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技術 臓器を維持するための組成物、方法及び装置

出願人 ザデパートメントオブベテランズアフェアズ
発明者 ハッサネイン,ワリード,エイチ.クーリ,シュクリ,エフ.クリッテンデン,マイケル,ディー.バージニウク,ウラジミール
出願日 2017年7月4日 (3年5ヶ月経過) 出願番号 2017-131257
公開日 2017年9月21日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2017-165789
状態 特許登録済
技術分野 農薬・動植物の保存
主要キーワード 半円状部材 機械式アクチュエーター 換気ライン 固定支持構造 電気機構 バランス基 酸素ボトル セントラルステーション
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (12)

課題

常体温若しくは実質的に正常体温である温度における理想的な保存条件を提供すること。

解決手段

所定の構成要素を含有してなり、非代謝性インペルメントを実質的に含有しておらず、さらに約7.4〜約8.5のpHを有する、機能状態でのヒト採取臓器又はヒト適合性採取臓器の保存のための臓器保存溶液

概要

背景

2.論考
多くの態様を有するが、本発明は、臓器理想に近い条件及び生理的状態で保存するためのシステム、装置(器具)、方法及び媒体に関する。これにより、臓器をより長い期間保存でき、保存の間に高エネルギーリン酸塩の分解を減少でき、虚血及び再灌流障害を減少でき、並びに全体的に結果を改善することができる。通常若しくは通常に近い機能状態での保存期間の増加は、ある利点も提供する。例えば、臓器をより遠距離輸送可能であり、かかる臓器の試験及び評価の時間が増加する。

心臓移植に列挙される4患者に1人が、適するドナー臓器入手可能性を待ちながら死亡していると推定される。いくつかの進歩により、ドナー臓器がより入手可能になってはいるが、ドナー心臓保存技術の開発の達成は、心臓移植の要求に遅れをとっている。患者の生存の改善と新しい免疫抑制剤の開発に伴い、心臓移植はより実行可能なものとなり、臓器供給の問題をより重要にしている。現在のドナー臓器及びドナー心臓保存技術により得られる、許容し得る臨床結果にもかかわらず、挑戦が続けられている主要なものの1つには、4時間以上のドナー心臓の安全な保存が、現在、不可能であることがある。現在の保存技術を用いて保存期間を4時間以上に延ばすことは、移植間又は移植後における臓器の機能不全の危険性を有意に増加する;この機能不全は、保存の期間と技術に関連する。この4時間の制限は、移植を成功させるため、ドナー心臓を輸送し得る地理面積も制限する。さらに、心臓又は他の臓器の現在の備蓄方法又は保存方法は、臓器を非機能状態及び/又は低体温状態で保存するため、保存臓器の、完全な若しくは意味のある試験又は評価の実施を不可能なものにする。

一般に、現在のドナー臓器保存プロトコルでは、採取臓器のためのインビボ様の生理的状態を再構築する試みは行われていない。そのかわりに、それらでは、最高4時間の低体温(20℃以下、通常、約4℃)停止及び心臓(非拍動性)又は他の臓器(非機能性)の維持のための化学灌流液中での保存を利用する。これらのプロトコルでは、虚血及び再灌流障害から生ずる心筋損傷からドナー心臓を完全には保護しない、種々の晶質系心臓麻痺溶液を利用する。最も頻繁に使用される心臓麻痺保存溶液は、ジユニバーシティーオブイスコンシン溶液(UW)、セントトーマス溶液、及びザスタフォードユニバーシティー溶液(SU)である。心筋損傷に加え、虚血、再灌流及び/又はカリウム濃度の増加はまた、最近の臓器機能不全の主要原因であると信じられている、冠状血管運動不全に導く冠状血管内皮障害及び平滑筋障害を生ずるかもしれない(虚血とは一般に、心筋への不十分な血液供給と定義されている。)。

心臓に保存溶液を低体温状態で灌流する技術も開発されている。他の臓器(肝臓腎臓など)は、類似の非機能性で低体温の状態に維持されている。そのように保存される心臓又は他の臓器は、次いで、移植までの最高でほんの4時間の間に、この低体温状態で輸送される。

当該技術分野で周知のように、適切なドナー心臓又は他の臓器の保存に、以下の原理が適用され、それは虚血及び/又は再灌流障害の最少化に貢献すると考えられている:a)細胞膨張及び浮腫の最少化;b)細胞アシドーシスの防止;c)虚血及び/又は再灌流障害の最少化;並びにd)再灌流の間の高エネルギーリン酸塩化合物及びATP再生のための基質の供給。低体温停止及び備蓄保存の現在の方法では、細胞膨張、細胞内アシドーシス、及び高エネルギーリン酸塩の分解を生ずることが知られている。さらに、ヒトにおける研究では、低体温停止及び保存プロトコルを利用する際の、ドナー心臓保存後の有意な内皮不全が明確に示されている。いくつかの例では、低体温停止を受けた臓器が受容者に移植され、それは移植後に再始動又は蘇生され得ない。さらに、多くの場合、不十分な保存により、急性移植片機能不全を起こしたり、移植臓器による通常機能再開及び受容者の循環の維持が出来なくなる。次いで、急性移植片機能不全の問題は、他のドナー心臓に置きかえるまで、心室補助装置及び/又は心肺バイパスによる、受容者の循環系の不断の援護を必要とする。いくつかの例では、適切な臓器は、受容者が死に至るまでには置きかえれ得ない。代謝、収縮及び血管運動機能の保存は、現在の保存プロトコルでは最適化されないということについて、最近の多くの臨床研究からその証拠がまた増加している。例えば、非特許文献1を参照のこと。

当該技術分野では、内因性に近い最適な条件で採取した臓器を保存することができず、また、かかる保存が実施可能である又は望ましいと認識されていないことから、臓器状態の悪化を防止するため、低体温条件及び/又は晶質系心臓麻痺溶液の上記組み合わせの使用が試みられている。

当該技術分野で試みられている他のアプローチは、ほとんど全てのドナーの臓器を一緒に採取することにより、通常に近い生理的条件模倣することである。例えば、非特許文献2では、非適合性血液を連続的に灌流することで、最高24時間、拍動活動状態ブタ心臓が保存される、自動灌流機構を開発した。このシステムは、ドナー心臓の保存時間を安全に延長できる可能性を示したが、この方法では、心臓との組み合わせで(ひとまとめにして)肺、肝臓、膵臓、及び腎臓の除去及び保存を、全てについて機能的条件であり、また、全てが未だ相互作用しかつ相互依存するようにして行う必要があるので、非常に煩わしく、広範な使用には実際的でない。

連続的で容易な灌流を提供することによる、ドナー心臓又は他の臓器を通常(拍動又は機能)状態に維持しながらの、ドナーから摘出されたドナー心臓又は他の臓器のエキソビボでの又は生体外での保存の延長を、当該技術分野において達成する必要がある。かかる技術は、低体温環境における保存のための心臓停止の必要を消去し、再灌流障害を低減し、低体温停止及び保存に関連する、その多くが明らかに時間依存的である多くの問題を克服するであろう。

24時間以上までの摘出した臓器の保存の延長のために、正常体温の温度(約20℃〜約37℃、好ましくは約25℃〜約37℃)で摘出臓器を容易に灌流するための生体外回路構築用の装置、方法及び生理的媒体を提供することが、当該技術分野においてさらに必要である。かかる装置、方法及び媒体は、保存期間に拍動又は機能状態に心臓又は他の採取臓器を適切に維持し、基質のパルス状の流及び均一な分布保証するであろう。かかる装置、システム、方法及び媒体は、時間依存性虚血障害及び虚血延長を避け、それによって冠状内皮血管運動機能を保存し、高エネルギーリン酸塩の代謝的分解を防ぎながら、採取臓器の保存期間を現在の4時間の制限以上に延長する能力を提供するであろう。

さらに、かかる装置、方法及び媒体は、臓器ドナープールを拡大し、組織適合性調和時間を増加させ、心臓の同種移植片血管症の発生率を潜在的に低減させることができるであろう。ドナー心臓の保存期間の延長は、心臓移植の慣行に劇的なインパクトを有するであろうことが認められるであろう;臓器の全世界的な回収が可能になり、従って、入手可能な臓器のプールが増加するであろう。適する近位の受容者の欠如による、臓器の不使用は無くなるであろう。さらに、機能状態での保存と組み合わせる追加時間では、例えば、各臓器の免疫的及び機能的特性を決定するための臓器の評価及び試験を行い、それによって、臓器のより完全な評価を行い、移植片機能不全の危険性を低減することができるであろう。

概要

正常体温若しくは実質的に正常体温である温度における理想的な保存条件を提供すること。所定の構成要素を含有してなり、非代謝性インペルメントを実質的に含有しておらず、さらに約7.4〜約8.5のpHを有する、機能状態でのヒト採取臓器又はヒト適合性採取臓器の保存のための臓器保存溶液。なし

目的

通常若しくは通常に近い機能状態での保存期間の増加は、ある利点も提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

(1)2.5%〜5%の濃度の代謝性炭水化物;(2)0.45%〜0.9%の濃度の塩化ナトリウム;(3)4meq/L〜10meq/Lの濃度のカリウムイオン;(4)0.25g/L〜1.5g/Lの濃度のカルシウムイオン;(5)0.5g/L〜2g/Lの濃度のマグネシウムイオン;(6)10meq/L〜50meq/Lの濃度の重炭酸イオン;(7)0.5mg/L〜4mg/Lの濃度のエピネフリン;(8)500μmol/L〜5mmol/Lの濃度のアデノシン;及び(9)少なくとも1つの脂肪酸を含有してなり、非代謝性インペルメントを実質的に含有しておらず、さらに約7.4〜約8.5のpHを有する、機能状態でのヒト採取臓器又はヒト適合性採取臓器の保存のための臓器保存溶液

請求項2

前記溶液が、ヘパリンニトログリセリンACE阻害剤ベータブロッカーカルシウムチャンネルブロッカー細胞保護剤抗酸化剤抗真菌剤抗ウイルス剤抗菌剤免疫抑制剤非ステロイド系抗炎症剤ステロイドビタミン類及びそれらの混合物からなる群より選ばれる薬学的に活性な剤をさらに含有してなるものである、請求項1記載の溶液。

請求項3

前記溶液がさらにインシュリンを含むものである、請求項2記載の溶液。

請求項4

前記溶液がさらに補体中和剤を含むものである、請求項2記載の溶液。

請求項5

前記代謝性炭水化物が、グルコースである、請求項2記載の溶液。

技術分野

0001

発明の背景
1.技術分野
本発明は、移植又は再移植の前に、採取した(体外の)動物臓器機能状態及び生存状態に維持するための組成物、方法、システム/装置及び媒体に関する。特に、本発明は、採取したヒト又はヒト適合性臓器機能的状態及び生存状態に維持するための組成物、方法、システム/装置及び媒体に関する。かかる臓器は、かかる状態で評価されてもよく、又は死後蘇生させてもよい。

0002

本発明はまた、臓器灌流装置、より詳しくは、採取された臓器の保存期間を延長するための灌流装置及び方法並びに化学組成物に関する。

背景技術

0003

2.論考
多くの態様を有するが、本発明は、臓器を理想に近い条件及び生理的状態で保存するためのシステム、装置(器具)、方法及び媒体に関する。これにより、臓器をより長い期間保存でき、保存の間に高エネルギーリン酸塩の分解を減少でき、虚血及び再灌流障害を減少でき、並びに全体的に結果を改善することができる。通常若しくは通常に近い機能状態での保存期間の増加は、ある利点も提供する。例えば、臓器をより遠距離輸送可能であり、かかる臓器の試験及び評価の時間が増加する。

0004

心臓移植に列挙される4患者に1人が、適するドナー臓器入手可能性を待ちながら死亡していると推定される。いくつかの進歩により、ドナー臓器がより入手可能になってはいるが、ドナー心臓保存技術の開発の達成は、心臓移植の要求に遅れをとっている。患者の生存の改善と新しい免疫抑制剤の開発に伴い、心臓移植はより実行可能なものとなり、臓器供給の問題をより重要にしている。現在のドナー臓器及びドナー心臓保存技術により得られる、許容し得る臨床結果にもかかわらず、挑戦が続けられている主要なものの1つには、4時間以上のドナー心臓の安全な保存が、現在、不可能であることがある。現在の保存技術を用いて保存期間を4時間以上に延ばすことは、移植間又は移植後における臓器の機能不全の危険性を有意に増加する;この機能不全は、保存の期間と技術に関連する。この4時間の制限は、移植を成功させるため、ドナー心臓を輸送し得る地理面積も制限する。さらに、心臓又は他の臓器の現在の備蓄方法又は保存方法は、臓器を非機能状態及び/又は低体温状態で保存するため、保存臓器の、完全な若しくは意味のある試験又は評価の実施を不可能なものにする。

0005

一般に、現在のドナー臓器保存プロトコルでは、採取臓器のためのインビボ様の生理的状態を再構築する試みは行われていない。そのかわりに、それらでは、最高4時間の低体温(20℃以下、通常、約4℃)停止及び心臓(非拍動性)又は他の臓器(非機能性)の維持のための化学灌流液中での保存を利用する。これらのプロトコルでは、虚血及び再灌流障害から生ずる心筋損傷からドナー心臓を完全には保護しない、種々の晶質系心臓麻痺溶液を利用する。最も頻繁に使用される心臓麻痺保存溶液は、ジユニバーシティーオブイスコンシン溶液(UW)、セントトーマス溶液、及びザスタフォードユニバーシティー溶液(SU)である。心筋損傷に加え、虚血、再灌流及び/又はカリウム濃度の増加はまた、最近の臓器機能不全の主要原因であると信じられている、冠状血管運動不全に導く冠状血管内皮障害及び平滑筋障害を生ずるかもしれない(虚血とは一般に、心筋への不十分な血液供給と定義されている。)。

0006

心臓に保存溶液を低体温状態で灌流する技術も開発されている。他の臓器(肝臓腎臓など)は、類似の非機能性で低体温の状態に維持されている。そのように保存される心臓又は他の臓器は、次いで、移植までの最高でほんの4時間の間に、この低体温状態で輸送される。

0007

当該技術分野で周知のように、適切なドナー心臓又は他の臓器の保存に、以下の原理が適用され、それは虚血及び/又は再灌流障害の最少化に貢献すると考えられている:a)細胞膨張及び浮腫の最少化;b)細胞アシドーシスの防止;c)虚血及び/又は再灌流障害の最少化;並びにd)再灌流の間の高エネルギーリン酸塩化合物及びATP再生のための基質の供給。低体温停止及び備蓄保存の現在の方法では、細胞膨張、細胞内アシドーシス、及び高エネルギーリン酸塩の分解を生ずることが知られている。さらに、ヒトにおける研究では、低体温停止及び保存プロトコルを利用する際の、ドナー心臓保存後の有意な内皮不全が明確に示されている。いくつかの例では、低体温停止を受けた臓器が受容者に移植され、それは移植後に再始動又は蘇生され得ない。さらに、多くの場合、不十分な保存により、急性移植片機能不全を起こしたり、移植臓器による通常機能再開及び受容者の循環の維持が出来なくなる。次いで、急性移植片機能不全の問題は、他のドナー心臓に置きかえるまで、心室補助装置及び/又は心肺バイパスによる、受容者の循環系の不断の援護を必要とする。いくつかの例では、適切な臓器は、受容者が死に至るまでには置きかえれ得ない。代謝、収縮及び血管運動機能の保存は、現在の保存プロトコルでは最適化されないということについて、最近の多くの臨床研究からその証拠がまた増加している。例えば、非特許文献1を参照のこと。

0008

当該技術分野では、内因性に近い最適な条件で採取した臓器を保存することができず、また、かかる保存が実施可能である又は望ましいと認識されていないことから、臓器状態の悪化を防止するため、低体温条件及び/又は晶質系心臓麻痺溶液の上記組み合わせの使用が試みられている。

0009

当該技術分野で試みられている他のアプローチは、ほとんど全てのドナーの臓器を一緒に採取することにより、通常に近い生理的条件模倣することである。例えば、非特許文献2では、非適合性血液を連続的に灌流することで、最高24時間、拍動活動状態ブタ心臓が保存される、自動灌流機構を開発した。このシステムは、ドナー心臓の保存時間を安全に延長できる可能性を示したが、この方法では、心臓との組み合わせで(ひとまとめにして)肺、肝臓、膵臓、及び腎臓の除去及び保存を、全てについて機能的条件であり、また、全てが未だ相互作用しかつ相互依存するようにして行う必要があるので、非常に煩わしく、広範な使用には実際的でない。

0010

連続的で容易な灌流を提供することによる、ドナー心臓又は他の臓器を通常(拍動又は機能)状態に維持しながらの、ドナーから摘出されたドナー心臓又は他の臓器のエキソビボでの又は生体外での保存の延長を、当該技術分野において達成する必要がある。かかる技術は、低体温環境における保存のための心臓停止の必要を消去し、再灌流障害を低減し、低体温停止及び保存に関連する、その多くが明らかに時間依存的である多くの問題を克服するであろう。

0011

24時間以上までの摘出した臓器の保存の延長のために、正常体温の温度(約20℃〜約37℃、好ましくは約25℃〜約37℃)で摘出臓器を容易に灌流するための生体外回路構築用の装置、方法及び生理的媒体を提供することが、当該技術分野においてさらに必要である。かかる装置、方法及び媒体は、保存期間に拍動又は機能状態に心臓又は他の採取臓器を適切に維持し、基質のパルス状の流及び均一な分布保証するであろう。かかる装置、システム、方法及び媒体は、時間依存性虚血障害及び虚血延長を避け、それによって冠状内皮血管運動機能を保存し、高エネルギーリン酸塩の代謝的分解を防ぎながら、採取臓器の保存期間を現在の4時間の制限以上に延長する能力を提供するであろう。

0012

さらに、かかる装置、方法及び媒体は、臓器ドナープールを拡大し、組織適合性調和時間を増加させ、心臓の同種移植片血管症の発生率を潜在的に低減させることができるであろう。ドナー心臓の保存期間の延長は、心臓移植の慣行に劇的なインパクトを有するであろうことが認められるであろう;臓器の全世界的な回収が可能になり、従って、入手可能な臓器のプールが増加するであろう。適する近位の受容者の欠如による、臓器の不使用は無くなるであろう。さらに、機能状態での保存と組み合わせる追加時間では、例えば、各臓器の免疫的及び機能的特性を決定するための臓器の評価及び試験を行い、それによって、臓器のより完全な評価を行い、移植片機能不全の危険性を低減することができるであろう。

先行技術

0013

パール(Pearl)ら、「ユニバーシティーオブウイスコンシン溶液を用いた心筋保護の後の、内皮依存性血管拡張及び一酸化窒素放出の喪失(“Loss of Endothelium−Dependent Vasodilatation and Nitric Oxide Release After Myocardial Protection With University of Wisconsin Solution”)」、Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery,Vol.107,No.1,1994年1月
チェン(Chien)ら、「24時間以上の正常体温保存の後のイヌ肺移植(“Canine Lung Transplantation After More Than Twenty−four Hours of Normothermic Preservation)」、The Journal of Heart and Lung Transplantation,Vol.16,No.3,1997年3月

発明が解決しようとする課題

0014

即ち、先行技術では、採取臓器に、理想に近い生理的状態エキソビボを使用することの実施可能性及び/又は望ましさを認識することはできない。

課題を解決するための手段

0015

即ち、本発明の要旨は、
〔1〕(1)2.5%〜5%の濃度の代謝性炭水化物
(2)0.45%〜0.9%の濃度の塩化ナトリウム
(3)4meq/L〜10meq/Lの濃度のカリウムイオン
(4)0.25g/L〜1.5g/Lの濃度のカルシウムイオン
(5)0.5g/L〜2g/Lの濃度のマグネシウムイオン
(6)10meq/L〜50meq/Lの濃度の重炭酸イオン
(7)0.5mg/L〜4mg/Lの濃度のエピネフリン
(8)500μmol/L〜5mmol/Lの濃度のアデノシン;及び
(9)少なくとも1つの脂肪酸
を含有してなり、非代謝性インペルメントを実質的に含有しておらず、さらに約7.4〜約8.5のpHを有する、機能状態でのヒト採取臓器又はヒト適合性採取臓器の保存のための臓器保存溶液、
〔2〕前記溶液が、ヘパリンニトログリセリンACE阻害剤ベータブロッカーカルシウムチャンネルブロッカー細胞保護剤抗酸化剤抗真菌剤抗ウイルス剤抗菌剤、免疫抑制剤、非ステロイド系抗炎症剤ステロイドビタミン類及びそれらの混合物からなる群より選ばれる薬学的に活性な剤をさらに含有してなるものである、〔1〕記載の溶液、
〔3〕前記溶液がさらにインシュリンを含むものである、〔2〕記載の溶液、
〔4〕前記溶液がさらに補体中和剤を含むものである、〔2〕記載の溶液、
〔5〕前記代謝性炭水化物が、グルコースである、〔2〕記載の溶液
に関する。

発明の効果

0016

本発明により、正常体温若しくは実質的に正常体温である温度における理想的な保存条件が提供される。

図面の簡単な説明

0017

図1は、本発明の好ましい態様による、灌流回路及び灌流システムを形成する構成要素の略図である。
図2は、本発明の好ましい態様による、ドナー心臓を拍動状態に維持するための保存チャンバー横断面図である。
図3は、本発明による、保存チャンバーと共に利用されるカバーアセンブリーの上面図である。
図4はまた、本発明の好ましい態様による、採取臓器の輸送を容易にするための移動式カートに据えつけられた灌流システムの透視図である。
図5は、本発明の好ましい態様による、一体化されたコンテナー及びリザーバーを利用する保存回路の概略図である。
図6は、本発明の他の態様による、保存回路の別の配置での概略図、及び心臓を非活動性の拍動状態に維持するためのパルスポンプの利用を示す。
図7は、本発明の教示による、腎臓を維持するための、保存システム及びソフトシェルコンテナーの概略図である。
図8は、本発明の教示による、肝臓を維持するための、保存システム及びソフトシェルコンテナーの概略図である。
図9は、本発明の教示による、膵臓を維持するための、保存システム及びソフトシェルコンテナーの概略図である。
図10は、本発明の教示による、1つ又は2つの肺を維持するための、保存システム及びソフトシェルコンテナーの概略図である。
図11は、本発明の教示による、任意の数の臓器を維持するための移動式保存システムの透視図である。
図12は、本発明の方法による作業フロー図である。

実施例

0018

本態様は、本発明の組成物、方法及びシステム/装置により、提供される。(1)ドナー適合性全血(又は白血球除去全血)及び(2)炭水化物源、インシュリン及びエピネフリンを含む他のホルモン類、重炭酸イオン源などの電解質及び緩衝液を含む保存溶液を含んでなる、液体又は液媒体を提供する。この液体又は液媒体は、少なくとも1つの大血管、好ましくは、実質的に臓器を取り囲む若しくは浴浸する、かかる臓器の「外部」部分に送達される。このように、本発明の組成物、方法、システム/装置及び媒体は、正常体温若しくは実質的に正常体温である温度における理想的な保存条件を提供するのに使用され得、臓器が機能的に維持され得る。

0019

発明の要旨
本発明は、移植又は再移植を含む、移植前の保存期間又は評価期間の間に、保存又は蘇生が必要なヒト又はヒト適合性採取臓器の保存システムを提供する。本発明のシステムはまた、保存期間に、移植される臓器に、地理的な場所を変更させ得る。このシステムは:
(a)(i) 前記臓器適合性の全血(又は白血球除去全血)及び(ii)保存溶液を含有してなる、生理的媒体又は液体と交流する、前記臓器をいれるための封入手段;
(b)前記臓器の少なくとも1つの大血管に前記液体を送達するための送達手段;
(c)前記臓器から前記液体を運び出すための手段;
(d)灌流液及び前記臓器の温度を約20℃〜約37℃の正常体温の温度に維持するための温度制御手段;
(e)前記液体の圧力を制御するための圧力制御手段;
(f)前記液体の少なくとも一部を酸素富化するための酸素富化手段;
(g)好ましくは前記酸素富化手段と前記臓器との間に位置する、前記液体から好ましくない濾液を除去するための濾過手段;並びに
(h)前記液体の少なくとも一部の流れを制御するためのフロー制御手段;
を含む。

0020

かかるシステムは、前記臓器の外部が実質的に完全に前記液体に浴浸され又は取り囲まれるように、任意に前記液体を前記封入手段に送達するための手段を含む。

0021

本発明はまた、特に本発明のシステム及び方法との組み合わせが有効な、ヒト又はヒト適合性採取臓器を約20℃〜約37℃の正常体温の温度において機能状態に保存するための臓器保存溶液を提供する。これらの溶液は:
(1)炭水化物又は他のエネルギー源
(2)塩化ナトリウム;
(3)カリウム
(4)カルシウム
(5)マグネシウム
(6)重炭酸イオン;
(7)エピネフリン;並びに
(8)アデノシン、
を含む。

0022

これらの溶液は、さらに脂肪酸に加え、ニトログリセリン、ACE阻害剤、ベータブロッカー、細胞保護剤、抗酸化剤、抗生物質抗微生物剤抗真菌抗ウイルス、免疫抑制剤、非ステロイド系抗炎症剤、ステロイド類、及びそれらの混合物から選ばれる医薬を含んでもよい。

0023

好ましい態様では、臓器保存溶液は、非代謝性インペルメント(impermeant)を実質的に含んでおらず;また、pHが約7.4〜約8.5である。

0024

本発明はまた、移植又は再移植前の保存期間又は評価期間における機能状態でのヒト又はヒト適合性採取臓器の保存方法を提供する。かかる方法は以下の工程を含む:
(a)保存する又は試験する、生体外臓器を提供する工程;
(b)前記臓器のための封入手段を提供する工程;
(c)保存媒体又は液体を提供する工程;前記液媒体は:
(i) 前記臓器適合性の全血又は白血球除去全血;及び
(ii)(a)代謝性炭水化物;
(b)塩化ナトリウム;
(c)カリウム;
(d)カルシウム;
(e)マグネシウム;
(f)重炭酸塩
(g)エピネフリン;及び
(h)インシュリン;
を含んでなる保存溶液:
を含んでなる;
(d)前記臓器が約20℃〜約37℃の正常体温の温度に維持されている間に、封入された機能性臓器の少なくとも1つの大血管にかかる液体を送達する工程。好ましい態様では、かかる液体はまた、臓器の外部に送達される。

0025

本発明は、連続的で容易な灌流が可能な方法を実施することによる、正常又は正常に近い拍動又は機能状態での、ドナー臓器又は心臓の適切なエキソビボでの保存及びかかる保存の延長を提供する、システム、器具、方法及び媒体を提供する。本発明に関連する、かかるシステム、器具、方法及び媒体によれば、この保存期間を、心臓又は他の臓器を生存状態に維持しながら、24時間以上に延長することができる。

0026

従って、実施例により、一態様において、保存期間に採取臓器を維持するための灌流装置を提供する。かかる灌流装置は、保存期間に臓器を保存するための保存チャンバーを含む。酸素富化液体を臓器に提供するための第1ライン、及び臓器から劣化した液体を運び出すための第2ラインを有する、灌流回路を提供する。灌流装置はまた、実質的に正常体温の温度に臓器を維持するための灌流回路と作動可能に結合された装置を含む。さらに、灌流装置は、臓器を生存状態に維持する。

0027

他の態様において、実施例により、臓器又はドナー心臓を灌流する方法を提供する。かかる方法は、臓器を入れるための保存チャンバー、及びかかる保存チャンバーに作動可能に結合された灌流回路を提供する工程を含む。灌流回路は、液体を臓器に送達するための第1ライン、及び臓器から液体を運び出すための第2ラインを含む。かかる方法はまた、灌流回路において、数種の化学物質溶液を液体に提供する工程、及び臓器又はドナー心臓に液体を灌流する工程を含む。

0028

本発明の組成物、方法、システム/装置及び媒体は、基質の均一な分布を保証するために、保存期間にドナー心臓を拍動状態に維持する。心臓を拍動状態に維持することは、さらに、現在、ドナー心臓保存に対し行われている4時間の低体温停止及び保存期間以上に、正常代謝で、収縮性の内皮血管運動機能を維持するのに役立つ。

0029

本発明の種々の利点が、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲を読むことにより、また以下の図面を参照することにより、当業者に明らかになるだろう。

0030

本発明の前記目的及び他の目的、特徴並びに利点は、参照として、文字により異なる図を通して同じ部分を引用する、添付の図面で説明するので、以下の本発明の好ましい態様のより詳細な説明により明らかになるであろう。かかる図面は、本発明の原理の説明に代わるスケール、強調では必ずしもない。

0031

発明の詳細な説明
本発明は、移植又は再移植用に採取された、ヒト心臓など、少なくとも1つのヒト又はヒト適合性臓器の保存時間を延長するための潅流装置及び方法に関する。

0032

ここで、図1を参照しながら、本発明による潅流システム10を示す。図1は潅流システム10のスキームを示したものであるが、このスキームに対する様々な変更も、本発明の範囲に含まれるものと解される。本発明は、ドナー心臓を拍動状態で任意に採取し、該臓器を拍動状態に保ち、パルス状の生理的冠血流を与える潅流システム10に接続することができる。すなわち、ドナー心臓は、潅流システム10と接続する前に停止させる必要がない。さらに、ドナー心臓は、保存期間中、心停止低体温状態で保存されることはないので、経時的虚血障害が排除される。本発明のもう1つの利点は、保存期間を延長するために用いられる潅流液が、潅流システム10を循環する主に自己血(好ましい)又は場合によっては同種血から成るということである。したがって、ドナー心臓は、保存期間中、酸素必須栄養素の供給を受けることになり、これが臓器を生きた状態に保つ。さらに、細胞老廃物も臓器から取り除かれ、潅流システム10の外に濾去される。

0033

潅流システム10は、最大24時間まで又はそれ以上の期間にわたりドナー心臓12を拍動状態に保つためにヒト循環器系をシュミュレートする目的で設計されている。ヒト循環器系の場合と同様に、潅流システム10も、自己血及びその他の化学組成物から成る液体をドナー心臓12に循環させるための閉鎖潅流回路14から成る。すなわち、潅流回路14は、酸素富化潅流液をドナー心臓12に供給するための1つ以上の動脈ライン16、及び劣化潅流液をドナー心臓12から運び出すための1つ以上の静脈ライン18を含む。本発明の方法の一部として、動脈ライン16を用いて、非活動状態と活動状態の両方の状態でドナー臓器12を潅流することができる。以下、この順向潅流法について、さらに詳細に説明する。

0034

さらに図1を参照し、ドナー心臓12を、潅流回路14に接続された状態で示す。ドナー心臓12は、保存臓器が見えるように硬質透明プラスチック製であることが好ましい保存チャンバー20の中に閉じ込められている。保存チャンバー20はLEXANOプラスチックなどのプラスチック材料から形成されたものであることが好ましいが、保存チャンバー20は、ドナー心臓12の高低及び形状に合わせてジッパーバッグ(図示せず)状の、厚みがあるが軟質可塑性のプラスチック製であってもよい。保存チャンバー20が硬質プラスチック容器である場合、プラスチックカバーアセンブリー(cover assembly)22を用いて、保存チャンバー20をシールするとともに、ドナー臓器12の無菌性湿潤性を維持する。軟質プラスチック保存チャンバー( 図示せず) を使用する場合、ジッパーを用いて、保存チャンバー20をシールするとともに、臓器を保護する。保存チャンバー20の最下部には、適当なドレイン24が設けられている。ドレイン24は、ドレインライン26を介してリザーバー30に接続されていて、取付け時に臓器12から溢出したり、保存及び輸送期間中に起きる液漏れによって溢出する血液を返送させることができる。

0035

開示されるように、リザーバー30は、約500〜3000mlの液体が入るように設計されている。まず、リザーバー30を500〜2500mlの自己血又は交差試験した血でプライミングした(primed)後、その血液を潅流回路14を通して圧送させる。あるいは、適合性のある血液又は代用血液も、本発明の範囲に含まれる。リザーバー出口ライン32は、潅流回路14の動脈ライン16を通して潅流液を循環させる遠心ポンプ34(好ましい)の入口に接続される。本用途に好ましいポンプとしては、メドトロニック(Medtronic )社製のBiomedicus550があるが、このものは磁場駆動コーンを介して血液を移動させる。従来のローラーポンプを使用してもよいが、血液の溶血を極力抑えるためには、遠心ポンプ34によって生成される磁性推進力が好ましい。パルス流が望ましい場合、サーモカルディオシステムズ(Thermo-Cardiosystems Inc. )社製のHEARTMATE(登録商標電気補助ポンプバクスターヘルスケア(Baxter Healthcare Corporation )社製のNOVACOR左心室補助ポンプなどのパルスポンプ(pulsatile pump)を用いることができる。代表的なパルスポンプとしては、チェン(Chen)ら、米国特許第5,599,173号公報に開示されているものが挙げられる。

0036

遠心ポンプ34は、血液を、ポンプ出口ライン36を介して中空繊維膜オキシジェネーター(oxygenator)38に移動させる。血液は、好ましくは95%O2と5%CO2の混合物を用いて、1〜2L/ 分の速度で、膜オキシジェネーター38によって酸素富化される。好ましいオキシジェネーターとしては、ソーリンバイオメディカル(Sorin Biomedical)社製のMonolythやメドトロニック社製のMIIMAXPLUS(商標)などの中空繊維膜オキシジェネーターが挙げられる。図1には具体的には示していないが、膜オキシジェネーター38は、レギュレーター付き酸素ボトル178を通して酸素と二酸化炭素を与えられる。オキシジェネーター38は、加圧潅流液を他のデバイスに向かわせる複数のポート(port)(図示せず)も具備している。ウォーターヒーター/クーラー40が、潅流回路14の中の液体を約37℃(正常体温)に保つウォーター回路42を通して、加温水を供給する。次いで、加温潅流液が、ドナー心臓12を正常体温の温度に保つ。あるいは、ウォーターヒーター40は、潅流回路14の中の潅流液を冷却するために、ウォーター回路42を通して循環する水から熱を奪うこともできる。熱は、様々な理由で奪うことができる。たとえば、装置/ システム10が臓器12を温かすぎる環境( すなわち正常体温を超えている) で保存している場合、温度が37℃又はそれ以外の所定温度を超えるのを防ぐために、液体から熱を奪うことができる。熱はまた、液体を37℃以下に冷却するために液体から奪うこともできるが、これは、保存臓器12を低めの正常体温状態及び/ 又は軽度の低体温状態に誘導する場合に望ましい。これは、臓器12を停止させる前でも望ましい。液体と臓器の温度を約20℃まで下げるために、十分な熱を奪ってもよい。オキシジェネーター出口ライン44は、酸素富化、再加温された液体をフィルター46に運ぶ。液体は、ポールフィルターズ(Pall Filters)社製のPall白血球除去フィルターなどの白血球フィルターで濾過することが好ましい。

0037

フィルター46の出口は、フィルター出口ライン48を介してセレクターバルブ50に接続される。セレクターバルブ50は、液体流を、初期潅流ライン52(大動脈を介する順向潅流用)、左心房供給ライン54( 左心房を介する順向潅流用) 、又は両方のライン同時に(プライミング用)のいずれかに向かわせるための複数の位置のうちの1つに置くことができる。また、セレクターバルブ50は、完全に動作を停止させてもよい。図からわかるように、ライン48、54、及び場合によってはライン52と58が、潅流回路14の動脈側16を10形成する。初期潅流ライン52の反対側末端はティー(tee )56に接続され、次いでこのティーは大動脈ライン58と後負荷カラムライン60へと分岐する。ライン60と大動脈返送ライン62を接続するために、ストレートコネクター61が用いられる。単向サイホン(siphoning )防止バルブが固定されているルアーポート(luer port )63がコネクター61に固定されており、コネクター61を横切って圧送される液体が、余分な液体を後負荷ライン60からサイホンさせることなく、大動脈返送ライン62を通って流れるようにするための単向バルブとして作用する。ルアーポート63は、液体のサイホン効果をこわすために空気を大動脈返送ライン62に入れる作用をする。すなわち、後負荷カラム60の頂部は、コネクター61とルアーポート63によって形成される。

0038

後負荷ライン62の遠位末端は、大動脈130を通して圧送される血液がリザーバー30に返流するようにするために、リザーバー30に取付けられている。以下、さらに詳細に説明するように、大動脈ライン58は、潅流システム10の動作モードに応じて、ドナー心臓12での双向流を供給する。後負荷カラム60の高さは、心臓12がそれに抗して拍動すなわち圧送するところの後負荷圧を選択的に変化させるために、一定の垂直位置範囲内で調節可能である。後負荷カラム60を通して圧送された液体がコネクター61を横切ると、大動脈返送ライン62を介してリザーバー30に返送される。また、右心室返送ライン64が肺動脈132に接続され、冠流出液をリザーバー30に返送する。図に示したように、心臓が動いている状態にあるときは、ライン58、60、62及び64が潅流回路14の静脈側18すなわち送達手段を形成する。

0039

大動脈流は、大動脈ライン58の一部をなす超音波フロープローブ66によって測定される。同様に、超音波フロープローブ68は、右心室からリザーバー30への冠流出液が右心室返送ライン64を通る冠血流を測定する。超音波フロープローブ66及び68によって生成される大動脈流信号と冠流信号は、保存臓器12の状態及び潅流システム10の性能の状態の監視補助する2チャンネル流量計70で記録される。本発明と合わせて使用するのに好ましい流量計70は、トランソニックシステムズ(Transonic Systems )社製の2チャンネル流量計である。

0040

冠流は、心臓12の上の後負荷カラム60の高さを調節し、ポンプ34によって提供される流速を調節することにより、許容される生理的範囲( 300〜500ml/ 分) 内に保たれる。後負荷圧は約70mm水銀柱に保たれるが、必要に応じて調節してもよい。ドナー心臓12の腔内圧を測定するために、マイクロチップ圧力カテーテル72が、左心房134を介して左心室に挿入される。好ましい圧力カテーテル72としては、ミラーインスツルメンツ(Millar Instruments)社製のタイプのものが挙げられる。圧力カテーテル72が生成するすべての圧力測定値は、やはり保存臓器12の状態の監視を補助するデジタル式圧力記録システム74を用いて記録され、表示される。開示されるように、圧力記録システム74は、多数の圧力測定値を記録し、表示することができる。

0041

オキシジェネーター38から出ているポートの1つは、滴下マニホールド(manifold)80に酸素富化血液を供給する供給ライン76に接続される。開示されるように、3つのIVバッグ82、84、86が滴下マニホールド80に接続され、保存臓器に様々な化学組成物を供給する( 以下、さらに詳細に説明する) 。滴下マニホールド80は当該分野において公知であり、IVバッグ82、84、86に保存されている滴下速度調節済みの各化学物質溶液を受容するための機構を提供する。当該分野において公知であるように、滴下速度は、インフュージョンポンプ(infusion pump )( 図示せず) によって調節することができる。ドナー心臓12への循環のために、マニホールド出口ライン78が、様々な化学物質溶液で富化された血液をリザーバー30に運ぶ。

0042

潅流システム10の様々なライン及び要素を作製するためには、多様な材料を用いることができる。潅流回路14のほぼすべてのライン及び要素は常に血液潅流液と接触しているため、体外人工表面への血液の曝露によって引き起こされる急性炎症反応を抑制すことが望ましい。この問題を解決するために、潅流回路14の中のすべての接触面をヘパリンでコーティング又は結合して、補体及び顆粒球の活性化を低減させてもよい。あるいは、ヘパリンは、潅流回路14を通して循環する液体に直接的に導入してもよいし、他の生体適合性表面を回路14に利用してもよい。

0043

さらに図1を参照しながら、潅流システム10の動作について、より具体的に説明する。上記したように、ドナー心臓は、拍動状態又は停止状態のいずれかの状態で採取され、保存チャンバー20に入れられる。この時点で、遠心ポンプ34が酸素富化され再加温された血液をライン48を通して圧送する。プライミングの際は、血液を初期潅流ライン52と左心房供給ライン54を同時に通過させる位置に、セレクターバルブ50が置かれる。潅流回路14の動脈ライン16が、気泡又は空気ポケットの存在を排除するのに十分にプライミングされたら、バルブ50が初期潅流ライン52に液体を供給するための位置に回転される。次いで、大動脈ライン58は、大動脈カニューレ120を用いて大動脈130に接続され、固定される。この手順により、血液を、大動脈ライン58に流れ込ませ、大動脈130を介して、非活動拍動状態のドナー心臓12をただちに潅流させる。あるいは、後負荷ライン60をクランプ(clamped )して、大動脈130への血流最大化させてもよい。この大動脈130を介する順向潅流の手順は、ドナー臓器の安定化を図るとともに、装置取付け時間を確保するために、約10〜15分間にわたり実施される。この装置取付け時に、残りのフローラインがドナー心臓12に接続される。より具体的には、大動脈ライン58と大動脈130の間の接続が完了し、供給ライン54が左心房134に接続され、右心室返送ライン64が肺動脈132に接続される。次いで、肺静脈、上及び下大静脈が#0縫合絹糸を用いて結紮閉鎖される。初期接続プロトコルの際は、流出血液は保存チャンバー20の中に閉じ込められ、ドレインライン26を介してリザーバー30に返送される。

0044

安定化段階終了時に、左心房供給ライン54を介する左心房134への流れを同時的かつ徐々に増大させるとともに、初期潅流ライン52を通る流れを徐々に遮断するセレクターバルブ50を正常動作位置まで回転させることによって、大動脈130への流れが減少される。後負荷ライン60もクランプ解除される。次いで、この手順が、ドナー心臓12を非活動状態から血液がドナー心臓12によって潅流回路14の静脈ライン18を通して圧送される活動状態に切りかえる。ドナー心臓12は常に拍動しつづけるということが特に注目される。動脈ライン16を通るドナー心臓12への血流は、遠心ポンプ34によって補助される。ドナー心臓12は、保存チャンバー20の上の後負荷カラム60の垂直位置によって生じる後負荷圧に抗して拍動させられ、これによりパルス状冠流が発生する。また、酸素富化血液が冠血管系に供給され、冠血管系から来る脱酸素化血液が右心室から肺動脈返送ライン64へ圧送され、リザーバー30に返送される。この時点で、ドナー心臓12は、保存期間中、生きた拍動状態に保つことができる。潅流システム10を心臓の保存に使う場合について具体的に説明したが、本発明に関する装置及び方法は、ライン52、58、60及び62を除き、ライン54を用いて臓器の動脈カニューレ留置し、ライン64を用いて保存臓器の静脈にカニューレ留置することによって、あらゆる固体臓器の保存時間を延長する目的にとくに適している。すなわち、潅流システム10により、腎臓、肝臓、肺、膵臓、及び小腸をはじめとする臓器を長期にわたり保存することができる。

0045

ここで、図2に移り、保存チャンバー20及び様々なカニューレとドナー心臓12の間の接続について、さらに詳細に示す。開示されるように、保存チャンバー20は開放上端部を有し、ほぼ円筒状の側壁90と、ライン26を介したリザーバー30への返送のためにドレイン24への液体の流れを促進する勾配底部92によって形成される。装置取付け時及び保存時に、勾配底部92は、より正しい解剖学的位置にドナー臓器12をさらに収納する。円筒状側壁90の上端部は、カバーアセンブリー22を受容するためのさらに別の面を提供するために、周囲を囲むように外側に突き出たフランジ(flange)94を具備している。

0046

ここで、図2及び3を参照しながら、カバーアセンブリー22の要素についてさらに詳細に説明する。カバーアセンブリー22の外周は、ヒンジ(hinge )98によって接続されている2個の半分割部分を具備したクランピングリング96によって形成される。クランピングリング96の2個の半分割部分は、スナップロック(snap lock )100を介して目に見えるように固定することができる。カバーアセンブリー22の残り部分は、カニューレプレート106を受容するために、中心にアパチャー(aperture)を有する円状カバープレートを一体的に形成する第1カバー102と第2カバー104によって形成される。クランピングリング96は、図2に示すように、密封シールを作り出すために、フランジ94と第1及び第2カバー102、104を受容するために設計されたほぼU字型の断面を有する。第1カバー102と第2カバー104の間の隣接エッジ105は、カバーアセンブリー22に対してさらに剛性密封性を付与するための溝(tongue-and-groove)構造(図示せず) を具備している。同様に、カニューレプレート106は、カバーアセンブリー22の中にカニューレプレート106を固定するために、第1カバー102と第2カバー104の内部に形成された環溝110内に嵌合する環舌部108を具備している。隣接エッジ105と関連する舌溝構成については具体的には示さないが、当業者であれば、本構成が環舌状部108及び環溝110の構成と実質的に同様であることの良さを容易に認識するであろう。

0047

カバーアセンブリー22を構成するいくつかのバリエーションが存在するが、第1カバー102と第2カバー104はクランピングリング96のそれぞれの側に恒久的に固定されることが好ましい。この場合、カバーアセンブリー22が保存チャンバー20の上端部に置かれたときに、フランジ94を受容するために、環状チャンネル112がクランピングリング96の下部内周に沿ったままの状態でとどまる。環状チャンネル112をフランジ94と正しく嵌合させると、スナップロック100を強固に締付けるためにクランピングリング96の両方の半分割部分を一体化させて、カバーアセンブリー22が封入臓器の無菌性と湿潤性を適切に保つことができる。

0048

カバーアセンブリー22がもたらすもう1つの利点は、取付け時及び固定時に、カニューレプレート106がカバーアセンブリー22の第1及び第2のカバー102、104とインターロックする別の要素となっていることである。このため、カニューレプレート106の中に固定される様々なカニューレを、カバーアセンブリー22の取付け前に、臓器12上の正しい位置に取付けることができる。カニューレプレート106はまた、臓器12を潅流システム10に接続する際に、各カニューレを正しい位置に置くという働きもする。さらに詳しくは、カニューレプレート106は、大動脈カニューレ120を受容するための第1のアパチャーと、動脈カニューレ122を受容するための第2のアパチャーと、左心房カニューレ124を受容するための第3のアパチャーと、圧力カテーテル72を受容するための第4のアパチャーを具備している。各個別のカニューレは、カニューレプレート106にはめ込まれて、強固な接続をもたらす。さらに、各カニューレは、カニューレプレート106にはめ込むための標準サイズの上端部チューブと、関連する動脈又は静脈内に嵌合させるための様々なサイズのフレア付き下部チューブを有するものとする。したがって、より小型ないし大型の下部チューブを有するカニューレが必要な場合、他方のカニューレを除去することなくカニューレプレート106にはめ込ませることができる。すなわち、カニューレプレート106のデザインは、カバーアセンブリー22と容易かつ強固に一体化するモジュラー(modular )要素を提供する。

0049

動作時には、完全に組み立てられたカニューレプレート106は、大動脈130が大動脈カニューレ120に接続され、肺動脈132が動脈カニューレ122に接続され、左心房カニューレ124が左心房134の中に正しく挿入され固定されうるように、拍動臓器12に近接した状態に置かれる。手術用ケーブルタイ( 図示せず) を用いて、大動脈カニューレ120の周囲に大動脈130を固定し、動脈カニューレ122の周囲に肺動脈132を固定することが好ましい。左心房カニューレ124は、サイズ2- 0の手術用プロレン縫合糸を用いて、左心房134の中に固定される。開示されるように、手術用ケーブルタイは、液漏れ防止シール、及び組織損傷リスク無くカニューレ周囲の動脈を縫合するためのより広い表面積を提供する。ひるがえって、このことは、保存チャンバー20の中にドナー心臓12を正しく支持することを補助する。より小さいドナー心臓12の場合など一部の例では、保存チャンバー20の中で大動脈130によって心臓が懸垂されることもある。

0050

臓器を保存チャンバー20の中のカニューレプレート106の要素に正しく固定した後、カバーアセンブリー22が保存チャンバー20の上端部に固定されるように、リッドアセンブリー(lid assembly)22の各半分を、カニューレプレート106の外周のまわりに嵌合させることができる。次いで、カバーアセンブリー22とカニューレプレート106は、保存チャンバー20の中でドナー心臓12を懸垂する働きをする。図2において最もよく示されるように、肺動脈ライン64は動脈カニューレ122に固定され、大動脈ライン58は大動脈カニューレ120に接続され、左心房供給ライン54は左心房カニューレ124に接続される。すべての接続が正しくなされたら(約15分)、安定化のために、臓器を、上記のように非活動状態で約10〜15分間拍動させる。安定化及び取付け段階終了後、ドナー心臓を、後負荷カラム60によって作り出される後負荷に抗して活動している状態で拍動させる。保存臓器は、保存期間中、最大24時間まで又はそれ以上にわたり、活動状態で拍動しつづけてもよい。

0051

動物心臓を補助するために潅流システム10を用いて行われた研究によれば、本発明の装置及び方法は、心筋障害がほとんどないか全くない状態で、最大24時間まで、保存臓器を拍動状態に保たせることができる。動物心臓を用いた予備試験の一部として、拍動状態に保たれたドナー心臓の血液電解質を、1時間、6時間、及び12時間の間隔で測定した。血液電解質の分析で、グルコース、ナトリウム( Na) 、塩素(Cl)、カリウム(K)、カルシウム( Ca) 、及び重炭酸塩HCO3は、保存期間中、実質的にベースライン値に保持されることが示された。すなわち、本発明の装置及び方法によれば、既存の低体温停止保存法に伴う4時間の時間制限を超える期間にわたり、ドナー心臓が強い拍動状態に保たれる。

0052

臓器12の保存において機能する3種類の化学物質溶液も、本発明の装置及び方法に関係する。開示されるように、この3種類の化学物質溶液は、細胞活動によって消費されるエネルギーを保存臓器に補給し、血液電解質を生理的レベルに保ち、心臓収縮系を刺激して保存期間中ドナー心臓を拍動状態に保たせる。3種類の化学物質溶液は、すでに説明したように、各化学物質溶液の適切な滴下速度の調節を補助する滴下マニホールド80を通してリザーバー30に供給される。第1の溶液はIVバッグ82の中で保存され、第2の溶液はIVバッグ84の中で保存され、第3の溶液はIVバッグ86の中で保存される。

0053

臓器12を潅流する前に、潅流システム10を、100〜250mlの一次溶液(IVバッグ82の中で保存)、12. 5〜25mgのマンニトール複合糖)又は適当な代替物、及び125〜250mgのコハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム又は適当な代替物でプライミングする。このマンニトールは潅流液の浸透圧を上げるためのインペルメントとして作用し、これが保存臓器中の浮腫形成を抑制又は低減する働きをする。マンニトールは、保存臓器に対する再潅流障害や体外潅流の悪影響を緩和する酸素スカベンジャー又はフリーラジカルスカベンジャーとしても作用する。さらに、マンニトールは、潅流回路14の潅流液接触面がヘパリン結合されていない場合に、とくに有用である。しかしながら、マンニトールは、潅流回路14のすべての要素がヘパリン結合面を有する場合でも、その内部で使用することで、マンニトールによってもたらされる利益を十分に利用することができる。コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムは、再潅流時の細胞溶解を防止するための細胞膜安定化剤として作用するとともに、免疫抑制剤としても作用するステロイドである。

0054

開示されるように、第1の溶液すなわち一次溶液は、糖と様々な電解質から成る溶液である。第1の溶液は、数種類の化学組成物と、好ましくは規定生理食塩水( 0.9モル塩化ナトリウム) 中5%(デキストロース2.5%〜5%の範囲が好ましい)のデキストロース1リットルを混合することによって処方される。あるいは、デキストロースは、半規定生理食塩水(0.45モル塩化ナトリウム)中で送達させてもよい。デキストロースは、細胞エネルギーとATP生成のために保存臓器が必要とする主成分の1つである。デキストロースはグルコースの1形態であって、解糖好気経路クレブス回路を刺激することによって作用し、体内エネルギー生成のための一次生化学過程となっている。このデキストロース溶液に、4ミリ等量塩化カリウム(4meq〜6meqの範囲が好ましい)を加える。この塩化カリウムの目的は、細胞内及び細胞外カリウムを正常な生理的レベルに保つことによって、不整脈(異常な心臓律動)を予防することである。35単位のレギュラーインシュリン(20単位〜40単位の範囲が好ましい)も一次溶液に加えることが好ましい。インシュリンは、グルコースを細胞内に移動させて、細胞質及びミトコンドリア代謝過程に利用できやすくするように作用する。インシュリンはまた、細胞外カリウムを細胞内に移動させ、生理的なカリウム値を確保するのにも役立つ。塩化カルシウム1.5グラム(塩化カルシウム1.0グラム〜1.5グラムの範囲が好ましい)も加えることが好ましい。塩化カルシウムは、心筋収縮に必要な主要カチオンであり、それが正常な生理的レベルで存在することが、ドナー心臓を拍動状態すなわち活動状態に保つために重要である。塩化カルシウムは、心筋収縮力を増大させるための陽性変力剤としても作用し、拍動状態のドナー心臓の保存時における正常な心筋機能のためにもやはり必要である。IVバッグ82の中で保存される一次滴下溶液は、15ml/ 時間(15ml/ 時間〜40ml/ 時間の範囲が好ましい)という好ましい滴下速度で滴下マニホールド80に供給される。一次溶液の別の態様においては、好ましくは5mlの重炭酸ナトリウム(5ml〜10mlの範囲が好ましい)を溶液バッグに加え、7.4〜7.5という正常pHを維持する。すなわち、重炭酸ナトリウムの添加は、溶液を緩衝化するように作用する。

0055

開示される第2の溶液は、脂肪酸溶液、すなわち飽和及び/ 又は不飽和モノカルボン酸溶液であることが好ましい。C3〜C10、C3〜C8鎖脂肪酸、好ましくはC3、C7又はC8鎖脂肪酸をはじめとする単鎖及び長鎖の両方の脂肪酸を用いることができる。好ましい態様においては、本目的は、20%脂質内溶液(10%〜20%の範囲を用いることが好ましい)によって達成される。脂質内溶液の好ましい濃度としては、現在、市販品製造業者から、10%の脂質内溶液又は20%の脂質内溶液が入手できる。あるいは、脂肪酸を提供する大豆ベース由来のソヤカル(soyacal )を用いてもよい。脂質内溶液は、2ml/ 時間(1ml/ 時間〜2ml/ 時間の範囲が好ましい)という好ましい速度で滴下マニホールド80に供給される。脂質内溶液は、ドナー心臓の細胞によって直接的に代謝されうる脂肪酸の含有率が高いという理由で、本発明と合わせて使用するのに好ましい。脂肪酸は、心筋細胞のエネルギーの一次供給源である。心筋細胞のエネルギーのニ次供給源は、第1の滴下溶液によって供給されるグルコースである。

0056

開示される第3の溶液は、好ましくは250mlの規定生理食塩水(250ml〜500mlの範囲が好ましい)と、好ましくは4mgのエピネフリン(エピネフリン4mg〜8mgの範囲が好ましい)を混合することによって調製される。この溶液を用いて、ドナー心臓に、正常な心拍数と収縮性に必要なベースライン値のカテコールアミンを供給する。エピネフリンは、心拍数を正常な生理的範囲内に保つ目的にも用いられる。エピネフリンは、保存心臓の交感神経系受容体を刺激することによって作用する。本発明と並行して行われた研究で、血清中カテコールアミン値の頻回測定を行ったところ、潅流システム10の中で2〜6時間の保存を行った後で血漿中カテコールアミン値が著しく低下することが示されている。第3の溶液は、ベースライン値のカテコールアミンを維持するために、4ml/ 時間(2ml/ 時間〜12ml/ 時間の範囲が好ましい)という好ましい滴下速度で滴下マニホールド80に供給される。第3の溶液すなわちエピネフリン溶液のさらに別の態様においては、好ましくは2mlの重炭酸ナトリウム(2ml〜5mlの範囲が好ましい)を溶液バッグに加え、7.4〜7.5という正常pHを維持する。すなわち、重炭酸ナトリウムの添加は、溶液を緩衝化するように作用する。

0057

保存臓器12は拍動状態に保たれるため、正常体温の温度で心臓に酸素富化血液が供給されることが重要である。保存臓器は、すでに開示した3種類の化学物質溶液から成るバランス基質の供給も受けなければならない。また、保存期間は最大24時間まで、又はそれ以上にわたるため、保存臓器12は、正常な拍動動作を維持するために、大量のエネルギーを供給されるとともに、様々な化学組成物の補給を受けねばならない。別の好ましい態様の一部として、脂肪酸は、溶液バッグ274を介して液媒体中に送達させ、残りの化学組成物は、溶液バッグ272を介して液媒体中に送達させることができる。

0058

図4に移り、モービルカート140に設置された状態の潅流システム10を示す。開示されるように、カート140は、4つのポスト(post)148によって支持される上段シェルフ142と中段シェルフ144と下段シェルフ146を具備している。各ポスト148の下部末端は、ロッキングキャスター150を具備している。ポスト148のうちの2つには、1対の調節可能ポール152、154が係合している。各ポール152、154の高さは、スレッドロッキングノブ156を用いて調節可能である。ポール154は、後負荷カラム60の高さを設定するためのライン60及び62を支持することを主な目的とする調節可能アーム158を具備している。調節可能アーム158は、調節可能アーム158の高さを設定するためのスレッド式ロッキングノブ160、及びライン60、62を支持するためのフック部分162をその外側末端部に具備している。

0059

カート140の上段シェルフ142は、保存チャンバー20を受容し固定するための円形アパチャーと環状クランプ170を具備している。開示されるように、保存チャンバー20は、環状クランプ170にはめ込まれ、複数の蝶ねじ172で固定される。具体的には示さないが、環状クランプ170と蝶ねじ172は、保存チャンバー20を固定するためのリリースレバーによって操作される環状クランプで代替してもよい。上段シェルフ142は、様々なラインを保存チャンバー20から下の要素まで下げさせる矩形アパチャー174も設けられている。中段シェルフ144も、同様の機能を付与する矩形アパチャー176を具備している。開示されるように、リザーバー30は、中段シェルフ144上の保存チャンバー20の直下位置に置かれる。中段シェルフ144は、膜オキシジェネーター38に必要な酸素と二酸化炭素の混合物を供給するための酸素ボトルとレギュレーター178も具備している。下段シェルフ146は、遠心ポンプ34、膜オキシジェネーター38、及びウォーターヒーター40を支持するのにとくに適している。これらのものは通常、潅流システム10と係合する要素のなかでは最も重いものであるため、これらの要素が下段シェルフ146上に位置することで、全体の重心を下げるのに役立っており、モービルカート140をさらに安定化させる。上段シェルフ142は、流量計70及びデジタル式圧力記録システム74を支持するための十分な表面積を提供する。しかしながら、潅流システム10と合わせて使用するために、さらに別の電子測定及びフィードバック器具を上段シェルフ142によって支持することもできる。最後に、透明な硬質プラスチックカバー180をカート140の上端部にかぶせることができる。カバー180は、上段シェルフ142の上に置かれた要素の肉眼的観察を可能にするとともに、潅流システム10及び保存チャンバー20をさらに保護する。

0060

当業者であればその良さがわかるはずであるが、モービルカート140は、潅流システム10の機能全般に対して大幅な強化をもたらす。より具体的には、潅流システム10は、別の保存位置から手術室台車運搬することができる。また、カート140は、臓器採取時と臓器埋め込み時のいずれの際にも1つ又は複数の手術室内で容易に移動させることができる。さらに、ロッキングキャスター150が、好ましくない動きを防止する1つの位置にカート140を固定させる。モービルカート140の全体サイズは、救急車などの交通手段、又は病院ヘリコプターやエアプレーンなどの自家用又は商用航空機の中のいずれにおいても、容易に輸送することができるようなものである。すなわち、モービルカート140は、レシピエントへの埋込み用に採取された臓器の輸送の全体的効率を上げる働きをする。

0061

ここで図5に移り、別の好ましい態様に従い、本発明の保存システム200を示す。保存システム200は、上記に開示される潅流システム10と同様の要素を多数共有し、同様の方法で動作することが注目される。すなわち、保存システム200は、従来技術に伴う経時的虚血を低減又は排除し、浮腫を抑制又は排除し、生理的方法により保存臓器に化学強化剤を供給する働きもする。しかしながら、保存システム200と関連するいくつかの改良点について、以下、さらに詳細に説明する。保存システム200の本構成は、ドナー心臓12を拍動状態又は非拍動(停止)状態のいずれかで採取し、保存システム200に接続させ、拍動状態に保たれて、保存液の生理的冠流の供給を受けるようにもする。

0062

図5で具体的に示されるように、心臓はそれ自体のパルス流を生成するために活動状態で拍動しているため、生理的冠流はパルス状態で供給される。すでに述べたように、保存期間を延長するために用いられる液媒体は、保存システム200を通って循環される主に自己の、同種の、又は適合性の血液から成るということが、本発明の利点の1つである。次いで、本明細書で説明する化学強化剤を、血液と混合し、保存液媒体を調製する。すなわち、ドナー心臓12は、その臓器を生存状態に保つための保存及び維持期間の間、酸素と様々な化学強化剤を供給される。本発明の目的のためには、生存状態とは、臓器が生理的レベルで機能している状態をいう。さらに、細胞老廃物及び代謝物が正常な生理的状態で臓器から運び出され、保存システム200の外に濾去される。あるいは、細胞老廃物や代謝物は、リザーバーの中の血液をトランスフューズ(transfusing)することによって、保存システム200内部から希釈又は除去することができる。さらに細胞老廃物や代謝物は、適当な血液透析フィルターで除去することができる。

0063

保存システム200は、ドナー心臓12を、最大24時間まで、又はそれ以上にわたり、拍動状態に保つためのインビボのヒト循環器系をシュミュレートするように設計されている。この保存技術は、約37℃の正常体温の温度で、又は約20℃〜約37℃の実質的に正常体温の温度で操作されうる。上記に開示されるように、保存システム200は。自己血又は同種又は適合性血液又は代用血液、及びその他の保存溶液から成る化学組成物から成る液媒体をドナー心臓12に循環させるための閉鎖保存回路202から成る。開示されるように、血液は、臓器と適合性がある全血又は白血球除去全血のいずれかであればよい。図に示したように、保存回路202は、酸素富化液体をドナー心臓12に供給するための1つ以上の動脈ライン16、及び劣化液体をドナー心臓12から運び出すための1つ以上の静脈ライン18を具備している。本態様によれば、動脈ライン16は、液媒体を臓器の少なくとも1つの大血管に送達するための送達手段から成り、静脈ライン18は、液媒体を臓器から運び出すための手段から成る。本発明の方法の一部として、動脈ライン16を用いて、非活動及び活動状態のいずれかの状態にあるドナー臓器12への液体の供給及び/ 又は潅流を行う。

0064

さらに図5を参照しながら、保存回路202に接続した状態のドナー心臓12を示す。ドナー心臓12は、液媒体と交通した状態のドナー心臓を入れるための封入手段206の中に閉じ込められている。開示されるように、封入手段206は、保存臓器を保護し、目に見えるようにすための硬質プラスチックチャンバーである。封入手段すなわち保存コンテナー206は、透明ポリカーボネート又はその他の適当な硬質プラスチック材料でできていることが好ましい。開示されるように、封入手段206は、一重又はニ重ジップロッククロージャー(zip-lock closure)を有するバッグの形をした、厚いが軟質で可塑性のプラスチック容器から成るものであってよい。バッグは、ドナー心臓12などの保存臓器又はその他の固体臓器の高低及び形状に合うように形成されたものであることが好ましい。

0065

図に示すように、保存コンテナー206は、やはり中空繊維膜オキシジェネーター208と熱交換器210を含む一体化保存デバイス204の一部を形成する。本態様の一部として、オキシジェネーター208は、液媒体の少なくとも一部を酸素富化するための酸素富化手段から成り、熱交換器210ならびにそれに関連する温度制御水を供給するためのウォーターヒーター/クーラーユニット236は、臓器の温度を約20℃〜約37℃に保つための温度制御手段から成る。図からわかるように、保存コンテナー206は、上記に開示した保存チャンバー20と実質的に同様であるが、本発明の一部として、保存コンテナー206は、保存液又は液媒体の供給物を保存するための液体リザーバー212を同時に形成するためにやや大き目となっている。図に示すように、保存コンテナー206は、約500〜3000mlの液体が入るための液体リザーバー212を形成するのに十分に大きいことが好ましい。このデザイン特徴により、必要に応じて、ドナー心臓12を保存コンテナー206の中の液体の中に実質的に浸漬及び/ 又は浴浸することができる。

0066

保存コンテナー206は、開放した上端部を有し、ほぼ円筒状の側壁90によって形成され、リザーバー出口222への液体の流れを促進する勾配底部92を有する。円筒状側壁90の上端部は、図2に示すように、カバーアセンブリー22を受容するためのさらに別の面を提供するために、その周囲を囲むように外側に突き出たフランジ94も具備している。カバーアセンブリー22の残りの部分は、多数の血液入口又はポート292及び1つ以上の安全バルブ294が加えられている点以外は、上記に開示したものと実質的に同様である。

0067

保存コンテナー206は、保存液から粒状物質を除去する働きをする1対のフィルター214も具備している。各フィルター214は、ポリウレタンスポンジから成ることが好ましい。すなわち、フィルター214は、液媒体から好ましくない濾液を除去するための濾過手段の一部をなす。各フィルター214の1端側は、再循環保存液からの気泡や発泡の低減及び/ 又は除去をさらに補助するシリコン消泡スクリーン216を含む。保存期間中ドナー心臓12を支持するためのシリコンフォームパッド218が、保存コンテナー206の下部内に置かれている。シリコンパッド218は、衝撃吸収用スポンジとしても作用する。図に示すように、保存回路202の操作中に液体リザーバー212の中の保存液を排出することが望ましい場合は、ストップコック226を有するさらに別のポート224も設けられる。

0068

リザーバー出口222を遠心ポンプヘッド230と接続するための出口ライン228が設けられている。ポンプヘッド230に与えられる回転力と制御を作り出すポンプヘッドドライバー232が設けられている。本用途に好ましいポンプヘッド及びポンプは、磁場によって移動するコーンを介して血液を移送させるとともに、血液の溶血を極力抑える生体適合性表面を含むメドトロニック社製のBiomedicus 550である。図からわかるように、遠心ポンプヘッド230及びドライバー232は、液媒体の圧力を制御するための圧力制御手段と、液媒体の少なくとも一部の流れを制御するためのフロー制御手段の両方から成る。

0069

遠心ポンプ230は、ポンプ出口ライン234を介して、血液及び保存液を、保存液を所定の温度まで加温又は冷却する一体化熱交換器210に移動させる。ドナー臓器12は約37℃の正常体温の温度に保たれることが好ましいが、一体化熱交換器210を用いて、保存液の温度を約20℃の温度まで下げることもできる。この加熱及び冷却機能は、ウォーター回路ライン240を介して熱交換器210の水側238を通して温度制御水を循環させるウォーターヒーター/クーラーユニット236によって行われる。保存液は、一体化熱交換器210の第2液側242を通って循環し、そこで所望温度に到達する。

0070

次いで、温度制御された保存液は、接続ライン244を通って、一体化膜オキシジェネーター208に流れ込む。本態様の一部として、保存液の中の血液が、好ましくは95%〜97%O2と3%〜5%CO2の混合物を用いて、1〜5L/ 分の速度で、膜オキシジェネーター208によって酸素富化される。この混合物は、入口/出口ライン246を介してオキシジェネーター208に供給される。すでに述べたように、好ましいオキシジェネーターとしては、ソーリンバイオメディカル社製のMonolythオキシジェネーターやメドトロニック社製のMINIMAXPLUSなどの中空繊維オキシジェネーターが挙げられる。図5には具体的には示していないが、膜オキシジェネーター208は、レギュレーター付き酸素ボトル178(図4)から、必要な酸素と二酸化炭素の混合物を与えられる。オキシジェネーター208は、加圧保存液を他のデバイスに送達させる複数の出口も具備している。オキシジェネーター208の出口のうちの少なくとも1つは、オキシジェネーターを出る液媒体の温度を監視するために用いることができる一体化温度監視プローブ(図示せず)を具備していることを、認識しておかねばならない。より具体的には、第1の出口ライン248が動脈フィルター252に保存液を供給する。フィルター252は、メドトロニック社製小児用動脈フィルターなどの20ミクロン動脈フィルターであることが好ましい。第2の出口ライン250は、再循環ラインとして働き、白血球フィルター254に保存液を供給する。フィルター254は、ポールフィルターズ社製Pall白血球除去フィルターなどのミクロン白血球フィルターであることが好ましい。すなわち、フィルター252及び254は、液媒体から好ましくない濾液を除去するための濾過手段から成る。

0071

動脈フィルター252の出口は、フィルター出口ライン48を介してセレクターバルブ50に接続されている。セレクターバルブ50は、液体流を初期潅流ライン52(大動脈を介する順向潅流用)、左心房供給ライン54( 左心房を介する順向潅流用) 、又は両方のライン同時(プライミング用)のいずれかに向かわせるためのいくつかの位置の1つに置くことができるマルチポジションストップコックである。さらに、セレクターバルブ50は、完全に動作を停止させてもよい。すでに述べたように、ライン48、54、及び場合によってはライン52と58が、保存回路202の動脈側16すなわち送達手段を形成する。初期潅流ライン52の末端は、ティー又はYコネクター56に接続されており、次いでこのものは大動脈ライン58と後負荷カラムであるライン60に分岐する。ティー56の一端は、保存液の圧力、より具体的には大動脈根部圧力を、セントラル信号プロセッサー及びコントローラー560によって監視できるようにする圧力トランスデューサー256も具備している。高さ調節可能後負荷カラムライン60と大動脈返送ライン62を接続するために、ストレートコネクター258が設けられている。上に設けたストップコックに固定されたサイホン防止バルブを有するルアーポート63が、コネクター258に一体化されており、コネクター258を横切って圧送された液体が、後負荷ライン60からさらにサイホンすることなく、大動脈返送ライン62を通って流れるようにするための単向バルブとして作用する。

0072

後負荷ライン60の遠位末端は、保存液をリザーバー212に返送させるために、3方向ポート260上のコネクターの1つに取付けられている。すでに述べたように、大動脈ライン58は、保存システム200がどのモードで動作しているかによって、ドナー心臓12への流れとドナー心臓12からの流れの双向流を供給する。また、後負荷カラム60の高さは、ドナー心臓12がそれに対して拍動すなわち圧送するところの後負荷圧を選択的に変化させるために、一定範囲の垂直位置に調節可能である。後負荷カラム60の高さは、コントローラー560によって受容される冠流及び大動脈及び/ 又は左心室圧力信号応答してフィードバック調節される電気機構器具によって調節される。後負荷カラム60を通して圧送された保存液がストップコックコネクター258とサイホン防止ルアーポート63を横切ると、重力により大動脈返送ライン62を介して液体リザーバー212に返送される。また、右心室返送ライン64が肺動脈132の3方向ポート260とカニューレ122の間に接続されて、冠流出液を液体リザーバー212に返送させる。すなわち、ライン58、60、62及び64が保存回路202の静脈側18を形成して、液媒体を心臓から運び出す手段を提供する。

0073

大動脈流は、大動脈ライン58の一部をなす超音波フロープローブ66によって測定される。同様に、超音波フロープローブ68は、右心室から液体リザーバー212へと右心室返送ライン64を通って流れる冠流出液の冠血流を測定する。フロープローブ66、68によって生成された信号は、システムコントローラー560上のそれぞれの入口66A、68Aに送られる。あるいは、超音波フロープローブ66及び68によって生成された大動脈及び冠流信号は、ドナー心臓12の状態の監視及び保存システム200の動作状態を補助する少なくとも2つのチャンネルを有する図1に示した流量計70又は図11に示した流量計562などのマルチチャンネルデータレコーダー/コントローラーによって受信される。すでに述べたように、好ましい流量計は、トランソニックシステムズ社製の2チャンネル流量計である。しかしながら、本態様の場合、セントラルコントローラー560が、様々なトランスデューサーによって生成される信号をフィードバック信号として受信することで、1つのセントラルステーションからのすべての関連信号を監視することになる。あるいは、圧力トランスデューサー72及び256からの信号は、マルチチャンネルデータレコーダーによって監視し、ラップトップコンピューター564によって表示してもよい。好ましい装置としては、アドインツルメンツ(ADInstruments, Inc. )社製のMacLab(登録商標)などの一体化ハードウエア/ソフトウエアシステムがある。次いで、これらのフィードバック信号を、コントロールライン580を介してポンプ230によって供給される圧力と流れ、ならびに双向コントロールライン582を介して熱交換器210の温度を監視し、調節するために用いることができる。また、セントラルプロセッサー又はコントローラー560は、オキシジェネーター208の温度プローブ出口( 図示せず) からの温度フィードバック信号584を受信することも示した。

0074

冠流は、心臓12の上の後負荷カラム60の高さを調節し、ポンプ230によって生成される流速を調節することにより、許容される生理的範囲( 300〜500ml/ 分) 内に維持される。後負荷圧は約70mm水銀柱に維持されるが、必要に応じて調節することができる。ドナー心臓12の腔内圧を測定するために、マイクロチップ圧力カテーテル72が左心房134を介して左心室に挿入される。好ましい圧力カテーテル72としては、ミラーインスツルメンツ社製のタイプのものが挙げられる。圧力カテーテル72によって生成されるすべての圧力測定値は、やはり保存臓器12の状態の監視を補助するマックラブ(Maclab)社製のものなどのデジタル式圧力記録システム74を用いて記録され、表示される。開示されるように、圧力記録システム74は、多数の圧力測定値を記録し、表示することができる。他方、圧力カテーテル72により生成される信号は、保存又はディスプレイ72Aにオンラインでセントラルコントローラー560により受信されてもよい。

0075

本発明の一部として、コントローラー560は、保存期間中後負荷カラム60の高さを自動的に調節することができる機械式アクチュエーター(actuator)又はアーム566(図11)も制御するものとする。これは、フロープローブ66、68によって生成されるフロー信号、及び図に示したように、それぞれ256Aと72Aにオンラインでコントローラー560によって受信される圧力トランスデューサー256及び圧力カテーテル72によって生成される圧力信号を監視することで、達成される。

0076

あるいは、ペースメーカー及び内部除細動器220を、ペーシングリード(pacing lead )221を介して保存心臓12の心室壁に接続し、保存期間中の望ましくない不整脈をDCショックによって矯正してもよい.

0077

オキシジェネーター208の第2のポートが、出口ライン250に酸素富化血液を供給し、この血液が白血球フィルター254に運ばれる。フィルター254の出口ライン262が、保存液を、第1のストップコック266と第2のストップコック268の間のライン262に一連する位置に置かれた血液透析フィルター264フィルターに送達させる。血液透析フィルター264は、保存臓器によって産生される可能性のある代謝老廃物を除去する働きをする。本用途に好ましい血液透析フィルター264としては、コーブ(Cobe)社又はバクスター(Baxter)社製のものがある.

0078

ストップコック268の出口が、濾過血液を2ポート滴下マニホールド270に供給し、このものが、それぞれ溶液バッグ272及び274から第1及び第2の保存溶液を受容する。図に示したように、滴下マニホールド270は、滴下マニホールド270を通って流れる保存液への本発明の化学物質溶液の送達を制御するのを補助する2つのストップコックバルブを具備している。滴下マニホールド270の出口ライン276は、強化保存液を液体リザーバー212に返送させるための3方向ポート260に接続される。具体的には示さないが、当該分野において公知のごとく、滴下バッグ272、274に含まれている化学物質溶液の滴下マニホールド270への滴下速度を個々に制御し調節するために、インフュージョンポンプが、各溶液バッグ272、274と滴下マニホールド270の間に挿入されることを認識しなければならない。

0079

保存システム200の様々なラインや要素を作製するためには、様々な材料を用いることができる。保存回路202のほぼすべてのラインと要素は常に保存液媒体と接触しているため、体外人工表面への液内血液曝露によって引き起こされる急性炎症性反応を抑制することが望ましい。この問題を解決するために、潅流回路14の中のすべての接触面をヘパリンでコーティング又は結合させて、補体と顆粒球の活性化を低減させてもよい。あるいは、ヘパリンは、保存回路202を通して循環する液媒体に直接的に導入してもよいし、他の生体適合性表面を回路202に利用してもよい。ヘパリンの導入は、回路の中の血液凝固を極力抑えるのに役立つ。

0080

さらに図5を参照しながら、保存システム200の動作についてさらに具体的に説明する。上記のように、ドナー心臓は、拍動状態又は非拍動すなわち停止状態のいずれかの状態で採取され、保存チャンバー206に入れられる。この時点で、遠心ポンプ230が酸素富化され再加温された血液を、ライン248を通して移動させている。プライミングの際は、セレクターバルブ50が、血液が初期潅流ライン52と左心房供給ライン54を同時に通過するような位置に置かれる。保存回路202の動脈ライン16が、気泡又は空気ポケットの存在を排除するのに十分にプライミングされたら、初期潅流ライン52に液体を供給するための位置にバルブ50が回転される。次いで、大動脈ライン58は、大動脈カニューレ120を用いて大動脈130に接続され、固定される。この手順により、血液は大動脈ライン58に流れ込み、大動脈130を介して非活動拍動状態のドナー心臓12をただちに潅流する。

0081

あるいは、コネクター258上のストップコックを閉じて、大動脈130への血流を最大化させてもよい。この大動脈130を介する順向潅流の手順は、ドナー臓器の安定化を図るとともに、装置取付け時間を確保するために、約10〜15分間にわたり実施される。この装置取付けの際に、残りのフローラインはドナー心臓12に接続される。より具体的には、大動脈ライン58と大動脈130の間の接続が完了し、液漏れがないかチェックされ、供給ライン54が左心房134に接続され、右心室返送ライン64が肺動脈132に接続される。次いで、肺静脈、上部及び下部大静脈手術用縫合糸を用いて閉鎖される。この初期接続プロトコルの際は、あらゆる過剰血流は保存コンテナー206内に閉じ込められ、リザーバー212に返送される。

0082

安定化段階終了時に、大動脈130への流れが、左心房供給ライン54を介する左心房134への流れを同時的かつ徐々に増大させるとともに、初期潅流ライン52を通る流れを徐々に遮断する回転セレクターバルブ50によって、正常動作位置まで戻される。次いで、コネクター258のストップコックが開き、血液を、後負荷ライン60と返送ライン62を通って流れさせる。次いで、この手順が、ドナー心臓12を非活動状態から活動状態に切りかえ、血液がドナー心臓12によって保存回路202の返送ライン18を通して圧送され、パルス状冠流送達を確実にする。

0083

動脈又は送達ライン16を通るドナー心臓12への血流は、遠心ポンプ230によって補助される。流速、圧力及び温度は、保存液の圧力と流速を制御するためのポンプヘッド230のスピードを調節するコントローラー560によって監視される。ドナー心臓12は、保存チャンバー20上の後負荷カラム60の垂直位置によって作り出される後負荷圧に抗して拍動させ、これによりパルス状冠流が発生する。また、酸素富化血液が冠血管系に供給され、冠血管系から来る脱酸素化血液が右心室から肺動脈返送ライン64へと圧送され、リザーバー212に返送される。この時点で、ドナー心臓12は、保存期間中、生存性の拍動状態に維持されうる。

0084

ここで図6に移り、保存システム200の別の構成を示す。図からわかるように、図6に示した保存システム200は、図5に示した要素のうちの多くのものから成るが、非パルス状又は半定常流ではなく、パルス状冠流がドナー心臓12に供給されるという主な相違点がある。したがって、この構成は、ドナー心臓12が拍動非活動状態で保存されるために、液体運搬ラインのいくつかを無くすことができる。

0085

本態様においては、保存システム200は、一体化された保存コンテナー206とリザーバー212を含む同様の一体化保存デバイス204と中空繊維膜オキシジェネーター208と一体化熱交換器210を含む。オキシジェネーター208と熱交換器210は、上記と実質的に同様の方法で操作される。すでに述べたように、リザーバー212の中で保存される保存液は、出口ライン228を介して、パルスポンプ280へ送達されるべくリザーバー出口222を通って流れる。パルスポンプ280は、電気制御ユニット282によってパルス駆動される。本用途に好ましいパルスポンプは、サーモカルディオシステムズ社製Heartmate電気補助ポンプ又はバクスターヘルスケア社製Novocar(登録商標)左心室補助ポンプのいずれかである。あるいは、本態様の保存回路202とも適合性があって、より低コストでパルス流の機能を提供する、より低い厳格度の規格に合わせて設計された他のパルスポンプもある。

0086

すなわち、パルスポンプ280は、遠心ポンプ230によって生成される定常流とは逆に、パルス流を生成する。熱交換器210とオキシジェネーター208を通る保存液の流れは、上記したものと実質的に同様である。次いで、第1の出口ライン248が、保存液を動脈フィルター252に運ぶ。フィルター252の出口は、その一体化された一部として形成された同様の圧力トランスデューサー256を有するストップコックコネクター284に接続される。次いで、保存液は大動脈送達ライン286を通って、大動脈カニューレ120を介して大動脈130に流れ込む。送達ライン286中の液体の圧力は、圧力トランスデューサー256を通して監視することができる。この大動脈130への反対方向での保存液送達法は、冠血管系を、酸素富化血液と本発明の様々な化学強化剤から成る液媒体で潅流させる。次いで、冠流出液が、肺動脈132を通って、カニューレ122に圧送される。次いで、冠流出液が肺動脈返送ライン288を通って液体リザーバー212に返送される。再循環ライン250、ならびにそれに配置されている白血球フィルター254、血液透析フィルター264及び滴下マニホールド270をはじめとする様々な要素は、上記と実質的に同様の方法で動作することが注目される。また、大動脈送達ライン286及び肺動脈返送ライン288はそれぞれが、送達及び返送ラインを通過する流速を測定するための超音波フロープローブ66、68(それぞれ)を具備していることも示した。

0087

図6代替構成の一部として、保存コンテナー206はドナー心臓12を入れるために同様のサイズとされ、約500〜3000mlの液媒体を保存するための液体リザーバー212を構成している。しかしながら、1つのポリウレタンフィルター214と1つのシリコン製消泡スクリーン216だけ用いられる。図からわかるように、保存回路202へのこの変更は、順向潅流技術を用いて冠動脈に供給するために、大動脈130へ酸素富化血液を運ぶための1つのライン又は送達手段、及びドナー心臓12から冠流出液(脱酸素化血液) を運び出すために肺動脈に連結される1つのライン又は手段だけの使用を可能ならしめるものである。すなわち、パルスポンプ282によって提供されるパルス流により、左心房とつながるカニューレや潅流ラインを追加する必要がなくなる。このパルス流が、冠痙攣冠内皮障害を予防するとともに、保存臓器の微小循環を適正化するための生理的特性を冠流に提供する。ドナー心臓12を拍動非活動状態で保存することで、酸素消費量の低減と後負荷カラムに対するポンプのストレスの低減を図ることができる。これによりさらに、細胞代謝と細胞老廃物が低減され、保存期間の延長につながる。あるいは、左心室内に心臓内ベントを留置して、大動脈弁から漏出する血液を排出してもよい。

0088

該代替構成の一部として、保存コンテナー206はドナー心臓12を入れるために同様のサイズとされ、約500〜3000mlの液媒体を保存するための液体リザーバー212を構成している。しかしながら、液媒体と保存臓器( 図示せず) を分離するための内部隔壁が存在する。本構成においては、回路の液媒体から分離されたリザーバーの上端部に臓器が置かれる。本構成によれば、保存及び輸送期間中、保存臓器を完全に可視化することができる。

0089

以上、移植用のドナー心臓の保存について説明したが、保存システム200を用いて、再建手術やその他のタイプの手術の際の心臓の維持を図ることもできるということも、本発明の範囲に含まれる。すなわち、本手順によれば、個体の心臓を摘出して、本発明の保存回路202に入れ、体外側で手術することができる。この場合、患者は、当該分野において公知のごとく、適当なバイパス及び心臓/肺マシンにより、一時的に維持されることができる。しかしながら、心臓又はその他の臓器を矯正手術のために摘出し、その臓器を生存状態に保てば、通常であれば複雑で高リスクであると思われる手順を、体外側の臓器に対して容易に実施することができる。臓器に対する手術が完了したら、その臓器を元の患者の体内に再移植する。別の用途としては、癌治療のための化学療法により、臓器を摘出して維持し、その臓器を潅流することがある。化学療法の手順終了後、臓器を再移植することができる。この手技は、肝臓、腎臓、又は膵臓の癌の治療のためにとくに有用である。すなわち、本発明の開示内容による保存システム200は、移植用ドナー臓器を生存状態に保つこと以外にも、様々な用途を提供する。

0090

ここで、図7〜10を参照しながら、本発明の教示による保存システムの別の態様について開示する。下記説明を検討すれば、本発明の保存システムはまた、腎臓、肝臓、肺、膵臓、小腸、及び重度熱傷若しくは外傷患者、又はガン患者にさえ移植のために使用することができる筋遊離皮弁(myocutaneous free flap)など、特に限定なく様々な固体臓器を保存するために利用できることが認められるだろう。該保存システムは、移植又は形成及び再建手術のために、大動脈などの様々な血管、及び静脈移植片を生存状態に保つ目的にも用いることができる。本発明のこの態様によれば、生存状態に保存又は維持すべき固体臓器は、当該臓器のためにとくに設計されたソフトシェルバッグ(soft shell bag)の中に封入される。適合性のある血液を含んだ保存液が臓器に送達され、臓器から運び出されるように、少なくとも1つの動脈と1つの静脈がカニューレ留置される。すなわち、本代替構成に必要な保存回路は、上記したようにドナー心臓を保存するために用いられるものと同様である。

0091

とくに図7を参照して、腎臓310を保存するための保存システム300を示す。腎臓保存回路302は、酸素富化液体を腎臓310に送達し、劣化液体を腎臓310から運び出す働きをする。腎臓保存回路302も、保存コンテナー206及び液体リザーバー212を形成する一体化保存デバイス204、熱交換器210、及びオキシジェネーター208を利用する。加温され酸素富化された保存液は、出口ライン312を介して、オキシジェネーター208の1ポートから動脈フィルター314へと運ばれる。超音波フロープローブ316が、ライン312を通る流速を測定する。ライン312は、動脈ストップコックコネクター318に接続する。圧力トランスデューサー320がストップコックコネクター318の反対側末端に形成されており、ソフトシェルバッグの動脈フィッティング(fitting )322にやはり接続する。動脈カニューレ324が動脈フィッティング322の中に挿入されていて、ソフトシェルバッグ360の保存チャンバー364の中に伸びている。次いで、動脈カニューレ324は、ドナー腎臓310に酸素富化保存液を送達するために腎動脈326に接続する。同様に、返送ライン328が液体リザーバー212の上端部カバーアセンブリー22と静脈ストップコックコネクター330の間に伸びている。劣化液の返送流を監視するために、返送ライン328に沿って超音波フロープローブ356も設けられている。コネクター330の反対側末端は、ドナー腎臓310から運び出された劣化液媒体の圧力を監視するために用いられる圧力トランスデューサー332も具備している。圧力トランスデューサー332は、挿入された静脈カニューレ336も含む静脈フィッティング334に接続する。静脈フィッティング334もソフトシェルバッグ360と一体的に形成されていることが好ましい。静脈カニューレ336は、ドナー腎臓310の腎静脈338に接続される。腎臓310の尿管340は、ライン344を通って目盛り付き容器346に尿を運び込むための尿管コネクター348とやはり一体化されている尿管カニューレ342に接続される。容器346を変更しなければならない場合、又は尿のサンプルを採取しなければならない場合に、ライン344を通る流れを停止させるためのストップコックコネクター348がライン344に沿って設けられている。また、液体は、ストップコック354を通して容器346から放出させてもよい。容器346の目盛りは、保存期間中、腎臓310の尿産生を監視できるようにする。

0092

他の関連態様の場合と同様、オキシジェネーター208は、白血球フィルター254及び任意に設けられる血液透析フィルター264に温度制御酸素富化保存液を送達する第2の再循環ライン250を具備している。フィルター264の出口は、溶液バッグ272、274から様々な滴下速度で化学物質溶液を受容する同様の2ポート滴下マニホールド270に接続する。強化保存液は、返送ライン276を介してリザーバー212に返送される。化学物質溶液の滴下速度は、上記のように、適当なインフュージョンポンプ( 図示せず) によって制御される。わかるように、任意の固体臓器を保存するための回路を通して液媒体を循環させるために、遠心ポンプ230又はパルスポンプ280を用いることができる。

0093

腎臓保存回路302と関連する封入手段は、シールされた本体部分362と保存チャンバー364を含むほぼ矩形のプラスチックバッグ360を含む。消泡材ライン、ソフトシェル(図示せず) 、内側ジップロッククロージャー366、及び外側ジップロッククロージャー368が保存チャンバー364の外周に設けられている。すなわち、これらのクロージャー366、368は、かかる臓器が上記のように挿入され、正しくカニューレ留置されるようにするために、シールされた本体部分362についてジップ解除して開放することができるフラップ(flap)370を形成している。次いで、クロージャー366、368が、かかる臓器を入れて、保存チャンバー364を形成するためにシールされる。ヒートシールによって形成されている強化部材384が、クロージャー366、368の末端に置かれている。構造剛性を強化するために、ならびに保存チャンバー364の中に残留する液体が好ましくない液漏れを起こすのを防止するための一次シール及び二次シールを提供するために、2つのジップロッククロージャー366、368が設けられている(互いに向き合って)。ベントアセンブリー(vent assembly)372が本体部分362の中に一体化されていて、両方のジップロッククロージャー366、368の下方、保存チャンバー364の中に伸びている。ベント372の上端部は、保存チャンバー364からの空気の出し入れを可能にするストップコックバルブ374を具備している。また、保存チャンバー364は、フラップ370を正しくシーリングした後で、ベント372を介して、生理食塩水などの生体適合性液体、又は薬学的に活性な液体を満たすこともできるものとする。

0094

腎臓保存バッグ360は、保存バッグにさらに構造剛性を与えるとともに、一定の形状を維持することをさらに補助する1つ以上の強化リブ(rib )376を設けることもできる。また、バッグを1対のバッグハンガー382によって水平支持部材380から懸垂させる保存バッグ360の各コーナーの中にホール378が設けられている。ソフトシェルバッグ360の利点の1つとして、バッグによって保護しつつ、臓器に超音波プローブを当てることができるために、腎臓310をバッグ360に入れたままで超音波検査を実施することができるということがある。

0095

ここで、図8に移り、肝臓を保存するための保存システム300を示す。肝臓保存回路304は、酸素富化液媒体を肝臓390に送達し、劣化液体を肝臓390から運び出す働きをする。肝臓保存回路304も、保存コンテナー206及び液体リザーバー212を形成する一体化保存デバイス204、熱交換器210、及びオキシジェネーター208を利用する。加温され酸素富化された保存液は、出口ライン312を介して、オキシジェネーター208の1つのポートから動脈フィルター314へと運ばれる。超音波フロープローブ316が、上記のようにして、ライン312を通る流速を測定する。この位置で、ライン312は2つのラインに分岐する。1つは動脈ストップコックコネクター392で終了し、他方の分岐は動脈ストップコックコネクター394で終了する。各ストップコックコネクター392、394は、その反対側末端に形成された圧力トランスデューサー396、398(それぞれ)も具備している。コネクター392は、ソフトシェルバッグと一体的に形成されている動脈フィッティング400にも接続する。適当なカニューレ402が動脈フィッティング400の中に挿入され、ソフトシェル肝臓バッグ440の保存チャンバー444の内部に伸びている。次いで、カニューレ402は、酸素富化保存液をドナー肝臓390に送達するための門脈404に接続する。動脈ストップコックコネクター394も、ソフトシェルバッグの動脈フィッティング400に接続する。動脈カニューレ408が動脈フィッティング406の中に挿入され、ソフトシェルバッグ440の保存チャンバー444の内部に伸びている。次いで、動脈カニューレ408は、酸素富化保存液をドナー肝臓390の左右葉に送達するために分岐する肝動脈410に接続する。同様に、返送ライン412が液体リザーバー212の上端部カバーアセンブリー22と、やはりソフトシェルバッグ440の中に一体的に形成されている返送フィッティング416に順に接続する返送ストップコックコネクター414との間に伸びている。

0096

示すように、劣化保存液がそこから直接的に保存チャンバー444に流れ込めるように、下大静脈418は開放され、カニューレ留置されないままである。すなわち、返送フィッティング416は、劣化液を返送ライン412から出入りできるように、出口を提供している。返送ライン412に沿って、劣化液の返送流を監視するための超音波フロープローブ420が設けられている。依然として肝臓390に付着している胆嚢422は、やはりフィッティング426を挿入されている適当な胆嚢カニューレ424に接続される。ライン430を通って目盛りつき容器346に入る胆汁の流れを調節するためのストップコックコネクター428がフィッティング426に接続される。ストップコックコネクター428はまた、容器346を変更しなければならない場合又は胆汁のサンプル採取のために、ライン430を通る流れを停止させる。また、液体は、ストップコック354を通して容器346から放出させてもよい。容器346の目盛りは、保存期間中、胆嚢422の胆汁産生を監視できるようにする。

0097

他の関連態様の場合と同様、オキシジェネーター208は、白血球フィルター254及び任意に設けられる血液透析フィルター264に温度制御酸素富化保存液を送達する第2の再循環ライン250を具備している。フィルター264の出口は、溶液バッグ272、274から様々な滴下速度で化学物質溶液を受容する同様の2ポート滴下マニホールド270に接続する。次いで、強化保存液は、返送ライン276を介してリザーバー212に返送される。化学物質溶液の滴下速度は、上記のように、適当なインフュージョンポンプ( 図示せず) によって制御される。

0098

肝臓保存回路304と関連する封入手段はまた、シールされた本体部分442と保存チャンバー444を含むほぼ矩形のプラスチックバッグ440を含む。肝臓バッグ440は、以下に説明する腎臓バッグ360と同じ要素の多くのものが共通していることが注目される。

0099

内側ジップロッククロージャー366と外側ジップロッククロージャー368が保存チャンバー444の外周に設けられている。すなわち、これらのクロージャー366、368は、かかる臓器が上記のように挿入され、正しくカニューレ留置されるようにするために、シールされた本体部分362についてジップを解除して開放することができるフラップ370を形成している。次いで、クロージャー366、368が、かかる臓器を入れて、保存チャンバー364を形成するためにシールされる。ヒートシールによって形成されている強化部材384が、クロージャー366、368の末端に置かれている。構造剛性を強化するために、ならびに保存チャンバー364の中に残留する液体が好ましくない液漏れを起こすのを防止するための一次シール及び二次シールを提供するために、2つのジップロッククロージャー366、368が設けられている(互いに向き合って)。1対のベントアセンブリー372が本体部分362の中に一体化されていて、両方のジップロッククロージャー366、368の下方、保存チャンバー444の中に伸びている。各ベント372の上端部は、保存チャンバー444からの空気の出し入れを可能にするストップコックバルブ374を具備している。また、保存チャンバー444は、フラップ370を正しくシーリングした後で、ベント372を通して、生体適合性又は薬学的に活性な液体を満たすこともできるものとする。

0100

肝臓保存バッグ440は、保存バッグにさらに構造剛性を与えるとともに、一定の形状を維持することをさらに補助する1つ以上の強化リブ376を設けることもできる。また、バッグを1対のバッグハンガー382によって水平支持部材380から懸垂させる保存バッグ440の各コーナーの中にホール378が設けられている。

0101

ここで、図9に移り、膵臓450を保存するための保存システム300を示す。膵臓保存回路306は、酸素富化液媒体を膵臓450に送達し、劣化液体を膵臓450から運び出す働きもする。示すように、膵臓450は、十二指腸452と共に採取される。膵臓保存回路306も、一体化保存デバイス204を利用する。加温され酸素富化された液媒体は、出口ライン312を介して、オキシジェネーター208の1つのポートから動脈フィルター314へと運ばれる。超音波フロープローブ316が、動脈ライン312を通る流速を測定する。ライン312は、動脈ストップコックコネクター454に接続する。圧力トランスデューサー456がストップコックコネクター454の反対側末端に形成されており、ソフトシェルバッグと一体的に形成されている動脈フィッティング458に接続する。動脈カニューレ460が動脈フィッティング458の中に挿入されていて、ソフトシェルバッグ490の保存チャンバー494の中に伸びている。次いで、動脈カニューレ460は、膵臓450に酸素富化保存液を送達するために膵臓/十二指腸動脈462に接続する。同様にして、返送ライン464が液体リザーバー212の上端部カバーアセンブリー22と静脈ストップコックコネクター466の間に伸びている。返送ライン464に沿って超音波フロープローブ465が設けられている。コネクター466の反対側末端はまた、膵臓450から運び出される劣化液媒体の圧力を監視するために用いられる圧力トランスデューサー468も具備する。圧力トランスデューサー468は、その中に挿入された静脈カニューレ472も含む静脈フィッティング470に接続する。静脈フィッティング470もソフトシェルバッグ490の中に一体的に形成されていることが好ましい。動脈カニューレ472は、膵臓450の脾静脈及び/又は門脈に接続する。膵臓450の膵管476は、ライン344を通って同様の目盛り付き容器346に膵液を運び込むための一体化カニューレフィテイング480の中にやはり挿入されている適当なサイズのカニューレ478に接続される。上記したように、ストップコックコネクター482がライン344に沿って設けられていて、容器346を変更しなければならない場合に、ライン344を通る流れを停止させる。また、液体は、ストップコック354を通して容器346から排出させてもよい。容器346の目盛りは、保存期間中、膵臓450の膵液産生を監視できるようにする。

0102

他の関連態様の場合と同様、オキシジェネーター208は、白血球フィルター254及び任意に設けられる血液透析フィルター264に温度制御酸素富化保存液を送達する第2の再循環ライン250を具備している。フィルター264の出口は、溶液バッグ272、274から様々な滴下速度で化学物質溶液を受容する2ポート滴下マニホールド270にも接続する。強化液媒体は、返送ライン276を介してリザーバー212に返送される。化学物質溶液の滴下速度は、上記のように、適当なインフュージョンポンプ( 図示せず) によって同様に制御される。

0103

膵臓保存回路306と関連する封入手段は、シールされた本体部分492と保存チャンバー494を含むほぼ矩形のプラスチックバッグ490を含む。内側ジップロッククロージャー366と外側ジップロッククロージャー368が保存チャンバー494の外周に設けられている。すなわち、これらのクロージャー366、368は、かかる臓器が上記のように挿入され、正しくカニューレ留置されるようにするために、本体部分362についてジップを解除して開放することができるフラップ370を形成している。示すように、フラップ370の1つのコーナーをジップ解除してその動作を示している。次いで、クロージャー366、368が、かかる臓器を入れて、保存チャンバー494を形成するためにシールされる。ヒートシールによって形成されている強化部材384が、クロージャー366、368の末端に置かれている。構造剛性を強化するために、ならびに保存チャンバー494の中に残留する液体が好ましくない液漏れを起こすのを防止するための一次シール及び二次シールを提供するために、2つのジップロッククロージャー366、368が設けられている(互いに向き合って)。膵臓バッグ490の特徴の1つとして、保存チャンバー494の最下部の中に残留する液体を採取する働きをする勾配部分484がある。ベントアセンブリー372が本体部分492の中に一体化されていて、両方のジップロッククロージャー366、368の下方、保存チャンバー494の中に伸びている。上端部ベント372は、保存チャンバー494からの空気の出し入れを可能にするストップコックバルブ374を具備している。また、保存チャンバー494は、フラップ370を正しくシーリングした後で、ベント372を介して、生理食塩水などの生体適合性液体、又は薬学的に活性な液体を(臓器の外部と接触又は浴浸するため)満たすこともできるものとする。膵臓保存バッグ490は、保存バッグ(懸垂された状態)にさらに構造剛性を与えるとともに、一定の形状を維持することをさらに補助する1つ以上の強化リブ376を設けることもできる。また、バッグを1対のバッグハンガー382によって水平支持部材380から懸垂させる保存バッグ490の各コーナーの中にホール378が設けられている。ソフトシェルバッグ490の利点の1つとして、バッグのプラスチック壁によって保護しつつ、臓器に超音波プローブを当てることができるため、その中に保存されている臓器に対して超音波検査を実施することができるということがある。上記開示の膵臓の場合と同様の方法で、小腸を保存することができることも注目される。

0104

図10を参照しながら、1つ又は2つの肺500を保存するための保存システム300を示す。肺保存回路308は、酸素富化液媒体を肺500に送達し、劣化液体を肺500から運び出す働きもする。肺保存回路308も、上記に示したように、一体化保存デバイス204を利用する。加温され酸素富化された保存液媒体は、出口ライン312を介して、オキシジェネーター208の1ポートから動脈フィルター314へと運ばれる。超音波フロープローブ316が、ライン312を通る流速を測定する。ライン312は、動脈ストップコックコネクター508に接続する。圧力トランスデューサー510がストップコックコネクター508の反対側末端に形成されており、ソフトシェルバッグとともに成形又は一体化されていることが好ましい動脈フィッティング512に接続する。動脈カニューレ514が動脈フィッティング512の中に挿入されていて、ソフトシェルバッグ530の保存チャンバー534の中に伸びている。次いで、それは動脈カニューレ514は、肺動脈516に接続し、次いで、肺500に酸素富化保存液媒体を送達するために各肺に分岐している。上記と同様にして、1対の返送ライン518が液体リザーバー212の上端部カバーアセンブリー22と1対のストップコックコネクター520の間に伸びている。示すように、各ストップコックコネクター520は、ソフトシェルバッグ530と一体的に形成され、保存チャンバー534の中に形成された採取部分522と液体交通する位置に置かれている。劣化液体の返送流を監視するために、各返送ライン518に沿って超音波フロープローブ524が設けられている。具体的には示さないが、肺500の肺静脈はカニューレ留置されず、むしろ保存チャンバー534に直接的に排出されるようになっている。具体的に示すように、保存チャンバー534の下部は、採取部分522への劣化液体の流れを促進するための弧状面526を具備している。

0105

他の関連態様の場合と同様、オキシジェネーター208は、白血球フィルター254及び任意に設けられる血液透析フィルター264に温度制御酸素富化保存液を送達する第2の再循環ライン250を具備している。フィルター264の出口は、溶液バッグ272、274から所定の滴下速度で化学物質溶液を受容する同様の2ポート滴下マニホールド270に接続する。次いで、強化保存液媒体は、返送ライン276を介してリザーバー212に返送される。化学物質溶液の滴下速度も、上記のように、適当なインフュージョンポンプ( 図示せず) によって制御される。

0106

肺保存回路308と関連する封入手段も、シールされた本体部分532と保存チャンバー534を含むほぼ矩形のプラスチックバッグ530を含む。内側ジップロッククロージャー366と外側ジップロッククロージャー368が保存チャンバー534の外周に設けられている。すなわち、これらのクロージャー366、368は、肺が上記のように挿入され、正しくカニューレ留置されるようにするために、シールされた本体部分532についてジップを解除して開放することができるフラップ370も形成している。次いで、クロージャー366、368が、肺を入れて、保存チャンバー534を形成するためにシールされる。ヒートシールによって形成されている強化部材384が、クロージャー366、368の末端に置かれている。構造剛性を強化するために、ならびに保存チャンバー534の中の残留液体が好ましくない液漏れを起こすのを防止するための一次シール及び二次シールを提供するために、2つのジップロッククロージャー366、368が設けられている(互いに向き合って)。1対のベントアセンブリー372が本体部分532の中に一体化されており、両方のジップロッククロージャー366、368の下方、及び保存チャンバー534の中に伸びている。各ベント372の上端部は、保存チャンバー534との双方向液体交流を可能にするストップコックバルブ374を具備している。示すように、気管502が、やはり肺保存バッグ530と一体的に形成されている換気チューブ及びカニューレ504に接続されている。容積調節空気が、適当な換気マシン506によって換気ライン504に供給される。肺は、かかる肺の肺胞崩壊を防止するために、適当な換気マシン506によって定期的に換気しなければならないため、保存チャンバー534によって規定される容積を、肺500の対応する拡張及び収縮に合わせて拡張及び収縮させる必要がある。すなわち、開放ベント372は、保存チャンバー534への空気の出入りを可能にする。この拡張及び収縮は、肺を呼吸させるための任意の手段によって、行うことができる。

0107

肺保存バッグ530は、実質的に上記と同様に機能する1つ以上の強化リブ376を設けることもできる。また、バッグを1対のバッグハンガー382によって水平支持部材から懸垂させる保存バッグ530の各コーナーの中にホール378が設けられている。この特徴については具体的には示さないが、バッグハンガー382は図7〜9に示したように機能するものとする。

0108

ここで、図11に移り、本発明の好ましい態様による移動式保存システム540を示す。より具体的には、移動式保存システム540は、4つのロッキングキャスター544を有する本体542を具備している。移動式保存システム540の一方の側は、保存回路202の要素を収納するための保存エリア546を具備している。輸送中の保存回路202を保護するためのカバー548が設けられている。移動式保存システム540のもう一方の側は、エレクトロニクス部分550を具備している。示すように、エレクトロニクス部分550は、バッテリー無停電電力供給装置UPS)554を有する電源552、及び電力コンバーター556を含む。示すように、ポンプコントローラー558が、電源552に隣接して設置されており、このものは、遠心ポンプ232のコントローラー又はパルスポンプ280のコントローラーユニット282のいずれかであることができる。加熱/ 冷却コントロールユニット236は、電源552とポンプコントローラー558の上端部に位置することが好ましい。水循環ライン240が熱交換器210とウォーターヒーター/クーラーユニット236の間に伸びていることも示した。また、調節酸素タンク178が保存エリア546の中に固定されている。システムプロセッサー/ コントローラー560がウォーターヒーター/ クーラーユニット236の上端部に設けられている。最後に、2チャンネル流量計562がエレクトロニクス部分550の上端部に一体化されている。移動式保存システム540の上端部に固定又は一体化させることができるノートパソコン564も示した。パソコン564のディスプレイは、システムコントローラー560から受信される様々な圧力及びフロー信号を表示している状態で示した。システムコントローラー560は、保存、輸送、評価、又は蘇生期間中に記録されるすべてのデータ(フロー、圧力、酸素飽和度、容量、及び心電図(EKG)活動) のデジタル保存のためのデータロガー(図示せず)も有している。

0109

エレクトロニクス部分550の内部の要素は、移動式保存システム540の動作を監視するための様々なディスプレイも具備している。より具体的には、ウォーターヒーター/クーラーユニット236は、温度ディスプレイ586を有する。セントラルプロセッサー/コントローラー560は、セントラルコントローラー560によって受信及び/ 又は処理される任意のデータを好ましく表示するための3つのディスプレイ588を具備していることが示されている。最後に、流量計562は、保存回路202を通って流れる保存液媒体の流速を表示するための2つのディスプレイ590を具備していることが示されている。また、機械式コントロールアーム566がシステムコントローラー560から出て、操作されることも示した。

0110

移動式保存システム540の特徴の1つは、ピボットブラケット(pivot bra-cket)568とピボット可能に連結されているヒンジアーム570を有することである。アーム570の外側末端からはロッド又はポール572が垂直に伸びている。ポール572は、それにクランプ固定された様々な支持ブラケットを有することができる。より具体的には、クランプブラケット574はポンプドライバー232を支持する。クランプブラケット576は、一体化保存コンテナー204を支持ずるための半円状部材578を具備している。最後に、溶液バッグ272及び274がそれから懸垂されるように、水平支持部材380が設けられている。

0111

図11に示した移動式保存システム540は必ずしもスケール図面を描く必要はなく、その中に組み込まれた代表的保存回路202を含むということにとくに注目すべきである。すなわち、当業者であれば、本明細書で開示する保存回路はいずれのものも、保存エリア546の範囲内で構成され、エレクトロニクス部分550に接続することができることを認識するであろう。具体的には示さないが、圧力トランスデューサー72、256及びフロープローブ66、68によって生成される信号がプロセッサー/コントローラー560及び流量計562に接続されることも理解すべきである。また、コントローラー560は、メドトロニック社により製造されるような、一体化オンラインヘマトクリット及び酸素飽和度センサーからの様々な信号も受信するものである。また、任意の固体臓器を保存又は維持するためのソフトシェル保存バッグ360、440、490、530も、保存エリア546の中で構成され、懸垂させてもよい。

0112

移動式表示システム540の中に封入されている電気要素は、専用電源552によって電力が供給されるものとする。 開示されるように、電源552は、それに封入されている電子装置に応じて、適切な60/ 50Hzレベルで汎用110/ 220V AC電力を供給する。電源552は、レセプタクルを介して12〜24ボルトの範囲のDC電源を受容できるだけでなく、60/ 50Hzで110/ 220VのAC電力を受容することもできる。すなわち、電源552は、救急車などの陸上交通手段、及び飛行機やヘリコプターなどの航空機に見られる様々な電源から電力を受容することができる双方向DC/ AC電力コンバーター556も具備している。さらに、電源552は、外部電力が利用できないときに、必要なレベルの電力を移動式保存システムに送達するためのUPS554の形での保存エネルギーデバイスのいくつかの型も含むものとする。

0113

ここで図12に移り、保存システム200及び300に関連する様々な方法について要約する。下記説明を検討すれば、当業者であれば、開示した方法を成す工程は、本発明の様々な代表的態様によって根拠づけられるということを容易に理解するであろう。要するに、ドナー心臓12などのドナー臓器はブロック600で採取される。次に、ドナー臓器は、保存回路200などの保存回路に接続され、ブロック602で示されるように、保存コンテナー206の中に置かれる。ブロック604では、本発明の保存液媒体が、ドナー臓器の好ましくは動脈である少なくとも1つの大血管に送達される。ブロック606では、劣化した保存液媒体がドナー臓器から運び出される。ブロック608では、液媒体及び/ 又はドナー臓器の温度が、約20℃と約37℃の間の実質的に正常体温の温度に保たれる。ブロック610では、保存液媒体の少なくとも一部がオキシジェネーター208によって酸素富化される。ブロック612では、保存液媒体が上記のようにして濾過される。ブロック614では、セントラルコントローラー560や流量計562などにより、保存液媒体の流速及び/ 又は圧力を測定し、監視することができる。ブロック616では、浴浸又は液媒体の中の化学物質溶液を臓器の外部に供給するために、保存液媒体を、ドナー臓器の外部に任意に送達させることもできる。最後に、返送ライン618は、本法を反復し、ブロック604におけるドナー臓器の大血管への保存液の送達を続けることによって、最大24時間まで又はそれ以上の時間にわたり保存期間を継続させることができるようにする。

0114

本発明の液媒体は、全血と保存溶液を含む。上記したように、本発明の組成物、方法及びシステム/デバイスのあるものは、保存されている1つ又は複数の臓器と適合性のある全血を利用する。基礎試験及び臨床試験により、ドナー又はドナー適合性血液潅流液は、より好適な基質、酸素送達、内因性フリーラジカルスカベンジャー、高力価緩衝液、及び改善されたコロイド浸透圧を供給するため、臨床ドナー心臓保存の代替手段としてより適していることが示されている。保存されている1つ又は複数の臓器において経時的に悪影響を及ぼす可能性のあるある種の要素又は構成成分がすでに除去されている全血を任意に利用することもできる。たとえば、1つの態様においては、本発明において用いる前に、白血球除去フィルターを通過させることによって、全血を処理し、白血球除去血を得る。本発明の目的の1つは、ドナーに最も近い環境を提供することであるため、全血の適合性が高ければ高いほど、保存に成功する可能性が高まるものと思われる。

0115

液体組成物( 本明細書においては液体又は液媒体ということもある) を形成するために、全血を保存溶液と混合する。かかる液体は、液体又は液媒体が容器に供給され、臓器を浸漬すなわち実質的に取り囲むような、1つ又は複数の特定の主要容器及び/ 又は臓器の外部への送達の前のいずれかの時点で、全血を保存溶液の要素と混合することにより形成してもよい。保存溶液の要素は、単独で又は組み合わせて全血と混合することができる。たとえば、1つの好ましい態様においては、炭水化物、塩化ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、重炭酸イオン、エピネフリン、及びアデノシンを液媒体の形成に先立ち、混合することによって、保存安定性保存溶液プレミックスを形成させる。次いで、全血、上記プレミックス、ならびに、インシュリンなど上記プレミックス中では保存安定的でないその他の望ましい液体成分を、臓器への送達の直前に混合することによって、最終液媒体を形成させる。

0116

本明細書の液体及び/ 又は臓器保存溶液は、有効量の炭水化物、電解質、ホルモン類、及びその他の静脈内又は直接注射送達のために従来入手可能な薬学的に活性又は有益な薬剤を利用する。本明細書で使用する場合、「有効量」という用語は、保存している1つ又は複数の臓器に対して有益な影響を及ぼすのに十分な量をいう。そのような有益な影響としては、臓器の機能、臓器生存性、インプラント性、移植性の維持、又は上記の任意のものの経時的増大又は向上などが挙げられるが、これらに限定されない。1つの非常に好ましい態様においては、臓器がドナーから摘出されてから24時間後、より好ましくは摘出から36時間後、さらに好ましくは摘出から48時間後、なお好ましくは摘出から72時間後の移植に耐えるのに十分な生存性が維持される有効量を用いる。

0117

本発明の液媒体及び/ 又は保存溶液に用いることができる構成成分の例としては、炭水化物(グルコース、デキストロース);電解質(ナトリウム、カリウム、重炭酸塩、カルシウム、マグネシウム);抗生物質及び抗微生物剤(グラム陰性及びグラム陽性菌、たとえば250,000〜1,000,000単位、好ましくは250,000単位のペニシリン);ホルモン類(インシュリン、エピネフリン);内因性代謝物質又は内因性代謝物質の前駆物質(アデノシン、L-アルギニン);脂肪酸(飽和及び不飽和、単鎖及び長鎖);及び従来の薬学的に活性な薬剤(ヘパリン、ニトログリセリン、ACE阻害剤、ベータブロッカー、カルシウムチャンネルブロッカー、細胞保護剤、抗酸化剤、補体、抗補体、免疫抑制剤、非ステロイド系抗炎症剤、抗真菌薬抗ウイルス薬、ステロイド類、ビタミン類、酵素補酵素、など);及びその他の従来、溶液の送達、生物学的利用性、又は安定性を補助する際に静脈内投与又は直接的注射に使用されている物質などが挙げられるが、これらに限定されない。pHを調節したり、溶液を安定化させたり、粘性を調節したりなどする他の構成成分も用いることもできる(当業者によって認識されるように)。

0118

以下の表は、前記濃度の1つ以上において、液体及び/ 又は臓器保存溶液中で、単独又は組み合わせて使用することができるより詳細な様々な構成成分を列挙したものである。示した濃度は好ましい濃度であって、P=で示される濃度は少なくとも1つの非常に好ましい濃度であることに注意されたい。

0119

0120

0121

0122

0123

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0128

本発明によれば、正常体温の温度状態かつ正常又はほぼ正常な機能状態で臓器を保存することができるため、本発明の組成物及び方法は、ラクトビオネート、ペンタフラクションなどの非代謝性インペルメントなど、低体温コールド保存溶液中で用いられる薬剤を実質的に含んでいないことが好ましい。

0129

好ましい態様においては、保存溶液及び/ 又は液媒体は、約7. 35〜約8.5、より好ましくは約7. 4〜約7.6、さらに好ましくは約7. 4〜約7. 5のpHに保たれる。

0130

本発明の組成物、方法、及びシステム/ 装置は、正常又はほぼ正常な機能状態で長時間にわたり臓器を保存することができるという点でとくに有用である。それらは、これを正常体温の温度又は実質的に正常体温の温度で達成することができる。本明細書で使用する場合、正常体温の温度又は実質的に正常体温の温度とは、好ましくは約20℃〜約37℃、さらに好ましくは約25℃〜約37℃の温度範囲をいう。臓器移植技術の範囲に入らない正常体温の温度とは通常、約37℃をいうが、臓器保存技術では、低体温という用語は通常は20℃未満、より一般的には約4℃未満をいうため、当業者であれば、正常体温の温度又は実質的に正常体温の温度とは、移植用に保存されている臓器に適用する場合は、幾分異なる意味を有すると解するであろう。

0131

大幅に長期にわたり好適な条件下で臓器を保存することができるという重要利点以外にも、本発明の他の1つの重要な利点として、臓器を機能状態で保存することができるために、移植前に、はるかに容易かつ完全に臓器の検査や評価を行えることが挙げられる。たとえば、保存臓器に対して下記の検査を実施して、移植前の生存性や機能を評価することができる。

0132

心臓:心拍数、律動、及びかかる臓器伝導系の生存性を評価するための連続EKG測定;壁運動、弁コンピテンス、及び心筋機能(駆出分画EFなど) を評価するための心エコー測定;圧力、心拍出量、及び冠流の測定;酸素供給量、酸素消費量、及び酸素要求量を計算することによる代謝評価;血液生化学的指標(電解質など)、クレアチニンホスホキナーゼCPK)、全血算(CBC)の測定;及び変力剤及び代謝強化剤に対する心筋機能の評価。

0133

腎臓: 腎臓の尿排出量連続測定;腎臓の機能評価としての尿中ナトリウム排泄量の測定;腎臓の濃縮機能を評価するための尿浸透圧の測定;血清中及び尿中血液尿素態窒素(BUN)及びクレアチニン3の測定、腎臓の構造的統合性を評価するための超音波分析;酸素供給量、酸素消費量、及び酸素要求量を計算することによる保存臓器の代謝評価;及び血液生化学的指標(電解質など)、全血算(CBC)の測定。

0134

肝臓:胆汁産生量肝細胞生存性の指標)の連続測定;肝機能血液学的検査(LFT)値(ASTALTアルカリホスフェートアルブミンビリルビン(直接及び間接))の測定;血液中フィブリノーゲン値(肝細胞の凝固因子産生能力の指標)の測定;肝臓の肝実質細胞肝内及び肝外胆汁ツリーを評価するための肝臓の超音波分析;及び酸素供給量、酸素消費量、及び酸素要求量を計算することによる肝臓の代謝評価。

0135

膵臓:膵液量の連続測定と化学分析;膵臓の生存性を評価するための血清中アミラーゼ及びリパーゼ値の測定;構造構成及び膵管統合性、直径、並びに耐性を評価するための超音波分析;膵臓の内分泌機能を評価するための血清中インシュリン値及びグルコースの測定;及び酸素供給量、酸素消費量、及び酸素要求量を計算することによる膵臓の代謝評価。

0136

小腸:生存腸管筋肉及び神経の伝導目安となる腸管蠕動運動の肉眼的観察;腸管の血液供給と生存性を評価するための腸管色の肉眼的観察;酸素供給量、酸素消費量、及び酸素要求量を計算することによる代謝評価;及び血液生化学的指標(電解質など)、全血算(CBC)の測定。

0137

本発明の組成物、方法及びシステム/ 装置を用いることにより、臓器を機能状態で摘出し、処理することもできる。たとえば、抗新生物剤などの細胞傷害性治療剤若しくはベクターを、単離状態で臓器に送達させることができる。また、移植前に、たとえば遺伝子治療など、当業者により認識される他の治療プロトコルを臓器に適用してもよい。また、採取した死体臓器を蘇生させ(通常は死後10〜60分以内)、臓器の生存性をたとえば上記方法によって分析してもよい。

0138

上記説明は、本発明の具体的態様について開示し、説明したものである。当業者であれば、上記説明ならびに添付図面及び請求の範囲から、請求の範囲で規定する発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、修飾及びバリエーションを行うことができることを容易に認識するであろう。

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