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技術 デジタル情報伝送システムとその伝送装置および伝送方法

出願人 日本電信電話株式会社
発明者 小野孝太郎岡本健立道英俊高谷和宏
出願日 2016年3月11日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-048950
公開日 2017年9月14日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-163507
状態 特許登録済
技術分野 時分割多重化通信方式 有線伝送方式及び無線の等化,エコーの低減
主要キーワード カウントタイミング データ領域情報 波形計測 受信強度レベル 電磁妨害波 デジタル伝送信号 アナログ波 トレーニング動作
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年9月14日)のものです。
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図面 (10)

課題

妨害波発生状況に応じて特定データの送信タイミングを最適化し、妨害波が存在する環境下においてもスループットの高い情報伝送を行えるようにする。

解決手段

デジタル情報伝送に先立ち送信機1から同期用の信号波を送信して、受信機2が当該信号波をもとにタイムスロット同期を取る。そして、タイムスロットごとにバースト性電磁妨害波パラメータを検出し、その検出結果をもとに上記バースト性電磁妨害波による信号劣化を受けるタイムスロットと受けないタイムスロットを判定して、その判定結果をタイムスロットカウント情報として送信機1に通知する。送信機1は、デジタル情報を伝送する際に、上記通知されたタイムスロットカウント情報をもとに、バースト性電磁妨害波による信号劣化を受けないタイムスロットに情報伝送必須データであるIPヘッダ割り当て、スクランブル処理した後受信機2へ送信する。

概要

背景

金属線信号伝送路として使用するデジタル情報伝送ステムでは、他の通信放送に使用される電磁波や、周囲の電気電子機器から発せられる電磁波が信号伝送路上に混入し、伝導性電磁妨害波として、信号伝送路で伝達される電気信号に影響を与えることにより、伝送情報誤り欠落等の通信品質劣化が生じる場合がある。これを回避するため、一般的なデジタル情報伝送システムは、伝送する情報に生じた誤りを訂正する誤り検出訂正機能を備えている。

多くのデジタル情報伝送システムでは、送信側において通信端末により生成されたデータ(ユーザデータ)領域に誤り訂正用データ領域を付加して送信し、受信側において伝送途中で発生したビット誤りを上記誤り訂正用データを用いて訂正する、前方誤り訂正(Forward Error Correction : FEC)方式が採用されている。このため、誤り訂正用データ量を多くすると誤り訂正能力は高まるが、その反面、全伝送データ量に対する冗長データが増えることになるので、ユーザデータの送信レートは低下する。すなわち、デジタル情報伝送システムのスループットと、誤り訂正用データ量を増加させることによる誤り訂正能力の向上とは、トレードオフの関係にある。

例えば、無線LAN(Local Area Network)規格の一つであるIEEE802.11aでは、伝送単位である伝送フレームのうち、少なくとも1/4のデータ領域を誤り訂正符号用データ領域とする(符号化率を3/4以下にする)ことが規定されており、その結果、変調方式を考慮した伝送速度の最大値が72Mbps(bit per second)に対して、スループットは最大54Mbpsに抑制される。

デジタル情報伝送システムにおける、誤り訂正処理を含む伝送フレームの送受信技術については、例えばADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)に関するものが非特許文献1に開示されている。

すなわち、ADSLを使用したシステムでは、サーバなどの情報送信装置から送信されるデジタル情報がADSL送信機に入力されると、当該ADSL送信機が、上記デジタル情報に対しCRC(Cyclic Redundancy Check)符号化、リードソロモン(Reed-Solomon Code: RS)符号化、スクランブル処理トレリス符号化QAM(Quadrature Amplitude Modulation)とIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)を含むDMT(Discrete Multi-tone)変調、CP(Cyclic Prefix)付加処理が順次行われた後、AFE(Analog Front End)処理によってアナログ信号に変換され、電気信号として伝送路へ送信される。

一方、ADSL受信機では、伝送路を介して伝送された電気信号(アナログ多重波)が先ずAFE処理によりデジタル信号に変換され、TEQ(Time domain Equalizer)により時間軸上の波形等化が行われる。続いて、CP削除、FFTによるDMTの復調処理が行われた後、周波数軸上の波形等化処理FEQ(Frequency domain Equalizer)が施される。上記DMTの復調処理に含まれるQAM復調過程では、アナログ多重波の各周波数成分から検出された受信信号の各QAM星座点からのユークリッド距離情報が算出され、これがビタビ復号器へ渡される。ビタビ復号器では、上記ユークリッド距離情報に基づいて受信信号のシンボル判定が行われる。以後、デスクランブル処理およびRS復号処理が行われた後、CRCによりシンボル判定後の情報に誤りがないかどうかが検査され、誤りがなければパーソナルコンピュータ等の情報受信装置に送られる。これに対し、上記誤り訂正処理により訂正し切れなかった情報が所定の割合で残存している場合には、一般にその情報は破棄される。

ところで、以上のようなADSLデジタル情報伝送システムを用いて、Ethernet(登録商標フレーム等のフレームデータを伝送しようとすると、送信信号波と電磁妨害波との間には以下のような関係が生じる。図9にその関係を示す。

すなわち、サーバ等の情報送信装置で生成されるEthernetフレームは、図9の(a)に示すように、ユーザデータ領域にIP(Internet Protocol)ヘッダを付加してIPパケットを生成し、当該IPパケットのヘッダにMAC(Media Access Control)ヘッダを、フッダにFCS(Frame Check Sequence)をそれぞれ付加したものとなっている。なお、図9には明示していないが、ユーザデータ領域には、TCP(Transmission Control Protocol)ヘッダやHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)ヘッダ等の、IPよりも上位レイヤに属するプロトコルに関するデータが含まれる。

上記EthernetフレームがADSL送信機に入力されると、ADSL送信機では、先ず入力フレームからMACヘッダとFCSが取り除かれ、図9の(b)に示すように所定の数の中間フレームに分割される。中間フレームのサイズは、1回のデジタル変調で生成して伝送路へ送出される伝送フレームのサイズから決定される。この伝送フレームのサイズは、ADSLにおいてはリンク確立の際のトレーニングによって決定される。続いて、上記分割された各中間フレームが連結されたデータ構造に対し、誤り訂正用データ領域(FEC )が付加される。このFEC のデータサイズも伝送フレームのサイズに応じて決定される。そして、図9の(b)に示すフレーム構造全体は図9の(c)に示すように所定のデータサイズに分割され、さらに分割された各々のデータ領域が所定の方法によって配列順序組み替えられる。つまりスクランブル化される。従って、図9の(a)に示したIPヘッダ情報およびデータ領域情報と、図9の(b)に示したFECデータは、図9の(c)に示したデータ構造において断片化されたものとなる。

次に、上記図9の(c)に示したデータは、図9の(d)に示すように元の出力フレームのサイズに再分割される。このとき、各出力フレーム内部のデータ構造はバイト単位で組み替えられる。そして、図9の(d)に示した各出力フレームのデータ(ビット)は、図9の(e)に示すように、ADSLのサブキャリアである所定の複数のビン割り当てられる。図9の(e)においては、横軸周波数で、図9の(d)で示した4つの連続した出力フレーム1〜4が、図9の(e)に示す周波数帯域幅fw内の各ビンに順次割り当てられる態様を示している。fwは、ADSLの下り伝送の場合、138kHzから2208kHzであり、1ビン当たり約4kHzの帯域幅の478個のビンで構成される。

各ビンに割り当てられたビットの構造に応じてQAM処理された後、各ビンの周波数をキャリア周波数とするキャリア信号波(多重アナログ波)が図9の(f)に示すように生成され、送信機から伝送路へ送出される。図9の(f)の横軸は時間である。出力フレーム送信時間間隔は各出力フレームの変調時間間隔であり、シンボル長と呼ばれるが、以後変調タイムスロット(Ts)と呼ぶ。

図9の(g)は、図9の(d)の4つの出力フレームが連続して順次図9の(f)の各信号波形として伝送路を伝播する際に、これを妨害するバースト性妨害波波形例を示す。ここで、図9の(f)と図9の(g)の時間軸は同じものであり、バースト性妨害波の強度が図9の(g)の波線で示した「信号劣化を生じる強度レベル」を超える周波数成分を含む場合、この周波数成分と同じキャリア周波数によって伝送される信号波形成分が干渉を受け、その結果、受信機においてこの信号波形成分に割り当てられたビット情報を読み出す際に誤りが発生する。図9の(g)に示すバースト性妨害波には、時間T1、T3、T4には信号劣化を生じる強度レベルを超える周波数成分があるため、図9の(d)の出力フレーム1、3、4の一部にビット誤りが生じることになる。

概要

妨害波の発生状況に応じて特定データの送信タイミングを最適化し、妨害波が存在する環境下においてもスループットの高い情報伝送を行えるようにする。デジタル情報の伝送に先立ち、送信機1から同期用の信号波を送信して、受信機2が当該信号波をもとにタイムスロット同期を取る。そして、タイムスロットごとにバースト性電磁妨害波のパラメータを検出し、その検出結果をもとに上記バースト性電磁妨害波による信号劣化を受けるタイムスロットと受けないタイムスロットを判定して、その判定結果をタイムスロットカウント情報として送信機1に通知する。送信機1は、デジタル情報を伝送する際に、上記通知されたタイムスロットカウント情報をもとに、バースト性電磁妨害波による信号劣化を受けないタイムスロットに情報伝送必須データであるIPヘッダを割り当て、スクランブル処理した後受信機2へ送信する。

目的

この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、妨害波の発生状況に応じて特定データの送信タイミングを最適化できるようにし、これにより妨害波が存在する環境下においてもスループットの高い情報伝送を行えるようにした、デジタル情報伝送システムとその伝送装置および伝送方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

第1の伝送装置から第2の伝送装置へ、妨害波の影響を受ける信号伝送路を介してデジタル情報伝送するデジタル情報伝送システムであって、前記第2の伝送装置は、前記デジタル情報の伝送に先立ち、当該デジタル情報の伝送に使用するタイムスロットごとに前記妨害波の発生状況を検出する手段と、前記妨害波の発生状況の検出結果をもとに、前記タイムスロットごとに前記妨害波の影響が所定値より小さいか否かを判定し、その判定結果を表す情報を前記第1の伝送装置へ通知する手段とを備え、前記第1の伝送装置は、前記第2の伝送装置から通知された前記判定結果を表す情報に基づいて、前記妨害波の影響が所定値より小さいタイムスロットに対し、前記デジタル情報を構成する複数のデータのうちの特定のデータを優先的に割り当てるアロケーション手段と、前記アロケーション手段により割り当て処理された後の前記デジタル情報を、前記信号伝送路を介して前記第2の伝送装置へ送信する手段とを備え、前記第2の伝送装置は、前記第1の伝送装置から伝送された、前記割り当て処理された後のデジタル情報を受信する手段と、前記受信された割り当て処理された後のデジタル情報を、前記判定結果を表す情報に基づいて再生する手段とを備えることを特徴とするデジタル情報伝送システム。

請求項2

前記妨害波の発生状況を検出する手段は、前記第1の伝送装置から送信されるタイムスロット同期用信号波を受信し、当該タイムスロット同期用信号波をトリガとして前記タイムスロットごとに前記妨害波の強度、継続時間および周波数成分を含む妨害波パラメータを検出することを特徴とする請求項1に記載のデジタル情報伝送システム。

請求項3

前記アロケーション手段は、前記妨害波の影響が所定値未満のタイムスロットに対し、前記デジタル情報のヘッダ情報を割り当てることを特徴とする請求項1または2に記載のデジタル情報伝送システム。

請求項4

複数の伝送装置間で、妨害波の影響を受ける信号伝送路を介してデジタル情報を伝送するデジタル情報伝送システムで使用される前記伝送装置であって、前記デジタル情報の伝送に先立ち、当該デジタル情報の伝送に使用するタイムスロットごとに前記妨害波の発生状況を検出する手段と、前記妨害波の発生状況の検出結果をもとに、前記タイムスロットごとに前記妨害波の影響が所定値より小さいか否かを判定する手段と、前記判定結果を表す情報に基づいて、前記妨害波の影響が所定値より小さいタイムスロットに対し、前記デジタル情報を構成する複数のデータのうちの特定のデータを優先的に割り当てるアロケーション手段と、前記アロケーション手段により割り当て処理された後の前記デジタル情報を、前記信号伝送路を介して受信側の伝送装置へ送信する手段と、送信側の伝送装置から前記割り当て処理された後のデジタル情報を受信した場合に、当該受信されたデジタル情報を、前記判定結果を表す情報に基づいて再生する手段とを具備することを特徴とする伝送装置。

請求項5

前記妨害波の発生状況を検出する手段は、送信側の伝送装置から送信されるタイムスロット同期用信号波を受信し、当該タイムスロット同期用信号波をトリガとして前記タイムスロットごとに前記妨害波の強度、継続時間および周波数成分を含む妨害波パラメータを検出することを特徴とする請求項4に記載の伝送装置。

請求項6

前記アロケーション手段は、前記妨害波の影響が所定値未満のタイムスロットに対し、前記デジタル情報のヘッダ情報を割り当てることを特徴とする請求項4または5に記載の伝送装置。

請求項7

第1の伝送装置から第2の伝送装置へ、妨害波の影響を受ける信号伝送路を介してデジタル情報を伝送するデジタル情報伝送システムにより実行されるデジタル情報伝送方法であって、前記第2の伝送装置が、前記デジタル情報の伝送に先立ち、当該デジタル情報の伝送に使用するタイムスロットごとに前記妨害波の発生状況を検出する過程と、前記第2の伝送装置が、前記検出された妨害波の発生状況をもとに、前記タイムスロットごとに前記妨害波の影響が所定値より小さいか否かを判定し、その判定結果を表す情報を前記第1の伝送装置へ通知する過程と、前記第1の伝送装置が、前記第2の伝送装置から通知された前記判定結果を表す情報に基づいて、前記妨害波の影響が所定値より小さいタイムスロットに対し、前記デジタル情報を構成する複数のデータのうちの特定のデータを優先的に割り当てる過程と、前記第1の伝送装置が、前記割り当て処理された後の前記デジタル情報を、前記信号伝送路を介して前記第2の伝送装置へ送信する過程と、前記第2の伝送装置が、前記第1の伝送装置から伝送された、前記割り当て処理された後のデジタル情報を受信する過程と、前記第2の伝送装置が、前記受信された割り当て処理された後のデジタル情報を、前記判定結果を表す情報に基づいて再生する過程とを具備することを特徴とするデジタル情報伝送方法。

技術分野

0001

この発明は、外部から通信線路妨害波混入する環境下で使用されるデジタル情報伝送ステムと、このシステムで使用される伝送装置および伝送方法に関する。

背景技術

0002

金属線信号伝送路として使用するデジタル情報伝送システムでは、他の通信放送に使用される電磁波や、周囲の電気電子機器から発せられる電磁波が信号伝送路上に混入し、伝導性電磁妨害波として、信号伝送路で伝達される電気信号に影響を与えることにより、伝送情報誤り欠落等の通信品質劣化が生じる場合がある。これを回避するため、一般的なデジタル情報伝送システムは、伝送する情報に生じた誤りを訂正する誤り検出訂正機能を備えている。

0003

多くのデジタル情報伝送システムでは、送信側において通信端末により生成されたデータ(ユーザデータ)領域に誤り訂正用データ領域を付加して送信し、受信側において伝送途中で発生したビット誤りを上記誤り訂正用データを用いて訂正する、前方誤り訂正(Forward Error Correction : FEC)方式が採用されている。このため、誤り訂正用データ量を多くすると誤り訂正能力は高まるが、その反面、全伝送データ量に対する冗長データが増えることになるので、ユーザデータの送信レートは低下する。すなわち、デジタル情報伝送システムのスループットと、誤り訂正用データ量を増加させることによる誤り訂正能力の向上とは、トレードオフの関係にある。

0004

例えば、無線LAN(Local Area Network)規格の一つであるIEEE802.11aでは、伝送単位である伝送フレームのうち、少なくとも1/4のデータ領域を誤り訂正符号用データ領域とする(符号化率を3/4以下にする)ことが規定されており、その結果、変調方式を考慮した伝送速度の最大値が72Mbps(bit per second)に対して、スループットは最大54Mbpsに抑制される。

0005

デジタル情報伝送システムにおける、誤り訂正処理を含む伝送フレームの送受信技術については、例えばADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)に関するものが非特許文献1に開示されている。

0006

すなわち、ADSLを使用したシステムでは、サーバなどの情報送信装置から送信されるデジタル情報がADSL送信機に入力されると、当該ADSL送信機が、上記デジタル情報に対しCRC(Cyclic Redundancy Check)符号化、リードソロモン(Reed-Solomon Code: RS)符号化、スクランブル処理トレリス符号化QAM(Quadrature Amplitude Modulation)とIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)を含むDMT(Discrete Multi-tone)変調、CP(Cyclic Prefix)付加処理が順次行われた後、AFE(Analog Front End)処理によってアナログ信号に変換され、電気信号として伝送路へ送信される。

0007

一方、ADSL受信機では、伝送路を介して伝送された電気信号(アナログ多重波)が先ずAFE処理によりデジタル信号に変換され、TEQ(Time domain Equalizer)により時間軸上の波形等化が行われる。続いて、CP削除、FFTによるDMTの復調処理が行われた後、周波数軸上の波形等化処理FEQ(Frequency domain Equalizer)が施される。上記DMTの復調処理に含まれるQAM復調過程では、アナログ多重波の各周波数成分から検出された受信信号の各QAM星座点からのユークリッド距離情報が算出され、これがビタビ復号器へ渡される。ビタビ復号器では、上記ユークリッド距離情報に基づいて受信信号のシンボル判定が行われる。以後、デスクランブル処理およびRS復号処理が行われた後、CRCによりシンボル判定後の情報に誤りがないかどうかが検査され、誤りがなければパーソナルコンピュータ等の情報受信装置に送られる。これに対し、上記誤り訂正処理により訂正し切れなかった情報が所定の割合で残存している場合には、一般にその情報は破棄される。

0008

ところで、以上のようなADSLデジタル情報伝送システムを用いて、Ethernet(登録商標フレーム等のフレームデータを伝送しようとすると、送信信号波と電磁妨害波との間には以下のような関係が生じる。図9にその関係を示す。

0009

すなわち、サーバ等の情報送信装置で生成されるEthernetフレームは、図9の(a)に示すように、ユーザデータ領域にIP(Internet Protocol)ヘッダを付加してIPパケットを生成し、当該IPパケットのヘッダにMAC(Media Access Control)ヘッダを、フッダにFCS(Frame Check Sequence)をそれぞれ付加したものとなっている。なお、図9には明示していないが、ユーザデータ領域には、TCP(Transmission Control Protocol)ヘッダやHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)ヘッダ等の、IPよりも上位レイヤに属するプロトコルに関するデータが含まれる。

0010

上記EthernetフレームがADSL送信機に入力されると、ADSL送信機では、先ず入力フレームからMACヘッダとFCSが取り除かれ、図9の(b)に示すように所定の数の中間フレームに分割される。中間フレームのサイズは、1回のデジタル変調で生成して伝送路へ送出される伝送フレームのサイズから決定される。この伝送フレームのサイズは、ADSLにおいてはリンク確立の際のトレーニングによって決定される。続いて、上記分割された各中間フレームが連結されたデータ構造に対し、誤り訂正用データ領域(FEC )が付加される。このFEC のデータサイズも伝送フレームのサイズに応じて決定される。そして、図9の(b)に示すフレーム構造全体は図9の(c)に示すように所定のデータサイズに分割され、さらに分割された各々のデータ領域が所定の方法によって配列順序組み替えられる。つまりスクランブル化される。従って、図9の(a)に示したIPヘッダ情報およびデータ領域情報と、図9の(b)に示したFECデータは、図9の(c)に示したデータ構造において断片化されたものとなる。

0011

次に、上記図9の(c)に示したデータは、図9の(d)に示すように元の出力フレームのサイズに再分割される。このとき、各出力フレーム内部のデータ構造はバイト単位で組み替えられる。そして、図9の(d)に示した各出力フレームのデータ(ビット)は、図9の(e)に示すように、ADSLのサブキャリアである所定の複数のビン割り当てられる。図9の(e)においては、横軸周波数で、図9の(d)で示した4つの連続した出力フレーム1〜4が、図9の(e)に示す周波数帯域幅fw内の各ビンに順次割り当てられる態様を示している。fwは、ADSLの下り伝送の場合、138kHzから2208kHzであり、1ビン当たり約4kHzの帯域幅の478個のビンで構成される。

0012

各ビンに割り当てられたビットの構造に応じてQAM処理された後、各ビンの周波数をキャリア周波数とするキャリア信号波(多重アナログ波)が図9の(f)に示すように生成され、送信機から伝送路へ送出される。図9の(f)の横軸は時間である。出力フレーム送信時間間隔は各出力フレームの変調時間間隔であり、シンボル長と呼ばれるが、以後変調タイムスロット(Ts)と呼ぶ。

0013

図9の(g)は、図9の(d)の4つの出力フレームが連続して順次図9の(f)の各信号波形として伝送路を伝播する際に、これを妨害するバースト性妨害波の波形例を示す。ここで、図9の(f)と図9の(g)の時間軸は同じものであり、バースト性妨害波の強度が図9の(g)の波線で示した「信号劣化を生じる強度レベル」を超える周波数成分を含む場合、この周波数成分と同じキャリア周波数によって伝送される信号波形成分が干渉を受け、その結果、受信機においてこの信号波形成分に割り当てられたビット情報を読み出す際に誤りが発生する。図9の(g)に示すバースト性妨害波には、時間T1、T3、T4には信号劣化を生じる強度レベルを超える周波数成分があるため、図9の(d)の出力フレーム1、3、4の一部にビット誤りが生じることになる。

先行技術

0014

湯浅重数、浅修一朗、「小さな箱の中に先端技術がいっぱいADSLモデムの内部を解き明かす」、日経NETWORK、pp. 194-199、2002. 08。

発明が解決しようとする課題

0015

以上述べたように、ADSLのような従来のデジタル情報伝送システムにおいては、出力フレームのどのデータ領域に電磁妨害波によるバースト誤りが発生しても誤り訂正を可能にする必要があるため、これに必要なFECのデータ領域を確保している。加えて、図9の(c)において述べたように、IPヘッダ情報、データ領域情報およびFECデータを断片化し、これらの断片化されたデータが全フレームに分散されるようにスクランブル化している。

0016

しかし、実環境下で発生する電磁妨害波は、信号劣化を生じる強度レベルのものが常時発生しているわけではなく、図9の(g)に示すように、信号劣化を生じる強度レベルを一部に含むバースト性妨害波が不規則に発生する場合がほとんどである。従って、図9の(c)と図9の(g)の対比から分かるように、信号劣化を生じる強度レベルを有しない微弱な電磁波が存在する時間T2に送信される図9の(d)の出力フレーム2は、情報誤りを発生することはない。一方、信号劣化を生じる強度レベルを有する電磁波が存在する時間T1、T3、T4に送信される図9の(d)の出力フレーム1、3、4は、誤り訂正が行われたとしても、必ずしも元のデータが完全に復元されるとは限らない。例として、仮に出力フレーム1、3、4に存在するIPヘッダに関するデータが修復不可能なほどに破損した場合、つまりIPヘッダの一部のデータ構造が破損された状態で、受信機から転送先ルータ等の通信機器へフレームを転送できたとしても、その通信機器から先へはIPパケットの転送はできなくなる。その結果、情報端末間で非到達のIPパケットの再送処理を行わざるを得ず、情報端末間でのスループットが低下してしまう。上述のIPヘッダの不完全修復に限らず、その上位レイヤプロトコルで使用するTCPヘッダHTTPヘッダに関しても同様である。

0017

以上のように、従来のデジタル情報伝送システムでは、フレーム処理において、電磁妨害波の継続時間発生頻度とは関係なく、かつ、IPヘッダを含むフレーム(パケット)転送において、データ領域の重要度とは関係なくスクランブル化されるので、その結果、情報端末間のスループットの低下を生じるという課題を有していた。

0018

この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、妨害波の発生状況に応じて特定データの送信タイミングを最適化できるようにし、これにより妨害波が存在する環境下においてもスループットの高い情報伝送を行えるようにした、デジタル情報伝送システムとその伝送装置および伝送方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0019

上記課題を解決するためにこの発明の第1の態様は、第1の伝送装置から第2の伝送装置へ、妨害波の影響を受ける信号伝送路を介してデジタル情報を伝送する際に、先ず第2の伝送装置において、上記デジタル情報の伝送に先立ち当該デジタル情報の伝送に使用するタイムスロットごとに上記妨害波の発生状況を検出し、当該検出された妨害波の発生状況をもとに、上記タイムスロットごとに上記妨害波の影響が所定値より小さいか否か判定してその判定結果を表す情報を第1の伝送装置へ通知する。そして、第1の伝送装置において、上記第2の伝送装置から通知された上記判定結果を表す情報に基づいて、上記妨害波の影響が所定値より小さいタイムスロットに対し上記デジタル情報を構成する複数のデータのうちの特定のデータを優先的に割り当てる処理を行い、当該割り当て処理後の上記デジタル情報を上記信号伝送路を介して上記第2の伝送装置へ送信する。そして、上記第2の伝送装置において、上記第1の伝送装置から伝送された、上記割当処理された後のデジタル情報を受信し、当該受信された割り当て処理された後のデジタル情報を上記判定結果を表す情報に基づいて再生するようにしたものである。

0020

この発明の第2の態様は、上記妨害波の発生状況を検出する際に、第1の伝送装置から送信されるタイムスロット同期用信号波を受信し、当該タイムスロット同期用信号波をトリガとして上記タイムスロットごとに上記妨害波の強度、継続時間および周波数成分を含む妨害波パラメータを検出するようにしたものである。

0021

この発明の第3の態様は、上記妨害波の影響が所定値未満のタイムスロットに対し、上記デジタル情報を構成する複数のデータのうち伝送に必須のヘッダ情報を割り当てるようにしたものである。

発明の効果

0022

この発明の第1の態様によれば、デジタル情報の伝送に先立ち、妨害波によって信号劣化を受けるタイムスロットと受けないタイムスロットが判定され、信号劣化を受けないと判定されたタイムスロットに対し、デジタル情報を構成する複数のデータのうちの特定のデータが優先的に割り当てられる。このため、第1の伝送装置から第2の伝送装置へデジタル情報を伝送する際に、デジタル情報のうち重要度の高いデータを、妨害波の影響を受けると推定される期間を避けて伝送することが可能となる。

0023

この発明の第2の態様によれば、送信側となる第1の伝送装置から送られる同期用信号波により受信側の第2の伝送装置においてタイムスロット同期を取り、タイムスロットごとに妨害波の強度、継続時間および周波数成分を含む妨害波パラメータを検出するようにしたので、妨害波により影響を受ける期間をより正確に判定することが可能となる。

0024

この発明の第3の態様によれば、上記アロケーションに際し、妨害波の影響が所定値未満のタイムスロットにデジタル情報のヘッダ情報が割り当てられる。このため、デジタル情報の伝送に必須のヘッダ情報を、妨害波による影響を受けると推定される期間を避けて伝送することが可能となり、これによりデジタル情報の再送処理の回数を減らして、妨害波によるスループットの低下を抑制することが可能となる。

0025

すなわちこの発明の各態様によれば、妨害波の発生状況に応じて特定データの送信タイミングを最適化することができ、これにより妨害波が存在する環境下においてもスループットの高い情報伝送を行えるようにした、デジタル情報伝送システムとその伝送装置および伝送方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0026

この発明の一実施形態に係るデジタル情報伝送システムのハードウェア構成を示すブロック図。
この発明の一実施形態に係るデジタル情報伝送システムの特徴的な機能を示すブロック図。
図1および図2に示したデジタル情報伝送システムにおける送受信シーケンスを示す図。
図1および図2に示したデジタル情報伝送システムの送信機および受信機によるトレーニング期間における処理手順処理内容を示すフローチャート
変調タイミングと同期した電磁妨害波の波形計測動作を説明するための図。
図1および図2に示したデジタル情報伝送システムの送信機および受信機によるデジタル情報伝送期間における処理手順と処理内容を示すフローチャート。
図1および図2に示したデジタル情報伝送システムの送信機および受信機による処理手順と処理内容をより詳しく示した図。
情報転送用必須データ領域(IPヘッダ)の特定フレームへの割当動作を説明するための図。
従来のシステムにおける入力フレームの処理内容と電磁妨害との関係を示す図。

実施例

0027

以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[一実施形態]
(構成)
図1は、この発明の一実施形態に係るデジタル情報伝送システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
一実施形態に係るデジタル伝送システムは、ADSLデジタル伝送システムからなり、第1の伝送装置としての送信機1と、第2の伝送装置としての受信機2との間で、メタリック信号ケーブルからなる通信線3を介してデジタル情報の伝送を可能にしたものである。通信方式としては、複数のサブキャリア(ビン)を使用するマルチキャリア通信方式が用いられる。

0028

なお、図1では簡単のため送信機1から受信機2に向けてデジタル情報を一方向に伝送する場合を例にとって説明するが、送信機能受信機能を備えた伝送装置間でデジタル情報を双方向に伝送する場合も、この発明に含まれる。

0029

送信機1および受信機2は、いずれもEthernet(登録商標)を用いたLAN(Local Area Network)に接続される。そして送信機1は、当該LANを介して図示しないパーソナルコンピュータやサーバ等の電子機器から伝送されたEthernetフレームからなる送信データアナログ伝送信号に変換して通信線3へ送信し、受信機2は上記通信線3から受信したアナログ伝送信号をEthernetフレームの受信データに変換した後、LANを介して図示しないパーソナルコンピュータやサーバ等の電子機器へ転送する。

0030

送信機1および受信機2は、ハードウェアとして、いずれもLAN-IF(LAN-Interface)11,12と、CPU(Central Processing Unit)12,22と、DSP(Digital Signal Processor)13,23と、メモリ14,24と、AFE(Analog Front End)15,25を備えている。LAN-IF11,21は、図示しないパーソナルコンピュータやサーバ等の電子機器との間でLANを介してEthernetフレームからなるデータを送受信する。AFE15,25は、送信データをD/Aコンバータによりアナログ伝送信号に変換して通信線3へ送信すると共に、通信線3から受信したアナログ伝送信号をA/D コンバータによりデジタル伝送信号に変換した後、時間軸上の波形等化処理(TEQ)を行う。

0031

DSP13,23は、基本的な機能として、変復調部および誤り訂正符号化復号部を備えている。送信機1として動作する場合、誤り訂正符号化復号部は、CPU12から出力された送信データに対し、誤り検出および誤り訂正のための符号化処理を行う。変復調部は、上記誤り検出および誤り訂正のための符号化処理後の送信データに対し、デジタル変調処理とCP(Cyclic Prefix)の付加処理を行う。

0032

一方、受信機2として機能する場合、変復調部は、上記AFE25から出力されたデジタル伝送信号からCPを削除した後、サブキャリアごとに復調処理を行い、さらに周波数軸上の波形等化処理(FEQ)を行った後、デジタル復調をして受信ベースバンド信号を復元する。誤り訂正符号化復号部は、上記復調処理により得られた受信ベースバンド信号に対し、誤り訂正復号処理誤り検出処理を行い、その処理後の受信データをCPU22へ出力する。

0033

CPU12,22は、基本的な機能として、LANを介して図示しないパーソナルコンピュータやサーバ等の電子機器との間でEthernetフレームからなるデータを送受信するための制御機能と、DSP13,23との間のデータ転送機能を有する。

0034

ところで、CPU12,22およびDSP13,23は、上記基本的な機能に加え、一実施形態を実現するために必要な次のような新たな機能を備えている。図2はその機能構成を示すブロック図である。

0035

すなわち、送信機1の機能としてCPU12は、タイムスロットカウントタイミング同期用信号送信部121と、タイムスロットカウント情報受信部122とを有している。タイムスロットカウントタイミング同期用信号送信部121は、デジタル情報の伝送に先立つトレーニング期間において、受信機2との間でタイムスロットを同期させるための信号波を送信する。タイムスロットカウント情報受信部122は、上記トレーニング期間において受信機2から通知されるタイムスロットカウント情報を受信して、メモリ14に格納する。

0036

また送信機1として機能するためにDSP13は、デジタル情報伝送処理部131の新たな機能として、アロケーション処理部132と、スクランブル処理部133とを有している。アロケーション処理部132は、デジタル情報を伝送する際に、上記トレーニング期間に上記受信機2から通知されたタイムスロットカウント情報をもとに、バースト性電磁妨害波の影響が所定レベル未満のタイムスロットに、送信データの情報伝送必須データであるIPヘッダを割り当てるアロケーション処理を行う。スクランブル処理部133は、上記タイムスロットカウント情報をもとに、上記アロケーション処理後の情報伝送必須データを、信号劣化を受けないようにスクランブル処理する。

0037

一方、受信機2として機能するために、CPU22はタイムスロットカウント部221と、電磁妨害波パラメータ抽出部222と、タイムスロットカウント情報算出部223と、タイムスロットカウント情報通知部224とを有している。

0038

タイムスロットカウント部221は、トレーニング期間において、上記送信機1から送信されたタイムスロットカウントタイミング同期用の信号波をトリガとして、タイムスロットごとに通信線3上に存在する電磁妨害波を検出する。電磁妨害波パラメータ抽出部222は、上記タイムスロットカウント部221による電磁妨害波の検出結果をもとに、サブキャリアごとに電磁妨害波の強度、継続時間および周波数成分を抽出し、その抽出結果を電磁妨害波パラメータとしてメモリ24に格納する。

0039

タイムスロットカウント情報算出部223は、上記メモリ24に格納された電磁妨害波パラメータをもとに、信号劣化を受けるタイムスロットと受けないタイムスロットを判定し、その判定結果をタイムスロットカウント情報としてメモリ24に格納する。タイムスロットカウント情報通知部224は、上記メモリ24に格納されたタイムスロットカウント情報を通信線3を介して送信機1に通知する。

0040

また、受信機2として機能するためにDSP23は、デジタル情報伝送処理部231の一つの機能として、デスクランブル処理部232を有する。デスクランブル処理部232は、ビタビ復号により受信信号のシンボル判定が行われた後の受信ベースバンド信号に対し、メモリ24に格納されているタイムスロットカウント情報を参考にデスクランブル処理を行う。

0041

(動作)
以上のように構成されたデジタル情報伝送システムの動作を説明する。
図3は、送信機1および受信機2の処理手順の概要を示すシーケンス図である。
図3に示すように、先ずトレーニング期間において、受信機2により、送信機1から送信されるタイムスロットカウントタイミング同期用の信号波をもとにタイムスロットをカウントする処理と、電磁妨害波パラメータの検出処理と、電磁妨害波による信号劣化の有無をタイムスロットごとに判定する処理が行われる(ステップS41)。続いてデジタル情報の伝送期間において、送信機1により、情報伝送必須データのアロケーション処理と、スクランブル処理が行われ(ステップS42,S43)、受信機2により受信データのデスクランブル処理とフレーム再構成処理が行われる(ステップS44,S45)。

0042

次に、以上述べた動作をさらに詳しく説明する。
(1)トレーニング期間の動作
デジタル情報の伝送に先立ち送信機1および受信機2は、トレーニング動作を以下のように実行する。図4はその処理手順と処理内容の詳細を示すフローチャートである。
先ず送信機1は、ステップS51によりタイムスロットカウントタイミング同期用の信号波を生成し、当該信号波を通信相手となる受信機2に向け通信線3へ送信する。このタイムスロットカウントタイミング同期用信号波の波形の一例を、図5のタイムスロットTs00に示す。

0043

これに対し受信機2は、上記タイムスロットカウントタイミング同期用の信号波を受信すると、先ずステップS52によりタイムスロットカウント部221が、上記信号波をトリガとして変調タイムスロットのカウントを開始する。そして、ステップS53により電磁妨害波パラメータ抽出部222が、上記タイムスロットTs00に続く所定のタイムスロット数分の時間(例えば図5のTs11〜Ts16)において、通信線3により伝播される電磁妨害波の周波数成分、受信強度レベルおよび継続時間をそれぞれ計測し、その計測結果を電磁妨害波パラメータとしてメモリ14に格納する(ステップS54)。

0044

続いて受信機2は、ステップS55によりタイムスロットカウント情報算出部223が、上記電磁妨害波パラメータをもとに信号劣化を受けるタイムスロットと受けないタイムスロットを判定する。例えば、電磁妨害波の受信強度レベルを予め設定した閾値と比較し、受信強度レベルが閾値を以上となったタイムスロットを信号劣化を受けるタイムスロットと判定し、受信強度レベルが閾値未満のタイムスロットを信号劣化を受けないタイムスロットと判定する。図5においては変調タイムスロットTs13、Ts14、Ts15が信号劣化を受けるタイムスロットと判定され、変調タイムスロットTs11、Ts12、Ts16が信号劣化を受けないタイムスロットと判定される。

0045

そして、タイムスロットカウント情報算出部223は、上記判定結果をタイムスロットカウント情報としてステップS56によりメモリ24に格納する。またそれと共に、ステップS57によりタイムスロットカウント情報通知部224が、上記タイムスロットカウント情報を送信機1に通知するべく通信線3へ送信する。

0046

送信機1は、タイムスロットカウントタイミング同期用信号波の送信後に、ステップS58によりタイムスロットカウント情報受信部122が、タイムスロットカウント情報の受信を監視する。そして、受信機2からタイムスロットカウント情報を受信すると、受信したタイムスロットカウント情報をメモリ14に格納する。

0047

(2)デジタル情報伝送期間の動作
上記トレーニング期間が終了すると、送信機1および受信機2はデジタル情報の伝送動作を以下のように実行する。図6はその処理手順および処理内容を示すフローチャート、図7は処理手順および処理内容をより詳しく示す図である。

0048

送信機1は、ステップS61により送信データの入力を監視している。この状態で、パーソナルコンピュータやサーバ等の電子機器からEthernetフレームからなる送信データが送信され、当該送信データをLANを介して受信すると、デジタル情報伝送処理部131が先ずステップS62において誤り訂正符号化処理を実行する。この誤り訂正符号化処理では、例えば図7のステップS11,S12に示すように先ずCRC符号化およびRS符号化が行われる。

0049

次に、ステップS63においてアロケーション処理部132が、メモリ14に格納されたタイムスロットカウント情報をもとに、バースト性電磁妨害波の影響が所定レベル未満のタイムスロットに、送信データに含まれる情報伝送必須データであるIPヘッダを割り当てるアロケーション処理を行う(図7ではステップS13)。続いてステップS64においてスクランブル処理部133が、上記タイムスロットカウント情報をもとに、上記アロケーション処理後の情報転送必須データ領域を、信号劣化を受けないようにスクランブル処理を行う(図7ではステップS14)。

0050

図8は、上記アロケーション処理の一例を説明するための図である。いま、図8(g)に示すように変調タイムスロットT1、T3、T4に信号劣化を生じる強度のバースト性電磁妨害波が存在し、変調タイムスロットT2にはこれが存在しなかったとする。この場合アロケーション処理部132は、変調タイムスロットT2において送信する出力フレーム2は電磁妨害波で信号劣化を生じないので、この出力フレーム2に図8(c)に示すように情報伝送必須データを優先的に割り当てる。情報伝送必須データとしては、例えば図8(a)に示すIPヘッダが該当する。図8(b)は、割り当てられる出力フレーム2の特定中間フレームを示す。なお、情報伝送必須データとしては、IPヘッダの他に、TCPヘッダ、HTTPヘッダなどの上位レイヤプロトコルにおいて使用される必須データを含めるようにしてもよい。

0051

以上述べたアロケーション処理により、LANから受信したEthernetフレームに含まれるデータのうちのIPヘッダ等の情報伝送必須データは、バースト性電磁妨害波による信号劣化を受けずに伝送することが可能となる。なお、Ethernetフレームのユーザデータ領域に関しては、電磁妨害波による信号劣化を受けるものの、誤り訂正用のデータによって訂正が可能である。

0052

従って、送信機1にLANを介して接続された電子機器末と、受信機2にLANを介して接続された電子機器との間では、非到達IPパケットは原理上存在しないことになる。このため、非到達IPパケットの再送手順は不要となり、電子機器間で誤り訂正が不十分であると判断されたときのみにIPパケットの再送処理が行われる。このため、バースト性電磁妨害波による電子機器間のスループットの低下を抑制することが可能となる。

0053

上記アロケーション処理およびスクランブル処理が終了すると、デジタル情報伝送処理部131は、上記アロケーション処理およびスクランブル処理がなされた送信データに対し、図7のステップS15に示すようにトレリス符号化を行った後、ステップS65により変調処理を行う。具体的には、図7に示すようにステップS161,S162において、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)およびIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)を含むDMT(Discrete Multi-tone)変調処理が行われる。

0054

そして、最後にデジタル情報伝送処理部131は、上記変調処理された後の送信データに対し図7のステップS17によりCPを付加し、このCPが付加された送信データをAFE15へ出力する。AFE15は、ステップS66において上記送信データをアナログ伝送信号に変換した後、通信線3へ送信する(図7ではステップS18)。

0055

一方、受信機2は以下のように動作する。すなわち、上記送信機1から送信されたアナログ伝送信号がステップS71により受信されると、AFE25が図7に示すように先ずステップS21により上記アナログ伝送信号をA/D変換し、続いてステップS22により時間軸上の波形等化処理(TEQ)を行う。

0056

次にDSP23のデジタル情報伝送処理部231が、ステップS72において復調処理を実行する。例えば図7に示すように、先ずステップS23において、上記AFE25から出力されたデジタル伝送信号からCPを削除した後、ステップS25においてFFT(Fast Fourier Transform)によりサブキャリアごとにDMT復調処理を行う。なお、図7のステップS24は、先に述べたレーニング期間において行われるタイムスロットのカウント処理を示す。

0057

デジタル情報受信処理部231は、続いてステップS26において、上記DMT復調後の受信信号に対し周波数軸上の波形等化処理(FEQ)を行い、ステップS27においてQAM復調して受信ベースバンド信号を復元する。そして、上記復元された受信ベースバンド信号に対し、ビタビ復号器により受信信号のシンボル判定を行う。

0058

次にデジタル情報伝送処理部231は、ステップS73において、デスクランブル処理部232により上記受信ベースバンド信号に対しデスクランブル処理を行う(図7ではステップS29)。このデスクランブル処理は、メモリ24に格納されているタイムスロットカウント情報を参照して行われる。

0059

そして、デジタル情報伝送処理部231は、上記デスクランブル処理後の受信ベースバンド信号に対し、ステップS74により誤り訂正復号処理を行う。例えば、図7に示すようにステップS30によりRS復号処理を行う。そして、上記誤り訂正処理後の受信データについて、ステップS31によりCRC検査を行って情報の誤りがないかどうかを判定し、この検査後の受信データをCPU22へ出力する。CPU22は、上記受信データに誤りがないと判定された場合に、当該受信データをEthernetフレームに変換してLANへ送信する。

0060

(効果)
以上詳述したように一実施形態では、デジタル情報の伝送に先立ち、送信機1からタイムスロットカウントタイミング同期用の信号波を送信して、受信機2が当該信号波をもとにタイムスロット同期を取る。そして、タイムスロットごとにバースト性電磁妨害波のパラメータを検出し、その検出結果をもとに上記バースト性電磁妨害波による信号劣化を受けるタイムスロットと受けないタイムスロットを判定して、その判定結果をタイムスロットカウント情報として送信機1に通知する。送信機1は、デジタル情報を伝送する際に、上記通知されたタイムスロットカウント情報をもとに、バースト性電磁妨害波による信号劣化を受けないタイムスロットに情報伝送必須データであるIPヘッダを割り当て、スクランブル処理した後受信機2へ送信するようにしている。

0061

従って、デジタル情報のうち重要性の高いIPヘッダを、バースト性電磁妨害波の影響を受けると推定される期間を避けて伝送することが可能となり、これによりデジタル情報の再送処理の回数を減らして、妨害波によるスループットの低下を抑制することが可能となる。また、送信機1から送信される同期用信号波により受信機2においてタイムスロット同期を取り、タイムスロットごとにバースト性電磁妨害波の強度、継続時間および周波数成分を含む妨害波パラメータを検出するようにしたので、バースト性電磁妨害波の影響を受ける期間をより正確に判定することが可能となる。

0062

[他の実施形態]
上記一実施形態においては、IPヘッダをバースト性電磁妨害波の影響を受けないタイムスロットに割り当てる場合を例にとって説明した。しかし、これに限らずTCPヘッダやHTTPヘッダ等の上位レイヤプロトコルによる情報伝送に必須のデータを、バースト性電磁妨害波の影響を受けないタイムスロットに割り当てるようにしてもよい。また、ユーザがユーザデータ領域のうち重要なユーザデータを任意に入力操作により指定し、当該指定されたユーザデータをバースト性電磁妨害波の影響を受けないタイムスロットに割り当てるようにしてもよい。

0063

また、上記一実施形態ではADSLデジタル情報伝送システムを例にとって説明したが、デジタル情報を時系列電気信号で伝送するEthernet伝送システムや、マルチキャリア伝送方式であるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を採用した無線のデジタル情報伝送システムを含め、各種デジタル情報伝送システムにも、本発明は適用可能である。

0064

さらに、上記一実施形態で示したタイムスロットごとの電磁妨害波パラメータの抽出およびアロケーション/スクランブル処理への反映についても、使用するデジタル情報伝送システムで採用しているタイムスロットやフレーム処理に合わせて、情報転送必須データ領域が信号劣化を受けないタイムスロットで伝送されるようにすればよい。

0065

その他、送信機および受信機の構成や変復調方式、誤り訂正符号化復号方式、伝送データのフレーム構成、妨害波の影響が少ないタイムスロットに割り当てる特定データの種類等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。

0066

要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。

0067

1…送信機、2…受信機、3…通信線、11,12…LAN−IF、12,22…CPU、13,23…DSP、14,24…メモリ、15,25…AFE、121…タイムスロットカウントタイミング同期用信号送信部、122…タイムスロットカウント情報受信部、131,231…デジタル情報伝送処理部、132…アロケーション処理部、133…スクランブル処理部、221…タイムスロットカウント部、222…電磁妨害波パラメータ抽出部、223…タイムスロットカウント情報算出部、224…タイムスロットカウント情報通知部、232…デスクランブル処理部。

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