一例を示す図である。回転電機201としては、上記図7、8のモータ、図9の発電機等を用いることができる。回転電機201として上記回転電機が搭載された場合、回転電機201は、例えば、架線から供給される電力や、鉄道車両200に搭載された二次電池から供給される電力を利用することによって駆動力を出力する電動機(モータ)として利用されてもよいし、運動エネルギーを電力に変換して、鉄道車両200内の各種負荷に電力を供給する発電機(ジェネレータ)として利用されてもよい。実施形態の回転電機のような高効率な回転電機を利用することにより、省エネルギーで鉄道車両を走行させることができる。

0074

上記回転電機は、ハイブリッド自動車や電気自動車などの自動車(車両の他の例)に搭載されてもよい。図11は、回転電機301を具備する自動車300の一例を示す図である。回転電機301としては、上記図7、8のモータ、図9の発電機等を用いることができる。回転電機301として上記回転電機が搭載された場合、回転電機301は、自動車300の駆動力を出力する電動機、又は自動車300の走行時の運動エネルギーを電力に変換する発電機としても利用されてよい。

0075

(実施例1、実施例2)
永久磁石に用いられる各原料を所定の比率で量して混合した後、Arガス雰囲気アーク溶解して合金インゴットを作製した。上記合金インゴットを1170℃で10時間保持して熱処理を行った後、合金インゴットに対して粗粉砕とジェットミルによる粉砕とを実施し、磁石の原料粉末としての合金粉末を調製した。得られた合金粉末を磁界中でプレス成形して圧縮成形体を作製した。

0076

次に、合金粉末の圧縮成形体を焼結炉チャンバ内に配置し、チャンバ内を8.0×10−3Paの真空状態にした後、1170℃まで昇温させ到達温度で15分間保持する。その後、Arガスを導入し、Ar雰囲気中で1200℃まで昇温させ、到達温度で6時間保持することにより高質化処理を行った。次に、1185℃まで冷却し、到達温度で表2に示すように(2q−50)時間以上の6時間保持することにより高質化処理を行った。次に、表2に示すように5℃/分の冷却速度で1160℃まで徐冷を行い、到達温度で12時間保持して溶体化処理を行い、その後室温まで冷却を行った。なお、溶体化処理後の冷却速度を160℃/分とした。

0077

次に、溶体化処理後の焼結体を、760℃まで昇温し、到達温度で2時間保持した後に400℃まで1.2℃/分の冷却速度で徐冷を行った。次に、時効処理として、830℃まで昇温し、到達温度で30時間保持した。その後、1.0℃/分の冷却速度で500℃まで徐冷を行い、到達温度で2時間保持した。その後、1.0℃/分の冷却速度で400℃まで徐冷を行い、到達温度で1時間保持した。その後、室温まで炉冷することにより、磁石を得た。

0078

ICP法により磁石の組成分析を実施した。なお、ICP法による組成分析を以下の手順により行った。まず、記述の測定箇所から採取した試料を乳鉢で粉砕し、粉砕した試料を一定量はかり取り、石英ビーカに入れた。さらに、ビーカに混酸硝酸塩酸を含む酸)を入れ、ホットプレート上で140℃程度に加熱し、ビーカ中の試料を完全に溶解させた。さらに放冷した後、PFAポリテトラフルオロエチレン)製メスフラスコに移して定量し、試料溶液とした。

0079

ICP発光分光分析装置を用いて検量線法により上記試料溶液の含有成分の定量を行った。ICP発光分光分析装置としては、エスアイアイナノテクノロジー製、SPS4000を用いた。得られた磁石の組成は表1に示す通りである。また、上記第1の領域Aと上記第2の領域BとのCu濃度差、さらに角型比、保磁力、及び残留磁化を測定した。その結果を表3に示す。なお、各実施例及び比較例において測定装置として、日立ハイテク製HD2300を使用した。

0080

(実施例3、実施例4、実施例5)
各原料を所定の比率で秤量して混合した後、Arガス雰囲気中で高周波溶解して合金インゴットを作製した。合金インゴットに対し粗粉砕を実施した後に1180℃、10時間の熱処理を施し、急冷することにより室温まで冷却した。さらに粗粉砕とジェットミルによる粉砕とを実施し、磁石の原料粉末としての合金粉末を調製した。さらに上記合金粉末を磁界中でプレス成形して圧縮成形体を作製した。

0081

次に、合金粉末の圧縮成形体を焼結炉のチャンバ内に配置し、チャンバ内を9.0×10−3Paの真空状態にした後に1170℃まで昇温させ、到達温度で30分間保持した後、チャンバ内にArガスを導入した。Ar雰囲気中で1195℃まで昇温させ、上記到達温度で6時間保持することにより焼結を行った。次に、1160℃まで冷却し、到達温度で表2に示すように(2q−50)時間以上の13時間保持することにより高質化処理を行った。次に、表2に示すように4℃/分の冷却速度で1140℃まで徐冷を行い、到達温度で16時間保持して溶体化処理を行い、その後室温まで冷却を行った。なお、溶体化処理後の冷却速度を150℃/分とした。

0082

次に、溶体化処理後の焼結体を、710℃まで昇温し、到達温度で3時間保持した後に420℃まで2℃/分の冷却速度で徐冷を行った。次に、時効処理として、820℃まで昇温し、到達温度で45時間保持した。その後0.5℃/分の冷却速度で420℃まで徐冷し、到達温度で2時間保持した。その後、0.3℃/分の冷却速度で390℃まで徐冷し、到達温度で1時間保持した。その後、室温まで炉冷することにより、磁石を得た。

0083

さらに、上記ICP発光分光分析装置を用いて検量線法により上記試料溶液の含有成分の定量を行った。得られた磁石の組成は表1に示す通りである。また、第1の領域Aと第2の領域BとのCu濃度差、さらに角型比、保磁力、及び残留磁化を測定した。その結果を表3に示す。

0084

(実施例6、実施例7)
各原料を所定の比率で秤量して混合した後、Arガス雰囲気中で高周波溶解して合金インゴットを作製した。合金インゴットに対し粗粉砕を実施した後に1175℃、12時間の熱処理を施し、急冷することにより室温まで冷却した。さらに粗粉砕とジェットミルによる粉砕とを実施し、磁石の原料粉末としての合金粉末を調製した。さらに上記合金粉末を磁界中でプレス成形して圧縮成形体を作製した。

0085

次に、合金粉末の圧縮成形体を焼結炉のチャンバ内に配置し、チャンバ内を8.0×10−3Paの真空状態にした後に1160℃まで昇温させ、到達温度で15分間保持した後、チャンバ内にArガスを導入した。Ar雰囲気中で1185℃まで昇温させ、到達温度で4時間保持することにより焼結を行った。次に、1160℃まで冷却し、表2に示すように(2q−50)時間以上の18時間保持することにより高質化処理を行った。次に、4℃/分の冷却速度で1130℃まで徐冷を行い、到達温度で12時間保持して溶体化処理を行い、その後室温まで冷却を行った。なお、溶体化処理後の冷却速度を200℃/分とした。

0086

次に、溶体化処理後の焼結体を、670℃まで昇温し、到達温度で1時間保持した後に次に、時効処理として、845℃まで昇温し、到達温度で50時間保持した。その後0.6℃/分の冷却速度で400℃まで徐冷し、到達温度で1時間保持した。その後350℃/分の冷却速度で0.4℃まで徐冷し、到達温度で1時間保持した。その後、室温まで炉冷することにより、磁石を得た。

0087

他の実施例と同様に上記各磁石の組成をICP法により確認した。得られた磁石の組成は表1に示す通りである。また、他の実施例と同様に、第1の領域Aと第2の領域BとのCu濃度差、さらに角型比、保磁力、及び残留磁化を測定した。その結果を表3に示す。

0088

(実施例8)
各原料を所定の比率で秤量して混合した後、Arガス雰囲気中で高周波溶解して合金インゴットを作製した。上記合金インゴットに対し粗粉砕を実施した後に1165℃、8時間の熱処理を施し、急冷することにより室温まで冷却した。さらに、粗粉砕とジェットミルによる粉砕とを磁石の原料粉末としての合金粉末を調製した。さらに上記合金粉末を磁界中でプレス成形して圧縮成形体を作製した。

0089

次に、合金粉末の圧縮成形体を焼結炉のチャンバ内に配置し、チャンバ内を9.0×10−3Paの真空状態にした後に1160℃まで昇温させ、到達温度で30分間保持した後、チャンバ内にArガスを導入した。Ar雰囲気中で1195℃まで昇温させ、到達温度で4時間保持することにより焼結を行った。次に、5℃/分の冷却速度で1170℃まで冷却し、表2に示すように(2q−50)時間以上の16時間保持することにより高質化処理を行った。次に、1130℃まで徐冷を行い、到達温度で12時間保持して溶体化処理を行い、その後室温まで冷却を行った。なお、溶体化処理後の冷却速度を170℃/分とした。

0090

次に、溶体化処理後の焼結体を、720℃まで昇温し、到達温度で2時間保持した後に、時効処理として、830℃まで昇温させ、到達温度で45時間保持した。その後0.8℃/分の冷却速度で600℃まで徐冷を行い、到達温度で4時間保持した。その後0.5℃/分の冷却速度で400℃まで徐冷を行い、到達温度で1時間保持した。その後、室温まで炉冷することにより、磁石を得た。

0091

他の実施例と同様に上記各磁石の組成をICP法により確認した。得られた磁石の組成は表1に示す通りである。また、他の実施例と同様に、第1の領域Aと第2の領域BとのCu濃度差、さらに角型比、保磁力、及び残留磁化を測定した。その結果を表3に示す。

0092

(実施例9ないし実施例12)
実施例8と同組成の合金粉末を原料に用い、磁界中でプレス成形して圧縮成形体を作製した。次に、合金粉末の圧縮成形体を焼結炉のチャンバ内に配置し、チャンバ内を9.0×10−3Paの真空状態にした後に1160℃まで昇温させ、到達温度で30分間保持した後、チャンバ内にArガスを導入した。次に、Ar雰囲気中で1195℃まで昇温させ、到達温度で4時間保持することにより焼結を行った。

0093

次に、1170℃まで冷却し、到達温度で表2に示すように(2q−50)時間以上の表2に記載の各々の時間保持することにより高質化処理を行った。次に、表2に記載の冷却速度で1130℃まで徐冷を行い、到達温度で12時間保持して溶体化処理を行い、その後室温まで冷却を行った。なお、溶体化処理後の冷却速度を170℃/分とした。

0094

その後、実施例8と同様の方法により、各実施例において溶体化処理後の焼結体に対して時効処理等を行うことにより、磁石を得た。

0095

他の実施例と同様に上記各磁石の組成をICP法により確認した。得られた磁石の組成は表1に示す通りである。また、他の実施例と同様に、第1の領域Aと第2の領域BとのCu濃度差、さらに角型比、保磁力、及び残留磁化を測定した。その結果を表3に示す。

0096

(比較例1、比較例2)
表1に示す組成を有する磁石を、実施例1及び実施例2のそれぞれと同一の方法で作製した。また、実施例と同様に、第1の領域Aと第2の領域BとのCu濃度差、さらに角型比、保磁力、及び残留磁化を測定した。その結果を表3に示す。

0097

(比較例3ないし比較例5)
実施例8と同組成の合金粉末を原料に用い、磁界中でプレス成形して圧縮成形体を作製した。次に、合金粉末の圧縮成形体を焼結炉のチャンバ内に配置し、チャンバ内を9.0×10−3Paの真空状態にした後に1160℃まで昇温させ、到達温度で30分間保持した後、チャンバ内にArガスを導入した。次に、Ar雰囲気中で1195℃まで昇温させ、到達温度で4時間保持することにより焼結を行った。

0098

その後、表2に示す保持時間であってそれ以外は実施例8と同様の条件により高質化処理を行い、その後表2に示す冷却速度であってそれ以外の実施例8と同様の条件で徐冷及び溶体化処理を行い、その後実施例8と同様の条件で時効処理等を行うことにより、磁石を得た。

0099

他の実施例と同様に上記各磁石の組成をICP法により確認した。得られた磁石の組成は表1に示す通りである。また、他の実施例と同様に、第1の領域Aと第2の領域BとのCu濃度差、さらに角型比、保磁力、及び残留磁化を測定した。その結果を表3に示す。

0100

表1ないし表3からわかるとおり、各実施例の永久磁石では、Cu濃度のばらつきを制御することにより、磁化の低下を抑制し、Fe濃度が26原子%以上の組成を有する場合であっても、いずれも良好な角型比、高保磁力、及び高磁化を発現している。

0101

0102

0103

実施例

0104

なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

0105

1…永久磁石モータ、2…ステータ、3…ロータ、4…鉄心、5…永久磁石、11…可変磁束モータ、13…ロータ、14…鉄心、15…固定磁石、16…可変磁石、21…発電機、22…ステータ、23…ロータ、24…タービン、25…シャフト、26…ブラシ、101…結晶粒、101a…結晶粒、101b…結晶粒、102…粒界相、111…セル相、112…Cuリッチ相、200…鉄道車両、201…回転電機、300…自動車、301…回転電機。

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