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課題
解決手段
概要
背景
路面上を区画する白線等に基づいて車両の走行経路を設定し、この走行経路に沿って車両が走行できるよう操舵装置の操舵トルクや操舵角といった操舵量を制御する車両制御装置が知られている。また、車両制御装置では、運転者等の違和感の低減や安全性等を考慮して操舵装置が出力できる操舵トルクに上限値が設けられている。
一般に、操舵トルクは高速でカーブを走行するほど大きな値を必要とする。そのため、車両が高速でカーブ走行中に、操舵トルクが上限値に達してしまうと、これ以上、操舵トルクを増加させることができず、車両が走行経路を追従できなくなる。そのため、走行経路の曲率を取得し、取得した曲率に基づいて、走行経路を逸脱しない値まで車速を減速させる発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
概要
車両を走行経路の適正な位置で走行させることができる車両制御装置、車両制御方法を提供することを目的とする。操舵装置40を備える車両に適用され、車両の走行を制御する車両制御装置20であって、車両が走行経路を走行するためのパラメータを検出する検出部と、前記パラメータに基づいて、操舵装置の制御量を取得する制御量取得部と、取得された前記制御量が所定の上限値に対してどの程度余裕があるかを示す余裕度を算出する余裕度算出部と、算出された前記余裕度に基づいて、前記車両の車速を制御する車速制御部と、を有する。
目的
本発明は上記課題に鑑みたものであり、車両を走行経路の適正な位置で走行させることができる車両制御装置、車両制御方法を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
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この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
操舵装置(40)を備える車両に適用され、前記車両の走行を制御する車両制御装置(20)であって、前記車両が走行経路を走行するためのパラメータを検出する検出部と、前記パラメータに基づいて、前記操舵装置の制御量を取得する制御量取得部と、取得された前記制御量が所定の上限値に対してどの程度余裕があるかを示す余裕度を算出する余裕度算出部と、算出された前記余裕度に基づいて、前記車両の車速を制御する車速制御部と、を有する車両制御装置。
請求項2
前記車速制御部は、前記余裕度が所定値以上である場合、前記車速の制御を停止する、請求項1に記載の車両制御装置。
請求項3
請求項4
前記車速制御部は、前記車速を制御する場合、前記余裕度に応じて前記車速の減速量を設定する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両制御装置。
請求項5
操舵装置を備える車両に適用され、前記車両の走行を制御する車両制御方法であって、前記車両が走行経路を走行するためのパラメータを検出する検出工程と、前記パラメータに基づいて、前記操舵装置の制御量を取得する制御量取得工程と、取得された前記制御量が所定の上限値に対してどの程度余裕があるかを示す余裕度を算出する余裕度算出工程と、算出された前記余裕度に基づいて、前記車両の車速を制御する車速制御工程と、を有する車両制御方法。
技術分野
背景技術
0002
路面上を区画する白線等に基づいて車両の走行経路を設定し、この走行経路に沿って車両が走行できるよう操舵装置の操舵トルクや操舵角といった操舵量を制御する車両制御装置が知られている。また、車両制御装置では、運転者等の違和感の低減や安全性等を考慮して操舵装置が出力できる操舵トルクに上限値が設けられている。
0003
一般に、操舵トルクは高速でカーブを走行するほど大きな値を必要とする。そのため、車両が高速でカーブ走行中に、操舵トルクが上限値に達してしまうと、これ以上、操舵トルクを増加させることができず、車両が走行経路を追従できなくなる。そのため、走行経路の曲率を取得し、取得した曲率に基づいて、走行経路を逸脱しない値まで車速を減速させる発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
先行技術
0004
特開2003−48450号公報
発明が解決しようとする課題
0005
走行経路の曲率だけで車両を減速させる場合、減速量が不十分で車両が走行経路を追従するのに必要な操舵トルクが不足する場合がある。例えば、カーブ走行中に車両が走行経路に対して横位置のずれを生じさせている場合、この横位置のずれを修正するための操舵トルクが必要となる。車両を走行経路に対して適正な位置に走行させるためには、走行経路の曲率のみでなく、車両の向きや横偏差等の要因に応じた操舵トルクが必要となる。しかし、特許文献1に記載された発明では、これらの要素が考慮されていないため、操舵トルクが不足し車両が走行経路の適正な位置を走行できない場合があり、運転者に違和感を覚えさせる場合がある。
0006
本発明は上記課題に鑑みたものであり、車両を走行経路の適正な位置で走行させることができる車両制御装置、車両制御方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0007
上記課題を解決するために本発明では、操舵装置を備える車両に適用され、前記車両の走行を制御する車両制御装置であって、前記車両が走行経路を走行するためのパラメータを検出する検出部と、前記パラメータに基づいて前記操舵装置の制御量を取得する制御量取得部と、取得された前記制御量が所定の上限値に対してどの程度余裕があるかを示す余裕度を算出する余裕度算出部と、算出された前記余裕度に基づいて、前記車両の車速を制御する車速制御部と、を有する。
0008
上記のように構成された発明では、車両が走行経路を走行するためのパラメータに基づいて、操舵装置の制御量を取得する。制御量は、操舵装置に所定の操舵量を生じさせるための操舵制御量であってもよいし、パラメータに基づいて操舵装置が生じさせた実際の操舵量であってもよい。そして、取得された制御量が上限値までどの程度余裕があるかを示す余裕度に基づいて車速を制御することで、現在、操舵装置が出力できる制御量の範囲で車両を走行経路に追従できるようにする。例えば、車両がカーブ走行中に制御量の余裕度が低くなった場合に、車速を制御し、操舵装置が出力できる操舵量の範囲で横方向でのずれや車両の向き等を修正できるようにする。その結果、車両を走行経路の適正な位置で走行させることができる。
図面の簡単な説明
0009
運転支援システム100を示す図。
ECU20により取得される走路パラメータを説明する図。
ECU20が実施する車両制御を説明するフローチャート。
余裕度MAを説明する図。
比較のため走行レーンの曲率のみに基づいて車速Vの減速量を設定する場合の車両CSの走行状態を説明する図。
ECU20が操舵制御量Cの余裕度MAに基づいて車速Vを変更する場合の車両CSの走路状態を説明する図。
第2実施形態において、ECU20が実施する処理を示すフローチャート。
操舵トルク、余裕度MA、及び変化率RVの関係を説明する図。
第3実施形態に係る余裕度MAと車速Vの減速量との関係を説明する図。
実施例
0010
本発明に係る実施形態について図を参照しながら説明する。以下では、車両制御装置の実施形態を、運転支援システムの一部を構成する電子制御装置(ECU)として説明する。運転支援システムは、車両に組み込まれ、車両の操舵量や車速を制御することにより運転者の運転を支援する。なお、以下の実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
0011
(第1実施形態)
図1に示す運転支援システム100は、操舵装置40と、車速Vを変化させる駆動ユニット50と、操舵装置40及び駆動ユニット50を制御するECU20と、各種検出部と、を主に備えている。
0012
操舵装置40は、例えば、電動式の操舵装置(EPS:Electric Power Steering)であり、モータ44の回転により、ハンドル41に接続されたステアリングシャフト42に操舵トルクを加え、車両CSの操舵を設定する。また、ステアリングシャフト42の先端にはピニオンギア45が設けられている。このピニオンギア45はラックギア46に噛み合っている。ラックギア46の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪が回転可能に連結されている。また、ステアリングシャフト42には減速ギア43を介してモータ44が取り付けられている。
0013
EPSコントローラ24は、不図示のCPU、ROM、RAMを備える周知のコンピュータであり、操舵装置40のモータ44に接続されている。EPSコントローラ24は、ECU20から出力される操舵制御量Cに基づいてモータ44を制御し、操舵角や操舵トルクを変化させる。この実施形態では、制御量の一例として、操舵制御量Cを用いて説明を行う。
0014
駆動ユニット50は、内燃機関として機能するエンジン51と、このエンジン51の駆動を制御するエンジンECU52と、を備えている。エンジンECU52には、不図示のアクセルペダルユニットが接続されている。運転者がこのアクセルペダルユニットを操作することで、エンジンECU52は、エンジン51への流入空気量や燃料の噴射の有無を制御し、車速Vを変化させる。
0015
駆動ユニット50は、エンジン51に代えて、駆動用モータを備えるものであってもよい。この場合、エンジンECU52は、アクセルペダルユニットの操作に基づいて、駆動用モータの回転数を変化させることで車速Vを制御する。これ以外にも、駆動ユニット50はエンジンと駆動用モータとを併設するものであってもよい。
0017
カメラ装置31は、車両CSの進行方向における前方の撮像画像を取得し、この撮像画像に基づいてレーンマークを検出する。カメラ装置31は、例えばCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ、近赤外線センサ等の単眼カメラ又はステレオカメラを含む装置であり、車両CSのフロントガラスの上端付近で且つ車幅方向の中央付近に取付けられている。また、レーンマークは、走行レーンの位置を特定するために用いられる指標であり、一例として、この実施形態では走行レーンを区画する白線を用いている。
0018
例えば、カメラ装置31は、撮影画像から車両CSが走行する走行レーンの左右を区画する白線を検出するために必要となる画像を切り出す。次に、カメラ装置31は、各画像に含まれる白線の位置を検出する。白線を検出するための手法の一例として、画像にsobelフィルタ等を適用してエッジ点を抽出し、抽出したエッジ点にハフ変換等を行って、左右の白線を構成するエッジ点を検出する。そして、カメラ装置31は、白線のエッジ点の画像平面上の座標を算出し、算出した座標を白線の位置とする。そして、カメラ装置31は、所定周期で、検出された白線の位置をECU20へ送信する。
0019
車速センサ32は、車輪の回転速度に応じた信号を出力する。車速センサ32は、例えば、車輪に取り付けられたパルス発生器から出力される単位時間当たりのパルス数に基づいて当該車輪の回転速度を検出し、ECU20へ出力する。
0020
ナビゲーション装置33は、GPS受信機により受信されたGPS信号や、各種センサにより取得された情報を用いて車両の現在位置を算出し、該算出した現在位置から目的地までの経路の探索や、経路案内等を実施する。また、ナビゲーション装置33は、車両の現在位置と、地図データベースに格納されている道路情報とを用いて、車両が走行する走行レーンの車線数、曲率ρ、カント等の情報を取得することができる。
0021
操舵角センサ34は、操舵装置40の操舵量を検出する。操舵角センサ34は、ステアリングシャフト42に取り付けらており、ハンドル41の回転角度(操舵角)を検出し、ECU20へ出力する。
0022
ECU20は、CPU21、ROM22、RAM23を中心に構成された周知のマイクロコンピュータとして構成されている。CPU21が、ROM22に記憶されたプログラムを実行することで、車両CSの走行レーン(走行経路)の検出や、操舵制御量Cを設定する。
0023
ECU20は、カメラ装置31から出力される白線の情報に基づいて、車両CSが走行している走行レーンを検出する。この走行レーンの検出では、例えば、カメラ装置31によって検出された左右の白線で区画される走路幅方向での中心座標や、走路パラメータが取得される。以下では、ECU20が走行レーン上で走路パラメータ等を取得する位置を観測位置Pとも記載する。
0024
図2は、ECU20により取得される走路パラメータを説明する図である。この実施形態では、ECU20は走路パラメータとして、走行レーンにおける各観測位置Pでの曲率ρ、自車両の進行方向に対する中心線の傾きであるヨー角φ、走路の幅方向における自車両の横位置Qに対する中心線のずれ量である横偏差dyを取得する。中心線は、上述した観測位置Pとして取得される中心座標を通る線である。
0025
ECU20は、取得された走路パラメータに基づいて操舵制御量Cを設定する。この実施形態では、ECU20は、主に曲率ρに基づいて設定される曲率操舵量DAをもとに操舵制御量Cを設定する。これ以外にも、曲率操舵量DAと、運転者が操舵装置40を操作することで設定される現在の操舵角Xとをもとに操舵制御量Cを設定してもよい。
0027
ステップS11では、操舵制御量Cの制御量上限値を設定する。この実施形態では、制御量上限値は操舵装置40が出力できる操舵トルクの上限を規定する値であり、固定値となっている。なお、制御量上限値を設定するか設定しないかの切り替えを、運転者が不図示の操作スイッチ等を操作することで切り替えるものであってもよい。
0028
ステップS12では、走行レーンにおける走路パラメータを取得する。例えば、ECU20は、カメラ装置31から出力される白線の情報に基づいて走路パラメータ(ρ、φ、Δy)を算出する。ステップS12が検出部及び検出工程として機能する。
0029
ステップS13では、ステップS12で取得した走路パラメータに基づいて操舵制御量Cを設定する。例えば、ECU20は、下記式(1)に基づいて操舵制御量Cを算出する。
操舵制御量C=K1×ρ+K2×φ+K3×Δy … (1)
ここで、K1,K2,K3は、制御ゲインであり、車速センサ32からの出力により取得される車速Vに基づいてその値が変化する。また、制御ゲインK1,K2,K3は、車速Vが増加するに従いその値が増加するように定められている。ECU20は、上記式(1)により計算した操舵制御量Cが上限値を超える場合、EPSコントローラ24に対して、上限値に制限された操舵制御量Cを出力する。ステップS13が制御量取得部及び制御量取得工程として機能する。
0030
図3に戻り、ステップS14では、操舵制御量Cの余裕度MAを算出する。図4は、余裕度MAを説明する図である。この実施形態では、余裕度MAは、操舵制御量Cと、この操舵制御量Cの制御量上限値との差により算出される。そのため、現在の操舵制御量Cが制御量上限値よりも低く、且つその差が大きければ、余裕度MAが大きくなり、現在の操舵制御量が制御量上限値に近い値であれば、余裕度MAが小さくなる。ステップS14が余裕度算出部、及び余裕度算出工程として機能する。
0031
ステップS15では、余裕度MAを判定する。例えば、ECU20は、余裕度MAを閾値TAと比較することで、ステップS15における判定を実施する。ここで、閾値TAは、制御量上限値と比べて低い値であり、車両CSの運動特性や、運転者が覚える乗り心地等の関係から実験的に取得される値である。ステップS15が車速制御部、及び車速制御工程として機能する。
0032
余裕度MAが小さい場合(ステップS15:YES)、ステップS16では車両CSを制御する。余裕度MAが小さければ、操舵装置40は操舵トルクを増加させる余地が少なく、必要な場合に横偏差Δyやヨー角φを修正できない可能性がある。そのため、車速Vを減速させることで、現在、操舵装置40が出力できる操舵トルクの範囲で車両の横偏差Δyやヨー角φを修正できるようにする。
0033
上記式(1)の第一項(K1×ρ)は、カーブを曲がる基本となる操舵トルクであり、通常、カーブ走行時には、その他の項(K2×φ,K3×Δy)と比べて大きな値となる。また、第一項は、車速Vが低下したときの減少量も大きいため、車速Vが低下することで、車両CSのヨー角を修正するための操舵トルク(K2×φ)と横偏差Δyを修正するための操舵トルク(K3×Δy)を出力する余裕ができる。
0035
図3に戻り、余裕度MAが大きいと判定されると(ステップS15:NO)、ステップS17では、車速Vを減速しない。余裕度MAが高ければ、操舵装置40は操舵トルクを増加させる余地があるためである。そのため、車速Vは維持される。
0036
ステップS16又はステップS17の処理が終了すると、ECU20は図3に示すフローを、一端、終了する。
0037
次に、ECU20の制御に伴う車両CSの経路の変化を説明する。図5は、比較のため走行レーンの曲率ρのみに基づいて車速Vを制御する場合の車両CSの走行状態を説明する図である。
0038
車両CSがカーブに進入し、走行レーンの曲率ρが増加すると(図5(a)、時刻t1−t3)、曲率ρの増加に応じて車両CSの操舵制御量Cが増加する(図5(b))。ここで、図5(b)では、時刻t2において操舵制御量Cが制御量上限値に達しており、操舵装置40はこれ以上、操舵トルクを増加させることが不可能となっている。
0039
時刻t3で、制御の応答遅れや外乱入力等により車両CSのヨー角φの増加や、このヨー角φの増加に伴う横偏差Δyが生じた場合、これらを修正するため操舵トルクを増加させるか、車速Vを低下させなければならない。ここで、走行レーンの曲率ρに基づいて車速Vを設定する場合、車速Vは走行レーンの曲率ρに応じた操舵制御量Cとして設定されている。そのため、操舵装置40はヨー角φや横偏差Δyを修正するのに必要な操舵トルクを出力する余裕が残されていない。その結果、自動では、車両CSのヨー角φや横偏差Δyは修正されず、車両CSの走行レーンに対する追従性を悪化させる(図5(e)、時刻t3−t4)。
0040
図6は、ECU20が操舵制御量Cの余裕度MAに基づいて車速Vを変更する場合の車両CSの走行状態を説明する図である。
0041
図6においても、車両CSがカーブに進入することにより走行レーンの曲率ρが増加すると(図6(a)、時刻t11−t13)、曲率ρの増加に応じて車両CSの操舵制御量Cを増加させる。図6(b)では、時刻t12において操舵制御量Cが制御量上限値に近くなっている。ここで、時刻t12において、算出された余裕度MAに基づいて、車速Vが低下する(図6(c),(d))。
0042
その後、時刻t13で、車両CSのヨー角φの増加や、このヨー角φの増加に伴う横偏差Δyが大きくなったとする(図6(e))。この場合、車速Vが余裕度MAに基づいて低下しているため(図6(c),(d))、操舵制御量Cが制御量上限値に近い場合でも、操舵装置40は現在出力することができる操舵トルクによりヨー角φや横偏差Δyを修正することが可能となる(時刻t14)。その結果、車両CSの位置が修正され、走行レーンを適正に追従することができる。
0043
以上説明したようにこの第1実施形態では、ECU20は、操舵制御量Cが制御量上限値までどの程度余裕があるかを示す余裕度MAに基づいて車速Vを制御することで、現在、操舵装置40が出力できる操舵トルクの範囲で車両CSを走行レーンに追従できるようにする。その結果、車両CSを適正に走行レーンに追従させることができる。
0044
ECU20は、余裕度MAが所定値以上である場合、車速Vの制御を停止する。上記構成により、余裕度MAに基づいてECU20が車速Vの制御に介在する機会を限定的なものとすることができる。そのため、車速を低下させる場合に運転者等が違和感を覚える頻度を低減させることができる。
0046
図7は、第2実施形態において、ECU20が実施する処理を示すフローチャートである。ECU20は図7に示すフローチャートを所定周期で実施する。また、図7に示すフローチャートにおいて、ステップS11〜S14は、図3のフローチャートと同様の処理である。
0047
ステップS11では、操舵制御量Cの制御量上限値を設定する。ステップS12では、走行レーンにおける走路パラメータを取得する。この実施形態においても、ECU20は、カメラ装置31から出力される白線の情報に基づいて走路パラメータ(ρ、φ、Δy)を算出する。そして、ステップS13では、ステップS12で取得した曲率ρに基づいて操舵制御量Cを設定する。ステップS14では、操舵制御量Cの余裕度MAを算出する。
0048
ステップS21では、操舵量の変化率RVを算出する。操舵量の変化率RVは、単位時間当たりに変化する操舵トルクを示している。例えば、ECU20は、ステップS13において、操舵制御量Cを設定する毎にその値を記憶しておき、このステップS21において、前回記憶された操舵制御量Cと今回記憶された操舵制御量Cとの差を算出する。そして、算出された操舵制御量Cの差を図6の処理の実施周期に基づく時間で割ることで、変化率RVを算出する。そして、ECU20は、算出された変化率RVを閾値TBと比較することで、変化率RVの判定を行う。
0049
ステップS22では、余裕度を判定する。余裕度MAが大きいと判定されると(ステップS22:NO)、ステップS26では、車速Vを制御することなく維持する。一方、余裕度MAが小さい場合(ステップS22:YES)、ステップS23では操舵トルクの変化率RVを判定する。例えば、ECU20は変化率RVを閾値TBと比較することで、変化率RVを判定する。
0050
変化率RVが高い場合(ステップS23:YES)、ステップS24では、車速Vの減速度を強める。例えば、ECU20は、単位時間当たりの車速Vの減速量を多くすることで、車速Vの減速度を強める。操舵量の変化率RVが高いことで、ECU20は、操舵トルクの不足が大きくなると予測できるからである。
0051
一方、操舵量の変化率RVが低い場合(ステップS23:NO)、ステップS25では、車速Vの減速度を弱いものとする。例えば、ECU20は、単位時間当たりの車速Vの減速量をステップS24と比べて少なくする。操舵量の変化率RVが低いことで、ECU20は、操舵トルクの不足は直ちには大きくならないと予測できるからである。
0052
ECU20は、S24,ステップS25,又はS26の処理が終了すると、図7に示す処理を、一端、終了する。
0053
図8は、操舵トルク、余裕度MA、及び変化率RVの関係を説明する図である。図8(a)に示すように、時刻t21において操舵制御量Cが増加を開始し、時刻t23で制御量上限値附近まで達したとする。また、操舵制御量Cが増加する時刻t21〜t23において、図8(b)に示すように、変化率RVは一定値となっている。
0054
ここで、時刻t22で余裕度MAが小さいと判定された場合、変化率RVが閾値TB以上であるため(図8(b))、操舵トルクの不足は大きくなると予測される。そのため、時刻t22において、操舵制御量Cが制御量上限値に達する前に、車速Vが減速される(図8(c),(d))。
0055
また、車速Vの減速量は、変化率RVに基づいて変更される。図8(c),(d)では、比較として、変化率RVが閾値TB未満である場合の、車速Vの減速量を点線で示している。図中実線と点線との比較により、変化率RVに基づいて操舵トルクの不足が多くなると予測される場合、車速Vの減速が早められている。そのため、操舵トルクの不足が改善され、車両CSが適正に走行レーンを追従できるようにする。
0056
以上説明したようにこの第2実施形態では、ECU20(車速制御部)は、操舵量の変化率RVに基づいて、操舵制御量Cの不足度合を予測し、この不足度合の予測結果に基づいて車速Vの減速を早める。上記構成により、操舵トルクの不足が大きく成る場合は、車速を早めに減速させることで、操舵トルクが不足する状態を抑制でき、車両が走行レーンの適正な位置を走行できるようにする。
0057
(第3実施形態)
ECU20は、取得した余裕度MAに基づいて車速Vを制御する場合、この余裕度MAに応じて車速Vの減速量を変更してもよい。図9は、第3実施形態に係る余裕度MAと車速Vの減速量との関係を説明する図である。
0058
例えば、ECU20は、図9(a)に示す、余裕度MAと車速Vの減速量との関係を規定するマップを記憶している。このマップには、余裕度MAが減少するに従い、車速Vの減速量が多くなるようその値が記憶されている。ECU20は、図3のステップS16において、図9(a)に示すマップを参照して車速Vを設定する。
0059
また、ECU20は、図9(b)に示す、余裕度MAと車速Vの減速量との関係を規定するマップを記憶するものであってもよい。このマップには、車速Vの減速量が段階的に変更されるよう余裕度MAと車速Vとの関係が規定されている。図9(b)に示すマップでは、余裕度MAに応じて、車速Vの減速量が2段階で変更されるようその値が記憶されている。ECU20は、図3のステップS16において、図9(b)に示すマップを参照して車速Vを設定する。
0060
車速Vの変化が大きいと運転者等に違和感を覚えさせるため、必要な場合に限って車速Vの変化を大きくすることが望ましい。そのため、この第3実施形態では、算出された余裕度MAに応じて、車速Vの減速量を設定することで、操舵トルクの不足が大きい場合に車速Vの減速量を大きくし、操舵トルクの不足が小さい場合に車速Vの減速量を小さくすることができ、運転者が違和感を覚える頻度と、車両CSを適正に走行経路に追従させることとのバランスを取ることができる。
0061
(その他の実施形態)
ECU20が取得する余裕度MAは、車両CSの現在位置における操舵制御量Cに限定されず、車両CSが将来走行する走行レーンにおける操舵制御量Cを用いるものであってもよい。例えば、図3のステップS12では、ナビゲーション装置33から、車両CSの現在位置から車両進行方向において前方の走路パラメータを取得する。次に、ステップS13では、取得した走路パラメータに基づいて操舵制御量Cの予測値を算出する。そして、ステップS14では、算出された操舵制御量Cの予測値に基づいて、余裕度MAを算出し、算出された余裕度MAに基づいて車速Vを制御する。
0062
また、第2実施形態において、操舵制御量Cの変化率RVを操舵制御量Cの予測値に基づいて算出してもよい。この場合、図7のステップS21において、ECU20は、操舵制御量Cの予測値に基づいて算出された変化率RVを用いて、変化率RVの判定を行う。上記構成とすることで、将来の余裕度MAに基づいて車速Vを制御することができるため、急な車速Vの変化を抑制し、車両CSの制御をより適正化することができる。
0063
余裕度MAを算出するための制御量は操舵制御量Cに限定されない。これ以外にも、余裕度MAを、操舵制御量Cに基づいて操舵装置40が生じさせた操舵量(操舵角)により算出してもよい。この場合、図3のステップS12において、ECU20は操舵制御量Cを設定した後、設定された操舵制御量Cに応じた操舵量を操舵角センサ34を用いて検出する。そして、ステップS14において、検出された操舵量と上限値との差に基づいて余裕度を算出する。
0064
制御量上限値は、固定値以外にも、車速Vや、車両CSの旋回方向との関係に基づいて可変とするものであってもよい。車速Vに基づいて制御量上限値を可変にする場合、例えば、車速Vが増加するに従い、制御量上限値を高くする。また、車両の旋回方向との関係に基づいて制御量上限値を可変にする場合、現在の車両CSの旋回方向と一致する方向での制御量上限値を高くし、現在の車両CSの旋回方向と反対方向での制御量上限値を低くするものであってもよい。
0065
20…ECU、40…操舵装置、100…運転支援システム。
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