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技術 乾燥装置および液体を吐出する装置

出願人 株式会社リコー
発明者 山田征史
出願日 2016年3月16日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2016-053099
公開日 2017年9月21日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2017-165000
状態 特許登録済
技術分野 インクジェット(インク供給、その他)
主要キーワード 棒状電極間 走査移動機構 導電体部材 検査用セル 各棒状電極 電力集中 エア吐出 チューブ単体
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年9月21日)のものです。
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図面 (20)

課題

導電体を含む液体を用いる場合であっても、異常加熱やスパークなどを生じさせずに乾燥を実行できるようにする。

解決手段

乾燥装置は、導電体、水、および溶剤を含む液体が吐出された媒体501に交流電界印加することにより液体を誘電加熱する誘電加熱部320と、交流電界が印加されている媒体501に接触するように又は近接するように配置された導電性部材800とを備える。導電性部材800は、第2の面521側から交流電界が印加されている媒体501の第1の面511に接触するように又は近接するように配置される。

概要

背景

インクノズルの主走査が不要となるラインヘッドの開発が進み、インクジェット印刷高速化を実現することが可能となった。これによりインクジェット印刷を高速機すなわちオンデマンド印刷機に適用する道が開けてきた。

インクジェット印刷による高速機では、自然乾燥を適用したとすると、乾燥の速度が印刷の速度に追いつかないため、インクを乾燥させる機能を備える必要がある。乾燥手段としては、容易な構成で構築できる高周波誘電による乾燥手段が知られている。

概要

導電体を含む液体を用いる場合であっても、異常加熱やスパークなどを生じさせずに乾燥を実行できるようにする。乾燥装置は、導電体、水、および溶剤を含む液体が吐出された媒体501に交流電界印加することにより液体を誘電加熱する誘電加熱部320と、交流電界が印加されている媒体501に接触するように又は近接するように配置された導電性部材800とを備える。導電性部材800は、第2の面521側から交流電界が印加されている媒体501の第1の面511に接触するように又は近接するように配置される。

目的

本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、導電体を含む液体を吐出して乾燥させる場合であっても、異常加熱やスパークなどを生じさせずに乾燥を実行できる乾燥装置および液体を吐出する装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

導電体、水、および溶剤を含む液体吐出された媒体交流電界印加することにより前記液体を誘電加熱する誘電加熱部と、前記交流電界が印加されている前記媒体に接触するように又は近接するように配置された導電性部材と、を備える乾燥装置

請求項2

前記誘電加熱部は、前記媒体の第1の面側から前記交流電界を印加する第1の誘電加熱部と、前記媒体の前記第1の面とは反対側の第2の面側から前記交流電界を印加する第2の誘電加熱部とを含み、前記導電性部材は、前記第2の誘電加熱部により前記交流電界が印加されている前記媒体の前記第1の面に接触するように又は近接するように配置される、請求項1に記載の乾燥装置。

請求項3

前記第1の誘電加熱部は、前記溶剤が所定量残留するように前記液体を加熱する、請求項2に記載の乾燥装置。

請求項4

前記導電性部材は、略均一な厚さを有するシート状の部材である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の乾燥装置。

請求項5

前記媒体と前記媒体の近傍に配置された前記導電性部材との間に配置され、前記媒体と前記導電性部材とに接触し、前記媒体と共に移動するベルト部材、を更に備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の乾燥装置。

請求項6

前記導電性部材は、前記媒体に接触し、前記媒体と共に移動する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の乾燥装置。

請求項7

前記導電性部材は、ベルト状の部材である、請求項6に記載の乾燥装置。

請求項8

前記導電性部材の幅は、前記媒体の幅と略同一である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の乾燥装置。

請求項9

前記導電性部材の導電率は、式(1)の関係を満たす、請求項1〜8のいずれか1項に記載の乾燥装置。(第1の乾燥後の前記第1の面の画像の導電率)×(第1の乾燥後の前記第1の面の画像の厚み)<(前記導電性部材の導電率)×(前記導電性部材の厚み)<(未乾燥の前記第2の面の画像の導電率)×(未乾燥の前記第2の面の画像の厚み)…(1)式(1)において、「第1の乾燥」は、前記第1の誘電加熱部により行われた乾燥を示し、「未乾燥の第2の面の画像」は、前記第2の誘電加熱部により加熱される前における前記第2の面の画像を示す。

請求項10

請求項1〜9のいずれか1項に記載の乾燥装置と、前記媒体に前記液体をインクジェット方式により吐出する吐出部と、を備える液体を吐出する装置。

請求項11

請求項2又は3に記載の乾燥装置と、前記第1の誘電加熱部から前記第2の誘電加熱部まで前記媒体を搬送し、前記第1の面と対峙する部分からエアを吐出するローラ部材と、を備える液体を吐出する装置。

請求項12

請求項2又は3項に記載の乾燥装置と、前記第2の誘電加熱部による加熱後に、誘電加熱以外の方式により前記液体を乾燥させる補助乾燥部と、を備える液体を吐出する装置。

技術分野

0001

本発明は、乾燥装置および液体吐出する装置に関する。

背景技術

0002

インクノズルの主走査が不要となるラインヘッドの開発が進み、インクジェット印刷高速化を実現することが可能となった。これによりインクジェット印刷を高速機すなわちオンデマンド印刷機に適用する道が開けてきた。

0003

インクジェット印刷による高速機では、自然乾燥を適用したとすると、乾燥の速度が印刷の速度に追いつかないため、インクを乾燥させる機能を備える必要がある。乾燥手段としては、容易な構成で構築できる高周波誘電による乾燥手段が知られている。

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、高周波誘電による乾燥では、導電体粒子を含むインクを用いる場合に、異常加熱やスパークの発生が起こりうるという問題がある。例えばカーボンブラック粒子を用いた黒インクを乾燥させる場合、乾燥の進行に伴いカーボンブラック粒子が互いに接した状態になると、画像面方向に導電性を示すようになり、異常加熱やスパークが発生しうる。また、例えば両面印刷の場合は、一方の面(第1の面)が乾燥した状態で他方の面(第2の面)を乾燥させると、第1の面側で少ない電力でも簡単にスパーク等が発生する可能性がある。

0005

本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、導電体を含む液体を吐出して乾燥させる場合であっても、異常加熱やスパークなどを生じさせずに乾燥を実行できる乾燥装置および液体を吐出する装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、導電体、水、および溶剤を含む液体が吐出された媒体交流電界印加することにより前記液体を誘電加熱する誘電加熱部と、前記交流電界が印加されている前記媒体に接触するように又は近接するように配置された導電性部材と、を備える乾燥装置である。

発明の効果

0007

本発明によれば、導電体を含む液体を用いる場合であっても、異常加熱やスパークなどを生じさせずに乾燥を実行できるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

0008

図1は、第1の実施形態にかかる画像形成装置の全体構成の一例を示すブロック図である。
図2は、反転部の構成例を示す図である。
図3は、誘電加熱部の構成例を示すブロック図である。
図4は、誘電加熱部の他の構成例を示すブロック図である。
図5は、電極の基本的な構成の一例を示す模式的な斜視図である。
図6は、棒状電極間電界の状態を示す模式図である。
図7は、棒状電極間の電界の下で、媒体上に形成されたインク画像発熱状態を示す模式図である。
図8は、グリッド電極における加熱分布を示す模式図である。
図9は、一般的なカーボンブラックを用いた黒インクの乾燥と導電率の変化を示す図である。
図10は、黒インクの乾燥時の導電率変化の例を示す模式図である。
図11は、第2の面の乾燥時に入力されるエネルギーの関係の例を示す図である。
図12は、初期調整工程の一例を説明するための図である。
図13は、求められた乾燥出力値と画像インピーダンスとの関係の一例を示す図である。
図14は、第2の面に画像が存在しない場合における等価回路の一例を示す図である。
図15は、第1の実施形態に係る第2の画像形成部の乾燥装置の構成の一例であって、第2の面に画像が存在しない場合の構成を示す図である。
図16は、図15の構成に対応する等価回路の一例を示す図である。
図17は、第1の実施形態に係る第2の画像形成部の乾燥装置の構成の一例であって、第2の面に画像が存在する場合の構成を示す図である。
図18は、図17の構成に対応する等価回路の一例を示す図である。
図19は、導電体部材を配置した場合と配置しなかった場合とを比較するシミュレーション結果の一例を示す図である。
図20は、導電体部材の好適な形状の一例を示す図である。
図21は、第2の実施形態に係る第2の画像形成部の乾燥装置の構成の一例を示す図である。
図22は、第2の実施形態に係る第3の画像形成部の乾燥装置の構成の一例を示す図である。

実施例

0009

(第1の実施形態)
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる乾燥装置および液体を吐出する装置の一実施形態を詳細に説明する。

0010

「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドまたは液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。

0011

この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、および、排紙に係わる手段、その他、前処理装置および後処理装置なども含むことができる。

0012

例えば、「液体を吐出する装置」として、画像形成装置および立体造形装置(3次元造形装置)がある。画像形成装置は、インクを吐出させて用紙などの記録媒体に画像を形成する装置である。立体造形装置は、立体造形物(3次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層造形液を吐出させる装置である。

0013

また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字および図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば「液体を吐出する装置」は、それ自体意味を持たないパターン等を形成する装置、および、3次元像を造形する装置も含む。

0014

上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙フィルム、布などの被記録媒体電子基板圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、および、検査用セルなどの媒体である。このように「液体が付着可能なもの」は、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。

0015

上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛皮革、金属、プラスチックガラス、木材、および、セラミックスなど液体が、一時的でも付着可能であればよい。

0016

また、「液体」は、液体吐出ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されない。「液体」は、常温および常圧下において、加熱により、または、冷却により、粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、「液体」は、以下のものを含む。
・水や有機溶媒等の溶媒
染料顔料等の着色剤
重合性化合物樹脂界面活性剤等の機能性付与材料を含む溶液
・DNA、アミノ酸たんぱく質カルシウム等の生体適合材料を含む溶液
天然色素等の可食材料を含む溶液
・懸濁液
・エマルジョン

0017

これらの液体は、例えば、インクジェット用インク表面処理液電子素子発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、および、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。

0018

また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置を含むが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。

0019

また、「液体を吐出する装置」は、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置原材料を溶液中に分散した組成液ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子造粒する噴射造粒装置などを含む。

0020

「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、圧電アクチュエータ積層型圧電素子を使用するものでもよい。)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、および、振動板対向電極からなる静電アクチュエータなどが圧力発生手段として使用できる。

0021

「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品および機構一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンクキャリッジ供給機構維持回復機構主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどを含む。

0022

ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品および機構が、締結接着、または、係合などで互いに固定されているもの、並びに、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品および機構が互いに着脱可能に構成されていてもよい。

0023

例えば、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されている液体吐出ユニットがある。また、チューブなどで互いに接続されることにより、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されている液体吐出ユニットがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。

0024

また、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されている液体吐出ユニットがある。

0025

また、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されている液体吐出ユニットがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されている液体吐出ユニットがある。

0026

また、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されている液体吐出ユニットがある。

0027

また、ヘッドタンクまたは流路部品取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されている液体吐出ユニットがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。

0028

主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体装填部単体も含むものする。

0029

なお本明細書では、画像形成、記録、印字印写、印刷、および、造形等はいずれも同義語とする。

0030

以下では、インクを吐出させて記録媒体に画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置として、乾燥装置および液体を吐出する装置を実現した例を説明する。

0031

上記のように、インクジェット印刷では、インクの乾燥が必要となる。パーソナル機といった低速機では、インクによる紙の湿潤に関する課題はあるものの、自然乾燥させることで致命的な問題は発生していない。一方高速機では、自然乾燥では印刷の速度に乾燥が追いつかず、印刷物の排出後に重ねてストックした場合に、裏移りブロッキング、および、その結果による色抜けなどが発生する。このため、インクジェット印刷による高速機では、インクを乾燥させる機能を備える必要がある。

0032

乾燥手段としては、ドラムを暖めることによるドラム乾燥ハロゲンランプ赤外線ヒータを当てることにより乾燥させる輻射乾燥、および、温風を吹き付けることによる温風乾燥などが知られている。これらの乾燥手段は、電子写真における定着工程に相当し、低消費エネルギーというインクジェット技術のメリットを低減させる。

0033

乾燥させる対象はインクであり、紙やローラ等の部品の加熱は不必要なエネルギーの消費を招く。インクのみの選択乾燥を行う手段としては、マイクロ波および高周波誘電等の誘電体双極子摩擦損失を利用した手段が挙げられる。このような手段では、発熱量は誘電体の誘電率と正接損失に依存している。発熱量は、水が極端に高い値を示している。従ってインクで画像が形成された媒体において、媒体は加熱されず、インクの水分のみが加熱される。さらに、加熱された熱量だけが高周波電界における電力損失となるため、エネルギー効率として圧倒的に優位となる。

0034

マイクロ波の波長帯の方が高周波誘電の波長帯よりも水の正接損失が大きく、高エネルギー密度の加熱が可能になる。しかし、電波漏れ、および、加熱ムラなどの問題があるため、連続的な媒体の出入りのある印刷機においては、マイクロ波による乾燥装置を構成するには、構成が煩雑になりコストもかかる。それに比較して、高周波誘電は、容易な構成で乾燥手段を構築できるため、印刷乾燥装置などで用いられている。

0035

高周波誘電では、上記のカーボンブラック粒子を用いた黒インクのように、導電体粒子を含むインクを用いることを考慮する必要がある。カーボンブラックは、濃度、質感、および、発色性の面から顔料の成分として優れているため、黒インクで一般的に使用されている。

0036

カーボンブラックがインク中に分散された状態では導電性を示さない。しかし、例えば黒のベタ画像において、乾燥が進行してカーボンブラック粒子が互いに接した状態になると、画像面方向に導電性を示すようになる。高周波誘電加熱方式は、誘電体を加熱させるが、導電体が存在すると導電体の抵抗値により、異常加熱やスパークが発生しうる。従って、カーボンブラックを用いた黒インクのベタ画像を高周波誘電加熱で加熱すると、画像が焦げるという不具合が発生しうる。また上記のように、両面印刷で、第1の面が乾燥した状態で第2の面を乾燥させると、第1の面側で少ない電力でも簡単にスパーク等が発生する可能性がある。

0037

そこで本実施形態では、両面のうち先に乾燥させる第1の面の乾燥時には、導電率が上昇する手前で乾燥を止めるように乾燥処理を制御する。例えば、第1の面に吐出された液体に含まれる溶剤の割合が閾値以上になるように乾燥処理を制御する。これにより、導電体を含む液体を用いる場合であっても、異常加熱やスパークなどを生じさせずに乾燥を実行可能となる。なお両面に液体を吐出する構成ではなく、片面(第1の面)のみに液体を吐出する構成に対しても、本実施形態の方法を適用できる。この場合片面に吐出された液体の乾燥時の異常加熱等を抑制することができる。

0038

図1は、本実施形態にかかる画像形成装置の全体構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように画像形成装置は、第1の画像形成部100と、反転部200と、第2の画像形成部300と、補助乾燥部400と、給紙ロール500と、巻取りロール600と、を備えている。

0039

図1の画像形成装置は、ラインヘッドを用いた高速機の例である。媒体は連タイプであって、図1右から左へ(給紙ロール500から巻取りロール600へ)移動するロールトゥ・ロールの形態で搬送される。なお連帳タイプ以外の媒体を用いるように構成してもよい。媒体は、第1の画像形成部100、反転部200、第2の画像形成部300、および、補助乾燥部400の順に搬送され、両面印刷画像が作成できる構成となっている。

0040

第1の画像形成部100は、媒体の両面のうち一方の面である第1の面の画像形成を行う。第2の画像形成部300は、媒体の両面のうち他方の面である第2の面の画像形成を行う。第1の画像形成部100は、インクジェット画像形成部110と、インクジェット画像形成部110の下流に第1の誘電加熱部120と、を備えている。第2の画像形成部300は、インクジェット画像形成部310と、インクジェット画像形成部310の下流に第2の誘電加熱部320と、を備えている。第1の誘電加熱部120は、第1の面上のインクを乾燥させるために第1の面側から高周波電界(交流電界)を印加する。第2の誘電加熱部320は、第2の面上のインクを乾燥させるために第2の面側から高周波電界を印加する。

0041

インクジェット画像形成部110および310は、搬送された媒体に対して、インクジェット方式により画像を形成する。インクジェット画像形成部110および310は、インクを吐出する液体吐出ヘッド111および311をそれぞれ備えている。液体吐出ヘッド111(液体吐出ヘッド311)の代わりに、液体吐出ヘッド111(液体吐出ヘッド311)に機能部品および機構が一体化した液体吐出ユニットを用いてもよい。

0042

インクは、導電体、水、および溶剤を含む液体の一例である。例えばインクとして、カーボンブラック粒子、水、および溶剤を含む黒インクを用いることができる。導電体を含むインクはカーボンブラック粒子を含む黒インクに限られるものではない。例えば磁性インク、および、カーボンブラック粒子以外の導電体を含む任意の色(黒および黒以外を含む)のインクなどを用いる場合にも本実施形態を適用できる。

0043

第1の誘電加熱部120は、媒体の第1の面を乾燥させる。図1の構成では、両面のうち第1の面に対して先にインクが吐出されるため、第1の誘電加熱部120は、第1の面にインクが吐出され、第2の面にはインクが吐出されていない状態の媒体を乾燥することになる。第2の誘電加熱部320は、媒体の第2の面を乾燥させる。

0044

第1の誘電加熱部120および第2の誘電加熱部320は、マイクロ波加熱および高周波誘電加熱のいずれを用いて媒体を乾燥させてもよい。マイクロ波加熱は、ISM(Industry-Science-Medical)バンドとして915MHz、2.45GHz、および、5.8GHz付近帯域を用いたものである。高周波誘電加熱は、13MHz、27MHz、および、40MHz付近の帯域を用いたものである。ただし漏洩電波ベルを法定値以下に抑えられるならば、これら近傍の任意の周波数帯を用いてもかまわない。このような構成によって、画像形成後、直ちに乾燥が行われることになり、後工程での媒体搬送が容易になる。なお、以下では、第1の誘電加熱部120および第2の誘電加熱部320が高周波誘電加熱を用いた例について説明する。

0045

反転部200は、媒体の表裏反転させる。反転部200は、例えば、3本のローラを用いて連帳の媒体の表裏を反転させる。図2に示すように、反転部200は、ローラ210、220、230を含む。媒体501は、図2の右側(第1の画像形成部100の側)から搬送されるものとしている。

0046

第1の画像形成部100での乾燥が不完全な場合、画像が形成された面(図2では第1の面)に接するローラ220には、インク移りによる汚れ堆積する恐れがある。従って、ローラ220には離形性のよい表面材質のローラを用いることが望ましい。ローラ220として、非接触搬送を実現するエア吐出が可能なローラを用いてもよい。

0047

図1戻り、補助乾燥部400は、高周波誘電加熱(第1の誘電加熱部120および第2の誘電加熱部320)で乾燥しきれなかったインクを乾燥する。高周波誘電加熱は、水の乾燥には優れているが溶剤の乾燥には不向きである。このため、補助乾燥部400で溶剤を完全に乾燥させる。補助乾燥部400による乾燥方法は、ヒートドラム熱風、および、赤外線などの方法を適用できる。補助乾燥部400で乾燥させることにより、媒体をロール状に巻き取ったときにブロッキングを防止することが可能になる。

0048

図1に示す構成により、第1の面の画像形成、第1の面の画像乾燥、媒体の反転、第2の面の画像形成、第2の面の画像乾燥、および、仕上げ乾燥、というプロセスで両面印刷画像が形成される。

0049

次に、第1の誘電加熱部120の構成例について説明する。図3は、第1の誘電加熱部120の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、第1の誘電加熱部120は、コントローラ121と、電源124と、乾燥部131と、を含む。乾燥部131は、整合部132と、電極133と、を含む。第2の誘電加熱部320は、第1の誘電加熱部120と同様の機能ブロックを有するものであってもよい。コントローラ121は、第1の誘電加熱部120および第2の誘電加熱部320のそれぞれが備えてもよいし、1つのコントローラが第1の誘電加熱部120および第2の誘電加熱部320を制御するように構成してもよい。この場合、1つのコントローラは、第1の誘電加熱部120および第2の誘電加熱部320のいずれかの内部に備えられてもよいし、両者の外部に備えられてもよい。

0050

コントローラ121は、第1の誘電加熱部120の各種動作を制御する制御部として機能する。例えばコントローラ121は、乾燥の度合いに相当する出力値を指定して、乾燥部131に対して乾燥を指示する。より具体的には、コントローラ121は、電源124に対して所望の出力値となるように制御信号を出力し、電源124のスリープアクティブ制御周波数制御振幅制御、および、位相制御等を行う。乾燥部131の乾燥の度合いは、出力値に応じて変更される。

0051

電源124は、高周波電圧を乾燥部131に出力する。電極133は、例えばコントローラ121の制御に応じた周波数振幅、および、位相の高周波電圧を出力する。

0052

整合部132は、電源124と電極133との間でインピーダンス整合を行う。例えば整合部132は、電源124および電極133の間で入射波反射波を検出し、インピーダンス整合を行う。

0053

媒体に塗布されるインク量(画像)は、例えば画像パターンが変化するため一定でない。従って、画像が形成された媒体は、電極133から見たときのインピーダンスが変化する。また、水などの加熱対象が乾燥して減少すると、パワーを吸収する対象が減少するため、この点でもインピーダンスが変化する。そこで、整合部132は、方向性結合器などを用いて入射波と反射波を検出し、振幅や位相差などの検出結果をコントローラ121へ出力する。そして、整合部132は、コントローラ121が出力する制御信号に応じて、反射波を0にしてインピーダンスが整合するように、整合部132に含まれる可変コンデンサ可変インダクタの値を調整する。

0054

電極133は、媒体に対して高周波電界を印加することにより、媒体上のインクを加熱し、乾燥させるために用いられる。なお図3では、インク画像部134を含む等価回路として電極133が模式的に表されている。インク画像部134は、画像を形成するために吐出された媒体上のインクに相当する。

0055

コントローラ121は、インピーダンスの変化を検出するために、インピーダンス検出部122を備えている。コントローラ121は、インピーダンス検出部122の検出結果に応じた乾燥制御が実行されるように電源124を制御する。コントローラ121は、例えばインクが吐出された部分の導電率が上昇する手前、言い換えるとインピーダンスが下降する手前で乾燥を止める乾燥処理を実行させる。

0056

インピーダンス検出部122は、インク画像部134のインピーダンスを検出する。インピーダンス検出部122は、例えば整合部132から、整合した後の可変コンデンサおよび可変インダクタの値(LC情報)を取得する。インピーダンス検出部122は、取得した値に対応するインピーダンスを、対応テーブル123を参照して検出する。このため、対応テーブル123は、可変コンデンサの値、可変インダクタの値、および、インピーダンスの値を対応づけて記憶する。対応テーブル123は、インピーダンス検出部122の外部の記憶部等に記憶するように構成してもよい。

0057

なおインピーダンス検出部122は、図3の構成に限られるものではなく、インク画像部134のインピーダンスを検出できればどのような構成であってもよい。図4は、図3と異なるインピーダンス検出部122−2を含む第1の誘電加熱部120−2の構成例を示すブロック図である。

0058

図4に示すように、第1の誘電加熱部120−2は、コントローラ121−2と、電源124と、乾燥部131−2と、を含む。コントローラ121−2は、インピーダンス検出部122−2を含む。乾燥部131−2は、整合部132と、電極133と、電圧電流検出部135−2と、を含む。なお図3と同様の機能を備える機能部については同一の符号を付し説明を省略する。

0059

乾燥部131−2は、電圧・電流検出部135−2をさらに備える点が、図3の乾燥部131と異なっている。電圧・電流検出部135−2は、電極133にかかる電圧および電流を検出する。

0060

インピーダンス検出部122−2は、検出された電圧および電流の値(電圧・電流情報)を取得する。インピーダンス検出部122−2は、取得した値に対応するインピーダンスを、対応テーブル123−2を参照して検出する。このため、対応テーブル123−2は、電圧、電流、および、インピーダンスの値を対応づけて記憶する。対応テーブル123−2は、インピーダンス検出部122−2の外部の記憶部等に記憶するように構成してもよい。

0061

図3の対応テーブル123、および、図4の対応テーブル123−2は、例えば、工場における検査工程において、実測値に従って事前に作成し、インピーダンス検出部122およびインピーダンス検出部122−2に格納しておく。

0062

図5を用いて、電極133の構成について説明する。図5は、電極133の基本的な構成の一例を示す模式的な斜視図である。印刷物である媒体501の乾燥については、媒体501が出入りする開口部が必要であるため、電波漏洩の観点からマイクロ波よりも1〜100MHz帯高周波を用いた誘電加熱手段を用いることが多い。また、加熱ムラの観点からも高周波を用いた誘電加熱手段の方が優れている。マイクロ波はパワー密度に優れている。

0063

電極133は、高周波電圧が印加される棒状電極133bと、グランド電極用の棒状電極133aと、を備えている。棒状電極133aと棒状電極133bとは、複数本並べて設けられていて、かつ交互に配置されている(この構成をグリッド電極と呼ぶ)。棒状電極133bの両端部には、電源124が接続されていて、高周波電圧が印加される。棒状電極133aの両端部は、グランド接地されている。

0064

図6に示すように、電源124から所定の電圧が棒状電極133bに印加されると、隣接する棒状電極133bと棒状電極133aとの間で電界601が形成される。図7に示すように、電界601中にインク画像700が形成された媒体501を配置することにより、主としてインク画像700が加熱され、媒体501上のインク画像700が発熱する。なお、グランド電極部(棒状電極133a)は、高周波電圧が印加される電極(棒状電極133b)に対して、180°位相が反転した高周波電圧を印加する物であってもよい。電極構成としては、電界が発生するものならば図5のようなグリッド電極構成でなくても構わない。薄いシート状の物の乾燥を行う場合は、グリッド電極に沿わせて乾燥を行うのが最も効率がよいため、一般的にグリッド電極が用いられている。

0065

グリッド電極に近いほど電界強度も強くなるので、できるだけ媒体501を電極に近付けた状態で加熱および乾燥を行うのが望ましい。電界601の強度は、隣接する棒状電極133bと棒状電極133aとの中間の部分が最も強く(均一加熱)、棒状電極133b、133aの真上の部分では電界は小さくなる。従って、停止している媒体501には、図8に示すような加熱ムラ(例えば棒状電極133bおよび棒状電極133aの中間部分801と棒状電極133bの真上部分802との間)が発生する。

0066

しかしながら、図8に示すように、媒体501が一定速度でグリッド電極に沿って矢印方向に移動するならば媒体501全体として加熱ムラは発生しない。各棒状電極133a、133b間を等間隔とすることにより、各棒状電極133a、133b間の電界強度を等しくできるので、グリッド電極全体として加熱ばらつきのないものを提供することができる。

0067

次に、インクの乾燥状態と導電率の関係について説明する。以下では主にカーボンブラックを含む黒インクを例に説明する。インクジェットプリンタに用いられているインクは、粘性乾燥性、および、保存安定性などを考慮して各種材料が配合されている。主成分として水、溶剤系、および、色素が挙げられる。色素としては染料や顔料がある。コート紙などの専用媒体でない場合、発色性は顔料が優れている。黒インクの場合は、カーボンブラックが最も黒濃度が濃く、一般的な黒顔料として用いられている。しかしカーボンブラックは導電性を有し、インク乾燥後にはカーボンブラック粒子が接触して導電性が発現する。導電性が発現したところに第1の誘電加熱部120で加熱すると、異常加熱が発生しスパークの原因になる。

0068

図9は、一般的なカーボンブラックを用いた黒インクの乾燥と導電率の変化を示す図である。横軸は、未乾燥状態でのインクの重量(初期インク重量)に対する乾燥後のインクの重量の割合(%)を示す。縦軸は、インクの導電率(S/m)を示す。

0069

一般に溶剤は水よりも沸点が高いため、乾燥は水の蒸発から進行し、次いで溶剤が乾燥して乾燥が完了する。図9フェーズ901、フェーズ902、フェーズ903は、それぞれ、水分乾燥のフェーズ、溶剤乾燥のフェーズ、導電率が上昇するフェーズを表す。乾燥状態910は、導電率が上昇する手前の乾燥状態であり、第1の面を乾燥するときの目標となる乾燥状態を表す。

0070

図10は、黒インクの乾燥時の導電率変化の例を示す模式図である。図10左のようにインクが未乾燥の状態では、カーボンブラック粒子1001の周囲に水が十分に含まれ、イオンマイナスイオン1011、プラスイオン1012)も存在するため、比較的導電率が高い。図10中央のように水が乾燥するにつれてイオンが減少して導電性が低下する。溶剤とカーボンブラックのみの時には導電率が最も低くなる。図10右のように溶剤の乾燥が進行し、溶剤がある程度乾燥することでカーボンブラック同士の接触が発生し、導電率が急上昇する。

0071

以下の(1)式に示すように、導電率が高いほどインクは加熱されやすい。
P=1/2×σ×|E|2+π×f×ε0×εr"×|E|2
=(1/2×σ+π×f×ε0×εr")×|E|2・・・(1)
ここで、
P:発熱量 [W/m3]
σ:導電率 [S/m]
E:電界強度[V/m]
f:周波数[Hz]
ε0:真空の誘電率 8.854E−12 [F/m]
εr":対象物複素比誘電率虚数部[単位無し] (=εr'・tanδ)

0072

インクは一般的に弱イオンであるが、それでも導電率が0.01S/m以上のものが多い。このため、インクは、誘電体としての水(εr'=80、tanδ=0.03)と比較して導電率の項が支配的になる。

0073

水が多く含まれるときは加熱されやすいが、水や溶剤の蒸発熱に使われ、温度も100℃程度までにしかならない。乾燥後のカーボンブラックの接触で導電率が高くなった場合、発熱が大きいだけでなく、熱容量も小さく、沸騰などによる温度上昇の制限もなくなるので急速に加熱されて発火やスパークの原因になる。

0074

そこで、本実施形態では、第1の面の乾燥は、導電率が上昇する手前で乾燥を止めるように構成することが望ましい。以下、このような構成が望ましい理由について説明する。この状態では溶剤も含んでいるため、乾燥としては不完全である。従って後工程の反転部200においてインクが転写するようであれば、エア吐出ローラなどを使用することが望ましい。

0075

図11は、第2の面の乾燥時に各面(第1の面、第2の面)に入力されるエネルギーの関係の例を示す図である。エネルギー状態1101〜1104は、第1の面および第2の面の乾燥状態の4つの組み合わせそれぞれに対応するエネルギー状態を表す。左側の長方形部分が第1の面に入るエネルギーに対応する。右側の長方形部分(斜線部)が第2の面に入るエネルギーに対応する。各長方形の幅が、エネルギーの大きさを表す。

0076

第2の面の乾燥直前は、第2の面側の画像に水が多く含まれる状態であり、第2の面側は導電率が高く、第1の面側は導電率が低い。このため、乾燥エネルギーは、第2の面側の乾燥に集中し、効果的に乾燥が実行される。エネルギー状態1011および1012は、このときのエネルギー状態を示している。

0077

しかし、第1の面を乾燥させすぎて第1の面側の画像の導電率が上がっている場合、乾燥エネルギーが第1の面側にも多く与えられることになる。エネルギー状態1013および1014は、このときのエネルギー状態を示している。

0078

このようなエネルギー状態となることは、第1の面および第2の面が並列抵抗となる等価回路に置き換えられることから説明できる。例えば第1の面側の画像の導電率が上がっている状態で第1の面側にエネルギーが与えられると、上記のように既に水がなく、熱容量が小さい状態であるため、急速に加熱されて発火やスパークが容易に発生する。

0079

第2の面の画像の乾燥が進行して導電率が低くなった状態では、第2の面の画像側にエネルギーが入りにくくなる。このとき第1の面の画像側の導電率が低いままであればエネルギーは第1の面の画像と第2の面の画像に均等に入り、第1の面の画像は急速に加熱されることはない。一方、第1の面の画像側の導電率が少しでも上がっていればエネルギーが集中して発火やスパークが容易に発生する可能性がある。

0080

以上の理由から、第1の面の乾燥においては、導電率が上昇せず、かつ、溶剤はできるだけ少ないほうがよい。上記図9に示す乾燥状態910が理想状態の一例である。

0081

図12は、媒体501上に6つのベタパターン画像1301を形成し、各ベタパターン画像1301に対して2000W、2200W、2400W、2600W、2800W、3000Wの乾燥出力値で乾燥させた例を示す。このような情報に基づいて、各乾燥出力値に対する画像のインピーダンス(画像インピーダンス)を得ることができる。

0082

図13は、求められた乾燥出力値と画像インピーダンスとの関係の一例を示す図である。乾燥出力値が大きい程、水分や溶剤がより蒸発して乾燥が進行した状態となる。インピーダンスと導電率とは逆数の関係にあるので、図13グラフは、図9とは逆のグラフになる。

0083

図13において、急に低下する画像インピーダンス1501に対応する乾燥出力値よりも1段低い乾燥出力値1502が、例えば図9の最適な乾燥状態910に相当する。従って、コントローラ121は、この乾燥出力値を抽出する。上記のように、画像パターンに応じて最適な乾燥出力値は変動する。このため、乾燥対象画像情報に従って初期調整工程で得られた乾燥出力値に対して補正をかけてもよい。

0084

なお第2の面の乾燥出力条件については、第1の面の画像と第2の面の画像のいずれもで黒インクの異常加熱やスパークが発生しない条件であればよく、導電率が多少上がることは問題ない。その条件の抽出方法は特に限定されない。

0085

ここで考慮しなければならないのは、第2の面が限りなく白紙画像に近い場合である。第1の面の画像は、溶剤成分が多く導電率が低い状態であれば急激に加熱されることはない。しかし、第2の面に画像がなければ、第2の面側から印加された高周波電界による加熱エネルギーが第1の面の画像に集中するため、第1の面の画像が急激に加熱され、発火やスパークの恐れが生じる。

0086

そのような状態を等価回路で示すと図14のようになる。抵抗701は、第1の面の画像の抵抗を示している。容量711は、電極133と第1の面の画像との間の静電容量を示している。容量721は、その他の電極133間の静電容量を示している。このように、第2の面に画像がない(限りなく白紙画像に近い)場合、抵抗701に電力(加熱エネルギー)が集中する。これにより、溶剤の蒸発が過度に進行して第1の面の画像の導電率が高くなると、第1の面の画像に急激な加熱(熱暴走)が発生することとなる。このような状況下における第2の面の乾燥出力値の上限は、第1の面の画像の熱暴走が発生する乾燥出力値未満でなければならない。このような条件を満たす乾燥出力値により第2の面の画像を十分に乾燥させることができなければ、第2の面における乾燥出力値の解は存在しないということになる。

0087

このような問題を解決するための構造の一例が図15に示されている。図15は、第2の画像形成部300内の乾燥装置の構造を示している。図15には、第2の誘電加熱部320の近傍に導電性部材800が配置されている構造が示されている。

0088

導電性部材800は、均一な厚みを有するシート状の部材である。導電性部材800は電界に影響を及ぼすため、導電性部材800の厚みが場所によって異なっていると、電界に分布が発生し、乾燥ムラの原因となる。従って、導電性部材800の厚みは全体にわたって均一であることが好ましい。

0089

本例の導電性部材800は、第2の誘電加熱部320から高周波電界が印加されている媒体501(の第1の面511の画像551)と接するように固定されている。導電性部材800は必ずしも第1の面511に接している必要はなく、接している場合と同様の作用効果(後述する電力集中緩和排熱利用等)が得られる範囲内において媒体501に近接した位置に配置されてもよい。

0090

このときの等価回路は図16のようになる。抵抗731は、導電性部材800の抵抗を示している。容量741は、導電性部材800の静電容量を示している。このように、導電性部材800が配置されていることにより、第1の面511の画像551の抵抗701と導電性部材800の抵抗731とが並列に並んだ状態となる。これにより、導電性部材800の抵抗731で電力が消費され、第1の面511の画像551の抵抗701への電力集中が緩和される。導電性部材800の抵抗731が小さいほど第1の面511の画像551に入る加熱エネルギーが抑制される。これにより、第1の面511の画像551の熱暴走を防止することができる。

0091

媒体501と導電性部材800とが接している状態では、図16中の負荷と電極133との間の容量711,721,741は略等しくなるので、負荷に関してのみ論ずればいい。負荷について抵抗の逆数(すなわちコンダクタンス)は、(導電率)×(厚み)×(幅)/(電極間距離)で表すことができる。ここで、第1の面511の画像551および導電性部材800について、電極133間の距離および電極133の幅が略等しいとき、下記式(2)の関係が成り立っていれば、導電性部材800の方により多くの加熱エネルギーが入ることになる。式(2)において、「第1の乾燥」は、第1の誘電加熱部120により行われた乾燥を示す。

0092

(第1の乾燥後の第1の面の画像の導電率)×(第1の乾燥後の第1の面の画像の厚み)<(導電性部材の導電率)×(導電性部材の厚み) …(2)

0093

すなわち、導電性部材800は一定以上の導電率を有することが好ましい。図9においてインク導電率が最も低い乾燥状態のとき、インク導電率は0.001S/m〜0.01S/mのオーダーとなる。通常、乾燥インクの厚みは5μm以下の水準であるため、例えば導電性部材800の厚みが1mm程度の場合には、導電性部材800の導電率は少なくとも1×10−5S/m以上であることが好ましい。

0094

上記のような領域で導電率が制御された導電性部材800を得るために、例えばナノテクノロジーを利用することができる。例えば、樹脂やセラミックなどの絶縁体にナノテクノロジーを利用して導電体フィラーを分散させることで所望の導電性を有する導電性部材800を製造することができる。基材の材質、フィラーの材質、フィラーのサイズ・形状、フィラーの密度などにより導電率を制御することができる。本実施形態に係る導電性部材800は、加熱エネルギーにより発熱するため、耐熱性がある基材が使用されたものであることが好ましく、例えば導電性セラミックであることが好ましい。導電性セラミックとしては、例えばアルミナ96などが挙げられる。フィラーは、カーボンナノ粒子銅ナノ粒子銀ナノ粒子などの粒子であってもよいし、ナノワイヤーナノチューブなどの構造体であってもよい。

0095

上述したように、導電性部材800の導電率が高いほど第1の面511の画像551に加熱エネルギーが入り難くなり、熱暴走の抑制に有利になる。しかし、図17に示すように、第2の面521に画像561が形成されている場合には、第1の面511の画像551の熱暴走を抑制しつつ、第2の面521の画像561を十分に加熱する必要がある。図18はこのときの等価回路を示している。抵抗751は、第2の面521の画像561の抵抗を示している。容量761は、第2の面521の画像561の静電容量を示している。このように、第2の面521に画像561が形成されていることにより、第1の面511の画像551の抵抗701と、導電性部材800の抵抗731と、第2の面521の画像561の抵抗751とが並列に並んだ状態となる。

0096

このとき、第1の面511の画像551に加熱エネルギーが入るのを抑制し、且つ第2の面521の画像561に必要十分な加熱エネルギーが入るようにすることが好ましい。そのため、導電性部材800のコンダクタンスは第2の面521の画像561のコンダクタンスより小さいことが好ましく、下記式(3)の関係が成り立つことが好ましい。式(3)において、「未乾燥の第2の面の画像」は、第2の誘電加熱部320により加熱される前における第2の面521の画像561を示す。

0097

(導電性部材の導電率)×(導電性部材の厚み)<(未乾燥の第2の面の画像の導電率)×(未乾燥の第2の面の画像の厚み) …(3)

0098

上記式(2)および(3)から、導電性部材800の導電率は下記式(4)の関係を満たすことが好ましい。

0099

(第1の乾燥後の第1の面の画像の導電率)×(第1の乾燥後の第1の面の画像の厚み)<(導電性部材の導電率)×(導電性部材の厚み)<(未乾燥の第2の面の画像の導電率)×(未乾燥の第2の面の画像の厚み) …(4)

0100

図9に示されているように、未乾燥の第2の面521の画像561の導電率(水分乾燥フェーズにおけるインク導電率)は、溶剤成分を多く含んだ第1の面511の画像551の導電率(溶剤乾燥フェーズにおけるインク導電率)よりも高い。従って、導電性部材800の導電率には適切なレンジが存在することになる。多くの場合、未乾燥状態のインクの導電率は0.1S/m付近である。従って、第1の面511の画像551の乾燥において画像551の導電率があまり上がらないレベルに抑えておくことが重要となる。

0101

図19は、導電性部材800を配置した場合と配置しない場合とでインクの温度上昇率を比較したシミュレーション結果を示している。第2の面521に画像561が存在せず、導電性部材800が配置されている場合における第1の面511の画像551の温度上昇率Aは、第2の面521に画像561が存在せず、導電性部材800が配置されていない場合における第1の面511の画像551の温度上昇率Bより大幅に低くなっている。導電性部材800が配置されている場合における第2の面521の画像561の温度上昇率Cは、導電性部材800が配置されていない場合における第2の面521の画像561の温度上昇率Dよりやや低くなっている。このように、AB間の差に比べてCD間の差が小さいことから、導電性部材800を配置することにより、第1の面511の画像551の熱暴走を確実に抑制しつつ、第2の面521の画像561を十分に乾燥させることができるといえる。

0102

また、上述したように、導電性部材800は第1の面511の画像551に集中した加熱エネルギーを逃がす作用を有するため、排熱を発生させる。この排熱を画像551,561の乾燥に有効に利用することで、全体としての省エネルギーを図ることが可能になる。本実施形態では、図15および図17に示すように、導電性部材800が媒体501に接するように配置されている。このような構造により、導電性部材800の排熱が媒体501によく伝達し、画像551,561の乾燥に有効に利用される。なお、導電性部材800と媒体501とが接触していなくても、排熱が伝達される程度に両者800,501が近接していれば、同質の効果が得られる。

0103

上記のような排熱利用の効果を更に高めるため、乾燥ムラを防止する観点から、図20に示すように、導電性部材800の幅は媒体501の幅Dと略等しくすることが好ましい。

0104

乾燥されていないインクにはインク中のイオンによって導電性が発現している。温度が高くなるほどイオンの活動が活発になることから、この導電性は温度上昇に伴い増加する。従って、第2の面521の画像561は導電性部材800により加熱されることによってその導電性が増加し、誘電加熱により乾燥されやすくなる。

0105

以上のように、本実施形態に係る乾燥装置によれば、導電体を含む液体を用いる場合であっても、異常加熱やスパークなどを生じさせずに乾燥を実行することが可能となる。

0106

以下に、他の実施形態について図面を参照して説明するが、第1の実施形態と同一又は同様の作用効果を奏する箇所については同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。

0107

(第2の実施形態)
図15又は図17に示す構成においては、移動する第1の面511の画像551と固定された導電性部材800とが接触するため、画像551の擦れによるダメージが憂慮される場合がある。このような場合には、図21に示すように、媒体501と導電性部材800との間に、媒体501と接触しながら移動するベルト部材850を配置してもよい。これにより、画像551の擦れを防止することができる。

0108

(第3の実施形態)
図22に示すように、媒体501と共に移動する導電性部材900を用いてもよい。図22にはベルト状の導電性部材900が示されているが、導電性部材900の形状はこれに限られるものではない。例えば、図15および図17に示すようなシート状の導電性部材800が媒体501と共に移動するようにしてもよい。ベルト状の導電性部材900は、軟質であることが求められるため、通常のセラミックを基材とすることは困難であるが、例えばアラミド繊維ガラス繊維などにナノワイヤー等を配合したベルト部材などが利用され得る。このようなベルト部材を用いれば、十分な耐久性および耐熱性を有する導電性部材900を製造することができる。これにより、画像551の擦れを防止できると共に、導電性部材900を媒体501から離間させて配置した場合よりも、上記電力集中緩和、排熱利用などの効果を高いレベルで得ることができる。

0109

以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図するものではない。この新規な実施形態はその他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態およびその変形は発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

0110

100 第1の画像形成部
110,310インクジェット画像形成部
111,311液体吐出ヘッド
120 第1の誘電加熱部
121コントローラ
122インピーダンス検出部
123 対応テーブル
124電源
131乾燥部
132整合部
133電極
134インク画像部
135−2電圧・電流検出部
200反転部
210,220,230ローラ
300 第2の画像形成部
320 第2の誘電加熱部
400補助乾燥部
500給紙ロール
501媒体
511 第1の面
521 第2の面
551,561 画像
600巻取りロール
601電界
700 インク画像
701,731,751抵抗
711,721,741,761 容量
800,900導電性部材
801 中間部分
802 真上部分
850ベルト部材
901,902,903フェーズ
910乾燥状態
1101〜1104エネルギー状態
1301ベタパターン画像
1501 画像インピーダンス
1502乾燥出力値

先行技術

0111

特開2014−217989号公報
特開2015−129902号公報

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