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技術 サイレージ調製用乳酸菌及びサイレージ調製用添加剤

出願人 雪印種苗株式会社
発明者 本間満北村亨
出願日 2016年3月15日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2016-050808
公開日 2017年9月21日 (3年8ヶ月経過) 公開番号 2017-163877
状態 特許登録済
技術分野 化合物または医薬の治療活性 微生物、その培養処理 飼料(2)(一般) 動物,微生物物質含有医薬
主要キーワード 低温地域 実施例比較 密封貯蔵 選抜試験 発酵品質 フレコンバック 保管品 酪酸発酵
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

本発明は、サイレージ二次発酵を抑制し、好ましいサイレージ調製に有用な乳酸菌を提供することを課題とする。また本発明は二次発酵の抑制されたサイレージを製造する方法を提供することを課題とする。

解決手段

酵母作用を有するラクトバチルスディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)をサイレージ調製用乳酸菌とする。

概要

背景

サイレージにとって主食にあたる重要な飼料であり、この品質酪農経営に大きく影響する。サイレージは生ものである牧草飼料作物などを長期間貯蔵するために漬物の状態にする技術である。しかしサイレージの製造に当たっては、古くから2つの課題が指摘されている。1つは密封貯蔵中の酪酸菌が原因となる酪酸発酵を抑えること、もう1つはサイレージ開封後に酵母などが増えることで発熱変敗する二次発酵を抑えることである。この2つの課題を解決するために、古くからサイレージ添加物の検討が行われているが両者の課題をともに解決できるようなサイレージ添加物はいまだ提供されていない。特に二次発酵の問題はTMR飼料の普及にともなって増大している。

従来、これら課題に対する提案がなされている。主な提案は、サイレージ中において乳酸産生能力の高い乳酸菌をサイレージ調製時に添加して、乳酸によるサイレージpH低下を促進させ、これによって有害な微生物の増殖を抑制しようとするものである。特許文献1には、耐酸性乳酸発酵能に優れた乳酸菌、ラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)畜草1号株(FERM P−18930)又は好気性細菌と酪酸菌に対する抗菌作用を有する乳酸菌、ラクトコッカスラクティス(Lactococcus lactis)RO50株(FERM P−18931)をサイレージ用乳酸菌として用いることで有害微生物によるサイレージの品質低下を防止できることが記載されている。しかし特許文献1の発明で二次発酵を抑制できるとの記載もなく、効果は不明である。

特許文献2には、バクテリオシンを産生する乳酸菌エンテロコッカスフェシウム(Enterococcus faecium)NAS62菌株(NITEP−781)を用いてサイレージ用乳酸菌として用いることで、バクテリオシンの抗菌作用により有害微生物を抑制しようとするものである。特許文献2にはサイレージ中の糸状菌が検出されず、発酵TMR飼料中にも糸状菌が検出されないことが記載されている。

特許文献3には、抗真菌作用を有するロイテリン生産能を有するホモ型発酵乳酸菌と、グリセロールと、ビタミンB12を含む、サイレージ調製用添加剤が提案されている。ロイテリン(Reuterin)は、嫌気性雰囲気下にグリセリンを含有する培地中で、ラクトバチルス・ロイテリの産生する抗菌性物質である。上記培養上清中に、グリセリンの発酵産物であるβ−ヒドロキシプロピオンアルデヒド(β−hydroxypropionaldehyde)が検出され、このβ−ヒドロキシプロピオンアルデヒドは、水溶液中で単量体水和物および二量体の形態で存在すると推定され、ロイテリンと称されている。ロイテリンは、グラム陽性細菌グラム陰性細菌、酵母およびカビに対して抗菌性を示す。しかし、ロイテリンを生成させるためには、大量のグリセロールが必要なことから、実際のサイレージ調製の場面での実施は現実性が低い。

特許文献4には、抗菌性物質であるナイシン産生能を有するラクトコッカス・ラクティス(Lactcocuss lactis)と乳酸耐性を有する乳酸菌を用いたサイレージ生産用組成物が開示されている。
特許文献5には、サイレージから分離したラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)を添加したサイレージが異常な発酵を起こさなかったことが記載されている。

上記したとおり、種々のサイレージ調製のための乳酸菌やこれを用いたサイレージ製造のための添加剤が提案されているが、必ずしも満足できるものがないことが現実である。特にサイレージの二次発酵の問題は大きな課題である。
サイレージの二次発酵の問題とは、煎じ詰めて言えば、サイロあるいはロールラッピング開封後の好気的変敗である。これを完全に解決できたサイレージ用乳酸菌は、従来技術では見当たらない。開封前のサイロやロールラップサイレージ内は、炭酸ガス窒素ガスなどで満たされ、一定の低いpH環境下にあり安定状態にある。原料に付着し、詰め込み時に一緒にサイロやロール内に入った各種微生物は、この状況下では休眠状態にある。ところが、サイロを開封し、あるいはロールを開封してサイレージが空気にさらされる状態になると、空気のある状態で活動する微生物、すなわち好気性微生物が急速に増殖する。特に酵母が適度な湿度、温度、養分(酵母はサイレージ中に生成された乳酸などを養分とする)によって急速に活動を始め、サイレージの温度は急激に上昇する。そして、この発熱に刺激されたカビが増殖を始め、この結果、サイレージは茶褐色を呈し異臭を放つばかりではなく、牛の嗜好性の低下、消化率の低下、サイレージ乾物のロス、さらに乳牛下痢アルコール不安定乳の発生といった大きな損失を招く。

概要

本発明は、サイレージの二次発酵を抑制し、好ましいサイレージ調製に有用な乳酸菌を提供することを課題とする。また本発明は二次発酵の抑制されたサイレージを製造する方法を提供することを課題とする。抗酵母作用を有するラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)をサイレージ調製用乳酸菌とする。

目的

本発明は、サイレージの二次発酵を抑制し、好ましいサイレージ調製に有用な乳酸菌を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

サイレージ調製用乳酸菌であって、抗酵母作用を有するラクトバチルスディオリヴォランス(Lactobacillusdiolivorans)。

請求項2

ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillusdiolivorans)が、ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillusdiolivorans)SBS−0006株(NITEBP−02208)、ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillusdiolivorans)SBS−0007株(NITEBP−02209)、ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillusdiolivorans)SBS−0009株(NITEBP−02210)である請求項1に記載の乳酸菌。

請求項3

請求項1又は2に記載の乳酸菌ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillusdiolivorans)を含有するサイレージ。

請求項4

請求項1又は2に記載の乳酸菌ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillusdiolivorans)を含有するサイレージ調製用添加剤

請求項5

請求項4に記載のサイレージ調製用添加剤をサイレージ材料に添加することを特徴とするサイレージの調製方法

技術分野

0001

本発明は、サイレージ調製用乳酸菌及びこの乳酸菌を用いた飼料調製用添加剤またはサイレージ調製用添加剤および当該添加剤を用いるサイレージの調製方法に関する。

背景技術

0002

サイレージはにとって主食にあたる重要な飼料であり、この品質酪農経営に大きく影響する。サイレージは生ものである牧草飼料作物などを長期間貯蔵するために漬物の状態にする技術である。しかしサイレージの製造に当たっては、古くから2つの課題が指摘されている。1つは密封貯蔵中の酪酸菌が原因となる酪酸発酵を抑えること、もう1つはサイレージ開封後に酵母などが増えることで発熱変敗する二次発酵を抑えることである。この2つの課題を解決するために、古くからサイレージ添加物の検討が行われているが両者の課題をともに解決できるようなサイレージ添加物はいまだ提供されていない。特に二次発酵の問題はTMR飼料の普及にともなって増大している。

0003

従来、これら課題に対する提案がなされている。主な提案は、サイレージ中において乳酸産生能力の高い乳酸菌をサイレージ調製時に添加して、乳酸によるサイレージpH低下を促進させ、これによって有害な微生物の増殖を抑制しようとするものである。特許文献1には、耐酸性乳酸発酵能に優れた乳酸菌、ラクトバチルスプランタルム(Lactobacillus plantarum)畜草1号株(FERM P−18930)又は好気性細菌と酪酸菌に対する抗菌作用を有する乳酸菌、ラクトコッカスラクティス(Lactococcus lactis)RO50株(FERM P−18931)をサイレージ用乳酸菌として用いることで有害微生物によるサイレージの品質低下を防止できることが記載されている。しかし特許文献1の発明で二次発酵を抑制できるとの記載もなく、効果は不明である。

0004

特許文献2には、バクテリオシンを産生する乳酸菌エンテロコッカスフェシウム(Enterococcus faecium)NAS62菌株(NITEP−781)を用いてサイレージ用乳酸菌として用いることで、バクテリオシンの抗菌作用により有害微生物を抑制しようとするものである。特許文献2にはサイレージ中の糸状菌が検出されず、発酵TMR飼料中にも糸状菌が検出されないことが記載されている。

0005

特許文献3には、抗真菌作用を有するロイテリン生産能を有するホモ型発酵乳酸菌と、グリセロールと、ビタミンB12を含む、サイレージ調製用添加剤が提案されている。ロイテリン(Reuterin)は、嫌気性雰囲気下にグリセリンを含有する培地中で、ラクトバチルス・ロイテリの産生する抗菌性物質である。上記培養上清中に、グリセリンの発酵産物であるβ−ヒドロキシプロピオンアルデヒド(β−hydroxypropionaldehyde)が検出され、このβ−ヒドロキシプロピオンアルデヒドは、水溶液中で単量体水和物および二量体の形態で存在すると推定され、ロイテリンと称されている。ロイテリンは、グラム陽性細菌グラム陰性細菌、酵母およびカビに対して抗菌性を示す。しかし、ロイテリンを生成させるためには、大量のグリセロールが必要なことから、実際のサイレージ調製の場面での実施は現実性が低い。

0006

特許文献4には、抗菌性物質であるナイシン産生能を有するラクトコッカス・ラクティス(Lactcocuss lactis)と乳酸耐性を有する乳酸菌を用いたサイレージ生産用組成物が開示されている。
特許文献5には、サイレージから分離したラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)を添加したサイレージが異常な発酵を起こさなかったことが記載されている。

0007

上記したとおり、種々のサイレージ調製のための乳酸菌やこれを用いたサイレージ製造のための添加剤が提案されているが、必ずしも満足できるものがないことが現実である。特にサイレージの二次発酵の問題は大きな課題である。
サイレージの二次発酵の問題とは、煎じ詰めて言えば、サイロあるいはロールラッピング開封後の好気的変敗である。これを完全に解決できたサイレージ用乳酸菌は、従来技術では見当たらない。開封前のサイロやロールラップサイレージ内は、炭酸ガス窒素ガスなどで満たされ、一定の低いpH環境下にあり安定状態にある。原料に付着し、詰め込み時に一緒にサイロやロール内に入った各種微生物は、この状況下では休眠状態にある。ところが、サイロを開封し、あるいはロールを開封してサイレージが空気にさらされる状態になると、空気のある状態で活動する微生物、すなわち好気性微生物が急速に増殖する。特に酵母が適度な湿度、温度、養分(酵母はサイレージ中に生成された乳酸などを養分とする)によって急速に活動を始め、サイレージの温度は急激に上昇する。そして、この発熱に刺激されたカビが増殖を始め、この結果、サイレージは茶褐色を呈し異臭を放つばかりではなく、牛の嗜好性の低下、消化率の低下、サイレージ乾物のロス、さらに乳牛下痢アルコール不安定乳の発生といった大きな損失を招く。

先行技術

0008

特開2004−041064号公報
特開2011−41474号公報
特開2008−35728号公報
国際公開第2013/001862号
米国特許出願公開第2005/0281917号明細書

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、サイレージの二次発酵を抑制し、好ましいサイレージ調製に有用な乳酸菌を提供することを課題とする。また本発明は二次発酵の抑制されたサイレージを製造する方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは上記課題を解決するために研究を重ね、サイレージや飼料調製用の乳酸菌のスクリーニングを繰り返した結果、従来サイレージ調製用の乳酸菌としてはあまり注目されていなかったラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)の中から、抗酵母作用を有する一群のラクトバチルス・ディオリヴォランスを見いだした。この一群のラクトバチルス・ディオリヴォランスは、乳酸産生能及び酢酸生産能が高くサイレージの品質が向上することを確認できた。この一群のラクトバチルス・ディオリヴォランスを活用することで上記課題を解決するに至ったものである。

0011

本発明は、次の構成からなる発明である。
(1)サイレージ調製用乳酸菌であって、抗酵母作用を有するラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)。
(2)ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)が、ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)SBS−0006株(NITEBP−02208)、ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)SBS−0007株(NITE BP−02209)、ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)SBS−0009株(NITE BP−02210)である(1)に記載の乳酸菌。
(3)(1)又は(2)に記載の乳酸菌ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)を含有するサイレージ。
(4)(1)又は(2)に記載の乳酸菌ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)を含有するサイレージ調製用添加剤。
(5)(4)に記載のサイレージ調製用添加剤をサイレージ材料に添加することを特徴とするサイレージの調製方法。

発明の効果

0012

本発明は、抗酵母作用を有し、実際のサイレージ発酵条件においては、酵母をはじめとする真菌抑制作用を有し、また該乳酸菌の培養液中に抗真菌性物質を産生する特性を有する乳酸菌ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)を提供することができる。この乳酸菌は、耐酸性に優れ、かつ良質な乳酸発酵を可能とするサイレージ用添加物を提供することができる。得られるサイレージは二次発酵が抑制されている。このため、TMR飼料等に応用した場合、腐敗臭や変敗臭が抑制された飼料となり、安全性が高く家畜採食性が改善され、肥育牛の体重増大や乳牛の乳量増加などが期待される。

図面の簡単な説明

0013

本発明の乳酸菌ラクトバチルス・ディオリヴォランスの菌体破砕物が酵母Pichia fermentansの生育を抑制することを示すグラフである。
本発明の乳酸菌ラクトバチルス・ディオリヴォランスの菌体破砕物が酵母Issatchenkia orientalisの生育を抑制することを示すグラフである。
酵母Pichia fermentansの生育抑制指標とした乳酸菌ラクトバチルス・ディオリヴォランスの選抜試験の結果を示す。
Issatchenkia orientalisの生育抑制を指標とした乳酸菌ラクトバチルス・ディオリヴォランスの選抜試験の結果を示す。
図3図4で示した選抜試験の結果を散布図で示すものである。2種の酵母に対する抗酵母効果を一覧で評価するための図面である。
実施例1〜4、及び比較例のサイレージ用乳酸菌を添加し、25℃で発酵させたサイレージの発酵品質を示すグラフである。
実施例1〜4、及び比較例のサイレージ用乳酸菌を添加し、15℃で発酵させたサイレージの発酵品質を示すグラフである。
実施例1〜4、及び比較例のサイレージ用乳酸菌を添加して調製したサイレージの開封後30℃到達時間を示すグラフである。
実施例1〜3、比較例1、比較例2のサイレージ用乳酸菌を添加して15℃の保存条件で調製したサイレージの、開封後30℃到達時間を示すグラフである。

0014

本発明は、抗酵母作用を有する新規な乳酸菌ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)に係る発明である。
また本発明は、前記の乳酸菌を含有する飼料調製用添加剤、前記菌株を添加することを
特徴とするサイレージ等の飼料やその調製方法に関する。
以下、本発明について詳細に説明する。

0015

本発明の乳酸菌ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)は、ヘテロ発酵をする乳酸菌である。サイレージより分離される該乳酸菌を選別することで得ることができる。
通常は、サイレージより分離された乳酸菌株のなかで、乳酸菌ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)に分類された株を、デントコーンなどのサイレージ調製に用いる植物の細切材料に、サイレージから分離した酵母の培養液を添加し、ポリエチレンパウチ袋に、ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)を添加して、25℃で2ヶ月間保存した後開封し、得られたサイレージ中の有機酸含量、酵母菌数乳酸菌数、開封後30℃に到達時間(二次発酵時間)を指標にして第1次選抜を行う。

0016

次いで、サイレージとして好ましい有機酸含量、酵母菌数、乳酸菌数、開封後30℃に到達時間(二次発酵時間)を示すラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)をMRS培地やGYP培地により培養して、菌体回収した後破砕し、これをサイレージから分離される酵母であるPichia membranifaciensおよび/又はIssatchenkia orientalisの増殖を指標として抗酵母作用(酵母増殖抑制作用)を確認して選別することができる。

0017

上記の特性を有する抗酵母作用を有する乳酸菌ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)としては、抗酵母作用に加えて、乳酸生産量が高く、好ましい品質特性のサイレージ発酵作用を有するものが良い。
具体例としては、本発明者らが分離し、(独)製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに国際寄託したラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)SBS−0006株(NITEBP−02208)、ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)SBS−0007株(NITE BP−02209)、ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)SBS−0009株(NITE BP−02210)が例示できる。

0018

上記の乳酸菌の培養は、通常の乳酸菌用の培地を用いて行うことができる。培地としては、乳酸菌の培養に用いられる培地であれば特に限定されない。例えばGYP培地、MRS培地を使用することができる。培養条件については特に限定されないが、通常、pH5.0〜7.0、25〜40℃、10〜48時間で培養することができる。培養した該乳酸菌は、培養液あるいは菌体を濃縮した濃縮液の状態で、サイレージを調製するための原料や、発酵終了後のサイレージまたはTMRなどの発酵飼料に添加することもできる。これらの液を凍結品として使用しても良い。また培養した乳酸菌を適当な保護剤基材とともに凍結乾燥噴霧乾燥流動層乾燥させた粉末の状態で、サイレージ調製用添加剤として使用することができる。乳酸菌の凍結乾燥粉末には、必要によりトレハロース炭酸カルシウム粉末などを添加することができる。またサイレージの発酵を促進するための公知の成分、例えばセルラーゼなどを添加することができる。

0019

本発明におけるサイレージ調製用添加剤は、様々なサイレージや発酵飼料の調製に使用することができる。サイレージや発酵飼料の調製に用いられる原料としては、通常飼料として利用されている原料であれば特に限定されるものではないが、例えば牧草や飼料作物としてアルファルファクローバーチモシーオーチャードグラスリードカナリーグラスシバムギ、イタリアンライグラスペレニアルライグラストールフェスクメドウフェスク、フェストロリウム、ケンタッキーブルーグラスレッドトップギニアグラスローズグラスネピアグラスエンバクオオムギライムギソルガムスーダングラスヒエトウモロコシ飼料イネなどや、トウモロコシやコメの子実主体のソフトグレインが挙げられる。食品製造副産物としてビール粕発泡酒粕、豆腐粕茶粕焼酎粕ウィスキー粕、ビートパルプ、バカスコーヒー粕ジュース粕ケール粕、デンプン粕などが挙げられる。農産副産物として稲ワラ、麦ワラ規格外野菜などが挙げられる。また、食品製造副産物、サイレージ、農産副産物、乾草濃厚飼料ビタミンミネラル製剤などを混合して調製する発酵TMRにも添加することができる。これらのサイレージや発酵飼料原料は水分を40〜90質量%に調節して使用することが望ましい。

0020

サイレージ調製用添加剤としての使用量は、添加する菌数は、合計で原料1gあたり103〜107個、好ましくは104〜106個になるように添加する。本発明においては、サイレージや発酵飼料に使われる牧草や飼料作物であれば特に限定されるものではないが、例えばアルファルファ、クローバー、チモシー、オーチャードグラス、リードカナリーグラス、シバムギ、イタリアンライグラス、ペレニアルライグラス、トールフェスク、メドウフェスク、フェストロリウム、ケンタッキーブルーグラス、レッドトップ、ギニアグラス、ローズグラス、ネピアグラスなどの牧草や、トウモロコシ、ソルガムなどの飼料作物が挙げられる。二次発酵を起こしやすいトウモロコシやソルガムを使用するのが望ましい。牧草や飼料作物の形態としては、刈り取った生草の状態で使用しても良いが、冷蔵冷凍保存したものでも良いし、通風乾燥、凍結乾燥した牧草を粉砕した乾燥粉末の状態で使用しても良い。また、飼料として流通しているルーサンペレットヘイキューブを利用しても良いし、トウモロコシやコメの子実が主体のソフトグレインを利用することも可能である。
サイレージや発酵飼料は、嫌気条件下で発酵させる。発酵用の容器は、嫌気状態がある程度保持できるものであれば特に限定されないが、例えばバンカーサイロスタックサイロトレンチサイロ、タワーサイロ、地下サイロブロックサイロ、カップサイロ、ロールベールフレコンバックなどが挙げられる。通常は外気温5〜30℃程度、好ましくは15〜25℃で1週間〜2ヶ月放置することで発酵させてサイレージとすることができる。

0021

本発明のサイレージ調製用添加物を用いて得られるサイレージや発酵飼料は、開封後の二次発酵が起きないため、牛の嗜好性、採食量が良好であり、飼料栄養価の低下が生じない。

0022

次に実施例、比較例を挙げてさらに本発明を説明する。なお、以下の記載は本発明を説明するためのものであって、本発明を実施例に限定するものでないことは言うまでもないことである。
<1.ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)の第1次選抜>
種苗株式会社において、サイレージから分離し、ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)であることを確認した乳酸菌株18株を用いた。雪印種苗株式会社での菌株名は次のとおりである。3、66、126、128、183、187、379、518、547、574、586、602、603、617、707、746、767、小田2。
(1)サイレージの調製
この18株を、GYP液体培地で培養し、1.5×109CFU/mLの培養液を調製し、これを凍結乾燥して、乳酸菌粉末を得た。これ用いて1次選抜試験を行った。
1次選抜試験は、採取し、サイレージ材料として冷凍保存しておいたデントコーン細切品300gに、既存のサイレージから分離した酵母培養液(7.0×108CFU/mL)を3mL添加し、さらに、上記の乳酸菌粉末30mgを100mLのイオン交換水に懸濁した液を1mL噴霧添加して混合後(1mg/kg相当)、これを100gずつ量してポリエチレン製パウチ袋に密封した(3反復)。この密封した袋をサイレージ調製条件である25℃で2ヶ月間保存した。

0023

(2)サイレージの品質
所定の期間経過後開封してサイレージを取り出し、pH、有機酸含量(HPLC)、乳酸菌数、酵母菌数を測定した。また、25℃の室温中で、開封後の品温上昇を測定しサイレージの二次発酵の指標である30℃に到達する時間を測定した。測定結果を下記の表1に示す。

0024

0025

表1に示すように、試験した18株のラクトバチルス・ディオリヴォランスは、サイレージ中に酢酸・プロピオン酸を産生し、酪酸を産生しない好ましい菌株であることが確認された。しかし冷凍保存したデントコーンを原料としたサイレージでは、酢酸が主体のサイレージとなったが、酵母抑制による二次発酵防止は確認できなかった。

0026

<2.ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)の第2次選抜>
前記の第1次選抜に使用したラクトバチルス・ディオリヴォランス18株を用い、デントコーンサイレージを調製し、開封後の二次発酵によって、30℃に到達するまでの時間を指標にして2次選抜を行った。
(1)サイレージの調製
デントコーン(黄熟期)を刈り取りクラッシャーを用いて細切し、さらに第1次選抜と同様に乳酸菌粉末をデントコーン1kgあたり1mg添加し、良く混合後1L容量の密封ボトルに800gを詰め込み、サイレージとした。サイレージの保管温度は25℃、発酵期間は10週間とした。

0027

(2)サイレージの品質変化による菌株の選別
所定の期間経過後開封して、サイレージを取り出し、開封後の品温変化を測定しサイレージの二次発酵の指標である30℃に到達する時間を測定し、二次発酵抑制する菌株を選択した。その結果、603株及び767株の2株が特に開封後のサイレージの品温を長時間(100時間以上)上昇させないことが確認された。また603株、767株のサイレージは酵母の増殖が抑制されていることが確認された。

0028

<3.767株から767S株及び767R株の分離>
767株をMRS平板培地継代したところ、コロニーの形状が円滑(スムース)なクローンとコロニー周縁が粗面(ラフ)なクローンに分離した。前者を767S、後者を767Rとした。
以降記載の試験はこの767S、767R、603の3株を対象として説明する。

0029

<4.酵母生育抑制試験>
767S、767R、603株は、サイレージ中において酵母の生育を抑制するとともに、酵母の純培養系において767S、767R、603株の菌の破砕物が増殖を抑制する。代表的な例を示して説明する。
(1)試験方法
1)乳酸菌の菌体破砕液の調製
MRS(Difco)液体培地コーン粉末10%煮汁培地を1:1で混合した。乳酸菌を接種し37℃5日間培養した。培養液10mLを15mLファルコンチューブ分注し、3500rpm×15分間遠心分離した。次いで上清廃棄し、沈殿部をPBS(−)で2回洗浄した。再度、3500rpm×15分間遠心分離し沈殿を、1mLのPBS(−)に懸濁した。水を入れた50mLファルコンチューブを氷冷バットに入れ、15mLファルコンチューブをその中に入れた状態で、超音波破砕機で5分間細胞を破砕した。3500rpm×5分間遠心分離を行ない、上清を0.2μmのメンブランフィルターでろ過滅菌し菌体破砕液を得た。試験用の乳酸菌抽出液とした。なお本試験を行った乳酸菌はサイレージ中で酵母の生育を抑制することが知られているLactobacillus paracasei 2347、Lactobacillus buchneri NK01、Lactococcus lactis TJ48(SBS0001)、そして上記で分離した767S、767R株である。

0030

2)酵母の生育抑制試験
Yeast Nitrogen Base(Difco)をpH4.0に調整し180μL、100mMの炭素源10μL、試験乳酸菌の菌体破砕液10μLを96wellマイクロプレートに分注し、PBS(−)で洗浄した酵母(YPD培地27℃48時間培養液、(酵母Pichia fermentans(以下「Pf」)、Issatchenkia orientalis(Candida krusei(以下「Ck」)を2μL添加した。炭素源は、Pfは乳酸、Ckは酢酸である。なお酵母はいずれも本発明者らがサイレージから分離し同定したものを用いた。
27℃で48時間好気培養し、ピペッティングで培養液を撹拌したのちO.D.600nmを測定し、酵母の生育抑制作用を評価した。

0031

(2)結果
酵母Pfの生育抑制試験結果を図1、酵母Ckの抑制試験結果を図2に示す。
767S、767R株の菌体破砕液は他の乳酸菌に比して明らかな酵母の生育を抑制することが確認できた。この試験が抗酵母作用のスクリーニングに使用できるものと判断した。
ついで、同様の試験をサイレージの品温上昇を抑制することで選抜した603株、547株について実施したところ、603株および547株も菌体破砕液が酵母の生育を顕著に抑制することが確認できた。この酵母抑制作用は、何らかの抗酵母作用を示す物質乳酸菌体内に産生することによるものであることが予想される。
このような抗酵母作用物質生産するラクトバチルス・ディオリヴォランスは従来まったく知られていなかった。
以上の試験結果から、本発明者らがサイレージから分離し、選抜したラクトバチルス・ディオリヴォランスは、良好なサイレージ発酵能力を有し、さらに抗酵母作用を有する新規な一群の微生物であることが確認された。
なお、本出願人によって767S株は、ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)SBS−0006株(NITEBP−02208)として、767R株はラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)SBS−0007株(NITE BP−02209)、603株は、ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)SBS−0009株(NITE BP−02210)として(独)製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに国際寄託された。

0032

<5.603株、547株、767S株、767R株の菌学的性質
上記603株、547株、767S株、767R株の4株は、ラクトバチルス・ディオリヴォランスに分類される。この4株のうち、さらにこれら4株の菌学的性質(糖資化性)をバージーズマニュアルに則って確認した。48時間培養と5日間培養で資化性に相違が認められた。下記表2に48時間培養後の資化性、表3に5日間培養の資化性を示す。なお表2は、ラクトバチルス・ディオリヴォランスの標準株であって、公開情報が提供されているJCM12183株(理化学研究所バイオリソースセンター提供株)の糖資化性と対比して示す。

0033

0034

0035

なお767Sおよび767R株は、ラクトースの資化性を有しており、基準株には認められなかったスクロースの資化性があることが確認された。また547株および603株は、ガラクトース及びグルコースの資化性が低いことが特徴の一つである。

0036

<6.ラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)の第3次選抜>
上記のとおり、第2次選抜でサイレージ中の酵母抑制から767S株、767R株を選抜した。この試験を再度、本発明者がサイレージから分離したラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)の保存株に適用し、抗酵母作用により第3次選抜をおこなった。試験に供した株は次のとおりである。
126、128、183、187、518、547、574、586、602、603、617、707、746、767S、767R、小田2の16株を対象とした。
(1)試験方法
1)乳酸菌の菌体破砕液の調製
上記の4.の試験と同様にLb.diolivoransのMRS培養液の100μLを、MRS(Difco)液体培地とコーン粉末10%煮汁培地を1:1で混合したものに接種し、5日間37℃で培養した。
培養液を3000G×15分間遠心分離し、上清を廃棄、沈殿物に1mLのPBS(−)を加え、氷冷化で超音波破砕機を用い、細胞を破砕した。破砕液を3000G×15分間遠心分離し、破砕液の上清は、0.22μmのメンブランフィルターを用い、ろ過滅菌した。
次いで96ウェルのマイクロプレートに、上記上清を10μL、0.1%のグルコースを含むYNB培地(pH4.0)を180μL、100mMの炭素源(乳酸、酢酸)を100μL加え、酵母のYPD培養液2μLを接種し、27℃で48時間培養した。乳酸を炭素源としたときは、酵母はPichia fermentans(Pf)を用い、酢酸を炭素源としたときは、酵母はIssatchenkia orientalis(Ck)を用いた。
培養終了後、各ウェルをピペッティングで十分に混合・撹拌し、マイクロプレートリーダーで600nmの波長吸光度を測定した。先の抗酵母試験から、乳酸培地・酢酸培地の両方において、吸光度0.35以下をスクリーニングした場合、抗酵母抑制作用ありと判定した。

0037

2)結果
乳酸(LA)を炭素源とした場合の抗酵母作用の評価(吸光度)を図3、酢酸(AA)を炭素源とした場合の抗酵母作用の評価(吸光度)を図4に示す。また、AAでの吸光度をX軸、LAでの吸光度をY軸として、散布図を作成した。この散布図を図5に示す。散布図とすることで、タイプの異なる酵母菌種に対する効果を同時に判断することができた。
図3図4図5から明らかなように、酵母の生育の指標である吸光度0.35以下となるラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)株として547、602、603、707、767S、767R株が選抜された。
さらに、下記に示す実施例を用いた試験結果から、Pf又はCkを試験酵母とすると抗酵母作用を有するラクトバチルス・ディオリヴォランス(Lactobacillus diolivorans)を選抜できることが判明した。すなわち、上記の抗酵母効果試験は、サイレージの開封後の二次発酵(品温上昇)抑制作用を有する乳酸菌の選抜方法として優れているものと判断できる。

0038

<6.767S株、767R株、603株、547株を用いたサイレージ添加剤の製造>
1.菌体の培養
乳酸菌の生育スピードなどを案して以下の実施例では767S株、767R株、603株、547株を用いてサイレージ添加剤を製造した。
下記の表4に示したグルコース・イーストエキスペプトン液体培地をpH5.5に調整したのちに、121℃15分間滅菌した。培地は、賦活培養用10mL、接種用8L、本培養用1600Lを各々調製した。
それぞれの菌のマイナス80℃保存菌体から、一白金耳を、賦活培養用培地に接種し、24時間37℃で培養した。培養終了後に、接種用8Lに賦活培養液を8mL接種し、24時間37℃で培養した。さらに、培養終了後、本培養用1600Lに、接種培養液を全量添加し、24時間37℃で培養した。

0039

培地組成

0040

2.菌体の凍結乾燥
本培養により菌体密度6.0×109CFU/mLの培養液1600Lを得た。培養液のすべてを、連続式遠心分離器遠心分離し、1.0×1011CFU/mLの菌体濃縮物40Lを得た。121℃15分間滅菌し放冷した80Lの15%トレハロース溶液に上記菌体濃縮物40Lを加え、15℃で30分間懸濁したのち、マイナス30℃で冷凍し、凍結乾燥まで保存した。凍結させた菌体を常法で凍結乾燥させた。得られた凍結乾燥粉末中の生菌数は、2.4×1011CFU/gであった。

0041

3.サイレージ調製用粉末の製造
回収した凍結乾燥粉末は、生菌数を測定後、2×1011CFU/gとなるようにトレハロース粉末を混合した。このようにして調製した767S株の粉末を以下実施例1、767R株の粉末を実施例2、603株の粉末を実施例3、547株の粉末を実施例4とする。
なお、この粉末は、サイレージ調製用粉末の原体ともなるものである。これをさらにトレハロース、炭酸カルシウムゼオライトなどの粉末で5〜1000倍希釈してサイレージ添加用剤とする。

0042

<7.サイレージ調製用粉末の効果試験(I)>
(1)試験品
実施例1〜4の粉末を用いてサイレージを調製し効果を確認した。
さらに比較例として雪印種苗株式会社が販売するサイレージ調製用乳酸菌製材「サイロSP」に用いているラクトバシラスブクネリNK−01株を同様にして調製したものを用いた。

0043

(2)サイレージの調製
トウモロコシサイレージを調製するに際し、実施例1〜4及び比較例の乳酸菌粉末をサイレージ原料当たり乳酸菌数106CFU/gになるように添加混合し、これを約800g、1L容量の試験ボトルに詰め込み、密封し25℃並びに15℃の2条件で2ヶ月間保存してサイレージを調製した。2ヵ月後開封して以下の試験を行った。なお試験用ボトルは、各例とも3本とした。

0044

(3)サイレージの品質試験
ボトル全てにおいて異常発酵したものは観察されなかった。サイレージ中のpH、乳酸量(LA)、酢酸量(AA)、コハク酸量(SA)を常法により測定し、サイレージとしての品質を評価した。また発酵臭良否も確認した。25℃の保存サイレージの品質を図6、15℃の保存サイレージの品質を図7に示す。
実施例1〜4の25℃保存サイレージはいずれも低pHを示し、比較例1、無添加に比して優れていた。またサイレージとしての好ましい臭いであり問題となる異常発酵を示さなかったことが確認された。
15℃保存サイレージは、実施例比較例とも品質に大きな相違はなかった。

0045

(4)開封後の二次発酵試験
開封後の30℃到達時間、開封直後酵母数、25℃保管品開封2日経過後の酵母数、15℃保管品開封3日後の酵母数
1)30℃到達時間
実施例、比較例、無添加のサイレージの30℃到達時間を測定した。測定結果は平均値及び標準偏差で示した。また各例のステューデントt検定により有意差検定を行った(有意水準:5%)。結果を下記の表5及び図8に示す。

0046

0047

表5及び図8に示すとおり、実施例のサイレージ添加用乳酸菌製剤を添加したサイレージはいずれも二次発酵を顕著に抑制した。またサイレージの好ましい調製温度である25℃保存においてその効果は著しく、比較例の約6倍の時間となった。本発明の実施例品はサイレージの二次発酵を抑制する作用を有していることが裏付けられた。
15℃保存のサイレージにおいては、比較例及び対照の無添加サイレージの二次発酵を約20時間上回った。

0048

2)25℃保管サイレージの開封直後及び開封2日後の酵母数
25℃に保管した実施例、比較例、無添加のサイレージの開封直後の酵母数及び開封後2日経過したサイレージの酵母数を測定した。測定結果は平均値及び標準偏差で示した。また各例のステューデントのt検定により有意差検定を行った(有意水準:5%)。結果を下記の表6に示す。

0049

0050

表6に示すとおり、実施例のサイレージ添加用乳酸菌製剤を添加したサイレージはいずれも開封直後の酵母数が比較例及び対照(無添加)の1/1000以下に抑制されていた。その結果開封2日後の酵母数には、対照及び比較例に比して1/100000以下に抑制されていた。

0051

3)15℃保管サイレージの開封直後及び開封3日後の酵母数
15℃に保管した実施例、比較例、無添加のサイレージの開封直後の酵母数及び開封後3日経過したサイレージの酵母数を測定した。測定結果は平均値及び標準偏差で示した。また各例のステューデントのt検定により有意差検定を行った(有意水準:5%)。結果を下記の表7に示す。

0052

0053

表7に示すとおり、実施例のサイレージ添加用乳酸菌製剤を添加したサイレージはいずれも比較例に比して抑制されていたがその効果はあまり大きなものではなかった。開封3日目の酵母数も同様であった。

0054

<8.サイレージ調製用粉末の効果試験(II)(15℃発酵サイレージの試験)>
低温時のサイレージ調製で発生する2次発酵について本発明品の抑制効果について再試験を実施した。
(1)試験品
実施例1〜3の粉末及び比較例1の粉末を用いてサイレージを調製し効果を確認した。
さらに比較例2として本発明に使用するラクトバチルス・ディオリヴォランスの標準株であるJCM12183株(理化学研究所バイオリソースセンター提供株)を同様にして調製したものを用いサイレージを調製した。

0055

(2)試験方法
サイレージの調製は、7.の試験と同様に実施し、低温地域のサイレージ発酵条件である15℃で2ヶ月間保存してサイレージを調製した。2ヵ月後開封して開封後の二次発酵試験を実施した。すなわち、開封後の30℃到達時間、を7.の試験と同様にして測定した。

実施例

0056

(3)試験結果
3本のボトルの30℃到達時間の平均値を図9に示す。
無添加、比較例1は約30時間で30℃に到達した。比較例2は39時間で30℃に到達した。一方実施例1〜3は30℃に到達するまで50時間以上経過する結果であった。すなわち、本発明のサイレージ添加剤は、低温で調製したサイレージの2次発酵を抑制し、その効果は、公知のサイレージ調製用菌株であるラクトバシラス・ブクネリNK−01株及びラクトバチルス・ディオリヴォランスの標準株であるJCM12183株よりも優れていた。
本発明によるサイレージ調製用乳酸菌製剤は、サイレージ中の酵母の増殖を抑制し、二次発酵によるサイレージ温度の上昇を抑制し、開封後のサイレージの品質低下を抑制する。特に低温発酵させたサイレージにおいても高い効果があることが確認できた。

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