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技術 ポリイミド、樹脂フィルム及び金属張積層板

出願人 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
発明者 安藤智典森亮
出願日 2016年3月17日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2016-054300
公開日 2017年9月21日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2017-165909
状態 特許登録済
技術分野 含窒素連結基の形式による高分子化合物一般 プリント板の材料 積層体(2)
主要キーワード 要求基準 導体平板 屈曲部位 イミド基濃度 ポリアミド酸層 ベースフィルム層 ベクトルネットワークアナライザ 低熱膨張性ポリイミド
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この項目の情報は公開日時点(2017年9月21日)のものです。
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課題

小型電子機器などに使用されるストリップラインマイクロストリップラインといった厚み方向の誘電特性の影響を受けやすい回路配線において、高周波化への対応が可能で、線熱膨張係数も低いポリイミド樹脂フィルム及び金属張積層板の提供。

解決手段

(i)酸無水物成分として、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物NTCDA)を40〜80モル%、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を20〜60モル%で含有し、(ii)ジアミン成分として、4,4’−ビフェニルジアミンIを60〜90モル%、一般式(3)等で表されるジアミンIIを10〜40モル%で含有し、(iii)NTCDA及びジアミンIの合計(A)と、BPDA及びジアミンIIの合計(B)との比(A/B)が1.6〜4.0であるポリイミド。

概要

背景

近年、電子機器の小型化、軽量化、省スペース化進展に伴い、薄く軽量で、可撓性を有し、屈曲を繰り返しても優れた耐久性を持つフレキシブルプリント配線板FPC;Flexible PrintedCircuits)の需要が増大している。FPCは、限られたスペースでも立体的かつ高密度実装が可能であるため、例えば、HDD、DVD、携帯電話等の電子機器の可動部分の配線や、ケーブルコネクター等の部品にその用途が拡大しつつある。

上述した高密度化に加えて、機器高性能化が進んだことから、伝送信号高周波化への対応も必要とされている。高周波信号伝送する際に、信号の伝送経路伝送損失が大きい場合、電気信号のロスや信号の遅延時間が長くなるなどの不都合が生じる。そのため、FPCの伝送損失の低減が重要となる。高周波化に対応するために、低誘電率低誘電正接を特徴とした液晶ポリマー誘電体層としたFPCが用いられている。しかしながら、液晶ポリマーは、誘電特性に優れているものの、耐熱性金属箔との接着性に改善の余地がある。

耐熱性や接着性を改善するため、ポリイミド絶縁層にした金属張積層板が提案されている(特許文献1)。特許文献1によると、一般的に高分子材料モノマー脂肪族系のものを用いることにより誘電率が低下することが知られており、脂肪族(鎖状テトラカルボン酸二無水物を用いて得られたポリイミドの耐熱性は著しく低いために、はんだ付けなどの加工に供する事が不可能となり実用上問題があるが、脂環族テトラカルボン酸二無水物を用いると鎖状のものに比べて耐熱性が向上したポリイミドが得られるとしている。しかしながら、このようなポリイミドから形成されるポリイミドフィルムは、10GHzにおける誘電率が3.2以下であるものの、誘電正接は0.01を超えるものであり、誘電特性は未だ十分ではなかった。また、上述の脂肪族モノマーを使用したポリイミドは線熱膨張係数が大きいものが多く、これらを絶縁層にした金属張積層板では反りが発生するため、回路基板の絶縁層とすることは困難であった。

概要

小型電子機器などに使用されるストリップラインマイクロストリップラインといった厚み方向の誘電特性の影響を受けやすい回路配線において、高周波化への対応が可能で、線熱膨張係数も低いポリイミド、樹脂フィルム及び金属張積層板の提供。(i)酸無水物成分として、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物NTCDA)を40〜80モル%、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を20〜60モル%で含有し、(ii)ジアミン成分として、4,4’−ビフェニルジアミンIを60〜90モル%、一般式(3)等で表されるジアミンIIを10〜40モル%で含有し、(iii)NTCDA及びジアミンIの合計(A)と、BPDA及びジアミンIIの合計(B)との比(A/B)が1.6〜4.0であるポリイミド。なし

目的

本発明の目的は、特に小型電子機器に主に使用されているストリップラインやマイクロストリップラインといった厚み方向の誘電特性の影響を受けやすい回路配線において、高周波化への対応が可能であり、線熱膨張係数(CTE)も低いポリイミド、樹脂フィルム及び金属張積層板を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

芳香族テトラカルボン酸無水物を含む酸無水物成分と、芳香族ジアミンを含むジアミン成分と、を反応させて得られるポリイミドであって、下記(i)〜(iii)の条件;(i)前記酸無水物成分の100モル部に対して、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物NTCDA)を40〜80モル部の範囲内で含有し、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を20〜60モル部の範囲内で含有すること;(ii)前記ジアミン成分の100モル部に対して、下記の一般式(1)及び(2)で表される芳香族ジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の芳香族ジアミン(ジアミンI)を60〜90モル部の範囲内で含有し、下記の一般式(3)〜(5)で表される芳香族ジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の芳香族ジアミン(ジアミンII)を10〜40モル部の範囲内で含有すること;(iii)前記NTCDA及びジアミンIの合計(A)と、前記BPDA及びジアミンIIの合計(B)との比(A/B)が1.6〜4.0の範囲内にあること;を満たすことを特徴とするポリイミド。[式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、又はハロゲン原子、あるいは炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基アルコキシ基若しくはアルケニル基を示し、m及びnは1〜4の整数を示す。][式(3)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、又はハロゲン原子、あるいは炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、アルコキシ基若しくはアルケニル基を示し、Xは−O−、−S−、−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−CO−、−COO−、−SO2−、−NH−又は−NHCO−から選ばれる2価の基を示し、m及びnは独立に1〜4の整数を示す。][式(4)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、又はハロゲン原子、あるいは炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、アルコキシ基若しくはアルケニル基を示し、Xは−O−、−S−、−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−CO−、−COO−、−SO2−、−NH−又は−NHCO−から選ばれる2価の基を示し、m、n及びoは独立に1〜4の整数を示す。][式(5)中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、又はハロゲン原子、あるいは炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、アルコキシ基若しくはアルケニル基を示し、X及びX1は単結合、−O−、−S−、−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−CO−、−COO−、−SO2−、−NH−又は−NHCO−から選ばれる2価の基を示すが、X及びX1の両方が単結合である場合を除くものとし、m、n、o及びpは独立に1〜4の整数を示す。]

請求項2

前記酸無水物成分の100モル部に対して、下記の一般式(6)で表される芳香族テトラカルボン酸無水物が20モル部以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド。[式(6)中、Aは−O−、−S−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−又は−SO2−から選ばれる2価の基を示す。]

請求項3

請求項1又は2に記載のポリイミドからなることを特徴とする樹脂フィルム

請求項4

線熱膨張係数が、5×10−6〜20×10−6(1/K)の範囲内にあることを特徴とする請求項3に記載の樹脂フィルム。

請求項5

絶縁樹脂層金属層とを備えた金属張積層板であって、前記樹脂絶縁層が、単層又は複数層ポリイミド層を有し、前記ポリイミド層の少なくとも1層が、請求項1又は2に記載のポリイミドからなり、線熱膨張係数が5×10−6〜20×10−6(1/K)の範囲内にあるポリイミド層であることを特徴とする金属張積層板。

技術分野

0001

本発明は、ポリイミド、並びにこのポリイミドを利用した樹脂フィルム及び金属張積層板に関する。

背景技術

0002

近年、電子機器の小型化、軽量化、省スペース化進展に伴い、薄く軽量で、可撓性を有し、屈曲を繰り返しても優れた耐久性を持つフレキシブルプリント配線板FPC;Flexible PrintedCircuits)の需要が増大している。FPCは、限られたスペースでも立体的かつ高密度実装が可能であるため、例えば、HDD、DVD、携帯電話等の電子機器の可動部分の配線や、ケーブルコネクター等の部品にその用途が拡大しつつある。

0003

上述した高密度化に加えて、機器高性能化が進んだことから、伝送信号高周波化への対応も必要とされている。高周波信号伝送する際に、信号の伝送経路伝送損失が大きい場合、電気信号のロスや信号の遅延時間が長くなるなどの不都合が生じる。そのため、FPCの伝送損失の低減が重要となる。高周波化に対応するために、低誘電率低誘電正接を特徴とした液晶ポリマー誘電体層としたFPCが用いられている。しかしながら、液晶ポリマーは、誘電特性に優れているものの、耐熱性金属箔との接着性に改善の余地がある。

0004

耐熱性や接着性を改善するため、ポリイミドを絶縁層にした金属張積層板が提案されている(特許文献1)。特許文献1によると、一般的に高分子材料モノマー脂肪族系のものを用いることにより誘電率が低下することが知られており、脂肪族(鎖状テトラカルボン酸二無水物を用いて得られたポリイミドの耐熱性は著しく低いために、はんだ付けなどの加工に供する事が不可能となり実用上問題があるが、脂環族テトラカルボン酸二無水物を用いると鎖状のものに比べて耐熱性が向上したポリイミドが得られるとしている。しかしながら、このようなポリイミドから形成されるポリイミドフィルムは、10GHzにおける誘電率が3.2以下であるものの、誘電正接は0.01を超えるものであり、誘電特性は未だ十分ではなかった。また、上述の脂肪族モノマーを使用したポリイミドは線熱膨張係数が大きいものが多く、これらを絶縁層にした金属張積層板では反りが発生するため、回路基板の絶縁層とすることは困難であった。

先行技術

0005

特開2004−358961号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明の目的は、特に小型電子機器に主に使用されているストリップラインマイクロストリップラインといった厚み方向の誘電特性の影響を受けやすい回路配線において、高周波化への対応が可能であり、線熱膨張係数(CTE)も低いポリイミド、樹脂フィルム及び金属張積層板を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

上述した課題を解決するため、本発明者らは、特定のモノマーから得られるポリイミドは、低誘電特性でありながら、樹脂フィルムを形成した場合に線熱膨張係数(CTE)を低く抑えることが可能であり、反りの発生を抑制しながら、高周波用途にも適用可能なFPC等の回路基板が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。

0008

すなわち、本発明のポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸無水物を含む酸無水物成分と、芳香族ジアミンを含むジアミン成分と、を反応させて得られるポリイミドであって、下記(i)〜(iii)の条件;
(i)前記酸無水物成分の100モル部に対して、
2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物NTCDA)を40〜80モル部の範囲内で含有し、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を20〜60モル部の範囲内で含有すること;
(ii)前記ジアミン成分の100モル部に対して、
下記の一般式(1)及び(2)で表される芳香族ジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の芳香族ジアミン(ジアミンI)を60〜90モル部の範囲内で含有し、
下記の一般式(3)〜(5)で表される芳香族ジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の芳香族ジアミン(ジアミンII)を10〜40モル部の範囲内で含有すること;
(iii)前記NTCDA及びジアミンIの合計(A)と、前記BPDA及びジアミンIIの合計(B)との比(A/B)が1.6〜4.0の範囲内にあること;
を満たすことを特徴とする。

0009

[式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、又はハロゲン原子、あるいは炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基アルコキシ基若しくはアルケニル基を示し、m及びnは1〜4の整数を示す。]

0010

[式(3)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、又はハロゲン原子、あるいは炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、アルコキシ基若しくはアルケニル基を示し、Xは−O−、−S−、−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−CO−、−COO−、−SO2−、−NH−又は−NHCO−から選ばれる2価の基を示し、m及びnは独立に1〜4の整数を示す。]

0011

[式(4)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、又はハロゲン原子、あるいは炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、アルコキシ基若しくはアルケニル基を示し、Xは−O−、−S−、−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−CO−、−COO−、−SO2−、−NH−又は−NHCO−から選ばれる2価の基を示し、m、n及びoは独立に1〜4の整数を示す。]

0012

[式(5)中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、又はハロゲン原子、あるいは炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、アルコキシ基若しくはアルケニル基を示し、X及びX1は単結合、−O−、−S−、−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−CO−、−COO−、−SO2−、−NH−又は−NHCO−から選ばれる2価の基を示すが、X及びX1の両方が単結合である場合を除くものとし、m、n、o及びpは独立に1〜4の整数を示す。]

0013

本発明のポリイミドは、前記酸無水物成分の100モル部に対して、下記の一般式(6)で表される芳香族テトラカルボン酸無水物が20モル部以下であってもよい。

0014

[式(6)中、Aは−O−、−S−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−又は−SO2−から選ばれる2価の基を示す。]

0015

本発明の樹脂フィルムは、上記ポリイミドからなることを特徴とする。

0016

本発明の樹脂フィルムは、線熱膨張係数が、5×10−6〜20×10−6(1/K)の範囲内にあってもよい。

0017

本発明の金属張積層板は、絶縁樹脂層金属層とを備えた金属張積層板であって、
前記樹脂絶縁層が、単層又は複数層ポリイミド層を有し、
前記ポリイミド層の少なくとも1層が、上記ポリイミドからなり、線熱膨張係数が5×10−6〜20×10−6(1/K)の範囲内にあるポリイミド層であることを特徴とする。

発明の効果

0018

本発明のポリイミドは、低誘電特性でありながら、樹脂フィルムを形成した場合でも、ガラス転移温度(Tg)の低下が抑制でき、線熱膨張係数(CTE)の増加も低く抑えることが可能となる。従って、本発明のポリイミドを使用した樹脂フィルムは、例えば、金属張積層板の絶縁樹脂層として好適に用いることができる。また、本発明のポリイミドを絶縁層材料として用いることによって、反りの発生を抑制しながら、伝送特性が良好なFPC等の回路基板を提供できる。

0019

以下、本発明の実施の形態について説明する。

0020

[ポリイミド]
本実施の形態のポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸無水物成分を含む酸無水物成分と、芳香族ジアミンを含むジアミン成分と、を反応させて得られるポリイミドである。ポリイミドは、一般に、酸無水物とジアミンとを反応させて製造されるので、酸無水物とジアミンを説明することにより、ポリイミドの具体例が理解される。以下、好ましいポリイミドを酸無水物とジアミンにより説明する。

0021

<酸無水物>
本実施の形態のポリイミドは、原料の酸無水物成分として、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を使用する。NTCDAは、ナフタレン骨格を有するため、他の一般的な酸無水物成分に比べて、ポリイミド中分子配向性の制御が可能であり、線熱膨張係数(CTE)の抑制とガラス転移温度(Tg)の向上効果がある。特に、本実施の形態で用いるNTCDAは、ナフタレン骨格の2,3,6,7位にカルボン酸由来縮合構造を有することから、ナフタレン骨格の長手方向にポリマー鎖伸長させることが可能であり、例えば1,4,5,8位に縮合構造を有するものに比べ、ポリイミド中の分子の配向性を制御する効果が高く、また2,3,6,7位に縮合構造を有するものは、5員環により酸無水物構造を形成するため、6員環により酸無水物構造を形成する1,4,5,8位に縮合構造を有するものと比較し、ジアミンとの反応性が高く、室温でのアミド酸形成が容易である。さらに、NTCDAは、一般的な酸無水物と比較し分子量が大きいため、イミド基濃度低下の効果が大きく、誘電特性の改善にも寄与する。このため、誘電特性の改善と低CTE化との両立が可能となる。このような観点から、NTCDAは、原料の全酸無水物成分の100モル部に対し、40〜80モル部の範囲内、好ましくは50〜80モル部の範囲内がよい。原料の全酸無水物成分の100モル部に対し、NTCDAの仕込み量が40モル部未満であると、分子の配向性が低下し、低CTE化が困難となるため、低誘電化との両立が困難となり、一方、NTCDAの仕込み量が80モル部を超えると、フィルムとしての脆弱化や、高弾性率化による回路基板用の絶縁層としての適用が困難になる。また、BPDAは、ポリイミドの前駆体のポリアミド酸としてのゲル膜自己支持性を付与できるが、イミド化後のフィルムとしてのCTEを増大させる。このような観点から、BPDAは、原料の全酸無水物成分の100モル部に対し、20〜60モル部の範囲内、好ましくは20〜50モル部の範囲内がよい。

0022

その他の酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’-オキシジフタル酸無水物ODA)、2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物BTDA)、2,3',3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシジフェニルメタン二無水物等が挙げられる。

0023

本実施の形態のポリイミドは、原料の酸無水物成分の100モル部に対して、上記の一般式(6)で表される芳香族テトラカルボン酸無水物を20モル部以下とすることが好ましく、より好ましくは15モル部以下がよい。原料の全酸無水物成分の100モル部に対し、上記の一般式(6)で表される芳香族テトラカルボン酸無水物の仕込み量が20モル部を超えると、分子の配向性が低下し、低CTE化が困難となる。一般式(6)で表される芳香族テトラカルボン酸無水物の代表例としては、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、2,3',3,4'-ジフェニルテトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。

0024

<ジアミン>
本実施の形態のポリイミドは、原料のジアミン成分として、上記の一般式(1)及び(2)で表される芳香族ジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の芳香族ジアミン(ジアミンI)並びに上記の一般式(3)〜(5)で表される芳香族ジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の芳香族ジアミン(ジアミンII)を使用する。ジアミンIは、ポリイミド中の分子の配向性を制御することでCTEの増加を抑制することができ、またTgを向上させることができる。このような観点から、ジアミンIは、原料の全ジアミン成分の100モル部に対し、60〜90モル部の範囲内、好ましくは70〜90モル部の範囲内がよい。ジアミンIIは、屈曲性の部位を有するので、ポリイミドに柔軟性を付与することができる。ここで、ジアミンIIにおけるベンゼン環が3個又は4個である場合は、CTEの増加を抑制するために、ベンゼン環に結合するアミノ基はパラ位とする必要がある。このような観点から、ジアミンIIは、原料の全ジアミン成分の100モル部に対し、10〜40モル部の範囲内、好ましくは10〜30モル部の範囲内がよい。原料の全ジアミン成分の100モル部に対し、ジアミンIIの仕込み量が10モル部未満であると、フィルムとした場合の伸度が低下し、折り曲げ耐性等の低下が生じる。一方、ジアミンIIの仕込み量が40モル部を超えると、分子の配向性が低下し、低CTE化が困難となる。

0025

一般式(1)において、基R1及びR2の好ましい例としては、水素原子又は炭素数1〜3のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、あるいは炭素数1〜3のアルコキシ基若しくはアルケニル基を挙げることができる。一般式(1)で表される芳香族ジアミンの好ましい具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−TB)、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−EB)、2,2’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(m−EOB)、2,2’−ジプロポキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(m−POB)、2,2’−n−プロピル−4,4’−ジアミノビフェニル(m−NPB)、2,2’−ジビニル−4,4’−ジアミノビフェニル(VAB)、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(TFMB)等を挙げることができる。

0026

一般式(2)で表される芳香族ジアミンの好ましい具体例としては、p‐フェニレンジアミン(p−PDA)、m‐フェニレンジアミン(m−PDA)等を挙げることができる。

0027

一般式(3)において、基R1及びR2の好ましい例としては、水素原子又は炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、あるいは炭素数1〜3のアルコキシ基若しくはアルケニル基を挙げることができる。また、一般式(3)において、連結基Xの好ましい例としては、−O−、−S−、−CH2−、−CH(CH3)2−、−SO2−又は−CO−を挙げることができる。一般式(3)で表される芳香族ジアミンの好ましい具体例としては、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(4,4'-DAPE)、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、3,3'−ジアミノジフェニルプロパン、3,4'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン等を挙げることができる。

0028

一般式(4)において、基R1、R2及びR3の好ましい例としては、水素原子又は炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、あるいは炭素数1〜3のアルコキシ基若しくはアルケニル基を挙げることができる。また、一般式(4)において、連結基Xの好ましい例としては、−O−、−S−、−CH2−、−CH(CH3)2−、−SO2−又は−CO−を挙げることができる。一般式(4)で表される芳香族ジアミンの好ましい具体例としては、1,3−ビス(4−アミノフェノキシベンゼンTPE−R)、1,4−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、ビス(4‐アミノフェノキシ)−2,5−ジ−tert−ブチルベンゼン(DTBAB)、4,4−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゾフェノン(BAPK)、1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン1,4-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン等を挙げることができる。

0029

一般式(5)において、基R1、R2、R3及びR4の好ましい例としては、水素原子又は炭素数1〜4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、あるいは炭素数1〜3のアルコキシ基若しくはアルケニル基を挙げることができる。また、一般式(5)において、連結基X及びX1の好ましい例としては、単結合、−O−、−S−、−CH2−、−CH(CH3)2−、−SO2−又は−CO−を挙げることができる。但し、屈曲部位を付与する観点から、連結基X及びX1の両方が単結合である場合を除くものとする。一般式(5)で表される芳香族ジアミンの好ましい具体例としては、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル(BAPE)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン等を挙げることができる。

0030

その他のジアミンとしては、例えば、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-メチレンジ-o-トルイジン、4,4’-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4’-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、3,3’-ジアミノジフェニルエタン、3,3’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシベンジジン、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル、4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノペンチル)ベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、2,6-ジアミノナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエン、2,4-ジアミノトルエンm-キシレン-2,5-ジアミン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、2,6-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジアゾールピペラジン等が挙げられる。

0031

また、本実施の形態のポリイミドは、NTCDA及びジアミンIの合計(A)と、BPDA及びジアミンIIの合計(B)との比(A/B)が1.6〜4.0の範囲内、好ましくは1.6〜3.3の範囲内がよい。ポリイミドの剛直性を付与するために使用するNTCDA及びジアミンIと、ポリイミドの柔軟性及び低弾性率化を付与するために使用するBPDA及びジアミンIIの割合を制御することで、ポリイミドのフィルム特性を向上させることが可能となる。比(A/B)が1.6未満であると、ポリイミド中の分子の配向性が低下し、低CTE化が困難となり、またTgが低下する。4.0を超えると、フィルムとした場合の伸度が低下するとともに、高弾性率に変化することにより、折り曲げ耐性等の低下が生じる。

0032

本実施の形態のポリイミドにおいて、上記酸無水物及びジアミンの種類や、2種以上の酸無水物又はジアミンを使用する場合のそれぞれのモル比選定することにより、熱膨張性、接着性、ガラス転移温度(Tg)等を制御することができる。

0033

本実施の形態に係るポリイミドは、上記の酸無水物成分と、上記のジアミン成分を溶媒中で反応させ、ポリアミド酸を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、酸無水物成分とジアミン成分をほぼ等モル有機溶媒中に溶解させて、0〜100℃の範囲内の温度で30分〜24時間撹拌重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5〜30重量%の範囲内、好ましくは10〜20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドDMF)、N,N−ジメチルアセトアミドDMAc)、N,N−ジエチルアセトアミドN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、2−ブタノン、ジメチルスホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチルカプロラクタム硫酸ジメチルシクロヘキサノンジオキサンテトラヒドロフランジグライムトリグライムクレゾール等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶媒の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液の濃度が5〜30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。

0034

合成されたポリアミド酸は、通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であるが、必要により濃縮希釈又は他の有機溶媒に置換することができる。また、ポリアミド酸は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。ポリアミド酸の溶液の粘度は、500cP〜100,000cPの範囲内であることが好ましい。この範囲を外れると、コーター等による塗工作業の際にフィルムに厚みムラスジ等の不良が発生し易くなる。ポリアミド酸をイミド化させる方法は、特に制限されず、例えば前記溶媒中で、80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜24時間かけて加熱するといった熱処理が好適に採用される。

0035

[樹脂フィルム]
本実施の形態の樹脂フィルムは、本実施の形態のポリイミドから形成されるポリイミド層を含む絶縁樹脂のフィルムであれば特に限定されるものではなく、絶縁樹脂からなるフィルム(シート)であってもよく、銅箔ガラス板ポリイミド系フィルムポリアミド系フィルムポリエステル系フィルムなどの樹脂シート等の基材に積層された状態の絶縁樹脂のフィルムであってもよい。また、本実施の形態の樹脂フィルムの厚みは、好ましくは3〜100μmの範囲内、より好ましくは3〜75μmの範囲にある。

0036

本実施の形態のポリイミドは、ベースフィルム層(絶縁樹脂層の主層)としての適用が好適である。具体的には、線熱膨張係数(CTE)が好ましくは5×10−6〜20×10−6(1/K)の範囲内、より好ましくは10×10−6〜20×10−6(1/K)の範囲内にある低熱膨張性のポリイミド層をベースフィルム層に適用すると大きな効果が得られる。低熱膨張性ポリイミドの中で、好適に利用できるポリイミドは、非熱可塑性のポリイミドである。本実施の形態のポリイミドを使用して低熱膨張性のベースフィルム層を形成する場合の厚みは、好ましくは5〜50μmの範囲内、より好ましくは10〜35μmの範囲である。

0037

一方、上記線熱膨張係数(CTE)を超える高膨張性のポリイミド層も、例えば金属層や他の樹脂層などの基材との接着層としての適用が好適である。このような接着性ポリイミド層として好適に用いることができるポリイミドとして、そのガラス転移温度(Tg)が、例えば360℃以下であるものが好ましく、200〜320℃の範囲内にあるものがより好ましい。

0038

高膨張性のポリイミド層とするには、例えば、原料の酸無水物成分としてピロメリット酸二無水物、3,3',4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物を、ジアミン成分としては、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンを用いることがよく、特に好ましくはピロメリット酸二無水物及び2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを原料各成分の主成分とするものがよい。

0039

本実施の形態の樹脂フィルムとしてのポリイミドフィルムの形成方法については特に限定されないが、例えば、[1]支持基材に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥した後、イミド化してポリイミドフィルムを製造する方法(以下、キャスト法)、[2]支持基材に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥した後、ポリアミド酸のゲルフィルムを支持基材から剥がし、イミド化してポリイミドフィルムを製造する方法などが挙げられる。また、本発明で製造されるポリイミドフィルムが、複数層のポリイミド樹脂層からなる場合、その製造方法の態様としては、例えば、[3]支持基材に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥することを複数回繰り返した後、イミド化を行う方法(以下、逐次塗工法)、[4]支持基材に、多層押出により、同時にポリアミド酸の積層構造体を塗布・乾燥した後、イミド化を行う方法(以下、多層押出法)などが挙げられる。ポリイミド溶液(又はポリアミド酸溶液)を基材上に塗布する方法としては特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフリップ等のコーターにて塗布することが可能である。多層のポリイミド層の形成に際しては、ポリイミド溶液(又はポリアミド酸溶液)を基材に塗布、乾燥する操作を繰り返す方法が好ましい。

0040

本実施の形態の樹脂フィルムは、単層又は複数層のポリイミド層を含むことができる。この場合、ポリイミド層の少なくとも1層(好ましくはベースフィルム層)が、本実施の形態のポリイミドを用いて形成されていればよい。例えば、非熱可塑性ポリイミド層をP1、熱可塑性ポリイミド層をP2とすると、樹脂フィルムを2層とする場合にはP2/P1の組み合わせで積層することが好ましく、樹脂フィルムを3層とする場合にはP2/P1/P2の順、又は、P2/P1/P1の順に積層することが好ましい。ここで、P1が本実施の形態のポリイミドを用いて形成されたベースフィルム層となる。なお、P2は、本実施の形態のポリイミド以外のポリイミドによって構成されていてもよい。

0041

本実施の形態の樹脂フィルムは、必要に応じて、ポリイミド層中に無機フィラーを含有してもよい。具体的には、例えば二酸化ケイ素酸化アルミニウム酸化マグネシウム酸化ベリリウム窒化ホウ素窒化アルミニウム窒化ケイ素フッ化アルミニウムフッ化カルシウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。

0042

本実施の形態の樹脂フィルムを低熱膨張性のポリイミドフィルムとして適用したものは、例えばカバーレイフィルムにおけるカバーレイ用フィルム材として適用することができる。本実施の形態の樹脂フィルムに、任意の接着剤層を積層してカバーレイフィルムを形成することができる。カバーレイ用フィルム材層の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば5μm以上100μm以下が好ましい。また、接着剤層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば15μm以上50μm以下が好ましい。

0043

[金属張積層板]
本実施の形態の金属張積層板は、絶縁樹脂層と、この絶縁樹脂層の少なくとも片側の面に積層された金属層と、を有する。金属張積層板の好ましい具体例としては、例えば銅張積層板(CCL)などを挙げることができる。

0044

<絶縁樹脂層>
本実施の形態の金属張積層板において、絶縁樹脂層は、単層又は複数層のポリイミド層を有する。この場合、金属張積層板に優れた高周波特性を付与するためには、ポリイミド層の少なくとも1層(好ましくはベースフィルム層)が、本実施の形態のポリイミドを用いて形成されていればよい。また、絶縁樹脂層と金属層との接着性を高めるため、絶縁樹脂層における金属層に接する層は、熱可塑性ポリイミド層であることが好ましい。例えば、絶縁樹脂層を2層とする場合において、非熱可塑性ポリイミド層をP1、熱可塑性ポリイミド層をP2、金属層をM1とすると、P1/P2/M1の順に積層することが好ましい。ここで、P1が本実施の形態のポリイミドを用いて形成されたベースフィルム層となる。なお、P2は、本実施の形態のポリイミド以外のポリイミドによって構成されていてもよい。

0045

<金属層>
本実施の形態の金属張積層板における金属層の材質としては、特に制限はないが、例えば、銅、ステンレス、鉄、ニッケルベリリウムアルミニウム亜鉛インジウム、銀、金、スズ、ジルコニウムタンタルチタン、鉛、マグネシウムマンガン及びこれらの合金等が挙げられる。この中でも、特に銅又は銅合金が好ましい。なお、後述する本実施の形態の回路基板における配線層の材質も金属層と同様である。

0046

信号配線に高周波信号が供給されている状態では、その信号配線の表面にしか電流が流れず、電流が流れる有効断面積が少なくなって直流抵抗が大きくなり信号が減衰する問題(表皮効果)がある。金属層の絶縁樹脂層に接する面の表面粗度下げることで、この表皮効果による信号配線の抵抗増大を抑制できる。しかし、電気性能要求基準満足させるために表面粗度を下げると、金属層と絶縁樹脂層との接着力剥離強度)が弱くなる。そこで、電気性能要求を満足可能であり、絶縁樹脂層との接着性を確保しつつ金属張積層板の視認性を向上させるという観点から、金属層の絶縁樹脂層に接する面の表面粗度は、十点平均粗さRzが1.5μm以下であることが好ましく、かつ、算術平均粗さRaが0.2μm以下であることが好ましい。

0047

本実施の形態の金属張積層板は、例えば本実施の形態のポリイミドを含んで構成される樹脂フィルムを用意し、これに金属をスパッタリングしてシード層を形成した後、例えばメッキによって金属層を形成することによって調製してもよい。

0048

また、本実施の形態の金属張積層板は、本実施の形態のポリイミドを含んで構成される樹脂フィルムを用意し、これに金属箔を熱圧着などの方法でラミネートすることによって調製してもよい。

0049

さらに、本実施の形態の金属張積層板は、金属箔の上に本実施の形態のポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する塗布液キャストし、乾燥して塗布膜とした後、熱処理してイミド化し、ポリイミド層を形成することによって調製してもよい。

0050

[回路基板]
本実施の形態の回路基板は、絶縁樹脂層と、絶縁樹脂層上に形成された配線層と、を有する。本実施の形態の回路基板において、絶縁樹脂層は、単層又は複数層のポリイミド層を有することができる。この場合、回路基板に優れた高周波特性を付与するためには、ポリイミド層の少なくとも1層(好ましくはベースフィルム層)が、本実施の形態のポリイミドを用いて形成されていればよい。また、絶縁樹脂層と配線層との接着性を高めるため、絶縁樹脂層における配線層に接する層が、本実施の形態のポリイミドを用いて形成された熱可塑性ポリイミド層であることが好ましい。例えば、絶縁樹脂層を2層とする場合において、非熱可塑性ポリイミド層をP1、熱可塑性ポリイミド層をP2、配線層をM2とすると、P1/P2/M2の順に積層することが好ましい。ここで、P1が本実施の形態のポリイミドを用いて形成されたベースフィルム層となる。なお、P2は、本実施の形態のポリイミド以外のポリイミドによって構成されていてもよい。

0051

本実施の形態のポリイミドを使用する以外、回路基板を作製する方法は問われない。例えば、本実施の形態のポリイミドを含む絶縁樹脂層と金属層で構成される金属張積層板を用意し、金属層をエッチングして配線を形成するサブトラクティブ法でもよい。また、本実施の形態のポリイミド層上にシード層を形成した後、レジストパターン形成し、さらに金属層をパターンメッキすることにより配線形成を行うセミアディティブ法でもよい。

0052

以上のように、本実施の形態のポリイミドを使用することによって、伝送損失を小さく抑えた金属張積層板を形成することができる。

0053

以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。

0054

[ガラス転移温度(Tg)の測定]
ガラス転移温度は、5mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、動的粘弾性測定装置(DMA:ユー・ビー・エム社製、商品名;E4000F)を用いて、30℃から400℃まで昇温速度4℃/分、周波数11Hzで測定を行い、主分散に基づくtanδの極大値温度より求めた。

0055

[線熱膨張係数(CTE)の測定]
3mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、サーモメカニカルアナライザー(Bruker社製、商品名;4000SA)を用い、5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から265℃まで昇温させ、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、250℃から100℃までの平均熱膨張係数(線熱膨張係数)を求めた。

0056

[厚み方向の誘電率の測定]
空洞共振器摂動法誘電率評価装置(Agilent社製、商品名;ベクトルネットワークアナライザE8363B)を用い、所定の周波数における樹脂シート(硬化後の樹脂シート)の厚み方向の誘電率を測定した。
サンプルは、厚み約25μmの樹脂シートを3枚積層したものを2つ準備し、円形銅箔/樹脂シート3枚/導体平板/樹脂シート3枚/円形銅箔の積層構成となるように、円形銅箔と導体平板の間に樹脂シート3枚をそれぞれ挟み、測定を実施した。なお、測定に使用した樹脂シートは、温度;24〜26℃、湿度;45〜55%の条件下で、24時間放置したものである。

0057

製膜性の評価]
製膜性は、銅箔上にポリアミド酸を塗工し、熱処理後に、塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチングしたフィルムの自己支持性を評価した。
「○」:銅箔エッチングしたフィルムについて、容易に亀裂等を生じないこと。
「×」:銅箔エッチングしたフィルムについて、容易に亀裂等を生じ自己支持性がないこと。

0058

実施例及び比較例に用いた略号は、以下の化合物を示す。
m‐TB:2,2’‐ジメチル‐4,4’‐ジアミノビフェニル
m‐EOB:2,2'-ジエトキシ-4,4'-ジアミノビフェニル
4,4'-DAPE:4,4'-ジアミノジフェニルエーテル
TPE−R:1,3-ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン
p−PDA:p‐フェニレンジアミン
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
BAPB:4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル
NTCDA:2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’ ‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA:4,4’−オキシジフタル酸無水物
DMAc:N,N‐ジメチルアセトアミド

0059

[合成例A−1]
窒素気流下で、300mlのセパラブルフラスコに、11.467gのm−TB(0.0540モル)、1.755gのTPE−R(0.0060モル)及び170.0gのDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、10.436gのBPDA(0.0355モル)及び6.342gのNTCDA(0.0237モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液A−aを得た。ポリアミド酸溶液A−aの溶液粘度は38,100cpsであった。

0060

[合成例A−2〜A−19]
表1から表3に示す原料組成とした他は、合成例A−1と同様にしてポリアミド酸溶液A−b〜A−sを調製した。なお、表1から表3中の「A/B」は、NTCDA及びジアミンIの合計(A)と、BPDA及びジアミンIIの合計(B)との比(A/B)を意味する。

0061

0062

0063

0064

[実施例A−1]
厚さ12μmの電解銅箔の片面(表面粗さRz;2.1μm)に、合成例A−1で調製したポリアミド酸溶液A−aを硬化後の厚みが約25μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結した。得られた金属張積層板について、塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去して、樹脂フィルムA−1を得た。なお、樹脂フィルムA−1を構成するポリイミドは、非熱可塑性であった。
樹脂フィルムA−1の線熱膨張係数、ガラス転移温度、厚み方向の誘電率を求め、製膜性を確認した。各測定結果を表4に示す。

0065

[実施例A−2〜A−10、比較例A−11〜A−18]
表4に示すポリアミド酸溶液を使用した他は、実施例A−1と同様にして、実施例A−2〜A−10、比較例A−11〜A−18の樹脂フィルムA−2〜A−18を得た。得られた樹脂フィルムA−2〜A−18の線熱膨張係数、ガラス転移温度、厚み方向の誘電率を求め、製膜性を確認した。各測定結果を表4〜表6に示す。

0066

0067

0068

0069

[実施例B−1]
厚さ12μmの電解銅箔の片面(表面粗さRz;1.39μm)に、ポリアミド酸溶液A−sを硬化後の厚みが約2〜3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。次に、その上にポリアミド酸溶液A−cを硬化後の厚みが、約21μmとなるように均一に塗布し、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、その上にポリアミド酸溶液A−sを硬化後の厚みが約2〜3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。このようにして、3層のポリアミド酸層を形成した後、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分以内で行い、イミド化を完結して、金属張積層板を得た。得られた金属張積層板について、塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去して、樹脂フィルムB−1を得た。得られたフィルムのCTEは24.1ppm/Kであり、厚み方向の誘電率は14GHz時に2.93であった。

実施例

0070

以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。

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