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技術 工作機械システムおよび開停止位置算出装置

出願人 ファナック株式会社
発明者 尾川宜嗣
出願日 2016年3月17日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-054425
公開日 2017年9月21日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-164868
状態 特許登録済
技術分野 工作機械の補助装置 工作物の供給
主要キーワード 停止値 境界装置 開停止位置 開閉端 ワーク交換装置 工作機械システム 待機領域 加工軸
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年9月21日)のものです。
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図面 (14)

課題

ワークの交換時のドア開閉時間の短縮化を図る工作機械システムおよび開停止位置算出装置を提供する。

解決手段

工作機械システム10は、工作機械12を囲むカバー20の開口部20aを塞ぐ開閉可能なドア22と、ドア22を開閉するドア駆動部36とを備える工作機械12と、カバー20内に設置されたワークWの交換を行うワーク交換装置14とを備える。さらに、工作機械システム10は、ドア22の開口幅を設定する開口幅設定部52と、ドア22が全閉位置から設定した開口幅の位置まで移動する時間Topと、ドア22が開いて停止した開停止位置から全閉位置までの時間Tclとを合計した合計時間が最小になるドア22の開停止位置を計算する開停止位置計算部54と、ワーク交換装置14によるワークWの交換時に、算出した開停止位置に基づいてドア駆動部36を制御するドア制御部60とを備える。

概要

背景

より安価に製品を製造するために、製造の自動化、高速化が求められている。その一環として、工作機械を用いた加工の自動化システムが存在する。この自動化システムにおいては、加工だけでなく、ワークの交換(未加工のワークの取付けおよび加工済みワークの払い出し)なども自動的に行う。このワークの交換は、ワーク交換装置によって行われる。また、加工時には、切粉切削液飛散を防止するためにドアを閉じ、ワークの交換時にはワーク交換装置が工作機械の内部に移動できるようにドアを開く動作が必要となり、このドアの開閉も自動的に行う。ドアの開閉には、油圧や空気を用いた流体圧シリンダ駆動源として用いる場合があるが、位置や速度の制御が難しいため、ドアの停止位置直前で速度を下げることおよび任意の位置にドアを正確に停止させることが困難である。

下記に示す特許文献1には、サーボモータボールネジとを用いてドアを高速に開閉することが開示されている。これは、サーボモータによって、高速にドアを移動させても開閉端付近でドアを減速させることができ、且つ、任意の位置に停止させることができるため、開閉端でのショックを低減し、且つ、必要な幅だけドアを開くことで、ドアの開閉の高速化が図れる。これにより、ドアの開閉にかかる時間を短縮し、サイクルタイムの短縮化が図れる。

また、下記に示す特許文献2は、工作機械の内部と外部とを仕切るためのドア(開閉扉)ではなく、工作機械内部の加工領域と工具待機領域との間に設けられたドアに関するものではあるが、ドアを開く幅を変化させることで、工具交換の際の開閉扉の開閉時間の無駄をなくして、加工時間を短縮するというものである。

概要

ワークの交換時のドアの開閉時間の短縮化をる工作機械システムおよび開停止位置算出装置を提供する。工作機械システム10は、工作機械12を囲むカバー20の開口部20aを塞ぐ開閉可能なドア22と、ドア22を開閉するドア駆動部36とを備える工作機械12と、カバー20内に設置されたワークWの交換を行うワーク交換装置14とを備える。さらに、工作機械システム10は、ドア22の開口幅を設定する開口幅設定部52と、ドア22が全閉位置から設定した開口幅の位置まで移動する時間Topと、ドア22が開いて停止した開停止位置から全閉位置までの時間Tclとを合計した合計時間が最小になるドア22の開停止位置を計算する開停止位置計算部54と、ワーク交換装置14によるワークWの交換時に、算出した開停止位置に基づいてドア駆動部36を制御するドア制御部60とを備える。

目的

本発明は、ワークの交換時のドアの開閉時間の短縮化を図る工作機械システムおよび開停止位置算出装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

工作機械を囲むカバーの開口部を塞ぐ開閉可能なドアと、前記ドアを開閉する電動機とを備える前記工作機械と、前記カバー内に設置されたワークの交換を行うワーク交換装置と、を備える工作機械システムであって、前記ドアの開口幅を設定する開口幅設定部と、前記ドアが全閉位置から設定した前記開口幅の位置まで移動する時間と、前記ドアが開いて停止した開停止位置から前記全閉位置まで移動する時間とを合計した合計時間が最小になる前記ドアの前記開停止位置を計算する開停止位置計算部と、前記ワーク交換装置による前記ワークの交換時に、算出した前記開停止位置に基づいて前記電動機を制御して前記ドアを制御するドア制御部と、を備えることを特徴とする工作機械システム。

請求項2

請求項1に記載の工作機械システムであって、前記開口幅設定部、前記開停止位置計算部、および、前記ドア制御部のうち少なくとも1つは、前記工作機械の制御装置に設けられていることを特徴とする工作機械システム。

請求項3

請求項1または2に記載の工作機械システムであって、前記開口幅設定部、前記開停止位置計算部、および、前記ドア制御部のうち少なくとも1つは、前記工作機械の制御装置とは異なる制御装置に設けられていることを特徴とする工作機械システム。

請求項4

請求項3に記載の工作機械システムであって、前記工作機械の制御装置とは異なる制御装置は、前記ワーク交換装置の制御装置であることを特徴とする工作機械システム。

請求項5

請求項1〜4のいずれか1項に記載の工作機械システムであって、前記ワーク交換装置は、前記ワークを把持する把持部と、前記把持部を移動させる移動部材とを有することを特徴とする工作機械システム。

請求項6

請求項5に記載の工作機械システムであって、前記ワーク交換装置は、前記ドアが前記開口幅の位置まで移動すると、停止位置にある前記移動部材および前記把持部を駆動させて前記ワークの交換を行い、その後、前記把持部を前記停止位置まで退避させ、前記ドア制御部は、前記ワークの交換後、前記ドアを前記全閉位置に移動させても前記ドアと前記移動部材および前記把持部とが干渉しない位置まで前記把持部が退避すると、前記電動機を制御して前記ドアを閉じることを特徴とする工作機械システム。

請求項7

請求項1〜6のいずれか1項に記載の工作機械システムであって、前記ドアは、所定の移動速度で移動するものであって、前記開停止位置計算部は、停止している前記ドアが前記所定の移動速度になるまでの加速度と、停止している前記ドアが前記所定の移動速度に到達するまでの時定数とを用いて、前記合計時間が最小になる前記ドアの前記開停止位置を計算することを特徴とする工作機械システム。

請求項8

請求項7に記載の工作機械システムであって、開停止位置計算部は、L2=L+a×T2/8、の関係式を用いて、前記合計時間が最小になる前記ドアの前記開停止位置を計算することを特徴とする工作機械システム。(但し、L2;前記ドアの前記開停止位置、L;前記開口幅設定部によって設定された前記開口幅、a;停止している前記ドアが前記所定の移動速度になるまでの前記加速度、T;停止している前記ドアが前記所定の移動速度に到達するまでの前記時定数である)

請求項9

電動機によって開閉するドアの開口幅を設定する開口幅設定部と、前記ドアが全閉位置から設定した前記開口幅の位置まで移動する時間と、前記ドアが開いて停止した開停止位置から前記全閉位置まで移動する時間とを合計した合計時間が最小になる前記ドアの前記開停止位置を計算する開停止位置計算部と、を備えることを特徴とする開停止位置算出装置

請求項10

請求項9に記載の開停止位置算出装置であって、前記ドアは、所定の移動速度で移動するものであって、前記開停止位置計算部は、停止している前記ドアが前記所定の移動速度になるまでの加速度と、停止している前記ドアが前記所定の移動速度に到達するまでの時定数とを用いて、前記合計時間が最小になる前記ドアの前記開停止位置を計算することを特徴とする開停止位置算出装置。

請求項11

請求項10に記載の開停止位置算出装置であって、前記開停止位置計算部は、L2=L+a×T2/8、の関係式を用いて、前記合計時間が最小になる前記ドアの前記開停止位置を計算することを特徴とする開停止位置算出装置。(但し、L2;前記ドアの前記開停止位置、L;前記開口幅設定部によって設定された前記開口幅、a;停止している前記ドアが前記所定の移動速度になるまでの前記加速度、T;停止している前記ドアが前記所定の移動速度に到達するまでの前記時定数である)

技術分野

0001

本発明は、工作機械のワークの交換のために開くドアの開停止値位置を算出する工作機械システムおよび開停止位置算出装置に関する。

背景技術

0002

より安価に製品を製造するために、製造の自動化、高速化が求められている。その一環として、工作機械を用いた加工の自動化システムが存在する。この自動化システムにおいては、加工だけでなく、ワークの交換(未加工のワークの取付けおよび加工済みワークの払い出し)なども自動的に行う。このワークの交換は、ワーク交換装置によって行われる。また、加工時には、切粉切削液飛散を防止するためにドアを閉じ、ワークの交換時にはワーク交換装置が工作機械の内部に移動できるようにドアを開く動作が必要となり、このドアの開閉も自動的に行う。ドアの開閉には、油圧や空気を用いた流体圧シリンダ駆動源として用いる場合があるが、位置や速度の制御が難しいため、ドアの停止位置直前で速度を下げることおよび任意の位置にドアを正確に停止させることが困難である。

0003

下記に示す特許文献1には、サーボモータボールネジとを用いてドアを高速に開閉することが開示されている。これは、サーボモータによって、高速にドアを移動させても開閉端付近でドアを減速させることができ、且つ、任意の位置に停止させることができるため、開閉端でのショックを低減し、且つ、必要な幅だけドアを開くことで、ドアの開閉の高速化が図れる。これにより、ドアの開閉にかかる時間を短縮し、サイクルタイムの短縮化が図れる。

0004

また、下記に示す特許文献2は、工作機械の内部と外部とを仕切るためのドア(開閉扉)ではなく、工作機械内部の加工領域と工具待機領域との間に設けられたドアに関するものではあるが、ドアを開く幅を変化させることで、工具交換の際の開閉扉の開閉時間の無駄をなくして、加工時間を短縮するというものである。

先行技術

0005

特許第4629392号公報
特開2010−228063号公報

発明が解決しようとする課題

0006

このように、上記特許文献1、2には、必要な幅だけドアを開く技術が開示されている。しかしながら、ドアの移動を停止させる際には、ドアの移動速度を徐々に低減させてからドアを停止させる必要があるため、図13Aに示すように、必要な幅(必要幅)だけドアを開く場合は、必要幅だけドアが開く前にドアが減速してしまうため、ドアを開く時間が長くなってしまう。そのため、図13Bに示すように、ドアが開く幅を、必要幅より長くすることで、ドアを必要幅だけ開く前にドアが減速することを防止することができ、ドアを必要な幅だけ開く時間を短縮することができる。しかしながら、ドアを開いて停止したときの幅と必要幅との差分(余分幅)だけドアを余分に開いているので、ドアの全閉位置までの距離が長くなってしまう。これにより、ドアを閉じる動作に時間がかかり、ワークの交換時のドアの開閉時間が長くなってしまう。

0007

そこで、本発明は、ワークの交換時のドアの開閉時間の短縮化を図る工作機械システムおよび開停止位置算出装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

第1の本発明は、工作機械を囲むカバーの開口部を塞ぐ開閉可能なドアと、前記ドアを開閉する電動機とを備える前記工作機械と、前記カバー内に設置されたワークの交換を行うワーク交換装置と、を備える工作機械システムであって、前記ドアの開口幅を設定する開口幅設定部と、前記ドアが全閉位置から設定した前記開口幅の位置まで移動する時間と、前記ドアが開いて停止した開停止位置から前記全閉位置まで移動する時間とを合計した合計時間が最小になる前記ドアの前記開停止位置を計算する開停止位置計算部と、前記ワーク交換装置による前記ワークの交換時に、算出した前記開停止位置に基づいて前記電動機を制御して前記ドアを制御するドア制御部と、を備えることを特徴とする。

0009

この構成により、ドアとワーク交換装置との干渉を防止しつつ、ワーク交換時のドアの開閉時間を短くすることができる。したがって、サイクルタイムを短縮させることができる。

0010

第1の本発明は、前記工作機械システムであって、前記開口幅設定部、前記開停止位置計算部、および、前記ドア制御部のうち少なくとも1つは、前記工作機械の制御装置に設けられていてもよい。

0011

第1の本発明は、前記工作機械システムであって、前記開口幅設定部、前記開停止位置計算部、および、前記ドア制御部のうち少なくとも1つは、前記工作機械の制御装置とは異なる制御装置に設けられていてもよい。

0012

第1の本発明は、前記工作機械システムであって、前記工作機械の制御装置とは異なる制御装置は、前記ワーク交換装置の制御装置であってもよい。

0013

第1の本発明は、前記工作機械システムであって、前記ワーク交換装置は、前記ワークを把持する把持部と、前記把持部を移動させる移動部材とを有してもよい。これにより、ワーク交換装置によってワークの交換を行うことができる。

0014

第1の本発明は、前記工作機械システムであって、前記ワーク交換装置は、前記ドアが前記開口幅の位置まで移動すると、停止位置にある前記移動部材および前記把持部を駆動させて前記ワークの交換を行い、その後、前記把持部を前記停止位置まで退避させ、前記ドア制御部は、前記ワークの交換後、前記ドアを前記全閉位置に移動させても前記ドアと前記移動部材および前記把持部とが干渉しない位置まで前記把持部が退避すると、前記電動機を制御して前記ドアを閉じてもよい。これにより、ドアとワーク交換装置との干渉を防止しつつ、サイクルタイムを短縮させることができる。

0015

第1の本発明は、前記工作機械システムであって、前記ドアは、所定の移動速度で移動するものであって、前記開停止位置計算部は、停止している前記ドアが前記所定の移動速度になるまでの加速度と、停止している前記ドアが前記所定の移動速度に到達するまでの時定数とを用いて、前記合計時間が最小になる前記ドアの前記開停止位置を計算してもよい。これにより、簡単に、合計時間が最小になるドアの開停止位置を計算することができる。

0016

第1の本発明は、前記工作機械システムであって、前記開停止位置計算部は、L2=L+a×T2/8、の関係式を用いて、前記合計時間が最小になる前記ドアの前記開停止位置を計算してもよい。但し、L2;前記ドアの前記開停止位置、L;前記開口幅設定部によって設定された前記開口幅、a;停止している前記ドアが前記所定の移動速度になるまでの前記加速度、T;停止している前記ドアが前記所定の移動速度に到達するまでの前記時定数である。これにより、簡単に、合計時間が最小になるドアの開停止位置を計算することができる。

0017

第2の本発明は、開停止位置算出装置であって、電動機によって開閉するドアの開口幅を設定する開口幅設定部と、前記ドアが全閉位置から設定した前記開口幅の位置まで移動する時間と、前記ドアが開いて停止した開停止位置から前記全閉位置まで移動する時間とを合計した合計時間が最小になる前記ドアの前記開停止位置を計算する開停止位置計算部と、を備える。

0018

この構成により、ドアとワーク交換装置との干渉を防止しつつ、ワーク交換時のドアの開閉時間を短くすることができる。したがって、サイクルタイムを短縮させることができる。

0019

第2の本発明は、前記開停止位置算出装置であって、前記ドアは、所定の移動速度で移動するものであって、前記開停止位置計算部は、停止している前記ドアが前記所定の移動速度になるまでの加速度と、停止している前記ドアが前記所定の移動速度に到達するまでの時定数とを用いて、前記合計時間が最小になる前記ドアの前記開停止位置を計算してもよい。これにより、簡単に、合計時間が最小になるドアの開停止位置を計算することができる。

0020

第2の本発明は、前記開停止位置算出装置であって、前記開停止位置計算部は、L2=L+a×T2/8、の関係式を用いて、前記合計時間が最小になる前記ドアの前記開停止位置を計算してもよい。但し、L2;前記ドアの前記開停止位置、L;前記開口幅設定部によって設定された前記開口幅、a;停止している前記ドアが前記所定の移動速度になるまでの前記加速度、T;停止している前記ドアが前記所定の移動速度に到達するまでの前記時定数である。これにより、簡単に、合計時間が最小になるドアの開停止位置を計算することができる。

発明の効果

0021

本発明によれば、ドアとワーク交換装置との干渉を防止しつつ、ワーク交換時のドアの開閉時間を短くすることができる。したがって、サイクルタイムを短縮させることができる。

図面の簡単な説明

0022

実施の形態の工作機械システムの構成を示す構成図である。
図2Aは、ドアの位置がドア干渉領域内にあるときのドアの状態の一例を示す図、図2Bは、ドアの位置がドア干渉境界位置にあるときのドアの状態を示す図、図2Cは、ドアの位置がドア干渉外領域内にあるときのドアの状態の一例を示す図である。
図3Aは、工作機械の動作位置がワーク交換装置干渉外領域内にあるときの工作機械の状態の一例を示す図、図3Bは、工作機械の動作位置がワーク交換装置干渉境界位置にあるときの工作機械の状態を示す図、図3Cは、工作機械の動作位置がワーク交換装置干渉領域内にあるときの状態の一例を示す図である。
図1に示す工作機械システム(工作機械およびワーク交換装置)の全体的な動作を示すフローチャートである。
開停止位置によってワークの交換時のドアの開閉時間が小さくなることを説明するための図である。
ワーク交換時のドアの開閉時間を短縮するためのドアの開停止位置を算出して、ドア駆動部を制御する数値制御装置(開停止位置算出装置)の構成を示す構成図である。
図6に示す数値制御装置の動作を示すフローチャートである。
図6に示すデータ入力部による開口幅の入力例を示す図である。
加工プログラムの一例を示す図である。
図10Aは、時間とドアの位置(全閉位置からの距離)との関係を示す図、図10Bは、時間とドアの速度との関係を示す図である。
変形例1における加工プログラムの一例を示す図である。
変形例3における工作機械システムの構成を示す構成図である。
図13Aおよび図13Bは、本発明の課題を説明するための図である。

実施例

0023

本発明に係る工作機械システムおよび開停止位置算出装置について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。

0024

図1は、実施の形態の工作機械システム10の構成を示す構成図(機能ブロック図)である。工作機械システム10は、工作機械12とワーク交換装置14とを備える。工作機械12は、ワークW(図3A〜図3C参照)に対して加工を行うものである。工作機械12は、テーブルTa(図3A〜図3C参照)に設置されたワークWに対して加工を行う。ワーク交換装置14は、工作機械12によって加工が終了したワーク(加工済みのワーク)Wを取り出し、未加工のワークWをテーブルTa上に設置(載置)する。つまり、ワーク交換装置14は、工作機械12によって加工が施されるワークWの交換を行う。

0025

図2A〜図2Cに示すように、工作機械12は、開口部20aを有するカバー20によって囲まれており、カバー20の開口部20aを塞ぐための開閉可能なドア22が設けられている。このカバー20は、ワークWの加工に使用される切削液およびワークの加工によって切粉(切削屑)が、工作機械12によるワークWの加工中に周囲に飛散するのを防止するためのカバーである。工作機械12は、加工中は、図2Aに示すように、カバー20の開口部20aを塞ぐためにドア22を閉めた状態する。ワークWの交換時には、カバー20内に設置された加工済みのワークWを取りだし、未加工のワークWをカバー20内に設置する必要があるため、図2Bまたは図2Cに示すように、ドア22を所望する開口幅まで開いた後、ワーク交換装置14によってワークWの交換が行われる。また、図3A〜図3Cに示すように、このワークWの交換は、ワーク交換装置14のアーム24aおよびワークWを把持する把持部24bによって行われる。つまり、このアーム24aが、ドア22によって空いた開口部20aを通ってカバー20内にまで延びた後、把持部24bがワークWを把持することで、ワークWの交換が行われる。このアーム24aは、把持部24bを移動させるための移動部材である。

0026

ここで、ドア22が完全に閉じている状態(図2Aに示す状態)のドア22の位置、つまり、ドア22の開口幅が最小(0)のドア22の位置を全閉位置とする。また、ドア22が完全に開いている状態(図2Cに示す状態)のドア22の位置、つまり、ドア22の開口幅が最大のドア22の位置を全開位置とする。そして、ドア22が開いて停止した位置を開停止位置とする。この開停止位置は、全閉位置から全開位置の範囲内の位置である。なお、開停止位置=全開位置、開停止位置=全閉位置、となる場合はないものとする。

0027

また、ワーク交換装置14がワーク交換の動作範囲内で動作した場合に、ドア22とワーク交換装置14(具体的にはアーム24aおよび把持部24bの少なくとも一方)とが干渉してしまうドア22の位置の範囲(領域)をドア干渉領域と呼ぶ(例えば、図2Aに示す状態)。また、ワーク交換装置14がワーク交換の動作範囲内でどのように動作した場合であっても、ドア22とワーク交換装置14(具体的にはアーム24aおよび把持部24b)とが干渉しないドア22の位置の範囲(領域)をドア干渉外領域と呼ぶ(例えば、図2Cに示す状態)。そして、ドア干渉領域とドア干渉外領域との境界のドア22の位置をドア干渉境界位置とする(図2Bに示す状態)。つまり、ドア22の位置が図2Bに示すドア干渉境界位置より右方向(閉方向)に移動するとドア干渉領域となり、ドア22の位置が図2Bに示すドア干渉境界位置より左方向(開方向)に移動するとドア干渉外領域となる。

0028

さらに、ドア22が動作範囲内でどのように動作(移動)した場合であっても、ドア22とワーク交換装置14(具体的にはアーム24aおよび把持部24b)とが干渉しないワーク交換装置14の動作位置の範囲(領域)をワーク交換装置干渉外領域と呼ぶ(例えば、図3Aに示す状態)。なお、図3Aに示すワーク交換装置14(具体的にはアーム24aおよび把持部24b)の動作位置を停止位置(退避位置)とする。ドア22が動作範囲内で動作した場合に、ドア22とワーク交換装置14(具体的にはアーム24aおよび把持部24bの少なくとも一方)とが干渉してしまうワーク交換装置14の動作位置の範囲(領域)をワーク交換装置干渉領域と呼ぶ(例えば、図3Cに示す状態)。そして、ワーク交換装置干渉領域とワーク交換装置干渉外領域との境界のワーク交換装置14の動作位置をワーク交換装置干渉境界位置とする(図3Bに示す状態)。つまり、図3Bに示すワーク交換装置干渉境界位置から停止位置までのワーク交換装置14の動作は、ワーク交換装置干渉外領域となり、図3Bに示すワーク交換装置干渉境界位置からワークを交換するまでのワーク交換装置14の動作は、ワーク交換装置干渉領域となる。なお、図3A〜図3Cは、図2A〜図2Cに示す工作機械12およびカバー20の側面断面図である。

0029

図1の説明に戻り、工作機械12は、数値制御装置(制御装置)30と駆動機構32とを有する。駆動機構32は、工作機械の図示しない複数の加工軸を駆動させる複数の加工軸駆動部34と、ドア22を開閉させるドア駆動部36とを有する。この複数の加工軸駆動部34およびドア駆動部36は、サーボモータなどの電動機によって構成される。数値制御装置30は、複数の加工軸駆動部34を制御することで、ワーク(加工対象物)Wに対して加工を行う。また、数値制御装置30は、ドア駆動部36を制御することで、ドア22の開閉を行う(図2A〜図2C参照)。なお、数値制御装置30は、図示しない記憶媒体に記憶された加工プログラムにしたがって複数の加工軸駆動部34およびドア駆動部36を駆動させる。

0030

ワーク交換装置14は、制御装置40と駆動機構42とを有する。駆動機構42は、ワーク交換装置14の図示しない複数の駆動軸(例えば、アーム24aおよび把持部24bの駆動軸)を駆動させる複数の駆動部44を有する。この複数の駆動部44は、サーボモータなどの電動機によって構成される。制御装置40は、複数の駆動部44を制御することで、アーム24aおよび把持部24bを動かして、ワークWの交換を行う。つまり、工作機械12によって加工が終了したワークW(加工済みのワークW)の取り出しと、未加工のワークWのテーブルTa上への設置を行う。この数値制御装置30と制御装置40とは互いに通信可能となっている。この通信は、有線であってもよし、無線であってもよい。なお、制御装置40は、図示しない記憶媒体に記憶されたプログラムにしたがって複数の駆動部44を駆動させる。

0031

次に、工作機械システム10(工作機械12およびワーク交換装置14)の全体的な動作を、図4に示すフローチャートにしたがって説明する。まず、ステップS1で、工作機械12の数値制御装置30は、ワークWの加工が完了したか否かを判断する。具体的には、数値制御装置30は、前記加工プログラムに基づいて加工が完了したか否かを判断する。

0032

ステップS1で、ワークWの加工が完了したと判断すると、ステップS2に進み、数値制御装置30は、ドア22を開くドア開動作を開始する。数値制御装置30は、ドア駆動部36を制御することでドア開動作を開始する。このとき、数値制御装置30は、後述するドア22の開停止位置を算出し、算出した開停止位置でドア22が停止するようにドア22の開動作を行う。これにより、ドア22が全閉位置から開停止位置まで移動する。なお、開停止位置は、ドア干渉境界位置よりも開方向側の位置、つまり、ドア干渉外領域内にある。

0033

次いで、ステップS3で、数値制御装置30は、ドア22の位置が、ドア干渉外領域に入ったか否かまたはドア干渉境界位置に到達したか否かを判断する。具体的には、数値制御装置30は、ドア駆動部36に設けられた図示しないエンコーダからの検出信号(ドア22の移動量を示す検出信号)に基づいて、ドア22の位置が、ドア干渉外領域まで移動したか否かまたはドア干渉境界位置まで移動したか否かを判断する。なお、このドア干渉境界位置は、後述するオペレータによって設定された開口幅(以下、ユーザ設定開口幅と呼ぶ)に基づいて一義的に決定される。ワークWの交換時には、ドア22とワーク交換装置14との干渉を防ぐため、ドア22をドア干渉境界位置以上開いた後、ワーク交換装置14による交換動作を開始する必要がある。このドア干渉境界位置は、ワークWの種類、ワークWの大きさ、または、ワーク交換装置14の動作領域によって変動する。また、サイクルタイムを短縮するためには、なるべくドア22を開かない方がよい。したがって、オペレータがユーザ設定開口幅を設定し、このユーザ設定開口幅に基づいてドア干渉境界位置が決定される。このユーザ設定開口幅とは、ドア22の全閉位置からドア干渉境界位置までの距離(幅)を示す情報であり、ワークWの交換に必要なドア22の開口幅(必要幅)である。なお、ドア22とワーク交換装置14(アーム24aおよび把持部24b)との干渉のリスクを下げるために、オペレータは、実際のドア干渉境界位置より若干長くしてユーザ設定開口幅を設定してもよい。

0034

ステップS3で、ドア22の位置がドア干渉外領域に入っていないまたはドア干渉境界位置に到達していないと判断すると、ドア22の位置がドア干渉外領域に入ったまたはドア干渉境界位置に到達したと判断するまでステップS3に留まる。そして、ステップS3で、ドア22の位置がドア干渉外領域に入ったまたはドア干渉境界位置に到達したと判断すると、ステップS4に進み、数値制御装置30は、ドア干渉外領域信号をワーク交換装置14の制御装置40に送信する。

0035

次いで、ステップS5で、数値制御装置30は、ドア22が開停止位置まで移動したか否かを判断する。具体的には、数値制御装置30は、ドア駆動部36に設けられた前記エンコーダからの検出信号(ドア22の移動量を示す検出信号)に基づいて、ドア22の位置が開停止位置まで移動したか否かを判断する。ステップS5で、開停止位置まで移動していないと判断するとステップS5に留まり、ドア22が開停止位置まで移動したと判断すると、ステップS6に進み、数値制御装置30は、ドア駆動部36を制御することでドア22の移動を停止させる。

0036

ワーク交換装置14の制御装置40は、ステップS4で、工作機械12の数値制御装置30から送信されたドア干渉外領域信号を受信すると、ステップS7で、ワークWの交換動作を開始する。制御装置40は、複数の駆動部44を制御することでワークWの交換動作を開始する。この交換動作の開始により、停止位置(退避位置)にあるアーム24aおよび把持部24b(図3Aに示す状態)は、カバー20内に設置されたワークWに向けて移動し、ワークWの交換を行った後、停止位置まで戻る(退避する)という動作を行う。

0037

次いで、ステップS8に進み、制御装置40は、ワークWの交換を行った後、ワーク交換装置14(アーム24aおよび把持部24b)の動作位置が、ワーク交換装置干渉外領域に入ったか否かまたはワーク交換境界装置に到達したか否かを判断する。具体的には、制御装置40は、複数の駆動部44の各々に設けられた図示しないエンコーダからの検出信号に基づいて、アーム24aおよび把持部24bの動作位置を算出する。そして、制御装置40は、算出したアーム24aおよび把持部24bの動作位置が、ワーク交換装置干渉外領域に入ったか否かまたはワーク交換境界装置に到達したか否かを判断する。なお、制御装置40の図示しない記録媒体には、このワーク交換装置干渉境界位置の位置情報が記憶されており、この位置情報に基づいて判断する。ステップS8で、NOと判断した場合は、YESと判断するまでステップS8に留まる。そして、ステップS8で、YESと判断した場合は(つまり、ワークWの交換を行った後、ワーク交換装置14(アーム24aおよび把持部24b)の動作位置が、ワーク交換装置干渉外領域に入ったまたはワーク交換境界装置に到達したと判断した場合は)、ステップS9に進み、制御装置40は、ワーク交換装置干渉外領域信号を工作機械12の数値制御装置30に送信する。

0038

次いで、ステップS10で、制御装置40は、工作機械12(アーム24aおよび把持部24b)が停止位置まで移動(動作)したか否かを判断する。具体的には、制御装置40は、複数の駆動部44の各々に設けられた前記エンコーダからの検出信号に基づいて、アーム24aおよび把持部24bの動作位置が停止位置になったか否かを判断する。ステップS10で、工作機械12(アーム24aおよび把持部24b)が停止位置まで移動(動作)していないと判断するとステップS10に留まり、停止位置まで動作したと判断すると、ステップS11に進み、制御装置40は、複数の駆動部44を制御することで、工作機械12(アーム24aおよび把持部24b)の動作を停止させる。

0039

工作機械12の数値制御装置30は、ステップS9で、ワーク交換装置14の制御装置40から送信されたワーク交換装置干渉外領域信号を受信すると、ステップS12で、ドア22を閉じるドア閉動作を開始する。数値制御装置30は、ドア駆動部36を制御することでドア閉動作を開始する。これにより、ドア22は、開停止位置から全閉位置まで移動する。

0040

次いで、ステップS13で、数値制御装置30は、ドア22が全閉位置まで移動したか否かを判断する。具体的には、数値制御装置30は、ドア駆動部36に設けられた前記エンコーダからの検出信号(ドア22の移動量を示す検出信号)に基づいて、ドア22の位置が全閉位置まで移動したか否かを判断する。ステップS13で、ドア22が全閉位置まで移動していないと判断するとステップS13に留まり、ドア22が全閉位置まで移動したと判断すると、ステップS14に進み、数値制御装置30は、ドア22の移動を停止させる。そして、ステップS15で、数値制御装置30は、複数の加工軸駆動部34を制御して、未加工のワークWへの加工を開始する。

0041

サイクルタイムを短縮するためには、ドア22がユーザ設定開口幅だけ移動する時間(つまり、ドア22が全閉位置からドア干渉境界位置まで移動する時間)Topと、ドア22が開停止位置から全閉位置まで移動する時間Tclとを合計した合計時間(Top+Tcl)を小さく(短く)する必要がある。したがって、本実施の形態では、この合計時間(Top+Tcl)が小さくなる開停止位置を計算する。つまり、ワークWの交換時のドア22の開閉時間が短くなる開停止位置を計算する。

0042

図5は、開停止位置によって合計時間(Top+Tcl)が小さくなることを説明するための図である。既に述べたように、ドア22を必要幅(ユーザ設定開口幅)だけ開く場合は、ユーザ設定開口幅分だけ開く前にドア22が減速してしまうため、ワークWの交換時のドア22の開閉時間が長くなってしまう(図13A参照)。また、ドア22を開く幅をユーザ設定開口幅より長くすることで、ユーザ設定開口幅だけ開く前にドア22が減速することを抑制することができる。しかしながら、ドア22を開いて停止したときのドア22の開口幅とユーザ設定開口幅との差分(余分幅)だけドア22を余分に開いているので、今度は、ドア22を全閉位置まで閉めるのに時間がかかってしまう(図13B参照)。そこで、図5に示すように、ドア22をユーザ設定開口幅だけ開く前にドア22が減速することを抑制しつつ、余分幅がなるべく短くなるような開停止位置を計算することで、ワークW交換時のドア22の開閉時間を短くすることができる。

0043

図6は、ワークW交換時のドア22の開閉時間を短縮するためのドア22の開停止位置を算出して、ドア駆動部36を制御する数値制御装置(開停止位置算出装置)30の構成を示す構成図(機能ブロック図)である。数値制御装置30は、データ入力部50、開口幅設定部52、開停止位置計算部54、開停止位置記憶部56、加工プログラム解析部58、および、ドア制御部60を備える。また、図7は、数値制御装置30の動作を示すフローチャートである。図6および図7を用いて、数値制御装置30の各部の構成の機能、動作を説明する。

0044

データ入力部50は、オペレータ(ユーザ)の操作に応じて、ユーザ設定開口幅を入力する(ステップS31)。データ入力部50は、オペレータがユーザ設定開口幅などのデータを入力するためのインターフェースであり、タッチパネル付き液晶パネルであってもよい。この場合は、オペレータ(ユーザ)は、表示画面を指でタッチすることで、データを入力することができる。また、データ入力部50は、液晶パネル、マウス、および、キーボードであってもよい。これにより、液晶パネルの表示画面を見ながら、マウスおよびキーボードを操作することでデータを入力することができる。

0045

開口幅設定部52は、データ入力部50によって入力されたユーザ設定開口幅を設定する(ステップS32)。開口幅設定部52は、開口幅設定部52内に設けられた図示しない記憶媒体に設定したユーザ設定開口幅を記憶する。

0046

図8は、データ入力部50によるユーザ設定開口幅の入力例を示す図である。データ入力部50の表示画面には、複数のドア開口指令コードD(D1〜D3)に対応してユーザ設定開口幅を入力することができる複数の入力欄ID(ID1〜ID3)が表示されている。データ入力部50は、オペレータの操作(例えば、タッチパネルの操作、または、キーボード、マウスなどの操作)に応じて、この複数の入力欄ID(ID1〜ID3)にデータ設定開口幅を入力する(ステップS31)。このユーザ設定開口幅として座標を入力してもよいし、その幅(距離)を入力してもよい。図8に示す例では、ドア開口幅指令コードD1に対応した入力欄ID1には「300.0」と入力され、ドア開口幅指令コードD2に対応した入力欄ID2には「400.0」と入力され、ドア開口幅指令コードD3に対応した入力欄ID3には「500.0」入力された例を示している。そして、オペレータがデータ設定幅開口幅を入力した後、図示しない画面上に表示された設定ボタンを押すと、開口幅設定部52は、入力されたユーザ設定開口幅を設定する(ステップS32)。このとき、複数のドア開口幅指令コードD(D1〜D3)の各々に対応付けて複数の入力欄ID(ID1〜ID3)に入力された複数のユーザ設定開口幅を記憶する。

0047

開停止位置計算部54は、複数のドア開口幅指令コードD(D1〜D3)の各々に対応付けて設定(記憶)したユーザ設定開口幅に基づいて開停止位置を計算する(ステップS33)。開停止位置計算部54は、ドア開口幅指令コードD(D1〜D3)毎に開停止位置を計算する。この開停止位置の計算については後で詳しく説明する。

0048

開停止位置記憶部56は、開停止位置計算部54が算出した開停止位置を記憶する(ステップS34)。このとき、開停止位置記憶部56は、複数のドア開口幅指令コードD(D1〜D3)の各々に対応付けて、複数の開停止位置を記憶する。

0049

加工プログラム解析部58は、加工プログラムを読み込んで解析するものである。加工プログラム解析部58は、加工プログラムを解析することで、ドア開指令コード(例えば、M100)を検出したか否かを判断する(ステップS35)。加工プログラム解析部58は、ドア開指令コードを検出するとドア開指令をドア制御部60に出力する。加工プログラム中には、ドア開指令コードとともに、設定したユーザ設定開口幅のうちどの開口幅を使用するかを示すドア開口幅指令コードDも併記されている。したがって、加工プログラム解析部58は、ドア開指令ともにドア開口幅指令コードDもドア制御部60に出力する。図9は、加工プログラムの一例を示す図である。図9を見るとわかるように、加工プログラムには、「M100 D1」と記載されていることから、加工プログラム解析部58は、ドア開指令コードである「M100」を検出すると、ドア開指令とともにドア開口幅指令コードD1をドア制御部60に出力する。

0050

ドア制御部60は、加工プログラム解析部58からドア開指令が送られてくると(ステップS35でYESに分岐)、ドア22の開動作を行う(ステップS36)。つまり、ドア制御部60は、ドア駆動部36を制御してドア22を開く。このとき、ドア制御部60には、加工プログラム解析部58からドア開指令と一緒に送られてきたドア開口幅指令コードDに対応する開停止位置を開停止位置記憶部56から読み出し、読み出した開停止位置に基づいてドア駆動部36を制御する。ドア制御部60は、ドア22が開停止位置で停止するようにドア駆動部36を制御する。なお、このドア制御部60によって、図4のステップS2のドア開動作、ステップS6、S14のドア停止動作、ステップS12のドア閉動作が行なわれる。

0051

次に、図10A、図10Bを用いて、開停止位置計算部54による開停止位置の算出方法について説明する。ドア22は、所定の移動速度Vで移動するものとし、停止しているドア22が所定の移動速度Vになるまでのドア22の加速度をaとする。また、停止しているドア22が所定の移動速度Vになるまでの時定数(時間)をTとする。したがって、この所定の移動速度Vは、V=a×T、で表すことができる。

0052

図10Aは、時間とドア22の位置(全閉位置L0からの距離)との関係を示す図であり、横軸は時間を、縦軸はドア22の位置を表している。なお、ドア22の全閉位置L0を0とし、ドア干渉境界位置(ユーザ設定開口幅)をL、開停止位置をL2(=L+L1)とする。L1は、ドア干渉境界位置Lから開停止位置L2までの距離を示すものであり、余分幅である。図10Bは、時間とドア22の速度との関係を示す図であり、横軸は時間を、縦軸はドア22の速度を表している。

0053

図10Aおよび図10Bを見るとわかるように、ドア22が全閉位置L0から開方向に移動する場合は、ドア22の速度は、停止状態(速度が0)から加速度aで徐々に加速していき、時定数Tが経過すると所定の移動速度V(=a×T)となる。そして、開停止位置L2に到達する前に、ドア22の速度は、加速度−aで減速していき、時定数Tが経過すると0になり、ドア22が開停止位置L2で停止する。また、ドア22が開停止位置L2から閉方向に移動する場合は、ドア22の速度は、停止状態(速度が0)から加速度aで徐々に加速していき、時定数Tが経過すると所定の移動速度V(=a×T)となる。そして、全閉位置L0に到達する前に、ドア22の速度は、加速度−aで減速していき、時定数Tが経過すると0になり、ドア22が全閉位置L0で停止する。

0054

ここで、ドア22がドア干渉境界位置Lから開停止位置L2(=L+L1)まで移動するまでの時間をT1、ドア22が所定の移動速度V(=a×T)で移動する時間をT2とする。また、ドア22が全閉位置L0からドア干渉境界位置Lまで移動する時間をTop、ドア22が開停止位置L2から全閉位置L0まで移動する時間をTclとする。

0055

以上のことから、時間Tclを数式(1)で、開停止位置L2を数式(2)で、Topを数式(3)で、L1を数式(4)で表すことができる
Tcl=2×T+T2 ・・・ (1)
L2=L+L1=(a×T2)/2×2+a×T×T2 ・・・ (2)
Top=Tcl−T1 ・・・ (3)
L1=(a×T12)/2 ・・・ (4)

0056

この数式(1)〜数式(4)から、ワークWの交換時のドア22の開閉時間、つまり、ドア22が全閉位置L0からドア干渉境界位置Lまでの距離(ユーザ設定開口幅)を移動する時間Topと、開停止位置L2から全閉位置L0まで移動する時間Tclとの合計時間(Top+Tcl)を、数式(5)で表すことができる。なお、ワークWの交換時のドア22の開閉時間に、ドア干渉境界位置Lから開停止位置L2まで移動する時間T1を含めないのは、この時間T1中には、ワークWの交換がワーク交換装置14によって行われているからである。つまり、時間Topと時間Tclとは、ワークWの交換のためにドア22だけが移動している時間である。

0057

0058

数式(5)中、L1以外は、全て定数なので、L1が、L1=a×T2/8、のときに、合計時間(Top+Tcl)が最も小さくなる。したがって、開停止位置計算部54は、開口幅設定部52が設定したユーザ設定開口幅Lと、a×T2/8(=L1)とに基づいて、開停止位置L2を計算する。つまり、開停止位置計算部54は、L2=L+a×T2/8、の関係式を用いて開停止位置L2を計算する。そして、ドア制御部60が、開停止位置計算部54によって算出された開停止位置L2(=L+a×T2/8)でドア22が停止するように、ドア駆動部36を制御することで、ワークWの交換時におけるドア22の開閉時間を最も短くすることができる。なお、ドア制御部60は、ドア22を計算した開停止位置L2で停止させるようにドア駆動部36を制御しなくてもよい。つまり、ドア制御部60は、計算した開停止位置L2と若干ずれた位置でドア22が停止するようにドア駆動部36を制御してもよい。しかしながら、ドア22を停止させる位置を開停止位置L2から大きくずらしてしまうと、合計時間(Top+Tcl)が大きく(長く)なってしまう。したがって、合計時間(Top+Tcl)が、最小となる合計時間(Top+Tcl)に対して±数%の範囲内に収まる位置でドア22を停止させればよい。

0059

[上記実施の形態の変形例]
上記実施の形態は、以下のように変形してもよい。

0060

(変形例1)変形例1では、開口幅設定部52は、加工プログラム中にデータ入力部50によって入力されたユーザ設定開口幅Lを組み込む。図11は、ユーザ設定開口幅Lが組み込まれた加工プログラムの一例を示す図である。図11に示すように、加工プログラムには、ドア開指令コードである「M100」とともに、ドア開口幅指令コード「D300.0」が併記されている。このドア開口幅指令コードの「300.0」は、開口幅設定部52で設定されたユーザ設定開口幅Lである。そして、加工プログラム解析部58は、ドア開指令コード「M100」を検出すると、ドア開指令をドア制御部60に出力するとともに、検出したユーザ設定開口幅Lを開停止位置計算部54に出力する。開停止位置計算部54は、出力されたユーザ設定開口幅Lに基づいて、開停止位置L2を計算し、計算した開停止位置L2をドア制御部60に出力する。ドア制御部60は、加工プログラム解析部58からドア開指令が送られ、且つ、開停止位置計算部54から開停止位置L2が送られてくると、開停止位置L2に基づいてドア駆動部36を制御する。したがって、本変形例1では、開停止位置記憶部56は不要となる。

0061

(変形例2)上記実施の形態および変形例1では、数値制御装置30がドア駆動部36を制御したが、ワーク交換装置14の制御装置40がドア駆動部36を制御してもよい。この場合は、ドア22の位置がドア干渉領域に入ったか否かまたはドア干渉境界位置に達したか否かの判断(ステップS3の動作)を、制御装置40が行なってもよい。また、ワーク交換装置14の動作位置がワーク交換装置干渉領域に入ったか否かまたはワーク交換装置干渉境界位置に到達したかの判断(ステップS8の動作)を、数値制御装置30が行なってもよい。この場合は、ワーク交換装置14は、ワーク交換装置14の動作情報を数値制御装置30に出力する。

0062

(変形例3)上記実施の形態および変形例1では、数値制御装置30がドア駆動部36を制御したが、図12に示すように、集中制御装置70がドア駆動部36を制御してもよい。この集中制御装置70は、数値制御装置30および制御装置40の制御を統括する上位制御装置である。この場合は、ドア22の位置がドア干渉領域に入ったか否かまたはドア干渉境界位置に達したか否かの判断(ステップS3の動作)を、集中制御装置70が行なってもよい。また、ワーク交換装置14の動作位置がワーク交換装置干渉領域に入ったか否かまたはワーク交換装置干渉境界位置に到達したかの判断(ステップS8の動作)を、集中制御装置70が行なってもよい。この場合は、ワーク交換装置14は、ワーク交換装置14の動作情報を数値制御装置30に出力する。この集中制御装置70は、複数の工作機械12の数値制御装置30および複数のワーク交換装置14の制御装置40を制御してもよい。つまり、図12に示すように、工作機械12とワーク交換装置14とを有する複数の生産設備72を、集中制御装置70が一括して制御してもよい。

0063

(変形例4)データ入力部50、開口幅設定部52、開停止位置計算部54、開停止位置記憶部56、加工プログラム解析部58、および、ドア制御部60のうち、少なくとも1つを数値制御装置30以外の制御装置(例えば、ワーク交換装置14の制御装置40または集中制御装置70)に設けてもよい。

0064

(変形例5)上記実施の形態および変形例1〜4では、ワーク交換装置14としてロボットを例に挙げて説明したが、ローダであってもよい。ローダも、ワークWを把持する把持部と、この把持部を移動させる移動部材とを有する。

0065

以上のように、上記実施の形態および変形例1〜5の少なくとも1つの形態で説明した工作機械システム10は、工作機械12を囲むカバー20の開口部20aを塞ぐ開閉可能なドア22と、ドア22を開閉するドア駆動部36とを備える工作機械12と、カバー20内に設置されたワークWの交換を行うワーク交換装置14とを備える。そして、工作機械システム10は、さらに、ドア22のユーザ設定開口幅Lを設定する開口幅設定部52と、ドア22が全閉位置L0から設定したユーザ設定開口幅Lの位置まで移動する時間Topと、ドア22が開いて停止した開停止位置L2から全閉位置L0まで移動する時間Tclとを合計した合計時間(Top+Tcl)が最小になるドア22の開停止位置L2を計算する開停止位置計算部54と、ワーク交換装置14によるワークWの交換時に、算出した開停止位置T2に基づいてドア駆動部36を制御してドア22を制御するドア制御部60と、を備える。

0066

これにより、ドア22とワーク交換装置14との干渉を防止しつつ、ワークW交換時のドア22の開閉時間を短くすることができる。したがって、サイクルタイムを短縮させることができる。

0067

開口幅設定部52、開停止位置計算部54、および、ドア制御部60のうち少なくとも1つを工作機械12の数値制御装置30に設けてもよい。また、開口幅設定部52、開停止位置計算部54、および、ドア制御部60のうち少なくとも1つを工作機械12の数値制御装置30とは異なる制御装置に設けてもよい。この工作機械12の数値制御装置30とは異なる制御装置は、ワーク交換装置14の制御装置40であってもよく、集中制御装置70であってもよい。

0068

ワーク交換装置14は、ワークWを把持する把持部(例えば、把持部24b)と、把持部を移動させる移動部材(例えば、アーム24aなど)とを有する。したがって、ワーク交換装置14によってワークWの交換を行うことができる。

0069

ワーク交換装置14は、ドア22がユーザ設定開口幅Lの位置まで移動すると、停止位置にある移動部材および把持部を駆動させてワークWの交換を行い、その後、把持部を停止位置まで退避させる。ドア制御部60は、ワークWの交換後、ドア22を全閉位置に移動させてもドア22と移動部材および把持部とが干渉しない位置まで把持部が退避すると、ドア駆動部36を制御してドア22を閉じる。これにより、ドア22とワーク交換装置14との干渉を防止しつつ、サイクルタイムを短縮させることができる。

0070

ドア22は、所定の移動速度Vで移動するものであって、開停止位置計算部54は、停止しているドア22が所定の移動速度Vになるまでの加速度aと、停止しているドア22が所定の移動速度Vに到達するまでの時定数Tとを用いて、合計時間(Top+Tcl)が最小になるドア22の開停止位置T2を計算する。したがって、簡単に、合計時間(Top+Tcl)が最小になるドア22の開停止位置T2を計算することができる。具体的には、開停止位置計算部54は、L2=L+a×T2/8、の関係式を用いて、合計時間(Top+Tcl)が最小になるドア22の開停止位置L2を計算する。

0071

10…工作機械システム12…工作機械
14…ワーク交換装置20…カバー
20a…開口部 22…ドア
24a…アーム24b…把持部
30…数値制御装置32、42…駆動機構
34…加工軸駆動部 36…ドア駆動部
40…制御装置44…駆動部
50…データ入力部 52…開口幅設定部
54…開停止位置計算部 56…開停止位置記憶部
58…加工プログラム解析部 60…ドア制御部
70…集中制御装置

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